説明

角速度センサ及びその製造方法

【課題】感度特性に優れ、生産性の向上を図ることができる角速度センサ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る角速度センサの製造方法は、振動子部102の厚みに相当する厚みの基板111と、基板111よりも厚い基板112とをそれぞれ準備することを含む。基板112の上には絶縁膜112aが形成される。絶縁膜112aには基板112の表面を露出させる開口90が形成される。基板111と基板112は絶縁膜112aを挟んで貼り合わされる。基板111の上には圧電機能層7が形成される。開口90の形成位置に対応する基板111上の領域内には振動子部102が形成される。基板111及び基板112を切断することで基部103の外形が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ビデオカメラの手振れ検知や、バーチャルリアリティ装置における動作検知、カーナビゲーションシステムにおける方向検知などに用いられる角速度センサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、民生用の角速度センサとしては、片持ちや両持ちの振動音片型振動子、音叉型振動子などを所定の共振周波数で振動させておき、角速度の影響によって生じるコリオリ力を圧電素子などで検出することによって角速度を検出する、いわゆる振動型のジャイロセンサ(以下、角速度センサと呼ぶ。)が、広く使用されている。
【0003】
角速度センサは、単純な機構、短い起動時間、安価で製造可能といった利点を有しており、例えば、ビデオカメラ、バーチャルリアリティ装置、カーナビゲーションシステムなどの電子機器に搭載され、それぞれ手振れ検知、動作検知、方向検知などをする際のセンサとして活用されている。
【0004】
角速度センサは、搭載される電子機器の小型化、高性能化に伴い、小型化、高性能化が要求されている。例えば、電子機器の多機能化のため、他の用途で用いる各種センサと組み合わせて、角速度センサを一基板上に搭載させ、小型化を図るといった要請がある。
【0005】
従来は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材を機械加工により薄片状に加工し、バネ等で保持し、電気信号を加えて振動させる構成のジャイロセンサが一般的であったが、小型化が困難であった。
【0006】
そこで、例えばSi(シリコン)の単結晶基板を用い、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの圧電材をスパッタやゾルゲル等で基板上に薄膜として形成し、更に基板の所定部分に対するエッチングを行い、断面が方形状の四角柱の振動子を一枚の基板から同時に多数個形成する技術が開発されてきている。(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2007−43054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
Si基板に圧電材の薄膜が形成された角速度センサにおいては、振動子の縦の共振と横の共振のそれぞれの周波数の差がジャイロセンサとしての感度に大きく影響する。このため、振動アームの厚みと振動アームの幅を厳密に制御し、上記周波数の差を100〜400Hz程度に制御する必要がある。
【0009】
従来は、ウエハ(Si基板)の露出面の結晶方位に依存して発生するエッチングレートの差を利用して、ウェットエッチングにより略四角錐台状の陥没部を形成し、この陥没部の底面の平坦部における厚みをジャイロの振動アームの厚みとしていた(上記特許文献1参照)。
【0010】
しかしながら、ウェットエッチング法は、エッチング温度などエッチングレートをばらつかせる因子の存在が数多く存在するため、加工精度に問題が残る。例えば、基板を大型化した場合、ウエハ面内の厚みばらつきが顕著となり、ウエハの面内位置に応じて素子の感度分布が発生して、歩留まりの低下を招く場合がある。
【0011】
さらに、ウェットエッチングは、長時間アルカリ溶液に浸す必要がある。このため、圧電層などの機能性膜の形成プロセス後に上記エッチング処理を行うと、上記機能性膜に悪影響を及ぼすおそれがある。また、機能性膜の形成プロセス前に上記エッチング処理を行うと、ウエハの機械的強度が低下しているため、プロセス中にウエハの割れが発生するおそれがある。
【0012】
一方、振動アームの厚み寸法で加工された薄い厚みのウエハを用いて角速度センサを形成する方法も考えられる。しかしながら、振動アームの厚みが例えば100μmである場合、ウエハに必要な強度が大幅に不足する。このため、ウエハのハンドリング性が損なわれたり、ハンドリング中にウエハの割れが生じたりするおそれがある。
【0013】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、感度特性に優れ、生産性の向上を図ることができる角速度センサ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る角速度センサの一形態においては、第1の層と、圧電膜と、第2の層とを具備する。
上記第1の層は、第1の主面と第2の主面とを有し、振動子部と前記振動子部を支持する基部とを含む。上記圧電膜は、上記第1の層の上記第1の主面に形成されている。上記第2の層は、上記第1の層の上記第2の主面側で上記基部と一体的に接合される。
【0015】
上記角速度センサによれば、第2の層は、第1の層を支持する支持層として機能する。したがって、第1の層を比較的薄い厚みの基板、例えば振動子部の厚みと同等の厚みの基板で構成できる。この場合、振動子部の厚み寸法が基板の面内位置に依存しない、感度特性に優れた角速度センサを提供することが可能となる。
【0016】
上記角速度センサは、例えば、基準電位に接続された第1の電極と、駆動信号が入力される第2の電極と、これら第1、第2の電極の間に配置された圧電膜と、コリオリ力検出用の第3の電極とを有する構成とすることができる。
【0017】
上記第2の層は、上記第1の層よりも厚みを大きくすることができる。これにより、第1の層の支持層としての機能を高めることができる。
【0018】
上記第1の層と上記第2の層はそれぞれシリコン基板で構成することができる。また、上記第1の層と上記第2の層の間の接合層は、シリコン酸化膜で構成することができる。これにより、SOI(Silicon On Insulator)と呼ばれる基板接合技術を用いて感度特性に優れた角速度センサを生産性高く製造することが可能となる。
【0019】
上記角速度センサは、上記基部の上記第1の主面側に形成され、外部回路に接続される複数の端子部をさらに具備していてもよい。この場合、上記第2の層は、上記第2の主面上の、上記端子部の形成位置を含む領域にわたって接合されることができる。
これにより、例えば当該角速度センサを上記外部回路に対してフリップチップ実装するに際して、第2の層による補強機能によってマウント時の基部の破損を防止することが可能となる。
【0020】
上記振動子部は、互いに平行に延びる3本のアーム部を有する構成とすることができる。勿論、アーム部の本数はこれに限らず、1本(片持ち又は両持ち梁型)でもよいし2本(音叉型)でもよい。振動子部を3本のアーム部で構成した場合、上記圧電膜は、各アーム部について同様に形成することができる。また、3本のアーム部のうち、例えば中央のアーム部に圧電駆動用の電極を形成し、外側の2本のアーム部に角速度検出用の電極を形成するなど、適宜の配置変更が可能である。
【0021】
上記第2の層は、上記振動子部を被覆する遮蔽部を有していてもよい。上記遮蔽部は、上記振動子部と対向する側の面に、上記振動子部の振動空間を形成する凹所を有する構成とすることができる。
これにより、振動子部の振動空間を確保しながら、第2の層による振動子部の保護効果を得ることが可能となる。
【0022】
本発明に係る角速度センサの製造方法の一形態においては、第1の基板上に絶縁膜を形成することを含む。上記絶縁膜には、上記第1の基板を露出させる開口が形成される。上記絶縁膜を挟んで上記第1の基板上に第2の基板が貼り合わされる。上記第1の基板及び上記第2の基板の何れか一方の基板の主面には、圧電膜が形成される。上記開口の形成位置に対応する上記主面上の領域内には、振動子部が形成される。上記第1の基板及び上記第2の基板を切断することで、上記振動子部を支持する基部の外形が形成される。
【0023】
上記角速度センサの製造方法においては、第1の基板と第2の基板とを貼り合わせた基板を用いて角速度センサを製造するようにしている。これにより、ハンドリングに必要な基板厚みを容易に確保することが可能となる。また、振動子部及び基部が形成される側の基板の厚みを薄くしても、他方の基板が支持層として機能するため、基板に割れを生じさせることもない。これにより、生産性の向上を図ることができる。さらに、振動子部の振動空間を上記絶縁膜の開口内に確保することができる。このため、振動子を直接エッチング液に曝すことなく上記振動空間を形成することができるとともに、エッチング液の使用によって圧電膜が被る悪影響を回避することができる。
【0024】
上記角速度センサの製造方法においては、上記第2の基板を上記第1の基板よりも厚みを小さくし、上記主面を上記第2の基板の主面とすることができる。
例えば、第2の基板として、製造後の振動子部の厚みと同等厚の基板を用いることができる。この場合、振動子部の厚み寸法が基板の面内位置に依存しない、感度特性に優れた角速度センサを提供することが可能となる。
【0025】
なお、第2の基板を製造後の振動子部の厚みとする他の方法としては、第1の基板への貼り合わせ後、圧電膜の形成前に、上記主面である第2の基板の表面を研磨して当該第2の基板を所定厚に加工することも可能である。
【0026】
上記絶縁膜の形成工程では、シリコン基板である上記第1の基板を酸素雰囲気下で加熱処理することで、上記第1の基板上にシリコン酸化膜を形成するようにしてもよい。
これにより、第1の基板上に結晶性等の膜質に優れた絶縁膜(シリコン酸化膜)を形成することができる。
【0027】
上記振動子部の形成工程では、ドライエッチングプロセスを用いて、上記第2の基板に上記振動子部の外形に対応したエッチング溝を形成するようにしてもよい。
これにより、振動子部の高精度な外形加工を実現することができ、厚み寸法だけでなく幅寸法にも優れた振動子部を形成することが可能となる。
【0028】
上記角速度センサの製造方法は、上記開口を介して上記振動子部を外部へ露出させる貫通孔を上記第2の基板にさらに形成してもよい。
これにより、振動子部の厚み空間を確実に確保することが可能となる。
【0029】
上記貫通孔の形成工程では、ドライエッチングプロセスを用いて、上記第2の基板に上記開口の外形に対応したエッチング溝を形成するようにしてもよい。
これにより、貫通孔の形成領域を全てエッチング除去する場合と比較して、効率よく貫通孔を形成することが可能となる。
【0030】
上記角速度センサの製造方法は、上記開口を形成した後、上記開口から露出する上記第2の基板の表面に凹所をさらに形成するようにしてもよい。
これにより、振動子部の厚み空間を確実に確保することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明によれば、感度特性に優れた角速度センサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0033】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態による角速度センサ1の実装面側の平面図、図2は角速度センサ1の正面図、図3(A)は角速度センサ1の側面図、図3(B)は角速度センサ1の背面図である。図1及び図2において、X軸方向は角速度センサ1の幅方向を示し、Y軸方向は角速度センサ1の長手方向を示している。また、Z軸方向は角速度センサ1の厚み方向を示している。
【0034】
図3に示すように、角速度センサ1は、ベース層11(第1の層)と支持層12(第2の層)との積層構造を有している。後述するように、ベース層11は、振動子部2を含む活性層として構成されており、支持層12は、ベース層11の補強層として構成されている。
【0035】
図1に示すようにベース層11は、振動子部2と、振動子部2を支持する基部3とを有する。振動子部2と基部3との間には、くびれ部8が形成されている。くびれ部8は、振動子部2の励振時に振動が基部3へ伝播するのを抑える機能を有している。
【0036】
振動子部2は、図1において左側から順に、第1のアーム部21、第2のアーム部22及び第3のアーム部23と、これらのアーム部21〜23を連結する連結部20とを有している。アーム部21〜23は、互いに等間隔にY軸方向に平行に延びる直方体形状にそれぞれ形成されている。
【0037】
振動子部2及び基部3を有するベース層11は非圧電基板からなり、本実施の形態では、シリコン単結晶基板で構成されている。ベース層11の厚みは、振動子部2の厚さと同一とされ、その大きさは例えば100μmである。ベース層11の厚みは、上記の例に限らず、例えば、50μm以上200μm以下とすることができる。角速度センサ1を後述するような幅寸法及び長さ寸法で形成する場合、ベース層11の厚みは90μm以上110μm以下とすることができる。
【0038】
振動子部2の一方の表面(第1の表面)には、下部電極4、圧電膜5及び上部電極6の多層膜でなる圧電機能層7が形成されている。圧電機能層7は、第1〜第3のアーム部21〜23のそれぞれの表面に形成されている。
【0039】
具体的に、第1のアーム部21には、下部電極4と、圧電膜51と、上部電極61及び64aとでなる圧電機能層が形成されている。上部電極61は第1のアーム部21を励振する駆動電極として機能し、上部電極64aは第1のアーム部に発生する歪を検出する検出電極として機能する。なお、以下の説明では、「上部電極61」を「駆動電極61」ともいい、「上部電極64a」を「検出電極64a」ともいう。
【0040】
第2のアーム部22には、下部電極4と、圧電膜52と、上部電極62、64b及び64cとでなる圧電機能層が形成されている。上部電極62は第2のアーム部22を励振する駆動電極として機能し、上部電極64b及び64cは第2のアーム部22に発生する歪を検出する検出電極として機能する。なお、以下の説明では、「上部電極62」を「駆動電極62」ともいい、「上部電極64b」及び「上部電極64c」をそれぞれ「検出電極64b」及び「検出電極64c」ともいう。
【0041】
そして、第3のアーム部23には、下部電極4と、圧電膜53と、上部電極63及び64dとでなる圧電機能層が形成されている。上部電極63は第3のアーム部23を励振する駆動電極として機能し、上部電極64dは第3のアーム部23に発生する歪を検出する検出電極として機能する。なお、以下の説明では、「上部電極63」を「駆動電極63」ともいい、「上部電極64d」を「検出電極64d」ともいう。
【0042】
下部電極4は、第1のアーム部21、第2のアーム部22及び第3のアーム部23に対して共通に形成された共通電極として機能する。なお、以下の説明では、「下部電極4」を「共通電極4」ともいう。共通電極4は所定の基準電位(グランド電位または直流オフセット電位)に接続されている。駆動電極61〜63は、図示しない制御部における駆動信号発生回路に接続されており、中央の第2アーム部22と外側の2本のアーム部21、23との間において互いに逆位相の駆動信号が入力される。検出電極64a〜64dは、上記駆動信号発生回路(自励発振回路)及び角速度検出回路に接続される。
【0043】
圧電膜51〜53は、例えば、鉛とチタン、ジルコニウムの酸化物の混合物であるPZTなどを用いることができる。共通電極4及び上部電極(駆動電極61〜63、検出電極64a〜64d)は、例えば、チタンと白金の積層膜で構成することができる。
【0044】
PZTの組成は、Pb1+X(ZrTi1−Y)O3+Xで表すことができる。具体的なPZTの組成は、例えば、Xを0以上0.3以下、Yを0以上0.55以下とすることができる。この場合のPZTの膜厚は、例えば、400nm以上1000nm以下とすることができる。
【0045】
3本のアーム部21〜23は、縦方向の共振周波数がそれぞれほぼ同じ共振周波数をもつように設定され、横方向の共振周波数もそれぞれほぼ同じように設定されるが、これに限られない。
【0046】
また、本実施の形態では、中央側の第2のアーム部22の中央部に駆動電極62とその両側に一対の検出電極64b、64cを形成し、外側の第1、第3のアーム部21、23には中央部に駆動電極61、63を、その一側方に検出電極64a、64dをそれぞれ形成した。これに代えて、検出電極を外側のアーム部にのみ形成したり、中央側のアーム部にのみ形成したりしてもよい。駆動電極についても同様に、3本のアーム部にそれぞれ形成する例に限られず、外側のアーム部にのみ、あるいは、中央側のアーム部にのみ形成するようにしてもよい。
【0047】
圧電機能層7の形成面と同一側である基部3の表面には、振動子部2を構成する各アーム部21〜23上の圧電機能層7と電気的に接続されるパッド部9a〜9hと、それらの配線部13(13a〜13h)がそれぞれ形成されている。パッド部9a〜9hは、図示しない配線基板(外部回路)に電気的に接続される端子部を構成している。
【0048】
ここで、パッド部9aは、配線部13aを介して第1のアーム部21の駆動電極61に接続され、パッド部9bは、配線部13bを介して第1のアーム部21の検出電極64aに接続されている。パッド部9cは、配線部13cを介して共通電極4に接続され、パッド部9dは、配線部13dを介して第2のアーム部22の検出電極64bに接続されている。パッド部9eは、配線部13eを介して第2のアーム部22の駆動電極62に接続され、パッド部9fは、配線部13fを介して第2のアーム部22の検出電極64cに接続されている。そして、パッド部9gは、配線部13gを介して第3のアーム部23の検出電極64dに接続され、パッド部9hは、配線部13hを介して第3のアーム部23の駆動電極63に接続されている。
【0049】
各パッド部9a〜9hには、バンプ10がそれぞれ形成されている。本実施の形態では、角速度センサ1は図示しない配線基板上へフリップチップ方式で実装される。バンプ10は、角速度センサ1と上記配線基板との間を電気的、機械的に接続する機能を果たす。バンプ10はAuバンプやはんだバンプなどで構成することができる。また、バンプ10は角速度センサ1側に形成される例に限られず、上記配線基板側に形成されていてもよい。
【0050】
支持層12は、図3に示すように、ベース層11の基部11に一体的に接合されている。支持層12は、バンプ10が形成されている基部11の実装面とは反対側の表面(第2の表面)に接合されている。支持層12は、ベース層11と同様に、シリコン単結晶基板で構成されている。ベース層11と支持層12の間には接合層13が形成されており、この接合層13はシリコン酸化膜で構成されている。
【0051】
支持層12は、ベース層11よりも厚みが大きく形成されている。具体的には、角速度センサ1を製造する上で薄い厚みのベース層11に所定の機械的強度を付与できるのに十分な厚さで支持層12が形成されている。例えば、ベース層11の厚みが100μmである場合、支持層12の厚み(Z方向寸法)は300μmとすることができる。支持層12の厚みは、上記の例に限らず、例えば、200μm以上400μm以下とすることができ、素子(角速度センサ)の形状や大きさ等に応じて、適宜設定可能である。
【0052】
支持層12の幅(X方向寸法)、長さ(Y方向寸法)は適宜変更することが可能である。本実施の形態では、支持層12の幅及び長さは、基部3の幅及び長さと同一の大きさに設定されており、ベース層11の第2の表面側における基部3の形成領域全体が支持層12によって覆われている。
【0053】
支持層12が上述のように構成されることによって、基部3上のパッド部9a〜9hの形成位置を含む領域にわたって、基部3の第2の主面側に支持層12が接合されることになる。この場合、支持層12による基部3の補強機能が得られるため、実装治具(マウンタ)を用いて角速度センサ1を外部回路(配線基板)へ実装するに際して、上記外部回路に対する角速度センサの押し付け力から基部3の破損を防止することが可能となる。
【0054】
角速度センサ1の各部の大きさは、おおよそ以下のとおりである。各アーム部21〜23の厚みは100μm、基部3と支持層12のトータル厚みは400μm、素子長さ(全長)は3mm、素子幅は0.5mm、各アーム部21〜23の長さは1.8〜1.9mm、各アーム部21〜23の幅は100μmである。
【0055】
次に、以上のように構成される角速度センサ1の典型的な動作例を説明する。
【0056】
駆動電極61〜63に駆動信号が入力されると、第1〜第3のアーム部21〜23は図2においてZ軸方向に振動する。上述のように、中央のアーム部22と外側の2本のアーム部21、23には互いに逆位相の駆動信号が入力されるため、中央のアーム部22と外側の2本のアーム部21、23は図2に示すように逆位相で振動する。このとき、第2のアーム部22の振幅が第1、第3のアーム部21、23の振幅の2倍で振動することで、不要な振動が縮退し安定な振動モードが得られる。
【0057】
図2に示すように、振動子部2の軸方向(Y軸方向)の周りに角速度ωが加えられると、各アーム部21〜23にコリオリ力が作用し、圧電機能層7の形成面と平行な方向(X軸方向)に振動する成分が生成される。角速度センサ1は、この振動成分を検出電極64a〜64dにより検出し角速度信号として図示しない制御部に出力する。上記制御部は、入力された角速度信号に基づいて角速度を算出する。
【0058】
本実施の形態の角速度センサ1においては、支持層12は、ベース層11を支持する機能を有している。したがって、ベース層11を比較的薄い厚みの基板、例えば振動子部2の厚みと同等の厚みの基板で構成することができる。これにより、振動子部2の厚み寸法が基板の面内位置に依存しない、感度特性に優れた角速度センサを提供することが可能となる。
【0059】
また、本実施の形態の角速度センサ1によれば、支持層12によってベース層11の機械的強度を高めることができる。これにより、例えば、角速度センサ1の実装工程や実使用時におけるベース層11の破損を防止して、信頼性の高い角速度検出を確保することが可能となる。
【0060】
以下、本実施の形態の角速度センサ1の製造方法について図4〜図14を参照して具体的に説明する。ここで、図4〜図14において(A)は基板の斜視図、(B)はその断面図である。
【0061】
まず、図4に示すように、支持層12を構成する基板112(第1の基板又は第2の基板)を準備する。基板112としては、例えば、厚さ300μmのシリコン単結晶基板が用いられる。
【0062】
次に、図5に示すように、酸素雰囲気中で加熱処理することで、基板112の表面に熱酸化膜112a、112bを全面に形成する。これにより、基板112の表面に絶縁膜を容易に形成することができる。なお、図においては基板112の表面側及び裏面側に熱酸化膜が形成された状態を示しているが、実際は基板の側面にも同様な熱酸化膜が形成される。
【0063】
熱酸化膜112a、112b(絶縁膜)はシリコン酸化膜(SiO膜)である。熱酸化膜112a、112bの膜厚は、例えば、約1μmとすることができるが、上記の例に限らず、0.1μm以上3μm以下とすることができる。なお、酸化膜の形成方法は、上述した熱酸化法に限られず、例えばCVD法などで形成した化学蒸着膜あるいはプラズマTEOS膜で上記酸化膜を形成することも可能である。酸化膜を熱酸化法で形成することにより、結晶性等の膜質に優れた酸化膜を形成でき、後述する基板接合工程において安定した接合作用を得ることが可能となる。
【0064】
続いて、図6に示すように、基板112の一方の表面に形成した熱酸化膜112aに、基板112の表面の一部を露出させる開口90を形成する。
【0065】
開口90の形成方法としては、公知のフォトリソグラフィ技術を用いることができる。具体的には、熱酸化膜112aの表面にフォトレジスト膜を形成した後、開口90の形状パターンを有するマスクを介して上記フォトレジスト膜を露光する。その後、フォトレジスト膜を現像して開口90の形状パターンに対応したレジストパターンを形成する。そして、基板112をフッ化アンモニウムなどの適宜の薬液に浸してレジストパターンの開口部に位置する熱酸化膜112aをエッチングして除去する。
【0066】
なお、説明及び理解の容易のため、開口90は基板112上に1つだけ図示されているが、一枚の基板から複数(例えば数十〜数百)のセンサを同時に作製する場合には、開口90は基板112上に複数個形成される。
【0067】
次に、図7に示すように、ベース層11を構成する基板111(第2の基板又は第1の基板)を準備する。基板111としては、例えば、振動子部2と同じ厚さ100μmのシリコン単結晶基板が用いられる。基板111の大きさは、基板112とほぼ同一の大きさに形成されている。
【0068】
そして、図8に示すように、熱酸化膜112aを挟んで基板111及び基板112を相互に貼り合わせる。また、基板111と基板112は一体接合されることで、以降の工程では、一枚の基板(SOI基板110)としてハンドリングできるようになる。ここで、熱酸化膜112aは、角速度センサ1におけるベース層11と支持層12の間を接合する接合層13として機能する。
【0069】
基板111、112の貼り合わせには、SOI技術において一般的な基板接合技術を用いることができる。具体的には、加熱加圧技術を用いた原子拡散による固相接合を用いることができる。また、基板111、112の間に電圧を印加して接合する陽極接合法を用いることができる。さらに、接着剤を用いた接着接合も適用可能である。
【0070】
続いて、図9に示すように、酸素雰囲気中で加熱処理することで、基板111の表面に熱酸化膜111aを全面に形成する。熱酸化膜111aが形成される基板111の表面は、後に圧電機能層7が形成されるSOI基板110の主面(側周面以外の面)に対応する。なお、図においては基板111の表面側に熱酸化膜が形成された状態を示しているが、実際は基板の側面にも同様な熱酸化膜が形成される。
【0071】
熱酸化膜111a(絶縁膜)はシリコン酸化膜(SiO膜)である。熱酸化膜111aの膜厚は特に限定されず、例えば、約1μmとすることができるが、上記の例に限らず、0.1μm以上3μm以下とすることができる。なお、酸化膜の形成方法は、上述した熱酸化法に限らず、例えばCVD法などで形成した化学蒸着膜あるいはプラズマTEOS膜で上記酸化膜を形成することも可能である。酸化膜を熱酸化法で形成することにより、結晶性等の膜質に優れた酸化膜を形成できる。
【0072】
次に、図10に示すように、基板111の上に、熱酸化膜111aを介して、上述した圧電機能層7、パッド9a〜9h、バンプ10、配線部13a〜13h等を形成する。
【0073】
このとき、基板112上の開口90の形成位置に対応する基板111上の領域内に角速度センサの振動子部2、くびれ部8が配置されるように、また、熱酸化膜112aの形成位置に対応する基板111上の領域内に角速度センサの基部2が配置されるように素子形成領域を設定する。なお、図において参照符号101は、個片化する前のウエハ状態における角速度センサを示し、102は当該角速度センサ101の振動子部、103は当該角速度センサ101の基部をそれぞれ示している。
【0074】
圧電機能層7の形成方法としては、熱酸化膜111a上に共通電極4を構成する電極膜、圧電膜5、上部電極6を構成する電極膜をスパッタリング法などの薄膜形成方法を用いて適宜形成する。また、フォトリソグラフィ技術を用いて振動子部の各アーム部21〜23に対応する形状のパターン形成を行い、適宜エッチングを繰り返す。以上のようにして、図1に示した圧電機能層7を形成することができる。
【0075】
続いて、図11に示すように、開口90の形成位置に対応する基板111上の領域をドライエッチングして、基板111を厚さ方向に貫通する、振動子部2の外形形状に対応したエッチング溝91を形成する。これにより、開口90の直上に、振動子部102が形成される。
【0076】
エッチング溝91の形成方法としては、例えば、Deep RIE (Reactive Ion Etching)のようなシリコンの深堀加工技術を用いることができる。これは、エッチングプロセスと成膜プロセスを交互に繰り返し実施することで、エッチングパターンの側壁部に保護膜を形成しながらエッチングを進行させる加工技術である。これにより、基板の厚さ方向にエッチングを進行させる異方性エッチングを実現することができる。ここでは、エッチングガスとしてSFを、成膜ガスとしてCをそれぞれ用いることができる。なお、エッチング溝91の形成時、振動子部102や基部103の形成領域はレジスト等の保護膜で被覆される。
【0077】
次に、図12及び図13に示すように、開口90を介して振動子部102を露出させる貫通孔93を基板112に形成する。
【0078】
図11に示した工程の終了によって振動子部102は独立した形態で形成されるため、上記貫通孔93を形成せずとも振動子部102は基部103に対して振動することが可能となる。しかし、振動子部102の許容振幅は熱酸化膜102aの厚み寸法に制限されるため、熱酸化膜102aの膜厚によっては振動子部102の自由振動を確保できない場合がある。そこで、本実施の形態では以下に詳述するように振動子部102の下部領域に十分な空間を形成するため、上記貫通孔93を形成するようにした。なお、熱酸化膜102aの膜厚が十分である場合は、以下の工程は省略することができる。
【0079】
貫通孔93の形成工程では、図12に示すように、ドライエッチングプロセスを用いて、基板112に開口90の外形に対応したエッチング溝92が環状に形成される。これにより、図13に示すように、エッチング溝92の内方側に位置する基板112のブロック部112pは、基板112との本体部との連続性が失われて分離される。また、ブロック部112pの形成領域は開口90の形成によって基板111と分離されている。
【0080】
したがって、エッチング溝92の形成により、貫通孔93を容易に形成することが可能となる。また、貫通孔93の形成領域を全てエッチング除去する場合と比較して、エッチング面積を低減することができるので、効率よく貫通孔93を形成することが可能となる。さらに、エッチング面積が大きい場合、エッチングガスの供給が間に合わなくなったり、ガス成分をプラズマ化して基板にイオンを照射するためのバイアスエネルギーが分散されたりすることで、エッチング効率が低下するおそれがあるが、本実施の形態ではこのような懸念を解消することが可能となる。
【0081】
貫通孔93の形成後、図14に示すように、SOI基板110をダイシングにより切断して、個々の角速度センサ1に個片化する。ダイシングラインは、角速度センサ1の基部3の外形とする。振動子部2は、エッチング溝91により外形が形成されているので、このダイシング工程によって、図1に示した角速度センサ1が製造される。
【0082】
以上のように、本実施の形態においては、基板112は、基板111を支持する支持層として機能する。したがって、振動子部2の厚みと同等の厚みで構成された基板111のハンドリング性が高まるとともに、基板111の割れの発生を防止することが可能となる。
【0083】
本実施の形態によれば、基板111に対するウェットエッチングプロセスを用いることなく、ドライプロセスのみで振動子部2の外形が形成されている。したがって、エッチング精度を高めることができるとともに、基板上の面内エッチングレートの均一性が高まることで、振動子部2の厚み寸法が基板の面内位置に依存しない、感度特性に優れた角速度センサ1を製造することが可能となる。また、振動子部の振動空間を上記絶縁膜の開口内に確保することができる。このため、振動子を直接エッチング液に曝すことなく上記振動空間を形成することができるとともに、エッチング液の使用によって圧電膜が被る悪影響を回避することができる。
【0084】
本実施の形態によれば、出発材料(基板111)の厚みで振動子部2の厚みを決定することができるので、振動子部の厚みの調整に機械加工を行う必要がなくなる。なお、SOI基板110の作製後、基板111の主面を所定量研磨することによって、基板111の厚みを振動子部2の厚みに調整することも可能である。この場合、基板112は基板111の支持層として機能するので、研磨工程における基板111のハンドリング性、加工性が高められる。
【0085】
さらに、本実施の形態によれば、振動子部2を形成する基板111の面方位の選定に自由度が得られるため、振動子部の強度の向上を図れるようになる。
つまり、シリコン基板をウェットエッチングして振動子の振動空間を形成する従来の技術においては、エッチング特性がシリコン基板の面方位に大きく依存するため、振動子の形成面に大きな制限があった。一方、シリコン基板は、一般に、そのへき開(又はへき界)面((110)、(111)面)に沿った破壊が生じやすいことが知られている。このため、振動子のくびれ部分など応力が集中する部位に上記へき開面が存在すると、当該部位の強度が低下し、僅かな衝撃によって角速度センサの破壊を招くおそれがある。
これに対して、本実施の形態では、振動子部2が形成される基板111と、振動子部2の振動空間が形成される基板112とがそれぞれ別々の基板で構成されているため、振動子部2が形成される基板111の面方位の選定に高い自由度が得られる。したがって、基板111の面方位を適宜の方位に配向させることによって、振動子部2の破壊強度を向上させ、角速度センサの耐久性を高めることが可能となる。具体的には、振動子部2のくびれ部8の外面がシリコン基板のへき開面と交差するように、基板111あるいは振動子部2の面方位を選定することができる。
【0086】
(第2の実施の形態)
図15(A)は、本発明の第2の実施の形態による角速度センサ81の側面図である。なお、図において上述の第1の実施の形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、図15(B)は図15(A)におけるP部の拡大断面図である。
【0087】
本実施の形態の角速度センサ81は、振動子部2及び基部3を有するベース層11(第1の層)と支持層12(第2の層)の接合構造を有する点で、上述の第1の実施の形態と共通する。しかし、本実施の形態では、支持層12が、基部3に接合される本体部121と、振動子部2を遮蔽する遮蔽部122とを有する点で、第1の実施の形態と相違する。
【0088】
遮蔽部122は、本体部121の一端部から振動子部2と平行に延びた板状に形成されている。遮蔽部122は振動子部2と同一長さに形成されているが、勿論これに限られない。また、遮蔽部122は、振動子部2と対向する側の面に、振動子部2の振動空間Sを形成する凹所122aが形成されている。これにより、振動子部2の振動時における遮蔽部122との干渉を防止でき、振動子部2の自由振動が確保される。
【0089】
上述した構成の角速度センサ81においては、ベース層12が振動子部2を遮蔽する遮蔽部122を有している。このため、角速度センサ81を素子単位でハンドリングするときや配線基板上へ実装するときなどに、振動子部2を誤って破損させたりすることを防止することができる。これにより、振動子部2の保護を図ることが可能となる。
【0090】
次に、本実施の形態の角速度センサ81の製造方法について図16〜図18を参照して説明する。図4〜図14において(A)は基板の斜視図、(B)はその断面図である。
【0091】
図16は、基板112の表面に形成した熱酸化膜112aに対する開口90の形成工程を示している。この工程では、開口90の形成後、図16(B)に示すように、熱酸化膜112aをマスクとするドライエッチング(RIE)を施す。これにより、開口90を介して露出した基板112の表面に凹所122aが形成される。なお、開口90の形成工程は上述の第1の実施の形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0092】
凹所122aは、基板122に対するハーフエッチングによって形成することができる。凹所122aの深さは適宜設定可能であり、例えば、振動子部2(アーム部21〜23)の先端の振動振幅の倍程度となる100μmとすることができる。凹所122aの深さは上記の例に限らず、例えば、30μm以上150μm以下とすることができる。
【0093】
続いて、図17に示すように、基板112に対して基板111を接合し、この基板111の上に圧電機能層7を形成する。なお、基板の接合工程、圧電機能層の形成工程は上述の第1の実施の形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0094】
次に、図18に示すように、ドライエッチングプロセスにより基板111に対してエッチング溝91を形成することで、振動子部102の外形形状を形成する。その後、ダイシング工程を経て、角速度センサ81が製造される。なお、エッチング溝91の形成工程、ダイシング工程等は上述の第1の実施の形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0095】
以上のように、本実施の形態によれば、上述の第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。特に本実施の形態によれば、基板112に貫通孔を形成することなく振動子部102の振動空間Sを形成することができる。この振動空間Sを凹所122aで構成し、また凹所122aをハーフエッチングによって形成しているので、加工時間が抑えられ、かつ高い歩留まりで角速度センサ81を製造することができる。
【0096】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0097】
例えば以上の実施の形態では、3本のアーム部21〜23でなる振動子部2を備えた3音叉型の角速度センサを例に挙げて説明したが、1本または2本のアーム部でなる振動子部を備えた他の形式の角速度センサに対しても、本発明は適用可能である。
【0098】
また、以上の実施の形態では、支持層12を形成する基板112の表面に絶縁膜112aを形成する例について説明したが、これに代えて、振動子部2を形成する基板111の表面に上記絶縁膜を形成してもよい。この場合、当該絶縁膜を挟んで基板111と基板112とが相互に接合される。
【0099】
さらに、接合基板(SOI基板)における振動子部の形成面である主面は、接合層としての絶縁膜が形成された基板側の主面でもよいし、当該絶縁膜が形成されない基板側の主面でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1の実施の形態による角速度センサの実装面側の概略平面図である。
【図2】図1の角速度センサの概略正面図である。
【図3】図1の角速度センサの概略側面図及び背面図である。
【図4】図1の角速度センサの製造方法を説明する一工程図であり、第2の層を形成する基板の準備工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。
【図5】図1の角速度センサの製造方法を説明する一工程図であり、第2の層を形成する基板の表面への絶縁膜の形成工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。
【図6】図1の角速度センサの製造方法を説明する一工程図であり、絶縁膜への開口部の形成工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。
【図7】図1の角速度センサの製造方法を説明する一工程図であり、第1の層を形成する基板と第2の層を形成する基板との接合工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。
【図8】図1の角速度センサの製造方法を説明する一工程図であり、第1の層を形成する基板と第2の層を形成する基板との接合工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。
【図9】図1の角速度センサの製造方法を説明する一工程図であり、第1の層を形成する基板の表面への絶縁膜の形成工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。
【図10】図1の角速度センサの製造方法を説明する一工程図であり、第1の層を形成する基板の表面への圧電機能層の形成工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。
【図11】図1の角速度センサの製造方法を説明する一工程図であり、第1の層を形成する基板に対する振動子部の外形加工工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。
【図12】図1の角速度センサの製造方法を説明する一工程図であり、第1の層を形成する基板に対する振動子部の振動空間の形成工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。
【図13】図1の角速度センサの製造方法を説明する一工程図であり、第1の層を形成する基板に対する振動子部の振動空間の形成工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。
【図14】図1の角速度センサの製造方法を説明する一工程図であり、素子の個片化工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態による角速度センサの概略側面図及び要部の拡大断面図である。
【図16】図15の角速度センサの製造方法を説明する一工程図であり、第2の層を形成する基板の表面への絶縁膜の形成工程及び当該基板に対する凹所の形成工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。
【図17】図15の角速度センサの製造方法を説明する一工程図であり、第1の層を形成する基板と第2の層を形成する基板との接合工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。
【図18】図15の角速度センサの製造方法を説明する一工程図であり、第1の層を形成する基板に対する振動子部の外形加工工程を示す概略斜視図及び要部断面図である。
【符号の説明】
【0101】
1、81、101…角速度センサ
2、102…振動子部
3、103…基部
4…下部電極(共通電極)
5、51、52、53…圧電膜
6、61、62、63…上部電極(駆動電極)
64a、64b、64c、64d…上部電極(検出電極)
7…圧電機能層
8…くびれ部
9a、9b、9c、9d、9e、9f、9g、9h…パッド部
10…バンプ
11…ベース層(第1の層)
12…支持層(第2の層)
13…接合層
90…開口
91、92…エッチング溝
93…貫通孔
110…SOI基板
111、112…基板
112a…熱酸化膜(絶縁膜)
122…遮蔽部
122a…凹所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面と第2の主面とを有し、振動子部と前記振動子部を支持する基部とを含む第1の層と、
前記第1の層の前記第1の主面に形成された圧電膜と、
前記第1の層の前記第2の主面側で前記基部と一体的に接合された第2の層と
を具備する角速度センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の角速度センサであって、
前記第2の層は、第1の層よりも厚みが大きい
角速度センサ。
【請求項3】
請求項2に記載の角速度センサであって、
前記第1の層は、前記振動子部の厚みと同等の厚みを有する
角速度センサ。
【請求項4】
請求項3に記載の角速度センサであって、
前記第1の層と前記第2の層はそれぞれシリコン基板からなり、
前記角速度センサは、前記第1の層と前記第2の層の間に、シリコン酸化膜からなる接合層をさらに具備する
角速度センサ。
【請求項5】
請求項4に記載の角速度センサであって、
前記基部の前記第1の主面側に形成され、外部回路に接続される複数の端子部をさらに具備し、
前記第2の層は、前記第2の主面上の、前記端子部の形成位置を含む領域にわたって接合されている
角速度センサ。
【請求項6】
請求項5に記載の角速度センサであって、
前記振動子部は、互いに平行に延びる3本のアーム部を有する
角速度センサ。
【請求項7】
請求項5に記載の角速度センサであって、
前記第2の層は、前記振動子部を遮蔽する遮蔽部を有し、
前記遮蔽部は、前記振動子部と対向する側の面に、前記振動子部の振動空間を形成する凹所を有する
角速度センサ。
【請求項8】
第1の基板上に絶縁膜を形成し、
前記絶縁膜に前記第1の基板を露出させる開口を形成し、
前記絶縁膜を挟んで前記第1の基板上に第2の基板を貼り合わせ、
前記第1の基板及び前記第2の基板の何れか一方の基板の主面に圧電膜を形成し、
前記開口の形成位置に対応する前記主面上の領域内に振動子部を形成し、
前記第1の基板及び前記第2の基板を切断することで前記振動子部を支持する基部の外形を形成する
角速度センサの製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の角速度センサの製造方法であって、
前記第2の基板は、前記第1の基板よりも厚みが小さく、
前記主面は、前記第2の基板の主面である
角速度センサの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の角速度センサの製造方法であって、
前記絶縁膜を形成することは、シリコン基板である前記第1の基板を酸素雰囲気下で加熱処理することで前記第1の基板上にシリコン酸化膜を形成することを含む
角速度センサの製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の角速度センサの製造方法であって、
前記振動子部を形成することは、ドライエッチングプロセスを用いて、前記第2の基板に前記振動子部の外形に対応したエッチング溝を形成することを含む
角速度センサの製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載角速度センサの製造方法であって、
前記開口を介して前記振動子部を外部へ露出させる貫通孔を前記第1の基板に形成することをさらに有する
角速度センサの製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の角速度センサの製造方法であって、
前記貫通孔を形成することは、ドライエッチングプロセスを用いて、前記第1の基板に前記開口の外形に対応したエッチング溝を形成することを含む
角速度センサの製造方法。
【請求項14】
請求項9に記載の角速度センサの製造方法であって、
前記開口を形成した後、前記開口から露出する前記第1の基板の表面に凹所を形成することをさらに有する
角速度センサの製造方法。
【請求項15】
請求項9に記載の角速度センサの製造方法であって、
前記圧電膜を形成する前に、前記主面を所定量研磨することをさらに有する
角速度センサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−14575(P2010−14575A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175445(P2008−175445)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】