記録媒体及び画像形成装置
【課題】本発明における第1の画像を構成する複数のドットのうちの一部のドットが、第2の画像を構成する可視のドットではない場合に比べて、第1の画像と第2の画像とが同じ領域に形成されたときの該第1の画像の赤外光による読取り領域の誤認識が抑制された記録媒体、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】赤外画像30は、赤外吸収性を有する複数のドットから構成され、一部のドットが不可視のドット30Aとされ、残りが可視のドット30Bとされている。そして、赤外画像30に関連する関連情報を示す関連画像32は、赤外画像30を構成する複数のドットのうちの一部のドットである可視のドット30B、または、該可視のドット30Bと、赤外吸収性を有さない可視のドット30Cとから構成とされている。
【解決手段】赤外画像30は、赤外吸収性を有する複数のドットから構成され、一部のドットが不可視のドット30Aとされ、残りが可視のドット30Bとされている。そして、赤外画像30に関連する関連情報を示す関連画像32は、赤外画像30を構成する複数のドットのうちの一部のドットである可視のドット30B、または、該可視のドット30Bと、赤外吸収性を有さない可視のドット30Cとから構成とされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、視覚認識可能な視認署名背景画像と、文書画像と、を重畳し、文書画像内の各画素の画素値が所定の値をとる領域では視認署名背景画像の画素値を用い、他の領域では文書画像の画素値を用いて、視認署名付の文書画像を生成する視認署名付文書生成装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、印刷指示に応じて印刷対象の電子文書を解析し、不可視データ、非静止画データ、動的更新データの存在及び位置を検出し、不可視データ、非静止画データ、動的更新データが存在する場合には、存在することを示す符号やマークを、印刷対象の電子文書の画像データを妨害しない箇所に画像として形成することが記載されている。
【0004】
特許文献3には、可視光下で目視あるいは読取り可能なインクによって印刷された目印画像と、該目印画像に重ならない位置に形成され、可視光で目視あるいは読取り出来ない蛍光インクによって印刷されたステルス画像と、を具備した印刷物が記載されている。
【0005】
特許文献4には、文字画像と、文字画像と同じ色材によって形成されたドットの配列によって示されるドットパターンと、の形成された記録媒体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−180262号公報
【特許文献2】特開平11−112698号公報
【特許文献3】特開2005−132027号公報
【特許文献4】特開2006−121569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、本発明における第1の画像を構成する複数のドットのうちの一部のドットが、第2の画像を構成する可視のドットではない場合に比べて、第1の画像と第2の画像とが同じ領域に形成されたときの該第1の画像の赤外光による読取り領域の誤認識が抑制された記録媒体、及び画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、赤外吸収性を有する複数のドットから構成され、該赤外吸収性を有する複数のドットのうちの一部のドットが不可視の第1のドットとされ、残りのドットが可視の第2のドットとされた赤外光によって読取られる第1の画像と、前記第2のドット、または前記第2のドット及び赤外吸収性を有さない可視の第3のドットから構成された可視の第2の画像と、を備えた記録媒体である。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記第2の画像は、前記第1の画像に関連する関連情報を示す請求項1に記載の記録媒体である。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記第1のドットと前記第2のドットの大きさが同じである請求項1または請求項2に記載の記録媒体である。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記第1のドットが、下記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を含有する記録材料により形成された請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の記録媒体である。
【0012】
【化1】
【0013】
請求項5に係る発明は、前記第2のドットが、前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を含有する記録材料により形成された請求項4に記載の記録媒体である。
【0014】
請求項6に係る発明は、前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素が、Cuターゲットで波長1.5405ÅのX線照射により測定される粉末X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が少なくとも17.7°,19.9°,22.1°,23.2°,24.9°に回折ピークを示す請求項4または請求項5に記載の記録媒体である。
【0015】
請求項7に係る発明は、赤外吸収性を有する不可視の第1のドットを記録する第1の記録装置と、赤外吸収性を有する可視の第2のドットを記録する第2の記録装置と、前記第1のドット及び前記第2のドットから構成され赤外光によって読取られる第1の画像と、前記第2のドットから構成された可視の第2の画像と、を記録媒体に形成するように、前記第1の記録装置、及び前記第2の記録装置を制御する制御装置と、を備えた画像形成装置である。
【0016】
請求項8に係る発明は、赤外吸収性を有さない可視の第3のドットを記録する第3の記録装置を更に備え、前記制御手段は、前記第2のドットと前記第3のドットとから構成された可視の画像を、前記第2の画像として前記記録媒体に形成するように、前記第2の記録装置及び前記第3の記録装置を制御する請求項7記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、本発明における第1の画像を構成する複数のドットのうちの一部のドットが、第2の画像を構成する可視のドットではない場合に比べて、第1の画像と第2の画像とが同じ領域に形成されたときの該第1の画像の赤外光による読取り領域の誤認識が抑制された記録媒体が提供される、という効果を奏する。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、第2の画像によって第1の画像に関連する可視的な関連情報を得られる記録媒体が提供される、という効果を奏する。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、本発明における第1のドットと第2のドットの大きさが異なる場合に比べて、第1の画像の赤外光による読取り精度の向上が図れる、という効果を奏する。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、本発明における第1のドットを、本発明における構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を含有しない記録材料により形成した場合に比べて、第1のドットの不可視性が維持されたまま、赤外光による読取性が向上される、という効果を奏する。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、本発明における第2のドットを、本発明における構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を含有しない記録材料により形成した場合に比べて、第2のドットの赤外光による読取性が向上される、という効果を奏する。
【0022】
請求項6に係る発明によれば、本発明における構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素が本発明における回折ピークを示さない場合に比べて、第1のドットの不可視性が維持されたまま、赤外光による読取性が更に向上される、という効果を奏する。
【0023】
請求項7に係る発明によれば、本発明における第2の画像を第1の画像を構成する第2のドットから構成しない場合に比べて、第1の画像の赤外光による読取り領域の誤認識が抑制された記録媒体が提供される、という効果を奏する。
【0024】
請求項8に係る発明によれば、赤外吸収性を有さない可視のドットを利用して第2の画像が形成される、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施の形態に係る記録媒体の一例を示す模式図である。
【図2】(A)は、本実施の形態に係る記録媒体上の特定領域に形成された赤外画像及び関連画像の一例を示す模式図であり、(B)は、(A)の一部を拡大して示した模式図であり、(C)は、(B)に示される画像を赤外光により読取ったときの赤外画像を示す模式図である。
【図3】図2(A)の一部を拡大して示した模式図であり、図2(B)とは異なる態様を示した模式図である。
【図4】本実施の形態における画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図5】本実施の形態に係る画像形成装置における画像処理装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図6】(A)及び(B)は、本実施の形態の赤外画像及び関連画像の図2(B)とは異なる形態を示す模式図である。
【図7】試験例1で得られた、構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素のテトラヒドロフラン溶液中の可視近赤外吸収スペクトルを示す線図である。
【図8】試験例における、(A)粒子及び原料のX線回折スペクトルを示す線図である。
【図9】試験例における、(A)粒子及び(B)粒子のX線回折スペクトルを示す線図である。
【図10】試験例における、(A)粒子、(B)粒子、VONPc、(C)粒子、及び(D)粒子のラテックスパッチの可視近赤外吸収スペクトルを示す線図である。
【図11】試験例における、(A)粒子、(B)粒子、VONPc、(C)粒子、及び(D)粒子のラテックスパッチの耐光性を示す線図であり、照射時間と、反射率との関係を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。
【0027】
(記録媒体)
図1に示すように、本実施の形態の記録媒体10の特定領域12には、赤外光を照射されることによって読取られる第1の画像14(以下、赤外画像と称する)と、可視の第2の画像16(以下、可視画像と称する)と、が形成されている。
【0028】
なお、本実施の形態における記録媒体10が、本発明の記録媒体に相当し、赤外画像30が第1の画像に相当し、関連画像32が第2の画像に相当する。
【0029】
赤外画像30は、赤外光を照射してその反射光を受光することで読取られる画像である。この赤外画像30は、赤外光によって読取られる画像であればよく、所定の情報を符号化して2値画像化したコードパターンや、文字、数字、及び記号(三角印や星印等)等であってもよい。
【0030】
関連画像32は、赤外画像30に関する関連情報を示す可視の画像である。
この関連情報としては、赤外画像30に関する情報であればよいが、具体的には、記録媒体10上に赤外画像30が存在することを示す情報、記録媒体10上の赤外画像30の位置、赤外画像30の形態の種類、赤外画像30の情報の種類や概要、赤外画像30を構成する記録材料の種類等が挙げられる。
【0031】
この関連画像32は、可視の画像である。この関連画像32は、赤外画像30に関する関連情報を示す画像であることがよい。この関連画像32としては、上記関連情報を示す数字や記号(三角印や星印等)であってもよいし、上記関連情報の位置や上記関連情報に対してユーザの行うべき操作を示す文字列であってもよいし、上記関連情報の内容を意味する予め定められた数字や記号であってもよい。
【0032】
本実施の形態では、赤外画像30及び関連画像32は、同じ特定領域12に形成されている。この特定領域12は、記録媒体10上の領域であればよく、記録媒体10の端部であってもよいし、中央部であってもよく、その位置は限定されない。
【0033】
この特定領域12に形成された赤外画像30は、赤外吸収性を有する複数のドットから構成されており、この複数のドットのうちの一部が、関連画像32を構成する可視のドットとされている。
このため、赤外画像30と関連画像32とが同じ領域内に形成されていても、関連画像32によって、赤外画像30の読取り精度が低下することが抑制されると考えられる。
【0034】
以下、赤外画像30及び関連画像32について詳細に説明する。
【0035】
赤外画像30は、赤外光を照射されることによって読取られる画像であり、赤外光を照射してその反射光を受光することで読取られる画像とされている。詳細には、赤外画像30は、赤外吸収性を有する複数のドットから構成されており、図2(A)及び図2(B)に示すように、該赤外吸収性を有する複数のドットのうちの一部が不可視のドット30Aとされ、残りが可視のドット30Bとされている。
【0036】
なお、本実施形態において、「不可視」とは、可視光において、目視により認識されにくい、理想的には視認されない(即ち、不可視である)ことを意味する。具体的には、記録媒体10上に形成された不可視のドット30Aと、記録媒体10との色差ΔEが、16以下とされていることを不可視であるとする。
また、本実施の形態において、「可視」とは、可視光において目視により認識されることを示している。具体的には、可視の画像である関連画像32は、記録媒体10との色差ΔEが16以上であることを示している。
【0037】
また、本実施の形態では、「赤外吸収性を有する」とは、赤外吸収性を有するドットによって印字被覆率100%の画像を形成したときの該画像に対して、赤外光を照射したときの反射率が、該赤外光の波長領域の内の少なくとも何れかの波長において35%以下であることを示している。
【0038】
赤外画像30は、赤外領域の波長の光を照射する半導体レーザまたは発光ダイオードを光学読取り用の光源として用い、赤外光に高い分光感度を有する汎用の受光素子を使用することによって読み出される。受光素子としては、例えばシリコンによる受光素子(CCD等)が挙げられる。例えば、赤外画像30は、赤外光の波長領域の光を照射した反射光が読取られることによって、図2(C)に示すように、該不可視のドット30Aと該可視のドット30Bとからなる赤外画像34として読取られる。
【0039】
一方、関連画像32は、可視の画像であればよく、具体的には、赤外画像30を構成する複数のドットのうちの可視のドット30Bから構成(図2(A)及び図2(B)参照)、または、赤外画像30を構成する複数のドットのうちの可視のドット30Bと、赤外画像30を構成しない(すなわち赤外吸収性を有さない)可視のドット30C(図3参照)と、から構成されている。
【0040】
この関連画像32を構成する可視のドット(可視のドット30B、または可視のドット30B及び可視のドット30C)は、可視光を反射することで視認されるドットであればよい。すなわち、関連画像32を構成するドットは可視のドットであればよく、赤外吸収性を有するドットであっても、赤外吸収性を有さないドットであってもよい。ただし、関連画像32を構成する複数のドットのうちの、赤外画像30を構成するドットに重なる位置または赤外画像30を構成するドットに替えて形成されているドットは、赤外吸収性を有するドット(赤外吸収性を有する可視のドット30B)とされている。
【0041】
そして、関連画像32を構成する複数のドットのうちの、赤外画像30を構成するドット以外の位置に設けられたドットは、赤外吸収性を示さない可視のドット(可視のドット30C)であればよい。関連画像32を構成する複数のドットのうちの、赤外画像30を構成する複数のドットの一部のドット以外のドットが、赤外吸収性を示さない可視のドットとされていることで、赤外画像30の赤外光による読取り領域の誤認識を抑制しつつ、且つ、赤外吸収性を有さないドットも利用して関連画像32が形成される。
【0042】
なお、赤外画像30を構成する複数のドットのうちの可視のドット30Bは、不可視のドット30Aに替えて形成されていてもよいし、不可視のドット30Aと重ねて形成されていてもよい。
【0043】
以上説明したように、赤外画像30は、赤外吸収性を有する複数のドットから構成され、一部のドットが不可視のドット30Aとされ、残りが可視のドット30Bとされている。そして、関連画像32は、赤外画像30を構成する複数のドットのうちの一部のドットである可視のドット30B、または、該可視のドット30Bと可視のドット30Cとから構成とされている。このため、赤外画像30と関連画像32とが同じ領域内に形成されていても、関連画像32によって、赤外画像30の読取り精度が低下することが抑制されると考えられる。
【0044】
特に、関連画像32を構成する複数のドットのうちの、赤外画像30と重なる領域内のドットが、カーボンブラックなどの赤外光を吸収する材料で構成されている場合であっても、関連画像32を構成する複数のドットのうちの赤外吸収性を示すドットは、赤外画像30を構成するドットの一部として機能することから、赤外画像30の読取り精度が低下することが抑制されると考えられる。
【0045】
なお、この赤外画像30を構成するドット(不可視のドット30A及び可視のドット30B)と、関連画像32を構成するドットのうちの少なくとも赤外画像30の一部を構成するドット(可視のドット30B)と、は、同じ大きさとされていることがよい。同じ大きさとされていることで、赤外光によって赤外画像30が読取られたときには、不可視のドット30Aと可視のドット30Bとが区別無く(大きさの区別無く)読取られるため、赤外画像30の読取り精度の低下がさらに抑制されると考えられる。
【0046】
なお、ドットの大きさが同じである、とは、必ずしも完全同一でなければならないということではなく、例えば画像形成装置で同一サイズのドットが形成されるように設定して作成されたドットは、多少の誤差が生じていても「ドットの大きさが同じである」として扱う。ドットのサイズにも依存するが、例えばミクロンサイズのドットであれば、比較対象の一方のドットの平均径に対する他方のドットの平均径が、0.8倍以上1.2倍以下の範囲内にあれば「ドットの大きさが同じである」として扱う。
【0047】
次に、赤外吸収性を有する不可視のドット30A、赤外吸収性を有する可視のドット30B、赤外吸収性を有さない可視のドット30Cを記録するために用いられる記録材料について説明する。
【0048】
上記赤外吸収性を有する不可視のドット30Aは、赤外吸収性を有し且つ透明(可視領域中心部の450nm以上650nm以下の波長範囲での光の反射率が60%以上)な記録材料によって記録されている。この不可視のドット30Aを記録するための記録材料としては、色材として、赤外吸収性を有する色材を含み、且つ透明の記録材料が挙げられる。
【0049】
この赤外吸収性を有する色材としては、赤外吸収性を有し且つ第1の記録材料の透明性を損なわない材料であれば、どのような材料であってもよいが、下記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を含有する材料であることがよい。
【0050】
【化2】
【0051】
前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、ナフタロシアニン系の材料など他の不可視の画像に用いられる色素に比べて耐光性が高い。この理由としては、前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は他の不可視の画像に用いられる色素に比べて結晶性が高く、バインダー樹脂への溶解性が低い。このため、光の照射によって光エネルギーを吸収することによる分子内の結合の切断が抑制されると考えられる。
上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、上述のように、従来用いられていた不可視画像に用いられる色素に比べて結晶性が高いが、具体的には、Cuターゲットで波長1.5405ÅのX線照射により測定される粉末X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、少なくとも9.9°,13.2°,19.9°,20.8°,23.0°に回折ピークを示すものや、少なくとも17.7°、19.9°、22.1°、23.2°、24.9°に回折ピーク示すもの、8.9,17.1,18.4,22.6,24.2に回折ピークを示すもの等が挙げられる。
中でも、上記17.7°、19.9°、22.1°、23.2°、24.9°に回折ピーク示すものが、耐光性の観点から良い。
【0052】
なお、上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、400nm以上750nm以下の可視光波長領域における吸光能力が十分に低く、かつ、750nm以上1000nm以下の近赤外光波長領域における吸光能力が十分に高いものである。
【0053】
この「吸光能力が十分に低い」とは、400nm以上450nmまでの可視光波長領域における溶液のモル吸光係数が少なくとも8100M−1cm−1以下であり、450nm以上650nmまでの可視光波長領域における溶液のモル吸光係数が少なくとも3400M−1cm−1以下であり、650nm以上690nmまでの可視光波長領域における溶液のモル吸光係数が少なくとも8800M−1cm−1以下であり、690nm以上750nmまでの可視光波長領域における溶液のモル吸光係数が少なくとも37000M−1cm−1以下であることを示している。
また、「吸光能力が十分に高い」とは、750nm以上1000nm以下の近赤外光波長領域の全領域における溶液のモル吸光係数の極大値が少なくとも1.5×105M−1cm−1以上であることを示している。
【0054】
このため、上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を含有する透明な記録材料によって形成された不可視のドット30Aは、可視光による不可視性と、近赤外光による読み取りやすさとが両立されている。また、可視のドット30Bは、近赤外光による読取りやすさの点で優れているといえる。
【0055】
なお、本実施の形態に係る赤外吸収性を有する不可視のドット30Aを形成する記録材料は、下記式(II)及び(III)で表される条件を満たすことが良い。
【0056】
0≦ΔE≦16 式(II)
(100−R)≧75 式(III)
【0057】
上記式(II)中、ΔEは下記式(IV)で表されるCIE1976L*a*b*表色系における色差を示し、式(III)中、R(単位:%)は不可視のドット30Aにおける波長850nmの赤外線反射率を示す。
【0058】
【数1】
【0059】
上記式(II)及び(III)で表される条件を満たすことで、記録材料の色味によらず、不可視のドット30Aの不可視性と近赤外光による取りやすさとが両立されると考えられる。また、耐光性の高さから、不可視のドット30Aを含んだ構成の赤外画像30の記録された記録媒体10における長期の信頼性が期待される。
【0060】
なお、上記式(IV)中、L1、a1、b1は、各種画像の形成されていない記録媒体10の表面のL値、a値、およびb値を示し、L2、a2、b2は、それぞれ上記の記録材料を用いて付着量4g/m2の不可視の画像(不可視のドット30Aによって形成される画像)を記録媒体10上に形成した時の、該不可視の画像におけるL値、a値、およびb値を示す。
【0061】
なお、上記式(IV)中、L1、a1、b1、L2、a2、b2は、反射分光濃度計を用いて得られる。本実施の形態においては、L1、a1、b1、L2、a2、b2は、反射分光濃度計としてエックスライト株式会社製、x−rite939を用いて測定された値である。
【0062】
上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、例えば以下の反応スキームに従って得られる。
【0063】
【化3】
【0064】
より具体的には、触媒の存在下で、1,8−ジアミノナフタレンと、3,5−ジメチルシクロヘキサノンとを、溶媒中で共沸還流の条件で反応させることにより、ペリミジン中間体(a)が得られる((A−1)工程)。
【0065】
前記(A−1)工程に使用する触媒としては、p−トルエンスルホン酸一水和物、ベンゼンスルホン酸一水和物、4−クロロベンゼンスルホン酸水和物、ピリジン−3−スルホン酸、エタンスルホン酸、硫酸、硝酸、酢酸などが挙げられる。また、前記(A−1)工程に使用する溶媒としては、アルコール、芳香族炭化水素などが挙げられる。ペリミジン中間体(a)は高速カラムクロマトグラフィーまたは再結晶により精製される。
【0066】
次に、ペリミジン中間体(a)と、3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオン(「スクアリン酸」又は「四角酸」とも呼ばれる)と、を、溶媒中で共沸還流の条件で反応させることにより、前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素が得られる((A−2)工程)。該(A−2)工程は、窒素ガス雰囲気で行うことが良い。
【0067】
前記(A−2)工程に使用する溶媒としては、1−プロパノ−ル、1−ブタノール、1−ペンタノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン等の芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類が用いられる。また、アルコール類は単独で使用してもよいが、芳香族炭化水素、エーテル類、ハロゲン化炭化水素またはアミド類などの溶媒はアルコール類溶媒と混合して使用することが良い。溶媒としては、具体的には、1−プロパノ−ル、2−プロパノ−ル、1−ブタノール、2−ブタノール、1−プロパノ−ルとベンゼンの混合溶媒、1−プロパノ−ルとトルエンの混合溶媒、1−プロパノ−ルとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒、2−プロパノ−ルとベンゼンの混合溶媒、2−プロパノ−ルとトルエンの混合溶媒、2−プロパノ−ルとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒、1−ブタノールとベンゼンの混合溶媒、1−ブタノールとトルエンの混合溶媒、1−ブタノ−ルとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒、2−ブタノールとベンゼンの混合溶媒、2−ブタノールとトルエンの混合溶媒、2−ブタノ−ルとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒が挙げられる。混合溶媒を使う場合、アルコール類溶媒の濃度は、1容量%以上、または5容量%以上75容量%以下が良い。
【0068】
また、前記(A−2)工程において、3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオンに対するペリミジン誘導体(a)のモル比(ペリミジン誘導体(a)のモル数/3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオンのモル数)は、1以上4以下、または1.5以上3以下が挙げられる。当該モル比が1未満の場合には前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の収率が低下する場合があり、また、4を超えるとペリミジン誘導体(a)の利用効率が悪くなって、前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の分離・精製が困難となる場合がある。
【0069】
更に、前記(A−2)工程は、脱水剤を用いると反応時間が短縮し、また、前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の収率が向上する傾向にある。脱水剤としては、ペリミジン中間体(a)及び3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオンと反応しないものであれば特に制限されないが、オルト蟻酸トリメチル、オルト蟻酸トリエチル、オルト蟻酸トリプロピル、オルト蟻酸トリブチルなどのオルト蟻酸エステル、モレキュラーシーブ等が挙げられる。
【0070】
前記(A−2)工程における反応温度は使用する溶媒の種類によって異なるが、反応液の温度としては60℃以上、または75℃以上である。例えば、1−ブタノールとトルエンの混合溶媒を用いる場合には、反応液の温度が75℃以上105℃であることが良い。
【0071】
また、前記(A−2)工程における反応時間は、溶媒の種類又は反応液の温度によって異なるが、例えば1−ブタノールとトルエンの混合溶媒を用いて反応液の温度を90℃以上105℃以下として反応させる場合、反応時間は2時間以上4時間以下が挙げられる。
【0072】
前記(A−2)工程で生成した前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、溶媒洗浄、高速カラムクロマトグラフィーまたは再結晶により精製される。
【0073】
本実施の形態の記録媒体10において、上記不可視のドット30Aを記録する記録材料に含まれる、前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、顔料化処理を行うことが良いが、顔料化処理を行うと結晶系が変化しやすいと考えられる。
そのため、顔料化処理の方法及び処理条件は、顔料化処理前のペリミジン系スクアリリウム色素粒子(原料)の結晶系の変換が抑制されるように調整することが良い。すなわち、ペリミジン系スクアリリウム色素粒子のX線回折ピークを示すように調整されることが良い。具体的には、ペリミジン系スクアリリウム色素では、Cuターゲットで波長1.5405ÅのX線照射により測定される粉末X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、少なくとも17.7°、19.9°、22.1°、23.2°、24.9°に回折ピークを示すものが良いため、顔料化処理後のペリミジン系スクアリリウム色素が、該回折ピークを示すように調整されることが、耐光性向上の観点から良い。
【0074】
顔料化方法としては、例えば、構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液とを混合し、その混合液について顔料化処理を行う方法が挙げられる。混合液には、必要に応じて水を加えて濃度を調節してもよい。また、顔料化処理に使用する装置としては、ビーズミル加工装置が挙げられる。
【0075】
本実施の形態において、不可視のドット30Aを構成する記録材料は、上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を、粒子として含有することが良い。該構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、従来用いられていた不可視画像に用いられる色素に比べて、分子間相互作用が大きく、また、それらの粒子は結晶性が高い。このため、粒子状の上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を記録材料に含有させることで、従来用いられていた不可視の画像に用いられる色素に比べて、赤外発色能力及び耐光性がより高められると考えられる。
【0076】
上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の粒子は、例えば(A−2)工程後の精製物をテトラヒドロフランに溶かして、その溶液を、注射器等を用いて、氷冷した蒸留水に撹拌しながら注入して沈殿物を生成させ、その沈殿物を吸引濾過により濾取し、蒸留水で洗浄した後、真空乾燥することによって得られる。このとき、溶液中における上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の濃度、溶液の注入速度、蒸留水の量又は温度、撹拌速度等を調整することにより、得られる沈殿物の粒子径が調整される。
【0077】
上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の粒子のメジアン径d50としては、10nm以上300nm以下や、20nm以上200nm以下が挙げられる。
上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の粒子のメジアン径d50が上記範囲内であると、耐光性の低下が抑制され、且つ赤外発色能力が向上すると考えられる。
【0078】
なお、粒子化およびメヂアン径の制御のための上記処理は、上記顔料化処理の前後のいずれで行ってもよい。
【0079】
本実施の形態において、不可視のドット30Aを構成する記録材料には、該記録材料及び該記録材料によって形成される不可視のドット30Aが「不可視」であれば、上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素以外の成分が更に含有されていてもよいが、該記録材料に含まれる上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の含有量は、記録材料の全質量(100質量%)に対して、0.05質量%以上3質量%以下、または0.1質量%以上2質量%以下である。
【0080】
なお、上記構造式(I)で示されるペリミジン系スクアリリウム色素は、上述のように、耐光性に優れた色素であるため、該色素を含む記録材料は、耐光性に優れている。この記録材料の耐光性をより向上させる観点から、安定化剤を更に含有した構成としてもよい。安定化剤としては、励起状態の有機近赤外吸収色素からエネルギーを受け取る必要があり、近赤外吸収色素の吸収帯よりも長波長側に吸収帯を有するものが用いられる。また、安定化剤は、一重項酸素による分解が起こり難く、上記構造式(I)で示されるペリミジン系スクアリリウム色素と相溶性が高いものを用いることがよい。この特性を有する安定化剤としては、有機金属錯体化合物が挙げられる。中でも、下記一般式(V)で表される化合物が挙げられる。
【0081】
【化4】
【0082】
一般式(V)中、R1,R2,R3,R4は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ置換又は未置換のフェニル基を示す。R1,R2,R3,R4で示されるフェニル基が置換基を有する場合、当該置換基としては、H、NH2、OH、N(ChH2h+1)2、OChH2h+1、ChH2h−1、ChH2h+1、ChH2hOH又はChH2hOCiH2i+1(hは1から18の整数を示し、iは1から6の整数を示す)などが挙げられる。また、X1,X2,X3,X4は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ、O、S、Seを示し、YはNi、Co、Mn、Pd、Cu、Pt等の遷移金属を示す。
【0083】
上記一般式(V)で表される化合物の中でも、下記構造式(VI)で表される化合物が特に良い。
【0084】
【化5】
【0085】
記録材料に含まれる安定化剤の濃度は、上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の質量に対して、1/10倍以上2倍以下が良い。
【0086】
一方、赤外吸収性を有する可視のドット30Bを記録するための記録材料としては、色材として、赤外吸収性及び可視領域の光を反射する双方の特性を有する色材、または、赤外吸収性を有する色材と、可視領域の光を反射する色材と、の双方を含む記録材料が挙げられる。
赤外吸収性を有する色材としては、公知の赤外吸収性を有する色材を用いればよいが、上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を用いることがよい。
可視領域の光を反射する色材としては、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)等の公知の色材が挙げられる。また、赤外吸収性を有し且つ可視領域の光を反射する色材としては、例えば、カーボンブラック等が挙げられる。
【0087】
また、赤外吸収性を有さない可視のドット30Cを記録するための記録材料としては、例えば、赤外吸収性を示さず、且つ可視領域の光を反射する材料を色材として含む記録材料が挙げられる。この赤外吸収性を示さず、且つ可視領域の光を反射する色材としては、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)等の公知の色材が挙げられる。
【0088】
なお、本実施の形態では、赤外画像30は、赤外吸収性を有する不可視のドット30Aと、赤外吸収性を有する可視のドット30Bと、から構成されている場合を説明するが、赤外画像30は、赤外光を照射されることによって読取られる画像であればよいので、記録媒体10上の、赤外吸収性を有する可視のドット30Bの集合体以外の領域によって示される画像(図6(A)の赤外画像30参照)であってもよい。具体的には、図6(A)に示すように、赤外画像30は、赤外吸収性を有する可視のドット30Bによって構成された関連画像32以外の領域によって示される画像(記録媒体10上に何もドットが形成されていない領域で、赤外吸収性を有する可視のドット30Bの隙間の集合体によって示される画像)であってもよい。
【0089】
例えば、関連画像32を予め定めた濃度より高濃度に形成する場合には、関連画像32を構成するドットを全て赤外吸収性を有する可視のドット30Bから構成し、赤外画像30を、該可視のドット30Bの隙間の集合体によって示す形とすればよい。
【0090】
さらに、この場合には、図6(B)に示すように、赤外吸収性を有する可視のドット30Bの一部を、赤外吸収性を有する不可視のドット30Aとしてもよい。このように、赤外吸収性を有する可視のドット30Bの一部を、赤外吸収性を有する不可視のドット30Aとし、関連画像32におけるこの不可視のドット30Aの占める割合を調整することで、関連画像32が視認されたときの色の濃さが調整されると考えられる。
【0091】
(画像形成装置)
以下、記録媒体10上に、上記の赤外画像30及び関連画像32を形成する装置として、電子写真方式の画像形成装置を用いた形態を一例として挙げて説明する。
【0092】
図4に示すように、本実施の形態の画像形成装置11は、不可視画像記録部15、可視画像記録部14K、可視画像記録部14、図中矢印Aの方向に回転される中間転写体16、給紙装置17、用紙搬送路18、定着器19、画像処理装置20、像形成制御装置21、排紙装置22、及び入出力装置23を備えている。
【0093】
なお、画像形成装置11が、本発明の画像形成装置に相当し、不可視画像記録部15が、本発明の画像形成装置の第1の記録装置に相当し、可視画像記録部14Kが、本発明の画像形成装置の第2の記録装置に相当し、可視画像記録部14が、本発明の画像形成装置の第3の記録装置に相当する。
【0094】
画像形成装置11の概略を説明すると、画像処理装置20は、ネットワーク回線や無線回線等を介してパーソナルコンピュータ等の外部から入力された画像データに対して、後述する合成処理等の画像処理を施し、像形成制御装置21に対して出力する。
【0095】
像形成制御装置21は、画像処理を施された画像データ(後述する“第1の印刷データ第2の印刷データ、及び第3の印刷データ”)に基づいて、不可視画像記録部15、可視画像記録部14K、及び可視画像記録部14を制御する。なお、像形成制御装置21は、画像処理装置20の一部として、画像処理装置20に含まれてもよい。
【0096】
画像形成装置11の外面には、例えばタッチパネルなどの入出力装置23が設けられている。入出力装置23は、画像形成装置11の制御情報や指示情報などを表示すると共に、指示情報などのユーザによる入力を受入れる。即ち、ユーザは、入出力装置23を介して画像形成装置11を操作する。なお、入出力装置23は、スイッチなどの入力のみを受入れるものであってもよいし、表示などの出力のみを行うものであってもよく、これらを組み合わせたものであってもよい。
【0097】
画像形成装置11の内部には、不可視画像記録部15と、可視画像記録部14Kと、可視画像記録部14と、が設けられている。不可視画像記録部15は、赤外吸収性を有する不可視のドット30Aを記録する。可視画像記録部14Kは、赤外吸収性を有する可視のドット30Bを記録する。可視画像記録部14は、赤外吸収性を有さない可視のドット30Cを記録する。
【0098】
この可視画像記録部14は、赤外吸収性を有さないカラー画像を構成する色に対応する複数の可視画像記録部を含んだ構成とされている。本実施の形態では、可視画像記録部14は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色に対応して、可視画像記録部14Y、可視画像記録部14M、可視画像記録部14Cを含んだ構成とされている。
【0099】
これらの不可視画像記録部15と、可視画像記録部14Kと、可視画像記録部14に含まれる可視画像記録部14Y、可視画像記録部14M、及び可視画像記録部14Cは、中間転写体16に沿って間隔を空けて配列されている。
【0100】
なお、本実施の形態では、不可視画像記録部15は、可視画像記録部14K及び可視画像記録部14より中間転写体16の搬送方向上流側に設けられている形態を説明するが、可視画像記録部14K及び可視画像記録部14より下流側に設けられていても良い。また、不可視画像記録部15は、画像形成装置11とは別体として設けられていても良い。
【0101】
また、本実施の形態では、可視画像記録部14Kが、赤外吸収性を有する可視のドット30Bとして、黒色のドットを記録する記録部であるものとして説明するが、可視画像記録部14Kは、赤外吸収性を有する可視のドット30Bを記録する記録部であればよく、黒色のドットを記録する記録部に限られない。例えば、可視画像記録部14Kを、赤外吸収性を有するシアンの可視のドット30Bを記録する装置としてもよい。この場合には、可視画像記録部14に含まれる可視画像記録部14Cを、赤外吸収性を有さない黒色の可視のドット30Cを記録する装置とすればよい。
【0102】
詳細には、不可視画像記録部15は、像形成制御装置21の制御によって、画像処理装置20から入力された第1の印刷データに基づいて、赤外吸収性を有する不可視のドット30Aを記録するための記録材料からなる不可視のドット30Aを、中間転写体16上に形成(一次転写)する。不可視画像記録部15は、像形成制御装置21の制御によって画像処理装置20から入力された第1の印刷データに応じてレーザ光を走査する光走査装置140Lと、この光走査装置140Lにより走査されたレーザ光により静電潜像が形成される像形成装置150Lとを有する。第1の印刷データは、不可視のドット30Aを記録するための印刷データである。
【0103】
光走査装置140Lは、半導体レーザ142Lを、第1の画像データに応じて変調して、この半導体レーザ142Lからレーザ光LBを該第1の画像データに応じて出射する。この半導体レーザ142Lから出射されたレーザ光LBは、第1の反射鏡143L及び第2の反射鏡144Lを介して回転多面鏡146Lに照射され、この回転多面鏡146Lによって偏向走査され、第2の反射鏡144L、第3の反射鏡148L及び第4の反射鏡149Lを介して、像形成装置150Lの像保持体152L上に照射される。
【0104】
像形成装置150Lは、矢印Aの方向に沿って回転する像保持体152Kと、この像保持体152Lの表面を帯電する一次帯電用の帯電装置154Lと、像保持体152L上に形成された静電潜像を現像する現像器156Lと、除去装置158Lと、を備えている。
【0105】
現像器156Lの内部には、不可視のドット30Aを記録するための記録材料から構成されたトナー、または該トナーと公知のキャリアと、が保持されている。そして、この現像器156Lから像保持体152Lへ、該トナーが供給される。像保持体152Lは、帯電装置154Lにより一様に帯電され、光走査装置140Lにより照射されたレーザ光により静電潜像を形成される。像保持体152Lに形成された静電潜像は、現像器156Lから供給された上記不可視トナーで現像され、中間転写体16に転写される。なお、該転写の後に像保持体152Lに付着しているトナー及び紙粉等は、除去装置158Lによって除去される。
【0106】
このため、不可視画像記録部15によって、不可視のドット30Aが中間転写体16上に形成される。
【0107】
可視画像記録部14Kは、像形成制御装置21の制御によって、画像処理装置20から入力された第2の印刷データに基づいて、赤外吸収性を有する可視のドット30Bを記録するための記録材料からなる可視のドット30Bを、中間転写体16上に形成(一次転写)する。
可視画像記録部14Kは、像形成制御装置21の制御によって画像処理装置20から入力された第2の印刷データに応じてレーザ光を走査する光走査装置140Kと、この光走査装置140Kにより走査されたレーザ光により静電潜像が形成される像形成装置150Kとを有する。なお、この第2の印刷データは、赤外吸収性を有する可視のドット30Bを記録するための印刷データである。
【0108】
光走査装置140Kは、半導体レーザ142Kを第2の印刷データに応じて変調して、この半導体レーザ142Kからレーザ光LB(K)を第2の印刷データに応じて出射する。この半導体レーザ142Kから出射されたレーザ光LB(K)は、第1の反射鏡143K及び第2の反射鏡144Kを介して回転多面鏡146Kに照射され、この回転多面鏡146Kよって偏向走査され、第2の反射鏡144K、第3の反射鏡148K及び第4の反射鏡149Kを介して、像形成装置150Kの像保持体152K上に照射される。
【0109】
像形成装置150Kは、矢印Aの方向に沿って回転する像保持体152Kと、この像保持体152Kの表面を帯電する帯電装置154Kと、像保持体152K上に形成された静電潜像を現像する現像器156Kと、除去装置158Kと、を備えている。
現像器156Kの内部には、赤外吸収性を有する可視のドット30Bを記録するための記録材料から構成されたトナーとして、本実施の形態では、赤外吸収性を有する黒色のトナー、または該黒色のトナーと公知のキャリアと、が保持されており、該黒色のトナーが像保持体152Kへ供給される。像保持体152Kは、帯電装置154Kにより帯電され、光走査装置140Kにより照射されたレーザ光LB(K)により静電潜像を形成される。像保持体152Kに形成された静電潜像は、現像器156Kから供給された上記黒色のトナーで現像され、中間転写体16に転写される。なお、該転写の後に像保持体152Kに付着しているトナー及び紙粉等は、除去装置158Kによって除去される。
【0110】
このため、可視画像記録部14Kによって、可視のドット30Bが中間転写体16上に形成される。
【0111】
可視画像記録部14は、像形成制御装置21の制御によって、画像処理装置20から入力された第3の印刷データに基づいて、赤外吸収性を有さない可視のドット30Cを記録するための記録材料からなる可視のドット30Cを、中間転写体16上に形成(一次転写)する。可視画像記録部14に含まれる可視画像記録部14Y、可視画像記録部14M、及び可視画像記録部14Cについては、可視画像記録部14Kの現像器156Kに含まれる赤外吸収性を有する可視のドット30Bを記録するための記録材料から構成されたトナーが、各々、赤外吸収性を有さない公知のイエローのトナー、赤外吸収性を有さない公知のマゼンタのトナー、赤外吸収性を有さない公知のシアンのトナーである以外は、同じ構成であるため詳細な説明を省略する。
なお、図中、可視画像記録部14Y、可視画像記録部14M、及び可視画像記録部14Cの構成部材は、可視画像記録部14Kにおける該当する各構成部材に付与された符号の「K」をそれぞれ「Y」、「M」、「C」で置き換えた符号で示している。このため、可視画像記録部14によって、赤外吸収性を有さない可視のドット30Cが形成される。
【0112】
なお、各可視画像記録部14Y、可視画像記録部14M、及び可視画像記録部14Cの色の順序は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の順に限定されるものではなく、その順序は任意である。
【0113】
中間転写体16は、支持部材164と、支持部材165と、支持部材166と、支持部材167と、支持部材168と、支持部材169と、によって内側から支持されており、駆動モータ(図示省略)によって何れか1つの支持部材(例えば支持部材164)が回転駆動されることにより、矢印Aの方向に循環駆動される。この中間転写体16としては、例えば、可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フィルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フィルムの両端を溶着等によって接続することにより無端ベルト状に形成されたものが用いられる。
【0114】
また、不可視画像記録部15、可視画像記録部14K、可視画像記録部14Y、可視画像記録部14M、可視画像記録部14Cの各々の、中間転写体16を介して向かい合う位置には、それぞれ、転写部材162L、転写部材162K、転写部材162Y、転写部材162M、及び転写部材162Cが配設され、像保持体152L、像保持体152K、像保持体152Y、像保持体152M、像保持体152C上に形成されたトナーによる像は、これらの転写部材162L、転写部材162K、転写部材162Y、転写部材162M、及び転写部材162Cの各々により中間転写体16上に転写される。なお、中間転写体16に付着した残留トナーは、二次転写位置の下流に設けられた除去装置189により除去される。
【0115】
用紙搬送路18には、給紙装置17から記録媒体10を取り出す給紙部材180と、複数の支持部材181、支持部材182、支持部材183と、支持部材184と、が配設されている。用紙搬送路18上の二次転写位置には、支持部材168に圧接された支持部材185が配設されている。
【0116】
給紙装置17から供給された記録媒体10は、用紙搬送路18上を搬送される。そして、上記中間転写体16上に転写された不可視のドット30A、可視のドット30B、及び可視のドット30Cは、支持部材185による圧接力及び静電気力で記録媒体10上に二次転写される。これによって、記録媒体10上に、赤外画像30及び関連画像32が転写され、該記録媒体10は、搬送ベルト186及び搬送ベルト187によって定着器19へと搬送される。
【0117】
定着器19は、記録媒体10に対して加熱処理及び加圧処理を施すことにより、該記録媒体10上の不可視のドット30A、可視のドット30B、及び可視のドット30Cの各々を構成するトナーを記録媒体10に溶融固着させる。これによって、記録媒体10上に、不可視のドット30A、可視のドット30B、及び可視のドット30Cからなる赤外画像30及び関連画像32が形成される。この赤外画像30及び関連画像32の形成された記録媒体10は、矢印Bに沿って外部に排出される。
【0118】
次に、画像処理装置20の機能構成について説明する。
【0119】
画像処理装置20は、ネットワーク回線や無線回線等を介してパーソナルコンピュータ等の外部から入力された画像データに対して、後述する合成処理等の画像処理を施して、第1の印刷データ、第2の印刷データ、及び第3の印刷データを作成し、像形成制御装置21に対して出力する。なお、本実施の形態では、上記外部から入力された画像データには、記録媒体10に形成する対象の関連画像32(図1参照)を示す関連画像データと、赤外画像30を示す赤外画像データと、が含まれているものとして説明する。
【0120】
この関連画像データは、可視の記録材料により記録される関連画像であることを示す情報や、関連画像32を構成する各ドットの大きさ、各ドットの位置(記録媒体10上の位置)、各ドットが赤外吸収性を有する不可視のドットであることを示す情報等を含んでいる。赤外画像データは、赤外吸収性を有する記録材料により記録される画像であることを示す情報や、赤外画像30を構成する各ドットの色、各ドットの大きさ、各ドットの位置(記録媒体10上の位置)、各ドットが赤外吸収性を有する可視のドットであることを示す情報等を含んでいる。
【0121】
なお、本実施の形態では、関連画像データ及び赤外画像データには、記録媒体10上の同じ特定領域12に赤外画像30及び関連画像32が形成されるように、各ドットの位置を示す情報が設定されているものとする。
【0122】
図5に示すように、画像処理装置20は、画像データ受付部60、ドット補正部62、合成部64、及び印刷データ出力部66を備えている。
【0123】
画像処理装置20に含まれる上記各構成は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及びプログラムなどによりソフトウェア的に実現されてもよいし、ASIC(Application Specified Integrated Circuit)などによりハードウェア的に実現されてもよい。また、画像処理装置20は、画像形成装置11のみでなく、例えばパーソナルコンピュータなどに含まれてもよい。
【0124】
画像処理装置20において、画像データ受付部60は、外部から、画像データに含まれ赤外画像データ及び関連画像データを受け付けて、ドット補正部62へ出力する。ドット補正部62では、画像データ受付部60から受け付けた赤外画像データに含まれる、赤外吸収性を有する記録材料により記録される画像であることを示す情報を読取ることによって、赤外画像データであることを判別し、関連画像データに含まれる、可視の記録材料により記録される関連画像であることを示す情報を読取ることによって、関連画像データであることを判別する。
そして、ドット補正部62では、この赤外画像データによって示される赤外画像30を構成する各ドットの大きさと、関連画像データによって示される関連画像32を構成する各ドットの大きさと、が同じ大きさとなるように、各ドットの大きさを示す情報の補正を行った後に、補正した関連画像データ及び赤外画像データを合成部64へ出力する。
【0125】
合成部64では、ドット補正部62で補正された赤外画像データと、ドット補正部62で補正された関連画像データと、の同じ位置に形成される各ドットの情報について、排他的論理和演算を行うことによって、赤外画像データと関連画像データとを合成し、合成した合成データと、合成前の関連画像データと、合成前の赤外画像データと、を印刷データ出力部66へ出力する。詳細には、該赤外画像データの赤外画像を構成する各ドットと、関連画像データの関連画像を構成する各ドットと、が重なる位置に対応するドットの情報を、赤外吸収性を有する可視のドット(可視のドット30B)であることを示す情報とする。また、赤外画像を構成する各ドットのうちの該重なる位置に対応するドット以外のドットの情報を、赤外吸収性を有する不可視のドット(不可視のドット30A)であることを示す情報とする。また、関連画像を構成する各ドットのうちの該重なる位置に対応するドット以外のドットの情報を、赤外吸収性を有さない可視のドット(可視のドット30C)であることを示す情報とする。これによって、合成処理を行う。
【0126】
印刷データ出力部66では、合成部64から出力された合成データの合成画像を構成するドットのうちの、赤外吸収性を有する不可視のドットであることを示す情報を示すドットの情報を抽出することによって、不可視のドット30Aを記録するための第1の印刷データを作成し、像形成制御装置21に対して出力する。
また、印刷データ出力部66では、合成部64から出力された合成データの合成画像を構成するドットのうちの、赤外吸収性を有する可視のドットであることを示す情報を示すドットの情報を抽出することによって、可視のドット30Bを記録するための第2の印刷データを作成し、像形成制御装置21に対して出力する。
さらに、印刷データ出力部66では、合成部64から出力された合成データの合成画像を構成するドットのうちの、赤外吸収性を有さない可視のドットであることを示す情報を示すドットの情報を抽出することによって、可視のドット30Cを記録するための第3の印刷データを作成し、像形成制御装置21に対して出力する。
【0127】
第1の印刷データ、第2の印刷データ、及び第3の印刷データを受け付けた像形成制御装置21では、第1の印刷データに基づいて不可視画像記録部15を制御し、第2の印刷データに基づいて可視画像記録部14Kを制御し、第3の印刷データに基づいて、不可視画像記録部15を制御する。これにより、不可視画像記録部15では、第1の印刷データに応じた不可視のドット30Aが中間転写体16へ転写され、可視画像記録部14Kでは、第2の印刷データに応じた可視のドット30Bが中間転写体16へ転写され、可視画像記録部14では、第3の印刷データに応じた可視のドット30Cが中間転写体16へ転写される。そして、結果的に、記録媒体10上の特定領域12に、関連画像32と赤外画像30とが形成されることとなる。そして、特定領域12に形成された赤外画像30は、赤外吸収性を有する複数のドットから構成されており、この複数のドットのうちの一部が、該特定領域12に形成された関連画像32を構成する可視のドットとされている。
このため、赤外画像30と関連画像32とが同じ領域内に形成されていても、関連画像32によって、赤外画像30の赤外光による読取り精度が低下することが抑制されると考えられる。
【0128】
なお、上記の実施の形態では、記録媒体10上に上記の赤外画像30及び関連画像32を形成する装置として、電子写真方式の画像形成装置を用いた形態を一例として挙げて説明したが、インクジェットプリンターによって形成されてもよいし、活版印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、またはシルク印刷などの装置によって形成されてもよいことはいうまでもない。
【0129】
<試験例>
以下、不可視のドット30A及び可視のドット30Bを記録するため用いられる赤外吸収性を有する色素について、具体的に説明する。
【0130】
(試験例1)
(ペリミジン系スクアリリウム色素の調製:二段階合成)
1,8−ジアミノナフタレン4.843g(98%,30.0mmol)、3,5−ジメチルシクロヘキサノン3.886g(98%,30.2mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物10mg(0.053mmol)とトルエン45mlの混合液を窒素ガスの雰囲気中に攪拌しながら加熱し、5時間還流させた。反応中にできた水を共沸蒸留により除去した。反応終了後、トルエンを蒸留して得られた暗茶色固体はアセトンで抽出し、アセトンとエタノールの混合溶媒から再結晶することにより精製し、乾燥してから、茶色固体7.48g(収率93.6%)を得た。得られた茶色固体の1H−NMRスペクトル(CDCl3)による分析結果を以下に示す。
【0131】
1H−NMRスペクトル(CDCl3): δ=7.25、7.23、7.22、7.20、7.17、7.15(m,4H,Harom);6.54(d×d,J1=23.05Hz,J2=7.19Hz,2H,Harom);4.62(br s,2H,2×NH);2.11(d,J=12.68Hz,2H,CH2);1.75、1.71、1.70、1.69、1.67、1.66(m,3H,2×CH、CH2);1.03(t,J=12.68Hz,2H,CH2);0.89(d,J=6.34Hz,6H,2×CH3);0.63(d,J=11.71Hz,1H,CH2)
【0132】
上記の茶色固体4.69g(17.6mmol)、3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオン913mg(8.0mmol)、n−ブタノール40mlとトルエン60mlの混合液を窒素ガスの雰囲気中に攪拌しながら加熱し、3時間還流反応させた。反応中にできた水を共沸蒸留により除去した。反応終了後、大部分の溶媒を窒素ガスの雰囲気中に蒸留し、得られた反応混合物を攪拌しながら、120mlのヘキサンを加えた。できた黒茶色沈殿物を吸引濾過し、ヘキサンで洗浄し、乾燥後黒青色固体を得た。この固体を順次にエタノール、アセトン、60%エタノール水溶液、エタノールおよびアセトンで洗浄し、目的の化合物(黒青色固体)4.30g(収率88%)を得た。
【0133】
得られた色素化合物を、赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)、1H−NMR(DMSO‐d6)、FD−MS、元素分析、可視近赤外吸収スペクトルなどの分光法により同定した。同定データを以下に示す。可視近赤外吸収スペクトルを図7に示す。同定の結果、得られた化合物が上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素であることが確認された。
【0134】
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法):
νmax=3487、3429、3336(NH),3053(=C−H),2947(CH3),2914、2902(CH2),2864(CH3),2360,1618、1599、1558、1541(C=C ring),1450、1421、1363(CH3、CH2),1315、1223、1201(C−N),1163、1119(C−O−),941,924,822,783,715cm−1
1H−NMRスペクトル(DMSO−d6): δ=10.52(m,2H,NH);7.80、7.78(d,2H,Harom);7.35、7.33(m,2H,Harom);7.25(m,2H,NH);6.82、6.80、6.78(m,4H,Harom);6.74、6.72、6.52、6.50(m,2H,Harom);2.17(m,5H,CH2);1.91(m,3H,CH2);1.71(m,2H,CH、CH2);1.15、1.12(m,4H,CH2);0.92、0.91(m,12H,4×CH3);0.66(m,2H,CH2)
マススペクトル(FD): m/z=610(M+,100%),611(M++1,47.5%)
【0135】
元素分析:
C:78.6%(実測値)、78.66%(計算値)
H:6.96%(実測値)、6.93%(計算値)
N:9.02%(実測値)、9.17%(計算値)
O:5.42%(実測値)、5.24%(計算値)
【0136】
可視近赤外吸収スペクトル(図7):
λmax=809nm(テトラヒドロフラン溶液中)
εmax=1.68×105M−1cm−1(テトラヒドロフラン溶液中)
【0137】
(顔料化処理)
次に、得られたペリミジン系スクアリリウム色素51gと、12質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液25gと、水425gをビーズミル加工装置(アシザワファインテック製・ミニサー)に投入し、0.1mmφビーズ485g、周速12m/sで3時間の運転を行った。回収したベリミジン系スクアリリウム色素(以下、「(A)粒子」という。)の粒度分布を測定したところ、メジアン径は65.9nmであった。
【0138】
(試験例2)
試験例1における顔料化処理前のペリミジン系スクアリリウム色素粒子(以下、「原料」という。)50mgとテトラヒドロフラン(THF)1mL、直径1mmのジルコニアビーズ10gをボールミル用容器に入れ、1時間ミリング処理を行った。ボールミル用容器に水を加え、50nmフィルターでろ過して、ペリミジン系スクアリリウム色素粒子(以下、「(B)粒子」という。)を回収した。
【0139】
(粉末X線回折の測定)
試験例1における顔料化処理前のペリミジン系スクアリリウム色素粒子(以下、「原料」という)、試験例1における(A)粒子、および試験例2における(B)粒子について、X線回折装置(「D8 DISCOVER」、ブルカー・エイエックスエス株式会社製)を用い、Cuターゲットでλ=1.5405ÅのX線照射による粉末X線回折の測定を行った。得られた粉末X線回折スペクトルを図8及び図9に示した。
【0140】
図8から、(A)粒子は、ブラッグ角(2θ±2°)で、強度が大きい順に22.1°、23.2°、19.9°、24.9°、17.7°に回折ピークを示し、原料と同じ結晶系であることがわかる。一方、図9から、(B)粒子は、ブラッグ角(2θ±2°)で、強度が大きい順に22.6°、24.2°、8.9°、17.1°、18.4°に回折ピークを示し、原料及び(A)粒子とは結晶系が異なることがわかる。
【0141】
(試験例3)
従来のバナジルナフタロシアニン色素(以下、「VONPc」という)を用意した。
【0142】
(試験例4)
下記式(VII)で表される色素化合物について、以下の方法により粒子化処理を行った。
【0143】
【化6】
【0144】
上記式(VII)で表される色素化合物40mgをTHF30mLに溶かし、その溶液を、マイクロシリンジで氷冷した蒸留水2000mLに注入し、再沈を行った。数分後、混合液を室温に戻して沈殿物を50nmフィルターで濾過し、蒸留水で洗浄、真空乾燥し、再沈した色素化合物(以下、「(C)粒子」という。)を回収した。この(C)粒子の粒径は、メジアン径d50が約90nmであった。(C)粒子について、試験例2と同様にCuターゲットでλ=1.5405ÅのX線照射により粉末X線回折スペクトルを得たところ、結晶由来の回折ピークはほとんど認められず、再沈法で得られた(C)粒子は非結晶であった。
【0145】
(試験例5)
上記試験例4において、再沈法で得られた(C)粒子40mgとヘキサン5mL、直径1mmのめのうビーズ10gをボールミル用容器に入れ、8時間ミリング処理を行った。ボールミル用容器に水を加え、50nmフィルターでろ過して、粒子化した色素化合物(以下、「(D)粒子」という。)を回収した。(D)粒子の粒径は、メジアン径d50が約90nmであった。(D)粒子について、試験例2と同様にCuターゲットでλ=1.5405ÅのX線照射により測定された粉末X線回折スペクトルを得たところ、ブラッグ角(2θ±0.2°)で、少なくとも11.9°,13.1°,15.4°,19.0°,20.4°,23.0°,23.9°,24.6°,26.4°に回折ピークを示す結果が得られ、(D)粒子が高い結晶性を有していた。
【0146】
―評価―
――スラリーの調製――
試験例1で調整した(A)粒子、試験例2で調整した(B)粒子、試験例3で用意したVONPc、試験例4で調整した(C)粒子、試験例5で調整した(D)粒子の各々について、9.2mgを、12質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液46μl及び蒸留水5.52mlと共に超音波分散し、スラリーを調製した(超音波出力:4−5W、1/4インチホーン使用、照射時間30分)。スラリー中の試料濃度は、0.165質量%であった。
【0147】
――読取り性の評価――
試験例1で調整した(A)粒子のスラリー(試料濃度0.165質量%)40.4μL、40質量%ラテックス(ポリスチレンアクリル酸n−ブチル)液15μL、及び蒸留水5gの混合液をウルトラタラックスで分散化処理して、混合スラリーとした。得られた混合スラリーにPAC凝集剤を加えて擬似トナー分散液とし、220nmフィルターでろ過、空気乾燥、熱圧着(120℃)して、TMA=4g/m2、単位面積当たりの顔料量PMA=0.04g/m2(トナー中の顔料含有量1質量%に相当)の評価用ラテックスパッチを作製した。
得られたラテックスパッチの可視近赤外吸収スペクトルを日立製作所製の分光光度計U−4100により測定し、その結果を図10に示した。また、上記式(III)中のR(850nmの初期反射率)を求め、表1に示した。
【0148】
該スラリー中の(A)粒子に代えて、試験例2で調整した(B)粒子、試験例3で用意したVONPc、試験例4で調整した(C)粒子、試験例5で調整した(D)粒子の各々を、用いることによって、(A)粒子と同じ方法により混合スラリーを調製して評価用ラテックスパッチを作製し、可視近赤外吸収スペクトルを測り、上記式(III)中のRを求めた。評価結果を図10および表1に示した。
【0149】
――不可視性評価――
試験例1の(A)粒子、試験例2の(B)粒子、試験例3のVONPc、試験例4の(C)、試験例5の(D)粒子の各々を用いて作製した上記の評価用ラテックスパッチについて、上記式(II)中のΔEを求めた。評価結果を表1に示した。
なお、このΔEの測定は、反射分光濃度計(エックスライト株式会社製、x−rite939)を用いて測定を行うことによって得た。
【0150】
なお、不可視性の評価基準は、下記基準とした。
A:0≦ΔE≦6
B:6<ΔE≦16
C:ΔE>16
【0151】
――耐光性の評価――
試験例1の(A)粒子、試験例2で調整した(B)粒子、試験例3で用意したVONPc、試験例4で調整した(C)粒子、試験例5で調整した(D)粒子の各々を用いて作成した評価用ラテックスパッチに対して、36時間、光照射(光源:キセノンランプ、放射照度:540W/m2=100kルクス、UVカットフィルタなし)を行った。
そして、12時間経過毎に、850nmの反射率を、日立製作所製の分光光度計U−4100により測定することによって、耐光性を評価した。図11に、この評価用ラテックスパッチの反射率と光照射時間との関係を示した。
なお、読取性および耐光性の評価基準は、下記基準とした。評価結果は表1に示した。
【0152】
読取性の評価基準:
A(読取性が特に良好): R≦25
B(読取性良好) : 25<R≦40
C(読取可能) : R>40
【0153】
耐光性の評価基準:
A(耐光性が特に良好): 光照射24時間後の反射率@850nm(%)≦44
B(耐光性が良好):44<光照射24時間後の反射率@850nm(%)≦66
C(耐光性あり): 光照射24時間後の反射率@850nm(%)>66
【0154】
【表1】
【0155】
以上のように、試験例1及び試験例2で調整した(A)及び(B)では、試験例3〜試験例5に比べて、不可視性が維持されたまま、読取性および耐光性が大幅に向上された。
このため、試験例1及び試験例2で調整した(A)粒子及び(B)粒子を含む記録材料を用いて赤外吸収性を有する不可視のドット30Aを形成すれば、試験例3〜試験例5で調整した色素を用いて不可視のドット30Aを形成した場合に比べて、不可視性が維持されたまま、赤外光による読取性がさらに向上されるといえる。
【0156】
また、試験例1及び試験例2で調整した(A)粒子及び(B)粒子と、可視の色材とを含む記録材料を用いて赤外吸収性を有する可視のドット30Bを形成すれば、試験例1及び試験例2で調整した(A)粒子及び(B)粒子に替えて試験例3〜試験例5で調整した色素を用いて可視のドット30Bを形成した場合に比べて、赤外光による読取性がさらに向上されるといえる。
【符号の説明】
【0157】
10 表示媒体
11 画像形成装置
12 不可視画像
13 関連画像
14 可視画像形成部
15 不可視画像形成部
16 可視画像
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、視覚認識可能な視認署名背景画像と、文書画像と、を重畳し、文書画像内の各画素の画素値が所定の値をとる領域では視認署名背景画像の画素値を用い、他の領域では文書画像の画素値を用いて、視認署名付の文書画像を生成する視認署名付文書生成装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、印刷指示に応じて印刷対象の電子文書を解析し、不可視データ、非静止画データ、動的更新データの存在及び位置を検出し、不可視データ、非静止画データ、動的更新データが存在する場合には、存在することを示す符号やマークを、印刷対象の電子文書の画像データを妨害しない箇所に画像として形成することが記載されている。
【0004】
特許文献3には、可視光下で目視あるいは読取り可能なインクによって印刷された目印画像と、該目印画像に重ならない位置に形成され、可視光で目視あるいは読取り出来ない蛍光インクによって印刷されたステルス画像と、を具備した印刷物が記載されている。
【0005】
特許文献4には、文字画像と、文字画像と同じ色材によって形成されたドットの配列によって示されるドットパターンと、の形成された記録媒体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−180262号公報
【特許文献2】特開平11−112698号公報
【特許文献3】特開2005−132027号公報
【特許文献4】特開2006−121569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、本発明における第1の画像を構成する複数のドットのうちの一部のドットが、第2の画像を構成する可視のドットではない場合に比べて、第1の画像と第2の画像とが同じ領域に形成されたときの該第1の画像の赤外光による読取り領域の誤認識が抑制された記録媒体、及び画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、赤外吸収性を有する複数のドットから構成され、該赤外吸収性を有する複数のドットのうちの一部のドットが不可視の第1のドットとされ、残りのドットが可視の第2のドットとされた赤外光によって読取られる第1の画像と、前記第2のドット、または前記第2のドット及び赤外吸収性を有さない可視の第3のドットから構成された可視の第2の画像と、を備えた記録媒体である。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記第2の画像は、前記第1の画像に関連する関連情報を示す請求項1に記載の記録媒体である。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記第1のドットと前記第2のドットの大きさが同じである請求項1または請求項2に記載の記録媒体である。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記第1のドットが、下記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を含有する記録材料により形成された請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の記録媒体である。
【0012】
【化1】
【0013】
請求項5に係る発明は、前記第2のドットが、前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を含有する記録材料により形成された請求項4に記載の記録媒体である。
【0014】
請求項6に係る発明は、前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素が、Cuターゲットで波長1.5405ÅのX線照射により測定される粉末X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が少なくとも17.7°,19.9°,22.1°,23.2°,24.9°に回折ピークを示す請求項4または請求項5に記載の記録媒体である。
【0015】
請求項7に係る発明は、赤外吸収性を有する不可視の第1のドットを記録する第1の記録装置と、赤外吸収性を有する可視の第2のドットを記録する第2の記録装置と、前記第1のドット及び前記第2のドットから構成され赤外光によって読取られる第1の画像と、前記第2のドットから構成された可視の第2の画像と、を記録媒体に形成するように、前記第1の記録装置、及び前記第2の記録装置を制御する制御装置と、を備えた画像形成装置である。
【0016】
請求項8に係る発明は、赤外吸収性を有さない可視の第3のドットを記録する第3の記録装置を更に備え、前記制御手段は、前記第2のドットと前記第3のドットとから構成された可視の画像を、前記第2の画像として前記記録媒体に形成するように、前記第2の記録装置及び前記第3の記録装置を制御する請求項7記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、本発明における第1の画像を構成する複数のドットのうちの一部のドットが、第2の画像を構成する可視のドットではない場合に比べて、第1の画像と第2の画像とが同じ領域に形成されたときの該第1の画像の赤外光による読取り領域の誤認識が抑制された記録媒体が提供される、という効果を奏する。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、第2の画像によって第1の画像に関連する可視的な関連情報を得られる記録媒体が提供される、という効果を奏する。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、本発明における第1のドットと第2のドットの大きさが異なる場合に比べて、第1の画像の赤外光による読取り精度の向上が図れる、という効果を奏する。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、本発明における第1のドットを、本発明における構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を含有しない記録材料により形成した場合に比べて、第1のドットの不可視性が維持されたまま、赤外光による読取性が向上される、という効果を奏する。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、本発明における第2のドットを、本発明における構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を含有しない記録材料により形成した場合に比べて、第2のドットの赤外光による読取性が向上される、という効果を奏する。
【0022】
請求項6に係る発明によれば、本発明における構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素が本発明における回折ピークを示さない場合に比べて、第1のドットの不可視性が維持されたまま、赤外光による読取性が更に向上される、という効果を奏する。
【0023】
請求項7に係る発明によれば、本発明における第2の画像を第1の画像を構成する第2のドットから構成しない場合に比べて、第1の画像の赤外光による読取り領域の誤認識が抑制された記録媒体が提供される、という効果を奏する。
【0024】
請求項8に係る発明によれば、赤外吸収性を有さない可視のドットを利用して第2の画像が形成される、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施の形態に係る記録媒体の一例を示す模式図である。
【図2】(A)は、本実施の形態に係る記録媒体上の特定領域に形成された赤外画像及び関連画像の一例を示す模式図であり、(B)は、(A)の一部を拡大して示した模式図であり、(C)は、(B)に示される画像を赤外光により読取ったときの赤外画像を示す模式図である。
【図3】図2(A)の一部を拡大して示した模式図であり、図2(B)とは異なる態様を示した模式図である。
【図4】本実施の形態における画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図5】本実施の形態に係る画像形成装置における画像処理装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図6】(A)及び(B)は、本実施の形態の赤外画像及び関連画像の図2(B)とは異なる形態を示す模式図である。
【図7】試験例1で得られた、構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素のテトラヒドロフラン溶液中の可視近赤外吸収スペクトルを示す線図である。
【図8】試験例における、(A)粒子及び原料のX線回折スペクトルを示す線図である。
【図9】試験例における、(A)粒子及び(B)粒子のX線回折スペクトルを示す線図である。
【図10】試験例における、(A)粒子、(B)粒子、VONPc、(C)粒子、及び(D)粒子のラテックスパッチの可視近赤外吸収スペクトルを示す線図である。
【図11】試験例における、(A)粒子、(B)粒子、VONPc、(C)粒子、及び(D)粒子のラテックスパッチの耐光性を示す線図であり、照射時間と、反射率との関係を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。
【0027】
(記録媒体)
図1に示すように、本実施の形態の記録媒体10の特定領域12には、赤外光を照射されることによって読取られる第1の画像14(以下、赤外画像と称する)と、可視の第2の画像16(以下、可視画像と称する)と、が形成されている。
【0028】
なお、本実施の形態における記録媒体10が、本発明の記録媒体に相当し、赤外画像30が第1の画像に相当し、関連画像32が第2の画像に相当する。
【0029】
赤外画像30は、赤外光を照射してその反射光を受光することで読取られる画像である。この赤外画像30は、赤外光によって読取られる画像であればよく、所定の情報を符号化して2値画像化したコードパターンや、文字、数字、及び記号(三角印や星印等)等であってもよい。
【0030】
関連画像32は、赤外画像30に関する関連情報を示す可視の画像である。
この関連情報としては、赤外画像30に関する情報であればよいが、具体的には、記録媒体10上に赤外画像30が存在することを示す情報、記録媒体10上の赤外画像30の位置、赤外画像30の形態の種類、赤外画像30の情報の種類や概要、赤外画像30を構成する記録材料の種類等が挙げられる。
【0031】
この関連画像32は、可視の画像である。この関連画像32は、赤外画像30に関する関連情報を示す画像であることがよい。この関連画像32としては、上記関連情報を示す数字や記号(三角印や星印等)であってもよいし、上記関連情報の位置や上記関連情報に対してユーザの行うべき操作を示す文字列であってもよいし、上記関連情報の内容を意味する予め定められた数字や記号であってもよい。
【0032】
本実施の形態では、赤外画像30及び関連画像32は、同じ特定領域12に形成されている。この特定領域12は、記録媒体10上の領域であればよく、記録媒体10の端部であってもよいし、中央部であってもよく、その位置は限定されない。
【0033】
この特定領域12に形成された赤外画像30は、赤外吸収性を有する複数のドットから構成されており、この複数のドットのうちの一部が、関連画像32を構成する可視のドットとされている。
このため、赤外画像30と関連画像32とが同じ領域内に形成されていても、関連画像32によって、赤外画像30の読取り精度が低下することが抑制されると考えられる。
【0034】
以下、赤外画像30及び関連画像32について詳細に説明する。
【0035】
赤外画像30は、赤外光を照射されることによって読取られる画像であり、赤外光を照射してその反射光を受光することで読取られる画像とされている。詳細には、赤外画像30は、赤外吸収性を有する複数のドットから構成されており、図2(A)及び図2(B)に示すように、該赤外吸収性を有する複数のドットのうちの一部が不可視のドット30Aとされ、残りが可視のドット30Bとされている。
【0036】
なお、本実施形態において、「不可視」とは、可視光において、目視により認識されにくい、理想的には視認されない(即ち、不可視である)ことを意味する。具体的には、記録媒体10上に形成された不可視のドット30Aと、記録媒体10との色差ΔEが、16以下とされていることを不可視であるとする。
また、本実施の形態において、「可視」とは、可視光において目視により認識されることを示している。具体的には、可視の画像である関連画像32は、記録媒体10との色差ΔEが16以上であることを示している。
【0037】
また、本実施の形態では、「赤外吸収性を有する」とは、赤外吸収性を有するドットによって印字被覆率100%の画像を形成したときの該画像に対して、赤外光を照射したときの反射率が、該赤外光の波長領域の内の少なくとも何れかの波長において35%以下であることを示している。
【0038】
赤外画像30は、赤外領域の波長の光を照射する半導体レーザまたは発光ダイオードを光学読取り用の光源として用い、赤外光に高い分光感度を有する汎用の受光素子を使用することによって読み出される。受光素子としては、例えばシリコンによる受光素子(CCD等)が挙げられる。例えば、赤外画像30は、赤外光の波長領域の光を照射した反射光が読取られることによって、図2(C)に示すように、該不可視のドット30Aと該可視のドット30Bとからなる赤外画像34として読取られる。
【0039】
一方、関連画像32は、可視の画像であればよく、具体的には、赤外画像30を構成する複数のドットのうちの可視のドット30Bから構成(図2(A)及び図2(B)参照)、または、赤外画像30を構成する複数のドットのうちの可視のドット30Bと、赤外画像30を構成しない(すなわち赤外吸収性を有さない)可視のドット30C(図3参照)と、から構成されている。
【0040】
この関連画像32を構成する可視のドット(可視のドット30B、または可視のドット30B及び可視のドット30C)は、可視光を反射することで視認されるドットであればよい。すなわち、関連画像32を構成するドットは可視のドットであればよく、赤外吸収性を有するドットであっても、赤外吸収性を有さないドットであってもよい。ただし、関連画像32を構成する複数のドットのうちの、赤外画像30を構成するドットに重なる位置または赤外画像30を構成するドットに替えて形成されているドットは、赤外吸収性を有するドット(赤外吸収性を有する可視のドット30B)とされている。
【0041】
そして、関連画像32を構成する複数のドットのうちの、赤外画像30を構成するドット以外の位置に設けられたドットは、赤外吸収性を示さない可視のドット(可視のドット30C)であればよい。関連画像32を構成する複数のドットのうちの、赤外画像30を構成する複数のドットの一部のドット以外のドットが、赤外吸収性を示さない可視のドットとされていることで、赤外画像30の赤外光による読取り領域の誤認識を抑制しつつ、且つ、赤外吸収性を有さないドットも利用して関連画像32が形成される。
【0042】
なお、赤外画像30を構成する複数のドットのうちの可視のドット30Bは、不可視のドット30Aに替えて形成されていてもよいし、不可視のドット30Aと重ねて形成されていてもよい。
【0043】
以上説明したように、赤外画像30は、赤外吸収性を有する複数のドットから構成され、一部のドットが不可視のドット30Aとされ、残りが可視のドット30Bとされている。そして、関連画像32は、赤外画像30を構成する複数のドットのうちの一部のドットである可視のドット30B、または、該可視のドット30Bと可視のドット30Cとから構成とされている。このため、赤外画像30と関連画像32とが同じ領域内に形成されていても、関連画像32によって、赤外画像30の読取り精度が低下することが抑制されると考えられる。
【0044】
特に、関連画像32を構成する複数のドットのうちの、赤外画像30と重なる領域内のドットが、カーボンブラックなどの赤外光を吸収する材料で構成されている場合であっても、関連画像32を構成する複数のドットのうちの赤外吸収性を示すドットは、赤外画像30を構成するドットの一部として機能することから、赤外画像30の読取り精度が低下することが抑制されると考えられる。
【0045】
なお、この赤外画像30を構成するドット(不可視のドット30A及び可視のドット30B)と、関連画像32を構成するドットのうちの少なくとも赤外画像30の一部を構成するドット(可視のドット30B)と、は、同じ大きさとされていることがよい。同じ大きさとされていることで、赤外光によって赤外画像30が読取られたときには、不可視のドット30Aと可視のドット30Bとが区別無く(大きさの区別無く)読取られるため、赤外画像30の読取り精度の低下がさらに抑制されると考えられる。
【0046】
なお、ドットの大きさが同じである、とは、必ずしも完全同一でなければならないということではなく、例えば画像形成装置で同一サイズのドットが形成されるように設定して作成されたドットは、多少の誤差が生じていても「ドットの大きさが同じである」として扱う。ドットのサイズにも依存するが、例えばミクロンサイズのドットであれば、比較対象の一方のドットの平均径に対する他方のドットの平均径が、0.8倍以上1.2倍以下の範囲内にあれば「ドットの大きさが同じである」として扱う。
【0047】
次に、赤外吸収性を有する不可視のドット30A、赤外吸収性を有する可視のドット30B、赤外吸収性を有さない可視のドット30Cを記録するために用いられる記録材料について説明する。
【0048】
上記赤外吸収性を有する不可視のドット30Aは、赤外吸収性を有し且つ透明(可視領域中心部の450nm以上650nm以下の波長範囲での光の反射率が60%以上)な記録材料によって記録されている。この不可視のドット30Aを記録するための記録材料としては、色材として、赤外吸収性を有する色材を含み、且つ透明の記録材料が挙げられる。
【0049】
この赤外吸収性を有する色材としては、赤外吸収性を有し且つ第1の記録材料の透明性を損なわない材料であれば、どのような材料であってもよいが、下記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を含有する材料であることがよい。
【0050】
【化2】
【0051】
前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、ナフタロシアニン系の材料など他の不可視の画像に用いられる色素に比べて耐光性が高い。この理由としては、前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は他の不可視の画像に用いられる色素に比べて結晶性が高く、バインダー樹脂への溶解性が低い。このため、光の照射によって光エネルギーを吸収することによる分子内の結合の切断が抑制されると考えられる。
上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、上述のように、従来用いられていた不可視画像に用いられる色素に比べて結晶性が高いが、具体的には、Cuターゲットで波長1.5405ÅのX線照射により測定される粉末X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、少なくとも9.9°,13.2°,19.9°,20.8°,23.0°に回折ピークを示すものや、少なくとも17.7°、19.9°、22.1°、23.2°、24.9°に回折ピーク示すもの、8.9,17.1,18.4,22.6,24.2に回折ピークを示すもの等が挙げられる。
中でも、上記17.7°、19.9°、22.1°、23.2°、24.9°に回折ピーク示すものが、耐光性の観点から良い。
【0052】
なお、上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、400nm以上750nm以下の可視光波長領域における吸光能力が十分に低く、かつ、750nm以上1000nm以下の近赤外光波長領域における吸光能力が十分に高いものである。
【0053】
この「吸光能力が十分に低い」とは、400nm以上450nmまでの可視光波長領域における溶液のモル吸光係数が少なくとも8100M−1cm−1以下であり、450nm以上650nmまでの可視光波長領域における溶液のモル吸光係数が少なくとも3400M−1cm−1以下であり、650nm以上690nmまでの可視光波長領域における溶液のモル吸光係数が少なくとも8800M−1cm−1以下であり、690nm以上750nmまでの可視光波長領域における溶液のモル吸光係数が少なくとも37000M−1cm−1以下であることを示している。
また、「吸光能力が十分に高い」とは、750nm以上1000nm以下の近赤外光波長領域の全領域における溶液のモル吸光係数の極大値が少なくとも1.5×105M−1cm−1以上であることを示している。
【0054】
このため、上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を含有する透明な記録材料によって形成された不可視のドット30Aは、可視光による不可視性と、近赤外光による読み取りやすさとが両立されている。また、可視のドット30Bは、近赤外光による読取りやすさの点で優れているといえる。
【0055】
なお、本実施の形態に係る赤外吸収性を有する不可視のドット30Aを形成する記録材料は、下記式(II)及び(III)で表される条件を満たすことが良い。
【0056】
0≦ΔE≦16 式(II)
(100−R)≧75 式(III)
【0057】
上記式(II)中、ΔEは下記式(IV)で表されるCIE1976L*a*b*表色系における色差を示し、式(III)中、R(単位:%)は不可視のドット30Aにおける波長850nmの赤外線反射率を示す。
【0058】
【数1】
【0059】
上記式(II)及び(III)で表される条件を満たすことで、記録材料の色味によらず、不可視のドット30Aの不可視性と近赤外光による取りやすさとが両立されると考えられる。また、耐光性の高さから、不可視のドット30Aを含んだ構成の赤外画像30の記録された記録媒体10における長期の信頼性が期待される。
【0060】
なお、上記式(IV)中、L1、a1、b1は、各種画像の形成されていない記録媒体10の表面のL値、a値、およびb値を示し、L2、a2、b2は、それぞれ上記の記録材料を用いて付着量4g/m2の不可視の画像(不可視のドット30Aによって形成される画像)を記録媒体10上に形成した時の、該不可視の画像におけるL値、a値、およびb値を示す。
【0061】
なお、上記式(IV)中、L1、a1、b1、L2、a2、b2は、反射分光濃度計を用いて得られる。本実施の形態においては、L1、a1、b1、L2、a2、b2は、反射分光濃度計としてエックスライト株式会社製、x−rite939を用いて測定された値である。
【0062】
上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、例えば以下の反応スキームに従って得られる。
【0063】
【化3】
【0064】
より具体的には、触媒の存在下で、1,8−ジアミノナフタレンと、3,5−ジメチルシクロヘキサノンとを、溶媒中で共沸還流の条件で反応させることにより、ペリミジン中間体(a)が得られる((A−1)工程)。
【0065】
前記(A−1)工程に使用する触媒としては、p−トルエンスルホン酸一水和物、ベンゼンスルホン酸一水和物、4−クロロベンゼンスルホン酸水和物、ピリジン−3−スルホン酸、エタンスルホン酸、硫酸、硝酸、酢酸などが挙げられる。また、前記(A−1)工程に使用する溶媒としては、アルコール、芳香族炭化水素などが挙げられる。ペリミジン中間体(a)は高速カラムクロマトグラフィーまたは再結晶により精製される。
【0066】
次に、ペリミジン中間体(a)と、3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオン(「スクアリン酸」又は「四角酸」とも呼ばれる)と、を、溶媒中で共沸還流の条件で反応させることにより、前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素が得られる((A−2)工程)。該(A−2)工程は、窒素ガス雰囲気で行うことが良い。
【0067】
前記(A−2)工程に使用する溶媒としては、1−プロパノ−ル、1−ブタノール、1−ペンタノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン等の芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類が用いられる。また、アルコール類は単独で使用してもよいが、芳香族炭化水素、エーテル類、ハロゲン化炭化水素またはアミド類などの溶媒はアルコール類溶媒と混合して使用することが良い。溶媒としては、具体的には、1−プロパノ−ル、2−プロパノ−ル、1−ブタノール、2−ブタノール、1−プロパノ−ルとベンゼンの混合溶媒、1−プロパノ−ルとトルエンの混合溶媒、1−プロパノ−ルとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒、2−プロパノ−ルとベンゼンの混合溶媒、2−プロパノ−ルとトルエンの混合溶媒、2−プロパノ−ルとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒、1−ブタノールとベンゼンの混合溶媒、1−ブタノールとトルエンの混合溶媒、1−ブタノ−ルとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒、2−ブタノールとベンゼンの混合溶媒、2−ブタノールとトルエンの混合溶媒、2−ブタノ−ルとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒が挙げられる。混合溶媒を使う場合、アルコール類溶媒の濃度は、1容量%以上、または5容量%以上75容量%以下が良い。
【0068】
また、前記(A−2)工程において、3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオンに対するペリミジン誘導体(a)のモル比(ペリミジン誘導体(a)のモル数/3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオンのモル数)は、1以上4以下、または1.5以上3以下が挙げられる。当該モル比が1未満の場合には前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の収率が低下する場合があり、また、4を超えるとペリミジン誘導体(a)の利用効率が悪くなって、前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の分離・精製が困難となる場合がある。
【0069】
更に、前記(A−2)工程は、脱水剤を用いると反応時間が短縮し、また、前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の収率が向上する傾向にある。脱水剤としては、ペリミジン中間体(a)及び3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオンと反応しないものであれば特に制限されないが、オルト蟻酸トリメチル、オルト蟻酸トリエチル、オルト蟻酸トリプロピル、オルト蟻酸トリブチルなどのオルト蟻酸エステル、モレキュラーシーブ等が挙げられる。
【0070】
前記(A−2)工程における反応温度は使用する溶媒の種類によって異なるが、反応液の温度としては60℃以上、または75℃以上である。例えば、1−ブタノールとトルエンの混合溶媒を用いる場合には、反応液の温度が75℃以上105℃であることが良い。
【0071】
また、前記(A−2)工程における反応時間は、溶媒の種類又は反応液の温度によって異なるが、例えば1−ブタノールとトルエンの混合溶媒を用いて反応液の温度を90℃以上105℃以下として反応させる場合、反応時間は2時間以上4時間以下が挙げられる。
【0072】
前記(A−2)工程で生成した前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、溶媒洗浄、高速カラムクロマトグラフィーまたは再結晶により精製される。
【0073】
本実施の形態の記録媒体10において、上記不可視のドット30Aを記録する記録材料に含まれる、前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、顔料化処理を行うことが良いが、顔料化処理を行うと結晶系が変化しやすいと考えられる。
そのため、顔料化処理の方法及び処理条件は、顔料化処理前のペリミジン系スクアリリウム色素粒子(原料)の結晶系の変換が抑制されるように調整することが良い。すなわち、ペリミジン系スクアリリウム色素粒子のX線回折ピークを示すように調整されることが良い。具体的には、ペリミジン系スクアリリウム色素では、Cuターゲットで波長1.5405ÅのX線照射により測定される粉末X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、少なくとも17.7°、19.9°、22.1°、23.2°、24.9°に回折ピークを示すものが良いため、顔料化処理後のペリミジン系スクアリリウム色素が、該回折ピークを示すように調整されることが、耐光性向上の観点から良い。
【0074】
顔料化方法としては、例えば、構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液とを混合し、その混合液について顔料化処理を行う方法が挙げられる。混合液には、必要に応じて水を加えて濃度を調節してもよい。また、顔料化処理に使用する装置としては、ビーズミル加工装置が挙げられる。
【0075】
本実施の形態において、不可視のドット30Aを構成する記録材料は、上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を、粒子として含有することが良い。該構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素は、従来用いられていた不可視画像に用いられる色素に比べて、分子間相互作用が大きく、また、それらの粒子は結晶性が高い。このため、粒子状の上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を記録材料に含有させることで、従来用いられていた不可視の画像に用いられる色素に比べて、赤外発色能力及び耐光性がより高められると考えられる。
【0076】
上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の粒子は、例えば(A−2)工程後の精製物をテトラヒドロフランに溶かして、その溶液を、注射器等を用いて、氷冷した蒸留水に撹拌しながら注入して沈殿物を生成させ、その沈殿物を吸引濾過により濾取し、蒸留水で洗浄した後、真空乾燥することによって得られる。このとき、溶液中における上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の濃度、溶液の注入速度、蒸留水の量又は温度、撹拌速度等を調整することにより、得られる沈殿物の粒子径が調整される。
【0077】
上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の粒子のメジアン径d50としては、10nm以上300nm以下や、20nm以上200nm以下が挙げられる。
上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の粒子のメジアン径d50が上記範囲内であると、耐光性の低下が抑制され、且つ赤外発色能力が向上すると考えられる。
【0078】
なお、粒子化およびメヂアン径の制御のための上記処理は、上記顔料化処理の前後のいずれで行ってもよい。
【0079】
本実施の形態において、不可視のドット30Aを構成する記録材料には、該記録材料及び該記録材料によって形成される不可視のドット30Aが「不可視」であれば、上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素以外の成分が更に含有されていてもよいが、該記録材料に含まれる上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の含有量は、記録材料の全質量(100質量%)に対して、0.05質量%以上3質量%以下、または0.1質量%以上2質量%以下である。
【0080】
なお、上記構造式(I)で示されるペリミジン系スクアリリウム色素は、上述のように、耐光性に優れた色素であるため、該色素を含む記録材料は、耐光性に優れている。この記録材料の耐光性をより向上させる観点から、安定化剤を更に含有した構成としてもよい。安定化剤としては、励起状態の有機近赤外吸収色素からエネルギーを受け取る必要があり、近赤外吸収色素の吸収帯よりも長波長側に吸収帯を有するものが用いられる。また、安定化剤は、一重項酸素による分解が起こり難く、上記構造式(I)で示されるペリミジン系スクアリリウム色素と相溶性が高いものを用いることがよい。この特性を有する安定化剤としては、有機金属錯体化合物が挙げられる。中でも、下記一般式(V)で表される化合物が挙げられる。
【0081】
【化4】
【0082】
一般式(V)中、R1,R2,R3,R4は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ置換又は未置換のフェニル基を示す。R1,R2,R3,R4で示されるフェニル基が置換基を有する場合、当該置換基としては、H、NH2、OH、N(ChH2h+1)2、OChH2h+1、ChH2h−1、ChH2h+1、ChH2hOH又はChH2hOCiH2i+1(hは1から18の整数を示し、iは1から6の整数を示す)などが挙げられる。また、X1,X2,X3,X4は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ、O、S、Seを示し、YはNi、Co、Mn、Pd、Cu、Pt等の遷移金属を示す。
【0083】
上記一般式(V)で表される化合物の中でも、下記構造式(VI)で表される化合物が特に良い。
【0084】
【化5】
【0085】
記録材料に含まれる安定化剤の濃度は、上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素の質量に対して、1/10倍以上2倍以下が良い。
【0086】
一方、赤外吸収性を有する可視のドット30Bを記録するための記録材料としては、色材として、赤外吸収性及び可視領域の光を反射する双方の特性を有する色材、または、赤外吸収性を有する色材と、可視領域の光を反射する色材と、の双方を含む記録材料が挙げられる。
赤外吸収性を有する色材としては、公知の赤外吸収性を有する色材を用いればよいが、上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を用いることがよい。
可視領域の光を反射する色材としては、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)等の公知の色材が挙げられる。また、赤外吸収性を有し且つ可視領域の光を反射する色材としては、例えば、カーボンブラック等が挙げられる。
【0087】
また、赤外吸収性を有さない可視のドット30Cを記録するための記録材料としては、例えば、赤外吸収性を示さず、且つ可視領域の光を反射する材料を色材として含む記録材料が挙げられる。この赤外吸収性を示さず、且つ可視領域の光を反射する色材としては、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)等の公知の色材が挙げられる。
【0088】
なお、本実施の形態では、赤外画像30は、赤外吸収性を有する不可視のドット30Aと、赤外吸収性を有する可視のドット30Bと、から構成されている場合を説明するが、赤外画像30は、赤外光を照射されることによって読取られる画像であればよいので、記録媒体10上の、赤外吸収性を有する可視のドット30Bの集合体以外の領域によって示される画像(図6(A)の赤外画像30参照)であってもよい。具体的には、図6(A)に示すように、赤外画像30は、赤外吸収性を有する可視のドット30Bによって構成された関連画像32以外の領域によって示される画像(記録媒体10上に何もドットが形成されていない領域で、赤外吸収性を有する可視のドット30Bの隙間の集合体によって示される画像)であってもよい。
【0089】
例えば、関連画像32を予め定めた濃度より高濃度に形成する場合には、関連画像32を構成するドットを全て赤外吸収性を有する可視のドット30Bから構成し、赤外画像30を、該可視のドット30Bの隙間の集合体によって示す形とすればよい。
【0090】
さらに、この場合には、図6(B)に示すように、赤外吸収性を有する可視のドット30Bの一部を、赤外吸収性を有する不可視のドット30Aとしてもよい。このように、赤外吸収性を有する可視のドット30Bの一部を、赤外吸収性を有する不可視のドット30Aとし、関連画像32におけるこの不可視のドット30Aの占める割合を調整することで、関連画像32が視認されたときの色の濃さが調整されると考えられる。
【0091】
(画像形成装置)
以下、記録媒体10上に、上記の赤外画像30及び関連画像32を形成する装置として、電子写真方式の画像形成装置を用いた形態を一例として挙げて説明する。
【0092】
図4に示すように、本実施の形態の画像形成装置11は、不可視画像記録部15、可視画像記録部14K、可視画像記録部14、図中矢印Aの方向に回転される中間転写体16、給紙装置17、用紙搬送路18、定着器19、画像処理装置20、像形成制御装置21、排紙装置22、及び入出力装置23を備えている。
【0093】
なお、画像形成装置11が、本発明の画像形成装置に相当し、不可視画像記録部15が、本発明の画像形成装置の第1の記録装置に相当し、可視画像記録部14Kが、本発明の画像形成装置の第2の記録装置に相当し、可視画像記録部14が、本発明の画像形成装置の第3の記録装置に相当する。
【0094】
画像形成装置11の概略を説明すると、画像処理装置20は、ネットワーク回線や無線回線等を介してパーソナルコンピュータ等の外部から入力された画像データに対して、後述する合成処理等の画像処理を施し、像形成制御装置21に対して出力する。
【0095】
像形成制御装置21は、画像処理を施された画像データ(後述する“第1の印刷データ第2の印刷データ、及び第3の印刷データ”)に基づいて、不可視画像記録部15、可視画像記録部14K、及び可視画像記録部14を制御する。なお、像形成制御装置21は、画像処理装置20の一部として、画像処理装置20に含まれてもよい。
【0096】
画像形成装置11の外面には、例えばタッチパネルなどの入出力装置23が設けられている。入出力装置23は、画像形成装置11の制御情報や指示情報などを表示すると共に、指示情報などのユーザによる入力を受入れる。即ち、ユーザは、入出力装置23を介して画像形成装置11を操作する。なお、入出力装置23は、スイッチなどの入力のみを受入れるものであってもよいし、表示などの出力のみを行うものであってもよく、これらを組み合わせたものであってもよい。
【0097】
画像形成装置11の内部には、不可視画像記録部15と、可視画像記録部14Kと、可視画像記録部14と、が設けられている。不可視画像記録部15は、赤外吸収性を有する不可視のドット30Aを記録する。可視画像記録部14Kは、赤外吸収性を有する可視のドット30Bを記録する。可視画像記録部14は、赤外吸収性を有さない可視のドット30Cを記録する。
【0098】
この可視画像記録部14は、赤外吸収性を有さないカラー画像を構成する色に対応する複数の可視画像記録部を含んだ構成とされている。本実施の形態では、可視画像記録部14は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色に対応して、可視画像記録部14Y、可視画像記録部14M、可視画像記録部14Cを含んだ構成とされている。
【0099】
これらの不可視画像記録部15と、可視画像記録部14Kと、可視画像記録部14に含まれる可視画像記録部14Y、可視画像記録部14M、及び可視画像記録部14Cは、中間転写体16に沿って間隔を空けて配列されている。
【0100】
なお、本実施の形態では、不可視画像記録部15は、可視画像記録部14K及び可視画像記録部14より中間転写体16の搬送方向上流側に設けられている形態を説明するが、可視画像記録部14K及び可視画像記録部14より下流側に設けられていても良い。また、不可視画像記録部15は、画像形成装置11とは別体として設けられていても良い。
【0101】
また、本実施の形態では、可視画像記録部14Kが、赤外吸収性を有する可視のドット30Bとして、黒色のドットを記録する記録部であるものとして説明するが、可視画像記録部14Kは、赤外吸収性を有する可視のドット30Bを記録する記録部であればよく、黒色のドットを記録する記録部に限られない。例えば、可視画像記録部14Kを、赤外吸収性を有するシアンの可視のドット30Bを記録する装置としてもよい。この場合には、可視画像記録部14に含まれる可視画像記録部14Cを、赤外吸収性を有さない黒色の可視のドット30Cを記録する装置とすればよい。
【0102】
詳細には、不可視画像記録部15は、像形成制御装置21の制御によって、画像処理装置20から入力された第1の印刷データに基づいて、赤外吸収性を有する不可視のドット30Aを記録するための記録材料からなる不可視のドット30Aを、中間転写体16上に形成(一次転写)する。不可視画像記録部15は、像形成制御装置21の制御によって画像処理装置20から入力された第1の印刷データに応じてレーザ光を走査する光走査装置140Lと、この光走査装置140Lにより走査されたレーザ光により静電潜像が形成される像形成装置150Lとを有する。第1の印刷データは、不可視のドット30Aを記録するための印刷データである。
【0103】
光走査装置140Lは、半導体レーザ142Lを、第1の画像データに応じて変調して、この半導体レーザ142Lからレーザ光LBを該第1の画像データに応じて出射する。この半導体レーザ142Lから出射されたレーザ光LBは、第1の反射鏡143L及び第2の反射鏡144Lを介して回転多面鏡146Lに照射され、この回転多面鏡146Lによって偏向走査され、第2の反射鏡144L、第3の反射鏡148L及び第4の反射鏡149Lを介して、像形成装置150Lの像保持体152L上に照射される。
【0104】
像形成装置150Lは、矢印Aの方向に沿って回転する像保持体152Kと、この像保持体152Lの表面を帯電する一次帯電用の帯電装置154Lと、像保持体152L上に形成された静電潜像を現像する現像器156Lと、除去装置158Lと、を備えている。
【0105】
現像器156Lの内部には、不可視のドット30Aを記録するための記録材料から構成されたトナー、または該トナーと公知のキャリアと、が保持されている。そして、この現像器156Lから像保持体152Lへ、該トナーが供給される。像保持体152Lは、帯電装置154Lにより一様に帯電され、光走査装置140Lにより照射されたレーザ光により静電潜像を形成される。像保持体152Lに形成された静電潜像は、現像器156Lから供給された上記不可視トナーで現像され、中間転写体16に転写される。なお、該転写の後に像保持体152Lに付着しているトナー及び紙粉等は、除去装置158Lによって除去される。
【0106】
このため、不可視画像記録部15によって、不可視のドット30Aが中間転写体16上に形成される。
【0107】
可視画像記録部14Kは、像形成制御装置21の制御によって、画像処理装置20から入力された第2の印刷データに基づいて、赤外吸収性を有する可視のドット30Bを記録するための記録材料からなる可視のドット30Bを、中間転写体16上に形成(一次転写)する。
可視画像記録部14Kは、像形成制御装置21の制御によって画像処理装置20から入力された第2の印刷データに応じてレーザ光を走査する光走査装置140Kと、この光走査装置140Kにより走査されたレーザ光により静電潜像が形成される像形成装置150Kとを有する。なお、この第2の印刷データは、赤外吸収性を有する可視のドット30Bを記録するための印刷データである。
【0108】
光走査装置140Kは、半導体レーザ142Kを第2の印刷データに応じて変調して、この半導体レーザ142Kからレーザ光LB(K)を第2の印刷データに応じて出射する。この半導体レーザ142Kから出射されたレーザ光LB(K)は、第1の反射鏡143K及び第2の反射鏡144Kを介して回転多面鏡146Kに照射され、この回転多面鏡146Kよって偏向走査され、第2の反射鏡144K、第3の反射鏡148K及び第4の反射鏡149Kを介して、像形成装置150Kの像保持体152K上に照射される。
【0109】
像形成装置150Kは、矢印Aの方向に沿って回転する像保持体152Kと、この像保持体152Kの表面を帯電する帯電装置154Kと、像保持体152K上に形成された静電潜像を現像する現像器156Kと、除去装置158Kと、を備えている。
現像器156Kの内部には、赤外吸収性を有する可視のドット30Bを記録するための記録材料から構成されたトナーとして、本実施の形態では、赤外吸収性を有する黒色のトナー、または該黒色のトナーと公知のキャリアと、が保持されており、該黒色のトナーが像保持体152Kへ供給される。像保持体152Kは、帯電装置154Kにより帯電され、光走査装置140Kにより照射されたレーザ光LB(K)により静電潜像を形成される。像保持体152Kに形成された静電潜像は、現像器156Kから供給された上記黒色のトナーで現像され、中間転写体16に転写される。なお、該転写の後に像保持体152Kに付着しているトナー及び紙粉等は、除去装置158Kによって除去される。
【0110】
このため、可視画像記録部14Kによって、可視のドット30Bが中間転写体16上に形成される。
【0111】
可視画像記録部14は、像形成制御装置21の制御によって、画像処理装置20から入力された第3の印刷データに基づいて、赤外吸収性を有さない可視のドット30Cを記録するための記録材料からなる可視のドット30Cを、中間転写体16上に形成(一次転写)する。可視画像記録部14に含まれる可視画像記録部14Y、可視画像記録部14M、及び可視画像記録部14Cについては、可視画像記録部14Kの現像器156Kに含まれる赤外吸収性を有する可視のドット30Bを記録するための記録材料から構成されたトナーが、各々、赤外吸収性を有さない公知のイエローのトナー、赤外吸収性を有さない公知のマゼンタのトナー、赤外吸収性を有さない公知のシアンのトナーである以外は、同じ構成であるため詳細な説明を省略する。
なお、図中、可視画像記録部14Y、可視画像記録部14M、及び可視画像記録部14Cの構成部材は、可視画像記録部14Kにおける該当する各構成部材に付与された符号の「K」をそれぞれ「Y」、「M」、「C」で置き換えた符号で示している。このため、可視画像記録部14によって、赤外吸収性を有さない可視のドット30Cが形成される。
【0112】
なお、各可視画像記録部14Y、可視画像記録部14M、及び可視画像記録部14Cの色の順序は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の順に限定されるものではなく、その順序は任意である。
【0113】
中間転写体16は、支持部材164と、支持部材165と、支持部材166と、支持部材167と、支持部材168と、支持部材169と、によって内側から支持されており、駆動モータ(図示省略)によって何れか1つの支持部材(例えば支持部材164)が回転駆動されることにより、矢印Aの方向に循環駆動される。この中間転写体16としては、例えば、可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フィルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フィルムの両端を溶着等によって接続することにより無端ベルト状に形成されたものが用いられる。
【0114】
また、不可視画像記録部15、可視画像記録部14K、可視画像記録部14Y、可視画像記録部14M、可視画像記録部14Cの各々の、中間転写体16を介して向かい合う位置には、それぞれ、転写部材162L、転写部材162K、転写部材162Y、転写部材162M、及び転写部材162Cが配設され、像保持体152L、像保持体152K、像保持体152Y、像保持体152M、像保持体152C上に形成されたトナーによる像は、これらの転写部材162L、転写部材162K、転写部材162Y、転写部材162M、及び転写部材162Cの各々により中間転写体16上に転写される。なお、中間転写体16に付着した残留トナーは、二次転写位置の下流に設けられた除去装置189により除去される。
【0115】
用紙搬送路18には、給紙装置17から記録媒体10を取り出す給紙部材180と、複数の支持部材181、支持部材182、支持部材183と、支持部材184と、が配設されている。用紙搬送路18上の二次転写位置には、支持部材168に圧接された支持部材185が配設されている。
【0116】
給紙装置17から供給された記録媒体10は、用紙搬送路18上を搬送される。そして、上記中間転写体16上に転写された不可視のドット30A、可視のドット30B、及び可視のドット30Cは、支持部材185による圧接力及び静電気力で記録媒体10上に二次転写される。これによって、記録媒体10上に、赤外画像30及び関連画像32が転写され、該記録媒体10は、搬送ベルト186及び搬送ベルト187によって定着器19へと搬送される。
【0117】
定着器19は、記録媒体10に対して加熱処理及び加圧処理を施すことにより、該記録媒体10上の不可視のドット30A、可視のドット30B、及び可視のドット30Cの各々を構成するトナーを記録媒体10に溶融固着させる。これによって、記録媒体10上に、不可視のドット30A、可視のドット30B、及び可視のドット30Cからなる赤外画像30及び関連画像32が形成される。この赤外画像30及び関連画像32の形成された記録媒体10は、矢印Bに沿って外部に排出される。
【0118】
次に、画像処理装置20の機能構成について説明する。
【0119】
画像処理装置20は、ネットワーク回線や無線回線等を介してパーソナルコンピュータ等の外部から入力された画像データに対して、後述する合成処理等の画像処理を施して、第1の印刷データ、第2の印刷データ、及び第3の印刷データを作成し、像形成制御装置21に対して出力する。なお、本実施の形態では、上記外部から入力された画像データには、記録媒体10に形成する対象の関連画像32(図1参照)を示す関連画像データと、赤外画像30を示す赤外画像データと、が含まれているものとして説明する。
【0120】
この関連画像データは、可視の記録材料により記録される関連画像であることを示す情報や、関連画像32を構成する各ドットの大きさ、各ドットの位置(記録媒体10上の位置)、各ドットが赤外吸収性を有する不可視のドットであることを示す情報等を含んでいる。赤外画像データは、赤外吸収性を有する記録材料により記録される画像であることを示す情報や、赤外画像30を構成する各ドットの色、各ドットの大きさ、各ドットの位置(記録媒体10上の位置)、各ドットが赤外吸収性を有する可視のドットであることを示す情報等を含んでいる。
【0121】
なお、本実施の形態では、関連画像データ及び赤外画像データには、記録媒体10上の同じ特定領域12に赤外画像30及び関連画像32が形成されるように、各ドットの位置を示す情報が設定されているものとする。
【0122】
図5に示すように、画像処理装置20は、画像データ受付部60、ドット補正部62、合成部64、及び印刷データ出力部66を備えている。
【0123】
画像処理装置20に含まれる上記各構成は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及びプログラムなどによりソフトウェア的に実現されてもよいし、ASIC(Application Specified Integrated Circuit)などによりハードウェア的に実現されてもよい。また、画像処理装置20は、画像形成装置11のみでなく、例えばパーソナルコンピュータなどに含まれてもよい。
【0124】
画像処理装置20において、画像データ受付部60は、外部から、画像データに含まれ赤外画像データ及び関連画像データを受け付けて、ドット補正部62へ出力する。ドット補正部62では、画像データ受付部60から受け付けた赤外画像データに含まれる、赤外吸収性を有する記録材料により記録される画像であることを示す情報を読取ることによって、赤外画像データであることを判別し、関連画像データに含まれる、可視の記録材料により記録される関連画像であることを示す情報を読取ることによって、関連画像データであることを判別する。
そして、ドット補正部62では、この赤外画像データによって示される赤外画像30を構成する各ドットの大きさと、関連画像データによって示される関連画像32を構成する各ドットの大きさと、が同じ大きさとなるように、各ドットの大きさを示す情報の補正を行った後に、補正した関連画像データ及び赤外画像データを合成部64へ出力する。
【0125】
合成部64では、ドット補正部62で補正された赤外画像データと、ドット補正部62で補正された関連画像データと、の同じ位置に形成される各ドットの情報について、排他的論理和演算を行うことによって、赤外画像データと関連画像データとを合成し、合成した合成データと、合成前の関連画像データと、合成前の赤外画像データと、を印刷データ出力部66へ出力する。詳細には、該赤外画像データの赤外画像を構成する各ドットと、関連画像データの関連画像を構成する各ドットと、が重なる位置に対応するドットの情報を、赤外吸収性を有する可視のドット(可視のドット30B)であることを示す情報とする。また、赤外画像を構成する各ドットのうちの該重なる位置に対応するドット以外のドットの情報を、赤外吸収性を有する不可視のドット(不可視のドット30A)であることを示す情報とする。また、関連画像を構成する各ドットのうちの該重なる位置に対応するドット以外のドットの情報を、赤外吸収性を有さない可視のドット(可視のドット30C)であることを示す情報とする。これによって、合成処理を行う。
【0126】
印刷データ出力部66では、合成部64から出力された合成データの合成画像を構成するドットのうちの、赤外吸収性を有する不可視のドットであることを示す情報を示すドットの情報を抽出することによって、不可視のドット30Aを記録するための第1の印刷データを作成し、像形成制御装置21に対して出力する。
また、印刷データ出力部66では、合成部64から出力された合成データの合成画像を構成するドットのうちの、赤外吸収性を有する可視のドットであることを示す情報を示すドットの情報を抽出することによって、可視のドット30Bを記録するための第2の印刷データを作成し、像形成制御装置21に対して出力する。
さらに、印刷データ出力部66では、合成部64から出力された合成データの合成画像を構成するドットのうちの、赤外吸収性を有さない可視のドットであることを示す情報を示すドットの情報を抽出することによって、可視のドット30Cを記録するための第3の印刷データを作成し、像形成制御装置21に対して出力する。
【0127】
第1の印刷データ、第2の印刷データ、及び第3の印刷データを受け付けた像形成制御装置21では、第1の印刷データに基づいて不可視画像記録部15を制御し、第2の印刷データに基づいて可視画像記録部14Kを制御し、第3の印刷データに基づいて、不可視画像記録部15を制御する。これにより、不可視画像記録部15では、第1の印刷データに応じた不可視のドット30Aが中間転写体16へ転写され、可視画像記録部14Kでは、第2の印刷データに応じた可視のドット30Bが中間転写体16へ転写され、可視画像記録部14では、第3の印刷データに応じた可視のドット30Cが中間転写体16へ転写される。そして、結果的に、記録媒体10上の特定領域12に、関連画像32と赤外画像30とが形成されることとなる。そして、特定領域12に形成された赤外画像30は、赤外吸収性を有する複数のドットから構成されており、この複数のドットのうちの一部が、該特定領域12に形成された関連画像32を構成する可視のドットとされている。
このため、赤外画像30と関連画像32とが同じ領域内に形成されていても、関連画像32によって、赤外画像30の赤外光による読取り精度が低下することが抑制されると考えられる。
【0128】
なお、上記の実施の形態では、記録媒体10上に上記の赤外画像30及び関連画像32を形成する装置として、電子写真方式の画像形成装置を用いた形態を一例として挙げて説明したが、インクジェットプリンターによって形成されてもよいし、活版印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、またはシルク印刷などの装置によって形成されてもよいことはいうまでもない。
【0129】
<試験例>
以下、不可視のドット30A及び可視のドット30Bを記録するため用いられる赤外吸収性を有する色素について、具体的に説明する。
【0130】
(試験例1)
(ペリミジン系スクアリリウム色素の調製:二段階合成)
1,8−ジアミノナフタレン4.843g(98%,30.0mmol)、3,5−ジメチルシクロヘキサノン3.886g(98%,30.2mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物10mg(0.053mmol)とトルエン45mlの混合液を窒素ガスの雰囲気中に攪拌しながら加熱し、5時間還流させた。反応中にできた水を共沸蒸留により除去した。反応終了後、トルエンを蒸留して得られた暗茶色固体はアセトンで抽出し、アセトンとエタノールの混合溶媒から再結晶することにより精製し、乾燥してから、茶色固体7.48g(収率93.6%)を得た。得られた茶色固体の1H−NMRスペクトル(CDCl3)による分析結果を以下に示す。
【0131】
1H−NMRスペクトル(CDCl3): δ=7.25、7.23、7.22、7.20、7.17、7.15(m,4H,Harom);6.54(d×d,J1=23.05Hz,J2=7.19Hz,2H,Harom);4.62(br s,2H,2×NH);2.11(d,J=12.68Hz,2H,CH2);1.75、1.71、1.70、1.69、1.67、1.66(m,3H,2×CH、CH2);1.03(t,J=12.68Hz,2H,CH2);0.89(d,J=6.34Hz,6H,2×CH3);0.63(d,J=11.71Hz,1H,CH2)
【0132】
上記の茶色固体4.69g(17.6mmol)、3,4−ジヒドロキシシクロブタ−3−エン−1,2−ジオン913mg(8.0mmol)、n−ブタノール40mlとトルエン60mlの混合液を窒素ガスの雰囲気中に攪拌しながら加熱し、3時間還流反応させた。反応中にできた水を共沸蒸留により除去した。反応終了後、大部分の溶媒を窒素ガスの雰囲気中に蒸留し、得られた反応混合物を攪拌しながら、120mlのヘキサンを加えた。できた黒茶色沈殿物を吸引濾過し、ヘキサンで洗浄し、乾燥後黒青色固体を得た。この固体を順次にエタノール、アセトン、60%エタノール水溶液、エタノールおよびアセトンで洗浄し、目的の化合物(黒青色固体)4.30g(収率88%)を得た。
【0133】
得られた色素化合物を、赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)、1H−NMR(DMSO‐d6)、FD−MS、元素分析、可視近赤外吸収スペクトルなどの分光法により同定した。同定データを以下に示す。可視近赤外吸収スペクトルを図7に示す。同定の結果、得られた化合物が上記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素であることが確認された。
【0134】
赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法):
νmax=3487、3429、3336(NH),3053(=C−H),2947(CH3),2914、2902(CH2),2864(CH3),2360,1618、1599、1558、1541(C=C ring),1450、1421、1363(CH3、CH2),1315、1223、1201(C−N),1163、1119(C−O−),941,924,822,783,715cm−1
1H−NMRスペクトル(DMSO−d6): δ=10.52(m,2H,NH);7.80、7.78(d,2H,Harom);7.35、7.33(m,2H,Harom);7.25(m,2H,NH);6.82、6.80、6.78(m,4H,Harom);6.74、6.72、6.52、6.50(m,2H,Harom);2.17(m,5H,CH2);1.91(m,3H,CH2);1.71(m,2H,CH、CH2);1.15、1.12(m,4H,CH2);0.92、0.91(m,12H,4×CH3);0.66(m,2H,CH2)
マススペクトル(FD): m/z=610(M+,100%),611(M++1,47.5%)
【0135】
元素分析:
C:78.6%(実測値)、78.66%(計算値)
H:6.96%(実測値)、6.93%(計算値)
N:9.02%(実測値)、9.17%(計算値)
O:5.42%(実測値)、5.24%(計算値)
【0136】
可視近赤外吸収スペクトル(図7):
λmax=809nm(テトラヒドロフラン溶液中)
εmax=1.68×105M−1cm−1(テトラヒドロフラン溶液中)
【0137】
(顔料化処理)
次に、得られたペリミジン系スクアリリウム色素51gと、12質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液25gと、水425gをビーズミル加工装置(アシザワファインテック製・ミニサー)に投入し、0.1mmφビーズ485g、周速12m/sで3時間の運転を行った。回収したベリミジン系スクアリリウム色素(以下、「(A)粒子」という。)の粒度分布を測定したところ、メジアン径は65.9nmであった。
【0138】
(試験例2)
試験例1における顔料化処理前のペリミジン系スクアリリウム色素粒子(以下、「原料」という。)50mgとテトラヒドロフラン(THF)1mL、直径1mmのジルコニアビーズ10gをボールミル用容器に入れ、1時間ミリング処理を行った。ボールミル用容器に水を加え、50nmフィルターでろ過して、ペリミジン系スクアリリウム色素粒子(以下、「(B)粒子」という。)を回収した。
【0139】
(粉末X線回折の測定)
試験例1における顔料化処理前のペリミジン系スクアリリウム色素粒子(以下、「原料」という)、試験例1における(A)粒子、および試験例2における(B)粒子について、X線回折装置(「D8 DISCOVER」、ブルカー・エイエックスエス株式会社製)を用い、Cuターゲットでλ=1.5405ÅのX線照射による粉末X線回折の測定を行った。得られた粉末X線回折スペクトルを図8及び図9に示した。
【0140】
図8から、(A)粒子は、ブラッグ角(2θ±2°)で、強度が大きい順に22.1°、23.2°、19.9°、24.9°、17.7°に回折ピークを示し、原料と同じ結晶系であることがわかる。一方、図9から、(B)粒子は、ブラッグ角(2θ±2°)で、強度が大きい順に22.6°、24.2°、8.9°、17.1°、18.4°に回折ピークを示し、原料及び(A)粒子とは結晶系が異なることがわかる。
【0141】
(試験例3)
従来のバナジルナフタロシアニン色素(以下、「VONPc」という)を用意した。
【0142】
(試験例4)
下記式(VII)で表される色素化合物について、以下の方法により粒子化処理を行った。
【0143】
【化6】
【0144】
上記式(VII)で表される色素化合物40mgをTHF30mLに溶かし、その溶液を、マイクロシリンジで氷冷した蒸留水2000mLに注入し、再沈を行った。数分後、混合液を室温に戻して沈殿物を50nmフィルターで濾過し、蒸留水で洗浄、真空乾燥し、再沈した色素化合物(以下、「(C)粒子」という。)を回収した。この(C)粒子の粒径は、メジアン径d50が約90nmであった。(C)粒子について、試験例2と同様にCuターゲットでλ=1.5405ÅのX線照射により粉末X線回折スペクトルを得たところ、結晶由来の回折ピークはほとんど認められず、再沈法で得られた(C)粒子は非結晶であった。
【0145】
(試験例5)
上記試験例4において、再沈法で得られた(C)粒子40mgとヘキサン5mL、直径1mmのめのうビーズ10gをボールミル用容器に入れ、8時間ミリング処理を行った。ボールミル用容器に水を加え、50nmフィルターでろ過して、粒子化した色素化合物(以下、「(D)粒子」という。)を回収した。(D)粒子の粒径は、メジアン径d50が約90nmであった。(D)粒子について、試験例2と同様にCuターゲットでλ=1.5405ÅのX線照射により測定された粉末X線回折スペクトルを得たところ、ブラッグ角(2θ±0.2°)で、少なくとも11.9°,13.1°,15.4°,19.0°,20.4°,23.0°,23.9°,24.6°,26.4°に回折ピークを示す結果が得られ、(D)粒子が高い結晶性を有していた。
【0146】
―評価―
――スラリーの調製――
試験例1で調整した(A)粒子、試験例2で調整した(B)粒子、試験例3で用意したVONPc、試験例4で調整した(C)粒子、試験例5で調整した(D)粒子の各々について、9.2mgを、12質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液46μl及び蒸留水5.52mlと共に超音波分散し、スラリーを調製した(超音波出力:4−5W、1/4インチホーン使用、照射時間30分)。スラリー中の試料濃度は、0.165質量%であった。
【0147】
――読取り性の評価――
試験例1で調整した(A)粒子のスラリー(試料濃度0.165質量%)40.4μL、40質量%ラテックス(ポリスチレンアクリル酸n−ブチル)液15μL、及び蒸留水5gの混合液をウルトラタラックスで分散化処理して、混合スラリーとした。得られた混合スラリーにPAC凝集剤を加えて擬似トナー分散液とし、220nmフィルターでろ過、空気乾燥、熱圧着(120℃)して、TMA=4g/m2、単位面積当たりの顔料量PMA=0.04g/m2(トナー中の顔料含有量1質量%に相当)の評価用ラテックスパッチを作製した。
得られたラテックスパッチの可視近赤外吸収スペクトルを日立製作所製の分光光度計U−4100により測定し、その結果を図10に示した。また、上記式(III)中のR(850nmの初期反射率)を求め、表1に示した。
【0148】
該スラリー中の(A)粒子に代えて、試験例2で調整した(B)粒子、試験例3で用意したVONPc、試験例4で調整した(C)粒子、試験例5で調整した(D)粒子の各々を、用いることによって、(A)粒子と同じ方法により混合スラリーを調製して評価用ラテックスパッチを作製し、可視近赤外吸収スペクトルを測り、上記式(III)中のRを求めた。評価結果を図10および表1に示した。
【0149】
――不可視性評価――
試験例1の(A)粒子、試験例2の(B)粒子、試験例3のVONPc、試験例4の(C)、試験例5の(D)粒子の各々を用いて作製した上記の評価用ラテックスパッチについて、上記式(II)中のΔEを求めた。評価結果を表1に示した。
なお、このΔEの測定は、反射分光濃度計(エックスライト株式会社製、x−rite939)を用いて測定を行うことによって得た。
【0150】
なお、不可視性の評価基準は、下記基準とした。
A:0≦ΔE≦6
B:6<ΔE≦16
C:ΔE>16
【0151】
――耐光性の評価――
試験例1の(A)粒子、試験例2で調整した(B)粒子、試験例3で用意したVONPc、試験例4で調整した(C)粒子、試験例5で調整した(D)粒子の各々を用いて作成した評価用ラテックスパッチに対して、36時間、光照射(光源:キセノンランプ、放射照度:540W/m2=100kルクス、UVカットフィルタなし)を行った。
そして、12時間経過毎に、850nmの反射率を、日立製作所製の分光光度計U−4100により測定することによって、耐光性を評価した。図11に、この評価用ラテックスパッチの反射率と光照射時間との関係を示した。
なお、読取性および耐光性の評価基準は、下記基準とした。評価結果は表1に示した。
【0152】
読取性の評価基準:
A(読取性が特に良好): R≦25
B(読取性良好) : 25<R≦40
C(読取可能) : R>40
【0153】
耐光性の評価基準:
A(耐光性が特に良好): 光照射24時間後の反射率@850nm(%)≦44
B(耐光性が良好):44<光照射24時間後の反射率@850nm(%)≦66
C(耐光性あり): 光照射24時間後の反射率@850nm(%)>66
【0154】
【表1】
【0155】
以上のように、試験例1及び試験例2で調整した(A)及び(B)では、試験例3〜試験例5に比べて、不可視性が維持されたまま、読取性および耐光性が大幅に向上された。
このため、試験例1及び試験例2で調整した(A)粒子及び(B)粒子を含む記録材料を用いて赤外吸収性を有する不可視のドット30Aを形成すれば、試験例3〜試験例5で調整した色素を用いて不可視のドット30Aを形成した場合に比べて、不可視性が維持されたまま、赤外光による読取性がさらに向上されるといえる。
【0156】
また、試験例1及び試験例2で調整した(A)粒子及び(B)粒子と、可視の色材とを含む記録材料を用いて赤外吸収性を有する可視のドット30Bを形成すれば、試験例1及び試験例2で調整した(A)粒子及び(B)粒子に替えて試験例3〜試験例5で調整した色素を用いて可視のドット30Bを形成した場合に比べて、赤外光による読取性がさらに向上されるといえる。
【符号の説明】
【0157】
10 表示媒体
11 画像形成装置
12 不可視画像
13 関連画像
14 可視画像形成部
15 不可視画像形成部
16 可視画像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外吸収性を有する複数のドットから構成され、該赤外吸収性を有する複数のドットのうちの一部のドットが不可視の第1のドットとされ、残りのドットが可視の第2のドットとされた赤外光によって読取られる第1の画像と、
前記第2のドット、または前記第2のドット及び赤外吸収性を有さない可視の第3のドットから構成された可視の第2の画像と、
を備えた記録媒体。
【請求項2】
前記第2の画像は、前記第1の画像に関連する関連情報を示す請求項1に記載の記録媒体。
【請求項3】
前記第1のドットと前記第2のドットの大きさが同じである請求項1または請求項2に記載の記録媒体。
【請求項4】
前記第1のドットが、下記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を含有する記録材料により形成された請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の記録媒体。
【化1】
【請求項5】
前記第2のドットが、前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を含有する記録材料により形成された請求項4に記載の記録媒体。
【請求項6】
前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素が、Cuターゲットで波長1.5405ÅのX線照射により測定される粉末X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が少なくとも17.7°,19.9°,22.1°,23.2°,24.9°に回折ピークを示す請求項4または請求項5に記載の記録媒体。
【請求項7】
赤外吸収性を有する不可視の第1のドットを記録する第1の記録装置と、
赤外吸収性を有する可視の第2のドットを記録する第2の記録装置と、
前記第1のドット及び前記第2のドットから構成され赤外光によって読取られる第1の画像と、前記第2のドットから構成された可視の第2の画像と、を記録媒体に形成するように、前記第1の記録装置、及び前記第2の記録装置を制御する制御装置と、
を備えた画像形成装置。
【請求項8】
赤外吸収性を有さない可視の第3のドットを記録する第3の記録装置を更に備え、
前記制御手段は、前記第2のドットと前記第3のドットとから構成された可視の画像を、前記第2の画像として前記記録媒体に形成するように、前記第2の記録装置及び前記第3の記録装置を制御する請求項7記載の画像形成装置。
【請求項1】
赤外吸収性を有する複数のドットから構成され、該赤外吸収性を有する複数のドットのうちの一部のドットが不可視の第1のドットとされ、残りのドットが可視の第2のドットとされた赤外光によって読取られる第1の画像と、
前記第2のドット、または前記第2のドット及び赤外吸収性を有さない可視の第3のドットから構成された可視の第2の画像と、
を備えた記録媒体。
【請求項2】
前記第2の画像は、前記第1の画像に関連する関連情報を示す請求項1に記載の記録媒体。
【請求項3】
前記第1のドットと前記第2のドットの大きさが同じである請求項1または請求項2に記載の記録媒体。
【請求項4】
前記第1のドットが、下記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を含有する記録材料により形成された請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の記録媒体。
【化1】
【請求項5】
前記第2のドットが、前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素を含有する記録材料により形成された請求項4に記載の記録媒体。
【請求項6】
前記構造式(I)で表されるペリミジン系スクアリリウム色素が、Cuターゲットで波長1.5405ÅのX線照射により測定される粉末X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が少なくとも17.7°,19.9°,22.1°,23.2°,24.9°に回折ピークを示す請求項4または請求項5に記載の記録媒体。
【請求項7】
赤外吸収性を有する不可視の第1のドットを記録する第1の記録装置と、
赤外吸収性を有する可視の第2のドットを記録する第2の記録装置と、
前記第1のドット及び前記第2のドットから構成され赤外光によって読取られる第1の画像と、前記第2のドットから構成された可視の第2の画像と、を記録媒体に形成するように、前記第1の記録装置、及び前記第2の記録装置を制御する制御装置と、
を備えた画像形成装置。
【請求項8】
赤外吸収性を有さない可視の第3のドットを記録する第3の記録装置を更に備え、
前記制御手段は、前記第2のドットと前記第3のドットとから構成された可視の画像を、前記第2の画像として前記記録媒体に形成するように、前記第2の記録装置及び前記第3の記録装置を制御する請求項7記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−145614(P2011−145614A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8371(P2010−8371)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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