説明

覆工コンクリ−トの加温並びに加湿方法及びその装置を遠隔操作する総合エコ養生システム

【課題】覆工コンクリ−トのひび割れ及び剥離の問題の解決するために、適切な温度・湿度調整とコスト削減した養生システムが順次移動でき、遠隔操作等を可能とした覆工コンクリ−トエコ養生システムを提供する。
【解決手段】農業用温室を取り入れCO2排除の電気熱源のチラ−ユニット加温装置、並びに市販のフィンタイプ放熱器、噴霧装置及び噴霧器を用いることで覆工コンクリ−ト全表面に対し表面温度設定及び湿度設定を指定する期間連続維持する。遮温カ−テン設置により養生空間層を設け、この空間層を温度25℃から30℃及び湿度90%に連続保持するために、各種センサを設置し、給湯機並びにフィンパイプ放熱器及び噴霧装置、噴霧器をパソコン制御により遠隔運転を行う。さらに、システムを仮設架台に載置し、施工区間毎に順次システムの移動および設置を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図(1)によりトンネル覆工コンクリ−ト養生において、養生施工区間1スパンに対し、養生空間層仕切り及び両妻側遮温仕切り用の遮温カ−テンにより高度な保温及び保湿を行い、ア−チ形状の覆工コンクリ−ト表面部分から一定間隔で明けた範囲を温室養生空間層とし、図(2)記載の1スパン及び(3)記載の連続3スパンの覆工コンクリ−ト養生を行う。間仕切りした部分の覆工コンクリ−ト表面温度並びに養生空間層空気温度を指定する温度及び湿度を保持し、10日間以上連続して養生のために稼動する。本システムは同コンクリ−ト養生のため、水道水等を給湯機により加温した温水を循環させ、図(5)に記載の配置されたフィンパイプ放熱器による放熱する。
更にコンプレッサ−噴霧装置を具備した水噴霧器により水を加圧噴霧し、同養生部分の指定する湿度で一定に連続保持でき、装置の運転、情報管理をパソコンによる遠隔操作で行うトンネル覆工コンクリ−ト総合養生監視制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の覆工コンクリ−ト養生は、移動式ではあるものの、連続空気注入式バル−ンを用いて間仕切りし、間仕切りにより外気を遮断し養生空間層の温度及び湿度を設定していた養生技術がある。覆工コンクリ−ト表面の養生に関する技術が開示されている。
当該発明の属する分野にある従来の技術を記載します。
【特許文献1】 特開2008−025151号公報
【特許文献2】 特開2008−223372号公報
【特許文献3】 特開2007−205055号公報
【特許文献4】 特開2006−328869号公報
【特許文献5】 特開2006−291690号公報
【特許文献6】 特開2006−161401号公報
【特許文献7】 特開2006−009410号公報
【特許文献8】 特開2005−299323号公報
【特許文献9】 特開2005−090146号公報
【0003】
しかし、覆工コンクリ−ト養生において、市販空調機による空気温度調整及び加湿対策をするが、遮温する手段がバル−ンのためバル−ン内部の空気は常時送り続けなければならないことやバル−ンが破損し易い欠点があり、養生空間層の持続温度及び湿度を確保するに困難をきたし、管理面において特にデ−タの収集処理及び人件費は経費削減が困難で、養生空間層の加温及び加湿についての方法及び手段を試みるものの有効手段がなく、トンネル覆工コンクリ−ト養生の簡単、安全、安心で養生コスト削減及び更なる覆工コンクリ−トの高品質化が強いられているが、これらを解決する決定的な有効条件を摸策し続けながら現在に至っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、バル−ン設置により従来から存在する仮設架台で覆工コンクリ−ト表面温度並びに湿度及び養生空間層の温度、湿度を確保し、コンクリ−ト養生してきたが、コンクリ−トのひび割れ発生が生じ、その原因の追究をするが、コンクリ−の水セメント比並びに混和剤及びコンクリ−トの打設技術、コンクリ−トの表面温度、湿度等々に関連する事項を検討した結果、覆工コンクリ−トの表面温度と乾燥による収縮が原因でひび割れ当が発生すると、調査の蓄積及び文献等により推定される。よって、コンクリ−トが材齢に到達するまで一定期間を表面温度及び湿度の維持管理が最重要課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
解決しようとする問題点は、覆工コンクリ−トのひび割れ並びに剥離及び剥落対策による高品質化及び養生費コスト削減であり、これらの課題を解決するための手段は、養生空間層のコンクリ−ト表面及び養生空間層温度を指定する一定温度で保持し、同部分を指定する一定湿度で保持し、異なる条件の中コンクリ−トが徐々に材齢に到達するまでの約連続10日間程度、コンクリ−ト圧縮強度試験の結果を見ながら、極度のコンクリ−ト収縮及び乾燥及び過剰な養生を避けつつ、コンクリ−トの材齢に到達することが最も重要課題と文献で発表されている。本システムの採用によりコンクリ−トの高品質化及び養生費削減の目的が達成できることにより従来の課題が解決できる。
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1〜7記載の総合養生システムは、熱源を電気化し、排水処理することなくその解決を図るための手段として、養生空間温度と連動した加湿技術の有効活用により、自然環境破壊の心配もなく、コスト削減を図り、広く普及でき高品質コンクリ−トを構築する。さらに処分対象の廃棄物及び廃水処理の心配もなく安全で安心して使い易いトンネル覆工コンクリ−ト総合養生シテムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
なお、熱源を化石燃料等使用することで環境汚染されるが、本発明による加温装置のチラ−ユニット給湯機及び温水循環装置は、トンネル内部の空気汚染の心配は全くない電気を熱源とする給湯機装置を用い、図(2)及び図(3)記載の給湯機から送り出された温水はフィンタイプ放熱器は自然体放熱器により放熱し、養生空間層及び覆工コンクリ−ト表面温度を指定された一定温度を連続保持する。更に、コンプレッサ−を具備した噴霧装置及び水噴霧器により指定された湿度を一定に保持する。また、放熱した温水はリタ−ンし、一時貯湯タンクに送り込み再び加温され繰り返えし使用する密閉方式であり、湿度保持とともに連動して覆工コンクリ−トの養生を行う。加湿において噴霧器より放出された水は極少量で養生空間層において吸収されるため排水処理の必要はなく、安定した高品質コンクリ−トの構築並びにコスト削減及び環境保護に役立つことができる。
【0008】
しかしながら、給湯機並びに放熱器及び噴霧器は装置内部の錆及びスケ−ルが発生し付着し易く、付着した場合著しく機能低下を引き起こす。そのため、一般的にこれらの防除のためそれぞれの機種は純水仕様とあるが、本給湯機並びに放熱器及び噴霧器は、第一次水導入パイプ及び機器の水取り入れ口直前に市販する磁気式水処理装置を設置し、水に磁気帯びさせ水に化学変化を引き起こさせ、スケ−ル防除及び防錆措置を行なうため特に純水を用いることなく安全で、安心して稼動できる。
【0009】
以上、発明したシステムにおける給湯機並びに放熱器或いは噴霧噴霧器を用いることにより、本発明は化石燃料及び空調機を用いず給湯し、安定して指定温度或いは指定する湿度を連続して保持できる。これらの始動又は休止の指令並びに緊急警報の発信及び温度、湿度管理若しくはコンクリ−ト表面温度、湿度、コンクリ−ト中間層及び背面温度のデ−タ管理及び処理、保存を管理事務所において遠隔操作を行なえる優れものでもあり、メンテナンスを少なくするため精密機器の採用を極力避けることにより、現代社会で最も要求される課題について最大限効果をもたらし幅広く活用でき、一般的に好まれ広く普及し易いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0010】
本発明の図(4)は、養生施工区間1スパンのトンネル覆工コンクリ−の仕上り面ア−チ表面部分における覆工コンクリ−ト養生をするため、覆工コンクリ−ト面から一定間隔明けにおける遮温カ−テンを密着設置する部分と、吹き付けコンクリ−ト暑さ10cm及び覆工コンクリ−ト厚さ30cmの断面を構成し、これらを施工するための従来方法による仮設架台を柔軟に使用し、下地材を設置するもので、覆工コンクリート養生空間層を示した全体断面図である。
【実施例2】
【0011】
本発明の実施例2による図(5)は、可動式仮設架台に搭載設置する遮温カ−テンによる養生空間層における給湯機装置、放熱器、貯湯タンク、噴霧装置、貯水タンク、制御装置を示した施工範囲3スパンにおける平面図で、給湯機は3スパンを共通させ3分岐する。ヘッタ−を用いて1スパン毎に温度及び湿度の制御ができる方法と装置の配置を示す図である。
【実施例3】
【0012】
本発明の実施例1及び2を完全に満足させるため、1スパン毎に温度センサ−、湿度センサ−及び歪みセンサ−を設置し、そのデ−タは制御装置に送られ、更に総合制御装置より送り込まれてケ−ブルランし、その後は無線で送信され管理事務所のパソコンで受信し処理する。
【実施例4】
【0013】
本発明の実施例1から3を完全に満足させるため、1スパン毎の制御は、仮設架台に設置の制御装置により制御できるが、更に管理事務所において機器の作動並びに温度、湿度、管理及び収縮のデ−タ管理処理はパソコンにより遠隔操作できる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本トンネル覆工コンクリ−ト養生システムは、養生施工区間1スパン毎にア−チ形を形成されたコンクリ−ト部分に、養生空間層を設けるため従来からの移動可能な仮設架台に汎用性を持つ専用の下地を装着させ、遮温カ−テンを設置することで外気を完全に遮断した。
この養生空間層におけるコンクリ−ト表面温度並びに養生空間層空気温度及び湿度を指定する期間保持するため、脱着が簡単で繰り返し使える給湯機並びに放熱器に加え空気温度と連動する噴霧装置及び水噴霧器を組み合わせたシステムである。個々の機材においては一般に広く使われていて故障も最も少ない。
本発明は、これらの機器を組み合わせトンネル覆工コンクリ−ト養生に向けシステム化し、この養生システムを導入することによりコンクリ−トの高品質化とコスト削減を図り、現代社会から最も求められている課題の解決を図ることができ社会に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 トンネルの養生範囲の全断面図を示す。
【図2】 養生空間層設置1スパン分パイプハウス妻側姿図
【図3】 養生空間層設置1スパン分パイプハウス中間姿図
【図4】 移動架台1スパン平面図を示す
【図5】 妻側ア−チ図
【図6】 中間ア−チ図
【符号の説明】
1・・・吹き付けコンクリ−ト
2・・・覆工コンクリ−ト
3・・・養生空間層
4・・・遮温カ−テン
5・・・トンネル芯
6・・・円芯
7・・・工事中路面
8・・・スパン芯
9・・・タイヤ付き台車
10・・本体パイプ柱・梁
11・・遮温シ−ト下地パイプ
12・・パイプ柱受H型鋼
13・・遮温シ−ト
14・・ステ−ジ
15・・柱受けパイプ
16・・同縁パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
覆工コンクリ−ト表面から一定間隔を明け、農業用パイプハウス及び同材により遮温カ−テンで仕切り養生空間層を設け、同カ−テンによる両妻側遮温を行うとともに、自由選定によりエコ給湯機で加温された温水を効率よく配置した放熱器で放熱し、噴霧装置及び噴霧器で一定加湿できる。
更に任意選択により機器類の作動並びにデ−タ収集及び管理を工事務所等においてパソコンによる遠隔操作を可能とし、異常警報発生装置を備える。
かつ、既存の仮設架台にも搭載でき、農業用温室機材は、トンネルの形状に合わせた汎用性をもつことを特徴とするトンネル覆工コンクリ−ト総合養生システム。
【請求項2】
工事を円滑に進行するにあたり、空気入りタイヤキャスタ−を具備した随意移動型養生空間層が設置できる。工事用車両が自由に通行でき、更に既存の仮設架台を用いる場合、トンネル形状に合わせた汎用性を持たした同パイプハウス及び養生機器を搭載し、工事車を両通行可能とする。車両通行時における防麈のための防塵カ−テンを随意に設置し、養生機器類設置部は防塵から保護することができ、養生空間層の遮温を助けることを特徴とする請求項1記載の架台に搭載できる汎用性養生空間層設置の遮温カ−テン材並びに取り付け方法と、温室パイプハウス材並びに下地材及びシステム組み立て方法。
【請求項3】
覆工コンクリ−ト養生は、遮温シ−トを取り付けたパイプハウス温室による養生空間層を設ければ充分足りる。しかしながら、念のため給湯機並びに放熱器及び噴霧装置、噴霧器と、これを補助するタンクと制御装置を搭載し、1スパン毎の養生若しくは複数スパン連続養生でき、コンクリ−ト面温度及び養生空間層の空気温度と湿度を養生施工区間毎に管理しながら随時移動することを特徴とする請求項1、2記載の養生方法。
【請求項4】
トンネル内部の空気汚染をなくすため熱源を電気とし、冷媒も可能なチラ−ユニット給湯機並びにフィンタイプ放熱器及び噴霧装置と水噴霧器によりコンクリ−ト表面温度、湿度並びに養生空間層の空気温度及び湿度を指定し、これを連続して指定した温度及び湿度を一定に連続保持することを特徴とする請求項1〜3記載の安全で安心の環境保護対策に優れたトンネル覆工コンクリ−ト養生の方法及び装置による養生総合システム。
【請求項5】
現場における外気温及び水温を想定し、磁気式水処理装置を用い防錆、スケ−ル防除を行い、給湯機により水道水等の水を必用に応じ指定温度に加温し、求める温度の温水を放熱用に供給する。温水の供給受けた放熱器は適正に放熱し、養生空間層の空気温度及び覆工コンクリ−ト表面温度を指定する温度で一定期間連続保持する。更に、設置された温度センサ−センサ−が働き、自動で適正温水を効果的に加温し加湿する。放熱した温水はリタ−ンし、その後貯湯タンクに一時貯留し、必用に応じ再加温し無駄をなくす給湯並びに放熱用に供するもので請求項1〜4記載の全自動の連動システムで繰り返し使用できることを特徴とする加温並びに放熱方法及びその装置。
【請求項6】
本システムの湿度は運転開始から湿度を加え、養生空間層の温度と連動し水を噴霧装置を備えた噴霧器により噴霧し加湿する。請求項3により養生空間層の空気温度が指定温度に到達すれば指定する湿度で安定維持し加湿する。その際、水道水に磁気式水処理装置を用いることで水の化学変化を最小限にし、防錆及びスケ−ル防除を行い、湿度を適正に連続保持でき水噴霧処理後の排水考慮を不要とした噴霧器及び噴霧装置を特徴とした請求項1〜3記載の養生システムで繰り返し使用できる加湿方法並びに加湿装置及び加湿器。
【請求項7】
本システムの温度湿度等のデ−タ収集は、設定した埋設センサ−で、覆工コンクリ−ト表面温度及び湿度と、コンクリ−ト厚中間及びコンクリ−ト背面の温度とコンクリ−ト収縮力をセンサ−により得られ、パソコン制御により遠隔操作する装置並びにデ−タ保存及びプリントする請求項1から4に記載の汎用性を持つパソコン遠隔操作のソフトが含むことを特徴とした覆工コンクリ−ト総合養生システム。
【請求項8】
本システムの給湯機並びに放熱器及び加湿器は、それぞれ制御装置及び制御盤を設置するとともに総合制御盤を設け、それぞれの制御盤から総合制御盤において送られた情報を信号に置き換え、集合させ、トンネル内部をケ−ブルランし、トンネル外は管理事務所まで無線ランさせることにより管理事務所のパソコンにより受信し全情報を遠隔操作ができることを特徴とする請求項1〜7記載のトンネル覆工コンクリ−ト養生方法及び装置によるび総合養生システム。

【図1】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−196456(P2010−196456A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68874(P2009−68874)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(500044847)
【Fターム(参考)】