説明

触覚シート装置、入力装置及び電子機器

【課題】タッチシート部材の構造及び機能を工夫して、所定の位置で触覚提示用の凹又は凸形状を構築できるようにすると共に、タッチシートにおける操作性や、滑り止めシートにおける親和性を向上できるようにする。
【解決手段】所定の硬度を有してシート状を成す母材用のシート部材1と、所定の大きさを有してシート部材1の所々又は所定の位置に配設された触覚提示用の開孔部p1〜p24と、この開孔部p1〜p24に空気を供給する空調部3とを備えるものである。シート部材1の所々又は所定の位置において、開孔部p1等が操作者の指に対して、開孔部p1等から吹き出す空気又は、開孔部p1に流入する空気による凹凸感を与えるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイコン画面に触れると触覚を提示する触覚入力機能を備えたデジタルカメラや、ビデオカメラ、携帯電話機、携帯端末装置、デスクトップ型のパーソナルコンピュータ(以下パソコンという)、ノート型のパソコン、点字ブロック装置等の電子機器に適用可能な触覚シート装置、入力装置及び電子機器に関する。
【0002】
詳しくは、所定の大きさを有して母材用の素材の所々又は所定の位置に配設された触覚提示用の触覚表現部を備え、媒体供給部から触覚表現部へ媒体を供給して、部材表面が平坦状に観察されても、実際に部材表面を手で触れられて、母材用の素材から触覚提示用の触覚表現部へ摺動したとき、母材用の素材の所々又は所定の位置において、触覚表現部により操作体に対して手触り凹凸感を与える触覚を提示できるようにすると共に、各種電子機器筐体のグリップ部分でプログラム可能な滑り止めシートや、プログラム可能なアイコンタッチ用の触覚入力シート等に応用できるようにしたものである。
【背景技術】
【0003】
近年、ユーザ(操作者)は、多種類の動作モードを装備したデジタルカメラを使用して被写体を撮影したり、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants)等の携帯端末装置に様々なコンテンツを取り込み、それを利用するようになってきた。これらのデジタルカメラや携帯端末装置等には入力装置が具備される。入力装置にはキーボードや、JOGダイヤル等の入力手段、表示部を合わせたタッチパネルなどが使用される場合が多い。更に、ユーザが表示画面上を指で摺動すると、表示内容が切り替わる入力装置も製品化され始めてきている。
【0004】
上述の入力装置の機能に関連して、特許文献1には、メニュー選択装置が開示されている。このメニュー選択装置によれば、項目選択手段及び項目入力手段を備え、項目入力手段が項目選択手段上に設けられ、項目の選択と入力とを同一のキーに割り当て、項目表示と項目選択入力キーとを並置するようにしたものである。このように装置を構成すると、同一のキーを用いて項目の選択と人力の指示(確定)とを実行できるというものである。
【0005】
また、特許文献2には他の入力装置が開示されている。この入力装置によれば、ケーシングの所定の位置に窓孔が設けられ、この窓孔から露出する操作釦をスライド操作して項目選択を行ったり、他の操作ノブを押圧操作して特定された項目選択画面内の所定領域を拡大表示するようにした。このように装置を構成すると、項目選択動作を簡単かつ的確に実行できるというものである。
【0006】
なお、振動を伴う入力装置に関連して、特許文献3にはエアコンや、オーディオ等の電子機器に実装可能な入力装置が開示されている。この入力装置によれば、ロータリスイッチ、プッシュスイッチ及びスライドスイッチの機能を併せ持つ操作子を備え、当該操作子を回転、スライド又は押圧することによって、操作項目の選択や、入力確定操作を行い、入力確定操作時には振動を伴うようになされる。このように装置を構成すると、操作負担が大幅に減少できるというものである。
【0007】
また、アクチュエータを組み合わせた入力装置も開発されている。アクチュエータは、2層以上のひずみ量の異なる圧電素子、又は、圧電素子と非圧電素子とを貼り合わせ、この貼合体の圧電素子に振動制御電圧を印加したとき、双方のひずみ量の差によって生じる貼合体の曲げ変形を力学的に利用するものである(振動体機能)。
【0008】
この種の圧電アクチュエータを備えた電子機器に関して、特許文献4には、入出力装置及び電子機器が開示されている。この電子機器によれば、多層圧電バイモルフ型の圧電アクチュエータ及びタッチパネルを有する入出力装置を備え、当該圧電アクチュエータは、情報の種類に応じてタッチパネルを通じて異なる触覚を使用者にフィードバックする。入出力装置は、支持フレーム上に支持部を介して圧電アクチュエータを取り付けた圧電体支持構造を有している。圧電アクチュエータの中央上部には、支持部が貼り付けられ、この支持部がタッチパネルに当接される。圧電アクチュエータへ振動制御電圧を供給すると、タッチパネルに振動を伝達するようになされる。
【0009】
このように電子機器を構成すると、使用者に対して、情報の種類に応じた入力操作に対する触覚フィードバックを確実に提供できるというものである。これらの圧電アクチュエータを用いた触覚フィードバック制御では、タッチパネルが外部からの入力(位置および、加圧力)を検出し、制御系がタッチパネルからの入力情報をトリガにして、当該タッチパネルまたは筺体を振動させるようになされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平 02−230310号公報(第2頁 図1)
【特許文献2】特開2005−063227号公報(第8頁 図15)
【特許文献3】特開2004−070505号公報(第5頁 図3)
【特許文献4】特開2004−094389号公報(第9頁 図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、従来例に係る触覚入力機能付きの携帯電話機や、ビデオカメラ、デジタルカメラ、点字ブロック装置等の電子機器によれば、以下のような問題がある。
i.特許文献1や特許文献3等に見られるような電子機器によれば、各種方式のタッチパネルと表示部とを合わせたタッチ入力機能付きの入力装置が実装されているが、表示部でアイコンを選択した際に、その選択と同期した触覚を操作者に与えることができていない。
【0012】
通常のタッチパネルは“視覚的な意味”において、また従来の触覚デバイスは“単一な振動を表現する触覚的な意味”において、同一面積内において多様な入力部を構成することが可能となっているが、表面形状を表現する触覚的な表現が付帯しないと完全な意味での入力機能の多機能化といえない。
【0013】
ii.また、特許文献1〜3に見られるような入力装置によれば、キーボードをブラインドタッチしたとき、例えば、ドーム状のスイッチを押し込んだ際に指が感じる触覚によってキー操作感が与えられている。しかし、指が感じる触覚は、主に指と入力表面との接触面内における一様な振動又は力変化しか表現できていない場合が多い。
【0014】
iii.この種の触覚デバイスを用いた入力操作性の改善に関して、ii.の問題を解決するために、特許文献4に見られるような入力装置によれば、複数の圧電アクチュエータを導入して、触覚表現力の強化を図っている。しかし、複数の圧電アクチュエータの大きさ(外形)に対して、指と入力表面の接触面積は小さく、その入力表面内において、多様な力変化を表現しきれない等の理由により、圧電アクチュエータを導入した触覚表現力としてはまだ不十分である。
【0015】
iv.上述のiii.の問題を改善する入力装置に関連した、本願の発明者らが現在出願中の入力装置によれば、操作パネルの表示素子上に透明性の部材により補足的に凹又は凸状部位を設けたタッチシートを形成する方法が採られている。しかし、操作キー画面等のアプリケーションの状態に対して、そのタッチシートの凹又は凸状部位が固定されているので、その凹又は凸状部位下のアイコン画像が光学的に見えにくくなることが確認された。
【0016】
v.上述のiv.の問題を改善する入力装置に関連して、本願の発明者らが更に現在出願中の入力装置によれば、表示画面上に、透明性の部材を使用して、操作キー画面のアプリケーションに対応させた位置に凹凸形状を形成して、操作性を向上する方法が採られている。しかし、凹凸形状が操作キー画面のアプリケーションに対して固定であり、アプリケーションの状態によって、その位置が可変されておらず、また、アプリケーションによって、その形状が可変されていない。これにより、ユーザに真の意味で十分に満足な操作性を与えているとはいえない。
【0017】
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、タッチシート部材の構造及び機能を工夫して、所定の位置で触覚提示用の凹又は凸形状を構築できるようにすると共に、タッチシートにおける操作性や、滑り止めシートにおける親和性を向上できるようにした触覚シート装置、入力装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した課題は、所定の硬度を有してシート状を成す母材用の素材と、所定の大きさを有して母材用の素材の所々又は所定の位置に配設された触覚提示用の触覚表現部と、触覚表現部に媒体を供給する媒体供給部とを備えることを特徴とする触覚シート装置によって解決される。
【0019】
本発明に係る触覚シート装置によれば、所定の大きさを有して母材用の素材の所々又は所定の位置に配設された触覚提示用の触覚表現部に、媒体供給部から媒体を供給するようになされる。例えば、媒体供給部となる空調部は、触覚表現部を成す開孔部に空気を送風し、又は、当該開孔部から空気を吸い込むようになされる。
【0020】
従って、母材用の素材の所々又は所定の位置において、触覚表現部が操作体に対して、開孔部から吹き出す空気又は、開孔部に流入する空気による凹凸感を与えるようになる。このように、部材表面が平坦状に観察されても、実際に部材表面を手で触れられて、母材用の素材から触覚提示用の触覚表現部へ摺動したとき、母材用の素材の所々又は所定の位置において、操作体に対して手触り凹凸感を与える触覚を提示できるようになる。
【0021】
本発明に係る入力装置は、操作体による摺動又は及び押下操作によって情報を入力する入力装置であって、操作面を有した表示部に設けられて操作体の摺動位置を検出する検出部と、この検出部の一部又は全部を覆うように設けられ、表示部の操作面に沿って摺動又は及び押下操作される透明性の触覚シート手段とを備え、触覚シート手段は、所定の硬度を有してシート状を成す母材用の素材と、所定の大きさを有して母材用の素材の所々又は所定の位置に分布された触覚提示用の触覚表現部と、この触覚表現部に媒体を供給する媒体供給部とを有することを特徴とするものである。
【0022】
本発明に係る入力装置によれば、本発明に係る触覚シート装置が備えられるので、表示面が平坦状に観察されても、表示部に表示されたアイコン画像等を手で触れ、母材用の素材から触覚表現部へ摺動したとき、凹凸感を伴った入力操作を提示できるようになる。
【0023】
本発明に係る電子機器は、操作面を有した筐体と、この筐体に設けられて操作体による摺動又は及び押下操作によって情報を入力する入力装置とを備え、入力装置は、操作面を有した表示部に設けられて操作体の摺動位置を検出する検出部と、検出部の一部又は全部を覆うように設けられ、表示部の操作面に沿って摺動又は及び押下操作される透明性の触覚シート手段とを有し、触覚シート手段は、所定の硬度を有してシート状を成す母材用の素材と、所定の大きさを有して母材用の素材の所々又は所定の位置に分布された触覚提示用の触覚表現部と、触覚表現部に媒体を供給する媒体供給部とを含むことを特徴とするものである。
【0024】
本発明に係る電子機器によれば、本発明に係る入力装置が備えられるので、表示内容と連動させた、プログラム可能なアイコンタッチ用の触覚入力シート付きの電子機器を提供できるようになる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る触覚シート装置によれば、所定の大きさを有して母材用の素材の所々又は所定の位置に配設された触覚提示用の触覚表現部に媒体を供給する媒体供給部を備えるものである。
【0026】
この構成によって、部材表面が平坦状に観察されても、実際に部材表面を手で触れられて、母材用の素材から触覚提示用の触覚表現部へ摺動したとき、母材用の素材の所々又は所定の位置において、触覚表現部により操作体に対して手触り凹凸感を与えるような触覚を提示できるようになる。これにより、当該触覚シート装置を各種電子機器筐体のグリップ部分でプログラム可能な滑り止めシートや、入力装置でプログラム可能なアイコンタッチ用の触覚入力シート等に応用できるようになる。
【0027】
本発明に係る入力装置によれば、本発明に係る触覚シート装置が備えられるので、表示面が平坦状に観察されても、表示部に表示されたアイコン画像等を手で触れ、母材用の素材から触覚表現部へ摺動したとき、凹凸感を伴った入力操作を提示できるようになる。これにより、プログラム可能なアイコンタッチ用の触覚入力シート付きの入力装置を提供できるようになる。
【0028】
本発明に係る電子機器によれば、本発明に係る入力装置が備えられるので、プログラム可能なアイコンタッチ用の触覚入力シート付きの電子機器を提供できるようになる。しかも、入力装置の小型化及び操作性を向上できることから、当該電子機器の誤動作の低減、コストダウン及び製造プロセスの簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の実施例としての触覚シート装置100の構成例を示す斜視図である。
【図2】(A)及び(B)は、触覚シート装置100における空気の供給例を示す一部断面を含む上面図及び正面図である。
【図3】ブロワー3bの構成例を示す断面図である。
【図4】触覚シート装置100におけるベース部材1及び流路パネル2の組立例を示す斜視図である。
【図5】(A)は吹き出し口の形状例を示す上面図、(B)はそのX1−X1矢視断面図である。
【図6】(A)及び(B)は、吹き出し口の変形例(その1)を示す上面図及びそのX2−X2矢視断面図である。
【図7】(A)及び(B)は、吹き出し口の変形例(その2)を示す上面図及びそのX3−X3矢視断面図である。
【図8】(A)及び(B)は、吹き出し口の変形例(その3)を示す上面図及びそのX4−X4矢視断面図である。
【図9】(A)及び(B)は、吹き出し口の変形例(その4)を示す上面図及びそのX5−X5矢視断面図である。
【図10】(A)及び(B)は、吹き出し口の変形例(その5)を示す上面図及びそのX6−X6矢視断面図である。
【図11】(A)及び(B)は、吹き出し口の変形例(その6)を示す上面図及びそのX7−X7矢視断面図である。
【図12】(A)及び(B)は、吹き出し口の変形例(その7)を示す上面図及びそのX8−X8矢視断面図である。
【図13】(A)及び(B)は、吹き出し口の変形例(その8)を示す上面図及びそのX9−X9矢視断面図である。
【図14】(A)及び(B)は、第2の実施例としての触覚シート装置200の構成例を示す一部断面を含む正面図及び上面図である。
【図15】(A)〜(C)は、ベース部材11の形成例を示す工程図である。
【図16】(A)〜(C)は、ベース部材11の機能例を示す状態遷移図である。
【図17】(A)及び(B)は、ベース部材11‘の変形例を示す上面図及びそのX10−X10矢視断面図である。
【図18】触覚シート装置200を応用した第3の実施例としての入力装置300の構成例を示す斜視図である。
【図19】(A)及び(B)は、入力装置300を実装した携帯電話機600の構成例を示す上面図である。
【図20】携帯電話機600の制御系の構成例及びその感触フィードバック機能例を示すブロック図である。
【図21】(A)〜(E)は、携帯電話機600における摺動及び押圧操作例(その1)を示す状態図である。
【図22】(A)〜(E)は、携帯電話機600における摺動及び押圧操作例(その2)を示す状態図である。
【図23】携帯電話機600におけるアプリケーション実行時の表示部及び触覚可変シート部の制御例を示すフローチャートである。
【図24】触覚シート装置を応用した第4の実施例としての入力装置400の構成例を示す斜視図である。
【図25】(A)及び(B)は、入力装置400における空気供給例を示す一部断面を含む正面図及び上面図である。
【図26】(A)〜(C)は、入力装置400を実装した携帯電話機710における操作パネル画像の表示例を示す上面図である。
【図27】携帯電話機710におけるアプリケーション実行時の表示部及び触覚提示用の積層シート部の制御例(その1)を示すフローチャートである。
【図28】携帯電話機710におけるアプリケーション実行時の表示部及び触覚提示用の積層シート部の制御例(その2)を示すフローチャートである。
【図29】(A)及び(B)は、第5の実施例としての触覚シート装置150の構成例を示す斜視図及びその駆動例を示す図である。
【図30】触覚シート装置150を応用した入力装置500の構成例を示す斜視図である。
【図31】(A)及び(B)は、入力装置500の動作例を示す説明図である。
【図32】(A)及び(B)は、入力装置500に適用可能な触覚シート装置151の構成例及びその駆動例を示す図である。
【図33】(A)及び(B)は、入力装置500に適用可能な触覚シート装置152の構成例及びその駆動例を示す図である。
【図34】(A)及び(B)は、入力装置500に適用可能な触覚シート装置153の構成例及びその駆動例を示す図である。
【図35】(A)及び(B)は、第6の実施例としての触覚シート装置160の構成例を示す斜視図及びその駆動例を示す図である。
【図36】第7の実施例としての入力装置700の構成例を示す斜視図である。
【図37】第8の実施例としての入力装置800の構成例を示す斜視図である。
【図38】触覚可変シート機能付きの表示装置129の構成例を示す斜視図である。
【図39】表示装置129の断面の構成例を示す図(断面図)である。
【図40】(A)〜(C)は、入力装置800における表示データ及び形状提示信号の多重例を示すデータフォーマットである。
【図41】入力装置800における触覚又は及び表示機能選択例を示す動作フローチャートである。
【図42】入力装置800に適用可能な触覚可変シート機能付きの表示装置229の構成例を示す断面図である。
【図43】入力装置800に適用可能な触覚可変シート機能付きの表示装置329の構成例を示す断面図である。
【図44】入力装置800に適用可能な触覚可変シート機能付きの表示装置429の構成例を示す断面図である。
【図45】入力装置800に適用可能な触覚可変シート機能付きの表示装置529の構成例を示す断面図である。
【図46】入力装置800に適用可能な触覚可変シート機能付きの表示装置629の構成例を示す断面図である。
【図47】第9の実施例としての入力装置900の構成例を示すブロック図である。
【図48】操作キー1要素に係る入力装置900の動作例(その1)を説明するブロック図である。
【図49】操作キー1要素に係る入力装置900の動作例(その2)を説明するブロック図である。
【図50】入力装置900の入力処理例を示すフローチャートである。
【図51】(A)〜(C)は、第10の実施例としての携帯電話機110の構成例を示す斜視図及び断面図である。
【図52】(A)〜(C)は、第11の実施例としての点字可変シート装置220の構成例を示す斜視図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
続いて、この発明に係る触覚シート装置、入力装置及び電子機器の実施の形態について、図面を参照しながら説明をする。
【実施例1】
【0031】
図1は、第1の実施例としての触覚シート装置100の構成例を示す斜視図である。図1に示す触覚シート装置100は、デジタルカメラや、ビデオカメラ、携帯電話機、携帯端末装置、デスクトップ型のパソコン、ノート型のパソコン、現金自動受け払い機、点字ブロック装置等の電子機器に適用可能なものである。触覚シート装置100は、ベース部材1、流路パネル2及び空調部3を有して構成される。ベース部材1は、母材用の素材の一例を構成し、所定の硬度を有してシート状を成している。ベース部材1には、例えば、硬度20乃至40°の透明性の柔らかいシリコンゴム部材が使用される。
【0032】
ベース部材1の所々又は所定の位置には触覚提示用の開孔部pi(i=1〜24)が配設されている。開孔部p1〜p24は、触覚表現部の一例を構成し、所定の大きさを有している。この例で、開孔部p1〜p24は、所定の大きさの開孔径φを有して、ベース部材1の所定位置に複数開孔され、触覚提示用の触覚表現部を成している。開孔部p1〜p12は、例えば、ベース部材1の表面下方部位にマトリクス状に開口され、その表面上方には開孔部p13〜p17が十字状に開口され、及び、右端側に沿ってライン状に開孔部p18〜p24が開口されている。
【0033】
ベース部材1の下方には流路パネル2が設けられ、ベース部材1に開孔された複数の開孔部p1〜p17又は及びp18〜p24に空気を誘導するようになされる。流路パネル2は、例えば、基板2cと、ベース部材1の表面下方部位にマトリクス状に開口された開孔部p1〜p12と、その表面上方に十字状に開口された開孔部p13〜p17とに連通する流路2aと、その右端側に沿ってライン状に開口された開孔部p18〜p24に連通する流路2bから構成される(図4参照)。基板2cは流路パネル2の下方に設けられるが、この基板2cは流路パネル2の底部の強度が確保できれば、これを省略してもよい。
【0034】
流路パネル2には媒体供給部の一例を構成する空調部3が接続され、開孔部p1〜p17又は及びp18〜p24に空気を送風し、又は、当該開孔部p1〜p17又は及びp18〜p24から空気を吸い込むようになされる。空調部3は、例えば、流路切替部3a及びブロワー3bを有して構成される。空調部3は、ベース部材1に開孔された複数の開孔部p1〜p17又は及びp18〜p24のようにグループ毎に空気を送風し、又は、当該開孔部p1〜p17又は及びp18〜p24から空気を吸い込むプログラム可能な機能を有している。もちろん、開孔部p1〜p24へ個別に空気を送風し、又は、当該開孔部p1〜p24から個別に空気を吸い込む構成にしてもよい。
【0035】
この例では、ベース部材1の表面下方部位にマトリクス状に開口された開孔部p1〜p12と、その表面上方に十字状に開口された開孔部p13〜p17とが第1グループとして取り扱われ、空気を送風するようになされる。右端側に沿ってライン状に開口された開孔部p18〜p24は、第2のグループとして取り扱われる。
【0036】
流路パネル2には流路切替部3aが接続され、他機能に対応して上述の第1のグループの開孔部p13〜p17と、第2のグループの開孔部p18〜p24とへ連通する流路2a,2bを切り替るようになされる。切替用の動力は、例えば、シートコイル型のモータ又は同原理を応用したソレノイド部材を使用するとよい。
【0037】
流路切替部3aには空気圧調整器の一例を構成するブロワー3bが接続され、流路切替部3a及び流路パネル2を介してベース部材1の17個の開孔部p1〜p17と、7個の開孔部p18〜p24のようにグループ毎に空気(媒体)を送風し、又は、当該開孔部p1〜p17及びp18からp24のようにグループ毎に空気を吸い込むようになされる。この例でブロワー3bは、開孔部に空気を供給するようになされる。又は、開孔部p1〜p24へ個別に空気を送風し、又は、当該開孔部p1〜p24から個別に空気を吸い込むようなブロワー構成としてもよい。ブロワー3bには圧電素子を用いたものが使用される。
【0038】
図2A及びBは、触覚シート装置100における空気の供給例を示す一部断面を含む上面図及び正面図である。図2Aに示す触覚シート装置100によれば、ブロワー3bから流路切替部3a及び流路パネル2を介してベース部材1の複数の開孔部p1〜p24へ空気を供給するようになされる。流路切替部3aは、弁コア部301や、弁切替部302,303、弁体304,305等を有して構成される。弁コア部301は、例えば、矩形状を有しており、樹脂又は軽金属を金型で成形したコア部材から構成されている。
【0039】
弁切替部302,303は弁コア部301内に扇形状を有して設けられる。弁切替部302,303には、吸気管314がブロワー3bに連通して設けられ、当該ブロワー3bからの空気を取り入れるようになされる。弁切替部302内には弁体304及び排気口306が設けられている。弁体304はモータやソレノイド等の駆動部3cの動力を得て排気口306を閉塞したり、又は、開放するように動作する。排気口306は流路2aに連通されている。駆動部3cは、例えば、弁コア部301の裏面側に設けられる。
【0040】
弁切替部303内には弁体305及び排気口307が設けられている。弁体305は駆動部3cの動力を得て排気口307を閉塞したり、又は、開放するように動作する。排気口307は流路2bに連通されている。弁体304,305には長丸板状のゴムシート部材が使用される。
【0041】
上述の例で、弁体304が駆動部3cを介して開放されると、ブロワー3bから供給された空気は、排気口306、流路2aを通って開孔部p1〜p3(図示せず)、開孔部p4〜p12、及び、開孔部p13〜p17(図示せず)へ誘導される。また、弁体305が開放されると、ブロワー3bから供給された空気は、排気口307、流路2bを通って開孔部P18,p19、開孔部p20〜p24(図示せず)へ誘導される。
【0042】
なお、弁体304,305が共に開放されると、ブロワー3bから供給された空気は、排気口306、流路2aを通って開孔部p1〜p17に誘導されると共に、排気口307、流路2bを通って開孔部p18〜p24へ誘導される。また、弁体304,305が共に閉塞されると、開孔部p1〜p24への空気の供給を断つようになされる。
【0043】
これにより、ベース部材1に開孔された複数の開孔部p1〜p17と開孔部p18〜p24のようなグループ毎に空気を送風し、又は、当該開孔部p1〜p17と開孔部p18〜p24から空気を吸い込むプログラム可能な空調部3を構成する。図2Bに示すように触覚シート装置100において、空調部3から流路2a等を通って供給される空気を開孔部p5や、開孔部p8、開孔部p10等から外部へ吹き出すことができる。なお、開孔部p1〜p17及び開孔部p18〜p24から空気を吸い込む場合は、流路2a,2bと排気口306,307の接続を入れ替えることで実現できる。
【0044】
図3は、ブロワー3bの構成例を示す断面図である。図3に示すブロワー3bはピストン型の構造のものであり、機器本体311、吸気口312、弁体313、ピストン部314、圧電部315、弁体316、排気口317及び蓋兼用基台318を有して構成される。機器本体311は矩形状を有しており、更に、ピストン部314が往復運動可能な内容積を有している。機器本体311は、例えば、樹脂又は軽金属を金型で成形した筐体部材から構成されている。
【0045】
機器本体311には所定の大きさ(開口径)を有した吸気口312及び排気口317が設けられている。吸気口312及び排気口317は、例えば、機器本体311の一方の側面に上下に併設されている。吸気口312及び排気口317の開口径の大きさは同等又は吸気口312よりも排気口317の開口径を大きく設定される。排気口317の開口径を大きく設定するのは排気抵抗を低減させるためである。
【0046】
吸気口312には弁体313が可動自在に取り付けられ、機器本体311内に空気を取り込むときに開放される。弁体313は機器本体311内から外部へ空気を放出するときには閉塞される。機器本体311の内部には、所定の形状を有したピストン部314が設けられる。ピストン部314の一方の側には圧電部315が取り付けられ、当該圧電部315の駆動力を得て往復運動をするように動作する。
【0047】
排気口317には弁体316が可動自在に取り付けられ、機器本体311内から外部へ空気を放出するときに開放される。機器本体311内に空気を取り入れるときは閉塞される。弁体313,316には板状のゴムシート部材が使用される。圧電部315は、蓋体兼用の基台318に取り付けられる。圧電部315には圧電素子(PZT:Actuator)が使用される。基台318は機器本体311を閉じるように組み立てられる。これにより、流路切替部3aを介して流路パネル2へ空気を供給可能なブロワー3bを構成する。
【0048】
この例ではピストン型の構造のブロワー3bについて説明したが、これに限られることはなく、ベンチュリー効果を利用したブロワーであってもよい。ベンチュリー型のブロワーは、ポンプ室内にダイヤフラムを備えており、ポンプ室の一端にはベンチュリー管部が接続される。ベンチュリー管部には、吸込口及び吹出口が設けられる。
【0049】
このブロワーによれば、ダイヤフラムがポンプ室内の空気を押すことで、ポンプ室からベンチュリー管部へ向かう高速の気流が発生する。ベンチュリー管部は吸込口や吹出口の開口径よりも細く設計されているので、空気の(気体)の流速は吹出口の外側に比べて非常に高速になっている。
【0050】
一方、吹出口の外側は大気圧(1気圧)であるが、ベンチュリー管部は流速が大きいため負圧になっている。ここにベンチュリー管部と吹出口の外側との間でベルヌーイの定理が成立する。空気の密度をρとし、ベンチュリー管部の速度をv1とし、その圧力をP1とし、吹出口の外側の速度をv2とし、その圧力をP2としたとき、v1>v2,p1<p2の関係から、(1)式、すなわち、
ρ・v12+2・P1=ρ・v22+2・P2 ・・・・・(1)
となる。P2が大気圧で、P2が大気圧以下となることから、流路を介して吸込口から空気を吸い込むことなる。すなわち、ポンプ室内の空気を押した体積よりも大きな体積の空気を吹出口から吹き出すようになされる。
【0051】
さらに、ダイヤフラムがポンプ室内の空気を引くことで、ベンチュリー管部からポンプ室へ向かう高速の気流が発生する。この場合も、上述と同様にして、ベンチュリー管部の空気の流速は吹出口の外側に比べて大きいため負圧になっている。従って、流路を介して吸込口から空気を吸い込むことなる。このようなベンチュリー効果を利用したブロワーを空調部3に応用することもできる。
【0052】
図4は、触覚シート装置100におけるベース部材1及び流路パネル2の組立例を示す斜視図である。図4に示す触覚シート装置100の組立例によれば、ベース部材1及び流路パネル2を準備する。ベース部材1には、母材用の素材に開孔部p1〜p24を開口したものを形成する。例えば、触覚シート装置100を入力装置の一例となる携帯電話機のテンキーや、十字キー、ファンクション選択キー等の入力検出部に使用する場合、開孔部p1は数字「1」キーが表示される位置に合わせた部位に開口し、開孔部p2は数字「2」キーが表示される位置に合わせた部位に開口し、開孔部p3は数字「3」キーが表示される位置に合わせた部位に開口し、開孔部p4は数字「4」キーが表示される位置に合わせた部位に開口し、開孔部p5は数字「5」キーが表示される位置に合わせた部位に開口し、開孔部p6は数字「6」キーが表示される位置に合わせた部位に開口する。
【0053】
更に、開孔部p7は数字「7」キーが表示される位置に合わせた部位に開口し、開孔部p8は数字「8」キーが表示される位置に合わせた部位に開口し、開孔部p9は数字「9」キーが表示される位置に合わせた部位に開口し、開孔部p10は数字「0」キーが表示される位置に合わせた部位に開口し、開孔部p11は記号「#」キーが表示される位置に合わせた部位に開口し、開孔部p12は記号「*」キーが表示される位置に合わせた部位に開口する。
【0054】
また、十字キーを構成する開孔部p13は、決定「O」キーが表示される位置に合わせた部位に開口し、開孔部p14は右向き矢印キーが表示される位置に合わせた部位に開口し、開孔部p15は上向き矢印キーが表示される位置に合わせた部位に開口し、開孔部p16は左向き矢印キーが表示される位置に合わせた部位に開口し、開孔部p17は下向き矢印キーが表示される位置に合わせた部位に開口する。
【0055】
更に、ファンクション選択キーを構成する開孔部p18は、「etc」キーが表示される位置に合わせた部位に開口し、開孔部p19は「REW」キーが表示される位置に合わせた部位に開口し、開孔部p20は左向き矢印停止キーが表示される位置に合わせた部位に開口し、開孔部p21は右向き矢印停止キーが表示される位置に合わせた部位に開口し、開孔部p22は左向き早送りキーが表示される位置に合わせた部位に開口する。開孔部p23は右向き早送りキーが表示される位置に合わせた部位に開口し、開孔部p24は停止キーが表示される位置に合わせた部位に開口する(図18参照)。いずれの開孔部p1〜p24は開口径φで形成したものを準備する。
【0056】
流路パネル2には、基板2c上に流路2a,2bを有したものを形成する。例えば、ツリー形状の流路2a及び、直線状の流路2bを成すコア及びキャビティを加工する。流路2aは、例えば、流路201〜211から構成される。流路2aは、中央部位の流路211の上方部位から順に、流路201,206、流路202,207、流路203,208、流路204,208、流路205,210が直交するように配置される。
【0057】
中央部位の流路211は、実装時、7個の開孔部p15,p13,p17,p2,p5,p8,p10に空気を誘導し、流路201は開孔部p14に空気を誘導し、流路202は開孔部p1に空気を誘導し、流路203は開孔部p4に空気を誘導し、流路204は開孔部p7に空気を誘導し、流路205は開孔部p11に空気を誘導する。
【0058】
また、流路206は、実装時、開孔部p16に空気を誘導し、流路207は開孔部p3に空気を誘導し、流路208は開孔部p6に空気を誘導し、流路209は開孔部p9に空気を誘導し、流路210は開孔部p12に空気を誘導するようにして使用される。このようなコア及びキャビティを有した金型を型締めして透明性の樹脂材料を封入することにより、流路パネル2を形成する。基板2cは流路2a,2bと共に同一の金型内で形成してもよい。
【0059】
このようなベース部材1及び流路パネル2が準備できたら、ベース部材1と流路パネル2とを接着する。流路パネル2の上部にベース部材1を覆い被せるように接合する。接着剤には、例えば、ホットメルト系の樹脂接着剤や両面テープ等を使用して気密性を保つようになされる。これにより、流路パネル2上にベース部材1を有した中間部品としての触覚シート装置100’が得られる。その後、空調部3を取り付けて触覚シート装置100が完成する。この例では、流路切替部3aの排気口306の延長部分が流路パネル2の流路2aと連通するように、また、排気口307の延長部分が流路2bと連通するように流路切替部3aと流路パネル2とを接続する。空調部3の構造については、図2A,図3を参照されたい。
【0060】
なお、ベース部材1及び流路パネル2には、空気の屈折率を1とし、その透過率を100%としたとき、当屈折率が約1.4付近で、全光線透過率が70〜95%程度の透明性の材料が使用される。ベース部材1の厚みは、0.01乃至5mmが好ましい。
【0061】
上述のベース部材1には、アクリル系の透明性の材料(以下透明材料という)、ポリカーボネート(PC)系の透明材料、ポリエチレンテレフタラート(PET)系の透明材料、ポリエーテルスルホン(PES)系の透明材料、ポリアリレート(PAR)系の透明材料、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)系の透明材料、液晶ポリマー(LCP)系の透明材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系の透明材料、ポリスチレン系の透明材料、スチレン系の透明材料、ウレタン系の透明材料、シリコン系の透明材料、ポリテトラフルオロチレン(PTFE)系の材料、フッ素系の樹脂材料、シクロオレフィンポリマー(COP)系の材料、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)系の材料等の全ての材料相互の合成などにより形成される透明材料、上述の全ての材料から派生される透明材料、上述の全ての材料のうち透明でないもの、上述の全ての材料のうち、ゴムなどと混合して形成されるポリマーアロイが使用される。
【0062】
また、ベース部材1及び流路パネル2には、次に挙げるような合成樹脂全般(上述の内容と重複する材料有り)が使用可能となる。フェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(ユリア樹脂(UF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、アルキド樹脂、ポリウレタン(PUR)、熱硬化性ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、テフロン(登録商標)R(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)、ポリアミド(PA)、ナイロン、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(ポリカーボネート系の透明材料)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(ポリエチレンテレフタラート系の透明材料)、ポリエチレンテレフタレート・ガラス樹脂入り材料(ポリエチレンテレフタラート系の透明材料−G)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−ポリエチレンテレフタラート系の透明材料)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン((PTFE):一般的にテフロン(登録商標)と呼ばれる)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(ポリエーテルスルホン系の透明材料)、非晶ポリアリレート (PAR)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)の全ての材料相互の合成などにより形成される透明材料、上述の全ての材料から派生される透明材料、上述の全ての材料のうち透明でないもの(滑り止めシートに使用可)、上述の全ての材料のうちゴムなどと混合して形成されるポリマーアロイが使用される。
【0063】
続いて、図5〜図13を参照して、開孔部p1等における吹き出し口の形状について説明する。図5Aは吹き出し口Q1の形状例を示す上面図であり、図5BはそのX1−X1矢視断面図である。図5Aに示す吹き出し口Q1は、図4に示したような開孔部p1〜p24の終端部に形成され、その形状はオリジナルな円形を有している。開孔部p1等は、図5Bに示すベース部材1を開口して形成される。
【0064】
この例では、開孔部p1等から単一に吹き出す空気の塊りによる触覚を得ることができる。図5〜図13において、Iはいずれも表示領域であり、入力キーの1要素、例えば、数字「1」キーや、十字キーの決定キー等が表示される領域である。この表示領域Iには数字「1」キーや、十字キーの決定キー等が表示されるこの部分を摺動操作又は押圧操作するようになされる。
【0065】
図6A及びBは、吹き出し口の変形例(その1)を示す上面図及びそのX2−X2矢視断面図である。図6Aに示す吹き出し口Q2は、三重の円形状を有している。吹き出し口Q2は、例えば、中心部位の円形開口部位と、その同心円上に円弧状の開口部位と、その外側に円弧状の開口部位とを有して構成される。各開口部位は梁部で係合されて支持されている。
【0066】
なお、図6Bに示すように内側の開口幅に比べて外側の開口幅が狭くなるように設定されている。この例では、オリジナルな吹き出し口Q1から単一に吹き出す空気の塊りに比べて、吹き出し口Q2から三重に分けて吹き出される空気の塊りによる多重な触覚を得ることができる。
【0067】
図7A及びBは、吹き出し口の変形例(その2)を示す上面図及びそのX3−X3矢視断面図である。図7Aに示す吹き出し口Q3は、分散型の多孔形状を有している。吹き出し口Q3は、例えば、中心部位の大円形開口部位と、その同心縁外に放射状に複数の円形の開口部位と、更に、その外縁に放射状に複数の円形の開口部位とを有して構成される。なお、図7Bに示すように内側の開口径に比べて外側の開口径が小さくなるように設定されている。この例では、オリジナルな吹き出し口Q1から単一に吹き出す空気の塊りに比べて、吹き出し口Q3から複数に分散して吹き出される空気の塊りによるユニークな触覚を得ることができる。
【0068】
図8A及びBは、吹き出し口の変形例(その3)を示す上面図及びそのX4−X4矢視断面図である。図8Aに示す吹き出し口Q4は、三重の円形状を有している。吹き出し口Q4は、例えば、中心部位の小円形開口部位と、その同心円上に円弧状の開口部位と、その外側に円弧状の開口部位とを有して構成される。各開口部位は梁部で係合されて支持されている。なお、図8Bに示すように外側の開口幅に比べて内側の開口幅が狭くなるように設定されている。この例では、オリジナルな吹き出し口Q1から単一に吹き出す空気の塊りに比べて、吹き出し口Q4から複数に分散して吹き出される空気の塊りによる多重な触覚を得ることができる。
【0069】
図9A及びBは、吹き出し口の変形例(その4)を示す上面図及びそのX5−X5矢視断面図である。図9Aに示す吹き出し口Q5は、分散型の多孔形状を有している。吹き出し口Q5は、例えば、中心部位の小円形開口部位と、その同心縁外に放射状に複数の円形の開口部位と、更に、その外縁に放射状に複数の円形の開口部位とを有して構成される。なお、図9Bに示すように内側の開口径に比べて外側の開口径が大きくなるように設定されている。この例では、オリジナルな吹き出し口Q1から単一に吹き出す空気の塊りに比べて、吹き出し口Q5から複数に分散して吹き出される空気の塊りによるユニークな触覚を得ることができる。
【0070】
図10A及びBは、吹き出し口の変形例(その5)を示す上面図及びそのX6−X6矢視断面図である。図10Aに示す吹き出し口Q6は単一形状であって、その内面側が円錐形状を有している。この例では、オリジナルな吹き出し口Q1から単一に吹き出す空気の塊りに比べて、吹き出し口Q6から高速に吹き出される空気の塊りによるユニークな触覚を得ることができる。
【0071】
図11A及びBは、吹き出し口の変形例(その6)を示す上面図及びそのX7−X7矢視断面図である。図11Aに示す吹き出し口Q7は単一形状であって、内面側が逆さ小鉢形状を有している。この例では、オリジナルな吹き出し口Q1から単一に吹き出す空気の塊りに比べて、吹き出し口Q7から高速に吹き出される空気の塊りに加えて、ベース部材1が盛り上がるユニークな触覚を得ることができる。
【0072】
図12A及びBは、吹き出し口の変形例(その7)を示す上面図及びそのX8−X8矢視断面図である。図12Aに示す吹き出し口Q8は円枠形状を有している。開口部位は梁部で係合されて支持されている。開孔部p1等は、図12Bに示すベース部材1を開口して形成される。この例では、オリジナルな吹き出し口Q1から単一に吹き出す空気の塊りに比べて、吹き出し口Q8から円形枠状に吹き出される空気の塊りによるユニークな触覚を得ることができる。
【0073】
図13A及びBは、吹き出し口の変形例(その8)を示す上面図及びそのX9−X9矢視断面図である。図13Aに示す吹き出し口Q9は外縁型の多孔形状を有している。開孔部p1等は、図13Bに示すベース部材1に複数の小開口部位を開口して形成される。この例では、オリジナルな吹き出し口Q1から単一に吹き出す空気の塊りに比べて、吹き出し口Q9から外縁枠状に吹き出される複数の空気の塊りによるユニークな触覚を得ることができる。
【0074】
このように第1の実施例としての触覚シート装置100によれば、ベース部材1に開口された24個の開孔部p1〜p24に空気を誘導する流路パネル2を備え、空調部3には圧電素子を用いたブロワー3bが使用され、ブロワー3bが流路パネル2に接続され、ブロワー3bは、流路パネル2を介してベース部材1の開孔部p1〜p24をグループ毎に空気を送風するようになされる。
【0075】
従って、ベース部材1の表面が平坦状に観察されても、実際に部材表面を手で触れられて、ベース部材1から触覚提示用の開孔部p1等へ摺動したとき、ベース部材1の所定の位置において、開孔部p1〜p24が操作者の指等(操作体)に対して、当該開孔部p1〜p24から吹き出す空気による凹凸感を与える触覚を提示できるようになった。このような触覚シート装置100を各種電子機器筐体のグリップ部分でプログラム可能な滑り止めシートや、入力装置でプログラム可能なアイコンタッチ用の触覚入力シート等に応用できるようになる。これにより、プログラム可能な触覚入力シートを有した入力装置を提供できるようになった。
【実施例2】
【0076】
図14A及びBは、第2の実施例としての触覚シート装置200の構成例を示す一部断面を含む正面図及び上面図である。この例では、触覚表現部が所定の大きさを有した触覚提示用の袋部q1〜q24を成し、ベース部材11の所定の位置に配設するようになされる。
【0077】
図14Aに示す触覚シート装置200は、デジタルカメラや、ビデオカメラ、携帯電話機、携帯端末装置、デスクトップ型のパソコン、ノート型のパソコン、現金自動受け払い機等の電子機器に実装される入力装置に適用可能なものであって、シート部材11、流路パネル2及び空調部3を有して構成される。
【0078】
空調部3は媒体供給部の一例を構成し、袋部q1〜q24(図中ではq5,q8,q10のみを示す)に空気を送風するように動作する。この例で、空調部3はベース部材11に配設された複数の袋部q1〜q24を個別又はグループ毎に空気を送風するプログラム可能な機能を有している。この例でも、ベース部材11に配設された複数の袋部q1〜q24に空気を誘導する流路パネル2を備え、空調部3には、圧電素子を用いたブロワー3b(空気圧力発生器)が使用される。
【0079】
ブロワー3bは、図14Bに示す流路切替部3aを介して流路パネル2に接続される。ブロワー3bは、流路パネル2を介してベース部材11の複数の袋部q1〜q24を2つのグループに分けて圧縮空気を送風する。なお、第1の実施例と同じ名称及び同じ符号のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。
【0080】
上述の例で、弁体304が駆動部3cを介して開放されると、ブロワー3bから供給された空気は、排気口306、流路2aを通って袋部q1〜q3(図示せず)、袋部q4〜q12、及び、袋部q13〜q17(図示せず)へ誘導される。また、弁体305が開放されると、ブロワー3bから供給された空気は、排気口307、流路2bを通って袋部q18,q19、袋部q20〜q24(図示せず)へ誘導される。
【0081】
なお、弁体304,305が共に開放されると、ブロワー3bから供給された空気は、排気口306、流路2aを通って袋部q1〜q17に誘導されると共に、排気口307、流路2bを通って袋部q18〜q24へ誘導される。また、弁体304,305が共に閉塞されると、袋部q1〜q24への空気の供給を断つようになされる。
【0082】
これにより、ベース部材11に配設された複数の袋部q1〜q17と袋部q18〜q24のようなグループ毎に空気を送風し、又は、当該袋部q1〜q17と袋部q18〜q24から空気を吸い込むプログラム可能な空調部3を構成する。図14Aに示した触覚シート装置200において、空調部3から流路2a等を通って供給される空気を袋部q5や、袋部q8、袋部q10等へ充満させることができる。
【0083】
続いて、図15A〜Cを参照しながら、ベース部材11の形成方法について説明する。図15A〜Cは、ベース部材11の形成例を示す工程図である。この例では、図14Aに示した袋部q7,q11等を水平方向で折半した形状の第1のシート部材11a及び第1のシート部材11bを形成する。例えば、金型部材を加工して、袋部q7,q11等を象った小鉢形状を成すコア及びキャビティを形成する。このようなコア及びキャビティを有した金型を型締めして透明性の樹脂材料を封入することにより、図14Aに示した袋部q7,q11等を水平方向で折半した、図15Aに示すような凹状の半裁の袋部q7,q11を有した第1のシート11aを形成する。
【0084】
次に、図15Aに示した凹状の半裁の袋部q7,q11等の相手方となる、空気挿入部11c及び凹状の半裁の袋部q7,q11を有した第2のシート11bを形成する。例えば、金型部材を加工して、半裁の袋部q7,q11及び空気挿入部11c等を象った小鉢形状及び空気挿入部11cの形状を成すコア及びキャビティを形成する。このようなコア及びキャビティを有した金型を型締めして透明性の樹脂材料を封入することにより、図15Bに示すような空気挿入部11c及び凹状の半裁の袋部q7,q11を有した第2のシート11bを形成する。
【0085】
その後、第1及び第2の凹状のシート11a,11bを接合して袋部q1〜q24を有したベース部材11を形成する。このとき、第1のシート11aの半裁の袋部q7,q11の凹部位と、第2のシート11bの半裁の袋部q7,q11の凹部位とを位置合わせした状態で接合する。第1及び第2のシート11a,11bの接合には、ホットメルト系の樹脂接着剤や、両面テープを使用する。これにより、図14Aに示したような複数の袋部q1〜q24を有したベース部材11が完成する。
【0086】
続いて、図16A〜Cを参照しながら、ベース部材11の機能例について説明する。図16A〜Cは、ベース部材11の機能例を示す状態遷移図である。図16Aに示す袋部q11等は、空気が充満されていない状態である。この状態で、袋部q11等を押下すると、凹状の触覚を得ることができる。図16Bに示す袋部q11等は空気が充満された状態である。袋部q11等には図14Bに示した空調部3から流路切替部3bを介して、常時、圧縮空気が充満される。
【0087】
この例では、図16Cに示す空気が充満された状態の袋部q11等に、操作者が指等(操作体)で触れると、操作者の指30aに対して袋部q11等の膨らみによる隆起形状によって凹凸感を与えるようになる。これにより、弾力感を伴った摺動操作及び押圧操作を行うことができる。
【0088】
図17A及びBは、ベース部材11の変形例を示す上面図及びそのX10−X10矢視断面図である。図17Aに示すベース部材11’は、図11Aに示した吹き出し口Q7を有していない逆小鉢形状の袋体に等しい。このような図17Bに示す半裁の袋部q7を有したシート状のベース部材11’は、図15Aにおいて形成され、図15Bに示したような相方の半裁の袋部q7等を形成することなく、図14Aに示した流路パネル2に接合して触覚シート装置102を構成することができるようになる。触覚シート装置102は図示しないが図14Aに示した流路パネル2に、図17Bに示した半裁の袋部q7を有したシート状のベース部材11’を接合していたものである。なお、図中のIは、アイコン画像を成す数字「1」キー等の表示領域である。この構造によっても、ベース部材11’が盛り上がるユニークな触覚を得ることができる。
【0089】
このように第2の実施例としての触覚シート装置200によれば、ブロワー3bが流路切替部3aを介してグループ毎に袋部q1〜q24に圧縮空気を送風するようになる。従って、ベース部材11の所々又は所定の位置において、操作者の指等(操作体)に対して袋部q1〜q24の膨らみによる隆起形状又は送風無しによる元形状によって凹凸感を与えるような触覚を提示できるようになる。これにより、プログラム可能な触覚入力シートを有した入力装置を提供できるようになった。
【実施例3】
【0090】
図18は、本発明に係る触覚シート装置200を応用した第3の実施例としての入力装置300の構成例を示す斜視図である。この例では、ベース部材101の同一平面に設けられた17個の要素袋部E1〜E17から成る第1のグループ及び又は、8個の要素袋部E18〜E25から成る第2のグループを選択可能した操作パネル構築モードを実行可能な入力装置300を提供する。
【0091】
図18に示す入力装置300は、操作者30の指等(操作体)による摺動又は及び押下操作によって情報を入力する装置である。入力装置300は、表示部29、入力検出部45及び触覚可変シート部103を有して構成される。
【0092】
表示部29は操作面を有しており、入力操作時、複数の押しボタンスイッチ映像を表示する。押しボタンスイッチ映像は入力操作用のアイコン画像を構成する。押しボタンスイッチ映像は、数字「1」キーK1〜〜数字「0」キーK10、記号「*」キーK11や、記号「#」キー等のK12、十字キーの決定「O」キーK13、その右向き矢印キーK14、その上向き矢印キーK15、その左向き矢印キーK16、その下向き矢印キーK17、「etc」キーK18、「REW」キーK19、左向き矢印停止キーK20、右向き矢印停止キーK21、左向き早送りキーK22、早送りキーK23、再生キーK24及び停止キーK25等から構成される。表示部29には、カラーの有機GL表示素子又は液晶表示素子(LCD装置)が使用される。
【0093】
表示部29の上方には検出部の一例を構成する入力検出部45が設けられる。入力検出部45は操作面を有している。入力検出部45は、表示部29の上方に設けられて操作者の指等の摺動位置を検出するように動作する。入力検出部45には、例えば、静電容量方式のタッチパネルが使用される。入力検出部45は、カーソリングと選択の機能を区別できるものであれば何でも良く、静電容量方式の入力デバイスの他に、例えば、抵抗膜方式、表面波弾性方式(SAW)、光方式、複数段方式タクトスイッチ等の入力デバイスであっても良く、好ましくは位置検出情報と押圧検知情報を制御系に与えられる構成の入力デバイスであれば良い。
【0094】
入力検出部45の上方には触覚シート手段の一例を構成する、透明性の触覚可変シート部103が設けられている。触覚可変シート部103は、入力検出部45の全部を覆うように設けられ、表示部29の操作面に沿って摺動又は及び押下操作される。もちろん、触覚可変シート部103は、入力検出部45の一部を覆う形態であってもよい。触覚可変シート部103には本発明に係る袋構造を有した触覚シート装置200が備えられる。
【0095】
この例で、触覚可変シート部103は、所定の硬度を有し、かつ、矩形皿状の複数の凹部を有して流路パネル2を兼用するベース部材101と、その上部を気密性良く覆うシート状の蓋用のフィルム部5と、ベース部材101とフィルム部5とにより構成される触覚提示用の複数の要素袋部E1〜E25に空気を供給する空調部3とを有して構成される。空調部3は、図2に示したような流路切替部3a及びブロワー3bを有している。ブロワー3b内には圧電部315を有したものが使用される。ベース部材101とフィルム部5とにより構成される要素袋部E1〜E25は、所定の大きさを有しており、ベース部材101の所々又は所定の位置に分布される。
【0096】
例えば、ベース部材101は、その所々に、所定の大きさの凹部を成して所定の位置に分布された複数の要素袋部E1〜E25を有している。要素袋部E1〜E25は触覚表現部の一例を構成する。この例で、入力操作用のアイコン画像に対応する数字「0」〜「9」キー、記号「*」や記号「#」等のキー用の要素袋部E1〜E12や、十字キー用の要素袋部E13〜E17は、例えば、四角凹形状を有している。
【0097】
ファンクション選択キー用の「etc」キーの要素袋部E18、その「REW」キーの要素袋部E19、その左向き矢印停止キーの要素袋部E20、その右向き矢印停止キーの要素袋部E21、その左向き早送りキーの要素袋部E22、その早送りキーの要素袋部E23、その再生キーの要素袋部E24、その停止キーの要素袋部E25も四角凹形状を有している。各々の要素袋部E1〜E25は、流路パネル2’を兼用する硬度20°乃至40°を有したベース部材101に形成される。
【0098】
上述の要素袋部E1〜E25は、機能キーK1〜K25に対応させて配置されている。例えば、要素袋部E1は、表示部29に表示されるアイコン画像の数字「1」キーK1上に配設され、要素袋部E2は、数字「2」キーK2上に配設され、要素袋部E3は、数字「3」キーK3上に配設され、要素袋部E4は、数字「4」キーK4上に配設され、要素袋部E5は、数字「5」キーK5上に配設され、要素袋部E6は、数字「6」キーK6上に配設され、要素袋部E7は、数字「7」キーK7上に配設され、要素袋部E8は、数字「8」キーK8上に配設され、要素袋部E9は、数字「9」キーK9上に配設され、要素袋部E10は、数字「0」キーK10上に配設される。
【0099】
また、要素袋部E11は、同アイコン画像の記号「*」キーK11上に配設され、要素袋部E12は、記号「#」キーK12上に配設される。要素袋部E13は、表示部29に表示される十字キーのアイコン画像の決定「O」キー上に配設され、要素袋部E14は、右向き矢印キー上に配設され、要素袋部E15は、上向き矢印キー上に配設され、要素袋部E16は、左向き矢印キー上に配設され、要素袋部E17は、下向き矢印キー上に配設される。
【0100】
更に、要素袋部E18は表示部29に表示されるアイコン画像の「etc」キー上に配設され、要素袋部E19は「REW」キー上に配設され、要素袋部E20は左向き矢印停止キー上に配設され、要素袋部E21は右向き矢印停止キー上に配設され、要素袋部E22は左向き早送りキー上に配設され、要素袋部E23は早送りキー上に配設され、要素袋部E24は再生キー上に配設され、要素袋部E25は停止キー上に配設される。
【0101】
この例で、要素袋部E1〜E25を有したベース部材101の上部には蓋部の機能を構成するフィルム部5が設けられる。フィルム部5には、当該ベース部材101の透過率及び屈折率とほぼ等しい透過率及び屈折率の透明性の材料が使用される。例えば、膜厚25[μm]程度のゼオノアが使用される。硬度は、20°乃至40°程度である。
【0102】
このように入力装置300を構成すると、ブロワー3bがグループ毎に要素袋部E1〜E25に圧縮空気を送風するようになる。従って、ベース部材101の所定の位置において、要素袋部E1〜E25が操作者の指等に対して要素袋部E1〜E25の膨らみによる隆起形状又は送風無しによる元形状によって凹凸感を与えるような触覚を提示できるようになる。
【0103】
図19A及びBは、入力装置300を実装した携帯電話機600の構成例を示す上面図である。図19Aに示す携帯電話機600は電子機器の一例を構成し、携帯電話機600によれば、操作面を有する表示部29には、第1のグループを成す数字「1」キーK1〜数字「0」キーK10、「*」記号キーK11や記号「#」キーK12等、十字キーの決定「O」キーK13、その右向き矢印キーK14、その上向き矢印キーK15、その左向き矢印キーK16、その下向き矢印キーK17のアイコン画像が表示される。これらの第1のグループのキーアイコン画像は、例えば、アプリケーション#Aを実行する際に表示部29に表示される。
【0104】
この例では、数字「1」キーK1の表示領域が図18に示した要素袋部E1となされ、同様にして数字「2」キーK2の表示領域が要素袋部E2となされ、数字「3」キーK3の表示領域が要素袋部E3となされ、数字「4」キーK4の表示領域が要素袋部E4となされ、数字「5」キーK5の表示領域が要素袋部E5となされ、数字「6」キーK6の表示領域が要素袋部E6となされ、数字「7」キーK7の表示領域が要素袋部E7となされ、数字「8」キーK8の表示領域が要素袋部E8となされ、数字「9」キーK9の表示領域が要素袋部E9となされ、数字「0」キーK10の表示領域が要素袋部E10となされ、摺動操作又は押圧操作した際に各々手触り凹凸感が得られるようになされている。
【0105】
更に、記号「*」キーK11の表示領域が図18に示した要素袋部E11となされ、記号「#」キーK12の表示領域が要素袋部E12となされ、各々手触り凹凸感が得られるようになされている。同様にして、十字キーを成す決定「O」キーK13の表示領域が要素袋部E13となされ、その右向き矢印キーK14の表示領域が要素袋部E14となされ、その上向き矢印キーK15の表示領域が要素袋部E15となされ、その左向き矢印キーK16の表示領域が要素袋部E16となされ、その下向き矢印キーK17の表示領域が要素袋部E17となされ、摺動操作又は押圧操作した際に、各々手触り凹凸感が得られるようになされる。このような第1グループの手触り凹凸感は、流路切替部3aが流路2aを選択するように空調部3を制御して空気を流路パネルを兼用するベース部材101に送風したことにより生ずる。
【0106】
図19Bに示す携帯電話機600によれば、操作面を有する表示部29に、第2のグループを成す「etc」キーK18、「REW」キーK19、左向き矢印停止キーK20、右向き矢印停止キーK21、左向き早送りキーK22、早送りキーK23、再生キーK24、停止キーK25のアイコン画像と共に再生アプリケーション等の映像が表示される。これらの第2のグループのキーアイコン画像は、例えば、アプリケーション#Bを実行する際に表示部29に表示される。
【0107】
この例では、「etc」キーK18の表示領域が図18に示した要素袋部E18となされ、同様にして、「REW」キーK19の表示領域が要素袋部E19となされ、左向き矢印停止キーK20の表示領域が要素袋部E20となされ、右向き矢印停止キーK21の表示領域が要素袋部E21となされ、左向き早送りキーK22の表示領域が要素袋部E22となされ、早送りキーK23の表示領域が要素袋部E23となされ、再生キーK24の表示領域が要素袋部E24となされ、停止キーK25の表示領域が要素袋部E25となされ、摺動操作又は押圧操作した際に、各々手触り凹凸感が得られるようになされる。このような第2グループの手触り凹凸感は、流路切替部3aが流路2bを選択するように空調部3を制御して空気を流路パネルを兼用するベース部材101に送風したことにより生ずる。
【0108】
このように、携帯電話機600によれば、操作キー画面のアプリケーション#Aや#Bの状態によって、その凹凸形状の表現位置が可変であることから、従来のキーボードや、従来方式の固定方式と比較した場合に、同一面積内において、すなわち、“表面形状を表現する触覚的な意味において、”多様な入力部を構成することが可能となった。
【0109】
次に、携帯電話機600の制御系等について説明をする。図20は、携帯電話機600の制御系の構成例及びその感触フィードバック機能例を示すブロック図である。
この例では、触覚可変シート部103の圧電部315を制御して触覚提示用の要素袋部E1〜E25へ供給する空気の量をグループ毎に調整し、当該操作者の指30a(操作体)に与える触覚を可変するようになされる。
【0110】
図20に示す携帯電話機600は、制御部15、受信部18、送信部22、アンテナ共用器23、入力検出部45、表示部29、電源ユニット33、カメラ34、記憶部35、着信メロディ用のスピーカー36a、アクチュエータ機能付きのスピーカー36b及び、触覚可変シート部103を有している。入力検出部45、表示部29及び、触覚可変シート部103は入力装置300を構成する。
【0111】
入力検出部45は操作者30の指30aの摺動位置及び押し込みを検出して、少なくとも、摺動位置を示す位置検出信号S1および押圧力Fを示す押圧検知信号S2を制御部15に出力する。入力検出部45には、静電容量方式、抵抗膜方式、表面波弾性方式(SAW)、光方式、複数段方式タクトスイッチ等の入力デバイスが使用される。
【0112】
入力検出部45は制御部15に接続される。制御部15は、画像処理部26、A/Dドライバ31、CPU32及びメモリ部37を有している。A/Dドライバ31には、入力検出部45からの位置検出信号S1および押圧検知信号S2が供給される。A/Dドライバ31ではカーソリングとアイコン選択の機能を区別するために位置検出信号S1および押圧検知信号S2よりなるアナログ信号をデジタルデータに変換する。この他にA/Dドライバ31は、このデジタルデータを演算処理して、カーソリング入力かアイコン選択情報かを検出し、カーソリング入力かアイコン選択かを区別するフラグデータD3あるいは位置検出情報D1または押圧検知情報D2をCPU32に供給するようになされる。これらの演算はCPU32内で実行してもよい。
【0113】
A/Dドライバ31にはCPU32が接続される。CPU32はシステムプログラムに基づいて当該携帯電話機全体を制御するようになされる。記憶部35には当該携帯電話機全体を制御するためのシステムプログラムデータが格納される。図示しないRAMはワークメモリとして使用される。CPU32は電源オンと共に、記憶部35からシステムプログラムデータを読み出してRAMに展開し、当該システムを立ち上げて携帯電話機全体を制御するようになされる。
【0114】
例えば、CPU32は、A/Dドライバ31からの位置検出情報D1、押圧検知情報D2及びフラグデータD3(以下単に入力データともいう)を受けて所定の指令データDを電源ユニット33や、カメラ34、記憶部35、メモリ部37、映像&音声処理部44、触覚可変シート部103等のデバイスに供給したり、受信部18からの受信データを取り込んだり、送信部22へ送信データを転送するように制御する。
【0115】
この例で、CPU32には入力検出部45の他に触覚可変シート部103が接続され、当該CPU32の駆動制御を受けて、触覚提示用の要素袋部E1〜E25へ供給する空気の量を圧電部315を介してグループ毎に調整し、操作者の指30a(操作体)に与える触覚を可変するようになされる。
【0116】
CPU32は、例えば、入力検出部45から得られる押圧検知情報D2と予め設定された押下判定閾値Fthとを比較し、当該比較結果に基づいて触覚可変シート部103に所定の指令データDを出力してその圧電部315を駆動制御するようになされる。ここで、入力検出部45の押下位置における入力検出面から伝播される触覚を#a及び#bとすると、触覚#aは、その押下位置における操作者の指30aの押圧力Fに応じた入力検出面を低周波数かつ小振幅の振動パターンから、高周波数かつ大振幅の振動パターンに変化させることによって提供される。
【0117】
また、触覚#bは、その押下位置における操作者の指30aの押圧力Fに応じた入力検出面を高周波数かつ大振幅の振動パターンから、低周波数かつ小振幅の振動パターンに変化させることよって提供される。入力検出面におけるこれらの振動パターン出力制御は、触覚可変シート部103の圧電部315による駆動制御を行うことで実行される。もちろん、アクチュエータ機能付きのスピーカー36bを振動制御するようにメモリ部37を制御してもよい。なお、スピーカー36bの振動制御を省略してもよい。触覚可変シート部103を駆動制御する場合は、媒体が空気で、その量を調整制御するようになるので、スピーカー36bの振動制御に比べてより強い触覚を提示できるようになる。
【0118】
上述のCPU32には表示部29及び記憶部35が接続され、入力項目選択用の表示画面を、例えば、3次元的に表示するための表示情報D4や、当該表示情報D4に対応したアイコンの選択位置及び振動モードに関する制御情報Dc等が表示画面毎に記憶される。制御情報Dcには、表示部29におけるアプリケーション(3次元的な表示や、各種表示内容)に同期した複数の異なった触覚を発生でき、その触覚を発生せしめる複数の具体的な振動波形、及び、アプリケーション毎の具体的な触覚発生モードを設定するアルゴリズムが含まれる。記憶部35には、EEPROMや、ROM、RAM等が使用される。
【0119】
この例でCPU32は、A/Dドライバ31から出力される位置検出情報D1、押圧検知情報D2及びフラグデータD3に基づいて表示部29の表示制御、触覚可変シート部103の駆動制御及び又はアクチュエータ機能付きのスピーカー36bの出力制御を実行する。
【0120】
例えば、CPU32は、表示部29に表示される映像内容に対応して、触覚可変シート部103の触覚提示用の要素袋部E1〜E25に空気を供給するように空調部3を制御し、当該要素袋部E1〜E25が映像内容に対応したベース部材101の所定の位置に分布するようになされる。また、CPU32は、入力検出部45から得られる位置検出情報D1及び、押圧検知情報D2に基づいて触覚可変シート部103の圧電部315を制御して触覚提示用の要素袋部E1〜E25へ供給する空気の量をグループ毎に調整し、当該操作者の指30a(操作体)に与える触覚を可変するようになされる。
【0121】
更に、CPU32は、記憶部35から制御情報Dcを読み出して、メモリ部37へアクセスし、アクチュエータ機能付きのスピーカー36bに振動発生信号Saを供給するような制御もなされる。この制御は省略してもよい。
【0122】
CPU32は、更に、入力検出部45が押下判定閾値Fthを越える押圧検知情報D2を検出したとき、触覚可変シート部103又は及びスピーカー36bを制御して触覚#aを起動し、その後、押下判定閾値Fthを下回る押圧検知情報D2を検出したとき、触覚可変シート部103又は及びスピーカー36bを制御して触覚#bを起動するように、圧電部315の駆動制御又は及びメモリ部37の読み出し制御を実行する。この制御によって、操作者の指30a等の”押圧力”に合わせたユニークな振動パターンを発生するようになる。
【0123】
CPU32にはメモリ部37が接続され、CPU32からの制御情報Dcに基づいて振動発生データDaを読み出す。振動発生データDaはCPU32を介して触覚可変シート部103にも出力される。振動発生データDaは、正弦波、鋸歯状波、パルス波、矩形波等からなる出力波形を有している。メモリ部37には映像&音声処理部44が接続され、各々の振動発生データDaが映像&音声処理部44に供給され、その振動発生データDaが音声処理(デジタル・アナログ変換・増幅等)され、振動発生信号Sout2となってアクチュエータ機能付きのスピーカー36bに供給される。スピーカー36bは、振動発生信号Sout2に基づいて振動するようになされる。
【0124】
この例で、メモリ部37は、各アプリケーションに対応する押下判定閾値Fthを記憶する。例えば、押下判定閾値Fthはトリガーパラメータとして記憶部35に設けられたROM等に予め格納される。記憶部35は、CPU32のメモリ制御を受けて、押圧検知情報D2を入力し、予め設定された押下判定閾値Fthと、押圧検知情報D2から得られる押圧力Fとを比較し、Fth>Fの判定処理や、Fth≦F等の判定処理を実行する。
【0125】
例えば、押下判定閾値Fth=100[gf]をメモリ部37に設定すると、クラシックスイッチの触覚を得るための振動パターンに基づいて入力検出面を振動するようになされる。また、押下判定閾値Fth=20[gf]を設定すると、サイバースイッチの触覚を得るための振動パターンに基づいて入力検出面を振動するようになされる。
【0126】
CPU32にはメモリ部37の他に画像処理部26が接続され、ボタンアイコン等を3次元的に表示するための表示情報D4を画像処理するようになされる。画像処理後の表示情報D4を表示部29に供給するようになされる。この例で、CPU32は、表示画面中のボタンアイコンを奥行方向に遠近感を有して3次元的に表示するように表示部29を表示制御する。
【0127】
このように構成された入力装置300は、例えば、入力項目選択用の表示画面に表示された複数のボタンアイコンの1つを押下(接触)して当該表示画面上で入力検出部45をZ方向に押下すると触覚を伴って画面入力操作されるものである。操作者30は、指30aに振動を受けて触感として、ボタンアイコン毎の振動を感じる。
【0128】
表示部29の表示内容は操作者の目30bによる視覚により、スピーカー36a,36b等からの放音は、操作者の耳30cによる聴覚により各機能を判断するようになされる。上述のCPU32には操作パネル98を構成する表示部29及び入力検出部45が接続され、例えば、相手方の電話番号を手動入力する際に使用される。表示部29には上述のアイコン選択画面の他に映像信号Svに基づいて着信映像を表示するようにしてもよい。
【0129】
また、図20に示すアンテナ16は、アンテナ共用器23に接続され、着呼時、相手方からの無線電波を基地局等から受信する。アンテナ共用器23には受信部18が接続され、アンテナ16から導かれる受信データを受信して映像や音声等を復調処理し、復調後の映像及び音声データDinをCPU32等に出力するようになされる。受信部18には、CPU32を通じて映像&音声処理部44が接続され、デジタルの音声データをデジタル/アナログ変換して音声信号Soutを出力したり、デジタルの映像データをデジタル/アナログ変換して映像信号Svを出力するようになされる。
【0130】
映像&音声処理部44には大音響用を構成するスピーカー36a及び、受話器を構成するアクチュエータ機能付きのスピーカー36bが接続される。スピーカー36aは、着呼時、音響信号Sout1に基づいて着信音や着信メロディ等を鳴動するようになされる。
【0131】
また、スピーカー36bは振動体の一例を構成し、触覚提示時、触覚可変シート部103と共に、又は、単独で振動発生信号Sout2に基づいて振動するようになされる。スピーカー36bは、入力検出部45から得られる位置検出信号S1に基づいて表示部29の操作面に振動を与えるようになされる。もちろん、スピーカー36bは、音声信号Sout2’を入力して相手方の話声30d等を拡大するようになされる。
【0132】
この映像&音声処理部44にはスピーカー36a,36bの他に、送話器を構成するマイクロフォン13が接続され、操作者の声30dを集音して音声信号Sinを出力するようになされる。映像&音声処理部44は、発呼時、相手方へ送るためのアナログの音声信号Sinをアナログ/デジタル変換してデジタルの音声データを出力したり、アナログの映像信号Svをアナログ/デジタル変換してデジタルの映像データを出力するようになされる。
【0133】
CPU32には受信部18の他に、送信部22が接続され、相手方へ送るための映像及び音声データDout等を変調処理し、変調後の送信データをアンテナ共用器23を通じアンテナ16に供給するようになされる。アンテナ16は、アンテナ共用器23から供給される無線電波を基地局等に向けて輻射するようになされる。
【0134】
上述のCPU32には送信部22の他に、カメラ34が接続され、被写体を撮影して、例えば、静止画情報や動作情報を送信部22を通じて相手方に送信するようになされる。カメラ34は筐体401の背面側に設けている。電源ユニット33は、バッテリー94を有しており、受信部18、送信部22、表示部29、CPU32、カメラ34、記憶部35、メモリ部37、映像&音声処理部44、入力検出部45及び触覚可変シート部103にDC電源を供給するようになされる。なお、この例で、メモリ部37を映像&音声処理部44とは別個に設ける場合について説明したが、映像&音声処理部44に備え付けの記憶装置を兼用するようにしてもよい。部品点数が低減できる。
【0135】
続いて、入力検出部45の機能例について説明する。図21A〜E及び図22A〜Eは、携帯電話機600における摺動及び押圧操作例(その1,2)を示す状態図である。図21A及び図22Aは、操作者の指30aの操作例、図21B及び図22Bは、入力検出部45から得られる位置検知例、図21C及び図22Cは、入力検出部45から得られる押圧検知例、図21D及び図22Dは、空調部3の圧電部315の駆動例、及び、図21E及び図22Eは、操作者の指30aに与える反力例を示す各々状態Iから状態XIに至る遷移図である。
【0136】
この例では、触覚可変シート部103の空調部3の圧電部315は、要素袋部E1〜E25に空気を供給して膨らませている状態を前提とする。また、図21Aに示す要素袋部E1は、触覚可変シート部103における、例えば、数字「1」キーK1の表示領域上に生じた触覚提示用の触覚表現部である。この要素袋部E1において、x1はXYZ座標系におけるX軸方向の位置であり、図中における要素袋部E1の左側の突起縁部の位置であり、x2はその突起中央部の位置であり、x3はその右側の突起縁部の位置である。
【0137】
これらを入力検知条件にして、図21Aに示す状態Iは、操作者の指30aが触覚可変シート部103の要素袋部E1に触れていない場合である。この場合、図21Bに示す位置検知例によれば、位置検出信号S1は入力検出部45から出力されていない。また、図21Cに示す押圧検知例によれば、押圧検知信号S2は入力検出部45から得られていない。図21Dに示す圧電部315の駆動例によれば、手触り凹凸感を提示するために24個の要素袋部E1〜E25に空気を供給して膨らませている状態である。図21Eに示す操作者の指30aに与える反力例によれば、当該指30aが要素袋部E1に触れていないので、反力は生じていない。
【0138】
図21Aに示す状態IIは、操作者の指30aが触覚可変シート部103上をスライド(摺動)操作している場合である。この場合、図21Bに示す位置検知例によれば、入力検出部45による位置検知が継続され、何らかの位置検出信号S1が出力される。また、図21Cに示す押圧検知例によれば、入力検出部45による押圧検知が継続されるが、判定閾値を越える押圧力Fが未だ検知されない状態である。図21Dに示す圧電部315の駆動例によれば、手触り凹凸感を提示するために25個の要素袋部E1〜E25に空気を供給して膨らませている状態が維持される。図21Eに示す操作者の指30aに与える反力例によれば、当該指30aが触覚可変シート部103上を触れているが要素袋部E1を押圧していないので、反力は生じていない。
【0139】
図21Aに示す状態IVは、操作者の指30aが触覚可変シート部103上をスライド(摺動)操作に続いて要素袋部E1の左側の突起縁部に到達した場合である。この場合、図21Bに示す位置検知例によれば、要素袋部E1の左側の突起縁部の位置x1を示す位置検出信号S1が入力検出部45から出力される。また、図21Cに示す押圧検知例によれば、入力検出部45による押圧検知が継続されるが、判定閾値を越える押圧力Fが未だ検知されない状態である。図21Dに示す圧電部315の駆動例によれば、手触り凹凸感を提示するために25個の要素袋部E1〜E25に、更に空気を供給してより一層膨らませている状態である。図21Eに示す操作者の指30aに与える反力例によれば、当該指30aが触覚可変シート部103に触れているが押圧していないので、反力は生じていない。
【0140】
図21Aに示す状態Vは、操作者の指30aが触覚可変シート部103の要素袋部E1の突起中央部に到達した場合である。この場合、図21Bに示す位置検知例によれば、要素袋部E1の突起中央部の位置x2を示す位置検出信号S1が入力検出部45から出力される。また、図21Cに示す押圧検知例によれば、入力検出部45による押圧検知が継続されるが、判定閾値を越える押圧力Fが未だ検知されない状態である。図21Dに示す圧電部315の駆動例によれば、手触り凹凸感を提示するために25個の要素袋部E1〜E25に空気を供給してより一層膨らませている状態が維持される。図21Eに示す操作者の指30aに与える反力例によれば、当該指30aが突起中央部に触れており、要素袋部E1が一層膨らむことで、その反力を手触り凹凸感として得られるようになる。
【0141】
図21Aに示す状態VIは、操作者の指30aが触覚可変シート部103の要素袋部E1の突起中央部から右側の突起縁部に移行した場合である。この場合、図21Bに示す位置検知例によれば、要素袋部E1の右側の突起縁部の位置x3を示す位置検出信号S1が入力検出部45から出力される。また、図21Cに示す押圧検知例によれば、入力検出部45による押圧検知が継続されるが、判定閾値を越える押圧力Fが未だ検知されない状態である。
【0142】
図21Dに示す圧電部315の駆動例によれば、25個の要素袋部E1〜E25に空気を供給してより一層膨らませた状態から、通常時の手触り凹凸感を提示するための空気を供給に戻る。この例では、操作者の指30aが触覚可変シート部103の要素袋部E1の右側の突起縁部から突起中央部に戻される。図21Eに示す操作者の指30aに与える反力例によれば、当該指30aが突起中央部から右側の突起縁部に触れており、要素袋部E1が一層膨らむことで、図21Aにした状態Vよりも弱い反力を手触り凹凸感として得られるようになる。
【0143】
図21Aに示す状態VIIは、操作者の指30aが触覚可変シート部103の要素袋部E1の突起中央部に戻った場合である。この場合、図21Bに示す位置検知例によれば、要素袋部E1の突起中央部の位置x2を示す位置検出信号S1が入力検出部45から出力される。また、図21Cに示す押圧検知例によれば、入力検出部45による押圧検知が継続されるが、判定閾値を越える押圧力Fが未だ検知されない状態である。
【0144】
図21Dに示す圧電部315の駆動例によれば、手触り凹凸感を提示するために25個の要素袋部E1〜E25に空気を供給してより一層膨らませている状態が維持される。図21Eに示す操作者の指30aに与える反力例によれば、当該指30aが突起中央部に触れており、要素袋部E1が一層膨らむことで、その反力を手触り凹凸感として得られるようになる。
【0145】
図21Aに示す状態VIIIは、操作者の指30aが触覚可変シート部103の要素袋部E1の突起中央部で押圧操作を開始した場合である。この場合、図21Bに示す位置検知例によれば、操作者の指30aが要素袋部E1の突起中央部で止まっているので、位置検出信号S1は入力検出部45から出力されない。また、図21Cに示す押圧検知例によれば、入力検出部45による押圧検知が継続されるが、判定閾値を越える押圧力Fが未だ検知されない状態である。
【0146】
図21Dに示す圧電部315の駆動例によれば、操作者の指30aの押圧操作に対する押圧力Fに打ち勝つために25個の要素袋部E1〜E25に空気を供給してより一層膨らませ始めた状態である。図21Eに示す操作者の指30aに与える反力例によれば、当該指30aが突起中央部からZ方向に押圧操作しており、要素袋部E1が一層膨らむことで、その反力を手触り凹凸感として得られるようになる。
【0147】
図21Aに示す状態IXは、操作者の指30aが触覚可変シート部103の要素袋部E1の突起中央部での押圧操作を完了する直前の場合である。この場合、図21Bに示す位置検知例によれば、操作者の指30aが要素袋部E1の突起中央部で止まっているので、位置検出信号S1は入力検出部45から出力されない。また、図21Cに示す押圧検知例によれば、入力検出部45が判定閾値を越える押圧力Fを示す押圧検知信号S2を検知した状態である。
【0148】
図21Dに示す圧電部315の駆動例によれば、操作者の指30aの押圧操作に対する押圧力Fに打ち勝つために25個の要素袋部E1〜E25に空気を供給してより一層膨らませている状態が維持される。図21Eに示す操作者の指30aに与える反力例によれば、当該指30aが突起中央部からZ方向に押圧操作しており、要素袋部E1が一層膨らむことで、その反力を手触り凹凸感として得られるようになる。
【0149】
図21Aに示す状態Xは、操作者の指30aが触覚可変シート部103の要素袋部E1の突起中央部での押圧操作を完了して押圧力Fを徐々に低減した場合である。この場合、図21Bに示す位置検知例によれば、操作者の指30aが要素袋部E1の突起中央部で止まっているので、位置検出信号S1は入力検出部45から出力されない。また、図21Cに示す押圧検知例によれば、入力検出部45が判定閾値を下回り、徐々に低減する押圧力Fを示す押圧検知信号S2を検知している状態である。
【0150】
図21Dに示す圧電部315の駆動例によれば、操作者の指30aの押圧操作に対する押圧力Fに打ち勝つために25個の要素袋部E1〜E25に空気を供給してより一層膨らませている状態が継続される。図21Eに示す操作者の指30aに与える反力例によれば、当該指30aが突起中央部のZ方向で徐々に緩める押圧操作しており、要素袋部E1が徐々に通常の膨らみに移行することで、その反力も徐々に低減するようにな手触り凹凸感を得られるようになる。このように、位置検出信号S1及び押圧検知信号S2をトリガーにして圧電部315の出力[pa]を制御するようにしたので、よりリアルで局所的な手触り凹凸感を表現できるようになった。
【0151】
続いて、携帯電話機600における情報処理例について説明する。図23は、携帯電話機600におけるアプリケーション実行時の表示部29及び触覚可変シート部103の制御例を示すフローチャートである。
【0152】
この実施例では、入力装置300を実装した携帯電話機600において、アプリケーション#A又は#Bの選択に基づいて、図19A及びBに示した操作画面のいずれかを表示すると共に、この表示に連動して触覚可変シート部103における要素袋部E1〜E17(第1のグループ)又は要素袋部E18〜E25(第2のグループ)に空気を送風して触覚表現部を構築する場合を例に挙げる(以下操作パネル構築モードという)。この例では、アプリケーション実行命令が有った場合に、操作パネル構築モードに関して、アプリケーション#A→アプリケーション#Bの順に選択候補を切り替える場合を例に挙げる。
【0153】
これらを操作パネル切替条件にして、図23に示すフローチャートのステップST1でCPU32はアプリケーション実行命令を入力する。アプリケーション実行命令は、例えば、電源スイッチのオン情報をトリガーにしてCPU32へ付与する。その後、ステップST2に移行してCPU32はアプリケーション実行命令がアプリケーション#A、又は、それ以外のアプリケーション実行命令に対応して制御を分岐する。アプリケーション実行命令がアプリケーション#Aである場合は、ステップST3に移行してCPU32は当該アプリケーション#Aの制御情報を読み込む。制御情報は予めアプリケーション#Aやアプリケーション#B等に対応付けられている。CPU32は制御情報に基づいて表示を切り替えるように表示部29を制御する。
【0154】
このとき、CPU32は制御情報に基づく表示信号Svを表示部29に出力する。表示部29は、表示信号Svに基づいて第1のグループのアイコン画像を成す数字「1」キーK1〜数字「0」キーK10、「*」記号キーK11や記号「#」キーK12等、十字キーの決定「O」キーK13、その右向き矢印キーK14、その上向き矢印キーK15、その左向き矢印キーK16、その下向き矢印キーK17のアイコン画像を表示する(図19A参照)。
【0155】
また、CPU32は制御情報に基づく指令データDを触覚可変シート部103の空調部3に出力する。空調部3は、流路2aを選択するために、指令データDに基づいて弁体304を開放し、弁体305を閉塞するような切替制御を実行する。流路切替部3aが選択した流路2aにブロワー3bから空気が送風される。空気の量はブロワー3bを構成する圧電部315によって調整される。圧電部315は、CPU32から入力した指令データDによって制御される。この制御によって、第1グループの17個の要素袋部E1〜E17の手触り凹凸を可変するようになされる。
【0156】
この例では、数字「1」キーK1の表示領域が図18に示した要素袋部E1となされ、同様にして数字「2」キーK2の表示領域が要素袋部E2となされ、数字「3」キーK3の表示領域が要素袋部E3となされ、数字「4」キーK4の表示領域が要素袋部E4となされ、数字「5」キーK5の表示領域が要素袋部E5となされ、数字「6」キーK6の表示領域が要素袋部E6となされ、数字「7」キーK7の表示領域が要素袋部E7となされ、数字「8」キーK8の表示領域が要素袋部E8となされ、数字「9」キーK9の表示領域が要素袋部E9となされ、数字「0」キーK10の表示領域が要素袋部E10となされ、摺動操作又は押圧操作した際に各々手触り凹凸感が得られるようになされている。
【0157】
更に、記号「*」キーK11の表示領域が図18に示した要素袋部E11となされ、記号「#」キーK12の表示領域が要素袋部E12となされ、各々手触り凹凸感が得られるようになされている。同様にして、十字キーを成す決定「O」キーK13の表示領域が要素袋部E13となされ、その右向き矢印キーK14の表示領域が要素袋部E14となされ、その上向き矢印キーK15の表示領域が要素袋部E15となされ、その左向き矢印キーK16の表示領域が要素袋部E16となされ、その下向き矢印キーK17の表示領域が要素袋部E17となされ、摺動操作又は押圧操作した際に、各々手触り凹凸感が得られるようになされる。
【0158】
そして、ステップST4でCPU32は当該アプリケーション#Aを実行する。アプリケーション#Aは、例えば、数字「1」キーK1〜数字「0」キーK10、「*」記号キーK11や記号「#」キーK12等、十字キーの決定「O」キーK13、その右向き矢印キーK14、その上向き矢印キーK15、その左向き矢印キーK16、その下向き矢印キーK17を操作して情報を入力するような処理である。
【0159】
その後、ステップST5に移行して、CPU32は当該アプリケーション#Aの終了を判別する。当該アプリケーション#Aの終了命令が無い場合は、ステップST4に戻って表示部29は当該アプリケーション#Aに係る操作パネル画像の表示を継続する。当該アプリケーション#Aの終了命令が有った場合は、ステップST6に移行して、CPU32は、空調部3に指令データDを送信して圧電部315を停止するように制御する。この時点でアプリケーション#Aに係る操作パネル画像の表示を例えばメニュー画面等に表示を切り替えてもよい。その後、ステップST13に移行する。
【0160】
上述のステップST2でアプリケーション#A以外のアプリケーション実行命令が設定されている場合は、ステップST7に移行する。ステップST7では、アプリケーション実行命令がアプリケーション#B、又は、それ以外のアプリケーションによって制御を分岐する。アプリケーション実行命令がアプリケーション#Bである場合にはステップST8に移行してCPU32は当該アプリケーション#Bの制御情報を読み込む。CPU32は制御情報に基づいて表示を切り替えるように表示部29を制御する。
【0161】
このとき、CPU32は制御情報に基づく表示信号Svを表示部29に出力する。表示部29は、第2のグループのアイコン画像を成す「etc」キーK18、「REW」キーK19、左向き矢印停止キーK20、右向き矢印停止キーK21、左向き早送りキーK22、早送りキーK23、再生キーK24、停止キーK25のアイコン画像と共に再生アプリケーション等の映像が表示される(図19B参照)。
【0162】
また、CPU32は制御情報に基づく指令データDを空調部3に出力する。空調部3は、流路2aを選択するために、指令データDに基づいて弁体305を開放し、弁体304を閉塞するような切替制御を実行する。流路切替部3aが選択した流路2bにブロワー3bから空気が送風される。空気の量はブロワー3bを構成する圧電部315によって調整される。圧電部315は、CPU32から入力した指令データDによって制御される。この制御によって、第2グループの8個の要素袋部E18〜E25の手触り凹凸を可変するようになされる。
【0163】
この例では、「etc」キーK18の表示領域が図18に示した要素袋部E18となされ、同様にして、「REW」キーK19の表示領域が要素袋部E19となされ、左向き矢印停止キーK20の表示領域が要素袋部E20となされ、右向き矢印停止キーK21の表示領域が要素袋部E21となされ、左向き早送りキーK22の表示領域が要素袋部E22となされ、早送りキーK23の表示領域が要素袋部E23となされ、再生キーK24の表示領域が要素袋部E24となされ、停止キーK25の表示領域が要素袋部E25となされ、摺動操作又は押圧操作した際に、各々手触り凹凸感が得られるようになされる。
【0164】
そして、ステップST9でCPU32は当該アプリケーション#Bを実行する。アプリケーション#Bは、例えば、「etc」キーK18、「REW」キーK19、左向き矢印停止キーK20、右向き矢印停止キーK21、左向き早送りキーK22、早送りキーK23、再生キーK24、停止キーK25を操作して映像情報を再生するような処理である。
【0165】
その後、ステップST10に移行して、CPU32は当該アプリケーション#Bの終了を判別する。当該アプリケーション#Bの終了命令が無い場合は、ステップST9に戻って表示部29は当該アプリケーション#Bに係る操作パネル表示を継続する。当該アプリケーション#Bの終了命令が有った場合は、ステップST11に移行して、CPU32は、空調部3に指令データDを送信して圧電部315を停止するように制御する。その後、ステップST13に移行する。
【0166】
なお、ステップST7でアプリケーション#A及び#B以外のアプリケーション実行命令が設定されている場合は、ステップST12に移行する。ステップST12では、その他のアプリケーションを実行する。この他のアプリケーションにおける処理では、例えば、表示画面を切り替えて待ち受け映像等を表示部29に表示するようになされる。また、空調部3では、流路2a及び2bのいずれも非選択とするために、指令データDに基づいて弁体304、弁体305を閉塞するような切替制御を実行する。圧電部315は、CPU32から入力した指令データDによって駆動を停止する。この制御によって、第1及び第2のグループの25個の要素袋部E1〜E25のいずれも手触り凹凸感を喪失するようになる。
【0167】
その後、ステップST13に移行して、当該携帯電話機600における入力処理の終了を判別する。例えば、CPU32は電源オフ情報を検出する。電源オフ情報が検出されない場合は、ステップST1に戻って上述した処理を繰り返すようになされる。電源オフ情報が検出された場合は、当該携帯電話機600における入力処理を終了するようになされる。
【0168】
このように第3の実施例としての携帯電話機600によれば、本発明に係る入力装置300が備えられ、アプリケーション#A及び#Bに応じて、ユーザの摺動操作又は押圧操作に対して操作画面を凹凸形状又は圧力変化させる構造を提供できるようになった。従って、触覚可変シート部103による触覚表現機能と、表示部29のアイコン画像の表示機能により操作パネル構築モード(アイコン画像+触覚表現部)を実行できるので、プログラム可能なアイコンタッチ用の触覚可変シート機能付きの携帯電話機600を提供できるようになった。しかも、入力装置300の小型化及び操作性を向上できることから、当該携帯電話機600の誤動作の低減、コストダウン及び製造プロセスの簡素化を図ることができる。
【0169】
この実施例では、触覚シート手段に監視して25個の要素袋部E1〜E25を有した触覚可変シート部103の場合について説明したが、これに限られることはなく、ベース部材1の所定の位置に25個の触覚提示用の開孔部p1〜p25を有した触覚可変シート部を構成してもよい。そして、これらの開孔部p1〜p24にブロワー3bから空気を送風し、このブロワー3bを圧電部315及びCPU32でフィードバック制御して、当該開孔部p1〜p24から吹き出す空気の量を調整して、操作者の指30aに与える触覚を可変するようにしても、同様な効果が得られる。
【実施例4】
【0170】
図24は、本発明に係る触覚シート装置を応用した第4の実施例としての入力装置400の構成例を示す斜視図である。この実施例では、第3の実施例と異なり、表示部29上の異平面で各々グループのアイコン画像を成す形態で要素袋部が3層に区分されて配置され、この3つのグループの中から、アイコン画像に対応したグループの要素袋部を選択可能した操作パネル構築モードを実行可能とする入力装置400を提供する。
【0171】
図24に示す入力装置400は、操作者30の指等(操作体)による摺動又は及び押下操作によって情報を入力する装置である。入力装置400は、表示部29上に入力検出部45及び触覚可変用の透明性の積層シート部140を順に積層して構成される。
【0172】
積層シート部140は触覚シート手段の一例を構成し、下方から順に第1層目の触覚可変シート部141、第2層目の触覚可変シート部142及び第3層目の触覚可変シート部143が順次に積層されて構成される。積層シート部140には本発明に係る触覚シート装置200の袋構造が応用されている。
【0173】
表示部29は入力操作時、第1層目用〜第3層目用の複数の押しボタンスイッチ映像を各々表示する。押しボタンスイッチ映像の内容は、入力操作用のアイコン画像を構成する。第1層目用の押しボタンスイッチ映像として、キーボード用のキーアレイK100等が表示部29に表示される。この例では、操作キーが手前から後方に向かって5列に並んだ数字、アルファベット、ひらがな等の文字を含むキーアレイの配置に対応したアイコン画像が表示される。
【0174】
第2層目用の押しボタンスイッチ映像としては、例えば、各種機能選択用の20個のキーK41〜K60等から構成される。例えば、インターネット、カレンダー、カメラ、計算機、音楽、電話、マルチメディア、ユーザデータ、アルバム、各種設定、時計、テレビ、Web、目覚まし等のアイコン画像が表示部29に表示される。
【0175】
第3層目用の押しボタンスイッチ映像としては、第3の実施例と同様にして、数字「1」キーK1〜数字「0」キーK10、記号「*」キーK11や、記号「#」キー等のK12等のアイコン画像や、十字キーを構成する決定「O」キーK13、その右向き矢印キーK14、その上向き矢印キーK15、その左向き矢印キーK16、その下向き矢印キーK17等のアイコン画像が表示される。表示部29には、カラーの液晶表示素子(LCD装置)が使用される。
【0176】
表示部29の上方には第3の実施例と同様にして入力検出部45が設けられ、操作者の指等の摺動位置及び押圧力を検出するように動作する。入力検出部45には、第3の実施例で説明したように、静電容量方式のタッチパネルや、抵抗膜方式、表面波弾性方式(SAW)、光方式、複数段方式タクトスイッチ等、位置検出情報と押圧検知情報を制御系に与えられる構成の入力デバイスが使用される。
【0177】
入力検出部45の上方には第1層目の透明性の触覚可変用シート部141が設けられている。触覚可変シート部141は、入力検出部45の全部を覆うように設けられ、表示部29の操作面に沿って押下操作するようになされる。この例で触覚可変シート部141は、基板2cと、その上部に所定の硬度を有し、かつ、矩形皿状の複数の凹部(以下要素袋部アレイE100という)及び複数の流路2d〜2hを有したベース部材104とを備えている。この例では、操作キーが手前から後方に向かって5列に並んだキーアレイ(数字、アルファベット、ひらがな等の文字を含む)の配置に対応した要素袋部アレイE100が配設されている。
【0178】
ベース部材104には、例えば、1列目の操作キーに対応して流路2dが配設され、2列目の操作キーに対応して流路2eが配設され、3列目の操作キーに対応して流路2fが配設され、4列目の操作キーに対応して流路2hが配設され、5列目の操作キーに対応して流路2iが配設されている。もちろん、触覚可変シート部141は、入力検出部45の一部を覆う形態であってもよい。この例で、ベース部材104の上部は、気密性を良くするために第2層目の触覚可変シート部142の裏面側の基板2cが蓋となって密閉される(覆われる)。これにより、ベース部材104と触覚可変シート部142の基板2cにより要素袋部アレイE100が構成される。
【0179】
上述の触覚可変シート部141の上方には触覚可変シート部142が配設される。触覚可変シート部142は、基板2cと、その上部に所定の硬度を有し、かつ、矩形皿状の20個の要素袋部E41〜E60及び流路2iを有したベース部材105とを備えている。この例では、インターネット、カレンダー、カメラ、計算機、音楽、電話、マルチメディア、ユーザデータ、アルバム、各種設定、時計、テレビ、Web、目覚まし等のアイコン画像に対応した位置に要素袋部E41〜E60が配設されている。このベース部材105の上部も、気密性良くするために、第3層目の触覚可変シート部143の裏面側の基板2cが蓋となって密閉される。これにより、ベース部材105と触覚可変シート部143の基板2cにより要素袋部E41〜E60が構成される。
【0180】
上述の触覚可変シート部142の上方には触覚可変シート部143が配設される。触覚可変シート部143は、基板2cと、その上部に所定の硬度を有し、かつ、楕円皿状の17個の要素袋部E1〜E17及び流路2aを有したベース部材106とを備えている。この例では、数字「0」〜「9」キーや、記号「*」キー、記号「#」キー等のアイコン画像に対応した位置に要素袋部E1〜E12が配置され、十字キー等のアイコン画像に対応した位置に要素袋部E13〜E17が配置されている。
【0181】
この例で、ベース部材106の上部は、気密性良くするために、シート状の蓋用のフィルム部5で密閉する(覆う)ようになされる。フィルム部5には、当該ベース部材101の透過率及び屈折率とほぼ等しい透過率及び屈折率の透明性の材料が使用される。例えば、膜厚25[μm]程度のゼオノアが使用される。硬度は、20°乃至40°程度である。これにより、ベース部材106とフィルム部5により17個の要素袋部E1〜E17が構成される。
【0182】
上述の3層の触覚可変シート部141〜143の7本の流路2a,2d〜2iには図25Aに示すような空調部3’が接続される。図25A及びBは、入力装置400の構成例を示す一部断面を含む正面図及び上面図である。図25Aに示す入力装置400は、表示部29、入力検出部45、積層シート部140及び空調部3’を有して構成される。空調部3’は、第1層目の触覚可変シート部141の流路2d〜2h、第2層目の触覚可変シート部142の流路2i又は、第3層目の触覚可変シート部143の流路2aに空気を送風するように動作する。この例で、空調部3’は積層シート部140を構成する3層の触覚可変シート部141〜143を層毎に空気を送風するプログラム可能な機能を有している。この例でも、空調部3’には、圧電素子を用いたブロワー3b(空気圧力発生器)が使用される。
【0183】
図25Bは、入力装置400の第2層目の触覚可変シート部142の構成例及び、流路切替部3a’における第2層目用の弁切替部308の構成例を示す上面図である。図25Bに示す空調部3’は、流路切替部3a’及びブロワー3bを有している。ブロワー3b内には圧電部315を有したものが使用される。ブロワー3bは、図25Bに示すような流路切替部3a’を介して7本の流路2a,2d〜2iに接続される。
【0184】
ブロワー3bは、流路切替部3a’及び5本の流路2d〜2hを介して触覚可変シート部141の要素袋部アレイE100に圧縮空気を送風し、流路切替部3a’及び1本の流路2iを介して触覚可変シート部142の20個の要素袋E41〜E60に圧縮空気を送風し、流路切替部3a’及び1本の流路2aを介して触覚可変シート部143の17個の要素袋E1〜E17に圧縮空気を送風する。
【0185】
流路切替部3a’は、弁コア部301’や、弁切替部302,308,311、弁体304,309,312等を有して構成される。弁コア部301’は、例えば、矩形状を有しており、樹脂又は軽金属を金型で成形したコア部材から構成されている。
【0186】
弁切替部302,308,311は弁コア部301’内に扇形状を有して設けられる。弁切替部302,308,311には、吸気管314がブロワー3bに連通して設けられ、当該ブロワー3bからの空気を取り入れるようになされる。弁切替部302内には弁体304及び排気口306が設けられている。弁体304はモータやソレノイド等の駆動部3cの動力を得て排気口306を閉塞したり、又は、開放するように動作する。排気口306は流路2aに連通されている。駆動部3cは、例えば、弁コア部301’の裏面側に設けられる。
【0187】
弁切替部308内には弁体309及び排気口310が設けられている。弁体309は駆動部3cの動力を得て排気口310を閉塞したり、又は、開放するように動作する。排気口310は流路2iに連通されている。
【0188】
弁切替部311内には弁体312及び排気口313が設けられている。弁体311は駆動部3cの動力を得て排気口313を閉塞したり、又は、開放するように動作する。排気口313は流路2d〜2hに連通されている。弁体304,309,312には長丸板状のゴムシート部材が使用される。なお、第1の実施例と同じ名称及び同じ符号のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。
【0189】
上述の例で、弁体304が駆動部3cを介して開放されると、ブロワー3bから供給された空気は、排気口306、流路2aを通って触覚可変シート部143の17個の要素袋部E1〜E17へ誘導される。
【0190】
また、弁体308が開放されると、ブロワー3bから供給された空気は、排気口310、流路2iを通って触覚可変シート部142の20個の要素袋部E41〜E52(図24参照)及び、要素袋部E53〜E60へ誘導される。更に、弁体312が開放されると、ブロワー3bから供給された空気は、排気口313、流路2d〜2hを通って触覚可変シート部141の要素袋部アレイE100(図24参照)及び、要素袋部E53〜E60へ誘導される。なお、弁体304,308,312が共に閉塞されると、積層シート部140の全ての要素袋部E1〜E17、要素袋部E41〜E60及び要素袋部アレイE100への空気の供給を断つようになされる。
【0191】
これにより、第1層目の触覚可変シート部141の流路2d〜2h、第2層目の触覚可変シート部142の流路2i又は、第3層目の触覚可変シート部143の流路2aに空気を送風するプログラム可能な空調部3’を構成できるので、図24に示した入力装置400において、空調部3’から流路2a,2d〜2i等を通って供給される空気を要素袋部E1〜E17、要素袋部E41〜E60又は要素袋部アレイE100等へ充満させることができる。
【0192】
図26A〜Cは、入力装置400を実装した携帯電話機710における操作パネル画面の表示例を示す上面図である。図26Aに示す携帯電話機710は縦長にして使用され、携帯電話機710によれば、操作面を有する表示部29には、アプリケーション#1のアイコン画像を成す数字「1」キーK1〜数字「0」キーK10、「*」記号キーK11や記号「#」キーK12等、十字キーの決定「O」キーK13、その右向き矢印キーK14、その上向き矢印キーK15、その左向き矢印キーK16、その下向き矢印キーK17が操作画面として表示される。
【0193】
この例では、数字「1」キーK1の表示領域が図24に示した要素袋部E1となされ、同様にして数字「2」キーK2の表示領域が要素袋部E2となされ、数字「3」キーK3の表示領域が要素袋部E3となされ、数字「4」キーK4の表示領域が要素袋部E4となされ、数字「5」キーK5の表示領域が要素袋部E5となされ、数字「6」キーK6の表示領域が要素袋部E6となされ、数字「7」キーK7の表示領域が要素袋部E7となされ、数字「8」キーK8の表示領域が要素袋部E8となされ、数字「9」キーK9の表示領域が要素袋部E9となされ、数字「0」キーK10の表示領域が要素袋部E10となされ、摺動操作又は押圧操作した際に各々手触り凹凸感が得られるようになされている。
【0194】
更に、記号「*」キーK11の表示領域が図24に示した要素袋部E11となされ、記号「#」キーK12の表示領域が要素袋部E12となされ、各々手触り凹凸感が得られるようになされている。同様にして、十字キーを成す決定「O」キーK13の表示領域が要素袋部E13となされ、その右向き矢印キーK14の表示領域が要素袋部E14となされ、その上向き矢印キーK15の表示領域が要素袋部E15となされ、その左向き矢印キーK16の表示領域が要素袋部E16となされ、その下向き矢印キーK17の表示領域が要素袋部E17となされ、摺動操作又は押圧操作した際に、各々手触り凹凸感が得られるようになされる。このようなアプリケーション#1のアイコン画像上の手触り凹凸感は、図25Bに示した流路切替部3a’が流路2aを選択するように空調部3’を制御して空気を流路パネル兼用のベース部材106を有した触覚可変シート部143に送風したことにより生ずる。
【0195】
図26Bに示す携帯電話機710によれば、操作面を有する表示部29には、アプリケーション#2のアイコン画像を成すインターネット、カレンダー、カメラ、計算機、音楽、電話、マルチメディア、ユーザデータ、アルバム、各種設定、時計、テレビ、Web、目覚まし等のキー映像が操作画面として表示される。この例では、インターネット、カレンダー、カメラ、計算機、音楽、電話、マルチメディア、ユーザデータ、アルバム、各種設定、時計、テレビ、Web、目覚まし等のアイコン画像に対応した位置に要素袋部E41〜E60が配設され、摺動操作又は押圧操作した際に、各々手触り凹凸感が得られるようになされる。このようなアプリケーション#2のアイコン画像上の手触り凹凸感は、図25Bに示した流路切替部3a’が流路2iを選択するように空調部3’を制御して空気を流路パネル兼用のベース部材105を有した触覚可変シート部142に送風したことにより生ずる。
【0196】
図26Cに示す携帯電話機710は横長にして使用され、携帯電話機710によれば、操作面を有する表示部29には、アプリケーション#3のアイコン画像を成すキーボード用のキーアレイK100が操作画面として表示される。キーアレイK100の映像には、操作キーが手前から後方に向かって5列に並んだ数字、アルファベット、ひらがな等の文字を含んでいる。この例では、キーボード用の操作キーが手前から後方に向かって5列に並んだキーアレイのアイコン画像に対応した位置に要素袋部アレイE100が配設され、摺動操作又は押圧操作した際に、各々手触り凹凸感が得られるようになされる。
【0197】
このようなアプリケーション#3のアイコン画像上の手触り凹凸感は、図25Bに示した流路切替部3a’が流路2d〜2hを選択するように空調部3’を制御して空気を流路パネル兼用のベース部材104を有した触覚可変シート部141に送風したことにより生ずる。
【0198】
この例で、アプリケーション#3のアイコン画像を成すキーボード用のキーアレイK100をブラインドタッチをしているときに、指30aが感じる触覚や、平面でないキートップ(たとえばドーム状なもの)を押し込んだ際に、指30aが感じる触覚の表現を得ることが可能となる。また、触覚を使用した形状表現が操作画面上で実現することが可能となり、かつ、その触覚表現は操作キー画面のアプリケーション#3の状態によってその位置を可変とすることが可能となる。
【0199】
続いて、携帯電話機710における情報処理例について説明する。図27及び図28は、携帯電話機710におけるアプリケーション実行時の表示部29及び触覚提示用の積層シート部140の制御例(その1,2)を示すフローチャートである。
【0200】
この実施例では、入力装置400を実装した携帯電話機710において、アプリケーション#1〜#3の選択に基づいて、図26A〜Cに示した操作画面のいずれかを表示すると共に、この表示に連動して触覚可変シート部141〜143における要素袋部E1〜E17、要素袋部E41〜E60又は要素袋部アレイE100に空気を送風して触覚表現部を構築する場合を例に挙げる(操作パネル構築モード)。
【0201】
この例では、アプリケーション実行命令が有った場合に、操作パネル構築モードに関して、アプリケーション#1→アプリケーション#2→アプリケーション#3の順に選択候補を切り替える場合を例に挙げる。もちろん、触覚提示用の積層シート部140を制御するCPU32は、表示部29に表示される映像内容に対応して、積層シート部140の触覚提示用の3層の要素袋部E1〜E25に空気を供給するように空調部3’を制御し、当該触覚可変シート部141〜143が映像内容に対応したベース部材104、105,106の所定の位置に分布するようになされる。
【0202】
これらを操作パネル切替条件にして、図27に示すフローチャートのステップST21でCPU32はアプリケーション実行命令を入力する。アプリケーション実行命令は、例えば、電源スイッチのオン情報をトリガーにしてCPU32へ付与する。その後、ステップST22に移行してCPU32はアプリケーション実行命令がアプリケーション#1、又は、それ以外のアプリケーション実行命令に対応して制御を分岐する。アプリケーション実行命令がアプリケーション#1である場合は、ステップST23に移行してCPU32は当該アプリケーション#1の制御情報を読み込む。制御情報は予めアプリケーション#1や、アプリケーション#2、アプリケーション#3等に対応付けられている。CPU32は制御情報に基づいて表示を切り替えるように表示部29を制御する。
【0203】
このとき、CPU32は制御情報に基づく表示信号Svを表示部29に出力する。表示部29は、表示信号Svに基づいてアプリケーション#1のアイコン画像を成す数字「1」キーK1〜数字「0」キーK10、「*」記号キーK11や記号「#」キーK12等、十字キーの決定「O」キーK13、その右向き矢印キーK14、その上向き矢印キーK15、その左向き矢印キーK16、その下向き矢印キーK17のアイコン画像を表示する(図26A参照)。
【0204】
また、CPU32は制御情報に基づく指令データDを入力装置400の空調部3’に出力する。空調部3’は、触覚可変シート部143の流路2aを選択するために、指令データDに基づいて弁体304を開放し、弁体309,312を閉塞するような切替制御を実行する。流路切替部3a’が選択した流路2aにブロワー3bから空気が送風される。空気の量はブロワー3bを構成する圧電部315によって調整される。圧電部315は、CPU32から入力した指令データDによって制御される。この制御によって、アプリケーション#1のアイコン画像に対応した位置の17個の要素袋部E1〜E17の手触り凹凸を可変するようになされる。
【0205】
この例では、数字「1」キーK1の表示領域が図24に示した要素袋部E1となされ、同様にして数字「2」キーK2の表示領域が要素袋部E2となされ、数字「3」キーK3の表示領域が要素袋部E3となされ、数字「4」キーK4の表示領域が要素袋部E4となされ、数字「5」キーK5の表示領域が要素袋部E5となされ、数字「6」キーK6の表示領域が要素袋部E6となされ、数字「7」キーK7の表示領域が要素袋部E7となされ、数字「8」キーK8の表示領域が要素袋部E8となされ、数字「9」キーK9の表示領域が要素袋部E9となされ、数字「0」キーK10の表示領域が要素袋部E10となされ、摺動操作又は押圧操作した際に各々手触り凹凸感が得られるようになされている。
【0206】
更に、記号「*」キーK11の表示領域が図24に示した要素袋部E11となされ、記号「#」キーK12の表示領域が要素袋部E12となされ、各々手触り凹凸感が得られるようになされている。同様にして、十字キーを成す決定「O」キーK13の表示領域が要素袋部E13となされ、その右向き矢印キーK14の表示領域が要素袋部E14となされ、その上向き矢印キーK15の表示領域が要素袋部E15となされ、その左向き矢印キーK16の表示領域が要素袋部E16となされ、その下向き矢印キーK17の表示領域が要素袋部E17となされ、摺動操作又は押圧操作した際に、各々手触り凹凸感が得られるようになされる。
【0207】
そして、ステップST24でCPU32は当該アプリケーション#1を実行する。アプリケーション#1は、例えば、数字「1」キーK1〜数字「0」キーK10、「*」記号キーK11や記号「#」キーK12等、十字キーの決定「O」キーK13、その右向き矢印キーK14、その上向き矢印キーK15、その左向き矢印キーK16、その下向き矢印キーK17を操作して情報を入力するような処理である。
【0208】
その後、ステップST25に移行して、CPU32は当該アプリケーション#1の終了を判別する。当該アプリケーション#1の終了命令が無い場合は、ステップST24に戻って表示部29は当該アプリケーション#1に係る操作パネル画像の表示を継続する。当該アプリケーション#1の終了命令が有った場合は、ステップST26に移行して、CPU32は、空調部3に指令データDを送信して圧電部315を停止するように制御する。この時点でアプリケーション#1に係る操作パネル画像の表示を例えばメニュー画面等に表示を切り替えてもよい。その後、ステップST38に移行する。
【0209】
上述のステップST22でアプリケーション#1以外のアプリケーション実行命令が設定されている場合は、ステップST27に移行する。ステップST27では、アプリケーション実行命令がアプリケーション#2、又は、それ以外のアプリケーションによって制御を分岐する。アプリケーション実行命令がアプリケーション#2である場合にはステップST28に移行してCPU32は当該アプリケーション#2の制御情報を読み込む。CPU32は制御情報に基づいて表示を切り替えるように表示部29を制御する。
【0210】
このとき、CPU32は制御情報に基づく表示信号Svを表示部29に出力する。表示部29は、アプリケーション#2のアイコン画像を成すインターネット、カレンダー、カメラ、計算機、音楽、電話、マルチメディア、ユーザデータ、アルバム、各種設定、時計、テレビ、Web、目覚まし等のキー映像を操作画面として表示する(図26B参照)。
【0211】
また、CPU32は制御情報に基づく指令データDを空調部3’に出力する。空調部3’は、流路2iを選択するために、指令データDに基づいて弁体309を開放し、弁体304、312を閉塞するような切替制御を実行する。流路切替部3a’が選択した流路2bにブロワー3bから空気が送風される。空気の量はブロワー3bを構成する圧電部315によって調整される。圧電部315は、CPU32から入力した指令データDによって制御される。この制御によって、アプリケーション#2のアイコン画像に対応した20個の要素袋部E41〜E60の手触り凹凸を可変するようになされる。
【0212】
そして、ステップST29でCPU32は当該アプリケーション#2を実行する。アプリケーション#2は、例えば、インターネット、カレンダー、カメラ、計算機、音楽、電話、マルチメディア、ユーザデータ、アルバム、各種設定、時計、テレビ、Web、目覚まし等のアイコン画像に対応した20個の各種機能選択用の操作キーK41〜K60を操作して情報を処理するようになされる。その摺動操作又は押圧操作した際に、各々手触り凹凸感が得られるようになされる。
【0213】
その後、ステップST30に移行して、CPU32は当該アプリケーション#2の終了を判別する。当該アプリケーション#2の終了命令が無い場合は、ステップST29に戻って表示部29は当該アプリケーション#2に係る操作パネル画像の表示を継続する。当該アプリケーション#2の終了命令が有った場合は、ステップST31に移行して、CPU32は、空調部3’に指令データDを送信して圧電部315を停止するように制御する。その後、ステップST38に移行する。
【0214】
なお、ステップST27でアプリケーション#1及び#2以外のアプリケーション実行命令が設定されている場合は、図28のステップST32に移行する。ステップST32では、アプリケーション実行命令がアプリケーション#3である場合にはステップST33に移行してCPU32は当該アプリケーション#3の制御情報を読み込む。CPU32は制御情報に基づいて表示を切り替えるように表示部29を制御する。
【0215】
このとき、CPU32は制御情報に基づく表示信号Svを表示部29に出力する。表示部29は、アプリケーション#3のアイコン画像を成すキーボード用のキーアレイK100を操作画面として表示する(図26C参照)。また、CPU32は制御情報に基づく指令データDを空調部3’に出力する。空調部3’は、流路2d〜2hを選択するために、指令データDに基づいて弁体312を開放し、弁体304、309を閉塞するような切替制御を実行する。流路切替部3a’が選択した流路2d〜2hにブロワー3bから空気が送風される。空気の量はブロワー3bを構成する圧電部315によって調整される。圧電部315は、CPU32から入力した指令データDによって制御される。この制御によって、アプリケーション#3のアイコン画像に対応した要素袋部アレイE100の手触り凹凸を可変するようになされる。
【0216】
そして、ステップST29でCPU32は当該アプリケーション#3を実行する。アプリケーション#3は、例えば、キーボード用のキーアレイK100を操作して情報を処理するようになされる。その摺動操作又は押圧操作した際に、各々手触り凹凸感が得られるようになされる。
【0217】
その後、ステップST30に移行して、CPU32は当該アプリケーション#3の終了を判別する。当該アプリケーション#3の終了命令が無い場合は、ステップST34に戻って表示部29は当該アプリケーション#3に係る操作パネル表示を継続する。当該アプリケーション#3の終了命令が有った場合は、ステップST36に移行して、CPU32は、空調部3’に指令データDを送信して圧電部315を停止するように制御する。その後、ステップST38に移行する。
【0218】
上述のステップST32でアプリケーション#1〜#3以外のアプリケーション実行命令の場合は、ステップST37に移行して、他のアプリケーションを実行する。他のアプリケーションにおける処理では、例えば、表示画面を切り替えて待ち受け映像等を表示部29に表示するようになされる。また、空調部3’では、流路2a,2d〜2iのいずれも非選択とするために、指令データDに基づいて弁体304、弁体309,312を閉塞するような切替制御を実行する。圧電部315は、CPU32から入力した指令データDによって駆動を停止する。この制御によって、アプリケーション#1〜#3のアイコン画像に対応した17個の要素袋部E1〜E17、20個の要素袋部E41〜E60及び要素袋部アレイE100のいずれも手触り凹凸感を喪失するようになる。
【0219】
その後、ステップST38に移行して、当該携帯電話機710における入力処理の終了を判別する。例えば、CPU32は電源オフ情報を検出する。電源オフ情報が検出されない場合は、ステップST21に戻って上述した処理を繰り返すようになされる。電源オフ情報が検出された場合は、当該携帯電話機710における入力処理を終了するようになされる。
【0220】
このように第4の実施例としての携帯電話機710によれば、本発明に係る入力装置400が備えられ、触覚提示用の積層シート部140が3層の触覚可変シート部141〜143から構成され、ブロワー3bが触覚可変シート部141の要素袋部アレイE100に、又は、触覚可変シート部142の要素袋部E41〜E60に、あるいは、触覚可変シート部143の要素袋部E1〜E17に圧縮空気を送風するようになる。
【0221】
従って、ベース部材104の所定の位置において、要素袋部アレイE100が操作者の指等に対して当該要素袋部アレイE100の各々の膨らみによる隆起形状により、又は、ベース部材105の所定の位置において、要素袋部E41〜E60が操作者の指等に対して当該要素袋部E41〜E60の各々の膨らみによる隆起形状により、あるいは、ベース部材106の所定の位置において、要素袋部E1〜E17が操作者の指等に対して当該要素袋部E1〜E17の膨らみによる隆起形状によって凹凸感を与えるような触覚を提示できるようになる。
【0222】
これにより、積層シート部140による触覚表現機能と、表示部29のアイコン画像の表示機能により、操作パネル構築モード(アイコン画像+触覚表現部)を実行できるので、層間でプログラム可能なアイコンタッチ用の触覚可変シート機能付きの携帯電話機710提供できるようになった。しかも、入力装置400の小型化及び操作性を向上できることから、当該携帯電話機710の誤動作の低減、コストダウン及び製造プロセスの簡素化を図ることができる。
【実施例5】
【0223】
図29A及びBは、第5の実施例としての触覚シート装置150の構成例を示す斜視図及びその駆動例を示す図である。この例で、触覚提示用の触覚シート装置150を制御するCPU32は、表示部29に表示される映像内容に対応して、触覚シート装置150の要素筋肉部54に駆動電圧を供給するように駆動電源55を制御し、当該要素筋肉部54が映像内容に対応したベース枠部53の所定の位置に分布するようになされる。
【0224】
図29Aに示す触覚シート装置150は、上部用の電極51、下部用の電極52、シート状のベース枠部53及び要素筋肉部54を有して構成される。ベース枠部53は、母材用の素材の一例を構成し、当該ベース枠部53には所定の開口径を有した開孔部53aが形成され、この開孔部53a内には、触覚提示用の要素筋肉部54を嵌入するようにして配設される。ベース枠部53には、硬度20乃至40°の透明性の柔らかいシリコンゴム部材が使用される。開孔部53aは、ベース枠部53の所定の位置に配設されている。要素筋肉部54には、透明性かつ導電性を有した高分子素材(人工筋肉)が使用される。高分子素材には、動作電圧が1.5V程度で、しなやかかつ強靱な導電性エンブラフィルムや、良溶媒中で大きく膨潤可能な導電性ゲルポリマーが含まれる。
【0225】
開孔部53a内に嵌入された要素筋肉部54は上下方向から電極51及び電極52で挟み込むようになされる。電極51,電極52は所定の大きさを有しており、電極51,52間には所定の駆動電圧を印加するようになされる。電極51,電極52には共通化したパターンや、個々に分割したパターンが適用される。電極51,52には透明性のITO膜が使用される。この要素筋肉部54の動作原理によれば、電極51,52に印加するDC電圧の極性を入れ替えることで、その伸縮運動を得るようになされる。
【0226】
図29Bに示す触覚シート装置150において、電極51及び電極52には、媒体供給部としての電源供給部の一例を構成する駆動電源55が接続され、高分子素材を挟み込んだ電極51,52に駆動電圧(媒体)を供給するようになされる。駆動電源55には直流電源が使用される。駆動電源55は±DC電圧1.0〜3.0V程度が出力される。例えば、駆動電源55から電極51へプラス極性の電圧を印加し、電極52へマイナス極性の電圧を印加すると、要素筋肉部54にマイナスイオンが取り込まれて、当該要素筋肉部54が膨潤する形態となる。
【0227】
反対に、駆動電源55から電極51へマイナス極性の電圧を印加し、電極52へプラスの電圧を印加すると、要素筋肉部54からマイナスイオンが放出されて、当該要素筋肉部54が収縮する形態となる。
【0228】
また、シリコンや、アクリル等の導電エラストマー(人工筋肉)を挟み込んだ電極51,52に駆動電圧が印加されると、電極同士が引き付け合うようになされる。その結果、導電エラストマーは、電極51,52の外側へはみ出すようになる。電極51,52への駆動電圧の供給を止めると、弾性変位域内であれば、電極51,52も、導電エラストマーも元の形状に戻るようになる。
【0229】
因みに、人の筋肉の収縮率は20%で、最大発生力は0.35MPa(1MPa=10kgf/cm2)程度である。これに対して、高発生力タイプの人工筋肉によれば、駆動電圧が1.5Vで、その伸縮率は12〜15%で最大発生力は49MPa程度である。また、高収縮タイプの人工筋肉によれば、駆動電圧が1.5Vで、その伸縮率は20〜40%で最大発生力は2〜10MPa程度である。
【0230】
このように触覚シート装置150を構成し、駆動電源55から、要素筋肉部54の上下方向に配置された電極51,52へ駆動電圧を供給すると、膨潤や収縮等の伸縮運動が約2秒間で可能な導電性の高分子アクチュエータとして要素筋肉部54を機能させることができる。従って、ベース枠部53の所々又は所定の位置において、要素筋肉部54が操作者の指30aに対して、要素筋肉部54の圧力変化による隆起形状又は駆動電圧を供給無しによる元形状によって凹凸感を与えるような触覚を提示できるようになる。
【0231】
図30は、本発明に係る触覚シート装置150を応用した入力装置500の構成例を示す斜視図である。この例では、ベース枠部53の同一平面に設けられた第1のグループを成す17個の要素筋肉部G1〜G17及び又は第2のグループを成す8個の要素筋肉部G18〜G25をグループ毎に選択可能した操作パネル構築モードを実行可能な入力装置500を提供する。
【0232】
図30に示す入力装置500は、図29に示した触覚シート装置150を応用したものであって、操作者30の指等(操作体)による摺動又は及び押下操作によって情報を入力する装置である。入力装置500は、表示部29、入力検出部45及び触覚可変シート部145を有して構成される。
【0233】
表示部29は操作面を有しており、入力操作時、複数の押しボタンスイッチ映像を表示する。押しボタンスイッチ映像は入力操作用のアイコン画像を構成する。押しボタンスイッチ映像は、数字「1」キーK1〜〜数字「0」キーK10、記号「*」キーK11や、記号「#」キー等のK12、十字キーの決定「O」キーK13、その右向き矢印キーK14、その上向き矢印キーK15、その左向き矢印キーK16、その下向き矢印キーK17、「etc」キーK18、「REW」キーK19、左向き矢印停止キーK20、右向き矢印停止キーK21、左向き早送りキーK22、早送りキーK23、再生キーK24及び停止キーK25等から構成される。表示部29には、カラーの液晶表示素子(LCD装置)が使用される。
【0234】
表示部29の上方には検出部の一例を構成する入力検出部45が設けられる。入力検出部45は操作面を有している。入力検出部45は、表示部29の上方に設けられて操作者の指等の摺動位置を検出するように動作する。入力検出部45には、例えば、静電容量方式のタッチパネルが使用される。入力検出部45は、カーソリングと選択の機能を区別できるものであれば何でも良く、静電容量方式の入力デバイスの他に、例えば、抵抗膜方式、表面波弾性方式(SAW)、光方式、複数段方式タクトスイッチ等の入力デバイスであっても良く、好ましくは位置検出情報と押圧検知情報を制御系に与えられる構成の入力デバイスであれば良い。
【0235】
入力検出部45の上方には触覚シート手段の一例を構成する、透明性の触覚可変シート部145が設けられている。触覚可変シート部145は、入力検出部45の全部を覆うように設けられ、表示部29の操作面に沿って摺動又は及び押下操作される。もちろん、触覚可変シート部145は、入力検出部45の一部を覆う形態であってもよい。触覚可変シート部145には本発明に係る対向電極構造を有した触覚シート装置150が備えられる。
【0236】
この例で、触覚可変シート部145は透明性のベース枠部53を有しており、ベース枠部53は、所定の硬度を有し、かつ、楕円凹形状の25個の開孔部r1〜r25を有している。ベース枠部53には、厚みが0.01〜0.5[mm]程度のポリカーボネート(PC)やアクリル樹脂(PMMA)等が使用される。
【0237】
ベース枠部53の上部には、第1グループ用の電極パターン51aと第2グループ用の電極パターン51bとが電気的に区分されて並設されている。電極パターン51a,51bは絶縁性のベースシート51’上に設けられる。ベース枠部53の下部には、第1グループ用の電極パターン52aと第2グループ用の電極パターン52bとが電気的に区分されて並設されている。電極パターン52a,52bは絶縁性のベースシート52’上に設けられる。電極パターン51a,51bとベース枠部53と電極パターン52a,52bとにより挟み込まれる要素筋肉部G1〜G25は、所定の大きさの体積を有しており、ベース枠部53の開孔部r1〜r25に1つずつ嵌入して配設される。
【0238】
例えば、ベース枠部53の開孔部r1には要素筋肉部G1が嵌入される。同様にして、開孔部r2には要素筋肉部G2、開孔部r3には要素筋肉部G3、開孔部r4には要素筋肉部G4、開孔部r5には要素筋肉部G5、開孔部r6には要素筋肉部G6、開孔部r7には要素筋肉部G7、開孔部r8には要素筋肉部G8、開孔部r9には要素筋肉部G9、開孔部r10には要素筋肉部G10、開孔部r11には要素筋肉部G11、開孔部r12には要素筋肉部G12、開孔部r13には要素筋肉部G13、開孔部r14には要素筋肉部G14、開孔部r15には要素筋肉部G15、開孔部r16には要素筋肉部G16、開孔部r17には要素筋肉部G17が各々嵌入又は一体成形される。
【0239】
また、開孔部r18には要素筋肉部G18、開孔部r19には要素筋肉部G19、開孔部r20には要素筋肉部G20、開孔部r21には要素筋肉部G21、開孔部r22には要素筋肉部G22、開孔部r23には要素筋肉部G23、開孔部r24には要素筋肉部G24、開孔部r25には要素筋肉部G25が各々嵌入又は一体成形される。上述の嵌入方法を採る場合は、各々の要素筋肉部G1〜G25がリング状の両面テープ56を介して電極パターン52a,52bに接着される。要素筋肉部G1〜G25は触覚表現部の一例を構成する。要素筋肉部G1〜G25は例えば、楕円柱状を有しており、その厚みは0.01〜0.5[mm]程度である。
【0240】
上述のベース枠部53において、入力操作用のアイコン画像に対応する数字「0」〜「9」キー、記号「*」や記号「#」等のキー用の要素筋肉部G1〜G12や、十字キー用の要素筋肉部G13〜G17は楕円凹形状を有している。上述の要素筋肉部G1〜G25は、機能キーK1〜K25に対応させて配置されている。
【0241】
例えば、要素筋肉部G1は、表示部29に表示されるアイコン画像の数字「1」キーK1上に配設され、要素筋肉部G2は、数字「2」キーK2上に配設され、要素筋肉部G3は、数字「3」キーK3上に配設され、要素筋肉部G4は、数字「4」キーK4上に配設され、要素筋肉部G5は、数字「5」キーK5上に配設され、要素筋肉部G6は、数字「6」キーK6上に配設され、要素筋肉部G7は、数字「7」キーK7上に配設され、要素筋肉部G8は、数字「8」キーK8上に配設され、要素筋肉部G9は、数字「9」キーK9上に配設され、要素筋肉部G10は、数字「0」キーK10上に配設される。
【0242】
また、要素筋肉部G11は、同アイコン画像の記号「*」キーK11上に配設され、要素筋肉部G12は、記号「#」キーK12上に配設される。要素筋肉部G13は、表示部29に表示される十字キーのアイコン画像の決定「O」キー上に配設され、要素筋肉部G14は、右向き矢印キー上に配設され、要素筋肉部G15は、上向き矢印キー上に配設され、要素筋肉部G16は、左向き矢印キー上に配設され、要素筋肉部G17は、下向き矢印キー上に配設される。
【0243】
更に、要素筋肉部G18は表示部29に表示されるアイコン画像の「etc」キー上に配設され、要素筋肉部G19は「REW」キー上に配設され、要素筋肉部G20は左向き矢印停止キー上に配設され、要素筋肉部G21は右向き矢印停止キー上に配設され、要素筋肉部G22は左向き早送りキー上に配設され、要素筋肉部G23は早送りキー上に配設され、要素筋肉部G24は再生キー上に配設され、要素筋肉部G25は停止キー上に配設される。
【0244】
これらの要素筋肉部G1〜G25を挟持する電極パターン51a,51b,52a,52bには、当該ベース枠部53の透過率及び屈折率とほぼ等しい透過率及び屈折率の透明性の薄膜材料が使用される。例えば、電極パターン51a,51b,52a,52bには膜厚0.1〜0.125[mm]程度のITO膜が使用される。硬度は、20°乃至40°程度である。
【0245】
電極パターン51a,51b及び、電極パターン52a,52bには、図示せずも、駆動電源55が接続され、電極パターン51a,51bとベース枠部53と電極パターン52a,52bとにより挟持された触覚提示用の25個の要素筋肉部G1〜G25にグループ毎に駆動電圧を印加するようになされる。駆動電源55には図29で説明したような直流電源が使用される。
【0246】
続いて、入力装置500の動作例について説明する。図31A及びBは、入力装置500の動作例を示す説明図である。
【0247】
図31Aに示す入力装置500は、図30に示した触覚可変シート部150を有している。触覚可変シート部150は、ベースシート51’上の電極パターン51a及び、ベースシート52’上の電極パターン52aに接続された駆動電源55が駆動電圧を供給していない場合である。この場合は、電極パターン51aとベース枠部53と電極パターン52aとに挟持された要素筋肉部G1,G4等が膨潤することなく元の形状を維持している。
【0248】
図31Bに示す触覚可変シート部150は、駆動電源55から電極パターン51a,52a間に駆動電圧が供給されている場合である。例えば、駆動電源55は+1.5V程度のDC電圧を電極パターン51a,52aに印加する。この場合は、電極パターン51aとベース枠部53と電極パターン52aとに挟持された要素筋肉部G1,G4等が膨潤して凸形状を維持するようになる。
【0249】
上述の触覚可変シート部150の動作原理に従って、入力装置500で第1のグループを選択する場合は、電極パターン51aと電極パターン52aとにプラス極の電圧を印加する。この電圧印加によって、電極パターン51aとベース枠部53と電極パターン52aとに挟持された17個の要素筋肉部G1〜G17が一斉に膨潤して姿勢を凸形状に変化するようになる。
【0250】
同様にして、第2のグループを選択する場合は、電極パターン51bと電極パターン52Bとにプラス極の電圧を印加する。この電圧印加によって、電極パターン51bとベース枠部53と電極パターン52bとに挟持された8個の要素筋肉部G18〜G25が一斉に膨潤して姿勢を凸形状に変化するようになる。いずれの要素筋肉部G1〜G25も、電極パターン51a,51bや、電極パターン52a,52b等へ駆動電圧の印加を止めると元の形状に戻るようになる。このような要素筋肉部G1〜G17又はG18〜G25の凸形状が、摺動操作又は押圧操作した際の各々手触り凹凸感を与えるようになる。
【0251】
当該入力装置500を実装した携帯電話機の構成例及び情報処理例については、図20に示した携帯電話機600の構成例及び、図23に示した情報処理例とほぼ同様となるので、その説明を省略する。なお、入力装置500を実装した携帯電話機については、図20に示したブロック図中、入力装置300を入力装置500と読み替え、更に、触覚可変シート部103を触覚可変シート部150と読み替えて適用できる。また、図23に示したフローチャートにおいて、要素袋部E1・・・は要素筋肉部G1・・・に読み替え、空調部3は駆動電源55に読み替えて適用できる。
【0252】
このように入力装置500を構成すると、駆動電源55がグループ毎に要素筋肉部G1〜G17又は要素筋肉部G18〜G25にDC駆動電圧を印加するようになる。従って、ベース枠部53の所定の位置において、要素筋肉部G1〜G25が操作者の指等に対して要素筋肉部G1〜G25の膨らみによる隆起形状、陥没形状又は通電無しによる元形状によって凹凸感を与えるような触覚を提示できるようになる。
【0253】
続いて、触覚シート装置150の変形例(その1)について説明する。図32A及びBは、入力装置500に適用可能な触覚シート装置151の構成例及びその駆動例を示す図である。図32Aに示す触覚シート装置151は、上部用の電極51、下部用の電極52、シート状のベース枠部531及び要素筋肉部541を有して構成される。
【0254】
ベース枠部531は、母材用の素材の一例を構成し、当該ベース枠部531には所定の開口リング幅を有したC状の開孔部53bが形成され、この開孔部53b内には、触覚提示用のC状の要素筋肉部541を嵌入するようにして配設される。ベース枠部531には、硬度20乃至40°の透明性の柔らかいシリコンゴム部材が使用される。
【0255】
開孔部53bは、ベース枠部531の所定の位置に配設されている。要素筋肉部541には触覚シート装置150と同様な素材が用いられる。開孔部53b内に嵌入された要素筋肉部541は上下方向から電極51及び電極52で挟み込み、当該電極51,52間に所定の駆動電圧を印加するようになされる。電極51,52には透明性のITO膜が使用される。なお、触覚シート装置150と同じ名称及び同じ符号のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。
【0256】
図32Bに示す触覚シート装置151において、電極51及び電極52にも駆動電源55が接続され、電極51,52に駆動電圧を供給するようになされる。この要素筋肉部541の動作原理については、触覚シート装置150と同様となるのでその説明を省略する。
【0257】
このように触覚シート装置151を構成し、駆動電源55から、要素筋肉部541の上下方向に配置された電極51,52へ駆動電圧を供給すると、C状に膨潤や収縮等の伸縮運動が約2秒間で可能な導電性の高分子アクチュエータとして要素筋肉部541を機能させることができる。従って、ベース枠部531の所々又は所定の位置において、要素筋肉部541が操作者の指30aに対して、要素筋肉部541の圧力変化による隆起形状又は駆動電圧を供給無しによる元形状によって凹凸感を与えるような触覚を提示できるようになる。これにより、触覚シート装置151を応用した入力装置500等を提供できるようになる。
【0258】
続いて、触覚シート装置150の変形例(その2)について説明する。図33A及びBは、入力装置500に適用可能な触覚シート装置152の構成例及びその駆動例を示す図である。図33Aに示す触覚シート装置152は、上部用の電極51、下部用の電極52、シート状のベース枠部532及び要素筋肉部542を有して構成される。
【0259】
ベース枠部532は、母材用の素材の一例を構成し、当該ベース枠部532には所定の開口径を有した半球状の穴部53cが形成され、この穴部53c内には、触覚提示用の半球状の要素筋肉部542を嵌入するようにして配設される。ベース枠部532には、硬度20乃至40°の透明性の柔らかいシリコンゴム部材が使用される。
【0260】
穴部53cは、ベース枠部532の所定の位置に配設されている。要素筋肉部542には触覚シート装置150と同様な素材が用いられる。穴部53c内に嵌入された要素筋肉部542は上下方向から電極51及び電極52で挟み込み、当該電極51,52間に所定の駆動電圧を印加するようになされる。電極51,52には透明性のITO膜が使用される。なお、触覚シート装置150と同じ名称及び同じ符号のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。
【0261】
図33Bに示す触覚シート装置152において、電極51及び電極52にも駆動電源55が接続され、電極51,52に駆動電圧を供給するようになされる。この要素筋肉部542の動作原理については、触覚シート装置150と同様となるのでその説明を省略する。
【0262】
このように触覚シート装置152を構成し、駆動電源55から、要素筋肉部542の上下方向に配置された電極51,52へ駆動電圧を供給すると、半球状に膨潤や、凹状に収縮等の伸縮運動が可能な導電性の高分子アクチュエータとして要素筋肉部542を機能させることができる。従って、ベース枠部532の所々又は所定の位置において、要素筋肉部542が操作者の指30aに対して、要素筋肉部542の圧力変化による隆起形状又は駆動電圧を供給無しによる元形状によって凹凸感を与えるような触覚を提示できるようになる。これにより、触覚シート装置152を応用した入力装置500等を提供できるようになる。
【0263】
続いて、触覚シート装置150の変形例(その3)について説明する。図34A及びBは、入力装置500に適用可能な触覚シート装置153の構成例及びその駆動例を示す図である。図34Aに示す触覚シート装置153は、上部用の電極51、下部用の電極52、シート状のベース枠部533及び要素筋肉部543を有して構成される。
【0264】
ベース枠部533は、母材用の素材の一例を構成し、当該ベース枠部533には所定の開口径を有した逆さすり鉢状の穴部53dが形成され、この穴部53d内には、触覚提示用のすり鉢状の要素筋肉部543を嵌入するようにして配設される。ベース枠部533には、硬度20乃至40°の透明性の柔らかいシリコンゴム部材が使用される。
【0265】
穴部53dは、ベース枠部533の所定の位置に配設されている。要素筋肉部543には触覚シート装置150と同様な素材が用いられる。穴部53d内に嵌入された要素筋肉部543は上下方向から電極51及び電極52で挟み込み、当該電極51,52間に所定の駆動電圧を印加するようになされる。電極51,52には透明性のITO膜が使用される。なお、触覚シート装置150と同じ名称及び同じ符号のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。
【0266】
図34Bに示す触覚シート装置153において、電極51及び電極52にも駆動電源55が接続され、電極51,52に駆動電圧を供給するようになされる。この要素筋肉部543の動作原理については、触覚シート装置150と同様となるのでその説明を省略する。
【0267】
このように触覚シート装置153を構成し、駆動電源55から、要素筋肉部543の上下方向に配置された電極51,52へ駆動電圧を供給すると、すり鉢状に膨潤や、凹状に収縮等の伸縮運動が可能な導電性の高分子アクチュエータとして要素筋肉部543を機能させることができる。従って、ベース枠部533の所々又は所定の位置において、要素筋肉部543が操作者の指30aに対して、要素筋肉部543の圧力変化による隆起形状又は駆動電圧を供給無しによる元形状によって凹凸感を与えるような触覚を提示できるようになる。これにより、触覚シート装置153を応用した入力装置500等を提供できるようになる。
【実施例6】
【0268】
図35A及びBは、第6の実施例としての触覚シート装置160の構成例を示す斜視図及びその駆動例を示す図である。この例で、触覚提示用の触覚シート装置160を制御するCPU32は、表示部29に表示される映像内容に対応して、触覚シート装置160の筋肉シート部54’に駆動電圧を供給するように駆動電源55’を制御し、当該筋肉シート部54’が映像内容に対応した電極形成位置に分布するようになされる。
図35Aに示す触覚シート装置160は、上部用の複数の電極51、下部用の複数の電極52、筋肉シート部54’を有して構成される。筋肉シート部54’は、母材用の素材及び触覚表現部の一例を構成し、操作画面のアイコン画像の複数の操作キー要素に対応する位置で凹凸形状を構築するようになされる。筋肉シート部54’には、透明性かつ導電性を有した高分子素材(人工筋肉)が使用される。高分子素材には、動作電圧が1.5V程度で、しなやかかつ強靱な導電性エンブラフィルムや、良溶媒中で大きく膨潤可能な導電性ゲルポリマーが含まれる。
【0269】
筋肉シート部54’の上部には所定の面積を有した複数の電極51が設けられる。筋肉シート部54’の下部には、所定の電極51と対向する面積を有した複数の電極52が設けられる。対向電極構造の触覚シート装置160を構成する場合、所定位置の電極51及び電極52で、筋肉シート部54’を上下方向から挟み込むようになされる。電極51,52間には第5の実施例と同様にして、所定の駆動電圧を印加するようになされる。電極51,52は第5の実施例と異なり、複数の操作キー要素毎に、個々に分割したものである。電極51,52には透明性のITO膜が使用される。この筋肉シート部54’の動作原理によれば、個々の電極51,52に印加するDC電圧の極性を入れ替えることで、その伸縮運動を操作キー要素毎に得るようになされる。
【0270】
図35Bに示す触覚シート装置160において、電極51及び電極52には、駆動電源55’が接続され、個々の電極51及び52間に駆動電圧(媒体)を供給するようになされる。駆動電源55’には直流電源及び、電極選択機能を備えたものが使用される。駆動電源55’は±DC電圧1.0〜3.0V程度が出力される。例えば、駆動電源55’から電極51へプラス極性の電圧を印加し、電極52へマイナス極性の電圧を印加すると、筋肉シート部54’にマイナスイオンが取り込まれて、当該筋肉シート部54’が膨潤する形態となる。反対に、駆動電源55’から電極51へマイナス極性の電圧を印加し、電極52へプラスの電圧を印加すると、筋肉シート部54’からマイナスイオンが放出されて、当該筋肉シート部54’が収縮する形態となる。
【0271】
このように第6の実施例としての触覚シート装置160を構成し、駆動電源55’から、筋肉シート部54’の上下方向に配置された電極51,52の個々に駆動電圧を供給すると、操作キー要素毎に膨潤や収縮等の伸縮運動が可能な導電性の高分子アクチュエータとして筋肉シート部54’を機能させることができる。従って、触覚シート装置160の所々又は所定の位置において、筋肉シート部54’が操作者の指30aに対して、当該筋肉シート部54’の圧力変化による隆起形状又は駆動電圧を供給無しによる元形状によって凹凸感を与えるような触覚を提示できるようになる。
【0272】
上述の例では、電極51及び電極52が対向する場合について説明したが、これに限られることはなく、図35Cに示すように電極51及び電極52を筋肉シート部54’の一方の面、例えば、筋肉シート部54’の裏面に所定の距離を保持して並設してもよい。このような構成によっても、電極51及び電極52の上部の筋肉シート部54’が操作者の指30aに対して、当該筋肉シート部54’の圧力変化による隆起形状又は駆動電圧を供給無しによる元形状によって凹凸感を与えるような触覚を提示できるようになる。図35B及びCに示す二点鎖線は表面保護用の透明性のフィルム部材や、透明性の層間絶縁フィルム部材である。
【実施例7】
【0273】
図36は、第7の実施例としての入力装置700の構成例を示す斜視図である。この例では、本発明に係る触覚シート装置150及び160’を組み合わせた入力装置700を構成し、ベース枠部53の同一平面に設けられた第1のグループを成す17個の要素筋肉部G1〜G17及び又は第2のグループを成す8個の要素筋肉部G18〜G25をグループ毎に選択可能した操作パネル構築モードを実行可能な入力装置700を提供する。
【0274】
この例でも、触覚提示用の触覚シート装置170を制御するCPU32は、表示部29に表示される映像内容に対応して、触覚シート装置170の要素筋肉部G1〜G25に駆動電圧を供給するように駆動制御をし、当該要素筋肉部G1〜G25が映像内容に対応した電極形成位置に分布するようになされる。
【0275】
図36に示す入力装置700は、第5の実施例に示した触覚シート装置150の要素筋肉部G1〜G25の構造と、第6の実施例に係る触覚シート装置160’の電極51,52の構造を応用したものであって、操作者30の指等(操作体)による摺動又は及び押下操作によって情報を入力する装置である。入力装置700は、表示部29、入力検出部45及び触覚可変シート部170を有して構成される。
【0276】
表示部29は第5の実施例と同様にして、入力操作時、数字「1」キーK1〜数字「0」キーK10、記号「*」キーK11や、記号「#」キー等のK12、十字キーの決定「O」キーK13、その右向き矢印キーK14、その上向き矢印キーK15、その左向き矢印キーK16、その下向き矢印キーK17、「etc」キーK18、「REW」キーK19、左向き矢印停止キーK20、右向き矢印停止キーK21、左向き早送りキーK22、早送りキーK23、再生キーK24及び停止キーK25等のアイコン画像を表示する。表示部29には、カラーの有機EL表示素子や液晶表示素子(LCD装置)等が使用される。
【0277】
表示部29の上方には検出部の一例を構成する入力検出部45が設けられる。入力検出部45は操作面を有している。入力検出部45は、表示部29の上方に設けられて操作者の指等の摺動位置を検出するように動作する。入力検出部45には、例えば、静電容量方式のタッチパネルが使用される。入力検出部45は、カーソリングと選択の機能を区別できるものであれば何でも良く、静電容量方式の入力デバイスの他に、例えば、抵抗膜方式、表面波弾性方式(SAW)、光方式、複数段方式タクトスイッチ等の入力デバイスであっても良く、好ましくは位置検出情報と押圧検知情報を制御系に与えられる構成の入力デバイスであれば良い。
【0278】
入力検出部45の上方には触覚シート手段の一例を構成する、透明性の触覚可変シート部170が設けられている。触覚可変シート部170は、入力検出部45の全部を覆うように設けられ、表示部29の操作面に沿って摺動又は及び押下操作される。もちろん、触覚可変シート部170は、入力検出部45の一部を覆う形態であってもよい。触覚可変シート部170には、第5の実施例に示した触覚シート装置150の要素筋肉部G1〜G25の個別嵌入構造と、第6の実施例に係る触覚シート装置160’の電極並設構造が備えられる。
【0279】
この例で、触覚可変シート部170は、入力検出部45の上部に絶縁性かつ透明性の電極フィルム部511を有している。電極フィルム部511は、厚みが0.1[mm]程度のポリエチレンテレフタラート(PET)系の透明材料及びITO膜から構成される。電極フィルム部511には、第1グループ用の操作キー要素に個々に対応した複数の正負の電極パターン51a,52aと、第2グループ用の操作キー要素に個々に対応した複数の正負の電極パターン51b,52bとが電気的に区分されて並設されている。これらの複数の電極パターン51a,52aが並列に接続されると共に、第2グループ用の操作キー要素に個々に対応した複数の電極パターン51b,52bが並列に接続されるものである。各々の並列に接続され正負にまとめられた配線パターンは引き出し端子512に集結されている。
【0280】
電極フィルム部511には、第5の実施例で説明したような透明性のベース枠部53が設けられている。ベース枠部53は、所定の硬度を有し、かつ、楕円凹形状の25個の開孔部r1〜r25を有している。ベース枠部53には、厚みが0.01〜0.5[mm]程度のポリカーボネート(PC)やアクリル樹脂(PMMA)等が使用される。この例でも、ベース枠部53と電極フィルム部511とにより構成される楕円凹形状内には、要素筋肉部G1〜G25が配設される。例えば、要素筋肉部G1〜G25は所定の大きさの体積を有しており、ベース枠部53で対応する開孔部r1〜r25へ1つずつ嵌入して配設される。
【0281】
例えば、ベース枠部53の開孔部r1には要素筋肉部G1が嵌入される。同様にして、開孔部r2には要素筋肉部G2、開孔部r3には要素筋肉部G3、開孔部r4には要素筋肉部G4、開孔部r5には要素筋肉部G5、開孔部r6には要素筋肉部G6、開孔部r7には要素筋肉部G7、開孔部r8には要素筋肉部G8、開孔部r9には要素筋肉部G9、開孔部r10には要素筋肉部G10、開孔部r11には要素筋肉部G11、開孔部r12には要素筋肉部G12、開孔部r13には要素筋肉部G13、開孔部r14には要素筋肉部G14、開孔部r15には要素筋肉部G15、開孔部r16には要素筋肉部G16、開孔部r17には要素筋肉部G17が各々嵌入又は一体成形される。
【0282】
また、開孔部r18には要素筋肉部G18、開孔部r19には要素筋肉部G19、開孔部r20には要素筋肉部G20、開孔部r21には要素筋肉部G21、開孔部r22には要素筋肉部G22、開孔部r23には要素筋肉部G23、開孔部r24には要素筋肉部G24、開孔部r25には要素筋肉部G25が各々嵌入又は一体成形される。上述の嵌入方法を採る場合は、各々の要素筋肉部G1〜G25がリング状の両面テープ56を介して電極フィルム部511,52bに接着される。要素筋肉部G1〜G25は触覚表現部の一例を構成する。要素筋肉部G1〜G25は例えば、楕円柱状を有しており、その厚みは0.01〜0.5[mm]程度である。
【0283】
ベース枠部53の上部には、蓋部の機能を構成するフィルム部5が設けられる。フィルム部5には、当該ベース枠部53の透過率及び屈折率とほぼ等しい透過率及び屈折率の透明性の材料が使用される。例えば、膜厚25[μm]程度のゼオノアが使用される。硬度は、20°乃至40°程度である。
【0284】
上述のベース枠部53において、入力操作用のアイコン画像に対応する数字「0」〜「9」キー、記号「*」や記号「#」等のキー用の要素筋肉部G1〜G12や、十字キー用の要素筋肉部G13〜G17は楕円凹形状を有している。上述の要素筋肉部G1〜G25は、機能キーK1〜K25に対応させて配置されている。
【0285】
要素筋肉部G1は、第5の実施例と同様にして、表示部29に表示されるアイコン画像の数字「1」キーK1上に配設され、要素筋肉部G2は、数字「2」キーK2上に配設され、要素筋肉部G3は、数字「3」キーK3上に配設され、要素筋肉部G4は、数字「4」キーK4上に配設され、要素筋肉部G5は、数字「5」キーK5上に配設され、要素筋肉部G6は、数字「6」キーK6上に配設され、要素筋肉部G7は、数字「7」キーK7上に配設され、要素筋肉部G8は、数字「8」キーK8上に配設され、要素筋肉部G9は、数字「9」キーK9上に配設され、要素筋肉部G10は、数字「0」キーK10上に配設される。
【0286】
また、要素筋肉部G11は、同アイコン画像の記号「*」キーK11上に配設され、要素筋肉部G12は、記号「#」キーK12上に配設される。要素筋肉部G13は、表示部29に表示される十字キーのアイコン画像の決定「O」キー上に配設され、要素筋肉部G14は、右向き矢印キー上に配設され、要素筋肉部G15は、上向き矢印キー上に配設され、要素筋肉部G16は、左向き矢印キー上に配設され、要素筋肉部G17は、下向き矢印キー上に配設される。
【0287】
更に、要素筋肉部G18は表示部29に表示されるアイコン画像の「etc」キー上に配設され、要素筋肉部G19は「REW」キー上に配設され、要素筋肉部G20は左向き矢印停止キー上に配設され、要素筋肉部G21は右向き矢印停止キー上に配設され、要素筋肉部G22は左向き早送りキー上に配設され、要素筋肉部G23は早送りキー上に配設され、要素筋肉部G24は再生キー上に配設され、要素筋肉部G25は停止キー上に配設される。
【0288】
これらの要素筋肉部G1〜G25を挟持する電極フィルム部511には、当該ベース枠部53の透過率及び屈折率とほぼ等しい透過率及び屈折率の透明性の薄膜材料が使用される。例えば、電極パターン51a,51b,52a,52bには膜厚0.1〜0.125[mm]程度のITO膜が使用される。硬度は、20°乃至40°程度である。
【0289】
電極フィルム部511で正負にまとめられた複数の電極パターン51a,51b及び、複数の電極パターン52a,52bには、図示せずも、駆動電源55’が接続され、フィルム部5とベース枠部53と電極フィルム部511とにより挟持された触覚提示用の25個の要素筋肉部G1〜G25をグループ毎に駆動電圧を印加するようになされる。駆動電源55’には図29で説明したような直流電源及び電極選択機能を有したものが使用される。
【0290】
当該入力装置700を実装した携帯電話機の構成例及び情報処理例については、図20に示した携帯電話機600の構成例及び、図23に示した情報処理例とほぼ同様となるので、その説明を省略する。なお、入力装置700を実装した携帯電話機については、図20に示したブロック図中、入力装置300を入力装置700と読み替え、更に、触覚可変シート部103を触覚可変シート部170と読み替えて適用できる。また、図23に示したフローチャートにおいて、要素袋部E1・・・は要素筋肉部G1・・・に読み替え、空調部3は駆動電源55’の機能に読み替えて適用できる。
【0291】
このように第7の実施例としての入力装置700によれば、駆動電源55’がグループ毎に要素筋肉部G1〜G17又は要素筋肉部G18〜G25にDC駆動電圧を印加するようになる。従って、ベース枠部53の個々の操作キーに対応する位置において、要素筋肉部G1〜G25が操作者の指等に対して要素筋肉部G1〜G25の膨らみによる隆起形状、陥没形状又は通電無しによる元形状によって凹凸感を与えるような触覚を提示できるようになる。
【0292】
もちろん、電極パターン51a,51b及び電極パターン52a,52bを並列に接続することなく、電極パターン51a,51b,52a,52bを個々の操作キーに対応するように配線して引き出し端子512に集結し、駆動電源55’から、個々の操作キーに対応する要素筋肉部G1〜G25にDC駆動電圧の大きさを可変して印加する。このように構成すれば、ベース枠部53の個々の操作キーに対応する位置において、要素筋肉部G1〜G25の各々が操作者の指等に対して、要素筋肉部G1〜G25の膨らみ量が可変調整された隆起形状、陥没形状又は通電無しによる元形状によって凹凸感を与えるプログラム可能な触覚を提示できるようになる。
【実施例8】
【0293】
図37は、第8の実施例としての入力装置800の構成例を示す斜視図である。この例では、触覚シート手段を構成する配線パターンが、表示部29を構成する配線パターンの一部を共用する入力装置800を提供する。この例でも、触覚提示用の触覚シート部180を制御するCPU32は、表示部29に表示される映像内容に対応して、触覚シート部180の導電ラバー182に駆動電圧を供給するように駆動制御をし、当該導電ラバー182が映像内容に対応した電極形成位置に分布するようになされる。
【0294】
図37に示す入力装置800は、第6の実施例に係る触覚シート装置160’の電極51,52の構造を応用したものであって、操作者30の指等(操作体)による摺動又は及び押下操作によって情報を入力する装置である。入力装置800は、フィルム部5、入力検出部45及び触覚可変シート機能付きの表示装置129を有して構成される。
【0295】
表示装置129は第5の実施例で説明した表示部29の機能と、第6の実施例で説明した触覚シート装置160の対向電極構造とを有している。表示装置129は、第5の実施例と同様にして、入力操作時、数字「1」キーK1〜数字「0」キーK10、記号「*」キーK11や、記号「#」キー等のK12、十字キーの決定「O」キーK13、その右向き矢印キーK14、その上向き矢印キーK15、その左向き矢印キーK16、その下向き矢印キーK17、「etc」キーK18、「REW」キーK19、左向き矢印停止キーK20、右向き矢印停止キーK21、左向き早送りキーK22、早送りキーK23、再生キーK24及び停止キーK25等のアイコン画像を表示する。表示装置129には、カラーの有機EL表示素子や液晶表示素子(LCD装置)等が使用される。
【0296】
表示装置129の上方には入力検出部45が設けられる。入力検出部45は操作面を有している。入力検出部45は、表示装置129の上方に設けられて操作者の指等の摺動位置を検出するように動作する。入力検出部45には、例えば、静電容量方式のタッチパネルが使用される。入力検出部45は、カーソリングと選択の機能を区別できるものであれば何でも良く、静電容量方式の入力デバイスの他に、例えば、抵抗膜方式、表面波弾性方式(SAW)、光方式、複数段方式タクトスイッチ等の入力デバイスであっても良く、好ましくは位置検出情報と押圧検知情報を制御系に与えられる構成の入力デバイスであれば良い。
【0297】
入力検出部45の上方にはフィルム部5が設けられる。フィルム部5には、当該入力検出部45の透過率及び屈折率とほぼ等しい透過率及び屈折率の透明性の材料が使用される。例えば、膜厚25[μm]程度のゼオノアが使用される。硬度は、20°乃至40°程度である。
【0298】
図38は、触覚可変シート機能付きの表示装置129の構成例を示す斜視図である。図39は、その表示装置129の断面の構成例を示す図(断面図)である。図38に示す表示装置129によれば、触覚シート手段の一例を構成する透明性の触覚可変シート部180と、触覚可変シート部180上に表示部29を備えて構成される。表示部29には、例えば、有機EL素子が使用される。
【0299】
触覚可変シート部180は、表示部29の下面全部をカバーする位置に設けられ、表示部29の操作面に沿って摺動又は及び押下操作される。もちろん、触覚可変シート部180は、表示部29の一部の下面をカバーする形態であってもよい。
【0300】
触覚可変シート部180には、筋肉シート部54’の構造と、第6の実施例に係る触覚シート装置160の対向電極構造とが備えられ、しかも、表示部29の配線パターンと、触覚可変シート部180の配線パターンとが一部共用されるものである。
【0301】
この例で、触覚可変シート部180は、図39に示すように、ベースフィルム181上に導電ラバー部182及び中間層フィルム183を積層して構成される。ベースフィルム181は、厚みが0.1[mm]程度のポリエチレンテレフタラート(PET)系の透明性の材料、及び、当該材料上にパターニングされた配線パターン群57を成すITO膜から構成される。配線パターン群57の配線ピッチは表示画素の配置ピッチの約1/2〜1倍程度である。
【0302】
ベースフィルム181の上部には、導電ラバー部182が接着剤等で接合されている。導電ラバー部182には、透明性かつ導電性を有したシート状の高分子素材(人工筋肉)が使用される。導電ラバー部182には、動作電圧が1.5V程度で、しなやかかつ強靱な導電性エンブラフィルムや、良溶媒中で大きく膨潤可能な導電性ゲルポリマーが含まれる。
【0303】
導電ラバー182の下面には、個々の操作キーに対応する位置に、図39に示すように電極52が配設され、これら複数の電極52は個々に上述の配線パターン群57に接続される。導電ラバー部182の上部には中間層フィルム183が接着剤等で接合されている。中間層フィルム183には絶縁性かつ透明性のポリイミド系のフィルム部材が使用される。
【0304】
中間層フィルム183の上部には、有機EL素子を成す表示部29が接着剤等で接合されている。表示部29は、封止層29a、自発光有機材料29b、中間層フィルム29c、ベースパネル29d及び電極パターン29eを有して構成される。封止層29aは図38に示すように枠形状を有して中間層フィルム183上に設けられ、自発光有機材料29bを封止するようになされる。
【0305】
封止層29a及び自発光有機材料29bの上部には中間層フィルム29cが接着剤等で接合されている。中間層フィルム29cにも絶縁性かつ透明性のポリイミド系のフィルム部材が使用される。中間層フィルム29cの上部にはベースパネル29dが配設されている。ベースパネル29dには、透明性のフィルム部材や、ガラス部材が使用される。
【0306】
ベースパネル29dの下面側には、触覚可変シート部180及び表示部29で共用する電極パターン29eが配設されている。電極パターン29eはITO膜から構成され、単一又はブロックに分割されたベタパターンや、マトリクス状に区分されたパターンのどちらでもよい。
【0307】
上述の配線パターン群57は、表示部29の電極パターン29eと共に図示しない駆動電源55’に接続され、当該駆動電源55’で個々の操作キー毎に電極52と、有機EL表示素子の電極パターン29eとの間にDC駆動電圧を印加するようになされる。その際に、DC駆動電圧の大きさを可変して印加するようにしてもよい。これらにより入力装置800を構成する。
【0308】
図40A〜Cは、入力装置800における表示データ及び形状提示信号の多重例を示すデータフォーマットである。
【0309】
図40Aに示すデータフォーマットDF1によれば、表示部29におけるアイコン画像の表示と、触覚シート部180における導電ラバー182による触覚表現とを同時に機能させる場合であって、表示データD1,D2,D3・・・及び、形状提示信号S1,S2,S3・・・が交互に電極パターン29eと配線パターン群57との間にパケット化して印加される。1パケットの最小駆動周波数fmは100Hz〜1KHz(周期で0.1〜10ms)程度である。表示データD1,D2,D3・・・は、デジタルアナログ変換されて表示信号Svとなされる。
【0310】
例えば、個々の操作キー映像毎に配設された電極52と電極パターン29eとの間に、配線パターン群57を介して表示データD1に次いで形状提示信号S1が印加され、表示データD2に次いで形状提示信号S2が印加され、表示データD3に次いで形状提示信号S3が印加され、表示データD4に次いで形状提示信号S4が印加され、表示データD5次いで形状提示信号S5が印加され、表示データD6に次いで形状提示信号S6が時分割に多重して印加される。
【0311】
図40Bに示すデータフォーマットDF2によれば、触覚シート部180における導電ラバー182による触覚表現のみを機能させる場合であって、形状提示信号S1,S2,S3、S4,S5,S6・・・が電極パターン29eと配線パターン群57との間にパケット化して印加される。例えば、個々の操作キー映像毎に配設された電極52と電極パターン29eとの間に、配線パターン群57を介して形状提示信号S1を空の1パケット置きに次の形状提示信号S2を伝送するような間欠的伝送方式が採られる。もちろん、2パケットに形状提示信号S1を載せて転送するような冗長伝送方式であってもよい。
【0312】
図40Cに示すデータフォーマットDF3によれば、表示部29におけるアイコン画像の表示のみを機能させる場合であって、表示データD1,D2,D3・・・が電極パターン29eと配線パターン群57との間にパケット化して印加される。表示データD1,D2,D3・・・は、デジタルアナログ変換されて表示信号Svとなされる。例えば、間欠的伝送方式では、個々の操作キー映像に対応して配設された電極52と電極パターン29eとの間に、配線パターン群57を介して表示データD1を空の1パケット置きに、次の表示データD2が順次伝送される。冗長伝送方式では、2パケットに表示データD1を載せて次の表示データD1は次の2パケットに載せて転送するようになされる。
【0313】
上述の入力装置800において、表示データD1,D2,D3・・・は、図20に示した映像&音声処理部44のような図示しない信号処理部から表示信号Svに代えて表示部29へ出力されると共に、形状提示信号S1,S2,S3・・・は、振動制御信号Sout2に代えて触覚シート部180に出力されるようになる。もちろん、映像&音声処理部44から表示部29へ表示データD1,D2,D3・・・を供給したり、形状提示信号S1,S2,S3・・・を触覚シート部180に出力するようにしてもよい。
【0314】
続いて、入力装置800における動作例について説明する。触覚又は及び表示機能選択例について説明する。図41は、入力装置800における触覚又は及び表示機能選択例を示す動作フローチャートである。 この実施例では、触覚シート部180を実装した入力装置800において、アイコン画像の表示出力アプリケーション又は形状提示アプリケーションの選択に基づいて、操作画面を表示すると共に、この表示に連動して触覚シート部180における導電ラバー182に電極52及び電極パターン29eを介して駆動電圧を印加して触覚表現部を構築する場合を例に挙げる。この例では、アプリケーション実行命令が有った場合に、表示出力アプリケーション→形状提示アプリケーションの順に選択候補を切り替える場合を例に採る。
【0315】
この例で、入力装置50には図20に示した制御部15が接続され、そのCPU32が表示部29に表示される映像内容に対応して、触覚シート部180の複数の電極52及び電極パターン29eを介して駆動電圧を印加するように図示しない駆動電源55’を制御し、当該導電ラバー182が映像内容に対応した所定の位置で凹凸形状を形成するようになされる。
【0316】
これらを触覚又は及び表示機能選択条件にして、図41に示すフローチャートのステップST81でCPU32はアプリケーション実行命令を入力する。アプリケーション実行命令は、例えば、電源スイッチのオン情報をトリガーにしてCPU32へ付与する。その後、ステップST82に移行してCPU32はアプリケーション実行命令が表示出力アプリケーション、又は、それ以外のアプリケーション実行命令に対応して制御を分岐する。
【0317】
アプリケーション実行命令が表示出力アプリケーション及び形状提示アプリケーションを伴う命令を実行する、あるいは、表示出力アプリケーション命令のみを実行する場合は、ステップST83に移行してCPU32は当該表示出力アプリケーションの制御情報を読み込む。制御情報は予め表示出力アプリケーションや形状提示アプリケーション等に対応付けられている。CPU32は制御情報に基づいて表示部29又は及び触覚シート部180の出力を制御する。
【0318】
この例でCPU32は、アプリケーション実行命令が表示出力アプリケーションでも、形状提示アプリケーションを並行して実行する場合を想定しているので、ステップST83でも、アプリケーション実行命令の内容に対応して制御を分岐する。形状提示アプリケーションの実行を伴う場合は、ステップST84に移行してCPU32は、操作キー用のアイコン画像の表示と、導電ラバー182による触覚表現とを同時に機能させるように表示部29及び触覚シート部180を制御する。
【0319】
例えば、CPU32は、図40Aに示したデータフォーマットDF1で表示データ及び形状提示信号D1,S1,D2,S2,D3,S3,D4,S4,D5,S5,D6・・・を入力装置800に出力する。表示データD1,D2,D3・・・及び、形状提示信号S1,S2,S3・・・は、交互に電極パターン29eと配線パターン群57との間にパケット化して印加される。表示データD1,D2,D3・・・は、デジタルアナログ変換されて表示信号Svとなされる。表示部29は表示信号Svに基づいて操作キー用のアイコン画像を表示する。図示しない駆動電源55’は、操作キー用のアイコン画像の表示内容に対応した位置で、触覚シート部180の複数の電極52及び電極パターン29eに駆動電圧を印加する。これにより、導電ラバー182が映像内容に対応した所定の位置で凹凸形状を形成するようになされる。その後、ステップST88に移行する。
【0320】
上述のステップST83で、アプリケーション実行命令が表示出力アプリケーションのみを実行する場合は、ステップST85に移行してCPU32は、操作キー用のアイコン画像の表示のみを機能させるように表示部29を制御する。例えば、CPU32は、図40Cに示したデータフォーマットDF3で表示データD1,D2,D3,D4,D5,D6・・・を入力装置800に出力する。表示データD1,D2,D3・・・電極パターン29eと配線パターン群57との間に1パケット置き又は2パケットを使用して印加される。表示データD1,D2,D3・・・は、デジタルアナログ変換されて表示信号Svとなされる。表示部29は表示信号Svに基づいて操作キー用のアイコン画像を表示する。その後、ステップST88に移行する。
【0321】
また、上述のステップST82で表示出力アプリケーション以外のアプリケーション実行命令が設定されている場合は、ステップST86に移行して、アプリケーション実行命令が形状提示アプリケーション、又は、それ以外のアプリケーションによって制御を分岐する。アプリケーション実行命令が形状提示アプリケーションである場合にはステップST87に移行してCPU32は当該形状提示アプリケーションの制御情報を読み込む。CPU32は制御情報に基づいて図示しない駆動電源55’を制御して、触覚シート部180の複数の電極52及び電極パターン29eに駆動電圧を印加する。これにより、導電ラバー182が所定の位置で凹凸形状を形成するようになされる。その後、ステップST88に移行する。
【0322】
ステップST88に移行して、当該入力装置800における入力処理の終了を判別する。例えば、CPU32は上位の制御系から出力される終了命令を検出する。終了命令が検出されない場合は、ステップST81に戻って上述した処理を繰り返すようになされる。終了命令が検出された場合は、当該入力装置800における入力処理を終了するようになされる。
【0323】
このように、第8の実施例としての入力装置800によれば、本発明に係る触覚シート部180を有した触覚可変シート機能付きの表示装置129が備えられるので、表示面が平坦状に観察されても、表示部29に表示されたアイコン画像等を手で触れ、表示画面下の導電ラバー182の上部を摺動したとき、凹凸感を伴った入力操作を提示できるようになる。これにより、プログラム可能なアイコンタッチ用の触覚可変シート機能付きの入力装置800を提供できるようになった。
【0324】
上述した例によれば、駆動電源55’から、個々の操作キーに対応する電極52と電極パターン29eにDC駆動電圧の大きさを可変して印加する。このように構成すれば、導電ラバー182の個々の操作キーに対応する位置において、キー要素となる電極52と電極パターン29eに挟まれた導電ラバー182の各々が操作者の指等に対して、その部分の導電ラバー182の膨らみ量が可変調整された隆起形状、陥没形状又は通電無しによる元形状によって凹凸感を与えるプログラム可能な触覚を提示できるようになる。
【0325】
続いて、入力装置800における表示装置の変形例(その1)について説明する。図42は、入力装置800に適用可能な触覚可変シート機能付きの表示装置229の構成例を示す断面図である。図42に示す表示装置229は、触覚シート手段の一例を構成する透明性の触覚可変シート部180と、触覚可変シート部180上に表示部29を備え、当該触覚可変シート部180及び表示部29で共用する電極パターン29e、配線パターン群57を有して構成される。この例で、表示部29には有機EL素子に代えて液晶表示素子が使用され、最下層にはバックライト29gが備えられる。他の構成部材及び機能は表示装置129と同様な構成部材が使用され、同様な機能を有するので、その説明を省略する。
【0326】
この例では、触覚可変シート部180は、図42に示すバックライト29g上に設けられる。バックライト29g上にはベースフィルム181が設けられ、この上部に導電ラバー部182及び中間層フィルム183を積層して構成される。ベースフィルム181の上部には、導電ラバー部182が接着剤等で接合されている。導電ラバー部182には、透明性かつ導電性を有したシート状の高分子素材(人工筋肉)が使用される。
【0327】
導電ラバー182の下面には、個々の操作キーに対応する位置に、図42に示すように電極52が配設され、これら複数の電極52は個々に上述の配線パターン群57に接続される。導電ラバー部182の上部には中間層フィルム183が接着剤等で接合されている。中間層フィルム183の上部には、液晶表示素子を成す表示部29が接着剤等で接合されている。
【0328】
表示部29は、封止層29a、液晶材料29f、中間層フィルム29c、ベースパネル29d、電極パターン29e及びバックライト29gを有して構成される。封止層29aは図38に示したような枠形状を有して中間層フィルム183上に設けられ、液晶材料29fを封止するようになされる。
【0329】
封止層29a及び液晶材料29fの上部には中間層フィルム29cが接着剤等で接合されている。中間層フィルム29cの上部にはベースパネル29dが配設されている。ベースパネル29dの下面側には、触覚可変シート部180及び表示部29で共用する電極パターン29eが配設されている。上述の配線パターン群57は、表示部29の電極パターン29eと共に図示しない駆動電源55’に接続され、当該駆動電源55’で個々の操作キー毎に電極52と、液晶表示素子の電極パターン29eとの間にDC駆動電圧を印加するようになされる。その際に、DC駆動電圧の大きさを可変して印加するようにしてもよい。これらにより入力装置800に適用可能な表示装置229を構成する。
【0330】
このように触覚可変シート部180上に液晶表示素子を有した表示装置229を構成すると、表示面が平坦状に観察されても、表示部29に表示されたアイコン画像等を手で触れ、表示画面下の導電ラバー182の上部を摺動したとき、凹凸感を伴った入力操作を提示できるようになる。これにより、プログラム可能なアイコンタッチ用の触覚可変シート機能付きの入力装置800を提供できるようになる。
【0331】
続いて、入力装置800における表示装置の変形例(その2)について説明する。図43は、入力装置800に適用可能な触覚可変シート機能付きの表示装置329の構成例を示す断面図である。図43に示す表示装置329は、透明性の触覚可変シート部180と、当該触覚可変シート部180上に表示部29を備え、当該触覚可変シート部180及び表示部29で共用する電極パターン29eと、個々に配設された配線パターン群57,58を有して構成される。この例で、表示部29には液晶表示素子に代えて有機EL素子が使用される。
【0332】
この例では、触覚可変シート部180は、図43に示すベースフィルム181を有しており、ベースフィルム181上に中間層フィルム183及び導電ラバー部182を積層して構成される。中間層フィルム183は省略してもよい。ベースフィルム181の上部には中間層フィルム183が接着剤等で接合され、中間層フィルム183上には導電ラバー部182が同剤で接合されている。導電ラバー部182には、透明性かつ導電性を有したシート状の高分子素材(人工筋肉)が使用される。
【0333】
導電ラバー182の上部には配線用のフィルム部184が設けられる。フィルム部184には絶縁性、かつ、透明性のポリイミド系のフィルム部材が使用される。フィルム部184の下面側には触覚可変シート用の配線パターン群57が設けられ、その上面側には、有機EL素子用の配線パターン群58が設けられる。この例で、導電ラバー182上面側には、個々の操作キー映像に対応する位置に、図43に示す電極52が配設され、これら複数の電極52は個々に配線パターン群57に接続される。
【0334】
配線用のフィルム部184の上部には、有機EL素子を有する表示部29が接着剤等で接合されている。表示部29は、封止層29a、自発光有機材料29b、中間層フィルム29c、ベースパネル29d及び、電極パターン29eを有して構成される。封止層29aは図38に示したような枠形状を有して中間層フィルム29h上に設けられ、自発光有機材料29bを封止するようになされる。
【0335】
封止層29a及び自発光有機材料29bの上部には中間層フィルム29cが接着剤等で接合されている。中間層フィルム29cの上部にはベースパネル29dが配設されている。ベースパネル29dの下面側には電極パターン29eが配設され、触覚可変シート部180及び表示部29で共用するようになされる。中間層フィルム29hの下面側の配線パターン群58は、電極パターン29eと共に自発光有機材料29bの各画素に駆動電圧を印加するようになされる。
【0336】
上述の配線パターン群57,58は、表示部29の電極パターン29eと共に図示しない駆動電源55’に接続され、当該駆動電源55’で個々の操作キー毎に電極52と、有機EL素子と共用する電極パターン29eとの間にDC駆動電圧を印加するようになされる。その際に、DC駆動電圧の大きさを可変して印加するようにしてもよい。これらにより入力装置800に適用可能な表示装置229を構成する。他の構成部材及び機能は、表示装置129と同様な構成部材が使用され、同様な機能を有するので、その説明を省略する。
【0337】
このように触覚可変シート部180上に有機EL素子を有した表示装置329を構成し、配線パターン群57を共用することなく、配線パターン群58を設けた場合であっても、表示面が平坦状に観察され、表示部29に表示されたアイコン画像等を手で触れ、表示画面下の導電ラバー182の上部を摺動したとき、凹凸感を伴った入力操作を提示できるようになる。これにより、プログラム可能なアイコンタッチ用の触覚可変シート機能付きの入力装置800を提供できるようになる。
【0338】
続いて、入力装置800における表示装置の変形例(その3)について説明する。図44は、入力装置800に適用可能な触覚可変シート機能付きの表示装置429の構成例を示す断面図である。図44に示す表示装置429は、透明性の触覚可変シート部180と、当該触覚可変シート部180上に表示部29を備え、当該触覚可変シート部180及び表示部29で共用する電極パターン29eと、個々に配設された配線パターン群57,58を有して構成される。この例で、表示部29には有機EL素子に代えて液晶表示素子が使用される。
【0339】
この例では、触覚可変シート部180は、図44に示すバックライト29gの上部にベースフィルム181を有しており、ベースフィルム181上に中間層フィルム183及び導電ラバー部182を積層して構成される。中間層フィルム183やベースフィルム181等は省略してもよい。中間層フィルム183はベースフィルム181の上部に接着剤等で接合され、中間層フィルム183上には導電ラバー部182が同剤で接合されている。導電ラバー部182には、透明性かつ導電性を有したシート状の高分子素材(人工筋肉)が使用される。
【0340】
導電ラバー182の上部には配線用のフィルム部184が設けられる。フィルム部184には絶縁性、かつ、透明性のポリイミド系のフィルム部材が使用される。フィルム部184の下面側には触覚可変シート用の配線パターン群57が設けられ、その上面側には、液晶表示素子用の配線パターン群58が設けられる。この例で、導電ラバー182上面側には、個々の操作キー映像に対応する位置に、図44に示す電極52が配設され、これら複数の電極52は個々に配線パターン群57に接続される。
【0341】
配線用のフィルム部184の上部には、液晶表示素子を有する表示部29が接着剤等で接合されている。表示部29は、封止層29a、液晶材料29f、中間層フィルム29c、ベースパネル29d及び、電極パターン29eを有して構成される。封止層29aは図38に示したような枠形状を有して中間層フィルム29h上に設けられ、液晶材料29fを封止するようになされる。
【0342】
封止層29a及び液晶材料29fの上部には中間層フィルム29cが接着剤等で接合されている。中間層フィルム29cの上部にはベースパネル29dが配設されている。ベースパネル29dの下面側には電極パターン29eが配設され、触覚可変シート部180及び表示部29で共用するようになされる。中間層フィルム29hの下面側の配線パターン群58は、電極パターン29eと共に液晶材料29fの各画素に駆動電圧を印加するようになされる。
【0343】
上述の配線パターン群57,58は、表示部29の電極パターン29eと共に図示しない駆動電源55’に接続され、当該駆動電源55’で個々の操作キー毎に電極52と、液晶表示素子と共用する電極パターン29eとの間にDC駆動電圧を印加するようになされる。その際に、DC駆動電圧の大きさを可変して印加するようにしてもよい。これらにより入力装置800に適用可能な表示装置229を構成する。他の構成部材及び機能は、表示装置129と同様な構成部材が使用され、同様な機能を有するので、その説明を省略する。
【0344】
このように触覚可変シート部180上に液晶表示素子を有した表示装置429を構成し、配線パターン群57を共用することなく、配線パターン群58を設けた場合であっても、表示面が平坦状に観察され、表示部29に表示されたアイコン画像等を手で触れ、表示画面下の導電ラバー182の上部を摺動したとき、凹凸感を伴った入力操作を提示できるようになる。これにより、プログラム可能なアイコンタッチ用の触覚可変シート機能付きの入力装置800を提供できるようになる。
【0345】
続いて、入力装置800における表示装置の変形例(その4)について説明する。図45は、入力装置800に適用可能な触覚可変シート機能付きの表示装置529の構成例を示す断面図である。図45に示す表示装置529は、透明性の触覚可変シート部180と、当該触覚可変シート部180上に表示部29を備え、当該触覚可変シート部180及び表示部29で共用する電極パターン185と、個々に配設された配線パターン群57,58を有して構成される。この例で、表示部29には液晶表示素子に代えて有機EL素子が使用され、更に、触覚可変シート部180が表示部29の上部に配置されるものである。
【0346】
この例で、表示装置529は有機EL配線用のフィルム部29iを備えている。フィルム部29iには絶縁性、かつ、透明性のポリイミド系のフィルム部材が使用される。フィルム部29iの上面側には、有機EL素子用の配線パターン群58が設けられる。
フィルム部29iの上部には、有機EL素子を有する表示部29が接着剤等で接合されている。表示部29は、封止層29a、自発光有機材料29b、中間層フィルム29c及びベースパネル29dを有して構成される。封止層29aは図38に示したような枠形状を有して中間層フィルム29c上に設けられ、自発光有機材料29bを封止するようになされる。封止層29a及び自発光有機材料29bの上部には封止パネル29d’が配設されている。封止パネル29d’の上部には触覚可変シート部180が設けられている。
【0347】
この例では、触覚可変シート部180は、図45に示すベースフィルム181を有しており、ベースフィルム181上に導電ラバー部182、電極パターン185及びベースパネル186を積層して構成される。ベースフィルム181の上面側には配線パターン群57が配設されている。ベースフィルム181の上部には導電ラバー部182が接着剤等で接合されている。導電ラバー部182には、透明性かつ導電性を有したシート状の高分子素材(人工筋肉)が使用される。
【0348】
この例で、導電ラバー182の下面側には、個々の操作キー映像に対応する位置に、図45に示す電極52が配設され、これら複数の電極52は個々に配線パターン群57に接続される。導電ラバー182の上部には、電極パターン185が配設され、触覚可変シート部180及び表示部29で共用するようになされる。電極パターン185の上部にはベースパネル186が設けられる。上述の中間層フィルム29cの下面側の配線パターン群58は、電極パターン185と共に自発光有機材料29bの各画素に駆動電圧を印加するようになされる。
【0349】
上述の配線パターン群57,58は、表示部29の電極パターン185と共に図示しない駆動電源55’に接続され、当該駆動電源55’で個々の操作キー毎に電極52と、有機EL素子と共用する電極パターン185との間にDC駆動電圧を印加するようになされる。その際に、DC駆動電圧の大きさを可変して印加するようにしてもよい。これらにより入力装置800に適用可能な表示装置529を構成する。他の構成部材及び機能は、表示装置129と同様な構成部材が使用され、同様な機能を有するので、その説明を省略する。
【0350】
このように表示部29上に触覚可変シート部180を有した表示装置529を構成し、配線パターン群57を共用することなく、配線パターン群58を設けた場合であっても、表示面が平坦状に観察され、表示部29に表示されたアイコン画像等を手で触れ、表示画面下の導電ラバー182の上部を摺動したとき、凹凸感を伴った入力操作を提示できるようになる。これにより、プログラム可能なアイコンタッチ用の触覚可変シート機能付きの入力装置800を提供できるようになる。
【0351】
続いて、入力装置800における表示装置の変形例(その5)について説明する。図46は、入力装置800に適用可能な触覚可変シート機能付きの表示装置629の構成例を示す断面図である。図46に示す表示装置629は、表示部29と、表示部29上に透明性の触覚可変シート部180とを備え、当該触覚可変シート部180及び表示部29で共用する電極パターン29eと、個々に配設された配線パターン群57,58を有して構成される。この例で、表示部29には有機EL素子に代えて液晶表示素子が使用される。
【0352】
この例で表示部29は、図46に示すバックライト29gの上部に液晶配線用のフィルム部29jを有している。フィルム部29jには、絶縁性、かつ、透明性のポリイミド系のフィルム部材が使用される。フィルム部29jの下面側には液晶表示素子用の配線パターン群58が設けられる。
【0353】
配線用のフィルム部29jの上部には、液晶表示素子を有する表示部29が接着剤等で接合されている。表示部29は、封止層29a、中間層フィルム29c、封止パネル29d’及び液晶材料29fを有して構成される。封止層29aは図38に示したような枠形状を有して中間層フィルム29c上に設けられ、液晶材料29fを封止するようになされる。封止層29a及び液晶材料29fの上部には封止パネル29d’が接着剤等で接合されている。封止パネル29d’の上部には触覚可変シート部180が設けられている。
【0354】
この例では、触覚可変シート部180は、図46に示すベースフィルム181を有しており、ベースフィルム181上に導電ラバー部182、電極パターン185及びベースパネル186を積層して構成される。ベースフィルム181の上面側には配線パターン群57が配設されている。ベースフィルム181の上部には導電ラバー部182が接着剤等で接合されている。導電ラバー部182には、透明性かつ導電性を有したシート状の高分子素材(人工筋肉)が使用される。
【0355】
この例で、導電ラバー182の下面側には、個々の操作キー映像に対応する位置に、図46に示す電極52が配設され、これら複数の電極52は個々に配線パターン群57に接続される。導電ラバー182の上部には、電極パターン185が配設され、触覚可変シート部180及び表示部29で共用するようになされる。電極パターン185の上部にはベースパネル186が設けられる。上述の中間層フィルム29cの下面側の配線パターン群58は、電極パターン185と共に液晶材料29fの各画素に駆動電圧を印加するようになされる。
【0356】
上述の配線パターン群57,58は、触覚可変シート部180の電極パターン185と共に図示しない駆動電源55’に接続され、当該駆動電源55’で個々の操作キー毎に電極52と、液晶表示素子と共用する電極パターン185との間にDC駆動電圧を印加するようになされる。その際に、DC駆動電圧の大きさを可変して印加するようにしてもよい。これらにより入力装置800に適用可能な表示装置629を構成する。他の構成部材及び機能は、表示装置129と同様な構成部材が使用され、同様な機能を有するので、その説明を省略する。
【0357】
このように液晶表示素子上に触覚可変シート部180を有した表示装置629を構成し、配線パターン群57を共用することなく、配線パターン群58を設けた場合であっても、表示面が平坦状に観察され、表示部29に表示されたアイコン画像等を手で触れ、表示画面下の導電ラバー182の上部を摺動したとき、凹凸感を伴った入力操作を提示できるようになる。これにより、プログラム可能なアイコンタッチ用の触覚可変シート機能付きの入力装置800を提供できるようになる。
【実施例9】
【0358】
図47は第9の実施例としての入力装置900の構成例を示すブロック図である。この実施例では、第8の実施例で説明したような入力検出部45を最上層のフィルム部5と触覚可変シート機能付きの表示装置129との間に設けるのではなく、表示装置129における要素筋肉部54(導電ラバー182)の押圧変位を読み取って操作者の指30a等の摺動位置及び押圧力を検知するようになされる。
【0359】
図47に示す入力装置900は、ある1つの操作キー要素に対応する部分を抜き出した構成例において、触覚可変シート部190、負荷抵抗RL、比較回路450及び駆動電源505を備えて構成される。
【0360】
触覚可変シート部190は、電極51,52及び要素筋肉部54(導電ラバー182でもよい)を有している。この例でも、操作キー要素に対応する要素筋肉部54が電極51及び52で挟み込まれている。電極51は例えば、接地線GNDに接続され、電極52は負荷抵抗RLを介在して駆動電源505に接続される。
【0361】
負荷抵抗RLと電極52の接続点には検出部の他の一例を構成する比較回路450が接続され、要素筋肉部54の押圧変位(変化)を読み取って操作体の押圧力を検知するようになる。この例では負荷抵抗RLには要素筋肉部54に与えられる押圧力Fに対応した電圧降下(以下出力電圧V0という)を生じるようになる。比較回路450には2つの比較器451,452が使用され、各々比較器451,452は電源線VCC及び接地線GNDに接続される。負荷抵抗RLと電極52の接続点は比較器451,452の各々+端子に接続される。
【0362】
比較回路450の各段の比較器451,452の−端子には駆動電源505が接続され、基準電圧VREFが供給される。位置検出用の比較器451には基準電圧VREFとして位置検出用の閾値電圧Vth1が供給され、押圧力判定閾値用の比較器452には押圧力判定用の閾値電圧Vth2が供給される。駆動電源505は電源線VCC及び接地線GNDに接続される。閾値電圧Vth1,Vth2及び駆動電圧Voは、CPU32からの指令データDによって設定される。比較器451は閾値電圧Vth1と出力電圧V0と比較して、閾値電圧Vth1を越える出力電圧V0が得られた場合に位置検出信号S1をCPU32に出力する。比較器452は閾値電圧Vth2と出力電圧V0と比較して、閾値電圧Vth2を越える出力電圧V0が得られた場合に押圧力検知信号S2をCPU32に出力する。
【0363】
続いて、入力装置900における入力処理例について説明する。図48及び49は、操作キー1要素の動作例(その1,2)を説明するブロック図である。図50は、その入力処理例を示すフローチャートである。
この例で、駆動電源505はCPU32から入力した形状提示の指令データDに基づく大きさの駆動電圧Voを電極51及び電極52間に印加する。比較器451には閾値電圧Vth1が設定され、比較器452には閾値電圧Vth2が設定されている場合を例に挙げる。
【0364】
これらを入力条件にして、図50に示すフローチャートのステップST91でA/Dドライバ31に位置検出信号S1及び押圧検知信号S2を入力する。図48に示す触覚可変シート部190によれば、形状提示時、要素筋肉部54が凸状に変化している。この形状変化は、駆動電源505がCPU32から形状提示の指令データDを入力し、指令データDに基づく大きさの駆動電圧Voを電極51及び電極52間に印加することで、要素筋肉部54が凸状に形状を変えるためである。この状態は、比較器451が閾値電圧Vth1を越える出力電圧V0を検出しないので、位置検出信号S1はロー・レベル=「0」である。また、比較器452も、閾値電圧Vth2を越える出力電圧V0を検出しないので押圧検知信号S2もロー・レベル=「0」である。
【0365】
そして、ステップST92における位置検出とステップST95における押圧検知とを並行して処理する。図49に示す触覚可変シート部190によれば、形状提示時であって、操作者の指30a等により、要素筋肉部54上を押圧され、その要素筋肉部54が凹状に変化した場合である。しかし、操作者の指30a等が要素筋肉部54上を押圧しているので、負荷抵抗RLを流れる電流iが変化する。例えば、要素筋肉部54上を押圧されていない状態の電流iに比べて減少又は増加する。この電流iの変化は負荷抵抗RLの両端の電圧降下によって現れる。
【0366】
ステップST92における位置検出処理によれば、負荷抵抗RLと電極52の接続点の出力電圧V0を監視することで、操作者の指30a等の摺動位置を検知するようなされる。この例では、ステップST93で比較器451は閾値電圧Vth1と出力電圧V0とを比較して閾値電圧Vth1を越える出力電圧V0を監視する。このとき、比較器451が閾値電圧Vth1を越える出力電圧V0を検出した場合に、例えば、ハイ・レベル=「1」の位置検出信号S1(位置検出電圧V1でもよい)がA/Dドライバ31へ出力される。A/Dドライバ31は位置検出信号S1をアナログ・デジタル変換した位置検出情報D1をCPU32に出力する。このような閾値電圧Vth1を越える出力電圧V0が検出された場合は、ステップST94に移行して、位置検出情報D1を図20に示したような記憶部35に格納する。
【0367】
上述の処理に並行してステップST95で実行される押圧検知処理によれば、負荷抵抗RLと電極52の接続点の出力電圧V0を監視することで、操作者の指30a等の押圧力を検知するようになされる。この例では、ステップST96で比較器452は閾値電圧Vth2と出力電圧V0とを比較して、閾値電圧Vth2を越える出力電圧V0を監視する。このとき、要素筋肉部54上を更に強く押圧されると、当該比較器452が閾値電圧Vth2を越える出力電圧V0を検出するようになるので、例えば、ハイ・レベル=「1」の押圧検知信号S2(押圧検知電圧V2でもよい)をA/Dドライバ31へ出力する。位置検出電圧V1と押圧検知電圧V2とは大きさが異なる(V1≠V2)。A/Dドライバ31は、押圧検知信号S2をアナログ・デジタル変換した押圧検知情報D2をCPU32に出力する。
【0368】
上述の例で閾値電圧Vth2を越える出力電圧V0が検出された場合は、ステップST97に移行して押圧検知情報D2をトリガーにして入力を確定する。これにより、CPU32において、位置検出情報D1及び押圧検知情報D2から操作者の指30a等の摺動位置及び押圧力Fを検知できるようになる。
【0369】
このように、第9の実施例としての入力装置900によれば、操作キー1要素に関して触覚可変シート部190、負荷抵抗RL及び比較回路450を備え、触覚可変シート部190の電極52と負荷抵抗RLとの接続点の出力電圧V0を比較回路450によって監視するようになされる。操作キーが例えば20個存在する場合は、上述の出力電圧V0を監視する回路を20個具備するようにすればよい。
【0370】
従って、入力検出部45の機能を触覚可変シート部190の要素筋肉部54(導電ラバー182)及び、比較回路450によって構築できるので、第5の実施例〜第8の実施例で入力検出部45の構成していた抵抗膜方式のタッチパネルや、静電容量方式のタッチパネルを省略できるようになる。比較回路450は表示画面上に配置することなく、当該表示画面から外れた回路基板上に配置でき、入力検出部45の設計制約を緩和できるようになった。
【0371】
しかも、従来方式に比べて表示画面上で触覚を通した凹凸形状表現を行うことができ、かつ、操作キー画面のアプリケーションの状態によって、その表現する場所を変えることができるので、ユーザは今までのキーボードや、実存世界の凹凸形状を有する物質に接触して得ているような触覚情報(簡単な凹凸や、服の肌さわりなど)を、本発明の操作平面から得ることが可能となり、操作性を飛躍的に向上できるようになった。
【実施例10】
【0372】
図51A〜Cは、第10の実施例としての携帯電話機110の構成例を示す斜視図及び断面図である。 図51Aに示す携帯電話機110によれば、第6の実施例で説明した触覚シート装置160を応用した滑り止めシート160’を備えている。滑り止めシート160’は、例えば、携帯電話機110で操作者が把持する側面部位に取り巻くように設けられる。
【0373】
図51Bに示す携帯電話機110は筐体111を有しており、この筐体111を取り巻くように、例えば、電極52、筋肉シート部54’及び電極51が積層されている。図35に示した駆動例を参照すると、上位のCPU32から駆動電源55’への形状提示を実行する形状提示命令が無い(オフ)の場合である。この場合は、筐体111の側面周囲に凹凸形状の変化が見られない。従来方式の携帯電話機の側面周囲の状態と何ら変わりがない。
【0374】
図51Cに示す携帯電話機110によれば、上位のCPU32から駆動電源55’への形状提示命令が有った(オン)場合である。この場合は、筐体111の側面周囲に凹凸形状が出現する。この例で、操作者が把持する携帯電話機110の筐体側面部分が波形に凹凸形状に変化するようになる。把持部分だけを凹凸形状に変化させるための制御は、第9の実施例で説明した制御方法を採ればよい。これにより、従来方式の携帯電話機の側面周囲の状態に比べて、グリップ感を与えるようになる。
【実施例11】
【0375】
図52A〜Cは、第11の実施例としての点字可変シート装置220の構成例を示す斜視図及び断面図である。図52Aに示す点字可変シート装置220によれば、第8の実施例で説明した触覚シート装置180を応用した点字可変シート180’を備えている。点字可変シート180’は、例えば、点字可変シート装置220で操作者が手で触れる操作画面上に設けられる。図中、破線に示す円柱形状は要素点字を成し、図示しない円形状の電極51の形状を反映して筋肉シート部54’が凸状に盛り上がった部分である。
【0376】
図52Bに示す点字可変シート装置220は表示部29上に入力検出部45及び点字可変シート180’を順に積層して構成される。例えば、点字可変シート180’は、配線パターン群57を有したベースフィルム181と、このベースフィルム181上に接着された筋肉シート部54’と、この筋肉シート部54’の裏面側に設けられた電極51と、電極51上にフィルム部186とが積層されて構成される。なお、表示部29及び入力検出部45は省略してもよい。
【0377】
この例でも、図35に示した駆動例を参照すると、上位のCPU32から駆動電源55’には、要素点字の形状提示を実行する形状提示命令が供給される。この例では形状提示命令が無い(オフ)の場合である。この場合は、操作者が手で触れる操作画面上には凹凸形状の変化が見られない。
【0378】
図52Cに示す点字可変シート装置220によれば、上位のCPU32から駆動電源55’への形状提示命令が有った(オン)場合である。この場合は、操作者が手で触れる操作画面上に凹凸形状が出現する。この例で、操作者が手で触れる点字可変シート装置220の筐体側面部分が円柱突起(凸)状に変化するようになる。点字ブロックを構成する凸部分を凸形状に変化させるための点字出現制御は、第9の実施例で説明した制御方法を採ればよい。これにより、従来方式の固定式の点字ブロックに比べて、点字ブロックを制御情報に基づいて可変して出現させる点字対話可能な点字可変シート装置220を提供できるようになった。
【0379】
上述した第1〜第11の実施例では、触覚シート手段に関して各々個別の機能について説明したがこれらに限られることはなく、各々個別の機能を有する触覚シート手段を組み合わせて使用してもよい。例えば、触覚表現部が所定の大きさの開孔径を有してベース部材1の所定の位置に開孔された触覚提示用の要素開孔部p1〜p25を成し、媒体供給部が要素開孔部p1〜p25に空気を送風し、又は、当該要素開孔部p1〜p25から空気を吸い込む空調部3を有する第1の触覚シート手段と、触覚表現部が所定の大きさを有してベース部材11の所定の位置に配設された触覚提示用の要素袋部q1〜q25を成し、媒体供給部が要素袋部q1〜q25に空気を送風する送風部を有する第2の触覚シート手段と、触覚表現部には、所定の大きさの電極51,52を有して絶縁性かつ透明性の部材の所定の位置に配設された触覚提示用の導電性の要素筋肉部E1〜E25や導電ラバー182等が使用され、媒体供給部が要素筋肉部E1〜E25や導電ラバー182等の電極51,52に駆動電圧Voを供給する駆動電源55’を有する第3の触覚シート手段とを組み合わせる等である。
【産業上の利用可能性】
【0380】
この発明は、アイコン画面に触れると触覚を提示する触覚入力機能を備えたデジタルカメラや、ビデオカメラ、携帯電話機、携帯端末装置、デスクトップ型のパーソナルコンピュータ(以下パソコンという)、ノート型のパソコン、点字ブロック装置、現金自動受け払い機等の電子機器に適用して極めて好適である。
【符号の説明】
【0381】
1,11,101・・・ベース部材、2・・・流路パネル、3・・・空調部(媒体供給部)、5・・・フィルム部、13・・・マイクロフォン、15・・・制御部、16・・・アンテナ、18・・・受信部、21・・・受信部、22・・・送信部、23・・・アンテナ共用器、26・・・画像処理部、29・・・表示部、31・・・A/Dドライバ、32・・・CPU(制御部)、33・・・電源ユニット、34・・・カメラ、35・・・記憶部、36a・・・スピーカー、36b・・・アクチュエータ機能付きのスピーカー、37・・メモリ部、44・・・映像&音声処理部、45・・・入力検出部、51,52・・・電極、53・・・絶縁性かつ透明性の部材、54・・・要素筋肉部、55,55’,505・・・駆動電源、57,58・・・配線パターン群、100,150,151,152,153,200・・・触覚シート装置、103・・・触覚シート部、220・・・点字可変シート装置(電子機器)、300,400,500,700,800,900・・・入力装置、110,600,710・・・携帯電話機(電子機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状を成す母材用の素材と、
前記母材用の素材の所定の位置に埋設された触覚提示用の複数の袋部と、
前記袋部に空気を供給する送風部と
を備え、
前記母材用の素材は、前記送風部によって前記袋部に圧縮空気が供給されたときに、前記袋部が膨張し、当該母材用の素材の上面に隆起形状が形成されるようになっている
触覚シート装置。
【請求項2】
前記母材用の素材は、前記送風部によって前記袋部に空気が供給されていないときに、前記袋部が押圧されると、前記袋部が凹むようになっている
請求項1に記載の触覚シート装置。
【請求項3】
操作体による摺動又は及び押下操作によって情報を入力する入力装置であって、
操作面を有した表示部に設けられて前記操作体の摺動位置を検出する検出部と、
前記検出部の一部又は全部を覆うように設けられ、前記表示部の操作面に沿って摺動又は及び押下操作される透明性の触覚シート手段と
を備え、
前記触覚シート手段は、
シート状を成す母材用の素材と、
前記母材用の素材の所定の位置に埋設された触覚提示用の複数の袋部と、
前記袋部に空気を供給する送風部と
を有し、
前記母材用の素材は、前記送風部によって前記袋部に圧縮空気が供給されたときに、前記袋部が膨張し、当該母材用の素材の上面に隆起形状が形成されるようになっている
入力装置。
【請求項4】
前記母材用の素材は、前記送風部によって前記袋部に空気が供給されていないときに、前記袋部が押圧されると、前記袋部が凹むようになっている
請求項3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記送風部は、前記複数の袋部に個別又はグループ毎に空気を送風するプログラム可能な機能を有する
請求項3に記載の入力装置。
【請求項6】
前記母材用の素材に配設された複数の前記袋部に空気を誘導する流路パネルを備え、
前記送風部は、圧電素子を含んで構成され、かつ前記流路パネルを介して前記複数の袋部に個別又はグループ毎に圧縮空気を送風するようになっている
請求項3に記載の入力装置。
【請求項7】
前記複数の袋部は、前記表示部に表示される映像内容に対応した配置となっている
請求項3に記載の入力装置。
【請求項8】
前記表示部に表示される映像内容に対応して、前記複数の袋部への空気の供給を制御する制御部を備えた
請求項7に記載の入力装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記媒体供給部を制御して前記触覚提示用の触覚表現部に供給する媒体の量を調整し、当該操作体に与える触覚を可変するようにした
請求項7に記載の入力装置。
【請求項10】
前記検出部は、前記触覚提示用の触覚表現部の押圧変化を読み取って操作体の押圧力を検知する
請求項3に記載の入力装置。
【請求項11】
操作面を有した筐体と、
前記筐体に設けられて操作体による摺動又は及び押下操作によって情報を入力する入力装置と
を備え、
前記入力装置は、
操作面を有した表示部に設けられて前記操作体の摺動位置を検出する検出部と、
前記検出部の一部又は全部を覆うように設けられ、前記表示部の操作面に沿って摺動又は及び押下操作される透明性の触覚シート手段と
を有し、
前記触覚シート手段は、
シート状を成す母材用の素材と、
前記母材用の素材の所定の位置に埋設された触覚提示用の複数の袋部と、
前記袋部に空気を供給する送風部と
を有し、
前記母材用の素材は、前記送風部によって前記袋部に圧縮空気が供給されたときに、前記袋部が膨張し、当該母材用の素材の上面に隆起形状が形成されるようになっている
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【公開番号】特開2012−181867(P2012−181867A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115876(P2012−115876)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【分割の表示】特願2007−330715(P2007−330715)の分割
【原出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(501431073)ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】