説明

記憶装置共用システムと方法およびプログラム

【課題】複数の記憶装置を各処理装置で共有し管理装置が記憶装置の優先順位情報を管理する記憶装置共用システムにおいて、各処理装置の優先順位情報更新時に不整合状態になった場合に、データの一貫性が崩れることを回避する。
【解決手段】処理装置100が、優先順位情報の有効期限を保持する有効期限記憶部106と、有効期限内かを確認する有効期限確認部104と、アクセス処理を禁止すべきかを判断するアクセス処理確認部103を備え、処理装置による記憶装置へのアクセスの優先順位を管理する管理装置200が、優先順位情報の有効期限を保持する有効期限記憶部204と、有効期限内であるか否かを確認する有効期限確認部202を備え、処理装置で有効期限が切れた場合は、データの一貫性を崩すアクセス処理を禁止し、優先順位情報を更新する場合には、全ての処理装置の有効期限が切れた後で行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関し、特に、記憶装置共用システム、記憶装置共用方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
アクセス制御、優先順位制御等に関する公知文献として例えば以下の特許文献がある。特許文献1(特開2005−032076号公報)には、一の主体がアクセスを許容する情報に対して一の主体が他の主体にアクセス権を設定することができ、さらに、一の主体が情報を更新又は変更した場合でも、他の主体に更新又は変更された新しい情報を提供することができるアクセス権設定システムが開示されている。各主体A、Bに対してそれぞれ固有の公開識別符A(n)、B(n)を交付する公開識別符交付手段と、各主体に対してそれぞれ固有の非公開識別符を交付する非公開識別符交付手段AID、BIDと、一の主体Aの非公開識別符AIDが提供されることを条件として、他の主体Bの公開識別符B(n)と情報Ai1の関連付けを許容するアクセス権設定手段M4と、他の主体Bの非公開識別符BIDが提供されることを条件として、情報Ai1へのアクセスを許容するアクセス許容手段M5とを有している。
【0003】
特許文献2(特開2006−178849号公報)には、通信装置に接続されるデータ処理システムにおいて、書込み対象データと書込み要求とを送信する通信装置から前記書込み要求が受信された場合、前記書込み要求に従う書込み先エクステントのアクセス制御属性を前記複数のアクセス制御属性の中から検索し、検索されたアクセス制御属性が書込み禁止を意味するアクセス制御属性か否かの判定を行い、その判定の結果に応じて、前記書き込み対象データを前記書込み先エクステントに書き込むか否かを制御するが、読出し対象データの読み出し要求を送信する通信装置から前記読出し要求が受信された場合には、前記読み出し要求に従う読み出し元エクステントのアクセス制御属性を前記複数のアクセス制御属性の中から検索することを行うことなく、前記読出し元エクステントから前記読出し対象データを読み出す構成が開示されている。
【0004】
検索速度の向上とアクセス権限の変化に柔軟に対応するための手法として、特許文献3(特開2010−020525号公報)には、利用者権限判定部が、役割権限記憶部が記憶した役割権限を参照して、検索利用者役割データに含まれる役割識別データと一致する役割識別データを、アクセス権限情報データが含む権限役割データが含むアクセス権限情報データを判定し、判定したアクセス権限情報データに含まれる権限グループデータに含まれるグループ識別データを取得して、利用者端末装置を操作している利用者にアクセス権限があるグループのリストを表わす検索利用者グループデータとすることが記載されている。また特許文献3には、ある日を境にして、アクセス権限が変更になる場合、管理者が前もって日付を条件にした有効条件を設定した役割権限データを役割権限記憶部が記憶しておくことで、アクセス権限が変更になる前日や当日には、何の作業もする必要なく、自動的にアクセス権限を変更でき、管理者の作業負荷を軽減することができ、管理者のミスなどによる情報漏洩を防止することができることが記載されている。
【0005】
特許文献4(特表2001−520421号公報)には、市場在庫モジュールが信用の参照を繰り返し、トレーダワークステーションにおける信用優先順位の更新に際していかなる待ち時間の場合にも、最新の信用優先順位が用いられていることを確認して、どのように複雑な多数の信用優先順位の参照をも完遂することが記載されている。
【0006】
特許文献1乃至4には、後述される本発明で扱われる、複数の記憶装置を複数の処理装置で共用し、管理装置で処理装置による記憶装置へのアクセスの優先順位を管理する記憶装置共用システムに直接関連する発明は開示されていない。
【0007】
以下では、本願出願時文献公知発明ではないが、記憶装置共用システムに関連する発明として、先行出願(特願2010−014239号:本願出願時未公開)の概略を説明しておく。この先行出願(特願2010−014239号)は、複数の処理装置が複数の記憶装置を共用する記憶装置共用システムであり、図8に示すような構成とされる。この記憶装置共用システム1は、N(Nは2以上の整数)台の記憶装置4P、4Q、・・・を共用するM(Mは2以上の整数)台の処理装置3と、処理装置3による記憶装置へのアクセスを制御する管理装置2を含む。管理装置2は、各記憶装置3の優先順位を示す優先順位情報を格納部21に保持している。新たな記憶装置が追加された場合、管理装置2は、優先順位情報を更新し、M台の処理装置3に配布する。処理装置3は、管理装置2から配布される優先順位情報に基づいて各記憶装置4にアクセスする。処理装置が、データの書込みを行う場合、各処理装置3が保持している優先順位情報を参照してN台の記憶装置4を検索し、該当するデータがあればそれに書込み、なければ優先順位が最も高い記憶装置4に新規に作成して書き込む。処理装置3がデータの読み込みを行う場合は、各処理装置4が保持している優先順位情報を参照して優先順位が高い記憶装置から検索し、該当するデータを読み込む。
【0008】
このような構成としたことで、特定の機器に負荷が集中することを防止することを可能としている。また、管理装置2が故障しても、各処理装置3が記憶装置4に適切にアクセスすることを可能としている。
【0009】
図8の記憶装置共用システムでは、全ての処理装置3の優先順位情報が互いに一致しており、管理装置2からの優先順位情報の更新も全ての処理装置3で同一タイミングに行われることを前提としている。
【0010】
以下に、図8の先行出願(特願2010−014239号)の分析を与える。
【0011】
ある処理装置3のみが通信エラー等により、優先順位情報の更新に失敗し、その結果、全ての処理装置3の優先順位情報が一致しない不整合状態になる可能性がある。
【0012】
また、優先順位情報の更新が成功したとしても、ネットワーク遅延や処理負荷の違いに起因する更新タイミングのずれによる処理装置3の優先順位情報の不整合状態が発生することも考えられる。
【0013】
先行出願(特願2010−014239号)には、管理装置2が各処理装置3に優先順位情報を配布する際、応答が無かった処理装置3は記憶装置の利用を禁止する旨が記載されているが、具体的な方法や手順は記載されていない。各処理装置3の優先順位情報が不整合状態のまま、記憶装置共用システム1が動作し続けると、記憶装置共用システム1のデータの一貫性が崩れるという問題が発生する。
【0014】
図7を用いて具体的に説明する。なお、図7は、本発明者等により作図されたものであり、本発明の実施形態の説明に用いられる図である。図7において、処理装置2台、記憶装置2台から、新たに記憶装置Rが追加され、管理装置の優先順位情報に記憶装置Rを最も高い優先度(数値が低いほど優先度が高いものとする)で追加する。そして、各処理装置の優先順位情報を更新しようとしたとき、処理装置Aは更新に成功し、処理装置Bは失敗した状況であるものとする。
【0015】
ここで、処理装置Aが新たにデータfile3を新規に作成したとする。この場合、優先順位情報を参照して、各記憶装置を検索し、同じデータが無いことを確認するので、優先度が最も高い記憶装置Rに、データfile3を新規作成する。
【0016】
この時、処理装置Aでは、file1、file2、file3が見えている。処理装置Bでは、file1、file2が見えることになる。
【0017】
従って、記憶装置Rのデータへの参照・更新・削除アクセスは、処理装置Aでは可能であるが、処理装置Bでは不可能となる。
【0018】
その後、処理装置Bが同じデータfile3を新規に作成すると、記憶装置Rにあるデータfile3を検索することはできないので、同データが無いと判断し、最も優先度が高い記憶装置Pに、データfile3を新規に作成する。
【0019】
その結果、記憶装置共用システム内で同じデータfile3が複数存在する状態になる。
【0020】
この状態で、データへの参照・更新・削除が行われた場合、処理装置によって処理されるデータが異なる場合もあり得る。
【0021】
以上のように処理装置によって、データの見え方や処理が異なり、記憶装置共用システムのデータの一貫性が崩れた状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2005−032076号公報
【特許文献2】特開2006−178849号公報
【特許文献3】特開2010−020525号公報
【特許文献4】特表2001−520421号公報
【特許文献5】特願2010−014239号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
以下に関連発明の分析を与える。
【0024】
上記したように、先行出願(特願2010−014239号)において改善すべき課題は、処理装置の優先順位情報が不整合のまま、それぞれの優先順位情報に基づいて記憶装置にアクセスし、各処理装置の優先順位情報更新時に不整合状態になり、記憶装置共用システムのデータの一貫性が崩れることがあるということである。
【0025】
したがって、本発明の目的は、各処理装置の優先順位情報更新時に不整合状態になっても記憶装置共用システムのデータの一貫性を維持可能とする装置、方法、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の1つの側面によれば、複数の記憶装置と、複数の記憶装置の各々を共用する複数の処理装置と、前記処理装置による前記記憶装置へのアクセスの優先順位情報を管理する管理装置と、を備えた記憶装置共用システムであって、
前記管理装置は、
前記優先順位情報と前記優先順位情報の有効期限とをそれぞれ記憶保持する記憶部と、
前記優先順位情報が有効期限内であるか否かを確認する有効期限確認部と、
を備え、
前記処理装置は、
前記優先順位情報と前記優先順位情報の有効期限とをそれぞれ記憶保持する記憶部と、
前記優先順位情報が有効期限内であるか否かを確認する有効期限確認部と、
前記処理装置による前記記憶装置へのアクセス処理が禁止すべきものである否かを判断するアクセス処理確認部と、
を備え、
前記処理装置において、前記有効期限確認部による有効期限の確認の結果、前記優先順位情報の有効期限が切れた場合、前記アクセス処理確認部による判断にしたがって、前記優先順位情報の参照を伴う前記記憶装置へのアクセスを禁止し、
前記処理装置は、前記優先順位情報を更新する場合、前記複数の処理装置の全てにおいて前記優先順位情報の有効期限が切れた後に、前記優先順位情報の更新を行う、記憶装置共用システムが提供される。
【0027】
本発明の他の側面によれば、複数の記憶装置の各々を複数の処理装置で共用し、管理装置が前記処理装置による前記記憶装置へのアクセスの優先順位情報を管理する記憶装置共用方法であって、
前記処理装置で前記優先順位情報の有効期限が切れた場合、前記処理装置による前記優先順位情報の参照を伴う前記記憶装置へのアクセスを禁止し、
前記処理装置において、前記優先順位情報を更新する場合、前記複数の処理装置の全てにおいて前記優先順位情報の有効期限が切れた後に、前記優先順位情報の更新を行う、記憶装置共用方法が提供される。
【0028】
本発明の他の側面によれば、複数の記憶装置の各々を複数の処理装置で共用し、管理装置が前記処理装置による前記記憶装置へのアクセスの優先順位情報を管理する記憶装置共用システムを構成する前記処理装置(プロセッサ、コンピュータ)に、
前記優先順位情報と、前記優先順位情報の有効期限と記憶部にそれぞれ記憶する処理と、
前記優先順位情報が有効期限内であるか否かを確認する処理と、
前記優先順位情報の有効期限が切れた場合、前前記優先順位情報の参照を伴う前記記憶装置へのアクセスを禁止する処理と、
前記優先順位情報を更新する場合、前記複数の処理装置の全てにおいて前記優先順位情報の有効期限が切れた後に、前記優先順位情報の更新を行う処理と、
を実行させるプログラムが提供される。本発明によれば、該プログラムを格納したコンピュータ読み出し可能な記憶媒体も提供される。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、各処理装置の優先順位情報の更新時に不整合状態になっても記憶装置共用システムのデータの一貫性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の動作の一例を示すシーケンス図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の動作の一例を示す流れ図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の動作の一例を示すシーケンス図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の動作の一例を示す流れ図である。
【図6】本発明の一実施例の動作の一例を示すシーケンス図である。
【図7】本発明の一実施例を説明するための図である。
【図8】先行出願(本願出願時未公開)の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の好ましい態様の一つによれば、複数の記憶装置を複数の処理装置で共用し、管理装置で処理装置による記憶装置へのアクセスの優先順位を管理する記憶装置共用システムにおいて、処理装置で有効期限が切れた場合は、データの一貫性を崩すアクセス処理を禁止し、優先順位情報を更新する場合には、全ての処理装置の有効期限が切れた後で行う。すなわち、優先順位情報を参照するアクセス処理が実行可能な有効期限を設定し、各処理装置の優先順位情報の更新を、複数の処理装置の全てで有効期限が切れた後に、実行することにより、各処理装置の優先順位情報が不整合のまま、優先順位情報を参照して記憶装置へのアクセス処理が行われることを回避することができる。
【0032】
以下では、処理装置で優先順位情報の参照を伴うアクセス処理を「優先順位情報参照系アクセス処理」という。
【0033】
<実施形態1>
図1は、本発明の第1の実施形態の構成を示す図である。図1を参照すると、本実施形態のシステムは、処理装置100と、管理装置200と、記憶装置300、301を備えている。なお、図1では、簡単のため処理装置2台が示されているが、処理装置と記憶装置の台数に特に制限は無い。
【0034】
処理装置100は、アプリケーション101、制御部102、優先順位情報記憶部105、有効期限記憶部106を備えている。
【0035】
制御部102は、アクセス処理確認部103、有効期限確認部104を備えている。アプリケーション101を実現するアプリケーション・プログラムは処理装置100を構成するコンピュータ上で実行され、制御部102の各部は、処理装置100を構成するコンピュータ(プロセッサ、データ処理装置)上で実行されるプログラムによってその処理、機能を実現するようにしてもよい。
【0036】
処理装置100の制御部102、優先順位情報記憶部105、有効期限記憶部106と、管理装置200とが記憶装置共有システム400を構成している。上記各部は、次のように動作する。
【0037】
アプリケーション101は、制御部102に対して、記憶装置共有システム400へのアクセス処理を発行する。
【0038】
制御部102は、アプリケーション101からのアクセス処理を受け取り、有効期限確認部104とアクセス処理確認部103を通して、アプリケーション101からのアクセス処理が発行できるアクセス処理であるか否かを判断する。
【0039】
発行できるアクセス処理の場合、アクセス処理確認部103は、優先順位情報記憶部105に保持される情報を参照して、適切な記憶装置へアクセス処理を発行する。また、制御部102は、管理装置200と通信し、新しい優先順位情報の取得を行う。
【0040】
アクセス処理確認部103は、アプリケーション101から受け取ったアクセス処理が禁止すべき処理であるか否かを判断する。
【0041】
有効期限確認部104は、有効期限記憶部106を参照し、優先順位情報が有効期限内であるか否かの確認を行う。
【0042】
優先順位情報記憶部105は、制御部102が管理装置200から受け取った優先順位情報を記憶保持する。有効期限記憶部106は、管理装置200から受け取った優先順位情報の有効期限を記憶保持する。
【0043】
管理装置200は、管理部201、有効期限確認部202、優先順位情報記憶部203、有効期限記憶部204を備えている。
【0044】
管理部201は、各処理装置100と通信し優先順位情報を配布する。有効期限確認部202は、有効期限の確認や更新を行う。
【0045】
優先順位情報記憶部203は、優先順位情報を保持する。有効期限記憶部204は優先順位情報の有効期限を保持する。
【0046】
次に、本実施の形態の全体の動作について説明する。
【0047】
既存の記憶装置共用システムでデータの不整合が発生するのは、各処理装置の優先順位情報が異なったまま、各処理装置がそれぞれの優先順位情報を参照して記憶装置にアクセスするためである。すなわち、優先順位情報の更新時に、処理装置間で古い優先順位情報と新しい優先順位情報とが重なってしまうこと(複数の処理装置の間で、古い優先順位情報を用いるものと、新しい優先順位情報を用いるものが混在すること)が原因である。
【0048】
本実施形態では、処理装置100間で古い優先順位情報と新しい優先順位情報が重なる期間の発生を回避するため、各処理装置100で優先順位情報の更新時に、古い期間(古い優先順位情報の有効期限の終了)と新しい期間(新しい優先順位情報の有効期限の開始)の間に、共通のアクセス処理禁止期間を設ける。
【0049】
処理装置100において、アクセス処理禁止期間中は、優先順位情報参照系アクセス処理が禁止される。
【0050】
また、アクセス処理禁止期間中は、優先順位情報が参照されることはないので、不整合が発生しない。優先順位情報参照系アクセス処理は実行できない。
【0051】
<管理装置の動作>
次に管理装置200の動作について説明する。管理装置200は、現在の優先順位情報の有効期限に近づいてきたら、優先順位情報が、前回の有効期限の開始時点から更新されているかを確認する。
【0052】
管理装置200は、優先順位情報が更新されている場合、この時点では何も行わない。
【0053】
管理装置200は、優先順位情報が更新されていない場合、管理装置200の優先順位情報の有効期限を延長してから、各処理装置100へ有効期限延長を通知する。
【0054】
<優先順位情報更新時の動作>
次に、優先順位情報更新時の動作について図2のシーケンス図を用いて説明する。図2において、ハッチング(斜線)で示す期間は、古い優先順位情報が有効な期間、白抜きの期間はアクセス処理禁止期間、格子の期間は新しい優先順位情報が有効な期間である。
【0055】
優先順位情報が更新されている場合、有効期限が切れた後に、管理装置200は、管理装置200で管理する優先順位情報の有効期限を更新し、処理装置100に対して、新しい優先順位情報と、その有効期限を配布する(ステップS300とステップS301)。なお、新しい優先順位情報とその有効期限の配布方法に関しては、管理装置200が処理装置100へプッシュ(push)する例で説明しているが、これに制限されるものでない。例えば処理装置100それぞれが、優先順位情報とその有効期限を管理装置200からプル(pull)するようにしてもよい。
【0056】
管理装置200による優先順位情報とその有効期限の配布の理想のタイミングは、全ての処理装置100の有効期限が切れ、共通のアクセス処理禁止期間が発生した時点である。しかし、各処理装置100で、時刻のずれが発生するので(各処理装置におけるタイマのずれ)、管理装置200は、時刻のずれを考慮し、確実に全処理装置100で有効期限が切れている時点まで、待機してから、配布処理を行う。
【0057】
管理装置200における待機時間の決め方の一例としては、予め各処理装置100の単位時間あたりの最大の時刻のずれ(遅くなるずれ)を把握しておき、その情報を基に、最も遅く有効期限切れを起こす処理装置100の時刻を推測して決定するようにしてもよい。この待機時間中は、各処理装置100でアクセス処理が制限されるので、待機時間は短いほうが望ましい。
【0058】
なお、待機時間は、処理装置100の時刻のずれを小さくすれば短くすることができる。各処理装置100の時刻のずれは、定期的な時刻同期や、相対時間での有効期限の指定などにより小さくすることができる。
【0059】
各処理装置100は、管理装置200から新しい優先順位情報とその有効期限を受け取ると、古い優先順位情報と新しい優先順位情報を入れ換え、有効期限を更新することで、アクセス処理禁止が解除される(ステップS302)。
【0060】
<処理装置動作>
次に処理装置100の動作について説明する。図1の処理装置100でのアクセス処理受け取り時の動作を、図3の流れ図を用いて説明する。
【0061】
まず、アプリケーション101から制御部102がアクセス処理を受け取る(ステップS100)。
【0062】
制御部102は、有効期限確認部104を通して、優先順位情報が有効期限内であるか否かを確認する(ステップS101)。
【0063】
優先順位情報が有効期限内である場合(ステップS101のYES)、制御部102は、優先順位情報記憶部105の優先順位情報を参照し、適切な記憶装置に対して、アクセス処理を実行する(ステップS104)。
【0064】
優先順位情報の有効期限が切れている場合(ステップS101のNO)、アクセス処理確認部103で受け取ったアクセス処理が禁止すべき処理、すなわち、優先順位情報参照系アクセス処理であるか否かを確認する(ステップS102)。
【0065】
禁止すべきアクセス処理である場合(ステップS102のYES)、その処理は実行せず、エラーを返答する(ステップS103)。
【0066】
禁止すべきアクセス処理でない場合(ステップS102のNO)、制御部102は、優先順位情報記憶部105の優先順位情報を参照し、適切な記憶装置に対してアクセス処理を実行する(ステップS104)。
【0067】
<障害発生>
次に障害発生時について説明する。処理装置100が管理装置200からの有効期限延長通知受信に失敗した場合、失敗した処理装置100は、有効期限切れ後に、アクセス処理禁止になる。よって、この失敗により記憶装置共用システム400のデータの一貫性を崩すことはない。
【0068】
また、処理装置100が管理装置200からの優先順位情報の配布に失敗した場合、失敗した処理装置100はそのまま優先順位情報の参照を伴うアクセス処理が禁止されたままなので、記憶装置共用システム400のデータの一貫性を崩すことはない。
【0069】
<本実施形態1の作用効果>
次に、第1の実施形態の作用効果について説明する。本実施形態では、優先順位情報を参照するアクセス処理が実行可能な有効期限を設定し、各処理装置100の優先順位情報の更新を、全処理装置100の有効期限が切れた後に実行することにより、各処理装置100の優先順位情報が不整合のまま優先順位情報を参照してアクセス処理されることを回避している。このため、各処理装置100の優先順位情報の更新時に不整合状態になっても記憶装置共用システム400のデータの一貫性が維持される。
【0070】
以下で用いられる用語を説明する。優先順位情報参照系アクセス処理の中で記憶装置に新規のデータ作成を伴うアクセス処理を以下では「新規作成系アクセス処理」という。
【0071】
例えば、POSIX(Portable Operating System Interface for UNIX)準拠のアクセス関数では、mknod(ファイルを新規に作成する)やmkdir(ディレクトリを新規に作成する)等である。
【0072】
<実施形態2>
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施形態では、追加される記憶装置にデータが無いことを前提とする。また禁止するアクセス処理は新規作成系アクセス処理である。本実施形態の構成は、図1の第1の発明の実施の形態と同じである。本実施形態の全体の動作について詳細に説明する。
【0073】
<管理装置の動作>
管理装置200の動作について図4のシーケンス図を参照して説明する。図4において、ハッチング(斜線)で示す期間は古い優先順位情報期間、ドットの期間はアクセス処理禁止期間及び新しい優先順位情報期間、格子の期間は新しい優先順位情報期間である。
【0074】
管理装置200は、優先順位情報の有効期限に近づいてきたら、優先順位情報が前回の有効期限から更新されているか否かを確認する。優先順位情報が更新されている場合は、処理装置100へ新しい優先順位情報を配布する(図4のステップS400)。
【0075】
優先順位情報が更新されていない場合、管理装置200の有効期限を延長してから、各処理装置100へ有効期限延長を通知する。
【0076】
<優先順位情報更新時の動作>
優先順位情報更新時の動作について図4を用いて説明する。優先順位情報が更新されている場合は、管理装置200から処理装置100へ新しい優先順位情報を配布する(ステップS400)。この時、新しい優先順位情報を受け取った処理装置100では、現在の優先順位情報との入れ換えを行わず、一時的に保持しておく。現在の優先順位情報は、新しい優先順位情報に対して「古い優先順位情報」ともいう。
【0077】
その後、各処理装置で有効期限が切れる。この時点からは、新規作成系アクセス処理が禁止される。
【0078】
また、現在の優先順位情報から新しい優先順位情報に入れ換えられる(ステップS401と処理装置の動作、図5のステップS205)。よって、有効期限が切れたあとは、新しい優先順位情報で新規作成系アクセス処理が禁止される期間となる。
【0079】
この期間中は、既存データへのアクセス処理は可能であるが、追加された記憶装置にデータは存在せず、また新しくデータが新規作成されることは禁止されているため、処理装置の優先順位情報の不整合により記憶装置共有システムのデータの一貫性は崩れることはない。
【0080】
その後、全処理装置の有効期限が切れた後に、管理装置の有効期限を更新し(図4のステップS402)、新たな有効期限を処理装置に通知する(図4のステップS403)。
【0081】
そして処理装置が有効期限を更新することで新規作成系アクセス処理禁止が解除される(図4のステップS404)。また、その際に、図5のステップS202に関連する有効期限切れフラグを無効にする。
【0082】
<処理装置の動作>
次に処理装置100の動作について説明する。図5の流れ図を用いて処理装置100でのアクセス処理受け取り時の動作について説明する。
【0083】
まず、アプリケーション101から制御部102がアクセス処理を受け取る(ステップS200)。
【0084】
制御部102は、有効期限確認部104を通して優先順位情報が有効期限内であるか否かを確認する(ステップS201)。
【0085】
優先順位情報が有効期限内である場合(ステップS201のYES)、制御部102は、優先順位情報記憶部105の優先順位情報を参照し、適切な記憶装置に対してアクセス処理を実行する(ステップS209)。
【0086】
優先順位情報が有効期限が切れている場合(ステップS201のNO)、制御部102は有効期限切れフラグが有効であるか否かを確認する(ステップS202)。
【0087】
有効期限切れフラグが有効である場合(ステップS202のYES)、制御部102は受け取ったアクセス処理が禁止すべきかの判断処理(ステップS207)に移る。
【0088】
有効期限切れフラグが有効でない場合(ステップS202のNO)、有効期限フラグを有効にする(ステップS203)。
【0089】
そして事前に新しい優先順位情報を取得しているかを判断する(ステップS204)。
【0090】
事前に新しい優先順位情報を取得している場合(ステップS204のYES)、現在の優先順位情報を新しい優先順位情報に入れ換える(ステップS205)。
【0091】
事前に新しい優先順位情報を取得していない場合(ステップS204のNO)、禁止するアクセス処理対象を、優先順位情報参照系アクセス処理に変更する(ステップS206)。この処理を行わないと、新しい記憶装置にファイルが作成された後で、参照系アクセス処理で不整合が発生する。
【0092】
その後、受け取ったアクセス処理が禁止すべきかの判断処理(ステップS207)に移る。
【0093】
受け取ったアクセス処理が禁止すべきかの判断の結果、禁止すべきアクセス処理である場合(ステップS207のYES)、その処理は、実行せずにエラーを返答する(ステップS208)。
【0094】
禁止すべきアクセス処理でない場合(ステップS207のNO)、制御部102は優先順位情報記憶部105の優先順位情報を参照し、適切な記憶装置に対してアクセス処理を実行する(ステップS209)。
【0095】
<障害発生時>
次に障害発生時について説明する。有効期限前の優先順位情報配布および有効期限延長通知に失敗した場合、失敗した処理装置100は、一貫性を崩すアクセス処理を禁止対象に変更する(ステップS204)ので、記憶装置共用システム400のデータの一貫性を崩さない。
【0096】
また、有効期限切れ後の有効期限配布に失敗した場合、新規作成系アクセス処理は禁止されたままになるが、優先順位情報は更新され、処理装置間の優先順位情報の不整合状態にはなっていないため、記憶装置共用システム400のデータの一貫性を崩さない。
【0097】
<実施形態2の作用効果>
次に、第2の実施形態の作用効果について説明する。本実施形態では、記憶装置共用システムのデータの一貫性を維持するために禁止するアクセス処理数を少なくできる。その理由は、追加される記憶装置が空であることを前提にした場合、新規作成系アクセス処理を禁止することで、既存データアクセス処理では記憶装置共用システムのデータの一貫性が崩れないため、禁止するアクセス処理を新規作成系に限定することができるからである。
【0098】
<実施例>
次に、図6、図7を参照して具体的な実施例を説明する。図7に示すように、2台の処理装置A、Bを備え、2台の記憶装置P、Qに新たに記憶装置Rが追加され、管理装置の優先順位情報に、記憶装置Rを最も高い優先度(ただし、数値が低いほど優先度が高いものとする)で追加する。そして各処理装置の優先順位情報を更新しようとしたとき、処理装置Aは更新に成功し、処理装置Bは失敗する。
【0099】
処理装置AとBの優先順位情報が不整合の状況でも一貫性が維持されていることを説明する。なお、以下の説明では、各処理装置A、BはPOSIXに準拠する方法で各処理装置にアクセスするとするが、アクセス方法としてPOSIXに限定するわけではない。
【0100】
まず、記憶装置Rが追加され、管理装置200の優先順位情報が更新される。この段階では、各処理装置100の優先順位情報の更新は行わず、有効期限が切れるまで待つ。有効期限内ではどのアクセス処理も制限されることはない。
【0101】
ここでは、処理装置Aが記憶装置Qのfile2に対してopenを行い、readでfile2を読み込むものとする。
【0102】
openは、対象ファイルを識別するためのファイルディスクリプタを得るための関数である。open時には、優先順位情報を参照し、各記憶装置を探索してfile2が存在するかを確認する。
【0103】
そして、処理装置Aは、file2のopen成功時に返すファイルディスクリプタを得る。
【0104】
処理装置Aは、openで得たファイルディスクリプタをreadで指定してfile2を読み込む。
【0105】
そして、各処理装置A、Bの有効期限が切れ、アクセス処理が禁止される期間に入る。この期間では、優先順位参照系アクセス処理が禁止される。
【0106】
ここで、処理装置Bが記憶装置Pのfile1に対してopenを行った場合、openは、優先順位情報の参照を伴うアクセス処理であるため、禁止され、エラーとなる。
【0107】
その他、優先順位参照系アクセス処理としては、getattr(get attribute)やunlinkなど、ファイル名を検索しなければならない処理が相当する。
【0108】
一方、処理装置Aでは、先ほどのfile2に対するreadを継続していたとする。read処理は、ファイルディスクリプタを基に、記憶装置のファイルにアクセスし、優先順位情報の参照を伴わないので禁止されずに、アクセス処理が可能となる。その他、優先順位情報の参照を伴わないアクセスとして、closeやwrite等が相当する。
【0109】
その後、処理装置A、Bの全ての有効期限が切れてから有効期限を更新し、管理装置200が各処理装置A、Bへ新しい優先順位情報と有効期限の配布を行う。
【0110】
ここで、処理装置Bの配布に失敗する。処理装置Aは配布に成功するので、優先順位情報参照系アクセス処理の禁止が解除され、追加された記憶装置Rを含め全ての記憶装置にアクセスできる状態になる。
【0111】
一方、処理装置Bの有効期限は切れたままであり、優先順位情報参照系アクセスは禁止されたままである。すなわち、古い優先順位情報で不整合のまま参照して記憶装置にアクセスしないため、アクセス記憶装置共有システムのデータの一貫性は維持される。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明によれば、複数の記憶装置を共有するシステムや分散システムの共通設定ファイル更新の用途に適用できる。
【0113】
なお、上記の特許文献、先行出願の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【0114】
上記した実施形態によれば、特に制限されないが、以下が付記される。
【0115】
(付記1)
複数の記憶装置と、
複数の記憶装置の各々を共用する複数の処理装置と、
前記処理装置による前記記憶装置へのアクセスの優先順位情報を管理する管理装置と、
を備えた記憶装置共用システムであって、
前記管理装置は、
前記優先順位情報と前記優先順位情報の有効期限とをそれぞれ記憶保持する記憶部と、
前記優先順位情報が有効期限内であるか否かを確認する有効期限確認部と、
を備え、
前記処理装置は、
前記優先順位情報と前記優先順位情報の有効期限とをそれぞれ記憶保持する記憶部と、
前記優先順位情報が有効期限内であるか否かを確認する有効期限確認部と、
前記処理装置による前記記憶装置へのアクセス処理が禁止すべきものであるか否かを判断するアクセス処理確認部と、
を備え、
前記処理装置において、前記有効期限確認手段による有効期限の確認の結果、前記優先順位情報の有効期限が切れた場合、前記アクセス処理確認部による判断にしたがって、前記優先順位情報の参照を伴う前記記憶装置へのアクセスを禁止し、
前記処理装置は、前記優先順位情報を更新する場合、前記複数の処理装置の全てにおいて前記優先順位情報の有効期限が切れた後に、前記優先順位情報の更新を行う、記憶装置共用システム。
(付記2)
複数の記憶装置と、
複数の記憶装置の各々を共用する複数の処理装置と、
前記処理装置による前記記憶装置へのアクセスの優先順位情報を管理する管理装置と、
を備えた記憶装置共用システムであって、
前記管理装置が、
前記優先順位情報を記憶保持する優先順位情報記憶部と、
前記優先順位情報の有効期限を記憶保持する有効期限記憶部と、
前記優先順位情報記憶部と前記有効期限記憶部を参照して前記優先順位情報が有効期限内であるか否かを確認する有効期限確認部と、
を備え、
前記処理装置が、
前記記憶装置へのアクセスを制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記優先順位情報を記憶保持する優先順位情報記憶部と、
前記優先順位情報の有効期限を記憶保持する有効期限記憶部と、
前記優先順位情報記憶部と前記有効期限記憶部とを参照して前記優先順位情報が有効期限内であるか否かを確認する有効期限確認部と、
前記有効期限確認部での確認の結果、有効期限内でない場合、前記記憶装置へのアクセス処理を禁止すべきか否かを判断するアクセス処理確認部と、
を備えている記憶装置共用システム。
(付記3)
前記処理装置は、前記処理装置内で保持する前記優先順位情報の有効期限が切れた場合、前記処理装置による前記記憶装置に対する予め定められた特定のアクセスを禁止する、付記1又は2記載の記憶装置共用システム。
(付記4)
前記管理装置の前記有効期限確認部は、有効期限前に優先順位情報が更新されているか否かを確認し、
有効期限前に優先順位情報が更新されている場合、前記複数の処理装置が全て有効期限切れになった後に、更新後の新たな優先順位情報と、前記新たな優先順位情報に対応した新たな有効期限とを、前記複数の処理装置に配布し、
有効期限前に優先順位情報が更新されていない場合、前記管理装置で前記優先順位情報の有効期限を更新してから、更新後の新たな有効期限を、前記複数の処理装置に配布する、付記1、2、3のいずれか一に記載の記憶装置共用システム。
(付記5)
前記管理装置は、有効期限前に優先順位情報が更新されているか否かを確認し、
有効期限前に優先順位情報が更新されている場合、更新後の新たな優先順位情報を、前記複数の処理装置に配布し、
有効期限前に優先順位情報が更新されていない場合、有効期限を更新してから、更新後の新たな有効期限を、前記複数の処理装置に配布する、付記1、2、3のいずれか一に記載の記憶装置共用システム。
(付記6)
前記管理装置は、前記優先順位情報が更新されている場合、前記複数の処理装置が全てで有効期限切れとなった後に、前記管理装置で保持する有効期限を更新し、
更新後の新たな有効期限を、前記複数の処理装置に配布する、付記1、2、3、5のいずれか一に記載の記憶装置共用システム。
(付記7)
前記処理装置の前記制御部は、前記処理装置内の現在の優先順位情報の有効期限前に、前記管理装置から新たな優先順位情報を受け取った場合、前記新たな優先順位情報を前記処理装置内に一時的に保持しておき、
前記現在の優先順位情報の有効期限が切れたときに、前記現在の優先順位情報を、前記一時的に保持しておいた新たな優先順位情報に入れ換える、付記1、2、3、5、6のいずれか一に記載の記憶装置共用システム。
(付記8)
前記処理装置の前記制御部は、前記処理装置内の現在の前記優先順位情報の有効期限が切れたときに、前記管理装置から、新たな優先順位情報、又は、新たな有効期限を受け取っていない場合、前記処理装置による前記記憶装置へのアクセスのうち、禁止するアクセスの種別を変更する、付記1、2、3、5、6、7のいずれか一に記載の記憶装置共用システム。
(付記9)
前記管理装置において、
前記優先順位情報の有効期限前に前記優先順位情報が更新されているか否かを確認し、
前記優先順位情報の有効期限が切れる前に前記優先順位情報が更新されている場合、
前記優先順位情報の有効期限が切れた後に、前記更新後の優先順位情報の有効期限を更新し、
前記複数の処理装置の全てで現在の優先順位情報の有効期限が切れた後に、前記複数の処理装置に対して前記更新後の優先順位情報とその有効期限を配布し、
前記処理装置は、
前記管理装置から前記更新後の優先順位情報とその有効期間を受け取ると、現在の優先順位情報と、前記更新後の優先順位情報を入れ換え、有効期限を、前記管理装置から前記受信した前記有効期限に更新する、付記1又は2記載の記憶装置共用システム。
(付記10)
前記処理装置の前記制御部は、
前記処理装置で稼動するアプリケーションからアクセス処理を受け取り、
前記有効期限確認部を通して、優先順位情報が有効期限内であるか否かを確認し、
優先順位情報が有効期限内である場合、
前記制御部は、前記優先順位情報記憶部の優先順位情報を参照して前記記憶装置に対してアクセス処理を実行し、
前記優先順位情報の有効期限が切れている場合、
前記アクセス処理確認部は、前記アプリケーションから受け取ったアクセス処理が禁止すべき処理であるか否かを確認し、
禁止すべきアクセス処理である場合、
前記制御部は、前記アクセス処理を実行せず、前記アプリケーションにエラーを返答し、
禁止すべきアクセス処理でない場合、
前記制御部は、前記優先順位情報記憶部の優先順位情報を参照して、前記記憶装置に対してアクセス処理を実行する、付記2記載の記憶装置共用システム。
(付記11)
前記管理装置において、
前記優先順位情報が更新された場合、前記優先順位情報を前記処理装置に配布し、
前記管理装置から前記更新後の優先順位情報とその有効期間を受け取った前記処理装置では、現在の優先順位情報と前記更新後の優先順位情報の入れ換えは行わず、前記更新後の優先順位情報を一時的に保持し、
前記処理装置は、前記現在の優先順位情報の有効期限が切れたあと、現在の優先順位情報と前記更新後の優先順位情報の入れ換えを行い、
前記複数の処理装置の全てで現在の優先順位情報の有効期間が切れた場合、前記管理装置は、前記管理装置で管理する有効期限を更新し、更新した有効期限を、前記複数の処理装置に配布する、付記1又は2記載の記憶装置共用システム。
(付記12)
前記管理装置において、
前記優先順位情報の有効期限が切れる前に前記優先順位情報が更新されていない場合、有効期限を更新し、新たな有効期限を、前記複数の処理装置に配布する、付記8又は10記載の記憶装置共用システム。
(付記13)
前記処理装置において、アプリケーションから制御部がアクセス処理を受け取り、
前記制御部は、前記有効期限確認部を通して優先順位情報が有効期限内であるか否かを確認し、
前記優先順位情報が有効期限内である場合、
前記制御部は、前記優先順位情報記憶部の優先順位情報を参照し前記記憶装置に対してアクセス処理を実行し、
前記優先順位情報の有効期限が切れている場合、
前記制御部は、有効期限切れフラグが有効であるか否かを確認し、
前記有効期限切れフラグが有効である場合、
前記制御部は、受け取ったアクセス処理が禁止すべきかの判断処理に移り、
前記有効期限切れフラグが有効でない場合、
前記制御部は、有効期限フラグを有効にし、新しい優先順位情報を既に取得しているかを判断し、
既に新しい優先順位情報を取得している場合、
前記制御部は、現在の優先順位情報を新しい優先順位情報に入れ換え、
未だ新しい優先順位情報を取得していない場合、
前記制御部は、禁止するアクセス処理対象を、前記処理装置で優先順位情報の参照を伴うアクセス処理に変更し、
前記制御部は、その後に受け取ったアクセス処理が、前記記憶装置に新規データの作成を伴うアクセス処理である場合、
前記処理は実行せずに、アプリケーションにエラーを返答し、
禁止すべきアクセス処理でない場合、
前記制御部は、優先順位情報記憶部の優先順位情報を参照し前記記憶装置に対してアクセス処理を実行する、付記8又は10記載の記憶装置共用システム。
(付記14)
複数の記憶装置の各々を複数の処理装置で共用し、管理装置が前記処理装置による前記記憶装置へのアクセスの優先順位情報を管理する記憶装置共用方法であって、
前記処理装置で前記優先順位情報の有効期限が切れた場合、前記処理装置による前記優先順位情報の参照を伴う前記記憶装置へのアクセスを禁止し、
前記処理装置において、前記優先順位情報を更新する場合、前記複数の処理装置の全てにおいて前記優先順位情報の有効期限が切れた後に、前記優先順位情報の更新を行う、記憶装置共用方法。
(付記15)
前記処理装置は、前記処理装置内で保持する前記優先順位情報の有効期限が切れた場合、前記処理装置による前記記憶装置に対する予め定められた特定のアクセスを禁止する、付記14記載の記憶装置共用方法。
(付記16)
前記管理装置は、有効期限前に優先順位情報が更新されているか否かを確認し、
有効期限前に優先順位情報が更新されている場合、前記複数の処理装置が全て有効期限切れになった後に、更新後の新たな優先順位情報と、前記新たな優先順位情報に対応した新たな有効期限とを、前記複数の処理装置に配布し、
有効期限前に優先順位情報が更新されていない場合、前記管理装置で前記優先順位情報の有効期限を更新してから、更新後の新たな有効期限を、前記複数の処理装置に配布する、付記14又は15記載の記憶装置共用方法。
(付記17)
前記管理装置は、有効期限前に優先順位情報が更新されているか否かを確認し、
有効期限前に優先順位情報が更新されている場合、更新後の新たな優先順位情報を、前記複数の処理装置に配布し、
有効期限前に優先順位情報が更新されていない場合、有効期限を更新してから、更新後の新たな有効期限を、前記複数の処理装置に配布する、付記14又は15記載の記憶装置共用方法。
(付記18)
前記管理装置は、前記優先順位情報が更新されている場合、前記複数の処理装置が全てで有効期限切れとなった後に、前記管理装置で保持する有効期限を更新し、
更新後の新たな有効期限を、前記複数の処理装置に配布する、付記14、15、17のいずれか一に記載の記憶装置共用方法。
(付記19)
前記処理装置は、前記処理装置内の現在の優先順位情報の有効期限前に、前記管理装置から新たな優先順位情報を受け取った場合、前記新たな優先順位情報を前記処理装置内に一時的に保持しておき、
前記現在の優先順位情報の有効期限が切れたときに、前記現在の優先順位情報を、前記一時的に保持しておいた新たな優先順位情報に入れ換える、付記14、15、17、18のいずれか一に記載の記憶装置共用方法。
(付記20)
前記処理装置は、前記処理装置内の現在の前記優先順位情報の有効期限が切れたときに、前記管理装置から、新たな優先順位情報、又は、新たな有効期限を受け取っていない場合、前記処理装置による前記記憶装置へのアクセスのうち、禁止するアクセスの種別を変更する、付記14、15、17、18、19のいずれか一に記載の記憶装置共用方法。
(付記21)
複数の記憶装置の各々を複数の処理装置で共用し、管理装置が前記処理装置による前記記憶装置へのアクセスの優先順位情報を管理する記憶装置共用システムを構成する前記処理装置に、
前記優先順位情報と、前記優先順位情報の有効期限と記憶部にそれぞれ記憶する処理と、
前記優先順位情報が有効期限内であるか否かを確認する処理と、
前記優先順位情報の有効期限が切れた場合、前前記優先順位情報の参照を伴う前記記憶装置へのアクセスを禁止する処理と、
前記優先順位情報を更新する場合、前記複数の処理装置の全てにおいて前記優先順位情報の有効期限が切れた後に、前記優先順位情報の更新を行う処理と、
を実行させるプログラム。
(付記22)
前記処理装置内で保持する前記優先順位情報の有効期限が切れた場合、前記処理装置による前記記憶装置に対する予め定められた特定のアクセスを禁止する処理を前記処理装置に実行させる、付記21記載のプログラム。
(付記23)
前記処理装置内の現在の優先順位情報の有効期限前に、前記管理装置から新たな優先順位情報を受け取った場合、前記新たな優先順位情報を前記処理装置内に一時的に保持しておき、
前記現在の優先順位情報の有効期限が切れたときに、前記現在の優先順位情報を、前記一時的に保持しておいた新たな優先順位情報に入れ換える処理を前記処理装置に実行させる、付記21記載のプログラム。
(付記24)
前記処理装置内の現在の前記優先順位情報の有効期限が切れたときに、前記管理装置から、新たな優先順位情報、又は、新たな有効期限を受け取っていない場合、前記処理装置による前記記憶装置へのアクセスのうち、禁止するアクセスの種別を変更する前記処理装置に実行させる、付記21記載のプログラム。
(付記25)
複数の記憶装置の各々を複数の処理装置で共用し、管理装置が前記処理装置による前記記憶装置へのアクセスの優先順位情報を管理する記憶装置共用システムを構成する前記処理装置が、
前記優先順位情報と前記優先順位情報の有効期限とをそれぞれ記憶保持する記憶部と、
前記優先順位情報が有効期限内であるか否かを確認する有効期限確認部と、
前記記憶装置へのアクセス処理を禁止すべきか否かを判断するアクセス処理確認部と、
を備え、
前記有効期限確認部による有効期限の確認の結果、前記優先順位情報の有効期限が切れた場合、前記アクセス処理確認部による判断にしたがって、前記優先順位情報の参照を伴う前記記憶装置へのアクセスを禁止し、
前記優先順位情報を更新する場合、前記複数の処理装置の全てにおいて前記優先順位情報の有効期限が切れた後に、前記優先順位情報の更新を行う、処理装置。
(付記26)
前記優先順位情報の有効期限が切れた場合、前記記憶装置に対する予め定められた特定のアクセスを禁止する、付記25記載の処理装置。
(付記27)
現在の優先順位情報の有効期限前に、前記管理装置から新たな優先順位情報を受け取った場合、前記新たな優先順位情報を前記処理装置内に一時的に保持しておき、
前記現在の優先順位情報の有効期限が切れたときに、前記現在の優先順位情報を、前記一時的に保持しておいた新たな優先順位情報に入れ換える、付記25記載の処理装置。
(付記28)
現在の前記優先順位情報の有効期限が切れたときに、前記管理装置から、新たな優先順位情報、又は、新たな有効期限を受け取っていない場合、前記処理装置による前記記憶装置へのアクセスのうち、禁止するアクセスの種別を変更する、付記25記載の処理装置。
【符号の説明】
【0116】
1、400 記憶装置共有システム
2、200 管理装置
3、100 処理装置
4 記憶装置
21 格納部
22、201 管理部
31 サーバ
32a 通信部
32b 記憶部
32c 制御部
101 アプリケーション
102 制御部
103 アクセス処理確認部
104 有効期限確認部
105 優先順位情報記憶部
106 有効期限記憶部
202 有効期限確認部
203 優先順位情報記憶部
204 有効期限記憶部
300、301 記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記憶装置と、
複数の記憶装置の各々を共用する複数の処理装置と、
前記処理装置による前記記憶装置へのアクセスの優先順位情報を管理する管理装置と、
を備えた記憶装置共用システムであって、
前記管理装置は、
前記優先順位情報と前記優先順位情報の有効期限とをそれぞれ記憶保持する記憶部と、
前記優先順位情報が有効期限内であるか否かを確認する有効期限確認部と、
を備え、
前記処理装置は、
前記優先順位情報と前記優先順位情報の有効期限とをそれぞれ記憶保持する記憶部と、
前記優先順位情報が有効期限内であるか否かを確認する有効期限確認部と、
前記処理装置による前記記憶装置へのアクセス処理が禁止すべきものである否かを判断するアクセス処理確認部と、
を備え、
前記処理装置において、前記有効期限確認部による有効期限の確認の結果、前記優先順位情報の有効期限が切れた場合、前記アクセス処理確認部による判断にしたがって、前記優先順位情報の参照を伴う前記記憶装置へのアクセスを禁止し、
前記処理装置は、前記優先順位情報を更新する場合、前記複数の処理装置の全てにおいて前記優先順位情報の有効期限が切れた後に、前記優先順位情報の更新を行う、記憶装置共用システム。
【請求項2】
前記管理装置が、
前記優先順位情報を記憶保持する優先順位情報記憶部と、
前記優先順位情報の有効期限を記憶保持する有効期限記憶部と、
前記優先順位情報記憶部と前記有効期限記憶部とを参照して前記優先順位情報が有効期限内であるか否かを確認する前記有効期限確認部と、
を備え、
前記処理装置が、
前記記憶装置へのアクセスを制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記優先順位情報を記憶保持する優先順位情報記憶部と、
前記優先順位情報の有効期限を記憶保持する有効期限記憶部と、
前記優先順位情報記憶部と前記有効期限記憶部とを参照して前記優先順位情報が有効期限内であるか否かを確認する前記有効期限確認部と、
前記有効期限確認部での確認の結果、有効期限内でない場合、前記記憶装置へのアクセス処理を禁止すべきか否かを判断する前記アクセス処理確認部と、
を備えている、請求項1記載の記憶装置共用システム。
【請求項3】
前記処理装置は、前記処理装置内で保持する前記優先順位情報の有効期限が切れた場合、前記処理装置による前記記憶装置に対する予め定められた特定のアクセスを禁止する、請求項1又は2記載の記憶装置共用システム。
【請求項4】
前記管理装置は、有効期限前に優先順位情報が更新されているか否かを確認し、
有効期限前に優先順位情報が更新されている場合、前記複数の処理装置が全て有効期限切れになった後に、更新後の新たな優先順位情報と、前記新たな優先順位情報に対応した新たな有効期限とを、前記複数の処理装置に配布し、
有効期限前に優先順位情報が更新されていない場合、前記管理装置で前記優先順位情報の有効期限を更新してから、更新後の新たな有効期限を、前記複数の処理装置に配布する、請求項1、2、3のいずれか1項に記載の記憶装置共用システム。
【請求項5】
前記管理装置は、有効期限前に優先順位情報が更新されているか否かを確認し、
有効期限前に優先順位情報が更新されている場合、更新後の新たな優先順位情報を、前記複数の処理装置に配布し、
有効期限前に優先順位情報が更新されていない場合、有効期限を更新してから、更新後の新たな有効期限を、前記複数の処理装置に配布する、請求項1、2、3のいずれか1項に記載の記憶装置共用システム。
【請求項6】
前記管理装置は、前記優先順位情報が更新されている場合、前記複数の処理装置が全てで有効期限切れとなった後に、前記管理装置で保持する有効期限を更新し、
更新後の新たな有効期限を、前記複数の処理装置に配布する、請求項1、2、3、5のいずれか1項に記載の記憶装置共用システム。
【請求項7】
前記処理装置は、前記処理装置内の現在の優先順位情報の有効期限前に、前記管理装置から新たな優先順位情報を受け取った場合、前記新たな優先順位情報を前記処理装置内に一時的に保持しておき、
前記現在の優先順位情報の有効期限が切れたときに、前記現在の優先順位情報を、前記一時的に保持しておいた新たな優先順位情報に入れ換える、請求項1、2、3、5、6のいずれか1項に記載の記憶装置共用システム。
【請求項8】
前記処理装置は、前記処理装置内の現在の前記優先順位情報の有効期限が切れたときに、前記管理装置から、新たな優先順位情報、又は、新たな有効期限を受け取っていない場合、前記記憶装置へのアクセスのうち、禁止するアクセスの種別を変更する、請求項1、2、3、5、6、7のいずれか1項に記載の記憶装置共用システム。
【請求項9】
複数の記憶装置の各々を複数の処理装置で共用し、管理装置が前記処理装置による前記記憶装置へのアクセスの優先順位情報を管理する記憶装置共用方法であって、
前記処理装置で前記優先順位情報の有効期限が切れた場合、前記処理装置による前記優先順位情報の参照を伴う前記記憶装置へのアクセスを禁止し、
前記処理装置において、前記優先順位情報を更新する場合、前記複数の処理装置の全てにおいて前記優先順位情報の有効期限が切れた後に、前記優先順位情報の更新を行う、記憶装置共用方法。
【請求項10】
複数の記憶装置の各々を複数の処理装置で共用し、管理装置が前記処理装置による前記記憶装置へのアクセスの優先順位情報を管理する記憶装置共用システムを構成する前記処理装置に、
前記優先順位情報と、前記優先順位情報の有効期限と記憶部にそれぞれ記憶する処理と、
前記優先順位情報が有効期限内であるか否かを確認する処理と、
前記優先順位情報の有効期限が切れた場合、前前記優先順位情報の参照を伴う前記記憶装置へのアクセスを禁止する処理と、
前記優先順位情報を更新する場合、前記複数の処理装置の全てにおいて前記優先順位情報の有効期限が切れた後に、前記優先順位情報の更新を行う処理と、
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−38205(P2012−38205A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179627(P2010−179627)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.UNIX
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】