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親水性コート剤およびその使用方法
説明

親水性コート剤およびその使用方法

【課題】農業用ハウス、温室等の防曇処理や家屋外壁の防汚処理に好適なコーティングタイプの親水性コート剤であって、珪酸ソーダ[NaO・2(SiO)]を用いた1液式の親水性コート剤およびその使用方法を提供する。
【解決手段】1〜70重量部の安価な珪酸ソーダと、0.5〜30重量部の低分子親水性有機化合物とを主成分とするコーティングタイプの安価で取り扱いが容易な1液式の親水性コート剤を提供する。この親水性コート剤は、農業用フィルムや家屋外壁等に塗布すると、乾燥して前記珪酸ソーダのガラス体が塗布面に強固に貼り付いて前記塗布面をコーティングし、前記ガラス体に含有されて前記塗布面に分布する低分子親水性有機化合物により水滴や雨滴が流滴する。そして、希釈使用する場合は一層小型になって取り扱いが容易になる。さらに、親水性効果が低減した場合は再度塗布することにより親水性効果を持続させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビニールハウス、温室等の防曇処理や住宅等の外壁の防汚処理等に好適なコーティングタイプの親水性コート剤およびその使用方法に関し、詳しくは珪酸ソーダ[NaO・2(SiO)]を用いた1液式の安価な親水性コート剤の提供およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビニールハウスや温室においては、明け方など急激な温度変化等により農業用フィルム(ビニールハウス)や農業用ガラス(温室)の主に内側に水滴が付着し、その水滴がハウス内や温室内の農作物の表面に滴下すると、農作物の水滴付着個所が白化して農作物の商品価値が低下する。そのため、農業用フィルムや農業用ガラスの内側に防曇処理を施し、水滴が農業用フィルムや農業用ガラスの内側表面を均等に濡らして流滴するようにし、水滴が農作物に滴下しないようにする必要がある。なお、場合によっては農業用フィルムや農業用ガラスの外側に防曇処理を施す必要も生じる。
【0003】
ところで、前記防曇処理には防曇剤(流滴剤ともいう)が用いられる。防曇剤には樹脂練り込みタイプのものとコーティングタイプ(塗布タイプ)のものとがある。
【0004】
そして、樹脂練り込みタイプの防曇剤としては、例えば界面活性剤、金属コロイドのような無機コロイド粒子を主成分とするものや、炭素数3〜20のジカルボン酸と脂肪族アルコール又は脂肪族アミン又は多価アルコール又はオキシラン環との反応混合物を主成分とするものや、ヒンダードアミン系化合物とハイドロタルサイド類化合物の混合物を主成分にするもの等が提案されており、いずれの防曇剤も農業用フィルム等に予め練り込まれて使用される(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【0005】
また、コーティングタイプの防曇剤としては、不飽和カルボン酸エステル系モノマー等の吸水性架橋樹脂を主成分とするものや、無機親水性コロイド物質および親水性有機化合物を主成分とする親水性コート剤のものが提案されており、コーティングタイプのいずれの防曇剤も、既存のビニールハウスや温室の農業用フィルム、農業用ガラス等に後から塗布して使用される(例えば、特許文献4、5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−151788号公報
【特許文献2】特開平9−31242号公報
【特許文献3】特公平6−99602号公報
【特許文献4】特開2007−237728号公報
【特許文献5】特開平10−248404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記した樹脂練り込みタイプの防曇剤は、既存のビニールハウスや温室に後から防曇処理を施すことができず、防曇効果が経時劣化した場合等には農業用フィルムや農業用ガラスを取り替えなければならず、多大な手間および費用がかかる。
【0008】
一方、前記したコーティングタイプの防曇剤は、既存のビニールハウスや温室の農業フィルム、農業用ガラスに噴霧等して塗布し、簡単に防曇処理を施すことができる。しかも、防曇効果が経時劣化した場合には再度塗布すればよく、練り込みタイプのものに比べて処理方法の自由度が高い。
【0009】
したがって、コーティングタイプの防曇剤は、樹脂練り込みタイプの防曇剤より特にアフターマーケットで有用であるといえる。
【0010】
しかしながら、従来のコーティングタイプの防曇剤は、高価なポリマーの吸水性架橋樹脂を主成分としていたり、高価な無機親水性コロイド物質(コロイダルシリカ)および親水性有機化合物を主成分とする親水性コート剤のものであったりするため、高価である。また、とくに、後者の無機親水性コロイド物質および親水性有機化合物を主成分とする親水性コート剤のものは、実際には2液式であり、2液の容器を要してかさばり、輸送や保管等の経費か高くつき、しかも、使用に際して現場で2液を適正な割合で混合して希釈しなければならず面倒であり、また、コロイダルシリカとの反応を考慮して希釈する水を選ぶ必要もある。
【0011】
一方、最近の住宅の外壁(家屋外壁)等においては、何らかの親水性コート剤を用いて壁面の汚れを雨水と共に流し、汚れ除去を自動的に行なうことが望まれている。そして、親水性ポリマーや酸化チタン等を用いた高価な親水性コート剤は提案されているが、安価で、しかも安全性の高い水溶液系の親水性コート剤は発明されていない。
【0012】
また、前記の防曇処理や防汚処理を施す場合、それらの処理と同時に抗菌処理(防カビ・コケ処理)も行なえれば一層好ましい。特にアジア地域等の多湿な地域においては、カビやコケの付着により、農業ハウス等にあっては光線透過率低下させ、住宅の外壁(家屋外壁)等にあっては外観の劣化させることから、それらを防止する上で、抗菌処理は有用であるが、抗菌剤は屋外暴露による飛散や劣化、塩素濃度、酸性・アルカリ性によりその効力を失活するものが多く、防曇処理剤や防汚処理剤において、適当な抗菌剤を選択することは容易でない。
【0013】
本発明は、上記の諸点に留意してなされたものであり、ビニールハウス、温室等の防曇処理や家屋外壁の防汚処理に好適なコーティングタイプの親水性コート剤であって、安価な珪酸ソーダ[NaO・2(SiO)]を用いた1液式の親水性コート剤およびその使用方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記した目的を達成するために、本発明の親水性コート剤は、1〜70重量部の珪酸ソーダ[NaO・2(SiO)]と、0.5〜30重量部の低分子親水性有機化合物とを主成分とする水溶液からなり、前記低分子親水性有機化合物は、少なくともカルボン酸基、カルボン酸塩基、ヒドロキシ基、アミド基、アミノ基、アンモニウム塩基の一つを有し、炭素数が1〜18の親水性化有機合物であることを特徴としている(請求項1)。
【0015】
また、本発明の親水性コート剤は、請求項1の構成において、さらに、少なくともカルボン酸基、ヒドロキシ基、リン酸基、硫酸基、アミド基又はアミノ基の一つを有する0.1〜15重量部の増粘剤を含有することを特徴としている(請求項2)。
【0016】
また、本発明の親水性コート剤は、請求項2の構成において、さらに、前記珪酸ソーダと反応して前記親水性コート剤を増粘させるとともに、増粘剤と反応してさらなる増粘効果を発揮させる金属イオン化合物を0.1〜15重量部含有することを特徴としている(請求項3)。
【0017】
また、本発明の親水性コート剤は、さらに、四級アンモニウム塩有機化合物を0.005〜1重量部含有することを特徴としている(請求項4)。
【0018】
つぎに、本発明の親水性コート剤の使用方法は、請求項1〜4のいずれかに記載の親水性コート剤を水で希釈した希釈液を、農業用フィルム、農業用ガラス、家屋外壁等のコーティング対象物の少なくとも片面に塗布することを特徴としている(請求項5)。
【発明の効果】
【0019】
本発明の親水性コート剤の場合、主成分として、安価な珪酸ソーダ[NaO・2(SiO)]が1〜70重量部と、少なくともカルボン酸基、カルボン酸塩基、ヒドロキシ基、アミド基、アミノ基、アンモニウム塩基の一つを有し、高分子有機化合物に比して安価な炭素数が1(ギ酸など)〜18(ステアリン酸(C1735COOH)など)の低分子親水性有機化合物が0.5〜30重量部とを含有する1液式の水溶液であり、1つの容器に安価な水溶液を収容して形成され、輸送や保管等の経費か安く、しかも、使用に際して現場で2液を混合する必要がなく、また、希釈する水はどのようなものであってもよく、しかも、使用する際の2液混合作業による混合比の間違い、混合の手順による効果の発現差等が無くて取り扱いが容易である。
【0020】
そして、農業用フィルム等の内側面や外側面、住宅の外壁面に塗布されて乾燥すると、それらの塗布面に薄いガラス体の膜として強固に貼り付き、前記塗布面をコーティングする。このとき、前記ガラス体に担持された炭素数が1(ギ酸など)〜18(ステアリン酸(C1735COOH)など)の低分子親水性有機化合物は、高分子有機化合物に比して安価であり、ガラス体に担持されることにより、前記塗布面に一様に分布して前記塗布面に強固に係止する。そして、前記塗布表面に水滴や雨滴が付着すると、低分子親水性有機化合物の親水性により、水滴や雨滴は大きくならずに前記塗布面を均等に濡らして流滴し、防曇や防汚の効果を発揮する。なお、防曇効果や防汚効果が薄れてきたときには、親水性コート剤を再度塗布すれば簡単に効果が回復する。
【0021】
したがって、ビニールハウスや温室の防曇処理や家屋外壁の防汚染処理に好適なコーティングタイプの親水性コート剤であって、珪酸ソーダ[NaO・2(SiO)]を用いた安価で取り扱いが容易な1液式の親水性コート剤を提供することができる。
【0022】
また、本発明の親水性コート剤の場合、さらに一定量の増粘剤を加えることにより、塗布時および付着乾燥後の珪酸ソーダの層と基材フィルム等との粘着性が向上して基材としての農業用フィルム等に一層強固に付着してコーティング層の耐久性が向上する。また、増粘剤の含有水分量が多いため、農業用フィルム等の前記塗布面に生じた水滴や雨滴に対する防曇効果(親水性)が一層向上し、防曇効果や防汚効果が一層向上する。
【0023】
また、本発明の親水性コート剤の場合、前記増粘剤とともに、一定量の金属イオン化合物を加えることにより、珪酸ソーダまたは、カルボン酸基、硫酸基、リン酸基を有する増粘剤と金属イオン化合物が反応してさらなる増粘性が発揮される。この場合、前記増粘剤の量を少なくしても十分な効果が得られる。
【0024】
さらに、本発明の親水性コート剤の場合、さらに四級アンモニウム塩有機化合物を一定量添加することにより、防曇効果や防汚効果とともに抗菌効果を発揮する従来にない1液式の親水性コート剤を提供することができる。
【0025】
また、本発明の親水性コート剤の使用方法においては、請求項1〜4のいずれかに記載の親水性コート剤を水で希釈して農業用フィルム等のコーティング対象物の少なくとも片面に塗布すればよいので、親水性コート剤を濃縮タイプにしてその容器の小型化等を図ることができると共に、使用する際には必要量を水で適当に適希釈して使用することができ、その際、希釈する水を選ぶこともなく、親水性コート剤の取り扱いが一層容易になる利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0026】
つぎに、本発明を詳細に説明する。
【0027】
本発明の親水性コート剤は、1〜70重量部の珪酸ソーダ[NaO・2(SiO)]と、0.5〜30重量部の低分子親水性有機化合物とを主成分とする1液式の水溶液からなり、低分子親水性有機化合物は、少なくともカルボン酸基、カルボン酸塩基、ヒドロキシ基、アミド基、アミノ基、アンモニウム塩基の一つを有する炭素数が1〜18の親水性化有機合物である(請求項1対応)。
【0028】
そして、親水性コート剤は、原液のまま、あるいは、好ましくは水(水道水等)で適当に(例えば20〜40倍に)希釈して、ビニールハウスの農業用フィルムや温室の農業用ガラスの少なくとも防曇処理が必要な(水滴が形成され易い)内側面(片面)(又は内側面と外側面(両面))や、防汚処理が必要な家屋外壁面等、すなわち、コーティング対象物の塗布面に噴霧等して塗布される。
【0029】
塗布された親水性コート剤の珪酸ソーダ[NaO・2(SiO)]は、低分子親水性有機化合物を担持する安価で安定性の高い無機材であり、水ガラス(SiOをNaOHで溶解した透明な粘着液(コロイド液ではない))とも呼ばれるものである。
【0030】
そして、前記塗布面に親水性コート剤が塗布されると、珪酸ソーダは乾燥することによって前記塗布面にガラス体の膜を形成し、前記塗布面に強固に貼り付いて前記塗布面を薄い膜で一様にコーティングする。
【0031】
親水性コート剤の低分子親水性有機化合物は、炭素数1(ギ酸など)〜18(ステアリン酸(C1735COOH)など)の親水性化合物であり、塗布された親水性コート剤が乾燥すると、珪酸ソーダのガラス体内に一様に分散して担持され、前記塗布面における親水性のコーティングを形成し、前記塗布面に付着した水滴や雨滴はその親水性により前記親水性のコーティング面を濡らして流滴化される。
【0032】
そのため、本発明の親水性コート剤がビニールハウスの農業用フィルムや温室の農業用ガラスの内側等に防曇剤として塗布された場合には、水滴が植物等に落下することがなく、良好な防曇効果を発揮する。また、本発明の親水性コート剤がビニールハウスの農業用フィルムや温室の農業用ガラスの外側や家屋外壁等に塗布してコーティングされた場合は、雨滴を流滴し、同時に、壁面に付着した塵埃等も流して良好な防汚効果を発揮する。
【0033】
前記低分子親水性有機化合物の例としては、例えば以下の(A1)〜(A6)の脂肪族有機化合物が挙げられる。なお、低分子親水性有機化合物は、例示したこれらの脂肪族有機化合物に限るものではない。また、芳香族を含む有機化合物は、一般的に有害な化合物が多いため、低分子親水性有機化合物としては適当でなく、低分子親水性有機化合物からは除外される。
【0034】
(A1)カルボキシル基のみを有する脂肪族有機化合物
ギ酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、フマル酸、グルタル酸、グルタコン酸、アジピン酸、アコニット酸、ピルビン酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプトン酸、エナント酸、カプリル酸、ベラルゴン酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、バルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸等又はそれらの塩、あるいは、無水カルボン酸(無水コハク酸等)、あるいは、グリセルアルデヒド、エリトロース、グルコース、アラビノーズ、ガラクトーズ等のアルドース類、あるいはその誘導体であるアルドン酸類、ウロン酸類、アルダン酸類等又はそれらの塩。
【0035】
(A2)カルボンキシル基とヒドロキシ基を有する脂肪族有機化合物
クエン酸(下記式(1))、グルコン酸(下記式(2))、酒石酸(下記式(3))、リンゴ酸、乳酸等又はそれらの塩、あるいはそれらの無水物。
【0036】
【化1】

【0037】
【化2】

【0038】
【化3】

【0039】
(A3)カルボキシル基とアミノ基を有する脂肪族有機化合物(いわゆるアミノ酸)
グリシン(下記式(4))、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、アミノ酪酸、グリシン、クレアチン、カイニン酸、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、プロリン、セリン、トレオリン、バリン等又はそれらの塩。
【0040】
【化4】

【0041】
(A4)ヒドロキシ基とアミノ基を有する脂肪族有機化合物
エタノールアミン、ジエタノールアミン(下記式(5))、トリエタノールアミン
ジエタノールアミン等又はそれらの塩、あるいは、カナマイシン等のアミノグルコキシド類。
【0042】
【化5】

【0043】
(A5)アミド基を有する脂肪族有機化合物
アセトアミド、尿素、カルバミン酸、ジメチルホルムアミド等。
【0044】
(A6)ヒドロキシ基を有する脂肪族有機化合物
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブタントリオール等、あるいは、グリセリン、エリトリトール、キシリトール等のアルジトール類、フルクトース等のケトース類、ピラノース類、フラノース類等、あるいは、グルコース等の単糖類、スクロース、ショ糖等の二糖類、ラフィノース等の三糖類等。
【0045】
これらの低分子親水性有機化合物は、炭素数が19以上の親水性高分子ポリマーに比して、安価であり、親水基の比率も高く、水滴や雨滴に対して良好な親水性を示す。例えば、低分子親水性有機化合物の一例である炭素数が6のクエン酸は、一分子中に4つの親水基(OH基とCOOH基)を有し、親水基の比率が高く、水滴や雨滴に対して良好な親水性を示す。
【0046】
本発明の親水性コート剤において、珪酸ソーダを1〜70重量部、低分子親水性有機化合物を0.5〜30重量部としたのは、珪酸ソーダをコーティング層の基材とし、低分子親水性有機化合物を添加し親水性を持たせるが、低分子親水性有機化合物の含有量が多い場合はコーティング層がガラス体となりづらいため、珪酸ソーダより適度に少ないことが必要だからである。また低分子親水性有機化合物がカルボン酸等の酸性を示す化合物の場合は、その添加量により珪酸ソーダがシリカゲル類としてゲル化する場合があるので、珪酸ソーダに比べてより少ない添加量となるが、これはカルボン酸等の酸性を示す化合物の添加による部分的なシリカゲルの生成が、より良好な親水性と速乾性を発揮させるからと考えられる。
【0047】
ところで、種々の実験等から、珪酸ソーダの添加量を有機物(とくに増粘剤)に対して減らした方が、親水性コート剤の膜の強度が増してより長時間効果が持続することが判明した。そして、珪酸ソーダは10重量部より少なくした方が好ましい場合もあり、例えば低分子親水性有機化合物量が最低添加量0.5重量部、増粘剤が最低添加量0.1重量部である場合には、珪酸ソーダは10重量部ではなく1重量部程度である方が乾燥後の親水性コート剤の膜(複合膜)の耐久性が向上して長期間親水性効果が持続する。そのため、珪酸ソーダについては、10重量部より少ない範囲をカバーするように、1〜70重量部としている。
【0048】
そして、1〜70重量部の珪酸ソーダ[NaO・2(SiO)]と、0.5〜30重量部の低分子親水性有機化合物とを主成分とする本発明の親水性コート剤は、珪酸ソーダにより担持されて前記塗布面に一様に分布した低分子親水性有機化合物により、前記塗布面を良好な親水性面にして、ビニールハウスや温室の防曇処理および、家屋外壁面の防汚処理を確実に行なうことができる。なお、防曇効果や防汚効果が薄れてきたときには、親水性コート剤を再度塗布することにより、安価に前記塗布面の親水性を回復できる。
【0049】
そのため、ビニールハウスや温室の防曇処理や家屋外壁の防汚染処理に好適なコーティングタイプの親水性コート剤であって、容器が1つで済み、かさばらず、また、2液式のような使用に際しての混合処理が不要であり、しかも、塗布し直すことで安価に効果が回復する、安価な珪酸ソーダを用いた従来にない安価で取り扱いが容易な親水性コート剤を提供することができる。
【0050】
そして、とくに希釈して使用する場合は、容器が一層小型になって取り扱いが容易になる等の利点がある。また、使用する際には水で希釈して簡単に必要量を得ることができ、使用後の保管に場所をとらない利点もある(請求項5対応)。なお、実用上は、前記したように20〜40倍の希釈倍率にすることが好ましい。また、本発明の親水性コート剤の場合、主成分が珪酸ソーダであるためコロイダルシリカ等を主成分とする場合に比べて、希釈する水は反応を考慮して選ぶ必要がなく水道水や井戸水等であってよい。
【0051】
(増粘剤、金属イオン化合物の含有)
つぎに、前記親水性コート剤は、さらに、少なくともカルボン酸基、ヒドロキシ基、リン酸基、硫酸基、アミド基又はアミノ基の一つを有する0.1〜15重量部の増粘剤を添加して含有することが好ましい(請求項2に対応)。また、増粘剤とともに、0.1〜15重量部の金属イオン化合物を添加してさらなる増粘性を発揮させることも好ましい(請求項3対応)。
【0052】
添加する増粘剤は、グアーガムやキサンタンガムなどの多糖類でヒドロキシ基およびカルボン酸基等で構成される天然系のものであってもよく、天然系に化学修飾した半合成系であってもよく、ヒドロキシ基、カルボン酸基、アミド基、アミノ基、リン酸基、硫酸基等を含むビニルモノマーを重合させて形成される合成系のものであってもよい。
【0053】
そして、増粘剤を含有することにより、親水性コート剤は、塗布乾燥後の珪酸ソーダの層と基材フィルム等との粘着性が向上して基材としての農業用フィルム等に一層強固に付着し、コーティング層の耐久性が向上する。また、増粘剤の含有水分量が多いため、農業用フィルム等の前記塗布面に生じた水滴や雨滴に対する防曇効果(親水性)が一層向上し、防曇効果や防汚効果が一層向上する。
【0054】
ところで、増粘剤の添加量(含有量)を0.1〜15重量部としたのは、増粘剤は少量の添加量で増粘効果を示すものが多いが、天然系の中にはゼラチン、寒天などの増粘効果の比較的低い増粘剤もあり、選択する増粘剤により適量を選択する必要があるからである。
【0055】
増粘剤としては、例えば以下の(B1)、(B2)、(B3)、(B4)が挙げられる。また、これらを複合したもの(組み合わせたもの)を増粘剤として使用することも考えられる。
【0056】
(B1)天然系の増粘剤
グアーガム、スターチ、アラビアガム、キサンタンガム、ゼラチン、コラーゲン、タマリンドシードガム、寒天、カラギーナン、ペクチン、プルラン、大豆多糖類、ローカストビーンガム、グルコマンナン、キトサン、リグニン、へミセルロース等。
【0057】
(B2)半合成系の増粘剤(天然系を化学修飾したもの)
ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、可溶化スターチ、カチオン化グアーガム、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム等。
【0058】
(B3)合成系の増粘剤
ポリカルボキシビニルポリマーおよびその塩、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの下記一般式(6)で表示される有機化合物。
【0059】
【化6】

【0060】
ポリビニルスルホン酸、ポリビニルリン酸およびその塩などの下記一般式(7)で表示される有機化合物。これらの有機化合物は、前記一般式(6)で表示される有機化合物と同様の増粘効果を有し、しかも前記一般式(6)で表示される有機化合物に比べて親水性の発現が強い。
【0061】
【化7】

【0062】
さらには、ポリビニルピロリドン、エチレンビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンイミン、ポリエーテルエステルアミド、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合体、ポリヒドロキシブチレート、水系ウレタン樹脂、水系フェノール樹脂、水系ウレタンアクリル樹脂などの有機化合物。
【0063】
(B4)無機系増粘剤
ベントナイトをはじめとする無機系増粘剤も本発明の増粘剤として利用することができる。すなわち、これらの無機系増粘剤には天然のものと合成されたものがあるが、一般に水溶液中で粒子として存在し、粒子表面の水酸基により粒子間で水素結合を形成することにより増粘性を発揮し、または、粒子表面の電荷による静電相互作用により増粘性を発揮する。そのため、この種の無機系増粘剤も有機系の増粘剤と同様に本発明の増粘剤として利用可能である。
【0064】
前記無機系増粘剤の具体例としては、ベントナイト、タルク、セピオライト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム等の天然石を粉砕したもの、またそれらを精製または変性したもの、さらにはLAPONITE(ロックウッドアディティブズ社)等の合成ベントナイト等が挙げられる。
【0065】
つぎに、増粘剤とともに金属イオン化合物を添加してさらなる増粘性を発揮させる場合は、親水性コート剤に、カルボン酸基、硫酸基、リン酸基を有する増粘剤を添加するとともに、珪酸ソーダおよびカルボン酸基、硫酸基、リン酸基を有する増粘剤と反応して増粘させる0.1〜15重量部の金属イオン化合物を添加する。
【0066】
具体的には、珪酸ソーダはカルシウムイオンと反応してセメントの成分である珪酸カルシウムを生成することから、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム等のカルシウムイオン化合物を、カルボン酸基、硫酸基、リン酸基を有する増粘剤とともに、親水性コート剤に0.1〜15重量部添加し、ゲル化した珪酸カルシウムを増粘剤として生成して親水性コート剤に含有し、珪酸ソーダと反応して増粘性を発揮させるとともに、前記増粘剤と反応してさらなる増粘効果を発揮させる。また、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン等についてもカルシウムイオンと同様の効果が期待されることから、金属イオン化合物として、これらのイオン性化合物を0.1〜15重量部添加しても同様の増粘効果が期待される。
【0067】
また、亜鉛イオン等はカルボン酸含有増粘剤と反応して増粘性を発現することがアイオノマー等の技術分野で周知であることから、前記金属イオン化合物として、硫酸亜鉛、塩化亜鉛等の亜鉛イオン化合物を0.1〜15重量部添加し、カルボン酸含有増粘剤と亜鉛イオンによる錯体を生成して増粘性を発揮するようにしてもよい。また、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン等についても亜鉛イオンと同様の効果が期待されることから、前記金属イオン化合物として、これらのイオン性化合物を0.1〜15重量部添加しても同様の増粘効果が期待される。
【0068】
(抗菌剤の添加)
前記親水性コート剤は、さらに、抗菌剤として四級アンモニウム塩化合物を0.005〜1重量部含有することが好ましい(請求項5対応)。抗菌剤は、銀イオン、カルボン酸系、低分子アルコール系など多種のものが使用されているが、屋外暴露による飛散および劣化、希釈水の高塩素濃度、アルカリ性条件下で使用できる抗菌剤は限定される。
【0069】
本発明の親水性コート剤は、抗菌剤として、屋外暴露、希釈水の高塩素濃度、アルカリ性条件下で使用できる四級アンモニウム塩化合物を0.005〜1重量部含有することにより、防曇処理や防汚処理と同時に、農業用ビニールや農業用ガラス、家屋外壁の抗菌処理も行なえる。
【0070】
四級アンモニウム塩化合物としては、例えば以下の(C1)〜(C6)の例が挙げられる。
【0071】
(C1)<ベンゼトニウム>
塩化ベンゼトニウム(例えばロンザジャパン(株)の「HYAMINE(ハイアミン)1622」)。
【0072】
(C2)<ベンザルコニウム>
塩化ベンザルコニウム液(例えばロンザジャパン(株)の「HYAMINE(ハイアミン)3500−J」)、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(例えばロンザジャパン(株)の「BARQUAT(バークオート)MB−80/50」)、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(例えばロンザジャパン(株)の「BARQUAT(バークオート)MS−100」)、アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロライド/アルキルジメシルベンジルアンモニウムクロライド混合物(例えばロンザジャパン(株)の「BARQUAT(バークオート)4280−Z/4250−Z」)、アルキルジメチルメチルベンジルアンモニウムクロライド/アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライドコンプレックス(例えばロンザジャパン(株)の「BARQUAT(バークオート)1552」)、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(例えばロンザジャパン(株)の「BARQUAT(バークオート)MX−80/50」)。
【0073】
(C3)<ジアルキルジメチル>
ジデシルジメチルアンモニウムクロライド(例えばロンザジャパン(株)の「BARDAC(バーダック)2280/2250」)、ジアルキル(C8/C8、C8/C10、C10/C10)ジメチルアンモニウムクロライド/塩化ベンゼルコニウム混合物(例えばロンザジャパン(株)の「BARDAC(バーダック)208M/205M」)、デシルイソノニルジメチルアンモニウム塩(例えばロンザジャパン(株)の「BARDAC(バーダック)2170P」)。
【0074】
(C4)<低泡性タイプ>
ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド(例えばロンザジャパン(株)の「BARDAC(バーダック)LF−80」)。
【0075】
(C5)<ノンクロリンタイプ>
チルアンモニウムカーボネート(例えばロンザジャパン(株)の「Carboquat(コーボクオート)」)、ジデシルメチルポリオキシエチレンアンモニウムプロピネート(例えばロンザジャパン(株)の「BARDAP(バーダップ)26」)。
【0076】
(C6)<その他>
アルキルベンジルイミダゾリウム塩(例えばロンザジャパン(株)の「UNIQUAT(ユニクオート)CB−50」)。
【0077】
なお、抗菌剤として四級アンモニウム塩化合物の添加量を0.005〜1重量部としたのは、四級アンモニウム塩化合物は500ppm程度の極少量で抗菌効果を発現するが、持続性を持たせるために多めに添加し、流滴する水に流されても効果が長時間持続するように添加量を調整するためである。
【実施例】
【0078】
つぎに、具体的な実施例について、説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0079】
(第1の実施例[親水性の効果を確認する実施例])
本実施例においては、珪酸ソーダ(富士化学工業(株)製の1号珪酸ソーダ)300gに水(例えば水道水)660gを加え、攪拌しながら低分子親水性有機化合物としてのクエン酸30gと界面活性剤(ライオン(株)製の商品名「チャーミーVクイック」)10gを添加し、30重量部(wt%)の珪酸ソーダと、3重量部(wt%)のクエン酸の低分子親水性有機化合物とを主成分とする透明溶液(原液)の親水性コート剤1kgを得た。また、同様にして、低分子親水性有機化合物を全く加えない親水性コート剤(珪酸ソーダと界面活性剤のみの親水性コート剤)、低分子親水性有機化合物として0.5重量部(wt%)のクエン酸を含有した親水性コート剤、低分子親水性有機化合物として3重量部(wt%)、0.5重量部(wt%)のグルコン酸を含有した親水性コート剤、低分子親水性有機化合物として3重量部(wt%)の酢酸、グリシン、ジエタノールアミンそれぞれを含有した原液の親水性コート剤も得た。
【0080】
さらに、得られた原液の各親水性コート剤をそれぞれ30倍の水(30kg)で薄めて希釈し、これらの希釈液をそれぞれ平らな金属バットに入れ、金属バットの希釈液に10cm角の農業用フィルム(アキレス(株)製の商品名「アキレスハイベール」の農業用PO(ポリオレフィン)フィルム)を浸し、両面に各親水性コート剤それぞれが塗布された状態の農業用フィルムを形成した。
【0081】
さらに、これらの農業用フィルムそれぞれを約4時間天日乾燥して各親水性コート剤それぞれが両面にコーティングされたのを確認した後、それらの農業用フィルムを、水のみを入れた金属バットに入れてそれぞれの両面を水に浸し引上げ、水の被膜が各農業用フィルムのコーティングされた両面に形成されるか否か(流滴性があるか否か)を確かめて各親水性コート剤の親水性の効果の有無を判定した。
【0082】
なお、参考例として、みかど化工(株)より防曇・防霧剤として販売されている2液式の親水性コート剤(商品名「ヌルトボードン」)を塗布した場合についても同様にして親水性の効果の有無を判定した。
【0083】
その結果、つきの表1の判定結果が得られた。なお、表1の添加量は希釈前(濃縮状態)の濃度である。さらに、表1中の参考例が前記2液式の親水性コート剤を塗布した場合を示す。
【0084】
【表1】

【0085】
表1からも明らかなように、本発明の1液式の親水性コート剤を塗布した場合、良好な親水性が得られ、良好な防曇効果、防汚効果を発揮することが確かめられた。
【0086】
(第2の実施例[増粘剤を添加した実施例])
本実施例においては、珪酸ソーダ(富士化学工業(株)製の1号珪酸ソーダ)300gに水660gを加え、攪拌しながら低分子親水性有機化合物としてのクエン酸(キシダ化学(株)製の無水クエン酸)30gおよび、後述する増粘剤(または金属イオン化合物としての塩化アルミニウムと増粘剤)、界面活性剤を添加して、30重量部(wt%)の珪酸ソーダと、3重量部(wt%)のクエン酸の低分子親水性有機化合物とを主成分とし、さらに、0.1〜0.6重量部(wt%)の増粘剤、必要に応じて0.1重量部(wt%)の塩化アルミニウム、を添加した透明溶液(原液)の親水性コート剤1kgを得た。
【0087】
添加した増粘剤は、キサンタンガム(ユングブンツウラーAG社製のキサンタンガムFJグレード)3gまたは1g、又は、カルボキシビニルポリマー(日光ケミカルズ(株)製の商品名「カーボポールETD2050」)6gまたは1g、又は、グアーガム(MRCポリサッカライド(株)製の精製グアーガム)3gまたは1g、又は、合成ベントナイト(ロックウッドアディティブズ社製のLAPONITE)1gである。金属イオン化合物としての塩化アルミニウムは0.1g、界面活性剤はライオン(株)製の商品名「チャーミーVクイック」)10gである。
【0088】
さらに、得られた各親水剤水溶液をそれぞれ5倍の水(5kg)で薄めて希釈し、これらの希釈液をそれぞれ平らな金属バットに入れ、金属バットの希釈液に第1の実施例と同じ10cm角の農業用フィルムを浸し、両面に各親水性コート剤それぞれが塗布された状態の農業用フィルムを形成した。
【0089】
さらに、これらの農業用フィルムそれぞれを約24時間天日乾燥して各親水性コート剤それぞれが両面にコーティングされたのを確認した後、それらの農業用フィルムの表面を修正カバーテープ(三菱鉛筆(株)の修正カバーテープ「CLK−15」)を貼って引き剥がし、そのとき親水性コート剤のコーティング層が剥がれるか否かによってテープ剥離テストを行ない、親水性コート剤のコーティング層の皮膜の密着性が増粘剤によって向上したか否かを確認した。
【0090】
その結果、つきの表2の確認結果が得られた。なお、表2の添加量は希釈前(濃縮状態)の増粘剤の重量部(濃度)である。また、表2の「×」は親水性コート剤のコーティング層の密着性が低い(コーティングが剥離した)ことを示し、「○」は親水性コート剤のコーティング層の密着性が高い(コーティングが剥離しなかった)ことを示す。
【0091】
【表2】

【0092】
表2からも明らかなように、増粘剤(または金属化合物と増粘剤)を加える(添加する)ことで本発明の1液式の親水性コート剤は、塗布乾燥後の珪酸ソーダの層と基材フィルムとの粘着性が向上して基材としての農業用フィルム等に一層強固に付着してコーティング層の耐久性が向上することが確かめられた。そして、増粘剤の含有水分量が多いため、農業用フィルム等の前記塗布面に生じた水滴や雨滴に対する防曇効果(親水性)が一層向上し、防曇効果や防汚効果が一層向上する。なお、増粘剤は一般的に1wt%程度の添加量でゲル化するが、酸性・アルカリ性にすることにより増粘性が和らげるもの(カルボキシビニルポリマーなど)がある。したがって、このような場合には添加量を多くすることが好ましい。
【0093】
(第3の実施例[四級アンモニウム塩有機化合物(抗菌剤)を添加した実施例])
本実施例においては、珪酸ソーダ(富士化学工業(株)製の1号珪酸ソーダ)300gに水660gを加え、攪拌しながら低分子親水性有機化合物としてのクエン酸(キシダ化学(株)製の無水クエン酸)30g、増粘剤(キサンタンガム(ユングブンツウラーAG社製のキサンタンガムFJグレード)3g、又は、カルボキシビニルポリマー(日光ケミカルズ(株)製の商品名「カーボポールETD2050」)6g、又は、グアーガム(MRCポリサッカライド(株)製の精製グアーガム)3g、界面活性剤(ライオン(株)製の商品名「チャーミーVクイック」)10gを添加して透明溶液1kgを得た。さらに、この透明溶液に四級アンモニウム塩有機化合物(抗菌剤)(ロンザジャパン(株)のBARDAC(バーダック)2280、又は、同社のCarboquat(コーボクオート)、又は、同社のBARDAP(バーダップ)26)0.15gを添加した。これにより、30重量部(wt%)の珪酸ソーダと、3重量部(wt%)のクエン酸の低分子親水性有機化合物とを主成分とし、さらに、0.3〜0.6重量部(wt%)の増粘剤および0.005〜0.015重量部(wt%)の四級アンモニウム塩有機化合物(抗菌剤)を添加した透明溶液(原液)の親水性コート剤1kgを得た。
【0094】
さらに、得られた各親水剤水溶液を30倍の水(30kg)で薄めて希釈し、この希釈液を平らな金属バットに入れ、金属バットの希釈液に第1、第2の実施例と同じ10cm角の農業用フィルムを浸し、増粘剤および四級アンモニウム塩有機化合物(抗菌剤)を添加した親水性コート剤が両面に塗布された状態の農業用フィルムを形成した。
【0095】
さらに、この農業用フィルムを約24時間天日乾燥して親水性コート剤が両面にコーティングされたのを確認した後、実際にコケの生えている屋外環境に、親水性コートを形成していない農業用フィルム(コート無しフィルム)と共に、該コート無しフィルムにコケが生えるまで放置し、抗菌効果確認の暴露試験を行った。
【0096】
その結果、つきの表3の試験結果が得られた。なお、表3の添加量は希釈前(濃縮状態)の増粘剤の重量部(濃度)である。
【0097】
【表3】

【0098】
表3からも明らかなように、四級アンモニウム塩有機化合物を加える(添加する)ことで本発明の1液式の親水性コート剤は、十分な抗菌効果も奏することが確かめられた。なお、表3の「×」は親水性コート剤の塗布された農業用フィルム表面にコケが生えたことを示し、「△」は一部コケが生えたことを示し、「○」は全くコケが生えなかったことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1〜70重量部の珪酸ソーダ[NaO・2(SiO)]と、0.5〜30重量部の低分子親水性有機化合物を主成分とする水溶液からなり、
前記低分子親水性有機化合物は、少なくともカルボン酸基、カルボン酸塩基、ヒドロキシ基、アミド基、アミノ基、アンモニウム塩基の一つを有し、炭素数が1〜18の親水性化有機合物であることを特徴とする親水性コート剤。
【請求項2】
請求項1記載の親水性コート剤において、
さらに、少なくともカルボン酸基、ヒドロキシ基、リン酸基、硫酸基、アミド基またはアミノ基の一つを有する増粘剤を0.1〜15重量部の増粘剤を含有することを特徴とする親水性コート剤。
【請求項3】
請求項2記載の親水性コート剤において、
さらに、前記珪酸ソーダと反応して増粘性を発揮させるとともに、前記増粘剤と反応してさらなる増粘効果を発揮させる金属イオン化合物を0.1〜15重量部含有することを特徴とする親水性コート剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の親水性コート剤において、
さらに、四級アンモニウム塩有機化合物を0.005〜1重量部含有することを特徴とする親水性コート剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の親水性コート剤を水で希釈した希釈液を、農業用フィルム、農業用ガラス、家屋外壁等のコーティング対象物の少なくとも片面に塗布することを特徴とする親水性コート剤の使用方法。

【公開番号】特開2011−68857(P2011−68857A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158385(P2010−158385)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(595046919)丸善薬品産業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】