説明

計測装置、モータ装置、及びロボット装置

【課題】出力されるトルクを計測する。
【解決手段】計測装置は、回転子SFの周面の少なくとも一部に掛けられる伝達部BTを用いて駆動動作及び復帰動作を行う駆動部30によって駆動される回転子SFに加えられるトルクを計測する計測部、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置、モータ装置、及びロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、旋回系機械を駆動させるアクチュエータとして、モータ装置が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。このようなモータ装置として、例えば電動モータや超音波モータなど、高トルクを発生させることが可能なモータ装置が広く知られている。近年では、ヒューマノイドロボットの関節部分など、より精密な部分を駆動させるモータ装置が求められており、電動モータや超音波モータなどの既存のモータ装置においてもトルクの制御性等、細密で高精度な駆動を行うことができる構成が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−311237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したモータ装置は、ある定格のトルクが出力できるように固定のホールドトルクを出力して駆動している。そのため、例えば、固定のホールドトルクより小さいトルクで出力が十分な場合に、上述したモータ装置は、余分なトルクを発生して駆動部による駆動効率を低下してしまうことがある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、出力されるトルクを計測できる計測装置、モータ装置、及びロボット装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一実施形態は、回転子の周面の少なくとも一部に掛けられる伝達部を用いて駆動動作及び復帰動作を行う駆動部によって駆動される前記回転子に加えられるトルクを計測する計測部、を備えることを特徴とする計測装置である。
【0007】
また、本発明の一実施形態は、上記に記載の計測装置によって計測された前記トルクに基づいて、前記駆動動作、又は前記復帰動作を制御する制御部、を備えることを特徴とするモータ装置である。
【0008】
また、本発明の一実施形態は、上記に記載の計測装置と、前記計測装置によって計測された前記トルクに基づいて、前記駆動動作、又は前記復帰動作を制御する制御部と、を備えることを特徴とするモータ装置である。
【0009】
また、本発明の一実施形態は、回転子と、前記回転子の周面の少なくとも一部に掛けられる伝達部と、前記伝達部に接続され、前記回転子と前記伝達部との間を回転力伝達状態として前記伝達部を一定距離移動させる駆動動作及び前記回転力伝達状態を解消した状態で前記伝達部を所定の位置に戻す復帰動作を行う駆動部と、前記回転子に加えられるトルクを計測する計測手段と、を備えることを特徴とするモータ装置である。
【0010】
また、本発明の一実施形態は、上記に記載のモータ装置を備えることを特徴とするロボット装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、出力されるトルクを計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態におけるモータ装置の構成を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施形態による計測装置及びモータ装置の構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態における計測装置及びモータ装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態におけるモータ装置の特性を示すグラフある。
【図5】本実施形態におけるモータ装置の動作を示す第1の図ある。
【図6】本実施形態におけるモータ装置の動作を示す第2の図ある。
【図7】本実施形態におけるモータ装置の動作を示す第3の図ある。
【図8】本実施形態におけるモータ装置の動作を示す第4の図ある。
【図9】第2の実施形態による計測装置及びモータ装置の構成を示す図である。
【図10】第2の実施形態における計測装置及びモータ装置の構成を示すブロック図である。
【図11】第3の実施形態による計測装置及びモータ装置の構成を示す図である。
【図12】第3の実施形態における計測装置及びモータ装置の構成を示すブロック図である。
【図13】第4の実施形態による計測装置及びモータ装置の構成を示す図である。
【図14】第4の実施形態における計測装置及びモータ装置の構成を示すブロック図である。
【図15】第5の実施形態における計測装置及びモータ装置の構成を示すブロック図である。
【図16】第6の実施形態におけるロボット装置の構成を示す模式図である。
【図17】本実施形態における計測装置及びモータ装置の変形例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態による計測装置5及びモータ装置1について図面を参照して説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態によるモータ装置1の一例を示す概略構成図である。
図1(a)は、モータ装置1の断面(例、回転面)に沿った構成を示す図であり、図1(b)は、図1(a)におけるA−A´断面に沿った構成を示す図である。
図1に示すように、モータ装置1は、ベース部BSと、伝達部BTと、駆動部30と、制御部CONTとを備えている。このモータ装置1は駆動部30及び伝達部BTを用いて回転子SFを回転させる。回転子SFは、中心軸Cを回転軸として回転するようになっている。
【0015】
以下、各図の説明においてはXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。回転子SFの回転軸方向をZ軸方向とし、当該Z軸方向に垂直な平面上の直交方向をそれぞれX軸方向及びY軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸周りの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
【0016】
ベース部BSは、例えばステンレス等の材料を用いて板状に形成された部分である。ベース部BSには、貫通部10及び貫通部20が形成されている。貫通部10は、正面視でほぼ円形に形成された開口部であり、ベース部BSの表裏を貫通して形成されている。貫通部10には、伝達部BTが配置されており、回転子SFが挿入されるようになっている。
【0017】
伝達部BTは、第一端部21、第二端部22及びベルト部23を有している。第一端部21及び第二端部22は、例えば貫通部10のX方向の中央部から−Y方向に平行に延びるように形成されている。第一端部21及び第二端部22は、回転子SFの外周上の基準位置Fを挟んで配置されている。本実施形態では、例えば図1(a)における回転子SFの−Y側端部を基準位置Fとした場合を例に挙げて説明する。
【0018】
ベルト部23は、帯状に形成され、例えば貫通部10の内周面10aに沿って設けられている。ベルト部23は、貫通部10に挿入される回転子SFを囲うように配置される。
換言すると、回転子SFは、貫通部10のうちベルト部23によって囲まれる空間に挿入される。ベルト部23は、例えば回転子SFの周面(例、外周面や内周面)の少なくとも一部に掛けられる。
【0019】
図1に示すように、貫通部20は、例えば貫通部10の−Y側端部に一部重なるように正面視でほぼ矩形に形成された開口部であり、ベース部BSの表裏を貫通して形成されている。貫通部20内には、駆動部30が配置される。駆動部30は、貫通部20の内周面に設けられた支持部材33及び34によって支持されている。
【0020】
駆動部30は、駆動素子として、例えば電歪素子(例、ピエゾ素子)や磁歪素子などの電気機械変換素子である圧電素子31及び圧電素子32を有している。すなわち、駆動部30(駆動素子)には、伝達部BTの両端部にそれぞれ接続される圧電素子31(第1の駆動素子)と圧電素子32(第2の駆動素子)とが含まれる。圧電素子31及び圧電素子32は、電圧が印加されることにより、X方向に伸縮する構成である。駆動部30は、伝達部BTに接続される。
制御部CONTは駆動部30に接続されており、この駆動部30に対して制御信号を供給可能になっている。制御部CONTの詳細につては、後述する。
【0021】
圧電素子31は、支持部材33によって支持されている。圧電素子31は、図中−X側の端部の位置が固定されている。このため、圧電素子31は、X方向に伸縮することで図中+X側の端部の位置がX方向に移動することになる。圧電素子31のうち当該+X側の端部は、支持部材33の先端部33aに接続されている。支持部材33の先端部33aは、例えば第一端部21に接続されている。支持部材33は、先端部33aよりも−X側に、例えば伸縮部33bを有している。伸縮部33bは、圧電素子31の+X側端部の移動に合わせて先端部33aが移動するように伸縮する。
【0022】
圧電素子32は、支持部材34によって支持されている。圧電素子32は、図中+X側の端部の位置が固定されている。このため、圧電素子32は、X方向に伸縮することで図中−X側の端部の位置がX方向に移動することになる。圧電素子31のうち当該−X側の端部は、支持部材34の先端部34aに接続されている。支持部材34の先端部34aは、例えば第二端部22に接続されている。支持部材34は、先端部34aよりも+X側に、例えば伸縮部34bを有している。伸縮部34bは、圧電素子32の−X側端部の移動に合わせて先端部34aが移動するように伸縮する。
【0023】
圧電素子31及び圧電素子32は、第一端部21及び第二端部22を挟む位置に設けられている。支持部材33の先端部33aは第一端部21に向けられており、支持部材34の先端部34aは第二端部22に向けられている。したがって、先端部33a及び先端部34aは対向して配置されている。
【0024】
圧電素子31が+X方向に伸び、かつ、圧電素子32が−X方向に伸びると、第一端部21と第二端部22とが近づく。このため、ベルト部23が回転子SFに巻きつき、当該ベルト部23に張力が加わる。圧電素子31が−X方向に縮み、かつ、圧電素子32が+X方向に縮むと、第一端部21と第二端部22とが遠ざかる。このため、ベルト部23が回転子SFから離れて弛緩する。
【0025】
図2は、第1の実施形態による計測装置5及びモータ装置1の構成を示す図である。
また、図3は、本実施形態における計測装置5及びモータ装置1の構成を示すブロック図である。
本実施形態では、計測装置5が、歪検出部50を用いて、回転子SFにかかる駆動トルク(トルク)を直接計測する場合(第1の方式)の形態について説明する。また、本実施形態では、一例として、歪検出部50に歪ゲージ51を用いる形態について説明する。ここで、駆動トルクとは、回転子SFを回転させる加速トルクと負荷(被駆動物)による負荷トルクとの総和である。
【0026】
図2及び図3において、モータ装置1は、回転子SF、制御部CONT、及び駆動部30を備えている。
回転子SFは、上述した駆動部30により駆動され、例えば、モータ装置1によって駆動される被駆動物(負荷)が接続されるシャフトである。回転子SFは、駆動部側シャフト61、トーションバー62、及び負荷側シャフト63を有している。
【0027】
駆動部側シャフト61は、モータ装置1の駆動部30側のシャフトである。また、負荷側シャフト63は、被駆動物(負荷)が接続される側のシャフトである。
駆動部側シャフト61と負荷側シャフト63とは、トーションバー62を介して接続されている。
トーションバー62は、上述したように駆動部側シャフト61と負荷側シャフト63との間に配置されている。トーションバー62は、駆動部側シャフト61及び負荷側シャフト63より剛性が低く、回転子SFに加わる駆動トルクに応じてねじれ(歪)を生じるように構成されている。
【0028】
制御部CONTは、伝達部BTと回転子SFとの間を回転力伝達状態として伝達部BTを一定距離移動させる駆動動作、及び回転力伝達状態を解消した状態で伝達部BTを所定の位置に戻す復帰動作を駆動部30にさせる制御を行う。駆動動作及び復帰動作については、後述する。また、制御部CONTは、計測装置5によって計測された駆動トルクに基づいて、この駆動動作、又は復帰動作を制御する。すなわち、制御部CONTは、計測装置5によって計測された駆動トルクに基づいて、モータ装置1のトルク制御を行う。
また、制御部CONTは、外部のコントローラ2からの制御指令に基づいて、モータ装置1による回転子SFの回転動作を制御する。
【0029】
また、制御部CONTは、トルク制御部71、パルス変換部72、及びドライバ部73を備えている。
トルク制御部71は、コントローラ2から出力される制御指令、又は計測装置5から出力される計測結果(駆動トルク)に基づいて、回転子SFを回転させる速度情報及びトルク情報を生成する。トルク制御部71は、生成した速度情報及びトルク情報をパルス変換部72に出力する。
なお、トルク制御部71は、計測装置5から出力される駆動トルクに基づいて、コントローラ2から出力される制御指令に基づいて指定された駆動状態において、適切な速度情報及びトルク情報を生成する。一例として、トルク制御部71は、計測装置5が計測した駆動トルクをフィードバックして、駆動部30の制御に反映させる。
ここで、適切な速度情報及びトルク情報とは、例えば、駆動状態に応じて、モータ装置1のホールドトルクに最低限必要なトルクを生成して、余分なトルクの発生を低減させるための情報である。
【0030】
パルス変換部72は、トルク制御部71から出力された速度情報及びトルク情報に基づいて、駆動部30の圧電素子(31、32)の駆動を制御するためのPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)パルス信号に変換する。パルス変換部72は、変換したPWMパルス信号を出力する。
ドライバ部73は、例えば、パルス幅変調により、圧電素子(31、32)の駆動信号を生成するドライバ回路である。ドライバ部73は、パルス変換部72から出力されたPWMパルス信号に基づいて、駆動部30に圧電素子(31、32)の駆動信号を出力する。これにより、ドライバ部73は、回転子SFに必要な駆動トルクを駆動部30に生成させる。
【0031】
次に、本実施形態における計測装置5の構成について説明する。
図2及び図3において、計測装置5は、計測部4を備えている。
計測部4は、回転子SFに加わる駆動トルクを計測する。なお、本実施形態では、計測部4は、回転子SFにかかる駆動トルクを直接計測する。計測部4は、歪検出部50と計測処理部40とを備えている。
【0032】
歪検出部50は、回転子SFに生じる歪を検出する。歪検出部50は、歪ゲージ51を備えている。すなわち、歪検出部50は、回転子SFに配置される歪ゲージを有している。
歪ゲージ51は、回転子SFのトーションバー62に配置され、トーションバー62のねじれ量を歪として検出する。歪ゲージ51は、検出したねじれ量(歪量)を計測処理部40に出力する。
【0033】
計測処理部40は、歪検出部50による検出結果(ねじれ量)に基づいて、回転子SFにかかる駆動トルクを計測する。すなわち、計測処理部40は、歪ゲージ51によって検出されたトーションバー62のねじれ量(歪量)に基づいて、回転子SFにかかる(加わる)駆動トルクを計測する。計測処理部40は、計測した駆動トルクをモータ装置1の制御部CONTに出力する。
【0034】
次に、本実施形態における計測装置5及びモータ装置1の動作について説明する。
まず、モータ装置1において、回転子SFを駆動させる原理を説明する。回転子SFを駆動させる際には、回転子SFに巻き掛けられた伝達部BTに有効張力を生じさせ、当該有効張力によって回転子SFにトルクを伝達する。
【0035】
オイラーの摩擦ベルト理論により、回転子SFに巻き掛けられた伝達部BTの第一端部21側の張力T1及び第二端部22側の張力T2が下記の式(1)を満たす場合、伝達部BTと回転子SFとの間で摩擦力が生じ、伝達部BTが回転子SFに対して滑りを生じることの無い状態(回転力伝達状態)で回転子SFと共に移動する。この移動により、回転子SFにトルクが伝達される。ただし、式(1)において、μは伝達部BTと回転子SFとの間の見かけ上の摩擦係数であり、θは伝達部BTの有効巻き付き角である。
【0036】
【数1】

【0037】
この場合、トルクの伝達に寄与する有効張力は、(T1−T2)によって表される。上記の式(1)に基づいて有効張力(T1−T2)を求めると、式(2)のようになる。式(2)は、張力T1を用いて有効張力を表す式である。
【0038】
【数2】

【0039】
上記の式(2)より、回転子SFに伝達されるトルクは、圧電素子31の張力T1によって一意に決定されることがわかる。式(2)の右辺の張力T1の係数部分は、伝達部BTと回転子SFとの間の摩擦係数μ及び伝達部BTの有効巻き付き角θにそれぞれ依存する。
図4は、摩擦係数μを変化させた場合の有効巻き付き角θと係数部分の値との関係を示すグラフである。グラフの横軸は有効巻き付き角θを示しており、グラフの縦軸は係数部分の値を示している。
【0040】
図4に示すように、例えば摩擦係数μが0.3の場合には、有効巻き付き角θが300°以上のときに係数部分の値が0.8以上となっている。このことから、摩擦係数μが0.3の場合には、有効巻き付き角θを300°以上とすることにより、圧電素子31による張力T1の80%以上の力が回転子SFのトルクに寄与することがわかる。この巻き付き角の他、図4のグラフから、例えば伝達部BTと回転子SFとの間の摩擦係数を大きくするほど、係数部分の値が大きくなることが推定される。
【0041】
このように、トルクの大きさは圧電素子31の張力T1によって一意に決定されることになり、例えば伝達部BTの移動距離などには無関係であることがわかる。したがって、例えば圧電素子31及び圧電素子32に用いられるピエゾ素子は、数ミリ程度の小型素子であっても、数百ニュートン以上の力を出すことができるので非常に大きな回転力を付与することができる。
【0042】
このような原理に基づいて、制御部CONTは、図5に示すように、まず、第一端部21が+X方向に、第二端部22が−X方向にそれぞれ移動するように圧電素子31及び圧電素子32を変形させる。この動作により、伝達部BTの第一端部21側には張力T1が発生し、伝達部BTの第二端部22側には張力T2が発生する。したがって、伝達部BTには、回転力伝達状態となる保持力である有効張力(T1−T2)が発生する。
【0043】
制御部CONTは、伝達部BTに有効張力を発生させた状態を保持しつつ、図6に示すように、伝達部BTの第一端部21が−X方向に移動するように、かつ、第二端部22が−X方向に移動するように圧電素子31及び圧電素子32を変形させる(駆動動作)。この動作において、制御部CONTは、第一端部21の移動距離と第二端部22の移動距離とを等しくさせる。この動作により、伝達部BTと回転子SFとの間に摩擦力が発生した状態で伝達部BTが移動し、当該移動と共に回転子SFがθZ方向(矢印方向)に回転する。例えば、モータ装置1は、駆動部30の2つの圧電素子(31、32)が連動的に(又は協働的に)駆動することによって、駆動部30によって伝達部BTに加えられる力(例、張力や押圧力)に基づいて回転子SFに対する回転子SFに対する伝達部BTUの接触状態を調整可能なため、伝達部BTを介して回転子SFにトルクを伝達する。また、モータ装置MTRは、2つの圧電素子(31、32)が協働的に(又は相互作用的に)駆動することによって、伝達部BTの回転子SFに対する巻き付き角θに基づく回転子SFに対する伝達部BTの接触状態を調整可能なため、伝達部BTを介して回転子SFにトルクを伝達する。このように、本実施形態におけるモータ装置MTRは、駆動部32によって回転子SFの径方向に力が伝達部BTの少なくとも一部に加えられた状態(回転力伝達状態)で、伝達部BTを介して回転子SFにトルクが伝達される。
【0044】
本実施形態では、伝達部BTと回転子SFとの間の摩擦係数μが例えば0.3であり、伝達部BTが回転子SFにほぼ1回転(360°)巻き掛けられている。したがって、図4のグラフを参照すると、圧電素子31の張力T1の85%程度の力がトルクとして回転子SFに伝達されることになる。
【0045】
制御部CONTは、第一端部21及び第二端部22を所定距離だけ移動させた後、図7に示すように、第二端部22が駆動の開始位置(所定位置)へ戻るように、かつ、第一端部21が移動しないように、圧電素子32だけを変形させる。この動作により、第二端部22が+X方向へ移動し、伝達部BTの巻き掛けが緩んだ状態になる。つまり、伝達部BTに付加されていた有効張力(回転子SFに対する保持力)が解除された状態になる。この状態においては、伝達部BTと回転子SFとの間に摩擦力は発生せず、回転子SFは慣性によって図7の矢印方向に回転し続けることになる。
【0046】
制御部CONTは、伝達部BTの巻き掛けを緩ませた後、図8に示すように、第一端部21が駆動の開始位置(所定位置)へ戻るように圧電素子31を変形させる。この動作により、伝達部BTの巻き掛けが緩んだまま、すなわち、有効張力が発生しないまま、伝達部BTの第一端部21が駆動の開始位置(所定位置)へ戻っていく(復帰動作)。
【0047】
第一端部21が駆動開始位置に戻される直前になったら、制御部CONTは、圧電素子32を変形させて第二端部22を+X方向に移動させる。この動作により、第一端部21が駆動開始位置に戻されるのとほぼ同時に、第二端部22側に張力T2が発生し、第一端部21側に張力T1が発生する。これにより、駆動開始時に伝達部BTに有効張力を付加させた状態(図5の状態)と同様の状態となる。
【0048】
伝達部BTに有効張力が付加された後、制御部CONTは、伝達部BTの第一端部21が−X方向に移動するように圧電素子31を変形させ、第二端部22が−X方向に移動するように圧電素子32を変形させる(駆動動作)。このとき、第一端部21の移動距離と第二端部22の移動距離とを等しくさせる。この動作により、伝達部BTと回転子SFとの間に摩擦力が発生した状態で伝達部BTが移動し、当該移動と共に回転子SFがθZ方向に回転する。
【0049】
この後、制御部CONTは、伝達部BTに付加されていた有効張力を再度解除させる。
制御部CONTは、有効張力を解除させた後、伝達部BTの第一端部21及び第二端部22が開始位置に戻るように移動させる(復帰動作)。このように制御部CONTが上記駆動動作と復帰動作とを駆動部30に繰り返し行わせることにより、回転子SFがθZ方向に回転し続けることになる。
【0050】
次に、本実施形態における計測装置5の動作、及びモータ装置1のフィードバック動作について説明する。
回転子SFの負荷側シャフト63に被駆動物(負荷)が接続され、モータ装置1が上述のように回転子SFを回転させると、トーションバー62に駆動トルクによるねじれが生じる。歪検出部50の歪ゲージ51は、このねじれ量(歪量)を検出し、検出結果を計測処理部40に出力する。計測処理部40は、歪ゲージ51によって検出されたねじれ量(歪量)に基づいて、回転子SFにかかる駆動トルクを算出することにより、駆動トルクを計測する。計測処理部40は、計測した駆動トルクをモータ装置1のトルク制御部71に出力する。
【0051】
これにより、トルク制御部71は、モータ装置1において回転子SFに加えられている現在の駆動トルクを取得する。トルク制御部71は、計測処理部40から出力された(取得した)駆動トルクに基づいて、適切な速度情報及びトルク情報を生成する。トルク制御部71は、生成した速度情報及びトルク情報をパルス変換部72に出力する。
パルス変換部72は、トルク制御部71から出力された速度情報及びトルク情報に基づいて、PWMパルス信号に変換し、変換したPWMパルス信号をドライバ部73に出力する。ドライバ部73は、パルス変換部72から出力されたPWMパルス信号に基づいて、駆動部30に圧電素子(31、32)の駆動信号を出力する。
【0052】
つまり、トルク制御部71は、計測装置5が計測した駆動トルクをフィードバックして、駆動部30の制御に反映させる。
一例として、ドライバ部73が、計測装置5によって計測された駆動トルクTの2倍のトルク(2T)を発生する駆動信号を出力している場合について説明する。この場合、ドライバ部73は、余分なトルクを発生する駆動信号を出力している。そこで、トルク制御部71は、計測装置5によって計測された駆動トルクTに予め定められたマージン分のトルク(例えば、駆動トルクの10%)を付加したトルク(1.1T)を発生する駆動信号をドライバ部73が出力するように制御する。これにより、駆動部30は、余分なトルクの発生を低減し、現在の駆動状態に必要なトルクを効率よく生成することができる。
【0053】
以上のように、本実施形態による計測装置5は、計測部4が回転子SFの周面の少なくとも一部に掛けられる伝達部BTを用いて駆動動作及び復帰動作を行う駆動部30によって駆動される回転子SFにかかる(加えられる)駆動トルク(トルク)を計測する。
これにより、回転子SFにかかる(加えられる)駆動トルク(出力されるトルク)を正確に計測することができる。そのため、計測した駆動トルクに基づいて、駆動部30による動作を変更することができる。例えば、本実施形態による計測装置5は、モータ装置1において、駆動部30が余分なトルクを発生することを防止したホールドトルクを発生させることができる。よって、本実施形態による計測装置5は、駆動部30による駆動効率を向上させることができる。また、制御部CONTは、計測装置5によって計測された駆動トルクに基づいて、駆動部30を制御するため、本実施形態による計測装置5は、駆動部30による駆動精度を向上させることができる。
【0054】
なお、駆動トルクは、回転子SFにかかる(加えられる)加速トルクと負荷トルクとを含む。
つまり、本実施形態による計測装置5は、被駆動物(負荷)による負荷トルクも含めたトルクとして、駆動トルクを計測することができる。これにより、本実施形態による計測装置5は、回転子SFに被駆動物(負荷)が接続されている場合であっても、駆動部30による駆動効率を向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態では、計測部4は、回転子SFに生じる歪を検出する歪検出部50と、歪検出部50による検出結果に基づいて、駆動トルクを計測する計測処理部40と、を備えている。
これにより、回転子SFに生じる歪に基づいて、駆動トルクを計測するので、本実施形態による計測装置5は、正確に駆動トルクを計測することができる。
【0056】
また、本実施形態では、歪検出部50は、回転子SFに配置される歪ゲージを有する。
これにより、本実施形態による計測装置5は、回転子SFにかかる(加えられる)駆動トルクを、回転子SFのねじれ量として直接的に計測することができる。よって、本実施形態による計測装置5は、駆動部30による駆動効率を向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態では、回転子SFは、トーションバー62を有し、歪検出部50は、トーションバー62を介して生じた歪を検出する。
トーションバー62は、回転子SFの他の部分(駆動部側シャフト61及び負荷側シャフト63)より剛性が低いため、回転子SFの他の部分に比べて、駆動トルクによって生じるねじれ量を大きくすることができる。そのため、本実施形態による計測装置5は、駆動トルクを高精度に計測することができる。また、ねじれ量が大きくなるため、本実施形態による計測装置5は、トーションバー62を用いない場合に比べて、分解能の低い簡易な歪検出部50によって駆動トルクを計測することが可能である。
【0058】
また、本実施形態では、モータ装置1は、計測装置5によって計測された駆動トルクに基づいて、上述した駆動動作、又は復帰動作を制御する制御部CONTを備える。
これにより、本実施形態によるモータ装置1は、駆動部30による駆動効率を向上させることができる。また、本実施形態によるモータ装置1は、駆動部30による駆動精度を向上させることができる。
【0059】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態による計測装置5及びモータ装置1について説明する。
図9は、第2の実施形態による計測装置5及びモータ装置1の構成を示す図である。
また、図10は、本実施形態における計測装置5及びモータ装置1の構成を示すブロック図である。
本実施形態では、計測装置5が、第1の実施形態と同様の第1の方式により駆動トルクを計測する場合における別の形態について説明する。本実施形態では、一例として、歪検出部50に2つのエンコーダ(52、53)を用いる形態について説明する。
【0060】
ここでは、第1の実施形態と異なる構成のみ説明し、第1の実施形態と同一の構成の説明を省略する。
図9及び図10において、計測装置5は、2つのエンコーダ(52、53)と、計測処理部40とを備えている。なお、本実施形態では、歪検出部50は、2つのエンコーダ(52、53)を備えている。
【0061】
エンコーダ52(第1のエンコーダ)は、例えば、光学式のロータリエンコーダである。エンコーダ52は、回転子SFの駆動部側シャフト61に配置され、回転子SF(駆動部側シャフト61)の回転位置情報である第1位置情報を検出する。エンコーダ52は、検出した第1位置情報を計測処理部40に出力する。
エンコーダ53(第2のエンコーダ)は、例えば、光学式のロータリエンコーダである。エンコーダ53は、回転子SFの負荷側シャフト63に配置され、回転子SF(負荷側シャフト63)の回転位置情報である第2位置情報を検出する。エンコーダ53は、検出した第2位置情報を計測処理部40に出力する。
エンコーダ52とエンコーダ53とは、トーションバー62を間に所定の間隔に配置されている。一例として、エンコーダ52とエンコーダ53とは、回転子SFの回転軸方向に配置される。
【0062】
計測処理部40は、エンコーダ52が検出した第1位置情報と、エンコーダ53が検出した第2位置情報とに基づいて、駆動トルク(トルク)を計測する。一例として、計測処理部40は、第1位置情報と第2位置情報との演算結果に基づいて、トーションバー62を介して回転子SFに生じているねじれ量を算出する。一例として、計測処理部40は、第1位置情報と第2位置情報との差分を算出し、位置情報のずれとして、回転子SFに生じているねじれ量(歪量)を検出する。
【0063】
計測処理部40は、この検出結果(ねじれ量)に基づいて、回転子SFにかかる(加えられる)駆動トルクを計測する。すなわち、計測処理部40は、エンコーダ(52、53)によって検出されたトーションバー62のねじれ量(歪量)に基づいて、回転子SFにかかる(加わる)駆動トルクを計測する。計測処理部40は、計測した駆動トルクをモータ装置1の制御部CONTに出力する。
本実施形態における制御部CONTの構成及び動作は、第1の実施形態と同様である。
【0064】
以上のように、本実施形態における計測装置5は、歪検出部50が、回転子SFの第1位置情報を検出するエンコーダ52(第1のエンコーダ)と、回転子SFの第2位置情報を検出するエンコーダ53(第2のエンコーダ)とを備える。計測処理部40は、第1位置情報と第2位置情報とに基づいて駆動トルクを計測する。
これにより、本実施形態による計測装置5は、回転子SFにかかる駆動トルクを、回転子SFのねじれ量として直接的に計測することができる。そのため、本実施形態における計測装置5は、回転子SFにかかる駆動トルクを正確に計測することができる。計測した駆動トルクに基づいて、駆動部30による動作を変更することができため、本実施形態による計測装置5は、駆動部30による駆動効率を向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態では、回転子SFは、トーションバー62を有し、エンコーダ52とエンコーダ53とは、トーションバー62を間に所定の間隔に配置されている。
トーションバー62は、回転子SFの他の部分(駆動部側シャフト61及び負荷側シャフト63)より剛性が低いため、回転子SFの他の部分に比べて、駆動トルクによって生じるねじれ量を大きくすることができる。そのため、本実施形態による計測装置5は、駆動トルクを高精度に計測することができる。また、ねじれ量が大きくなるため、本実施形態による計測装置5は、トーションバー62を用いない場合に比べて、分解能の低いエンコーダによって駆動トルクを計測することが可能である。
【0066】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態による計測装置5及びモータ装置1について説明する。
図11は、第3の実施形態による計測装置5及びモータ装置1の構成を示す図である。
また、図12は、本実施形態における計測装置5及びモータ装置1の構成を示すブロック図である。
本実施形態では、計測装置5が、発生力検出部80を用いて駆動部30の発生力を検出し、発生力に基づいて駆動トルクを推定することにより、駆動トルク(トルク)を計測する場合(第2の方式)の形態について説明する。また、本実施形態では、一例として、発生力検出部80にロードセル(81、82)を用いる形態について説明する。
【0067】
図11及び図12において、計測装置5は、発生力検出部80と、トルク推定部41とを有する計測部4を備えている。また、発生力検出部80は、2つのロードセル(81、82)、及び発生力算出部83を備えている。なお、本実施形態において、トルク推定部41と発生力算出部83とは、計測処理部40に含まれている。
また、図11及び図12において、図1及び図3と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0068】
ロードセル81及びロードセル82は、力(荷重)の大きさを電気信号に変換する荷重変換器である。
ロードセル81は、図11に示すように、圧電素子31の座面に配置されている。ロードセル81は、圧電素子31が伝達部BTに発生する力(第1の発生力)を検出し、電気信号に変換して発生力算出部83に出力する。ここで、圧電素子31が伝達部BTに発生する力は、上述した張力T1に対応する。
ロードセル82は、図11に示すように、圧電素子32の座面に配置されている。ロードセル82は、圧電素子32が伝達部BTに発生する力(第2の発生力)を検出し、電気信号に変換して発生力算出部83に出力する。ここで、圧電素子32が伝達部BTに発生する力は、上述した張力T2に対応する。
【0069】
発生力算出部83は、ロードセル(81、82)によって検出された検出結果に基づいて、圧電素子(31、32)によって伝達部BTに生じる発生力を算出する。具体的に、発生力算出部83は、ロードセル(81、82)によって検出された電気信号に基づいて、上述した張力T1及び張力T2を算出する。発生力算出部83は、算出した発生力(張力T1及び張力T2)をトルク推定部41に出力する。
すなわち、発生力検出部80は、圧電素子(31、32)によって伝達部BTに生じる発生力を検出し、検出した発生力をトルク推定部41に出力する。具体的に、発生力検出部80は、圧電素子31によって伝達部BTに生じる第1の発生力(張力T1)と、圧電素子32によって伝達部BTに生じる第2の発生力(張力T2)とを検出する。
【0070】
トルク推定部41(推定部)は、発生力検出部80によって検出された発生力に基づいて、駆動トルクを推定する。すなわち、トルク推定部41は、発生力算出部83より出力された張力T1と張力T2とに基づいて、回転子SFに加わる駆動トルクを推定する。トルク推定部41は、一例として、上述した有効張力(T1−T2)のように、2つの圧電素子(31、32)による発生力差により、回転子SFにかかる駆動トルクを推定する。トルク推定部41は、推定した駆動トルクを制御部CONTのトルク制御部71に出力する。
制御部CONTの構成及び動作は、上記の第1及び第2の実施形態と同様である。
【0071】
以上のように、本実施形態における計測装置5は、駆動部30が圧電素子(31、32)を有する。計測部4は、発生力検出部80が圧電素子(31、32)によって伝達部BTに生じる発生力を検出し、トルク推定部41が発生力検出部80によって検出された発生力に基づいて、駆動トルクを推定する。
これにより、本実施形態による計測装置5は、回転子SFにかかる駆動トルクを、圧電素子(31、32)によって伝達部BTに生じる発生力に基づいて間接的に計測することができる。本実施形態における計測装置5は、計測した駆動トルクに基づいて、駆動部30による動作を変更することができため、本実施形態による計測装置5は、駆動部30による駆動効率を向上させることができる。
【0072】
また、本実施形態では、圧電素子(31、32)には、伝達部BTの両端部にそれぞれ接続される圧電素子31(第1の駆動素子)と圧電素子32(第2の駆動素子)とが含まれる。発生力検出部80は、圧電素子31によって伝達部BTに生じる第1の発生力(張力T1)と、圧電素子32によって伝達部BTに生じる第2の発生力(張力T2)とを検出する。そして、トルク推定部41は、第1の発生力(張力T1)と第2の発生力(張力T2)とに基づいて駆動トルクを推定する。すなわち、トルク推定部41は、2つの圧電素子(31、32)による発生力差により、回転子SFにかかる駆動トルクを推定する。
これにより、第1及び第2の実施形態に比べて簡易な構成により、駆動トルクを計測することができる。
【0073】
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態による計測装置5及びモータ装置1について説明する。
図13は、第4の実施形態による計測装置5及びモータ装置1の構成を示す図である。
また、図14は、本実施形態における計測装置5及びモータ装置1の構成を示すブロック図である。
本実施形態では、計測装置5が、変位検出部90を用いて圧電素子(31、32)の変位量を検出し、圧電素子(31、32)の変位量に基づいて駆動トルクを推定することにより、駆動トルク(トルク)を計測する場合(第3の方式)の形態について説明する。また、本実施形態では、一例として、変位検出部90にCAP(静電容量)センサ(91、92)を用いる形態について説明する。
【0074】
図13及び図14において、計測装置5は、変位検出部90と、発生力検出部80aと、トルク推定部41とを有する計測部4を備えている。
変位検出部90は、圧電素子(31、32)の変位量を検出する。また、変位検出部90は、2つのCAPセンサ(91、92)、及び変位算出部93を備えている。なお、本実施形態において、トルク推定部41、発生力検出部80a、及び変位算出部93は、計測処理部40に含まれている。
また、図13及び図14において、図11及び図12と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0075】
CAPセンサ91は、圧電素子31の変位量を電気信号に変換する。CAPセンサ91は、図13に示すように、圧電素子31が接続されている支持部材33に接続されており、圧電素子31の変位量を検出できるように配置されている。CAPセンサ91は、圧電素子31の変位量を変換した電気信号を変位算出部93に出力する。
CAPセンサ92は、圧電素子32の変位量を電気信号に変換する。CAPセンサ92は、図13に示すように、圧電素子32が接続されている支持部材34に接続されており、圧電素子32の変位量を検出できるように配置されている。CAPセンサ92は、圧電素子32の変位量を変換した電気信号を変位算出部93に出力する。
【0076】
変位算出部93は、CAPセンサ(91、92)によって検出された検出結果に基づいて、圧電素子(31、32)の変位量を算出する。具体的に、変位算出部93は、CAPセンサ91の検出された変位量に対応する電気信号に基づいて圧電素子31の変位量X1(第1の変位量)を算出する。また、変位算出部93は、CAPセンサ92の検出された変位量に対応する電気信号に基づいて圧電素子32の変位量X2(第2の変位量)を算出する。変位算出部93は、算出した変位量(X1、X2)を発生力検出部80aに出力する。
【0077】
発生力検出部80aは、変位検出部90によって検出された圧電素子(31、32)の変位量(X1、X2)と圧電素子(31、32)の駆動電圧とに基づいて、伝達部BTに生じる発生力(上述した張力T1、T2)を検出する。
なお、圧電素子(31、32)の駆動電圧は、例えば、制御部CONTのドライバ部73より供給される。ドライバ部73は、圧電素子31の駆動電圧V1(第1の駆動電圧)と、圧電素子32の駆動電圧V2(第2の駆動電圧)とを検出して発生力検出部80aに供給する。
【0078】
また、発生力検出部80aは、例えば、変位量−発生力マップに基づいて、伝達部BTに生じる発生力(T1、T2)を検出する。ここで、変位量−発生力マップとは、例えば、圧電素子の変位量及び駆動電圧と予め計測した発生力とを対応づけた変換テーブルである。すなわち、変位量−発生力マップは、例えば、圧電素子31の変位量X1及び駆動電圧V1と予め計測した発生力T1とを対応づけた第1の変換テーブル、及び、圧電素子32の変位量X2及び駆動電圧V2と予め計測した発生力T2とを対応づけた第2の変換テーブルであってもよい。
発生力検出部80aは、圧電素子(31、32)の変位量(X1、X2)と圧電素子(31、32)の駆動電圧とに基づいて、圧電素子(31、32)によって伝達部BTに生じる発生力(T1、T2)を検出し、検出した発生力(T1、T2)をトルク推定部41に出力する。
【0079】
トルク推定部41及び制御部CONTの構成と動作とは、上記の3の実施形態と同様である。
【0080】
以上のように、本実施形態における計測装置5は、計測部4が、圧電素子(31、32)の変位量(X1、X2)を検出する変位検出部90を有している。また、発生力検出部80aは、変位検出部90によって検出された圧電素子(31、32)の変位量(X1、X2)と圧電素子(31、32)の駆動電圧(V1、V2)とに基づいて、発生力(T1、T2)を検出する。トルク推定部41は、発生力検出部80aによって検出された発生力に基づいて、駆動トルクを推定する。
これにより、本実施形態による計測装置5は、圧電素子(31、32)の変位量(X1、X2)に基づいて回転子SFにかかる駆動トルクを間接的に計測することができる。本実施形態における計測装置5は、計測した駆動トルクに基づいて、駆動部30による動作を変更することができため、本実施形態による計測装置5は、駆動部30による駆動効率を向上させることができる。
【0081】
また、本実施形態では、発生力検出部80aは、予め作成された変位量−発生力マップに基づいて、発生力(T1、T2)を検出する。これにより、本実施形態における計測装置5は、簡易な構成により、駆動トルクを計測することができる。
【0082】
[第5の実施形態]
次に、第5の実施形態による計測装置5及びモータ装置1について説明する。
図15は、第5の実施形態における計測装置5及びモータ装置1の構成を示すブロック図である。
本実施形態では、計測装置5が、変位検出部90aを用いて圧電素子(31、32)の変位量を検出し、圧電素子(31、32)の変位量に基づいて駆動トルクを推定することにより、駆動トルク(トルク)を計測する場合(第3の方式)における別の形態について説明する。また、本実施形態では、一例として、変位検出部90aは、圧電素子(31、32)に蓄積(充電)される電荷量に基づいて、圧電素子(31、32)の変位量を検出する形態について説明する。
【0083】
図15において、計測装置5は、変位検出部90aと、発生力検出部80aと、トルク推定部41とを有する計測部4を備えている。なお、本実施形態では、モータ装置1が計測装置5を備えている形態について説明する。すなわち、モータ装置1の制御部CONTは、計測装置5を備えている。
また、図15において、図14と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0084】
変位検出部90aは、圧電素子(31、32)に蓄積される電荷量を検出する電荷量検出部94を有する。変位検出部90aは、電荷量検出部94によって検出された電荷量に基づいて、圧電素子(31、32)の変位量(X1、X2)を検出する。変位検出部90aは、検出した圧電素子(31、32)の変位量(X1、X2)を発生力検出部80aに出力する。なお、電荷量は、圧電素子(31、32)を伸長させる場合にドライバ部73により圧電素子(31、32)に蓄積(充電)され、圧電素子(31、32)を収縮させる場合に圧電素子(31、32)から放電される。
また、変位検出部90aは、電荷量検出部94と変位算出部93aとを備えている。
【0085】
電荷量検出部94は、圧電素子(31、32)に供給される電流値に基づいて、圧電素子(31、32)に蓄積された電荷量を検出する。ここで、圧電素子(31、32)に供給される電流値は、ドライバ部73から供給される。具体的に、電荷量検出部94は、圧電素子31に供給される電流値を積分して電荷量Q1(第1の電荷量)を検出する。また、電荷量検出部94は、圧電素子32に供給される電流値を積分して電荷量Q2(第2の電荷量)を検出する。電荷量検出部94は、検出した電荷量(Q1、Q2)を変位算出部93aに出力する。
【0086】
変位算出部93aは、電荷量検出部94により検出された電荷量(Q1、Q2)に基づいて、変位量(X1、X2)を検出する。変位算出部93aは、例えば、電荷量(Q1、Q2)と変位量(X1、X2)との線形性を利用して、変位量(X1、X2)を算出する。変位算出部93aは、算出した変位量(X1、X2)を発生力検出部80aに出力する。
【0087】
発生力検出部80aは、圧電素子(31、32)の変位量(X1、X2)と圧電素子(31、32)の駆動電圧とに基づいて、圧電素子(31、32)によって伝達部BTに生じる発生力(T1、T2)を検出し、検出した発生力(T1、T2)をトルク推定部41に出力する。ここで、発生力検出部80aは、例えば、式(3)に示すような圧電方程式に基づいて、圧電素子(31、32)の変位量(X1、X2)と圧電素子(31、32)の駆動電圧とに基づいて、発生力(T1、T2)を検出する。
【0088】
【数3】

【0089】
式(3)において、Sが歪に対応し、Dが電束密度に対応する。また、Tが応力に、変数Eが電場に対応する。また、ここで、sが弾性コンプライアンス定数を、εが誘電率をそれぞれ示し、d及びdが圧電定数を示している。
【0090】
トルク推定部41及び制御部CONTの構成と動作とは、上記の3の実施形態と同様である。
【0091】
以上のように、本実施形態における計測装置5は、変位検出部90aが圧電素子(31、32)に蓄積される電荷量(Q1、Q2)を検出する電荷量検出部94を有する。変位検出部90aは、電荷量検出部94によって検出された圧電素子(31、32)の電荷量(Q1、Q2)に基づいて、圧電素子(31、32)の変位量(X1、X2)を検出する。また、発生力検出部80aは、変位検出部90aによって検出された圧電素子(31、32)の変位量(X1、X2)と圧電素子(31、32)の駆動電圧(V1、V2)とに基づいて、発生力(T1、T2)を検出する。トルク推定部41は、発生力検出部80aによって検出された発生力に基づいて、駆動トルクを推定する。
【0092】
これにより、本実施形態による計測装置5は、圧電素子(31、32)の電荷量(Q1、Q2)に基づいて回転子SFにかかる駆動トルクを間接的に計測することができる。本実施形態における計測装置5は、計測した駆動トルクに基づいて、駆動部30による動作を変更することができため、本実施形態による計測装置5は、駆動部30による駆動効率を向上させることができる。
また、本実施形態では、計測部4は、ねじれ量や変位量などの機械的な物理量ではなく、圧電素子(31、32)の電荷量(Q1、Q2)という電気的な物理量を計測することにより、駆動トルクを計測する。そのため、本実施形態における計測装置5は、上記の各実施形態に比べて簡易な構成により、駆動トルクを計測することができる。
【0093】
また、本実施形態におけるモータ装置1は、計測装置5と、制御部CONTとを備えている。制御部CONTは、計測装置5によって計測された駆動トルクに基づいて、上述した駆動動作、又は復帰動作を制御する。
これにより、本実施形態におけるモータ装置1は、上記の各実施形態と同様に、駆動部30による駆動効率を向上させることができる。また、本実施形態によるモータ装置1は、駆動部30による駆動精度を向上させることができる。
【0094】
なお、本実施形態によれば、モータ装置は、回転子SFと、伝達部BTと、駆動部30と、計測部4とを備えている。伝達部BTは、回転子SFの周面の少なくとも一部に掛けられる。駆動部30は、伝達部BTに接続され、回転子SFと伝達部BTとの間を回転力伝達状態として伝達部BTを一定距離移動させる駆動動作及び回転力伝達状態を解消した状態で伝達部BTを所定の位置に戻す復帰動作を行う。計測部4は、回転子SFに加えられるトルクを計測する。
これにより、本実施形態におけるモータ装置1は、上記の各実施形態と同様に、駆動部30による駆動効率を向上させることができる。
【0095】
[第6の実施形態]
次に、第6の実施形態を説明する。
本実施形態では、上記実施形態のいずれかに記載のモータ装置1をロボット装置RBTに適用した一例について説明する。
図16は、上記実施形態のいずれかに記載のモータ装置1を備えるロボット装置RBTの一部(指部分の先端)の構成を示す図である。
【0096】
図16に示すように、ロボット装置RBTは、末節部101、中節部102及び関節部103を有しており、末節部101と中節部102とが関節部103を介して接続された構成になっている。関節部103には軸支持部103a及び軸部103bが設けられている。軸支持部103aは中節部102に固定されている。軸部103bは、軸支持部103aによって固定された状態で支持されている。
【0097】
末節部101は、接続部101a及び歯車101bを有している。接続部101aには、関節部103の軸部103bが貫通した状態になっており、当該軸部103bを回転軸として末節部101が回転可能になっている。この歯車101bは、接続部101aに固定されたベベルギアである。接続部101aは、歯車101bと一体的に回転するようになっている。
【0098】
中節部102は、筐体102a及び駆動装置ATCとしてモータ装置1を有している。すなわち、駆動装置ATCは、上記実施形態に記載のモータ装置1を用いることができる。モータ装置1は、筐体102a内に設けられている。モータ装置1には、回転軸部材104aが取り付けられている。回転軸部材104aの先端には、歯車104bが設けられている。この歯車104bは、回転軸部材104aに固定されたベベルギアである。歯車104bは、上記の歯車101bとの間で噛み合った状態になっている。
【0099】
上記のように構成されたロボット装置RBTは、モータ装置1の駆動によって回転軸部材104aが回転し、当該回転軸部材104aと一体的に歯車104bが回転する。
歯車104bの回転は、当該歯車104bと噛み合った歯車101bに伝達され、歯車101bが回転する。当該歯車101bが回転することで接続部101aも回転し、これにより末節部101が軸部103bを中心に回転する。
【0100】
このように、本実施形態によれば、低速高トルクの回転を出力することができるモータ装置1を搭載することにより、例えば減速器を用いることなく直接末節部101を回転させることができる。また、本実施形態では、モータ装置1が非共振に駆動される構成になっているため、樹脂など軽量な材料で大部分を構成することが可能になる。
【0101】
また、以上のように、本実施形態におけるロボット装置RBTは、上記実施形態のいずれかに記載のモータ装置1を備える。モータ装置1は、計測装置5によって計測された駆動トルクに基づいて、駆動部30による駆動効率を向上させることができる。そのため、本実施形態におけるロボット装置RBTは、駆動効率を向上させることができる。さらに、モータ装置1は、計測装置5によって計測された駆動トルクに基づいて、駆動部30を制御するため、本実施形態におけるロボット装置RBTは、駆動部30による駆動精度を向上させることができる。
【0102】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
上述した実施形態により、計測装置5が駆動トルクを計測する形態を説明したが、上述した実施形態のいずれか、又は、複数の組み合わせによって、計測装置5が駆動トルクを計測する形態でもよい。例えば、計測装置5は、歪検出部50と、発生力検出部80及びトルク推定部41とを両方備える形態でもよい。この場合、複数の系統により、駆動トルクを計測することができるため、計測装置5の信頼性を高めることができる。
【0103】
また、上記の第1の実施形態から第5の実施形態をそれぞれ単独で適用する形態について説明したが、第1の実施形態から第5の実施形態のうちの複数を組み合わせて適用する形態でもよい。例えば、第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせて適用する形態でもよいし、図17に示すように、第3の実施形態と第4の実施形態とを組み合わせて適用する形態でもよい。この場合も、複数の系統により、駆動トルクを計測することができるため、計測装置5の信頼性を高めることができる。
【0104】
また、上記の第1及び第2の実施形態において、回転子SFがトーションバー62を有する形態を説明したが、歪検出部50が高分解能であれば、トーションバー62を有さない形態でもよい。この場合、高分解能とは、トーションバー62を有さない回転子SFに生じる歪を検出できる程度に高い分解能である。
また、上記の第1の方法として、歪検出部50が歪ゲージ51を備える形態(第1の実施形態)と、歪検出部50が2つのエンコーダ(52、53)を備える形態(第2の実施形態)とを説明したが、これに限定されるものではない。例えば、歪検出部50が磁歪式センサを備えて、計測装置5は、磁歪式センサの検出結果に基づいて駆動トルクを計測する形態でもよいし、他の検出素子を用いて駆動トルクを計測する形態でもよい。
【0105】
また、上記第2の実施形態において、エンコーダ(52、53)が光学式のロータリエンコーダである形態について説明したが、磁気式のロータリエンコーダを用いる形態でもよいし、他の方式を用いる形態でもよい。
【0106】
また、上記第4の実施形態において、変位量−発生力マップに、圧電素子31(又は32)の変位量X1(又はX2)及び駆動電圧V1(又はV2)と、予め計測した発生力T1(又はT2)とを対応づけた変換テーブルを適用する形態を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、式(3)に基づいて予め算出された発生力T1(又はT2)により変換テーブルが作成されてもよい。また、例えば、変位量−発生力マップとして、圧電素子31(又は32)の変位量X1(又はX2)と発生力T1(又はT2)とを対応づけた簡易な変換テーブルを適用する形態でもよい。
また、上記第4の実施形態において、発生力検出部80aは、変位量−発生力マップを用いずに、式(3)に基づいて発生力T1(又はT2)を検出する形態でもよい。
また、上記第5の実施形態において、発生力検出部80aは、変位量−発生力マップを用いて発生力T1(又はT2)を検出する形態でもよい。
【0107】
また、上記第5の実施形態において、変位算出部93aは、電荷量(Q1、Q2)と変位量(X1、X2)との線形性を利用して、変位量(X1、X2)を算出する形態を説明したが、これに限定されない。例えば、変位算出部93aは、電荷量(Q1、Q2)と変位量(X1、X2)とが対応付けられて予め作成されている変換テーブルに基づいて、変位量(X1、X2)を算出する形態でもよい。また、変位算出部93aを備えずに、発生力検出部80aが、式(3)を利用して、電荷量(Q1、Q2)及び駆動電圧(V1、V2)に基づいて発生力(T1、T2)を生成する形態でもよい。
【0108】
また、上記の第1の実施形態から第4の実施形態において、モータ装置1が計測装置5を備えない形態を説明したが、第5の実施形態のように、モータ装置1が計測装置5を備える形態でもよい。また、上記の第5の実施形態において、モータ装置1が計測装置5を備える形態を説明したが、第1の実施形態から第4の実施形態のように、モータ装置1が計測装置5を備えない形態でもよい。なお、本実施形態によれば、モータ装置1は、回転子SFと、伝達部BTと、駆動部30と、上述した実施形態の計測手段とを備えている。伝達部BTは、回転子SFの周面の少なくとも一部に掛けられる。駆動部30は、伝達部BTに接続され、回転子SFと伝達部BTとの間を回転力伝達状態として伝達部BTを一定距離移動させる駆動動作及び回転力伝達状態を解消した状態で伝達部BTを所定の位置に戻す復帰動作を行う。計測手段は、回転子SFに加えられるトルクを計測する。
【0109】
また、上記の各実施形態において、モータ装置1が1つの伝達部BTを備える形態を説明したが、モータ装置1が複数の伝達部BTを備える形態でもよい。また、計測装置5は、複数の各伝達部BTに対応するトルクを計測し、計測した各伝達部BTに対応するトルクに基づいて、回転子SFにかかる全体の駆動トルクを計測する形態でもよい。
【符号の説明】
【0110】
1…モータ装置、4…計測部、5…計測装置、30…駆動部、31,32…圧電素子、40…計測処理部、41…トルク推定部、50…歪検出部、51…歪ゲージ、52,53…エンコーダ、62…トーションバー、80,80a…発生力検出部、90…変位検出部、94…電荷量検出部、CONT…制御部、BT…伝達部、RBT…ロボット装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子の周面の少なくとも一部に掛けられる伝達部を用いて駆動動作及び復帰動作を行う駆動部によって駆動される前記回転子に加えられるトルクを計測する計測部、
を備えることを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記トルクは、前記回転子に加えられる加速トルクと負荷トルクとを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記計測部は、
前記回転子に生じる歪を検出する歪検出部と、
前記歪検出部による検出結果に基づいて、前記トルクを計測する計測処理部と、
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記歪検出部は、
前記回転子の第1位置情報を検出する第1のエンコーダと、前記回転子の第2位置情報を検出する第2のエンコーダと、を備え、
前記計測処理部は、
前記第1位置情報と前記第2位置情報とに基づいて前記トルクを計測する
ことを特徴とする請求項3に記載の計測装置。
【請求項5】
前記歪検出部は、
前記回転子に配置される歪ゲージを有する
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の計測装置。
【請求項6】
前記回転子は、トーションバーを有し、
前記歪検出部は、前記トーションバーを介して生じた歪を検出する
ことを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の計測装置。
【請求項7】
前記駆動部は、駆動素子を有し、
前記計測部は、
前記駆動素子によって前記伝達部に生じる発生力を検出する発生力検出部と、
前記発生力検出部によって検出された前記発生力に基づいて、前記トルクを推定する推定部と、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の計測装置。
【請求項8】
前記駆動素子には、前記伝達部の両端部にそれぞれ接続される第1の駆動素子と第2の駆動素子とが含まれ、
前記発生力検出部は、
前記第1の駆動素子によって前記伝達部に生じる第1の発生力と、前記第2の駆動素子によって前記伝達部に生じる第2の発生力とを検出し、
前記推定部は、
前記第1の発生力と前記第2の発生力とに基づいて前記トルクを推定する
ことを特徴とする請求項7に記載の計測装置。
【請求項9】
前記計測部は、
前記駆動素子の変位量を検出する変位検出部を有し、
前記発生力検出部は、
前記変位検出部によって検出された前記駆動素子の変位量と前記駆動素子の駆動電圧とに基づいて、前記発生力を検出する
ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の計測装置。
【請求項10】
前記変位検出部は、
前記駆動素子に蓄積される電荷量を検出する電荷量検出部を有し、前記電荷量検出部によって検出された前記電荷量に基づいて、前記変位量を検出する
ことを特徴とすることを特徴とする請求項9に記載の計測装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の計測装置によって計測された前記トルクに基づいて、前記駆動動作、又は前記復帰動作を制御する制御部、
を備えることを特徴とするモータ装置。
【請求項12】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の計測装置と、
前記計測装置によって計測された前記トルクに基づいて、前記駆動動作、又は前記復帰動作を制御する制御部と、
を備えることを特徴とするモータ装置。
【請求項13】
回転子と、
前記回転子の周面の少なくとも一部に掛けられる伝達部と、
前記伝達部に接続され、前記回転子と前記伝達部との間を回転力伝達状態として前記伝達部を一定距離移動させる駆動動作及び前記回転力伝達状態を解消した状態で前記伝達部を所定の位置に戻す復帰動作を行う駆動部と、
前記回転子に加えられるトルクを計測する計測手段と、
を備えることを特徴とするモータ装置。
【請求項14】
請求項11から請求項13のいずれか一項に記載のモータ装置を備えることを特徴とするロボット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−68467(P2013−68467A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206025(P2011−206025)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】