説明

記録再生装置及びコンテンツ処理方法

【課題】記憶部の空き容量を増やしつつ、コンテンツ再生時における解凍待ち時間を短縮可能なようにする。
【解決手段】HDDに記憶されているコンテンツデータD1に対するコンテンツ処理方法であって、記憶されているコンテンツデータD1を分割することで得られる複数のコンテンツデータ部分D2#1〜#6を圧縮するステップS2と、コンテンツデータD1を、複数の圧縮コンテンツデータ部分D3#1〜#6に書き換えるステップS3と、複数の圧縮コンテンツデータ部分D3#1〜#6を順次解凍するステップS4と、複数の解凍コンテンツデータ部分D4#1〜#6を先頭の解凍コンテンツデータ部分D4#1から順次再生するステップS5とを具備し、ステップS5では、複数の圧縮コンテンツデータ部分D3#1〜#6の全てに対する解凍が完了する前に、先頭の解凍コンテンツデータ部分D4#1の再生を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツデータを記憶する記憶部を用いて構成される記録再生装置及びコンテンツ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビ放送コンテンツ等のコンテンツデータを記憶する記憶部を用いて構成される記録再生装置が普及している。このような記憶部としては、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶装置、SSD(Solid State Drive)等の半導体記憶装置、又は光学ドライブが用いられるが、それらの記憶容量は有限である。
【0003】
記憶部の空き容量を増やすことができる技術として、記録再生装置のスタンバイ時において、記憶部に記憶されているコンテンツデータを自動で圧縮し、圧縮前のコンテンツデータを、圧縮後のコンテンツデータに書き換える手法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−245715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
圧縮されたコンテンツデータを再生して視聴するためには、当該コンテンツデータを解凍する必要がある。このため、圧縮されたコンテンツデータの再生時(以下、コンテンツ再生時)において、ユーザは、圧縮されたコンテンツデータ全体の解凍が完了するまで待たなければならない。そのような解凍待ち時間が長くなると、ユーザの利便性が損なわれる問題がある。特に、処理能力の低い記録再生装置においては、コンテンツ再生時における解凍待ち時間が長くなる問題が顕著になる。
【0006】
そこで、本発明は、記憶部の空き容量を増やしつつ、コンテンツ再生時における解凍待ち時間を短縮可能な記録再生装置及びコンテンツ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。まず、本発明に係る記録再生装置の特徴は、コンテンツデータ(コンテンツデータD1)を記憶する記憶部(例えばHDD150)を用いて構成される記録再生装置(例えばチューナ内蔵HDDレコーダ100又はNAS200)であって、前記記憶部に記憶されている前記コンテンツデータを所定時間単位で分割することで得られる複数のコンテンツデータ部分(コンテンツデータ部分D2)を圧縮する圧縮部(圧縮部142)と、前記記憶部に記憶されている前記コンテンツデータを、前記圧縮部によって得られる複数の圧縮コンテンツデータ部分(圧縮コンテンツデータ部分D3)に書き換える書き換え部(書き換え部143)と、前記記憶部に記憶されている前記複数の圧縮コンテンツデータ部分を順次解凍する解凍部(解凍部144)と、前記解凍部によって得られる複数の解凍コンテンツデータ部分(解凍コンテンツデータ部分D4)を先頭の解凍コンテンツデータ部分(解凍コンテンツデータ部分D4#1)から順次再生する再生部(再生部145)とを具備し、前記再生部は、前記解凍部により一の解凍コンテンツデータ部分が得られたことを検知すると、前記一の解凍コンテンツデータ部分を再生することを要旨とする。
【0008】
このような特徴によれば、記憶部に記憶されているコンテンツデータを、圧縮部によって得られる複数の圧縮コンテンツデータ部分に書き換えることによって、記憶部の空き容量を増やすことができる。また、解凍部は、記憶部に記憶されている複数の圧縮コンテンツデータ部分を順次解凍し、再生部は、解凍部によって得られる複数の解凍コンテンツデータ部分を先頭の解凍コンテンツデータ部分から順次再生する。ここで、再生部は、解凍部により一の解凍コンテンツデータ部分が得られたことを検知すると、当該一の解凍コンテンツデータ部分を再生する。これにより、先頭の解凍コンテンツデータ部分の再生を早期に開始することができるため、コンテンツ再生時における解凍待ち時間を短縮できる。
【0009】
したがって、上記の特徴によれば、記憶部の空き容量を増やしつつ、コンテンツ再生時における解凍待ち時間を短縮可能な記録再生装置を提供できる。
【0010】
本発明に係る記録再生装置の他の特徴は、上記の特徴に係る記録再生装置において、前記圧縮部は、前記複数のコンテンツデータ部分のうち先頭のコンテンツデータ部分(コンテンツデータ部分D2#1)の時間長を他のコンテンツデータ部分(例えばコンテンツデータ部分D2#2)よりも短くするよう分割した上で、前記複数のコンテンツデータ部分のそれぞれを圧縮することを要旨とする。
【0011】
本発明に係る記録再生装置の他の特徴は、上記の特徴に係る記録再生装置において、前記再生部は、前記複数の圧縮コンテンツデータ部分のうち先頭の圧縮コンテンツデータ部分(圧縮コンテンツデータ部分D3#1)が解凍された後であって、残りの圧縮コンテンツデータ部分(例えば圧縮コンテンツデータ部分D3#2〜#6)の解凍が開始される前又は前記残りの圧縮コンテンツデータ部分の解凍中に、前記先頭の解凍コンテンツデータ部分の再生を開始することを要旨とする。
【0012】
本発明に係る記録再生装置の他の特徴は、上記の特徴に係る記録再生装置において、前記圧縮部は、前記複数のコンテンツデータ部分のうち先頭のコンテンツデータ部分(コンテンツデータ部分D2#1)の圧縮を省略した上で、残りのコンテンツデータ部分(例えばコンテンツデータ部分D2#2〜#6)のそれぞれを圧縮することを要旨とする。
【0013】
本発明に係る記録再生装置の他の特徴は、上記の特徴に係る記録再生装置において、前記複数のコンテンツデータ部分のそれぞれは、複数の映像フレームを含み、前記圧縮部は、前記複数の映像フレームのうち特定の映像フレーム(例えば先頭の映像フレームF1)を静止画圧縮方式により圧縮しており、早送り再生又は巻き戻し再生がユーザ操作により指示された場合に、前記解凍部は、前記記憶部に記憶されている前記複数の圧縮コンテンツデータ部分のそれぞれの前記特定の映像フレームのみを解凍し、前記再生部は、前記解凍部が前記複数の圧縮コンテンツデータ部分のそれぞれについて解凍した前記特定の映像フレームを再生することを要旨とする。
【0014】
本発明に係る記録再生装置の他の特徴は、上記の特徴に係る記録再生装置において、前記複数のコンテンツデータ部分のそれぞれは、複数の映像フレームを含み、前記圧縮部は、前記複数の映像フレームのうち特定の映像フレーム(例えば先頭の映像フレームF1)に対する圧縮を省略しており、早送り再生又は巻き戻し再生がユーザ操作により指示された場合に、前記再生部は、前記記憶部に記憶されている前記複数の圧縮コンテンツデータ部分のそれぞれの前記特定の映像フレームのみを再生することを要旨とする。
【0015】
本発明に係るコンテンツ処理方法の特徴は、記憶部に記憶されているコンテンツデータに対するコンテンツ処理方法であって、前記記憶部に記憶されている前記コンテンツデータを所定時間単位で分割するステップ(ステップS1)と、前記分割するステップによって得られる複数のコンテンツデータ部分を圧縮するステップ(ステップS2)と、前記記憶部に記憶されている前記コンテンツデータを、前記圧縮するステップによって得られる複数の圧縮コンテンツデータ部分に書き換えるステップ(ステップS3)と、前記記憶部に記憶されている前記複数の圧縮コンテンツデータ部分を順次解凍するステップ(ステップS4)と、前記解凍するステップによって得られる複数の解凍コンテンツデータ部分を先頭の解凍コンテンツデータ部分から順次再生するステップ(ステップS5)とを具備し、前記再生するステップでは、前記解凍するステップにより一の解凍コンテンツデータ部分が得られたことを検知すると、前記一の解凍コンテンツデータ部分を再生することを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、記憶部の空き容量を増やしつつ、コンテンツ再生時における解凍待ち時間を短縮可能な記録再生装置及びコンテンツ処理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の記録再生装置の一実施形態であるチューナ内蔵HDDレコーダのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の記録再生装置の一実施形態であるチューナ内蔵HDDレコーダのソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の記録再生装置の一実施形態であるチューナ内蔵HDDレコーダの動作を説明するための動作説明図である。
【図4】本発明の記録再生装置の一実施形態であるチューナ内蔵HDDレコーダの早送り再生又は巻き戻し再生時動作を説明するための動作説明図である。
【図5】本発明の記録再生装置のその他の実施形態であるNASのハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の実施形態における図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付す。
【0019】
(1)構成
本発明の記録再生装置の一実施形態であるチューナ内蔵HDDレコーダ100の構成について、(1.1)ハードウェア構成、(1.2)ソフトウェア構成の順に説明する。
【0020】
(1.1)ハードウェア構成
図1は、本実施形態に係るチューナ内蔵HDDレコーダ100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0021】
図1に示すように、チューナ内蔵HDDレコーダ100は、テレビ放送波を受信するアンテナ10に接続される入力端子101と、自装置が再生するコンテンツデータを出力する1又は複数の出力端子102とを有する。コンテンツデータは、映像データ及び音声データによって構成される。出力端子102は、テレビ等の映像表示装置に接続されてもよく、LAN(Local Area Network)に接続されてもよい。あるいは、USB、HDMI、コンポジット(ケーブル)、S端子、D端子等であってもよい。
【0022】
チューナ内蔵HDDレコーダ100は、ユーザからの操作(以下、ユーザ操作)を受け付けるリモコン20を用いて遠隔操作される。リモコン20は、電源ボタン、選局ボタン、録画ボタン、再生ボタン、コンテンツ選択ボタン、早送りボタン、巻き戻しボタン等の各種のボタンを有し、押下されたボタンに対応するリモコン信号を送信する。
【0023】
チューナ内蔵HDDレコーダ100は、入力端子101に接続されるチューナ部110と、リモコン20からのリモコン信号が入力される受光部120と、チューナ部110及び受光部120のそれぞれの出力が入力されるCPU140と、CPU140に接続されるHDD150と、CPU140の出力が入力される映像・音声出力部160とを有する。映像・音声出力部160の出力は出力端子102に接続される。
【0024】
チューナ部110は、CPU140からの制御により、ユーザ操作により指定されたチャンネルに切り換える選局動作を行う。チューナ部110は、テレビ放送信号を復調及び復号することでコンテンツデータを得る。
【0025】
受光部120は、ユーザ操作に対応するリモコン信号を電気信号に変換し、当該電気信号をCPU140に入力する。
【0026】
CPU140は、コンテンツデータを圧縮、解凍、及び再生する機能と、チューナ内蔵HDDレコーダ100全体を制御する機能とを有する。CPU140には、CPU140が実行する制御プログラムを記憶するフラッシュメモリ131と、CPU140の作業領域として使用されるDRAM(Dynamic Random Access Memory)132とが接続される。
【0027】
HDD150は、チューナ部110からCPU140を介して入力されるコンテンツデータを記憶する。なお、本実施形態では、記憶部としてHDDを使用しているが、HDDに限らず、SSDや光学ドライブ等の他の記憶部を使用してもよい。また、カートリッジ型HDD等の着脱可能なHDDを用いてもよい。
【0028】
CPU140は、ユーザ操作に応じて、HDD150からコンテンツデータを読み出し、読み出したコンテンツデータを再生する。
【0029】
映像・音声出力部160は、CPU140が再生したコンテンツデータを、出力端子102を介して外部に出力する。
【0030】
(1.2)ソフトウェア構成
図2は、チューナ内蔵HDDレコーダ100のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【0031】
図2に示すように、チューナ内蔵HDDレコーダ100のCPU140は、フラッシュメモリ131に記憶されている制御プログラムを実行することで、不使用時間特定部141、圧縮部142、書き換え部143、解凍部144、及び再生部145のそれぞれの機能を提供する。
【0032】
不使用時間特定部141は、チューナ内蔵HDDレコーダ100の不使用時間、具体的には、HDD150の不使用時間を特定する。HDD150の不使用時間とは、HDD150に対するコンテンツデータの書き込みが実行中ではなく、且つ、HDD150からのコンテンツデータの読み出しが実行中ではない時間を意味する。例えば、チューナ内蔵HDDレコーダ100のスタンバイ状態においては、予約録画が実行される時間以外の時間はHDDの不使用時間となる。
【0033】
圧縮部142は、不使用時間特定部141によって特定された不使用時間において、HDD150に記憶されているコンテンツデータに対する圧縮処理を行う。具体的には、圧縮部142は、HDD150に記憶されているコンテンツデータD1を所定時間単位で分割することで得られる複数のコンテンツデータ部分D2を圧縮する(図3(a)及び(b)参照)。所定時間とは、例えば、1分又は1秒といったように、予め定められた時間である。
【0034】
書き換え部143は、HDD150に記憶されているコンテンツデータD1を、圧縮部142によって得られる複数の圧縮コンテンツデータ部分D3に書き換える(図3(c)参照)。具体的には、書き換え部143は、HDD150に記憶されているコンテンツデータD1を削除するとともに、圧縮部142によって得られる複数の圧縮コンテンツデータ部分D3をHDD150に記憶させる。
【0035】
解凍部144及び再生部145は、コンテンツデータD1に対応する複数の圧縮コンテンツデータ部分D3の再生をユーザ操作により指示された場合に、複数の圧縮コンテンツデータ部分D3の解凍及び再生を行う(図4(c)及び(d)参照)。
【0036】
解凍部144は、HDD150に記憶されている複数の圧縮コンテンツデータ部分D3を順次解凍する。
【0037】
再生部145は、解凍部144によって得られる複数の解凍コンテンツデータ部分D4を先頭の解凍コンテンツデータ部分D4#1から順次再生する。具体的には、再生部145は、解凍部144によって一の解凍コンテンツデータ部分D4が得られたことを検知すると、当該一の解凍コンテンツデータ部分D4を再生する。これにより、再生部145は、複数の圧縮コンテンツデータ部分D3の全てに対する解凍が完了する前に、先頭の解凍コンテンツデータ部分D4#1の再生を開始できる。
【0038】
(2)動作
次に、チューナ内蔵HDDレコーダ100の動作について、(2.1)圧縮時動作、(2.2)通常再生時動作、(2.3)早送り再生又は巻き戻し再生時動作の順に説明する。
【0039】
(2.1)圧縮時動作
図3(a)〜(c)は、チューナ内蔵HDDレコーダ100の圧縮時動作を説明するための動作説明図である。
【0040】
図3(a)に示すように、HDD150は、チューナ部110によって得られたコンテンツデータD1を記憶している。圧縮部142は、HDD150の不使用時間において、以下の手順により、HDD150に記憶されているコンテンツデータD1に対する圧縮処理を行う。
【0041】
図3(b)に示すように、圧縮部142は、HDD150に記憶されているコンテンツデータD1を所定時間単位で分割する(ステップS1)。ここでは、コンテンツデータD1の分割により、コンテンツデータ部分D2#1〜#6が得られたものとする。
【0042】
図3(c)に示すように、圧縮部142は、コンテンツデータ部分D2#1〜#6のそれぞれを圧縮する(ステップS2)。例えば、圧縮部142は、可逆圧縮方式により、コンテンツデータ部分D2#1〜#6のそれぞれを圧縮する。
【0043】
コンテンツデータ部分D2#1〜#6のそれぞれは、複数の映像フレームを含む。本実施形態では、圧縮部142は、コンテンツデータ部分D2#1〜#6のそれぞれについて、複数の映像フレームのうち先頭の映像フレームF1を静止画圧縮方式(例えばJPEG)により圧縮する。JPEG等の静止画圧縮方式は非可逆圧縮方式である。
【0044】
コンテンツデータ部分D2#1においては、先頭の映像フレームF1#1は静止画圧縮方式により圧縮され、残りの映像フレームは可逆圧縮方式により圧縮される。また、コンテンツデータ部分D2#2においては、先頭の映像フレームF1#2は静止画圧縮方式により圧縮され、残りの映像フレームは可逆圧縮方式により圧縮される。コンテンツデータ部分D2#3以降も同様である。
【0045】
図3(c)に示すように、書き換え部143は、HDD150に記憶されているコンテンツデータD1を、圧縮部142によって得られる圧縮コンテンツデータ部分D3#1〜#6に書き換える(ステップS3)。具体的には、書き換え部143は、HDD150に記憶されているコンテンツデータD1を削除するとともに、圧縮部142によって得られる圧縮コンテンツデータ部分D3#1〜#6をHDD150に記憶させる。
【0046】
ここで、書き換え部143は、圧縮コンテンツデータ部分D3#1〜#6をユーザに意識させないように、圧縮コンテンツデータ部分D3#1〜#6が1つのコンテンツデータとしてリスト上で表示されるように、HDD管理データ(いわゆるコンテンツリスト)を書き換えることが好ましい。
【0047】
なお、本動作例では、圧縮部142がコンテンツデータ部分D2#1〜#6の時間長が等しくなるようコンテンツデータD1を分割した上で、複数のコンテンツデータ部分D2#1〜#6のそれぞれを圧縮する一例を説明した。
【0048】
しかしながら、圧縮部142は、先頭のコンテンツデータ部分D2#1の時間長を他のコンテンツデータ部分D2(例えばコンテンツデータ部分D2#2)よりも短くするよう分割した上で、複数のコンテンツデータ部分D2#1〜#6のそれぞれを圧縮してもよい。例えば、コンテンツデータ部分D2#1の時間長を5秒とし、コンテンツデータ部分D2#2〜#6のそれぞれの時間長を1分とする。
【0049】
(2.2)通常再生時動作
次に、通常再生時動作について説明する。図3(c)及び(d)は、チューナ内蔵HDDレコーダ100の通常再生時動作を説明するための動作説明図である。
【0050】
図3(c)及び(d)に示すように、解凍部144は、HDD150に記憶されている、1つのコンテンツデータD1に対応する圧縮コンテンツデータ部分D3#1〜#6の再生をユーザ操作により指示された場合に、圧縮コンテンツデータ部分D3#1〜#6を先頭の圧縮コンテンツデータ部分D3#1から順次解凍する(ステップS4)。
【0051】
また、再生部145は、解凍部144によって得られる解凍コンテンツデータ部分D4#1〜#6を先頭の解凍コンテンツデータ部分D4#1から順次再生する(ステップS5)。
【0052】
再生部145は、圧縮コンテンツデータ部分D3#1〜#6の全てに対する解凍が完了する前に、先頭の解凍コンテンツデータ部分D4#1の再生を開始する。
【0053】
具体的には、再生部145は、圧縮コンテンツデータ部分D3#1の解凍直後に解凍コンテンツデータ部分D4#1の再生を開始する。すなわち、再生部145は、圧縮コンテンツデータ部分D3#1〜#6のうち先頭の圧縮コンテンツデータ部分D3#1が解凍された後であって、残りの圧縮コンテンツデータ部分D3#2〜#6の解凍が開始される前又は残りの圧縮コンテンツデータ部分D3#2〜#6の解凍中に、解凍コンテンツデータ部分D4#1の再生を開始する。
【0054】
本実施形態では、再生部145は、先頭の圧縮コンテンツデータ部分D3#1が解凍された後であって、解凍部144による圧縮コンテンツデータ部分D3#2の解凍開始時に、解凍コンテンツデータ部分D4#1の再生を開始する。
【0055】
これにより、圧縮コンテンツデータ部分D3#2の解凍と解凍コンテンツデータ部分D4#1の再生とが平行して行われる。
【0056】
また、再生部145が先頭の解凍コンテンツデータ部分D4#1を再生中に、解凍部144が2番目の圧縮コンテンツデータ部分D3#2を解凍して2番目の解凍コンテンツデータ部分D4#2を得ることで、再生部145は、先頭の解凍コンテンツデータ部分D4#1の再生終了と連続して2番目の解凍コンテンツデータ部分D4#2の再生を開始することができる。
【0057】
さらに、再生部145が2番目の解凍コンテンツデータ部分D4#2の再生中に、解凍部144が3番目の圧縮コンテンツデータ部分D3#3を解凍して3番目の解凍コンテンツデータ部分D4#3を得ることで、再生部145は、2番目の解凍コンテンツデータ部分D4#2の再生終了と連続して3番目の解凍コンテンツデータ部分D4#3の再生を開始することができる。
【0058】
(2.3)早送り再生又は巻き戻し再生時動作
次に、早送り再生又は巻き戻し再生時動作について説明する。図4は、チューナ内蔵HDDレコーダ100の早送り再生又は巻き戻し再生時動作を説明するための動作説明図である。
【0059】
図4に示すように、コンテンツデータ部分D2#1〜#6のそれぞれにおいて、複数の映像フレームのうち先頭の映像フレームF1は、静止画圧縮方式(例えばJPEG)により圧縮されている。
【0060】
解凍部144は、HDD150に記憶されている、コンテンツデータD1に対応する圧縮コンテンツデータ部分D3#1〜#6の早送り再生又は巻き戻し再生をユーザ操作により指示された場合に、HDD150に記憶されている圧縮コンテンツデータ部分D3#1〜#6のそれぞれの先頭の映像フレームF1のみを解凍する。先頭の映像フレームF1の解凍により静止画データが得られる。
【0061】
また、再生部145は、解凍部144が圧縮コンテンツデータ部分D3#1〜#6のそれぞれについて解凍した先頭の映像フレームF1(静止画データ)を再生する。これにより、早送り再生又は巻き戻し再生が実現される。
【0062】
(3)効果
以上説明したように、本実施形態に係るチューナ内蔵HDDレコーダ100よれば、HDD150に記憶されているコンテンツデータD1を圧縮コンテンツデータ部分D3#1〜#6に書き換えることによって、HDD150の空き容量を増やすことができる。
【0063】
また、圧縮コンテンツデータ部分D3#1の解凍直後に解凍コンテンツデータ部分D4#1の再生を開始することによって、先頭の解凍コンテンツデータ部分D4#1の再生を早期に開始することができるため、コンテンツ再生時における解凍待ち時間を短縮できる。
【0064】
したがって、本実施形態によれば、HDD150の空き容量を増やしつつ、コンテンツ再生時における解凍待ち時間を短縮可能なチューナ内蔵HDDレコーダ100を提供できる。
【0065】
本実施形態では、圧縮部142は、複数のコンテンツデータ部分D2#1〜#6のうち先頭のコンテンツデータ部分D2#1の時間長を他のコンテンツデータ部分D2(例えばコンテンツデータ部分D2#2)よりも短くするよう分割した上で、複数のコンテンツデータ部分D2#1〜#6のそれぞれを圧縮する。
【0066】
これにより、圧縮コンテンツデータ部分D3#1〜#6のうち先頭の圧縮コンテンツデータ部分D3#1を解凍部144が解凍する際の解凍時間を短縮することができ、コンテンツ再生時における解凍待ち時間をさらに短縮できる。
【0067】
本実施形態では、圧縮部142は、複数の映像フレームのうち先頭の映像フレームF1を静止画圧縮方式により圧縮する。そして、早送り再生又は巻き戻し再生が指示された場合に、解凍部144は、HDD150に記憶されている複数の圧縮コンテンツデータ部分D3#1〜#6のそれぞれの先頭の映像フレームF1のみを解凍し、再生部145は、解凍部144が複数の圧縮コンテンツデータ部分D3#1〜#6のそれぞれについて解凍した先頭の映像フレームF1を再生する。
【0068】
これにより、早送り再生や巻き戻し再生にも対応可能になり、ユーザの利便性が損なわれることを回避できる。
【0069】
(4)その他の実施形態
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0070】
(4.1)変更例1
上述した実施形態では、圧縮部142が、コンテンツデータ部分D2#1〜#6のうち先頭のコンテンツデータ部分D2#1の時間長を他のコンテンツデータ部分D2(例えばコンテンツデータ部分D2#2)よりも短くするよう分割した上で、コンテンツデータ部分D2#1〜#6のそれぞれを圧縮する一例を説明した。
【0071】
しかしながら、このような方法に限らず、圧縮部142は、コンテンツデータ部分D2#1〜#6のうち先頭のコンテンツデータ部分D2#1の圧縮を省略した上で、残りのコンテンツデータ部分D2#2〜#6のそれぞれを圧縮してもよい。
【0072】
これにより、先頭の圧縮コンテンツデータ部分D3#1に対する解凍を省略可能になり、先頭の解凍コンテンツデータ部分D4#1をそのまま再生できるため、コンテンツ再生時における解凍待ち時間をゼロにすることができる。
【0073】
そして、先頭の解凍コンテンツデータ部分D4#1の再生中に、2番目の圧縮コンテンツデータ部分D3#2を解凍して2番目の解凍コンテンツデータ部分D4#2を得ることで、先頭の解凍コンテンツデータ部分D4#1の再生終了と連続して2番目の解凍コンテンツデータ部分D4#2の再生を開始することができる。
【0074】
さらに、2番目の解凍コンテンツデータ部分D4#2の再生中に、3番目の圧縮コンテンツデータ部分D3#3を解凍して3番目の解凍コンテンツデータ部分D4#3を得ることで、2番目の解凍コンテンツデータ部分D4#2の再生終了と連続して3番目の解凍コンテンツデータ部分D4#3の再生を開始することができる。
【0075】
(4.2)変更例2
上述した実施形態では、圧縮部142が、コンテンツデータ部分D2#1〜#6のそれぞれについて、複数の映像フレームのうち先頭の映像フレームF1を静止画圧縮方式(例えばJPEG)により圧縮する一例を説明した。
【0076】
しかしながら、このような方法に限らず、圧縮部142は、コンテンツデータ部分D2#1〜#6のそれぞれについて、先頭の映像フレームF1に対する圧縮を省略してもよい。
【0077】
そして、再生部145は、早送り再生又は巻き戻し再生がユーザ操作により指示された場合に、HDD150に記憶されている圧縮コンテンツデータ部分D3#1〜#6のそれぞれの先頭の映像フレームF1のみを再生する。
【0078】
これにより、圧縮コンテンツデータ部分D3#1〜#6のそれぞれの先頭の映像フレームF1に対する解凍を省略可能になり、複数の先頭の映像フレームF1#1〜#6をそのまま再生できるため、早送り再生又は巻き戻し再生時における解凍待ち時間をゼロにすることができる。
【0079】
(4.3)他の適用例
上述した実施形態では、記録再生装置の一例としてのチューナ内蔵HDDレコーダ100を説明した。しかしながら、本発明は、チューナ内蔵HDDレコーダ100以外の記録再生装置にも適用可能である。
【0080】
図5は、本発明の記録再生装置のその他の実施形態であるNAS(Network Attached Storage)200のハードウェア構成を示すブロック図である。NAS200は、ネットワークに直接接続して使用されるサーバ装置である。
【0081】
NAS200は、自装置が再生するコンテンツデータを出力する1又は複数の出力端子201とを有する。出力端子201は、LANやWAN等のネットワークに接続される。NAS200は、ネットワークに接続されるクライアント装置に対するユーザ操作に応じて遠隔操作される。
【0082】
NAS200は、CPU240と、CPU240に接続されるHDD250と、CPU240に接続されるネットワーク通信部260とを有する。CPU240には、CPU240が実行する制御プログラムを記憶するフラッシュメモリ231と、CPU240の作業領域として使用されるDRAM232とが接続される。
【0083】
CPU240は、コンテンツデータを圧縮、解凍、及び再生する機能と、NAS200全体を制御する機能とを有する。具体的には、CPU240は、図2に示した不使用時間特定部141、圧縮部142、書き換え部143、解凍部144、及び再生部145のそれぞれの機能を提供する。
【0084】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0085】
10…アンテナ、20…リモコン、100…チューナ内蔵HDDレコーダ、101…入力端子、102…出力端子、110…チューナ部、120…受光部、131…フラッシュメモリ、140…CPU、141…不使用時間特定部、142…圧縮部、143…書き換え部、144…解凍部、145…再生部、150…HDD、160…映像・音声出力部、200…NAS、201…出力端子、231…フラッシュメモリ、232…DRAM、240…CPU、250…HDD、260…ネットワーク通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツデータを記憶する記憶部を用いて構成される記録再生装置であって、
前記記憶部に記憶されている前記コンテンツデータを所定時間単位で分割することで得られる複数のコンテンツデータ部分を圧縮する圧縮部と、
前記記憶部に記憶されている前記コンテンツデータを、前記圧縮部によって得られる複数の圧縮コンテンツデータ部分に書き換える書き換え部と、
前記記憶部に記憶されている前記複数の圧縮コンテンツデータ部分を順次解凍する解凍部と、
前記解凍部によって得られる複数の解凍コンテンツデータ部分を先頭の解凍コンテンツデータ部分から順次再生する再生部とを具備し、
前記再生部は、前記解凍部により一の解凍コンテンツデータ部分が得られたことを検知すると、前記一の解凍コンテンツデータ部分を再生することを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
前記圧縮部は、前記複数のコンテンツデータ部分のうち先頭のコンテンツデータ部分の時間長を他のコンテンツデータ部分よりも短くするよう分割した上で、前記複数のコンテンツデータ部分のそれぞれを圧縮することを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項3】
前記再生部は、前記複数の圧縮コンテンツデータ部分のうち先頭の圧縮コンテンツデータ部分が解凍された後であって、残りの圧縮コンテンツデータ部分の解凍が開始される前又は前記残りの圧縮コンテンツデータ部分の解凍中に、前記先頭の解凍コンテンツデータ部分の再生を開始することを特徴とする請求項1又は2に記載の記録再生装置。
【請求項4】
前記圧縮部は、前記複数のコンテンツデータ部分のうち先頭のコンテンツデータ部分の圧縮を省略した上で、残りのコンテンツデータ部分のそれぞれを圧縮することを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項5】
前記複数のコンテンツデータ部分のそれぞれは、複数の映像フレームを含み、
前記圧縮部は、前記複数の映像フレームのうち特定の映像フレームを静止画圧縮方式により圧縮しており、
早送り再生又は巻き戻し再生がユーザ操作により指示された場合に、
前記解凍部は、前記記憶部に記憶されている前記複数の圧縮コンテンツデータ部分のそれぞれの前記特定の映像フレームのみを解凍し、
前記再生部は、前記解凍部が前記複数の圧縮コンテンツデータ部分のそれぞれについて解凍した前記特定の映像フレームを再生することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の記録再生装置。
【請求項6】
前記複数のコンテンツデータ部分のそれぞれは、複数の映像フレームを含み、
前記圧縮部は、前記複数の映像フレームのうち特定の映像フレームに対する圧縮を省略しており、
早送り再生又は巻き戻し再生がユーザ操作により指示された場合に、前記再生部は、前記記憶部に記憶されている前記複数の圧縮コンテンツデータ部分のそれぞれの前記特定の映像フレームのみを再生することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の記録再生装置。
【請求項7】
記憶部に記憶されているコンテンツデータに対するコンテンツ処理方法であって、
前記記憶部に記憶されている前記コンテンツデータを所定時間単位で分割するステップと、
前記分割するステップによって得られる複数のコンテンツデータ部分を圧縮するステップと、
前記記憶部に記憶されている前記コンテンツデータを、前記圧縮するステップによって得られる複数の圧縮コンテンツデータ部分に書き換えるステップと、
前記記憶部に記憶されている前記複数の圧縮コンテンツデータ部分を順次解凍するステップと、
前記解凍するステップによって得られる複数の解凍コンテンツデータ部分を先頭の解凍コンテンツデータ部分から順次再生するステップとを具備し、
前記再生するステップでは、前記解凍するステップにより一の解凍コンテンツデータ部分が得られたことを検知すると、前記一の解凍コンテンツデータ部分を再生することを特徴とするコンテンツ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−15713(P2012−15713A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149100(P2010−149100)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】