説明

計測管理システム

【課題】計測器が計測した計測値と当該計測器の設置位置とを対応付けて予め記録しておく必要なく、当該計測値と当該設置位置とを一緒に管理することができる計測管理システムを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明にかかる計測管理システム100は、可視光を発して照明を行うと共に可視光通信で計測器104の設置位置に関する設置位置情報を発信する照明装置102と、気温や湿度などを計測し、計測した計測値に関する計測情報と受信した設置位置情報とを対応付けて受信機106へ送信する計測器104と、計測器104から送信された計測情報と設置位置情報とを受信する受信機106と、受信機106とネットワーク108を介して通信可能に接続され、受信機106で受信した計測情報と設置位置情報とを管理する管理装置110と、で構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気温や湿度などを計測する計測器(具体的にはセンサ)で計測した計測値に関する計測情報と当該計測器の設置位置に関する設置位置情報とを対応付けて管理する計測管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで、建物内の空調設備を制御する際に計測器(例えば温熱センサ)を利用する場合、当該計測器を壁や天井以外に設置することは困難であった。そのため、例えば部屋の中央付近の温度や湿度などを正確に把握することができなかった。
【0003】
ここで、空調設備を制御する際に計測器を利用した従来技術として、特許文献1や特許文献2、特許文献3を簡単に説明する。まず、特許文献1には、居住室区分の変更に対応して空調空間領域の変更が容易な空調制御装置などに関する技術が記載されている。また、特許文献2には、空調空間全体の空調効率を向上させつつ、各空調エリアをそれぞれ目標温度に制御することが可能な空調制御方法に関する技術が記載されている。また、特許文献3には、全体制御モード時の被空調空間に吹き出す空気の吹出温度を各空間の必要温調量に応じて調節し、目標温度に到達するまでの時間を短くできる多空間空調制御システムに関する技術が記載されている。
また、計測器を利用した従来技術として、特許文献4や、特許文献5、特許文献6を簡単に説明する。まず、特許文献4には、複数の車両などの移動体が展開されている場合に、リアルタイムに車両の位置情報と周辺の環境情報を取得表示可能となる移動無線通信回線基地局の運用手法に関する技術が記載されている。また、特許文献5には、移動系電気通信体を用いて簡便で移動度の高い監視システムに関する技術が記載されている。また、特許文献6には、集合建築物において異常が発生した場合にその異常の内容をきめ細かく把握し、対策を迅速かつ正確に行うことができる管理システムなどに関する技術が記載されている。
【0004】
ところが、最近では、無線通信が可能で小型の計測器が開発されている。これにより、配線を設置することができない場所や部屋の中央付近などに当該計測器を設置することが可能になった。具体的には、部屋に設置したパーティション(移動可能な間仕切り)の上に当該計測器を設置することが可能になった。これにより、部屋の中央付近などの人が多く居る場所の温度や湿度などを正確に把握することが可能になった。
【0005】
【特許文献1】特開平07−318144号公報
【特許文献2】特開2000−171071号公報
【特許文献3】特開平05−044977号公報
【特許文献4】特開2004−341722号公報
【特許文献5】特開2001−257638号公報
【特許文献6】特開2003−109152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、計測器が計測した計測値と共に当該計測器の設置位置を把握する場合には、計測器の設置位置と当該計測器のIDとを対応付けて予め記録しておく必要があった、という問題点があった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、計測器が計測した計測値と当該計測器の設置位置とを対応付けて予め記録しておく必要なく、当該計測値と当該設置位置とを一緒に管理することができる計測管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明にかかる請求項1に記載の計測管理システムは、気温や湿度などを計測し、計測した計測値に関する計測情報を送信する計測器と、前記計測器から送信された計測情報を受信し、受信した計測情報を管理する管理装置と、を備えた計測管理システムにおいて、可視光で照明を行うと共に可視光通信で前記計測器の設置位置に関する設置位置情報を発信する照明装置をさらに備え、前記計測器は、前記照明装置から可視光通信で発信された設置位置情報を受信し、計測した計測情報と受信した設置位置情報とを対応付けて前記管理装置へ送信すること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる請求項2に記載の計測管理システムは、本発明にかかる請求項1に記載の計測管理システムにおいて、前記計測器は無線通信可能な可搬型のものであること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる計測管理システムによれば、照明装置で、可視光で照明を行うと共に可視光通信で計測器の設置位置に関する設置位置情報を発信し、計測器で、照明装置から可視光通信で発信された設置位置情報を受信し、計測した計測情報と受信した設置位置情報とを対応付けて管理装置へ送信し、管理装置で、受信した計測情報と設置位置情報とを管理する。これにより、計測器が計測した計測値と当該計測器の設置位置とを対応付けて予め記録しておく必要なく、当該計測値と当該設置位置とを一緒に管理することができるという効果を奏する。
【0011】
本発明にかかる計測管理システムによれば、計測器は無線通信可能な可搬型のものであるので、あらゆる場所(例えば、配線を設置することができない場所や部屋の中央付近など)に当該計測器を設置することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明にかかる計測管理システムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0013】
まず、本実施例の計測管理システム100の構成について、図1などを参照して説明する。図1は、本実施例の計測管理システム100の構成の一例を示す図である。
【0014】
計測管理システム100は、図1に示すように、照明装置102と、計測器104と、受信機106と、受信装置106とネットワーク108を介して有線または無線で通信可能に接続される管理装置110と、で構成される。
【0015】
照明装置102は、可視光で照明を行うと共に可視光通信で前記計測器の設置位置に関する設置位置情報を発信する。具体的には、図2に示すように、照明装置102は、可視光を発して照明を行う発光部102aと、計測器104の設置位置に関する設置位置情報を記憶する記憶部102bと、記憶部102bで記憶した設置位置情報を発光部102aを変調して可視光通信で発信する変調部102cと、を備える。
【0016】
再び図1に戻り、計測器104は、気温や温度などを計測し、照明装置102から可視光通信で発信された設置位置情報を受信し、計測した計測値に関する計測情報と受信した設置位置情報とを対応付けて管理装置110へ送信する。具体的には、計測器104は、図3に示すように、照明装置102から可視光通信で発信された設置位置情報を受信する受信部104aと、気温や湿度、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度、浮遊粉塵量、風速、輻射温度、照度、振動の大きさ、音の大きさなどを計測したり人が存在するか否かを検知したりする計測部104bと、計測部104bで計測した計測値に関する計測情報と受信部104aで受信した設置位置情報とを対応付けて受信機106または管理装置110へ送信する送信部104cと、を備える。計測器104は、無線通信可能な可搬型のものであり、具体的には小型無線センサである。なお、計測器104は、太陽電池を搭載し、当該太陽電池の電力で駆動するものでもよい。これにより、計測器104の電池を不要とすることができる。
【0017】
再び図1に戻り、受信機106は、計測器104から送信された計測情報および設置位置情報を受信する。
【0018】
ネットワーク108は、管理装置110と受信機106とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN等である。
【0019】
管理装置110は、計測器104から送信された計測情報と設置位置情報とを受信し、受信した計測情報と設置位置情報とを管理する。具体的には、管理装置110は、受信機106とネットワーク108を介して通信可能に接続され、受信機106で受信した情報を管理する。管理装置110は、図4に示すように、管理装置110の全体を統括的に制御するCPU等の制御部110aと、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して管理装置110をネットワーク108に通信可能に接続する通信インターフェース部110bと、各種のデータベースやテーブルやファイルなどを格納する記憶部110cと、入力装置112や出力装置114に接続する入出力インターフェース部110dと、で構成されており、これら各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0020】
制御部110aは、OS(Operating System)等の制御プログラム、各種の処理手順等を規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらのプログラムに基づいて種々の処理を実行するための情報処理を行う。また、制御部110aは、取得部110a1を備えている。取得部110a1は、計測器104から送信された計測情報と設置位置情報とを、通信インターフェース部110bを介して受信して取得する。具体的には、取得部110a1は、受信機106で受信した計測情報と設置位置情報とを取得する。
【0021】
通信インターフェース部110bは、管理装置110とネットワーク108(またはルータ等の通信装置)との間における通信を媒介する。すなわち、通信インターフェース部110bは、他の端末と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。
【0022】
記憶部110cは、ストレージ手段であり、例えば、RAM、ROM等のメモリ装置や、ハードディスクのような固定ディスク装置や、フレキシブルディスクや、光ディスク等を用いることができる。記憶部110cは、計測情報と設置位置情報とを対応付けて記憶する。
【0023】
入出力インターフェース部110dは、入力装置112や出力装置114に接続する。ここで、出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。また、入力装置112には、キーボードやマウスやマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。
【0024】
ここで、図5に示すように、計測管理システム100は、照明装置102を制御する照明制御装置112をさらに含んで構成され、照明制御装置112を介して照明装置102をネットワーク108に接続する構成でもよい。これにより、例えば計測器104の回収の時に計測器104の設置位置がわからなくなってしまった場合には、管理装置110が、計測器104から送信される設置位置情報を取得し、取得した設置位置情報に該当する照明装置102を特定し、特定した照明装置102を点滅させるなど、何らかのサインを視認させるための指示情報を作成し、作成した指示情報をネットワーク108および照明制御装置112を介して照明装置102に対して送信することにより、照明装置102を制御することができるので、計測器104の設置位置を知らせることができる。また、例えば電池切れなどで計測器104に対し電力の供給が途切れることに因り計測器104が情報を送信することができなくなってしまった場合や、例えば計測器104が何らかの異常に関する情報を送信している場合には、管理装置110が、情報を送信していない計測器104や異常に関する情報を送信している計測器104を感知し、感知した計測器104へ設置位置情報を発信する照明装置102を特定し、特定した照明装置102をサインにより視認させるための指示情報を作成し、作成した指示情報をネットワーク108および照明制御装置112を介して照明装置102に対して送信することにより、照明装置102を制御することができるので、異常の発生やその発生場所を知らせることができる。
【0025】
以上の構成において、計測管理システム100で、計測情報と設置位置情報とを対応付けて管理する過程を説明する。
(1)まず、照明装置102は、変調部102bで、記憶部102bに予め記憶した設置位置情報を、発光部102aを変調して可視光通信で発信する。
(2−1)ついで、計測器104は、受信部104aで、照明装置102から発信された設置位置情報を受信する。
(2−2)一方で、計測器104は、計測部104bで、気温や湿度などを計測する。
(2−3)そして、計測器104は、送信部104cで、計測部104bで計測した計測値に関する計測情報と受信部104aで受信した設置位置情報とを対応付けて受信機106へ送信する。
(3)ついで、受信機106は、計測器104から送信された計測情報と設置位置情報とを受信する。
(4)ついで、管理装置110は、取得部110a1で、受信機106で受信した計測情報と設置位置情報とを、ネットワーク108に接続された通信インターフェース部110bを介して取得し、取得した計測情報と設置位置情報とを記憶部110cの所定の記憶領域に格納する。
【0026】
以上説明したように、計測管理システム100によれば、照明装置102で、可視光で照明を行うと共に可視光通信で計測器104の設置位置に関する設置位置情報を発信し、計測器104で、照明装置102から可視光通信で発信された設置位置情報を受信し、計測した計測情報と受信した設置位置情報とを対応付けて管理装置110へ送信し、管理装置110で、受信した計測情報と設置位置情報とを管理する。これにより、計測器104が計測した計測値と当該計測器104の設置位置とを対応付けて予め記録しておく必要なく、当該計測値と当該設置位置とを一緒に管理することができる。また、本システムによれば、特定された場所で可視光通信を行うので、定位置または狭い範囲での計測を容易に行うことができる。これまで、計測器(特に可搬型(小型)無線センサ)を利用する場合は、各計測器の設置位置を把握するために、各計測器にIDを付与したり、設置位置を記録したりすることが必要であった。しかし、本システムを用いれば、それらの作業は不要となる。また、本システムによれば、部屋のレイアウト変更などで計測器104を移設した場合でも、計測器104の移設先での設置位置が自動検出されるので、ソフトやシステム上の変更が不要である。
【0027】
また、計測管理システム100において、計測器104は無線通信可能な可搬型のもの(具体的には小型無線センサ)であるので、あらゆる場所(例えば、配線を設置することができない場所や部屋の中央付近など)に計測器104を設置することができる。換言すると、従来は壁や天井以外には設置することが困難であった計測器(各種センサ)を、建物空間内に自由に配置することができる。よって、本システムを用いれば、部屋の中央付近の温度や湿度を計測したり、部屋の中央付近での人の存在を検知したりすることができるので、よりきめ細やかな環境コントロール、設備の異常運転の検知、防犯監視などが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上のように、本発明にかかる計測管理システムは、計測器で計測した計測値と当該計測器の設置位置とを対応付けて管理する際に好適に実施することができ、建設業などにおいて極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】計測管理システム100の構成の一例を示す図である。
【図2】照明装置102の構成の一例を示す図である。
【図3】計測機104の構成の一例を示す図である。
【図4】管理装置110の構成の一例を示す図である。
【図5】計測管理システム100の構成の他の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
100 計測管理システム
102 照明装置
102a 発光部
102b 記憶部
102c 変調部
104 計測器
104a 受信部
104b 計測部
104c 送信部
106 受信機
108 ネットワーク
110 管理装置
110a 制御部
110a1 取得部
110b 通信インターフェース部
110c 記憶部
110d 入出力インターフェース部
112 照明制御装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
気温や湿度などを計測し、計測した計測値に関する計測情報を送信する計測器と、前記計測器から送信された計測情報を受信し、受信した計測情報を管理する管理装置と、を備えた計測管理システムにおいて、
可視光で照明を行うと共に可視光通信で前記計測器の設置位置に関する設置位置情報を発信する照明装置、
をさらに備え、
前記計測器は、前記照明装置から可視光通信で発信された設置位置情報を受信し、計測した計測情報と受信した設置位置情報とを対応付けて前記管理装置へ送信すること、
を特徴とする計測管理システム。
【請求項2】
前記計測器は無線通信可能な可搬型のものであること、
を特徴とする請求項1に記載の計測管理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−228034(P2006−228034A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−42737(P2005−42737)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】