説明

記録媒体の被覆装置

【課題】 複数種類の記録媒体を用いる場合においても、被覆後の記録媒体の品質の低下を防止することが可能な記録媒体の被覆装置を提供する。
【解決手段】 重ね合わせて供給される記録媒体A及び被覆シートBを両面から加熱及び圧着して記録媒体Aの表面に被覆層を形成する加熱圧着手段8と、加熱圧着手段8に記録媒体Aを供給する記録媒体供給手段1と、加熱圧着手段8に被覆シートBを供給する被覆シート供給手段6aと、記録媒体供給手段1により供給される記録媒体Aの種類を検出する媒体種類検出手段18と、媒体種類検出手段18による検出結果に基づいて、加熱圧着手段8により与える熱量を調節する制御を行う制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、写真プリント等の画像が記録された記録媒体の表面に被覆シートを重ね合わせて供給し、加熱圧着手段により加熱及び圧着させて前記記録媒体の表面に被覆層を形成する記録媒体の被覆装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式や熱転写記録方式といった記録方式は、その記録装置(プリンタ)や記録媒体(記録紙等)に対して様々な改良が加えられてきた結果、銀塩カラ−写真に匹敵する画質が得られるようになり、近年、デジタルカメラで撮影した画像情報やスキャナ等で取り込んだ画像情報等をハードコピーする技術として多用されている。これらの記録方式の利用の拡大に伴い、これらの記録方式で記録された画像の耐水性や耐光性等の向上、或いは画像の記録面の美しさの向上が重要な課題となってきている。
【0003】
そこで、記録媒体に記録された画像を保護し、品質を向上させる技術として、画像記録後の記録媒体の記録面にラミネート加工を施して保護する技術が知られている。このような技術の一例を以下に示す。すなわち、ロール状に巻き取られた長尺の記録媒体(記録紙)を、切断することなく一定の速度で搬送しつつインクジェット記録ヘッドにより画像を記録する。次に、この記録媒体を一定の速度で搬送しつつその記録面に対向させて台紙上にラミネート材が剥離可能に形成された長尺のラミネートシートを供給搬送する。そして、記録媒体とラミネートシートとを重ね合わせた状態で圧着ローラ対により加熱及び圧着させることにより、記録媒体の記録面上に連続的にラミネート材を転写する。その後、ラミネートシートの台紙のみを剥離することにより、記録媒体の記録面上にラミネート加工が施される。そして、ラミネート加工が施された記録媒体は、記録面に形成された画像の切れ目において順次カッターにより切断され、画像毎に分離された状態で排出される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この従来の技術では、圧着ローラ対による記録媒体へのラミネートシートの加熱及び圧着を常時一定の状態で行うために、圧着ローラ対の内部の加熱体の温度を検知する感温素子を配置し、この感温素子からの出力に基づいて加熱体の温度を一定に保つ制御を行っている。
【0005】
【特許文献1】特開昭58−224779号公報(第1−4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、プリント紙等の記録媒体には、サイズや表面状態としての光沢の程度等について様々な種類があり、このような記録媒体の種類毎に適切な加熱量が異なることになる。このような場合に、常時一定の温度で加熱及び圧着を行うと、被覆後のラミネート材の表面の光沢が低下し、或いはラミネート材の密着性が低下する等、被覆後の記録媒体の品質が低下する可能性がある。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数種類の記録媒体を用いる場合においても、被覆後の記録媒体の品質の低下を防止することが可能な記録媒体の被覆装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る記録媒体の被覆装置の特徴構成は、重ね合わせて供給される記録媒体及び被覆シートを両面から加熱及び圧着して前記記録媒体の表面に被覆層を形成する加熱圧着手段と、前記加熱圧着手段に前記記録媒体を供給する記録媒体供給手段と、前記加熱圧着手段に前記被覆シートを供給する被覆シート供給手段と、前記記録媒体供給手段により供給される前記記録媒体の種類を検出する媒体種類検出手段と、前記媒体種類検出手段による検出結果に基づいて、前記加熱圧着手段により与える熱量を調節する制御を行う制御手段と、を備える点にある。
【0009】
この特徴構成によれば、記録媒体の種類を検出し、加熱圧着手段が当該検出された記録媒体の種類に適した熱量を与えるように自動的に調節する制御を行うことができるので、複数種類の記録媒体を用いる場合においても、被覆後の記録媒体の品質の低下を防止することができる。
【0010】
ここで、前記媒体種類検出手段は、前記記録媒体のサイズ及び記録面の状態の一方又は双方を検出するセンサを備える構成とすると好適である。
【0011】
また、上記特徴構成において、前記制御手段は、前記加熱圧着手段における加熱温度、圧着力、並びに、前記記録媒体及び前記被覆シートの搬送速度のいずれか一つ以上の値を調節することにより、前記加熱圧着手段により与える熱量を調節する制御を行うことができる。
【0012】
また、前記制御手段は、前記記録媒体の種類に対して適切な前記加熱圧着手段における加熱温度、圧着力、並びに、前記記録媒体及び前記被覆シートの搬送速度のいずれか一つ以上の値を定めるための所定の関係式又はテーブルを備えており、前記媒体種類検出手段により検出される前記記録媒体の種類と前記関係式又はテーブルとに基づいて前記値の調節範囲を決定する構成とすると好適である。
【0013】
この特徴構成によれば、媒体種類検出手段により検出された記録媒体の種類に応じて容易に適切な前記加熱圧着手段における加熱温度、圧着力、並びに、前記記録媒体及び前記被覆シートの搬送速度のいずれか一つ以上の値を定めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
〔第1の実施形態〕
以下に、本発明の第1の実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る被覆装置の全体構成を示す断面図である。この図に示すように、本実施形態に係る被覆装置においては、記録紙Aは記録媒体供給機構1から装置本体内に供給される。そして、この装置本体内では、記録紙Aは、図1における略水平方向に設けられた搬送経路Lに沿って搬送されつつその表面に被覆シートBが重ね合わせられて圧着され、その表面に被覆層が形成される。この際、記録紙Aは画像が記録された記録面を上として搬送され、被覆装置はこの記録面に対して被覆層を形成する構成となっている。そして被覆層が形成された後の記録紙Aは排出トレイ13に排出される。本実施形態においては、この記録紙Aが本発明における「記録媒体」に相当する。
【0015】
まず、本実施形態に係る記録媒体供給機構1の構成について説明する。図2は、記録媒体供給機構1の構成を示す断面図である。この図2に示すように、本実施形態においては、記録媒体供給機構1は、記録紙Aを案内する供給ガイド2と、記録紙Aの先端位置の規制及び記録紙Aの搬送を行う規制ローラ対3と、記録紙Aを装置本体内へ搬送する搬送ローラ対4と、供給ガイド2上に載置された記録紙Aの先端を検知する先端検知センサ5と、を有して構成されている。本実施形態においては、この記録媒体供給機構1が本発明における「記録媒体供給手段」に相当する。
【0016】
供給ガイド2は、記録紙Aを、規制ローラ対3のニップ部3aに案内し、及び規制ローラ対3のニップ部3aから搬送ローラ対4のニップ部4aに案内するためのガイドである。ここでは、供給ガイド2は、規制ローラ対3の上流側の水平面に対して傾斜した傾斜案内面2aと、規制ローラ対3の下流側の略水平な水平案内面2bとを有する形状に形成されている。また、供給ガイド2は、傾斜案内面2a及び水平案内面2bの幅方向両側縁部において記録紙Aの載置面側に突出して形成された記録紙Aの幅方向ガイド2cを有する。
【0017】
規制ローラ対3は、供給ガイド2の傾斜案内面2a上に載置された記録紙Aの先端位置の規制及び記録紙Aの搬送を行うローラ対である。ここでは、記録紙Aの供給方向に回転駆動される駆動ローラ3bと、この駆動ローラ3bに対向して設けられ、駆動ローラ3bの回転に従動して回転する従動ローラ3cと、駆動ローラ3bを回転駆動する規制ローラ駆動機構3d(図3参照)とを有している。なお、この規制ローラ対3は、供給ガイド2の幅以上の軸方向長さを有する。
【0018】
搬送ローラ対4は、規制ローラ対3の下流側に配置され、規制ローラ対3を通過した記録紙Aを装置本体内へ搬送するローラ対である。ここでは、記録紙Aの供給方向に回転駆動される駆動ローラ4bと、この駆動ローラ4bに対向して設けられ、駆動ローラ4bの回転に従動して回転する従動ローラ4cと、駆動ローラ4bを回転駆動する図示しない搬送ローラ駆動機構とを有している。
【0019】
先端検知センサ5は、規制ローラ対3の上流側における規制ローラ対3の近傍位置に配置され、当該位置において供給ガイド2上に載置された記録紙Aの有無を検知するセンサである。この先端検知センサ5としては、供給ガイド2の傾斜案内面2aに設けられた検知穴2dを通して供給ガイド2上の記録紙Aを検知する反射型の光センサ等が好適に用いられる。なお、この先端検知センサ5は、幅の狭い記録紙Aが供給ガイド2の幅方向に複数枚載置される場合があることを考慮して、規制ローラ対3の軸方向に沿って、複数個配置されると好適である。
【0020】
そして、この記録媒体供給機構1では、規制ローラ対3は先端検知センサ5による検知結果に基づいて回転又は停止の動作を行う。具体的には、規制ローラ対3は、先端検知センサ5が記録紙Aを検知していない状態では停止しており、先端検知センサ5が記録紙Aを検知してから所定時間後、例えば1〜2秒後に回転を開始し、先端検知センサ5が記録紙Aを検知しなくなってから所定時間後、例えば3〜5秒後に回転を停止する。これにより、供給ガイド2に載置された記録紙Aは、その先端が停止している規制ローラ対3のニップ部3aに当接することにより、記録紙Aの先端を構成する辺が規制ローラ対3に平行になるように規制されるので、記録紙Aが傾いて搬送されることを防止できる。なお、この規制ローラ対3の動作制御は、制御部15による制御信号に基づいて行われ、制御部15は、先端検知センサ5からの検知信号に基づいて規制ローラ対3の規制ローラ駆動機構3d(図3参照)への制御信号を出力する。
【0021】
また、本実施形態に係る被覆装置は、複数種類の記録紙Aが使用できるように構成されている。このような記録紙Aの種類は、具体的には、様々なサイズや、光沢か半光沢か等といった記録面の状態が異なるものがあることによって生じる。そこで、被覆装置は、記録媒体供給機構1の供給ガイド2に載置された記録紙Aの種類を検出する媒体種類検出装置18を備えている。
【0022】
ここでは、媒体種類検出装置18は、図1及び図2に示すように、供給ガイド2に載置された記録紙Aのサイズを検出するための媒体サイズ検出センサ18aと、記録紙Aの記録面の状態が光沢か半光沢かを検出するための媒体表面検出センサ18bとを有して構成されている。具体的には、媒体サイズ検出センサ18aは、供給ガイド2の傾斜案内面2aに設けられた検知穴2eを通して供給ガイド2上の記録紙Aの有無を検知することができる反射型の光センサを、供給ガイド2の傾斜案内面2a上に載置された記録紙Aの複数種類の幅及び長さを検知可能な位置に複数配置して構成している。また、媒体表面検出センサ18bは、供給ガイド2の傾斜案内面2a上に載置された記録紙Aの記録面からの反射光を受光可能な位置に反射型の光センサを配置し、反射光の強さにより記録紙Aの記録面の状態が光沢か半光沢かを検知できるように構成している。よって、本実施形態においては、この媒体種類検出装置18が、本発明における「媒体種類検出手段」を構成する。後述するように、制御部15は、この媒体種類検出装置18により検出された記録紙Aのサイズ及び記録面の状態に基づいて、第1加熱圧着機構8及び第2加熱圧着機構10により与える熱量を調節する制御を行う。
【0023】
次に、被覆装置の装置本体内の構成について説明する。本実施形態においては、図1に示すように、この装置本体内には、被覆シートBを搬送する被覆シート搬送機構6と、補助シートEを搬送する補助シート搬送機構7と、記録媒体供給機構1により供給された記録紙Aの記録面側に被覆シートBを、裏面側に補助シートEを、それぞれ重ね合わせた状態で両面から加熱及び圧着を行う第1加熱圧着機構8と、記録紙Aの搬送経路Lと被覆シートBの搬送経路とを分岐させる第1分岐ガイド9と、被覆シートBの基材Cが分離されて被覆層Fが形成された後の記録紙Aと補助シートEとに対して両面から更に加熱及び圧着を行う第2加熱圧着機構10と、記録紙Aの搬送経路Lと補助シートEの搬送経路とを分岐させる第2分岐ガイド11と、補助シートEが分離された後の記録紙Aを排出トレイ13に排出する排出機構14と、が設けられている。そして、これらの各構成は、本体フレーム12により一体的に支持されている。
【0024】
本実施形態に係る被覆装置において用いられる被覆シートBは、図4に示すように、基材Cと、この基材Cの一方の面に設けられた剥離可能な転写層Dとを備えている。この転写層Dは、記録紙Aの記録面に転写されて被覆層Fを形成する部分であり、基材C上に設けられ、記録紙Aの記録面を保護するための主要な役割を果たす保護層D1と、この保護層D1の外側に設けられ、保護層D1を記録紙Aの記録面に対して接着するための接着層D2とを有して構成されている。また、ここでは、これらの保護層D1と接着層D2との結合状態を保つために、これらの間にアンカー層D3を設けている。
【0025】
被覆シートBの転写層Dは、図5及び図6に示すように、記録紙Aの記録面を保護する被覆層となるので、記録紙Aとの密着性に優れ、透明性が高く、熱や光で変色し難く、化学的・物理的バリヤ性に優れていることが好ましい。そこで、保護層D1には、例えば、アクリル系樹脂や酢酸ビニル系樹脂等を用いると好適である。また、ここでは、後述するように第1加熱圧着機構8において記録紙Aを間に挟んだ被覆シートBと補助シートEとを両面から加熱するとともに加圧して圧着させる構成としているので、接着層D2には、透明性を有し、加熱することで接着力を発揮する、例えばポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂を用いると好適である。被覆シートBの基材Cは、後述する第1加熱圧着機構8における加熱及び加圧条件下で形状を安定して維持できるような耐熱性及び機械的強度と、転写層Dからの良好な剥離性を備えていることが好ましい。そのため、基材Cには、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンナフタレート等のフィルムを用いると好適である。そして、本実施形態においては、被覆シートBとしては、基材Cを外側、転写層Dを内側として巻芯6dに対してロール状に巻き取られた状態のものが使用される。これにより、被覆シートBは、被覆シート搬送機構6によって、その転写層Dが補助シートEと対向する向きに搬送されることになる。
【0026】
図1に示すように、被覆シート搬送機構6は、巻芯6dに対してロール状に巻き取られた被覆シートBを供給可能に保持する供給保持部6aと、第1分岐ガイド9により記録紙Aの搬送経路Lと分岐され、転写層Dが剥離された後の被覆シートBの基材Cを巻き取り回収する基材回収部6bとを有している。ここでは、供給保持部6aは、被覆シートBの巻芯6dの両端を保持するとともに本体フレーム12に対して回転可能に支持される保持部6cと、この保持部6cの回転を制限するための図示しない回転制限機構とを有している。この回転制限機構としては、例えば本体フレーム12と保持部6cとの間にトルクリミッタを備えた構成等が好適に用いられる。そして、被覆シートBは、後述する第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8a及びそれに従動する加圧ローラ8bの回転により引き出されて供給され、第1加熱圧着機構8による加熱圧着位置において記録紙Aと重ね合わせられる。この際、回転制限機構により保持部6cの回転が制限されるので、供給保持部6aから第1加熱圧着機構8の加圧ローラ8bまでの間の被覆シートBの張りを保つことができる。したがって、本実施形態においては、この供給保持部6aが、本発明における「被覆シート供給手段」を構成する。
【0027】
また、基材回収部6bは、第1分岐ガイド9により記録紙Aの搬送経路Lと分岐された後の被覆シートBの基材Cを巻き取り回収するために所定の方向に回転駆動される巻取軸6fと、この巻取軸6fを駆動する図示しない巻取軸駆動機構と、この巻取軸駆動機構から巻取軸6fに伝達される駆動力を制限するための図示しない駆動制限機構とを有している。この駆動制限機構としては、例えば巻取軸駆動機構を構成するギヤ等の伝達機構と巻取軸6fとの間にトルクリミッタを備えた構成等が好適に用いられる。ここで、巻取軸6fの周囲に巻き取られた基材Cの巻き取り径が変動することによる巻取り速度の変動は、駆動制限機構により巻取軸6fに対して一定以上の駆動力を伝達しないように制限されることで吸収され、被覆シートBの基材Cは第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aの外周の周速により定まる一定の搬送速度Vで搬送され回収される。
【0028】
本実施形態に係る被覆装置において用いられる補助シートEは、記録紙Aの記録面に被覆シートBの転写層Dを転写して被覆層Fを形成する際に、記録紙Aの幅方向外側や複数枚の記録紙Aの間の記録紙Aの存在しない部分において、対向して搬送されている被覆シートBの転写層Dが転写されるシートである。したがって、補助シートEの材質としては、被覆シートBの転写層Dの表面に設けられている接着層D2が接着しやすい材質を使用することが好ましい。そのため、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のフィルムを用いると好適である。そして、本実施形態においては、補助シートEとしては、被覆シートBの幅よりもやや広い一定幅を有する長尺のシートであって、巻芯7dに対してロール状に巻き取られた状態のものが使用される。
【0029】
図1に示すように、補助シート搬送機構7は、巻芯7dに対してロール状に巻き取られた補助シートEを供給可能に保持する供給保持部7aと、第2分岐ガイド11により記録紙Aの搬送経路Lと分岐された後の補助シートEを巻き取り回収するシート回収部7bとを有している。ここでは、供給保持部7aは、補助シートEの巻芯7dの両端を保持するとともに本体フレーム12に対して回転可能に支持される保持軸7cと、この保持軸7cの回転を制限するための図示しない回転制限機構とを有している。この回転制限機構としては、例えば本体フレーム12と保持軸7cとの間にトルクリミッタを備えた構成等が好適に用いられる。そして、補助シートEは、後述する第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8a及びそれに従動する加圧ローラ8bの回転により引き出されて供給され、第1加熱圧着機構8による加熱圧着位置において記録紙Aと重ね合わせられる。この際、回転制限機構により保持軸7cの回転が制限されるので、供給保持部7aから第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aまでの間の補助シートEの張りを保つことができる。
【0030】
また、シート回収部7bは、第2分岐ガイド11により記録紙Aの搬送経路Lと分岐された後の補助シートEを巻き取り回収するために所定の方向に回転駆動される巻取軸7fと、この巻取軸7fを駆動する図示しない巻取軸駆動機構と、この巻取軸駆動機構から巻取軸7fに伝達される駆動力を制限するための図示しない駆動制限機構とを有している。この駆動制限機構としては、例えば巻取軸駆動機構を構成するギヤ等の伝達機構と巻取軸7fとの間にトルクリミッタを備えた構成等が好適に用いられる。ここで、巻取軸7fの周囲に巻き取られた補助シートEの巻き取り径が変動することによる巻取り速度の変動は、駆動制限機構により巻取軸7fに対して一定以上の駆動力を伝達しないように制限されることで吸収され、補助シートEは、被覆シートBと同様に、第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aの外周の周速により定まる一定の搬送速度Vで搬送され回収される。
【0031】
以上のような被覆シート搬送機構6及び補助シート搬送機構7により、記録媒体供給機構1により供給された記録紙Aの記録面側に被覆シートBが重ね合わせられ、記録紙Aの裏面側に補助シートEが重ね合わせられた状態で、第1加熱圧着機構8に供給されて両面から加熱及び圧着される。
【0032】
第1加熱圧着機構8は、図1に示すように、記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとの搬送方向に回転駆動される駆動ローラ8aと、この駆動ローラ8aを回転駆動する図示しない第1ローラ駆動機構と、駆動ローラ8aに対向して設けられ、駆動ローラ8aに対して加圧された状態で接するとともに駆動ローラ8aの回転に従動して回転する加圧ローラ8bと、この加圧ローラ8bを駆動ローラ8a側に加圧する加圧機構8dと、駆動ローラ8a及び加圧ローラ8bを加熱する第1加熱装置8gとを有している。本実施形態においては、駆動ローラ8a及び加圧ローラ8bは、ともに中空の金属ローラの表面をシリコンゴム等の弾性部材により覆った構成としている。ここで、加圧機構8dは、加圧ローラ8bの回転軸の両端部を上下方向に変位可能に保持する保持部材8eと、この保持部材8eを下方に付勢するばね等の弾性部材により構成される付勢部材8fとを有して構成されている。また、第1加熱装置8gは、駆動ローラ8a及び加圧ローラ8bのそれぞれの軸心部に配設されたハロゲンランプからなる棒状のヒータと、このヒータに対して供給する電力を制御するヒータ制御装置とを有して構成されている。この第1加熱装置8gによる加熱温度は、本実施形態においては、加圧ローラ8bではその表面温度が90〜110℃程度、駆動ローラ8aではその表面温度が50〜70℃程度となるように設定されている。本実施形態においては、この第1加熱圧着機構8が、本発明における「加熱圧着手段」を構成する。
【0033】
この第1加熱圧着機構8においては、記録媒体供給機構1により供給された記録紙Aを搬送しつつ、その記録面側に被覆シートBが重ね合わせられ、記録紙Aの裏面側に補助シートEが重ね合わせられた状態で両面から加熱及び加圧する構成となっている。この加熱及び加圧により、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に被覆シートBの転写層Dが圧着される。すなわち、加熱されることにより被覆シートBの転写層Dを構成する接着層D2が活性化された状態となり、更に第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aと加圧ローラ8bの加圧されることにより、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に転写層Dが接着された状態となる。そして、後述する第1分岐ガイド9において記録紙Aの搬送経路Lと被覆シートBの搬送経路とが分岐されることにより、記録紙A及び補助シートEから被覆シートBの基材Cが剥離され、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に転写層Dが転写される。この転写層Dが被覆層Fを形成する。
【0034】
第1分岐ガイド9は、記録紙Aの搬送経路Lにおける第1加熱圧着機構8と第2加熱圧着機構10との間に設けられ、記録紙Aの搬送経路Lと被覆シートBの基材Cの搬送経路とを分岐させるガイド部材である。本実施形態においては、図6に示すように、第1分岐ガイド9は、記録紙Aの搬送経路L上で記録紙Aの搬送方向に略直交する方向に延びる長尺の部材により構成され、その下側には記録紙Aの搬送経路Lに略並行に配置された第1ガイド面9aが形成され、その記録紙Aの搬送方向下流側には第1ガイド面9aに対して鋭角をなして上方に延びるように設けられた第2ガイド面9bが形成されている。そして、図5に示すように、この第1ガイド面9aと第2ガイド面9bとが接する端縁9cにおいて被覆シートBの基材Cが記録紙A及び補助シートEから剥離され、剥離された基材Cは、第2ガイド面9bに沿って搬送されて基材回収部6bに巻き取り回収される。これにより、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に被覆層Fが形成される。この第1分岐ガイド9は、第1加熱圧着機構8による加熱により活性化した被覆シートBの接着層D2が冷却されて十分な接着力を発揮するようになる程度の距離を第1加熱圧着機構8に対して有するように配置すると好適である。
【0035】
第2加熱圧着機構10は、図1及び図6に示すように、記録紙Aの搬送経路Lにおける第1分岐ガイド9の下流側に設けられ、被覆シートBの基材Cが分離されて被覆層Fが形成された後の記録紙Aと補助シートEとを両面から更に加熱及び加圧する機構である。本実施形態においては、記録紙Aと補助シートEとの搬送方向に回転駆動される駆動ローラ10aと、この駆動ローラ10aを回転駆動する図示しない第2ローラ駆動機構と、駆動ローラ10aに対向して設けられ、駆動ローラ10aに対して加圧された状態で接するとともに駆動ローラ10aの回転に従動して回転する加圧ローラ10bと、この加圧ローラ10bを駆動ローラ10a側に加圧する加圧機構10dと、加圧ローラ10bを加熱する第2加熱装置10gとを有している。ここでは、駆動ローラ10a及び加圧ローラ10bは、上記第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8a及び加圧ローラ8bと同様に構成されている。また、加圧機構10dも上記第1加熱圧着機構8の加圧機構8dと同様に構成されているが、加圧力は、第1加熱圧着機構8よりも小さくなるように設定している。また、第2加熱装置10gは、加圧ローラ10bの軸心部に配設されたハロゲンランプからなる棒状のヒータと、このヒータに対して供給する電力を制御するヒータ制御装置とを有して構成されている。この第2加熱装置10gによる加熱温度は、本実施形態においては、加圧ローラ10bの表面温度で80〜100℃程度となるように設定されている。この第2加熱圧着機構10においては、被覆層Fが形成された記録紙Aと補助シートEとを搬送しながら両面から加熱及び加圧することにより、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された被覆層Fが隙間無く圧着されて強固に接着される。
【0036】
第2分岐ガイド11は、記録紙Aの搬送経路Lにおける第2加熱圧着機構10の下流側に設けられ、記録紙Aの搬送経路Lと補助シートEの搬送経路とを分岐させるガイド部材である。本実施形態においては、図6に示すように、第2分岐ガイド11は、記録紙Aの搬送経路L上で記録紙Aの搬送方向に略直交する方向に延びる部材により構成され、その上側には記録紙Aの搬送経路Lに略並行に配置された第1ガイド面11aが形成され、その記録紙Aの搬送方向下流側には第1ガイド面11aに対して鋭角をなして下方に延びるように設けられた第2ガイド面11bが形成されている。そして、この第1ガイド面11aと第2ガイド面11bとが接する端縁11cにおいて補助シートEが記録紙Aから剥離され、剥離された補助シートEは、第2ガイド面11bに沿って搬送されてシート回収部7bに巻き取り回収される。この際、記録紙Aはその搬送経路Lに沿って略水平方向に直進するのに対して、補助シートEは第2分岐ガイド11の第2ガイド面11bに沿って下方に折り曲げられて搬送されることから、記録紙Aの記録面に形成された被覆層Fと、その記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された被覆層Fとは互いに離間することとなり、記録紙Aの記録面に形成された被覆層Fと、その記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された被覆層Fとが記録紙Aの端縁付近に沿って切断されて分離される。
【0037】
排出機構14は、図1、図6に示すように、記録紙Aの搬送経路Lにおける第2分岐ガイド11の下流側に設けられ、第2分岐ガイド11において補助シートEが分離された後の記録紙Aを排出トレイ13に排出するための記録紙Aの搬送機構である。ここでは、記録紙Aの搬送方向に回転駆動される駆動ローラ14aと、この駆動ローラ14aを回転駆動する図示しない排出ローラ駆動機構と、駆動ローラ14aに対向して設けられ、駆動ローラ14aの回転に従動して回転する従動ローラ14bとを有している。
【0038】
なお、本実施形態においては、搬送ローラ対4の駆動ローラ4bを回転駆動する搬送ローラ駆動機構、第1加熱圧着機構8の駆動ローラ8aを回転駆動する第1ローラ駆動機構、第2加熱圧着機構10の駆動ローラ10aを回転駆動する第2ローラ駆動機構、及び排出機構14の駆動ローラ14aを回転駆動する排出ローラ駆動機構は、それぞれにおける記録紙A、被覆シートB、及び補助シートEの搬送速度(以下単に「シート搬送速度」という。)Vを同じにするために、単一のモータ等の駆動源により駆動される構成となっており、全体として一つのローラ駆動機構17(図3参照)を構成している。本実施形態においては、このローラ駆動機構17は、シート搬送速度Vが記録紙Aの種類に応じて最適な速度となるように制御部15により制御される。そして、ここでは、媒体種類検出装置18により検出された記録紙Aの種類に基づいて、シート搬送速度Vを変化させることで、第1加熱圧着機構8及び第2加熱圧着機構10により与える熱量を調節する制御を行う。
【0039】
次に、本実施形態に係る被覆装置の動作制御について説明する。図3は、本実施形態に係る被覆装置の制御システムの概略構成を示すブロック図である。制御部15は、被覆装置の全体の動作制御を行うものであり、具体的には、各種の演算処理及び被覆装置の各部の制御信号の出力を行うCPUと、このCPUが演算処理を行う際のワーキングメモリとして使用されるRAMと、CPUを動作させるための各種の動作プログラムや制御プログラムが記録されたROM等を備える構成とすることができる。
【0040】
そして本実施形態においては、制御部15は、搬送速度制御テーブル15aを備えている。この搬送速度制御テーブル15aは、被覆装置において使用可能な記録紙Aの全ての種類(ここではサイズ及び記録面の状態)について、第1加熱圧着機構8及び第2加熱圧着機構10により被覆シートB(又は被覆層F)、記録紙A及び補助シートEに対して与える熱量を最適にする観点から定められるシート搬送速度Vを実現するための速度制御量の情報を、記録紙Aの種類毎に格納したテーブルである。この搬送速度制御テーブル15aに格納される記録紙Aの種類毎の速度制御量としては、例えばローラ駆動機構17に対して出力することにより所望のシート搬送速度Vを得ることができる電圧値や電流値等が相当し、一定の範囲をもった値とすると好適である。この搬送速度制御テーブル15aの情報格納形式としては、例えば、記録紙Aのサイズと記録紙Aの記録面の状態(光沢か半光沢か)との組み合わせにより一の速度制御量が定まるような格納形式とすることができる。
【0041】
シート搬送速度Vと第1加熱圧着機構8及び第2加熱圧着機構10により与える熱量との関係は、シート搬送速度Vを遅くするほど、被覆シートB(被覆層F)、記録紙A及び補助シートEが第1加熱圧着機構8及び第2加熱圧着機構10において加熱及び加圧される時間が長くなるので与える熱量は増加することになる。また、記録紙Aの種類毎の最適なシート搬送速度Vは、記録紙Aの各種類について、シート搬送速度Vを変更しつつ、記録紙Aの表面に形成される被覆層Fの状態が最適な状態となるシート搬送速度Vを計測し、その結果を統計的に処理することにより求めることができる。
【0042】
図7は、本実施形態に係る被覆装置において、媒体種類検出装置18により検出された記録紙Aの種類に基づいてシート搬送速度Vを調節する制御を行う際の動作のフローチャートである。このフローチャートに示すように、被覆装置は、まず、記録媒体供給機構1の供給ガイド2に記録紙Aがセットされたか否かについて判断する(ステップ#01)。記録紙Aがセットされたことの検出は、供給ガイド2に設けられた先端検知センサ5により行うことができる。そして、記録紙Aがセットされた場合には(ステップ#01:YES)、媒体サイズ検出センサ18aにより記録紙Aのサイズを検出し(ステップ#02)、次に媒体表面検出センサ18bにより記録紙Aの記録面の状態が光沢か半光沢かを検出する(ステップ#03)。検出された記録紙Aのサイズ及び記録面の状態に関する情報は、制御部15に出力される。次に、制御部15は、ステップ#02及びステップ#03で検出された記録紙Aのサイズ及び記録面の状態(記録紙Aの種類)に応じた速度制御量を、搬送速度制御テーブル15aから読み出す(ステップ#04)。そして、ステップ#04で読み出した速度制御量に基づいてローラ駆動機構17を制御する(ステップ#05)。
【0043】
これにより、ローラ駆動機構17によるシート搬送速度Vが、記録紙Aの種類に応じた最適な搬送速度となるように制御することができる。よって、本実施形態においては、この制御部15が、本発明における「制御手段」を構成する。
【0044】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図面に基づいて説明する。この際、上記第1の実施形態と同じ構成については説明を省略する。本実施形態においては、被覆装置は、媒体種類検出装置18により検出された記録紙Aの種類に基づいて、第1加熱圧着機構8及び第2加熱圧着機構10による加熱温度を変化させることにより、第1加熱圧着機構8及び第2加熱圧着機構10により与える熱量を調節する制御を行う。
【0045】
図8は、本実施形態に係る被覆装置の制御システムの概略構成を示すブロック図である。この図に示すように、ここでは制御部15は、上記第1の実施形態における搬送速度制御テーブル15aに代えて、加熱制御テーブル15bを備えている。この加熱制御テーブル15bは、被覆装置において使用可能な記録紙Aの全ての種類(ここではサイズ及び記録面の状態)について、記録紙Aの種類毎に、第1加熱圧着機構8の第1加熱装置8g及び第2加熱圧着機構10の第2加熱装置10gによる最適な加熱温度を得るための加熱制御量の情報を格納したテーブルである。この加熱制御テーブル15bに格納される記録紙Aの種類毎の加熱制御量としては、例えば第1加熱装置8g及び第2加熱装置10gに出力することにより所望の加熱温度を得ることができる電圧値や電流値等が相当し、一定の範囲をもった値とすると好適である。この加熱制御テーブル15bの情報格納形式としては、例えば、記録紙Aのサイズと記録紙Aの記録面の状態(光沢か半光沢か)との組み合わせにより一の加熱制御量が定まるような格納形式とすることができる。
【0046】
記録紙Aの種類毎の最適な第1加熱装置8g及び第2加熱装置10gによる加熱温度は、記録紙Aの各種類、例えば記録紙Aの各サイズ及び記録紙Aの記録面の状態が光沢か半光沢かのそれぞれについて、第1加熱装置8g及び第2加熱装置10gによる加熱温度を変更しつつ、記録紙Aの表面に形成される被覆層Fの状態が最適な状態となる温度を計測し、その結果を統計的に処理することにより求めることができる。
【0047】
図9は、本実施形態に係る被覆装置において、シート種類検出装置16による検出結果に基づいて第1加熱圧着機構8及び第2加熱圧着機構10により与える熱量を調節する制御を行う際の動作のフローチャートである。このフローチャートに示すように、被覆装置は、まず、記録媒体供給機構1の供給ガイド2に記録紙Aがセットされたか否かについて判断する(ステップ#11)。記録紙Aがセットされたことの検出は、供給ガイド2に設けられた先端検知センサ5により行うことができる。そして、記録紙Aがセットされた場合には(ステップ#11:YES)、媒体サイズ検出センサ18aにより記録紙Aのサイズを検出し(ステップ#12)、次に媒体表面検出センサ18bにより記録紙Aの記録面の状態が光沢か半光沢かを検出する(ステップ#13)。検出された記録紙Aのサイズ及び記録面の状態に関する情報は、制御部15に出力される。次に、制御部15は、ステップ#12及びステップ#13で検出された記録紙Aのサイズ及び記録面の状態(記録紙Aの種類)に応じた加熱制御量を、加熱制御テーブル15bから読み出す(ステップ#14)。そして、ステップ#14で読み出した加熱制御量に基づいて第1加熱装置8g及び第2加熱装置10gを制御する(ステップ#15)。これにより、第1加熱圧着機構8の第1加熱装置8g及び第2加熱圧着機構10の第2加熱装置10gによる加熱温度が、記録紙Aの種類に応じた最適な加熱温度となるように制御することができる。なお、記録紙Aの種類に応じて第1加熱圧着機構8の第1加熱装置8gのみの加熱温度を調節する制御を行うことも好適な実施形態の一つである。
【0048】
〔その他の実施形態〕
(1)上記第1及び第2の実施形態においては、媒体種類検出装置18として、媒体サイズ検出センサ18aと媒体表面検出センサ18bとを備える場合について説明したが、媒体種類検出装置18の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、媒体種類検出装置18として、媒体サイズ検出センサ18a及び媒体表面検出センサ18bのいずれか一方のみを備える構成とすることも好適な実施形態である。この場合、記録紙Aの種類の違いは、記録紙Aのサイズ又は記録紙Aの記録面の状態の違いにより生じることになる。
【0049】
(2)また、上記第1及び第2の実施形態においては、媒体種類検出装置18を、記録紙Aのサイズや記録面の状態を直接的に検出するセンサにより構成する場合について説明したが、媒体種類検出装置18の構成はこれに限定されるものではない。したがって、例えば、記録紙A(記録媒体)にバーコードやICチップ等の識別符号保持手段を設け、この識別符号保持手段が保持する識別符号を読み取ることにより記録紙Aの種類を検出する構成とすることも好適な実施形態である。このような実施形態は、記録紙Aとして所定の巻芯に対してロール状に巻き取られた状態のものが使用される場合等に特に好適であり、このような場合には、前記識別符号保持手段は巻芯に設けることができる。
【0050】
(3)上記第1及び第2の実施形態においては、記録紙Aの種類を媒体種類検出装置18により自動的に検出する構成とする場合について説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではなく、使用者が手動で記録紙Aの種類を入力可能な入力装置を備え、この入力装置を媒体種類検出手段とすることも好適な実施形態の一つである。
【0051】
(4)上記第1の実施形態においては、記録紙Aの種類に応じてシート搬送速度Vを調節する制御を行い、上記第2の実施形態においては、記録紙Aの種類に応じて第1加熱圧着機構8及び第2加熱圧着機構10による加熱温度を調節する制御を行う場合について説明したが、本発明の適用範囲はこれらに限定されるものではなく、例えば、記録紙Aの種類に応じてシート搬送速度V及び第1加熱圧着機構8及び第2加熱圧着機構10による加熱温度の双方を調節する制御を行うことも好適な実施形態の一つである。
【0052】
(5)また、第1加熱圧着機構8及び第2加熱圧着機構10による加熱温度や、シート搬送速度Vに代えて、又はこれらに加えて、第1加熱圧着機構8及び第2加熱圧着機構10による加圧力(圧着力)を調節することにより与える熱量を調節する制御を行うことも可能である。ここで、第1加熱圧着機構8及び第2加熱圧着機構10による加圧力と与える熱量との関係は、加圧力を大きくするほど、被覆シートB、記録紙A及び補助シートEに対して与える熱量は増加することになる。これは、第1加熱圧着機構8を例に説明すると、加圧力を大きくすると、駆動ローラ8aと加圧ローラ8bとの接する面であるニップ部における被覆シートB、記録紙A及び補助シートEの搬送方向の長さが長くなるため、被覆シートB、記録紙A及び補助シートEが加圧ローラ8bに接触する時間が長くなり、与えられる熱量が増加することによるものである。
【0053】
(6)上記第1及び第2の実施形態においては、記録紙Aの種類とシート搬送速度Vの調節のための速度制御量との関係を定めた搬送速度制御テーブル15aや、記録紙Aの種類と第1加熱圧着機構8及び第2加熱圧着機構10による加熱温度の調節のための加熱制御量との関係を定めた加熱制御テーブル15bを用いて、記録紙Aの種類に応じて第1加熱圧着機構8及び第2加熱圧着機構10により与える熱量を調節するための制御量を定める場合について説明したが、これらの制御テーブルに代えて、所定の関係式を用いて、媒体種類検出手段による検知結果に基づいて加熱制御量又は速度制御量をその都度演算して求め、第1加熱圧着機構8及び第2加熱圧着機構10により与える熱量を調節する制御を行うことも好適な実施形態の一つである。ここで、所定の関係式は、上記制御テーブルを定める際と同様の実験結果から回帰計算等により求めたものを使用することができる。
【0054】
(7)上記実施形態においては、被覆シートBと対向させて補助シートEを供給する構成について説明したが、本発明は、補助シートEを用いない構成の被覆装置に適用することも可能である。その場合、記録紙Aはロール状に巻き取られたものを使用し、補助シートEと同様に連続供給される構成とすると好適である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る被覆装置の全体構成を示す断面図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る記録媒体供給機構の断面図
【図3】本発明の第1の実施形態に係る被覆装置の制御システムの概略構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施形態に係る被覆シートの構造を示す模式断面図
【図5】本発明の実施形態に係る被覆装置の第1分岐ガイドにおいて被覆シートの基材が記録紙及び補助シートから剥離する際の状態を示す模式断面図
【図6】本発明の実施形態に係る被覆装置の第1分岐ガイド及び第2分岐ガイドにおける各シートの剥離の際の状態を示す斜視図
【図7】本発明の第1の実施形態に係る被覆装置において、媒体種類検出装置により検出された記録紙の種類に基づいてシート搬送速度を調節する制御を行う際の動作のフローチャート
【図8】本発明の第2の実施形態に係る被覆装置の制御システムの概略構成を示すブロック図
【図9】本発明の第2の実施形態に係る被覆装置において、媒体種類検出装置による検出結果に基づいて第1加熱圧着機構及び第2加熱圧着機構の加熱温度を調節する制御を行う際の動作のフローチャート
【符号の説明】
【0056】
A 記録紙(記録媒体)
B 被覆シート
E 補助シート
F 被覆層
V シート搬送速度
1 記録媒体供給機構(記録媒体供給手段)
2 供給ガイド
6 被覆シート搬送機構
6a 被覆シート搬送機構の供給保持部(被覆シート供給手段)
7 補助シート搬送機構
8 第1加熱圧着機構(加熱圧着手段)
10 第2加熱圧着機構
15 制御部(制御手段)
15a 搬送速度制御テーブル
15b 加熱制御テーブル
18 媒体種類検出装置(媒体種類検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わせて供給される記録媒体及び被覆シートを両面から加熱及び圧着して前記記録媒体の表面に被覆層を形成する加熱圧着手段と、
前記加熱圧着手段に前記記録媒体を供給する記録媒体供給手段と、
前記加熱圧着手段に前記被覆シートを供給する被覆シート供給手段と、
前記記録媒体供給手段により供給される前記記録媒体の種類を検出する媒体種類検出手段と、
前記媒体種類検出手段による検出結果に基づいて、前記加熱圧着手段により与える熱量を調節する制御を行う制御手段と、を備える記録媒体の被覆装置。
【請求項2】
前記媒体種類検出手段は、前記記録媒体のサイズ及び記録面の状態の一方又は双方を検出するセンサを備える請求項1に記載の記録媒体の被覆装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記加熱圧着手段における加熱温度、圧着力、並びに、前記記録媒体及び前記被覆シートの搬送速度のいずれか一つ以上の値を調節することにより、前記加熱圧着手段により与える熱量を調節する制御を行う請求項1又は2に記載の記録媒体の被覆装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記記録媒体の種類に対して適切な前記加熱圧着手段における加熱温度、圧着力、並びに、前記記録媒体及び前記被覆シートの搬送速度のいずれか一つ以上の値を定めるための所定の関係式又はテーブルを備えており、前記媒体種類検出手段により検出される前記記録媒体の種類と前記関係式又はテーブルとに基づいて前記値の調節範囲を決定する請求項3に記載の記録媒体の被覆装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−142533(P2006−142533A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332603(P2004−332603)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】