説明

計数異常検出装置と、これを備える遊技場管理システム

【課題】 返却数を監視することで、遊技の途中においても、各台計数機に対する不正計数を発見できる。
【解決手段】 遊技機毎に設置される各台計数機とカード式玉貸機に対する不正計数を監視する計数異常検出装置であって、貸出した貸出遊技媒体数を集計する貸出数集計手段(S12)と、返却した返却遊技媒体数を集計する返却数集計手段(S13)と、遊技機での遊技により取得した取得遊技媒体数を集計する取得数集計手段(S14)と、各集計手段で集計された遊技媒体数に基づいて計数異常を判定する計数異常判定手段(S15,S17,S20)と、を備える構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機毎に設置された各台計数機に対する不正計数を監視する計数異常検出装置と、これを備える遊技場管理システムに関し、特に、計数された計数値に基づいて返却される返却数を監視することで、不正計数を早期に検出する計数異常検出装置と、これを備える遊技場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場には、遊技媒体を貸出す遊技媒体貸出装置が、パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機毎に設置されており、この遊技媒体貸出装置に、現金や有価価値の記録された記録媒体(プリペードカード、ICコインなど)、貯玉会員カードを投入することで、遊技媒体が貸出されて遊技者に提供される。
近年、この遊技媒体貸出装置と一体又は別体に、遊技媒体を計数する計数装置と、この計数装置で計数された遊技媒体を再び遊技者に返却する返却装置とを備える各台計数機の設置が増加している。
各台計数機は、貸出された遊技媒体を元にして当該遊技機で取得した遊技媒体を計数装置で計数させて、一時的に記憶させておくことができるとともに、この記憶した遊技媒体数を、遊技に供するために、遊技者の操作によって再び返却することができるように構成されている。
【0003】
このような各台計数機の増加に伴い、各台計数機に対する不正行為が増えている。各台計数機に対する不正行為は、主に計数値を不正に増加させるもので、例えば、計数装置の内部に設けられた計数センサに、糸で吊るした遊技媒体を往復して通過させる行為などが知られている。
【0004】
このような不正計数行為を発見するために、貸出された遊技媒体数と遊技機から払出された遊技媒体数との和より、遊技機に投入された遊技媒体数と計数値との和のほうが多いときに不正計数行為があったものと判断する不正行為検出装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−76581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された不正行為検出装置では、計数値に基づいて不正計数を判定する構成となっていることから、以下のような問題が解決できなかった。
例えば、特許文献1に記載された不正行為検出装置では、計数値を一定にさせつつ、頻繁に返却して窃取された遊技媒体はカウントされないことから、このような不正計数が看過されるおそれがあった。
【0007】
本発明は、以上のような問題を解決するために提案されたものであり、返却された返却数に基づいて不正計数を早期に発見できる画期的な計数異常検出装置とこれを備える遊技場管理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の計数異常検出装置は、遊技媒体を貸出す貸出手段と、遊技機で取得した遊技媒体を計数する計数手段と、この計数手段で計数された遊技媒体を返却する返却手段と、を備える遊技機毎に設置される遊技媒体貸出装置に対する不正計数を監視する計数異常検出装置であって、前記返却手段が返却した返却遊技媒体数を集計する返却数集計手段と、前記貸出手段が貸出した貸出遊技媒体数を集計する貸出数集計手段と、当該遊技機での遊技により取得した取得遊技媒体数を集計する取得数集計手段と、前記各集計手段で集計された遊技媒体数に基づいて計数異常を判定する計数異常判定手段と、を備える構成としてある。
【0009】
また、本発明の遊技場管理システムは、遊技媒体を貸出す貸出手段と、遊技機で取得した遊技媒体を計数する計数手段と、この計数手段で計数された遊技媒体を返却する返却手段と、精算操作に基づいて所定のID情報が記録された記録媒体を発行する発行手段と、を備える遊技機毎に設置される遊技媒体貸出装置と、前記記録媒体の発行時における前記計数手段で計数された計数値を前記ID情報毎に管理する管理装置と、前記記録媒体から前記ID情報を読取るとともに、このID情報に対応する前記計数値に基づいて所定の景品交換処理を行う景品交換処理装置と、がネットワークを介して接続された遊技場管理システムであって、前記遊技媒体貸出装置に対する不正計数を監視する計数異常検出装置を備え、前記計数異常検出装置が、請求項1〜8に記載の計数異常検出装置である構成としてある。
【発明の効果】
【0010】
本発明の計数異常検出装置とこれを備える遊技場管理システムによれば、返却数を監視することで、遊技の途中においても、各台計数機に対する不正計数を発見できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る遊技場管理システムの構成を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る遊技場管理システムの各装置間において送受される信号を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る各台計数機とカード式玉貸機を示す概略正面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る各台計数機の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る計数異常検出装置が検出する計数異常を時系列で示した説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る計数異常検出装置において実行される計数異常を検出する処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る計数異常検出装置において実行される計数異常を検出する処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る計数値管理装置が管理するICコイン毎の計数値と計数異常を示した説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る遊技場管理システムの各装置間で送受される情報の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る計数異常検出装置と、これを備える遊技場管理システムの好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る遊技場管理システムの構成を模式的に示す説明図であり、図2は、この遊技場管理システムを構成する各装置間において送受される信号を示す説明図である。
また、図3は、本実施形態に係る各台計数機とカード式玉貸機を示す概略正面図であり、図4は、この各台計数機の構成を示すブロック図である。
【0013】
これらの図に示すように、本実施形態に係る遊技場管理システム1は、各台計数機10、カード式玉貸機20、台コンピュータ30、島コンピュータ40、計数値管理装置50、景品交換装置60、ホールコンピュータ70で構成され、これらの各装置が所定のネットワーク(例えば、ローカル・エリア・ネットワーク)を介して接続されている。
【0014】
各台計数機10とカード式玉貸機20は、パチンコ機100毎に設置され、各台計数機10は、パチンコ機100で取得した遊技球を計数する計数手段と、計数した遊技球を遊技者の操作に基づいて返却する返却手段と、を備え、カード式玉貸機20は、所定の記録媒体を投入して、遊技球を貸出す貸出手段を備え、各台計数機10とカード式玉貸機20とで、本発明の遊技媒体貸出装置を構成している。
そして、これらに接続された台コンピュータ30が本発明の計数異常検出装置として機能することで、各台計数機10において計数される遊技球を不正に増加させる不正計数行為を早期に発見することができるようになっている。
以下、各装置について説明する。
【0015】
各台計数機10とカード式玉貸機20は、図3に示すように、パチンコ機100に隣接して設置される既存の遊技場設備である。
カード式玉貸機20は、貸出手段の一例であり、カード投入口21からプリペードカードなどの有価価値を有する記録媒体を投入して、このプリペードカードに記録された有価価値を示す度数の範囲内で、遊技球を貸出すことができるようになっている。また、会員カード投入口22から貯玉会員カードを投入することで、ホールコンピュータ70が記憶・管理する、会員が事前に蓄えた貯留遊技球数(貯玉数)の範囲内で、遊技球を引出して再プレイすることができるようになっている。
カード式玉貸機20からは、貸出された遊技球数を示す貸玉数信号と、引出された遊技球数を示す再プレイ玉数信号とが出力され、それぞれ台コンピュータ30に入力されている(図2参照)。
【0016】
各台計数機10は、計数手段と返却手段の一例であり、パチンコ機100の下皿102から投下される遊技球を受入れる投入口16、受入れた遊技球を計数する計数部16a、計数された計数値を記憶する記憶部17、計数値を表示する表示部13、返却ボタン12の操作に基づいて計数値の範囲内で遊技球を遊技者に返却するために外部に送出する返却部14a、送出された遊技球をパチンコ機100の上皿101に誘導するノズル14、精算ボタン11の操作に基づいてICコイン80を発行する発行部15a、発行されたICコイン80が排出されるICコイン返却口15、台コンピュータ30と通信を行う通信部18、上記各部を制御する中央演算処理装置(CPU)を備えるコンピュータからなる制御部19などで構成されている。
【0017】
計数部16aは、投入口16から投入された遊技球をカウントする図示しないセンサ(例えば、フォトインタラプタや近接センサ)が内蔵され、このセンサが不正計数行為の対象となっている。
このセンサからの検出信号は、計数値信号として出力され、台コンピュータ30に入力されている(図2参照)。
また、返却部14aは、遊技者に返却する遊技球の返却数をカウントするセンサ(例えば、フォトインタラプタや近接センサ)を備えており、このセンサからの検出信号は、返却数信号として出力され、台コンピュータ30に入力されている(図2参照)。
【0018】
さらに、各台計数機10からは、精算ボタン11が操作され、発行部15aからICコイン80が発行されると、そのときに記憶部17に記憶されている計数値と、ICコイン80に記録されている、当該ICコインを特定可能な固有のID情報であるコインIDとが出力され、台コンピュータ30を介して、計数値管理装置50に入力される(図2参照)。
これにより、計数値管理装置50がコインID毎に計数値を記憶・管理できるようになっている。
【0019】
パチンコ機100は、遊技機の一例であり、表示器に特定の図柄が表示されると所定の入賞口が開放する、いわゆるセブン機である。
パチンコ機100からは、遊技状態を示す遊技信号として、大当り状態を示す大当り信号、大当りの抽せん確率がアップする確率変動状態を示す確変信号が出力され、遊技球の出入数を示す遊技信号として、パチンコ機100から払出される遊技球の払出数を示すセーフ信号、パチンコ機100に投入される遊技球の投入数を示すアウト信号が出力され、台コンピュータ30とホールコンピュータ70に入力されている(図2参照)。
【0020】
台コンピュータ30は、本発明の計数異常検出装置の一例であり、各台計数機10とカード式玉貸機20とパチンコ機100とから入力される信号に基づいて、各台計数機10に対する不正計数を検出するとともに、検出した計数異常情報と、各台計数機10からのコインIDと計数値を計数値管理装置50に、また、パチンコ機100からの遊技信号をホールコンピュータ70に中継して送信する情報処理装置として構成されている。
【0021】
台コンピュータ30は、中央演算処理装置(CPU)、記憶手段(RAM、ROM)、通信インターフェイスなどを備えるコンピュータで構成され、記憶手段(ROM)に記憶されたプログラムが実行されることで、台コンピュータ30が、貸出された貸出遊技球数(貸出数)を集計する貸出数集計手段、返却された返却遊技球数(返却数)を集計する返却数集計手段、パチンコ機100で取得された取得遊技球数(取得数)を集計する取得数集計手段、各集計手段で集計された遊技球数に基づいて計数異常を判定する計数異常判定手段として機能するようになっている。
【0022】
台コンピュータ30は、カード式玉貸機20から入力される貸玉数信号と再プレイ玉数信号のそれぞれの入力数を加算して貸出遊技球数(貸出数)を算出し、返却遊技球数(返却数)を、各台計数機10から入力される返却数信号の入力数から算出する。
また、取得遊技球数(取得数)を、セーフ信号の入力数からアウト信号の入力数を減算して算出する。
さらに、各台計数機10から入力される計数値信号の入力数から計数値を求める。
【0023】
また、台コンピュータ30は、パチンコ機100から入力される遊技信号に基づいて当該パチンコ機100の遊技状態を判定している。
例えば、大当り信号が入力されている間は、大当り状態と判定し、確変信号が入力されている間は、確率変動状態と判定し、それ以外を通常遊技状態と判定する。
その結果、通常遊技状態と判定したときの取得数は、通常遊技における取得数であり、大当り状態と判定したときの取得数は、大当りにおける取得数として算出される。
なお、通常遊技では、払出数よりも投入数のほうが多いため、通常遊技における取得数は、負の数となる。
【0024】
また、台コンピュータ30は、遊技客の入替りを判定して、遊技客の入替り毎に算出した貸出数と返却数と取得数と計数値を初期化している。
例えば、台コンピュータ30は、アウト信号の入力間隔を監視することで、遊技客の入替りを判定することができる。
パチンコ遊技では、遊技球を遊技盤内に継続的に投入(発射)して遊技を行うことから、遊技球の投入数を示すアウト信号は一定の間隔で入力される。そこで、所定時間(例えば、10分)以上の間隔をあけてアウト信号が入力された場合には、遊技客が入替ったものと判定することができる。
また、カード式玉貸機20に異なる会員情報が記録された会員カードが投入されたときには、遊技客が入替ったものと判定することができる。
また、台コンピュータ30は、大当り信号が入力された後の通常遊技状態で、大当りで取得した取得数を消費しないうちに(大当りにおける取得数−通常遊技における取得数>0)、カード式玉貸機20から貸玉数信号が入力されたときには、遊技客が入替ったものと判定することができる。
そして、このような判定方法により遊技客の入替りと判定されたときには、算出した貸出数と返却数と取得数と計数値を初期化(ゼロクリア)することで、遊技客毎に不正計数を発見できるようになっている。
【0025】
そして、台コンピュータ30は、不正計数行為を発見するために、集計した貸出数と返却数と取得数と計数値に基づいて計数異常を以下のように判定する。
台コンピュータ30が判定する計数異常を、図5を参照しつつ説明する。
図5は、台コンピュータ30が、一のパチンコ機(例えば、図8の遊技台番号「123」)に対し、ある時間帯における単位時間(1分)毎に集計した貸出数と返却数と取得数と計数値に基づいて、計数異常を判定した履歴を時系列的に示した説明図である。
【0026】
まず、台コンピュータ30は、電源投入時、又は遊技客の入替りと判定した後に、図5における時間「11:40」(返却操作1)に示すように、貸出数がゼロ(0)にもかかわらず、返却数(例えば、50)があるときには、無条件で計数異常(貸出無異常)と判定する。
返却数信号は、計数部16aで計数された計数値があることが前提として、入力される信号である。そのため、貸玉数がゼロ、すなわち、遊技のためにパチンコ機100に投入する遊技球がなく、計数部16aで計数させる遊技球もないにもかかわらず、返却数があることは、遊技を行わずに、計数部16aにおいて不正に計数させて、遊技球が返却された以外にはあり得ず、計数値を監視しなくとも、不正計数行為を認定できるからである。
【0027】
また、台コンピュータ30は、返却数が貸出数と取得数との加算値を超えたときに、計数異常と判定する。
貸出数と取得数との加算値は、そのときにおける遊技客の持玉数を示している。
持玉数は、遊技客がその時点で所有する全ての遊技球数であるため、返却数が持玉数を超えることは、計数部16aにおいて不正に計数させて、遊技球が返却された不正計数行為以外にはあり得ないからである。
そこで、図5における時間「12:02」(返却操作2)に示すように、返却数(10)が、貸出数(125)と取得数(−120=−60−60)との加算値(5)を超えたときに、計数異常(持玉数超過異常)と判定している。
【0028】
また、台コンピュータ30は、貸玉数信号が入力されてからパチンコ機100から大当り信号が入力されるまでの貸出数に対する返却数の割合が所定の基準値(例えば、20%)を超えたときに、計数異常と判定する。
貸玉数信号が入力されてからパチンコ機100から大当り信号が入力されるまでは、通常遊技状態であり、このような状態では、遊技客は、遊技球を定期的に貸出して、遊技に費やしている。
すなわち、遊技客は、通常遊技において、一定量(例えば、貸出料金4円で500円分に相当する125個)の遊技球を貸出すとともに、この遊技球が徐々に減ると、再び一定量を貸出す行為を繰り返している。
【0029】
このような通常遊技状態では、計数部16aにおいて僅かずつ不正に計数されることもあり、この場合には、返却数が持玉数を超えずに、上記の計数異常を判定できないこともある。
例えば、図5における時間「12:04」(返却操作3)に示すように、返却数(10)が、貸出数(125)と取得数(−60)との加算値(65)を超えていないため、計数異常と判定することができない。
また、同様に、図5における時間「12:07」(返却操作4)に示すように、返却数(60)が、貸出数(125)と取得数(−60)との加算値(65)を超えていないため、計数異常と判定することができない
【0030】
そこで、返却数が持玉数を超えないように、徐々に計数値を増加させる不正計数を確実に発見するために、貸出数に対する返却数の割合が所定の基準値(例えば、20%)を超えたときに、計数異常と判定するようにしてある。
例えば、図5における時間「12:07」(返却操作4)に示すように、累計した貸出数(375)に対する累計した返却数(80)の割合(21.3%)が、所定の基準値(例えば、20%)を超えたときに、計数異常(基準値超過異常)と判定する。
なお、貸出数に対する返却数の割合の監視は、大当り状態と、大当り後遊技客の入替りがなく、大当り出玉が消化されるまでは行われず、通常遊技となり、新たな貸玉数信号が入力されると監視を開始する。
このように、本実施形態の台コンピュータ30は、計数値を判定要素に用いることなく、計数異常を判定できるようになっており、特に、通常遊技における貸出数と返却数と取得数とを単位時間毎にリアルタイムに算出して、計数異常を判定するため、不正に計数させて返却した遊技球を用いて行う違法な遊技行為を、遊技の途中において、いち早く発見することができる。
【0031】
さらに、台コンピュータ30は、大当り終了後における計数値信号の入力数から求めた計数値が、大当り終了後における計数されたときの取得数と貸出数との加算値、つまり、大当り出玉より多いときに、計数異常と判定する。
不正計数行為は、大当り状態においても行われることもあり、この場合には、計数された遊技球が返却されることなく、そのまま景品交換されることが多いため、上述したような返却数を用いた判定では、発見することが困難である。
そこで、大当り後に計数された遊技球の計数値を、計数値信号の入力数から求めるとともに、この計数値が、大当り終了後における計数されたときの取得数と貸出数との加算値、つまり、大当り出玉(大当り終了時の持玉数)より多いときに、計数異常と判定するようにしてある。
【0032】
例えば、図5における時間「12:17」(大当り終了)に示すように、大当り終了後に計数された遊技球の計数値(2000)が、大当り終了時の持玉数(1805)より多いときに、計数異常と判定する。これにより、大当り状態における不正計数を容易に発見することができる。
なお、取得数と貸出数との加算値(大当り終了時の持玉数)に代えて、大当り出玉の既定値(メーカ設定値や、予め求めた設定値)と比較してもよい。
【0033】
次に、上述した計数異常の判定処理について、図6を参照して説明する。
図6は、台コンピュータ30で実行される計数異常の判定処理を示すフローチャートである。
図6に示すように、まず、台コンピュータ30は、アウト信号の入力間隔や、会員カードの投入等により遊技客の入替りを判定し(S10)、入替りがあったときには(S10−Yes)、集計した貸出数と返却数と取得数と計数値をゼロで初期化する。
台コンピュータ30は、貸玉数信号と再プレイ玉数信号の入力数を加算して貸出数を集計するとともに(S12)、返却数信号の入力数から返却数を集計する(S13)。
また、セーフ信号の入力数からアウト信号の入力数を減算して取得数を集計する(S14)。
【0034】
台コンピュータ30は、貸出数と返却数を監視している(S15)。その結果、貸出数がほぼゼロにもかかわらず、返却数があるときには(S15−Yes)、計数異常と判定し(S16)、計数異常情報(貸玉無異常)を計数値管理装置50に送信する。
また、台コンピュータ30は、返却数と、貸出数と取得数との加算値を監視し(S17)、返却数がこの加算値より多いときには(S17−Yes)、計数異常と判定し(S18)、計数異常情報(持玉超過異常)を計数値管理装置50に送信する。
【0035】
また、台コンピュータ30は、パチンコ機100の遊技状態を監視している(S19)。
そして、大当り(確変も含む)以外のときには(S19−No)、貸出数に対する返却数の割合を監視し(S20)、この割合が所定の基準値を超えたときには(S20−Yes)、計数異常と判定し(S20)、計数異常情報(基準値超過異常)を計数値管理装置50に送信する。
一方、大当りのときには(S19−Yes)、大当り後の計数値と大当り出玉を監視し(S22)、計数値が大当り出玉を超えているときには(S22−Yes)、計数異常と判定し(S21)、計数異常情報(大当り出玉超過異常)を計数値管理装置50に送信する。
このようなフローチャートは、記憶手段(ROM)にプログラムとして記憶され、このプログラムが実行されることで、台コンピュータ30が、集計した貸出数と返却数と取得数と計数値に基づいて、計数異常を判定する計数異常判定手段として機能するようになっている。
【0036】
さらに、台コンピュータ30は、ICコイン80の発行時間の間隔を監視し、頻繁なICコイン80の発行を計数異常として判定するようになっている。図7は、台コンピュータ30で実行されるICコイン80の発行間隔を監視する処理を示すフローチャートである。
本実施形態では、計数値は、ICコイン80(コインID)毎に計数値管理装置50において記憶・管理され、景品交換装置60に設けられたICコインリーダ60aで、ICコイン80からコインIDを読取ることで、景品交換装置60がこのコインIDに対応する計数値を計数値管理装置50から取得して、景品交換を行うようになっている。
景品交換の際に計数値があまりに多いと不正計数を疑われることから、不正行為者の多くは、一回の計数値を少なくして、複数回に亘って景品交換を行う。
そのために、一の各台計数機10において不正計数行為とICコイン80の発行を繰り返して行い、コインIDの異なる複数のICコイン80を不正仲間に配布し、複数人で景品交換を分担するようになっている。
そこで、台コンピュータ30は、ICコイン80の発行間隔を監視し、異なるコインIDを有するICコイン80の頻繁な発行を計数異常として判定するようになっている。
【0037】
具体的には、台コンピュータ30は、ICコイン80の発行を監視している(S30)。
ICコイン80が発行されると(S30−Yes)、タイマをセットして所定時間の計時を開始する(S31)。
さらに、台コンピュータ30は、このタイマを計時しつつ、異なるコインIDを有するICコイン80の発行を監視する(S32)。そして、異なるコインIDを有するICコイン80が発行され(S32−Yes)、その時点でタイムアップしているときには(S33−Yes)、処理を終了し、タイムアップしていないときは(S33−No)、計数異常と判定し(S34)、計数異常情報(発行異常)を計数値管理装置50に送信する。これにより、所定時間(例えば、5分)に複数回に亘ってコインIDの異なるICコイン80を発行させる不正計数行為を容易に発見できる(例えば、図8の「発行異常」を参照)。
【0038】
計数値管理装置50は、計数値管理装置の一例であって、遊技機島毎に設置された島コンピュータ40(中継情報処理装置)を介して台コンピュータ30と接続されている情報処理装置である。
計数値管理装置50は、台コンピュータ30から送信される各種の計数異常(貸出無異常、持玉超過異常、基準値超過異常、大当り出玉超過異常、発行異常)と、ICコイン80が発行される毎に各台計数機10から送信される計数値とコインIDを、関連付けて記憶・管理している。
計数値管理装置50には、液晶ディスプレイなどの表示手段を備え、各種の計数異常をリアルタイムで表示するとともに、計数値をコインID毎に表示する。
また、計数値管理装置50は、店員が所持するインカムと通信可能に接続され、音声合成により、各種の計数異常を店員に報知するようになっている。
これにより、遊技場の管理者や店員は、不正計数行為を素早く察知し、対策を講じることができる。
【0039】
ここで、計数値管理装置50が関連付けて記憶・管理している、コインID毎の計数値と計数異常を図8に示す。
図8は、計数値管理装置50に記憶されているコインID毎の計数値と計数異常を示す説明図である。
この図に示すように、計数値管理装置50は、コインID毎に、ICコイン80の発行時間、計数値、発行された各台計数機10に対応する遊技台番号、このICコイン80の発行前に送信された計数異常情報(計数異常の種類)を記憶している。
そして、計数値管理装置50は、景品交換に際して景品交換装置60からコインIDが送信されたときに、このコインIDに対応する計数値、計数異常情報(計数異常の種類)、遊技台番号を景品交換装置60に返送するようになっている。
【0040】
景品交換装置60は、景品交換処理装置の一例であり、遊技客から提示されたICコイン80からコインIDを読取るICコインリーダ60aを備え、読取ったコインIDを上記の計数値管理装置50に送信するとともに、計数値管理装置50が記憶・管理するコインID毎の計数値、計数異常情報、遊技台番号を受信して、所定の景品交換処理を行う情報処理装置である。
景品交換装置60は、液晶ディスプレイなどの表示手段を備え、送信するコインIDに対応して計数値管理装置50から受信する各種の計数異常情報を表示するとともに、計数値をコインID毎に表示する。
これにより、景品交換を行う店員は、計数異常情報が表示されたときには、このコインIDに対応するICコイン80を提示した遊技客を不正行為者と認定することができる。
【0041】
また、景品交換装置60は、計数値管理装置50から受信した遊技台番号をホールコンピュータ70に送信して、ホールコンピュータ70が記憶・管理する当該遊技台番号に対応するパチンコ機100の遊技データを受信して、計数値管理装置50から受信した計数値と遊技データ(貸出数、取得数)を比較して、計数異常の判定を行うようになっている。
具体的には、計数値は、貸出数と取得数の加算値を超えることはあり得ないので、景品交換装置60は、ホールコンピュータ70から受信した貸出数と取得数を加算するとともに、この加算値と計数値管理装置50から受信した計数値とを比較して、計数値が加算値を超えたときに、計数異常と判定することもできる。
これにより、台コンピュータ30で行われる返却数に基づいた計数異常の監視に加え、計数値に基づいても計数異常を監視できる。
【0042】
ホールコンピュータ70は、パチンコ機100とカード式玉貸機20から、台コンピュータ30及び島コンピュータ40を介して送信される、遊技信号(大当り信号、確変信号、セーフ信号、アウト信号)、貸玉数信号、再プレイ玉数信号を収集して、所定の遊技データを集計・管理する情報処理装置である。
このホールコンピュータ70は、台コンピュータ30と同様に、パチンコ機毎の貸出数、取得数を集計するようになっている。
これにより、ホールコンピュータ70は、景品交換に際して景品交換装置60から遊技台番号が送信されたときに、この遊技台番号に対応する貸出数、取得数を景品交換装置60に返送するようになっている。
【0043】
以上のように構成された遊技場管理システム1において送受される情報について図9を参照しつつ説明する。
図9は、遊技場管理システム1の各装置間で送受される情報の流れを示すフローチャートである。
同図に示すように、まず、台コンピュータ30において、計数異常が判定されると(S40−Yes)、リアルタイムに計数異常情報が計数値管理装置50に送信される(S41)。計数値管理装置50は、計数異常情報を受信すると(S42)、計数異常を表示手段や店内放送(例えば、インカム)などの報知手段により、遊技場関係者に報知する(S43)。
また、台コンピュータ30は、各台計数機10からのICコイン80の発行に基づいてコインIDを受信すると(S44)、コインIDと受信した計数値を、計数値管理装置50に送信する(S45)。
計数値管理装置50は、コインIDと計数値を受信すると(S46)、受信したコインID毎に計数値、計数異常情報、遊技台番号を記憶する(S47)。
【0044】
景品交換装置60は、ICコインリーダ60aでコインIDを読取ると、読取ったコインIDを計数値管理装置50に送信する(S48)。
計数値管理装置50は、景品交換装置60からコインIDを受信すると(S49)、このコインIDに対応する計数値、計数異常情報、遊技台番号を景品交換装置60に送信する。
景品交換装置60は、読取ったコインIDに対応する計数値、計数異常情報、遊技台番号を計数値管理装置50から受信すると(S51)、この受信した遊技台番号をホールコンピュータ70に送信する(S52)。
ホールコンピュータ70は、景品交換装置60から遊技台番号を受信すると(S53)、この遊技台番号に対応する遊技データを景品交換装置60に送信する(S54)。
景品交換装置60は、計数値管理装置50から計数異常情報を受信したときには(S56−Yes)、計数異常情報を表示手段に表示する。
また、景品交換装置60は、ホールコンピュータ70から受信した遊技データ(貸出数、取得数)より、これらの加算値を算出し、この加算値と、計数値管理装置50から受信した計数値とを比較し(S58)、計数値が加算値を超えたときに、計数異常情報を表示手段に表示する(S57)。
これにより、景品交換を行う際に、店員が不正計数行為者を特定できる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係る計数異常検出装置(台コンピュータ10)と、この計数異常検出装置を備える遊技場管理システムによれば、返却数を監視することで、遊技の途中においても、各台計数機10に対する不正計数を発見できる。また、景品交換の際に、不正計数行為者を特定できる。
【0046】
以上、本発明の計数異常検出装置と、この計数異常検出装置を備える遊技場管理システムについて、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る計数異常検出装置は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0047】
例えば、本実施形態では、各台計数機10とカード式玉貸機20は、本実施形態では別体としたが、計数手段と返却手段と貸出手段とが一体となった遊技媒体貸出装置を使用することもできる。
また、本実施形態では、台コンピュータ30を計数異常検出装置としたが、島コンピュータ40、又は計数値管理装置50、又は景品交換装置60、又はホールコンピュータ70を計数異常検出装置とすることもできる。
この場合には、各台計数機10、カード式玉貸機20、パチンコ機100からの信号をこれらの装置に入力することで足りる。
また、適用可能な遊技機としてパチンコ機に限らず、遊技媒体としてメダルを使用するスロットマシンも対象とすることもできる。これに伴い、カード式玉貸機20は、メダル貸出手段を、各台計数機10はメダル計数手段とメダル返却手段を、有する遊技媒体貸出装置に変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、遊技機毎に設置されている各台計数機に対する不正計数を監視する装置として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 遊技場管理システム
10 各台計数機
20 カード式玉貸機
30 台コンピュータ
40 島コンピュータ
50 計数値管理装置
60 景品交換装置
70 ホールコンピュータ
80 ICコイン
100 パチンコ機(遊技機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体を貸出す貸出手段と、遊技機で取得した遊技媒体を計数する計数手段と、この計数手段で計数された遊技媒体を返却する返却手段と、を備える遊技機毎に設置される遊技媒体貸出装置に対する不正計数を監視する計数異常検出装置であって、
前記返却手段が返却した返却遊技媒体数を集計する返却数集計手段と、
前記貸出手段が貸出した貸出遊技媒体数を集計する貸出数集計手段と、
当該遊技機での遊技により取得した取得遊技媒体数を集計する取得数集計手段と、
前記各集計手段で集計された遊技媒体数に基づいて計数異常を判定する計数異常判定手段と、を備えることを特徴とする計数異常検出装置。
【請求項2】
前記計数異常判定手段は、前記貸出遊技媒体数がゼロにもかかわらず、前記返却遊技媒体数があるときに、計数異常と判定する請求項1記載の計数異常検出装置。
【請求項3】
前記計数異常判定手段は、前記返却遊技媒体数が前記貸出遊技媒体数と前記取得遊技媒体数の加算値を超えたときに、計数異常と判定する請求項1記載の計数異常検出装置。
【請求項4】
前記計数異常判定手段は、前記貸出手段が遊技媒体を貸出してから前記遊技機が大当りとなるまでの前記貸出遊技媒体数に対する前記返却遊技媒体数の割合が所定の基準値を超えたときに、計数異常と判定する請求項1記載の計数異常検出装置。
【請求項5】
前記計数異常判定手段は、前記遊技機の大当りにより前記計数手段で計数された計数値が所定数を超えたときに、計数異常と判定する請求項1〜4のいずれか一項に記載の計数異常検出装置。
【請求項6】
前記所定数を、大当りにより取得した前記取得遊技媒体数と前記貸出遊技媒体数との加算値とした請求項5記載の計数異常検出装置。
【請求項7】
前記遊技機から出力される所定の遊技信号に基づいて遊技状態を判定する遊技状態判定手段を備える請求項1〜6のいずれか一項に記載の計数異常検出装置。
【請求項8】
前記遊技媒体貸出装置が、精算操作に基づいて所定のID情報が記録された記録媒体を発行する発行手段を備える場合において、
前記計数異常判定手段は、前記発行手段が異なる前記ID情報を有する複数の前記記録媒体を所定の期間内において発行したときに、計数異常と判定する請求項1〜7のいずれか一項に記載の計数異常検出装置。
【請求項9】
遊技媒体を貸出す貸出手段と、遊技機で取得した遊技媒体を計数する計数手段と、この計数手段で計数された遊技媒体を返却する返却手段と、精算操作に基づいて所定のID情報が記録された記録媒体を発行する発行手段と、を備える遊技機毎に設置される遊技媒体貸出装置と、前記記録媒体の発行時における前記計数手段で計数された計数値を前記ID情報毎に管理する管理装置と、前記記録媒体から前記ID情報を読取るとともに、このID情報に対応する前記計数値に基づいて所定の景品交換処理を行う景品交換処理装置と、がネットワークを介して接続された遊技場管理システムであって、
前記遊技媒体貸出装置に対する不正計数を監視する計数異常検出装置を備え、前記計数異常検出装置が、請求項1〜8に記載の計数異常検出装置であることを特徴とする遊技場管理システム。
【請求項10】
前記管理装置は、前記遊技媒体貸出装置に対して行なわれた不正計数に関する情報を前記ID情報毎に管理し、
前記景品交換処理装置は、前記記録媒体から読取った前記ID情報に対応する前記不正計数に関する情報を取得して、所定の表示手段に表示させる請求項9記載の遊技場管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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