説明

記録再生装置

【課題】
本発明の課題は、複数のデバイスを有する記録再生装置において、消費電力を低減することに関する。
【解決手段】
第一のデバイスは、ホスト装置との接続部を有し、ホスト装置とデータ転送を行う。また、第二のデバイスは、第一のデバイスと一時記録領域を共有し、その記録領域を介すことで、第一のデバイスと第二のデバイス間のデータ転送を行う。第二のデバイスがホスト装置とデータの転送をする場合、第一のデバイスと共有している一時記録領域と、第一のデバイスの接続部を利用することでデータ転送を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスクドライブや光ディスクドライブ、ソリッドステートドライブなど記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2007−4707号公報(特許文献1)がある。該公報には、ホスト装置が一つのシリアルインタフェースを介して複数のデバイスをアクセスすることが可能なインタフェース装置を実現すること、を課題として掲げており、その解決手段として、各デバイスに外部デバイスとの接続を可能にするシリアルATAに準拠したインタフェースを搭載してデバイス同士を接続し、接続した全デバイスの記録領域の総容量からアドレスマップ情報を生成することで、ホスト装置はそのうちの一つのデバイスとの接続により、他の全デバイスにもアクセスを可能にする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】公開番号 特開2007-4707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、パーソナルコンピュータ(以下、PC)と周辺機器(デバイス)の接続にシリアルATA規格に準拠したインタフェースが多々用いられている。PCに複数のデバイスを接続する場合、PCはデバイス毎にシリアルATAインタフェースを必要とする。また、各デバイスにもインタフェース部が搭載されていることが必要なため、複数のデバイスを接続するとインタフェース部だけで消費電力が増大する。
上述した背景技術では、ホスト装置が一つのシリアルインタフェース部を介して複数のデバイスとデータ転送を行う技術が記載されているが、各デバイスに、デバイス間を接続するためのシリアルATAに準拠した新たなインタフェースを追加で搭載する必要があり、消費電力が増大する。
また、シリアルATA規格にはポートマルチプライヤという機能がある。ポートマルチプライヤとは、一つのポートに複数台のシリアルATAインタフェースを搭載したデバイスを接続する機能である。これを用いることで、複数台のデバイスをホスト装置に接続する際に、ホスト装置にはシリアルATAインタフェースが一つでよい。しかし、各デバイスにはシリアルATAインタフェースが必要となり、やはり消費電力が増大する。
本発明は、複数のデバイスを有する記録再生装置において、消費電力の低減を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一のデバイスは、ホスト装置との接続部を有し、ホスト装置とデータ転送を行う。また、第二のデバイスは、第一のデバイスと一時記録領域を共有し、その記録領域を介すことで、第一のデバイスと第二のデバイス間のデータ転送を行う。第二のデバイスがホスト装置とデータの転送をする場合、第一のデバイスと共有している一時記録領域と、第一のデバイスの接続部を利用することでデータ転送を行う。
【発明の効果】
【0006】
複数のデバイスを有する記録再生装置において、低消費電力化を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】記録再生装置のブロック図である。
【図2】第一のデバイスとホスト装置間のデータの流れを示す図である。
【図3】第二のデバイスとホスト装置間のデータの流れを示す図である。
【図4】3個のデバイスを搭載した記録再生装置を示す図である。
【図5】記録再生装置に搭載されている複数のドライブを、ドライブ毎に区別してユーザに示すための具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は本発明の第一の実施例を示す記録再生装置のブロック図である。初めに、ブロック図で示す構成について説明する。000は上位装置であるホスト装置を示す。記録再生装置100は、不揮発性メモリドライブ(ソリッドステートドライブ:以下、SSD)200と光ディスクドライブ(以下、ODD)400及びSSD200とODD400が共有する記録領域であるSDRAM300から構成されている。SSD200はSSDコントローラ201と記録媒体であるフラッシュメモリ208から構成されており、SSDコントローラ201は、シリアルATAインタフェース202、CPU203、バス204、フラッシュメモリインタフェース205、CPU202用のメモリ206、DRAMインタフェース207から構成されている。ODD400は、ODD用信号処理部401及び記録媒体としてODD400に装填されたディスク408で構成されている。なお、サーボ系回路及びスピンドルモータなどは図の簡略化のため省略している。ODD用信号処理部401は、CPU402、CPU402用のメモリ403、バス404、DRAMインタフェース405、復変調部406、光ピックアップ407から構成されている。なお、図の矢印は各ユニット間のデータ通信を示している。また、CPU203はSSDコントローラ201を、CPU402はODD信号処理部401を制御する。
【0010】
次に、ホスト装置000と記録再生装置100間のデータ転送を行う場合のコマンド通信について説明する。なお、コマンド通信によって、ホスト装置000と記録再生装置100間で、デバイスの選択、転送モードの設定、デバイスの状態確認などを行う。
【0011】
ホスト装置000と記録再生装置100間のデータ転送は、シリアルATAインタフェース202を介して行う。転送はシリアルATA規格に準拠した手順で行う。ホスト装置000から各デバイスにアクセスする場合、ホスト装置000が発行したコマンドを、シリアルATAインタフェース202を介してCPU203は受信し、受信したコマンドがSSD200に対するコマンドか、ODD400に対するコマンドかを識別する。SSD200に対するコマンドであれば、CPU203は受信したコマンドによってSSD200の動作を決定する。CPU203が受信したコマンドが、ODD400に対するコマンドであれば、CPU203は、ODD400のCPU402へとコマンドを通知する。CPU402は受信したコマンドによってODD400の動作を決定する。
【0012】
逆に、ODD400からホスト装置000へアクセスする場合は、ODD400のCPU402からSSD200のCPU203へとコマンドの通知を行い、CPU203からシリアルATAインタフェース202を介してホスト装置000へと通知を行う。
【0013】
なお、コマンド通信に関して、上述したように各デバイスのCPU間で行うのではなく、次のような手法も考えられる。
【0014】
SDRAM300にシリアルATAコマンドを格納する領域を確保し、この領域を介してコマンド通信を行う。例えば、ホスト装置000がODD400とデータ転送をする場合、ホスト装置000から発行されたコマンドをCPU203が受信し、ODD400に対するコマンドだと識別すると、CPU203はSDRAM300の記録領域にコマンドを記録する。CPU203はCPU402にホスト装置000からアクセス要求が来たことを通知する。これにより、ODD400はSDRAM300に記録されたコマンドを参照し、ODD400の動作を設定する。
【0015】
以上、説明した手法により、ホスト装置000とSSD200あるいはホスト装置000とODD400間でのコマンド通信が可能である。
【0016】
次に、ホスト装置000と記録再生装置100間のデータ転送のうち、ホスト装置000とSSD200間でのデータ転送について説明する。なお、データの流れる経路に関しては、図2に点線で示す。
【0017】
ホスト装置000からSSD200にデータを転送する場合、シリアルATAインタフェース202を介してデータ転送を行う。ホスト装置000から転送されたデータは、DRAMインタフェース207を経由して一時記録領域であるSDRAM300に記録される。そして、フラッシュメモリインタフェース205を経由して記録媒体であるフラッシュメモリ208へとデータを書き込む。
【0018】
SSD200からホスト装置000にデータを転送する場合は、上述した手順と逆の手順で行う。
【0019】
次に、ホスト装置000と記録再生装置100間のデータ転送のうち、ホスト装置000とODD400間でのデータ転送について説明する。なお、データの流れる経路に関しては、図3に点線で示す。ホスト装置000からODD400にデータを転送する場合、シリアルATAインタフェース202を経由してデータ転送を行う。ホスト装置000から転送されたデータは、DRAMインタフェース207を経由して一時記録領域であるSDRAM300に記録される。データがSDRAM300に記録されると、CPU203はSDRAM300にデータが記録されたことをCPU402に通知する。通知を受けると、ODD400はSDRAM300に蓄えられたデータをDRAMインタフェース405を経由して受信し、復変調部406に送る。復変調部406では、送られてきたデータをディスク408に書き込む形式に変調し、そして、光ピックアップ407にてディスク408へとデータを書き込む。
【0020】
ODD400からホスト装置000にデータを転送する場合は、光ピックアップ407がディスク408のデータを読み出し、復変調部406にて復調する。そして、ホスト装置000からデータを転送する場合と逆の手順で、SDRAM300及びシリアルATAインタフェース202を介してホスト装置000へとデータを転送する。
【0021】
上記方法により、複数のデバイスを有する記録再生装置において、ホストとの通信部であるシリアルATAインタフェースは一つで済む。また、各デバイス間のデータ転送も、共有するSDRAMを介すため、新たなシリアルATAインタフェースが不要となり、低消費電力化が可能である。
【0022】
なお、上記実施例では、記録再生装置が二つのデバイスを搭載している場合について記載したが、記録再生装置が3個以上のデバイスを搭載していても良い。図4に記録再生装置が3個のデバイスを搭載する場合の具体例の一つを示す。000は上位装置であるホスト装置を示し、500は記録再生装置を示す。記録再生装置500には第一のデバイス600、第二のデバイス700、第三のデバイス800の3個のデバイスが搭載されている。なお図4では、ホスト装置000及び各デバイス間の接続あるいは通信に必要な要素以外は、図の簡略化のため省略して記載する。第一のデバイス600及び第二のデバイス700がホスト装置000とデータ転送を行う場合、上述した実施例と同様に行う。第三のデバイス800がホスト装置000とデータの転送を行う場合も、第二のデバイス700がホスト装置000とデータ転送を行う場合と同様に共有するメモリ領域である、SDRAM900と第一のデバイス600のシリアルATAインタフェース601を介して行う。これにより、記録再生装置に3個以上のデバイスが接続された場合でも、ホスト装置との接続部は一つとなり、消費電力の低減が可能である。なお、図4では、3個のデバイスが一つのSDRAM900を共有している場合を示したが、各デバイスをカスケード接続のように接続し、隣り合うデバイス毎に共有する記録領域を搭載しても良い。また、各CPU間でコマンドの受け渡しを行う場合、幾つかのCPUを介して行っても良い。
【実施例2】
【0023】
ホスト装置000と記録再生装置100を接続し、ホスト装置000にSSD200とODD400の二つのデバイスを認識させる方法について説明する。記録再生装置100がホスト装置000に接続され、ホスト装置000から、接続されているデバイス数及びデバイスの状態などの接続されているデバイスに関する情報の取得要求を受けると、記録再生装置100はシリアルATAインタフェース202を介して、接続されているデバイス数及びSSD200、ODD400の情報をシリアルATA規格に準じた通信プロトコルにて、ホスト装置000に通知する。例えば、シリアルATA規格にあるポートマルチプライヤ機能で定められているコマンドやデータの通信プロトコルに則って、二つのデバイス(SSD200及びODD400)の情報をホスト装置000に通知する。これにより、ホスト装置000には、ポートマルチプライヤ機能を持つデバイスが接続されており、そのデバイスには二つのデバイスであるSSD200とODD400が接続されていると認識させることができる。あるいは、別のシリアルATA規格のコマンドやデータの通信プロトコルに則って、二つのデバイスの情報をホスト装置000に通知し、認識させても良いし、独自の通信手段を用いて各デバイスの存在及び情報を通知し、ホスト装置000に二つのデバイスを認識させても良い。なお、SSD200及びODD400に関する情報等の取得は、実施例1で示したようにシリアルATAインタフェース202を介して行う。
【0024】
上記方法により、ホスト装置000は、記録再生装置100に搭載されたデバイスSSD200とODD400を区別して認識することができ、ユーザに対しても、二つのデバイスが個別で接続されているように表示することができる。例えば図5のようにウィンドウ画面1000に各ドライブを1001、1002のようにアイコン表示することで、記録再生装置自体は、SSD200とODD400が一体となっていても、ユーザには個別に接続された二つのドライブがあるかのように表示することができ、ユーザにとって各ドライブが認識可能となる。
【実施例3】
【0025】
ホスト装置000を介さない各デバイス間のデータ転送について説明する。例えば、SSD200に記録されたデータをODD400にコピーする場合、ホスト装置000から記録再生装置100がコピー要求を受けた場合、SSD200のフラッシュメモリ208に記録されたデータはフラッシュメモリインタフェース205及びDRAMインタフェース207を経由し、SDRAM300に記録される。データがSDRAM300に記録されると、CPU203はSDRAM300にデータが記録されたことをCPU402に通知する。通知を受けるとODD400は、SDRAM300に記録されたデータをDRAMインタフェース405を経由して受信する。そして、復変調部406にてデータを変調し、光ピックアップ407にてディスク408にデータを記録する。
【0026】
上記方法により、SSD200にあるデータを、ホストを介さずにODD400にてディスク408にコピーすることが可能となる。
【0027】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、実施例1では、SSD200にシリアルATAインタフェース202を搭載したが、SSD200ではなく、ODD400にシリアルATAインタフェースを搭載し、このインタフェースを介して各ドライブがホスト装置000とデータ転送を行っても良い。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、様々な発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0028】
000 ホスト装置(上位装置)
100 記録再生装置
200 ソリッドステートドライブ(SSD)
201 ソリッドステートドライブ用コントローラ
202 シリアルATAインタフェース
203 CPU
204 バス
205 フラッシュメモリインタフェース
206 メモリ
207 DRAMインタフェース
208 フラッシュメモリ
300 SDRAM
400 光ディスクドライブ(ODD)
401 光ディスクドライブ用信号処理部
402 CPU
403 メモリ
404 バス
405 DRAMインタフェース
406 復変調部
407 光ピックアップ
408 ディスク
500 記録再生装置
600 第一のデバイス
601 シリアルATAインタフェース
602 CPU
603 DRAMインタフェース
700 第二のデバイス
701 CPU
702 DRAMインタフェース
800 第三のデバイス
801 CPU
802 DRAMインタフェース
900 SDRAM
1000 ウィンドウ
1001 SSDアイコン
1002 ODDアイコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの書き込み及び読み出しが可能である複数のデバイスを有する記録再生装置であって、
前記複数のデバイスは、各デバイス間で一時記録領域を共有し、前記一時記録領域を介して前記各デバイス間でのデータ転送を行い、
前記複数のデバイスのうち第一のデバイスは、上位装置との接続部を有し、前記上位装置とのデータ転送を行い、
前記複数のデバイスのうち前記第一のデバイス以外の他のデバイスは、前記第一のデバイスの前記接続部と、前記一時記録領域を介して前記上位装置とのデータ転送を行うことを特徴とした記録再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録再生装置であって、
前記記録再生装置が有する前記複数のデバイスの数が二個であることを特徴とした記録再生装置。
【請求項3】
請求項1または2いずれか一項に記載の記録再生装置であって、
前記上位装置を介さずに、前記記録再生装置に搭載した各デバイス間のデータ転送を行うことを特徴とする記録再生装置。
【請求項4】
請求項2または3いずれか一項に記載の記録再生装置であって、
前記第一のデバイスがソリッドステートドライブであり、
前記他のデバイスが光ディスクドライブであることを特徴とする記録再生装置。
【請求項5】
請求項2または3いずれか一項に記載の記録再生装置であって、
前記第一のデバイスが光ディスクドライブであり、
前記他のデバイスがソリッドステートドライブであることを特徴とする記録再生装置。
【請求項6】
請求項1から5いずれか一項に記載の記録再生装置であって、
前記上位装置に接続した際に、前記複数のデバイスが接続されていることを前記上位装置に通知することを特徴とする記録再生装置。
【請求項7】
請求項6に記載の記録再生装置であって、
前記上位装置と前記接続部をシリアルATA規格に準拠したプロトコルで接続した際に、前記上位装置に、前記複数のデバイスが、ポートマルチプライヤ機能によって前記上位装置と接続されているように通知することを特徴とする記録再生装置。
【請求項8】
請求項1から7いずれか一項に記載の記録再生装置であって、
前記第一のデバイスと前記他のデバイス間、あるいは前記ホスト装置と前記他のデバイス間でデータの転送を行う際に、
前記第一のデバイスのCPUと前記他のデバイスのCPU間でデータ転送に必要なコマンドの通信を行い、
前記一時記録領域でデータの転送を行うことを特徴とした記録再生装置。
【請求項9】
請求項2から7いずれか一項に記載の記録再生装置であって、
前記第一のデバイスと前記他のデバイス間、あるいは前記ホスト装置と前記他のデバイス間でデータの転送を行う際に、
前記共有する一時記録領域でデータの転送に必要なコマンドの転送及び、データの転送を行うことを特徴とした記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−23089(P2011−23089A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169694(P2009−169694)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】