説明

計測システム、ブイ、受信機、および計測方法

【課題】計測用のブイが発信する電波と他の無線設備が発信する電波との電波干渉を防ぐ技術を提供することを目的とする。
【解決手段】計測システムは、計測器を有し、該計測器の計測値を示す計測情報を、電波を送信すべき送信方位に基づいて水平指向性の指向方向を制御した電波で送信するブイと、前記ブイから送信された前記電波を受信し、前記計測情報を取得する受信機と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測用のブイから計測データを取得する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機から投下され、水中で計測した計測値を示す計測データを収集するブイは電波によって計測データを伝送することができる。このブイは、広域の海洋計測などを行う場合、ブイ間の混信を避けるためにセンサ毎に無線周波数を割り当てる。このため、多数のセンサを使用するとき、使用するセンサ数分の無線帯域を使うことになるが、無線の周波数帯域には限りがある。限りある周波数帯においては、特許文献1に開示された構成のように、ブイが陸上の無線設備と同じ周波数を用いて電波を送信せざるを得ないことがある。
【特許文献1】特開平7−191137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に開示された構成では、ブイは水平方向について無指向性で電波送信するので、図15に示すように、沿岸付近に投下されたブイの電波が直接、陸上の無線機へも届き、電波干渉を引き起こすことがある。
【0004】
上記問題点に鑑み、本発明は、計測用のブイが発信する電波と他の無線機が発信する電波との間の電波干渉を防ぐ技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の計測システムは、計測器を有し、該計測器の計測値を示す計測情報を、電波を送信すべき送信方位に基づいて水平指向性の指向方向を制御した電波で送信するブイと、前記ブイから送信された前記電波を受信し、前記計測情報を取得する受信機と、を有する。
【0006】
本発明のブイは、計測器と、前記計測器の計測値を示す計測情報を、電波を送信する送信方位に基づいて水平指向性の指向方向を制御した電波で送信する送信手段と、を有する。
【0007】
本発明の受信機は、電波を送信すべき送信方位を示す方位情報該をブイに送信する送信手段と、前記ブイから、水平指向性の指向性が制御された電波を受信する受信手段と、を有する。
【0008】
本発明の計測方法は、計測器を有するブイが、該計測器の計測値を示す計測情報を、電波を送信すべき送信方位に基づいて水平指向性の指向方向を制御した電波で送信し、指向方向を制御された前記電波を受信可能な位置に配された受信機によって、該電波を受信し、前記計測情報を取得する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ブイは、水平指向性の指向性を制御した電波を送信するので、指向性の方向を自身の送信電波と他の電波との電波干渉が生じない方向とすれば、電波干渉を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(第1実施形態)
本発明を実施するための第1実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、計測システム1の構成を示す全体図である。計測システム1は、航空機から水中計測用のブイを投下し、そのブイから計測値を示す計測情報を受信することにより水中計測を行うシステムである。同図を参照すると、計測システム1は、航空機10およびブイ20を有する。
【0012】
航空機10は、ブイ20を水上に投下し、ブイ20から航空機10の電波の受信範囲内の位置への方位を示す方位情報をブイ20に無線送信する。そして、航空機10は、ブイ20が送信する計測情報を受信し、その計測情報の示す計測値を記録する。航空機10は、ブイ20から計測情報が付加された電波を受信するときは、その電波と他の無線機からの電波との間で電波干渉が生じにくい領域(例えば、海上)を飛行する。
【0013】
なお、航空機に限らず、船舶がブイ20を投下し、ブイ20と電波を送受信してもよい。また、ブイ20と電波を送受信するのは、航空機や船舶に限らず、地上の無線設備であってもよい。
【0014】
さらに、ブイ20に方位情報を送信する航空機等と、ブイ20から計測情報を受信する航空機等は、同一である必要はない。方位情報を航空機10が送信し、別の航空機等が計測情報を受信する構成であれば、方位情報の示す方位は、航空機10とは別の航空機等への方位とする。ブイ20からの電波を受信できる航空機等が複数ある場合、あるいは航空機10の電波の受信範囲がある程度広い場合、航空機10は、それらへの方位のうち、他の無線機からの電波との電波干渉が生じにくい方位を選択してその方位について送信する。電波干渉が生じにくい方位であるか否かは、ブイ20の位置から電波干渉を生じるおそれのある無線機の位置までの距離、その無線機から送信される電波の送信範囲、その電波の周波数帯などに基づいて航空機10が判断する。
【0015】
ブイ20は、航空機10から投下され、パラシュートなどで減速し、着水する。ブイ20は、浮上部21および水中センサ23を有する。浮上部21および水中センサ23は、投下時は一体となっており、着水後に分離される。浮上部21は、アンテナ22および無線回路24を有する。浮上部21は、フロートを炭酸ガスなどで展張させることにより浮力を得てアンテナ22が水面に飛び出すように水面に浮かぶ。
【0016】
アンテナ22は、例えばアレイアンテナであり、アンテナ素子22A、22B、22C、および22Dを有する。アンテナ22は、航空機10から方位情報を受信し、所定の方位への水平指向性を有する電波を送信する。アンテナ素子22A、22B、22C、および22Dは、浮上部21が水面に浮上したときに水面に対して垂直となるように配列される。
【0017】
図2を参照して、アンテナ22の構成について説明する。同図は、浮上部21の上面図である。同図を参照すると、ブイ20は、水面に浮かんだとき、水上から見て円形をしており、アンテナ素子22A、22B、22C、および22Dは、浮上部21の中心部から等距離であって、互いの距離が等しくなる位置に配置されている。アンテナ素子22A、22B、22C、および22Dのそれぞれに無線回路24が位相差を与えて給電し、各アンテナ素子の電波送信のタイミングを変えることで、アンテナ22は、方位A、B、C、およびDの4つのうち、いずれかの方位への水平指向性を有する電波を送信する。方位A、B、C、およびDは、それぞれ、浮上部21の中心からアンテナ素子22A、22B、22C、および22Dへの方位である。また、位相差を与えずに給電することで、アンテナ22は、水平方向において無指向性の電波を送信する。同図において一点鎖線は各アンテナ素子から送信される電波の送信範囲を示している。
【0018】
なお、本実施例ではアンテナ素子を4つ設けているが、複数の方向に水平指向性を切り替えて電波送信できるのであれば、アンテナ素子の数やアンテナの種類は問わない。また、水平指向性を付与する方位も4方向に限らず、アンテナの種類、アンテナ素子の数、あるいは位相差を調整することで、2方位や8方位などに切り替えて送信してもよい。
【0019】
図1に戻り、水中センサ23は、温度センサ、ソナー、圧力計などの1以上の計測器を有し、水温、魚群の位置、水圧などを計測する。そして、水中センサ23は、計測値を示す計測情報を無線回路24へ送信する。
【0020】
なお、ブイ20は、水中センサ23のほか、水上における温度や風速などを計測するセンサを有する構成としてもよい。
【0021】
無線回路24は、水中センサ23からの計測情報を受信し、所定の方位に向けて水平指向性を制御した電波で計測情報をアンテナ22に送信させる。
【0022】
図3を参照して、無線回路24の構成について詳細に説明する。同図は無線回路24の構成を示すブロック図である。同図を参照すると、無線回路24は、受信部241および送信部243を有する。受信部241は、水中センサ23から計測情報2411を受信し、また、アンテナ22を介して航空機10から方位情報2412を受信し、これらの情報を記憶する。
【0023】
送信部243は、方位選択部2431および指向性回路2432を有する。方位選択部2431は、水平指向性を与える候補の方位A、B、C、およびDのうち、方位情報2412の示す方位との角度差が最も小さくなる方位を選択する。具体的には、方位選択部2431は、方位磁石などにより、ブイ20を起点としたいずれかの絶対方位(例えば、東西南北のいずれかの方位)を取得する。方位選択部2431は、ブイ20に対して固定された基準方位を予め定めておき、取得した絶対方位に対する基準方位の角度を求める。基準方位は、例えば方位Aとする。方位選択部2431は、求めた角度で補正した方位A、B、C、またはDのうち、方位情報2412の示す方位との角度差が最も小さくなる方位を選択する。
【0024】
例えば、図4(a)に示すように、基準方位(方位A)と北の絶対方位との角度が0度である場合、この角度で補正した後の方位A、B、C、およびDはそれぞれ北、東、南、および西の方位となる。ここで、北の方位を示す方位情報を受信したとき、方位選択部2431は北の方位との角度差が最小となる方位Aを選択する。
【0025】
次に、図4(b)に示すように、潮流などにより流された影響で、水上のブイ20が上から見て図4(a)の状態から反時計回りに90度回転した場合を考える。この場合、基準方位(方位A)に対する北の絶対方位の角度は90度であり、この角度で補正した後の方位A、B、C、およびDはそれぞれ西、北、東、および南の方位となる。ここで、西の方位を示す方位情報を受信したとき、方位選択部2431は西の方位との角度差が最小となる方位Aを選択する。
【0026】
指向性回路2432は、方位選択部2431が選択した方位への指向性を有する電波を送信されるように、アンテナ22に位相差給電する。送信部243は、計測情報2411を電波送信する。
【0027】
このように、無線回路24は、アンテナ22を介して航空機10から方位情報2412を受信し、水中センサ23から計測情報2411を受信する。そして、無線回路24は、方位情報2412の示す方位に最も近い方位を、方位A、B、C、およびDのうちから選択し、計測情報2411を付加して選択した方位へ向けて水平指向性を制御した電波を送信する。
【0028】
次に、図5を参照して本実施形態の無線回路の動作について説明する。同図は、無線回路24の動作を示すフローチャートである。無線回路24は、着水し、ブイ20内臓のバッテリー(不図示)などから電力を供給されたとき、同図の動作を開始する。同図を参照すると、受信部241は、水中センサ23から計測情報2411を受信する(ステップS5)。受信部241は、航空機10から方位情報2412を受信する(ステップS10)。方位選択部2431は、絶対方位と基準位置からのブイ20の回転角度とを求める(ステップS15)。方位選択部2431は、絶対方位および回転角度より、方位A、B、C、およびDのうち、方位情報2412の示す方位との角度差が最も小さい方位を選択する(ステップS20)。指向性回路2432は、ステップS15で選択された方位への水平指向性を有する電波が送信されるように位相差給電する。送信部243は、計測情報2411を電波送信する(ステップS25)。ステップS25の後、無線回路24は、動作を終了する。航空機10は、ブイ20から送信された計測情報2411を受信し、取得する。
【0029】
図6を参照して、本実施形態の計測システム1の動作例について説明する。同図を参照すると、ブイ20を投下した航空機10は、例えば、ブイ20から見て西の方位の領域を飛行している。一方、ブイ20から見て東の方位には、地上の無線設備30が設置されている。この無線設備30の送信する電波の周波数帯は、ブイ20の送信する電波の周波数帯と近く、これらの電波は干渉するおそれがある。
【0030】
そこで、航空機10は、ブイ20を起点として西の方位を示す方位情報をブイ20へ送信する。ブイ20は方位情報を受信し(ステップS10)、方位情報の示す西の方位との角度差が最も小さくなる方位(例えば方位A)へ向けて水平指向性を制御した電波を送信する(ステップS25)。
【0031】
ブイ20の送信する電波は、西の方位の水平指向性を有するので、この電波と東の方位の無線設備30が送信する電波との干渉を計測システム1は避けることができる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態によれば、ブイ20は、計測情報2411を無線送信する際、水平指向性の指向方向を制御して電波送信するため、指向性の方向を自身の送信電波と他の電波との電波干渉が生じない方向とすれば、電波干渉を防ぐことができる。
【0033】
また、ブイ20は、航空機10から受信した方位情報2431に基づいて水平指向性の指向方向を制御するので、自ら電波送信すべき方向を求める必要がない。
【0034】
ブイ20は、該絶対方位に対する自身の基準方位の角度と方位情報2414の示す方位とに基づいて水平指向性の指向方向を制御するので、ブイ20が回転した場合であっても、電波干渉が生じないように電波送信できる。
【0035】
方位情報2414の示す方位は、電波干渉が生じない方位であるから、航空機10は電波干渉を防ぎつつ、計測ができる。
【0036】
方位情報2414の示す方位は、ブイ20から航空機10への方位であるから、航空機10は、ブイ20からの電波を受信して、計測情報2412を取得できる。
【0037】
(第2実施形態)
次に図7および図8を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。図7は、第2実施形態の無線回路24aの構成を示す全体図である。同図を参照すると、無線回路24は、第1実施形態の無線回路24と比較して、方位情報2412を有さず、地図情報245およびGPS(Global Positioning System)247を有する。第2実施形態は、ブイ20が、方位情報2412を受信せず、地図情報245およびGPS247を有する点で第1実施形態と異なる。第2実施形態の計測システムの他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0038】
地図情報245は、ブイ20が投下される領域周辺の地図を示す情報であり、この地図情報245は、ブイ20の送信する電波と干渉するおそれのある電波を送信する無線設備(30)の電波の送信範囲を示す情報を含む。
【0039】
GPS247は、ブイ20が浮かんでいる現在位置を取得する。例えば、GPS247は、軌道上の複数の衛星との間で電波を送受信し、送受信時刻の差に基づいて3次元測位を行い、現在位置を求める。
【0040】
方位選択部2431は方位A、B、C、およびDのうち、自身の送信する電波と他の無線設備からの電波とが干渉しない方位を選択(決定)する。例えば、ブイ20の現在位置から送信する電波が、他の無線設備の送信電波の送信範囲に重ならない方位を求める。
【0041】
図8は、本実施形態の無線回路24aの動作を示すフローチャートである。同図を参照すると、無線回路24aは計測情報2411を受信後(ステップS5)、地図情報245から他の無線設備30の送信電波の送信範囲を読み出す(ステップS11)。続いて、GPS247はブイ20が浮かんでいる現在位置を取得する(ステップS13)。方位選択部2431は、絶対方位と基準位置からのブイ20の回転角度とを求める(ステップS15)。方位選択部2431は、ステップS11、S13、およびS15で得られた結果から、方位A、B、C、Dのうち、ブイ20の送信電波と無線設備30の送信電波との間の電波干渉が生じない方位を選択する(ステップS20a)。指向性回路2432は、ステップS20aで選択された方位に指向性を有するように位相差給電する。送信部243は計測情報2411を付加した電波を送信する(ステップS25)。ステップS25の後、無線回路24aは動作を終了する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態によれば、ブイ20は、自身の現在位置を取得し、他の無線設備30の送信電波との電波干渉を避ける方向への水平指向性を有する電波を送信する。このため、ブイ20は、方位情報2412を受信しなくとも無線設備30からの電波との電波干渉が生じない方位へ電波送信できる。
【0043】
なお、本実施形態において、ブイ20は航空機10から地図情報245やブイ20の投下位置を受信することで、電波干渉が生じない方位を求める構成とすることもできる。
【0044】
(第3実施形態)
次に図9および図10を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態の通信システムの構成は、航空機10が、ブイ20からの電波と無線設備30からの電波とが干渉するおそれがないのであれば、無指向性での電波送信をブイ20に指示する無指向性指示情報を送信する以外は、第1実施形態と同様である。本実施形態は、電波干渉のおそれのないときに、航空機10が、無指向性での電波送信をブイ20に指示する点で第1実施形態と異なる。
【0045】
例えば、航空機10は、図7で示した地図情報245やGPS247を有し、ブイ20の投下位置と無線設備30の送信範囲とに基づいて電波干渉の有無を判断する。また、ブイ20がGPSを有し、自身の位置情報を航空機10へ送信し、航空機10は、受信した現在位置と無線設備30の送信範囲とに基づいて電波干渉の有無を判断してもよい。
【0046】
図9は、本実施形態の無線回路24bの構成を示すブロック図である。同図を参照すると、本実施形態の無線回路24bの構成は、受信部241が、無指向性での電波送信を指示する無指向性指示情報2413を更に受信する以外は、第1実施形態と同様である。
【0047】
図10は、本実施形態の無線回路24bの動作を示すフローチャートである。同図を参照すると、本実施形態の無線回路24bの動作は、ステップS7およびステップS27を実行する以外は、第1実施形態と同様である。
【0048】
無線回路24bは、計測情報2411の受信後(ステップS5)、アンテナ22を介して航空機10から無指向性指示情報2413を受信したか否かを判断する(ステップS7)。無指向性指示情報2413を受信していないのであれば(ステップS7:NO)、無線回路24bは、ステップS10を実行する。無指向性指示情報2413を受信したのであれば(ステップS7:YES)、送信部243は、水平方向において無指向性で、計測情報2411を付加した電波を送信する(ステップS27)。ステップS27の後、無線回路24bは、動作を終了する。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によれば、航空機10は、電波干渉のおそれがないのであれば、無指向性でブイ20に電波送信させるので、計測情報2411を受信しやすくなる。
【0050】
(第4実施形態)
次に図11〜図13を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。航空機10は、水平指向性のみならず、垂直指向性を有する電波をブイ20に電波送信させることもできる。第3実施形態は、航空機10が水平指向性または垂直指向性を有する電波をブイ20に送信させる点で、第1実施形態と異なる。
【0051】
本実施形態の計測システムの構成は、航空機10が垂直指向性を有する電波の送信を指示する垂直指向性指示情報を更に送信する以外は、第1実施形態と同様である。
【0052】
例えば、図11に示すように、航空機10が陸上の無線設備30の上空を飛行する場合、ブイ20に航空機10への水平指向性を有する電波を送信させても電波干渉が生じる可能性がある。そこで、航空機10は、水平指向性を有する電波を送信させると電波干渉が生じうるのであれば、ブイ20に垂直指向性を有する電波を送信させる。
【0053】
図12は、本実施形態の無線回路24cの構成を示すブロック図である。同図を参照すると、本実施形態の無線回路24cの構成は、受信部241が、垂直指向性を有する電波送信を指示する垂直指向性指示情報2414を更に受信する以外は、第1実施形態と同様である。
【0054】
図13(a)は、方位情報2412を受信し、垂直指向性指示情報2414を受信しない場合、ブイ20が送信する電波の送信範囲を示す側面図である。同図(a)に示すように、ブイ20は、垂直方向には無指向性で、水平方向の指向性のみを有する電波を送信する。同図(b)は、図12(a)は、垂直指向性指示情報2414を受信した場合、ブイ20が送信する電波の送信範囲を示す側面図である。同図(b)に示すように、ブイ20は、垂直方向の指向性を有する電波を送信する。このとき、ブイ20は、水平方向においては無指向性の電波を送信してもよいし、方位情報2412を更に受信して水平指向性および垂直指向性を有する電波を送信してもよい。
【0055】
図13は本実施形態の無線回路24cの動作を示すフローチャートである。同図を参照すると、本実施形態の無線回路24cの動作は、ステップS9およびS31を更に実行する以外は、図5で示した第1実施形態の無線回路24の動作と同様である。
【0056】
無線回路24cは、計測情報2411の受信後(ステップS5)、航空機10から垂直指向性指示情報2414を受信したか否かを判断する(ステップS9)。垂直指向性指示情報2414を受信していないのであれば(ステップS9:NO)、無線回路24は、ステップS10を実行する。垂直指向性指示情報2414を受信したのであれば(ステップS9:YES)、指向性回路2432は、垂直指向性を有するように位相差給電し、送信部243は計測情報2411を付加した電波を送信する(ステップS31)。ステップS31の後、無線回路24cは動作を終了する。
【0057】
本実施形態によれば、航空機10は水平指向性または垂直指向性を有する電波をブイ20に送信させることができるので、航空機10が陸上の無線設備の上空を飛行するときであっても、電波干渉を確実に防ぐことができる。
【0058】
図5、図8、図10、および図14で示した処理の全部または一部は、コンピュータがソフトウェアプログラムを実行することにより実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】第1実施形態の計測システムの構成を示す全体図である。
【図2】第1の実施例のブイの上面図である。
【図3】第1実施形態の無線回路の構成を示すブロック図である。
【図4】(a)第1の実施例のブイの上面図である。(b)第1の実施例のブイの上面図である。
【図5】第1実施形態の無線回路の動作を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態の計測システムの動作例を示す図である。
【図7】第2実施形態の無線回路の構成を示すブロック図である。
【図8】第2実施形態の無線回路の動作を示すフローチャートである。
【図9】第3実施形態の無線回路の構成を示すブロック図である。
【図10】第3実施形態の無線回路の動作を示すフローチャートである。
【図11】第4実施形態の計測システムの構成を示す全体図である。
【図12】第4実施形態の無線回路の動作を示すフローチャートである。
【図13】(a)第4実施形態のブイの送信電波の指向性を示す図である。
【0060】
(b)第4実施形態のブイの送信電波の指向性を示す図である。
【図14】第4実施形態の無線回路の動作を示すフローチャートである。
【図15】従来の計測システムの構成を示す全体図である。
【符号の説明】
【0061】
1 計測システム
10 航空機
20 ブイ
21 浮上部
22 アンテナ
23 水中センサ
24、24a、24b、24c 無線回路
30 無線設備
31 無線設備
22A、22B、22C、22D アンテナ素子
241 送信部
243 受信部
245 地図情報
247 GPS
2411 計測情報
2412 方位情報
2413 無指向性指示情報
2414 垂直指向性指示情報
2431 方位選択部
2432 指向性回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測器を有し、該計測器の計測値を示す計測情報を、電波を送信すべき送信方位に基づいて水平指向性の指向方向を制御した電波で送信するブイと、
前記ブイから送信された前記電波を受信し、前記計測情報を取得する受信機と、
を有する計測システム。
【請求項2】
前記ブイは、複数の方位の候補のうち、前記送信方位との角度差が最小となる該候補を前記水平指向性の指向方向とする、請求項1に記載の計測システム。
【請求項3】
前記ブイは、前記送信方位を示す方位情報を受信し、受信した該方位情報に示された前記送信方位に基づいて前記水平指向性の指向方向を制御する、請求項1又は2に記載の計測システム。
【請求項4】
前記受信機は前記方位情報を前記ブイに送信する、請求項3に記載の計測システム。
【請求項5】
前記ブイは、絶対方位を取得し、取得した該絶対方位に対する自身の基準方位の角度と前記送信方位とに基づいて前記水平指向性の指向方向を制御する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の計測システム。
【請求項6】
前記ブイは、他の無線機の電波の送信範囲を示す送信範囲情報を予め記憶しておき、自身の現在位置を取得し、取得した該現在位置と記憶しておいた該送信範囲情報の示す該送信範囲とに基づいて、前記送信方位を決定する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の計測システム。
【請求項7】
前記送信方位は、前記ブイが送信する前記電波と他の無線機が送信する電波とが干渉しない方位である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の計測システム。
【請求項8】
前記送信方位は、前記ブイから前記受信機の電波の受信範囲内の位置への方位である、請求項7に記載の計測システム。
【請求項9】
計測器と、
前記計測器の計測値を示す計測情報を、電波を送信する送信方位に基づいて水平指向性の指向方向を制御した電波で送信する送信手段と、
を有するブイ。
【請求項10】
前記送信手段は、複数の方位の候補のうち、前記送信方位との角度差が最小となる該候補を前記水平指向性の指向方向とする、請求項9に記載のブイ。
【請求項11】
前記送信方位を示す方位情報を受信する受信手段を更に有し、
前記送信手段は、受信した該方位情報に示された前記送信方位に基づいて前記水平指向性の指向方向を制御する、請求項9又は10に記載のブイ。
【請求項12】
絶対方位を取得する絶対方位取得手段を更に有し、
前記送信手段は、前記絶対方位取得手段により取得された前記絶対方位に対する前記送信方位の角度と、該絶対方位に対する自身の基準方位の角度とに基づいて前記水平指向性の指向方向を制御する、請求項9乃至11のいずれか1項に記載のブイ。
【請求項13】
他の無線機の電波の送信範囲を示す送信範囲情報を記憶する記憶手段と、
自身の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
を更に有し、
前記送信手段は、前記現在位置取得手段により取得された前記現在位置と前記記憶手段から読み出した前記送信範囲情報の示す該送信範囲とに基づいて、前記送信方位を取得する、請求項9乃至12のいずれか1項に記載のブイ。
【請求項14】
前記送信方位は、前記ブイが送信する前記電波と他の無線機が送信する電波とが干渉しない方位である、請求項9乃至13のいずれか1項に記載のブイ。
【請求項15】
電波を送信すべき送信方位を示す方位情報をブイに送信する送信手段と、
前記ブイから、水平指向性の指向性が制御された電波を受信する受信手段と、
を有する受信機。
【請求項16】
前記送信方位は、前記ブイが送信する前記電波と他の無線機が送信する電波とが干渉しない方位である、請求項15に記載の受信機。
【請求項17】
前記送信方位は、前記ブイから前記受信機の電波の受信範囲内の位置への方位である、請求項16に記載の受信機。
【請求項18】
計測器を有するブイが、該計測器の計測値を示す計測情報を、電波を送信すべき送信方位に基づいて水平指向性の指向方向を制御した電波で送信し、
指向方向を制御された前記電波を受信可能な位置に配された受信機によって、該電波を受信し、前記計測情報を取得する、計測方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2009−217613(P2009−217613A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61462(P2008−61462)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】