説明

計測点算出装置及び方法

【課題】多くの制御パラメータによる複雑な凸境界であっても、妥当な時間内に、十分な数の計測点を算出することができる計測点算出装置及び方法を提供すること。
【解決手段】計測点算出装置10は、乱数を発生する乱数発生部21を有する。そして、計測点算出装置10は、制御可能領域の範囲内に、第1計測点を決定し、乱数発生部21によって発生させた乱数に基づいて制御可能領域の範囲内に仮計測点を算出し、決定された第1計測点から、算出された仮計測点の方向へ結んだ直線の延長線と、制御可能領域との交点を算出する。次に、計測点算出装置10は、乱数発生手段によって発生させた乱数に基づいて、交点と結んだ直線上の点であって仮計測点と交点との間の第2計測点を算出する。そして、計測点算出装置10は、算出した第2計測点を第1計測点として、仮計測点の算出と、交点の算出と、第2計測点の算出とを繰り返し、計測点を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測点算出装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジンは、高性能化により、多くの制御パラメータによって制御されて動作する。この制御パラメータによって制御されるエンジンの特性は、実験計画法(DOE)によって配置された所定数の計測点における計測データに基づいて、モデル化されている。このような計測データに基づいたモデルを使用して、エンジンの性能を最適にする制御パラメータの適合値が算出される(非特許文献1及び非特許文献2参照)。
【0003】
例えば、空間充填法(Space Filling)を応用して、制御パラメータの適合値について、実験計画を生成する発明を開示する特許文献1が知られている。
【0004】
特許文献1で開示する適合装置は、所定数の計測点を実験計画法(DOE)のスペースフィリング(Space Filling)を使用して配置した後、複数の制御パラメータのうちの少なくとも1つの制御パラメータに関して計測点の位置を当該制御パラメータの中心値から境界方向へ拡張し、この拡張により所定数の計測点のうち境界を超えたものを境界上に再配置するようにしている。これにより、全体の計測点数を増加させなくても、境界付近のモデル誤差を目標レベルに収めることが可能となり、モデル精度向上の要求と適合時間(計測時間)短縮化の要求とを共に満たすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−244042号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】R.L.Smith,Efficient Monte−Carlo procedures for generating points uniformly distributed over bounded regions,Operations Research,vol32,pp.1296−1308,1984.
【非特許文献2】L.Lovasz,Hit−and−run mixes fast, Mathematical Programming,vol.86,pp.443−461,1998.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された発明における空間充填法は、多くの制御パラメータ(例えば、10以上)があり、かつ複雑な凸境界において所定数の計測点を配置する場合、多大な時間がかかり、実用的でない。
【0008】
そこで、多くの制御パラメータによる複雑な凸境界であっても、妥当な時間内に、十分な数の計測点を算出することができる装置が求められている。
【0009】
本発明は、多くの制御パラメータによる複雑な凸境界であっても、妥当な時間内に、十分な数の計測点を算出することができる計測点算出装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0011】
(1) エンジンを制御する複数の制御パラメータにおいて、当該制御パラメータの限界値によって構成される制御可能領域の範囲内における当該制御パラメータの組み合わせである計測点を算出する計測点算出装置であって、乱数を発生する乱数発生手段と、前記制御可能領域の範囲内に、第1計測点を決定する第1計測点決定手段と、前記乱数発生手段によって発生させた乱数に基づいて前記制御可能領域の範囲内に仮計測点を算出する仮計測点算出手段と、前記第1計測点決定手段によって決定された前記第1計測点から、前記仮計測点算出手段によって算出された前記仮計測点へ結んだ直線の延長線と、前記制御可能領域との交点を算出する交点算出手段と、前記乱数発生手段によって発生させた乱数に基づいて、前記交点算出手段によって結ばれた前記直線上の点であって前記仮計測点と前記交点との間の第2計測点を算出する第2計測点算出手段と、前記第2計測点算出手段によって算出された前記第2計測点を前記第1計測点として、前記仮計測点算出手段と、前記交点算出手段と、前記第2計測点算出手段とが行う処理を繰り返す繰り返し手段と、を備える計測点算出装置。
【0012】
(1)の構成によれば、本発明に係る計測点算出装置は、乱数を発生する乱数発生手段を有する。そして、本発明に係る計測点算出装置は、制御可能領域の範囲内に、第1計測点を決定し、乱数発生手段によって発生させた乱数に基づいて制御可能領域の範囲内に仮計測点を算出し、決定された第1計測点から、算出された仮計測点の方向へ結んだ直線の延長線と、制御可能領域との交点を算出する。次に、本発明に係る計測点算出装置は、乱数発生手段によって発生させた乱数に基づいて、交点と結んだ直線上の点であって仮計測点と交点との間の第2計測点を算出する。そして、本発明に係る計測点算出装置は、算出した第2計測点を第1計測点として、仮計測点の算出と、交点の算出と、第2計測点の算出とを繰り返し、計測点を算出する。
【0013】
すなわち、本発明に係る計測点算出装置は、第1計測点から、乱数に基づく仮計測点に基づいて第2計測点を算出し、第2計測点の算出を繰り返して計測点を算出する。よって、本発明に係る計測点算出装置は、第1計測点からランダムに直線の方向を変えながら、制御可能領域内の計測点をランダムに算出する。したがって、本発明に係る計測点算出装置は、多くの制御パラメータによる複雑な凸境界であっても、妥当な時間内に、十分な数の計測点を算出することができる。
【0014】
(2) 前記第1計測点決定手段は、前記制御可能領域の重心を算出し、第1計測点とする(1)に記載の計測点算出装置。
【0015】
したがって、(2)に係る計測点算出装置は、制御可能領域内において、偏ることなく計測点を算出することができる。
【0016】
(3) 前記第2計測点算出手段によって算出された計測点におけるエンジンの性能を測定する測定手段をさらに備える(1)又は(2)に記載の計測点算出装置。
【0017】
したがって、(3)に係る計測点算出装置は、妥当な時間内で算出された、十分な数の計測点により、エンジンの性能を測定することができる。
【0018】
(4) エンジンを制御する複数の制御パラメータにおいて、当該制御パラメータの限界値によって構成される制御可能領域の範囲内における、当該制御パラメータの組み合わせである計測点を、乱数発生手段を有する計測点算出装置が算出する方法であって、前記制御可能領域の範囲内に、第1計測点を決定する第1計測点決定ステップと、前記乱数発生手段によって発生させた乱数に基づいて前記制御可能領域の範囲内に仮計測点を算出する仮計測点算出ステップと、前記第1計測点決定ステップによって決定された前記第1計測点から、前記仮計測点算出ステップによって算出された前記仮計測点へ結んだ直線の延長線と、前記制御可能領域との交点を算出する交点算出ステップと、前記乱数発生手段によって発生させた乱数に基づいて、前記交点算出ステップによって結ばれた前記直線上の点であって前記仮計測点と前記交点との間の第2計測点を算出する第2計測点算出ステップと、前記第2計測点算出ステップによって算出された前記第2計測点を前記第1計測点として、前記仮計測点算出ステップと、前記交点算出ステップと、前記第2計測点算出ステップとが行う処理を繰り返す繰り返しステップと、を備える方法。
【0019】
(4)の構成によれば、本発明に係る方法は、第1計測点から、乱数に基づく仮計測点に基づいて第2計測点を算出し、第2計測点の算出を繰り返して計測点を算出する。よって、本発明に係る方法は、第1計測点からランダムに直線の方向を変えながら、制御可能領域内の計測点をランダムに算出する。したがって、本発明に係る方法は、多くの制御パラメータによる複雑な凸境界であっても、妥当な時間内に、十分な数の計測点を算出することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、多くの制御パラメータによる複雑な凸境界であっても、妥当な時間内に、十分な数の計測点を算出することができる計測点算出装置及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の特徴を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る計測点算出装置の機能を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る計測点算出装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る計測点算出装置の処理内容を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る計測点算出装置の測定処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る計測点算出装置による計測点算出の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本発明の特徴を示す図である。計測点算出装置10は、エンジンを制御する複数の制御パラメータにおいて、制御パラメータの限界値に対応する限界点101,102,103,104,105,106によって構成される制御可能領域190の範囲内における、制御パラメータの組み合わせである計測点を算出する。例えば、計測点算出装置10は、制御可能領域190の範囲内に、第1計測点201を決定し、乱数発生部21(後述する図2参照)によって発生させた乱数に基づいて制御可能領域190の範囲内に仮計測点301を算出し、決定された第1計測点201から、算出された仮計測点301へ結んだ直線151と、制御可能領域190との交点111を算出する。次に、計測点算出装置10は、乱数発生部21によって発生させた乱数に基づいて、第1計測点201と交点111とを結んだ直線上の点であって仮計測点301と交点111との間の第2計測点202を算出する。そして、計測点算出装置10は、算出された第2計測点202を第1計測点として、仮計測点302の算出と、直線152と制御可能領域190との交点112の算出と、第2計測点203の算出とを繰り返し、計測点を算出する。このように、計測点算出装置10は、第1計測点からランダムに直線の方向を変えながら、制御可能領域190内の計測点をランダムに算出する。したがって、計測点算出装置10は、多くの制御パラメータによる複雑な凸境界で構成された制御可能領域190であっても、妥当な時間内に、十分な数の計測点を算出することができる。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態に係る計測点算出装置10の機能を示す機能ブロック図である。計測点算出装置10は、乱数発生手段としての乱数発生部21と、第1計測点決定手段としての第1計測点決定部11と、仮計測点算出手段としての仮計測点算出部12と、交点算出手段としての交点算出部13と、第2計測点算出手段としての第2計測点算出部14と、繰り返し手段としての繰り返し部15と、測定手段としての測定部16とを備える。そして、計測点算出装置10は、エンジンを制御する複数の制御パラメータにおいて、制御パラメータの限界値によって構成される制御可能領域の範囲内における制御パラメータの組み合わせである計測点を算出する。このような計測点算出装置10について、各部ごとに詳述する。
【0025】
乱数発生部21は、乱数を発生する。乱数発生部21は、信号を元に乱数を生成するハードウェア乱数生成器や、CPU1010(後述する図3参照)によって計算によって作成される擬似乱数を生成する擬似乱数生成器であってよい。
【0026】
第1計測点決定部11は、制御可能領域の範囲内に、第1計測点を決定する。制御可能領域は、制御パラメータの限界値による条件式等で表わされる凸境界によって構成される。最初の第1計測点は、例えば、制御可能領域内の重心や、制御可能領域内の中心点等である。
【0027】
仮計測点算出部12は、乱数発生部21によって発生させた乱数に基づいて制御可能領域の範囲内に仮計測点を算出する。例えば、仮計測点算出部12は、発生させた乱数を中心角と半径とに対応付けて、第1計測点を起点とする仮計測点を算出する。算出した点が制御可能領域外である場合、仮計測点算出部12は、制御可能領域内の点に変換して制御可能領域内の仮計測点を算出する。
【0028】
交点算出部13は、第1計測点決定部11によって決定された第1計測点から、仮計測点算出部12によって算出された仮計測点へ結んだ直線の延長線と、制御可能領域との交点を算出する。例えば、交点算出部13は、第1計測点から仮計測点へ結んだ直線の方程式と、制御可能領域を表わす条件式とに基づいて交点の解を算出する。
【0029】
第2計測点算出部14は、乱数発生部21によって発生させた乱数に基づいて、交点算出部13によって結ばれた直線上の点であって仮計測点と交点との間の第2計測点を算出する。例えば、第2計測点算出部14は、発生させた乱数を仮計測点と交点とを内分する比率に対応付け、仮計測点と交点との間を内分する第2計測点を算出する。
【0030】
繰り返し部15は、第2計測点算出部14によって算出された第2計測点を第1計測点として、仮計測点算出部12と、交点算出部13と、第2計測点算出部14とが行う処理を繰り返し、計測点を算出する。すなわち、計測点算出装置10は、算出された計測点を起点として、ランダムに方向を変えながら、制御可能領域内の計測点をランダムに次々と算出する。計測点算出装置10は、算出した計測点のうち、数点おきに抽出して測定を行う計測点としてもよい。
【0031】
測定部16は、第2計測点算出部14によって算出された計測点におけるエンジンの性能を測定する。例えば、測定部16は、エンジンを制御するECU(Electronic Control Unit)制御システムに、算出した計測点に対応する制御パラメータの値を送信し、ECU制御システムから測定結果を受信する。
【0032】
図3は、本発明の一実施形態に係る計測点算出装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。計測点算出装置10は、CPU(Central Processing Unit)1010、バスライン1005、通信I/F1040、メインメモリ1050、BIOS(Basic Input Output System)1060、I/Oコントローラ1070、キーボード/マウス1100及び表示装置1022を備える。
【0033】
I/Oコントローラ1070には、ハードディスク1074、半導体メモリ1078、等の記憶手段を接続することができる。
【0034】
BIOS1060は、計測点算出装置10の起動時にCPU1010が実行するブートプログラムや、計測点算出装置10のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0035】
ハードディスク1074は、計測点算出装置10が本発明の機能を実行するためのプログラムを記憶しており、さらに、各種データベースを構成可能である。
【0036】
計測点算出装置10に提供されるプログラムは、ハードディスク1074、又はメモリカード等の記録媒体に格納されて提供される。このプログラムは、I/Oコントローラ1070を介して、記録媒体から読み出され、又は通信I/F1040を介してダウンロードされることによって、計測点算出装置10にインストールされ実行されてもよい。
【0037】
前述のプログラムは、専用通信回線に接続されたサーバシステムに設けたハードディスク又は光ディスクライブラリ等の記憶装置を記録媒体として使用し、通信回線を介して計測点算出装置10に提供されるとしてもよい。
【0038】
ここで、表示装置1022は、計測点算出装置10による演算処理結果の画面を表示したりするものであり、ブラウン管表示装置(CRT)、液晶表示装置(LCD)等のディスプレイ装置を含む。
【0039】
通信I/F1040は、計測点算出装置10を専用ネットワークを介して端末(例えば、測定対象の装置やECU制御システム等)と接続できるようにするためのネットワーク・アダプタである。
【0040】
図4は、本発明の一実施形態に係る計測点算出装置10の処理内容を示すフローチャートである。なお、本処理は、例えば、プログラム開始指令を受け付けて開始し、プログラム終了指令又は終了条件により終了する。
【0041】
ステップS101において、CPU1010は、第1計測点を決定する。より具体的には、CPU1010は、制御可能領域を構成する限界点の座標に基づいて重心を算出し、第1計測点とする。その後、CPU1010は、処理をステップS102に移す。
【0042】
ステップS102において、CPU1010は、乱数により仮計測点を算出する。より具体的には、CPU1010は、乱数発生部21から、例えば、4桁の自然数を取得する。そして、例えば制御パラメータが2パラメータの場合、CPU1010は、0〜9999を0ラジアン〜2πラジアンに対応付け、取得した乱数から中心角を算出し、0〜9999を第1計測点と、第1計測点から最大距離の限界点とに対応付け、取得した乱数から半径を算出し、仮計測点の座標を算出する。そして、CPU1010は、算出した仮計測点の座標が制御可能領域外である場合、制御可能領域内の座標に変換するために、例えば、制御可能領域の境界で半径の方向を反対方向に折り返した点を仮計測点とする。その後、CPU1010は、処理をステップS103に移す。
【0043】
ステップS103において、CPU1010は、交点を算出する。より具体的には、CPU1010は、第1計測点から仮計測点へ結んだ直線の方程式と、制御可能領域を表わす条件式とに基づいて交点の解を算出する。その後、CPU1010は、処理をステップS104に移す。
【0044】
ステップS104において、CPU1010は、乱数により第2計測点を算出する。より具体的には、CPU1010は、乱数発生部21から、例えば、4桁の自然数を取得する。そして、CPU1010は、0〜9999を仮計測点と交点とを内分する比率に対応付け、取得した乱数uにより仮計測点と交点との間をu:(9999−u)に内分する第2計測点を算出する。その後、CPU1010は、処理をステップS105に移す。
【0045】
ステップS105において、CPU1010は、算出した計測点の個数が十分か否かを判断する。すなわち、CPU1010は、算出した計測点の個数が所定の個数に達したか否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU1010は、処理をステップS106に移し、NOの場合、CPU1010は、第2計測点を第1計測点として処理をステップS102に移す。
【0046】
ステップS106において、CPU1010は、算出した計測点に基づいて測定処理(後述する図5参照)を行う。その後、CPU1010は、処理を終了する。
【0047】
図5は、本発明の一実施形態に係る計測点算出装置10の測定処理の内容を示すフローチャートである。
【0048】
ステップS401において、CPU1010は、制御パラメータの値を設定する。より具体的には、CPU1010は、エンジンを動作させるシステム(例えば、ECU制御システム)に、算出した計測点に基づく制御パラメータを送信する。その後、CPU1010は、処理をステップS402に移す。
【0049】
ステップS402において、CPU1010は、測定を行う。より具体的には、CPU1010は、エンジンを動作させるシステム(例えば、ECU制御システム)から、動作結果としての測定結果を受信する。その後、CPU1010は、処理をステップS403に移す。
【0050】
ステップS403において、CPU1010は、測定値が所定の動作条件を超えたか否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU1010は、処理をステップS405に移し、NOの場合、CPU1010は、処理をステップS404に移す。
【0051】
ステップS404において、CPU1010は、測定値が安定したか否かを判断する。すなわち、CPU1010は、受信した測定結果が変化しないで一定の値を示しているか否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU1010は、処理をステップS405に移し、NOの場合、CPU1010は、処理をステップS402に移す。
【0052】
ステップS405において、CPU1010は、全ての計測点を測定したか否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU1010は、処理をステップS406に移し、NOの場合、CPU1010は、処理をステップS401に移す。
【0053】
ステップS406において、CPU1010は、測定値を返す。その後、CPU1010は、処理を終了し、本処理に移るステップの次のステップに処理を戻す。
【0054】
図6は、本発明の一実施形態に係る計測点算出装置10による計測点算出の例を示す図である。図6において、計測点算出装置10は、第1計測点201から、乱数に基づいて直線151上に第2計測点202を算出し、第2計測点202を次の起点として乱数に基づいて直線152上に次の計測点203を算出し、算出を繰り返して直線153,154,155,156上に計測点204,205,206,207を算出する。図6の例は、このようにして計測点算出装置10が、計測点の算出を繰り返し、多くの制御パラメータによる複雑な凸境界で構成された制御可能領域190であっても、妥当な時間内に、領域内に一様に分布する、十分な数の計測点を算出することを示す例である。
【0055】
本実施形態によれば、計測点算出装置10は、乱数を発生する乱数発生部21を有する。そして、計測点算出装置10は、制御可能領域の範囲内に、第1計測点を決定し、乱数発生部21によって発生させた乱数に基づいて制御可能領域の範囲内に仮計測点を算出し、決定された第1計測点から、算出された仮計測点の方向へ結んだ直線の延長線と、制御可能領域との交点を算出する。次に、計測点算出装置10は、乱数発生手段によって発生させた乱数に基づいて、交点と結んだ直線上の点であって仮計測点と交点との間の第2計測点を算出する。そして、計測点算出装置10は、算出した第2計測点を第1計測点として、仮計測点の算出と、交点の算出と、第2計測点の算出とを繰り返し、計測点を算出する。したがって、計測点算出装置10は、多くの制御パラメータによる複雑な凸境界であっても、妥当な時間内に、十分な数の計測点を算出することができる。そして、計測点算出装置10は、算出した十分な数の計測点におけるエンジンの性能を測定する。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0057】
10 計測点算出装置
11 第1計測点決定部
12 仮計測点算出部
13 交点算出部
14 第2計測点算出部
15 繰り返し部
16 測定部
21 乱数発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを制御する複数の制御パラメータにおいて、当該制御パラメータの限界値によって構成される制御可能領域の範囲内における、当該制御パラメータの組み合わせである計測点を算出する計測点算出装置であって、
乱数を発生する乱数発生手段と、
前記制御可能領域の範囲内に、第1計測点を決定する第1計測点決定手段と、
前記乱数発生手段によって発生させた乱数に基づいて前記制御可能領域の範囲内に仮計測点を算出する仮計測点算出手段と、
前記第1計測点決定手段によって決定された前記第1計測点から、前記仮計測点算出手段によって算出された前記仮計測点へ結んだ直線の延長線と、前記制御可能領域との交点を算出する交点算出手段と、
前記乱数発生手段によって発生させた乱数に基づいて、前記交点算出手段によって結ばれた前記直線上の点であって前記仮計測点と前記交点との間の第2計測点を算出する第2計測点算出手段と、
前記第2計測点算出手段によって算出された前記第2計測点を前記第1計測点として、前記仮計測点算出手段と、前記交点算出手段と、前記第2計測点算出手段とが行う処理を繰り返す繰り返し手段と、
を備える計測点算出装置。
【請求項2】
前記第1計測点決定手段は、前記制御可能領域の重心を算出し、第1計測点とする請求項1に記載の計測点算出装置。
【請求項3】
前記第2計測点算出手段によって算出された計測点におけるエンジンの性能を測定する測定手段をさらに備える請求項1又は2に記載の計測点算出装置。
【請求項4】
エンジンを制御する複数の制御パラメータにおいて、当該制御パラメータの限界値によって構成される制御可能領域の範囲内における、当該制御パラメータの組み合わせである計測点を、乱数発生手段を有する計測点算出装置が算出する方法であって、
前記制御可能領域の範囲内に、第1計測点を決定する第1計測点決定ステップと、
前記乱数発生手段によって発生させた乱数に基づいて前記制御可能領域の範囲内に仮計測点を算出する仮計測点算出ステップと、
前記第1計測点決定ステップによって決定された前記第1計測点から、前記仮計測点算出ステップによって算出された前記仮計測点へ結んだ直線の延長線と、前記制御可能領域との交点を算出する交点算出ステップと、
前記乱数発生手段によって発生させた乱数に基づいて、前記交点算出ステップによって結ばれた前記直線上の点であって前記仮計測点と前記交点との間の第2計測点を算出する第2計測点算出ステップと、
前記第2計測点算出ステップによって算出された前記第2計測点を前記第1計測点として、前記仮計測点算出ステップと、前記交点算出ステップと、前記第2計測点算出ステップとが行う処理を繰り返す繰り返しステップと、
を備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−8056(P2012−8056A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145615(P2010−145615)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000145806)株式会社小野測器 (230)
【出願人】(504202472)大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 (119)
【Fターム(参考)】