説明

視野角制限フィルムの製造方法

【課題】本発明は、視野角制限フィルムの製造方法に関する。
【解決手段】本発明の視野角制限フィルムの製造方法は、所望するパターンが陰刻されたニッケル金型を製造するステップと、硬化樹脂を前記ニッケル金型に注入してマスターモールドを製造するステップと、前記マスターモールドに紫外線硬化樹脂を注入した後、硬化させて凸凹パターンが形成されたフィルムを製造するステップと、前記フィルムパターンの凹部にブラックインクを注入するステップと、を含んでなる。本発明の視野角制限フィルムの製造方法は、その工程が単純かつ生産効率に優れ、低コスト生産が可能であるという長所がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視野角制限フィルムの製造方法に関し、より詳しくは、金型を用いてノートPC、携帯電話、ATM等に使用される視野角制限フィルムをより簡便に製造するようにする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プライバシー保護及び保安維持等の理由から、ノートPC、携帯電話、ATM等に視野角制限フィルムを使用する事例が増加しており、その適用分野が空港の出入国審査台、学校のコンピュータ室、図書館、区役所・町役場の無人証明発給機等へと次第に拡大されている。
【0003】
視野角制限フィルムとは、プライバシーフィルムとも呼ばれており、角度によって光の透過率が変化するように構成されているフィルムである。一般的に、視野角制限フィルムの透過率は正面方向において最も高く、側面に行くほど低くなる。従って、視野角制限フィルムをモニターに装着する場合、正面にいるユーザは画面に表示された情報を自由に見ることができるが、側面(左/右30°以上)にいる人には暗く黒い画面のみが見えるため、他人に情報が流出することを防止することができる。
【0004】
現在、主に使用されている視野角制限フィルムは、3M社が製造、販売するものである。上記3M社の視野角制限フィルムは、光を吸収する黒い物質と光を透過する透明物質を交互に積層した後、積層方向に垂直する方向に薄く切断することによって、フィルムの形態で製造される。上記の方法によると、光を吸収する物質が一定のパターン(以下、「黒色パターン」)をなして配列されるようになる。このような視野角制限フィルムは、フィルム面に対して垂直に入射する光、即ち、正面から入射する光は透過させるが、一定の角度以上の入射角を持って傾いて入射する光は黒色パターンにおいて吸収されるため、フィルムを通過することができなくなる。従って、正面にいるユーザのみに画面に表示される情報が見え、側面にいる人には見えないという視野角制限の効果をもたらすようになる。
【0005】
しかし、上記した従来の視野角制限フィルムの製造方法である場合、両物質を交互にコーティングしなければならないため、工程が複雑で、製造費用が高いという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このため、本発明は、より簡単で便利かつ低コスト生産が可能な視野角制限フィルムの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これを達成するために本発明は、所望するパターンが陰刻されたニッケル金型を製造するステップと、上記ニッケル金型に硬化樹脂を注入してマスターモールドを製造するステップと、上記マスターモールドに紫外線硬化樹脂を注入した後、硬化させて凸凹パターンが形成されたフィルムを製造するステップと、上記フィルムの凹部にブラックインクを注入するステップと、を含んでなる視野角制限フィルムの製造方法を提供する。
【0008】
この際、上記ニッケル金型の製造ステップは、ガラス基板上に銅をスパッタリングするステップと、レジストパターンを形成するステップと、上記レジストパターンが形成されていない部分にニッケルをめっきするステップと、レジストを除去するステップと、を含んでなることをその特徴とする。
【0009】
一方、上記レジストのパターンを形成するステップは、(i)銅層上にレジストを積層するステップと、(ii)フォトマスクを用いて上記積層されたレジストを選択的に露光するステップと、(iii)露光されたレジストを現像液により現像してパターンを形成するステップと、を含んでなる。
【0010】
また、本発明において上記ニッケルめっきは、無電解めっきからなることが好ましく、このため、上記ニッケルめっきステップ以前に、ニッケルめっきのための触媒層を形成するステップをさらに含むことができる。この際、上記触媒は、パラジウムクロライド、パラジウム、白金、金、及びルテニウムからなる群から1種以上選択されることが好ましい。
【0011】
一方、上記硬化樹脂はシリコン樹脂であることができ、この際、上記マスターモールドは、板形状またはロール形状に製造されることができる。
【0012】
一方、上記紫外線硬化樹脂としては、多官能性アクリレート、アクリル系オリゴマーまたはアクリル系高分子樹脂を使用することができ、一般的に、上記のような高分子樹脂にUV開始剤を添加して使用することが好ましい。
【0013】
本発明において、上記多官能性アクリレートの具体的な例としては、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ビスフェノール−Aエポキシ樹脂のジアクリレートエステル等が挙げられ、アクリル系オリゴマーの具体的な例としては、メタアクリルオリゴマー等が挙げられ、アクリル系高分子の具体的な例としては、ポリメチルメタクリレート、ウレタンアクリレート、エーテルアクリレート、エポキシアクリレート、エステルアクリレート等が挙げられる。
【0014】
また、上記UV開始剤としては、これに限定されるものではないが、アセトフェノン、チオキサントン、ベンゾイルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ビスアシルホスフィンオキシド、α−ヒドロキシケトン等を使用することができる。
【0015】
また、上記ブラックインクとしては、カーボンブラック系インク、黒鉛系インク、酸化鉄系インク等の無機インク、アゾ系またはフタロシアニン系の多様な色相を有する顔料を混ぜて黒色化したインク等を使用することができる。
【0016】
上記のような方法により製造される本発明の視野角制限フィルムは、パターン間の間隔:パターンの線幅が1:3から5:1になるようにすることが好ましく、より好ましくは、1:1から5:1、最も好ましくは、3:1から5:1の範囲で製造されることがよい。
【0017】
また、パターンの高さ:パターン間の間隔の比率は1:3から2:1、より好ましくは、1:2から2:1、最も好ましくは、1:1から2:1になるように製造されることがよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の視野角制限フィルムの製造方法は、金型を使用するため、その工程が単純で、低コストで製造できるという長所がある。また、レジストフィルムを用いて金型のパターンを形成するため、精巧かつ微細なパターンを形成することができ、パターンの間隔や高さの調節が容易であるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の視野角制限フィルムの製造方法を説明する図面である。
【図2】本発明の方法により製造された視野角制限フィルムを示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明についてより具体的に説明する。図1は、本発明の視野角制限フィルムの製造方法の工程を順次に示した図面である。
【0021】
図1に示したように、本発明の視野角制限フィルムの製造方法は、大きく、(1)ニッケル金型を製造するステップ、(2)マスターモールドを製造するステップ、(3)フィルムを製造するステップ、(4)インクを注入するステップからなる。
【0022】
(1)ニッケル金型を製造するステップ
本発明において使用されるニッケル金型1は、マスターモールドを製造するためのものであって、(i)ガラス基板上に銅をスパッタリングするステップと、(ii)レジストパターンを形成するステップと、(iii)上記レジストパターンが形成されていない銅層の上部にニッケルをめっきするステップと、(iv)レジストを除去するステップと、を経て製造される。
【0023】
上記ステップは、凸部と凹部が形成された凸凹パターンのニッケル金型1を製造するためのものであって、本発明では、凸凹パターンが形成されたニッケル金型を用いて後述するマスターモールド2を製造し、該マスターモールドを用いてフィルムを製造することによって、ニッケル金型に形成されたパターンがフィルムに転写されることができるようにする。これに関する詳細な内容は後述する。
【0024】
以下、ニッケル金型1の形成方法についてより具体的に説明する。
【0025】
(i)スパッタリングのステップ
先ず、ガラス基板10上に銅をスパッタリングして銅層20を形成する。これは後述する触媒層40の形成を助けるためであり、銅層20を形成せずにそのままガラス基板10を使用すると、触媒がうまく付着せず、円滑なニッケルめっきがなされなくなる。
【0026】
一方、上記銅スパッタリング法は、当該技術分野においてよく知られており、本発明の銅スパッタリングもまたこのような従来の技術を通じてなされる。例えば、本発明において上記銅スパッタリングは、これに限定されるものではないが、例えば、2〜5mtorr程度の真空、Ar雰囲気において2〜10kWの電力により行われることが好ましい。
【0027】
(ii)レジストパターン形成のステップ
次に、上記銅層20上にレジストを積層した後に、露光及び現像を通じてレジストパターンを形成する。
【0028】
本発明では、所望するパターン形成に使用できるのであれば、当該技術分野において知られている如何なるレジストも使用可能であるが、特に、乾燥フィルムレジスト(Dry Film Resist、DFR)を使用することが好ましい。乾燥フィルムレジストは、コーティング装備を必要とせず、製品に付着するだけで済むので、大面積の製品を製造する時に特に有用で、コーティング時に厚さのバラツキが誘発される恐れが少ない。
【0029】
使用されるレジストが液状レジストである場合は、スピン−オン塗布、スプレー塗布等のような当該技術分野において知られている方法を用いて銅層20上にレジスト層30を形成することができ、乾燥フィルムレジストである場合は、上記フィルムレジストを銅層上に付着する方法によりレジスト層を形成することができる。
【0030】
上記のような方法により銅層20上にレジストが積層されると、フォトリソグラフィー工程を行ってレジストパターンを形成する。即ち、フォトマスクを用いてレジストを選択的に露光した後、現像液により現像してレジストパターンを形成する。
【0031】
上記のようなレジストパターン形成工程は、当該技術分野においてよく知られており、露光及び現像条件は、使用されるレジストの種類、形成しようとするパターンの形状等などによって異なるが、当該技術分野の当業者であれば日常的な実験等を通じて所望する結果を得るための最適条件を見つけることができる。
【0032】
一方、上記現像液としては、当該技術分野においてレジストの現像に使用される一般的な現像液を使用してもよく、例えば、NaCOやKOHのような弱アルカリ現像液を使用することができる。
【0033】
上記露光及び現像により特定の部分にのみレジストパターンが形成され、残りの部分ではレジストが現像液により溶解されながら、銅層が現れるようになる。
【0034】
(iii)ニッケルめっきのステップ
次に、上記銅層が現れた部分にニッケル50をめっきする。
【0035】
本発明のニッケルめっきは、電解めっきまたは無電解めっきのような当該技術分野において使用される一般的なめっき方法により成されてもよいが、無電解めっき法を使用することがより好ましい。
【0036】
但し、ニッケルめっきが無電解めっき法により実施される場合は、上記ニッケルめっきステップ以前に触媒層40を形成するステップをさらに含むことが好ましい。上記触媒層は、無電解めっきを促進するためのものであって、触媒を含有した触媒溶液にめっきされる基材を浸漬させる方法により形成されることができる。この際、上記触媒としては、パラジウムクロライド、パラジウム、白金、金、ルテニウム等のような金属触媒が使用されてもよい。
【0037】
一方、上記したように、触媒溶液に基材を浸漬させた時、上記触媒は、レジストがない部分、即ち、銅層が現れた部分のみに選択的に付着されるようになり、その結果、触媒層40は、レジストがない部分のみに形成されるようになる。
【0038】
触媒層形成が完了すると、上記基材をめっき溶液に浸漬させて無電解めっきを行う。
【0039】
(iv)レジスト除去のステップ
上記のような方法によりニッケルめっきが完了すると、レジストを除去し、グラインディングしてニッケル金型を完成する。
【0040】
上記レジスト除去は、当該技術分野において一般的に使用される方法、例えば、KOH水溶液のような強塩基水溶液に浸漬させるか、または高温で加熱する等の方法により行われてもよい。
【0041】
レジストを除去した後に、ニッケル表面をグラインディングして平坦化することによって、ニッケル金型を完成する。本発明の方法により製造されたニッケル金型は、凹部と凸部が形成された凸凹パターンを有するようになる。
【0042】
(2)マスターモールドを製造するステップ
ニッケル金型が完成すると,上記ニッケル金型に樹脂等を注入し、ニッケル金型のパターンの逆像が陰刻されたマスターモールドを製造する。
【0043】
本発明のマスターモールドは、当該技術分野においてよく知られている従来の方法、例えば、上記ニッケル金型に硬化性樹脂を注入した後、硬化させる方法により製造されてもよい。
【0044】
上記マスターモールドの製造樹脂としては、シリコン樹脂を使用することが好ましい。マスターモールドの材質でフレキシブルな性質を有するシリコン樹脂を使用する場合、マスターモールドを、板形状だけでなくロール形状にも製造できるという長所があるためである。即ち、分離されたマスターモールドを固いプレートに付着することによって、板形状のモールドとして作製してもよく、SUS(Stainless Steel)ロールに巻きつけてロール形状のマスターモールドとして作製してもよい。
【0045】
一方、最終的に製造されるフィルムの形態は、マスターモールドの形態によって決定される。即ち、板形状マスターモールドを使用する場合は板形状フィルムが、ロール形状マスターモールドを使用する場合はロール形状フィルムが製造される。従って、必要によって適切な形態のマスターモールドを製造して使用するようにする。
【0046】
(3)フィルムを製造するステップ
次に、上記のように製造されたマスターモールド2に紫外線硬化樹脂を注入し、硬化させることでフィルム3を製造する。本発明において使用される紫外線硬化樹脂としては、透過性に優れたものが好ましく、例えば、多官能性アクリレート、アクリル系オリゴマーまたはアクリル系高分子等を使用することができる。
【0047】
この際、上記多官能性アクリレートとしては、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ビスフェノール−Aエポキシ樹脂のジアクリレートエステル等を使用してもよく、アクリル系オリゴマーとしては、メタアクリルオリゴマー等を使用してもよく、アクリル系高分子としては、ポリメチルメタクリレート、ウレタンアクリレート、エーテルアクリレート、エポキシアクリレート、エステルアクリレート等を使用してもよい。
【0048】
但し、上記化合物は、本発明において使用することができる紫外線硬化樹脂の例として記載されたものであり、上記に記載の化合物以外にも当該技術分野において使用される多様な硬化性樹脂が代替使用されてもよい。
【0049】
一方、上記樹脂には、アセトフェノン、チオキサントン、ベンゾイルエーテル、ベンジルジメチル ケタール、ベンゾフェノン、ビスアシルホスフィンオキシド、α−ヒドロキシケトン等のUV開始剤が添加されることが一般的である。
【0050】
上記のような方法により製造されたフィルム3には、マスターモールド2のパターンの逆像、即ち、ニッケル金型1の凸凹パターンと同一のパターンが形成されるようになり、この際、上記パターンの凹部には、後述するブラックインク60が注入され、一定の間隔で光を吸収する黒色パターンが形成された視野角制限フィルムが製造されるようになる。
【0051】
(4)インクを注入するステップ
凸凹状のパターンが形成されたフィルムが製造されると、上記フィルムパターンの凹部にブラックインクを注入して黒色パターンを形成する。この際、上記ブラックインクとしては、カーボンブラック系インク、黒鉛系インク、酸化鉄系インク等の無機インク、または、アゾ系やフタロシアニン系の多様な色相を有する顔料を混ぜて黒色化したインクを使用してもよい。
【0052】
一方、ブラックインクは、当該技術分野において使用される多様なインクの注入方法により注入されることができる。例えば、ブラックインクをフィルム上に塗布した後、ドクターブレードを用いてフィルムの表面を掻き取る等の方法により、凸部についているインクを除去し、インクが凹部へ注入されるようにしてもよい。
【0053】
上記のような方法により、所望する地点に、黒色パターンが形成された視野角制限フィルムを製造することができる。図2には、本発明の方法により製造された視野角制限フィルムの断面が示されている。
【0054】
この際、上記黒色パターンの線幅、高さ、間隔等によって視野角制限フィルムの視野角制限角度及び光の透過率等が変化するようになる。より具体的には、視野角制限フィルムの透過率は、黒色パターン間の間隔bと黒色パターンの線幅aの比率によって決定され、上記黒色パターンの間隔対黒色パターンの線幅の比率は、1:3(透過率25%)以上であることが好ましく、より好ましくは、1:1(透過率 50%)以上、最も好ましくは、3:1(透過率75%)以上であることがよい。
【0055】
一方、上記黒色パターンの間隔対黒色パターンの線幅の比率が大きくなるほど黒色パターンの線幅対黒色パターンの高さも同じ比率で大きくならないと視野角制限の効果が発生しない。一方、上記黒色パターンの高さは、マスターモールドのレジストパターンの高さによって決定される。従って、線幅が大きい場合、視野角制限の効果を上げるためにはレジストの高さも共に高くなる必要があるが、この場合は、露光/現像時のパターンの形状が良くなくなる。これに対し、線幅が少さすぎる場合は、露光/現像時に銅表面との接触面積が非常に少ないため、完全に付着することができず、剥離する恐れがある。従って、上記黒色パターンの間隔対黒色パターンの線幅の比率は、5:1以下が好ましい。
【0056】
一方、視野角制限角度は、黒色パターンの高さcとパターン間の間隔bの比率によって決定され、上記黒色パターンの高さc対パターン間の間隔bの比率は、1:3(制限角度18.4度)以上であることが好ましく、より好ましくは、1:2以上、最も好ましくは、1:1(制限角度45度)以上であることがよい。この際、視野角制限角度とは、光の透過がない角度を意味し、制限角度が大きくなるほどプライバシー保護の効果が大きくなる。
【0057】
しかし、上記比率が2:1を超過すると、パターンの高さが高くなりすぎ、露光/現像時に垂直にパターンが形成されず、台形の形態でパターンが形成され、パターンの下端部の線幅が広くなり、所望する透過率より低くなる。従って、上記黒色パターンの高さc対パターン間の間隔bの比率は、2:1以下であることが好ましい。
【実施例】
【0058】
ガラス基板上に銅粒子をスパッタリングして銅層を形成した後、上記銅層の上部に乾燥フィルムレジスト(コーロン社のネガティブレジスト)を積層する。フォトマスクを用いて露光した後、1%のNaCO水溶液で現像することによって、線幅が10μm、パターン間隔が30μm、高さが30μmであるレジストパターンを形成した。
【0059】
上記レジストパターンが形成された基板を、水1Lにパラジウムクロライドを含有している触媒溶液(アトテックのAurotech Activator)200mlと98%の硫酸を50ml添加して製造された溶液に、常温で1〜3分間浸漬して触媒層を形成した。
【0060】
その後、上記基板を、水1LにAurotech HP Nickel M−Uを200ml、Aurotech HP Nickel Aを100ml、アンモニアを10ml添加して製造した溶液からなるめっき槽に8分間浸漬してニッケルめっきを行った。次に、上記ニッケルめっきされた基板を300度に加熱し、乾式フィルムレジストを除去してニッケル金型を製造した。
【0061】
次に、上記ニッケル金型にシリコン樹脂(ダウコーニング社のSylgard184)を注入した後、これを硬化し、ニッケル金型から分離してマスターモールドを製造した。
【0062】
上記マスターモールドに紫外線硬化樹脂(Acheson社のPD−038)を注入しながら、即時にUVで硬化させて金型パターンと同一のパターンが形成されたフィルムを製造する。
【0063】
上記フィルムにブラックインク(Seiko社の1300Black)を塗布して凹部にブラックインクが充填されるようにし、ドクターブレードを用いて上記フィルムの表面を掻き取り、凸部についているインクを除去する。
【0064】
上記のような方法によると、線幅が10μm、間隔が30μm、高さが30μmである黒色パターンの形成された視野角制限フィルムを得ることができ、この際、視野角フィルムの正面方向における透過率は75%であり、視野制限角度は+/−45度と現れた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望するパターンが陰刻されたニッケル金型を製造するステップと、
前記ニッケル金型に硬化樹脂を注入してマスターモールドを製造するステップと、
前記マスターモールドに紫外線硬化樹脂を注入した後、硬化させて凸凹パターンが形成されたフィルムを製造するステップと、
前記フィルムの凹部にブラックインクを注入するステップと、を含んでなる視野角制限フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記ニッケル金型を製造するステップは、
ガラス基板上に銅をスパッタリングして銅層を形成するステップと、
前記銅層の上部にレジストパターンを形成するステップと、
レジストパターンが形成されていない部分にニッケルをめっきするステップと、
前記レジストを除去するステップと、を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の視野角制限フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記ニッケルめっきステップ以前に、ニッケルめっきのための触媒層を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の視野角制限フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記触媒は、パラジウムクロライド、パラジウム、白金、金及びルテニウムからなる群から1種以上選択されることを特徴とする請求項3に記載の視野角制限フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記ニッケルめっきは、無電解めっきからなることを特徴とする請求項3に記載の視野角制限フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記レジストパターンを形成するステップは、
銅層の上部にレジストを積層するステップと、
フォトマスクを用いて前記積層されたレジストを選択的に露光するステップと、
前記露光されたレジストを現像液により現像してパターンを形成するステップと、を含んでなることを特徴とする請求項2に記載の視野角制限フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記硬化樹脂は、シリコン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の視野角制限フィルムの製造方法。
【請求項8】
前記マスターモールドは、板形状またはロール形状に製造されることを特徴とする請求項7に記載の視野角制限フィルムの製造方法。
【請求項9】
前記紫外線硬化樹脂は、多官能性アクリレート、アクリル系オリゴマーまたはアクリル系高分子からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の視野角制限フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記紫外線硬化樹脂は、UV開始剤を含んでなることを特徴とする請求項9に記載の視野角制限フィルムの製造方法。
【請求項11】
前記ブラックインクは、カーボンブラック系インク、黒鉛系インク及び酸化鉄系インクからなる群から選択される1種以上の無機インクと、
アゾ系またはフタロシアニン系の顔料を混合して黒色化したインクからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の視野角制限フィルムの製造方法。
【請求項12】
前記視野角制限フィルムのパターン間の間隔:パターンの線幅の比率が、1:3から5:1になるようにすることを特徴とする請求項1に記載の視野角制限フィルムの製造方法。
【請求項13】
前記視野角制限フィルムのパターン間の間隔:パターンの線幅の比率が、1:1から5:1になるようにすることを特徴とする請求項1に記載の視野角制限フィルムの製造方法。
【請求項14】
前記視野角制限フィルムのパターン間の間隔:パターンの線幅の比率が、3:1から5:1になるようにすることを特徴とする請求項1に記載の視野角制限フィルムの製造方法。
【請求項15】
前記視野角制限フィルムのパターンの高さ:パターン間の間隔の比率が、1:3から2:1になるようにすることを特徴とする請求項1に記載の視野角制限フィルムの製造方法。
【請求項16】
前記視野角制限フィルムのパターンの高さ:パターン間の間隔の比率が、1:2から2:1になるようにすることを特徴とする請求項1に記載の視野角制限フィルムの製造方法。
【請求項17】
前記視野角制限フィルムのパターンの高さ:パターン間の間隔の比率が、1:1から2:1になるようにすることを特徴とする請求項1に記載の視野角制限フィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−511722(P2011−511722A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544240(P2010−544240)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際出願番号】PCT/KR2009/000442
【国際公開番号】WO2009/096722
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】