説明

複素環誘導体およびステアロイル−CoAデサチュラーゼインヒビターとしてのそれらの使用

哺乳動物において、好ましくは、ヒトにおいて、SCDにより媒介される疾患または状態を処置する方法が開示される。この方法は、処置を必要とする哺乳動物に、式(I)の化合物:


を投与する工程を包含し、式(I)において、x、y、G、J、K、L、M、W、R、R、R、R5a、R、R6a、R、R7a、RおよびR8aは、本明細書中に定義されている。式(I)の化合物を含有する薬学的組成物もまた、開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般的に、複素環誘導体のようなステアロイル−CoAデサチュラーゼのインヒビター、ならびにステアロイル−CoAデサチュラーゼ(SCD)酵素(好ましくは、SCD1)によって媒介される疾患(特に、高い脂質レベルに関連する疾患、心臓血管疾患、糖尿病、肥満症、代謝症候群など)を含む、種々のヒトの疾患の処置および/または予防におけるこのような化合物の使用の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
アシルデサチュラーゼ酵素(acyl desaturase enzymes)は、食事性の供給源または肝臓におけるデノボ合成に由来する脂肪酸の二重結合の形成を触媒する。哺乳動物は、Δ−9位、Δ−6位およびΔ−5位における二重結合の付加を触媒する鎖長特異性が異なる少なくとも3つの脂肪酸デサチュラーゼを合成する。ステアロイル−CoAデサチュラーゼ(SCD)は、飽和脂肪酸のC9−C10位にて二重結合を導入する。好ましい基質は、パルミトイル−CoA(16:0)およびステアロイル−CoA(18:0)であり、それらは、それぞれ、パルミトレオイル−CoA(16:1)およびオレオイル−CoA(18:1)に変換される。生じるモノ不飽和脂肪酸は、リン脂質、トリグリセリド、およびコレステリルエステルへの組み込みのための基質である。
【0003】
多くの哺乳動物のSCD遺伝子が、クローニングされている。例えば、2種の遺伝子(SCD1、SCD2)が、ラットからクローニングされており、そして4種のSCD遺伝子(SCD1、SCD2、SCD3、およびSCD4)が、マウスから単離されている。SCDの基本的な生化学的役割は、1970年代以来、ラットとマウスにおいて公知であった(非特許文献1;非特許文献2)が、つい最近、それはヒトの疾患プロセスに直接関与しているとされた。
【0004】
単一のSCD遺伝子であるSCD1は、ヒトにおいて特徴付けられてきた。SCD1は、Brownlieら、特許文献1(その開示は、その全体が本明細書中参考として援用される)に記載される。最近、第2のヒトSCDのアイソフォームが、同定され、そしてそれは、マウスのアイソフォームまたはラットのアイソフォームのどちらか一方に対して配列相同性をほとんど有さないので、ヒトSCD5すなわちhSCD5と命名された(特許文献2(その全体が、本明細書中に参考として援用される))。
【0005】
現在まで、SCD活性を特異的に阻害するかまたは調節する、非低分子の、薬物のような化合物は、知られていない。特定の長鎖の炭化水素は、歴史的にSCD活性を研究するために使用されてきた。公知の例としては、チア脂肪酸、シクロプロペノイド脂肪酸および特定の共役リノール酸異性体が挙げられる。具体的には、シス−12,トランス−10共役リノール酸は、SCD酵素活性を阻害し、多量のSCD1 mRNAを減少させると考えられる一方で、シス−9,トランス−11共役リノール酸にはこうした作用はない。ステルクリア(stercula)および綿実に見出されるようなシクロプロペノイド脂肪酸もまた、SCD活性を阻害することが公知である。例えば、ステルクリン酸(8−(2−オクチルシクロプロペニル)オクタン酸)およびマルバル酸(7−(2−オクチルシクロプロペニル)ヘプタン酸)は、ステルクロイル脂肪酸(sterculoyl fatty acid)のC18誘導体およびマルバロイル脂肪酸(malvaloyl fatty acid)のC16誘導体であり、それぞれ、それらのC9−C10位にシクロプロペン環を有する。これらの因子は、上記酵素との直接相互作用によってSCD酵素活性を阻害し、それによってΔ−9不飽和化を阻害すると考えられる。SCD活性を阻害し得る他の因子としては、9−チアステアリン酸(8−ノニルチオオクタン酸とも称される)およびスルホキシ部分を有する他の脂肪酸のようなチア脂肪酸が挙げられる。
【0006】
Δ−9デサチュラーゼ活性のこれらの公知の調節因子は、SCD1の生物学的活性に関連している疾患および障害を処置するのに有効ではない。公知のSCDインヒビター化合物のいずれもが、SCDまたはΔ−9デサチュラーゼに選択的ではない。なぜならそれらの化合物はまた、他のデサチュラーゼおよび酵素を阻害するからである。チア脂肪酸、共役リノール酸およびシクロプロペン脂肪酸(マルバル酸およびステルクリン酸)は、適度の生理学的用量において有用ではなく、それらはSCD1の生物学的活性の特異的インヒビターでもなく、むしろそれらは他のデサチュラーゼ(特に、Δ−5デサチュラーゼおよびΔ−6デサチュラーゼ)の、シクロプロペン脂肪酸による交差阻害を示す。
【0007】
現在、SCD活性が一般的なヒトの疾患プロセスに直接かかわっているという証拠に、説得力があるので、SCD酵素活性の低分子インヒビターが存在しないことは、大きな科学的および医学的な失望である:例えば、非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5を参照のこと。
【特許文献1】国際公開第WO01/62954号パンフレット
【特許文献2】国際公開第WO02/26944号パンフレット
【非特許文献1】Jeffcoat,Rら、Elsevier Science、1984年、第4巻、p.85−112
【非特許文献2】de Antueno,RJ、Lipids、1993年、第28巻、第4号、p.285−290
【非特許文献3】Attie,A.D.ら、「Relationship between stearoyl−CoA desaturase activity and plasma triglycerides in human and mouse hypertriglyceridemia」、J.Lipid Res.、2002年、第43巻、第11号、p.1899−907
【非特許文献4】Cohen,P.ら、「Role for stearoyl−CoA desaturase−1 in leptin−mediated weight loss」、Science、2002年、第297巻、第5579号、p.240−3
【非特許文献5】Ntambi,J.M.ら、「Loss of stearoyl−CoA desaturase−1 function protects mice against adiposity」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.、2002年、第99巻、第7号、p.11482−6
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、SCD活性を調節し(modulate)、そして脂質レベル(特に、血漿脂質レベル)を調節する(regulate)のに有用であり、かつ異脂肪血症に関連する疾患および脂肪代謝障害に関連する疾患(特に、高脂質レベルに関連する疾患、心臓血管疾患、糖尿病、肥満症、代謝症候群など)のようなSCD媒介性の疾患の処置に有用な新しい部類の化合物を提供することによって、この問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、ステアロイル−CoAデサチュラーゼの活性を調節する複素環誘導体を提供する。このような誘導体を使用してステアロイル−CoAデサチュラーゼの活性を調節する方法およびこのような誘導体を含有する薬学的組成物もまた、包含される。
【0010】
従って、1つの実施形態において、本発明は、式(I)の化合物:
【0011】
【化6】

、その立体異性体、エナンチオマーもしくは立体異性体、その薬学的に受容可能な塩、その薬学的組成物、またはそのプロドラッグを提供し、式(I)において:
xおよびyは、各々独立して、0、1、2または3であり;
Gは、−N(R)−、−O−、−S(O)−(ここでtは、0、1もしくは2である)、−C(R)=または−C(R)=C(R)−であり;
JおよびKは、各々独立して、NまたはC(R10)であり;
LおよびMは、各々独立して、−N=、−N(R)−、または−C(R)=であり、ただし、Gが−C(R)=または−C(R)=C(R)−である場合、LおよびMは、両方が−C(R)=ではあり得ず;
Wは、直接結合、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、−OC(O)N(R)−、−N(R)C(O)N(R)−、−O−、−N(R)−、−S(O)−(ここでtは0、1もしくは2である)、−N(R)S(O)−(ここでpは1もしくは2である)、−S(O)N(R)−(ここでpは1もしくは2である)、−C(O)−、−OS(O)N(R)−、−OC(O)−、−C(O)O−、または−N(R)C(O)O−であり;
各Rは、独立して、水素、C〜C12アルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12シクロアルキルアルキルおよびC〜C19アラルキルからなる群より選択され;
は、C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12ヒドロキシアルケニル、C〜C12アルコキシアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12シクロアルキルアルキル、アリール、C〜C19アラルキル、C〜C12ヘテロシクリル、C〜C12ヘテロシクリルアルキル、C〜C12ヘテロアリール、およびC〜C12ヘテロアリールアルキルからなる群より選択されるか;
あるいはRは、2個〜4個の環を有する多環構造であり、該環は、独立して、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、そして該環のうちのいくつかまたは全ては、互いに縮合し得;
は、水素、C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12ヒドロキシアルケニル、C〜C12アルコキシアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12シクロアルキルアルキル、アリール、C〜C19アラルキル、C〜C12ヘテロシクリル、C〜C12ヘテロシクリルアルキル、C〜C12ヘテロアリールおよびC〜C12ヘテロアリールアルキルからなる群より選択されるか;
あるいはRは、2個〜4個の環を有する多環構造であり、該環は、独立して、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、そして該環のうちのいくつかまたは全ては、互いに縮合し得;
各Rは、独立して、水素、フルオロ、クロロ、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、ハロアルキル、シアノ、ニトロまたは−N(Rから選択されるか;
あるいは2つの隣接するR基は、それらが結合する炭素と一緒になって、アリール環系、ヘテロアリール環系、またはヘテロシクリル環系を形成し得;
、R5a、R、R6a、R、R7a、RおよびR8aは、各々独立して、水素またはC〜Cアルキルから選択されるか;
あるいはRとR5aとが一緒になってか、RとR6aとが一緒になってか、またはRとR7aとが一緒になってか、またはRとR8aとが一緒になって、オキソ基であるか;
あるいはR、R5a、RおよびR6aのうちの1つが、R、R7a、RおよびR8aのうちの1つと一緒になって、直接結合またはアルキレン架橋を形成し、一方で、残りのR、R5a、R、R6a、R、R7a、R、およびR8aは、各々独立して、水素またはC〜Cアルキルから選択され;
各Rは、独立して、水素またはC〜Cアルキルから選択され;そして
10は、独立して、水素、フルオロ、クロロ、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから選択される。
【0012】
上に記載されるような式(I)の化合物に関する本発明の範囲は、以前の刊行物中で具体的に開示および/または特許請求される化合物を包含することを意図されないことが、理解される。これらの化合物としては、以下の刊行物中で具体的に開示されている化合物が挙げられるが、それらに限定されない:
PCT国際公開WO 03/076400;
PCT国際公開WO 03/066604;
PCT国際公開WO 01/019822;
PCT国際公開WO 99/021834;
PCT国際公開WO 99/020606;
PCT国際公開WO 98/001446;
PCT国際公開WO 94/012495;
欧州特許出願公開第0 300 526号;
欧州特許出願公開第0 156 433号;
欧州特許出願公開第0 055 583号;
欧州特許出願公開第0 009 655号;
米国特許第5,719,154号;および
米国特許第5,494,908号。
【0013】
別の局面において、本発明は、哺乳動物(好ましくは、ヒト)におけるSCD媒介性の疾患または状態を処置する方法であって、ここで、この方法は、それを必要とする哺乳動物に、上述のような本発明の化合物の治療有効量を投与する工程を包含する。
【0014】
別の局面において、本発明は、SCDの生物学的活性に関連した疾患または状態(例えば、心血管障害および/または代謝症候群(異脂肪血症、インスリン抵抗性および肥満症が挙げられる)を包含する疾患)を処置、予防および/または診断する際に有用な化合物または薬学的組成物を提供する。
【0015】
別の局面において、本発明は、高い脂質レベル(例えば、血漿脂質レベル(特に、高いトリグリセリドレベルまたは高いコレステロールレベル))に苦しむ患者における患者において、このような高いレベルに関連した疾患もしくは状態を予防または処置する方法を提供し、この方法は、患者に、本明細書中で開示した組成物の治療有効量または予防有効量を投与する工程を包含する。本発明はまた、動物における脂質レベル(特に、トリグリセリドレベルまたはコレステロールレベル)を低下させる治療性能を有する新規化合物に関する。
【0016】
別の局面において、本発明は、上述のような本発明の化合物と薬学的に受容可能な賦形剤とを含有する薬学的組成物を提供する。1つの実施形態において、本発明は、動物(好ましくは、哺乳動物、最も好ましくは、ヒト患者)に投与したとき、薬学的に受容可能なキャリア中にて、トリグリセリドレベルを調節するか異脂肪血症に関連した疾患および脂質代謝の障害を処置するのに有効な量で、本発明の化合物を含有する薬学的組成物に関する。このような組成物の実施形態において、上記患者は、上記化合物の投与前に、高い脂質レベル(例えば、高い血漿トリグリセリドまたは高い血漿コレステロール)を有し、そして化合物は、脂質レベルを低下させるのに有効な量で存在している。
【0017】
別の局面において、本発明は、ステアロイル−CoAデサチュラーゼ(SCD)により媒介される疾患または状態に対して患者を処置するか、これらの発症から患者を保護する方法を提供し、この方法は、このような疾患または状態に苦しむ患者、あるいはこのような疾患または状態を発症する危険がある患者に、そこに投与したときに患者におけるSCDの活性を阻害する化合物の治療有効量を投与する工程を包含する。
【0018】
別の局面において、本発明は、本明細書中で開示された方法により同定された化合物を利用して、脂質代謝が関与している一定範囲の疾患を処置する方法を提供する。それに従って、本明細書中では、試験化合物のライブラリから、SCDの生物学的活性を調節し脂質(例えば、トリグリセリド、VLDL、HDL、LDL、および/または総コレステロール)の血清レベルに関連したヒトの障害または状態を処置する際に有用な治療剤を同定するスクリーニングアッセイに基づいて、活性を有する一定範囲の化合物が開示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(発明の詳細な説明)
(定義)
本明細書中で命名された特定の化学基の前には、略記表示があり、これは、指定された化学基に存在している炭素原子の全数を示す。例えば;C〜C12アルキルは、以下で定義するように、全体で7個〜12個の炭素原子を有するアルキル基を記載し、そしてC〜C12シクロアルキルアルキルは、以下で定義するように、全体で4個〜12個の炭素原子を有するシクロアルキルアルキル基を記載する。この略記表示における炭素の全数には、記載した基の置換基に存在し得る炭素を含まない。
【0020】
従って、本明細書および添付の請求の範囲で使用する以下の用語は、特に明記しない限り、以下で示した意味を有する:
「メトキシ」とは、−OCHラジカルをいう。
【0021】
「シアノ」とは、−CNラジカルをいう。
【0022】
「ニトロ」とは、−NOラジカルをいう。
【0023】
「トリフルオロメチル」とは、−CFラジカルをいう。
【0024】
「オキソ」とは、=O置換基をいう。
【0025】
「チオキソ」とは、=S置換基をいう。
【0026】
「アルキル」とは、炭素原子および水素原子だけからなり、不飽和を含まず、1個〜12個の炭素原子、好ましくは、1個〜8個の炭素原子または1個〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の炭化水素鎖ラジカルをいい、これは、単結合により、分子の残りに結合されている(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(イソ−プロピル)、n−ブチル、n−ペンチル、1,1−ジメチルエチル(t−ブチル)など)。本明細書中にて具体的に記載されていなければ、アルキル基は、必要に応じて、以下の基のうちの1個で置換され得る:アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−OR14、−OC(O)−R14、−N(R14、−C(O)R14、−C(O)OR14、−C(O)N(R14、−N(R14)C(O)OR16、−N(R14)C(O)R16、−N(R14)(S(O)16)(ここで、tは、1〜2である)、−S(O)OR16(ここで、tは、1〜2である)、−S(O)16(ここで、tは、0〜2である)、および−S(O)N(R14(ここで、tは、1〜2である)であって、ここで、各R14は、別個に、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール(これは、必要に応じて、ハロまたはハロアルキルから選択される1個またはそれ以上の基で置換されている)、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである;そして各R16は、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、ここで、上記置換基の各々は、特に明記しない限り、非置換である。
【0027】
「C〜Cアルキル」とは、1個〜3個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなアルキルラジカルをいう。このC〜Cアルキルラジカルは、必要に応じて、アルキル基について定義されるように、置換され得る。
【0028】
「C〜Cアルキル」とは、1個〜6個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなアルキルラジカルをいう。このC〜Cアルキルラジカルは、必要に応じて、アルキル基について定義されるように、置換され得る。
【0029】
「C〜C12アルキル」とは、1個〜12個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなアルキルラジカルをいう。このC〜C12アルキルラジカルは、必要に応じて、アルキル基について定義されるように、置換され得る。
【0030】
「C〜Cアルキル」とは、2個〜6個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなアルキルラジカルをいう。このC〜Cアルキルラジカルは、必要に応じて、アルキル基について定義されるように、置換され得る。
【0031】
「C〜Cアルキル」とは、3個〜6個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなアルキルラジカルをいう。このC〜Cアルキルラジカルは、必要に応じて、アルキル基について定義されるように、置換され得る。
【0032】
「C〜C12アルキル」とは、3個〜12個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなアルキルラジカルをいう。このC〜C12アルキルラジカルは、必要に応じて、アルキル基について定義されるように、置換され得る。
【0033】
「C〜C12アルキル」とは、6個〜12個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなアルキルラジカルをいう。このC〜C12アルキルラジカルは、必要に応じて、アルキル基について定義されるように、置換され得る。
【0034】
「C〜C12アルキル」とは、7個〜12個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなアルキルラジカルをいう。このC〜C12アルキルラジカルは、必要に応じて、アルキル基について定義されるように、置換され得る。
【0035】
「アルケニル」とは、炭素原子および水素原子だけからなり、少なくとも1個の二重結合を含有し、2個〜12個の炭素原子、好ましくは、1個〜8個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の炭化水素鎖ラジカルをいい、これは、単結合により、分子の残りに結合されている(例えば、エテニル、プロパ−1−エニル、ブタ−1−エニル、ペンタ−1−エニル、ペンタ−1,4−ジエニルなど)。本明細書中にて具体的に記載されていなければ、アルケニル基は、必要に応じて、以下の基のうちの1個で置換され得る:アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、−OR14、−OC(O)−R14、−N(R14、−C(O)R14、−C(O)OR14、−C(O)N(R14、−N(R14)C(O)OR16、−N(R14)C(O)R16、−N(R14)(S(O)16)(ここで、tは、1〜2である)、−S(O)OR16(ここで、tは、1〜2である)、−S(O)16(ここで、tは、0〜2である)、および−S(O)N(R14(ここで、tは、1〜2である)であって、ここで、各R14は、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである;そして各R16は、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、ここで、上記置換基の各々は、非置換である。
【0036】
「C〜C12アルケニル」とは、3個〜12個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなアルケニルラジカルをいう。このC〜C12アルケニルラジカルは、必要に応じて、アルケニル基について定義されるように、置換され得る。
【0037】
「C〜C12アルケニル」とは、2個〜12個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなアルケニルラジカルをいう。このC〜C12アルケニルラジカルは、必要に応じて、アルケニル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0038】
「アルキレン」および「アルキレン鎖」とは、分子の残りをラジカル基に連結し、炭素および水素だけからなり、不飽和を含有せず、そして1個〜12個の炭素原子、好ましくは、1個〜8個の炭素を含有する直鎖状または分枝状の二価炭化水素鎖をいう(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n−ブチレンなど)。このアルキレン鎖は、鎖内の1個の炭素または鎖内の任意の2個の炭素を介して、分子の残りをラジカル基に結合し得る。このアルキレン鎖は、必要に応じて、以下の基のうちの1個で置換され得る:アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−OR14、−OC(O)−R14、−N(R14、−C(O)R14、−C(O)OR14、−C(O)N(R14、−N(R14)C(O)OR16、−N(R14)C(O)R16、−N(R14)(S(O)16)(ここで、tは、1〜2である)、−S(O)OR16(ここで、tは、1〜2である)、−S(O)16(ここで、tは、0〜2である)、および−S(O)N(R14(ここで、tは、1〜2である)であって、ここで、各R14は、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール(これは、必要に応じて、ハロまたはハロアルキルから選択される1個またはそれ以上の基で置換されている)、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである;そして各R16は、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、ここで、上記置換基の各々は、特に明記しない限り、非置換である。
【0039】
「アルケニレン」および「アルケニレン鎖」とは、分子の残りをラジカル基に連結し、炭素および水素だけからなり、少なくとも1個の二重結合を含有し、そして2個〜12個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の二価炭化水素鎖をいう(例えば、エテニレン、プロペニレン、n−ブテニレンなど)。このアルケニレン鎖は、単結合を介して、分子の残りに結合され、そして二重結合または単結合を介して、このラジカルに結合されている。このアルケニレン鎖が分子の残りおよびラジカルに結合する点は、鎖内の1個の炭素または任意の2個の炭素を介し得る。このアルケニレン鎖は、必要に応じて、以下の基のうちの1個で置換され得る:アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−OR14、−OC(O)−R14、−N(R14、−C(O)R14、−C(O)OR14、−C(O)N(R14、−N(R14)C(O)OR16、−N(R14)C(O)R16、−N(R14)(S(O)16)(ここで、tは、1〜2である)、−S(O)OR16(ここで、tは、1〜2である)、−S(O)16(ここで、tは、0〜2である)、および−S(O)N(R14(ここで、tは、1〜2である)であって、ここで、各R14は、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール(これは、必要に応じて、ハロまたはハロアルキルから選択される1個またはそれ以上の基で置換されている)、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである;そして各R16は、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、ここで、上記置換基の各々は、特に明記しない限り、非置換である。
【0040】
「アルキレン架橋」とは、同じ環構造の2個の異なる炭素を連結し、炭素および水素だけからなり、不飽和を含有せず、そして1個〜12個の炭素原子、好ましくは、1個〜8個の炭素を有する直鎖状または分枝状の二価炭化水素架橋を意味する(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n−ブチレンなど)。このアルキレン架橋は、環構造内の任意の2個の炭素を連結し得る。
【0041】
「アルコキシ」とは、式−ORのラジカルをいい、ここで、Rは、上で定義されるようなアルキルラジカルである。このアルコキシラジカルのアルキル部分は、必要に応じて、アルキルラジカルについて上で定義されるように、置換され得る。
【0042】
「C〜Cアルコキシ」とは、1個〜6個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなアルコキシラジカルをいう。このC〜Cアルコキシラジカルのアルキル部分は、必要に応じて、アルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0043】
「C〜C12アルコキシ」とは、1個〜12個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなアルコキシラジカルをいう。このC〜C12アルコキシラジカルのアルキル部分は、必要に応じて、アルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0044】
「C〜C12アルコキシ」とは、3個〜12個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなアルコキシラジカルをいう。このC〜C12アルコキシラジカルのアルキル部分は、必要に応じて、アルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0045】
「アルコキシアルキル」とは、式−R−O−Rのラジカルをいい、ここで、各Rは、独立して、上で定義されるようなアルキルラジカルである。この酸素原子は、いずれかのアルキルラジカル中の任意の炭素に結合され得る。このアルコキシアルキルラジカルの各アルキル部分は、必要に応じて、アルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0046】
「C〜C12アルコキシアルキル」とは、2個〜12個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなアルコキシアルキルラジカルをいう。このC〜C12アルコキシアルキルラジカルの各アルキル部分は、必要に応じて、アルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0047】
「Cアルコキシアルキル」とは、3個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなアルコキシアルキルラジカルをいう。このCアルコキシアルキルラジカルの各アルキル部分は、必要に応じて、アルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0048】
「C〜C12アルコキシアルキル」とは、3個〜12個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなアルコキシアルキルラジカルをいう。このC〜C12アルコキシアルキルラジカルの各アルキル部分は、必要に応じて、アルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0049】
「アルキルスルホニル」とは、式−S(O)のラジカルをいい、ここで、Rは、上で定義されるようなアルキル基である。このアルキルスルホニルラジカルのアルキル部分は、必要に応じて、アルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0050】
「C〜Cアルキルスルホニル」とは、1個〜6個の炭素原子を有する、上で定義されるようなアルキルスルホニルラジカルをいう。このC〜Cアルキルスルホニル基は、必要に応じて、アルキルスルホニル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0051】
「アリール」とは、水素および炭素だけからなり、6個〜19個の炭素原子、好ましくは、6個〜10個の炭素原子を含有する芳香族単環式または芳香族多環式の炭化水素環系を意味し、ここで、この環系は、部分的かまたは完全に飽和であり得る。アリール基としては、フルオレニル、フェニルおよびナフチルのような基が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中にて具体的に記載されていなければ、用語「アリール」または接頭辞「アラ−」(例えば、「アラルキル」のもの)は、アリールラジカルを含むことを意味し、これらは、必要に応じて、1個またはそれ以上の置換基で置換されており、これらの置換基は、アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、−R15−OR14、−R15−OC(O)−R14、−R15−N(R14、−R15−C(O)R14、−R15−C(O)OR14、−R15−C(O)N(R14、−R15−N(R14)C(O)OR16、−R15−N(R14)C(O)R16、−R15−N(R14)(S(O)16)(ここで、tは、1〜2である)、−R15−S(O)OR16(ここで、tは、1〜2である)、−R15−S(O)16(ここで、tは、0〜2である)、および−R15−S(O)N(R14(ここで、tは、1〜2である)からなる群より選択され、ここで、各R14は、別個に、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである;各R15は、独立して、直接結合あるいは直鎖状または分枝状のアルキレン鎖またはアルケニレン鎖である;そして各R16は、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、ここで、上記置換基の各々は、非置換である。
【0052】
「アラルキル」とは、式−Rのラジカルをいい、ここで、Rは、上で定義されるようなアルキルラジカルであり、そしてRは、1個またはそれ以上の上で定義されるようなアリールラジカルである(例えば、ベンジル、ジフェニルメチルなど)。このアラルキルラジカルのアリール部分は、必要に応じて、アリール基について上に記載されるように、置換され得る。このアラルキルラジカルのアルキル部分は、必要に応じて、アルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0053】
「C〜C12アラルキル」とは、7個〜12個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなアラルキル基を意味する。C〜C12アラルキルラジカルのアリール部分は、必要に応じて、アリール基について上に記載されるように、置換され得る。このC〜C12アラルキルラジカルのアルキル部分は、必要に応じて、アルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0054】
「C〜C19アラルキル」とは、7個〜19個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなアラルキル基を意味する。C〜C19アラルキルラジカルのアリール部分は、必要に応じて、アリール基について上に記載されるように、置換され得る。このC〜C19アラルキルラジカルのアルキル部分は、必要に応じて、アルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0055】
「C13〜C19アラルキル」とは、13個〜19個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなアラルキル基を意味する。C13〜C19アラルキルラジカルのアリール部分は、必要に応じて、アリール基について上に記載されるように、置換され得る。このC13〜C19アラルキルラジカルのアルキル部分は、必要に応じて、アルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0056】
「アラルケニル」とは、式−Rのラジカルをいい、ここで、Rは、上で定義されるようなアルケニルラジカルであり、そしてRは、1個またはそれ以上の上で定義されるようなアリールラジカルであり、これは、必要に応じて、上記のように置換され得る。このアラルケニルラジカルのアリール部分は、必要に応じて、アリール基について上に記載されるように、置換され得る。アラルケニルラジカルのアルケニル部分は、必要に応じて、アルケニル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0057】
「アリールオキシ」とは、式−ORのラジカルをいい、ここで、Rは、上で定義されるようなアリール基である。このアリールオキシラジカルのアリール部分は、必要に応じて、上で定義されるように、置換され得る。
【0058】
「アリール−C〜Cアルキル」とは、式−R−Rのラジカルをいい、ここで、Rは、1個〜6個の炭素を有する非分枝状アルキルラジカルであり、そしてRは、このアルキルラジカルの末端炭素に結合されたアリール基である。
【0059】
「シクロアルキル」とは、炭素原子および水素原子だけからなり、3個〜15個の炭素原子、好ましくは、3個〜12個の炭素原子を有する安定な非芳香族単環式または非芳香族二環式の炭化水素ラジカルをいい、これは、飽和または不飽和であり、そして単結合により、分子の残りに結合されている(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、デカニルなど)。本明細書中にて具体的に記載されていなければ、用語「シクロアルキル」は、シクロアルキルラジカルを含むことを意味し、これらは、必要に応じて、1個またはそれ以上の置換基で置換されており、これらの置換基は、アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、−R15−OR14、−R15−OC(O)−R14、−R15−N(R14、−R15−C(O)R14、−R15−C(O)OR14、−R15−C(O)N(R14、−R15−N(R14)C(O)OR16、−R15−N(R14)C(O)R16、−R15−N(R14)(S(O)16)(ここで、tは、1〜2である)、−R15−S(O)OR16(ここで、tは、1〜2である)、−R15−S(O)16(ここで、tは、0〜2である)、および−R15−S(O)N(R14(ここで、tは、1〜2である)からなる群より選択され、ここで、各R14は、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである;各R15は、独立して、直接結合あるいは直鎖状または分枝状のアルキレン鎖またはアルケニレン鎖である;そして各R16は、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、ここで、上記置換基の各々は、非置換である。
【0060】
「C〜Cシクロアルキル」とは、3個〜6個の炭素原子を有する、上で定義されるようなシクロアルキルラジカルをいう。このC〜Cシクロアルキルラジカルは、必要に応じて、シクロアルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0061】
「C〜C12シクロアルキル」とは、3個〜12個の炭素原子を有する、上で定義されるようなシクロアルキルラジカルをいう。このC〜C12シクロアルキルラジカルは、必要に応じて、シクロアルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0062】
「シクロアルキルアルキル」とは、式−Rのラジカルをいい、ここで、Rは、上で定義されるようなアルキルラジカルであり、そしてRは、上で定義されるようなシクロアルキルラジカルである。このシクロアルキルラジカルのシクロアルキル部分は、必要に応じて、シクロアルキルラジカルについて上で定義されるように、置換され得る。このシクロアルキルラジカルのアルキル部分は、必要に応じて、アルキルラジカルについて上で定義されるように、置換され得る。
【0063】
「C〜C12シクロアルキルアルキル」とは、4個〜12個の炭素原子を有する、上で定義されるようなシクロアルキルアルキルラジカルをいう。このC〜C12シクロアルキルアルキルラジカルは、必要に応じて、シクロアルキルアルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0064】
「ハロ」とは、ブロモ、クロロ、フルオロまたはヨードをいう。
【0065】
「ハロアルキル」とは、1個またはそれ以上の上で定義されるようなハロラジカルで置換された、上で定義されるようなアルキルラジカルをいう(例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1−フルオロメチル−2−フルオロエチル、3−ブロモ−2−フルオロプロピル、1−ブロモメチル−2−ブロモエチルなど)。このハロアルキルラジカルのアルキル部分は、必要に応じて、アルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0066】
「ハロアルケニル」とは、1個またはそれ以上の上で定義されるようなハロラジカルで置換された、上で定義されるようなアルケニルラジカルをいう(例えば、2−ブロモエテニル、3−ブロモプロパ−1−エニルなど)。このハロアルケニルラジカルのアルケニル部分は、必要に応じて、アルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0067】
「ヘテロシクリル」とは、安定な3員〜18員の非芳香環ラジカルをいい、これは、炭素原子と1個〜5個のヘテロ原子とからなり、このヘテロ原子は、窒素、酸素およびイオウからなる群より選択される。本発明の目的のために、このヘテロシクリルラジカルは、単環式、二環式、三環式または四環式の環系であり得、これは、縮合環系または架橋環系を含み得る;このヘテロシクリルラジカル中の窒素原子、炭素原子またはイオウ原子は、必要に応じて、酸化され得る;この窒素原子は、必要に応じて、四級化され得る;このヘテロシクリルラジカルは、部分的かまたは完全に飽和であり得る。このようなヘテロシクリルラジカルの例としては、ジオキソラニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1−オキソ−チオモルホリニル、および1,1−ジオキソ−チオモルホリニルが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中にて具体的に記載されていなければ、用語「ヘテロシクリル」は、上で定義されるようなヘテロシクリルラジカルを含むことを意味し、これらは、必要に応じて、1個またはそれ以上の置換基で置換されており、これらの置換基は、アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、オキソ、チオキソ、ニトロ、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、−R15−OR14、−R15−OC(O)−R14、−R15−N(R14、−R15−C(O)R14、−R15−C(O)OR14、−R15−C(O)N(R14、−R15−N(R14)C(O)OR16、−R15−N(R14)C(O)R16、−R15−N(R14)(S(O)16)(ここで、tは、1〜2である)、−R15−S(O)OR16(ここで、tは、1〜2である)、−R15−S(O)16(ここで、tは、0〜2である)、および−R15−S(O)N(R14(ここで、tは、1〜2である)からなる群より選択され、ここで、各R14は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである;各R15は、独立して、直接結合あるいは直鎖状または分枝状のアルキレン鎖またはアルケニレン鎖である;そして各R16は、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、そして、ここで、上記置換基の各々は、非置換である。
【0068】
「C〜C12ヘテロシクリル」とは、3個〜12個の炭素を有する、上で定義されるようなヘテロシクリルラジカルをいう。このC〜C12ヘテロシクリルは、必要に応じて、ヘテロシクリル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0069】
「ヘテロシクリルアルキル」とは、式−Rのラジカルをいい、ここで、Rは、上で定義されるようなアルキルラジカルであり、そしてRは、上で定義されるようなヘテロシクリルラジカルであり、このヘテロシクリルが窒素含有ヘテロシクリルである場合、このヘテロシクリルは、その窒素原子において、このアルキルラジカルに結合され得る。このヘテロシクリルアルキルラジカルのアルキル部分は、必要に応じて、アルキル基について上で定義されるように、置換され得る。このヘテロシクリルアルキルラジカルのヘテロシクリル部分は、必要に応じて、ヘテロシクリル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0070】
「C〜C12ヘテロシクリルアルキル」とは、3個〜12個の炭素を有するヘテロシクリルアルキルラジカル上で定義されるようなをいう。このC〜C12ヘテロシクリルアルキルラジカルは、必要に応じて、ヘテロシクリルアルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0071】
「ヘテロアリール」とは、5員〜18員の芳香環ラジカルをいい、これは、炭素原子と、1個〜5個のヘテロ原子とからなり、このヘテロ原子は、窒素、酸素およびイオウからなる群より選択される。本発明の目的のために、このヘテロアリールラジカルは、単環式、二環式、三環式または四環式の環系であり得、これは、縮合環系または架橋環系を含み得る;このヘテロアリールラジカル中の窒素原子、炭素原子またはイオウ原子は、必要に応じて、酸化され得る;この窒素原子は、必要に応じて、四級化され得る。例としては、アゼピニル、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾインドリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、インドリジニル、イソキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、およびチオフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中にて具体的に記載されていなければ、用語「ヘテロアリール」は、上で定義されるようなヘテロアリールラジカルを含むことを意味し、これらは、必要に応じて、1個またはそれ以上の置換基で置換されており、これらの置換基は、アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、オキソ、チオキソ、ニトロ、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、−R15−OR14、−R15−OC(O)−R14、−R15−N(R14、−R15−C(O)R14、−R15−C(O)OR14、−R15−C(O)N(R14、−R15−N(R14)C(O)OR16、−R15−N(R14)C(O)R16、−R15−N(R14)(S(O)16)(ここで、tは、1〜2である)、−R15−S(O)OR16(ここで、tは、1〜2である)、−R15−S(O)16(ここで、tは、0〜2である)、および−R15−S(O)N(R14(ここで、tは、1〜2である)からなる群より選択され、ここで、各R14は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである;各R15は、独立して、直接結合あるいは直鎖状または分枝状のアルキレン鎖またはアルケニレン鎖である;そして各R16は、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、そして、ここで、上記置換基の各々は、非置換である。
【0072】
「C〜C12ヘテロアリール」とは、1個〜12個の炭素原子を有する、上で定義されるようなヘテロアリールラジカルをいう。このC〜C12ヘテロアリール基は、必要に応じて、ヘテロアリール基について上で定義されるように、置換され得る。
【0073】
「C〜C12ヘテロアリール」とは、5個〜12個の炭素原子を有する、上で定義されるようなヘテロアリールラジカルをいう。このC〜C12ヘテロアリール基は、必要に応じて、ヘテロアリール基について上で定義されるように、置換され得る。
【0074】
「ヘテロアリールアルキル」とは、式−Rのラジカルであり、ここで、Rは、上で定義されるようなアルキルラジカルであり、そしてRは、上で定義されるようなヘテロアリールラジカルである。このヘテロアリールアルキルラジカルのヘテロアリール部分は、必要に応じて、ヘテロアリール基について上で定義されるように、置換され得る。このヘテロアリールアルキルラジカルのアルキル部分は、必要に応じて、アルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0075】
「C〜C12ヘテロアリールアルキル」とは、3個〜12個の炭素原子を有する、上で定義されるようなヘテロアリールアルキルラジカルを意味する。このC〜C12ヘテロアリールアルキル基は、必要に応じて、ヘテロアリールアルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0076】
「ヘテロアリールシクロアルキル」とは、式−Rのラジカルをいい、ここで、Rは、上で定義されるようなシクロアルキルラジカルであり、そしてRは、上で定義されるようなヘテロアリールラジカルである。このヘテロアリールシクロアルキルラジカルのシクロアルキル部分は、必要に応じて、シクロアルキル基について上で定義されるように、置換され得る。このヘテロアリールシクロアルキルラジカルのヘテロアリール部分は、必要に応じて、ヘテロアリール基について上で定義されるように、置換され得る。
【0077】
「ヘテロアリールアルケニル」とは、式−Rのラジカルをいい、ここで、Rは、上で定義されるようなアルケニルラジカルであり、そしてRは、上で定義されるようなヘテロアリールラジカルである。このヘテロアリールアルケニルラジカルのヘテロアリール部分は、必要に応じて、ヘテロアリール基について上で定義されるように、置換され得る。このヘテロアリールアルケニルラジカルのアルケニル部分は、必要に応じて、アルケニル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0078】
「ヒドロキシアルキル」とは、式−R−OHのラジカルをいい、ここで、Rは、上で定義されるようなアルキルラジカルである。このヒドロキシ基は、このアルキルラジカル内の任意の炭素上のアルキルラジカルに結合され得る。このヒドロキシアルキル基のアルキル部分は、必要に応じて、アルキル基について上で定義したように、置換され得る。
【0079】
「C〜C12ヒドロキシアルキル」とは、2個〜12個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなヒドロキシアルキルラジカルをいう。このC〜C12ヒドロキシアルキルラジカルのアルキル部分は、必要に応じて、アルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0080】
「C〜C12ヒドロキシアルキル」とは、3個〜12個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなヒドロキシアルキルラジカルをいう。このC〜C12ヒドロキシアルキルラジカルのアルキル部分は、必要に応じて、アルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0081】
「C〜C12ヒドロキシアルキル」とは、7個〜12個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなヒドロキシアルキルラジカルをいう。このC〜C12ヒドロキシアルキルラジカルのアルキル部分は、必要に応じて、アルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0082】
「ヒドロキシアルケニル」とは、式−R−OHのラジカルをいい、ここで、Rは、上で定義されるようなアルケニルラジカルである。このヒドロキシ基は、このアルケニルラジカル内の任意の炭素上のアルケニルラジカルに結合され得る。このヒドロキシアルケニル基のアルケニル部分は、必要に応じて、アルケニル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0083】
「C〜C12ヒドロキシアルケニル」とは、2個〜12個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなヒドロキシアルケニルラジカルをいい。このC〜C12ヒドロキシアルケニルラジカルのアルケニル部分は、必要に応じて、アルケニル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0084】
「C〜C12ヒドロキシアルケニル」とは、3個〜12個の炭素原子を含有する、上で定義されるようなヒドロキシアルケニルラジカルを意味する。このC〜C12ヒドロキシアルケニルラジカルのアルケニル部分は、必要に応じて、アルケニル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0085】
「ヒドロキシル−C〜C−アルキル」とは、式−R−OHのラジカルをいい、ここで、Rは、1個〜6個の炭素を有する非分枝状アルキルラジカルであり、このヒドロキシラジカルは、末端炭素に結合されている。
【0086】
「トリハロアルキル」とは、3個の上で定義されるようなハロラジカルで置換された、上で定義されるようなアルキルラジカルをいう(例えば、トリフルオロメチル)。このトリハロアルキルラジカルのアルキル部分は、必要に応じて、アルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0087】
「C〜Cトリハロアルキル」とは、1個〜6個の炭素原子を有する、上で定義されるようなトリハロアルキルラジカルをいう。このC〜Cトリハロアルキルは、必要に応じて、トリハロアルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0088】
「トリハロアルコキシ」とは、式−ORのラジカルをいい、ここで、Rは、上で定義されるようなトリハロアルキル基である。このトリハロアルコキシ基のトリハロアルキル部分は、必要に応じて、トリハロアルキル基について上で定義されるように、置換され得る。
【0089】
「C〜Cトリハロアルコキシ」とは、1個〜6個の炭素原子を有する、上で定義されるようなトリハロアルコキシラジカルをいう。このC〜Cトリハロアルコキシ基は、必要に応じて、トリハロアルコキシ基について上で定義されるように、置換され得る。
【0090】
「多環構造」とは、2個〜4個の環から構成される多環式環系をいい、ここで、環は、独立して、上で定義されるようなシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールから選択される。各シクロアルキルは、必要に応じて、シクロアルキル基について上で定義されるように、置換され得る。各アリールは、必要に応じて、アリール基について上で定義されるように、置換され得る。各ヘテロシクリルは、必要に応じて、ヘテロシクリル基について上で定義されるように、置換され得る。各ヘテロアリールは、必要に応じて、ヘテロアリール基について上で定義されるように、置換され得る。これらの環は、直接結合を介して、他のものに結合され得るか、あるいはこれらの環の一部または全部は、互いに縮合され得る。例としては、アリール基で置換されたシクロアルキルラジカル;アリール基で置換されたシクロアルキル基(これは、順に、別のアリール基で置換されている)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
「プロドラッグ」とは、生理的条件下にて、または加溶媒分解により、本発明の生物学的に活性な化合物に変換され得る化合物を示すことを意味する。それゆえ、用語「プロドラッグ」とは、薬学的に受容可能である本発明の化合物の代謝前駆物質をいう。プロドラッグは、それを必要とする被験体に投与されるとき、不活性であり得るが、インビボで、本発明の活性化合物に変換される。プロドラッグは、代表的に、例えば、血液中の加水分解により、インビボで、急速に変換され、本発明の親化合物を生じる。このプロドラッグ化合物は、哺乳動物生物体において、溶解度、組織相溶性または徐放という利点を与える(Bundgard,H.,Design of Prodrugs(1985),pp.7−9,21−24(Elsevier,Amsterdam)を参照のこと)。
【0092】
プロドラッグの論述は、Higuchi,T.ら、「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」、A.C.S.Symposium Series,Vol.14、およびBioreversible Carriers in Drug Design,ed.Edward B.Roche,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987で提供されており、これらの内容は、本明細書中で参考として詳細に援用されている。
【0093】
用語「プロドラッグ」はまた、このようなプロドラッグが哺乳動物被験体に投与されるとき、インビボで、本発明の活性化合物を放出する任意の共有結合したキャリアを含むことを意味する。本発明の化合物のプロドラッグは、慣用的な操作またはインビボのいずれかで本発明の親化合物へと開裂されるような様式で、本発明の化合物に存在している官能基を改変することによって調製され得る。プロドラッグとしては、ヒドロキシ基、アミノ基またはメルカプト基が、本発明のプロドラッグが哺乳動物被験体に投与されるとき、開裂して、それぞれ、遊離のヒドロキシ基、遊離のアミノ基または遊離のメルカプト基を形成する任意の基に結合される本発明の化合物が挙げられる。プロドラッグの例としては、本発明の化合物中のアルコール官能基またはアミン官能基の酢酸誘導体、ギ酸誘導体および安息香酸誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
「安定な化合物」および「安定な構造」とは、反応混合物からの有用な純度までの単離および有効な治療剤への処方に耐えるのに十分に頑丈である化合物を示すことを意味する。
【0095】
「哺乳動物」としては、ヒトおよび家畜(例えば、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウサギなど)が挙げられる。
【0096】
「任意の」または「必要に応じて」とは、引き続いて記載される状況の事象が起こり得るかまたは起こり得ないこと、およびこの記載が、事象が起こる場合および事象が起こらない場合を含むことを意味する。例えば、「必要に応じて置換したアリール」とは、そのアリールラジカルが置換され得るか置換され得ないこと、およびその記載は、置換アリールラジカルおよび置換を有さないアリールラジカルの両方を含むことを意味する。
【0097】
「薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤または賦形剤」としては、米国食品医薬品局により、ヒトまたは家畜における使用に受容可能であると認可された任意の補助剤、キャリア、賦形剤、流動促進剤(glidant)、甘味剤、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、調味料、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶媒、または乳化剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
「薬学的に受容可能な塩」としては、酸付加塩および塩基付加塩の両方が挙げられる。
【0099】
「薬学的に受容可能な酸付加塩」とは、遊離塩基の生物学的な有効性および特性を保持する塩をいい、これらは、生物学的にかあるいはそれ以外で有害ではなく、そして無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などであるが、これらに限定されない)、および有機酸(例えば、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ショウノウ酸、カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタリン(galactaric)酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2−オキソ−グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸(pamoic acid)、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸などであるが、これらに限定されない)を使って形成される。
【0100】
「薬学的に受容可能な塩基付加塩」とは、遊離酸の生物学的な有効性および特性を保持する塩をいい、これらは、生物学的にかあるいはそれ以外で有害ではない。これらの塩は、無機塩基または有機塩基を遊離酸に付加することから調製される。無機塩基から誘導される塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、マンガン塩、アルミニウム塩などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい無機塩は、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、およびマグネシウム塩である。有機塩基から誘導される塩としては、以下の塩が挙げられるが、これらに限定されない:第一級アミン、第二級アミンおよび第三級アミン、置換アミン(天然に存在する置換アミンが挙げられる)、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂(例えば、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン(hydrabamine)、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂など)。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリンおよびカフェインがある。
【0101】
しばしば、結晶化により、本発明の化合物の溶媒和物が生成する。本明細書中で使用される場合、用語「溶媒和物」とは、1個またはそれ以上の溶媒分子と共に1個またはそれ以上の本発明の化合物分子を含む凝集体をいう。この溶媒は、水であり得、この場合、この溶媒和物は、水和物であり得る。あるいは、この溶媒は、有機溶媒であり得る。それゆえ、本発明の化合物は、水和物(一水和物、二水和物、半水和物、セスキ水和物、三水和物、四水和物などが挙げられる)、および対応する溶媒和形態として存在し得る。本発明の化合物は、真の溶媒和物であり得るのに対して、他の場合には、本発明の化合物は、外来性の水だけを保持しても、水+ある程度の外来性の水の混合物であってもよい。
【0102】
「薬学的組成物」とは、本発明の化合物と、生物学的に活性な化合物を哺乳動物(例えば、ヒト)に送達するために当該分野で一般的に許容される媒体との処方をいう。このような媒体としては、そのための全ての薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤または賦形剤が挙げられる。
【0103】
「治療有効量」とは、哺乳動物(好ましくは、ヒト)に投与されるとき、哺乳動物(好ましくは、ヒト)におけるSCD媒介性の疾患または状態の処置(これは、以下で定義する)を行うのに十分である、本発明の化合物の量をいう。「治療有効量」を構成する本発明の化合物の量は、この化合物、状態およびその重症度、ならびに処置される哺乳動物の年齢に依存して変わるが、当業者自身の知見および本開示に基づいて、当業者によって慣用的に決定され得る。
【0104】
本明細書中で使用される場合、「処置する」または「処置」とは、目的の疾患または障害を有する哺乳動物(好ましくは、ヒト)における目的の疾患または状態の処置を網羅し、これとしては、以下が挙げられる:
(i)特に、哺乳動物が上記状態を罹患し易いが、未だ罹ったとは診断されていないとき、このような哺乳動物において、疾患または状態が起こるのを予防すること;
(ii)疾患または状態を阻止すること(すなわち、その発症を抑えること);あるいは
(iii)疾患または状態を軽減すること(すなわち、疾患または状態の退行を引き起こすこと)。
【0105】
本明細書中で使用される場合、用語「疾患」および「状態」は、交換可能に使用され得るか、あるいは特定の疾病または状態が既知の原因となる物質を有さない可能性かあり(その結果、病因は、未だに分かっていないこと)、従って、未だに疾患とは認識されていないが、望ましくない状態または症候群してのみ認識されている(ここで、多少の特定セットの症候群が、臨床医により確認されている)という点で異なる。
【0106】
本発明の化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩は、1個またはそれ以上の不斉中心を含み得、それゆえ、鏡像異性体、ジアステレオマー、および他の立体異性形態(これは、アミノ酸について、絶対的な原子の空間的配置の点で、(R)または(S)としてか、あるいは(D)または(L)として定義され得る)を生じ得る。本発明は、全てのこのような可能な異性体、ならびにラセミ形態および光学的に純粋な形態を含むことを意味する。光学的に活性な(+)異性体および(−)異性体、(R)異性体および(S)異性体、または(D)異性体および(L)異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を使用して調製され得るか、あるいは、従来の技術(例えば、キラルカラムを使用するHPLC)を使用して調製され得る。本明細書中に記載される化合物がオレフィン性二重結合または他の幾何学的に非対称の中心を含むとき、特に明記されない限り、これらの化合物は、E幾何異性体およびZ幾何異性体の両方を含むことが意図される。同様に、全ての互変異性形態もまた、含まれることが意図される。
【0107】
「立体異性体」とは、同じ結合により結合された同じ原子から構成されるが、異なる三次元構造(これらは、交換不可能である)を有すること化合物をいう。本発明は、種々の立体異性体およびそれらの混合物を企図し、これらとしては、「鏡像異性体」が挙げられ、これは、分子が互いに重ね合わせ不可能な鏡像である2つの立体異性体をいう。
【0108】
「互変異性体」とは、分子のある原子から同じ分子の別の原子へのプロトンのシフトをいう。本発明は、任意の化合物の互変異性体を包含する。
【0109】
本明細書中で使用される化学命名プロトコルおよび構造ダイアグラムは、Chemdraw version 7.0.1(Cambridgesoft Corp.,Cambridge,MAから市販されている)により利用される化学命名機能を使用し、それに依存している。本明細書中で使用される複雑な化学名称については、置換基は、それが結合する基の前に、命名される。例えば、シクロプロピルエチルは、シクロプロピル置換基を備えたエチル骨格を含む。化学構造ダイアグラムにおいて、全ての結合は、原子価を完成するのに十分な水素原子が結合していると仮定されるいくつかの炭素原子を除いて、同定されている。
【0110】
例えば、xとyとの両方が、1であり;Gが、−C(H)=C(H)−であり;JとKとの両方が、Nであり;LとMとの両方が、−N=であり;Wが、−N(H)C(O)−であり;Rが、2−シクロプロピルエチルであり、そしてRが、5−トリフルオロメチルピリジン−2−イルである、式(I)の化合物、すなわち、以下の式の化合物:
【0111】
【化7】

は、本明細書中で、6−[4−(3−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミドと命名される。
【0112】
本発明の化合物の特定のラジカル基は、本明細書中で本発明の化合物の2つの部分の間の連結として示される。例えば、以下の式(I):
【0113】
【化8】

において、Wは、例えば、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、または−N(R)C(O)N(R)−であるように記載される。この記載は、R基に結合するW基が、R−N(R)C(O)−、R−C(O)N(R)−、またはR−N(R)C(O)N(R)−のとおりであることを記載することを意図される。換言すれば、W連結基の記載は、上に記載されるような式(I)の観点で、左から右へと読まれることを意図される。
【0114】
(発明の実施形態)
発明の要旨において上で開示された式(I)の化合物のうち、1つの実施形態は、JとKとの両方がNである化合物、すなわち、以下の式(Ia):
【0115】
【化9】

を有する化合物である。
【0116】
この実施形態のうち、1つの実施形態は:
xおよびyが、各々1であり;
Gが、−C(R)=C(R)−であり;
LとMとの両方が、−N=であり;
Wが、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、−OC(O)N(R)−、−N(R)C(O)N(R)−、−N(R)S(O)−(ここでpは1もしくは2である)、−S(O)N(R)−(ここでpは1もしくは2である)、−OS(O)N(R)−、−C(O)O−または−N(R)C(O)O−であり;
各Rが、独立して、水素、C〜C12アルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12シクロアルキルアルキルおよびC〜C19アラルキルからなる群より選択され;
が、C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12ヒドロキシアルケニル、C〜C12アルコキシアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12シクロアルキルアルキル、アリール、C13〜C19アラルキル、C〜C12ヘテロシクリル、C〜C12ヘテロシクリルアルキル、C〜C12ヘテロアリール、およびC〜C12ヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;
が、アリール、C〜C12ヘテロシクリルおよびC〜C12ヘテロアリールからなる群より選択され;そして
各Rが、独立して、水素、フルオロ、クロロ、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、ハロアルキル、シアノ、ニトロまたは−N(Rから選択され;
、R5a、R、R6a、R、R7a、RおよびR8aが、各々独立して、水素またはC〜Cアルキルから選択され;
ただし、Rが、C〜C10ピリダジニルアルキルでも、ピリジノニルでも、ピロリジノニルでも、メチルイミダゾリルでも、アミノで置換されたフェニルでもない、
式(Ia)の化合物である。
【0117】
この実施形態のうち、1つの実施形態は、Rがアリールである化合物である。
【0118】
この実施形態の具体的な実施形態としては、以下:
6−[4−(4−フルオロフェニル)−ピペラジン−1−イル]−ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミド;および
6−[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)−ピペラジン−1−イル]ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミド、
からなる群より選択され化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
この実施形態のうち、別の実施形態は、RがC〜C12ヘテロアリールである化合物である。
【0120】
この実施形態の具体的な実施形態としては、以下:
6−(4−ベンゾオキサゾール−2−イル−ピペラジン−1−イル)ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミド;
6−(4−ベンゾチアゾール−2−イル−ピペラジン−1−イル)−ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミド;
6−(4−キナゾリン−4−イル−ピペラジン−1−イル)−ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピル−エチル)アミド;
6−[4−(3−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミド;
6−(4−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イル−ピペラジン−1−イル)ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミド;
6−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピル−エチル)アミド;および
6−[4−(3−オキソ−3H−イソインドール−1−イル)ピペラジン−1−イル]ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミド、
からなる群より選択され化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
本発明の別の実施形態において、式(I)の化合物は、Chemical Abstract Service of the American Chemical Society(Washington,D.C.)により規定されるChemical Abstract Registry Nos.(「RN」)によって指定されるような、以下の「除外される」化合物を包含しない:
RN 331242−58−1;
RN 202135−24−8;
RN 202135−25−9;
RN 202135−26−0;
RN 202135−27−1;
RN 202135−28−2;
RN 202135−36−2;
RN 100241−46−1;
RN 100241−62−1;
RN 100224−53−1;
RN 100224−54−2;
RN 100224−67−7;
RN 100241−07−4;
RN 100241−08−5;
RN 100241−46−1;
RN 100241−52−9;
RN 100241−53−0;
RN 100241−54−1;
RN 100241−55−2;
RN 83773−90−4;および
RN 75842−08−9。
【0122】
本発明のなお別の実施形態において、式(I)の化合物の群は、xおよびyが、各々1であり;JおよびKが、各々独立して、Nであり;Gが、−C(R)=C(R)−であり;LとMとの両方が、−N=であり;Wが、直接結合であり;Rが、C〜Cアルキルであり;Rが、置換されたフェニルであり、ただし、Rは、フルオロおよび置換オキサゾリジン以外の置換基で置換される、化合物に関する。
【0123】
本発明のなお別の実施形態において、式(I)の化合物の群は、xが、1、2または3であり、そしてyが、1であり;Jが、NまたはC(R10)であり、そしてKが、Nであり;Gが、−C(R)=C(R)−であり;LおよびMが、各々独立して、−N=または−C(R)=であり、ただし、LとMとの両方が、−C(R)=ではあり得ず;Wが、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、または−C(O)−であり;Rが、C〜C12アルキル、アリール、C〜C12ヘテロアリール、C〜C12シクロアルキル、C〜C12ヘテロシクリル、2個〜4個の環を有する多環構造から選択され、この多環構造において、これらの環は、独立して、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、そしてこれらの環のうちのいくつかまたは全ては、互いに縮合し得;ただし、Rは、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、およびアリールC1〜6アルキル以外である、化合物に関する。
【0124】
本発明のなお別の実施形態において、式(I)の化合物の群は、Gが、−N(R)−または−C(R)=であり、Lが、−N(R)−であり、そしてMが、−N(R)−または−C(R)−である、化合物に関する。
【0125】
本発明の上記実施形態の具体的な実施形態は、本明細書中で、以下に記載される実施例中に開示されている。
【0126】
1つの実施形態において、本発明の方法は、本発明の化合物の有効量を投与することによる、ステアロイル−CoAデサチュラーゼ(SCD)(特に、ヒトSCD(hSCD))によって媒介される疾患(好ましくは、異脂肪血症に関連した疾患および脂質代謝の障害、特に、上昇した血漿脂質レベルに関連した疾患、心臓血管疾患、糖尿病、肥満症、代謝症候群など)の処置および/または予防に関する。
【0127】
本発明はまた、本発明の化合物を含有する薬学的組成物に関する。1つの実施形態において、本発明は、動物(好ましくは、哺乳動物、最も好ましくは、ヒト患者)に投与したとき、薬学的に受容可能なキャリア中に、トリグリセリドレベルを調節するか異脂肪血症に関連した疾患および脂質代謝の障害を処置するのに有効な量で、本発明の化合物を含有する組成物に関する。このような組成物の実施形態において、この患者は、本発明の上記化合物の投与前に、高い脂質レベル(例えば、高いトリグリセリドまたは高いコレステロール)を有し、そして本発明の化合物は、上記脂質レベルを低下させるのに有効な量で、存在している。
【0128】
(本発明の化合物の有用性および試験)
本発明は、ステアロイル−CoAデサチュラーゼ(SCD)(特に、ヒトSCD(hSCD))によって媒介される疾患(好ましくは、異脂肪血症に関連する疾患および脂肪代謝障害、および特に、高い血漿高脂質レベルに関連する疾患(特に、心臓血管疾患、糖尿病、肥満症、代謝症候群など)を、このような処置を必要とする患者に有効量のSCD調節剤(特に、阻害剤)を投与することによって、処置および/または予防するための化合物、薬学的組成物、ならびにこの化合物および薬学的組成物を使用する方法に関する。
【0129】
一般的に、本発明は、異脂肪血症に関連する疾患および/もしくは脂質代謝の障害について患者を処置するか、または異脂肪血症に関連する疾患および/もしくは脂質代謝の障害を発症することから患者を保護するための方法を提供し、ここで動物(特に、ヒト)における脂質レベルは、正常範囲を逸脱しており(すなわち、高い血漿脂質レベルのような異常な脂質レベル)、特に、正常より高いレベルであり、好ましくは、上記脂質が、脂肪酸(例えば、遊離脂肪酸または複合脂肪酸)、トリグリセリド、リン脂質、またはLDL−コレステロールレベルが上昇しているかもしくはHDL−コレステロールレベルが減少している場合のようなコレステロール、またはそれらの任意の組み合わせであり、上記脂質に関連する状態または疾患は、SCD媒介性の疾患または状態である。この方法は、哺乳動物(特に、ヒト患者)のような動物に、本発明の化合物または本発明の化合物を含有する薬学的組成物の治療有効量を投与する工程を包含し、本発明の化合物は、SCD(好ましくは、ヒトSCD1)の活性を調節する。
【0130】
本発明の化合物は、ヒトSCD酵素(特に、ヒトSCD1)の活性を調節する(好ましくは、阻害する)。
【0131】
SCDの活性の調節(特に、阻害)における本発明の化合物の一般的な価値は、下で実施例4において記載されるアッセイを用いて決定され得る。あるいは、障害および疾患の処置における上記化合物の一般的な価値は、肥満症、糖尿病または高いトリグリセリドレベルまたは高いコレステロールレベルの処置における化合物の有効性を示すためか、またはグルコース寛容を改善するための産業用標準動物モデルにおいて確立され得る。このようなモデルとしては、Zucker obese fa/faラット(Harlan Sprague Dawley,Inc(Indianapolis、Indiana)から入手可能)またはZucker diabetic fattyラット(ZDF/GmiCrl−fa/fa)(Charles River Laboratories(Montreal、Quebec)から入手可能)が挙げられる。
【0132】
本発明の化合物は、Δ−9デサチュラーゼインヒビターであり、そしてΔ−9デサチュラーゼの異常な生物学的活性の結果であるか、またはΔ−9デサチュラーゼの生物学的活性を調節することによって寛解し得る、ヒトの疾患および障害の全てを含む、ヒトおよび他の生物における疾患および障害を処置するのに有用である。
【0133】
本明細書中で定義される場合、SCD媒介性の疾患または状態としては、心臓血管疾患、異脂肪血症(トリグリセリド、高トリグリセリド血症、VLDL、HDL、LDL、脂肪酸の不飽和指数(fatty acid Desaturation index)(たとえば、本明細書において他のところで定義されるように、比率18:1/18:0の脂肪酸、または他の脂肪酸)、コレステロール、および総コレステロールの血清レベルの障害、高コレステロール血症、ならびにコレステロール障害(不完全なコレステロール逆輸送系によって特徴付けられる障害を含む))、家族性複合高脂質血症、冠動脈疾患、アテローム硬化症、心臓病、脳血管疾患(脳卒中、虚血性脳卒中および一過性脳虚血発作(TIA)が挙げられるが、これらに限定されない)、末梢血管疾患、および虚血性網膜症であるか、もしくはそれらに関連する疾患または状態が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、本発明の化合物は、患者のHDLレベルを増大させ、そして/またはトリグリセリドレベルを減少させ、そして/またはLDLコレステロールレベルもしくは非HDLコレステロールレベルを減少させる。
【0134】
SCD媒介性の疾患または状態としてはまた、代謝症候群(異脂肪血症、肥満症およびインスリン抵抗性、高血圧、低アルブミン血症、高尿酸血症、および凝固能亢進が挙げられるが、これらに限定されない)、シンドロームX、糖尿病、インスリン抵抗性、減少したグルコース寛容、インスリン非依存性糖尿病、II型糖尿病、I型糖尿病、糖尿病の合併症、体重障害(body weight disorder)(肥満症、体重超過、悪液質および拒食症が挙げられるが、これらに限定されない)、体重減少、ボディマス指数関連疾患およびレプチン関連疾患が挙げられる。好ましい実施形態において、本発明の化合物は、糖尿病および肥満症を処置するために使用される。
【0135】
本明細書で使用される場合、用語「代謝症候群」は、II型糖尿病、グルコース寛容減損、インスリン抵抗性、高血圧、肥満症、増大した腹囲、高トリグリセリド血症、低HDL、高尿酸血症、凝固能亢進および/または低アルブミン血症の組み合わせを含む状態を記載するのに使用される、認められた臨床的用語である。
【0136】
SCD媒介性の疾患または状態としてはまた、脂肪肝、肝臓脂肪症、肝炎、非アルコール性肝炎、非アルコール性の脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性肝炎、急性脂肪肝、妊娠性脂肪肝、薬物誘発性肝炎、赤血球肝性プロトポルフィリン症、鉄過剰障害(iron overload disorders)、遺伝性ヘモクロマトーシス、肝線維症、肝硬変、肝臓癌およびそれに関連する状態が挙げられる。
【0137】
SCD媒介性の疾患または状態としてはまた、高リポタンパク血症、家族性組織球性網膜症、リポタンパクリパーゼ欠損症、アポリポタンパク欠損症(例えば、ApoCII欠損症またはApoE欠損症)などのような原発性高トリグリセリド血症、または別の障害または疾患に付随する高トリグリセリド血症、または原因が不明であるかもしくは特定されていない高トリグリセリド血症、あるいはこれらに関連する疾患もしくは状態が挙げられるが、これらに限定されない。
【0138】
SCD媒介性の疾患または状態はまた、多不飽和脂肪酸(PUFA)障害(polyunsaturated fatty acid(PUFA)disorder)の障害または皮膚疾患が挙げられ、それらとしては、湿疹、アクネ、乾癬、ケロイド状の瘢痕の形成または阻止、粘膜からの産生物または分泌物(例えば、一価不飽和脂肪酸、ワックスエステルなど)に関連する疾患などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
SCD媒介性の疾患または状態としてはまた、炎症、静脈胴炎(sinusitis)、喘息、膵炎、骨関節炎、関節リウマチ、嚢胞性線維症、および月経前症候群が挙げられる。
【0140】
SCD媒介性の疾患または状態としてはまた、癌、腫瘍形成、悪性腫瘍、転移、腫瘍(良性または悪性)、発癌、肝癌など、または関連する疾患もしくは状態をも含むが、それらに限定されない。
【0141】
SCD媒介性の疾患または状態としてはまた、筋肉増強を通して成果を高めることにおいて望ましいような、除脂肪体重または除脂肪筋肉量(lean muscle mass)を増加させることが望まれる状態が挙げられる。カルニチンパルミトイル転移酵素欠損症(CPT IまたはCPT II)のようなミオパシーおよび脂質性ミオパシー(lipid myopathies)もまたこの中に含まれる。このような処置は、ウシ、ブタまたは鳥の飼育されている動物または他の任意の動物へ投与し、トリグリセリド産生を減少させ、そして/または脂肪のない肉製品および/もしくはより健康的な動物を提供することを含めて、ヒトおよび飼畜において有用である。
【0142】
SCD媒介性の疾患または状態としてはまた、神経系疾患、精神障害、多発性硬化症、眼疾患、および免疫障害、またはそれらに関連する疾患もしくは状態が挙げられる。
【0143】
SCD媒介性の疾患または状態としてはまた、ウイルス疾患もしくはウイルス感染、またはそれらに関連する疾患もしくは状態が挙げられ、それらのウイルスとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:全てのプラス鎖RNAウイルス、コロナウイルス、SARSウイルス、SARS関連コロナウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、コクサッキーウイルス、黄熱病ウイルス、フラビウイルス、アルファウイルス(トガウイルス)科(風疹ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス、チクングニアウイルス、オニョンニョンウイルス、ロス川ウイルス、マヤロウイルス、アルファウイルスが挙げられる);アストロウイルス科(アストロウイルス、ヒトアストロウイルスが挙げられる);カリシウイルス科(ブタ口内発疹ウイルス、ノーウォークウイルス、カリシウイルス、ウシカリシウイルス、ブタカリシウイルス、E型肝炎が挙げられる);コロナウイルス科(コロナウイルス、SARSウイルス、ニワトリ伝染性気管支炎ウイルス、ウシコロナウイルス、イヌコロナウイルス、ネコ伝染性腹膜炎ウイルス、ヒトコロナウイルス299E、ヒトコロナウイルスOC43、マウス肝炎ウイルス、ブタ伝染性下痢ウイルス、ブタ血球凝集性脳脊髄炎ウイルス、ブタ伝播性胃腸炎ウイルス、ラットコロナウイルス、七面鳥コロナウイルス、ウサギコロナウイルス、ベルンウイルス、ブレダウイルス(Breda virus)が挙げられる);フラビウイルス科(C型肝炎ウイルス、西ナイルウイルス、黄熱病ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、デング熱群(Dengue Group)、G型肝炎ウイルス、日本脳炎B型ウイルス、マリーバレー脳炎ウイルス、中央ヨーロッパ亜型ダニ媒介脳炎ウイルス、東洋亜型ダニ媒介脳炎ウイルス、キャサヌールフォレストウイルス、跳躍病ウイルス、ポーワッサンウイルス、オムスク出血性熱ウイルス、クミリンゲウイルス(Kumilinge virus)、アブセタロブアンザロバハイパーウイルス(Absetarov anzalova hypr virus)、イルヘウスウイルス、ロシオ脳炎ウイルス(Rocio encephalitis virus)、ランガットウイルス(Langat virus)、ペスチウイルス、ウシウイルス性下痢、ブタコレラウイルス、リオブラボー群(Rio Bravo Group)、チュレニー群(Tyuleniy Group)、ヌタヤ群(Ntaya Group)、ウガンダS群、モードック群が挙げられる);ピコルナウイルス科(コクサッキーAウイルス、ライノウイルス、A型肝炎ウイルス、脳心筋炎ウイルス、メンゴウイルス、MEウイルス、ヒトポリオウイルス1、コクサッキーBが挙げられる);ポティウイルス(Potyvirus)、ライモウイルス、バイモウイルス(Bymovirus)を含むポティウイルス科(POTYVIRIDAE)。さらに、SCD媒介性の疾患または状態は、肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルスなどによって引き起こされるか、それらに関連する疾患もしくは感染症であり得る。処置可能なウイルス感染症としては、ウイルスによって、複製サイクルの一部分としてRNA中間体が使用されるものが挙げられる(肝炎またはHIV);さらに、それは、RNAマイナス鎖ウイルス(例えば、インフルエンザおよびパラインフルエンザウイルス)によって引き起こされるか、またはそれらに関連する疾患もしくは感染症であり得る。
【0144】
本明細書で特定化される化合物は、ステアロイル−CoAデサチュラーゼ1(SCD1)のようなΔ−9デサチュラーゼによって達成される種々の脂肪酸の不飽和化(例えば、ステアロイル−CoAのC9−C10不飽和化)を阻害する。このような化合物は、それ自体、種々の脂肪酸およびその下流の代謝産物の形成を阻害する。これによってステアロイル−CoAまたはパルミトイル−CoAおよび種々の脂肪酸の他の上流の前駆物質が蓄積する;これは、おそらく脂肪酸代謝おける全体的な変化を引き起こす負のフィードバックループを生じ得る。このような結果のいずれもが、最終的に、これらの化合物によってもたらされる治療的利益全体を担い得る。
【0145】
代表的に、首尾良いSCD阻害性治療剤は、以下の判定基準の一部または全部を満たし得る。経口での利用能は、20%かまたはそれ以上である。動物モデルでの有効性は、約2mg/Kg、1mg/Kg、または0.5mg/Kg未満であり、そして、標的がヒトの用量は、50mg/70Kgと250mg/70Kgの間であるが、この範囲の外にある用量も許容され得る(「mg/Kg」は、投与されている被験体の体重、1キログラムあたりの化合物のミリグラムを意味する)。治療指数(すなわち、治療用量に対する毒性用量の比)は、100より大きいべきである。効力(IC50値で表される)は、10μM未満、好ましくは1μM未満、最も好ましくは50nM未満であるべきである。このIC50(「50%阻害濃度」)は、SCDの生物学的活性のアッセイにおいて一定の期間にわたってSCDの活性を50%阻害を達成するのに必要とされる化合物の量の程度である。SCD酵素(好ましくは、マウスSCD酵素またはヒトSCD酵素)の活性を測定するための任意のプロセスは、本発明の方法において、上記のSCD活性を阻害するのに有用な化合物の活性をアッセイするために利用され得る。本発明の化合物は、15分間のミクロソームアッセイ(microsomal assay)において、好ましくは、10μM未満、5μM未満、2.5μM未満、1μM未満、750nM未満、500nM未満、250nM未満、100nM未満、50nM未満、そして最も好ましくは、20nM未満のIC50を示す。本発明の化合物は、可逆的阻害(すなわち、競合的阻害)を示し得、そして好ましくは他の鉄結合タンパク質を阻害しない。必要な投薬は、好ましくは、多くても一日に約一回もしくは二回、または食事時であるべきである。
【0146】
SCDインヒビターとしての本発明の化合物を同定は、SCD酵素、およびBrownlieら(前出)に記載されるミクロソームアッセイ手順を用いて、容易に行われた。このアッセイにおいて試験される場合、本発明の化合物は、試験化合物の10μMの濃度にて50%未満の残存SCD活性、好ましくは、試験化合物の10μMの濃度にて40%未満の残存SCD活性、より好ましくは、試験化合物の10μMの濃度にて30%未満の残存SCD活性、そしてさらに好ましくは、試験化合物の10μMの濃度にて20%未満の残存SCD活性を有し、それによって本発明の化合物がSCD活性の強力なインヒビターであることを示した。
【0147】
これらの結果は、試験化合物とSCDとの間の構造活性相関(SAR)の分析についての基礎を提供する。特定のR基は、より強力な阻害性化合物を提供する傾向にある。SAR分析は、現在、当業者が、治療剤として使用するための本発明の化合物の好ましい実施形態を同定するために使用し得る一つの手段である。
【0148】
本明細書中に開示される化合物を試験する他の方法もまた、当業者にとって容易に利用可能である。従って、さらに、上記の接触(contacting)は、インビボで達成され得る。1つのこのような実施形態において、工程(a)中での上記の接触は、上記の化学的薬剤を、トリグリセリド(TG)関連障害または超低密度リポタンパク(VLDL)関連障害に冒される動物に投与し、次いで上記動物の血漿トリグリセリドレベルの変化を検出し、それによって、トリグリセリド(TG)関連障害または超低密度リポタンパク(VLDL)関連障害を処置するのに有用な治療剤を同定することによって達成される。このような実施形態において、動物は、ヒト(例えば、このような障害を罹患し、その障害の処置を必要とするヒト患者)であり得る。
【0149】
このようなインビボのプロセスの特定の実施形態において、上記動物におけるSCD1活性の上記変化は、活性の低下であり、好ましくは、上記のSCD1調節剤は、Δ−5デサチュラーゼ、Δ−6デサチュラーゼまたは脂肪酸シンテターゼの生物学的活性を実質的に阻害しない。
【0150】
化合物評価に有用なモデル系としては、例えば、高炭水化物食で継続的に管理されているマウスからか、または肥満症を罹患しているヒトを含むヒトドナーからの肝臓ミクロソームの使用が挙げられ得るが、これらに限定されない。HepG2(ヒト肝臓由来)、MCF−7(ヒト乳癌由来)および3T3−L1(マウス脂肪細胞由来)のような不死化細胞株もまた、使用され得る。マウス初代肝細胞のような初代細胞株もまた、本発明の化合物を試験するのに有用である。そのままの動物(whole animals)が使用される場合、初代肝細胞の供給源として使用されるマウスがまた、使用され、ここでそのマウスは、ミクロソーム中のSCD活性を増加させるためおよび/または血漿トリグリセリドレベル(すなわち、18:1/18:0比率)を上昇させるために、高炭水化物食で継続して管理される;あるいは、普通食のマウスまたは正常のトリグリセリドレベルを有するマウスが、使用され得る。マウスフェノムデータベース(mouse phenome database)にあるような、高トリグリセリド血症について設計されたトランスジェニックマウスを用いるマウスモデルもまた、利用可能である。ウサギおよびハムスターもまた、動物モデルとして有用であり、特に、CETP(コレステリルエステル輸送タンパク質)を発現するものが有用である。
【0151】
本発明の化合物のインビボ有効性を決定するための別の適切な方法は、化合物投与後の被験体の不飽和指数を測定することによって、SCD酵素の阻害に対する化合物の影響を間接的に測定することである。本明細書で使用される場合、「不飽和指数」は、所与の組織サンプルから測定される、SCD酵素についての基質に対する生成物の比を意味する。これは、3つの異なった式、18:1n−9/18:0(ステアリン酸に対するオレイン酸);16:1n−7/16:0(パルミチン酸に対するパルミトレイン酸);および/または16:1n−7+18:1n−7/16:0(16:0基質に対する16:0不飽和化のすべての反応生成物を測定する)、を用いて算出され得る。不飽和指数は、肝臓のトリグリセリドまたは血漿トリグリセリドにおいて最初に測定されるが、また、種々の組織から選択される別の脂質分画において測定され得る。不飽和指数は、一般的にいえば、血漿脂質の概要決定(plasma lipid profiling)のための手段である。
【0152】
多くのヒトの疾患および障害は、異常なSCD1の生物学的活性の結果であり、そして本発明の治療剤を用いてSCD1の生物学的活性を調節することによって寛解し得る。
【0153】
SCD発現の阻害はまた、膜リン脂質の脂肪酸組成、トリグリセリドおよびコレステロールエステルの生成またはレベルに影響を与え得る。リン脂質の脂肪酸組成は、究極的には膜流動性を決定し、一方で、トリグリセリドおよびコレステロールエステルの組成に対する作用は、リポタンパク質代謝および脂肪過多に影響を与え得る。
【0154】
本発明の手順の実施において、特定の緩衝液、媒体、試薬、細胞、培養条件などへの言及は、限定する意図ではなく、当業者が、考察が提供される特定の状況において有益であり価値があるものとして認識するであろう関連のある物のすべてを包含するように判断されるべきであることが当然に理解されるべきである。例えば、1つの緩衝液系または培地を他のものの代わりに用い、同一でないとしてもなお同様な結果を得ることは、しばしば可能である。当業者は、本明細書中に開示される方法および手順を使用する際に、過度の実験をすることなく最適に目的にかなうような置換をすることを可能にするような、このような系および方法論の十分な知識を有するであろう。
【0155】
(本発明の薬学的組成物および投与)
本発明はまた、本明細書中に開示される本発明の化合物を含む薬学的組成物に関する。1つの実施形態において、本発明は、本発明の化合物を、薬学的に受容可能なキャリア中に、動物(好ましくは、哺乳動物、最も好ましくは、ヒト患者)に投与される場合にトリグリセリドレベルを調節するか、または異脂肪血症に関連する疾患および脂質代謝の障害を処置するのに有効な量で含有する組成物に関する。このような組成物の1つの実施形態において、患者は、本発明の上記化合物を投与する前に、高いトリグリセリドまたは高いコレステロールのような高い脂質レベルを有し、そして本発明の化合物は、上記脂質レベルを減少させるのに有効な量で存在する。
【0156】
本明細書中の有用な薬学的組成物はまた、それ自体、この組成物を受容する個体に有害な抗体の生成を誘導しない任意の薬学的因子を含み、かつ過度の毒性を伴わずに投与され得る薬学的に受容可能なキャリア(任意の適切な希釈剤または賦形剤が挙げられる)を含む。薬学的に受容可能なキャリアとしては、水、生理食塩水、グリセロールおよびエタノールなどのような液体が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤、および他の賦形剤の完全な考察は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(Mack Pub.Co.,N.J.current edition)に提示される。
【0157】
当業者は、本明細書で意図されている疾患および障害を処置するのに使用するための化合物の適切な用量を決定する方法を理解している。治療用量は、一般に、動物研究から得られる予備的な証拠に基づいて、ヒトにおける用量範囲探索試験によって特定化される。用量は、患者に対し好ましくない副作用を引き起こすことなく所望の治療的利益をもたらすのに十分でなければならない。動物に対する好ましい投与量範囲は、0.5mg/Kg、1.0mg/Kgおよび2.0mg/Kgを含む0.001mg/Kg〜10,000mg/Kgであるが、この範囲外の投与量が、受容可能であり得る。投薬計画は、一日あたり一回または二回であり得るが、これより多くても少なくても十分であり得る。
【0158】
当業者はまた、それを必要とする被験体への投与方法(経口、静脈内、吸入、皮下など)、投与形態、適切な薬学的賦形剤および上記化合物の送達に関連する他の物質を決定することに精通している。
【0159】
本発明の代替的な使用において、本発明の化合物は、本明細書中に開示される種々の疾患の処置またはそれらの疾患からの保護にまた有用である他の化合物を見出すための比較目的のために、例示的な薬剤として、インビトロ研究またはインビボ研究において使用され得る。
【0160】
(本発明の化合物の調製)
以下の記載において、示される式の置換基および/または変数の組み合わせは、このような寄与が安定な化合物を生じる場合に限り、許容できることが理解される。
【0161】
当業者は、下記のプロセスにおいて、中間体化合物の官能基が適当な保護基で保護される必要があり得ることを理解する。このような官能基としては、ヒドロキシ、アミノ、メルカプトおよびカルボン酸が挙げられる。ヒドロキシに適当な保護基としては、トリアルキルシリルまたはジアリールアルキルシリル(例えば、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリルまたはトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、ベンジルなどが挙げられる。アミノ、アミジノおよびグアニジノに適当な保護基としては、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどが挙げられる。メルカプトに適当な保護基としては、−C(O)−R’’(ここで、R’’は、アルキル、アリールまたはアリールアルキルである)、p−メトキシベンジル、トリチルなどが挙げられる。カルボン酸に適当な保護基としては、アルキル、アリールまたはアリールアルキルエステルが挙げられる。
【0162】
保護基は、標準的な技術(これらは、当業者に周知であり、本明細書中に記載される)に従って、付加または除去され得る。
【0163】
保護基の使用は、Green、T.W.and P.G.M.Wutz,Protective Groups in Organic Synthesis(1999),第3版,Wileyで詳細に記載されている。この保護基はまた、ポリマー樹脂(例えば、Wang樹脂または2−クロロトリチル−クロライド樹脂)であり得る。
【0164】
当業者はまた、本発明の化合物のこのような保護誘導体が、それだけでは薬理学的活性を有さない可能性があるものの、哺乳動物に投与され得、その後、体内で代謝されて、薬理学的に活性である本発明の化合物を形成し得ることを理解する。従って、このような誘導体は、「プロドラッグ」として記載され得る。本発明の化合物の全てのプロドラッグは、本発明の範囲内に含まれる。
【0165】
以下の反応スキームは、本発明の化合物を作製する方法を示す。当業者は当業者に公知の方法または類似の方法によってこれらの化合物を作製し得ることが、理解される。一般に、出発成分は、Sigma Aldrich、Lancaster Synthesis,Inc.、Maybridge、Matrix Scientific、TCI、およびFluorochem USAなどのような業者から得られるか、または当業者に公知の原料(例えば、Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,第5版(Wiley,2000年12月)を参照のこと)に従って合成され得るか、あるいは本発明において記載されるように調製され得る。R、R、R、R、R、R5a、R、R6a、R、R7a、RおよびR8aは、他に具体的に定義されない限り、以下の反応スキームにおいて、本明細書中においてと同様に定義される。PGは、BOC、ベンジル基のような保護基を表す。
【0166】
本発明の化合物はまた、以下の刊行物中に記載されるものと類似の方法によって、当業者により調製され得る:
PCT国際公開WO 03/076400;
PCT国際公開WO 03/066604;
PCT国際公開WO 01/019822;
PCT国際公開WO 99/021834;
PCT国際公開WO 99/020606;
PCT国際公開WO 98/001446;
PCT国際公開WO 94/012495;
欧州特許出願公開第0 300 526号;
欧州特許出願公開第0 156 433号;
欧州特許出願公開第0 055 583号;
欧州特許出願公開第0 009 655号;
米国特許第5,719,154号;および
米国特許第5,494,908号。
【0167】
一般に、本発明の式(I)の化合物は、反応スキーム1において以下に記載されるような一般手順に従って、合成され得る。反応スキーム1において、LとMとの両方が、−N=であり;Gが、−C(R)=C(R)−であり、そしてWが、−N(R)C(O)−である。L、M、GおよびWが、上記発明の要旨において記載されるように他に定義される、他の式(I)の化合物は、類似の様式で調製され得ることが理解される。
【0168】
【化10】

上記反応スキームのための出発物質は、市販されているか、または当業者に公知の方法に従ってか、もしくは本明細書中に開示される方法によって、調製され得る。一般に、本発明の化合物は、上記反応スキームにおいて、以下のように調製される:
メチルピリダジン化合物101は、酸化剤(例えば二クロム酸カリウムであるがこれに限定されない)を使用して、酸(例えば濃硫酸であるがこれに限定されない)中で酸化されて、カルボン酸102になり得る。アミド103は、カルボン酸102から、塩基(例えばジイソプロピルエチルアミン塩基(例えばジイソプロピルエチルアミン、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾールおよび1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドであるがこれらに限定されない)の存在下、溶媒(例えばジクロロメタンであるがこれに限定されない)中での適切なアミンとの反応により、形成され得る。あるいは、アミド103は、102の塩化アシル誘導体と適切なアミンとの反応により、調製され得る。この反応は、塩基(例えばジイソプロピルエチルアミンであるがこれに限定されない)の存在下、溶媒(例えばジクロロメタンであるがこれに限定されない)中で、実施され得る。クロロピリダジン化合物103とピペラジン104との、還流アセトニトリル中での反応は、化合物105を与える。最終生成物106は、ピペラジン化合物105を、ヘテロ芳香族ハロゲン化物と、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エンおよび触媒量のテトラ−n−ブチルアンモニウムヨージドの存在下、溶媒(例えばジオキサンであるがこれに限定されない)中で反応させることにより、達成され得る。あるいは、化合物106は、Buchwald/Hartwigアミノ化条件(例えば、Buchwald,S.L.ら、J.Org.Chem.2000,65,1158を参照のこと)下での、105と適切な無水物との反応により、調製され得る。
【0169】
あるいは、ピペラジン化合物107は、104から、104を、ヘテロ芳香族ハロゲン化物またはヘテロ芳香族アミンと、当業者に公知の条件下で反応させることによって、調製され得る。107とクロロピリダジン化合物103との、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エンおよび触媒量の−n−ブチルアンモニウムヨージドの存在下、溶媒(例えばN,N−ジメチルホルムアミドであるがこれに限定されない)中でのカップリングは、同様に、最終生成物106を与える。
【0170】
当業者は、上で開示される一般的な技術に従って、本発明の化合物を調製し得るが、本発明の化合物の合成技術に関するさらに具体的な詳細は、便宜上、本明細書中の他の箇所で提供される。この場合もやはり、合成において使用される全ての試薬および反応条件は、当業者に公知であり、通常の商業的供給源から入手可能である。
【0171】
(調製1)
(3−ピペラジン−1−イルベンゾ[D]イソチアゾールの合成)
無水ピペラジン(2.75g,32mmol)および3−クロロ−ベンゾ[d]イソチアゾール(1.00g,5.80mmol)の混合物を、125℃の湯浴中の密封チューブ内で、24時間加熱した。次いで、この橙色の融解物を氷水でクエンチし、そして50% NaOHを一度に添加した。この混合物を、ジクロロメタンで抽出して、粗生成物を得、これを、再結晶により精製して、表題化合物を淡黄色固体として24%の収率(0.260g)で得た。MS(ES+)m/z 220(M+1)。
【0172】
(調製2)
(6−クロロピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピル−エチル)アミドの合成)
A. 3−クロロ−6−メチルピリダジン(155.6mmol)の、140mLの濃硫酸中の機械攪拌溶液に、二クロム酸カリウムの微粉末(55.40g)をゆっくりと添加し、その温度を50℃未満に維持した。この添加が完了したら、攪拌を、50℃でさらに4時間続けた。次いで、このの粘性の暗緑色液体を冷却し、そして砕いた氷を注意深く添加した。この反応混合物を、酢酸エチル(6×400mL)で抽出した。この酢酸エチル抽出物を合わせ、無水NaSOで乾燥させた。その溶媒を減圧中で濃縮して、わずかに赤色の6−クロロピリダジン−3−カルボン酸(106.6mmol)を得た。この物質を、さらに精製せずに次の反応のために使用した。収率69%。m.p.145C(分解)。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ 13.1,8.20,8.05。
【0173】
B. 6−クロロピリダジン−3−カルボン酸(15.8mmol)の、ジクロロメタン(95mL)中の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(46.7mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(23.7mmol)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(23.7mmol)を、窒素雰囲気下で、周囲温度で添加した。得られた混合物を、15分間攪拌し、そして2−シクロプロピルエチルアミン(20.2mmol)を添加した。周囲温度で36時間攪拌した後に、この反応混合物を、ジクロロメタン(100mL)で希釈し、次いで、水で洗浄し、そして無水NaSOで乾燥させた。その溶媒を、減圧中で除去した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン中30%酢酸エチル)での精製により、表題化合物(8.70mmol)を得た。収率55%。
【0174】
(調製3)
(6−ピペラジン−1−イルピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミドの合成)
ピペラジン(1.48g,17.2mmol)および6−クロロピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミド(1.29g,5.73mmol)の、アセトニトリル(60mL)中の混合物を、16時間加熱還流した。この反応混合物を冷却した後に、このガム状の物質をジクロロメタン(50mL)で希釈し、水(2×20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させた。濾過後、その濾液を減圧中で濃縮した。この粗製物質を、ジクロロメタン(100%)で溶出するカラムクロマトグラフィー、次いで、メタノール:ジクロロメタン(1:9)で溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して、1.18g(75%)の生成物を固体として得た。
【0175】
本発明の化合物の合成は、限定されないが、以下の実施例によって説明される。
【実施例】
【0176】
(実施例1)
(6−[4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル]ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミドの合成)
6−クロロピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミド(0.120g,0.532mmol)の、DMF(2.3mL)中の溶液を、1−(4−フルオロフェニル)ピペラジン(0.117g,0.638mmol)で、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン(DBU)(0.23mL,1.54mmol)およびテトラ−n−ブチルアンモニウムヨージド(BuNI)(11mg,0.0298mmol)の存在下で処理した。この反応混合物を、75℃〜80℃で15時間加熱し、室温まで冷却し、酢酸エチル(100mL)で希釈した。その有機層を、水(3×10mL)、ブライン(3×10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、次いで、減圧中で濃縮した。この粗生成物を、カラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物を白色粉末として74%の収率(0.146g)で得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ 8.05−7.99(m,2H),7.02−6.89(m,5H),3.90(t,J=5.2Hz,4H),3.55(m,2H),3.23(t,J=5.2Hz,4H),1.55−1.47(m,2H),0.79−0.72(m,1H),0.49−0.43(m,2H),0.11−0.06(m,2H).MS(ES+)m/z 370.3(M+1)。
【0177】
(実施例1.1)
(6−(4−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルピペラジン−1−イル)ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミドの合成)
実施例1に記載されるような手順に従い、3−ピペラジン−1−イルベンゾ[d]イソチアゾールを、1−(4−フルオロフェニル)−ピペラジンの代わりに使用して、6−クロロピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミドと反応させるために必要とされるような変更のみを行って、表題化合物を、25%の収率(0.0307g)で、白色粉末として得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ 8.13(d,J=9.5Hz,1H),7.94(m,2H),7.80(d,J=8.0Hz,1H),7.50(t,J=7.3Hz,1H),7.38(t,J=7.8Hz,1H),7.16(d,J=8.0Hz,1H),4.05(m,4H),3.73(m,4H),3.51(m,2H),1.50(m,2H),0.73(m,1H),0.45(m,2H),0.06(m,2H)。MS(ES+)m/z 409(M+1)。
【0178】
(実施例1.2)
(6−[4−(3−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミドの合成)
実施例1に記載されるような手順に従い、1−(3−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)ピペラジンを、1−(4−フルオロフェニル)−ピペラジンの代わりに使用して、6−クロロピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミドと反応させるために必要とされるような変更のみを行って、表題化合物を、43%の収率(0.061g)で、白色粉末として得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ 8.44(m,1H),8.01(m,2H),7.89(m,1H),7.02(s,2H),3.88(m,4H),3.54(m,2H),3.41(m,4H),1.51(m,2H),0.78(m,1H),0.45(m,2H),0.07(m,2H)。MS(ES+)m/z 421(M+1)。
【0179】
(実施例1.3)
(6−(4−ピリジン−2−イルピペラジン−1−イル)ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミドの合成)
実施例1に記載されるような手順に従い、1−ピリジン−2−イルピペラジンを、1−(4−フルオロフェニル)ピペラジンの代わりに使用して、6−クロロピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミドと反応させるために必要とされる変更のみを行って、表題化合物を、30%の収率(0.036g)で、白色粉末として得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ 8.19(m,1H),8.01(m,1H),7.50(m,1H),7.00(d,J=9.9Hz,1H),6.67(m,2H),3.89(m,4H),3.75(m,4H),3.54(m,2H),1.50(m,2H),0.74(m,1H),0.45(m,2H),0.09(m,2H).13C NMR(75MHz,CDCl)δ 163.2,160.2,158.9,147.9,144.9,137.8,126.9,113.8,112.1,107.2,44.6,39.6,34.6,8.67,4.25。MS(ES+)m/z 353.6(M+1)。
【0180】
(実施例1.4)
(6−[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)−ピペラジン−1−イル]−ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミドの合成)
実施例1に記載されるような手順に従い、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジンを、1−(4−フルオロフェニル)−ピペラジンの代わりに使用して、6−クロロピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミドと反応させるために必要とされるような変更のみを行って、表題化合物を、57%の収率(0.210g)で、白色粉末として得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ 8.09(d,J=9.5Hz,1H),7.98(t,J=5.4Hz,1H),7.38(t,J=7.5Hz,1H),7.12(m,3H),7.04(d,J=9.5Hz,1H),3.96(m,4H),3.55(m,J=6.72および13.2Hz,2H),3.40(m,4H),1.51(dd,J=6.7および13.8Hz,2H),0.74(m,1H),0.45(m,2H),0.08(m,2H).13C NMR(75MHz,CDCl)δ 162.9,150.8,145.2,129.8,127.2,119.19,116.75,112.6,48.5,44.7,39.7,34.5,8.7,4.2。
【0181】
(実施例2)
(6−(4−ベンゾオキサゾール−2−イル−ピペラジン−1−イル)ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミドの合成)
ジオキサン(7mL)中の6−ピペラジン−1−イル−ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミド(0.080g,0.290mmol)に、2−クロロベンゾオキサゾール(0.053g,0.34mmol)を添加し、次いで、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン(0.132mL,0.87mmol)およびテトラ−n−ブチルアンモニウムヨージド(3mg)を添加した。この反応混合物を、室温で3時間攪拌した。その溶媒を、減圧中で除去した。その残渣を酢酸エチルに溶解し、次いで、クエン酸、重炭酸ナトリウムおよびブライン溶液で洗浄した。その有機層を分離し、そして無水NaSOで乾燥させ、そしてエバポレートした。その残渣を、n−ヘキサンからの再結晶により精製して、表題化合物を、白色粉末として44%の収率(0.050g)で得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ 8.07(d,J=9.5Hz,1H),7.99(t,J=5.3Hz,1H),7.39(d,J=7.4Hz,1H),7.28(d,J=7.8Hz,1H),7.19(m,1H),7.05(m,2H),3.92(m,8H),3.55(m,2H),1.48(m,2H),0.79(m,1H),0.46(m,2H),0.07(m,2H)。MS(ES+)m/z 393(M+1)。
【0182】
(実施例2.1)
(6−(4−ベンゾチアゾール−2−イルピペラジン−1−イル)ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミドの合成)
実施例2に記載されるような手順に従い、2−クロロベンゾチアゾールを、2−クロロベンゾオキサゾールの代わりに使用して、6−ピペラジン−1−イル−ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミドと反応させるために必要とされるような変更のみを行って、表題化合物を、27%の収率(0.040g)で、白色粉末として得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ 8.07(d,J=9.5Hz,1H),7.99(t,J=5.4Hz,1H),7.59(m,2H),7.32(t,J=6.5Hz,1H),7.12(t,J=8.2Hz,1H),7.03(d,J=9.4Hz,1H),3.94(m,4H),3.81(m,4H),3.53(m,2H),1.50(m 2H),0.75(m,1H),0.45(m,2H),0.06(m,2H)。MS(ES+)m/z 409.2(M+1)。
【0183】
(実施例2.2)
(6−(4−キナゾリン−4−イルピペラジン−1−イル)ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミドの合成)
実施例2に記載されるような手順に従い、4−クロロキナゾリンを、2−クロロベンゾオキサゾールの代わりに使用して、6−ピペラジン−1−イル−ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミドと反応させるために必要とされるような変更のみを行って、表題化合物を、27%の収率(40mg)で、白色粉末として得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ 8.76(s,1H),8.06(d,J=9.4Hz,1H),7.95(m,3H),7.77(t,J=7.3Hz,1H),7.50(t,J=7.3Hz,1H),7.01(d,J=9.5Hz,1H),3.98(m,8H),3.55(m,2H),1.5(m,2H),0.74(m,1H),0.43(m,2H),0.08(m,2H)。MS(ES+)m/z 403.67(M+1)。
【0184】
(実施例3)
(6−[4−(3−オキソ−3H−イソインドール−1−イル)ピペラジン−1−イル]ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミドの合成)
3−アミノイソインドール−1−オン(0.292g,2.00mmol)および6−ピペラジン−1−イルピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミド(0.825g,3.00mmol)を、エタノール(20mL)中で一緒に48時間煮沸した。この溶液を、減圧中で濃縮した。その残渣を、カラムクロマトグラフィーにより精製した。表題化合物を、白色固体として40%の収率(0.328g)で得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ 8.07(d,J=9.5Hz,1H),7.97(t,J=5.8Hz,1H),7.76(d,J=7.0Hz,1H),7.64(d,J=7.3Hz,1H),7.52(m,1H),7.01(d,J=9.5Hz,1H),4.42−4.35(m,4H),4.23−4.20(m,2H),3.93−3.89(m,2H),3.54(dd,J=6.7および13.2Hz,1H),1.49(m,1H),0.79−0.66(m,1H),0.47−0.41(m,2H),0.10−0.05(m,2H).13C NMR(75MHz,CDCl)δ 181,5,174,6,162,9,159,6,145,6,138,1,134,9,132,5,131,7,127,3,124.0 123.3,112.2,47.2,46.4 44.5,43.2,39.7,34.5,8.7,4.2。MS(ES+)m/z 405.1(M+1)。
【0185】
(実施例4)
(マウス肝臓ミクロソームを使用した、試験化合物のステアロイル−COAデサチュラーゼ阻害活性の測定)
SCDインヒビターとしての本発明の化合物の同定を、SCD酵素およびBrownlieらの公開されたPCT特許出願(WO01/62954)に記載されるミクロソームアッセイ手順を使用して容易に達成した。
【0186】
(マウス肝臓ミクロソームの調製)
オスICRマウス(高炭水化物の低脂肪食)を、軽いハロタン麻酔(鉱油中の15%)下で、高い酵素活性の期間の間に瀉血によって屠殺する。肝臓を、0.9%の冷NaCl溶液を用いて直ちにリンスし、秤量し、そして鋏によって細かく刻む。特に明記されない限り、全ての手順を、4℃にて行った。肝臓を、Potter−Elvehjem組織ホモジナイザーの4ストロークを使用して、0.25Mのスクロース、62mMのリン酸カルシウム緩衝液(pH7.0)、0.15MのKCl、1.5mMのN−アセチルシステイン(acetyleysteine)、5mMのMgCl、および0.1mMのEDTAを含む溶液(1:3 w/v)中でホモジナイズする。このホモジネートを、10,400×gにて20分間遠心分離して、ミトコンドリアおよび細胞の破片を除去する。上清を、3層の寒冷紗を通して濾過し、そして105,000×gにて60分間遠心分離する。ミクロソームのペレットを、小さなガラス/テフロン(登録商標)ホモジナイザーを用いて同じホモジナイズ溶液中に穏やかに懸濁し、そして−70℃にて保存する。ミトコンドリアの混入の非存在を、酵素的に評価する。タンパク質濃度を、標準としてウシ血清アルブミンを使用して測定する。
【0187】
(試験化合物とマウス肝臓ミクロソームとのインキュベーション)
反応を、1.5mlのホモジナイズ溶液(42mMのNaF、0.33mMのナイアシンアミド、1.6mMのATP、1.0mMのNADH、0.1mMの補酵素Aおよび10μMの濃度の試験化合物を含む)中に33.3μMの最終濃度にて、0.20μCiの基質の脂肪酸(1−14Cパルミチン酸)を含むプレインキュベートしたチューブに2mgのミクロソームタンパク質を添加することによって開始する。このチューブを、激しくボルテックスし、そして振盪水浴(37℃)中で15分間インキュベートした後、この反応を停止し、そして脂肪酸を分析する。
【0188】
脂肪酸を、以下の通りに分析する:反応混合物を10%のKOHによってけん化して、遊離脂肪酸を得る。この遊離脂肪酸を、メタノール中のBFを使用してさらにメチル化する。この脂肪酸メチルエステルを、205nmに設定したダイオードアレイ検出器、固体シンチレーションカートリッジ(14C−検出ついて97%の効率)を有する放射性同位体検出器(Model 171、Beckman、CA)、およびμBondapak C−18(Beckman)インサートを有するプレカラムに接続された逆相ODS(C−18)Beckmanカラム(250mm×4.6mm i.d.;5μmの粒子サイズ)を取り付けたHewlett Packard 1090,Series IIクロマトグラフを使用した、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析する。脂肪酸メチルエステルを、1mL/分の流速にてアセトニトリル/水(95:5 v:v)を用いて定組成的に(isocratically)分離し、そして確実な標準と比較することによって同定する。あるいは、脂肪酸メチルエステルは、キャピラリーカラムガスクロマトグラフィー(GC)または薄層クロマトグラフィー(TLC)によって分析され得る。
【0189】
当業者は、ミクロソームにおけるステアロイル−CoAデサチュラーゼ活性の試験化合物による阻害を測定するのに有用であり得るこのアッセイに対する種々の改変を理解する。
【0190】
本発明の代表的な化合物は、このアッセイにおいて試験した場合、SCDのインヒビターとしての活性を示した。この活性を、上記試験化合物の所望の濃度において残存するSCD酵素活性の%によって定義した。
【0191】
本明細書中に引用され、そして/または出願データシートに記載される全ての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物は、その全体が参考として本明細書中に援用される。
【0192】
上記のことによって、本発明の特定の実施形態は例示目的で記載されており、種々の改変は本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることが、理解される。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲以外によって限定されることはない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトステアロイル−CoAデサチュラーゼ(hSCD)活性を阻害する方法であって、該方法は、hSCDの供給源を、式(I)の化合物:
【化1】

と接触させる工程を包含し、
式(I)において:
xおよびyは、各々独立して、0、1、2または3であり;
Gは、−N(R)−、−O−、−S(O)−(ここでtは、0、1もしくは2である)、−C(R)=または−C(R)=C(R)−であり;
JおよびKは、各々独立して、NまたはC(R10)であり;
LおよびMは、各々独立して、−N=、−N(R)−、または−C(R)=であり、ただし、Gが−C(R)=または−C(R)=C(R)−である場合、LおよびMは、両方が−C(R)=ではあり得ず;
Wは、直接結合、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、−OC(O)N(R)−、−N(R)C(O)N(R)−、−O−、−N(R)−、−S(O)−(ここでtは0、1もしくは2である)、−N(R)S(O)−(ここでpは1もしくは2である)、−S(O)N(R)−(ここでpは1もしくは2である)、−C(O)−、−OS(O)N(R)−、−OC(O)−、−C(O)O−、または−N(R)C(O)O−であり;
各Rは、独立して、水素、C〜C12アルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12シクロアルキルアルキルおよびC〜C19アラルキルからなる群より選択され;
は、C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12ヒドロキシアルケニル、C〜C12アルコキシアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12シクロアルキルアルキル、アリール、C〜C19アラルキル、C〜C12ヘテロシクリル、C〜C12ヘテロシクリルアルキル、C〜C12ヘテロアリール、およびC〜C12ヘテロアリールアルキルからなる群より選択されるか;
あるいはRは、2個〜4個の環を有する多環構造であり、該環は、独立して、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、そして該環のうちのいくつかまたは全ては、互いに縮合し得;
は、水素、C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12ヒドロキシアルケニル、C〜C12アルコキシアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12シクロアルキルアルキル、アリール、C〜C19アラルキル、C〜C12ヘテロシクリル、C〜C12ヘテロシクリルアルキル、C〜C12ヘテロアリールおよびC〜C12ヘテロアリールアルキルからなる群より選択されるか;
あるいはRは、2個〜4個の環を有する多環構造であり、該環は、独立して、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、そして該環のうちのいくつかまたは全ては、互いに縮合し得;
各Rは、独立して、水素、フルオロ、クロロ、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、ハロアルキル、シアノ、ニトロまたは−N(Rから選択されるか;
あるいは2つの隣接するR基は、それらが結合する炭素と一緒になって、アリール環系、ヘテロアリール環系、またはヘテロシクリル環系を形成し得;
、R5a、R、R6a、R、R7a、RおよびR8aは、各々独立して、水素またはC〜Cアルキルから選択されるか;
あるいはRとR5aとが一緒になってか、RとR6aとが一緒になってか、またはRとR7aとが一緒になってか、またはRとR8aとが一緒になって、オキソ基であるか;
あるいはR、R5a、RおよびR6aのうちの1つが、R、R7a、RおよびR8aのうちの1つと一緒になって、直接結合またはアルキレン架橋を形成し、一方で、残りのR、R5a、R、R6a、R、R7a、R、およびR8aは、各々独立して、水素またはC〜Cアルキルから選択され;
各Rは、独立して、水素またはC〜Cアルキルから選択され;そして
10は、独立して、水素、フルオロ、クロロ、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから選択される、
方法。
【請求項2】
哺乳動物において、ステアロイル−CoAデサチュラーゼ(SCD)により媒介される疾患または状態を処置する方法であって、該方法は、その必要がある哺乳動物に、治療有効量の式(I)の化合物:
【化2】

を投与する工程を包含し、
式(I)において:
xおよびyは、各々独立して、0、1、2または3であり;
Gは、−N(R)−、−O−、−S(O)−(ここでtは、0、1もしくは2である)、−C(R)=または−C(R)=C(R)−であり;
JおよびKは、各々独立して、NまたはC(R10)であり;
LおよびMは、各々独立して、−N=、−N(R)−、または−C(R)=であり、ただし、Gが−C(R)=または−C(R)=C(R)−である場合、LおよびMは、両方が−C(R)=ではあり得ず;
Wは、直接結合、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、−OC(O)N(R)−、−N(R)C(O)N(R)−、−O−、−N(R)−、−S(O)−(ここでtは0、1もしくは2である)、−N(R)S(O)−(ここでpは1もしくは2である)、−S(O)N(R)−(ここでpは1もしくは2である)、−C(O)−、−OS(O)N(R)−、−OC(O)−、−C(O)O−、または−N(R)C(O)O−であり;
各Rは、独立して、水素、C〜C12アルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12シクロアルキルアルキルおよびC〜C19アラルキルからなる群より選択され;
は、C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12ヒドロキシアルケニル、C〜C12アルコキシアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12シクロアルキルアルキル、アリール、C〜C19アラルキル、C〜C12ヘテロシクリル、C〜C12ヘテロシクリルアルキル、C〜C12ヘテロアリール、およびC〜C12ヘテロアリールアルキルからなる群より選択されるか;
あるいはRは、2個〜4個の環を有する多環構造であり、該環は、独立して、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、そして該環のうちのいくつかまたは全ては、互いに縮合し得;
は、水素、C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12ヒドロキシアルケニル、C〜C12アルコキシアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12シクロアルキルアルキル、アリール、C〜C19アラルキル、C〜C12ヘテロシクリル、C〜C12ヘテロシクリルアルキル、C〜C12ヘテロアリールおよびC〜C12ヘテロアリールアルキルからなる群より選択されるか;
あるいはRは、2個〜4個の環を有する多環構造であり、該環は、独立して、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、そして該環のうちのいくつかまたは全ては、互いに縮合し得;
各Rは、独立して、水素、フルオロ、クロロ、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、ハロアルキル、シアノ、ニトロまたは−N(Rから選択されるか;
あるいは2つの隣接するR基は、それらが結合する炭素と一緒になって、アリール環系、ヘテロアリール環系、またはヘテロシクリル環系を形成し得;
、R5a、R、R6a、R、R7a、RおよびR8aは、各々独立して、水素またはC〜Cアルキルから選択されるか;
あるいはRとR5aとが一緒になってか、RとR6aとが一緒になってか、またはRとR7aとが一緒になってか、またはRとR8aとが一緒になって、オキソ基であるか;
あるいはR、R5a、RおよびR6aのうちの1つが、R、R7a、RおよびR8aのうちの1つと一緒になって、直接結合またはアルキレン架橋を形成し、一方で、残りのR、R5a、R、R6a、R、R7a、R、およびR8aは、各々独立して、水素またはC〜Cアルキルから選択され;
各Rは、独立して、水素またはC〜Cアルキルから選択され;そして
10は、独立して、水素、フルオロ、クロロ、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから選択される、
方法。
【請求項3】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記疾患または状態が、II型糖尿病、グルコース寛容減損、インスリン抵抗性、肥満症、脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎、異脂肪血症および代謝症候群、ならびにこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記疾患または状態が、II型糖尿病である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記疾患または状態が、肥満症である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記疾患または状態が、代謝症候群である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記疾患または状態が、脂肪肝である、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記疾患または状態が、非アルコール性脂肪性肝炎である、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
式(I)の化合物:
【化3】

であって、式(I)において:
xおよびyは、各々独立して、0、1、2または3であり;
Gは、−N(R)−、−O−、−S(O)−(ここでtは、0、1もしくは2である)、−C(R)=または−C(R)=C(R)−であり;
JおよびKは、各々独立して、NまたはC(R10)であり;
LおよびMは、各々独立して、−N=、−N(R)−、または−C(R)=であり、ただし、Gが−C(R)=または−C(R)=C(R)−である場合、LおよびMは、両方が−C(R)=ではあり得ず;
Wは、直接結合、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、−OC(O)N(R)−、−N(R)C(O)N(R)−、−O−、−N(R)−、−S(O)−(ここでtは0、1もしくは2である)、−N(R)S(O)−(ここでpは1もしくは2である)、−S(O)N(R)−(ここでpは1もしくは2である)、−C(O)−、−OS(O)N(R)−、−OC(O)−、−C(O)O−、または−N(R)C(O)O−であり;
各Rは、独立して、水素、C〜C12アルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12シクロアルキルアルキルおよびC〜C19アラルキルからなる群より選択され;
は、C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12ヒドロキシアルケニル、C〜C12アルコキシアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12シクロアルキルアルキル、アリール、C〜C19アラルキル、C〜C12ヘテロシクリル、C〜C12ヘテロシクリルアルキル、C〜C12ヘテロアリール、およびC〜C12ヘテロアリールアルキルからなる群より選択されるか;
あるいはRは、2個〜4個の環を有する多環構造であり、該環は、独立して、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、そして該環のうちのいくつかまたは全ては、互いに縮合し得;
は、水素、C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12ヒドロキシアルケニル、C〜C12アルコキシアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12シクロアルキルアルキル、アリール、C〜C19アラルキル、C〜C12ヘテロシクリル、C〜C12ヘテロシクリルアルキル、C〜C12ヘテロアリールおよびC〜C12ヘテロアリールアルキルからなる群より選択されるか;
あるいはRは、2個〜4個の環を有する多環構造であり、該環は、独立して、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、そして該環のうちのいくつかまたは全ては、互いに縮合し得;
各Rは、独立して、水素、フルオロ、クロロ、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、ハロアルキル、シアノ、ニトロまたは−N(Rから選択されるか;
あるいは2つの隣接するR基は、それらが結合する炭素と一緒になって、アリール環系、ヘテロアリール環系、またはヘテロシクリル環系を形成し得;
、R5a、R、R6a、R、R7a、RおよびR8aは、各々独立して、水素またはC〜Cアルキルから選択されるか;
あるいはRとR5aとが一緒になってか、RとR6aとが一緒になってか、またはRとR7aとが一緒になってか、またはRとR8aとが一緒になって、オキソ基であるか;
あるいはR、R5a、RおよびR6aのうちの1つが、R、R7a、RおよびR8aのうちの1つと一緒になって、直接結合またはアルキレン架橋を形成し、一方で、残りのR、R5a、R、R6a、R、R7a、R、およびR8aは、各々独立して、水素またはC〜Cアルキルから選択され;
各Rは、独立して、水素またはC〜Cアルキルから選択され;そして
10は、独立して、水素、フルオロ、クロロ、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから選択される、
化合物。
【請求項11】
JとKとの両方が、Nであり、すなわち、以下の式(Ia):
【化4】

を有する化合物である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
xおよびyが、各々1であり;
Gが、−C(R)=C(R)−であり;
LとMとの両方が、−N=であり;
Wが、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、−OC(O)N(R)−、−N(R)C(O)N(R)−、−N(R)S(O)−(ここでpは1もしくは2である)、−S(O)N(R)−(ここでpは1もしくは2である)、−OS(O)N(R)−、−C(O)O−または−N(R)C(O)O−であり;
各Rが、独立して、水素、C〜C12アルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12シクロアルキルアルキルおよびC〜C19アラルキルからなる群より選択され;
が、C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12ヒドロキシアルケニル、C〜C12アルコキシアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12シクロアルキルアルキル、アリール、C13〜C19アラルキル、C〜C12ヘテロシクリル、C〜C12ヘテロシクリルアルキル、C〜C12ヘテロアリール、およびC〜C12ヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;
が、アリール、C〜C12ヘテロシクリルおよびC〜C12ヘテロアリールからなる群より選択され;そして
各Rが、独立して、水素、フルオロ、クロロ、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、ハロアルキル、シアノ、ニトロまたは−N(Rから選択され;
、R5a、R、R6a、R、R7a、RおよびR8aが、各々独立して、水素またはC〜Cアルキルから選択され;
ただし、Rは、C〜C10ピリダジニルアルキルでも、ピリジノニルでも、ピロリジノニルでも、メチルイミダゾリルでも、アミノで置換されたフェニルでもない、
請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
がアリールである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
以下:
6−[4−(4−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル]ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミド;および
6−[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン−1−イル]ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミド、
からなる群より選択される、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
がC〜C12ヘテロアリールである、請求項12に記載の化合物。
【請求項16】
以下:
6−(4−ベンゾオキサゾール−2−イル−ピペラジン−1−イル)ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミド;
6−(4−ベンゾチアゾール−2−イル−ピペラジン−1−イル)ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミド;
6−(4−キナゾリン−4−イル−ピペラジン−1−イル)ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミド;
6−[4−(3−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル]−ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミド;
6−(4−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イル−ピペラジン−1−イル)ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミド;
6−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミド;および
6−[4−(3−オキソ−3H−イソインドール−1−イル)ピペラジン−1−イル]ピリダジン−3−カルボン酸(2−シクロプロピルエチル)アミド、
からなる群より選択される、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
薬学的に受容可能な賦形剤またはキャリア、および治療有効量の式(I)の化合物:
【化5】

を含有する、薬学的組成物であって、
式(I)において:
xおよびyは、各々独立して、0、1、2または3であり;
Gは、−N(R)−、−O−、−S(O)−(ここでtは、0、1もしくは2である)、−C(R)=または−C(R)=C(R)−であり;
JおよびKは、各々独立して、NまたはC(R10)であり;
LおよびMは、各々独立して、−N=、−N(R)−、または−C(R)=であり、ただし、Gが−C(R)=または−C(R)=C(R)−である場合、LおよびMは、両方が−C(R)=ではあり得ず;
Wは、直接結合、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、−OC(O)N(R)−、−N(R)C(O)N(R)−、−O−、−N(R)−、−S(O)−(ここでtは0、1もしくは2である)、−N(R)S(O)−、−S(O)N(R)−(ここでpは1もしくは2である)、−C(O)−、−OS(O)N(R)−、−OC(O)−、−C(O)O−または−N(R)C(O)O−であり;
各Rは、独立して、水素、C〜C12アルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12シクロアルキルアルキルおよびC〜C19アラルキルからなる群より選択され;
は、C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12ヒドロキシアルケニル、C〜C12アルコキシアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12シクロアルキルアルキル、アリール、C〜C19アラルキル、C〜C12ヘテロシクリル、C〜C12ヘテロシクリルアルキル、C〜C12ヘテロアリール、およびC〜C12ヘテロアリールアルキルからなる群より選択されるか;
あるいはRは、2個〜4個の環を有する多環構造であり、該環は、独立して、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、そして該環のうちのいくつかまたは全ては、互いに縮合し得;
は、水素、C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C12ヒドロキシアルケニル、C〜C12アルコキシアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12シクロアルキルアルキル、アリール、C〜C19アラルキル、C〜C12ヘテロシクリル、C〜C12ヘテロシクリルアルキル、C〜C12ヘテロアリールおよびC〜C12ヘテロアリールアルキルからなる群より選択されるか;
あるいはRは、2個〜4個の環を有する多環構造であり、該環は、独立して、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され、そして該環のうちのいくつかまたは全ては、互いに縮合し得;
各Rは、独立して、水素、フルオロ、クロロ、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、ハロアルキル、シアノ、ニトロまたは−N(Rから選択されるか;
あるいは2つの隣接するR基は、それらが結合する炭素と一緒になって、アリール環系、ヘテロアリール環系、またはヘテロシクリル環系を形成し得;
、R5a、R、R6a、R、R7a、RおよびR8aは、各々独立して、水素またはC〜Cアルキルから選択されるか;
あるいはRとR5aとが一緒になってか、RとR6aとが一緒になってか、またはRとR7aとが一緒になってか、またはRとR8aとが一緒になって、オキソ基であるか;
あるいはR、R5a、RおよびR6aのうちの1つが、R、R7a、RおよびR8aのうちの1つと一緒になって、直接結合またはアルキレン架橋を形成し、一方で、残りのR、R5a、R、R6a、R、R7a、R、およびR8aは、各々独立して、水素またはC〜Cアルキルから選択され;
各Rは、独立して、水素またはC〜Cアルキルから選択され;そして
10は、独立して、水素、フルオロ、クロロ、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルコキシから選択される、
薬学的組成物。

【公表番号】特表2008−513504(P2008−513504A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532640(P2007−532640)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/033801
【国際公開番号】WO2006/101521
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(506030826)ゼノン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (47)
【氏名又は名称原語表記】XENON PHARMACEUTICALS INC.
【Fターム(参考)】