説明

記録システムおよび記録方法

【課題】 バリアブル印刷に音声ペーパを利用して個々のユーザに対してより効果的にアピールすることができる記録システムおよび記録方法を提供する。
【解決手段】 記録システム1は、画像データに基づいて音声ペーパに画像を記録する画像記録部である前処理装置10と、当該音声ペーパに、当該画像データに対応付けられた音声データを記録する音声データ記録部である後処理部20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録システムおよび記録方法に関する。本発明は、特に、音声ペーパを利用した記録システムおよび記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商品やサービスの拡販のため、これらに関する情報が印刷されたダイレクトメールが多用されている。かかるダイレクトメールの利用分野においては、リプライ率および拡販効率の向上のため、ユーザに対する効果的なアピールが求められている。
【0003】
ダイレクトメールやメッセージカードを利用する場合にユーザにアピールする1つの有効な手段として、音声データの記録および音声の再生が可能な音声ペーパが提案されている(特許文献1〜4参照)。
【0004】
一方、CRM(Customer Relationship Management)などの観点から、ダイレクトメールに代表される大量印刷を目的としたバリアブル印刷の需要が高まりつつある。ここで、バリアブル印刷とは、1枚1枚の印刷内容を必要に応じて部分的に差し替えることが可能な印刷をいう。
【0005】
しかしながら、前述した音声ペーパの利用形態は、お祝いはがき等の個人的用途、あるいは特定の商品やサービスの紹介等のために同じ音声データが一律に記録されたダイレクトメール等の特定用途に限定されたものであった。
【0006】
すなわち、上記特許文献1〜4に記載の技術は、例えばユーザごとに印刷内容を変化させ得るバリアブル印刷において、音声ペーパを利用して個々のユーザに適した音声の再生を実現するための具体的な方法を提供するものではない。したがって、バリアブル印刷に音声ペーパを利用したとしても、個々のユーザに対してより効果的にアピールすることができないという問題があった。
【特許文献1】特開2003−103969号公報
【特許文献2】特開2003−109617号公報
【特許文献3】特開2005−099704号公報
【特許文献4】特開2005−165156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、バリアブル印刷に音声ペーパを利用して個々のユーザに対して音声によるより効果的なアピールを行うことができる記録システムおよび記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0009】
(1)画像データに基づいて音声ペーパに画像を記録する画像記録部と、前記音声ペーパに、前記画像データに対応付けられた音声データを記録する音声データ記録部と、を備えたことを特徴とする記録システム
(2)前記音声データ記録部は、前記画像記録部によって前記画像が記録された音声ペーパに対して、前記音声データを記録することを特徴とする上記(1)に記載の記録システム。
【0010】
(3)前記画像記録部によって前記音声ペーパに記録された前記画像は、前記画像データと前記音声データとを対応付ける識別画像を含むことを特徴とする上記(2)に記載の記録システム。
【0011】
(4)前記識別画像はバーコード画像を含むことを特徴とする上記(3)に記載の記録システム。
【0012】
(5)前記音声ペーパは、外部との無線通信により情報を記憶可能な記憶部を有し、前記画像記録部と前記音声データ記録部のうち一方は、前記記憶部に前記画像データと前記音声データとを対応付ける識別情報を記録する情報記録部を備え、前記画像記録部と前記音声データ記録部のうち他方は、前記記憶部から前記識別情報を読み出す情報読出し部を備えたことを特徴とする上記(1)に記載の記録システム。
【0013】
(6)前記画像記録部は、外部から印刷指令を受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記印刷指令に基づいて、所望の種類の音声ペーパを選択する選択部と、前記選択部によって選択された前記音声ペーパに、前記印刷指令に従って生成された画像データに基づいた画像を形成する画像形成部と、を備えたことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の記録システム。
【0014】
(7)画像データに基づいて音声ペーパに画像を記録する画像記録装置と前記画像データに対応付けられた音声データを前記音声ペーパに記録する音声データ記録装置のうち一方を前処理装置とし、前記画像記録装置と前記音声データ記録装置のうち他方を後処理装置として含む記録システムに適用される前記前処理装置であって、前記画像データと前記音声データとを対応付ける識別情報を前記音声ペーパに記録する記録部を備えたことを特徴とする前処理装置。
【0015】
(8)前記識別情報は識別画像を含み、前記記録部は、前記識別画像を前記音声ペーパに形成する画像形成部を含む、ことを特徴とする上記(7)に記載の前処理装置。
【0016】
(9)前記識別画像はバーコード画像を含むことを特徴とする上記(8)に記載の前処理装置。
【0017】
(10)前記音声ペーパは、外部との無線通信により情報を記憶可能な記憶部を有し、前記記録部は、前記記憶部に前記画像データと前記音声データとを対応付ける識別情報を記録する情報記録部を含む、ことを特徴とする上記(7)に記載の前処理装置。
【0018】
(11)画像データに基づいて音声ペーパに画像を記録する画像記録装置と前記画像データに対応付けられた音声データを前記音声ペーパに記録する音声データ記録装置のうち一方を前処理装置とし、前記画像記録装置と前記音声データ記録装置のうち他方を後処理装置として含む記録システムに適用される前記後処理装置であって、前記音声ペーパに記録された、前記画像データと前記音声データとを対応付ける識別情報を読み出す読出し部、を備えたことを特徴とする後処理装置。
【0019】
(12)前記識別情報は識別画像を含み、前記読出し部は、前記識別画像を読取る光学センサを含む、ことを特徴とする上記(11)に記載の後処理装置。
【0020】
(13)前記識別画像はバーコード画像を含むことを特徴とする上記(12)に記載の後処理装置。
【0021】
(14)前記音声ペーパは、外部との無線通信により情報を記憶可能な記憶部を有し、前記読出し部は、前記記憶部から前記画像データと前記音声データとを対応付ける識別情報を読み出す情報読出し部を含む、ことを特徴とする上記(11)に記載の後処理装置。
【0022】
(15)画像データに基づいて音声ペーパに画像を記録する画像記録ステップと、前記音声ペーパに、前記画像データに対応付けられた音声データを記録する音声データ記録ステップと、を備えたことを特徴とする記録方法。
【0023】
(16)前記音声データ記録ステップは、前記画像記録ステップの後に実行されることを特徴とする上記(15)に記載の記録方法。
【0024】
(17)前記画像記録ステップにおいて前記音声ペーパに記録された前記画像は、前記画像データと前記音声データとを対応付ける識別画像を含むことを特徴とする上記(16)に記載の記録方法。
【0025】
(18)前記識別画像はバーコード画像を含むことを特徴とする上記(17)に記載の記録方法。
【0026】
(19)前記音声ペーパは、外部との無線通信により情報を記憶可能な記憶部を有し、前記画像記録ステップと前記音声データ記録ステップのうち一方において、前記記憶部に前記画像データと前記音声データとを対応付ける識別情報が記録され、前記画像記録ステップと前記音声データ記録ステップのうち他方において、前記記憶部から前記識別情報が読み出されることを特徴とする上記(15)に記載の記録方法。
【0027】
(20)前記画像記録ステップは、外部から印刷指令を受信する受信ステップと、前記受信ステップにおいて受信された前記印刷指令に基づいて、所望の種類の音声ペーパを選択する選択ステップと、前記選択ステップにおいて選択された前記音声ペーパに、前記印刷指令に従って生成された画像データに基づいた画像を形成する画像形成ステップと、を備えたことを特徴とする上記(15)〜(19)のいずれか1つに記載の記録方法。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、例えばユーザごとに印刷内容を変化させ得るバリアブル印刷において、ユーザごとに変化する画像を音声ペーパに印刷するとともに、その印刷内容に対応した音声データを当該音声ペーパに記録することが可能となる。
【0029】
したがって、バリアブル印刷に音声ペーパを利用して個々のユーザに対して音声によるより効果的なアピールを行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明の第1実施形態に係る記録システムが適用されたネットワークシステムの全体構成図である。
【0032】
ネットワークシステムは、記録システム1と、クライアント端末30と、データベースサーバ40とを備え、これらはネットワーク50を介して相互に通信可能に接続されている。
【0033】
記録システム1は、前処理装置10と後処理装置20とを備えている。前処理装置10はネットワーク50に接続されており、前処理装置10と後処理装置20とは、IEEE1394シリアルバス等の専用インタフェース用バスを介して接続されている。ただし、前処理装置10と後処理装置20とは、ネットワーク50を介して接続されてもよい。
【0034】
ネットワーク50は、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格によりコンピュータやネットワーク機器同士を接続したLAN、あるいはLAN同士を専用線で接続したWAN等からなる。なお、ネットワーク50に接続される機器の種類および台数は、図1に示す例に限定されない。
【0035】
本実施形態では、前処理装置10は、画像データに基づいて音声ペーパに画像を記録するという画像記録処理を行うための画像記録部であり、後処理装置20は、当該音声ペーパに、当該画像データに対応付けられた音声データを記録するという音声記録処理を行うための音声データ記録部である。音声ペーパについての詳細は後述する。
【0036】
図2は、前処理装置10の概略構成を示すブロック図である。
【0037】
前処理装置10は、CPU11、ROM12、RAM13、操作パネル部14、給紙部15、画像形成部16、ICタグライタ17、および通信インタフェース18を含み、これらは信号をやり取りするためのバス19を介して相互に接続されている。
【0038】
CPU11は、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を行う。ROM12は、予め各種プログラムや各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶する。
【0039】
操作パネル部14は、タッチパネル、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備えており、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。
【0040】
給紙部15は、印刷に使用される記録材としての音声ペーパを収容する。給紙部15は、収容された音声ペーパを1枚ずつ画像形成部16に送り出す。給紙部15は、本実施形態では、音声ペーパの種別数にあわせて、2つの給紙トレイT1,T2を備えている(図示せず)。
【0041】
画像形成部16は、帯電、露光、現像、転写および定着の各工程を含む電子写真式プロセス等の周知の作像プロセスを用いて、各種画像を音声ペーパ上に印刷する。
【0042】
ICタグライタ17は、音声ペーパに備えられたICタグに電子データを書き込む。ICタグライタ17とICタグとの間の通信方式としては、国際標準規格のISO14443、ISO15693等に規定されるものが挙げられ、135KHz、13.56MHz、2.45GHz等の周波数帯が利用され得る。主に使用される周波数帯は13.56MHzであり、当該周波数帯が使用される場合の通信可能距離は30cm程度である。但し、利用する通信方式はこれらに限定されるものではなく、その他の既知の通信方式や独自の通信方式が利用されてもよい。
【0043】
通信インタフェース18は、他の機器と通信するためのインタフェースである。この通信インタフェース18は、ネットワーク50上の機器と通信するためのインタフェースと、後処理装置20と通信するためのインタフェースとを備えている。
【0044】
図3は、後処理装置20の概略構成を示すブロック図である。
【0045】
後処理装置20は、CPU21、ROM22、RAM23、ICタグリーダ24、音声書き込み装置25、用紙排出部26、および通信インタフェース27を含み、これらは信号をやり取りするためのバス28を介して相互に接続されている。なお、前処理装置10と同様の機能を有する部分については、説明の重複を避けるためその説明を省略する。
【0046】
ICタグリーダ24は、音声ペーパに備えられたICタグから電子データを読み出す。CPU21の指示により、ICタグリーダ24は、ICタグ内の電子データをすべて読み出すこともできるし、所定の単位ごとに読み出すこともできる。ICタグリーダ24として、ICタグライタ17と同様のものを使用でき、ICタグリーダ24とICタグとの通信方式は、ICタグライタ17と同様のものが利用され得る。
【0047】
音声書き込み装置25は、音声ペーパに音声データを記録する。音声書き込み装置25は、音声ペーパの種別数にあわせて、2つの音声書き込み部W1,W2を備えている(図示せず)。用紙排出部26は、音声データが記録された音声ペーパを排出する。
【0048】
前処理装置10および後処理装置20は、上述した構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上述した構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【0049】
クライアント端末30は、例えば一般的なパーソナルコンピュータである。クライアント端末30は、バリアブル印刷用の印刷ジョブを作成して、記録システム1の前処理装置10に送信する。
【0050】
データベースサーバ40は、各種の音声データを保存している。記録システム1の後処理装置20の要求に応じて、要求された音声データを後処理装置20に向けて送信する。
【0051】
本実施形態では、印刷ジョブは、好ましくはPPML(Personalized Print Markup Language)にしたがう形式のファイルである。ここで、印刷ジョブは、オブジェクト単位のコンテンツデータと、各ページにおけるオブジェクトの配置を示すレイアウト情報と、印刷条件の指定等のジョブ情報とが一つにまとめられたファイルである。ただし、コンテンツデータ、レイアウト情報、およびジョブ情報がそれぞれ別々に送信されてもよい。
【0052】
図4は、音声ペーパの一例を示す。本明細書において、音声ペーパとは、音声データを記録し、これを音声として再生可能に構成されたシートをいう。
【0053】
音声ペーパPは、音声データの記録、および音声の再生の機能を備えた機構である音声ユニット60を少なくとも1つ有している。音声ユニット60は、音声再生のトリガとして機能する音声再生ボタン61と、マイクや入力端子等の録音部、スピーカ等の再生部、メモリ等の音声データ格納部、電源を含む音声処理機構62とを有している。1つの音声ユニット60には、1つの音声再生ボタン61が存在し、各音声再生ボタン61に対応して一意に決定される音声が、その音声再生ボタン61の押下によって再生される。ただし、複数の音声再生ボタン61に対して、1つの音声処理機構62が共通して使用されてもよい。この場合、音声処理機構62は1枚の音声ペーパに1つあれば済む。
【0054】
図5(A)(B)は、第1実施形態で使用される音声ペーパを示す。このように、本発明では、複数の種別の音声ペーパを扱うことが可能である。
【0055】
第1実施形態では、音声再生ボタン61の数およびレイアウトが異なる2つの音声ペーパP1,P2が使用される。音声ペーパP1は、2つの音声再生ボタン61,61と1つの音声処理機構62とを有しており、音声ペーパP2は、3つの音声再生ボタン61,61,61と1つの音声処理機構62とを有している。
【0056】
そして、音声ペーパP1は給紙部15の給紙トレイT1に、音声ペーパP2は給紙部15の給紙トレイT2に、それぞれ収容される。ただし、給紙部15は1つの給紙トレイのみ有しており、1つの印刷ジョブごと、あるいは一連の印刷ジョブごとに、ユーザの手により、種別の異なる用紙がセットされてもよい。また、本実施形態ではカット紙が使用されるが、連続紙が使用されてもよい。
【0057】
さらに、第1実施形態では、音声ペーパは、当該音声ペーパの少なくとも一部分にICタグ70が備えられて構成されている。ここで、ICタグ70は、音声ペーパに貼付されていてもよく、あるいは音声ペーパに埋め込まれていてもよい。また、1枚の音声ペーパに備えられるICタグ70は、1個であっても複数個であってもよい。
【0058】
このICタグ70は、無線通信を利用した非接触型の電子タグであり、内部にICチップからなる記憶部とコイルからなるアンテナ部とを有している(いずれも図示せず)。ICタグ70がICタグリーダ24またはICタグライタ17から放出される電波を受信すると、電磁誘導結合によりICタグ70に電流が流れる。これにより、ICタグ70は、ICタグリーダ24またはICタグライタ17と無線通信を行い、電子データの読み出しおよび書き込みを行うことができる。
【0059】
次に、図6および図7を参照して、前処理装置10における画像記録処理について説明する。なお、図6および図7のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、前処理装置10のROM12などの記憶部にプログラムとして記憶されており、CPU11により実行される。
【0060】
まず、前処理装置10は、クライアント端末30から印刷ジョブを受信するまで待機する(S101:NO)。
【0061】
印刷ジョブが受信されると(S101:YES)、前処理装置10は、受信された印刷ジョブをRAM13に保存し、その印刷ジョブの中からコンテンツデータを取得する(S102)。
【0062】
ここで、印刷ジョブと共に、当該印刷ジョブに対応する音声データ識別情報が、クライアント端末30から受信されて、RAM13に保存される。なお、音声データ識別情報は、印刷ジョブ内に含まれていてもよい。この音声データ識別情報は、ネットワーク50上のデータベースサーバ40等に格納された音声データを一意に識別するための情報である。なお、音声データ識別情報の代わりに、音声データそのものが受信されてもよい。
【0063】
続いて、取得されたコンテンツデータの中に、RIP(Raster Image Processing)を施すことが必要なデータが存在するか否かが判断される(S103)。ここで、RIPとは、ビットマップ形式の画像データに変換するための処理である。コンテンツデータの中にRIPを施すことが必要なデータが存在しない場合(S103:NO)、ステップS105に進む。
【0064】
一方、コンテンツデータの中にRIPを施すことが必要なデータが存在する場合(S103:YES)、当該データに対してRIPが施される(S104)。
【0065】
ステップS105では、保存されている印刷ジョブの中からレイアウト情報が取得される。
【0066】
続いて、取得されたレイアウト情報に基づいて、再生可能な音声の種類の数がいくつであるかが判断される(S106)。なお、本実施形態では、2個または3個である(図5(A)(B)参照)。
【0067】
再生可能な音声の種類の数が2個と判断された場合(S106:2個)、給紙トレイT1が選択される(S107)。この場合、使用される音声ペーパの種別はP1である。一方、再生可能な音声の種類の数が3個と判断された場合(S106:3個)、給紙トレイT2が選択される(S108)。この場合、使用される音声ペーパの種別はP2である。なお、使用すべき給紙トレイは、印刷ジョブのジョブ情報において指定されている用紙種別に基づいて選択されてもよい。
【0068】
続いて、印刷ジョブの各コンテンツデータに対して必要によりRIPが施されて得られたデータが合成されて、1ページ分の印刷用画像データが作成される(S109)。具体的には、各コンテンツデータに基づく画像が、音声ペーパのレイアウト情報から判定された各音声再生ボタンの位置に応じてページに配置されて合成される。また、音声ペーパのレイアウト情報から判定された各音声再生ボタンの位置に、音声再生ボタンであることを示すマーク画像と、音声の再生を促すメッセージ画像とがそれぞれ配置される。このようなレイアウトに従って1ページ分の印刷用画像データが作成される。なお、音声ペーパのレイアウト情報は、使用する音声ペーパごとに、予めRAM13に登録されているものとする。この音声ペーパのレイアウト情報は、例えば、操作パネル部14を通したユーザの入力によって得られてもよく、ICタグ70に記憶されている電子データを読み出すことによって得られてもよい。
【0069】
そして、作成された1ページ分の印刷用画像データに基づいて、音声ペーパに画像が印刷される(S110)。
【0070】
続いて、音声データ識別情報が取得される(S111)。なお、音声データ識別情報は、前述したように既にRAM13に保存されている。
【0071】
続いて、ステップS111で取得された音声データ識別情報と、ステップS107またはS108で取得された音声ペーパの種別情報とが、ICタグライタ17により、音声ペーパのICタグ70に書き込まれる(S112)。
【0072】
このようにして画像記録処理が完了した音声ペーパは、後処理装置20に転送される(S113)。本実施形態では、音声ペーパの後処理装置20への転送は、図示しない搬送機構によって自動で行われるが、手動により行われてもよい。なお、音声データ識別情報の代わりに音声データそのものが受信されている場合には、当該音声データが後処理装置20へ送信される。
【0073】
次に、図8を参照して、後処理装置20における音声記録処理について説明する。なお、図8のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、後処理装置20のROM22などの記憶部にプログラムとして記憶されており、CPU21により実行される。
【0074】
まず、後処理装置20は、前処理装置10から音声ペーパが転送されてくるまで待機する(S201:NO)。
【0075】
音声ペーパが転送されてくると(S201:YES)、ICタグリーダ24により、当該音声ペーパに備えられたICタグ70から電子データが読み出される(S202)。
【0076】
続いて、読み出された電子データの中から、音声データ識別情報と音声ペーパ種別情報とが取得されて、RAM23に保存される(S203)。
【0077】
そして、音声データ識別情報に基づいて、ネットワーク50上のデータベースサーバ40に格納された音声データが取得される(S204)。ただし、音声データ識別情報の代わりに音声データそのものが前処理装置10から受信されている場合には、当該音声データが使用される。
【0078】
続いて、音声ペーパ種別情報が何であるかが判断される(S205)。声ペーパ種別情報がP1である場合(S205:P1)、音声書き込み部W1が選択され(S206)、声ペーパ種別情報がP2である場合(S205:P2)、音声書き込み部W2が選択される(S207)。
【0079】
音声ペーパにおける音声処理機構62(録音部)の配置等に従って、音声データの記録を実行する位置を変える必要がある場合には、音声書き込み部は、取り扱う音声ペーパにおける音声処理機構62のレイアウトの種類に対応した数だけ用意される。本実施形態では、音声ペーパP1と音声ペーパP2との音声処理機構は互いに同じ位置にあるため、必ずしも2つ必要となるわけではない。ただし、本実施形態では、両音声ペーパP1およびP2間で録音条件が異なると仮定しているため、後処理装置20には2つの音声書き込み部W1,W2が設けられている。
【0080】
続いて、選択された音声書き込み部に対して、音声ペーパが搬送され(S208)、音声書き込み部により、搬送された音声ペーパの音声処理機構62の音声データ格納部に、取得された音声データが記録される(S209)。
【0081】
このようにして音声記録処理が完了した音声ペーパは、図示しないトレイに向けて排出される(S210)。
【0082】
図9は、後処理装置20から出力された音声ペーパP1の一例を示し、図10は、後処理装置20から出力された音声ペーパP2の一例を示す。
【0083】
図9に示す音声ペーパP1には、「井上太郎」という名のユーザに対応するバリアブルデータD1と、全てのユーザに共通の固定データD2とが印刷されている。また、音声ペーパP1には、音声再生ボタンであることを示すマーク画像81,82と、これらに付随するメッセージ画像とがそれぞれ印刷されている。そして、ユーザがマーク画像81,82を押すことにより、図9中に示すような「井上太郎」という名のユーザに適した内容の音声が発せられるようになっている。
【0084】
図10に示す音声ペーパP2には、「鈴木花子」という名のユーザに対応するバリアブルデータD1と、全てのユーザに共通の固定データD2とが印刷されている。また、音声ペーパP2には、音声再生ボタンであることを示すマーク画像81,82,83と、これらに付随するメッセージ画像とがそれぞれ印刷されている。そして、ユーザがマーク画像81,82,83を押すことにより、図10中に示すような「井上太郎」という名のユーザに適した内容の音声が発せられるようになっている。
【0085】
このように本実施形態によれば、例えばユーザごとに印刷内容を変化させ得るバリアブル印刷において、ユーザごとに変化する画像を音声ペーパに印刷するとともに、その印刷内容に対応した音声データを当該音声ペーパに記録することが可能となる。
【0086】
したがって、バリアブル印刷に音声ペーパを利用して個々のユーザに対して音声によるより効果的なアピールを行うことが可能となる。
【0087】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0088】
上記の第1実施形態では、ICタグ70が備えられた音声ペーパが使用され、音声データ識別情報と音声ペーパ種別情報とが音声ペーパのICタグ70に書き込まれるのに対し、第2実施形態では、ICタグが備えられていない音声ペーパが使用され、音声データ識別情報と音声ペーパ種別情報とを変換して得られたバーコードに基づいて、バーコード画像が音声ペーパに印刷される点で、両者は相違している。その他の点では両者は同様であるため説明を省略する。
【0089】
図11は、第2実施形態に係る前処理装置10aの概略構成を示すブロック図、図12は、第2実施形態に係る後処理装置20aの概略構成を示すブロック図である。
【0090】
図11に示すように、前処理装置10aは、第1実施形態のICタグライタ17を有していない。一方、ROM12には、音声データ識別情報と音声ペーパ種別情報とをバーコードに変換するためのバーコード生成プログラムが格納される。また、図12に示すように、後処理装置20aは、第1実施形態のICタグリーダ24を有していないが、その代わりに、バーコード読み取り部29を有している。バーコード読み取り部29は、バーコード画像を検出するための光学センサを含んでいる。
【0091】
前処理装置10aにおける画像記録処理について、図6および図7に示される第1実施形態の画像記録処理と相違する点を以下に説明する。
【0092】
すなわち、図7のステップS112では、上記の第1実施形態では、音声データ識別情報と音声ペーパ種別情報とが音声ペーパのICタグ70に書き込まれるが、第2実施形態では、ステップS112は省略される。その代わりに、図7のステップS109において、音声データ識別情報と音声ペーパ種別情報とがバーコードに変換され、当該バーコードの画像データが1ページ分の印刷用画像データに合成される。そして、ステップS110において、バーコード画像を含む印刷用画像が、音声ペーパに印刷される。
【0093】
次に、後処理装置20aにおける音声記録処理について、図8に示される第1実施形態の音声記録処理と相違する点を以下に説明する。
【0094】
すなわち、図8のステップS202では、上記の第1実施形態では、ICタグリーダ24により、音声ペーパに備えられたICタグ70から電子データが読み出されるが、第2実施形態では、バーコード読み取り部29により、音声ペーパ上のバーコード画像が読み取られて、音声データ識別情報と音声ペーパの種別情報とに変換される。
【0095】
図13は、第2実施形態に係る後処理装置20aから出力された音声ペーパP1aの一例を示し、図14は、第2実施形態に係る後処理装置20aから出力された音声ペーパP2aの一例を示す。第1実施形態で使用される図9および図10の音声ペーパP1,P2にはICタグ70が備えられているが、第2実施形態で使用される図13および図14の音声ペーパP1a,P2aにはICタグ70が備えられておらず、バーコード画像75が印刷されていることがわかる。
【0096】
このように第2実施形態によっても、第1実施形態で得られる効果と同様の効果を得ることが可能である。
【0097】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0098】
例えば、上述した第1実施形態では、ICタグ70が備えられた音声ペーパが使用される場合について説明し、第2実施形態では、ICタグが備えられていない音声ペーパが使用される場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、ICタグ70が備えられた音声ペーパ、およびICタグが備えられていない音声ペーパのいずれが使用さてもよい構成とすることができる。この場合、前処理装置はICタグライタ17を有するとともに、ROM12にはバーコード生成プログラムが格納され、また、後処理装置は、ICタグリーダ24とバーコード読み取り部29の双方を有する。
【0099】
また、上述した実施形態では、前処理装置は、画像記録処理を行うための画像記録部として機能し、後処理装置は、音声記録処理を行うための音声データ記録部として機能するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明においては、前処理装置が、音声記録処理を行うための音声データ記録部として機能し、後処理装置が、画像記録処理を行うための画像記録部として機能する構成とされてもよい。つまり、音声ペーパに対する画像の記録と音声データの記録との実行順序を入れ替えることが可能である。
【0100】
また、上述した実施形態では、前処理装置と後処理装置とは、別個独立して構成されており、専用インタフェース用バスなどで接続されているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明においては、前処理装置と後処理装置とが1つの筐体に収容されて一体に構成されていてもよい。
【0101】
また、上述した実施形態では、音声データは、ネットワーク50上のデータベースサーバ40から取得されるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明においては、各種の音声データが記録システム1内の記憶部に格納され、必要に応じて所望の音声データが記録システム1内の記憶部から取得されてもよい。
【0102】
本発明において、記録システムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピュータのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえばフレキシブルディスクやCD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送されて記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第1実施形態に係る記録システムが適用されたネットワークシステムの全体構成図である。
【図2】前処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】後処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】音声ペーパの一例を示す。
【図5】(A)(B)は、第1実施形態で使用される音声ペーパを示す。
【図6】前処理装置における画像記録処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図6から続く、前処理装置における画像記録処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】後処理装置における音声記録処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】後処理装置から出力された音声ペーパP1の一例を示す。
【図10】後処理装置から出力された音声ペーパP2の一例を示す。
【図11】第2実施形態に係る前処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図12】第2実施形態に係る後処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図13】第2実施形態に係る後処理装置から出力された音声ペーパP1aの一例を示す。
【図14】第2実施形態に係る後処理装置から出力された音声ペーパP2aの一例を示す。
【符号の説明】
【0104】
1 記録システム、
10,10a 前処理装置、
11,21 CPU、
12,22 ROM、
13,23 RAM、
14 操作パネル部、
15 給紙部、
16 画像形成部、
17 ICタグライタ、
18,27 通信インタフェース、
19,28 バス、
20,20a 後処理装置、
24 ICタグリーダ、
25 音声書き込み装置、
26 用紙排出部、
29 バーコード読み取り部、
30 クライアント端末、
40 データベースサーバ、
50 ネットワーク、
P,P1,P2,P1a,P2a 音声ペーパ、
60 音声ユニット、
61 音声再生ボタン、
62 音声処理機構、
70 ICタグ、
75 バーコード画像、
81,82,83 マーク画像、
D1 バリアブルデータ、
D2 固定データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて音声ペーパに画像を記録する画像記録部と、
前記音声ペーパに、前記画像データに対応付けられた音声データを記録する音声データ記録部と、
を備えたことを特徴とする記録システム。
【請求項2】
前記音声データ記録部は、前記画像記録部によって前記画像が記録された音声ペーパに対して、前記音声データを記録することを特徴とする請求項1に記載の記録システム。
【請求項3】
前記画像記録部によって前記音声ペーパに記録された前記画像は、前記画像データと前記音声データとを対応付ける識別画像を含むことを特徴とする請求項2に記載の記録システム。
【請求項4】
前記識別画像はバーコード画像を含むことを特徴とする請求項3に記載の記録システム。
【請求項5】
前記音声ペーパは、外部との無線通信により情報を記憶可能な記憶部を有し、
前記画像記録部と前記音声データ記録部のうち一方は、前記記憶部に前記画像データと前記音声データとを対応付ける識別情報を記録する情報記録部を備え、
前記画像記録部と前記音声データ記録部のうち他方は、前記記憶部から前記識別情報を読み出す情報読出し部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の記録システム。
【請求項6】
前記画像記録部は、
外部から印刷指令を受信する受信部と、
前記受信部によって受信された前記印刷指令に基づいて、所望の種類の音声ペーパを選択する選択部と、
前記選択部によって選択された前記音声ペーパに、前記印刷指令に従って生成された画像データに基づいた画像を形成する画像形成部と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の記録システム。
【請求項7】
画像データに基づいて音声ペーパに画像を記録する画像記録装置と前記画像データに対応付けられた音声データを前記音声ペーパに記録する音声データ記録装置のうち一方を前処理装置とし、前記画像記録装置と前記音声データ記録装置のうち他方を後処理装置として含む記録システムに適用される前記前処理装置であって、
前記画像データと前記音声データとを対応付ける識別情報を前記音声ペーパに記録する記録部を備えたことを特徴とする前処理装置。
【請求項8】
前記識別情報は識別画像を含み、
前記記録部は、前記識別画像を前記音声ペーパに形成する画像形成部を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の前処理装置。
【請求項9】
前記識別画像はバーコード画像を含むことを特徴とする請求項8に記載の前処理装置。
【請求項10】
前記音声ペーパは、外部との無線通信により情報を記憶可能な記憶部を有し、
前記記録部は、前記記憶部に前記画像データと前記音声データとを対応付ける識別情報を記録する情報記録部を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の前処理装置。
【請求項11】
画像データに基づいて音声ペーパに画像を記録する画像記録装置と前記画像データに対応付けられた音声データを前記音声ペーパに記録する音声データ記録装置のうち一方を前処理装置とし、前記画像記録装置と前記音声データ記録装置のうち他方を後処理装置として含む記録システムに適用される前記後処理装置であって、
前記音声ペーパに記録された、前記画像データと前記音声データとを対応付ける識別情報を読み出す読出し部、
を備えたことを特徴とする後処理装置。
【請求項12】
前記識別情報は識別画像を含み、
前記読出し部は、前記識別画像を読取る光学センサを含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の後処理装置。
【請求項13】
前記識別画像はバーコード画像を含むことを特徴とする請求項12に記載の後処理装置。
【請求項14】
前記音声ペーパは、外部との無線通信により情報を記憶可能な記憶部を有し、
前記読出し部は、前記記憶部から前記画像データと前記音声データとを対応付ける識別情報を読み出す情報読出し部を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の後処理装置。
【請求項15】
画像データに基づいて音声ペーパに画像を記録する画像記録ステップと、
前記音声ペーパに、前記画像データに対応付けられた音声データを記録する音声データ記録ステップと、
を備えたことを特徴とする記録方法。
【請求項16】
前記音声データ記録ステップは、前記画像記録ステップの後に実行されることを特徴とする請求項15に記載の記録方法。
【請求項17】
前記画像記録ステップにおいて前記音声ペーパに記録された前記画像は、前記画像データと前記音声データとを対応付ける識別画像を含むことを特徴とする請求項16に記載の記録方法。
【請求項18】
前記識別画像はバーコード画像を含むことを特徴とする請求項17に記載の記録方法。
【請求項19】
前記音声ペーパは、外部との無線通信により情報を記憶可能な記憶部を有し、
前記画像記録ステップと前記音声データ記録ステップのうち一方において、前記記憶部に前記画像データと前記音声データとを対応付ける識別情報が記録され、
前記画像記録ステップと前記音声データ記録ステップのうち他方において、前記記憶部から前記識別情報が読み出されることを特徴とする請求項15に記載の記録方法。
【請求項20】
前記画像記録ステップは、
外部から印刷指令を受信する受信ステップと、
前記受信ステップにおいて受信された前記印刷指令に基づいて、所望の種類の音声ペーパを選択する選択ステップと、
前記選択ステップにおいて選択された前記音声ペーパに、前記印刷指令に従って生成された画像データに基づいた画像を形成する画像形成ステップと、
を備えたことを特徴とする請求項15〜19のいずれか1つに記載の記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−52658(P2007−52658A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−237658(P2005−237658)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】