記録装置、APC校正方法
【課題】ライトワンス型の光記録媒体を用いた場合であっても、APC(Auto Power Control)校正処理(レーザ駆動電流対レーザ出力パワーの特性の傾きについての校正処理)を、記録時間の拡大防止を図りつつ行うことができるようにする。
【解決手段】記録層から表面にフォーカスジャンプを行って表面にてAPC校正処理を実行する。これにより、APC校正処理に伴いレーザパワーが記録パワー近傍に振られたとしても、記録層に対する記録や消去が行われないようにできる。つまりリードインエリアなどへの長時間の移動はせずとも、表面への移動という非常に短時間の移動のみで記録容量の無駄な消費をしないAPC校正処理を実現することができるものであり、結果、記録時間の拡大化を防止したAPC校正を実現できる。
【解決手段】記録層から表面にフォーカスジャンプを行って表面にてAPC校正処理を実行する。これにより、APC校正処理に伴いレーザパワーが記録パワー近傍に振られたとしても、記録層に対する記録や消去が行われないようにできる。つまりリードインエリアなどへの長時間の移動はせずとも、表面への移動という非常に短時間の移動のみで記録容量の無駄な消費をしないAPC校正処理を実現することができるものであり、結果、記録時間の拡大化を防止したAPC校正を実現できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光記録媒体に対する記録を行う記録装置として、特に、レーザ駆動電流対レーザ出力パワーの特性の傾きについての校正処理であるAPC(Auto Power Control)校正処理を実行する記録装置に関する。また、上記APC校正処理の具体的な実行方法としてのAPC校正方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2009−87510号公報
【背景技術】
【0003】
デジタルデータを記録・再生するための技術として、例えば、CD(Compact Disc),MD(Mini-Disc),DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)などの、光ディスク(光磁気ディスクを含む)を記録メディアに用いたデータ記録技術がある。光ディスクとは、レーザ光の照射によりその記録情報の読み取りが行われる円盤状の記録媒体を総称したものである。
【0004】
光ディスクには、例えばCD、CD−ROM、DVD−ROMなどとして知られているように再生専用タイプのものと、MD、CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAM、BD−R、BD−REなどで知られているようにユーザデータが記録可能なタイプがある。記録可能タイプのものは、光磁気記録方式、相変化記録方式、色素膜変化記録方式などが利用されることで、データが記録可能とされる。
このうち光磁気記録方式や相変化記録方式などは、データの書換が可能なリライタブル記録方式となり、これらを採用したリライタブル型の光ディスクが広く普及している。
また、色素膜変化記録方式などは、いわゆるライトワンス記録方式とも呼ばれ、データ記録が一度だけ可能とされ、データ書換は不能である。このようなライトワンス記録方式に対応した光ディスクは、ライトワンス型、或いは追記型の光ディスクと称される。
【0005】
一方で、光ディスクに対し撮像映像データの記録を行うビデオカメラ装置が普及しており、特に本出願人は、業務用(例えば放送業務など)のビデオカメラの分野においてかかるビデオカメラ装置(光ディスクドライブ装置)を提案している。
【0006】
ここで、業務用の分野で用いられる光ディスクドライブ装置としては、記録動作に関し高い信頼性が要求される。そのため民生用のドライブ装置と比較してより高精度な調整を行うようにされている。
その一例として、例えば上記特許文献1に開示されているようなAPC(Auto Power Control)校正処理を挙げることができる。
【0007】
APC校正処理は、ドライブ動作中の主に温度変化によって生じるレーザダイオードのスロープ効率(レーザ駆動電流対レーザ出力パワーの特性の傾き)の変化により生じるレーザパワー変動を抑制するために実行するものとされており、具体的には、以下で説明するような処理となる。
すなわち、基準となる時点(例えば前回のAPC校正処理の実行時点)からの温度差が所定閾値以上となったことに応じて、レーザ駆動電流対レーザ出力パワーの特性(IL特性と呼ばれる)の傾きを求めるための処理を実行する。このようなIL特性の傾きを求めるにあたり、先ずは、2つの異なる目標レーザパワーを設定し、これら目標レーザパワーに対応するそれぞれのレーザ駆動電流値を、実際にフロントモニタの出力を用いたレーザ駆動電流の調整を行った結果に基づき求める。このように2つの目標レーザパワーに対応するそれぞれのレーザ駆動電流値が求まれば、現在の温度に対応したIL特性上の2点が求まることになるので、この2点を通る直線の傾きを求めることで、IL特性の傾きが求まる。
そして、このようにIL特性の傾きを求めた上で、当該傾きの値に応じたゲインをレーザ駆動電流に与えるべきゲインとして設定する。
【0008】
ここで、このようなAPC校正処理を行う必要性について、図5〜図8を参照して説明しておく。
図5は、ライト発光波形の生成例を示している。
光ディスクドライブ装置において、ライト発光波形(記録波形)は、一般的には図のように複数のレーザパワーに対応するそれぞれのパルスの組み合わせで成るようにされている。
この図5の例では、記録波形がEraseパワーと、該Eraseパワーよりも大となるPeakパワーと、Eraseパワーよりも小となるCoolパワーのそれぞれに対応するパルスの組み合わせで成る場合を示している。
【0009】
ここで、光ディスクドライブ装置では、レーザ光の記録パワーを一定に制御するためのAPC処理を行うものがあるが、図5のように記録波形が複数のパワーに対応するパルスの組み合わせから成る場合、当該APC処理は、複数のパワーのうちの1つのパワーを対象としてのみ行われることがある。具体的に図5の例では、Eraseパワーのみを対象としてAPC処理が実行されている。
【0010】
この場合、APCによる一定制御が行われないPeakパワー、Coolパワーのそれぞれのレーザ駆動電流値(以下、I_Peak、I_Coolとおく)については、一定制御されるEraseパワーのレーザ駆動電流値(I_Eraseとする)を基準として、図のようにレーザ駆動電流値I_Coolについては「I_Erase−α」で算出し、レーザ駆動電流値I_Peakについては「β−I_Peak」により算出するようにされている。
【0011】
このようにAPCで一定制御されるEraseパワーのレーザ駆動電流値I_Eraseに基づきPeakパワーのレーザ駆動電流値I_Peak、Coolパワーのレーザ駆動電流値I_Coolを設定するようにしているので、温度変化等によりIL特性が変化しても、一定制御されないPeakパワー、Coolパワーの或る程度の追従性は得られるものとなる。
【0012】
しかしながら、上記のようにPeakパワーのレーザ駆動電流値I_PeakとCoolパワーのレーザ駆動電流値I_CoolとをEraseパワーのレーザ駆動電流値I_Eraseを基にそれぞれ固定値α、βを用いて求める手法によっては、以下で説明するようにして、IL特性の変化に伴うPeakパワー、Coolパワーの変動の発生は避けられないものとなる。
【0013】
図6は、IL特性の一例を示した図であり、図のように横軸がLD(レーザダイオード)電流(mA)、縦軸がLD出力(mW)である。
図示するようにIL特性は、温度変化によって変化する。
IL特性の変化の態様としては、スレッショルド電流(発光開始電流)の変化や、スロープ効率(η)の変化を挙げることができる。
このうちスロープ効率は、IL特性の傾きに相当するものであり、図のようにIL特性上における2点を通る直線の傾き(a/b)で求まるものである。
【0014】
図7は、スロープ効率の温度特性の一例を示したものであり、横軸が温度(℃)、縦軸がスロープ効率(η)である。
スロープ効率の温度特性はレーザダイオードの材料、設計、製造プロセス等によって一様ではなく、図のように固体ごとに異なる温度特性を示すものとなる。
【0015】
また図8は、レーザダイオードのファーフィールドパターンの温度特性の一例を示しており、横軸が放射角(°)、縦軸が相対光量である。
この図に示されるようにレーザダイオードのファーフィールドパターンの形状が温度により変化する場合がある。
レーザダイオードのファーフィールドパターンが変化すると、光学ヘッドの光路の設計によってはレーザダイオード出射パワーから対物レンズ出射パワーのカップリングが無視できない程度(例えば5%程度)変化する場合がある。
つまりこの点でも、IL特性の温度による変化を招くものとなる。
【0016】
ここで、先の図5における説明からも理解されるように、Eraseパワーについては、APCの対象とされているため、IL特性が変化したとしてもその変動が防止されるものとなる。
しかしながら、上述のように固定値α、βを用いてそのレーザ駆動電流値が算出されるPeakパワーやCoolパワーについては、IL特性の変化に伴って、次の図9に示されるような変動が生じてしまうことになる。
この図9においては、温度によりスロープ効率ηが変化した場合を例示しているが、図のようにスロープ効率ηが小である場合、Peakパワーは図中のP1、またCoolパワーはC1であるのに対し、スロープ効率ηが大である場合には、PeakパワーがP2、CoolパワーがC2となって、それぞれの場合でPeakパワーとCoolパワーとに差が生じることが分かる。
【0017】
このようにして温度変化に伴うIL特性の変化(スロープ効率の変化)が生じた場合には、APCの対象とされるEraseパワーについては一定に保たれるものの、APCの対象とされない他のPeakパワーやCoolパワーについては、変動が生じてしまうこととなる。
このようなパワー変動が生じる結果、記録品質の悪化を招く虞がある。
【0018】
そこで、先に説明したようなAPC校正処理を行うことが有効となる。
図10は、2点発光によるAPC校正処理について説明するための図である。
2点発光によるAPC校正処理では、予め2つの目標レーザパワーを定めておくことになる。図中ではこれら2つの目標レーザパワーのうちその値が小である方を「Plw」、大である方を「Phg」としている。
そして、APC校正処理では、先ずはこれら目標レーザパワーPlw、Phgのそれぞれに対応するレーザ駆動電流値Ilw、Ihgを求める。つまり、実際にレーザ駆動電流値を振ってそのときにフロントモニタで得られる受光信号に基づき検出されるレーザパワーをモニタした結果に基づき、これらレーザ駆動電流値Ilw、Ihgを求める。
【0019】
さらに、このように求めたレーザ駆動電流値Ilw、Ihgと、2つの目標レーザパワーPlw、Phgとに基づき、IL特性の傾き(スロープ効率η)を求める。具体的には、(Phg−Plw)/(Ihg−Ilw)により、IL特性の傾きの値を求める。
【0020】
その上で、上記の計算によって求めたIL特性の傾きの値に応じたゲインを、レーザ駆動電流に与えられるべきゲインとして設定する。
このようなゲインの設定を行うことで、IL特性のスロープ効率が実際に検出したスロープ効率に応じて校正されることとなり(つまりレーザ駆動電流からレーザパワーへの変換スケールの校正が行われる)、結果、APCの対象とされないPeakパワーやCoolパワーについても、温度変化に起因する変動の抑制が図られるものとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところで、上記により説明したようなAPC校正処理は、記録動作中の温度変化による記録品質の悪化の抑制を図るために行われるべきものであるので、主に記録動作中に実行されることでその効果を発揮するものである。
記録動作中におけるAPC校正処理は、処理時間の短縮化のため、例えばリードインエリア等の設けられるテストライト領域に移動して行うということはせず、現在の記録位置の近傍にて行うようにすることが望ましい。
【0022】
但しここで注意すべきは、APC校正処理は、レーザパワーを記録パワー近傍に振って行われるものであることである。
すなわち、光ディスクがリライタブル型のものであれば、APC校正処理をユーザデータエリア内で行ったとしても、未記録部分を対象として行ったのであれば後の上書きが可能となるため記録容量が無駄に消費されるということはないが、光ディスクがライトワンス型のものであった場合には、APC校正処理で使用した部分にはデータの上書きが不能であり、従って記録容量が無駄に消費されてしまうこととなる。
【0023】
このような記録容量の消費を防止するにあたっては、その都度テストライト領域に移動するということが考えられるが、これによってはAPC校正処理の度に多くの時間が費やされてしまい、その結果記録時間が大幅に拡大してしまうこととなる。
【0024】
本発明はかかる事情に鑑み為されたものであり、ライトワンス型の光記録媒体を用いた場合であっても、APC校正処理を、記録時間の拡大防止を図りつつ行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
このために本発明では、記録装置として以下のように構成することとした。
つまり、光源より出射されたレーザ光を対物レンズを介して光記録媒体に対して照射する光照射部を備える。
また、上記光源を発光駆動する発光駆動部を備える。
また、上記光源より出射された上記レーザ光を受光するフロントモニタを備える。
また、上記レーザ光の照射に応じて上記光記録媒体から得られる反射光を受光する受光部を備える。
また、上記受光部による受光信号に基づき上記対物レンズのフォーカスサーボ制御を行うフォーカスサーボ制御部を備える。
また、上記光記録媒体の記録層にフォーカスサーボがかけられている状態において、上記光記録媒体の表面に対するフォーカスジャンプ動作が行われるように上記フォーカスサーボ制御部を制御する表面ジャンプ制御手段を備える。
また、上記表面ジャンプ制御手段による制御が行われて上記表面にフォーカスサーボがかけられている状態において、APC(Auto Power Control)校正処理として、上記発光駆動部から上記光源に供給されるレーザ駆動電流の値を変化させ且つそれぞれのレーザ駆動電流値の設定下で上記フロントモニタにて得られる受光信号に基づいて検出された上記レーザ光のパワーを取得した結果に基づき、複数の目標レーザパワーの個々に対応するレーザ駆動電流値を求め、それらレーザ駆動電流値と上記複数の目標レーザパワーの値とに基づいてレーザ駆動電流対レーザ出力パワー特性の傾きを算出し、該算出した傾きの値に応じたゲインを上記光源を発光駆動するためのレーザ駆動信号成分に与えられるべきゲインとして設定する処理を行う表面APC校正手段を備えるようにした。
【0026】
上記のように本発明では、光記録媒体の記録層から表面にフォーカスジャンプを行い、当該表面にてAPC校正処理を実行するものとしている。これにより、APC校正処理に伴いレーザパワーが記録パワー近傍に振られたとしても、記録層に対する記録や消去が行われないようにすることができる。
この結果、光記録媒体がライトワンス型のものであった場合にも、表面にフォーカスジャンプをするという非常に短時間の移動を行うのみで、記録層を無駄に消費することなくAPC校正処理を実行することができる。つまりこのような本発明によれば、ライトワンス型の光記録媒体を用いる場合であっても、リードインなどへの長時間の移動はせずに記録容量の無駄な消費をしないAPC校正処理を実現することができる。
この結果本発明によれば、ライトワンス型の光記録媒体を用いる場合であっても記録時間の拡大を招くことなくAPC校正処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
上記のように本発明によれば、APC校正処理に伴いレーザパワーが記録パワー近傍に振られたとしても、記録層に対する記録や消去が行われないようにすることができ、ライトワンス型の光記録媒体に対しても、記録層を無駄に消費することなくAPC校正処理を行うことができる。
そして、このように記録層を無駄に消費することなくAPC校正処理を実現するにあたっては、光記録媒体の表面にフォーカスジャンプをするという非常に短時間の移動を行うのみでよく、従って本発明によれば、ライトワンス型の光記録媒体を用いた場合にも、記録時間の拡大を招くことなくAPC校正処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施の形態の記録装置の全体的な内部構成を示したブロック図である。
【図2】実施の形態の記録装置の内部構成のうち、APC処理、及びAPC校正処理に係る部分の構成を抽出して示した図である。
【図3】実施の形態としてのAPC校正手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図4】APC校正処理の具体的な処理手順を示したフローチャートである。
【図5】ライト発光波形の生成例を示した図である。
【図6】IL特性の一例を示した図である。
【図7】スロープ効率の温度特性の一例を示した図である。
【図8】レーザダイオードのファーフィールドパターンの温度特性の一例を示した図である。
【図9】IL特性の変化に伴ってPeakパワーとCoolパワーに変動が生じることについて説明するための図である。
【図10】2点発光によるAPC校正処理について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を次の順序で説明する。
<1.実施の形態の記録装置の内部構成>
<2.実施の形態としてのAPC校正手法>
<3.処理手順>
<4.変形例>
【0030】
<1.実施の形態の記録装置の内部構成>
図1は、本発明の記録装置の一実施形態としての記録再生装置1の全体的な内部構成を示したブロック図である。
なおこの図1では、記録再生装置1の全体的な内部構成と共に、当該記録再生装置1が記録再生対象とする光ディスクDも併せて示している。
【0031】
ここで、光ディスクDは、いわゆるBD(Blu-ray Disc:登録商標)と同様に、その直径が120mm程度、ディスク厚が1.2mm程度とされ、対物レンズの開口数NA=0.85程度、レーザ光の波長λ=450nm程度の条件により記録再生が行われる光ディスクとされる。
ここで光ディスクとは、光の照射により信号の記録/再生が行われる円盤状の記録媒体を総称したものである。
本実施の形態において、光ディスクDは、データ記録が1度のみ可能とされたライトワンス型(追記型)の光ディスクとされる。
【0032】
また、実施の形態の記録再生装置1は、光ディスクDに対して撮像映像データの記録を行うビデオカメラ装置の記録再生部として備えられたものであるとする。つまり、図中に示すホストコンピュータ100は、上記ビデオカメラ装置の全体制御を行う制御部として機能するものとなる。
【0033】
図1において、光ディスクDは、図示しないターンテーブル上に積載され、記録/再生動作時においてスピンドルモータ(SPM)2によって線速度一定(CLV)で回転駆動される。
そして、図中の光学ピックアップ(光学ヘッド)OPによって光ディスクD上のグルーブのウォブリングとして埋め込まれたADIP情報の読み出しが行われる。
また記録時には光学ピックアップOPによってトラックにユーザデータがマークとして記録され、再生時には光学ピックアップOPによってマークにより記録されたデータの読み出しが行われる。
【0034】
光学ピックアップOP内には、レーザ光源となるレーザダイオード(後述するレーザダイオード15)や、反射光を検出するためのフォトディテクタ、レーザ光の出力端となる対物レンズ、レーザ光を上記対物レンズを介して光ディスクDの記録面に照射し、またその反射光を上記フォトディテクタに導く光学系が形成される。
【0035】
光学ピックアップOP内において、上記対物レンズは二軸機構によってトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に保持されている。
また光学ピックアップOP全体は図中のスレッド機構3によりディスク半径方向に移動可能とされている。
また、光学ピックアップOP内にはレーザ光の球面収差を補正するための球面収差機構が備えられており、後述するサーボ回路11の制御によって球面収差補正が行われる。
【0036】
なお、光学ピックアップOP内には、後述するAPC(Auto Power Control)処理やAPC校正処理の実行にあたり必要となる構成も設けられるが、それらについては後に改めて説明する。
【0037】
光ディスクDからの反射光情報は、上記フォトディテクタによって検出され、受光光量に応じた電気信号とされてマトリクス回路4に供給される。
マトリクス回路4には、上記フォトディテクタとしての複数の受光素子からの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
例えば再生データに相当する高周波信号(再生データ信号又はRF信号)、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号などを生成する。
さらに、グルーブのウォブリングに係る信号、すなわちウォブリング(ウォブル振幅)を検出する信号としてプッシュプル信号を生成する。
【0038】
マトリクス回路4から出力される再生データ信号はリーダ/ライタ(RW)回路5へ、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号はサーボ回路11へ、プッシュプル信号はウォブル回路8へ、それぞれ供給される。
【0039】
リーダ/ライタ回路5は、再生データ信号(RF信号)についての2値化処理、PLL(Phase Locked Loop)による再生クロック生成処理等を行い、光ディスクDに記録された信号についての2値データ列を得る。2値データ列は、変復調回路6に対して供給される。
【0040】
変復調回路6は、再生時のデコーダとしての機能と、記録時のエンコーダとしての機能とが与えられたものとなる。
再生時にはデコード処理として、再生クロックに基づいてランレングスリミテッドコードの復調処理を行う。
【0041】
ECCエンコーダ/デコーダ7は、記録時にエラー訂正コードを付加するECCエンコード処理と、再生時にエラー訂正を行うECCデコード処理を行う。再生時には、変復調回路6で復調されたデータを内部メモリ(図示せず)に取り込んで、エラー検出/訂正処理及びデインターリーブ等の処理を行い、再生データを得る。
ECCエンコーダ/デコーダ7で再生データにまでデコードされたデータは、システムコントローラ10の指示に基づいて読み出され、ホストコンピュータ100に転送される。
【0042】
グルーブのウォブリングに係る信号としてマトリクス回路4から出力されるプッシュプル信号は、ウォブル回路8において処理される。ADIP情報としてのプッシュプル信号は、ウォブル回路8においてADIPアドレスを構成するデータストリームに復調されてアドレスデコーダ9に供給される。
アドレスデコーダ9は、供給されるデータについてのデコードを行ってアドレス値を得て、これをシステムコントローラ10に供給する。
またアドレスデコーダ9はウォブル回路8から供給されるウォブル信号を用いたPLL処理でクロックを生成し、例えば記録時のエンコードクロックとして各部に供給する。
【0043】
記録時には、ホストコンピュータ100から記録データが転送されてくるが、その記録データは前述したECCエンコーダ/デコーダ7におけるメモリに送られてバッファリングされる。
この場合、ECCエンコーダ/デコーダ7は、バファリングされた記録データのエンコード処理として、エラー訂正コード付加やインターリーブ、サブコード等の付加を行う。
またECCエンコードされたデータは、変復調回路6において例えばRLL(1−7)PP方式などの所定のランレングスリミテッド符号化処理(変調処理)が施され、リーダ/ライタ回路5に供給される。
記録時においてこれらのエンコード処理のための基準クロックとなるエンコードクロックは前述のウォブル信号から生成したクロックを用いる。
【0044】
エンコード処理により生成された記録データは、リーダ/ライタ回路5内のライトストラテジ回路5aに供給される。
ライトストラテジ回路5aは、設定された各種パラメータに従って、上記記録データに応じたライト発光波形(記録波形)を生成する。ライト発光波形のパラメータとしては、振幅(パワー:パルス高さ)、パルスエッジ位置などがある。
ライトストラテジ回路5aは、生成したライト発光波形に基づくレーザ駆動信号をレーザードライバ13に対して供給する。
【0045】
ここで、本例のライトストラテジ回路5aとしても、先の図5に示したようなライト発光波形を生成するようにされている。つまり、複数のレーザパワーに対応するそれぞれのパルスの組み合わせで成るライト発光波形を生成する。
具体的に、本例においてもライト発光波形としては、Eraseパワー、及びEraseパワーよりも大となるPeakパワー、及びEraseパワーよりも小となるCoolパワーのそれぞれに対応するパルスの組み合わせで成る波形を生成するようにされているものとする。
【0046】
ライトストラテジ回路5aにおいて、Eraseパワーの設定は、システムコントローラ10からの指示により行われる。すなわち、システムコントローラ10よりEraseパワーのパルス高さの指示値が与えられることで、Eraseパワーの設定(調整)が為される。
そして、ライトストラテジ回路5aは、このように設定されたEraseパワーを基準として、他のCoolパワー、Peakパワーをそれぞれ設定するように構成されている。具体的には、Eraseパワーのパルス高さの値をA_Erase、Coolパワーのパルス高さの値をA_Cool、Peakパワーのパルス高さの値をA_Peakとしたとき、Coolパワーのパルス高さA_Coolを「A_Erase−α」により、またPeakパワーのパルス高さA_Peakを「β−A_Cool」によりそれぞれ設定することで、Coolパワー、Peakパワーの設定が為されるものである。
なお、上記「α」「β」はそれぞれ予め設定された固定値である。
【0047】
レーザドライバ13は、ライトストラテジ回路5aより供給されたレーザ駆動信号に基づくレーザ駆動電流を前述した光学ピックアップOP内のレーザダイオード15に与え、レーザ発光駆動を行う。これにより光ディスクDに記録データに応じたマークが形成されることになる。
【0048】
サーボ回路11は、マトリクス回路4からのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号から、フォーカス、トラッキング、スレッドの各種サーボドライブ信号を生成しサーボ動作を実行させる。
すなわちフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号に応じてフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号を生成し、光学ピックアップOP内の二軸機構のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することになる。これによって光学ピックアップOP、マトリクス回路4、サーボ回路11、二軸機構によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
【0049】
またサーボ回路11は、システムコントローラ10からのトラックジャンプ指令に応じて、トラッキングサーボループをオフとし、ジャンプドライブ信号を出力することで、トラックジャンプ動作を実行させる。
【0050】
またサーボ回路11は、トラッキングエラー信号の低域成分として得られるスレッドエラー信号や、システムコントローラ10からのシーク動作制御などに基づいてスレッドドライブ信号を生成し、スレッド機構3を駆動する。スレッド機構3には、図示しないが、光学ピックアップOPを保持するメインシャフト、スレッドモータ、伝達ギア等による機構を有し、スレッドドライブ信号に応じてスレッドモータを駆動することで、光学ピックアップOPの所要のスライド移動が行なわれる。
【0051】
またサーボ回路11は、システムコントローラ10からの指示に応じて、フォーカスサーボループにフォーカスバイアスを与える。
またサーボ回路11は、システムコントローラ10からの指示に応じたフォーカスジャンプパルスをフォーカスサーボループ内に与えることで、フォーカスジャンプ動作(層間ジャンプ)を実現する。
またサーボ回路11は、システムコントローラ10からの指示に応じて、光学ピックアップOP内における上述した球面収差補正機構に対して球面収差補正のための駆動信号を供給する。
【0052】
スピンドルサーボ回路12はスピンドルモータ2をCLV回転させる制御を行う。スピンドルサーボ回路12は、ウォブル信号に対するPLL処理で生成されるクロックを、現在のスピンドルモータ2の回転速度情報として得て、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成する。
またデータ再生時においては、リーダ/ライタ回路5内のPLLによって生成される再生クロック(デコード処理の基準となるクロック)が、現在のスピンドルモータ2の回転速度情報となるため、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成することもできる。そしてスピンドルサーボ回路12は、スピンドルエラー信号に応じて生成したスピンドルドライブ信号を出力し、スピンドルモータ2のCLV回転を実行させる。
またスピンドルサーボ回路12は、システムコントローラ10からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータ2の起動、停止、加速、減速などの動作も実行させる。
【0053】
以上のようなサーボ系及び記録再生系の各種動作はマイクロコンピュータで構成されるシステムコントローラ10により制御される。
システムコントローラ10は、ホストコンピュータ100からのコマンドに応じて各種処理を実行する。例えばホストコンピュータ100から書込命令(ライトコマンド)が出されると、システムコントローラ10は、指示されたアドレスをターゲットアドレスとしてアクセス実行制御を行う。すなわちサーボ回路11に指令を出し、コマンドにより指定されたアドレスをターゲットとする光学ピックアップOPのアクセス動作を実行させる。また、これと共に、ECCエンコーダ/デコーダ7、変復調回路6により、ホストコンピュータ100から転送されてきたデータ(例えばMPEG2などの各種方式のビデオデータ等)について上述したようにエンコード処理を実行させる。そして、上記のようにリーダ/ライタ回路5(ライトストラテジ回路5a)からのレーザ駆動信号がレーザドライバ13に供給されることで、光ディスクDに対する記録が実行される。
【0054】
また、例えばホストコンピュータ100から光ディスクDに記録された或るデータの転送を求めるリードコマンドが供給された場合は、まず指示されたアドレスをターゲットとしてアクセス実行制御を行う。その後、その指示されたデータ区間のデータをホストコンピュータ100に転送するために必要な制御を行う。すなわち光ディスクDからの読出データについて、リーダ/ライタ回路5、変復調回路6、ECCエンコーダ/デコーダ7におけるデコード/バッファリング等を実行させ、要求されたデータを転送する。
【0055】
また、この場合のシステムコントローラ10は、APC処理、及びAPC校正処理を実行する。図中ではシステムコントローラ10によるこれらAPC処理、APC校正処理の実行機能を、APC/APC校正処理機能部10aとしてブロック化して示している。
【0056】
ここで、図2を参照して、システムコントローラ10が上記APC/APC処理機能部10aとして実行するAPC処理、及びAPC校正処理について説明する。
図2は、記録再生装置1の内部構成のうちAPC処理、及びAPC校正処理に係る部分の構成を抽出して示した図である。
【0057】
先ず、この図2においても、図1に示した光学ピックアップOP、ライトストラテジ回路5a、レーザドライバ13、及びシステムコントローラ10(APC/APC校正処理機能部10a)が示されている。
図示するように光学ピックアップOP内には、レーザダイオード15、フロントモニタ16、及びサーミスタ17が備えられている。
図1において説明したように、レーザダイオード15は、レーザドライバ13から供給されるレーザ駆動電流に基づき発光駆動される。
【0058】
またサーミスタ17は、レーザダイオード15の近傍に設けられ、当該レーザダイオード15近傍の温度を検出する。図のようにサーミスタ17による温度検出値(温度情報)は、システムコントローラ10(APC/APC校正処理機能部10a)に供給される。
【0059】
またフロントモニタ16は、レーザダイオード15より出射されたレーザ光を受光するようにして設けられ、レーザ出力パワーに応じた受光信号が得られる。フロントモニタ16による受光信号は、A/D変換器18を介しレーザ出力パワー情報としてシステムコントローラ10(APC/APC校正処理機能部10a)に供給される。
【0060】
〜APC処理〜
ここで、システムコントローラ10は、APC処理として、フロントモニタ17による受光信号に基づきA/D変換器18で検出されるレーザ出力パワーが、目標レーザパワーで一定となるようにするための処理を行う。
本例の場合もAPC処理としては、Eraseパワーを対象として行うものとされている。具体的にシステムコントローラ10は、A/D変換器18から得られるEraseパワーについてのレーザ出力パワーが、設定した目標レーザパワーで一定となるように、ライトストラテジ回路5aにて設定されるEraseパワーのパルス高さの値(振幅値)を調整する処理を行う。
【0061】
〜APC校正処理〜
また、システムコントローラ10は、上記APC処理と共に、APC校正処理も実行する。つまり、先の図10にて説明したものと同様に、IL特性(レーザ駆動電流対レーザ出力パワー特性)の傾きを求め、該傾きの値に応じたゲインをレーザ駆動信号成分に与えられるべきゲインとして設定するための処理を行うものである。
【0062】
先の図10における説明からも理解されるように、APC校正処理では、IL特性上の2点を求めるために、予め2つの目標レーザパワーが設定されることになる。この場合もこれら目標レーザパワーについては、その一方を「Plw」、他方を「Phg」とおく。これら目標レーザパワーPlw、Phgの大小関係はPlw<Phgである。
具体例として、この場合は目標レーザパワーPlw=4mW、目標レーザパワーPhg=6mWであるとする。
【0063】
APC校正処理では、先ずはこれら目標レーザパワーPlw、Phgのそれぞれに対応するレーザ駆動電流の値を求める。
ここで、これら目標レーザパワーPlw、Phgのそれぞれに対応するレーザ駆動電流の値を求めるにあたっては、実際にレーザ駆動電流の値を変化させて上記目標レーザパワーPlw、Phgが得られるときのレーザ駆動電流の値を探索することになるが、本例の場合、この際のレーザ駆動電流の調整(制御)は、システムコントローラ10が、図中のD/A変換器19に対してレーザ駆動電流指示値Isを与えることで行うようにされる。つまり、このようにD/A変換器19に対してレーザ駆動電流指示値Isを与えることで、当該レーザ駆動電流指示値Isに応じたレーザ駆動電流指示信号(指示電圧)がレーザドライバ13に対して与えられるようにし、これによりレーザダイオード15に与えられるレーザ駆動電流が上記レーザ駆動電流指示値Isに応じた値となるように制御するものである。
【0064】
システムコントローラ10は、A/D変換器18(フロントモニタ16)からのレーザ出力パワーをモニタしながら、上記D/A変換器19に与えるレーザ駆動電流指示値Isを変化させることで、レーザ出力パワーが上記目標レーザパワーPhgと一致するようにレーザ駆動電流指示値Isを調整する。このような調整を行って、上記目標レーザパワーPhgに対応するレーザ駆動電流指示値Is(以下、レーザ駆動電流指示値Ishgとおく)を求める。
さらにシステムコントローラ10は、もう一方の目標レーザパワーPlwについて、上記と同様の処理を行って当該目標レーザパワーPlwに対応するレーザ駆動電流指示値Islwを求める。
【0065】
上記の処理によりIL特性上の2点が求まる。つまり(Phg、Ishg)と(Plw、Islw)とによる2点である(図10を参照)。
このように求めたIL特性上の2点から、IL特性の傾き(スロープ効率η)を求める。具体的には(Phg−Plw)/(Ishg−Islw)を計算する。
【0066】
その上で、このように求めたIL特性の傾きの値に応じたゲインを、レーザ駆動信号成分に対して与えられるべきゲインとして設定する。具体的にこの場合は、上記IL特性の傾きの値に応じたゲインが、ライトストラテジ回路5aからレーザドライバ13に出力されるレーザ駆動信号に与えられるように、上記ゲインのライトストラテジ回路5aに対する設定を行う。
これによりライトストラテジ回路5aから出力されるレーザ駆動信号(ひいてはレーザダイオード15に与えられるレーザ駆動電流)に対して、実際に検出したIL特性の傾きに応じたゲインが与えられることとなる。これは、スロープ効率ηの校正が行われることに相当する(つまりレーザ駆動電流からレーザ出力パワーへの変換スケールの校正が行われる)。
従って、上記ゲインの設定が行われることにより、APCの対象とされないPeakパワーやCoolパワーについても、温度変化に起因した変動の抑制が図られる。
【0067】
<2.実施の形態としてのAPC校正手法>
ここで、先に述べたようにAPC校正処理は、記録動作中の温度変化に伴うPeakパワー、Coolパワーの変動を抑制して記録品質の悪化の防止を図ろうとするものであり、記録動作中において実行されることでその効果を発揮するものである。具体的にAPC校正処理は、前回のAPC校正処理実行時からの温度差が一定以上となるごとに実行するようにされている。
【0068】
但し、先の説明からも理解されるようにAPC校正処理は、レーザパワーを記録パワー近傍に振って行われるものであり、従って本例のように光ディスクDがライトワンス型である場合には、APC校正処理を実行した位置で無駄に記録容量が消費されてしまうことになる。
このとき、例えばリードインエリアなどに設けられたテストライトエリアに移動してAPC校正処理を実行すれば、ユーザデータエリアでの記録容量の消費は防止できるが、これによると記録動作の途中においてAPC校正処理の実行ごとに比較的長時間の移動が行われることになるので、記録時間の短縮化という面で非常に好ましくない結果となる。
【0069】
そこで本実施の形態では、ライトワンス型の光ディスクDを用いた場合であっても、記録時間の拡大防止を図ることのできるAPC校正手法を提案する。
【0070】
具体的に本実施の形態のAPC校正手法では、記録動作中において温度検出結果に応じて新たなAPC校正処理を実行すべき状態となったことに応じて、先ずは光ディスクDの表面にフォーカスジャンプを行う。ここで、記録中の記録層から光ディスクDの表面までの距離(つまりジャンプすべき距離)は、光ディスクDの規格から既知である。
そして、このようなジャンプ動作後、表面にフォーカスサーボがかけられた状態で、APC校正処理を実行する。
【0071】
APC校正処理が完了したことに応じては、元の記録層にフォーカスジャンプを行う。この際、上記のような表面ジャンプを伴うAPC校正処理の実行前が記録動作中(データライト中)であった場合には、元の記録層に戻った後、データライトを再開する。
【0072】
なお、APC校正処理を実行すべきとされた時点の直前の状態がデータリード中であるという場合もあり得る。その場合には、リードの完了まで待機し、リードの完了後、上記の表面ジャンプを伴うAPC校正処理を実行する。
【0073】
確認のために述べておくと、温度変化が一定以上となるごとにAPC校正を行うというルーチンは、スタートアップ時等に初回のAPC校正を実行してからホストコンピュータ100からの動作停止指示が為されるまでの間、継続して実行されるものである。
【0074】
上記により説明したような実施の形態としてのAPC校正手法によれば、APC校正処理に伴いレーザパワーが記録パワー近傍に振られたとしても、記録層に対する記録や消去が行われないようにすることができる。
この結果、光ディスクDがライトワンス型のものであった場合にも、表面にフォーカスジャンプをするという非常に短時間の移動を行うのみで、記録層を無駄に消費することなくAPC校正処理を実行することができる。つまり、このような実施の形態のAPC校正手法によれば、ライトワンス型の光ディスクDを用いる場合であってもリードインエリアなどへの長時間の移動は不要とでき、その結果、記録時間の拡大を招くことなくAPC校正処理を行うことができる。
【0075】
また、実施の形態のAPC校正手法では、記録層にフォーカスサーボがかけられた状態から表面へのフォーカスジャンプ動作を行うが、このようにすることで、例えばフォーカスサーボを一旦外した状態からジャンプ動作を行うようにした場合よりも、安定したジャンプ動作を実現できる。
また、このようにサーボ状態を維持したジャンプ動作とすることで、ジャンプ前のフォーカスサーボループ系にて得られる信号からディスクの面ぶれや反り、振動、衝撃により発生するレーザスポット(焦点)の加速度や速度情報が得られることから、これらの情報を利用してジャンプ動作の安定性をさらに高めることもできる。
【0076】
また、記録容量の消費を避ける手法としては、一旦フォーカスサーボを外し、記録層から十分にレーザスポットが離れるように対物レンズを強制的に移動させた状態でAPC校正処理を実行するという手法も考えられる。しかしながらこのような手法を採る場合には、APC校正処理後の元の記録層への復帰時にフォーカスサーボの再引き込みが必要となり、その分時間をロスすることになる。特に、振動衝撃が大きい状況では再引き込みに長時間を要する虞があり、それによる記録時間の拡大が甚大となる可能性がある。
本実施の形態のAPC校正手法では、上述のようにジャンプ時もフォーカスサーボはオンのままであるので、サーボの再引き込みは不要であり、その分、記録時間の短縮化が図られる。
【0077】
<3.処理手順>
図3のフローチャートにより、上記により説明した実施の形態としてのAPC校正手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順について説明する。
なおこの図では、実施の形態としてのAPC校正手法を実現するための具体的な処理の手順を、システムコントローラ10が実行する処理の手順として示している。
システムコントローラ10は、自らが備える例えばROM等のメモリに記憶されたプログラムに従ってこの図に示す処理を実行する。
なお図示による説明は省略するが、システムコントローラ10は、少なくともライト中において、先に説明したAPC処理をこの図に示す一連の処理と並行して実行するようにされている。
【0078】
図3において、先ずステップS101では、初回APC校正処理を実行する。
このステップS101の初回APC校正処理は、スタートアップ時等、予め初回のAPC校正処理を実行すべきとして定められた所定のタイミングで実行するものである。
なお、システムコントローラ10が実行するAPC校正処理の具体的な処理の手順については図4において改めて説明する。
【0079】
ステップS101による初回APC校正処理を実行したことに応じては、ステップS102において、初回時温度取得・記憶処理を実行する。すなわち、サーミスタ17からの温度情報を取得し、これを初回時温度情報として記憶するものである。
なお、ステップS102による初回時温度の取得・記憶は、初回APC校正処理の実行前、或いは実行中においても行うことができる。
【0080】
続くステップS103では、温度取得・記憶処理を実行し、その後ステップS104において、前回処理時からの温度差が閾値を超えたか否かを判別する。すなわち、ステップS103の処理で記憶された現在の温度と、ステップS102又は過去のステップS103の処理により記憶されるに至った前回APC校正処理時の温度との温度差が、予め定められた所定の閾値を超えたか否かを判別するものである。本例の場合、上記閾値としては5℃(絶対値)に対応する値が設定されているとする。
ステップS104において、前回処理時からの温度差が閾値を超えていないとして否定結果が得られた場合は、ステップS103に戻る。つまりこれにより、前回APC校正処理時からの温度差が5℃を超えるまで、温度取得・記憶処理が繰り返し実行されることになる。
【0081】
ステップS104において、前回処理時からの温度差が閾値を超えたとして肯定結果が得られた場合は、ステップS105において、ライト中であるか否かを判別する。
ライト中でないとして否定結果が得られた場合(つまりリード中であるとされた場合)は、ステップS107に進み、リードが終了するまで待機した後、ステップS108に処理を進める。
【0082】
一方、ライト中であるとして肯定結果が得られた場合は、ステップS106に進んでライトを中断させた後、ステップS108に処理を進める。
なお確認のために述べておくと、ライトの中断/再開の単位は記録ブロックの単位(記録最小単位)に従う。つまり、例えばステップS105による肯定結果が得られたタイミングが或る記録ブロックをライト中のタイミングである場合は、当該記録ブロックについてのライトの完了を待って、ライトの中断を行うものであり、これに応じライトの再開(ステップS112)としては続きの記録ブロックについてのライトを開始するということになる。
【0083】
ステップS108では、表面にジャンプするための処理を実行する。つまり、光ディスクDの表面にフォーカスジャンプが実行されるようにサーボ回路11に指示を出す。先に述べたように記録層から表面までの距離は既知であり、システムコントローラ10は、このように既知である記録層〜表面間の距離の情報に基づき予め設定された値に基づいて、サーボ回路11がフォーカスサーボループに与えるべきジャンプパルスの大きさを指示する。
【0084】
そして続くステップS109において、APC校正処理を実行する。つまりこれにより、ディスクDの表面にフォーカスサーボがかけられた状態でAPC校正処理が実行される。
【0085】
ステップS109のAPC校正処理を実行した後は、ステップS110において、元の層へジャンプするための処理を行う。すなわち、ステップS108によるジャンプが実行される直前にフォーカスサーボがかけられていた記録層にフォーカスジャンプが行われるようにサーボ回路11に指示を出す。
【0086】
ステップS110によるジャンプ処理を実行した後は、ステップS111において、ライト中であったか否かを判別する。つまり、先のステップS105において肯定結果が得られた後の状態であるか否かを判別する。
ステップS111において、ライト中であったとして肯定結果が得られた場合は、ステップS112に進んでライト再開処理を実行した後、先のステップS103に戻る。
一方、ステップS111において、ライト中ではなかったとして否定結果が得られた場合は、そのまま先のステップS103に戻る。
【0087】
なお、図示による説明は省略するが、システムコントローラ10は、この図に示した一連の処理と並行してホストコンピュータ100からのドライブ動作停止指示が行われたか否かを判別する処理を行っており、当該動作停止指示があった場合に、この図に示す一連の処理を終了する。
この結果、図10に示す一連の処理(つまり前回のAPC校正処理時との温度差が所定の閾値を超えるごとに表面ジャンプを伴うAPC校正処理を実行するという処理)が、ドライブが動作中とされる期間において継続して行われるようになっている。
【0088】
図4は、APC校正処理の具体的な処理手順を示したフローチャートである。
先の説明からも理解されるように、この図4に示す処理は、システムコントローラ10が実行する処理となる。
【0089】
図4において、ステップS201では、第1目標レーザパワー(Phg)となるようにレーザ駆動電流指示値Isを調整する。
つまり先に述べたように、D/A変換器19に与えるレーザ駆動電流指示値Isを変化させながらA/D変換器18(フロントモニタ16)からのレーザ出力パワーをモニタし、レーザ出力パワーが上記目標レーザパワーPhgと一致するようにレーザ駆動電流指示値Isを調整する。
そして次のステップS202において、第1目標レーザパワーPhgとなったときのレーザ駆動電流指示値Is(レーザ駆動電流指示値Ishg)を記憶する。
【0090】
また続くステップS203においては、第2目標レーザパワー(Plw)となるようにレーザ駆動電流指示値Isを調整し、次のステップS204において、第2目標レーザパワーPlwとなったときのレーザ駆動電流指示値Is(レーザ駆動電流指示値Islw)を記憶する。
【0091】
ステップS204による記憶処理を実行した後は、ステップS205において、Phg、Ishg、Plw、Islwに基づき、IL特性の傾きの値を計算する。具体的には(Phg−Plw)/(Ishg−Islw)を計算する。
【0092】
その上で、ステップS206において、算出した傾きの値に応じたゲインをライトストラテジ回路5aに設定する。すなわち、上記ゲインがレーザドライバ13に出力されるレーザ駆動信号に与えられるように、ライトストラテジ回路5aに対するゲインの設定を行うものである。
【0093】
<4.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでに説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えばこれまでの説明では、表面ジャンプ後にフォーカスサーボ外れが生じないことを前提として説明を行ったが、表面におけるフォーカスサーボ外れが生じることを想定した場合には、表面へのフォーカスジャンプ後において、光ディスクDからの反射光を受光するフォトディテクタにて得られる受光信号に基づいてAPC校正処理を中止させるといったこともできる。
具体的には、表面ジャンプ後におけるPull In信号(和信号:RF信号)やフォーカスエラー信号FEをモニタし、これらに所定の変化が生じたことに応じて、APC校正処理を中止する。
一例として、表面ジャンプ後におけるPull In信号のレベルが所定レベル以下に低下したか否かを判別し、所定レベル以下に低下した場合にAPC校正処理を中止するようにできる。
或いは、表面ジャンプ後におけるフォーカスエラー信号FEのレベル(絶対値)が所定レベル以上となったか否かを判別し、所定レベル以上となった場合にAPC校正処理を中止するようにもできる。
なお、これらの場合には、マトリクス回路4からシステムコントローラ10に対してPull In信号、フォーカスエラー信号FEが入力されるようにしておき、システムコントローラ10が上記のそれぞれの判別を行い、その結果に応じてAPC校正処理を中止するように構成する。
或いは、上記のPull In信号、フォーカスエラー信号FEに基づく判別を行う回路を別途に設けておき、当該回路からの判別結果を表す信号によってシステムコントローラ10にAPC校正処理を中止させるように構成することもできる。
【0094】
上記のようにジャンプ後における受光信号に基づいてAPC校正処理を中止するものとすれば、ジャンプ後に万が一フォーカスサーボが外れてしまった場合におけるデータ破壊や記録容量の無駄な消費の発生を効果的に防止できる。
【0095】
またこれまでの説明では、表面ジャンプ時に与えるパルスは規格で定められた記録層〜表面間距離に応じた固定値によるものとしたが、例えばフォーカスサーボループ内の信号(フォーカスエラー信号FEやフォーカスドライブ信号)から加速度やレーザスポットの移動速度の情報を検出し、これらの情報に基づきジャンプパルスを可変調整することもできる。これにより、表面へのジャンプ動作をより安定して行うことができる。
【0096】
またこれまでの説明では、光ディスクDが記録層を1つのみ有する単層ディスクとされる場合を前提として説明を行ったが、本発明としては、記録層を2層有する2層ディスクや3層以上有する多層ディスクにも好適に適用できる。
ここで、単層ディスクの場合、2層ディスクや単層ディスクの場合と比較して、表面合焦時に得られるフォーカスエラー信号FEのレベルが記録層合焦時に得られるフォーカスエラー信号FEのレベルよりも比較的小となる。そこで、装填された光ディスクDが単層ディスクであった場合には、表面ジャンプを実行するタイミング(又はその前/後の所定のタイミング)でフォーカスエラー信号FEのゲインを上げるようにしてもよい。これにより表面ジャンプ時やその後におけるフォーカスサーボ外れの可能性を低下することができる。
【0097】
また、多層ディスクの場合、記録時におけるレーザ出力パワーのレンジが広がるので、それに応じて、APC校正処理時の発光点数を実施の形態で例示した2点発光からさらに3点発光や4点発光などに拡張することもできる。
【0098】
また、これまでの説明では、APC処理はシステムコントローラ10が実行するものとしたが、別途APC回路を設け、該APC回路がAPC処理を実行するようにもできる。
【0099】
同様にAPC校正処理についても、別途APC校正処理を実行する回路を設け、システムコントローラ10は、サーボ回路11に表面ジャンプ指示を行った後、当該回路に対してAPC校正処理を実行するように指示を行うという構成を採ることもできる。
【0100】
またこれまでの説明では、APC校正処理において、IL特性の傾きの値に応じたゲインをライトストラテジ回路5aからレーザドライバ13に出力されるレーザ駆動信号に対して与える場合を例示したが、上記ゲインは、レーザダイオード15を発光駆動するためのレーザ駆動信号成分に対して与えれば(つまりレーザ駆動電流に反映されるようにして与えられれば)よく、勿論、レーザドライバ13にて生成されるレーザ駆動電流に対して直接的に与えるようにすることもできる。
【0101】
またこれまでの説明では、本発明の記録装置がビデオカメラ装置のドライブ(記録再生部)に適用される場合を例示したが、本発明としては、ビデオカメラ装置以外の他の装置に対しても好適に適用できる。
【0102】
またこれまでの説明では、光ディスクDがBDと同様の光学条件で記録再生が行われる光ディスクである場合を例示したが、CD、DVDなどの他の光記録媒体とされる場合にも本発明は好適に適用できる。
【0103】
またこれまでの説明では、本発明の記録装置が光記録媒体についての再生機能も有する記録再生装置に適用される場合を例示したが、本発明の記録装置は上記再生機能を有さない記録専用装置にも好適に適用できる。
【符号の説明】
【0104】
D 光ディスク、1 記録再生装置、OP 光学ピックアップ、2 スピンドルモータ、3 スレッド機構、4 マトリクス回路、5 リーダ/ライタ(RW)回路、5a ライトストラテジ回路、6 変復調回路、7 ECCエンコーダ/デコーダ、8 ウォブル回路、9 アドレスデコーダ、10 システムコントローラ、10a APC/APC校正処理機能部、11 サーボ回路、12 スピンドルサーボ回路、13 レーザドライバ、100 ホストコンピュータ、15 レーザダイオード、16 フロントモニタ、17 サーミスタ、18 A/D変換器、19 D/A変換器
【技術分野】
【0001】
本発明は、光記録媒体に対する記録を行う記録装置として、特に、レーザ駆動電流対レーザ出力パワーの特性の傾きについての校正処理であるAPC(Auto Power Control)校正処理を実行する記録装置に関する。また、上記APC校正処理の具体的な実行方法としてのAPC校正方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2009−87510号公報
【背景技術】
【0003】
デジタルデータを記録・再生するための技術として、例えば、CD(Compact Disc),MD(Mini-Disc),DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)などの、光ディスク(光磁気ディスクを含む)を記録メディアに用いたデータ記録技術がある。光ディスクとは、レーザ光の照射によりその記録情報の読み取りが行われる円盤状の記録媒体を総称したものである。
【0004】
光ディスクには、例えばCD、CD−ROM、DVD−ROMなどとして知られているように再生専用タイプのものと、MD、CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAM、BD−R、BD−REなどで知られているようにユーザデータが記録可能なタイプがある。記録可能タイプのものは、光磁気記録方式、相変化記録方式、色素膜変化記録方式などが利用されることで、データが記録可能とされる。
このうち光磁気記録方式や相変化記録方式などは、データの書換が可能なリライタブル記録方式となり、これらを採用したリライタブル型の光ディスクが広く普及している。
また、色素膜変化記録方式などは、いわゆるライトワンス記録方式とも呼ばれ、データ記録が一度だけ可能とされ、データ書換は不能である。このようなライトワンス記録方式に対応した光ディスクは、ライトワンス型、或いは追記型の光ディスクと称される。
【0005】
一方で、光ディスクに対し撮像映像データの記録を行うビデオカメラ装置が普及しており、特に本出願人は、業務用(例えば放送業務など)のビデオカメラの分野においてかかるビデオカメラ装置(光ディスクドライブ装置)を提案している。
【0006】
ここで、業務用の分野で用いられる光ディスクドライブ装置としては、記録動作に関し高い信頼性が要求される。そのため民生用のドライブ装置と比較してより高精度な調整を行うようにされている。
その一例として、例えば上記特許文献1に開示されているようなAPC(Auto Power Control)校正処理を挙げることができる。
【0007】
APC校正処理は、ドライブ動作中の主に温度変化によって生じるレーザダイオードのスロープ効率(レーザ駆動電流対レーザ出力パワーの特性の傾き)の変化により生じるレーザパワー変動を抑制するために実行するものとされており、具体的には、以下で説明するような処理となる。
すなわち、基準となる時点(例えば前回のAPC校正処理の実行時点)からの温度差が所定閾値以上となったことに応じて、レーザ駆動電流対レーザ出力パワーの特性(IL特性と呼ばれる)の傾きを求めるための処理を実行する。このようなIL特性の傾きを求めるにあたり、先ずは、2つの異なる目標レーザパワーを設定し、これら目標レーザパワーに対応するそれぞれのレーザ駆動電流値を、実際にフロントモニタの出力を用いたレーザ駆動電流の調整を行った結果に基づき求める。このように2つの目標レーザパワーに対応するそれぞれのレーザ駆動電流値が求まれば、現在の温度に対応したIL特性上の2点が求まることになるので、この2点を通る直線の傾きを求めることで、IL特性の傾きが求まる。
そして、このようにIL特性の傾きを求めた上で、当該傾きの値に応じたゲインをレーザ駆動電流に与えるべきゲインとして設定する。
【0008】
ここで、このようなAPC校正処理を行う必要性について、図5〜図8を参照して説明しておく。
図5は、ライト発光波形の生成例を示している。
光ディスクドライブ装置において、ライト発光波形(記録波形)は、一般的には図のように複数のレーザパワーに対応するそれぞれのパルスの組み合わせで成るようにされている。
この図5の例では、記録波形がEraseパワーと、該Eraseパワーよりも大となるPeakパワーと、Eraseパワーよりも小となるCoolパワーのそれぞれに対応するパルスの組み合わせで成る場合を示している。
【0009】
ここで、光ディスクドライブ装置では、レーザ光の記録パワーを一定に制御するためのAPC処理を行うものがあるが、図5のように記録波形が複数のパワーに対応するパルスの組み合わせから成る場合、当該APC処理は、複数のパワーのうちの1つのパワーを対象としてのみ行われることがある。具体的に図5の例では、Eraseパワーのみを対象としてAPC処理が実行されている。
【0010】
この場合、APCによる一定制御が行われないPeakパワー、Coolパワーのそれぞれのレーザ駆動電流値(以下、I_Peak、I_Coolとおく)については、一定制御されるEraseパワーのレーザ駆動電流値(I_Eraseとする)を基準として、図のようにレーザ駆動電流値I_Coolについては「I_Erase−α」で算出し、レーザ駆動電流値I_Peakについては「β−I_Peak」により算出するようにされている。
【0011】
このようにAPCで一定制御されるEraseパワーのレーザ駆動電流値I_Eraseに基づきPeakパワーのレーザ駆動電流値I_Peak、Coolパワーのレーザ駆動電流値I_Coolを設定するようにしているので、温度変化等によりIL特性が変化しても、一定制御されないPeakパワー、Coolパワーの或る程度の追従性は得られるものとなる。
【0012】
しかしながら、上記のようにPeakパワーのレーザ駆動電流値I_PeakとCoolパワーのレーザ駆動電流値I_CoolとをEraseパワーのレーザ駆動電流値I_Eraseを基にそれぞれ固定値α、βを用いて求める手法によっては、以下で説明するようにして、IL特性の変化に伴うPeakパワー、Coolパワーの変動の発生は避けられないものとなる。
【0013】
図6は、IL特性の一例を示した図であり、図のように横軸がLD(レーザダイオード)電流(mA)、縦軸がLD出力(mW)である。
図示するようにIL特性は、温度変化によって変化する。
IL特性の変化の態様としては、スレッショルド電流(発光開始電流)の変化や、スロープ効率(η)の変化を挙げることができる。
このうちスロープ効率は、IL特性の傾きに相当するものであり、図のようにIL特性上における2点を通る直線の傾き(a/b)で求まるものである。
【0014】
図7は、スロープ効率の温度特性の一例を示したものであり、横軸が温度(℃)、縦軸がスロープ効率(η)である。
スロープ効率の温度特性はレーザダイオードの材料、設計、製造プロセス等によって一様ではなく、図のように固体ごとに異なる温度特性を示すものとなる。
【0015】
また図8は、レーザダイオードのファーフィールドパターンの温度特性の一例を示しており、横軸が放射角(°)、縦軸が相対光量である。
この図に示されるようにレーザダイオードのファーフィールドパターンの形状が温度により変化する場合がある。
レーザダイオードのファーフィールドパターンが変化すると、光学ヘッドの光路の設計によってはレーザダイオード出射パワーから対物レンズ出射パワーのカップリングが無視できない程度(例えば5%程度)変化する場合がある。
つまりこの点でも、IL特性の温度による変化を招くものとなる。
【0016】
ここで、先の図5における説明からも理解されるように、Eraseパワーについては、APCの対象とされているため、IL特性が変化したとしてもその変動が防止されるものとなる。
しかしながら、上述のように固定値α、βを用いてそのレーザ駆動電流値が算出されるPeakパワーやCoolパワーについては、IL特性の変化に伴って、次の図9に示されるような変動が生じてしまうことになる。
この図9においては、温度によりスロープ効率ηが変化した場合を例示しているが、図のようにスロープ効率ηが小である場合、Peakパワーは図中のP1、またCoolパワーはC1であるのに対し、スロープ効率ηが大である場合には、PeakパワーがP2、CoolパワーがC2となって、それぞれの場合でPeakパワーとCoolパワーとに差が生じることが分かる。
【0017】
このようにして温度変化に伴うIL特性の変化(スロープ効率の変化)が生じた場合には、APCの対象とされるEraseパワーについては一定に保たれるものの、APCの対象とされない他のPeakパワーやCoolパワーについては、変動が生じてしまうこととなる。
このようなパワー変動が生じる結果、記録品質の悪化を招く虞がある。
【0018】
そこで、先に説明したようなAPC校正処理を行うことが有効となる。
図10は、2点発光によるAPC校正処理について説明するための図である。
2点発光によるAPC校正処理では、予め2つの目標レーザパワーを定めておくことになる。図中ではこれら2つの目標レーザパワーのうちその値が小である方を「Plw」、大である方を「Phg」としている。
そして、APC校正処理では、先ずはこれら目標レーザパワーPlw、Phgのそれぞれに対応するレーザ駆動電流値Ilw、Ihgを求める。つまり、実際にレーザ駆動電流値を振ってそのときにフロントモニタで得られる受光信号に基づき検出されるレーザパワーをモニタした結果に基づき、これらレーザ駆動電流値Ilw、Ihgを求める。
【0019】
さらに、このように求めたレーザ駆動電流値Ilw、Ihgと、2つの目標レーザパワーPlw、Phgとに基づき、IL特性の傾き(スロープ効率η)を求める。具体的には、(Phg−Plw)/(Ihg−Ilw)により、IL特性の傾きの値を求める。
【0020】
その上で、上記の計算によって求めたIL特性の傾きの値に応じたゲインを、レーザ駆動電流に与えられるべきゲインとして設定する。
このようなゲインの設定を行うことで、IL特性のスロープ効率が実際に検出したスロープ効率に応じて校正されることとなり(つまりレーザ駆動電流からレーザパワーへの変換スケールの校正が行われる)、結果、APCの対象とされないPeakパワーやCoolパワーについても、温度変化に起因する変動の抑制が図られるものとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところで、上記により説明したようなAPC校正処理は、記録動作中の温度変化による記録品質の悪化の抑制を図るために行われるべきものであるので、主に記録動作中に実行されることでその効果を発揮するものである。
記録動作中におけるAPC校正処理は、処理時間の短縮化のため、例えばリードインエリア等の設けられるテストライト領域に移動して行うということはせず、現在の記録位置の近傍にて行うようにすることが望ましい。
【0022】
但しここで注意すべきは、APC校正処理は、レーザパワーを記録パワー近傍に振って行われるものであることである。
すなわち、光ディスクがリライタブル型のものであれば、APC校正処理をユーザデータエリア内で行ったとしても、未記録部分を対象として行ったのであれば後の上書きが可能となるため記録容量が無駄に消費されるということはないが、光ディスクがライトワンス型のものであった場合には、APC校正処理で使用した部分にはデータの上書きが不能であり、従って記録容量が無駄に消費されてしまうこととなる。
【0023】
このような記録容量の消費を防止するにあたっては、その都度テストライト領域に移動するということが考えられるが、これによってはAPC校正処理の度に多くの時間が費やされてしまい、その結果記録時間が大幅に拡大してしまうこととなる。
【0024】
本発明はかかる事情に鑑み為されたものであり、ライトワンス型の光記録媒体を用いた場合であっても、APC校正処理を、記録時間の拡大防止を図りつつ行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
このために本発明では、記録装置として以下のように構成することとした。
つまり、光源より出射されたレーザ光を対物レンズを介して光記録媒体に対して照射する光照射部を備える。
また、上記光源を発光駆動する発光駆動部を備える。
また、上記光源より出射された上記レーザ光を受光するフロントモニタを備える。
また、上記レーザ光の照射に応じて上記光記録媒体から得られる反射光を受光する受光部を備える。
また、上記受光部による受光信号に基づき上記対物レンズのフォーカスサーボ制御を行うフォーカスサーボ制御部を備える。
また、上記光記録媒体の記録層にフォーカスサーボがかけられている状態において、上記光記録媒体の表面に対するフォーカスジャンプ動作が行われるように上記フォーカスサーボ制御部を制御する表面ジャンプ制御手段を備える。
また、上記表面ジャンプ制御手段による制御が行われて上記表面にフォーカスサーボがかけられている状態において、APC(Auto Power Control)校正処理として、上記発光駆動部から上記光源に供給されるレーザ駆動電流の値を変化させ且つそれぞれのレーザ駆動電流値の設定下で上記フロントモニタにて得られる受光信号に基づいて検出された上記レーザ光のパワーを取得した結果に基づき、複数の目標レーザパワーの個々に対応するレーザ駆動電流値を求め、それらレーザ駆動電流値と上記複数の目標レーザパワーの値とに基づいてレーザ駆動電流対レーザ出力パワー特性の傾きを算出し、該算出した傾きの値に応じたゲインを上記光源を発光駆動するためのレーザ駆動信号成分に与えられるべきゲインとして設定する処理を行う表面APC校正手段を備えるようにした。
【0026】
上記のように本発明では、光記録媒体の記録層から表面にフォーカスジャンプを行い、当該表面にてAPC校正処理を実行するものとしている。これにより、APC校正処理に伴いレーザパワーが記録パワー近傍に振られたとしても、記録層に対する記録や消去が行われないようにすることができる。
この結果、光記録媒体がライトワンス型のものであった場合にも、表面にフォーカスジャンプをするという非常に短時間の移動を行うのみで、記録層を無駄に消費することなくAPC校正処理を実行することができる。つまりこのような本発明によれば、ライトワンス型の光記録媒体を用いる場合であっても、リードインなどへの長時間の移動はせずに記録容量の無駄な消費をしないAPC校正処理を実現することができる。
この結果本発明によれば、ライトワンス型の光記録媒体を用いる場合であっても記録時間の拡大を招くことなくAPC校正処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
上記のように本発明によれば、APC校正処理に伴いレーザパワーが記録パワー近傍に振られたとしても、記録層に対する記録や消去が行われないようにすることができ、ライトワンス型の光記録媒体に対しても、記録層を無駄に消費することなくAPC校正処理を行うことができる。
そして、このように記録層を無駄に消費することなくAPC校正処理を実現するにあたっては、光記録媒体の表面にフォーカスジャンプをするという非常に短時間の移動を行うのみでよく、従って本発明によれば、ライトワンス型の光記録媒体を用いた場合にも、記録時間の拡大を招くことなくAPC校正処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施の形態の記録装置の全体的な内部構成を示したブロック図である。
【図2】実施の形態の記録装置の内部構成のうち、APC処理、及びAPC校正処理に係る部分の構成を抽出して示した図である。
【図3】実施の形態としてのAPC校正手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
【図4】APC校正処理の具体的な処理手順を示したフローチャートである。
【図5】ライト発光波形の生成例を示した図である。
【図6】IL特性の一例を示した図である。
【図7】スロープ効率の温度特性の一例を示した図である。
【図8】レーザダイオードのファーフィールドパターンの温度特性の一例を示した図である。
【図9】IL特性の変化に伴ってPeakパワーとCoolパワーに変動が生じることについて説明するための図である。
【図10】2点発光によるAPC校正処理について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を次の順序で説明する。
<1.実施の形態の記録装置の内部構成>
<2.実施の形態としてのAPC校正手法>
<3.処理手順>
<4.変形例>
【0030】
<1.実施の形態の記録装置の内部構成>
図1は、本発明の記録装置の一実施形態としての記録再生装置1の全体的な内部構成を示したブロック図である。
なおこの図1では、記録再生装置1の全体的な内部構成と共に、当該記録再生装置1が記録再生対象とする光ディスクDも併せて示している。
【0031】
ここで、光ディスクDは、いわゆるBD(Blu-ray Disc:登録商標)と同様に、その直径が120mm程度、ディスク厚が1.2mm程度とされ、対物レンズの開口数NA=0.85程度、レーザ光の波長λ=450nm程度の条件により記録再生が行われる光ディスクとされる。
ここで光ディスクとは、光の照射により信号の記録/再生が行われる円盤状の記録媒体を総称したものである。
本実施の形態において、光ディスクDは、データ記録が1度のみ可能とされたライトワンス型(追記型)の光ディスクとされる。
【0032】
また、実施の形態の記録再生装置1は、光ディスクDに対して撮像映像データの記録を行うビデオカメラ装置の記録再生部として備えられたものであるとする。つまり、図中に示すホストコンピュータ100は、上記ビデオカメラ装置の全体制御を行う制御部として機能するものとなる。
【0033】
図1において、光ディスクDは、図示しないターンテーブル上に積載され、記録/再生動作時においてスピンドルモータ(SPM)2によって線速度一定(CLV)で回転駆動される。
そして、図中の光学ピックアップ(光学ヘッド)OPによって光ディスクD上のグルーブのウォブリングとして埋め込まれたADIP情報の読み出しが行われる。
また記録時には光学ピックアップOPによってトラックにユーザデータがマークとして記録され、再生時には光学ピックアップOPによってマークにより記録されたデータの読み出しが行われる。
【0034】
光学ピックアップOP内には、レーザ光源となるレーザダイオード(後述するレーザダイオード15)や、反射光を検出するためのフォトディテクタ、レーザ光の出力端となる対物レンズ、レーザ光を上記対物レンズを介して光ディスクDの記録面に照射し、またその反射光を上記フォトディテクタに導く光学系が形成される。
【0035】
光学ピックアップOP内において、上記対物レンズは二軸機構によってトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に保持されている。
また光学ピックアップOP全体は図中のスレッド機構3によりディスク半径方向に移動可能とされている。
また、光学ピックアップOP内にはレーザ光の球面収差を補正するための球面収差機構が備えられており、後述するサーボ回路11の制御によって球面収差補正が行われる。
【0036】
なお、光学ピックアップOP内には、後述するAPC(Auto Power Control)処理やAPC校正処理の実行にあたり必要となる構成も設けられるが、それらについては後に改めて説明する。
【0037】
光ディスクDからの反射光情報は、上記フォトディテクタによって検出され、受光光量に応じた電気信号とされてマトリクス回路4に供給される。
マトリクス回路4には、上記フォトディテクタとしての複数の受光素子からの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
例えば再生データに相当する高周波信号(再生データ信号又はRF信号)、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号などを生成する。
さらに、グルーブのウォブリングに係る信号、すなわちウォブリング(ウォブル振幅)を検出する信号としてプッシュプル信号を生成する。
【0038】
マトリクス回路4から出力される再生データ信号はリーダ/ライタ(RW)回路5へ、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号はサーボ回路11へ、プッシュプル信号はウォブル回路8へ、それぞれ供給される。
【0039】
リーダ/ライタ回路5は、再生データ信号(RF信号)についての2値化処理、PLL(Phase Locked Loop)による再生クロック生成処理等を行い、光ディスクDに記録された信号についての2値データ列を得る。2値データ列は、変復調回路6に対して供給される。
【0040】
変復調回路6は、再生時のデコーダとしての機能と、記録時のエンコーダとしての機能とが与えられたものとなる。
再生時にはデコード処理として、再生クロックに基づいてランレングスリミテッドコードの復調処理を行う。
【0041】
ECCエンコーダ/デコーダ7は、記録時にエラー訂正コードを付加するECCエンコード処理と、再生時にエラー訂正を行うECCデコード処理を行う。再生時には、変復調回路6で復調されたデータを内部メモリ(図示せず)に取り込んで、エラー検出/訂正処理及びデインターリーブ等の処理を行い、再生データを得る。
ECCエンコーダ/デコーダ7で再生データにまでデコードされたデータは、システムコントローラ10の指示に基づいて読み出され、ホストコンピュータ100に転送される。
【0042】
グルーブのウォブリングに係る信号としてマトリクス回路4から出力されるプッシュプル信号は、ウォブル回路8において処理される。ADIP情報としてのプッシュプル信号は、ウォブル回路8においてADIPアドレスを構成するデータストリームに復調されてアドレスデコーダ9に供給される。
アドレスデコーダ9は、供給されるデータについてのデコードを行ってアドレス値を得て、これをシステムコントローラ10に供給する。
またアドレスデコーダ9はウォブル回路8から供給されるウォブル信号を用いたPLL処理でクロックを生成し、例えば記録時のエンコードクロックとして各部に供給する。
【0043】
記録時には、ホストコンピュータ100から記録データが転送されてくるが、その記録データは前述したECCエンコーダ/デコーダ7におけるメモリに送られてバッファリングされる。
この場合、ECCエンコーダ/デコーダ7は、バファリングされた記録データのエンコード処理として、エラー訂正コード付加やインターリーブ、サブコード等の付加を行う。
またECCエンコードされたデータは、変復調回路6において例えばRLL(1−7)PP方式などの所定のランレングスリミテッド符号化処理(変調処理)が施され、リーダ/ライタ回路5に供給される。
記録時においてこれらのエンコード処理のための基準クロックとなるエンコードクロックは前述のウォブル信号から生成したクロックを用いる。
【0044】
エンコード処理により生成された記録データは、リーダ/ライタ回路5内のライトストラテジ回路5aに供給される。
ライトストラテジ回路5aは、設定された各種パラメータに従って、上記記録データに応じたライト発光波形(記録波形)を生成する。ライト発光波形のパラメータとしては、振幅(パワー:パルス高さ)、パルスエッジ位置などがある。
ライトストラテジ回路5aは、生成したライト発光波形に基づくレーザ駆動信号をレーザードライバ13に対して供給する。
【0045】
ここで、本例のライトストラテジ回路5aとしても、先の図5に示したようなライト発光波形を生成するようにされている。つまり、複数のレーザパワーに対応するそれぞれのパルスの組み合わせで成るライト発光波形を生成する。
具体的に、本例においてもライト発光波形としては、Eraseパワー、及びEraseパワーよりも大となるPeakパワー、及びEraseパワーよりも小となるCoolパワーのそれぞれに対応するパルスの組み合わせで成る波形を生成するようにされているものとする。
【0046】
ライトストラテジ回路5aにおいて、Eraseパワーの設定は、システムコントローラ10からの指示により行われる。すなわち、システムコントローラ10よりEraseパワーのパルス高さの指示値が与えられることで、Eraseパワーの設定(調整)が為される。
そして、ライトストラテジ回路5aは、このように設定されたEraseパワーを基準として、他のCoolパワー、Peakパワーをそれぞれ設定するように構成されている。具体的には、Eraseパワーのパルス高さの値をA_Erase、Coolパワーのパルス高さの値をA_Cool、Peakパワーのパルス高さの値をA_Peakとしたとき、Coolパワーのパルス高さA_Coolを「A_Erase−α」により、またPeakパワーのパルス高さA_Peakを「β−A_Cool」によりそれぞれ設定することで、Coolパワー、Peakパワーの設定が為されるものである。
なお、上記「α」「β」はそれぞれ予め設定された固定値である。
【0047】
レーザドライバ13は、ライトストラテジ回路5aより供給されたレーザ駆動信号に基づくレーザ駆動電流を前述した光学ピックアップOP内のレーザダイオード15に与え、レーザ発光駆動を行う。これにより光ディスクDに記録データに応じたマークが形成されることになる。
【0048】
サーボ回路11は、マトリクス回路4からのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号から、フォーカス、トラッキング、スレッドの各種サーボドライブ信号を生成しサーボ動作を実行させる。
すなわちフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号に応じてフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号を生成し、光学ピックアップOP内の二軸機構のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することになる。これによって光学ピックアップOP、マトリクス回路4、サーボ回路11、二軸機構によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
【0049】
またサーボ回路11は、システムコントローラ10からのトラックジャンプ指令に応じて、トラッキングサーボループをオフとし、ジャンプドライブ信号を出力することで、トラックジャンプ動作を実行させる。
【0050】
またサーボ回路11は、トラッキングエラー信号の低域成分として得られるスレッドエラー信号や、システムコントローラ10からのシーク動作制御などに基づいてスレッドドライブ信号を生成し、スレッド機構3を駆動する。スレッド機構3には、図示しないが、光学ピックアップOPを保持するメインシャフト、スレッドモータ、伝達ギア等による機構を有し、スレッドドライブ信号に応じてスレッドモータを駆動することで、光学ピックアップOPの所要のスライド移動が行なわれる。
【0051】
またサーボ回路11は、システムコントローラ10からの指示に応じて、フォーカスサーボループにフォーカスバイアスを与える。
またサーボ回路11は、システムコントローラ10からの指示に応じたフォーカスジャンプパルスをフォーカスサーボループ内に与えることで、フォーカスジャンプ動作(層間ジャンプ)を実現する。
またサーボ回路11は、システムコントローラ10からの指示に応じて、光学ピックアップOP内における上述した球面収差補正機構に対して球面収差補正のための駆動信号を供給する。
【0052】
スピンドルサーボ回路12はスピンドルモータ2をCLV回転させる制御を行う。スピンドルサーボ回路12は、ウォブル信号に対するPLL処理で生成されるクロックを、現在のスピンドルモータ2の回転速度情報として得て、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成する。
またデータ再生時においては、リーダ/ライタ回路5内のPLLによって生成される再生クロック(デコード処理の基準となるクロック)が、現在のスピンドルモータ2の回転速度情報となるため、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成することもできる。そしてスピンドルサーボ回路12は、スピンドルエラー信号に応じて生成したスピンドルドライブ信号を出力し、スピンドルモータ2のCLV回転を実行させる。
またスピンドルサーボ回路12は、システムコントローラ10からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータ2の起動、停止、加速、減速などの動作も実行させる。
【0053】
以上のようなサーボ系及び記録再生系の各種動作はマイクロコンピュータで構成されるシステムコントローラ10により制御される。
システムコントローラ10は、ホストコンピュータ100からのコマンドに応じて各種処理を実行する。例えばホストコンピュータ100から書込命令(ライトコマンド)が出されると、システムコントローラ10は、指示されたアドレスをターゲットアドレスとしてアクセス実行制御を行う。すなわちサーボ回路11に指令を出し、コマンドにより指定されたアドレスをターゲットとする光学ピックアップOPのアクセス動作を実行させる。また、これと共に、ECCエンコーダ/デコーダ7、変復調回路6により、ホストコンピュータ100から転送されてきたデータ(例えばMPEG2などの各種方式のビデオデータ等)について上述したようにエンコード処理を実行させる。そして、上記のようにリーダ/ライタ回路5(ライトストラテジ回路5a)からのレーザ駆動信号がレーザドライバ13に供給されることで、光ディスクDに対する記録が実行される。
【0054】
また、例えばホストコンピュータ100から光ディスクDに記録された或るデータの転送を求めるリードコマンドが供給された場合は、まず指示されたアドレスをターゲットとしてアクセス実行制御を行う。その後、その指示されたデータ区間のデータをホストコンピュータ100に転送するために必要な制御を行う。すなわち光ディスクDからの読出データについて、リーダ/ライタ回路5、変復調回路6、ECCエンコーダ/デコーダ7におけるデコード/バッファリング等を実行させ、要求されたデータを転送する。
【0055】
また、この場合のシステムコントローラ10は、APC処理、及びAPC校正処理を実行する。図中ではシステムコントローラ10によるこれらAPC処理、APC校正処理の実行機能を、APC/APC校正処理機能部10aとしてブロック化して示している。
【0056】
ここで、図2を参照して、システムコントローラ10が上記APC/APC処理機能部10aとして実行するAPC処理、及びAPC校正処理について説明する。
図2は、記録再生装置1の内部構成のうちAPC処理、及びAPC校正処理に係る部分の構成を抽出して示した図である。
【0057】
先ず、この図2においても、図1に示した光学ピックアップOP、ライトストラテジ回路5a、レーザドライバ13、及びシステムコントローラ10(APC/APC校正処理機能部10a)が示されている。
図示するように光学ピックアップOP内には、レーザダイオード15、フロントモニタ16、及びサーミスタ17が備えられている。
図1において説明したように、レーザダイオード15は、レーザドライバ13から供給されるレーザ駆動電流に基づき発光駆動される。
【0058】
またサーミスタ17は、レーザダイオード15の近傍に設けられ、当該レーザダイオード15近傍の温度を検出する。図のようにサーミスタ17による温度検出値(温度情報)は、システムコントローラ10(APC/APC校正処理機能部10a)に供給される。
【0059】
またフロントモニタ16は、レーザダイオード15より出射されたレーザ光を受光するようにして設けられ、レーザ出力パワーに応じた受光信号が得られる。フロントモニタ16による受光信号は、A/D変換器18を介しレーザ出力パワー情報としてシステムコントローラ10(APC/APC校正処理機能部10a)に供給される。
【0060】
〜APC処理〜
ここで、システムコントローラ10は、APC処理として、フロントモニタ17による受光信号に基づきA/D変換器18で検出されるレーザ出力パワーが、目標レーザパワーで一定となるようにするための処理を行う。
本例の場合もAPC処理としては、Eraseパワーを対象として行うものとされている。具体的にシステムコントローラ10は、A/D変換器18から得られるEraseパワーについてのレーザ出力パワーが、設定した目標レーザパワーで一定となるように、ライトストラテジ回路5aにて設定されるEraseパワーのパルス高さの値(振幅値)を調整する処理を行う。
【0061】
〜APC校正処理〜
また、システムコントローラ10は、上記APC処理と共に、APC校正処理も実行する。つまり、先の図10にて説明したものと同様に、IL特性(レーザ駆動電流対レーザ出力パワー特性)の傾きを求め、該傾きの値に応じたゲインをレーザ駆動信号成分に与えられるべきゲインとして設定するための処理を行うものである。
【0062】
先の図10における説明からも理解されるように、APC校正処理では、IL特性上の2点を求めるために、予め2つの目標レーザパワーが設定されることになる。この場合もこれら目標レーザパワーについては、その一方を「Plw」、他方を「Phg」とおく。これら目標レーザパワーPlw、Phgの大小関係はPlw<Phgである。
具体例として、この場合は目標レーザパワーPlw=4mW、目標レーザパワーPhg=6mWであるとする。
【0063】
APC校正処理では、先ずはこれら目標レーザパワーPlw、Phgのそれぞれに対応するレーザ駆動電流の値を求める。
ここで、これら目標レーザパワーPlw、Phgのそれぞれに対応するレーザ駆動電流の値を求めるにあたっては、実際にレーザ駆動電流の値を変化させて上記目標レーザパワーPlw、Phgが得られるときのレーザ駆動電流の値を探索することになるが、本例の場合、この際のレーザ駆動電流の調整(制御)は、システムコントローラ10が、図中のD/A変換器19に対してレーザ駆動電流指示値Isを与えることで行うようにされる。つまり、このようにD/A変換器19に対してレーザ駆動電流指示値Isを与えることで、当該レーザ駆動電流指示値Isに応じたレーザ駆動電流指示信号(指示電圧)がレーザドライバ13に対して与えられるようにし、これによりレーザダイオード15に与えられるレーザ駆動電流が上記レーザ駆動電流指示値Isに応じた値となるように制御するものである。
【0064】
システムコントローラ10は、A/D変換器18(フロントモニタ16)からのレーザ出力パワーをモニタしながら、上記D/A変換器19に与えるレーザ駆動電流指示値Isを変化させることで、レーザ出力パワーが上記目標レーザパワーPhgと一致するようにレーザ駆動電流指示値Isを調整する。このような調整を行って、上記目標レーザパワーPhgに対応するレーザ駆動電流指示値Is(以下、レーザ駆動電流指示値Ishgとおく)を求める。
さらにシステムコントローラ10は、もう一方の目標レーザパワーPlwについて、上記と同様の処理を行って当該目標レーザパワーPlwに対応するレーザ駆動電流指示値Islwを求める。
【0065】
上記の処理によりIL特性上の2点が求まる。つまり(Phg、Ishg)と(Plw、Islw)とによる2点である(図10を参照)。
このように求めたIL特性上の2点から、IL特性の傾き(スロープ効率η)を求める。具体的には(Phg−Plw)/(Ishg−Islw)を計算する。
【0066】
その上で、このように求めたIL特性の傾きの値に応じたゲインを、レーザ駆動信号成分に対して与えられるべきゲインとして設定する。具体的にこの場合は、上記IL特性の傾きの値に応じたゲインが、ライトストラテジ回路5aからレーザドライバ13に出力されるレーザ駆動信号に与えられるように、上記ゲインのライトストラテジ回路5aに対する設定を行う。
これによりライトストラテジ回路5aから出力されるレーザ駆動信号(ひいてはレーザダイオード15に与えられるレーザ駆動電流)に対して、実際に検出したIL特性の傾きに応じたゲインが与えられることとなる。これは、スロープ効率ηの校正が行われることに相当する(つまりレーザ駆動電流からレーザ出力パワーへの変換スケールの校正が行われる)。
従って、上記ゲインの設定が行われることにより、APCの対象とされないPeakパワーやCoolパワーについても、温度変化に起因した変動の抑制が図られる。
【0067】
<2.実施の形態としてのAPC校正手法>
ここで、先に述べたようにAPC校正処理は、記録動作中の温度変化に伴うPeakパワー、Coolパワーの変動を抑制して記録品質の悪化の防止を図ろうとするものであり、記録動作中において実行されることでその効果を発揮するものである。具体的にAPC校正処理は、前回のAPC校正処理実行時からの温度差が一定以上となるごとに実行するようにされている。
【0068】
但し、先の説明からも理解されるようにAPC校正処理は、レーザパワーを記録パワー近傍に振って行われるものであり、従って本例のように光ディスクDがライトワンス型である場合には、APC校正処理を実行した位置で無駄に記録容量が消費されてしまうことになる。
このとき、例えばリードインエリアなどに設けられたテストライトエリアに移動してAPC校正処理を実行すれば、ユーザデータエリアでの記録容量の消費は防止できるが、これによると記録動作の途中においてAPC校正処理の実行ごとに比較的長時間の移動が行われることになるので、記録時間の短縮化という面で非常に好ましくない結果となる。
【0069】
そこで本実施の形態では、ライトワンス型の光ディスクDを用いた場合であっても、記録時間の拡大防止を図ることのできるAPC校正手法を提案する。
【0070】
具体的に本実施の形態のAPC校正手法では、記録動作中において温度検出結果に応じて新たなAPC校正処理を実行すべき状態となったことに応じて、先ずは光ディスクDの表面にフォーカスジャンプを行う。ここで、記録中の記録層から光ディスクDの表面までの距離(つまりジャンプすべき距離)は、光ディスクDの規格から既知である。
そして、このようなジャンプ動作後、表面にフォーカスサーボがかけられた状態で、APC校正処理を実行する。
【0071】
APC校正処理が完了したことに応じては、元の記録層にフォーカスジャンプを行う。この際、上記のような表面ジャンプを伴うAPC校正処理の実行前が記録動作中(データライト中)であった場合には、元の記録層に戻った後、データライトを再開する。
【0072】
なお、APC校正処理を実行すべきとされた時点の直前の状態がデータリード中であるという場合もあり得る。その場合には、リードの完了まで待機し、リードの完了後、上記の表面ジャンプを伴うAPC校正処理を実行する。
【0073】
確認のために述べておくと、温度変化が一定以上となるごとにAPC校正を行うというルーチンは、スタートアップ時等に初回のAPC校正を実行してからホストコンピュータ100からの動作停止指示が為されるまでの間、継続して実行されるものである。
【0074】
上記により説明したような実施の形態としてのAPC校正手法によれば、APC校正処理に伴いレーザパワーが記録パワー近傍に振られたとしても、記録層に対する記録や消去が行われないようにすることができる。
この結果、光ディスクDがライトワンス型のものであった場合にも、表面にフォーカスジャンプをするという非常に短時間の移動を行うのみで、記録層を無駄に消費することなくAPC校正処理を実行することができる。つまり、このような実施の形態のAPC校正手法によれば、ライトワンス型の光ディスクDを用いる場合であってもリードインエリアなどへの長時間の移動は不要とでき、その結果、記録時間の拡大を招くことなくAPC校正処理を行うことができる。
【0075】
また、実施の形態のAPC校正手法では、記録層にフォーカスサーボがかけられた状態から表面へのフォーカスジャンプ動作を行うが、このようにすることで、例えばフォーカスサーボを一旦外した状態からジャンプ動作を行うようにした場合よりも、安定したジャンプ動作を実現できる。
また、このようにサーボ状態を維持したジャンプ動作とすることで、ジャンプ前のフォーカスサーボループ系にて得られる信号からディスクの面ぶれや反り、振動、衝撃により発生するレーザスポット(焦点)の加速度や速度情報が得られることから、これらの情報を利用してジャンプ動作の安定性をさらに高めることもできる。
【0076】
また、記録容量の消費を避ける手法としては、一旦フォーカスサーボを外し、記録層から十分にレーザスポットが離れるように対物レンズを強制的に移動させた状態でAPC校正処理を実行するという手法も考えられる。しかしながらこのような手法を採る場合には、APC校正処理後の元の記録層への復帰時にフォーカスサーボの再引き込みが必要となり、その分時間をロスすることになる。特に、振動衝撃が大きい状況では再引き込みに長時間を要する虞があり、それによる記録時間の拡大が甚大となる可能性がある。
本実施の形態のAPC校正手法では、上述のようにジャンプ時もフォーカスサーボはオンのままであるので、サーボの再引き込みは不要であり、その分、記録時間の短縮化が図られる。
【0077】
<3.処理手順>
図3のフローチャートにより、上記により説明した実施の形態としてのAPC校正手法を実現するために実行されるべき具体的な処理の手順について説明する。
なおこの図では、実施の形態としてのAPC校正手法を実現するための具体的な処理の手順を、システムコントローラ10が実行する処理の手順として示している。
システムコントローラ10は、自らが備える例えばROM等のメモリに記憶されたプログラムに従ってこの図に示す処理を実行する。
なお図示による説明は省略するが、システムコントローラ10は、少なくともライト中において、先に説明したAPC処理をこの図に示す一連の処理と並行して実行するようにされている。
【0078】
図3において、先ずステップS101では、初回APC校正処理を実行する。
このステップS101の初回APC校正処理は、スタートアップ時等、予め初回のAPC校正処理を実行すべきとして定められた所定のタイミングで実行するものである。
なお、システムコントローラ10が実行するAPC校正処理の具体的な処理の手順については図4において改めて説明する。
【0079】
ステップS101による初回APC校正処理を実行したことに応じては、ステップS102において、初回時温度取得・記憶処理を実行する。すなわち、サーミスタ17からの温度情報を取得し、これを初回時温度情報として記憶するものである。
なお、ステップS102による初回時温度の取得・記憶は、初回APC校正処理の実行前、或いは実行中においても行うことができる。
【0080】
続くステップS103では、温度取得・記憶処理を実行し、その後ステップS104において、前回処理時からの温度差が閾値を超えたか否かを判別する。すなわち、ステップS103の処理で記憶された現在の温度と、ステップS102又は過去のステップS103の処理により記憶されるに至った前回APC校正処理時の温度との温度差が、予め定められた所定の閾値を超えたか否かを判別するものである。本例の場合、上記閾値としては5℃(絶対値)に対応する値が設定されているとする。
ステップS104において、前回処理時からの温度差が閾値を超えていないとして否定結果が得られた場合は、ステップS103に戻る。つまりこれにより、前回APC校正処理時からの温度差が5℃を超えるまで、温度取得・記憶処理が繰り返し実行されることになる。
【0081】
ステップS104において、前回処理時からの温度差が閾値を超えたとして肯定結果が得られた場合は、ステップS105において、ライト中であるか否かを判別する。
ライト中でないとして否定結果が得られた場合(つまりリード中であるとされた場合)は、ステップS107に進み、リードが終了するまで待機した後、ステップS108に処理を進める。
【0082】
一方、ライト中であるとして肯定結果が得られた場合は、ステップS106に進んでライトを中断させた後、ステップS108に処理を進める。
なお確認のために述べておくと、ライトの中断/再開の単位は記録ブロックの単位(記録最小単位)に従う。つまり、例えばステップS105による肯定結果が得られたタイミングが或る記録ブロックをライト中のタイミングである場合は、当該記録ブロックについてのライトの完了を待って、ライトの中断を行うものであり、これに応じライトの再開(ステップS112)としては続きの記録ブロックについてのライトを開始するということになる。
【0083】
ステップS108では、表面にジャンプするための処理を実行する。つまり、光ディスクDの表面にフォーカスジャンプが実行されるようにサーボ回路11に指示を出す。先に述べたように記録層から表面までの距離は既知であり、システムコントローラ10は、このように既知である記録層〜表面間の距離の情報に基づき予め設定された値に基づいて、サーボ回路11がフォーカスサーボループに与えるべきジャンプパルスの大きさを指示する。
【0084】
そして続くステップS109において、APC校正処理を実行する。つまりこれにより、ディスクDの表面にフォーカスサーボがかけられた状態でAPC校正処理が実行される。
【0085】
ステップS109のAPC校正処理を実行した後は、ステップS110において、元の層へジャンプするための処理を行う。すなわち、ステップS108によるジャンプが実行される直前にフォーカスサーボがかけられていた記録層にフォーカスジャンプが行われるようにサーボ回路11に指示を出す。
【0086】
ステップS110によるジャンプ処理を実行した後は、ステップS111において、ライト中であったか否かを判別する。つまり、先のステップS105において肯定結果が得られた後の状態であるか否かを判別する。
ステップS111において、ライト中であったとして肯定結果が得られた場合は、ステップS112に進んでライト再開処理を実行した後、先のステップS103に戻る。
一方、ステップS111において、ライト中ではなかったとして否定結果が得られた場合は、そのまま先のステップS103に戻る。
【0087】
なお、図示による説明は省略するが、システムコントローラ10は、この図に示した一連の処理と並行してホストコンピュータ100からのドライブ動作停止指示が行われたか否かを判別する処理を行っており、当該動作停止指示があった場合に、この図に示す一連の処理を終了する。
この結果、図10に示す一連の処理(つまり前回のAPC校正処理時との温度差が所定の閾値を超えるごとに表面ジャンプを伴うAPC校正処理を実行するという処理)が、ドライブが動作中とされる期間において継続して行われるようになっている。
【0088】
図4は、APC校正処理の具体的な処理手順を示したフローチャートである。
先の説明からも理解されるように、この図4に示す処理は、システムコントローラ10が実行する処理となる。
【0089】
図4において、ステップS201では、第1目標レーザパワー(Phg)となるようにレーザ駆動電流指示値Isを調整する。
つまり先に述べたように、D/A変換器19に与えるレーザ駆動電流指示値Isを変化させながらA/D変換器18(フロントモニタ16)からのレーザ出力パワーをモニタし、レーザ出力パワーが上記目標レーザパワーPhgと一致するようにレーザ駆動電流指示値Isを調整する。
そして次のステップS202において、第1目標レーザパワーPhgとなったときのレーザ駆動電流指示値Is(レーザ駆動電流指示値Ishg)を記憶する。
【0090】
また続くステップS203においては、第2目標レーザパワー(Plw)となるようにレーザ駆動電流指示値Isを調整し、次のステップS204において、第2目標レーザパワーPlwとなったときのレーザ駆動電流指示値Is(レーザ駆動電流指示値Islw)を記憶する。
【0091】
ステップS204による記憶処理を実行した後は、ステップS205において、Phg、Ishg、Plw、Islwに基づき、IL特性の傾きの値を計算する。具体的には(Phg−Plw)/(Ishg−Islw)を計算する。
【0092】
その上で、ステップS206において、算出した傾きの値に応じたゲインをライトストラテジ回路5aに設定する。すなわち、上記ゲインがレーザドライバ13に出力されるレーザ駆動信号に与えられるように、ライトストラテジ回路5aに対するゲインの設定を行うものである。
【0093】
<4.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでに説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えばこれまでの説明では、表面ジャンプ後にフォーカスサーボ外れが生じないことを前提として説明を行ったが、表面におけるフォーカスサーボ外れが生じることを想定した場合には、表面へのフォーカスジャンプ後において、光ディスクDからの反射光を受光するフォトディテクタにて得られる受光信号に基づいてAPC校正処理を中止させるといったこともできる。
具体的には、表面ジャンプ後におけるPull In信号(和信号:RF信号)やフォーカスエラー信号FEをモニタし、これらに所定の変化が生じたことに応じて、APC校正処理を中止する。
一例として、表面ジャンプ後におけるPull In信号のレベルが所定レベル以下に低下したか否かを判別し、所定レベル以下に低下した場合にAPC校正処理を中止するようにできる。
或いは、表面ジャンプ後におけるフォーカスエラー信号FEのレベル(絶対値)が所定レベル以上となったか否かを判別し、所定レベル以上となった場合にAPC校正処理を中止するようにもできる。
なお、これらの場合には、マトリクス回路4からシステムコントローラ10に対してPull In信号、フォーカスエラー信号FEが入力されるようにしておき、システムコントローラ10が上記のそれぞれの判別を行い、その結果に応じてAPC校正処理を中止するように構成する。
或いは、上記のPull In信号、フォーカスエラー信号FEに基づく判別を行う回路を別途に設けておき、当該回路からの判別結果を表す信号によってシステムコントローラ10にAPC校正処理を中止させるように構成することもできる。
【0094】
上記のようにジャンプ後における受光信号に基づいてAPC校正処理を中止するものとすれば、ジャンプ後に万が一フォーカスサーボが外れてしまった場合におけるデータ破壊や記録容量の無駄な消費の発生を効果的に防止できる。
【0095】
またこれまでの説明では、表面ジャンプ時に与えるパルスは規格で定められた記録層〜表面間距離に応じた固定値によるものとしたが、例えばフォーカスサーボループ内の信号(フォーカスエラー信号FEやフォーカスドライブ信号)から加速度やレーザスポットの移動速度の情報を検出し、これらの情報に基づきジャンプパルスを可変調整することもできる。これにより、表面へのジャンプ動作をより安定して行うことができる。
【0096】
またこれまでの説明では、光ディスクDが記録層を1つのみ有する単層ディスクとされる場合を前提として説明を行ったが、本発明としては、記録層を2層有する2層ディスクや3層以上有する多層ディスクにも好適に適用できる。
ここで、単層ディスクの場合、2層ディスクや単層ディスクの場合と比較して、表面合焦時に得られるフォーカスエラー信号FEのレベルが記録層合焦時に得られるフォーカスエラー信号FEのレベルよりも比較的小となる。そこで、装填された光ディスクDが単層ディスクであった場合には、表面ジャンプを実行するタイミング(又はその前/後の所定のタイミング)でフォーカスエラー信号FEのゲインを上げるようにしてもよい。これにより表面ジャンプ時やその後におけるフォーカスサーボ外れの可能性を低下することができる。
【0097】
また、多層ディスクの場合、記録時におけるレーザ出力パワーのレンジが広がるので、それに応じて、APC校正処理時の発光点数を実施の形態で例示した2点発光からさらに3点発光や4点発光などに拡張することもできる。
【0098】
また、これまでの説明では、APC処理はシステムコントローラ10が実行するものとしたが、別途APC回路を設け、該APC回路がAPC処理を実行するようにもできる。
【0099】
同様にAPC校正処理についても、別途APC校正処理を実行する回路を設け、システムコントローラ10は、サーボ回路11に表面ジャンプ指示を行った後、当該回路に対してAPC校正処理を実行するように指示を行うという構成を採ることもできる。
【0100】
またこれまでの説明では、APC校正処理において、IL特性の傾きの値に応じたゲインをライトストラテジ回路5aからレーザドライバ13に出力されるレーザ駆動信号に対して与える場合を例示したが、上記ゲインは、レーザダイオード15を発光駆動するためのレーザ駆動信号成分に対して与えれば(つまりレーザ駆動電流に反映されるようにして与えられれば)よく、勿論、レーザドライバ13にて生成されるレーザ駆動電流に対して直接的に与えるようにすることもできる。
【0101】
またこれまでの説明では、本発明の記録装置がビデオカメラ装置のドライブ(記録再生部)に適用される場合を例示したが、本発明としては、ビデオカメラ装置以外の他の装置に対しても好適に適用できる。
【0102】
またこれまでの説明では、光ディスクDがBDと同様の光学条件で記録再生が行われる光ディスクである場合を例示したが、CD、DVDなどの他の光記録媒体とされる場合にも本発明は好適に適用できる。
【0103】
またこれまでの説明では、本発明の記録装置が光記録媒体についての再生機能も有する記録再生装置に適用される場合を例示したが、本発明の記録装置は上記再生機能を有さない記録専用装置にも好適に適用できる。
【符号の説明】
【0104】
D 光ディスク、1 記録再生装置、OP 光学ピックアップ、2 スピンドルモータ、3 スレッド機構、4 マトリクス回路、5 リーダ/ライタ(RW)回路、5a ライトストラテジ回路、6 変復調回路、7 ECCエンコーダ/デコーダ、8 ウォブル回路、9 アドレスデコーダ、10 システムコントローラ、10a APC/APC校正処理機能部、11 サーボ回路、12 スピンドルサーボ回路、13 レーザドライバ、100 ホストコンピュータ、15 レーザダイオード、16 フロントモニタ、17 サーミスタ、18 A/D変換器、19 D/A変換器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源より出射されたレーザ光を対物レンズを介して光記録媒体に対して照射する光照射部と、
上記光源を発光駆動する発光駆動部と、
上記光源より出射された上記レーザ光を受光するフロントモニタと、
上記レーザ光の照射に応じて上記光記録媒体から得られる反射光を受光する受光部と、
上記受光部による受光信号に基づき上記対物レンズのフォーカスサーボ制御を行うフォーカスサーボ制御部と
を備えると共に、
上記光記録媒体の記録層にフォーカスサーボがかけられている状態において、上記光記録媒体の表面に対するフォーカスジャンプ動作が行われるように上記フォーカスサーボ制御部を制御する表面ジャンプ制御手段と、
上記表面ジャンプ制御手段による制御が行われて上記表面にフォーカスサーボがかけられている状態において、APC(Auto Power Control)校正処理として、上記発光駆動部から上記光源に供給されるレーザ駆動電流の値を変化させ且つそれぞれのレーザ駆動電流値の設定下で上記フロントモニタにて得られる受光信号に基づいて検出された上記レーザ光のパワーを取得した結果に基づき、複数の目標レーザパワーの個々に対応するレーザ駆動電流値を求め、それらレーザ駆動電流値と上記複数の目標レーザパワーの値とに基づいてレーザ駆動電流対レーザ出力パワーの特性の傾きを算出し、該算出した傾きの値に応じたゲインを上記光源を発光駆動するためのレーザ駆動信号成分に与えられるべきゲインとして設定する処理を行う表面APC校正手段と
を備える記録装置。
【請求項2】
上記表面APC校正手段による上記APC校正処理が実行された後に、上記光記録媒体に形成される記録層にフォーカスジャンプ動作が実行されるように上記フォーカスサーボ制御部を制御する復帰ジャンプ制御手段を備える
請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
上記表面ジャンプ制御手段による制御によって上記表面へのジャンプ動作が実行された後に得られる上記受光信号に基づき、上記表面APC校正手段による上記APC校正処理を中止させるAPC校正中止手段を備える
請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
上記APC校正中止手段は、上記受光信号に基づき得られる信号のレベルに基づき、上記APC校正処理を中止させる
請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
上記APC校正中止手段は、
上記受光信号に基づき得られる和信号のレベルが所定レベル以下となった否かを判別した結果に基づいて、上記APC校正処理を中止させる
請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
上記APC校正中止手段は、
上記受光信号に基づき得られるフォーカスエラー信号の絶対値レベルが所定レベル以上となったか否かを判別した結果に基づいて、上記APC校正処理を中止させる
請求項4に記載の記録装置。
【請求項7】
上記発光駆動部は、
複数のレーザパワーに対応するそれぞれのパルスの組み合わせで成る記録波形に基づくレーザ駆動電流により上記光源を発光駆動するように構成され、
上記複数のレーザパワーのうちの所定のレーザパワーについて、そのパワーが一定となるように上記発光駆動部を制御するAPC処理を実行するAPC手段を備えると共に、
上記発光駆動部は、
上記複数のレーザパワーのうち上記APC処理により一定制御されるレーザパワー以外のレーザパワーに対応するレーザ駆動信号値を、上記APC処理により一定制御されるレーザパワーに対応するレーザ駆動信号値に基づいて設定するように構成されている
請求項1に記載の記録装置。
【請求項8】
光源より出射されたレーザ光を対物レンズを介して光記録媒体に対して照射する光照射部と、上記光源を発光駆動する発光駆動部と、上記光源より出射された上記レーザ光を受光するフロントモニタと、上記レーザ光の照射に応じて上記光記録媒体から得られる反射光を受光する受光部と、上記受光部による受光信号に基づき上記対物レンズのフォーカスサーボ制御を行うフォーカスサーボ制御部とを有する記録装置におけるAPC(Auto Power Control)校正方法であって、
上記光記録媒体の記録層にフォーカスサーボがかけられている状態において、上記光記録媒体の表面に対するフォーカスジャンプ動作が行われるように上記フォーカスサーボ制御部を制御する表面ジャンプ制御手順と、
上記表面ジャンプ制御手順による制御が行われて上記表面にフォーカスサーボがかけられている状態において、APC校正処理として、上記発光駆動部から上記光源に供給されるレーザ駆動電流の値を変化させ且つそれぞれのレーザ駆動電流値の設定下で上記フロントモニタにて得られる受光信号に基づいて検出された上記レーザ光のパワーを取得した結果に基づき、複数の目標レーザパワーの個々に対応するレーザ駆動電流値を求め、それらレーザ駆動電流値と上記複数の目標レーザパワーの値とに基づいてレーザ駆動電流対レーザ出力パワーの特性の傾きを算出し、該算出した傾きの値に応じたゲインを上記光源を発光駆動するためのレーザ駆動信号成分に与えられるべきゲインとして設定する処理を行う表面APC校正手順と
を有するAPC校正方法。
【請求項1】
光源より出射されたレーザ光を対物レンズを介して光記録媒体に対して照射する光照射部と、
上記光源を発光駆動する発光駆動部と、
上記光源より出射された上記レーザ光を受光するフロントモニタと、
上記レーザ光の照射に応じて上記光記録媒体から得られる反射光を受光する受光部と、
上記受光部による受光信号に基づき上記対物レンズのフォーカスサーボ制御を行うフォーカスサーボ制御部と
を備えると共に、
上記光記録媒体の記録層にフォーカスサーボがかけられている状態において、上記光記録媒体の表面に対するフォーカスジャンプ動作が行われるように上記フォーカスサーボ制御部を制御する表面ジャンプ制御手段と、
上記表面ジャンプ制御手段による制御が行われて上記表面にフォーカスサーボがかけられている状態において、APC(Auto Power Control)校正処理として、上記発光駆動部から上記光源に供給されるレーザ駆動電流の値を変化させ且つそれぞれのレーザ駆動電流値の設定下で上記フロントモニタにて得られる受光信号に基づいて検出された上記レーザ光のパワーを取得した結果に基づき、複数の目標レーザパワーの個々に対応するレーザ駆動電流値を求め、それらレーザ駆動電流値と上記複数の目標レーザパワーの値とに基づいてレーザ駆動電流対レーザ出力パワーの特性の傾きを算出し、該算出した傾きの値に応じたゲインを上記光源を発光駆動するためのレーザ駆動信号成分に与えられるべきゲインとして設定する処理を行う表面APC校正手段と
を備える記録装置。
【請求項2】
上記表面APC校正手段による上記APC校正処理が実行された後に、上記光記録媒体に形成される記録層にフォーカスジャンプ動作が実行されるように上記フォーカスサーボ制御部を制御する復帰ジャンプ制御手段を備える
請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
上記表面ジャンプ制御手段による制御によって上記表面へのジャンプ動作が実行された後に得られる上記受光信号に基づき、上記表面APC校正手段による上記APC校正処理を中止させるAPC校正中止手段を備える
請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
上記APC校正中止手段は、上記受光信号に基づき得られる信号のレベルに基づき、上記APC校正処理を中止させる
請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
上記APC校正中止手段は、
上記受光信号に基づき得られる和信号のレベルが所定レベル以下となった否かを判別した結果に基づいて、上記APC校正処理を中止させる
請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
上記APC校正中止手段は、
上記受光信号に基づき得られるフォーカスエラー信号の絶対値レベルが所定レベル以上となったか否かを判別した結果に基づいて、上記APC校正処理を中止させる
請求項4に記載の記録装置。
【請求項7】
上記発光駆動部は、
複数のレーザパワーに対応するそれぞれのパルスの組み合わせで成る記録波形に基づくレーザ駆動電流により上記光源を発光駆動するように構成され、
上記複数のレーザパワーのうちの所定のレーザパワーについて、そのパワーが一定となるように上記発光駆動部を制御するAPC処理を実行するAPC手段を備えると共に、
上記発光駆動部は、
上記複数のレーザパワーのうち上記APC処理により一定制御されるレーザパワー以外のレーザパワーに対応するレーザ駆動信号値を、上記APC処理により一定制御されるレーザパワーに対応するレーザ駆動信号値に基づいて設定するように構成されている
請求項1に記載の記録装置。
【請求項8】
光源より出射されたレーザ光を対物レンズを介して光記録媒体に対して照射する光照射部と、上記光源を発光駆動する発光駆動部と、上記光源より出射された上記レーザ光を受光するフロントモニタと、上記レーザ光の照射に応じて上記光記録媒体から得られる反射光を受光する受光部と、上記受光部による受光信号に基づき上記対物レンズのフォーカスサーボ制御を行うフォーカスサーボ制御部とを有する記録装置におけるAPC(Auto Power Control)校正方法であって、
上記光記録媒体の記録層にフォーカスサーボがかけられている状態において、上記光記録媒体の表面に対するフォーカスジャンプ動作が行われるように上記フォーカスサーボ制御部を制御する表面ジャンプ制御手順と、
上記表面ジャンプ制御手順による制御が行われて上記表面にフォーカスサーボがかけられている状態において、APC校正処理として、上記発光駆動部から上記光源に供給されるレーザ駆動電流の値を変化させ且つそれぞれのレーザ駆動電流値の設定下で上記フロントモニタにて得られる受光信号に基づいて検出された上記レーザ光のパワーを取得した結果に基づき、複数の目標レーザパワーの個々に対応するレーザ駆動電流値を求め、それらレーザ駆動電流値と上記複数の目標レーザパワーの値とに基づいてレーザ駆動電流対レーザ出力パワーの特性の傾きを算出し、該算出した傾きの値に応じたゲインを上記光源を発光駆動するためのレーザ駆動信号成分に与えられるべきゲインとして設定する処理を行う表面APC校正手順と
を有するAPC校正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−9088(P2012−9088A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141364(P2010−141364)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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