説明

見守り映像収集装置

【課題】 高齢者等の多数の被見守り者が生活する集合住宅または介護施設等において、少数の映像カメラで多数の被見守り者を撮像し、且つ、被見守り者毎の映像データを収集できる映像収集装置を提供する。
【解決手段】 無線タグリーダ3が各被見守り者を識別する無線タグを検知すると、各被見守り者が行動するエリアに設置された複数の映像カメラ2の内、無線タグリーダ3に対応する映像カメラ2からの映像データを、当該無線タグリーダ3が読取ったIDデータに対応する見守り映像データとして、IDデータ毎に分別して映像データ蓄積部12に蓄積し、少数の映像カメラ2で多数の被見守り者毎の見守り映像データを収集する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の被見守り者が行動するエリアに設置され、所定の無線タグリーダと対応付けられた映像カメラから映像データを受信し、被見守り者毎の映像データを収集する映像収集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一人暮らしの高齢者が増加する傾向にある。そのために、一人暮らしの高齢者の健康状態を、その家族や看護士などの見守り者が常に把握するための遠隔見守り装置に係る技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この特許文献1に記載された技術は、高齢者が一人住まいしている住居において高齢者の生活状態に係る生活データと住居の予め定めた任意場所で撮影した高齢者の映像データを管理センタのサーバに送信し、サーバが高齢者の映像データとトレンドデータを管理保持して、見守り者の携帯電話からの要求によって映像データを配信するものである。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、見守るべき高齢者と該高齢者の様子をモニターする映像カメラが対応している必要があるため、見守るべき多数の高齢者が生活する集合住宅または介護施設等に適用するには、見守るべき高齢者の人数分の映像カメラが必要となり、不経済である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2 0 0 4 - 3 1 3 4 6 1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の課題は、高齢者等の多数の被見守り者が生活する集合住宅または介護施設等において、少数の映像カメラで多数の被見守り者を撮像し、且つ、被見守り者毎の映像データを収集できる映像収集装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、複数の被見守り者が行動するエリアに設置された1以上の映像カメラからの映像データを受信し、前記被見守り者の各々の見守り映像データを収集する映像収集装置であって、前記被見守り者の各々と対応付けられたIDを記憶する被見守り者ID記憶手段と、前記映像カメラからの映像データを受信する映像データ受信手段と、前記映像カメラに対応付けられた1以上の無線タグリーダから当該無線タグリーダが読取ったIDを受信するID受信手段と、前記受信した映像データを前記IDと対応付けて蓄積する処理または所定の宛先へ転送する処理を実行するID対応映像データ処理手段と、を有し、前記ID受信手段が前記無線タグリーダの何れかから前記被見守り者ID記憶手段に記憶されている何れかのIDを受信した場合に、前記ID対応映像データ処理手段は前記ID受信手段が当該IDを受信している間の映像データを当該IDと対応付けて蓄積する処理または所定の宛先へ転送する処理を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、少ない映像カメラで多数の被見守り者を撮像することが出来、且つ、多数の被見守り者の各々の映像データを個別に収集して蓄積または所定の宛先へ転送することが出来るので、多数の被見守り者が生活する集合住宅または介護施設等に設置する、見守りシステムに好適な見守り映像収集装置を提供することが出来る。また本発明で使用する映像カメラは一般的な防犯カメラとして兼用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による見守り映像収集装置の内部ブロック構成を含む全体図
【図2】被見守り者データ記憶部16の記憶内容の例
【図3】本発明による見守り映像収集装置の動作フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明による見守り映像収集装置(以下、本装置と略す)の内部ブロック構成を含む全体図である。
【0011】
まず、本装置1を含むシステムの全体構成を説明する。映像カメラ2−1〜2−Mは、高齢者等の多数の被見守り者が生活する集合住宅または介護施設等で不特定多数が行動する共通エリア(例えば、ロビー,玄関,庭等)に設置された映像カメラであって、各共通エリアに設置された映像カメラ2は、その共通エリアで行動する各被見守り者の様子を見守る映像データを本装置1へ送信する。
【0012】
無線タグリーダ3−1〜3−Nは、映像カメラ2−1〜2−Mのいずれかに対応付けられており、近傍に存在する被見守り者が所持する携帯物や着衣に貼られた無線タグ(図示せず)から、当該無線タグが記憶しているID(Identification)データを読取り、本装置1へ送信する。
【0013】
そして、本装置1は、各映像カメラ2から受信した映像データを、管理人室や介護士控え室等に設置されている映像表示装置4に写し、各被見守り者の様子をモニター可能とする。
【0014】
また、本装置1は、各映像カメラ2から受信した映像データと無線タグリーダ3−1〜3−Nから受信したIDデータにより各被見守り者毎の映像データに編集して蓄積する。さらに、編集した各被見守り者毎の映像データを、転送先6の要求に応じて、転送先6−1〜6−Lの何れかへネットワーク5を介して転送する。
【0015】
以下、本装置1の内部ブロック構成について詳細に説明する。本装置1は、映像データ受信処理部10、映像データ変換処理部11、映像データ蓄積部12、映像データ切替部13、通信制御部14、ID受信部15、被見守り者データ記憶部16、映像データ収集転送制御部17から構成される。
【0016】
映像データ受信処理部10は各映像カメラ2から映像データを受信し、受信した各映像カメラ2からの映像データを切替えて、または小画面に分割して映像表示装置4に表示させる。また、受信した各映像カメラ2から映像データを映像データ変換処理部11へ転送する。
【0017】
映像データ変換処理部11は、映像データ受信処理部10からの映像データを、蓄積または転送する映像のサイズ,解像度,符号化方式に変換する手段である。なお、この映像データの変換処理は通信制御部14側で実施するようにしてもよい。
【0018】
映像データ蓄積部12は、映像データ変換処理部11が変換した映像データを蓄積する手段であり、無線タグリーダ3が読取ったIDデータと対応付けて、即ち被見守り者毎の映像データとして分別して蓄積する。また、映像データ収集転送制御部17からの指示に応じて、所定の映像データを出力する。なお、メモリ容量が満杯になった場合、古い映像データを新しい映像データで上書きする。
【0019】
映像データ切替部13は、映像データ変換処理部11が変換したリアルタイム(処理遅延はある)の映像データと、映像データ蓄積部12に蓄積されている過去の映像データを、映像データ収集転送制御部17からの指示に応じて、切替えて通信制御部14へ伝達する手段である。
【0020】
通信制御部14は、映像データ収集転送制御部17からの指示に応じて、映像データ切替部13からの映像データを、ネットワーク5を介して転送先6へ転送すると共に、転送先6からの要求データを映像データ収集転送制御部17へ伝達する手段である。なお、この通信制御部14は、映像データを転送先である転送先6の映像機器に応じて、転送する映像のサイズ,解像度,フレームレート,符号化方式を変換する機能も具備する。例えば、転送先である転送先6の映像機器が携帯電話機であった場合、符号化方式をその携帯電話機の映像通信方式に変換すると共に、映像のサイズ,解像度を変換し、フレームレートも落す(コマ落とし)。
【0021】
ID受信部15は、無線タグリーダ3からのIDデータを受信し、受信したIDデータを映像データ収集転送制御部17へ通知する手段である。
【0022】
被見守り者データ記憶部16は、各被見守り者のIDデータおよび被見守り者の各々と対応付けられた通報先に係る情報を含む被見守り者データを記憶する手段である。
【0023】
映像データ収集転送制御部17は、本装置1の全体を制御すると共に、映像データ蓄積部12,映像データ切替部13,通信制御部14を制御して、所定の映像データを、ネットワーク5を介して所定の転送先6へ転送させる。
【0024】
図2は、被見守り者データ記憶部16に記憶されている被見守り者データの例であり、列201には被見守り者の氏名、列202には被見守り者に対応する無線タグが記憶しているIDデータ、列203には見守り映像を自動的に所定の転送先6へ転送するか否かの設定、列204には各被見守り者に対応する映像データの転送先、列205には各被見守り者の無線タグを検知して撮像した収集映像データに関する情報が記憶されている。
【0025】
なお、この例では、列205に、各被見守り者を最近検知した無線タグリーダ3が設置された場所も記憶している。従って、この列205は、各被見守り者の最近の行動の記録であり、その行動パターンから当該被見守り者の日常生活の正常性をモニターすることも可能である。
【0026】
図3は本装置1の動作フローチャートである。以下、図1,図2を併用して、本装置1の動作フローを説明する。本フローは本装置1の電源が投入された状態からスタートする(S300)。
【0027】
本フロースタート後、映像データ受信処理部10は、各映像カメラ2から受信した映像データを、切替えながら、または複数の小画面に分割して、映像表示装置4に表示させ(S301)、無線タグリーダ3からIDデータを受信しなければ(S310,NO)、S301を繰り返す。
【0028】
無線タグリーダ3が被見守り者の携帯物または被服に貼られた無線タグからIDデータを読込み、ID受信部15が無線タグリーダ3からのIDデータを受信すると(S310,YES)、映像データ変換処理部11は、そのIDデータを送信してきた無線タグリーダ3に対応する映像カメラ2からの映像データを所定のサイズ,解像度,符号化方式に変換し(S311)、変換した映像データを映像データ蓄積部12にIDデータ別に分別して見守り映像データとして蓄積する(S312)。
【0029】
例えば、図2において、被見守り者の一人である山田A男がロビーに行った場合、ロビーに設置されている無線タグリーダ3−1が山田A男の携帯物または被服に貼られた無線タグからIDデータとして「ID−A」を読込む。すると、無線タグリーダ3−1に対応付けられてロビーに設置されている映像カメラ2−1からの映像データが「ID−A」の映像データとして映像データ蓄積部12に蓄積される。その後、山田A男がエンタランスを通って外出する際、エンタランスに設置されている無線タグリーダ3−2が山田A男の無線タグを検知し、対応する映像カメラ2−2(図示せず)からの映像データを「ID−A」の映像データとして映像データ蓄積部12に蓄積される。以下同様に、無線タグリーダ3が山田A男のIDデータである「ID−A」検知する都度、対応する映像カメラ2から映像データが「ID−A」の映像データとして蓄積されていく。
【0030】
S312の後、受信したIDデータ、映像自動転送モードが設定されているか否かを判定し(S320)、設定されていれば(S320,YES)、被見守り者IDに対応する転送先へ当該映像データを転送する(S321)。この転送先は、例えば、図2において、山田A男の転送先である転送先Aである。映像自動転送モードが設定されていなければ(S320,NO)、S321をスキップする。
【0031】
なお、S320に関し、映像自動転送モードを設定した場合、被見守り者の行動が自動的に転送され、見守る側にとっては安心だが、被見守り者にとっては監視されている感覚がある。映像自動転送モードを設定しない場合、被見守り者のプライバシーは多少保護されるが、見守る側にとっては不安となる。そこで、本実施例では、被見守り者毎に映像自動転送モードを自由に設定できるようにしている(図2の列203)。
【0032】
通信制御部14が、被見守り者のいずれかからに対応する映像データの転送を要求する転送要求コマンドを受信すると(S330,YES)、映像データ収集転送制御部17は、当該転送要求コマンドの送信元が、被見守り者データ記憶部16に記憶されている許可された転送先(図2の列204)か否かを判定する(S340)。
【0033】
S340でYESであれば、映像データ収集転送制御部17は、当該転送先に対応する被見守り者の映像データを、通信制御部14,ネットワーク5を介して当該転送先へ転送する(S341)。ここで、転送する映像データは、当該転送要求コマンドの要求内容に応じて、映像データ切替部13を制御し、映像データ受信処理部10が現在受信している当該被見守り者を撮像している映像カメラ2からのリアルタイムの映像データを転送するのか、映像データ蓄積部12に蓄積されている過去の映像データの所定の部分を転送するのかを制御する。S330、S340でNOであれば、S310に戻る。
【0034】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。本実施形態によれば、少数の映像カメラが撮像した多数の被見守り者の映像データを、被見守り者の各々の映像データとして分別して蓄積できるので、多数の高齢者が生活する集合住宅または介護施設等に設置する見守りシステムに好適な映像転送装置を提供することが出来る。
【0035】
なお、本実施形態において、映像データ受信処理部10を本装置1に内蔵しているとして説明したが、この映像データ受信処理部10は本装置1の外部機器として連携するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1・・・本発明による見守り映像収集装置
2・・・映像カメラ
3・・・無線タグリーダ
4・・・映像表示装置
5・・・ネットワーク
6・・・転送先
10・・・映像データ受信処理部
11・・・映像データ変換処理部
12・・・映像データ蓄積部
13・・・映像データ切替部
14・・・通信制御部
15・・・ID受信部
16・・・被見守り者データ記憶部
17・・・映像データ収集転送制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被見守り者が行動するエリアに設置された1以上の映像カメラからの映像データを受信し、前記被見守り者の各々の見守り映像データを収集する映像収集装置であって、
前記被見守り者の各々と対応付けられたIDを記憶する被見守り者ID記憶手段と、前記映像カメラからの映像データを受信する映像データ受信手段と、前記映像カメラに対応付けられた1以上の無線タグリーダから当該無線タグリーダが読取ったIDを受信するID受信手段と、前記受信した映像データを前記IDと対応付けて蓄積する処理または所定の宛先へ転送する処理を実行するID対応映像データ処理手段と、を有し、
前記ID受信手段が前記無線タグリーダの何れかから前記被見守り者ID記憶手段に記憶されている何れかのIDを受信した場合に、前記ID対応映像データ処理手段は前記ID受信手段が当該IDを受信している間の映像データを当該IDと対応付けて蓄積する処理または所定の宛先へ転送する処理を実行することを特徴とする見守り映像収集装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−227673(P2012−227673A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92636(P2011−92636)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】