説明

触覚ディスプレイ装置および触覚情報伝達装置

【課題】 操作者の腕の動きを制限せず、また、爪表面に色を施すなどの準備も必要なく、さらに、常に正しく指が操作した位置を検出することをできる触覚情報伝達装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 触覚ディスプレイ装置は、第1フィルム層4aに対して、絶縁層4cを介して離間して配置された第2フィルム層4bと、各層に貫通孔を介して出没自在に設けた前記触覚ピン3と、前記第1フィルム層および前記第2フィルム層の間に設けたスイッチ機構4と、を備え、前記スイッチ機構は、前記触覚ピンの各縦列に沿って前記第1フィルム層に設けた第1配線部4dと、前記触覚ピンの各横列に沿って前記第2フィルム層に設けた第2配線部4eと、この第2配線部および前記第1配線部の対面する各交点位置に当該両配線部のそれぞれに設けた短絡部4g,4hとを有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面状の操作面から触覚ピンを突出させることで凹凸形状の二次元図形を表し触覚により情報を伝える触覚ディスプレイ装置および触覚情報伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータのGUI(Graphical User Interface)環境におけるアイコンや、地上デジタル放送画面等、画面上に存在する視覚で認識できる視覚オブジェクトとして示されるオブジェクト情報を、視覚障害者に伝えるための開発が行なわれている。そして、操作者に画面上の視覚オブジェクトによるオブジェクト情報を伝えるための触覚ピンを有する触覚情報伝達装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この触覚情報伝達装置は、オブジェクト情報を、触覚ピンの凹凸駆動の結果によって二次元平面に触覚認識させることができる触覚オブジェクトに変換して呈示するものであり、以下に示す各手段を備えている。
【0004】
すなわち、触覚情報伝達装置は、視覚オブジェクトを示す形状を抽象化した図形情報に変換するオブジェクト変換手段と、このオブジェクト変換手段で変換された前記図形情報を、前記触覚オブジェクトとして二次元平面に触覚ピンを介して凹凸により立体形状で呈示する触覚ディスプレイと、この触覚ディスプレイの呈示領域を撮影する撮影手段と、この撮影手段によって撮影された映像信号に基づいて、前記触覚ディスプレイの呈示領域上で操作者が示す指示位置を検出する指示位置検出手段と、この指示位置検出手段で検出された前記指示位置に基づいて、前記指示位置に存在する触覚オブジェクトを検出するオブジェクト検出手段と、前記触覚オブジェクトの選択を指示する選択指示手段と、この選択指示手段によって前記触覚オブジェクトが選択されたときに、前記触覚オブジェクトに対応する前記視覚オブジェクトが選択された旨を示す選択結果信号を生成するオブジェクト選択指示手段と、を備えている。
【0005】
そのため、触覚情報伝達装置は、操作者が触覚ディスプレイで呈示される触覚ピンにより二次元平面に凹凸で立体的に表した触覚オブジェクトに直接触れることで、その触覚オブジェクトで示す内容を認識することができる。そして、操作者が指示する触覚ピンの位置が撮影手段から取り込んだ映像信号により認識され、選択指示手段であるスイッチにより選択指示信号が触覚ディスプレイから制御装置に送られることで触覚ディスプレイを選択することができる。そのため、触覚情報伝達装置により、視覚障害者であっても、触覚オブジェクトが示す情報へアクセスすることができ、触覚ディスプレイに呈示されたメニュー画面全体の構成を把握することができ、そのメニュー画面に存在するオブジェクトの中から必要なオブジェクトを容易に選択することができるものである。
【特許文献1】特開2003−241891号公報(段落番号0031〜0088、図1ないし図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の触覚ディスプレイあるいは触覚情報伝達装置では、さらに改良されるべき点が存在した。すなわち、従来の触覚ディスプレイあるいは触覚情報伝達装置は、撮像手段により指の位置を撮像することにより、触覚ディスプレイ上の操作者の指の位置を検出している。そのため、撮像手段が触覚ディスプレイの全体を見下ろす位置に配置されることになり、操作者の腕の動きを制限することもあり、さらに使用しやすい構成となるように求められていた。
【0007】
なお、触覚ディスプレイあるいは触覚情報伝達装置により、指の位置を検出するときには、その爪表面に特定の色を施すことで、指の爪表面の色を識別するため、爪表面に色を施すための準備が必要となるため、準備作業が不要である構成が望まれていた。
また、触覚ディスプレイあるいは触覚情報伝達装置は、撮像手段により指の爪表面の色を識別しているため、光学的外乱に影響される場合があり、正しく指の位置を検出できない可能性があるため、さらなる改良が求められていた。
【0008】
本発明は、前記の要求に鑑み創案されたものであり、操作者の腕の動きを制限せず、また、爪表面に色を施すなどの準備も必要なく、さらに、常に正しく指が操作した位置を検出することができる触覚情報伝達装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記した課題を解決するため、本発明に係る触覚ディスプレイ装置は、平面状の操作面で縦横に配列された触覚ピンの突出状態の結果により前記触覚ピンで表す立体形状を触覚認識させることができる触覚ディスプレイ装置において、前記触覚ディスプレイ装置は、操作面に対面して配置される第1フィルム層と、この第1フィルム層に対面し絶縁層を介して離間して配置された第2フィルム層と、この第2フィルム層、前記絶縁層および前記第1フィルム層に貫通孔を介して出没自在に設けた前記触覚ピンと、前記第1フィルム層および前記第2フィルム層の間に設けたスイッチ機構と、を備え、前記スイッチ機構は、前記触覚ピンの各縦列に沿って隣接した位置で前記第1フィルム層に設けた第1配線部と、この第1配線部に対して離間して設けられ、前記触覚ピンの各横列に沿って隣接した位置で前記第2フィルム層に設けた第2配線部と、この第2配線部および前記第1配線部の対面する各交点位置に当該両配線部のそれぞれに設けた短絡部とを有するものとした。
【0010】
このように構成した触覚ディスプレイ装置は、操作者が触覚オブジェクトを選択しないとき、つまり、一定以上の力により操作面を押さなければ、スイッチ機構の短絡部が第1配線部および第2配線部を離間させるために絶縁層を介して離間された状態が保たれる。また、視覚オブジェクトから変換した触覚オブジェクトが触覚ピンにより呈示されたときに、操作面上で触覚ピンの出没駆動の結果、凹凸により立体的に示される触覚オブジェクトに対して、操作者の指によりその触覚ピンを押し込みさらに操作面を所定の押圧力で押すことで、その触覚ピンに縦列および横列に位置する第1配線部および第2配線部の交点位置にある短絡部を短絡させて、その位置を押圧した位置として示している。
【0011】
また、本発明に係る触覚ディスプレイ装置は、平面状の操作面で縦横に配列された触覚ピンの突出状態の結果により前記触覚ピンで表す形状を触覚認識させることができる触覚ディスプレイ装置において、前記触覚ディスプレイ装置は、操作面に対面して配置される第1フィルム層と、この第1フィルム層に対面し離間して配置された第2フィルム層と、この第2フィルム層および前記第1フィルム層に貫通孔を介して出没自在に設けた前記触覚ピンと、前記第1フィルム層および前記第2フィルム層の間に設けたスイッチ機構とを備え、前記スイッチ機構は、前記触覚ピンの各縦列に沿って隣接した位置で前記第1フィルム層に設けた第1配線部と、この第1配線部に対して離間して設けられ、前記触覚ピンの各横列に沿って隣接した位置で前記第2フィルム層に設けた第2配線部と、この第2配線部および前記第1配線部の対面する各交点位置で当該両配線部のそれぞれに設けた短絡部と、この短絡部を露出した状態で前記第1配線部および前記第2配線部の少なくとも一方に設けた絶縁層とを有するものとした。
【0012】
このように構成した触覚ディスプレイは、操作者が触覚オブジェクトを選択しないときは、第1配線部および第2配線部に設けた絶縁層を介して前記スイッチ機構の短絡部が離間された状態が保たれ、また、操作者の指によりその触覚ピンを押し込み一定以上の力でさらに操作面に対面する第1配線部および第2配線部の交点位置を押圧することで、短絡部を短絡させて、その位置を押圧した位置として示している。
【0013】
さらに、本発明に係る触覚ディスプレイ装置は、前記スイッチ機構が、前記第1配線部のそれぞれに設けた検出部を有する第1配線電流検出手段と、前記第2配線部のそれぞれに設けた検出部を有する第2配線電流検出手段と、この第2配線電流検出手段および前記第1配線電流検出手段により検出した電流検出位置により前記短絡部の位置を算出する交点座標検出手段とを備えるものとした。
【0014】
このように構成した触覚ディスプレイ装置は、操作者の指によりその触覚ピンを押し込み一定以上の力でさらに操作面に対面する第1配線部および第2配線部の交点位置を押圧することで、短絡部を短絡させたときに、第1配線電流検出手段および第2配線電流検出手段により短絡した短絡部の電流を各検出部を介して検出する。なお、短絡部の電流は、例えば、各検出部が電源を介して接続される構成とすることで、短絡部が短絡されたときに電流を発生させ検出するようにしている。そして短絡部が短絡したときに流れる電流が検出されると、両配線電流検出手段から短絡した短絡部の位置が、交点座標検出手段により算出され選択された触覚ピンに対応する指示位置座標情報が出力される。
【0015】
また、本発明に係る触覚情報伝達装置は、視覚化されて画面上に表示される選択可能な一つ以上の視覚オブジェクトを、あらかじめ操作者の触覚により認識される触覚ピンの凹凸形状で提示する触覚オブジェクトの形状データとして含み、かつ、前記触覚オブジェクトに対応するテキストデータ、および、前記触覚オブジェクトに対応するオブジェクト座標情報を少なくとも含む入力データに対して、平面状の操作面で縦横に配列された前記触覚ピンを有する触覚ディスプレイ装置により、前記触覚オブジェクトを呈示する触覚情報伝達装置において、オブジェクト抽出手段と、記憶手段と、触覚オブジェクト呈示手段と、オブジェクト照合手段と、を備える構成とした。
【0016】
このように構成された触覚情報伝達装置は、受取ったデジタル放送(ISDB:Integrated Services Digital Broadcasting)または、XML(eXtensible Markup Language)をベースとしてマルチメディア符号化用に開発されたBML(Broadcast Markup Language)の放送あるいは通信による入力データからオブジェクト抽出手段が、触覚オブジェクト、前記触覚オブジェクトに対応するテキストデータ、および、前記触覚オブジェクトに対応するオブジェクト座標情報を抽出する。そして、触覚情報伝達装置は、抽出された触覚オブジェクトの形状データ(触覚オブジェクト)、テキストデータおよび前記オブジェクト座標情報を記憶手段に記憶させる。さらに、触覚情報伝達装置は、触覚オブジェクト呈示手段により、触覚オブジェクトを触覚ピンの凹凸で立体形状に呈示させ、かつ、オブジェクト照合手段により、操作者が呈示された触覚オブジェクトに対応する触覚ピンを押し込んで、その位置の操作面に沿って設けたスイッチ機構を押下することで選択された触覚オブジェクトを前記記憶手段の触覚オブジェクトと照合する。なお、触覚オブジェクトが照合されると、その触覚オブジェクト照合手段から触覚オブジェクトを特定する識別情報が出力される。
【0017】
また、本発明に係る触覚情報伝達装置は、視覚化されて画面上に表示される選択可能な一つ以上の視覚オブジェクトの種別を示す視覚画像データ、前記視覚オブジェクトに対応するテキストデータ、および、前記視覚オブジェクトに対応するオブジェクト座標情報を少なくとも含む入力データに対して、平面状の操作面で縦横に配列された触覚ピンの突出状態の結果によって立体形状を呈示する触覚ディスプレイ装置により、前記視覚オブジェクトを、触覚認識させることができる触覚オブジェクトに変換して呈示する触覚情報伝達装置において、オブジェクト抽出手段と、オブジェクト変換手段と、記憶手段と、触覚オブジェクト呈示手段と、オブジェクト照合手段と、を備える構成とした。
【0018】
このように構成されることにより、触覚情報伝達装置は、オブジェクト抽出手段により、入力データから視覚画像データ、テキストデータ、および、オブジェクト座標情報を抽出し、オブジェクト変換手段により、あらかじめ設定された変換条件に基づいて、その視覚画像データを図形情報となる触覚ピンの凹凸形状で呈示する触覚オブジェクトに変換する。変換された触覚オブジェクトは、前記テキストデータおよび前記オブジェクト座標情報と共に記憶手段に記憶される。さらに、触覚情報伝達装置は、触覚オブジェクト呈示手段により、触覚オブジェクトを触覚ピンの凹凸で立体形状に呈示させ、かつ、オブジェクト照合手段により、操作者が呈示された触覚オブジェクトに対応する触覚ピンを押し込んで、その位置の操作面に沿って設けたスイッチ機構を押下することで選択された触覚オブジェクトを前記記憶手段の触覚オブジェクトと照合する。なお、触覚オブジェクトが照合されると、その触覚オブジェクト照合手段から触覚オブジェクトを特定する識別情報が出力される。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、つぎに示す優れた効果を奏するものである。
請求項1、2に記載の発明に係る触覚ディスプレイ装置は、操作面の直下にその操作面に対面して触覚ピンの縦列および横列に沿ってスイッチ機構を備えているため、触覚ピンが縦横に整列してかつ出没する構成であって、操作面の周囲に操作者の操作動作を妨げるものが一切なく、かつ、操作面を押圧することでスイッチ機構により選択した触覚オブジェクトの位置を安定して特定する、すなわち、操作面を押圧することによる直接入力(意思表示)を可能とする。また、触覚ディスプレイ装置は、スイッチ機構の第1配線部および第2配線部の少なくとも一方に絶縁層を設けることで、絶縁層を両配線部に対して別体となるように設ける構成に対して、部品点数が少なくなり、かつ製造工程も簡略化することが可能となる。
【0020】
請求項3に記載の発明に係る触覚ディスプレイ装置は、第1および第2配線電流検出手段と、交点座標検出手段とにより、従来のように、撮像手段を使用する必要がなく、また、指に色を施すことなく、操作者の選択した触覚オブジェクトの指示位置情報を出力できる。また、触覚ディスプレイ装置は、触覚ピンの間隔が狭い状態であっても、交点座標検出手段により最先で短絡した短絡部の一箇所を特定することができるため、安定して触覚オブジェクトの特定ができる。
【0021】
請求項4、5に記載の発明に係る触覚情報伝達装置は、撮像手段を使用する必要がなく、スイッチを触覚ピンの操作面以外に設ける必要もないため、操作者が触覚ピンに接触する動作を操作面に対して行なえば良く、触覚オブジェクトを認識するための操作性に優れている。そのため、触覚情報伝達装置により、視覚障害者であっても、触覚オブジェクトが示す情報へアクセスすることができ、触覚ディスプレイに呈示されたメニュー画面全体の構成を把握することができ、そのメニュー画面に存在するオブジェクトの中から必要なオブジェクトを容易に選択することができるものである。
したがって、触覚情報伝達装置は、デジタル放送で示される視覚オブジェクトを触覚オブジェクトに変換して呈示し、また、触覚オブジェクトとして呈示されるデジタル放送または入力データの画面を選択して各触覚オブジェクトを認識することが可能となり、リモコン動作と同等の動作を行なうことが可能となる。なお、触覚情報伝達装置は、入力データにあらかじめ触覚オブジェクトが含まれている場合には、オブジェクト変換手段を必要としない構成で足りるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。図1は触覚情報伝達装置および触覚ディスプレイ装置を示す平面図、図2は触覚情報伝達装置および触覚ディスプレイ装置の全体構造を示すブロック図、図3は触覚情報伝達装置の触覚ディスプレイ装置の全体を模式的に示す斜視図、図4は触覚情報伝達装置の触覚ディスプレイ装置の構成を示す分解斜視図、図5(a)、(b)は、触覚情報伝達装置の触覚ディスプレイ装置におけるスイッチ機構および触覚ピンの駆動機構を模式的に示す断面図、図6は触覚ディスプレイ装置の第1配線電流検出手段、第2配線電流検出手段および交点座標検出手段を示すブロック図である。
【0023】
図1および図2に示すように、触覚情報伝達装置1は、入力された視覚オブジェクトを触覚オブジェクトとして表示するための触覚ディスプレイ装置2と、この触覚ディスプレイ装置2を操作した結果を音声出力するための音声出力装置8および点字出力するための点字表示装置9と、各装置を制御するための制御装置10とを備えている。
【0024】
この触覚情報伝達装置1は、統合デジタル放送(ISDB:Integrated Services Digital Broadcasting)または、XML(eXtensible Markup Language)をベースとしてマルチメディア符号化用に開発された、BML(Broadcast Markup Language)という放送サービス、あるいは、視覚化されて画面上に表示される選択可能な一つ以上の視覚オブジェクトの種別を示す視覚画像データ、前記視覚オブジェクトに対応するテキストデータ、および、前記視覚オブジェクトに対応するオブジェクト座標情報を少なくとも含む入力データである通信データで使用されているメニュー画面等の視覚的に選択可能なオブジェクト(視覚オブジェクト)を、平面に配置された触覚ピン3の突出状態の結果による立体形状によって触覚的に表現し、その触覚的に表現されたオブジェクト(触覚オブジェクト)を、手指等の部位で選択することを可能とした装置である。
【0025】
図1および図3に示すように、触覚ディスプレイ装置2は、操作面に縦横に複数が配列された触覚ピン3と、この触覚ピンの各縦列および各横列に沿って設けたスイッチ機構4を備えており、ここでは、点字表示装置9および音声出力装置8触覚ピン3の周囲に一体に配置して設けている。なお、触覚ディスプレイ装置2の操作面とは、触覚ピン3が突出していない状態の平面部分をいい、ここでは、カバーフィルム3Bにより形成される平面をいう。
【0026】
図1および図5に示すように、触覚ピン3は、操作面に縦横に整列して出没自在に設けられている。この触覚ピン3は、例えば、1〜2mmの直径の円柱状に形成され、2.5〜4mmの設置間隔で縦横に配列されており、操作面より1〜3cm程度の間で突出するように構成されている。そして、接触ピン3の出没動作は、例えば、圧電バイモルフアクチュエータ3Aなどの駆動機構を介して行なうように構成されている。
【0027】
なお、圧電バイモルフアクチュエータ3Aは、電圧を印加されることで、圧電バイモルフ3Cの一方の面が収縮し、それと同時に他方の面が伸長する動作をとることにより、その圧電バイモルフが湾曲する動作を行なうことで触覚ピン3を出没させるものである。この圧電バイモルフアクチュエータ3Aは、操作面から触覚ピン3を突出させるように動作して触覚オブジェクトを呈示した後に、操作者が触覚ピン3を強制的に押し込むことができる構成のものである。操作面から突出する触覚ピン3は、圧電バイモルフ3Cが電圧によって湾曲する力より大きな力が、触覚ピン3を押し込む方向にかかったときに、強制的に押し込まれる程度の湾曲する動作により触覚ピン3を突出させている。ただし、圧電バイモルフアクチュエータ3Aは、次の触覚オブジェクトまで同じ形態を維持せるように、対象となる触覚ピン3を常に上方に突出させるように電圧をかけた状態となるため、一旦強制的に押し込まれた触覚ピン3を直ぐに突出させることとなる。
【0028】
なお、触覚ピン3の押し込まれる動作により後記するスイッチ機構4が作動し、触覚ピン3により呈示している触覚オブジェクトが次の図形(触覚オブジェクト)に変るように設定されている場合には、触覚ピン3は、操作者により押し込まれて再び操作面より突出するときには、選択された結果、呈示された触覚オブジェクトを示すことになる。
【0029】
図1および図4に示すように、スイッチ機構4は、操作面に対面して配置された第1フィルム層4aと、この第1フィルム層4aに対面して配置された第2フィルム層4bとの間に配置されており、触覚ピン3の各縦列に沿って第1フィルム層4aに設けた第1配線部4dと、この第1配線部4dに対面し、かつ、触覚ピン3の各横列に沿って第2フィルム層4bに設けた第2配線部4eと、この第2配線部4eおよび第1配線部4dとを離間させるための絶縁層4cと、この絶縁層4cにより離間され、第1配線部4dおよび第2配線部4eの対面する交点位置にそれぞれ設けられた短絡部4g,4hと、を備えている。
【0030】
第1フィルム層4aは、操作者の指が直接触れるカバーフィルム3B(操作面)に対面して配置され、触覚ピン3の設置位置に対応して貫通孔が形成されており、PET(ポリエステルテレフタレート)、ナイロンなどのフィルム材により形成されている。なお、この第1フィルム層4aは、操作者の指が直接接触するカバーフィルム3Bを兼用しても構わない。この第1フィルム層4aは、絶縁性を備える樹脂であれば良く、操作者が操作面を押圧したときに、押圧された部分が一旦は湾曲変形して再び元の状態に復元する復元力を備える弾性体であることが望ましい。ここでは、第1フィルム層4aは、一例として0.025mmの厚みで形成されている。
【0031】
第2フィルム層4bは、圧電バイモルフアクチュエータ3Aを収納する天板側に取り付けられており、触覚ピン3の設置位置に対応して貫通孔が形成されている。この第2フィルム層4bは、PET(ポリエステルテレフタレート)、ナイロンなどのフィルム材により形成されている。なお、この第2フィルム層4bは、第1フィルム層4aと同等の弾性体で形成されることや、また、復元力がない硬質樹脂であっても構わない。ここでは、第2フィルム層4bは、一例として0.025mmの厚みで形成されている。
【0032】
第1配線部4dは、第1フィルム層4aに短冊状に形成されており、触覚ピン3の各縦列に沿って隣接する位置に形成されている。この第1配線部4dは、触覚ピン3,3の間となる位置、つまり後記する第2配線部4eとの対面する交点位置に、短絡部4gが形成されており、その短絡部4g以外の部分では、その表面に導通しないように絶縁膜が形成されるように構成しても構わない。なお、第1配線部4dは、一例として、ここでは0.6mmの幅で厚みを0.035mmに形成され、かつ、絶縁膜がない状態に形成されている。
【0033】
第2配線部4eは、第2フィルム層4bに短冊状に形成されており、触覚ピン3の各横列に沿って隣接される位置に形成されている。この第2配線部4eは、触覚ピン3,3の間となる位置、つまり、第1配線部4dとの対面する交点位置に、短絡部4hが形成されており、その短絡部4h以外の部分では、導通しないように絶縁膜が形成されるようにしても構わない。ここでは、第2配線部4eは、短絡部4h以外の表面部分に絶縁膜を形成した状態として説明する。一例として第2配線部4eは、0.5mmの幅で厚みを0.01mmに形成され、かつ、短絡部4hを0.5mm幅とし、短絡部4h,4h間に絶縁膜を形成した状態とした。
【0034】
また、両配線部4d,4eは、銀や炭素(カーボン)などの導電性粒子を含有する導電性インクを用いて、スクリーン印刷法等の印刷法によって短冊状に一定間隔で各フィルム層4a、4bに形成するものであっても構わない。また、両配線部4d,4eは、短冊状の導電層として金、白金、クロム、インジウム、銀、銅、アルミなどのいずれか若しくは複合材料からなる化合物層として、それぞれのフィルム層4a,4bに形成してもよい。この導電層を得る方法の一例として、導電層以外をマスクして、金属をスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、メッキ法等の公知の膜形成技術を用いて積層する。
【0035】
なお、第1配線部4dに絶縁膜を設けて短絡部4gを設けた場合には、第2配線部4eには絶縁膜を設けることなく短絡部4hを形成しても構わず、また、第1配線部4dに絶縁膜を設けることなく短絡部4gを設けた場合には、第2配線部4eには、絶縁膜を設けて短絡部4hを設けるように形成しても構わない。さらに、第2配線部4eの短絡部4hおよび第1配線部4dの短絡部4gの以外の部分に絶縁膜が全く形成されない状態であっても構わない。
【0036】
図4に示すように、絶縁層4cは、操作面を操作者が操作していない状態、または、あらかじめ設定された押圧力より小さな力が操作面にかかった状態では、短絡部4g、4hを接触させないようにするためのものである。この絶縁層4cは、両配線部4d,4eとは別部材として形成したものとして、ここでは説明する。この絶縁層4cは、触覚ピン3の配列に合わせた位置で、両配線部4d,4eが対面する空間をあけることができる幅に形成されており、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂等の絶縁性のある高分子シート材を短冊状に形成し、かつ、触覚ピン3の位置に貫通孔を打ち抜き加工して形成されたものである。
【0037】
なお、この絶縁層4cは、短冊状に形成した形状を一例として説明したが、第1フィルム層4aまたは第2フィルム層4bの貫通孔の周囲に円環状あるいは角環状に形成して、対面する第2フィルム層4bまたは第1フィルム層4aに向かって突出させたものとしても良いものであり、所定の押圧力がかかる場合以外では、短絡部4g,4hを離間させた状態にできるものであればその状態は限定されるものではない。なお、絶縁層4cを第1フィルム層4aまたは第2フィルム層4bと一体に形成する場合には、部品点数を減らし、また、組立て作業の向上を図ることが可能となる。
【0038】
図3および図6に示すように、操作者により突出させた触覚ピン3の位置が押し込まれ、その押し込まれた周囲に位置する短絡部4g、4h(図4参照)が短絡することで発生する電流を検出する第1配線電流検出手段5および第2配線電流検出手段6は、短絡部4g,4h(図4参照)が接触して短絡したときに電流が発生されるように閉ループ回路に電源ACを介して構成するものである。そして、第1配線電流検出手段5および第2配線電流検出手段6は、それぞれ閉ループ回路内に電流が流れたときにその電流を検出する検出部5a,6aを第1配線部4dおよび第2配線部4eの短冊列ごとに接続している。なお、図6では、第1配線部4dをX軸側配線1,2〜nとし、また、第2配線部4eをY軸側配線1,2〜nとしている。
【0039】
また、交点座標検出手段7は、両配線電流検出手段5,6により検出された短絡部4g,4hの電流検出位置から、どの交点座標における短絡部4g,4hが検出されたかを検出するものであり、電流が検出された第1配線部4dのX軸側配線1,2〜nのいずれかをX軸側の座標とし、かつ、電流が検出された第2配線部4eのY軸側配線1,2〜nのいずれかをY軸側の座標とし、両配線電流検出手段5,6から送られてきた電流検出位置により、どの位置座標であるかを示す指示位置を検出し、指示位置座標情報として出力するものである。
【0040】
なお、触覚ピン3の一つの周囲には、短絡部4g,4hが4箇所形成される配置となっており、ここでは、一例として、触覚ピン3の周囲の4つの短絡部4g,4hを全て当該触覚ピン3に対応するスイッチとしている。したがって、第1配線部4dおよび第2配線部4eの交点位置に設置される一箇所の短絡部4g,4hは、触覚オブジェクトの形状により、短絡することで一度に4本の隣り合う触覚ピン3の位置が選択されたものとして示す場合もある。ここでは、触覚ディスプレイ装置2は、短絡部4g、4hが短絡することで呈示されている触覚オブジェクトが特定されれば目的は達成されるため、短絡部4g、4hの一箇所が、触覚ピン3の1本に対応する必要は絶対条件ではない。もちろん、触覚ピン3の数に対応して短絡部4g,4hの数も配置されているため、あらかじめ対応関係を設定することで、短絡部4g,4hの一箇所が、触覚ピン3の1本に対応させるスイッチとすることもできる。
【0041】
また、操作者は、操作面の上面部分に指を載せて能動的に動かすことで、触覚ピン3の突出状態により図形や、擬似的な操作ボタンとして配置される触覚オブジェクトを認識している。このときの能動的に指を動かして触覚するときの押圧力は、おおよそ、1g/mm2未満であることが測定実験により認識されている。また、触覚ディスプレイ装置2の触覚ディスプレイ部分の面積が手掌面積よりも大きな場合、操作者は、手根部分を触覚ディスプレイ部分上に接触させた状態とすることで、触覚作業を行なう操作者の快適な操作姿勢をとる場合が多く、このような操作姿勢のときにも押圧力が1g/mm2未満であることが測定実験により認識されている。
【0042】
そのため、スイッチ機構4は、操作面を積極的に押圧して短絡部4g,4hを短絡するための閾値を、前記した触覚作業を行なっているときの値である1g/mm2よりも大きな値にすることで、操作者の誤操作の発生を最小限にしている。なお、一例として、ここでは、スイッチ機構4の短絡部4g,4hが短絡するための押圧力は、1.5〜10g/mm2とし、より好ましくは2.5〜3.5g/mm2とし、最良の値として2.5g/mm2として設定している。短絡するための押圧力が1.5g/mm2を下回ると、通常の触覚作業を行なう押圧力に近づいて、誤操作を発生する原因が生じやすくなり、また、10g/mm2以上であると、多くの操作者にとって押圧動作が負担に感じられる状態となる。
【0043】
つぎに図2に示すように、制御装置10の構成について説明する。制御装置10は、オブジェクト抽出手段11、変換手段(オブジェクト変換手段)12、触覚オブジェクト記憶手段13、触覚オブジェクト呈示手段14、触覚ピン駆動回路15、オブジェクト座標情報記憶手段16、オブジェクト照合手段17、テキストデータ記憶手段18、テキストデータ呈示手段19、音声合成手段20、点字生成手段21を備えている。なお、触覚オブジェクト記憶手段13、オブジェクト座標情報記憶手段16、テキストデータ記憶手段18は、同一の記憶手段としても構わない。
【0044】
オブジェクト抽出手段11は、統合デジタル放送(ISDB)、または、XMLをベースとしてマルチメディア符号化用に開発されたBML、あるいは、視覚オブジェクトの種別を示す視覚画像データと、前記視覚オブジェクトに対応するテキストデータと、前記視覚オブジェクトに対応するオブジェクト座標情報とを少なくとも含む入力データから、テキストデータ、視覚画像データおよびオブジェクト座標情報を抽出するものである。さらに、オブジェクト抽出手段11により抽出された視覚画像データは、変換手段12に通知される。なお、テキストデータはテキストデータ記憶手段18に通知され、また、オブジェクト座標情報はオブジェクト座標情報記憶手段16に通知される。
【0045】
変換手段12は、視覚画像データを触覚ピンにより表示することができる図形情報である触覚オブジェクトに、あらかじめ設定された変換条件に基づいて変換するものである。この変換手段12により変換された触覚オブジェクトは、触覚オブジェクト記憶手段13に記憶される。なお、変換手段12は、視覚画像データを変換する場合、種別を示す視覚画像データに、あらかじめ設定された抽象的な図形情報となる触覚オブジェクトが決められており、その変換条件により視覚画像データから触覚オブジェクトに変換している。
【0046】
触覚オブジェクト記憶手段13は、変換手段12により変換された触覚オブジェクトを、記憶するものであり、SRAMなどの一般的なメモリで構成されており、触覚オブジェクト呈示手段14により参照されるものである。
【0047】
触覚オブジェクト呈示手段14は、所定位置における触覚ピン3を操作面から突出させることにより凹凸形状で示す触覚オブジェクトを呈示させるための駆動データを生成し、触覚ピン駆動回路15に出力すると共に、後記するオブジェクト照合手段17から通知される触覚オブジェクトの識別情報により、触覚オブジェクト記憶手段13を参照して生成された駆動データを触覚ピン駆動回路15に出力するものである。
【0048】
触覚ピン駆動回路15は、通知された駆動データに基づいて触覚ディスプレイ装置2の触覚ピン3を出没駆動させるものである。
オブジェクト座標情報記憶手段16は、オブジェクト抽出手段11により通知されたオブジェクト座標情報を触覚オブジェクトに関連付けて記憶するものである。
【0049】
オブジェクト照合手段17は、触覚ディスプレイ装置2から通知される指示位置座標情報に基づいて、オブジェクト座標情報記憶手段16を参照して、操作者が選択した触覚オブジェクトを照合し、選択された触覚オブジェクトの識別情報を、触覚オブジェクト呈示手段14およびテキストデータ呈示手段19に通知するものである。
【0050】
また、テキストデータ記憶手段18は、触覚オブジェクトに関連付けてテキストデータを記憶するものである。なお、テキストデータは、触覚オブジェクトに関連付けて、ボタン領域の項目、データ領域の内容の概要、メッセージ領域の文字列などを有している。
【0051】
テキストデータ呈示手段19は、オブジェクト照合手段から通知された識別情報に基づいて、テキストデータ記憶手段18を参照して、対象となるテキストデータを音声合成手段20および点字生成手段21の少なくとも一方に出力するものである。
【0052】
音声合成手段20は、テキスト合成方式により、入力されたテキストデータ(文字情報)から、それに対応する音声を合成して、音声データとして出力するものである。この音声合成手段20は、テキストデータ呈示手段19から通知された触覚オブジェクトのテキストデータ、つまり、操作者によって選択された触覚オブジェクトに関連付けられているテキストデータについて、音声合成を行い音声出力装置8へ出力するものである。
【0053】
点字生成手段21は、入力されたテキストデータ(文字情報)から、それに対応する点字データを生成するものである。この点字生成手段21は、テキストデータ呈示手段19から通知された触覚オブジェクトのテキストデータ、つまり、操作者によって選択された触覚オブジェクトに関連付けられているテキストデータについて、点字データを生成して点字表示装置9へ出力するものである。
【0054】
以上、実施の一形態に基づいて本発明に係る触覚情報伝達装置1および触覚ディスプレイ装置2の構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、触覚情報伝達装置1内の制御装置10を独立した構成としてもよいし、制御装置10および触覚ディスプレイ装置2をテレビジョン受像機に組み込んだ構成としても構わない。
【0055】
つぎに、図2を主に参照して、触覚ディスプレイ装置2の動作について触覚情報伝達装置1の動作と併せて説明する。ここでは、特に、外部の統合デジタル放送用のテレビジョン受像機から統合デジタル放送(ISDB)で使用されるメニュー画面のデータ(ISDBデータ)またはマルチメディア符号化用のBML、あるいは、視覚オブジェクトに関連した視覚画像データ、テキストデータおよびオブジェクト座標情報を少なくとも含む入力データを入力し、その画面データの選択可能なオブジェクト(視覚オブジェクト)を触覚ディスプレイ装置2に触覚認識させることができる触覚オブジェクトとして呈示し、操作者がその触覚オブジェクトを選択する動作を説明し、音声又は点字による出力についてはその動作の説明を省略する。
【0056】
はじめに、触覚情報伝達装置1は、総合デジタル放送(ISDB)またはマルチメディア符号化用のBMLが入力されオブジェクト抽出手段11により、テキストデータ、視覚画像データ、オブジェクト座標情報が抽出される(ステップ1)。そして、オブジェクト抽出手段11により抽出された視覚画像データは、変換手段12に通知されて、その視覚画像データを抽象化した図形に変換した図形情報(触覚オブジェクト)が生成され、視覚オブジェクトから触覚オブジェクトに変換される(ステップ2)。変換手段12により変換された図形情報としての触覚オブジェクトは、触覚オブジェクト記憶手段13に記憶される(ステップ3)。
【0057】
一方、オブジェクト抽出手段11により、オブジェクト情報の項目内容から、ボタン領域の項目、データ領域の内容の概要、メッセージ領域の文字列について抽出されたテキストデータは、テキストデータ記憶手段18に記憶される(ステップ4)。同様に、オブジェクト抽出手段11により、オブジェクト情報の領域ごとの座標情報として抽出されたオブジェクト座標情報は、オブジェクト座標情報記憶手段16に記憶される(ステップ5)。さらに、
【0058】
そして、触覚情報伝達装置1は、触覚オブジェクト呈示手段14により触覚オブジェクトを触覚ピン3の凸形状または凹形状に駆動するための駆動データとして生成し(ステップ6)、触覚ピン駆動回路15を介して、触覚ディスプレイ装置2の呈示領域に触覚オブジェクトを呈示する(ステップ7)。
なお、触覚ピン3は、図5(a)、(b)に示すように、圧電バイモルフアクチュエータ3Aに電圧が印加されることで、圧電バイモルフ3Cが触覚ピン3の下端を押し上げ操作面より触覚ピン3を突出させている。触覚ピン3が突出しているときには、常に、圧電バイモルフアクチュエータ3Aに電圧が印加されている。
【0059】
以上の動作により、触覚情報伝達装置1は、統合デジタル放送(ISDB)、BMLあるいは入力データで使用されるメニュー画面の選択可能なオブジェクト(視覚オブジェクト)を、触覚ピンの凹凸によって触覚認識させることができる触覚オブジェクトとして呈示することができる。
【0060】
[オブジェクト選択動作]
つぎに、図5ないし図8を参照して、触覚ディスプレイ装置2における触覚オブジェクトの選択動作について説明する。図7(a)、(b)は触覚ディスプレイ装置に触覚オブジェクトを呈示した状態を示す斜視図、図8(a)、(b)、(c)は触覚ディスプレイ装置の触覚ピンならびにスイッチ機構を押下するときの断面状態を模式的に示す模式図である。
【0061】
触覚情報伝達装置1は、図7(a)に示すように、メイン電源を入れると、すぐに、前記したステップ1からステップ7の動作が行なわれ、触覚ディスプレイ装置2において、触覚ピン3により触覚オブジェクトが呈示される。なお、ここでは、触覚オブジェクトとして、蝶の外観と、「1」、「2」、「3」の操作ボタンを提示している一例について説明するものとする。
【0062】
操作者は、呈示されている複数の触覚オブジェクトの全体をはじめに指の接触した触覚により認識する。そして、呈示されているメインとなる触覚オブジェクト(ここでは蝶の図形)について認識し、その触覚オブジェクトに対して、押下するボタンを示す触覚オブジェクトを認識したときには、そのボタンを示す触覚ピン3を強制的に押し込むことで、触覚オブジェクトを選択する。
【0063】
例えば、操作者が操作ボタンの「1」を示す触覚オブジェクトを選択してその「1」を呈示している触覚ピン3を押し込んでいくと、図8(a)、(b)、(c)に示すように、操作面の位置に配置しているスイッチ機構4にも押圧力が加わり、絶縁層4c(図5参照)により離間状態を維持されていた短絡部4g、4hが接触することで、その押下された位置における短絡部4g,4hが短絡する。そうすると、触覚ディスプレイ装置2は、図6に示すように、第1配線電流検出手段5および第2配線電流検出手段6と、交点座標検出手段7により短絡した短絡部4g,4h(図8(c)参照)の位置座標を指示位置座標情報として制御装置10に通知する。
【0064】
なお、図5および図8に示すように、この短絡部4g、4hが接触して短絡させる動作を行なう場合、指の面積が、第1配線部4dおよび第2配線部4eの交点位置となる短絡部4g,4hより大きいため、複数の短絡部4g,4hが一度に押されて短絡することになる。そのため、図6に示すように、第1配線電流検出手段5および第2配線電流検出手段6からの検出電流により交点座標検出手段7が、はじめに押下されて短絡した短絡部4g,4hの座標位置を検出して指示位置座標情報として制御装置10に通知することで、仮に触覚オブジェクトとして設定されていない部分の短絡部4g,4hまで短絡することによる不都合を解消している。
【0065】
なお、操作者は、触覚ピン3で示す触覚オブジェクトに接触しているときに、操作面における他の短絡部4g,4hに接触することもあるが、一定以上の押圧力で操作面を押さない限り、短絡部4g,4hが短絡することはない。ここでは、スイッチ機構4は、一例として、第1フィルム層4aに設けた第一配線部4dの厚みを0.02mmとし、絶縁層4cの厚みを0.03mmとし、また、絶縁層4c間の間隔を1mmさらに第1配線部4dの幅を0.6mmとし、第2配線部4eの幅を0.5mmとして形成した。また、押圧力が2.5g/mm2以上であるときに、短絡部4g,4hが短絡するように離間距離などを構成している。
【0066】
触覚ディスプレイ装置2から制御装置10のオブジェクト照合手段17に指示位置座標情報が通知されると、オブジェクト照合手段17は、オブジェクト座標情報記憶手段16を参照してどの触覚オブジェクトが選択されたかを照合し、触覚オブジェクトに対する識別情報を、触覚オブジェクト呈示手段14に通知すると共に、テキストデータ呈示手段19に通知する。
【0067】
触覚オブジェクト呈示手段14は、触覚オブジェクト記憶手段13に記憶されている触覚オブジェクトを参照して、通知された識別情報により、つぎの触覚オブジェクトの駆動データを生成し、触覚ピン駆動回路15を介して触覚ピン3を出没駆動させる。
また、テキストデータ呈示手段19は、通知された識別情報に基づいてテキストデータ記憶手段18に触覚オブジェクトと関連づけて記憶されているテキストデータを音声合成手段20および点字生成手段21の少なくとも一方に送り、音声出力装置8または点字出力装置9により出力する。例えば、識別情報が示す触覚オブジェクトに関連するテキストデータが、呈示されている蝶の生態についての説明であれば、音声および点字によりその説明が行なわれることになる。
【0068】
操作者が選択した触覚オブジェクトにより、触覚ディスプレイ装置2の触覚ピン3により呈示している触覚オブジェクトがつぎのものに変るときには、一旦、全ての触覚ピン3が操作面に埋没して新たな触覚オブジェクトを呈示することや、また、一旦、全ての触覚ピン3が突出して新たな触覚オブジェクトを呈示することや、さらに、呈示している触覚オブジェクトを形成する触覚ピン3の状態から、新たな触覚オブジェクトを呈示する触覚ピン3の出没状態として変化しても構わない。そして、新たな触覚オブジェクトが触覚ピン3により凹凸状態として呈示されると、操作者は、再び前記したように、操作ボタンとなる触覚オブジェクトに対応する触覚ピン3を押圧してスイッチ機構4を作動させることで、その触覚オブジェクトを選択する動作を行なう。
【0069】
このように、触覚ディスプレイ装置2は、操作面に触覚オブジェクトを選択した結果を示すことができるスイッチ機構4を備えることにより、操作者の操作性を向上させ、かつ、装置全体としてもシンプルな構成とすることが可能となる。
なお、触覚情報伝達装置1に入力される入力データが、あらかじめ設定された触覚オブジェクトを含むデータである場合には、図2に示す変換手段12を用いることなく、オブジェクト抽出手段11から触覚オブジェクト記憶手段13に触覚オブジェクトが記憶されることになる。あらかじめ設定された触覚オブジェクトを含むデータとは、視覚化されて画面上に表示される選択可能な一つ以上の視覚オブジェクトを、あらかじめ操作者の触覚により認識される触覚ピンの凹凸形状で提示する触覚オブジェクトの形状データ(ここでいう形状データとは、例えば、2値化した[後記する図9参照]抽象図形で示すデータである)として含み、かつ、前記触覚オブジェクトに対応するテキストデータ、および、前記触覚オブジェクトに対応するオブジェクト座標情報を少なくとも含む入力データである。
【0070】
また、触覚情報伝達装置1は、図9に示すように、データ放送のメニュー画面などを視覚オブジェクトとして入力して触覚オブジェクトに変換して呈示するようにすることもできる。図9(a)は、視覚化されたメニュー画面の内容を表わし、図9(b)は、(a)の視覚オブジェクトを抽象図形に変換し、2値化した触覚オブジェクトの呈示領域に呈示された画面を表わし、図9(c)は(b)の触覚オブジェクトを触覚ピンにより呈示して表した状態の説明図である。
【0071】
はじめに、視覚オブジェクトがデータ放送で示されるメニュー画面を示す視覚オブジェクトであったときに、オブジェクト抽出手段11などすでに説明した各手段により変換し、触覚オブジェクトとして触覚ピン3により呈示する。なお、ここでは視覚オブジェクトを触覚オブジェクトに変換するときには、つぎのようにしている。
【0072】
図9(a)に示すように、視覚オブジェクトは、B1、B2、B3及びB4がボタン領域、D1がデータ領域、M1がメッセージ領域として表わされている。そして、ボタン領域(B1、B2、B3及びB4)を抽象図形の長方形(B1'、B2'、B3'及びB4')に、データ領域(D1)を抽象図形の四角形(D1')に、メッセージ領域(M1)を抽象図形の角丸四角形(M1')に変換し(あらかじめ設定している変換条件に基づく)2値化する。ここで2値化とは、前記抽象図形の領域を触覚ディスプレイ装置2(図1参照)の触覚ピンを凸形状とし、それ以外の領域を凹形状にすることを表わしている。
【0073】
これによって、図9(b)に示すような画面を、図9(c)に示すように触覚ディスプレイ装置2の触覚ピン3の出没動作する呈示領域(操作面)において、ボタン領域に対応する操作ボタンb1〜b4と、データ領域に対応するデータ領域ボタンd1と、メッセージ領域に対応するメッセージ領域ボタンm1として、触覚ピン3を突出させて呈示する。そのため、操作者は、触覚ディスプレイ装置2の呈示領域を手指等で触れることで、オブジェクトの種類や、画面全体の情報を同時に認識することができる。
【0074】
したがって、操作者は、メッセージ領域ボタンm1のいずれかの触覚ピン3を押下して操作面を押圧しスイッチ機構4(図1参照)を作動させると、すでに説明したように、その押下した触覚オブジェクトが選択され、例えば、音声出力装置8(図1参照)あるいは点字出力装置9(図1参照)によりメッセージ領域ボタンm1に対応する音声あるいは点字が出力される。さらに、操作者は、その音声のメッセージを聞いて、つぎに、操作ボタンb1〜b4のいずれかを選んで、例えば、操作ボタンb1の触覚ピン3を押下して操作面を押圧しスイッチ機構4(図1参照)を作動させると、すでに説明したように制御装置10(図1参照)でデータ処理がなされ、その操作ボタンb1に対応する音声あるいは点字の出力が行なわれる。
【0075】
このように、触覚ディスプレイ装置2を有する触覚情報伝達装置1では、データ放送の視覚で表示されるメニュー画面(視覚オブジェクト)を触覚オブジェクトに変換して呈示し、操作者に認識させてデータ放送サービスが健常者と同様程度に楽しむことも可能となる。また、触覚ディスプレイ装置2は、スイッチ機構4が操作面に対面して配置されていることから、机上などの平面のみならず、壁面などの垂直面であっても設置が可能となる。
【0076】
なお、触覚ディスプレイ装置2は、スイッチ機構4の絶縁層4cを、図10に示すような構成としても構わない。図10(a)、(b)は、触覚ディスプレイ装置のスイッチ機構における第1配線部および第2配線部の他の形態を示す斜視図である。
【0077】
図10に示すように、第1配線部24dおよび第2配線部24eの少なくとも一方(図面では第1配線部24d側)で、両配線部24d,24eの交点位置を除く部分にスピンコートやスプレー散布により絶縁体を設けてパターニングすることで所定厚みの絶縁層4c(図4参照)に対応する構成を実現することが可能となる。このように、第1配線部24dおよび第2配線部24eの少なくとも一方に絶縁体24cを所定厚みで形成する構成をとることで、図4の構成と比較して絶縁体24cに貫通孔を形成する必要がないこと、および、絶縁体24cを第1配線部24dまたは第2配線部24eと別体として構成しなくて良いものとなる。
【0078】
なお、触覚ディスプレイ装置2では、触覚オブジェクトが操作ボタンを触覚ピン3により呈示し、その操作ボタンに対応する触覚ピン3を押下すると共に、操作面に対面して設けたスイッチ機構を押下することで、触覚オブジェクトを選択する構成としているが、操作ボタンとして設定されていない、例えば、蝶を示す触覚オブジェクトを呈示している触覚ピン3を押下してスイッチ機構の短絡部4g,4hを短絡させることで、つぎに進む動作、つまり、触覚オブジェクトの説明等、触覚オブジェクトを選択してつぎの触覚オブジェクトを呈示する動作に移行するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明に係る触覚情報伝達装置および触覚ディスプレイ装置を示す平面図である。
【図2】本発明に係る触覚情報伝達装置および触覚ディスプレイ装置の全体構造を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る触覚情報伝達装置の触覚ディスプレイ装置の全体を模式的に示す斜視図である。
【図4】本発明に係る触覚情報伝達装置の触覚ディスプレイ装置の構成を示す分解斜視図である。
【図5】(a)、(b)は、本発明に係る触覚情報伝達装置の触覚ディスプレイ装置におけるスイッチ機構および触覚ピンの駆動機構を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明に係る触覚ディスプレイ装置の第1配線電流検出手段、第2配線電流検出手段および交点座標検出手段を示すブロック図である。
【図7】(a)、(b)は、本発明に係る触覚ディスプレイ装置に触覚オブジェクトを呈示した状態を示す斜視図である。
【図8】(a)、(b)、(c)は、本発明に係る触覚ディスプレイ装置の触覚ピンならびにスイッチ機構を押下するときの断面状態を模式的に示す模式図である。
【図9】(a)は、本発明に係る触覚情報伝達装置において視覚化されたメニュー画面の内容を表わし、(b)は、(a)の視覚オブジェクトを抽象図形に変換し、2値化した触覚オブジェクトの呈示領域に呈示された画面を表わし、(c)は(b)の触覚オブジェクトを触覚ピンにより呈示して表した状態の説明図である。
【図10】(a)、(b)は、本発明に係る触覚ディスプレイ装置のスイッチ機構における第1配線部および第2配線部の他の形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0080】
1 触覚情報伝達装置
2 触覚ディスプレイ装置
3 触覚ピン
3A 圧電バイモルフアクチュエータ
3B カバーフィルム
3C 圧電バイモルフ
4 スイッチ機構
4a 第1フィルム層
4b 第2フィルム層
4c 絶縁層
4d 第1配線部
4e 第2配線部
4g 短絡部
4h 短絡部
5 第1配線電流検出手段
6 第2配線電流検出手段
7 交点座標検出手段
8 音声出力装置
9 点字表示装置
10 制御装置
11 オブジェクト抽出手段
12 変換手段(オブジェクト変換手段)
13 触覚オブジェクト記憶手段
14 触覚オブジェクト呈示手段
15 触覚ピン駆動回路
16 オブジェクト座標情報記憶手段(記憶手段)
17 オブジェクト照合手段
18 テキストデータ記憶手段(記憶手段)
19 テキストデータ呈示手段(記憶手段)
20 音声合成手段
21 点字生成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の操作面で縦横に配列された触覚ピンの突出状態の結果により前記触覚ピンで表す立体形状を触覚で認識することができる触覚ディスプレイ装置において、
前記操作面に対面して配置される第1フィルム層と、この第1フィルム層に対面し絶縁層を介して離間して配置された第2フィルム層と、この第2フィルム層、前記絶縁層および前記第1フィルム層に貫通孔を介して出没自在に設けた前記触覚ピンと、前記第1フィルム層および前記第2フィルム層の間に設けたスイッチ機構とを備え、
前記スイッチ機構は、前記触覚ピンの各縦列に沿って隣接した位置で前記第1フィルム層に設けた第1配線部と、この第1配線部に対して離間して設けられ、前記触覚ピンの各横列に沿って隣接した位置で前記第2フィルム層に設けた第2配線部と、この第2配線部および前記第1配線部の対面する各交点位置に当該両配線部のそれぞれに設けた短絡部とを有することを特徴とする触覚ディスプレイ装置。
【請求項2】
平面状の操作面で縦横に配列された触覚ピンの突出状態の結果により前記触覚ピンで表す形状を触覚で認識することができる触覚ディスプレイ装置において、
前記操作面に対面して配置される第1フィルム層と、この第1フィルム層に対面し離間して配置された第2フィルム層と、この第2フィルム層および前記第1フィルム層に貫通孔を介して出没自在に設けた前記触覚ピンと、前記第1フィルム層および前記第2フィルム層の間に設けたスイッチ機構とを備え、
前記スイッチ機構は、前記触覚ピンの各縦列に沿って隣接した位置で前記第1フィルム層に設けた第1配線部と、この第1配線部に対して離間して設けられ、前記触覚ピンの各横列に沿って隣接した位置で前記第2フィルム層に設けた第2配線部と、この第2配線部および前記第1配線部の対面する各交点位置で当該両配線部のそれぞれに設けた短絡部と、この短絡部を露出した状態で前記第1配線部および前記第2配線部の少なくとも一方に設けた絶縁層とを有することを特徴とする触覚ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記スイッチ機構は、前記第1配線部のそれぞれに設けた検出部を有する第1配線電流検出手段と、前記第2配線部のそれぞれに設けた検出部を有する第2配線電流検出手段と、この第2配線電流検出手段および前記第1配線電流検出手段により検出した電流検出位置により前記短絡部の位置を検出する交点座標検出手段とを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の触覚ディスプレイ装置。
【請求項4】
視覚化されて画面上に表示される選択可能な一つ以上の視覚オブジェクトを、あらかじめ操作者の触覚により認識される触覚ピンの凹凸形状で提示する触覚オブジェクトの形状データとして含み、かつ、前記触覚オブジェクトに対応するテキストデータ、および、前記触覚オブジェクトに対応するオブジェクト座標情報を少なくとも含む入力データに対して、平面状の操作面で縦横に配列された前記触覚ピンを有する触覚ディスプレイ装置により、前記触覚オブジェクトを呈示する触覚情報伝達装置において、
前記入力データから前記触覚オブジェクト、前記テキストデータ、および、前記オブジェクト座標情報を抽出するオブジェクト抽出手段と、
このオブジェクト抽出手段により抽出した触覚オブジェクト、前記テキストデータおよび前記オブジェクト座標情報を記憶する記憶手段と、
この記憶手段により記憶された前記触覚オブジェクトを凹凸により立体形状で呈示するように前記触覚ピンを駆動させる触覚オブジェクト呈示手段と、
この触覚オブジェクト呈示手段により前記触覚ピンを介して立体形状で呈示された前記触覚オブジェクトに対する触覚ピンが操作者の操作により押下されて前記操作面に沿って設けたスイッチ機構を介して選択されたときに、前記触覚ディスプレイ装置から出力される前記触覚ピンの指示位置を示す指示位置座標情報に基づいて、当該指示位置に存在する前記触覚オブジェクトを特定するために照合するオブジェクト照合手段と、を備えることを特徴とする触覚情報伝達装置。
【請求項5】
視覚化されて画面上に表示される選択可能な一つ以上の視覚オブジェクトに関連した当該オブジェクトの種別を示す視覚画像データ、前記視覚オブジェクトに対応するテキストデータ、および、前記視覚オブジェクトに対応するオブジェクト座標情報を少なくとも含む入力データに対して、平面状の操作面で縦横に配列された触覚ピンの突出状態の結果によって立体形状を呈示する触覚ディスプレイ装置により、前記視覚オブジェクトを、触覚で認識することができる触覚オブジェクトに変換して呈示する触覚情報伝達装置において、
前記入力データから前記視覚画像データ、前記テキストデータ、および、前記オブジェクト座標情報を抽出するオブジェクト抽出手段と、
このオブジェクト抽出手段により抽出した前記視覚画像データに基づいて、前記視覚オブジェクトの形状を、あらかじめ設定された変換条件に基づいて抽象化した図形情報である触覚オブジェクトに変換するオブジェクト変換手段と、
このオブジェクト変換手段により変換された触覚オブジェクト、前記テキストデータおよび前記オブジェクト座標情報を記憶する記憶手段と、
この記憶手段により記憶された前記触覚オブジェクトを凹凸により立体形状で呈示するように前記触覚ピンを駆動させる触覚オブジェクト呈示手段と、
この触覚オブジェクト呈示手段により前記触覚ピンを介して立体形状で呈示された前記触覚オブジェクトに対する触覚ピンが操作者の操作により押下されて前記操作面に沿って設けたスイッチ機構を介して選択されたときに、前記触覚ディスプレイ装置から出力される前記触覚ピンの指示位置を示す指示位置座標情報に基づいて、当該指示位置に存在する前記触覚オブジェクトを特定するために照合するオブジェクト照合手段と、を備えることを特徴とする触覚情報伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−47538(P2006−47538A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226426(P2004−226426)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】