説明

記憶装置およびモータ制御装置

【課題】回転モータの状態に関わらず、回転モータを確実に、かつ、早く起動することを課題とする。
【解決手段】記憶装置は、外部から回転モータ(SPM)を制御する旨のコマンドを受け付けた場合に、このSPMを起動させることで記憶媒体を回転させて、書き込みや読み込みを行う。このような構成のもと、記憶媒体を起動する旨のコマンドを受け付けた場合に、回転モータの回転が逆起制御を行うことができる回転状態(十分な回転)であるか否かを判定し、十分な回転であると判定された場合に、回転モータに対して逆起制御を行い、十分な回転でないと判定された場合に、回転モータを停止させるためにブレーキ制御を行い、回転モータが停止した場合に、回転モータに対して始動制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、記憶媒体を停止状態から回転させる始動制御と回転状態から回転を加速させる逆起制御を行うために記憶媒体のモータを制御する記憶装置およびモータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、磁気ディスク装置などにおいて、磁気ディスクを回転させるスピングルモータの起動には、「停止状態からの起動」と「回転状態からの起動」の二種類の起動種別が存在する。
【0003】
具体的には、「停止状態からの起動」とは、通常の起動であり、スピンドルモータを構成するコイルに様々な方向から電流を流す相切り替え制御(Commutation)を数回実施する始動制御を行い、十分な回転数まで達したところで、スピンドルモータから生じる逆起信号を元に加速制御(もしくは、逆起制御)を行うものである。
【0004】
また、「回転状態からの起動」とは、例えば、磁気ディスク装置を一旦スリープ状態にした後、すぐに起動させるような場合の起動であり、この場合、スピンドルモータが惰性回転状態にあることから、逆起信号を検出することができるので、始動制御を行わずに、すぐ逆起制御を行うものである。
【0005】
そして、このようなスピングルモータを確実に起動するとともに、スピンドルモータの起動時間を短縮する様々な技術が開示されている。例えば、「停止状態からの起動」において起動時間を短縮する技術として、特許文献1(特開平7−226016号公報)では、定常回転しているモータを停止させて、ロータとステータの相対位置を確認した後にモータを再起動して同期制御することにより起動時間の短縮を図る技術が開示されている。具体的には、SpinOff時(回転停止時)において、ブレーキ動作とアライン動作をあらかじめ行うことで、次回SpinOn時(回転開始時)の起動時間の短縮を図る技術である。
【0006】
【特許文献1】特開平7−226016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記した従来技術における「回転状態からの起動」では、スピンドルモータを起動(逆起制御)するのに必要な回転が十分でない場合、起動リトライを繰り返したり、停止するのを待ってから始動制御を行うなど、「停止状態からの起動」を行う必要があるため、回転が十分でない場合には、回転が十分である場合に比較して起動時間が長くなる。
【0008】
また、上記した特許文献では、次回SpinOn時(回転開始時)の起動時間の短縮を図るに過ぎないなど、「停止状態からの起動」についてのみ、起動時間の短縮を図るに過ぎないため、「回転状態からの起動」では、起動時間が短縮できないという課題があった。
【0009】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、スピンドルモータの状態に関わらず、スピンドルモータを確実に、かつ、早く起動することが可能である記憶装置およびモータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、記憶媒体を停止状態から回転させる始動制御と回転状態から回転を加速させる逆起制御を行うために前記記憶媒体のモータを制御する記憶装置またはモータ制御装置であって、前記記憶媒体を起動する旨のコマンドを受け付けた場合に、前記モータの回転状態が前記逆起制御を行うことができる回転状態であるか否かを判定する回転判定部と、前記回転判定部により前記逆起制御を行うことができる回転状態であると判定された場合に、前記モータに対して前記逆起制御を行う逆起制御部と、前記回転判定部により前記逆起制御を行うことができない回転状態であると判定された場合に、前記モータを停止させるためにブレーキ制御を行うブレーキ制御部と、前記ブレーキ制御部により前記モータが停止した場合に、前記モータに対して前記始動制御を行う始動制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
したがって、本発明によれば、記憶媒体を起動する旨のコマンドを受け付けた場合に、モータの回転状態が逆起制御を行うことができる回転状態であるか否かを判定し、逆起制御を行うことができる回転状態であると判定された場合に、モータに対して逆起制御を行い、逆起制御を行うことができない回転状態であると判定された場合に、モータを停止させるためにブレーキ制御を行い、モータが停止した場合に、モータに対して始動制御を行うので、例えば、「回転状態からの起動」においてスピンドルモータを起動(逆起制御)するのに逆起制御を行うことができる回転状態(十分な回転)である場合、そのまま逆起制御を行い、また、逆起制御を行うことができない回転状態(十分な回転でない)の場合、一旦、スピンドルモータを停止して始動制御を行ってから逆起制御を行うことができ、また、「停止状態からの起動」では、はじめから始動制御を行うことができるなど、いずれの状態でも、確実に起動できる制御を行うことができる結果、スピンドルモータの状態に関わらず、スピンドルモータを確実に、かつ、早く起動することが可能である。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、回転判定部は、モータから生じる逆起信号の大きさが所定の大きさを超えるか否かにより、モータの回転状態が逆起制御を行うことができる回転状態であるか否かを判定することを特徴とする。
【0013】
したがって、本発明によれば、モータから生じる逆起信号の大きさが所定の大きさを超えるか否により、モータの回転状態が逆起制御を行うことができる回転状態であるか否かを判定するので、逆起信号の大きさが所定の大きさを超えるか否かを判定する結果、逆起制御を行うのに十分な回転であるか否かをより簡単に判定することが可能である。
【0014】
また、本発明は、上記の発明において、モータから生じる逆起信号に基づいてモータの回転数を算出する回転数算出部をさらに備え、前記回転判定部は、前記回転数算出部により算出された回転数が所定の回転数を超えるか否かにより、前記モータの回転が逆起制御を行うのに十分な回転であるか否かを判定することを特徴とする。
【0015】
したがって、本発明によれば、例えば、モータから生じる逆起信号に基づいてモータの回転数を算出し、算出された回転数が所定の回転数を超えるか否かにより、モータの回転が逆起制御を行うのに十分な回転であるか否かを判定するので、逆起信号から回転数を算出して十分な回転であるか否かを判定する結果、逆起制御を行うのに十分な回転であるか否かをより精密に判定することが可能である。さらに、例えば、個々の磁気ディスクにより閾値となる回転数が異なる場合など、閾値を容易に変更することができる結果、より細かな設定を行うことが可能である。
【0016】
また、本発明は、上記の発明において、前記ブレーキ制御部は、前記回転数算出部により算出された回転数に応じた複数のブレーキ回転数帯を所持し、前記算出された回転数に応じたブレーキ制御を行うことを特徴とする。
【0017】
したがって、本発明によれば、このように、算出された回転数に応じた複数のブレーキ回転数帯を所持し、算出された回転数に応じたブレーキ制御を行うので、例えば、算出した回転数が、逆起制御を行うことができる回転状態(十分な回転)に遠く及ばない低回転数の場合にはブレーキ制御を「400ms」間行い、また、逆起制御を行うことができる回転状態に近いが十分でない場合には「600ms」間行う、つまり、算出された回転数が、逆起制御を行うことができる回転状態に近いほど停止させるのに時間がかかり、遠いほど短い時間で停止させることができることを考慮してブレーキ制御を行うなど、モータを止めるのに十分なブレーキ時間でありながら、できる限り短いブレーキ制御を行うことができる結果、スピンドルモータの状態に関わらず、スピンドルモータをより早く起動することが可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、例えば、「回転状態からの起動」においてスピンドルモータを起動(逆起制御)するのに逆起制御を行うことができる回転状態(十分な回転)である場合、そのまま逆起制御を行い、また、逆起制御を行うことができない回転状態(十分な回転でない)の場合、一旦、スピンドルモータを停止して始動制御を行ってから逆起制御を行うことができ、また、「停止状態からの起動」では、はじめから始動制御を行うことができるなど、いずれの状態でも、確実に起動できる制御を行うことができる結果、スピンドルモータの状態に関わらず、スピンドルモータを確実に、かつ、早く起動することが可能であり、データ読み出しや書き込みなどの要求に対して、回転制御をリトライするなどを防ぐことができ、当該装置の利用価値を高めるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る記憶装置およびモータ制御装置の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
以下の実施例1では、本発明に係る記憶装置(例えば、磁気ディスク装置)の概要および特徴、記憶装置(磁気ディスク装置)の構成および処理の流れ、実施例1による効果等を順に説明する。
【0021】
[記憶装置(磁気ディスク装置)の概要および特徴]
まず最初に、図1を用いて、実施例1に係る磁気ディスク装置の概要および特徴を説明する。図1は、実施例1に係る磁気ディスク装置の概要と特徴を説明するための図である。
【0022】
図1に示すように、記憶媒体(例えば、磁気ディスク)は中央にスピンドルモータ(SPM)を備えており、磁気ディスク装置は、磁気ディスクを起動する旨のコマンドを受け付けた場合に、このSPMを起動(もしくは、回転)させることで磁気ディスクを回転させて、データの書き込みや読み込みを行う。そして、このSPMを起動させるための制御として、「停止状態からの起動(回転)」と「回転状態からの起動」の二つの起動種別(回転種別)が存在する。
【0023】
具体的には、「停止状態からの起動」とは、通常の起動であり、スピンドルモータを構成するコイルに様々な方向から電流を流す相切り替え制御(Commutation)を数回実施する始動制御を行い、十分な回転数まで達したところで、スピンドルモータから生じる逆起信号を元に加速制御(もしくは、逆起制御)を行うものである。
【0024】
また、「回転状態からの起動」とは、例えば、磁気ディスク装置を一旦スリープ状態にした後、すぐに起動させるような場合の起動であり、この場合、スピンドルモータが惰性回転状態にあることから、逆起信号(例えば、逆起電流)を検出することができるので、始動制御を行わずに、すぐ逆起制御を行うものである。
【0025】
このような構成のもと、磁気ディスク装置は、所持する磁気ディスクに対してスピンドルモータを制御することを概要とするものであり、特に、スピンドルモータの状態に関わらず、スピンドルモータを確実に、かつ、早く起動することが可能であることに主たる特徴がある。
【0026】
この主たる特徴を具体的に説明すると、図1の(1)に示すように、停止状態にある磁気ディスクを起動(回転)させる場合(「停止状態からの起動(回転)」)、磁気ディスク装置は、停止状態から起動させる始動制御を行い、逆起制御を行うことができる回転状態(十分な回転)に達すると、逆起制御を行って磁気ディスクを加速回転させる。
【0027】
一方、図1の(2)に示すように、回転状態にある磁気ディスク装置を起動させる場合(「回転状態からの回転」)、磁気ディスク装置は、スピンドルモータの回転が逆起制御を逆起制御を行うことができる回転状態であるか否かを判定する。具体的に例を挙げて説明すると、スピンドルモータから生じる逆起信号の大きさが所定の値を超えるか否により、スピンドルモータの回転が逆起制御を行うことができる回転状態(十分な回転)であるか否かを判定する。
【0028】
そして、スピンドルモータの回転が十分な回転であると判定された場合に、磁気ディスク装置は、スピンドルモータに対して逆起制御を行う。具体的には、スピンドルモータの回転が十分な回転であると判定された場合、スピンドルモータから十分な逆起信号が得られるので、その逆起信号を用いてスピンドルモータを加速させる逆起制御を行う。
【0029】
一方、スピンドルモータの回転が逆起制御を行うことができない回転状態(十分な回転でない)であると判定された場合に、磁気ディスク装置は、スピンドルモータを停止させるためにブレーキ制御を行う。具体的には、スピンドルモータの回転が十分な回転でないと判定された場合、スピンドルモータから十分な逆起信号が得られず、そのまま逆起制御を行うと、確実に起動できないので、一旦、スピンドルモータを停止させるためにブレーキ制御を行う。
【0030】
そして、磁気ディスク装置は、スピンドルモータが停止すると、スピンドルモータに対して始動制御を行う。具体的には、スピンドルモータが停止した場合に、停止状態から起動させる始動制御を行い、スピンドルモータの回転が十分な回転に達すると、スピンドルモータから十分な逆起信号が得られるので、その逆起信号を用いてスピンドルモータを加速させる逆起制御を行う。
【0031】
このように、例えば、「回転状態からの起動」においてスピンドルモータを起動(逆起制御)するのに逆起制御を行うことができる回転状態(十分な回転)である場合、そのまま逆起制御を行い、また、逆起制御を行うことができない回転状態(十分な回転でない)の場合、一旦、スピンドルモータを停止して始動制御を行ってから逆起制御を行うことができ、また、「停止状態からの起動」では、はじめから始動制御を行うことができるなど、いずれの状態でも、確実に起動できる制御を行うことができる結果、スピンドルモータの状態に関わらず、スピンドルモータを確実に、かつ、早く起動することが可能である。
【0032】
[記憶装置(磁気ディスク装置)の構成]
次に、図2を用いて、図1に示した磁気ディスク装置の構成を説明する。図2は、磁気ディスク装置20の構成を示すブロック図である。同図に示すように、この磁気ディスク装置20は、磁気ディスク21と、HDC(Hard Disk Controler:ハードディスクコントローラ)22と、リード・ライトチャネル部23と、SVC(Servo Controler:サーボコントローラ)24と、ショックセンサー25と、電流制御部26と、記憶部27と、MCU(Micro Control Unit:マイクロコントロールユニット)28とから構成される。
【0033】
このうち、磁気ディスク21は、磁気ディスク装置20に所持され、データの書き込みや読み込みが行われる記録媒体であり、具体的には、スピンドルモータ(SPM)により回転し、VCM(Voice Coil Motor:ボイスコイルモータ)によってヘッドの位置が決められて、データの書き込みや読み込みが行われる。
【0034】
HDC22は、インタフェースを内蔵しており、接続されるホストコンピュータ10から各種指示を受け付けて、各機能部に送信する手段であり、具体的に例を挙げれば、スピンドルモータの制御指示を受け付けると、後述するMCU28に送信し、リード・ライト指示を受け付けると、SVC24に送信し、リード・ライトチャネル部23を介してデータを書き込んだり、データをホストコンピュータ10へ送信したりする。
【0035】
リード・ライトチャネル部23は、磁気ディスク21へのデータの読み書きを制御する手段であり、具体的には、データを磁気ディスク21に書き込むための変調回路やデータを磁気ディスク21から読み込むための復調回路等を備えている。
【0036】
SVC24は、VCMの動作を制御する手段であり、具体的には、HDC22からデータの書き込みまたは読み込み要求を受信すると、当該データの読み込み位置または書き込み位置までヘッドを動作させるようにVCMを制御する。また、ショックセンサー25は、ヘッドにおけるデータの書き込みまたは読み込みを行う場合に、ショック(磁気ディスクに生じる振動や衝撃)を検知する手段である。
【0037】
電流制御部26は、スピンドルモータ(SPM)への電流を制御する手段であり、具体的に例を挙げれば、後述するMCU28からの要求指示により、スピンドルモータを起動させるための電流を供給したり、スピンドルモータを停止させるための電流を供給したり、スピンドルモータから検出される逆起信号をMCU28へ送信したりする。
【0038】
記憶部27は、MCU28による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納する格納手段(記憶手段)であり、具体的に例を挙げれば、後述するMCU28の回転判定部28bが、スピンドルモータが逆起制御を行うのに十分な回転が否かを判定するための閾値などを記憶する。
【0039】
そして、MCU28は、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する処理部であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、コマンド受信部28aと、回転判定部28bと、逆起制御部28cと、ブレーキ制御部28dと、始動制御部28eとを備える。なお、これらの制御部28a〜28eは、図示しないROMに格納されており、MCU28に読み出されて実行される。また、本実施例ではMCU28のファームウェアのプログラムモジュールとして構成された制御部28a〜28eは、CPUのファームウェアプログラムにより実現する手法を説明したがこれに限られず、構成することが可能である。
【0040】
このうち、コマンド受信部28aは、HDCから各種コマンドを受信して各種機能部に送信する手段であり、具体的に例を挙げれば、HDC22からSpinOn(回転開始)コマンドを受信すると、スピンドルモータが回転している場合に、受信したコマンドを回転判定部28bに送信し、スピンドルモータが停止している場合に、受信したコマンドを始動制御部28eに送信したり、SpinOff(回転停止)コマンドを受信すると、受信したコマンドをブレーキ制御部28dに送信したりする。
【0041】
回転判定部28bは、磁気ディスクを起動する旨のコマンドを受け付けた場合に、スピンドルモータの回転が逆起制御を行うのに十分な回転であるか否かを判定する手段である。具体的には、コマンド受信部28aからSpinOnコマンドを受け付けると、記憶部27に記憶される閾値などを参照し、電流制御部26により検出される逆起信号の大きさが所定の値を超えるか否かにより、スピンドルモータの回転が逆起制御を行うのに十分な回転であるか否かを判定する。そして、十分な回転であると判定した場合、回転判定部28bは、十分な回転である旨の要求指示を逆起制御部28cに送信し、一方、十分な回転でないと判定した場合、回転判定部28bは、十分な回転でない旨の要求指示をブレーキ制御部28dに送信する。
【0042】
また、逆起制御部28cは、回転判定部28bにより十分な回転であると判定された場合に、スピンドルモータに対して逆起制御を行う手段であり。具体的には、回転判定部28bより十分な回転である旨の要求指示を受信すると、スピンドルモータから検出される逆起信号を利用して、スピンドルモータに対して逆起制御を行うための要求指示を電流制御部26に送信する。
【0043】
ブレーキ制御部28dは、回転判定部28bにより十分な回転でないと判定された場合に、スピンドルモータを停止させるためにブレーキ制御を行う手段である。具体的には、回転判定部28bから十分な回転でない旨の要求指示を受信すると、スピンドルモータから検出される逆起信号を利用して逆起制御を行えないため、スピンドルモータを停止させるためにブレーキ制御を行うための要求指示を電流制御部26に送信する。
【0044】
そして、始動制御部28eは、ブレーキ制御部28dによりスピンドルモータが停止した場合に、スピンドルモータに対して始動制御を行う手段である。具体的に例を挙げれば、ブレーキ制御部28dによりスピンドルモータが停止したことを検知すると、スピンドルモータを起動させる始動制御を行うための要求指示を電流制御部26に送信する。また、はじめからスピンドルモータが停止していた場合にも、スピンドルモータを起動させる始動制御を行うための要求指示を電流制御部26に送信する。
【0045】
例を挙げて説明すると、磁気ディスク装置20は、モータにはセンサがないため、モータから発生する逆起に基づいてモータ制御を行っている。例えば、CT(センターチップ)とクロスする点が12極のモータの場合、回転中のU、V、W相に生じる逆起電圧が1回転につき36回発生し、この信号の間隔が所望の時間で一定間隔になるように制御する。つまり、モータが停止している場合、逆起は発生しないために上記した制御ができないので、FWで相切り替えを行い、逆起制御を行うことができる(十分な)回転をさせる動作が必要である。一方、惰性回転からの起動の場合、モータが逆起制御を行うことができる(十分な)回転状態であると、そのまま逆起制御を行い、モータが逆起制御を行うことができない(十分でない)回転状態であると、逆起制御を行うことができないため、一度、ブレーキ制御を行って停止させて、FWで相切り替えを行い、逆起制御を行うことができる(十分な)回転をさせる動作を行う。
【0046】
[磁気ディスク装置による処理]
次に、図3を用いて、磁気ディスク装置による処理を説明する。図3は、磁気ディスク装置におけるスピンドルモータ制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0047】
図3に示すように、磁気ディスクへのデータ書き込みやデータ読み込みを行うためのSpinOn(回転開始)コマンドを受信すると(ステップS301)、磁気ディスク装置20の回転判定部28bは、スピンドルモータの回転が逆起制御を行うのに十分な回転であるか否かを判定する(ステップS302)。
【0048】
そして、回転判定部28bにより十分な回転であると判定された場合(ステップS302肯定)、逆起制御部28cは、スピンドルモータに対して逆起制御を行う(ステップS303)。
【0049】
一方、回転判定部28bにより十分な回転でないと判定された場合(ステップS302否定)、磁気ディスク装置20は、スピンドルモータが停止状態か否かを判定する(ステップS304)。
【0050】
そして、スピンドルモータが停止状態である場合(ステップS304肯定)、始動制御部28eは、スピンドルモータに対して始動制御を行い(ステップS305)、そして、逆起制御を行うのに十分な回転に達すると、逆起制御部28cは、スピンドルモータに対して逆起制御を行う(ステップS303)。
【0051】
一方、スピンドルモータが停止状態でない場合(ステップS304否定)ブレーキ制御部28dは、スピンドルモータを停止させるためにブレーキ制御を行う(ステップS306)。そして、スピンドルモータの回転が停止すると、始動制御部28eは、スピンドルモータに対して始動制御を行い(ステップS305)、逆起制御を行うのに十分な回転に達すると、逆起制御部28cは、スピンドルモータに対して逆起制御を行う(ステップS303)。
【0052】
[実施例1による効果]
このように、実施例1によれば、磁気ディスクを起動する旨のコマンドを受け付けた場合に、スピンドルモータの回転が逆起制御を行うのに十分な回転であるか否かを判定し、十分な回転であると判定された場合に、スピンドルモータに対して逆起制御を行い、十分な回転でないと判定された場合に、スピンドルモータを停止させるためにブレーキ制御を行い、スピンドルモータが停止した場合に、スピンドルモータに対して始動制御を行うので、例えば、「回転状態からの起動」においてスピンドルモータを起動(逆起制御)するのに十分な回転である場合、そのまま逆起制御を行い、また、十分な回転でない場合、一旦、スピンドルモータを停止して始動制御を行ってから逆起制御を行うことができ、また、「停止状態からの起動」では、はじめから始動制御を行うことができるなど、いずれの状態でも、確実に起動できる制御を行うことができる結果、スピンドルモータの状態に関わらず、スピンドルモータを確実に、かつ、早く起動することが可能であり、データ読み出しや書き込みなどの要求に対して、回転制御をリトライするなどを防ぐことができ、当該装置の利用価値を高めるという効果を奏する。
【0053】
また、実施例1によれば、スピンドルモータから生じる逆起信号の大きさが所定の大きさを超えるか否かにより、スピンドルモータの回転が逆起制御を行うのに十分な回転であるか否かを判定するので、逆起信号の大きさが所定の値を超えるか否かを判定する結果、逆起制御を行うのに十分な回転であるか否かをより簡単に判定することが可能である。
【実施例2】
【0054】
ところで、上記した実施例1では、逆起制御を行うか否かを逆起信号の大きさが所定の大きさを超えるか否かにより判定する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、スピンドルモータの回転数が所定の回転数を超えるか否かにより判定してもよい。
【0055】
そこで、以下では、逆起制御を行うか否かをスピンドルモータの回転数が所定の回転数を超えるか否かにより判定する場合について説明する。なお、以下の実施例2では、本発明に係る磁気ディスク装置の構成および処理の流れ、実施例2による効果等を順に説明する。
【0056】
まず最初に、図4を用いて、実施例2に係る磁気ディスク装置の構成について説明する。図4は、実施例2に係る磁気ディスク装置40の構成を示すブロック図である。
【0057】
図4に示すように、この磁気ディスク装置40は、磁気ディスク41と、HDC42と、リード・ライトチャネル部43と、SVC44と、ショックセンサー45と、電流制御部46と、記憶部47と、MCU48とから構成される。なお、磁気ディスク装置40の磁気ディスク41と、HDC42と、リード・ライトチャネル部43と、SVC44と、ショックセンサー45と、電流制御部46と、MCU48のコマンド受信部48aと逆起制御部48cとブレーキ制御部48dと始動制御部48eとは、実施例1の図2で説明した磁気ディスク装置20の磁気ディスク21と、HDC22と、リード・ライトチャネル部23と、SVC24と、ショックセンサー25と、電流制御部26と、MCU28のコマンド受信部28aと逆起制御部28cとブレーキ制御部28dと始動制御部28eと同様の機能を有するので、その詳細な説明は省略する。ここでは、実施例1の図2とは異なる機能を有する記憶部47と、MCU48の回転判定部48bと、回転数算出部48fとについて説明する。
【0058】
このうち、記憶部47は、MCU48による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納する格納手段(記憶手段)であり、具体的に例を挙げれば、後述するMCU48の回転判定部48bが、回転数算出部48fにより算出された回転数が所定の回転数を超えるか否かにより、スピンドルモータが逆起制御を行うのに十分な回転か否かを判定するための閾値などを記憶する。具体的に例を挙げれば、十分な回転数か否かの閾値として回転数300rpmなどを記憶する。
【0059】
また、MCU48の回転判定部48bは、後述する回転数算出部48fにより算出された回転数が所定の回転数を超えるか否かにより、スピンドルモータの回転が逆起制御を行うのに十分な回転であるか否かを判定する手段である。具体的には、記憶部47に記憶される閾値(例えば、300rpm)などを参照して、回転数算出部48fにより算出された回転数が当該閾値を超えるか否かにより、スピンドルモータの回転が逆起制御を行うのに十分な回転であるか否かを判定する。
【0060】
回転数算出部48fは、スピンドルモータから生じる逆起信号(逆起電圧)に基づいてスピンドルモータの回転数を算出する手段である。具体的に例を挙げれば、コマンド受信部48aからSpinOnコマンドを受け付けると、スピンドルモータから生じる逆起信号を電流制御部46より受信して、受信した逆起信号に基づいてスピンドルモータの回転数を算出し、算出した回転数を回転判定部48bに送信する。
【0061】
[磁気ディスク装置による処理]
次に、図5を用いて、磁気ディスク装置による処理を説明する。図5は、磁気ディスク装置40におけるスピンドルモータ制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0062】
図5に示すように、磁気ディスクへのデータ書き込みやデータ読み込みを行うためのSpinOn(回転開始)コマンドを受信すると(ステップS501)、磁気ディスク装置40の回転数算出部48fは、スピンドルモータから生じる逆起信号に基づいてスピンドルモータの回転数を算出する(ステップS502)。
【0063】
そして、回転判定部48bは、回転数算出部48fにより算出された回転数が所定の回転数を超えるか否かにより、スピンドルモータの回転が逆起制御を行うのに十分な回転であるか否かを判定する(ステップS503)。具体的には、記憶部47に記憶される閾値(例えば、300rpm)などを参照して、回転数算出部48fにより算出された回転数が当該閾値(例えば、300rpm)を超えるか否かにより、スピンドルモータの回転が逆起制御を行うのに十分な回転であるか否かを判定する。
【0064】
そして、回転判定部48bにより十分な回転であると判定された場合(ステップS503肯定)、逆起制御部48cは、スピンドルモータに対して逆起制御を行う(ステップS504)。
【0065】
一方、回転判定部48bにより十分な回転でないと判定された場合(ステップS503否定)に行うステップS505〜ステップS507の処理は、図3で説明したステップS304〜ステップS306の処理と同様であるので、ここではその詳細な説明は省略する。
【0066】
[実施例2による効果]
このように、実施例2によれば、スピンドルモータから生じる逆起信号に基づいてスピンドルモータの回転数を算出し、算出された回転数が所定の回転数を超えるか否かにより、スピンドルモータの回転が逆起制御を行うのに十分な回転であるか否かを判定するので、逆起信号から回転数を算出して十分な回転であるか否かを判定する結果、逆起制御を行うのに十分な回転であるか否かをより精密に判定することが可能である。さらに、例えば、個々の磁気ディスクにより閾値となる回転数が異なる場合など、閾値を容易に変更することができる結果、より細かな設定を行うことが可能である。
【実施例3】
【0067】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では実施例3として、本発明に含まれる他の実施例について説明する。
【0068】
(1)ブレーキの回転数帯を複数所持
例えば、実施例1または2では、単一のブレーキ回転数帯でブレーキ制御を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ブレーキの回転数帯を複数所持しておき、算出されたスピンドルモータの回転数に応じて、ブレーキを選択してブレーキ制御を行ってもよい。
【0069】
図6を用いて、具体的に処理の流れを説明すると、ステップS601からステップS605までの処理(回転数を算出して、算出した回転数が逆起制御を行うに十分な回転か否かを判定する処理)は、実施例2の図5で説明したステップS501からステップS505までと同様の処理なので、ここではその詳細な説明は省略する。
【0070】
そして、算出した回転数が閾値未満であり(ステップS603否定)、スピンドルモータが停止状態でないと判定された場合(ステップS605否定)、磁気ディスク装置は、算出された回転数に応じたブレーキを選択して(ステップS607)、選択したブレーキでブレーキ制御を行う(ステップS608)。そして、スピンドルモータの回転が停止すると、磁気ディスク装置は、スピンドルモータに対して始動制御を行い(ステップS606)、逆起制御を行うのに十分な回転に達すると、スピンドルモータに対して逆起制御を行う(ステップS604)。
【0071】
このように、算出された回転数に応じた複数のブレーキ回転数帯を所持し、算出された回転数に応じたブレーキ制御を行うので、例えば、算出した回転数が、逆起制御を行うことができる回転状態(十分な回転)に遠く及ばない低回転数の場合にはブレーキ制御を「400ms」間行い、また、逆起制御を行うことができる回転状態に近いが十分でない場合には「600ms」間行う、つまり、算出された回転数が、逆起制御を行うことができる回転状態に近いほど停止させるのに時間がかかり、遠いほど短い時間で停止させることができることを考慮してブレーキ制御を行うなど、モータを止めるのに十分なブレーキ時間でありながら、できる限り短いブレーキ制御を行うことができる結果、スピンドルモータの状態に関わらず、スピンドルモータをより早く起動することが可能である。
【0072】
(2)システム構成等
また、図示した磁気ディスク装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず(例えば、電流制御部とSVCを統合するなど)、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、MCU(もしくは、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの制御装置)および当該MCU(もしくは、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの制御装置)にて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0073】
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。また、実施例では磁気ディスクを用いた場合を説明した、これに限定されず、他の記憶媒体回転用のモータを用いる記憶装置に適用することもできる。
【0074】
(3)プログラム
なお、本実施例で説明した磁気ディスクのスピンドルモータ制御処理(図3、図5、図6)は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータ(例えば、磁気ディスク装置20のMCU)で実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0075】
(付記1)記憶媒体を停止状態から回転させる始動制御と回転状態から回転を加速させる逆起制御を行うために前記記憶媒体のモータを制御する記憶装置であって、
前記記憶媒体を起動する旨のコマンドを受け付けた場合に、前記モータの回転状態が前記逆起制御を行うことができる回転状態であるか否かを判定する回転判定部と、
前記回転判定部により前記逆起制御を行うことができる回転状態であると判定された場合に、前記モータに対して前記逆起制御を行う逆起制御部と、
前記回転判定部によりより前記逆起制御を行うことができない回転状態であると判定された場合に、前記モータを停止させるためにブレーキ制御を行うブレーキ制御部と、
前記ブレーキ制御部により前記モータが停止した場合に、前記モータに対して前記始動制御を行う始動制御部と、
を備えたことを特徴とする記憶装置。
【0076】
(付記2)前記回転判定部は、前記モータから生じる逆起信号の大きさが所定の大きさを超えるか否かにより、前記モータの回転状態が前記逆起制御を行うことができる回転状態であるか否かを判定することを特徴とする付記1に記載の記憶装置。
【0077】
(付記3)前記モータから生じる逆起信号に基づいて前記モータの回転数を算出する回転数算出部をさらに備え、
前記回転判定部は、前記回転数算出部により算出された回転数が所定の回転数を超えるか否かにより、前記モータの回転が逆起制御を行うのに十分な回転であるか否かを判定することを特徴とする付記1または2に記載の記憶装置。
【0078】
(付記4)前記ブレーキ制御部は、前記回転数算出部により算出された回転数に応じた複数のブレーキ回転数帯を所持し、前記算出された回転数に応じたブレーキ制御を行うことを特徴とする付記3に記載の記憶装置。
【0079】
(付記5)記憶媒体を停止状態から回転させる始動制御と回転状態から回転を加速させる逆起制御を行うために前記記憶媒体のモータを制御するモータ制御装置であって、
前記記憶媒体を起動する旨のコマンドを受け付けた場合に、前記モータの回転が前記逆起制御を行うことができる回転状態であるか否かを判定する回転判定部と、
前記回転判定部により前記逆起制御を行うことができる回転状態であると判定された場合に、前記モータに対して前記逆起制御を行う逆起制御部と、
前記回転判定部により前記逆起制御を行うことができない回転状態であると判定された場合に、前記モータを停止させるためにブレーキ制御を行うブレーキ制御部と、
前記ブレーキ制御部により前記モータが停止した場合に、前記モータに対して前記始動制御を行う始動制御部と、
を備えたことを特徴とするモータ制御装置。
【0080】
(付記6)前記回転判定部は、前記モータから生じる逆起信号の大きさが所定の大きさを超えるか否かにより、前記モータの回転状態が前記逆起制御を行うことができる回転状態であるか否かを判定することを特徴とする付記5に記載のモータ制御装置。
【0081】
(付記7)前記モータから生じる逆起信号に基づいて前記モータの回転数を算出する回転数算出部をさらに備え、
前記回転判定部は、前記回転数算出部により算出された回転数が所定の回転数を超えるか否かにより、前記モータの回転が逆起制御を行うのに十分な回転であるか否かを判定することを特徴とする付記5または6に記載のモータ制御装置。
【0082】
(付記8)前記ブレーキ制御部は、前記回転数算出部により算出された回転数に応じた複数のブレーキ回転数帯を所持し、前記算出された回転数に応じたブレーキ制御を行うことを特徴とする付記7に記載のモータ制御装置。
【0083】
(付記9)記憶媒体を停止状態から回転させる始動制御と回転状態から回転を加速させる逆起制御を行うために前記記憶媒体のモータを制御することに適するモータ制御方法であって、
前記記憶媒体を起動する旨のコマンドを受け付けた場合に、前記モータの回転が前記逆起制御を行うことができる回転状態であるか否かを判定する回転判定工程と、
前記回転判定工程により前記逆起制御を行うことができる回転状態であると判定された場合に、前記モータに対して前記逆起制御を行う逆起制御工程と、
前記回転判定工程により前記逆起制御を行うことができない回転状態であると判定された場合に、前記モータを停止させるためにブレーキ制御を行うブレーキ制御工程と、
前記ブレーキ制御工程により前記モータが停止した場合に、前記モータに対して前記始動制御を行う始動制御工程と、
を含んだことを特徴とするモータ制御方法。
【0084】
(付記10)前記回転判定工程は、前記モータから生じる逆起信号の大きさが所定の大きさを超えるか否かにより、前記モータの回転状態が前記逆起制御を行うことができる回転状態であるか否かを判定することを特徴とする付記9に記載のモータ制御方法。
【0085】
(付記11)前記モータから生じる逆起信号に基づいて前記モータの回転数を算出する回転数算出工程をさらに備え、
前記回転判定工程は、前記回転数算出工程により算出された回転数が所定の回転数を超えるか否かにより、前記モータの回転が逆起制御を行うのに十分な回転であるか否かを判定することを特徴とする付記10または11に記載のモータ制御方法。
【0086】
(付記12)前記ブレーキ制御工程は、前記回転数算出工程により算出された回転数に応じた複数のブレーキ回転数帯を所持し、前記算出された回転数に応じたブレーキ制御を行うことを特徴とする付記12に記載のモータ制御方法。
【0087】
(付記13)記憶媒体を停止状態から回転させる始動制御と回転状態から回転を加速させる逆起制御を行うために前記記憶媒体のモータを制御することをコンピュータに実行させるモータ制御プログラムであって、
前記記憶媒体を起動する旨のコマンドを受け付けた場合に、前記モータの回転が前記逆起制御を行うことができる回転状態であるか否かを判定する回転判定手順と、
前記回転判定手順により前記逆起制御を行うことができる回転状態であると判定された場合に、前記モータに対して前記逆起制御を行う逆起制御手順と、
前記回転判定手順により前記逆起制御を行うことができない回転状態であると判定された場合に、前記モータを停止させるためにブレーキ制御を行うブレーキ制御手順と、
前記ブレーキ制御手順により前記モータが停止した場合に、前記モータに対して前記始動制御を行う始動制御手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするモータ制御プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上のように、本発明に係る記憶装置およびモータ制御装置は、記憶媒体を停止状態から回転させる始動制御と回転状態から回転を加速させる逆起制御を行うために記憶媒体のモータを制御することに有用であり、特に、モータの状態に関わらず、モータを確実に、かつ、早く起動することに適する。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】実施例1に係る磁気ディスク装置の概要と特徴を説明するための図である。
【図2】実施例1に係る磁気ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施例1に係る磁気ディスク装置におけるスピンドルモータ制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施例2に係る磁気ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図5】実施例2に係る磁気ディスク装置におけるスピンドルモータ制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施例3に係る磁気ディスク装置におけるスピンドルモータ制御処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
10 ホストコンピュータ
20 磁気ディスク装置
21 磁気ディスク
22 HDC(ハードディスクコントローラ)
23 リード・ライトチャネル部
24 SVC(サーボコントローラ)
25 ショックセンサー
26 電流制御部
27 記憶部
28 MCU(マイクロ・コントロール・ユニット)
28a コマンド受信部
28b 回転判定部
28c 逆起制御部
28d ブレーキ制御部
28e 始動制御部
40 磁気ディスク装置
41 磁気ディスク
42 HDC(ハードディスクコントローラ)
43 リード・ライトチャネル部
44 SVC(サーボコントローラ)
45 ショックセンサー
46 電流制御部
47 記憶部
48 MCU(マイクロ・コントロール・ユニット)
48a コマンド受信部
48b 回転判定部
48c 逆起制御部
48d ブレーキ制御部
48e 始動制御部
48f 回転算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体を停止状態から回転させる始動制御と回転状態から回転を加速させる逆起制御を行うために前記記憶媒体のモータを制御する記憶装置であって、
前記記憶媒体を起動する旨のコマンドを受け付けた場合に、前記モータの回転状態が前記逆起制御を行うことができる回転状態であるか否かを判定する回転判定部と、
前記回転判定部により前記逆起制御を行うことができる回転状態であると判定された場合に、前記モータに対して前記逆起制御を行う逆起制御部と、
前記回転判定部により前記逆起制御を行うことができない回転状態であると判定された場合に、前記モータを停止させるためにブレーキ制御を行うブレーキ制御部と、
前記ブレーキ制御部により前記モータが停止した場合に、前記モータに対して前記始動制御を行う始動制御部と、
を備えたことを特徴とする記憶装置。
【請求項2】
前記回転判定部は、前記モータから生じる逆起信号の大きさが所定の大きさを超えるか否かにより、前記モータの回転状態が前記逆起制御を行うことができる回転状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の記憶装置。
【請求項3】
前記モータから生じる逆起信号に基づいて前記モータの回転数を算出する回転数算出部をさらに備え、
前記回転判定部は、前記回転数算出部により算出された回転数が所定の回転数を超えるか否かにより、前記モータの回転が逆起制御を行うのに十分な回転であるか否かを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の記憶装置。
【請求項4】
前記ブレーキ制御部は、前記回転数算出部により算出された回転数に応じた複数のブレーキ回転数帯を所持し、前記算出された回転数に応じたブレーキ制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の記憶装置。
【請求項5】
記憶媒体を停止状態から回転させる始動制御と回転状態から回転を加速させる逆起制御を行うために前記記憶媒体のモータを制御するモータ制御装置であって、
前記記憶媒体を起動する旨のコマンドを受け付けた場合に、前記モータの回転が前記逆起制御を行うことができる回転状態であるか否かを判定する回転判定部と、
前記回転判定部により前記逆起制御を行うことができる回転状態であると判定された場合に、前記モータに対して前記逆起制御を行う逆起制御部と、
前記回転判定部により前記逆起制御を行うことができない回転状態であると判定された場合に、前記モータを停止させるためにブレーキ制御を行うブレーキ制御部と、
前記ブレーキ制御部により前記モータが停止した場合に、前記モータに対して前記始動制御を行う始動制御部と、
を備えたことを特徴とするモータ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−335017(P2007−335017A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−166616(P2006−166616)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】