説明

親水性及び/又は親油性分子をカプセル化するための、水性コア脂質ナノカプセル

本発明は、水層に直径範囲が20〜500nmの粒子(P)を含んでなり、当該粒子が、
油相;ここで、当該油相中に、水性液滴;又は水性コア及びポリマーシェル又は両親媒性物質からなるシェルを含んでなるナノカプセル(NC)があり、及び界面活性剤、を含有する組成物に関する。本組成物は、親水性及び/又は親油性の物質をカプセル化するために特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性コア脂質ナノカプセルを含んでなる新規な組成物、その製造方法及び親水性及び/又は親油性分子をカプセル化するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノカプセル(NC)は、一般的にコアシェル構造を呈するコロイド状物体として記載され、当該コアは薬物のリザーバーとして、及び当該シェルは保護膜として機能する。NCシステムは、この数十年間、薬物送達のための非常に見込みある潜在的担体であるばかりでなく、治療的及び診断的応用、例えば造影剤として、非常に興味深いコロイドであることがわかっている。従来のナノスフェア及びナノ粒子と比べて、かかる薬物担体の強力な利点には、以下の点があると考えられる。(i)最適化した薬物溶解性による、当該ナノ粒子コアへの薬物カプセル化の効率の高さ、(ii)ポリマーナノスフェアと比較して、顕著に低いポリマー含量、及び(iii)カプセル化される薬物がNCコアに「保護され」、薬物それ自身を潜在的な分解から保護していると考えられること、である。
【0003】
2つの根本的に異なる種のNCは、その液体コアを構成する物質、つまり油性コア又は水性コアいずれか一方のナノカプセルであって、水連続相に分散したその両方の性質により規定される。実際、最もよく出会うシステムを構成するのは、前者の分類(油性コアNC)であり、一般的には、水中油ナノエマルション系から、インサイチュ(in situ)の界面ポリマーシェル合成か、又は事前に形成されたポリマーのナノ沈殿化という、水バルク相でより容易な調製方法による。
【0004】
ただし、これらの油性コアNCシステムは、親油性種のカプセル化にのみ有用であるので、親水性種をカプセル化するために、水性バルク相中に分散した水性コアナノカプセルを作製する多くの試みが(現在の研究として)近年なされている。その点で、転位微細分散エマルションの界面重合(Lambert, G. et al., 2000; Lambert, G. et al., 2000)、又は油中水マイクロエマルション(Hillaireau, H. et al., 2006)から、水性コアポリメオロソーム(polymerosome)ナノ構造を形成する、脂質間のインサイチュ重合によるリポソームの安定化からなる別のプロセス(Ruysschaert T. et al., 2006; Gomes, J. F. P. d. S. et al., 2006)まで、異なる戦略が行われている。
【0005】
現在、油中水ナノエマルションのテンプレートから、特に低エネルギー法で作製され、且つナノカプセルシェルである油リザーバーからも構成される新規な多機能物体を生じさせる、水性コアリザーバーナノカプセルを形成するナノ集合体の製造方法が開発されている。
【0006】
これらの水性コアナノカプセルは、親水性又は親油性種、特にもろい薬物のカプセル化と送達に特に有用である。さらに、これらは水性コア中の親水性種、及び脂質シェル中の親油性種の、高収率な同時カプセル化が可能である特別な利点も提供する。
【発明の概要】
【0007】
すなわち、第一の目的によれば、本発明は、水層に直径範囲が20〜500nmの粒子(P)を含んでなり、当該粒子が、
油相;
ここで、当該油相中に、
水性液滴;又は
水性コア及びポリマーシェル又は両親媒性物質からなるシェルを含んでなるナノカプセル(NC)があり、及び
界面活性剤
を含有する組成物の製造方法であって、
i)液滴の平均流体力学直径が10〜400nmである油中水(w/o)エマルション(E1)を調製するステップ、ここで連続相は2つの油、揮発油(O1)及び非揮発油(O2)を含有し、前記揮発油(O1)は水より揮発性が高く、前記非揮発油(O2)は水より揮発性が低い;
ii)前記エマルション(E1)の連続相に溶解し、且つ水と接触すると重合するモノマーの添加か、又は両親媒性物質の添加のいずれかにより、水性コアシェルナノカプセル(NC)を任意に形成させるステップ;及び
iii)水相の添加、及び前記揮発油(O1)の除去を行い、それにより所望の組成物を形成するステップ、
を含んでなる、製造方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の粒子(P)の組成物の製造方法の該略図。プロセスにおいて、重縮合時間tpを2時間に固定する。
【図2】本発明の粒子(P)の組成物の希釈(1/10)サンプルの、ネガティブ染色法(染色剤:酢酸ウラニル)と組み合わせたTEM。
【図3】本発明の粒子(P)の組成物の希釈(1/10)サンプルの低温TEMと、(a)、(b)、(c)で示した経路に沿った電子強度の詳細。
【図4】親水性分子のカプセル化収率における、製剤パラメータの影響。重縮合時間tpを2時間に固定した、製剤中に添加したモノマー量の効果の、メチレンブルー(MB)とBSA−FITCとの比較。
【図5】親水性分子のカプセル化収率における、製剤パラメータの影響。異なるモノマー量、0.07、0.22及び0.44 mg・mL-1でのMBに対するtpの効果。矢印は、粒子(P)調製の全体プロセスにおいて選択された時間を示す。
【図6】同時カプセル化した親水性(メチレンブルー(MB))及び親油性(レッドサウダン(Red Soudan)(RS))分子のカプセル化収率に対する、モノマー含量の影響。重縮合時間tpを2時間に固定する。
【図7】ドキソルビシン(DOX)塩化水和物のカプセル化収率に対する、モノマー含量の影響。
【図8】粒子(P)から放出されるドキソルビシン(DOX)塩化水和物の動力学。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で使用される場合、「平均直径」は全ての測定可能な測定粒子のサイズ測定値の合計を、測定粒子の総数で除したもののことを言う。
【0010】
本発明によるエマルションE1(本明細書で、「ナノエマルション」と記述されることもある)の液滴の「流体力学的平均半径」は、動的光散乱に基づく方法により、当該エマルションで行われる粒子サイズ測定によって決定される。
【0011】
粒子(P)の直径は、透過型電子顕微鏡(TEM)及び/又は低温TEM(Cryo−TEM)で行われる粒子サイズ測定によって決定される。
【0012】
ステップi)
油中水(w/o)エマルション(E1)は、非連続相として水、連続相として2つの油(O1)及び(O2)の混合物、及び界面活性剤を含んでなる。それは、当業界で既知の任意の従来手法により調製してもよく、特に、高圧ホモジナイザー又はソニファイアー(sonifier)等の高剪断装置を必要とするいわゆる高エネルギー法、及び自発的乳化(又は溶媒拡散)及び相転移温度(PIT)法等の低エネルギー法がある。
【0013】
これらの中で、特に薬物カプセル化のためには、カプセル化されるもろい分子の処理中の分解を防ぐので、低エネルギー法、及びより具体的にはPIT法が好まれる。
【0014】
PIT法は、Shinoda及びSaitoにより30年前に導入され(Shinoda, K. et al., 1968; Shinoda, K. et al., 1969)、そして基本的には水中油エマルションの調製のために報告されている、有機溶媒を使用しない方法である。本方法は、熱感受性非イオン界面活性剤により、水/油エマルションを安定化からなり、温度の関数として、2つの非混合相に対するそれ自身の溶解性の変化を見る。この中で、マクロエマルション全体が、固定した組成物で、温度の緩やかな変化がサンプルに適用される場合に、一時的な相転位を受ける。その後、油中水(w/o)エマルションは、サンプル温度の上昇に伴って水中油(o/w)エマルションになり、減少の場合は逆のことが起きる。転相温度(PIT)では、水及び油への界面活性剤の親和性はバランスがとれており、ナノメータースケールで構築される共連続マイクロエマルションが形成される。このことから、油/水エマルションの調製に応用され、動力学的に安定なナノエマルション液滴を形成する付可逆的方法に取り込まれた「PIT法」の本質は、PITで急速冷却及び/又は突然の水希釈を行うことによる、共連続ナノメーターネットワーク等の突然の分散にある。
【0015】
発明者等は、油連続相においてナノエマルションを発生させるために修正及び適合させた、PIT法を基にした方法の開発を近年行っている。当該プロセスは、主に、(i1)PIT周辺で温度を循環させる段階、及び(i2)迅速にナノエマルションを発生させる一時的なマイクロエマルション構造を分散させるための突然の希釈の段階に分ける。すなわち、このステップがo/wナノエマルションを作製するための希釈により通常行われる場合、一時的なマイクロエマルションを油で突然希釈し、w/oナノエマルションを形成させる。
【0016】
すなわち、好ましい実施態様によれば、(w/o)エマルション(E1)は、PIT法により調製され、温度が転相温度(PIT)より高い場合、水より非揮発油(O2)に溶解し、温度がPITより低い場合、非揮発油(O2)より水に溶解する界面活性剤(S1)を含んでなる。
【0017】
より具体的には、(w/o)エマルション(E1)は、
i1)PIT周辺で温度を循環させることにより、非揮発油(O2);水;及び界面活性剤(S1)を含んでなる混合物から、ナノ構造共連続系(bicontinuous)を形成するステップ
i2)揮発油(O1)を添加し、それによりw/oエマルション(E1)を形成するステップ、ここで、液滴は平均流体力学的直径が10〜400nmである;及び
i3)さらなる界面活性剤(S2)を任意に添加するステップ、
を含んでなる方法により調製される。
【0018】
本明細書で使用される場合、「揮発油」なる用語は、水よりも揮発性である油を意味し、これは水よりも低く、特に50℃より低く、好ましくは25℃〜50℃の範囲の沸点を有する油である。ステップi)によるナノエマルションの調製に適する揮発油の例には、特に、イソペンタン(Bp=28℃)又はペンタン(Bp=36℃)がある。
【0019】
本明細書で使用される場合、「非揮発油」なる用語は、水よりも揮発性が低い油を意味し、これは水よりも高く、好ましくは150℃より高い沸点を有する。
【0020】
好ましくは、非揮発油(O2)は、医薬的に許容される。
本明細書で使用される「医薬的に許容される」は、適切な医療判断の範囲内で、過度の毒性、炎症、アレルギー応答、又はその他の複雑な問題がなく、ヒト及び動物の組織の接触に適する、合理的な利益/リスク比に適うもののことを言う。
好ましくは、非揮発油(O2)は、石油から得られる飽和炭化水素の混合物を表現するための標準的な呼称単位であり、有利に医薬的に許容される、いわゆる「軽油」である。
【0021】
好ましくは、O1/O2容量比は、1、特に3、及びより具体的には5超である。
【0022】
好ましくは、当該界面活性剤(S1)の転相温度(PIT)は、50℃未満である。
【0023】
好ましくは、界面活性剤(S1)は非イオン性である。好ましくは、これはポリオキシエチレン部分を含んでなり、特にPOE−300ステアレート等のポリオキシエチレンC6−C18脂肪酸エステルである。
【0024】
軽油(O2)、水及びPOE−300ステアレート(S1)からなる三成分混合物に関しては、100×水/(水+油)荷重配分比は、好ましくは30〜90の範囲であり、及び/又は(S1)界面活性剤量は、三成分の総重量に対して5〜15重量パーセント、好ましくは8〜13重量パーセントの範囲である。
【0025】
ステップi1
w/oナノエマルション(E1)に応用したPIT法のステップi1)において、三成分混合物{水/非揮発油(O2)/界面活性剤(S1)}は、熱力学的及び動力学的に非常に安定な中間段階である、ナノ構造共連続系中で構築される。
【0026】
本明細書で使用される場合、「ナノ構造共連続系」なる用語は、油相及び水相の両方が、界面に局在する界面活性分子と共に、相互に連結する連続ドメインに共存することを意味する。これらのナノ構造共連続系は、「ウィンザーIV共連続マイクロエマルション(Winsor IV bicontinuous microemulsions)」とも呼ばれる。温度循環は、基本的には、PIT超、特に最大30℃超の温度上昇、及びPITまでの温度下降からなる。このため、好ましくはPITは70℃より高くない。この温度循環は、共連続系の安定化を形成させるとともに安定化に導く。さらに、本発明者等は、サイクル数の増加に伴って、液滴直径及び多分散指数(polydispersity index)(PDI)が低下することより、得られたナノエマルション(E1)の質が向上していることを観察している。
【0027】
温度循環の加熱及び冷却速度は、重要でなく、幅広く変化させてもよい。これらはナノエマルションE1を形成するために必要なサイクル数に対し、実に少ない影響しか及ぼさない。例として、dT/dt=±1.5℃/分の加熱及び冷却速度を用いる場合、6サイクル、さらに3サイクルでも、低多分散指数のナノエマルションE1を得るのに十分な可能性がある。
【0028】
温度循環は選択されるサイクル数で達成されるので、得られる共連続系は、PIT近傍の温度で、好ましくはさらに穏和な攪拌した状態で安定化される。当該プロセスが、両親媒性物質からなるシェルを含んでなるナノカプセルを有する組成物の調製に応用される場合、当該両親媒性物質は、ステップii)で添加される代わりに、ステップi1)の最初で任意に添加されてもよいことに、留意すべきである。
【0029】
ステップi2
この後、ステップi2)において、所与の温度ですぐに半透明且つ青みがかった態様を示す共連続系を、揮発油O1で突然希釈し、w/oナノエマルションE1を、速やかに且つ不可逆的に発生させる。ここで当該連続相は、実際は揮発油O1及び非揮発油O2の混合物である。
【0030】
この希釈ステップの間の共連続系の攪拌、及び攪拌速度は、ナノ液滴形成のメカニズムに影響を及ぼさないが、その中間の均一化を向上させ且つ保証し、それにより、特に低い多分散指数を有するナノエマルションを得る。
【0031】
本方法によれば、当該揮発油O1は、好ましくは、ペンタン又はイソペンタン等の水より低い粘度を有するものである。
【0032】
一般的に、w/oナノエマルション(E1)を発生させるために、共連続系容量の少なくとも2倍の容量のO1を添加する。
【0033】
この揮発油O1は、水と比較して粘度が低い、相互に連結する共連続ドメインにいっそう速やかに浸透する、すなわち、エマルション油中水(E1)を発生させることになる。
【0034】
ステップi3
本発明によるPIT法は、ステップi3)において、さらなる界面活性剤(S2)の添加を含んでもよい。実際、ナノエマルション連続油相へのさらなる界面活性剤の添加は、懸濁物の安定化、つまり液滴の凝集プロセスの予防を不可逆的にもたらすことが観察されている。
【0035】
好ましくは、液滴の良好な安定化を保証するため、さらなる界面活性剤(S2)は、総量の30重量%〜40重量%である。
【0036】
当該界面活性剤分子(S2)は、水性液滴を包み且つ被覆し、それによりこれらの立体的安定性がもたらされると推測される。
【0037】
当該追加の界面活性剤(S2)は、ステップi1)で用いられた(S1)と同じであっても異なってもよい。
【0038】
好ましくは、当該界面活性剤(S2)は、水相よりも油相により溶解する。当該界面活性剤(S2)は、特に、POE−300ステアレート等のポリオキシエチレン脂肪酸でもよい。
【0039】
ステップii)
このようにステップi)の終了後に形成されたエマルション(E1)の水性液滴は、ステップiii)前に、「シェル」により任意に補強されてもよい。
【0040】
本発明の文脈において、「シェル」は、水性液滴を囲む層を意味し、これが水性液滴安定性を補強する。
【0041】
すなわち、当該方法の任意のステップii)において、エマルション(E1)液滴の界面は、ポリマーの二次元ネットワークにより、又は両親媒性物質により補強される。好ましい態様によれば、エマルション(E1)の液滴は、ポリマーにより補強される。
【0042】
好ましい実施態様によれば、モノマーは、界面重合を開始するよう水相と反応し、油相に可溶性、つまり水相よりも油相により可溶性であり、及び/又は界面活性剤(S1)及び/又は(S2)、又はエマルションE1に存在する任意のその他の化合物とは反応しない。
【0043】
好ましくは、当該モノマーは、2つのジイソシアネート(−N=C=O)基を含んでなる。モノマーの例としては、トリレン−2,4−ジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート又は4,4−メチル−ビス(フェニル−イソシアネート)を挙げてもよい。最も好ましくは、当該モノマーは、トリレン−2,4−ジイソシアネート(TDI)である。
【0044】
1の理論に限定することを望むものではないが、モノマー分子のイソシアネート官能基は、水滴に接触することにより、以後水より反応性が高く、別のイソシアナートモノマーと優先的に反応するアミン基を形成し、それによりポリウレアを形成すると推測される。すなわち、化学反応は段階的な重合であり、且つ伸長のためには、ポリウレア鎖は水及び油(モノマーリザーバー)の両方に連続的に接触することが必要なので、得られたポリマーシェルの厚みは、分子範囲において有利であり、且つグリッド様の界面ネットワークを形成する。
【0045】
有利なことに、ポリマー「グリッド」密度は、モノマー濃度によって変化し得ることが観察されている。モノマー含量が高いほど、形成されたポリマー「グリッド」は緊密になる。すなわち、巨大な親水性分子のカプセル化のためには、より小さい分子のカプセル化で用いるものよりも、低濃度のモノマーが必要となるはずである。
【0046】
好ましくは、エマルション(E1)の油相におけるモノマー濃度は、0.05 mg.L-1超、特に0.5 mg.L-1超であり、範囲は、特に0.6〜0.8 mg.L-1である。
【0047】
別の具体的な実施態様によれば、エマルション(E1)の液滴は、両親媒性物質により補強される。
【0048】
当該両親媒性物質には、特に、界面活性剤、合成又は生物的ポリマーがある。
【0049】
本明細書で使用される場合、「生物的ポリマー」なる用語は、天然に見出される分子であって、30モノマー単位超、典型的には最大100の個々のモノマー単位を含んでなる分子を意味すると解される。モノマー単位は、特に糖、アミノ酸及びヌクレオチドでもよい。本発明の文脈において、「生物的ポリマー」なる用語には、30以下のモノマー単位を含んでなる「バイオ−オリゴマー」もある。
【0050】
生物的ポリマーの例としては、ペプチド、コラーゲン等の(球状又は繊維状)タンパク質(アミノ酸モノマー)、セルロース、アルギニン又はキチン等の多糖(糖モノマー)、RNA及びDNA等の核酸(ヌクレオチドモノマー)を挙げることができる。
【0051】
本明細書で使用される場合、「合成ポリマー」なる用語は、典型的には、同じであっても異なってもよい、最大1000個のモノマー単位を含んでなる巨大分子のことを言う。すなわち、「合成ポリマー」なる用語には、ホモポリマー又はコポリマーがある。本発明の文脈において、合成ポリマーは、界面活性剤を含んでもよい。
【0052】
好ましくは、両親媒性物質は界面活性剤S4であり、特に非イオン性界面活性剤である。
【0053】
好ましくは、当該界面活性剤は、親水性親油性バランス(HLB)が10以上である。好ましくは、界面活性剤S4はポリソルベートであり、最も好ましくはポリソルベート80である。
【0054】
ステップiii)
この段階で、任意のステップii)により得られた系は、揮発油O1及び非揮発油O2の混合物に分散した、ポリマーシェル水性コアナノカプセル(NC)を含んでなる。あるいは、ステップii)により得られた系は、両親媒性物質からなるシェルを有する水性コアナノカプセル(NC)を含んでなる。
【0055】
別の実施態様によれば、この段階で、当該系は、揮発油O1及び非揮発油O2の混合物に分散した、エマルションE1の水性液滴を含んでなる。
【0056】
ステップiii)において、粒子(P)の組成物を、好ましくはステップii)又はi)で得られた分散体の4〜5倍の容量の水を添加することにより、及び、揮発油O1の沸点超、好ましくはE1の沸点の20℃超特の温度で加熱することにより、蒸発により、好ましくは同時に揮発油O1を除去することにより得る。
【0057】
1の理論に限定することを望むものではないが、脂質シェル水性コア粒子(P)の形成を可能にする仮説は、より具体的には、揮発油の量が非常に少なくなる場合、系の良好な均一化を可能にする揮発油を除去する、特に蒸発させるため、エネルギーが与えられているとう仮説である。非揮発油O2は、当該油に当初存在するナノカプセル(NC)に広がり、小さな水性コア脂質シェル粒子(P)が得られる。すなわち、粒子(P)のサイズは、非揮発油(O2)の残存量により有利に適合化してもよい。
【0058】
さらに、揮発油O1が蒸発する、つまり油相の容量が減少する限り、油相に可溶性の界面活性剤(S1)は、油相、特にO2中で徐々に結晶化する。最終的には、固体界面活性剤(S2)が、液滴を囲む油相に包まれ、非晶質固体界活性剤、及びポリマーシェル又は両親媒性物質(NC)により任意に保護される水性コアを包む油(O2)を含んでなるマトリクス状の脂質を形成する。
【0059】
ステップiv)
好ましい態様によれば、本方法は、水相に親水性界面活性剤(S3)を添加するステップiv)をさらに含んでなる。この追加のステップは、得られた粒子(P)を安定化及びその凝集の防止を非常に有利にさせる。
【0060】
本明細書で使用される場合、「親水性界面活性剤」は、「親水性親油性バランス(HLB)が12超、より具板的には14である界面活性剤を意味する。
【0061】
好適な親水性界面活性剤(S3)の例としては、POE600ヒドロキシステアレート((Solutol HS15(登録商標))が挙げられ、そのHLBは14〜16である。
【0062】
あるいは、本方法は、ステップiii)で得られる組成物を水でさらに希釈することからなる追加のステップを含んでもよい。
【0063】
親水性及び/又は親油性物質のカプセル化
本発明による方法により得られる粒子(P)は、親水性又は親油性物質のいずれか、又はその両方を包含してもよい。
【0064】
親水性及び親油性物質は、医薬的、診断的、化粧的、獣医学的、植物衛生的産物、又は加工食品から特に選択してもよい。親水性物質は、方法のステップi)、より具体的にはナノ構造共連続系を形成させる意図で水相に包含させてもよい。
【0065】
好ましくは、親水性物質を含有する水性溶液を、ステップi1)による共連続系の形成後、ステップi2)による揮発油O1の添加前に添加する。従って、三成分混合物{非揮発油(O2)/水/界面活性剤(S1)}が共連続系の形成させられる温度処理は、カプセル化される親水性物質に有利な影響を及ぼさない。
【0066】
好ましくは添加した水性溶液の容量は、非常に少なく、特に、共連続系の容量に対して、1〜5重量%である。すなわち、この濃縮溶液は、共連続系の水性部分を非常に急速に一体化させるとともに、ステップi2)による揮発油O1での希釈後に、当該ナノエマルションE1を同じように発生させる。
【0067】
親油性物質に関して、これらは、好ましくは界面重合ステップii)の後、ステップiii)の前に添加される。従って、揮発油の完全な蒸発の後、親油性物質は、粒子(P)の油相で等しく共有される。
【0068】
さらなる目的によれば、本発明は、水相に、直径範囲が20〜500nmの粒子(P)を含んでなり、当該粒子が、
油相;
ここで、当該油相中に、
水性液滴;又は
水性コア及びポリマーシェル又は両親媒性物質からなるシェルを含んでなるナノカプセル(NC)があり、及び
界面活性剤
を含有する組成物に関する。
この組成物は、本発明の方法により得ることができる。
【0069】
本発明のある態様によれば、粒子(P)は、油相に、任意に親水性物質を含んでなる水性液滴を含有する。この実施態様は、様々な、特に高分子量の親水性物質のカプセル化に特に適する。
【0070】
当該親水性物質の例には、特に、タンパク質、プラスミド、抗体、多糖がある。
【0071】
さらなる態様によれば、当該粒子(P)は、油相に、水性コア及びシェルを含んでなるナノカプセル(NC)を含有する。
【0072】
ある態様によれば、ナノカプセル(NC)は、両親媒性物質からなるシェルを含んでなる。
好ましい態様によれば、当該ナノカプセル(NC)はポリマーシェルを含んでなる。
【0073】
好ましくは、当該ポリマーシェルは、ポリウレアから構成される。好ましくは、当該粒子(P)のナノカプセル(NC)は、直径が、10〜400nmであり、特に透過型電子顕微鏡(TEM)及び/又は低温TEMで行われた粒子サイズ測定により決定して、約50nmである。
【0074】
好ましくは、水性コアは、親水性物質を含有する。好ましくは、油相は、親油性物質を含有する。有利なことには、本発明による組成物は、多分散指数が、0.5未満、特に約0.1であることを特徴とする。
【0075】
さらなる目的によれば、本発明は、
i1)PIT周辺で温度を循環させることにより、非揮発油(O2);水;及び界面活性剤(S1)を含んでなる混合物から、ナノ構造化共連続系を形成するステップ;及び
i2)揮発油(O1)を添加し、それによりw/oエマルション(E1)を形成するステップ、ここで、液滴は平均流体力学的直径が10〜400nmである;及び
i3)さらなる界面活性剤(S2)を任意に添加するステップ、
ここで前記非揮発油(O2)はパラフィン油であり、前記揮発油(O1)はペンタン又はイソペンタンである、
を含んでなる方法により得ることができる、油中水(w/o)エマルション(E1)に関する。
【0076】
さらなる追加の目的によれば、本発明は、
連続相としては、揮発油としてイソペンタン又はペンタン、及び非揮発油としてパラフィン油;
非連続相としては、水;及び
界面活性剤(S1)、
を含んでなる、油中水(w/o)エマルション(E1)に関する。
【0077】
好ましくは、界面活性剤(S1)はポリオキシエチレン部分を含んでなる。
【0078】
これらのエマルション(E1)は、良好な安定性を示す、すなわち、本発明の粒子(P)の安定な組成物の調製を可能にするため、特に有利である。
【0079】
さらなる目的によれば、本発明は、親水性及び/又は親油性物質をカプセル化するための、本発明の粒子(P)の組成物の使用に関する。
【実施例】
【0080】
実施例
1.材料及び方法
1.1.材料
工業グレードのポリエトキシ化界面活性剤C18E6は、Steahnehe-Dubois (Boulogne, フランス)から供与された。これは、ポアソン様エチレンオキシド(EO)分布がおよそ6である、典型的な市販品である。このかなり親油性な、すなわちEO数が少ない両親媒性物質は、「軽油」及び水プラス電解質(NACl)からなるエマルションを安定化することになる。軽油は、Cooper (Melun, フランス)から購入し、これは、石油から得られる飽和炭化水素の混合物を表現するための標準的呼称単位である。超高純度水を、MilliQ(登録商標)システム(Millipore, Saint-Quentin-en-Yvelines, フランス)により、塩化ナトリウムをProlabo (Fontenay- sous-Bois、フランス)から入手した。最終的には、流動性があり且つ揮発性の無極相も、第二油、及びプロセスの要点として使用した。25℃での絶対粘度、ηis.=0.35 mPa・s、及び沸点Bisp=28℃である、イソペンタン(2−メチルブタン)をRiedel-de-Han(ドイツ)から入手した。
【0081】
メチレンブルー(MB)、標識ウシ血清アルブミン−フルオレセインイソチオシアネート(BSA−FITC)、レッドサウダン(RS)は、シグマから購入した。
【0082】
1.2.粒子(P)の組成物の調製
粒子(P)の組成物を、以下の成分(表1)を基にし、一般手法に従って調製した。
【0083】
【表1】

【0084】
1.2.1.油中水ナノエマルション(E1)調製
「軽油」及びMillQ水(100×水/(水+油)荷重配分比:WOR=40)プラスNaCl(水中濃度:0.51 M)からなる肉眼で見えるエマルションを、PEO鎖が短い(PEO−300ステアレート、10重量%)、非イオン性ポリエトキシ化(PEO)界面活性剤により安定化した。PEO−300ステアレートは、当該「軽油」中にすぐに溶解し、水中には不溶性である(Yu, C. D., 1994)。
【0085】
この系は、温度の関数でエマルション転相を受けることが確実にできる(Salager, J. L. et al., 2004; Anton, N. et al., 2007)。この現象、製剤及び組成物パラメータの影響、並びにこの三成分系特性は、従来の研究で詳細に研究されている(Anton, N. et al., 2007)。すなわち、当該系が、正確にエマルション転相温度(PIT)に維持されると、ナノメートルスケールで構造化された、青みがかった透明な態様を呈する共連続マイクロエマルション(ウィンザーIV様)が自発的に形成される(Kahlweit, M. et al., 1985; Forster, T. et al., 1995; Morales, D. et al., 2003; Izquierdo, P. et al., 2004)。次に、一時的なマイクロエマルションを「構築する」ために、温度循環処理をPIT周辺(35<T<60℃)で行うと、温度サイクル数と共に、ナノメートルスケールのネットワークの微細度が増加する。
【0086】
最後のステップとして、PITで、このナノメートル共連続系を、水と比較して非常に流動性のある別の油(イソペンタン)で突然希釈する。典型的には、〜40nmの液滴流体力学的直径、及び非常に満足できる多分散指数である-0.05(ナノZS Malvern Instrumentsを用いて行った測定値)を呈する、油中水ナノエマルションがすぐに発生する。当該w/oエマルションの不安定化メカニズムは、液的内相互作用プロファイルが一般的に深い一次極小を示す、典型的な転位エマルションのコロイド凝集プロセスに従って示されている。
【0087】
さらに、ナノエマルションが形成された後、ナノエマルション連続油相中へのさらなる界面活性剤の添加(POE−300ステアレート)は、不可逆的に懸濁物の安定化、つまり凝集プロセスの予防をもたらすことが観察されている。実際には、液滴の良好な安定化を保証するため、界面活性剤総量の〜35重量%に対応する界面活性剤量を添加する。非イオン性界面活性剤分子は、水性液滴に包まれ且つ被覆され、それにより、それらの間で立体低安定化がもたらされると推測される。
【0088】
1.2.2.界面重縮合
界面重縮合段階は、w/oナノエマルションテンプレートに二次元ポリウレアフィルムを作製する段階的なプロセスである。選択されるモノマーに適合する基準は(i)連続油混合物(イソペンタンプラス鉱物油)中での自由な溶解性、及び(ii)分散した水相との良好な反応性であり(図1参照)、トリレン−2,4−ジイソシアネート(TDI)をこの実施態様で選択した。このように、液滴と接触したモノマー分子のイソシアネート官能基は、水滴に接触することにより、以後水より反応性が高く、別のイソシアナートモノマーと優先的に反応する、アミン基を形成するはずである。
【0089】
すなわち、化学反応は段階的な重合であり、且つ伸長のためには、ポリウレア鎖は水及び油(モノマーリザーバー)の両方に連続的に接触することが必要なので、得られたポリマーシェルの厚みは、分子範囲において有利であり、且つグリッド様の界面ネットワークを形成する。(以下のカプセル化収率の結果によりこの概念が支持されることになる)。モノマーとカプセル化される分子の潜在的なNH2基との間の反応は、ポリマーフィルムの形成を干渉しないと推測される。カプセル化収率に対する重縮合時間tpの効果を以下で調べ、最適化した製剤のために、最終的に2時間に固定した。
【0090】
1.2.3.ナノカプセル(NC)の作製
この段階で、実験系は、グリッド様構造を呈すると推測されるポリウレア二次元フィルムにより囲まれ、且つイソペンタン(PIT希釈から)及び鉱物油(初期エマルションから)のバルク油混合物中に分散される、水性ナノ液滴から構成される。さらに、油中に、まだ反応していないモノマー分子の可能性ある存在も考慮される。
【0091】
水性コアナノカプセルの発生(図1参照)は、単純に(i)外部の追加の水相を添加することにより、及び同時に(ii)イソペンタンの沸点(Bisp=28℃)よりかなり高い温度、例えば50℃に固定した温度で、ボイラー中で1時間、それ自身の蒸発を通してイソペンタン相を除去することにより、達成される。
【0092】
それにより、この蒸発段階中に提供されるエネルギーは、揮発油を急速に除去するだけでなく、サンプルの好適な均一化を保証し、全体的な油容量が減少する間の急速な液滴凝集を予防する。水性液滴は、無極相を越えて等しく広がり、水中の明確なコロイド状物体の発生をもたらす可能性がある。そのように、非揮発性鉱物油の無極相における存在により、イソペンタン蒸発が完了すると、最終的に新規に形成されるコロイド状粒子にそれが共有されることになる。さらに、油蒸発、つまり油容量の減少と共に、使用されるPEO非イオン性界面活性剤が、水に完全に不溶性であるため、両親媒性物質は、油中で徐々に結晶化することになる。最終的に、固体界面活性剤は、得られた液滴を囲む鉱物油に包まれるため、ポリマーフィルムに保護される水性コアを包む、非晶質固体界面活性剤及び鉱物油からなるマトリクス状の脂質シェルを作製する(図1に構造が示されている)。このカプセル構造は、以下の電子顕微鏡実験により、及び親水性及び親油性分子を同時にカプセル化する高い能力によっても、十分に支持される。最終的に、油中に潜在的に残存している遊離モノマーについては、(末端NH2基により)形成されたポリマーフィルムか、又は外部の水相に接触して、(鉱物油中に包含されるため)確実に中性化されたように見える。
【0093】
1.2.4.ナノカプセル(NC)顕微鏡観察による特性評価
透過型電子顕微鏡(TEM)
各水性分散体検体の液滴を、初めに、炭素被覆TEM銅グリッド(Quantifoil、ドイツ)に置き、空気乾燥させた。その後、このサンプルを酢酸ウラニル(Merck, ドイツ)でネガティブ染色した。このため、サンプル被覆されたTEMグリッドを、酢酸ウラニルの水溶液(2重量%)の液滴及び蒸留水の液滴上に連続的に置いた。その後、このグリッドを空気乾燥させ、電子顕微鏡に導入した。サンプルをJEOL JEM−1230TEMを用い80kVで操作して可視化した。
【0094】
低温TEM(Cryo−TEM)
低温TEM観察用の検体を、クライオプランジ低温固定化(cryoplunge cryo-fixation)装置(Gatan、米国)を用い、ここに水性懸濁物の液滴を、グロー放電性穴あきタイプの炭素被覆グリッド(glow-discharged holey-type carbon-coated grids)(Ted PeIIa Inc.、米国)に沈着させた。その後、TEMグリッドを、補強炭素フィルムの孔の反対側に残っていた厚みおよそ50〜500nmの液体薄層に、検体を含有する液滴の染みをつけることにより調製した。当該液体フィルムは、液体窒素により冷却される液体エタンに、グリッドを急落させることによりガラス状にした、ガラス状の検体を、Gatan 910検体ホルダー(Gatan、米国)にマウントし、それをクライオトランスファーシステム(cryotransfert system(Gatan、米国)を用いて顕微鏡内に挿入し、液体窒素で冷却した。その後、ガラス状氷に保存され、且つ補強炭素物質の孔の反対側に残っていた検体から、TEM画像を得た。低用量条件(10e・A2未満)下、−178℃、80kVで操作され、LaB6フィラメントを備えるJEM1230「低温」顕微鏡(Jeol、日本)を用いてサンプルを観察した。全ての顕微鏡図を、Gatan 1.35 K×1、04 K×12ビット ES500W Erlangshen CCDカメラで記録した。
【0095】
表面電位測定
ナノスケール表面電位ζの画像として、電位を、ナノZS(Malvern Instruments)を用いて評価した。電気泳動移動度とζ電位を結びつけるSmoluchowskiのモデルを用いた。散乱角を173°で固定し、一定温度25℃で、ヘリウム−ネオンレーザー4mWを、633nmで操作する。ただし、軟粒子解析モデル(H. Ohshima, et al., 2006)による表面特性の深さにおける研究から、これらの物体の表面電位にカプセル化物質が影響を与えないことがわかっている。カプセル化物質がシェル構造の役割を担わないことが示される。
【0096】
1.2.5.親水性及び親油性モデル分子の取り込み
図1における全体的な作製プロセスについて、親水性及び親油性種の取り込みは、異なる方法で行われるように見えるはずである。
【0097】
(i)最終的に親水性物質は、w/oナノエマルション中で水滴を共有し、そしてそれは、最初からマクロエマルション調製の水相に含まれた状態でなされてもよい。別のより効果の高い方法は、温度循環の後であって、且つイソペンタン希釈の前に、PITに維持したマイクロエマルション中に、非常に少ない量の高濃縮された水溶液(2%(v./v.))を注入することからなる。(さらに)攪拌されるマイクロエマルション中に注入された液滴は、共連続相ネットワークの水性部分を急速に一体化させる。油希釈の結果、ナノエマルションが速やかに形成され、それを注入された親水性分子の油中に非常に均一に分散させる。この独自の手法を介する親水性種の取り込みは、最終的に温度循環処理による処理の間、潜在的に分子の分解を防ぐ。当該親水性モデル分子は、全く異なる分子量が選択された。第一の分子は、不安定な色素、メチレンブルー(MB)であり、第二の分子はタンパク質、標識ウシ血清アルブミンフルオレセインイソチオシアネート(BSA−FITC)及び最後の分子は、蛍光化合物の、抗癌薬物であるドキソルビシン塩化水和物(DOX)である。
【0098】
(ii)一方、親油性種は、選択された重合時間の後、イソペンタンの段階の前に、当該ナノエマルションの油相に導入された(当該モノマーとの潜在的な相互作用を最大限に予防するため)。それにより、イソペンタンが完全に蒸発した後、物質が添加された親油性は、残存する鉱物油に包含される液滴に等しく共有される、つまり、非晶質油/非イオン性界面活性剤マトリクスに捕捉される。それは最終的に、残存鉱物油局在のマーカーとして現れ、有意なカプセル化収率の決定は、提供される多機能な水/油構造を支持するはずである。色素、レッドサウダンIII(RS)も親油性モデル分子である。ここで、親水性及び親油性剤を含有するナノカプセル製剤のこれらのプロセスは、なお低量のエネルギーしか必要としないと考えることができるという点が重要である(しばしば「低エネルギー法」と呼ばれる)。それにより、カプセル化分子は、「高エネルギー」の乳化処理及び装置(例えば、高圧ホモジナイザー又はソニファイアー)、及び温度循環にもさらされない。カプセル化されるもろい分子の処理の間の、潜在的な分解が予防される。
【0099】
全ての定量化は、遠心分離によりナノカプセルの外部の水を遠心分離(30分、14500 rpm)後、以下の間接的な方法、すなわち潜在的に残存するナノカプセルの破壊を保証する(及び、当該定量化プロセスにおけるさらなる光吸着を予防する)凍結乾燥で行った(RP2V, SGD, Le Coudray Saint-Germer, フランス)。次に、当該凍結乾燥サンプルを、ジクロロメタン(DCM)に溶解させ、外部の水に存在しているDOX以外の、取り込んだ異なる分子を、分光光度計UV-可視Uvikon 922分光光度計(Bio-Tek Koutron instruments, Saint-Quentin-en-Yvelines, フランス)を用いて単純に定量化する。DOXを、スペクトロフルオロメーター(Fluoroskan Ascent FL, type 374, Thermo Electron Corporation, フィンランド)を用いて定量化した。励起及び発光の光は、それぞれ485 nm及び550 nmでバンドパスフィルターを通過する。
【0100】
1.2.6.粒子(P)からのドキソルビシンに放出率
薬物放出動力学を設定するために(図8)、透析15 kDaメンブレン(Spectra/Por(登録商標) Membranes, Fisher Bioblock Scientific, lllkirch, フランス)で包んだ、2 mlの新たに調製したDOX標識粒子(P)を、40 mLのリン酸緩衝化生理食塩水(PBS、pH 7.4)(シグマ製)に添加した。暗中、37℃でフラックを機械的に弱く攪拌した(125 rpm)(boiler, Julabo SW22, JULABO Labortechnik GmbH, Seelbach, ドイツ)。次に、500μLの放出培地を、特定時間で回収し、前述の通り、スペクトロフルオロメトリーでDOX濃度を決定した。「シンク(sink)」の実験条件を保証するため、この回収量を、同量の新鮮なPBSで置き換えた。
【0101】
2.結果
2.1ナノカプセル特性評価
ネガティブ染色したこれらの水性コアなのカプセルのTEM画像を図2に示し、低温TEMのものを図3に示す。当該2つの相補的な実験法により、相補的な情報、及び最終的に、図1に示した構造と非常に良く一致することが明らかになった。第一の注目事項は、その液滴サイズであり、約50nmであり、これは測定されたw/oナノエマルションサイズと最終的に一致する(マイナス油、プラス界面活性剤のシェル厚み)。さらに、理論的な油/界面活性剤シェル厚みは、ナノカプセルを形成する物質を考慮し、それぞれの特性を知り、及び推測される構造を呈するナノカプセルを推測するだけで達成でき、その結果厚みはおよそ7.5 nmである。この計算結果は、図2に示されるコア/シェルの比率よっても支持されているようである。
【0102】
さらに、これらの電子顕微鏡画像は、カプセルの比較的良好な単分散性を示し、その後、当該分散及び製剤プロセス等の、比較的良好な定量性を証明する。当然、これらのコロイド状物体の水性コアを有するカプセル構造は、図2で証明され、これは当該物体が、真空構築段階と共に、当該測定の間爆発する可能性があるためである。その後、(親水性の)染色剤が作製すること覆われるその孔が、ナノカプセル内で点を作製する。
【0103】
対照的に、図3(a)、(b)、(c)の低温TEM画像は、未処理のナノカプセルを示すと共に、同様に当該粒子の中心と境界とのコントラスト(対比)の違いによりカプセル構造を示す。実際、有機種と水との違いは、染色剤を使用せずに十分詳細に対比される。最後に、図3で開示される電子強度の詳細について、特定のシェルは、ナノカプセルシェル中での、有機物(及びポリマー配列)の無作為な分布を証明する質感を有する。それは、図1で示したメカニズム及びグリッド様構造となお一致している。
【0104】
2.2安定性
特定のナノカプセル構造により、ポリマーの存在がシェル骨格を構築し、使用される界面活性剤が、その親油性部分に関してPEO鎖が短く、且つ油中でほとんど結晶化するために、静電気的原因が反発に貢献する力は、立体的原因と同じくらい非常に低く見える。新規に調製したナノカプセルは、非常に良好な単分散性を停止、及び多分散指数(Nano ZS Malvernにより測定、好適な希釈条件で)が比較的良好、つまり0.1未満である。その後、濃縮したNC懸濁物を、明らかに水中のコロイド凝集プロセスを介して、急速に不安定化さると、約一ヶ月の保存後に、NCのクリーム化濃縮物が得られる。実際、十分大きい場合(>1μm)、このクラスターは重力を受ける。一方、このプロセスは、サンプルを単に希釈することにより顕著に低減させ、懸濁物は一ヶ月安定に見える。
【0105】
2.3.親水性及び/又は親油性分子の高効率なナノカプセル化
水性連続相において分散したナノカプセルそれ自身中での、親水性剤のカプセル化を構築する真の試みにより、第一の結果は、親水性種、メチレンブルー及びBSA−FITCが当該コロイドにカプセル化できる範囲に関連することになる。ナノエマルション発生ステップの間の当該分子の取り込み、及びカプセル化収率を決定するための当該分子定量は、上記の方法に従って行った。それにより、カプセル化収率に対する、製剤パラメータ、すなわち、製剤に導入されたモノマーの量、及び重合時間tpの影響を、図4に開示する。
【0106】
従って、図4は、tp=を2時間に固定した最適化重縮合時間で、カプセル化収率に対する、w/oナノエマルション内で添加されたモノマー量の影響を、異なる親水性分子、MB及びBSA−FITCで比較する。この傾向は非常に類似しており、すなわち、モノマーが存在せずカプセル化は不可能点では収率がゼロで、且つ内部の水が外部の水に対して漏れると推測される時点から、最高のモノマー含量での十分満足のいく時点までの傾向である。MB及びBSA−FITCの両方の到達するプラトーは、非常に類似する約0.9であるが、2つの分子間に存在するシフトに、非常に興味深い点が見られる。実際、少量の色素で比較すると、巨大タンパク質はより低いモノマー量を保持する。このプラトーは、BSA−FITCは約0.05 mg・L-1ほどであるが、MBは約0.5 mg・L-1にまで達し、モノマー濃度と、ポリマー「グリッド」密度との間に関連性が存在する可能性が高いことを示している。つまり、モノマー含量が高ければ高いほど、緊密なポリマー「グリッド」が形成される。重縮合反応は、ポリマー線維が群生する「グリッド様」ネットワークを形成する、二次元フィルムを作製するだけなので、最終的には、この結果は、上で示されたナノカプセル構造と一致する。このことより、イソペンタン蒸発の間、与えられるエネルギーは、カプセル化分子の一部が外部の水に漏れるよう誘導し、同様に、ポリマーグリッド密度が増加すると、この漏れが減少する。さらに、MBとBSA−FITCとで観察される違いから、カプセル化分子の分子量は、プロセスにおいても重要であるように見える。最も大きな分子は、より小さな分子と比較して、ポリマーネットワークによって容易に止められるため、これらは類似するカプセル化収率(〜0.5 mg・L-1)に到達する。
【0107】
図5は、MBのカプセル化収率に対する、重縮合時間tpの影響を、3つの選択されたモノマー添加量について示す。そのため、tpは、ナノエマルションへのモノマー添加と、イソペンタン蒸発ステップとの間の遅延時間に対応する。サンプルを非常に弱く、500 rpmで攪拌する間の時間である。プロセスにおいて固定したその値(tp=2時間)は、各事例において同様に、急速に安定化に到達する(1時間未満)ため、ここで最終的に正当化される。さらに、当該モノマーが油薄層に包まれる(及び内部の水、ポリマーシェル、又は外部の水のいずれかと接触させる)はずであるイソペンタン蒸発ステップより、全てのTDI分子は最終的に反応させられ、ポリウレアネットワークに参加することになる。この意味で、同量の合成ポリマーに対して、短いtpで与えられるカプセル化収率の違いは、ナノカプセル構造において不均一に分散したポリマーが原因となっているはずである。この強制的な重縮合(短いtpでの)が、内部の水が油に漏れることにより、カプセルにおけるポリマー孔を作製し得ることに想到するのは、非常に論理的である。
【0108】
ここで、親水性及び親油性成分の同時カプセル化に関して、同じナノカプセルに、メチレンブルー及びレッドサウダンIIIを取り込ませる実験を行い、図6で報告した。上で取り組んだように、カプセル化収率は、製剤に添加されるモノマーの機能として測定され、最適な重縮合時間は、2時間が選択される。同様に、あらかじめNC構造により示唆されるように、MBは内部の水中に、及びRSは、油性の囲むシェルにある。当然、当該メチレンブルー曲線は、ナノカプセル中に単独である図4で示したものと、非常に類似する態様を示す。ここで、レッドサウダンIIIに関しては、当該モノマー量は、カプセル化収率に影響を及ぼさないように見えることは明らかであり、それは界面重縮合後、親油性分子が油相に添加されるために、最終的に当該プロセスと一致する。結果的に、RSは油/非結晶界面活性剤シェルに包まれ、0.92という非常に高いカプセル化収率を示す。
【0109】
総括すると、これらの物体は、ポリマー内部骨格の特別な影響を持つ親水性主をカプセル化する興味深い能力を示すだけでなく、親水性(MB)及び親油性(RS)モデル分子を同時にカプセル化する重要な能力も示す。当該物体が、その自身の構造中に液体の水及び油リザーバーを含むため、及び同様に、これらはコロイド状のサイズ範囲を呈するので、これらの多機能特性は、比較的独創的なようである。
【0110】
本研究のさらなる態様は、製剤変数(variable)の関数における、DOXカプセル化収収率の追随に対処した。それゆえ、研究を通して、2つのパラメータのみがカプセル化収率に有意に影響を及ぼすことが示され、それがモノマー量と重縮合させる時間(tp)であった。tpが約1〜1.5時間の場合、いかなるモノマー濃度でも、収率は急速にプラトーに達したので、我々は当該プロセスにおいてtp=2時間に固定した。
【0111】
一方、DOXカプセル化収率に対するモノマー量の影響は、図7に示される、典型的な漸進的変化である。この挙動は、ナノカプセル構造及び均一シェル(孔無し)の形成は、モノマー濃度と密接に関連しているため、液滴界面でのポリマーの緊密性に密接に関連する。これらの結果は、カプセル化収率とポリマーの全量との妥協点を規定することにより、当該プロセスを最適化する。
【0112】
その後、水性コアナノカプセルの放出挙動を、生理的条件で調べ、その結果を図8に示す。これらは、シェル透過性及びDOX放出メカニズムの情報だけでなく、水性コアナノカプセルの構造的特性の情報も提供する。最終的に、これらは、DOXが効率的にカプセルにカプセル化され、且つ時間で完全に(カーブフィッティングにより100%まで)放出できることを確認する。放出プロファイルが対数的挙動である第一の場は、対数関数にうまくフィッティングする(R=0.992)。
【0113】
2.4.カプセル化した任意の活性成分を含まない粒子(P)の細胞毒性
上記1.2.に従って、カプセル化した任意の活性成分を含まない粒子(P)の細胞毒性をNIH/3T3細胞(マウスMus筋肉の線維芽細胞)で評価した。粒子(P)を様々な粒子濃度に、4、24、48又は72時間晒した。細胞生存率は、MTT試験により決定した。結果を以下の表及び図9に示す。最大1/1000希釈で、有意な毒性は確認されなかった。
【0114】
【表2】

【0115】
2.5.両親媒性物質としてのTween80(登録商標)からなるシェルを含んでなる、ナノカプセル(NC)を含有する粒子(P)の組成物の調製
上に示すような(1.2.1及び1.2.3を参照)一般的な方法により、以下の成分に基づいて、組成物を調製した。
【0116】
【表3】

【0117】
温度サイクルを3回、35〜60℃で、攪拌しながら(500 rpm)行った。第三サイクルの冷却期間の間、系に50℃でイソペンタン及びPOE300ステアリン酸を添加して、安定な(w/o)ナノエマルションを形成させた。
【0118】
その後、milliQ水中の得られたナノエマルションを50℃で添加し、約1時間イソペンタンを蒸発させることにより、ナノカプセルを形成させた。
【0119】
得られた組成物の経時的安定性を、粒子(P)のサイズ及びゼータ電位の変化をモニターすることにより調べた(nanosizer ZSを用いて測定した。1.2.4参照)。
【0120】
結果は、一定値のサイズ及びゼータ電位対時間(1ヶ月)に対応する粒子の良好な安定性を示した。
【0121】
2.6.モノマーの存在下又は不存在下での、親水性抗癌薬物(ドキソルビシン)のカプセル化収率の比較
上に示すような(1.2.1及び1.2.3を参照)一般的な方法により、以下の成分に基づいて、組成物を調製した。
【0122】
【表4】

【0123】
温度サイクルを3回、35〜60℃で、攪拌しながら(500 rpm)行い、マイクロエマルションを形成させた。その後、マイクロエマルションを39℃で安定化した。
その後、水中のドキソルビシン溶液(4.18mg/ml)の50μLを、マイクロエマルションに連続的に添加し、イソペンタンで希釈後に、ドキソルビシンを有するw/oナノエマルションを形成した。
【0124】
その後、このナノエマルションの一部を、トリレン2,4−ジイソシアネート(上記1.2.2を参照)と共に界面重合に供し、別の一部は処理しなかった。
【0125】
その後、milliQ水中の得られたナノエマルションを50℃で添加し、約1時間イソペンタンを蒸発させることにより、ナノカプセルを形成させた。
これら2つのナノエマルションの水性ナノカプセル又は水性液滴のサイズは、130 nmであった(nanosizer ZSで測定した)。
カプセル化ドキソルビシンの収率は、ポリマーナノカプセルで70%であり、水滴で30%であった。
これらの結果は、ポリマーナノカプセルで得られたものとの比較では、低いカプセル化収率であるが、水滴はドキソルビシンをカプセル化できることを実証する。
【0126】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水相に、直径範囲が20〜500nmの粒子を含んでなり、当該粒子が、
油相;
ここで、当該油相中に、
水性液滴;又は
水性コア及びポリマーシェル又は両親媒性物質からなるシェルを含んでなるナノカプセル(NC)があり、及び
界面活性剤
を含有する、組成物。
【請求項2】
前記ナノカプセル(NC)が、両親媒性物質からなるシェルを含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記両親媒性物質が、界面活性剤S4である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記界面活性剤S4が、非イオン性界面活性剤である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記界面活性剤S4の親水性親油性バランス(HLB)が10以上である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記界面活性剤S4が、ポリソルベートである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ナノカプセル(NC)が、ポリマーシェルを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマーシェルがポリウレアからなる、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記ナノカプセル又は水性液滴が、直径範囲が10〜400nmである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記水性コア又は水性液滴が、親水性物質を含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記油相が親油性物質を含有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1〜11に記載の組成物の製造方法であって、
i)液滴の平均流体力学直径が10〜400nmである油中水(w/o)エマルション(E1)を調製するステップ、ここで連続相は2つの油である、揮発油(O1)及び非揮発油(O2)を含有し、前記揮発油(O1)は水より揮発性が高く、前記非揮発油(O2)は水より揮発性が低い;
ii)前記エマルション(E1)の連続相に溶解し、且つ水と接触すると重合するモノマーの添加か、又は両親媒性物質の添加のいずれかにより、水性コアシェルナノカプセル(NC)を任意に形成させるステップ;及び
iii)水相の添加、及び前記揮発油(O1)の除去を行い、それにより、請求項1〜11に記載の組成物を形成するステップ、
を含んでなる、製造方法。
【請求項13】
前記エマルション(E1)が、温度が転相温度(PIT)より高い場合、水より非揮発油(O2)に溶解し、温度がPITより低い場合、非揮発油(O2)より水に溶解する界面活性剤(S1)を含んでなり、ここで当該油中水(w/o)エマルション(E1)は、
i1)PIT周辺で温度を循環させることにより、非揮発油(O2);水;及び界面活性剤(S1)を含んでなる混合物から、ナノ構造共連続系(bicontinuous)を形成するステップ;
i2)揮発油(O1)を添加し、それによりw/oエマルション(E1)を形成するステップ、ここで、液滴は平均流体力学的直径が10〜400nmである;及び
i3)さらなる界面活性剤(S2)を任意に添加するステップ、
を含んでなる方法により調製される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップi2)の前に、親水性物質を含有する水溶液を、得られたナノ構造共連続系に添加する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記界面活性剤(S1)が、ポリオキシエチレン部分を含んでなる、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記界面活性剤(S1)が、ポリオキシエチレンC6−C18脂肪酸エステルである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記界面活性剤(S1)が、POE−300−ステアレートである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記非揮発油(O2)が軽油である、請求項12〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記揮発油(O1)がペンタン又はイソペンタンである、請求項12〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記さらなる界面活性剤(S2)が、界面活性剤総量の30重量%〜40重量%である、請求項13〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記モノマーが2つのジイソシアネート基を含んでなる、請求項12〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記モノマーが、トリレン−2,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート又は4,4−メチル−ビス(フェニル−イソシアネート)から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
親油性物質が、重合ステップii)の後、且つステップiii)の前に添加される、請求項12〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記親水性及び親油性物質が、医薬的、診断的、化粧的、獣医学的、植物衛生的産物、又は加工食品から選択される、請求項12〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
ステップiii)の後に、水相に親水性界面活性剤(S3)を添加するステップiv)をさらに含んでなる、請求項12〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
油中水(w/o)エマルション(E1)であって、
i1)PIT周辺で温度を循環させることにより、非揮発油(O2);水;及び界面活性剤(S1)を含んでなる混合物から、ナノ構造共連続系を形成するステップ;及び
i2)揮発油(O1)を添加し、それによりw/oエマルション(E1)を形成するステップ、ここで、液滴は平均流体力学的直径が10〜400nmである;及び
i3)さらなる界面活性剤(S2)を任意に添加するステップ、
ここで前記非揮発油(O2)はパラフィン油であり、前記揮発油(O1)はペンタン又はイソペンタンである、
を含んでなる方法により調製される、油中水(w/o)エマルション(E1)。
【請求項27】
連続相としては、揮発油としてイソペンタン又はペンタン、及び非揮発油としてパラフィン油;
非連続相としては、水;及び
界面活性剤(S1)、
を含んでなる、油中水(w/o)エマルション(E1)。
【請求項28】
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレン部分を含んでなる、請求項26又は27に記載の油中水(w/o)エマルション(E1)。
【請求項29】
親水性及び/又は親油性物質のカプセル化のための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−539221(P2010−539221A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525348(P2010−525348)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062435
【国際公開番号】WO2009/037310
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(500248467)アンスティテュ ナシオナル ドゥ ラ サントゥ エ ドゥ ラ ルシェルシェ メディカル(イーエヌエスエーエールエム) (19)
【Fターム(参考)】