説明

記録装置および記録方法

【課題】簡易な構成でヘッドの吐出性能を担保可能な技術を提供する。
【解決手段】貯留タンク7には、貯留タンク7の上方空間を連通させた状態で、貯留タンク7を2つに仕切る仕切り部材70が設けられている。仕切り部材70により隔てられた空間の一方は、ヘッド61の上流側でインクを貯留して貯留されたインクをヘッド61に供給する供給側貯留部71とされる。他方は、ヘッド61から回収したインクをヘッド61の下流側で貯留する回収側貯留部72とされる。送液部9が回収側貯留部72から供給側貯留部71にインクを送液すると、供給側貯留部71のインク液面が回収側貯留部72のインク液面よりも高くなり、これによって、供給側貯留部71からヘッド61を通って回収側貯留部72に至るインクの流路が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被記録材に向けて液滴を吐出して被記録材に対する記録を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクの微小な液滴を吐出する複数の吐出口が配列されたヘッドを被記録材に対して走査させることにより、被記録材に記録を行うインクジェット方式の記録装置が知られている。
【0003】
ところで、インクジェット方式の記録装置の中には、インクを貯留するタンクとヘッドとインクを回収するタンクとの間でインクを循環させつつ、ヘッドに対するインクの供給を行うものがある(特許文献1、2参照)。このような循環系は、自己復帰機能を搭載したヘッドを使用できるという点、あるいは、白インクの沈降を防止できるという点、において有用である。
【0004】
従来のインク供給機構の一例について、図17を参照しながら説明する。従来のインク供給機構においては、インクを吐出する複数のヘッド(インクジェットヘッド)901に対してインクを供給するタンク(供給タンク)902が、複数のヘッド901の上方に配置される。供給タンク902と複数のヘッド901とは、供給ライン903を介して接続されている。これら、複数のヘッド901、供給タンク902、および、供給ライン903によりヘッドユニット900が構成されている。
【0005】
供給タンク902には負圧(メニスカス用負圧)がかけられており、この負圧によって、各ヘッド901の吐出口に適切なメニスカス圧が形成される。ただし、「メニスカス圧」とは、ヘッド901の吐出口内にインクのメニスカスが形成される際の吐出口におけるインクの圧力をいう。メニスカス圧を適切に制御することによって、ヘッド901の吐出口に適切な形状のメニスカスを形成することができる。なお、供給タンク902に負圧をかけるのではなく、供給タンク902を複数のヘッド901よりも低い位置におき、この高低差によって各ヘッド901に適切なメニスカス圧を形成するように調整する構成とされることもある。
【0006】
一方、ヘッドユニット900とは別体に、もう一つのタンク(回収タンク)904が設けられる。この回収タンク904にも負圧(循環用負圧)がかけられており、この負圧によって、各ヘッド901に供給されたインクが回収ライン905を介して回収タンク904へ導かれる(負圧循環)。なお、回収タンク904に負圧をかけるのではなく、回収タンク904をヘッド901よりも低い位置におき、この高低差によって各ヘッド901に供給されたインクを、回収ライン905を介して回収タンク904へ導く構成とされることもある(高低差循環)。各ヘッド901に流れるインクの流量は、供給タンク902と回収タンク904との間の圧力差(あるいは、高低差)、および、回収ライン905に設けたインク流量調整バルブ908によって調整される。
【0007】
一方、回収タンク904と供給タンク902とは、循環ライン906を介して互いに接続されている。循環ライン906にはポンプ907が設けられている。供給タンク902内に配置されたレベルセンサ909が、供給タンク902内のインクレベルが所定レベルを下回ったことを検知すると、このポンプ907が駆動され、回収タンク904に回収されたインクが循環ライン906を介して供給タンク902に戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−962号公報
【特許文献2】特開2009−285845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、ヘッドの吐出性能を適切に担保するためには、各ヘッドに安定して適切なメニスカス圧を形成することが重要な課題となってくる。
【0010】
従来のインク供給機構においては、ヘッドに安定したメニスカス圧を形成することが困難であった。例えば図17に例示される構成の場合、循環ライン906に設けられたポンプ907が駆動されている状態と停止している状態との間で、2個のタンク902,904のインクレベルが変動する。すなわち、供給タンク902のインクレベルは、ポンプ907が停止している状態においては徐々に低下し、ポンプ907が駆動開始されると徐々に上昇する。一方、回収タンク904のインクレベルは、ポンプ907が停止している状態においては徐々に上昇し、ポンプ907が駆動開始されると徐々に下降する。このように各タンク902,904のインクレベルが変動すると、各タンク902,904内の圧力が変動する。各ヘッド901に形成されるメニスカス圧は、2個のタンク902,904内の各圧力に影響を受けるところ、タンク902,904内の圧力が変動すると、これに応じてヘッド901のメニスカス圧も変動してしまうのである。
【0011】
そこで、従来のインク供給機構において、ヘッド901に安定したメニスカス圧を形成するためには、各タンク902,904内の圧力の変動に応答できるような高速な圧制御機構を各タンク902,904に設ける必要が出てくる。したがって、装置の製造コストが増大し、装置も大型化してしまう。
【0012】
また、各タンク902,904の高低差でヘッド901にメニスカス圧を形成する構成の場合、圧制御機構は不要となるものの、各タンク902,904内のインクレベルの変動がダイレクトにメニスカス圧に影響するため、メニスカス圧を安定させることは非常に困難となる。また、この構成においては、供給タンク902をヘッド901よりも低い位置に配置しなければならないため、各ヘッド901と供給タンク902とを結ぶ配管が長くなり、各ヘッド901への配管長を等しくすることも難しくなってくる。
【0013】
また、ヘッドの吐出性能を適切に担保するためには、インク循環が行えない、という事態が発生しないように担保しておく必要もある。インク循環が行えないと、インクが供給されないままヘッドが動作されることになり、その後のインクの吐出不良の原因となる可能性が出てくるからである。
【0014】
ところが、従来のインク供給機構においては、別体に形成された供給タンク902と回収タンク904との間でインク循環が形成されるため、一方が空になる、あるいは満杯になって、インク循環が行えない、という問題が発生する。例えば、循環ライン906に設けられたポンプ907が故障してしまうと、供給タンク902が空になり、インク循環が行えない。このような事態を回避するためには、万が一の場合でもインクがタンクから溢れないように、ある程度容量の大きなタンクを使用する必要があるため、装置の大型化が避けられない。なお、ポンプ907は、負圧環境とされる各タンク902,904間でインクを送液しなければならないので、負圧環境に耐えうるものでなければならない。この点が、製造コスト増大の要因の1つになっている。また、供給タンク902と回収タンク904との2つのタンクを使用すると、各タンクにインクを貯留しなければならない上に、各タンクを接続するラインも長くなるので、必要となるインク量が多くなるという問題もある。
【0015】
さらに、ヘッド901の吐出性能を適切に担保するためには、ヘッド901のメンテナンスも重要である。
【0016】
ところが、従来のインク供給機構においては、供給タンク902と回収タンク904とが別体に形成されているため、ヘッド901のメンテナンス作業が煩雑になってしまう。例えば、ヘッド901のメンテナンスにおいて供給タンク902だけを加圧してパージを行うと、供給タンク902と回収タンク904との間の圧力差が大きくなってしまい、インク流量が増加し、インク循環が行えない、という問題が発生する。したがって、メンテナンス作業においては、このような事態を回避するために、供給タンク902と回収タンク904との両方を加圧する、あるいは、循環を停止する、インク流量調整バルブ908を閉める、といった措置をとっておかなければならず、メンテナンス作業に手間がかかっていた。
【0017】
このように、従来の技術では、ヘッドの吐出性能を適切に担保するためには、複雑で煩雑な装置構成が必要となっていた。
【0018】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、被記録材に向けて液滴をその吐出口から吐出する吐出ヘッドに対して液体を循環供給するにあたって、簡易な構成で吐出ヘッドの吐出性能を担保可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
請求項1の発明は、被記録材に向けて液滴をその吐出口から吐出する吐出ヘッドを備える記録装置において、液体を貯留する貯留部と、前記貯留部を、互いの上方空間を連通させた状態で仕切って、前記吐出ヘッドの上流側で液体を貯留する供給部と前記吐出ヘッドの下流側で液体を貯留する回収部とに分割する仕切り部材と、前記供給部から前記吐出ヘッドに液体を導入する第1流路と、前記吐出ヘッドから前記回収部へと液体を導出する第2流路とが形成された配管部と、前記回収部から前記供給部に液体を送液して、前記仕切り部材の上端を超えて前記供給部から前記回収部に液を溢流させる送液手段と、を備え、前記仕切り部材が、循環供給時における前記貯留部の液面変動領域を水平方向について分離する仕切り壁部、を備え、前記仕切り壁部が、循環供給停止時の前記貯留部における液面レベルを基準レベルとし、前記基準レベルから任意の所定距離だけ上方の前記供給部の水平断面積と、前記基準レベルから前記所定距離だけ下方の前記回収部の水平断面積とが同一となるように、前記貯留部を仕切る。
【0020】
請求項2の発明は、請求項1に記載の記録装置であって、所定方向について配列された複数の前記吐出ヘッド、を備え、前記貯留部が、前記複数の吐出ヘッドの上方に配置されており、前記仕切り部材が、前記貯留部の前記液面変動領域の下方領域を鉛直方向について分離する仕切り底部、を備え、前記仕切り底部が、前記供給部の底面を形成し、平面視において、前記複数の吐出ヘッドのそれぞれに形成された液体の導入口の全てをカバーする形状とされる。
【0021】
請求項3の発明は、請求項2に記載の記録装置であって、前記仕切り底部が、平面視において、それぞれが、前記複数の導入口のそれぞれと同じ位置に形成された複数の開口、を備え、前記第1流路が、平面視にて同じ位置に配置されている前記開口と前記導入口とを結ぶ配管により形成される。
【0022】
請求項4の発明は、請求項1に記載の記録装置であって、所定方向について配列された複数の前記吐出ヘッド、を備え、前記貯留部が、前記複数の吐出ヘッドの上方に配置されており、前記仕切り部材が、前記貯留部の前記液面変動領域の下方領域を鉛直方向について分離する仕切り底部、を備え、前記仕切り底部が、前記回収部の底面を形成し、平面視において、前記複数の吐出ヘッドのそれぞれに形成された液体の導出口の全てをカバーする形状とされる。
【0023】
請求項5の発明は、請求項4に記載の記録装置であって、前記仕切り底部が、平面視において、それぞれが、前記複数の導出口のそれぞれと同じ位置に形成された複数の開口、を備え、前記第2流路が、平面視にて同じ位置に配置されている前記開口と前記導出口とを結ぶ配管により形成される。
【0024】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の記録装置であって、前記貯留部内の圧力を調整する圧力調整手段、を備える。
【0025】
請求項7の発明は、被記録材に向けて液滴を吐出ヘッドの吐出口から吐出させて被記録材に対する記録を行う記録方法において、a)前記吐出ヘッドの上流側で液体を貯留する供給部と、前記供給部と上方空間が連通しており、液体を前記吐出ヘッドの下流側で貯留する回収部とに、それぞれの液面レベルが互いに等しくなるように液体を貯留する工程と、b)前記回収部から前記供給部に液体を送液して前記供給部の液面レベルと前記回収部の液面レベルとの間に液面差を形成し、前記供給部から前記吐出ヘッドを通って前記回収部に至る液体の流れを形成する工程と、c)前記回収部から前記供給部への送液を続けることにより、前記連通した上方空間を介して前記供給部から前記回収部に液体を溢流させる工程と、を備え、前記a)工程、前記b)工程、および、前記c)工程において、前記供給部の液面の面積と、前記回収部の液面の面積とが常に等しい。
【発明の効果】
【0026】
請求項1に記載の発明によると、仕切り部材が、貯留部を、上方空間を連通させた状態で仕切ることにより、貯留部の内部に供給部と回収部とが形成され、送液手段が、回収部から供給部に液体を送液して、仕切り部材の上端を超えて供給部から回収部に液を溢流させる。回収部から供給部に液体が送液されることにより供給部の液面レベルと回収部の液面レベルとの間に液面差が形成されると、供給部から吐出ヘッドを通って回収部に至る液体の流れが形成される。このように、供給部の液面レベルと回収部の液面レベルとの間の液面差を利用して吐出ヘッドに向かう液体の流れを形成するので、簡易な構成で吐出ヘッドに液体を供給することができる。特に、供給部から回収部へと液体を溢流させるので、供給部の液面レベルと回収部の液面レベルとの間の液面差は一定に維持される。したがって、吐出ヘッドに供給する液体の流量を安定させることができるとともに、吐出ヘッドに適切なメニスカス圧を安定して形成することができる。また、供給部と回収部とが、互いの上方空間が連通した空間とされるので、循環の破綻が生じない。また、吐出ヘッドのメンテナンス作業も簡易に行うことができる。また、仕切り壁部が、循環供給停止時の貯留部における液面レベル(基準レベル)から任意の所定距離だけ上方の供給部の水平断面積と、基準レベルから当該所定距離だけ下方の回収部の水平断面積とが同一となるように貯留部を仕切るので、循環供給停止状態および循環供給状態を通じて、吐出ヘッドに安定して適切なメニスカスを形成することができる。このように、請求項1に記載の発明によると、簡易な構成で、吐出ヘッドの吐出性能を担保することができる。
【0027】
請求項2に記載の発明によると、供給部の底面を形成する仕切り底部が、平面視において複数の吐出ヘッドのそれぞれに形成された液体の導入口の全てをカバーする形状とされているので、複数の吐出ヘッド間で、第1流路の流路長を等しくすることができる。これによって、複数の吐出ヘッド間で、第1流路において生じる圧力損失が等しくなり、各吐出ヘッドに等しいメニスカス圧を形成することができる。
【0028】
請求項3に記載の発明によると、第1流路が、平面視にて同じ位置に配置されている開口と導入口とを結ぶ配管により形成される。この構成によると、配管を鉛直方向に沿って真っ直ぐに伸びる形状とすることができるので、第1流路における液体の圧力損失を小さく抑えることができる。
【0029】
請求項4に記載の発明によると、回収部の底面を形成する仕切り底部が、平面視において複数の吐出ヘッドのそれぞれに形成された液体の導出口の全てをカバーする形状とされているので、複数の吐出ヘッド間で、第2流路の流路長を等しくすることができる。これによって、複数の吐出ヘッド間で、第2流路において生じる圧力損失が等しくなり、各吐出ヘッドに等しいメニスカス圧を形成することができる。
【0030】
請求項5に記載の発明によると、第2流路が、平面視にて同じ位置に配置されている開口と導出口とを結ぶ配管により形成される。この構成によると、配管を鉛直方向に沿って真っ直ぐに伸びる形状とすることができるので、第2流路における液体の圧力損失を小さく抑えることができる。
【0031】
請求項6の発明によると、貯留部内の圧力を調整する圧力調整手段を備えるので、貯留部内の圧力を適切な値に保つことが可能となり、これによって、吐出ヘッドに適切なメニスカス圧を安定して形成することができる。
【0032】
請求項7に記載の発明によると、まず、供給部の液面レベルと回収部の液面レベルとが等しい状態から、供給部の液面レベルと回収部の液面レベルとの間に液面差を形成し、これによって、供給部から吐出ヘッドを通って回収部に至る液体の流れを形成する。そして、供給部から回収部へと液体を溢流させる。このように、供給部の液面レベルと回収部の液面レベルとの間の液面差を利用して吐出ヘッドに向かう液体の流れを形成するので、簡易な構成で吐出ヘッドに液体を供給することができる。また、供給部から回収部へと液体を溢流させることによって、吐出ヘッドに供給する液体の流量を安定させることができるとともに、吐出ヘッドに適切なメニスカス圧を安定して形成することができる。特に、各工程において、供給部の液面の面積と、回収部の液面の面積とが常に等しくなっているので、各工程を通じて、吐出ヘッドに適切なメニスカスを安定して形成することができる。このように、この構成によると、簡易な構成で、吐出ヘッドの吐出性能を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】記録装置の外観を示す斜視図である。
【図2】吐出部の底面図である。
【図3】ヘッドユニットの底面図である。
【図4】液体供給装置の構成を示す図である。
【図5】仕切り壁部の構成例、および、仕切り壁部により形成される各貯留部の水平断面積の分布を示す図である。
【図6】仕切り壁部の構成例、および、仕切り壁部により形成される各貯留部の水平断面積の分布を示す図である。
【図7】貯留タンクの断面図である。
【図8】貯留タンクの断面図である。
【図9】循環供給が開始されてからオーバーフロー状態に至るまでの貯留タンクの様子を示す図である。
【図10】オーバーフロー状態の貯留タンクの様子を示す図である。
【図11】ヘッドの吐出口に形成されるメニスカスの様子を示す図である。
【図12】貯留タンク内のインクレベルの推移を示す図である。
【図13】貯留タンク内のインクレベルの推移を示す図である。
【図14】変形例に係る液体供給装置の構成を示す図である。
【図15】変形例に係る液体供給装置の構成を示す図である。
【図16】変形例に係る記録装置の外観を示す斜視図である。
【図17】従来の構成を示す図である。
【図18】本願の効果を説明するための比較例に係る貯留タンクの構成図である。
【図19】本願の効果を説明するための比較例に係る貯留タンクの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<1.記録装置1>
<1−1.構成>
この発明の実施の形態に係る記録装置1の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、記録装置1の外観を示す斜視図である。
【0035】
記録装置1は、被記録材(例えばフィルム等の撥液性を有するシート状の基材10)上にインクジェット方式にてカラー印刷を行う装置であり、本体2と、本体2の各部を制御する制御部3とを備える。
【0036】
本体2は、基材10を所定の方向(Y方向)に搬送する搬送部4と、搬送部4により搬送される基材10に向けてインクの微小液滴を吐出するヘッド61(図3参照)を備える吐出部5とを備える。なお、以下において搬送部4が基材10を搬送する方向を「走査方向」という。
【0037】
<搬送部4>
搬送部4は、Y方向に沿って配列された複数のローラ41と、複数のローラ41の両端に設けられた基材保持部42とを備える。複数のローラ41の+Y側に配置された基材保持部42は、ロール状の基材10(供給ロール)を保持し、基材供給部として機能する。複数のローラ41の−Y側に配置された基材保持部42は、ロール状の基材(巻取ロール)を保持し、基材巻取部として機能する。以下において「基材10」は、搬送途上の部位(すなわち、複数のローラ41上の基材10の部位)を指すものとする。
【0038】
複数のローラ41のいずれかには、基材10の走査方向の移動速度を検出するエンコーダ43が設けられており、制御部3は、エンコーダ43からの出力に基づいて−Y側に配置された基材保持部42のモータの回転を制御する。これによって、基材10が−Y方向に一定速度で移動することになる。また、制御部3は、+Y側に配置された基材保持部42のモータの回転を制御して、基材10に+Y方向に向かう負荷を付与する。これによって、基材10が複数のローラ41上を波打つことなく滑らかに移動することになる。
【0039】
<吐出部5>
本体2は、その基台21に固設され、複数のローラ41を跨ぐようにして配置されたフレーム22を備えている。吐出部5はこのフレーム22に固定されることによって、複数のローラ41の上方(+Z側)に配置される。なお、フレーム22には、光源23が設けられている。光源23からの光は束状の光ファイバ24を介して吐出部5の内部に導入される。
【0040】
吐出部5の構成について、図1とともに図2を参照しながら説明する。図2は、吐出部5の底面図である。
【0041】
吐出部5は、吐出部本体51に固定され、Y方向に沿って配列された複数(図2では4個)のヘッドユニット6を備える。複数のヘッドユニット6のそれぞれは、互いに異なる色のインクを吐出する。具体的には、最も(+Y)側のヘッドユニット6はK(ブラック)の色のインクを吐出する。また、Kのヘッドユニット6の(−Y)側のヘッドユニット6はC(シアン)の色のインクを吐出する。また、Cのヘッドユニット6の(−Y)側のヘッドユニット6はM(マゼンタ)の色のインクを吐出する。そして、最も(−Y)側のヘッドユニット6はY(イエロー)の色のインクを吐出する。各色のインクは紫外線硬化剤を含んでおり、紫外線硬化性を有している。
【0042】
なお、吐出部5に設けられるヘッドユニット6の個数は4個に限らず、ライトシアン、ライトマゼンタ、ホワイト等の他の色用のヘッドユニットがさらに設けられてもよい。また、各ヘッドユニット6の配列の順番(すなわち、各色のインクの吐出順)も上記の順番に限らない。また、インクは、紫外線硬化剤を含まなくともよい。
【0043】
各ヘッドユニット6は、当該ヘッドユニット6が備える複数のヘッド61に対してインクを供給するための機能部(液体供給装置60)を備える。液体供給装置60については、後に説明する。
【0044】
また、吐出部5は、複数のヘッドユニット6の−Y側に設けられた光照射部52を備える。光照射部52は、光源23に接続された光ファイバ24がX方向に沿って配列されており、基材10上において、X方向に伸びる線上の領域に紫外線を照射する。
【0045】
記録装置1では、各ヘッドユニット6および光照射部52は、記録方向に垂直なX方向(幅方向)に関し、基材10上の記録領域の全体に亘って設けられている。
【0046】
<ヘッドユニット6>
図3を参照しながら、各ヘッドユニット6の概略構成について説明する。図3は、ヘッドユニット6の底面図である。
【0047】
ヘッドユニット6は、X方向(幅方向)に沿って千鳥状に配列された複数(図3の例においては6個)のヘッド61を備える。
【0048】
各ヘッド61は、基材10に向けてインクの液滴をその吐出口611から吐出する。具体的には、各ヘッド61は、例えばピエゾ駆動方式のヘッドであり、その下面(−Z側の面)には複数の吐出口611が幅方向に沿って形成されている。各吐出口611には、これに向かってそれぞれインクを導く吐出流路が設けられ、吐出流路の吐出口611近傍には圧電素子(ピエゾ素子)である駆動部が設けられる。駆動部に吐出信号が付与されると駆動部が変形し、吐出口611近傍において吐出流路の容積が(より具体的には、吐出流路の吐出口611近傍に設けられたチャンバの容積)が減少する。これにより、吐出口611近傍のインク(すなわち、吐出口611にインクを導く吐出流路のチャンバ内のインク)に圧力が加えられて吐出口611からインクの微小液滴が吐出される。そして、駆動部の形状が元に戻ることにより、吐出口611近傍において吐出流路の容積が元に戻り、吐出されたインクの微小液滴と等しい量のインクが吐出流路に供給される。
【0049】
<1−2.記録動作の概要>
記録装置1により記録が行われる際には、制御部3が搬送部4を制御することにより、基材10を記録方向(すなわち、図1中のY方向であり、各ヘッド61の複数の吐出口611の配列方向に略垂直に交差する方向)に移動させる。また、制御部3は、基材10の移動と並行して、基材10に記録される予定の画像のデータに基づいて各ヘッドユニット6の各ヘッド61の複数の駆動部を制御する。これによって、基材10が記録方向に所定距離だけ移動する毎に、吐出口611からインクの微小液滴が吐出されて基材10上に付与される。
【0050】
複数のヘッド61は、幅方向に関して記録領域の全体(具体的には、基材10の幅方向の幅の全体)にわたって配列されている。つまり、幅方向に関して記録領域の全体にわたって一定のピッチで形成された吐出口611が形成されており、基材10上において走査方向の各位置にて幅方向に一列に並ぶ複数のドットを形成することができる。したがって、基材10が吐出部5の下方を一回通過するのみで、基材10への画像の記録が完了する(所謂、ワンパス記録)。
【0051】
<2.ヘッドユニット6の機能構成>
上述したとおり、吐出部5は複数のヘッドユニット6を備え、各ヘッドユニット6は複数のヘッド61を備える。また、各ヘッドユニット6は、当該ヘッドユニット6が備える複数のヘッド61に対してインクを供給するための機能部(液体供給装置60)を備える(図1参照)。
【0052】
なお、以下においては、吐出部5が備える複数のヘッドユニット6のうち、一のヘッドユニット6が備える液体供給装置60の構成を説明するが、他のヘッドユニット6も同様の機構を備えている。
【0053】
液体供給装置60の構成について図4を参照しながら説明する。図4は、液体供給装置60の構成を示す図である。なお、図4においては、図をわかりやすくするためにヘッド61を3個しか示していないが、図3にも示されるとおり、実際のヘッドユニット6は3個以上のヘッド61を備えてもよい。
【0054】
液体供給装置60は、複数のヘッド61に対してインクを循環供給する。液体供給装置60は、貯留タンク7、配管部8、送液部9、インク補充機構10および、圧調整機構11を備える。また、これら各部を制御する制御部600を備える。
【0055】
<2−1.貯留タンク7>
貯留タンク7は、複数のヘッド61の上方近傍にてインクを貯溜する。なお、この実施の形態においては、貯留タンク7は直方体形状に形成されるものとする。
【0056】
貯留タンク7の内部には、貯留タンク7の上方空間(具体的には、貯留タンク7の気体層)を連通させた状態で、貯留タンク7を2個の空間に仕切る仕切り部材70が設けられている。
【0057】
仕切り部材70により隔てられた空間の一方は、複数のヘッド61の上流側でインクを貯留する供給タンクとして機能する(以下、この空間を「供給側貯留部71」という)。一方、他方の空間は、複数のヘッド61の下流側でインクを貯留する回収タンクとして機能する(以下、この空間を「回収側貯留部72」という)。
【0058】
また、貯留タンク7の底面もしくは側面にはヒータ(図示省略)が設置されており、貯留タンク7内に貯留されたインクを所定の温度に調整している。なお、貯留タンク7の底面と側面との両方にヒータが設置されてもよい。
【0059】
<i.仕切り部材70>
ここで、貯留タンク7が備える仕切り部材70について具体的に説明する。上述したとおり、仕切り部材70は、貯留タンク7の上方空間を連通させた状態で、貯留タンク7を2つの空間に仕切る部材であり、貯留タンク7(より具体的には、貯留タンク7の循環供給時において、そこに貯留されたインクの液面(インクレベル)が変動する領域(液面変動領域))を水平方向について分離する仕切り壁部701と、仕切り壁部701の下方において、貯留タンク7(より具体的には、貯留タンク7の液面変動領域の下方領域)を鉛直方向について分離する仕切り底部702とを備える。
【0060】
仕切り壁部701の下端は継部703と接合される。また、継部703の下端は仕切り底部702と接合される。つまり、仕切り部材70は、3個の部材(仕切り壁部701、継部703、および、仕切り底部702)が一体に接合されることにより構成されている。
【0061】
<i−i.仕切り壁部701>
仕切り壁部701は、循環供給停止時の貯留タンク7のインクレベル(以下「基準レベルH」という)から任意の距離だけ上方の供給側貯留部71の水平断面積と、基準レベルHからこれと同じ距離だけ下方の回収側貯留部72の水平断面積とが同一となるように、貯留タンク7を仕切る。ただし、任意の距離には「0(ゼロ)」が含まれる。すなわち、仕切り壁部701は、基準レベルHにおける、供給側貯留部71の水平断面積、および、回収側貯留部72の水平断面積が、互いに同一となるように、貯留タンク7を仕切る。
【0062】
仕切り壁部701の具体的な構成について、図5、図6を参照しながら説明する。図5(a)は、仕切り壁部701の構成例を示す図であり、図5(b)は図5(a)に例示される仕切り壁部701により形成される、供給側貯留部71の水平断面積の分布A71と、回収側貯留部72の水平断面積の分布A72とを示す図である。図6は、仕切り壁部701の別の構成例を示す図であり、図6(b)は図6(a)に例示される仕切り壁部701により形成される、供給側貯留部71の水平断面積の分布B71と、回収側貯留部72の水平断面積の分布B72とを示す図である。
【0063】
図5を参照する。仕切り壁部701は、例えば、図5(a)に示すように、貯留タンク7の水平断面を面積二等分する壁により形成することができる。
【0064】
この場合、図示されるように、供給側貯留部71の水平断面積と、回収側貯留部72の水平断面積とは、いずれも、基準レベルHからの距離に関係なく常に面積S0となる。例えば、基準レベルHから距離r1だけ上方の供給側貯留部71の水平断面積と、基準レベルHから距離r1だけ下方の回収側貯留部72の水平断面積とは、いずれも「S0」となる。また例えば、基準レベルHから距離r2だけ上方の供給側貯留部71の水平断面積と、基準レベルHから距離r2だけ下方の回収側貯留部72の水平断面積とは、いずれも「S0」となる。
【0065】
つまりこの場合、図5(b)に示すように、供給側貯留部71の鉛直上方向についての水平断面積の分布A71と、回収側貯留部72の鉛直下方向についての水平断面積の分布A72とは、基準レベルHに対して対称となっており、基準レベルHから任意の距離だけ上方(鉛直上方)の供給側貯留部71の水平断面積と、基準レベルHからこれと同じ距離だけ下方(鉛直下方)の回収側貯留部72の水平断面積とは常に同一となる。
【0066】
図6を参照する。仕切り壁部701は、例えば、図6(a)に示すように、基準レベルHにおける貯留タンク7の水平断面を面積二等分する直線を通る傾斜した壁により形成することができる。
【0067】
この場合、図示されるように、基準レベルHから距離r1だけ上方の供給側貯留部71の水平断面積と、基準レベルHから距離r1だけ下方の回収側貯留部72の水平断面積とは、いずれも「S1」となる。また例えば、基準レベルHから距離r2だけ上方の供給側貯留部71の水平断面積と、基準レベルHから距離r2だけ下方の回収側貯留部72の水平断面積とは、いずれも「S2」となる。
【0068】
つまりこの場合、図6(b)に示す通り、供給側貯留部71の鉛直上方向についての水平断面積の分布B71と、回収側貯留部72の鉛直下方向についての水平断面積の分布B72とは、基準レベルHに対して対称となっており、基準レベルHから任意の距離だけ上方の供給側貯留部71の水平断面積と、基準レベルHからこれと同じ距離だけ下方の回収側貯留部72の水平断面積とは常に同一となる。
【0069】
<i−ii.仕切り底部702>
仕切り底部702は、貯留タンク7の底面と並行に配置され、一方の貯留部(この実施の形態においては、供給側貯留部71)の底部を構成する(図4参照)。
【0070】
供給側貯留部71の底部の構成について、図7を参照しながらより具体的に説明する。図7は、貯留タンク7を図4の矢印K1位置からみた断面図である。なお、図7においては、複数のヘッド61、および、各ヘッド61に形成された2個の開口(ヘッド61にインクを導入するためインク導入口611、および、ヘッドからインクを導出するためのインク導出口612)が点線で示されている。
【0071】
上述したとおり、供給側貯留部71の底部は仕切り底部702により構成される。仕切り底部702は、平面視において、複数のヘッド61のそれぞれに形成されたインク導入口611の全てをカバーする形状とされる。
【0072】
また、仕切り底部702には、複数の開口711が形成される。複数の開口711のそれぞれは、平面視において、複数のヘッド61のそれぞれに形成されたインク導入口611と同じ位置に形成される。
【0073】
<ii.回収側貯留部72の底面の構成>
続いて、回収側貯留部72の底部の構成について、図8を参照しながら説明する。図8は、貯留タンク7を図4の矢印K2位置からみた断面図である。なお、図8においても、図7と同様、複数のヘッド61、および、各ヘッド61に形成された2個の開口(インク導入口611、および、インク導出口612)が点線で示されている。
【0074】
回収側貯留部72の底部は貯留タンク7の底部73により構成される。貯留タンク7の底部73は、平面視において、複数のヘッド61のそれぞれに形成されたインク導出口611の全てをカバーする形状とされる。
【0075】
また、底部73には、複数の開口721が形成される。複数の開口721のそれぞれは、平面視において、複数のヘッド61のそれぞれに形成されたインク導出口612と同じ位置に形成される。
【0076】
<2−2.配管部8>
再び図4を参照してヘッドユニット6の構成について説明を続ける。配管部8は、貯留タンク7と複数のヘッド61との間に設けられ、貯留タンク7と複数のヘッド61との間のインクの流路を形成する。
【0077】
配管部8は、供給側貯留部71の底面を構成する仕切り底部702に形成された複数の開口711のそれぞれと、当該開口711と平面視にて同じ位置に配置されているヘッド61のインク導入口611とを結ぶ導入配管81を備える。導入配管81は、供給側貯留部71に貯留されたインクをヘッド61に導く導入流路として機能する。
【0078】
また、配管部8は、回収側貯留部72の底面を構成する貯留タンク7の底部73に形成された複数の開口721のそれぞれと、当該開口721と平面視にて同じ位置に配置されているヘッド61のインク導出口612とを結ぶ導出配管82を備える。導出配管82は、インクをヘッド61から回収側貯留部72に導く導出流路として機能する。
【0079】
上述したとおり、供給側貯留部71の底面を形成する仕切り底部702が、平面視において複数のヘッド61のそれぞれに形成されたインク導入口611の全てをカバーする形状とされているので、複数のヘッド61間で、導入流路の流路長を等しくすることができる。これによって、複数のヘッド61間で、導入流路において生じる圧力損失が等しくなり、各ヘッド61に等しいメニスカス圧を形成することができる。
【0080】
また、導入流路が、平面視にて同じ位置に配置されている開口711とインク導入口611とを結ぶ配管81により形成される。この構成によると、配管81を、鉛直方向に沿って真っ直ぐに伸びる形状とすることができるので、導出流路におけるインクの圧力損失を小さく抑えることができる。インクの圧力損失が小さくなると、圧力損失の変動も小さくなり、各ヘッド61に安定したメニスカス圧を形成することができる。また、配管81を、例えばPTFE(Polytetrafluoroethylene)のような安価な硬いチューブを用いて構成することができるので製造コストも低減できる。
【0081】
同様に、回収側貯留部72の底面を形成する底部73が、平面視において複数のヘッド61のそれぞれに形成されたインク導出口612の全てをカバーする形状とされているので、複数のヘッド61間で、導出流路の流路長を等しくすることができる。これによって、複数のヘッド61間で、導出流路において生じる圧力損失が等しくなり、各ヘッド61に等しいメニスカス圧を形成することができる。
【0082】
また、導出流路が、平面視にて同じ位置に配置されている開口721とインク導出口612とを結ぶ配管82により形成される。この構成によると、配管82を、鉛直方向に沿って真っ直ぐに伸びる形状とすることができるので、導出流路におけるインクの圧力損失を小さく抑えることができる。これによって、上述したとおり、各ヘッド61に安定したメニスカス圧を形成することができる。また、上述したとおり、製造コストも低減できる。
【0083】
<2−3.送液部9>
送液部9は、回収側貯留部72から供給側貯留部71にインクを送液する。送液部9は、回収側貯留部72(のインク貯留層)と供給側貯留部71(のインク貯留層)とを接続する循環配管91と、循環配管91に設けられた循環ポンプ92およびフィルター93を備える。循環ポンプ92が駆動されると、循環配管91を通じて回収側貯留部72内のインクが供給側貯留部71に送液される。
【0084】
<2−4.インク補充機構10>
インク補充機構10は、ヘッド61からインクが吐出されることにより、貯留タンク7内に貯留されるインク量が少なくなった場合に、貯留タンク7にインクを補充する機構である。
【0085】
インク補充機構10はインクを貯留したメインタンク101を備える。メインタンク101は、ポンプ102およびバルブ103が設けられた補充ライン104を介して貯留タンク7(具体的には、供給側貯留部71(のインク層))と接続される。ポンプ102が駆動されると、メインタンク101内のインクが補充ライン104を介して貯留タンク7(具体的には、供給側貯留部71)に供給される。
【0086】
なお、補充ライン104は回収側貯留部72(のインク層))と接続されてもよい。この場合、ポンプ102が駆動されると、メインタンク101内のインクが補充ライン104を介して回収側貯留部72に供給されることになる。
【0087】
インク補充機構10は、貯留タンク7内のインク量(具体的には、供給側貯留部71内のインク量と回収側貯留部72内のインク量の総量)が所定量以下になったことを検知すると、ポンプ102を駆動するとともにバルブ103を開放して、メインタンク101内のインクを貯留タンク7に補充する。これによって、貯留タンク7内のインク量は常にほぼ一定量に保たれる。
【0088】
なお、貯留タンク7内のインク量が所定量以下になったことは、貯留タンク7内に設けられたインクレベルセンサにより検知される。
【0089】
すなわち、後述するオーバーフロー状態においては、供給側貯留部71のインクレベルは常に一定となる。したがって、インクが消費されると回収側貯留部72のインクレベルが低下する(図10参照)。このため、オーバーフロー状態においては、貯留タンク7内のインク量が所定量以下になったことは回収側貯留部72側に配置されたインクレベルセンサ7201で検知することができる。具体的には、インク補充機構10は、オーバーフロー状態において、インクレベルセンサ7201が、回収側貯留部72内のインクレベルが所定位置以下になったことを検知した場合に、貯留タンク7内のインク量が所定量以下になった(すなわち、補充を開始すべき)と判断する。
【0090】
一方、非オーバーフロー状態においては、インクが消費されると、供給側貯留部71、回収側貯留部72、どちらのインクレベルも低下する(図4、図9参照)。したがって、非オーバーフロー状態においては、貯留タンク7内のインク量が所定量以下になったことは、供給側貯留部71に配置されたインクレベルセンサ7101、あるいは、回収側貯留部72に配置されたインクレベルセンサ7201のどちら側で検知してもよい。この実施の形態においては、インク補充機構10は、非オーバーフロー状態において、インクレベルセンサ7101が供給側貯留部71内のインクレベルが所定位置以下になったことを検知した場合、あるいは、インクレベルセンサ7201が回収側貯留部72内のインクレベルが所定位置以下になったことを検知した場合に、貯留タンク7内のインク量が所定量以下になった(すなわち、補充を開始すべき)と判断する。
【0091】
また、インク補充機構10は、ポンプ102の異常などにより、貯留タンク7内に過剰にインクが供給され、貯留タンク7内のインク量が異常量に達したことを検知すると、ポンプ102を強制停止するとともに、バルブ103を閉鎖してインクの補充を強制的に停止する。これによって、貯留タンク7内からインクが溢れ出る、といった事態を回避できるように担保されている。
【0092】
なお、オーバーフロー状態、あるいは、非オーバーフロー状態のいずれにおいても、回収側貯留部72のインクレベルは供給側貯留部71のインクレベル以下となる。したがって、貯留タンク7b内の総インク量が異常量に達したとは、回収側貯留部72側で検知することができる。インク補充機構10は、回収側貯留部72に設けられたインクレベルセンサ7202が、回収側貯留部72内のインクレベルが所定位置以上になったことを検知した場合に、貯留タンク7内のインク量が異常量に達したと判断する。
【0093】
<2−5.圧調整機構11>
圧調整機構11は、貯留タンク7内(の気体)の圧力を調整する機構であり、貯留タンク7内の圧力を大気圧よりも低い所定の圧力値(目標圧力値)に保っている。
【0094】
圧調整機構11は、貯留タンク7の気体層と導通する減圧ライン111と、減圧ライン111に設けられたポンプ112とを備える。圧調整機構11は、ポンプ112を駆動することによって貯留タンク7内を減圧し、貯留タンク7内が目標圧力値まで減圧されると、ポンプ112の駆動を停止するとともに、貯留タンク7内を密閉空間とする。これによって、貯留タンク7内が目標圧力値に保たれる。
【0095】
なお、目標圧力値の具体的な値は、ヘッド61に形成すべきメニスカス圧に応じて規定される。例えば、ヘッド61に形成すべきメニスカス圧が「−10kPa」であり、ヘッド61と供給側貯留部71のインクレベルとの間の水頭差が「10kPa」相当である場合、貯留タンク7内の目標圧力は、「−20kPa」とされる。
【0096】
ヘッド61のメニスカス圧は、貯留タンク7内の圧力、供給側貯留部71のインクレベルと回収側貯留部72のインクレベルとの液面差、ヘッド61を流れるインクの流量、インクの粘度等から規定されるところ、上述したとおり、貯留タンク7内の圧力は圧調整機構11により所定の目標圧力値に保たれている。また、後述するように、オーバーフロー状態においては供給側貯留部71のインクレベルと回収側貯留部72のインクレベルとの液面差、および、ヘッド61を流れるインクの流量は一定となる。したがって、吐出口611内に適切なメニスカス圧が安定して形成されることになる。適切なメニスカス圧が安定して形成されることによってヘッド61に適切なメニスカスが形成され、これによってヘッド61の吐出性能が良好になる。
【0097】
なお、圧調整機構11を設けない場合、吐出口611内にメニスカス圧を形成するためには、貯留タンク7をそのインクレベルがヘッド61の下方に来るような位置に配置しなければならず、配管部8の配管構成が複雑になる。この実施の形態においては、圧調整機構11により貯留タンク7内を減圧するので、これをヘッド61の上方に配置することができ、配管部8の配管構成を上述したようなシンプルなものとすることができる。
【0098】
<3.循環供給の態様>
液体供給装置60がヘッド61にインクを循環供給させる態様について、図4に加え図9、図10を参照しながら説明する。図4は、循環供給停止状態の貯留タンク7の様子を示す図である。また、図9は、循環供給が開始されてからオーバーフロー状態に至るまでの貯留タンク7の様子を示す図である。また、図10はオーバーフロー状態の貯留タンク7の様子を示す図である。
【0099】
なお、以下の説明において、ヘッド61にインクを循環供給している間にヘッド61で消費された分のインクはインク補充機構10により適時補充されており、循環系内のインク総量は常に一定量に保たれているものとする。
【0100】
制御部600は、循環供給が停止されている状態においては、供給側貯留部71のインクレベルと、回収側貯留部72のインクレベルとがともに基準レベルHとなるように貯留タンク7にインクを貯留する(図4に示す状態)。
【0101】
循環供給を開始する場合、制御部600は、送液部9に、回収側貯留部72から供給側貯留部71にインクを送液させて、供給側貯留部71のインクレベルと回収側貯留部72のインクレベルとの間に液面差dを形成する。すると、液面差dに相当する圧力損失が生じるようなインクの流れがヘッド61に生じる。すなわち、液面差dに応じて、供給側貯留部71からヘッド61を通って回収側貯留部72に至るインクの流れが形成される。これにより循環供給が開始される(図9に示す状態)。
【0102】
制御部600は、送液部9への送液を持続させる(インクを送液させ続ける)。すると、液面差dは徐々に大きくなり、供給側貯留部71からヘッド61を介して回収側貯留部72へ向かうインクの流量が増えていく。なお、送液させるインク量を徐々に増加させてもよい。
【0103】
送液部9によるインクの送液量が所定量を超えると、供給側貯留部71から回収側貯留部72へ、仕切り部材70を超えて(すなわち、連通した上方空間を介して)インクが溢流(オーバーフロー)する(オーバーフロー状態)(図10に示す状態)。オーバーフロー状態においては、液面差dは一定値doとなる。すると、液面差doに相当する圧力損失が生じるようなインクの一定の流れがヘッド61に生じる。すなわち、一定の液面差doに応じて、供給側貯留部71からヘッド61を通って回収側貯留部72に至る一定量のインクの流れが形成される。これにより循環供給が定常状態となる(図10に示す状態)。つまり、貯留タンク7にオーバーフロー状態が形成されると、送液部9が回収側貯留部72から供給側貯留部71へ送液するインクの流量に関係なく、ヘッド61に一定量のインクが流れ続けることになる。
【0104】
<4.貯留部水平断面積とメニスカス圧の関係>
ところで、ヘッド61に形成されるメニスカスは、循環供給が停止されている状態(図4に示す状態)および循環供給が行われている状態(図9、図10に示す状態)を通じて、常に図11(a)に示すような形に保持されていることが望ましい。この状態であれば、循環供給停止状態においてノズル面がインクで汚れることがなく、また、インクが空気に触れて変質することも軽減できる。また、循環供給状態においてヘッド61に安定した吐出性能を実現させることができる。これが図11(b)、あるいは、図11(c)に示すような状態になってしまうと、循環供給停止状態において、前者の場合は振動などにより吐出口611からインクの液滴が漏れ落ちる可能性があり、後者の場合は吐出口611からインク内に気泡が入り込むおそれがある。また、どちらの場合も、循環供給状態において吐出不良が生じる可能性が高くなる。
【0105】
上述したとおり、仕切り壁部701は、基準レベルHから任意の距離だけ上方の供給側貯留部71の水平断面積と、基準レベルHからこれと同じ距離だけ下方の回収側貯留部72の水平断面積とが同一となるように、貯留タンク7を仕切る。この構成によると循環供給停止状態および循環供給状態を通じて、ヘッド61に図11(a)に示されるような適切なメニスカスを安定して形成することができる。
【0106】
その理由について、図12、図13を参照しながら説明する。図12は、図5に例示する仕切り部材70を備える貯留タンク7内のインクレベルの推移を示す図である。図13は、図6に例示する仕切り部材70を備える貯留タンク7内のインクレベルの推移を示す図である。
【0107】
上述したとおり、循環供給停止状態においては、図12(a)、図13(a)に示すように、供給側貯留部71のインクレベルと回収側貯留部72のインクレベルとが等しく基準レベルHにある。この状態においては、ヘッド61に対してインクを導入しようとする力と、ヘッド61からインクを導出しようとする力とが等しくなっている。上述したとおり、貯留タンク7内の圧力は圧調整機構11によってヘッド61に適切なメニスカス圧が形成されるように調整されているので、循環供給停止状態においては図11(a)に示されるような適切なメニスカス圧を形成することができる。
【0108】
続いて循環供給状態が開始されると、図12(b)、図13(b)に示すように、供給側貯留部71のインクレベルが上昇する。すると、インクレベルの基準レベルHからの上昇分だけ、ヘッド61に対してインクを導入しようとする力が循環供給停止状態に比べて強くなる。一方、供給側貯留部71のインクレベが上昇すると、回収側貯留部72のインクレベルは下降する。すると、インクレベルの基準レベルHからの下降分だけ、ヘッド61からインクを導出しようとする力も循環供給停止状態に比べて強くなる。
【0109】
ここで、仕切り壁部701は、基準レベルHから任意の距離だけ上方の供給側貯留部71の水平断面積と、基準レベルHからこれと同じ距離だけ下方の回収側貯留部72の水平断面積とが同一となるように、貯留タンク7を仕切る。したがって、図12(b)、図13(b)に示すように、供給側貯留部71のインクレベルが基準レベルHから任意の幅(例えば、幅r)だけ上昇すると、回収側貯留部72のインクレベルがこれと同じ幅rだけ下降する。すなわち、液面差dが増加する過程において、ヘッド61に対してインクを導入しようとする力の循環供給停止状態からの増加分と、ヘッド61からインクを導出しようとする力の循環供給停止状態からの増加分とが、常に等しくなっている。したがって、ヘッド61に対してインクを導入しようとする力と、ヘッド61からインクを導出しようとする力とは、循環供給状態が開始されてからも、依然等しいままとなる。このため、循環供給状態が開始されてからも、図11(a)に示されるような適切なメニスカス圧を維持することができる。
【0110】
この事情は液面差dが一定値doに安定するオーバーフロー状態が形成された状態においても同様である(図12(c)、図13(c))。
【0111】
このように、上記の構成によると、循環供給停止状態および循環供給状態を通じて、ヘッド61に図11(a)に示されるような適切なメニスカスを形成することができる。
【0112】
なお、仕切り部材70が、基準レベルHから任意の距離だけ上方の供給側貯留部71の水平断面積と、基準レベルHからこれと同じ距離だけ下方の回収側貯留部72の水平断面積とが同一となるように貯留タンク7を仕切っていない場合、上記の効果は得られない。
【0113】
例えば、図18に示すような仕切り部材94により仕切られた貯留タンク91の場合、供給側貯留部92のインクレベルが基準レベルHから任意の幅(例えば、幅r)だけ上昇しても、回収側貯留部93のインクレベルがこれよりも小さい幅r’(<r)しか下降しない。すなわち、液面差が増加する過程において、ヘッド61に対してインクを導入しようとする力の循環供給停止状態からの増加分の方が、ヘッド61からインクを導出しようとする力の循環供給停止状態からの増加分よりも大きくなっている。したがって、ヘッド61に対してインクを導入しようとする力の方が、ヘッド61からインクを導出しようとする力よりも大きくなる。すると、ヘッド61吐出口611付近におけるインクが加圧気味になり、メニスカスは図11(b)に示されるような状態になってしまう。すなわち、循環供給停止状態において形成されていた適切なメニスカス圧を循環供給状態においてそのまま維持することができない。
【0114】
また例えば、図19に示すような仕切り部材98により仕切られた貯留タンク95の場合、供給側貯留部96のインクレベルが基準レベルHから任意の幅(例えば、幅r)しか上昇していないのに、回収側貯留部97のインクレベルがこれよりも大きい幅r”(>r)下降してしまう。すなわち、液面差が増加する過程において、ヘッド61に対してインクを導入しようとする力の循環供給停止状態からの増加分の方が、ヘッド61からインクを導出しようとする力の循環供給停止状態からの増加分よりも小さくなっている。したがって、ヘッド61に対してインクを導出しようとする力の方が、ヘッド61からインクを導入しようとする力よりも大きくなる。すると、ヘッド61吐出口611付近におけるインクが負圧気味になり、メニスカスは図11(c)に示されるような状態になってしまう。すなわち、循環供給停止状態において形成されていた適切なメニスカス圧を循環供給状態においてそのまま維持することができない。
【0115】
<5.効果>
上記の実施の形態によると、簡易な構成で吐出ヘッドの吐出性能を担保可能にすることができる。
【0116】
すなわち、上記の実施の形態によると、供給側貯留部71のインクレベルと回収側貯留部72のインクレベルとの液面差dを利用してヘッド61に向かうインクの流れを形成するので、簡易な構成でヘッド61にインクを供給することができる。すなわち、循環用の負圧や、循環用の高低差を設ける必要がないため、製造コストの低減、装置サイズのコンパクト化が実現できる。
【0117】
また、オーバーフロー状態においては、送液部9の循環ポンプ92を駆動させ続けても、液面差dは一定値doのまま維持される。したがって、ヘッド61に供給するインクの流量を安定させることができるとともに、ヘッド61に適切なメニスカス圧を安定して形成することができる。
【0118】
また、供給側貯留部71と回収側貯留部72とが、互いの上方空間が連通した空間とされるので、一方の貯留部が満杯、あるいは、空になってインク循環が行えない、といった事態が生じない。また、ヘッド61のメンテナンス作業も簡易に行うことができる。すなわち、貯留タンク7を加圧してパージを行えば、供給側貯留部71と回収側貯留部72とが同時に同じだけ加圧されるので、インク流量が増加してインク循環が破綻する危険がないため、ヘッド61のメンテナンス作業において、循環を停止する、といった措置をとる必要がない。
【0119】
また、仕切り壁部701が、基準レベルHから任意の距離だけ上方の供給側貯留部71の水平断面積と、基準レベルHからこれと同じ距離だけ下方の回収側貯留部72の水平断面積とが同一となるように、貯留タンク7を仕切るので、循環供給停止状態および循環供給状態を通じて、ヘッド61に適切なメニスカスを形成することができる。
【0120】
<6.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0121】
例えば、上記の実施の形態においては、供給側貯留部71の底部が仕切り底部702により構成されるものとしたが、図14に示すように、回収側貯留部72の底部が仕切り底部702aにより構成されてもよい。この場合、仕切り底部702aは、平面視において、複数のヘッド61のそれぞれに形成されたインク導出口612の全てをカバーする形状とされる。そして、仕切り底部702aに形成される複数の開口721aのそれぞれは、平面視において、複数のヘッド61のそれぞれに形成されたインク導出口612と同じ位置に形成される。
【0122】
なお、この場合、供給側貯留部71の底部は貯留タンク7の底部73aにより構成される。貯留タンク7の底部73aは、平面視において、複数のヘッド61のそれぞれに形成されたインク導入口611の全てをカバーする形状とされる。そして、底面部73aに形成される複数の開口711aのそれぞれは、平面視において、複数のヘッド61のそれぞれに形成されたインク導入口611と同じ位置に形成される。
【0123】
また例えば、上記の実施の形態においては、貯留タンク7は直方体形状としたが、貯留タンク7の形状はこれに限らない。本願発明は、供給側貯留部71と回収側貯留部72との間の液面差を利用して循環供給を形成する構成であるため、貯留タンク7の形状は、液面変動領域の断面面積ができるだけ小さい方が好ましい。そこで、例えば図15に示すように、貯留タンク7bを、液面変動領域の断面面積がその下方の領域の断面面積よりも小さくなるような形状とすると、少ないインク量で十分な液面差を形成することが可能となる。他に、円錐形状、多角錐形状も貯留タンクの形状として採用し得る。
【0124】
また例えば、上記の各実施の形態においては、記録装置1は、基材10を走査方向に移動する搬送部47により、複数の吐出口の配列方向に交差する走査方向に基材10が吐出部5に対して一定速度にて移動する構成としたが、基材10を吐出部5に対して相対的に走査方向に移動する走査機構は様々な構成にて実現可能である。例えば、吐出部を走査方向に移動する機構が設けられてもよい。また、図16に示す記録装置1c(枚葉式の記録装置)のように、矩形の基材10を保持するステージ201、および、ステージ201を走査方向(図16中のY方向)に移動するステージ移動機構202が設けられてもよい。なお、図16の記録装置1cでは、基台200上に設けられる位置検出モジュール203により、基台200に対するステージ201の位置が検出可能となっている。
【0125】
また、記録装置1における被記録材は、シート状の基材10以外に、プラスチックにて形成される板状の部材や印刷用紙等であってもよい。
【符号の説明】
【0126】
1 記録装置
5 吐出部
6 ヘッドユニット
7 貯留タンク
8 配管部
9 送液部
10 インク補充機構
11 圧調整機構
60 液体供給装置
70 仕切り部材
71 供給側貯留部
72 回収側貯留部
701 仕切り壁部
702 仕切り底部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録材に向けて液滴をその吐出口から吐出する吐出ヘッドを備える記録装置において、
液体を貯留する貯留部と、
前記貯留部を、互いの上方空間を連通させた状態で仕切って、前記吐出ヘッドの上流側で液体を貯留する供給部と前記吐出ヘッドの下流側で液体を貯留する回収部とに分割する仕切り部材と、
前記供給部から前記吐出ヘッドに液体を導入する第1流路と、前記吐出ヘッドから前記回収部へと液体を導出する第2流路とが形成された配管部と、
前記回収部から前記供給部に液体を送液して、前記仕切り部材の上端を超えて前記供給部から前記回収部に液を溢流させる送液手段と、
を備え、
前記仕切り部材が、
循環供給時における前記貯留部の液面変動領域を水平方向について分離する仕切り壁部、
を備え、
前記仕切り壁部が、
循環供給停止時の前記貯留部における液面レベルを基準レベルとし、前記基準レベルから任意の所定距離だけ上方の前記供給部の水平断面積と、前記基準レベルから前記所定距離だけ下方の前記回収部の水平断面積とが同一となるように、前記貯留部を仕切る記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置であって、
所定方向について配列された複数の前記吐出ヘッド、
を備え、
前記貯留部が、
前記複数の吐出ヘッドの上方に配置されており、
前記仕切り部材が、
前記貯留部の前記液面変動領域の下方領域を鉛直方向について分離する仕切り底部、
を備え、
前記仕切り底部が、前記供給部の底面を形成し、平面視において、前記複数の吐出ヘッドのそれぞれに形成された液体の導入口の全てをカバーする形状とされる記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録装置であって、
前記仕切り底部が、平面視において、それぞれが、前記複数の導入口のそれぞれと同じ位置に形成された複数の開口、
を備え、
前記第1流路が、平面視にて同じ位置に配置されている前記開口と前記導入口とを結ぶ配管により形成される記録装置。
【請求項4】
請求項1に記載の記録装置であって、
所定方向について配列された複数の前記吐出ヘッド、
を備え、
前記貯留部が、
前記複数の吐出ヘッドの上方に配置されており、
前記仕切り部材が、
前記貯留部の前記液面変動領域の下方領域を鉛直方向について分離する仕切り底部、
を備え、
前記仕切り底部が、前記回収部の底面を形成し、平面視において、前記複数の吐出ヘッドのそれぞれに形成された液体の導出口の全てをカバーする形状とされる記録装置。
【請求項5】
請求項4に記載の記録装置であって、
前記仕切り底部が、平面視において、それぞれが、前記複数の導出口のそれぞれと同じ位置に形成された複数の開口、
を備え、
前記第2流路が、平面視にて同じ位置に配置されている前記開口と前記導出口とを結ぶ配管により形成される記録装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の記録装置であって、
前記貯留部内の圧力を調整する圧力調整手段、
を備える記録装置。
【請求項7】
被記録材に向けて液滴を吐出ヘッドの吐出口から吐出させて被記録材に対する記録を行う記録方法において、
a)前記吐出ヘッドの上流側で液体を貯留する供給部と、前記供給部と上方空間が連通しており、液体を前記吐出ヘッドの下流側で貯留する回収部とに、それぞれの液面レベルが互いに等しくなるように液体を貯留する工程と、
b)前記回収部から前記供給部に液体を送液して前記供給部の液面レベルと前記回収部の液面レベルとの間に液面差を形成し、前記供給部から前記吐出ヘッドを通って前記回収部に至る液体の流れを形成する工程と、
c)前記回収部から前記供給部への送液を続けることにより、前記連通した上方空間を介して前記供給部から前記回収部に液体を溢流させる工程と、
を備え、
前記a)工程、前記b)工程、および、前記c)工程において、前記供給部の液面の面積と、前記回収部の液面の面積とが常に等しい記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−201176(P2011−201176A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71373(P2010−71373)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】