説明

計器装置

【課題】ステップモータから指針に至る回転伝達経路の機械的遊びに起因する、指針の指示位置のずれを低減すること。
【解決手段】指針60を指針軸61に装着する際、回転伝達経路におけるステップモータ40の正転方向への機械的遊びを最小とし、逆転方向への機械的遊びを最大とした状態とする。これにより、ステップモータ40を正転方向に駆動する際には、回転伝達経路の機械的遊びを考慮する必要がなくなる。一方、ステップモータ40を逆転方向に駆動する際には、回転伝達経路の機械的遊びを補償する補償角度を上乗せした角度を目標角度とすることで、回転伝達経路の機械的遊びによる指示位置のずれを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転子を備える駆動源によって、指針を回転駆動する計器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述した計器装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この計器装置は、例えば、自動車において車速を示す計器として用いられるものであって、車速を示す入力アナログ量の変化度合いが大きくても、違和感のない指針の回動を可能としたものである。具体的には、指針の今回の目標指示角度と現指示角度との差が、減速開始基準値よりも大きい間、即ち、車速の増大度合い或いは減少度合いが大きい間は、今回の目標指示角度と先回の目標指示角度との変化量が、ステップモータの先回の駆動量と所定の加速量との和以上であれば、当該加速量分に基づいて指針の回動の仕方を速くする。一方、今回の目標指示角度と現指示角度との差が減速開始基準値以下、即ち、車速の増大度合い或いは減少度合いが小さくなったときには、上述した加速量分に基づいて指針の回動の仕方を遅くする。
【特許文献1】特開2003−130884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述したような計器装置では、一般的に、ステップモータなどの駆動源における回転角度に対して指針の回転角度を小さくする減速歯車列などの回転伝達機構が設けられる。この回転伝達機構を設けることにより、指針をステップ的ではなく、ほぼ連続的に駆動することが可能になるので、ユーザに対して、指針が滑らかに動いているように見せることができる。
【0004】
しかしながら、減速歯車列などからなる回転伝達機構を用いると、歯車同士のかみ合わせなどには必ず機械的な遊びがあるため、当該回転伝達機構を含む駆動源から指針に至る回転伝達経路の機械的遊びが大きくなってしまう。この結果、その機械的遊びの分だけ、駆動源が回転しても指針が動かない不感帯が生じるので、指針の指示位置にヒステリシスが生じてしまう。つまり、指針を第1方向に回転させるときと、その第1方向とは逆方向の第2方向に回転させるときとで、指針を同じ指示位置に駆動しようとしても、指示位置にずれが生じてしまうのである。
【0005】
本願発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、指針の指示位置のずれを低減することが可能な計器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の計器装置は、
指針と、
回転子を有し、当該回転子を第1方向又は第2方向へ回転させることにより、指針を第1方向又は第2方向へ回転駆動する駆動源と、
回転子の回転を指針に伝達する伝達機構と、
指針の目標指示位置に応じた回転角度まで回転子を回転させるように、駆動源を駆動制御する制御手段とを備えた計器装置であって、
駆動源から伝達機構を介して指針に至る回転伝達経路には機械的な遊びがあり、当該機械的遊びにより、回転子が回転しても指針は不動となる結果、指針の指示位置にヒステリシスが生じるものであって、
指針は、予め定めた基準位置にて、当該指針を第1方向に回転駆動する際の、回転伝達経路における機械的遊びが最小となり、かつ第2方向に回転駆動する際の機械的遊びが最大となる状態で、伝達機構に結合され、
制御手段は、指針を第2方向に回転駆動する際、指針の目標指示位置に応じた回転角度に回転伝達経路の機械的遊びを補償するための補償角度を上乗せした角度を目標角度として、回転子を第2方向に回転させることを特徴とする。
【0007】
上述したように、基準位置において、第1方向への機械的遊びを最小とした状態で指針を伝達機構に結合することにより、指針を第1方向へ回転駆動する際には、回転伝達経路の機械的遊びを考慮する必要がなくなる。すなわち、この場合、指針は、回転子が回転した分だけその指示位置を変化させるようになる。一方、指針を第2方向へ回転駆動する際には、回転伝達経路の機械的遊びを補償する補償角度を上乗せした角度を目標角度とすることで、回転伝達経路の機械的遊びによる指示位置のずれを低減することができる。この結果、指針を第1方向に回転駆動する場合と、第2方向に回転駆動する場合とで、同じ指示位置に駆動しようとしたときに、その指示位置のずれを低減することが可能になる。
【0008】
また、上述したように、指針は、予め定めた基準位置にて、第1方向に回転駆動される際、回転伝達経路における機械的遊びが最小となる状態で、伝達機構に結合される。従って、この基準位置を用いて、指針の表示位置と回転子の角度との関係が一義的に定められるので、指針の指示位置に関する精度を向上することができる。
【0009】
請求項2に記載したように、制御手段は、指針の目標指示位置に応じた回転角度の変化が、第2方向に向かって所定の第1閾値角度以下である場合、指針を第2方向に回転駆動する際に、補償角度を上乗せせずに、指針の目標指示位置に応じた回転角度をそのまま目標角度として、回転子を第2方向に回転させることが好ましい。このようにすれば、指針の目標指示位置がふらつくように微小に変化した場合に、指針を不動状態に維持できるので、第2方向に向かって指針がぴくついたような動きをすることを防止できる。
【0010】
請求項3に記載の計器装置においては、制御手段が、指針を第2方向に回転駆動したとき、補償角度を上乗せした目標回転角度まで回転子を回転させている状態で、指針を第1方向に回転駆動する必要が生じたときには、回転子の目標角度への補償角度の上乗せを終了して、指針の目標指示位置に応じた回転角度をそのまま目標角度として、回転子を第1方向に回転させることを特徴とする。指針を第1方向に駆動する際には、回転伝達経路における機械的遊びは最小に設定されているので、なんら機械的遊びを考慮せずに、回転子の目標角度を定めれば良いためである。
【0011】
ただし、請求項4に記載したように、指針の目標指示位置に応じた回転角度の変化が、第1方向に向かって所定の第2閾値角度以下である場合には、制御手段は、指針を第1方向に回転駆動する際に、回転子の目標角度への補償角度の上乗せを継続し、この補償角度が上乗せされた目標角度となるように、回転子を第1方向に回転させることが好ましい。請求項2と同様に、指針の目標指示位置が微小に変化した場合に、第1方向への指針のぴくつきを防止するためである。
【0012】
請求項5に記載したように、補償角度は、回転伝達経路における機械的な遊びにより、回転子が回転しても指針は不動である不感帯角度に一致するように設定されることが好ましい。これにより、指針の指示位置のずれをほぼ完全になくすことができる。
【0013】
ただし、補償角度を、不感帯角度に一致するように設定するには、個々の計器装置における不感帯角度に正確に対応して補償角度を設定する必要がある。しかし、個々の計器装置における不感帯角度は、個体差により完全には一致しないので、上述のような設定を行うには、個々の計器装置における不感帯角度を検査時等に計測する必要が生じる。
【0014】
補償角度をより簡易に設定するには、請求項6に記載したようにすれば良い。すなわち、補償角度を、回転伝達経路における機械的な遊びにより、回転子が回転しても指針は不動である不感帯角度よりも所定角度だけ小さい値に設定する。この場合、補償角度によって指針の指示位置のずれを完全になくすことはできないが、少なくとも回転伝達経路の機械的遊びによって生じる指針の指示位置のずれを低減することはできる。
【0015】
なお、補償角度を不感帯角度よりも小さい値に設定することには、例えば、回転伝達経路を構成する各部品の設計値から、理論的な不感帯角度を計算により定め、その理論的な不感帯角度から所定角度を減算して補償角度を定めたり、複数の計器装置における実際の不感帯角度を計測し、その最小値を補償角度として採用したり、あるいは、実際の不感帯角度の平均値から所定角度を減算して補償角度を定めることを含む。
【0016】
請求項7に記載したように、第1及び第2の閾値角度は等しく設定されることが好ましい。これにより、指針が第1方向に回転駆動された場合と第2方向に回転駆動された場合とで、同程度のぴくつき防止効果を発揮できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態による計器装置について、図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による計器装置10の全体構成を示すブロック図である。なお、計器装置10は、指針が目標指示位置に一致するように、回転子を備える駆動源によって指針が回転駆動される限り、どのような量的表示にも適用できるものである。例えば、本実施形態による計器装置は、車両等において、速度、エンジン回転数等の表示に好適に用いることができる。
【0018】
図1において、20はマイクロコンピュータであり、図示しないセンサや他の制御装置から、指針の目標指示位置に関連する関連データを取得する。マイクロコンピュータ20は、取得した関連データに基づいて、指針60の指示位置を目標指示位置に一致させるためのステップモータ40の目標回転角度を算出する。そして、現状の回転角度からこの目標回転角度までステップモータ40を回転させるための駆動量を算出し、この駆動量に応じた駆動量信号を駆動回路30に出力する。駆動回路30は、入力された駆動量信号に基づいて、ステップモータ40を回転駆動するための駆動信号を生成する。
【0019】
ステップモータ40は、指針60を回転駆動するための駆動源としての役割を果たすものであり、ステップモータ40の回転子の回転を伝達する伝達機構50を介して、指針60と接続されている。指針60は、指針軸に支持されており、この指針軸の回動に伴って図示しない目盛り盤の表面に沿い回動する。
【0020】
ここで、ステップモータ40、伝達機構50及び指針60の具体的な構成の一例を図2に基づいて説明する。図2に示すように、ステップモータ40は、2相式ステップモータであり、伝達機構50としての減速歯車列及びストッパ機構70を内蔵している。このステップモータ40の回転に伴う減速歯車列の減速回転により、この減速歯車列の出力段歯車55(後述する)と同軸的に支持した指針軸61を回動する。
【0021】
ステップモータ40は、図2に示すように、ステータMsと、回転子としてのマグネットロータMrとを備えている。ステータMsは、ヨーク41と、界磁巻線43とを備えている。ヨーク41は、ポール状の磁極42を備えており、磁極42には界磁巻線33が巻装されている。なお、図2には示されていないが、ステー他Msは、一対の磁極、及びそれに巻装された一対の界磁巻線を備えている。
【0022】
マグネットロータMrは、ヨーク41内にて、回転軸44に同軸的に支持されており、このマグネットロータMrの外周面にはその周方向に沿い、N極とS極とが交互に多数着磁された磁極部が形成されている。そして、マグネットロータMrは、その回転に伴い、磁極部のN極又はS極が、ヨーク41の各磁極42の先端面に狭隙を介して対向するようになっている。
【0023】
このように構成したステップモータ40において、互いに位相を例えば、90度異にする各余弦波状駆動電圧が一対の界磁巻線42に印加されると、これら一対の界磁巻線42に流れる電流により余弦波状磁束が互いに位相を異にして発生し、ヨーク41及びマグネットロータMrの磁極を通り流れる。これにより、マグネットロータMrが一方向に回転する。また、一対の界磁巻線42に印加する各余弦波状駆動電圧の位相関係を逆にすることにより、マグネットロータMrの回転方向を逆転させ、他方向に回転させることができる。
【0024】
伝達機構50としての減速歯車列は、上述した出力段歯車55の他、マグネットロータMrの回転軸44に固定された入力段歯車51、中間歯車52及び54を備えている。これらの入力段歯車51、中間歯車52,54及び出力段歯車55、は、ステップモータ40のマグネットロータMrの回転速度を、所定の減速比で減速する。
【0025】
中間歯車52,54は、入力段歯車51と出力段歯車55との間に位置して、回転可能に支持された回転軸53に同軸的に支持されている。中間歯車54は出力段歯車55と噛合しており、この中間歯車54の径は中間歯車52の径及び出力段歯車55の径よりも小さい。入力段歯車51は、回転軸44に同軸的に支持されており、この入力段歯車51は、中間歯車52と噛合している。この入力段歯車51の径は中間歯車52の径よりも小さい。このように、入力段歯車51と中間歯車52との径の相違、及び中間歯車54と出力段歯車55との径の相違によって、ステップモータ40の回転速度(回転角度)に対して指針の回転速度(回転角度)は大きく減速される。従って、ステップモータ40を駆動源として指針60を回転駆動した場合でも、指針60をステップ的ではなく、ほぼ連続的に駆動することが可能になり、ユーザに対して、指針60が滑らかに動いているように見せることができる。
【0026】
ストッパ機構70は、短冊板状ストッパ71と、L字状腕73とからなる。ストッパ71は、指針60の直下において、指針60の長手方向に沿って、出力段歯車55の表面に突出形成されている。すなわち、ストッパ71は、指針60の指針軸61の先端部からの延出方向に対応するように、指針軸61から半径方向に向け出力段歯車55の表面に突出形成されている。腕73は、その先端部74が出力段歯車55の表面上に向け延出している。この腕73の先端部74の、上述したストッパ71と当接する側の端面75が、指針60の零位置をマイナス方向に所定角度だけ超えた位置に対応するように配置されている。これにより、指針60がステップモータ40の回転により零位置を超えて回転しようとすると、ストッパ71の当接面72が、腕73の端面75に当接することによって、指針60は、零位置を所定角度だけ越えた位置にて停止する。
【0027】
上述したように、ステップモータ40と指針60との間に、減速歯車列からなる伝達機構を設け、ステップモータ40の回転を指針60まで減速して伝達する場合、ステップモータ40から伝達機構50を介して指針60に至る回転伝達経路における機械的遊びが大きくなることは避けられない。
【0028】
この点について、図3を用いて詳細に説明する。図3は、上述した回転伝達経路における機械的遊びを模式的に示したものである。なお、図3において、指針60の指示位置を上昇させる(例えば、タコメータにおいて指針60の指示位置を高回転側に回転させる)ステップモータ40の回転方向を正転方向、指針60の指示位置を下降させる(タコメータにおいて指針60の指示位置を低回転側に回転させる)ステップモータ40の回転方向を逆転方向と定義する。
【0029】
ステップモータ40の回転軸44に取り付けられた入力段歯車51に相当する歯車1と、指針軸61が取り付けられた出力段歯車55に相当する歯車2との間には、入力段歯車51から出力段歯車55に至る各歯車間の機械的遊びの累積値に相当する遊びが存在する。このため、その機械的遊びの分だけ、ステップモータ40の第1歯車が回転しても指針60が動かない不感帯が生じる。この結果、指針60を正転させるときと、逆転させるときとで、指針を同じ指示位置に駆動しようとしても、指示位置にずれが生じてしまう。すなわち、指針60の回転方向に依存して、指針60の指示位置にヒステリシスが生じてしまう。
【0030】
そのため、本実施形態では、以下に説明する対策を施すことによって、指針60の指示位置のずれを低減することを可能としたものである。
【0031】
まず、本実施形態では、指針60を指針軸61に装着する際に、正転方向(第1方向)への機械的遊びが最小、すなわち零となり、逆転方向(第2方向)への機械的遊びが最大となるようにする。このためには、最初に、指針60を指針軸61に装着していない状態で、ストッパ機構70によって出力段歯車55が停止するまで、ステップモータ40を逆転方向に駆動する。これにより、もし指針60が装着されていれば、指針60は最下点を示すことになる。
【0032】
次に、例えば指針60が最下点から零位置を示す位置まで回転するのに必要な角度だけ、ステップモータ40を正転させる。ただし、このとき重要なことは、指針60が最下点から零位置を示す位置まで回転するのに必要な角度として、図3に示す第1歯車と第2歯車間の機械的遊びを見込んだ角度とすることである。つまり、単純に、指針60が最下点から零位置を示す位置まで回転するのに相当する角度だけ、ステップモータ40を正転させると、機械的遊びによる不感帯に相当する不感帯角度の分だけ、実質的にステップモータ40の正転角度が減少してしまう。このため、指針60が最下点から零位置を示す位置まで回転するのに相当する角度に不感帯角度を加えた角度だけ、ステップモータ40を正転させる。
【0033】
このようなステップモータ40の正転駆動によって、ステップモータ40から指針60までの回転伝達経路の角度位置を、指針60の零位置に対応した位置としつつ、図4の模式図に示すように、ステップモータ40の正転方向において、ステップモータ40側の第1歯車と指針軸61側の第2歯車との機械的遊びを最小にした状態、すなわち、機械的遊びを零とした状態にすることができる。この状態において、指針60を、零位置を指示するように、指針軸61に装着すれば、正転方向への機械的遊びが最小となり、逆転方向への機械的遊びが最大となる状態で、指針60を指針軸61に装着できる。
【0034】
この結果、指針60を目標指示位置まで駆動する際に、ステップモータ40から指針60までの回転伝達経路における機械的な遊びは、指針60を下降させる側のみに生じる。従って、指針60の指示位置を制御する制御ロジックにより、指針60を下降させる際、その機械的遊びを低減する処理を実行すれば、指針60の指示位置のヒステリシスを低減することができる。
【0035】
なお、上述した例では、指針60の零位置を、指針60を指針軸61に装着する際の基準位置としたが、零位置以外の指示位置を基準位置としても良い。ただし、基準位置においては、ステップモータ40側の第1歯車と、指針軸61側の第2歯車との間の機械的遊びが正転方向に対して最小となる必要がある。このため、少なくとも最下点から機械的遊びによる不感帯角度に相当する角度だけ、ステップモータ40が正転方向に回転した位置を基準位置とする必要がある。また、上述した例では、指針60の零位置をマイナス方向に所定角度だけ超えた位置に最下点を設けたが、この最下点は、零位置に一致するように設けても良い。
【0036】
次に、本実施形態による、指針60の指示位置を制御する制御ロジックについて、図5のフローチャートに基づいて説明する。なお、図5のフローチャートに示す制御処理は、所定時間(例えば20ms)を制御周期として、繰返し実行されるものである。
【0037】
まず、ステップS110では、図示しないセンサや他の制御装置から、指針の目標指示位置に関連する関連データ信号を入力する。ステップS120では、入力した関連データ信号に基づいて、指針60の指示位置を目標指示位置に一致させるためのステップモータ40の目標回転角度を算出する。なお、この目標回転角度の算出に際しては、例えば予め設定した、入力関連データ信号と目標回転角度との関係を示すマップから抽出するようにしても良いし、所定の算出式を用いて演算により算出しても良い。
【0038】
ステップS130では、算出した目標角度が、指針60の指示位置の上限に相当する振切り角度以上であるか否かを判定する。この判定処理において、目標角度が振切り角度以上であると判定されると、ステップS140において、指針60を上限指示位置を超えて回転駆動しないように、目標角度を振切り角度に置き換える。その後、ステップS200に進んで、目標角度だけステップモータ40を回転させるために、目標角度に応じた駆動量信号を駆動回路30に出力する。すると、駆動回路30は、駆動量信号に従って、指針60の表示位置を上限位置に一致するように、上述した余弦波状駆動電圧をステップモータ40に印加する。
【0039】
一方、ステップS130の判定処理において、目標角度が振切り角度よりも小さいと判定された場合には、ステップS150に進んで、指針60が下降側に駆動される際に、上述した機械的遊びによる不感帯に相当する不感帯角度分を補償するため、目標角度を補正する必要があるか否かを判定する。この補正判定処理については後に詳細に説明する。
【0040】
ステップS150において、目標角度を補正する必要があると判定された場合には、補正フラグがオンされ、一方、目標角度を補正する必要はないと判定された場合には、補正フラグがオフされる。ステップS160では、この補正フラグがオンしているか否かを判定する。このステップS160において、補正フラグがオフであると判定された場合には、ステップS200に進み、ステップS120にて算出された目標角度をそのまま用いて、その目標角度に応じた駆動量信号を出力する。
【0041】
一方、ステップS160において、補正フラグがオンしていると判定された場合には、ステップS170に進み、目標角度は、指針60の最下点に対応する最下点角度に、目標角度を補正する際の補償角度を加えた角度以上であるか否かを判定する。このステップS170の判定処理において「No」と判定された場合、補償角度分だけ目標角度の補正を行うと、指針60が最下点よりも低下するように駆動されてしまうので、指針60の最下点に対応する最下点角度を目標角度とする。逆に、ステップS170の判定処理において「Yes」と判定された場合には、ステップS190に進み、目標角度から機械的遊びによる不感帯角度分を補償するための補償角度を減算することによって補正目標角度を算出する。そして、ステップS200において、この補正目標角度に応じた駆動量信号を駆動回路30に出力する。
【0042】
ここで、補償角度について説明する。この補償角度は、回転伝達経路における機械的な遊びによる不感帯角度よりも所定角度だけ小さい値に設定する。この場合、補償角度によって指針60の指示位置のずれを完全になくすことはできないが、少なくとも回転伝達経路の機械的遊びによって生じる指針の指示位置のずれを低減することはできる。
【0043】
補償角度を不感帯角度よりも小さい値に設定するには、例えば、回転伝達経路を構成する各部品の設計値から、理論的な不感帯角度を計算により定め、その理論的な不感帯角度から所定角度を減算して補償角度を定めたり、複数の計器装置における実際の不感帯角度を計測し、その最小値を補償角度として採用したり、あるいは、実際の不感帯角度の平均値から所定角度を減算して補償角度を定めるようにすれば良い。
【0044】
上述したように、補償角度を機械的遊びによる不感帯角度より小さい値に設定するのは、この不感帯角度が、個々の計器装置における個体差によってばらつきが生じるためである。つまり、補償角度を不感帯角度より小さくすることで、不感帯角度が個々の計器装置でばらついても、各計器装置に共通の補償角度を用いながら、過剰な補正を行うことを防止できる。
【0045】
ただし、補償角度を個々の計器装置の不感帯角度に一致するように設定することができれば、指針60の指示位置のずれをほぼ完全になくすことができる。従って、個々の計器装置における不感帯角度を検査時等に計測し、その計測値に基づいて、個々の計器装置の補償角度を個別に設定するようにしても良い。
【0046】
次に、図6のフローチャートを用いて、補正判定処理について説明する。補正判定処理が開始されると、まずステップS210において、目標角度が上ピーク値を超えているか否かが判定される。このステップS210の判定処理において「No」と判定された場合、ステップS270の処理に進み、目標角度が下ピーク値を下回っているか否かが判定される。これらの上ピーク値及び下ピーク値は、原則として、前回の制御周期における目標角度によって更新される。このため、今回の制御周期における目標角度と、上ピーク値及び/又は下ピーク値を比較することにより、今回の制御周期における目標角度が、前回の制御周期における目標角度に対して、ステップモータ40の正転方向に向かって変化するのか、逆転方向に向かって変化するのか、あるいは同一であるのかを判定することができる。今回の制御周期における目標角度が、前回の制御周期における目標角度と同一である場合には、ステップS210及びステップS270での判定結果がいずれも「No」となり、そのまま補正判定処理を終了する。
【0047】
ステップS210において、目標角度が上ピーク値を超えていると判定された場合には、ステップS220の処理に進み、次回の制御周期における判定に備えて、上ピーク値の更新を行う。具体的には、今回の制御周期における目標角度を新たな上ピーク値として記憶する。続くステップS230では、目標角度と下ピーク値との角度差を算出する。そして、ステップS240にて、算出した角度差と所定の第1閾値角度θT1との大小を比較する。この第1閾値角度θT1は、上述した回転伝達経路における機械的遊びによる不感帯角度よりも小さい角度に設定される。一例を挙げると、不感帯角度が、指針60の回転角度に換算して0.8°程度である場合、第1閾値角度θT1は0.2°程度に設定される。
【0048】
ここで、目標角度と下ピーク値との角度差を算出して、第1閾値角度θT1と比較するのは、指針60の目標指示位置がふらつくように微小に変化した場合に敏感に反応して、指針60の指示位置がぴくつくように変化することを抑制するためである。
【0049】
この点について、以下、詳しく説明する。ステップS230にて算出した角度差が所定の第1閾値角度θT1以下である場合には、ステップS240の判定分岐処理により、ステップS250以降の処理を実行することなく、補正判定処理を終了する。ステップS250では、補正フラグをオフに設定する処理を実行する。従って、補正フラグがオンされて、補償角度分だけ減算された補正目標角度に従って、ステップモータ40の回転角度を制御している状態において、ステップモータ40を正転側へ僅かに駆動するような目標角度の変化(第1閾値角度θT1以下の変化)が生じた場合でも、補正フラグがオンのまま維持されるのである。すると、正転側への目標角度の僅かな変化に応じて、ステップモータ40が正転側に駆動されても、そのステップモータ40の回転角度は、回転伝達経路における機械的遊びによる不感帯角度内に収まるため、指針60の指示位置は実質的に変化しない。従って、指針60の目標指示位置がふらつくように僅かに変化しても、それによって指針60がぴくついたような動きをすることを抑制できる。
【0050】
ステップS240において、ステップS230にて算出した角度差は所定の第1閾値角度θT1よりも大きいと判定された場合には、上述したステップS250に進み、補正フラグをオフする。これにより、ステップモータ40が逆転方向に駆動されていた状態から、上述した第1閾値角度θT1以上の回転角度だけ、正転方向に駆動する状態に切り替えるときに、補償角度分だけ減算した補正目標角度を用いた補正処理を終了させることができる。
【0051】
続くステップS260では、下ピーク値の更新を行う。具体的には、今回の制御周期における目標角度を新たな下ピーク値として記憶する。このように、ステップS260において今回の制御周期における目標角度によって下ピーク値の更新を行うのは、目標角度の正転方向における変化が、第1閾値角度θT1を超えたため、次回の制御周期では、その変化後の目標角度を基準として、目標角度の変化が第1閾値角度θT1以下の微小な変化であるか否かを判定するためである。
【0052】
なお、ステップS240の判定処理により、ステップモータ40の目標角度が正転方向に向かって変化する場合には、目標角度と下ピーク値との角度差として算出される目標角度の変化が、第1閾値角度θT1を超えない限り、下ピーク値の更新が実行されない。また、後述するように、ステップモータ40の目標角度が逆転方向に向かって変化する場合も同様であり、目標角度と上ピーク値との角度差として算出される目標角度の変化が、第2閾値角度θT1を超えない限り、上ピーク値の更新が実行されない。このため、上ピーク値と下ピーク値とは、最大で第1閾値角度θT1(第2閾値角度θT2)だけ乖離する場合がある。そして、目標角度が、この乖離した上ピーク値と下ピーク値との間の範囲で変化している場合には、ステップモータ40の回転角度が変化しても、その変化は機械的遊びによる不感帯角度に収まるので、指針60の指示位置は一定の位置に維持される。
【0053】
ステップS270において目標角度が下ピーク値よりも小さいと判定された場合には、ステップS280の処理に進む。ステップS280では、次回の制御周期における判定に備えて、今回の制御周期における目標角度を新たな下ピーク値として記憶することにより、下ピーク値を更新する。続くステップS290では、目標角度と上ピーク値との角度差を算出し、ステップS300にて、算出した角度差と所定の第2閾値角度θT2との大小を比較する。この第2閾値角度θT2は、上述した第1閾値角度θT1と等しい角度値に設定されることが好ましい。これにより、指針60が上昇側に回転駆動された場合と下降側に回転駆動された場合とで、同程度のぴくつき防止効果を発揮できるようになる。
【0054】
ステップS300において、算出した角度差が第2閾値角度θT2以下であると判定された場合には、ステップS310及びS320の処理を実行することなく、補正判定処理を終了する。一方、ステップS300において、算出した角度差が第2閾値角度θT2よりも大きいと判定された場合には、ステップS310に進んで、補正フラグをオンする。すなわち、この場合、ステップモータ40の逆転方向へ向かって、第2閾値角度θT2よりも大きい目標角度の変化が生じたため、機械的遊びによる不感帯角度分を補償角度によって補償する必要があるため、補正フラグをオンするのである。
【0055】
続くステップS320では、上ピーク値の更新を行う。具体的には、今回の制御周期における目標角度を新たな上ピーク値として記憶する。これは、ステップS260の場合と同様に、目標角度の逆転方向における変化が、第2閾値角度θT2を超えたため、次回の制御周期では、その変化後の目標角度を基準として、目標角度の変化が第2閾値角度θT2以下の微小な変化であるか否かを判定するためである。
【0056】
図5及び図6のフローチャートに示す指針の制御処理による一例を図7〜図12のタイムチャートに従って説明する。なお、図7〜図12のタイムチャートは、時間の経過に伴って変化する、ステップモータ40の目標角度、上ピーク値、下ピーク値、及び指針の指示位置などを表している。
【0057】
まず、図7のタイムチャートでは、計器装置10における表示が開始された直後の状態が示されている。計器装置10における表示開始時点では、指針60を指針軸61に装着したときと同様に、ステップモータを40を、指針60の最下点に対応する最下点角度まで駆動し、その後、指針60が零位置Aを指示する角度まで、ステップモータ40を正転方向へ回転した状態となっている。この場合、初期的に、補正フラグはオフされている。また、図7に示すように、目標角度がAのまま変化していないため、上ピーク値及び下ピーク値も更新されておらず、目標角度に一致した状態となっている。
【0058】
図7に示す状態から、図8に示す状態のように、ステップモータ40の目標角度が、第1閾値角度θT1を超えて正転方向に変化した場合、上ピーク値及び下ピーク値とも、その変化後の目標角度によって更新される。そして、その目標角度となるように、ステップモータ40が正転方向に駆動されることにより、ステップモータ40の正転方向への機械的遊びは零であるから、指針60の指示位置は、その目標角度の変化分に相当する角度だけ回転される。
【0059】
さらに、図8に示す状態から図9に示す状態のように、ステップモータ40の目標角度が、第2閾値角度θT2の範囲内で、逆転方向に変化した場合、下ピーク値のみが、その変化後の目標角度によって更新され、上ピーク値は、前回の制御周期における目標角度のまま保持される。そして、この第2閾値角度θT2の範囲内でステップモータ40の目標角度が変化し、その変化後の目標角度となるようにステップモータ40を逆転方向に駆動しても、そのときのステップモータ40の回転角度は、不感帯角度θhに収まるので、指針60の表示位置は変化することはない。このように、ステップモータ40の目標角度が第2閾値角度θT2以下のわずかな角度だけ変化しても、それによって指針60の指示位置が変化しないため、目標角度のふらつきによって指針60がぴくついたような動きをすることを抑制できる。
【0060】
図9に示す状態から図10に示す状態のように、ステップモータ40の目標角度が、さらに逆転方向に変化し、記憶されている上ピーク値との角度差として算出される目標角度の変化が第2閾値角度θT2を超えた場合、その変化後の目標角度によって上ピーク値及び下ピーク値が更新される。
【0061】
そして、この場合、単に変化後の目標角度となるようにステップモータ40を駆動しても、指針60の下降側に存在する機械的遊びによる不感帯角度θhにより、指針60の指示位置が変化しない。もしくは、その不感帯角度θhを超えるような目標角度の変化があった場合には、指針60の指示位置の変化は生じるが、不感帯角度θT2の分だけ、指針60の指示位置がずれることになる。
【0062】
このため、図10に示すように、今回の制御周期における目標角度を補償角度によって補正した補正目標角度を算出し、この補正目標角度によってステップモータ40を逆転方向に回転駆動する。これにより、不感帯角度θhの存在に係らず、指針60の指示位置を、目標角度の変化分に相当する角度だけ下降側に向けて変化させることができる。なお、図10では、補償角度として、不感帯角度θhよりも所定角度だけ小さい値を用いる例を示している。
【0063】
上述した補正目標角度は、ステップモータ40を回転駆動するために便宜的に用いられるものであり、今回の制御周期における目標角度は、更新された上ピーク値及び下ピーク値によって記憶されている。これら上ピーク値及び下ピーク値を用いることで、次回の目標角度の変化の向き及び大きさを正確に判定できる。
【0064】
図10に示す状態から図11に示す状態のように、補償角度により目標角度の補正が行われているときに、ステップモータ10の目標角度が、正転方向に向けて、第1閾値角度θT1の範囲で変化した場合には、上ピーク値は新しい目標角度によって更新されるが、下ピーク値は変化せず、補正フラグがオンとなっている状態も維持される。従って、ステップモータ40は、新たな目標角度から補償角度を減算した補正目標角度となるように正転方向に駆動される。しかし、この駆動によるステップモータ40の回転角度は、不感帯角度θhに収まるので、指針60の指示位置は変化することはない。
【0065】
図11に示す状態から図12に示す状態のように、ステップモータ40の目標角度が、さらに正転方向に変化し、記憶されている下ピーク値との角度差として算出される目標角度の変化が第1閾値角度θT1を超えた場合、その変化後の目標角度によって上ピーク値及び下ピーク値が更新される。
【0066】
さらに、この場合、補正フラグがオフされて、補償角度による目標角度の補正処理が終了される。このため、ステップモータ40には、今回の制御周期における目標角度に応じた駆動量信号がそのまま出力されることになる。すると、ステップモータ40は、逆転方向に向けて補償角度分だけ余分に駆動されていたため、今回の目標角度となるように駆動される際には、その補償角度の分だけ余分に正転側に駆動されることになる。このため、ステップモータ40を逆転方向に駆動している状態から正転方向に駆動する状態へ切り換える場合にも、不感帯角度θhに係らず、指針60の指示位置を目標とする位置まで上昇側へ変化させることができる。
【0067】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0068】
例えば、上述した実施形態では、ステップモータ40の正転方向を第1方向、逆転方向を第2方向として、正転方向における回転伝達経路の機械的遊びを最小とし、逆転方向における機械的遊びを最大とするように、指針60を指針軸61に装着した。しかしながら、正転方向を第2方向、逆転方向を第1方向として、逆転方向における回転伝達経路の機械的遊びを最小とするように、指針60を指針軸61に装着するようにしても良い。例えば、指針装着時に、機械的遊びによる不感帯角度分だけステップモータ40を余分に回転しなければ、逆転方向における回転伝達経路の機械的遊びを最小とした状態で、指針60を指針軸61に取り付けることができる。そして、ステップモータ40を正転方向に駆動する際に、上述した補償角度による目標角度の補正処理を行えば、上述した実施形態と同様に、指針60の指示位置に関するヒステリシスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施形態による計器装置10の全体構成を示すブロック図である。
【図2】ステップモータ40、伝達機構50及び指針60の具体的な構成の一例を示す斜視図である。
【図3】ステップモータ40から指針60に至る回転伝達経路における機械的遊びを模式的に示した模式図である。
【図4】図3の模式図に相当するものにおいて、ステップモータ40の正転方向において、回転伝達経路の機械的遊びが最小となり、逆転方向において、機械的遊びが最大となった状態を示す説明図である。
【図5】指針60の指示位置を制御する制御ロジックを示すフローチャートである。
【図6】図5のフローチャートにおける補正判定処理の詳細な処理を示すフローチャートである。
【図7】図5及び図6のフローチャートに示す指針の制御処理による指針位置の制御例を説明するための第1のタイムチャートである。
【図8】図5及び図6のフローチャートに示す指針の制御処理による指針位置の制御例を説明するための第2のタイムチャートである。
【図9】図5及び図6のフローチャートに示す指針の制御処理による指針位置の制御例を説明するための第3のタイムチャートである。
【図10】図5及び図6のフローチャートに示す指針の制御処理による指針位置の制御例を説明するための第4のタイムチャートである。
【図11】図5及び図6のフローチャートに示す指針の制御処理による指針位置の制御例を説明するための第5のタイムチャートである。
【図12】図5及び図6のフローチャートに示す指針の制御処理による指針位置の制御例を説明するための第6のタイムチャートである。
【符号の説明】
【0070】
10 計器装置
20 マイクロコンピュータ
30 駆動回路
40 ステップモータ
50 伝達機構
60 指針

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指針と、
回転子を有し、当該回転子を第1方向又は第2方向へ回転させることにより、前記指針を第1方向又は第2方向へ回転駆動する駆動源と、
前記回転子の回転を前記指針に伝達する伝達機構と、
前記指針の目標指示位置に応じた回転角度まで前記回転子を回転させるように、前記駆動源を駆動制御する制御手段とを備えた計器装置であって、
前記駆動源から前記伝達機構を介して前記指針に至る回転伝達経路には機械的な遊びがあり、当該機械的遊びにより、前記回転子が回転しても指針は不動となる結果、前記指針の指示位置にヒステリシスが生じるものであって、
前記指針は、予め定めた基準位置にて、当該指針を前記第1方向に回転駆動する際の、前記回転伝達経路における機械的遊びが最小となり、かつ前記第2方向に回転駆動する際の機械的遊びが最大となる状態で、前記伝達機構に結合され、
前記制御手段は、前記指針を前記第2方向に回転駆動する際、前記指針の目標指示位置に応じた回転角度に前記機械的遊びを補償するための補償角度を上乗せした角度を目標角度として、前記回転子を前記第2方向に回転させることを特徴とする計器装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記指針の目標指示位置に応じた回転角度の変化が、前記第2方向に向かって所定の第1閾値角度以下である場合、前記指針を前記第2方向に回転駆動する際に、前記補償角度を上乗せせずに、前記指針の目標指示位置に応じた回転角度をそのまま目標角度として、前記回転子を前記第2方向に回転させることを特徴とする請求項1に記載の計器装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記指針を前記第2方向に回転駆動したとき、前記補償角度を上乗せした目標回転角度まで前記回転子を回転させている状態で、前記指針を前記第1方向に回転駆動する必要が生じたときには、前記回転子の目標角度への前記補償角度の上乗せを終了して、前記指針の目標指示位置に応じた回転角度をそのまま目標角度として、前記回転子を前記第1方向に回転させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の計器装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記指針の目標指示位置に応じた回転角度の変化が、前記第1方向に向かって所定の第2閾値角度以下である場合、前記指針を前記第1方向に回転駆動する際に、前記回転子の目標角度への前記補償角度の上乗せを継続し、この補償角度が上乗せされた目標角度となるように、前記回転子を前記第1方向に回転させることを特徴とする請求項3に記載の計器装置。
【請求項5】
前記補償角度は、前記回転伝達経路における機械的な遊びにより、前記回転子が回転しても指針は不動である不感帯角度に一致するように設定されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の計器装置。
【請求項6】
前記補償角度は、前記回転伝達経路における機械的な遊びにより、前記回転子が回転しても指針は不動である不感帯角度よりも所定角度だけ小さい値に設定されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の計器装置。
【請求項7】
前記第1及び第2の閾値角度は等しく設定されることを特徴とする請求項4に記載の計器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−232436(P2007−232436A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51855(P2006−51855)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】