説明

触感付与機能を有する入力装置

【課題】回転操作部が回転される際のみならず垂直押下時および斜め押下時にも触感をユーザに対して付与することが可能な触感付与機能を有する入力装置を提供する。
【解決手段】このダイヤルスイッチ100(触感付与機能を有する入力装置)は、垂直押下操作および斜め押下操作による入力操作が可能な操作部2と、回転操作時、垂直押下時および斜め押下時にユーザに対して触感を付与可能な超音波モータ3と、超音波モータ3のモータ軸34の回転を操作部2に伝達する開口部22aおよび係合部材43とを備える。開口部22aおよび係合部材43は、開口部22aおよび係合部材43の互いに対向する面のうち少なくとも一方側の面が曲面形状を有するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、触感付与機能を有する入力装置に関し、特に、ユーザにより押下入力操作が可能な回転操作部を備える触感付与機能を有する入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザにより押下入力操作が可能な回転操作部を備える触感付与機能を有する入力装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、回転軸を有し、ユーザにより回転入力操作可能に構成される操作ノブ(回転操作部)と、操作ノブが回転される際に、回転方向の力に抗する抵抗力を回転軸に付与する電磁ブレーキとを備える力覚付与型入力装置(触感付与機能を有する入力装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−19113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、操作ノブが回転される際における回転方向の力に抗する抵抗力が電磁ブレーキにより回転軸に付与されるだけの構成であるため、操作ノブを操作するユーザに対して、操作ノブを回転する力に抗する触感しか付与することができないという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、回転操作部が回転される際のみならず垂直押下時および斜め押下時にも触感をユーザに対して付与することが可能な触感付与機能を有する入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の一の局面による触感付与機能を有する入力装置は、ユーザにより垂直押下操作および斜め押下操作による入力操作が可能な回転操作部と、回転軸と、固定子と、固定子と接触した状態で対向するように配置され、固定子に対して回転されるとともに回転軸を回転させる回転子とを含み、回転操作時、垂直操作時および斜め押下時にユーザに対して触感を付与可能なモータと、モータの回転軸の回転を回転操作部に伝達する回転伝達部とを備え、回転伝達部は、モータの回転軸に設けられた第1係合部と、第1係合部と係合するように回転操作部に設けられた第2係合部とを含み、第1係合部および第2係合部の互いに対向する面のうち少なくとも一方側の面が曲面形状を有することにより、回転操作部が斜め押下操作された場合に、回転操作部の斜め押下操作による力が第2係合部から第1係合部を介してモータの回転軸に伝達されないように構成されている。
【0008】
この発明の一の局面による触感付与機能を有する入力装置では、上記のように、回転操作時、垂直操作時および斜め押下時にユーザに対して触感を付与可能なモータを設けることによって、回転操作部が回転される際のみならず垂直押下時および斜め押下時にも触感をユーザに対して付与することができる。また、第1係合部および第2係合部の互いに対向する面のうち少なくとも一方側の面を、曲面形状を有するように構成することによって、回転操作部が斜め押下操作された場合に、第1係合部と第2係合部とを曲面形状の面に沿って互いにスライドさせることができるので、回転操作部の斜め押下操作による力が第2係合部から第1係合部を介してモータの回転軸に伝達されるのを抑制することができる。これにより、斜め押下操作の方向の力がモータの回転軸に付与されるのを抑制することができるので、モータを安定して駆動することができるとともに、異音の発生も抑制することができる。その結果、斜め押下時にも回転操作部が回転されることによる触感をユーザに対して安定して付与することができる。
【0009】
上記一の局面による触感付与機能を有する入力装置において、好ましくは、モータの回転軸に設けられる第1係合部および第2係合部の一方は、回転軸の半径方向に延びる突起部を含み、第1係合部および第2係合部の他方は、突起部に対応するように形成され、突起部が嵌り込む凹部を含む。このように構成すれば、モータの回転軸が回転された場合に、回転軸の半径方向に延びる突起部と突起部が嵌り込む凹部とにより、回転軸の回転方向の力を円周方向に伝達することができるので、モータの回転軸から回転操作部に回転方向の力を伝達することができる。
【0010】
上記突起部および凹部が設けられた触感付与機能を有する入力装置において、好ましくは、突起部は、回転軸の半径方向に延びる胴部と、胴部の先端に設けられた先端部とを含み、第1係合部および第2係合部は、突起部の胴部の外側面部と凹部の突起部の胴部の外側面部と対向する内側面部とが当接することにより回転力が伝達されるように構成されており、突起部の先端部は、略半球形状に形成されている。このように構成すれば、突起部の胴部の外側面部と、凹部の突起部の胴部の外側面部と対向する内側面部とが当接することにより、容易に、回転軸の回転方向の力を円周方向に伝達することができるので、容易に、モータの回転軸から回転操作部に回転方向の力を伝達することができる。また、突起部の先端部を、略半球形状に形成することにより、回転操作部が斜め押下操作された場合にも、先端部の半球形状の面に沿って、突起部が凹部と干渉し合わないようにスライドさせることができるので、回転操作部の斜め押下操作による力が第2係合部から第1係合部を介してモータの回転軸に伝達されるのを抑制することができ、斜め押下時にも安定的にかつ異音発生なくユーザに触感を付与することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、突起部の胴部の外側面部は、凹部の内側面部に向かって突出する凸状の曲面状に形成されており、凹部の内側面部は、突起部の胴部の外側面部に向かって突出する凸状の曲面状に形成されている。このように構成すれば、回転操作部が斜め押下操作された場合に、凸状の曲面状の突起部の外側面部と凸状の曲面状の凹部の内側面部とを、凸状の曲面状の面に沿って、互いに干渉し合わないようにスライドさせることができるので、回転操作部の斜め押下操作による力が第2係合部から第1係合部を介してモータの回転軸に伝達されるのを抑制することができる。
【0012】
上記一の局面による触感付与機能を有する入力装置において、好ましくは、第1係合部は、所定の回転角度間隔で設けられ、回転軸の半径方向の外側に延びる複数の突起部を含む。このように構成すれば、回転軸の回転の力を複数の突起部に分けて回転操作部に伝達することができるので、回転操作部を安定して回転させることができる。
【0013】
上記一の局面による触感付与機能を有する入力装置において、好ましくは、回転操作部が回転可能に取り付けられる台部と、台部に固定され、回転操作部が少なくとも斜め押下操作された場合に、圧力を検知するスイッチ部とを備える。このように構成すれば、ユーザが回転操作部を少なくとも斜め押下操作することによりスイッチ部が押下された場合にも、上記のように斜め押下操作の方向の力がモータの回転軸に付与されるのを抑制することができる。これにより、斜め押下時にスイッチ部が押下された場合にも、安定してモータの回転軸を回転させることができるので、安定した触感をユーザに付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態によるダイヤルスイッチの構成を説明するための分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態によるダイヤルスイッチの構成を説明するための断面斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態によるダイヤルスイッチの構成を説明するための断面図である。
【図4】本発明の一実施形態によるダイヤルスイッチの連結部材の構成を説明するための斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態によるダイヤルスイッチの連結部材の構成を説明するための平面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるダイヤルスイッチの連結部材の構成を説明するための背面図である。
【図7】本発明の一実施形態によるダイヤルスイッチの連結部材および係合部材近傍の拡大図である。
【図8】本発明の一実施形態によるダイヤルスイッチの係合部材の構成を説明するための斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態によるダイヤルスイッチの操作部が垂直押下された際の連結部材および係合部材近傍の拡大図である。
【図10】本発明の一実施形態によるダイヤルスイッチの操作部が斜め押下された際の連結部材および係合部材近傍の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1〜図10を参照して、本発明の一実施形態によるダイヤルスイッチ100の構成について説明する。なお、ダイヤルスイッチ100は、本発明の「触感付与機能を有する入力装置」の一例である。
【0017】
本発明の一実施形態によるダイヤルスイッチ100は、図1に示すように、台部1と、台部1に対して回転可能に台部1に取り付けられる操作部2と、台部1に収納され、操作部2を回転させる駆動力を出力する超音波モータ3とを備えている。なお、操作部2は、本発明の「回転操作部」の一例であり、超音波モータ3は、本発明の「モータ」の一例である。このダイヤルスイッチ100は、ユーザが操作部2をA方向およびB方向に回転させるとともに、操作部2を矢印Z1方向および矢印Z1方向と交差する方向(たとえば矢印C方向(図10参照))に押下(垂直押下操作および斜め押下操作)させることが可能なように構成されている。ダイヤルスイッチ100は、このようなユーザによる回転および押下操作に基づいて、ダイヤルスイッチ100と接続される図示しない対象機器の操作を行うことが可能となるように構成されている。また、ダイヤルスイッチ100は、接続される図示しない対象機器の状態に応じて超音波モータ3が駆動することにより、回転操作時、垂直押下操作時および斜め押下操作時に、操作部2が回転されるまたは回転方向の力が付与されることによる触感をユーザの手に対して付与することが可能となるように構成されている。
【0018】
図1および図2に示すように、台部1は、ダイヤルスイッチ100を支える基台部11と、基台部11の上部を覆う蓋部12と、基台部11の下部を覆う蓋部13(図3参照)とを含んでいる。図3に示すように、基台部11の下部には、開口部11aが設けられている。また、基台部11の内部の下側部分11bには、回路基板14がネジ部材51により固定されている。
【0019】
また、図1および図3に示すように、基台部11の上部には、円形状の開口部11cが設けられている。また、基台部11の内部の上側部分11dには、図2および図3に示すように、超音波モータ3が配置されている。具体的には、後述する超音波モータ3の本体部分31が基台部11の内部の上側部分11dに収納されている。そして、蓋部12は、開口部11cの上部に配置されているとともに、ネジ部材52(図1参照)により基台部11に対して固定されている。
【0020】
この蓋部12は、基台部11の円状の開口部11cの開口広さよりも大きい円板形状を有している。つまり、蓋部12は、基台部11の開口部11cの半径方向の外側に張り出すようにして、開口部11cを覆っている。この蓋部12の開口部11cの半径方向の外側に張り出す張出し部12aは、後述する操作部2の取手部材21の爪部21aに係合されるように構成されている。
【0021】
また、蓋部12の円板形状の中心部分には、円形状の穴部12bが形成されている。丸形状の穴部12bは、後述する超音波モータ3のモータ軸34を基台部11の外部(矢印Z2方向)に突出させるために設けられている。
【0022】
また、蓋部12の穴部12bの半径方向の外側には、図1に示すように、4つの略半円形状の溝部12cが約90度間隔で設けられている。また、4つの略半円形状の溝部12cの半円の直径部分と隣接する部分には、それぞれ、矩形状の穴部12dが設けられている。略半円形状の溝部12cは、それぞれ、感圧センサ41を配置するために設けられている。また、矩形状の穴部12dは、それぞれ、感圧センサ41の配線部41aを基台部11の内部に導通させるために設けられている。この溝部12cに配置される感圧センサ41は、図2に示すように、蓋部12に固定されており、ユーザが操作部2を矢印Z1方向および矢印Z1方向と交差する方向(たとえば矢印C方向(図10参照))に押下した際に、後述するバネ部材42を介して、後述する操作部2の連結部材22の突出部22eにより押圧されるように構成されている。つまり、感圧センサ41は、操作部2が押下された際の圧力を検知するように構成されている。なお、感圧センサ41は、本発明の「スイッチ部」の一例である
【0023】
また、図1に示すように、蓋部12の円周方向に隣り合う溝部12cの間には、ネジ部材52を挿入するためのネジ挿入穴12eが約90度間隔で設けられている。
【0024】
また、台部1の蓋部12の上方(矢印Z2方向)には、樹脂により形成されたバネ部材42が設けられている。このバネ部材42は、ネジ部材52(図1参照)により蓋部12と共に基台部11に共締めされている。また、バネ部材42は、図3に示すように、後述する操作部2の連結部材22の突出部22eと当接するとともに、突出部22eを介して連結部材22を上方(矢印Z2方向)に付勢するように構成されている。これにより、操作部2の自重により感圧センサ41が押下されるのを抑制することが可能となる。
【0025】
また、操作部2は、ユーザが垂直押下操作および斜め押下操作するための取手部材21と、ネジ部材53により取手部材21に対して固定された連結部材22とにより構成されている。取手部材21は、ユーザが手を覆い被せることが可能なように構成されている。また、取手部材21の下端部の内周面には、取手部材21の回転の中心方向に向かって突出する爪部21aが設けられている。この爪部21aは、図2および図3に示すように、台部1の蓋部12の張出し部12aと係合するように構成されており、ユーザが操作部2を上方(矢印Z2方向)に引っ張った場合にも、台部1から操作部2が離間してしまうのを抑制することが可能である。また、取手部材21は、爪部21aと張出し部12aとの係合により上方に移動するのが規制される一方で、回転方向(A方向およびB方向(図1参照))に規制されないので、操作部2を台部1に対して自由に回転させることが可能となる。
【0026】
また、連結部材22は、ポリアセタール樹脂により形成されており、取手部材21の内側に収納された状態で取手部材21と固定されている。また、連結部材22は、図4〜図6に示すように、円板形状の外形を有している。この連結部材22の円板形状の中心部分には、図5および図6に示すように、平面的に見て、十字形状の開口部22aが設けられている。なお、開口部22aは、本発明の「回転伝達部」および「第2係合部」の一例である。この開口部22aは、図7に示すように、後述する超音波モータ3のモータ軸34に取り付けられた係合部材43と係合するように構成されている。なお、係合部材43は、本発明の「回転伝達部」および「第1係合部」の一例である。
【0027】
ここで、本実施形態では、係合部材43は、ポリアセタール樹脂により形成されており、図5および図6に示すように、平面的に見て、略十字形状を有している。つまり、係合部材43は、モータ軸34の半径方向に延びる4つの突起部43aが形成されており、これら突起部43aは、略90度間隔で設けられている。また、図8に示すように、これら4つの突起部43aは、それぞれ、半径方向に延びるとともに、外表面が滑らかな曲面から構成された胴部43bと、胴部43bの先端に接続され、外面が略半球形状の先端部43cとを含んでいる。具体的には、胴部43bおよび先端部43cは、突起部43aが延びる方向とは直交する方向に切断した際の断面(図8のハッチング部分参照)が略円形状になるように構成されている。このように、突起部43aは、胴部43bが略円形状の断面を有することにより、係合部材43が係合する開口部22aの内側面部22bに向かって突出する凸状の曲面状に形成されている。また、突起部43aは、先端部43cが略円形状の断面を有することにより、係合部材43が係合する開口部22aの後述する凹部22cに向かって突出する凸状の曲面状に形成されている。
【0028】
また、係合部材43を係合する開口部22aは、図5および図6に示すように、係合部材43に対応する略十字形状に形成されている。また、開口部22aは、係合部材43の突起部43aが嵌り込む4箇所の凹部22cを含んでいる。これら4箇所の凹部22cの内側面部22bは、図4に示すように、突起部43a(図8参照)の外側面部(胴部43bの外面)に向かって突出する凸状の曲面状に形成されている。また、図4および図7に示すように、開口部22aの内側面部22bは、開口部22aの上下方向(Z方向)の中心部分近傍が最も突出する凸形状の断面を有している。
【0029】
係合部材43は、図5および図6に示すように、このような開口部22aに嵌り込むように係合されているため、後述するモータ軸34の回転に伴って係合部材43が回転された場合に、突起部43aの外側面部(胴部43bの外面)と、胴部43bの外面と対向する凹部22cの内側面部22bとが当接することにより、連結部材22に回転力が伝達される。これにより、連結部材22を回転させることが可能となるので、操作部2をA方向およびB方向に回転させることが可能となる。
【0030】
また、上記のように連結部材22の開口部22aおよび係合部材43を構成することによって、図9に示すように、操作部2がユーザにより下方(矢印Z1方向)に押下された場合にも、開口部22aと係合部材43とが係合部材43の回転方向(A方向およびB方向)のみで係合しているため、係合部材43に矢印Z1方向の力が付与されるのを防止することが可能である。
【0031】
また、上記のように連結部材22の開口部22aおよび係合部材43を構成することによって、図10に示すように、操作部2がユーザにより下方(矢印Z1方向)と交差する方向(たとえば、矢印C方向)に押下された場合にも、開口部22aと係合部材43とが係合部材43の回転方向(A方向およびB方向)のみで係合し、かつ、開口部22aと係合部材43とを互いに干渉するのを抑制する曲面形状により形成されているため、開口部22aが係合部材43に対して相対的に回動するようにスライドされる。
【0032】
また、連結部材22には、図1および図4に示すように、連結部材22を取手部材21(図1参照)に対してネジ部材53により固定するための3つのネジ挿入穴22dが設けられている。また、連結部材22の矢印Z1方向側の面には、図2および図6に示すように、矢印Z1方向に突出する円環形状の突出部22eが形成されている。この突出部22eは、図2に示すように、ユーザが操作部2の取手部材21を矢印Z1方向および矢印Z1方向と交差する方向(たとえば矢印C方向(図10参照))に押下した際に、バネ部材42を介して感圧センサ41を押圧することが可能なように構成されている。
【0033】
また、超音波モータ3は、図3に示すように、本体部分31と、本体部分31に収容された固定子32と、固定子32に対して回転する回転子33と、回転子33の回転に伴って回転子33の回転力を外部に出力するモータ軸34とを含んでいる。なお、モータ軸34は、本発明の「回転軸」の一例である。
【0034】
固定子32は、本体部分31の内部の上部に固定されている。この固定子32は、固定子32に所定の電圧が印加された場合に、波打つように振動する圧電素子からなる。また、回転子33は、固定子32と対向し、かつ、固定子32に接触するように、固定子32の下側に設けられている。この回転子33は、固定子32が波打つように振動した場合に、接触する固定子32に対して相対的に回転されるように構成されている。また、回転子33は、回転子ホルダ35により保持されており、回転子33が固定子32に対して回転した場合に、回転子ホルダ35は、回転子33と共に回転するように構成されている。また、回転子ホルダ35には、モータ軸34の下部が固定されており、モータ軸34も、回転子33と共に回転するように構成されている。また、モータ軸34には、圧縮コイルバネ36が伸縮可能に嵌め込まれている。この圧縮コイルバネ36は、モータ軸34を上方に付勢する機能を有している。このように、モータ軸34が上方に付勢されることにより、回転子ホルダ35を介して、回転子33が固定子32に向かって付勢されるので、回転子33は、固定子32に対して所定の力で接触される。これにより、回転子33と固定子32との間に一定の摩擦力が発生するので、固定子32が波打つように振動した場合に、回転子33は、固定子32に対して安定して回転する。このような構成を有する超音波モータ3を用いて、回転操作時、垂直押下操作時および斜め押下操作時にそれぞれ所定の回転パターン駆動を行うことにより、回転操作時、垂直押下操作時および斜め押下操作時にそれぞれ異なる触感を付与することが可能である。
【0035】
本実施形態では、上記のように、回転操作時、垂直操作時および斜め押下時にユーザに対して触感を付与可能な超音波モータ3を設けることによって、操作部2が回転される際のみならず垂直押下時および斜め押下時にも触感をユーザに対して付与することができる。また、係合部材43および開口部22aの互いに対向する面を、曲面形状を有するように構成することによって、操作部2が斜め押下操作された場合に、係合部材43と開口部22aとを曲面形状の面に沿って互いにスライドさせることができるので、操作部2の斜め押下操作による力が開口部22aから係合部材43を介して超音波モータ3のモータ軸34に伝達されるのを抑制することができる。これにより、斜め押下操作の方向の力が超音波モータ3のモータ軸34に付与されるのを抑制することができるので、超音波モータ3を安定して駆動することができるとともに、異音の発生も抑制することができる。その結果、斜め押下時にも操作部2が回転されることによる触感をユーザに対して安定して付与することができる。
【0036】
また、本実施形態では、上記のように、係合部材43に、モータ軸34の半径方向に延びる突起部43aを設けるとともに、開口部22aに、突起部43aに対応するように形成され、突起部43aが嵌り込む凹部22cを設けることによって、超音波モータ3のモータ軸34が回転された場合に、モータ軸34の半径方向に延びる突起部43aと凹部22cとにより、モータ軸34の回転方向の力を円周方向に伝達することができるので、超音波モータ3のモータ軸34から操作部2に回転方向の力を伝達することができる。
【0037】
また、本実施形態では、上記のように、係合部材43および開口部22aを、突起部43aの胴部43bの面部と突起部43aの胴部43bの面部と対向する内側面部22bとが当接することにより回転力が伝達されるように構成することによって、モータ軸34の回転方向の力を円周方向に伝達することができるので、容易に、超音波モータ3のモータ軸34から操作部2に回転方向の力を伝達することができる。
【0038】
また、本実施形態では、上記のように、突起部43aの胴部43bの面部を、凹部22cの内側面部22bに向かって突出する凸状の曲面状に形成するとともに、凹部22cの内側面部22bを、突起部43aの胴部43bの面部に向かって突出する凸状の曲面状に形成することによって、操作部2が斜め押下操作された場合に、凸状の曲面状の突起部43aの胴部43bの面部と凸状の曲面状の凹部22cの内側面部22bとを、凸状の曲面状の面に沿って、互いに干渉し合わないようにスライドさせることができる。これにより、操作部2の斜め押下操作による力が開口部22aから係合部材43を介して超音波モータ3のモータ軸34に伝達されるのを抑制することができ、斜め押下時にも安定的にかつ異音発生なくユーザに触感を付与することができる。
【0039】
また、本実施形態では、上記のように、所定の回転角度(約90度)間隔で、モータ軸34の半径方向の外側に延びる複数の突起部43aを設けることによって、モータ軸34の回転の力を複数の突起部43aに分けて操作部2に伝達することができるので、操作部2を安定して回転させることができる。
【0040】
また、本実施形態では、上記のように、操作部2が回転可能に取り付けられる台部1と、台部1に固定され、操作部2が少なくとも斜め押下操作された場合に、圧力を検知する感圧センサ41とを設けることによって、ユーザが操作部2を斜め押下操作することにより感圧センサ41が押下された場合にも、安定して超音波モータ3のモータ軸34を回転させることができるので、安定した触感をユーザに付与することができる。
【0041】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0042】
たとえば、上記実施形態では、開口部22aおよび係合部材43の両方の表面を曲面形状に構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、開口部22aおよび係合部材43のいずれか一方の表面を曲面形状に構成してもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、開口部22aを操作部2側に設けるとともに、係合部材43をモータ軸34側に設けた例について示したが、本発明はこれに限られない。モータ軸34側に開口部を有する部材を設けるとともに、操作部側に係合部材を設けるようにしてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、係合部材43の突起部43aを4つ設けた例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、突起部を1〜3つ、または、5つ以上設けるようにしてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、係合部材43の突起部43aの表面を、開口部22aの内側面部22bおよび凹部22cに向かって突出する凸形状の曲面状に構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、操作部2が押下された場合に、開口部の内側面部および凹部と干渉しないようにスライド可能であれば、突起部の表面を、開口部の内側面部および凹部とは反対方向側に窪む凹形状の曲面状に構成してもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、開口部22aの凹部22cの表面を、係合部材43の突起部43a側に向かって突出する凸形状の曲面状に構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、操作部2が押下された場合に、係合部材の突起部と干渉しないようにスライド可能であれば、開口部の凹部の表面を、係合部材43の突起部43a側とは反対方向側に向かって窪む凹形状の曲面状に構成してもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、本発明の回転軸と、固定子と、固定子と接触した状態で対向するように配置され、固定子に対して回転されるとともに回転軸を回転させる回転子とを含むモータの一例として超音波モータ3を用いた例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、回転軸と、固定子と、固定子と接触した状態で対向するように配置され、固定子に対して回転されるとともに回転軸を回転させる回転子とを含むモータであれば、超音波モータ以外のモータを用いてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 台部
2 操作部(回転操作部)
3 超音波モータ(モータ)
22a 開口部(回転伝達部、第1係合部)
22b 内側面部
22c 凹部
32 固定子
33 回転子
34 モータ軸(回転軸)
41 感圧センサ(スイッチ部)
43 係合部材(回転伝達部、第2係合部)
43a 突起部
43b 胴部
43c 先端部
100 ダイヤルスイッチ(触感付与機能を有る入力装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより垂直押下操作および斜め押下操作による入力操作が可能な回転操作部と、
回転軸と、固定子と、前記固定子と接触した状態で対向するように配置され、前記固定子に対して回転されるとともに前記回転軸を回転させる回転子とを含み、回転操作時、垂直押下時および斜め押下時にユーザに対して触感を付与可能なモータと、
前記モータの回転軸の回転を前記回転操作部に伝達する回転伝達部とを備え、
前記回転伝達部は、前記モータの回転軸に設けられた第1係合部と、前記第1係合部と係合するように前記回転操作部に設けられた第2係合部とを含み、
前記第1係合部および前記第2係合部の互いに対向する面のうち少なくとも一方側の面が曲面形状を有することにより、前記回転操作部が斜め押下操作された場合に、前記回転操作部の斜め押下操作による力が前記第2係合部から前記第1係合部を介して、前記モータの回転軸に伝達されないように構成されている、触感付与機能を有する入力装置。
【請求項2】
前記モータの回転軸に設けられる前記第1係合部および前記第2係合部の一方は、前記回転軸の半径方向に延びる突起部を含み、
前記第1係合部および前記第2係合部の他方は、前記突起部に対応するように形成され、前記突起部が嵌り込む凹部を含む、請求項1に記載の触感付与機能を有する入力装置。
【請求項3】
前記突起部は、前記回転軸の半径方向に延びる胴部と、前記胴部の先端に設けられた先端部とを含み、
前記第1係合部および前記第2係合部は、前記突起部の胴部の外側面部と前記凹部の前記突起部の胴部の外側面部と対向する内側面部とが当接することにより回転力が伝達されるように構成されており、
前記突起部の先端部は、略半球形状に形成されている、請求項2に記載の触感付与機能を有する入力装置。
【請求項4】
前記突起部の胴部の外側面部は、前記凹部の内側面部に向かって突出する凸状の曲面状に形成されており、
前記凹部の内側面部は、前記突起部の胴部の外側面部に向かって突出する凸状の曲面状に形成されている、請求項3に記載の触感付与機能を有する入力装置。
【請求項5】
前記第1係合部は、所定の回転角度間隔で設けられ、前記回転軸の半径方向の外側に延びる複数の突起部を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の触感付与機能を有する入力装置。
【請求項6】
前記回転操作部が回転可能に取り付けられる台部と、
前記台部に固定され、前記回転操作部が少なくとも斜め押下操作された場合に、圧力を検知するスイッチ部とを備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の触感付与機能を有する入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−18774(P2012−18774A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154152(P2010−154152)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】