説明

記録媒体形成用紙基材

【課題】
表面が平滑で、高温多湿で保存しても、基材の反り,表面平滑性の悪化が生ぜず本発明の記録媒体形成用紙基材上に記録層を形成して、記録媒体としても、安定した記録媒体形成用紙基材を提供する。また、光ディスク用の基材として、本発明の記録媒体用紙機材を用いることにより、従来の光ディスクより、プラスチック材料を削減できる記録媒体形成用紙基材を提供する。
【解決手段】
2層以上の紙が積層されるとともに、積層された紙をプラスチックフィルムでサンドイッチした構造の紙基材であって、該積層された紙は少なくとも最下層と最上層に位置する紙の表裏が対称となるように積層されていることを特徴とする記録媒体形成用紙基材を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録層形成情報フィルムを貼りあわせる基材(支持体)、或いは記録層を形成するための基材に関し、より詳しくは、基材がパルプを原材料とする紙である紙基材に関する。
【背景技術】
【0002】
記録層を形成した媒体の一つとして、光ディスクがある。従来の光ディスクの基材材料としては、安定した読み取りおよび書き込みが行えるように、異物および不純物の含有が少なく、透過性が高く、複屈折率が小さく、光ディスクが変形しないように吸水性が低く、耐熱性に優れ、また、成形加工性のために高流動性を有し、離型性に優れる必要があるため、ポリカーボネートやエポキシ樹脂等が多く用いられている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
昨今のゴミ問題,石油資源の枯渇問題から、これら光ディスクのプラスチック材料の使用量を減らしたいという課題がある。
【0004】
しかし、ポリカーボネートやエポキシ樹脂は、インジェクション成形等で熱成形され、記録層を形成し、その上に蒸着もしくはスパッタを施し、必要に応じて同様に形成され蒸着されたインジェクション成形品、もしくは、この記録層保護の為にその上にポリカーボネート,エポキシ樹脂等からできた記録層のないインジェクション成形品が、貼り合わされ光ディスクの基材として用いられている。
【0005】
このため、インジェクション成形で記録層と基材を一体ものとして作成するため、プラスチックの削減方法としては、厚みを薄くする方法しかなかった。厚みを薄くして、必要強度保持のためリブを付ける方法は、リブのある部分とリブのない部分の収縮の仕方が異なり記録層に凹凸ができてしまう。
【0006】
一方、従来のDVDは記録層を読み取り書き取りするとき、レーザー光がプラスチック材料を透過して信号をやり取りしている為、プラスチック材料の厚い部分と薄い部分があるとレーザー光の透過,反射に歪みが生じ、読み取り書き取りに問題が生じることがある。
【0007】
また、プラスチック削減のために、紙製のディスクも提案されているが、紙製のディスクには、紙自体の吸湿,乾燥による寸法変化が激しいという問題があり、紙製のディスクには、長期間保存,使用したときに紙の寸法変化による光ディスクの反り等の問題があった。
【0008】
また、紙基材は表面が凸凹している為、その上にフィルムを貼り合わせても、凸凹が消えず、フィルムでサンドイッチした紙基材上に記録層を形成しても、記録した信号が、紙の凸凹起因による凸凹で隠れてしまうもの、つまり読みこめないものがあった。
【0009】
更に、紙は、厚さが一定で無く、多少変動あるため、記録層を貼り合わせた厚みにもバラツキが生じ、信号を読み取れないこともあった。
特許文献は以下の通りである。
【特許文献1】特開平05−258349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
よって、本発明の目的は、従来のものと同等の性能を有し、プラスチックの使用量を減らすこと、及び紙製ディスクの吸湿,乾燥による反りの発生を抑える,表面平滑性をあげることを目的とし、製造時に平滑性を上げ、しかもできた紙基材の寸法安定性を向上する製造方法,及び紙基材の構成を提供することである。
【0011】
すなわち、本発明の記録媒体形成用紙基材は、ポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP),ポリエチレンナフタレート(PEN),ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリカーボネート(PC)及び環状ポリオレフィン等のプラスチックフィルムで紙がサンドイッチされていて、しかも、サンドイッチされている紙が2層以上の積層である構造体を提案し、プラスチックフィルムと紙,或いは紙どうしを貼り合せるために、熱プレス板で、熱と圧力をかけることを提案することにより解決した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意検討を積み重ねた結果、請求項1記載の発明は、2層以上の紙が積層されるとともに、積層された紙をプラスチックフィルムでサンドイッチした構造の紙基材であって、該積層された紙は少なくとも最下層と最上層に位置する紙の表裏が対称となるように積層されていることを特徴とする記録媒体形成用紙基材を提供するものである。
【0013】
この様に、紙を積層する際、紙の抄紙時の表裏を考えて貼り合せ、更に該紙をフィルムでサンドイッチすることにより、反り、特に保存時(80℃85%4日間)の反りを抑える技術を提供するものである。
【0014】
請求項2記載の発明は、前記プラスチックフィルムは、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンテレフタレート,ポリカーボネート及び環状ポリオレフィンの何れかであることを特徴とする請求項1記載の記録媒体形成用紙基材を提供するものである。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1または2のプラスチックフィルムと紙との貼り合わせ方法及び紙の積層方法が、80℃以上240℃以下の熱プレス板で、0.1MPa以上の圧力を掛けて貼り合わせ、圧力をかけたまま100℃未満まで冷却することを特徴とする方法である記録媒体形成用紙基材を提供するものである。例えば、製造時に80℃以上240℃以下の金属面で0.1MPa以上の圧力を面で掛けられる熱プレス機で、熱と圧力を掛け、圧力を掛けたまま、100℃以下まで冷却するなどである。これにより、膜厚の変動が少なく、表面が平滑な面を提供する。
【0016】
また、紙を積層する際、紙の抄紙時の表裏を考えて貼り合せ、更に該紙をフィルムでサンドイッチすることにより、反り、特に保存時(80℃85%4日間)の反りを抑える
請求項4記載の発明は、請求項3の紙と紙とを積層するために用いる接着剤が、紙の光沢或いは平滑性を付与するために用いている紙のコート層であり、改めて、貼り合わせのために接着剤を塗工しないことを特徴とする記録媒体形成用紙基材を提供するものである。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項3のプラスチックフィルムと紙とを貼り合わせるために用いる接着剤は、フィルム或いは、紙に予め積層された、融点150℃以下の高分子であることを特徴とする記録媒体形成用紙基材を提供するものである。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項3の熱プレスにより、プラスチックフィルムと紙とを貼り合わせる或いは、紙と紙を積層する際、プラスチックフィルムの外表面が少し溶解し、
熱プレス板の表面を転写して平滑に成っていることを特徴とする記録媒体形成用紙基材を提供するものである。
【0019】
また、紙を積層する際、紙の抄紙時の表裏を考えて貼り合せ、更に該紙をフィルムでサンドイッチすることにより、反り、特に保存時(80℃85%5日間)の反りを抑える。
【発明の効果】
【0020】
本発明の記録媒体形成用紙基材を用いることにより、表面が平滑で、しかも、高温多湿(80℃85%)に5日間保存しても、基材の反り,表面平滑性の悪化が生ぜず本発明の記録媒体形成用紙基材上に記録層を形成して、記録媒体としても、安定した記録媒体を提供できるようになった。
【0021】
また、光ディスク用の基材として、本発明の記録媒体用紙機材を用いることにより、従来の光ディスクより、プラスチック材料を削減でき、不要なプラスッチクを使用しないで済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(材料)
紙としては、一般的にコート紙と呼ばれる表面にピグメントコートしてある種類の紙が良い。更に、コート紙は、光沢ある(抄紙時にキャレンダー処理した)のあるものが好ましい。
【0023】
紙を積層する際、ピグメントをコートするために用いるバインダーが接着剤となり、また、光沢があるコート紙は表面が密着しやすいため、特に接着剤を塗工しなくても、積層することができるためである。コート紙でなくても良く、紙を積層するための、接着剤,ヒートシール剤を塗工しても良い。
【0024】
ベースとして使用する紙としては、製紙用天然繊維を主体とする紙が使用できる。
またこの紙に、合成繊維(例ポリオレフィン系繊維)を混抄してあるものでも良く、さらにはコットンパルプや精製木材パルプからつくられた原料紙を、塩化亜鉛溶液の膨潤(ぼうじゅん)作用を利用して、任意の厚さに積層後、塩化亜鉛を除去し、乾燥してできる、剛直な、バルカナイズドファイバーの様な素材を利用しても良い。
一般的に紙は、表裏がある。これは、抄紙のとき、水に膨潤したパルプを細かい網目状の上に流し、水を取り除く、この時、網目に面した面と、網目に面しない面ができるためである。該表裏の差が、反り等の物性に影響を及ぼすことがある。
【0025】
この網目に接する面と、網目に接しない面は、表面の面の形状だけが異なるだけではなく、内面のパルプの大きさ,配向等も異なる。その為、厚み方向で半分に切ったとき、上半分と下半分の密度,物理強度等が異なることがある。
【0026】
この点を注意して、紙の貼り合わせ(積層)を行うことにより、表裏のバランスが良くなり、反りの小さい紙を作ることができた。
【0027】
具体的には、図1に示す様に2枚の紙11の貼り合わせであれば、裏面同士を貼り合わせて、表裏を無くす、4層等偶数の紙11も表裏裏表表裏裏表と貼り合わす図2や表裏表裏裏表裏表と貼り合わす図3や裏表表裏裏表表裏と貼り合わす図3や裏表表裏裏表表裏と貼り合わす図3で示す様に同様に、真ん中を中心に表裏対象になるように貼り合わせることが好ましいが、少なくとも最下層と最上層に位置する紙の表裏が対称となることが必要である。
【0028】
また、図6の様に最下層と最上層のさらに外側に接着剤12やプラスチックフィルム13を設けてもよい。
【0029】
また、図示しないが、表裏のバランスという観点で、偶数の紙の貼り合せが好ましいが、厚みを調整する目的で、奇数の紙を積層する必要があるときは、影響の小さい、中央にあまった紙を積層したほうが良い。
【0030】
表面に貼り合わせるプラスッチクフィルムとしては、表面平滑性は、JIS BO601−1982の表面粗さ;中心線平均粗さRa=0.1μm以下,最大高さRmax=3.0μm以下の平滑性のあるフィルムが好ましく用いられ、特に材質に制限はないが、記録層を形成する材料との密着性の点から、ポリカーボネートのフィルムが一般的に用いられ、コストが安いということで、ポリエチレン,ポリプロピレン等ポリオレフィン系のフィルム,ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系のフィルム,ナイロン等のポリアミド系のフィルム等も用いられる。ポリ乳酸等の生分解性プラスチックフィルムを用いても良い。
【0031】
また、基材が紙ということで、水により変化する材料であるため、水蒸気バリアという観点から、蒸着フィルム,金属箔が貼られたりすることもある。
【0032】
基材とフィルムとを貼り合せる接着材料として用いる材料は、熱プレスで、溶ける材料であれば、特に設定する必要は無いが、もし、プラスッチクフィルムと紙が融着しない材料であるときは、接着材料として、天然高分子系樹脂、生分解樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂,UV(光)硬化性樹脂、電子線(EB)硬化樹脂など紙とフィルムが接着する材料を用いても良い。
【0033】
(製造方法)
具体的には、コート紙(あるいはコーティングした紙)を2枚以上、両表面により光沢で平滑な紙面が来るように熱プレスして積層する。
【0034】
このときの熱プレス温度としては、コーティングする樹脂の種類により異なるが、0.1MPa以上の圧力でプレスしながら、80℃〜140℃の範囲で10秒から3分ぐらい加熱して、紙表面のコート層を溶かし溶着し、0℃〜80℃の範囲まで冷却して、プレスを開放して、積層サンプルを作成した。
【0035】
加熱温度は、コーティングした樹脂が融解し、紙が付く温度であれば良い。冷却温度は、100℃以上の温度で冷却を終了すると、紙中の水分が水蒸気になっているため、圧力が開放されたとき、バブルとなり、紙が凸凹になってしまうため、圧力を掛けたまま、100℃以下まで冷却する必要がある。更に、高い温度で取り出し、室温放置すると、紙の繊維が動きやすい状態で、開放されるため、反りが生じてしまうため、好ましくは80℃以下低ければ低いほど良い。
【0036】
圧力は、0.1MPa以上の圧力を掛ければ良く、高い方が紙の表面が平滑平坦に成るため好ましい。しかし、熱プレスにより紙を積層すると、紙の密度、貼り合わせる前の紙の肉厚分布により、紙の厚さが制御できないため、出来上がった紙の厚みにバラツキ,表面が凸凹していたり、記録媒体形成用紙基材としては好ましくない。
【0037】
そこで、熱プレスする際に、これ以上、紙が潰れない様に、厚み制御用のスペーサー(厚み調整板)を一緒にプレス板に挟んで行うことを本発明では提案した。この方法により、紙の厚みのバラツキ,表面が凸凹等の問題を解決できた。
【0038】
また、プラスチックフィルムと紙の積層の貼り合わせにも、熱プレスを用い、プラスチックフィルム/紙の積層/プラスチックフィルムを作製した。該プラスチックフィルムは、上記した材質のプラスチックフィルムであり、記録層が形成されたプラスチックフィルムでも,印刷が施されたプラスチックフィルムでも良い。なお、図7は紙11と紙11を既に接着した紙の積層とプラスチックフィルム13を貼り合せる場合に接着剤12を用いる場合である。このときも、紙と紙を貼り合せるときと、ほぼ同条件でできる。
【0039】
更に、貼り合わせたプラスチックフィルム/紙の積層/プラスチックフィルムの表面性を、より平滑にするために、プラスチックフィルムを熱プレスで貼り合わせるとき、プレス板の表面を鏡面仕上げして置き、プラスチックフィルムの融点以上に熱プレス板の表面温度を上げ加工すると良く、この様な加熱過程を通ることも本発明の特徴の一つである。
【0040】
プラスチックフィルムと紙を貼り合わせるときも、スペーサーを入れることにより、厚みを制御した方が、プラスチックフィルムが潰れすぎて、プラスチックがはみ出る等の問題が無くなる。また、紙目に、プラスチックフィルムが潜り込み紙目がでる等の問題を回避できる。
【0041】
上記紙の積層、プラスチックフィルムの貼り合わせを図8で示した様な層構成で接着剤12層を含めて一度の熱プレスで行うこともできる。一度に行う方が、効率的であり、好ましい。
【0042】
熱プレスを効率的に行うために、図9に示すような、ダブルバンドプレス機を用いることもある。ダブルバンドプレス機は、ベルト状の金属板23が上下にあり、その間にサンプルを流し、面で圧力をかけることができる。また、金属板は加熱することができ、ゾーンによって温度を変えることができ、一般的に温度設定は、加熱ゾーン21で、加工したい材料の加工温度まで持っていき、冷却ゾーン22で冷却し材料を冷却固化する。この流れを、ベルト状の金属板に挟まれたまま行うことができる。通常、ポリアクリルの板を加工するのに用いられているものである。
【0043】
このダブルバンドプレス機で、紙の積層,プラスチックフィルムの貼り合わせに展開することを本発明では提案する。具体的には、樹脂コーティングした薄紙を2枚以上貼り合わせをする、プラスチックフィルム/紙の積層/プラスチックフィルムを作製するのに用いた。このときの貼り合わせ温度としては、コーティングする樹脂の種類により異なるが、80℃〜140℃の範囲で設定し、0℃から80℃の範囲で冷却して、貼り合わせサンプルを作成した。加熱温度は、コーティングした樹脂が融解し、紙が付く温度であれば良い。
【0044】
冷却温度は、紙の温度が100℃以上の温度で冷却を終了すると、紙中の水分が水蒸気になっているため、ダブルバンドプレス機から(圧力が)開放されたとき、バブルとなり、紙が凸凹になってしまう。また、高い温度で取り出し、室温放置すると、紙の繊維が動きやすい状態で、開放されるため、反りが生じてしまう。その為、紙を100℃以下好ましくは60℃以下まで冷却する必要がある。
【0045】
圧力は、0.1MPa以上の圧力を掛ければ良く、高い方が紙の表面が平滑平坦に成るため好ましいが、圧力を掛けすぎると紙が潰れて、薄くなったりする為、本発明の一つのポイントであるが、紙が薄くならない様に、スペーサーを入れることにより解決した。スペーサーを用いることにより、潰した後の紙の厚みを制御できるようになり、今まで紙の厚みがバラツイていて、不良と成っていた問題をクリアできるようになった。
【0046】
また、プラスチックフィルムと紙基材の貼り合わせにも用い、プラスチックフィルム/
紙/プラスチックフィルムを作製した。該プラスチックフィルムは、上記した材質のフィルムであり、記録層が形成されたプラスチックフィルムでも,印刷が施されたプラスチックフィルムでも良い。
【0047】
プラスチックフィルムを貼り合せるときも、紙と紙を貼り合せるときと、ほぼ同条件ででき、スペーサーを入れることにより、厚みを制御できる。該ダブルバンドプレス機を用いて、紙の積層とプラスチックフィルムと紙の貼り合わせを一括で行っても問題ない。
【0048】
(記録層の形成)
記録層としては、レーザー光を当てて、反射する光の状態により、記録内容を再現するタイプが用いられる。プラスチックフィルムを貼り合せた基材上に記録層を形成しても良いし、記録層が形成されたプラスチックフィルムを、直接、基材に貼り合わせても良い。
【実施例1】
【0049】
図7に示すダブルバンドプレス機を用い、プラスチックフィルムと紙を貼り合わせた記録媒体成形用紙基材を作製した。
○材料
・紙;北越製紙製、厚み0.2mmのコート紙(コート層;カオリンクレーをアクリル系バインダーで塗工したもの)
・フィルム;0.1mmポリカフィルムの片側表面(紙との貼り合わせ面)にアクリル系の接着性樹脂10μm塗工
○熱プレス
・図1に示すダブルバンドプレス機;ロールで挟まれてプレスしている距離3m(加熱ゾーン1m,冷却ゾーン2m)
・ライン速度;1m/min(加熱1分,冷却2分)
・圧力;0.5MPa
・加熱ゾーン温度;100℃
・冷却ゾーン温度;25℃
・上記材料を、2枚のポリカフィルムで紙4枚を挟む形で重ね合わせダブルバンドプレス機を通し、総厚;1.0mmの記録媒体形成用紙基材を作製した。
【0050】
この時、ポリカのアクリルコート面が紙と接着する面,紙の重ね合わせ方法は、紙の平滑面が表面になるように、注意して重ね合わせた。
【0051】
また、紙が潰れ過ぎないように、熱プレスのベルト間の隙間(クリアランス)が1.0mm以下にならない様にして加工した。
【0052】
このダブルバンドプレス機を通過した貼り合わせ品の総厚は、1.0mmと均一で、また、ポリカフィルムの表面に紙の地合い凸凹が浮き出なかった。
【0053】
該貼り合わせ品を、打抜き光ディスク形状とし、この上に記録層を形成して、光ディスクとし、光ディスクの読み取り装置に入れたところ、問題無く、記録層を読み取ることができた。
【0054】
また、80℃85%4日→80℃20%1日→23℃50%3日、計8日間の保存試験を行った後、光ディスクを読み取り機装置に入れたが、反りが無く問題なく読めた。
【実施例2】
【0055】
図7に示すダブルバンドプレス機を用い、フィルムと紙を貼り合わせた記録媒体成形用紙基材を作製した。
○材料
・紙;北越製紙製、厚み0.4mmのコート紙(コート層;カオリンクレーをラテックス系バインダーで塗工したもの)
・フィルム;0.11mmポリエチレンフィルム
○熱プレス
・図1に示すダブルバンドプレス機;ロールで挟まれてプレスしている距離3m(加熱ゾーン1m,冷却ゾーン2m)
・ライン速度;1m/min(加熱1分,冷却2分)
・圧力;0.5MPa
・加熱ゾーン(一番最初のロール);140℃
その他のロール ;100℃
・冷却ゾーン温度;25℃
・上記材料を、2枚のポリエチレンフィルムで紙2枚を挟む形で重ね合わせダブルバンドプレス機を通し、総厚;1.0mmの記録媒体形成用紙基材を作製。
【0056】
この時、紙の重ね合わせ方法は、紙の平滑面が表面になるように、注意して重ね合わせた。
【0057】
また、紙が潰れ過ぎないように、熱プレスのベルト間の隙間(クリアランス)が1.0mm以下にならない様にスペーサーを用いて加工した。
【0058】
このダブルバンドプレス機を通過した、貼り合わせ品の総厚は、1.0mmと均一で、ダブルバンドプレス機から取り出したときのサンプルの表面温度は約60℃であった。
【0059】
また、加熱ゾーンの最初のロールが140℃のため、ポリエチレンフィルムの表面が溶け、ベルトの表面を転写し、更に紙の凸凹をポリエチレンが埋めたため、表面は平坦性が高く平滑であった。
【0060】
該貼り合わせ品を、打抜き光ディスク形状とし、この上に記録層を形成して、光ディスクとし、光ディスクの読み取り装置に入れたところ、問題無く、記録層を読み取ることができた。
【0061】
また、80℃85%4日→80℃20%1日→23℃50%3日、計8日間の保存試験を行った後、光ディスクを読み取り機装置に入れたが、反りの発生無く問題なく読めた。
【実施例3】
【0062】
実施例1と同様の材料を使い、フィルムを貼り合せるときに、ダブルバンドプレス機を使わず、通常のロールとロールで、ニップして貼り合せる方法で、実施例1同様の紙製光ディスクを作製したところ問題なく読みとれるものもあったが、総厚が1.01〜1.13mmとバラツイており、光ディスクの表面に紙目が残って、凸凹しているため、光ディスクを読み取り機装置に入れたが、読めなかった。
【実施例4】
【0063】
実施例1の紙を、厚みだけが異なる0.8mmの積層紙ではない単紙を用い、該紙の両表面に実施例1同様にポリカフィルムをダブルバンドプレス機で貼り合わせ、実施例1同様の紙製光ディスクを作製したところ、保存前は、実施例1同様、問題なく読み取ることができた。
【0064】
しかし、80℃85%4日→80℃20%1日→23℃50%3日、計8日間の保存試験を行ったら、光ディスクが大きく反り、光ディスクを読み取り機装置に入れることもで
きなかった。
【0065】
また、実施例1から4の各々について次のような方法で反りを測定し、下記の表1のような結果を得た。
【0066】
測定方法:直径120mmのディスク状に切り平らなガラス板の上に置き、ガラス板に接触している部分と一番浮いている部分の高低差を反り量として測定する。なお、目標値は0.3mm以下である。
【0067】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本願発明の紙が2層の場合の記録媒体形成用紙基材の部分拡大断面図である。
【図2】本願発明の紙が4層の場合の記録媒体形成用紙基材の部分拡大断面図である。
【図3】図2とは異なる本願発明の紙が4層の場合の記録媒体形成用紙基材の部分拡大断面図である。
【図4】図2や図3とは異なる本願発明の紙が4層の場合の記録媒体形成用紙基材の部分拡大断面図である。
【図5】図2、図3や図4とは異なる本願発明の紙が4層の場合の記録媒体形成用紙基材の部分拡大断面図である。
【図6】本願発明の紙が4層の場合の記録媒体形成用紙基材の部分拡大断面図である。
【図7】図6の記録媒体形成用紙基材の積層工程を示す部分拡大断面図である。
【図8】図7とは異なる図6の記録媒体形成用紙基材の積層工程を示す部分拡大断面図である。
【図9】本願発明の記録媒体形成用紙基材の積層工程に用いられるダブルバンドプレス機の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0069】
11 紙
12 接着剤
13 プラスチックフィルム
21 加熱ゾーン
22 冷却ゾーン
23 金属板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2層以上の紙が積層されるとともに、積層された紙をプラスチックフィルムでサンドイッチした構造の紙基材であって、該積層された紙は少なくとも最下層と最上層に位置する紙の表裏が対称となるように積層されていることを特徴とする記録媒体形成用紙基材。
【請求項2】
前記プラスチックフィルムは、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンテレフタレート,ポリカーボネート及び環状ポリオレフィンの何れかであることを特徴とする請求項1記載の記録媒体形成用紙基材。
【請求項3】
請求項1または2のプラスチックフィルムと紙との貼り合わせ方法及び紙の積層方法が、80℃以上240℃以下の熱プレス板で、0.1MPa以上の圧力を掛けて貼り合わせ、圧力をかけたまま100℃未満まで冷却することを特徴とする方法である記録媒体形成用紙基材。
【請求項4】
請求項3の紙と紙とを積層するために用いる接着剤が、紙の光沢或いは平滑性を付与するために用いている紙のコート層であり、改めて、貼り合わせのために接着剤を塗工しないことを特徴とする記録媒体形成用紙基材。
【請求項5】
請求項3のプラスチックフィルムと紙とを貼り合わせるために用いる接着剤は、フィルム或いは、紙に予め積層された、融点150℃以下の高分子であることを特徴とする記録媒体形成用紙基材。
【請求項6】
請求項3の熱プレスにより、プラスチックフィルムと紙とを貼り合わせる或いは、紙と紙を積層する際、プラスチックフィルムの外表面が少し溶解し、熱プレス板の表面を転写して平滑に成っていることを特徴とする記録媒体形成用紙基材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−207288(P2007−207288A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−22056(P2006−22056)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】