説明

計測装置

【課題】複数の画像間の座標系を統一することにより、断続的な撮影間の関連性を確保するようにしたX線断層撮影装置を提供する。
【解決手段】被検者2の周囲を回転してX線3D画像を撮影するX線撮影手段1と、X線撮影手段の近傍に設置され、かつ被検者の可視光3D画像を撮影する可視光撮影手段13と、可視光撮影手段で得られた可視光3D画像を使用してX線撮影手段により撮影する被検者のX線撮影部位を位置決めするようにした計測装置であって、断続的に撮影された複数の可視光3D画像から撮影部位の特徴量を抽出して被検者の解剖学的な座標系を決定する手段と、得られた解剖学的座標系を基に、可視光3D画像と同時に撮影されたX線3D画像を座標変換することにより、断続的に撮影された複数のX線3D画像間の座標系を統一する手段とから構成したもので、術前術後の確認や、矯正の進捗確認等が容易に行えるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断続的に撮影された同一患者(被検者)の複数のX線3次元(3D)画像間の座標系を統一することにより、断続的な撮影間の関連性を確保するようにした計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来被検者の部位を可視光撮影手段で撮影し、得られた可視光3D画像を利用して、X線で撮影する部位を位置決めするようにしたX線断層撮影装置が、例えば特許文献1で提案されている。
前記特許文献1に記載のX線断層撮影装置は、X線源からX線を照射し、X線源に対向して配置された検出器によって被検者を撮影するX線撮影手段と、X線源と検出器を被検者の周囲に回転させるスキャナ回転手段と、被検者を移動可能な被検者移動手段と、X線の照射範囲を可変的に制限するコリメータ手段とを有し、X線撮影手段で撮影した投影像から再構成演算処理手段によってX線3D再構成画像の生成を行う画像処理装置を有するX線断層診断装置において、回転手段に載置した被検者を撮影する可視光撮影手段をさらに有し、画像処理装置では可視光撮影手段の撮影結果から可視光3D画像を再構成するようになっている。
【0003】
そして前記構成により、X線撮影系の座標と可視光撮影系の座標との変換処理パラメータを得ることができるため、カメラを用いた位置決めを可能にし、結果として、スキャン計画における被検者のX線被曝を除去することができる効果が得られる。
またX線撮影系と可視光撮影系の回転平面が全く異なる場合にも、カメラを用いて位置決めが可能であるため、X線撮影系の画像のサイズが小さくても、広角カメラを使用し可視光3D再投影画像を構築できるので、経験や勘に頼らず検査者の習熟度に大きく影響されずに撮影範囲を決定可能である等の効果も得られる。
【特許文献1】特開2005−21661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし治療に長期間を要する例えば歯科診療等の場合、治療の経緯の確認や別の歯の治療のために、同一被検者に対して日にちや時間をずらしてX線撮影が断続的に行われることがよくあるが、従来のX線断層撮影装置では、断続的な撮影間の関連性がない上、断続的な撮影により得られる画像データは、画像間の位置の整合性を考慮していないため、同一の被検者であっても複数の画像データを組み合わせて利用していないのが現状である。
本発明はかかる事情に鑑みなされたもので、複数のX線画像間の座標系を統一することにより、断続的な撮影間の関連性を確保するようにした計測装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の計測装置は、被検者の周囲を回転してX線3D画像を撮影するX線撮影手段と、X線撮影手段の近傍に設置され、かつ被検者の可視光3D画像を撮影する可視光撮影手段と、可視光撮影手段で得られた可視光3D画像を使用してX線撮影手段により撮影する被検者のX線撮影部位を位置決めするようにした計測装置であって、断続的に撮影された複数の可視光3D画像から撮影部位の特徴量を抽出して被検者の解剖学的な座標系を得る手段と、得られた解剖学的座標系を基に、可視光3D画像と同時に撮影されたX線3D画像を座標変換することにより、断続的に撮影された複数のX線3D画像間の座標系を統一する手段とから構成したものである。
【0006】
前記構成により、日にちや時間をずらして断続的に撮影された複数のX線画像間の座標系を統一することができるため、被検者を治療する医師は、各X線3D画像の座標系を基準にしてX線3D画像を比較することにより、術前術後の確認や、矯正の進捗確認等が容易に行えるようになり、これによって治療精度か格段に向上する。
また視野の広い可視光3D画像より取得した解剖学的座標系より視野の狭いX線3D画像の座標系を変換し、得られた座標系によりX線3D画像間の位置合わせを行うことができることから、日にちや時間をずらして断続的に撮影されたX線3D画像であっても、精度の高い位置合わせが可能になる。
【0007】
本発明の計測装置は、被検者の複数の特徴点を結ぶ線から得られるカンベル平面と、カンベル平面に直交する面から解剖学的座標系を生成するようにしたものである。
【0008】
前記構成により、経時的変化の少ない被検者の例えば鼻翼下点と左右外耳孔から得られるカンベル平面を基に解剖学的座標系を生成することにより、精度の高い座標系の統一が図れるため、各X線3D画像間の整合性が向上する上、診断の目的に応じて任意な解剖学的座標系を選択することもできる。
【0009】
本発明の計測装置は、被検者を撮影した可視光3D画像とX線3D画像を再構成して記憶手段に保存し、後日記憶手段より読み出した可視光3D画像を基にX線3D画像を座標変換することにより、断続的に撮影された複数のX線3D画像間の座標系を統一するようにしたものである。
【0010】
前記構成により、解剖学的座標系を考慮せずに撮影及び記憶手段に記憶された画像データであっても、後日記憶手段より画像データを読み出して座標変換することにより、X線3D画像間の座標系を統一することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の計測装置によれば、断続的に撮影された複数のX線画像間の座標系を統一することができるため、術前術後の確認や、矯正の進捗確認等が容易に行えると共に、視野の広い可視光3D画像より取得した解剖学的座標系より視野の狭いX線3D画像の座標系を変換し、得られた座標系によりX線3D画像間の位置合わせを行うことができるため、日にちや時間をずらして断続的に撮影されたX線3D画像であっても、精度の高い位置合わせが可能になる
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の計測装置をX線断層撮影装置に適用した実施の形態について、図面を参照して詳述する。
図1に示すX線断層撮影装置は、頭頚部の撮影のための座位型X線断層撮影装置を示しているが、Cアーム型X線断層撮影装置、X線CT装置、被検者回転型X線断層撮影装置などであってもよい。
図1中1はX線撮影手段で、床30上に設置された基台1aの後面から支持アーム1bが立設されており、支持アーム1bの先端に、ほぼ逆U字形のアーム状に形成されたスキャナ回転体1cの上部が回転自在に支持されている。
【0013】
スキャナ回転体1cの一端側には、被検者2に向けてX線を照射するX線管3が設置され、被検者2を挟んでX線管3と対向する他端側には、X線管3より被検者2に向けて照射され、かつ被検者2を透過したX線を検出するX線検出器4が設置されている。
X線撮影手段1の基台1a前面には椅子台1dが設けられていて、この椅子台1d上に、被検者2がスキャナ回転中心Oとほぼ一致する位置に着席できるように椅子5が設置されている。
X線撮影手段1には、スキャナ回転体1cを回転駆動するスキャナ駆動手段6と、被検者2が着席する椅子5を上下動する椅子駆動手段7と、X線管3の前面に設けられたコリメータ12を駆動するコリメータ駆動手段8と、コリメータ12の上部に設置されたカメラよりなる可視光撮影手段13を制御して、可視光撮影手段13により被検者2を撮影する可視光撮影制御手段9と、X線管3及びX線検出器4を制御して、被検者2をX線撮影するX線撮影制御手段10等が設置されており、可視光撮影手段13の上方には、被検者2を照明する照明手段14が設置されている。
【0014】
そして前記スキャナ駆動手段6と椅子駆動手段7、コリメータ駆動手段8、可視光撮影制御手段9及びX線撮影制御手段10は、図示しない操作卓に設けられた画像処理手段20にケーブル16により接続されている。
画像処理手段20は、スキャン本体1により撮影された可視光画像データとX線画像データを画像処理して、被検者2の可視光3D画像とX線3D画像を再構成するもので、X線撮影手段1と画像処理手段20との間で通信を行うインターフェース(I/F)21と、画像データを格納するメモリ22、演算処理に必要な画像データを保存するハードディスク等の記憶手段23と、演算処理を行う演算処理手段(CPU)24、可視光画像やX線画像を表示する表示手段25、キーボードからなる外部入力手段26等から構成されている。
【0015】
次に前記計測装置の作用を説明する。
図2はX線撮影手段1に設けられたX線管3と可視光撮影手段13及び照明手段14の位置関係を示すものである。
椅子5に着席させた被検者2の例えば歯のX線撮影を行うに当たり、まず被検者2の頭部の可視光3D撮影を行うが、撮影に当たって可視光撮影手段13を、X線管3の焦点から被検者2の体軸とほぼ一致するスキャナ回転体1cの回転中心Oを中心に角度tだけずらした位置に図2の(a)に示すように配置する。
この状態で図2の(b)に示すように、X線撮影手段1のスキャナ回転体1cを角度tだけ回転すると、可視光撮影手段13によりX線管4の焦点位置から見た画像と同一の回転角度からの可視光画像を得られるようになり、照明手段14により被検者2を照明することにより、陰影の少ない可視光3D画像を常に得ることができるようになる。
なお照明手段14を可視光撮影手段13と別体に設けているが、陰影を少なくするために可視光撮影手段13のレンズ周囲にリング状の照明手段14を設けるか、複数の光源からなる照明手段14を使用することにより、一層陰影の少ない可視光3D画像が得られるようになる。
可視光3D画像の撮影に当たっては、可視光撮影手段13をスキャナ回転体1cの回転角度に同期させて、被検者2の周囲360度に渡って回転撮影を行い、複数枚の角度同期回転撮影画像を得る。
【0016】
一方、検査1で得られた可視光3D再構成画像と、検査日が異なる検査2で得られた同一被検者2のX線3D再構成画像の座標系を統一する過程を、図3に示すフローチャートにより説明する。
検査1では、ステップS10で被検者2の解剖学的基準点を含む可視光回転撮影を行い、ステップS11では、可視光回転撮影画像を用いて可視光3D再構成を行い、得られた可視光3D再構成画像を記憶手段23に保存する。
次にステップS12で位置決めのためのX線単純撮影を行い、ステップS13では、ステップS11で再構成した可視光3D再構成画像とステップS12で得られたX線位置決め画像を基に、X線3D撮影を行うためのX線撮影計画を行う。これはX線3D撮影には3次元的な位置決めが必要であるが、歯のような微小な目標に対しては正確な位置決めを行うために実施する。
【0017】
ステップS14では、X線撮影計画に基づきX線回転撮影を行い、ステップS15ではX線3D再構成を行って、得られたX線3D再構成をステップS16で可視光3D再構成画像とともに、全ての撮影情報とその特徴量情報を記憶手段23に保存する。
なお図3に示すフローチャート中、丸で囲まれた数字は、可視光3D画像及びX線3D画像が同じ日に撮影されたことを示すものである。
検査2では検査1と同様に、ステップS17からステップS22を繰り返すことにより、可視光3D再構成画像とX線3D再構成画像とを取得し、全ての撮影情報と特徴量情報を、ステップS23で記憶手段23に保存する。
【0018】
次に検査1と検査2に基づく画像解析を、図3に示すフローチャートで説明する。
ステップS24で、記憶手段23に保存されていた検査1の可視光3D画像のデータを読み出して、特徴量の抽出を行うが、ここで特徴量とは、顔の特徴点であり、鼻翼下点や外耳孔などを指す。
ステップS25では、特徴量を基にした解剖学的座標系を決定し、ステップS26では、記憶手段23より読み出したX線3D再構成画像を、解剖学的座標系を基に座標変換して、解剖学的座標系を基づくX線3D再構成画像を得る。
同様に検査2に対して、ステップS27からステップS29を繰り返すことにより、解剖学的座標系に基づくX線3D再構成画像を得たら、ステップS30では、同一の解剖学的座標系による検査1と検査2のX線3D再構成画像を重ねて表示手段25に表示したり、各X線3D再構成画像を並列表示したり、もしくはX線3D再構成画像間で画像間演算を行うなどして、その結果を表示手段25に表示する。
【0019】
図4は、図3のフローチャートのステップS10からステップS11の処理の詳細を示すフローチャートである。
すなわち、ステップS41では、被検者2が椅子5に座っていない状態で可視光撮影手段13により回転撮影を行い複数枚の可視光被検者無し画像(マスク画像)を得るための可視光被検者無し画像撮影処理を行うが、このマスク画像を撮影する際には、椅子5は所定の位置に予めセットしておく。
なお、この所定位置は、例えば子供と大人の体格の差や、頭部、歯顎部、頭部などの部位に応じて複数箇所設定できるようになっている。
また可視光撮影手段13による撮影範囲はX線投影像に比べて広角であり、X線投影像を含む広い視野範囲を撮影することができ、この視野範囲、すなわち可視光撮影手段13による撮影範囲は、状況に応じて拡大縮小することもできる。
さらに上述の可視光被検者無し画像は、被検者2を撮影する前に毎回撮影する必要はなく、予め定められた位置において撮影した回転画像を画像処理手段20内の記憶手段23に保存しておき、椅子5の所定位置などに応じて必要なものをメモリ22に展開し、それを画像処理に用いるようにしてもよい。
【0020】
ステップS42では、被検者2を椅子9に座らせ、被検者2の体格と部位に応じて、椅子5の位置を椅子駆動手段7により移動するための被検者設定処理を行い、被検者2が椅子5に座った状態でスキャナ回転体1cを回転させながら可視光撮影手段13にて撮影を行うと共に、複数枚の可視光被検者画像(ライブ画像)を得るための可視光被検者画像回転撮影処理を行う。
次にライブ画像から被検者だけを抽出するために、ステップS43では、先ず複数枚のマスク画像とライブ画像とを角度毎に差分して画像を作成する差分画像生成処理を行う。
なお、ここで椅子5は被検者2の撮影部位の後方からの画像を十分に得るためには極力小さなことが好ましく、例えば歯顎部を撮影する場合には、ヘッドレストとそれを支える部分はできるだけ幅を狭くして被検者抽出画像を十分に生成できるようにすることが望ましい。
さらに望ましくは、ヘッドレストとそれを支える部分を透明な材質で構成すればより完全な被検者抽出画像が得られる。
ここで使用するマスク画像は、ライブ画像の椅子各の位置と同じ位置で撮影したものである。
可視光撮影手段13により得た画像がカラーである場合には、差分を行う前にグレイスケールでマッピングし、モノクローム表示に変換するが、画像マトリクスは128×128ピクセル以下で十分であるため、大きな画像マトリクスが得られる可視光撮影手段13の場合には、画素を規則的に間引いて使用する。
【0021】
ステップS44では、マスク画像とライブ画像間では、被検者2以外の椅子5X線検出器4などの背景が同一であるため、これらの差分画像では被検者2以外の背景の画素値はほぼ0となる。
このため、例えば画素値が±20以外の領域を被検者抽出領域として抽出し、この被検者抽出領域の画素値を1、被検者抽出領域以外の背景の画素値を0とする外輪郭画像を生成する。
ステップS45では、この外輪郭画像を基に、回転撮影により得た可視光被検者画像の被検者のみを抽出した可視光被検者抽出画像を生成する。
なお、ここで椅子9は、被検者2の撮影部位の後方からの画像を十分に得るためには極力小さなことが好ましく、例えば歯顎部を撮影する場合には、ヘッドレストとそれを支える部分はできるだけ幅を狭くして被検者抽出画像を十分に生成できるようにすることが望ましく、さらに望ましくは、ヘッドレストとそれを支える部分を透明な材質で構成すればより完全な被検者抽出画像が得られる。
【0022】
ステップS46では、ステップS44により得た外輪郭画像を基に、周知のFeldkamp法による可視光コーンビーム再構成演算をCPU24内で実行し、可視光3D再構成画像を生成し、この可視光3D再構成画像は図1に示す画像処理手段20の記憶手段23に保存する。
ステップS47では、記憶手段23に保存されている可視光3D再構成画像をメモリ22に読み出し、CPU24内で再投影演算を行い、複数枚の可視光被検者画像を3D再投影画像の可視光3D投影画像にテクスチヤーマッピングし、被検者2のカラー3D投影画像(可視光3D投影画像)を生成し、個体識別情報として記憶手段23保存する。
以下、基本的に再構成画像は被検者2の断層像を意味し、再投影像は再構成画像を構築して3Dの像にしたものを示すものとし、このときに、コントラストや透明度の調整を行う。
なお、ライブ画像と被検者抽出画像を基にして、ライブ画像の被検者2の背景をブルースクリーンなどに置き換えた被検者抽出ライブ画像を生成してもよい。
【0023】
図5は、図3に示すフローチャートのステップS11からステップS16の処理の詳細を示すフローチャートである。
ステップS51で可視光3D再構成を行い、ステップS52では、X線位置決め単純撮影を行うが、X線位置決め単純撮影データは、図1のX線管3、X線検出器4及びX線撮影手段1のCB/CTX、X線撮影によって取得されたR−L方向及びA−P方向等の被検者2の内部情報に関するデータであり、図5は、R−L方向及びA−P方向でX線位置決め単純撮影した画像を示している。
なお、X線位置決め単純撮影では、骨のようにX線が透過し難い情報が画像化される。
【0024】
ステップS53では、可視光3D撮影データ及びX線位置決め単純撮影データに基づきX線撮影計画を行うが、X線撮影計画では、撮影対象部位の撮影位置を決めるための計画がなされる。
なお、図5では、撮影データとR−L方向及びA−P方向のX線位置決め単純撮影データとを3次元的に重ね合せた様子を示している。
可視光3D撮影データによる外面的な情報と、X線位置決め単純撮影データによる内部的な情報を併せて利用して撮影対象部位の撮影位置を決めるための計画がなされる。
また図5には詳細を記載していないが、従来技術のようにステップS12のX線位置決め単純撮影と、ステップS53のX線撮影計画とを同時に行い、撮影対象部位の撮影位置を決めてもよい。
【0025】
被検者2を椅子5やベッド上に位置させ、検査者は多くの場合リモートで経験に頼って粗い位置決めを行い透視する。そして透視した画像を確認しながら検査者は繰り返し微調整を行うが、微調整は多くの場合、アームの回転角0°、90°、0°と3回セットして透視し、上下前後左右の位置と、撮影範囲に所望の領域が含まれるように調整する。
ステップS54では、X線撮影計画に基づき、X線3D撮影を行う。
被検者を椅子5に座らせ、被検者の体格と部位に応じて、椅子5の位置を椅子駆動手段7により移動するための被検者設定処理を行い、被検者が椅子5に座った状態でX線管3とX線検出器4にてスキャナ回転体1cを回転させながら撮影を行い、複数枚のX線被検者撮影画像を得る。
【0026】
ステップS55では、複数枚のX線3D撮影画像を基に、周知のFeldkamp法によるX線コーンビーム再構成演算をCPU24内で実行し、断面画像を生成する。
このX線3D撮影データは、図1のX線管3、X線検出器4及びX線撮影手段1のCB/CTX線撮影によって取得された3D断面画像などの個体の内部情報に関するデータである。
なお、この個体の内部情報に関するデータには、主に矯正歯科領域において、頭部の経年変化の比較を行い、被検者の成長を予測し治療する際に用いられるセファロ分析(cephalogram analysis)に必要なデータも含むものである。
ステップS56では、全ての撮影情報と特徴量情報とを被検者情報として多角的にデ−タベース化して記憶手段23等に保存する。
【0027】
図6は、図3に示すフローチャートのステップS24からステップS26までの処理の詳細を示すフローチャート、図7はその1例を示す図で、図6のステップS61で、被検者2の顔の解剖学的な特徴点と基準面のデフォルト設定を行い、図7の(a)では、顔の解剖学的特徴点として鼻翼下点と左右の外耳孔を設定すると共に、基準面として鼻翼下点と左右外耳孔の3点を含むカンベル平面を設定する。
ステップS62では、前記設定に基づいて特徴点の抽出と顔グラフの生成及び表示を行うが、ここで顔グラフとは、設定した特徴点を含む顔の様々な特徴点を結んで得られる線のつながりであり、顔の向きやゆがみ等の特徴量を視覚的に表したものである。
ステップS63では、顔グラフ表示等を参考にして特徴点の位置の調整や基準面の変更を行い、ステップS64では、決定した特徴点を基にして基準面を生成し、表示手段25に表示する。
【0028】
基準面の生成は、まず図7の(b)に示すように顔の鼻翼下点A、右の外耳孔B,左の外耳孔Cの3点を含む平面(カンベル平面)を決定し、次に図7の(c)に示すように、このカンベル平面と直交し、かつ右の外耳孔Bと左の外耳孔Cを含む平面を決定する。
さらに図7の(d)に示すように、これら平面と直交し、かつ鼻翼下点Aを通る平面を決定して、生成された3つの基準面を表示する。
ステップS65では、表示された基準面に対して傾きや位置等の調整や変更を行い、このようにして決定された3つの基準面による解剖学的座標系がステップS66で決定される。
また図7の(e)に示すように、基準面は右の外耳孔Bと左の外耳孔C及び瞳孔間線から得られる眼窩耳孔線と瞳孔間線を含む平面を基に決定してもよく、診断の部位及び目的に応じて任意に選択できるものである。
【0029】
前記実施の形態では、記憶手段23に保存した可視光3D画像とX線3D画像を読み出して、座標変換をするようにしたが、図8に示すようにX線3D再構成画像を予め解剖学的座標系に基づいて座標変換して記憶手段に保存し、複数の検査で撮影した画像間の解析を行うことにより、座標変換する工程が不要となるため、画像解析の短縮化が図れる。
また図9に示すように、X線3D画像を再構成する過程で座標変換するようにしてもよく、この場合座標変換時に3D画像の補間処理をしなくてよいため、空間分解能の向上が図れる。
なお、図8及び図9に示すフローチャートの各ステップは、図3のステップと同一のため、その説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態になる画像の座標統一方法を実施する計測装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態になる画像の座標統一方法を実施する計測装置のスキャナに対する可視光撮影手段及び照明の配置を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態になる画像の座標統一方法を実施する計測装置による検査で撮影した画像間の座標系を統一する過程を示すフローチャートある。
【図4】本発明の実施の形態になる画像の座標統一方法を実施する計測装置により撮影された可視光3D再構成とX線位置決め単純撮影から全ての撮影情報と特徴量情報の保存までの過程を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態になる画像の座標統一方法を実施する計測装置により撮影された可視光3D撮影と可視光3D再構成の過程を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態になる画像の座標統一方法を実施する計測装置により解剖学的座標系を決定する過程を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態になる画像の座標統一方法を実施する計測装置により解剖学的座標系の生成方法を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態になる画像の座標統一方法を実施する計測装置によりX線3D再構成後に座標変換を行い保存する過程の変形例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態になる画像の座標統一方法を実施する計測装置によりX線3D再構成前に座標変換を行う過程の変形例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0031】
1 X線撮影手段
2 被検者
3 X線管
4 X線検出器
9 可視光撮影制御手段
10 X線撮影制御手段
13 可視光撮影手段
20 演算処理手段
23 記憶手段
25 表示手段
26 外部入力手段



【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の周囲を回転してX線3D画像を撮影するX線撮影手段と、前記X線撮影手段の近傍に設置され、かつ前記被検者の可視光3D画像を撮影する可視光撮影手段と、前記可視光撮影手段で得られた可視光3D画像を使用して前記X線撮影手段により撮影する前記被検者のX線撮影部位を位置決めするようにした計測装置であって、断続的に撮影された複数の可視光3D画像から撮影部位の特徴量を抽出して前記被検者の解剖学的な座標系を得る手段と、得られた解剖学的座標系を基に、前記可視光3D画像と同時に撮影されたX線3D画像を座標変換することにより、断続的に撮影された複数のX線3D画像間の座標系を統一する手段とを具備したことを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記被検者の複数の特徴点を結ぶ線から得られるカンベル平面と、前記カンベル平面に直交する面から解剖学的座標系を生成してなる請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記被検者を撮影した可視光3D画像とX線3D画像を再構成して記憶手段に保存し、後日前記記憶手段より読み出した前記可視光3D画像を基にX線3D画像を座標変換することにより、断続的に撮影された複数のX線3D画像間の座標系を統一してなる請求項1または2に記載の計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−267995(P2007−267995A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98027(P2006−98027)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】