説明

記録装置及び方法、記録再生装置及び方法、並びにコンピュータプログラム

【課題】 ユーザの利便性を確保しつつも、不正なプログラムの動作によるファイルの喪失を好適に防止する。
【解決手段】 記録装置(200)は、バックアップ用途であるか否かを示すバックアップフラグが記録されている記録媒体(100)にデータを記録する記録装置であって、汎用ファイルシステム及びバックアップアプリケーションの少なくとも一方からの命令に基づいて、記録媒体にデータを記録する記録手段(352)と、バックアップフラグを取得する取得手段と(353)、取得されたバックアップフラグにより記録媒体がバックアップ用途であることが示されている場合に、汎用ファイルシステムからの命令に基づいてデータの記録が行なわれないように記録手段を制御する第1制御手段(359)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばDVDレコーダ等の記録装置及び方法、記録再生装置及び方法、並びにコンピュータをこのような記録装置及び記録再生装置として機能させるコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なパーソナルコンピュータ(以下、適宜“PC”と称する)等においては、その記録媒体としてハードディスクを用いている。また、外付けの又は内蔵のディスクドライブを搭載することで、例えばDVD等の光ディスクを記録媒体として用いることもできる。通常、これらのハードディスクや光ディスクは、PC等に備えられている汎用のファイルシステムによって、共通の仕様に基づきファイルの記録や読取や再生等が可能となっている。
【0003】
他方で、各種ファイルをバックアップするために、このような光ディスク等がしばし用いられる。大容量の光ディスク等は、PC等が備えるハードディスク等の記録媒体に記録されているデータ全体をそのままバックアップすることもできるため、バックアップ用途に利用しやすいという利点を有している。更には単なるコピーとしてのバックアップのみならず、バックアップ元の記録媒体に記録されているファイルの名称及び記録日時とバックアップ先の記録媒体に記録されているファイルの名称及び記録日時を比較することで、更新されたファイル及び新たに記録されたファイルを選択的にバックアップする技術も開発されている。このような光ディスクへのファイルのバックアップが行なわれるのは、光ディスクもハードディスクと同様の操作によって、ファイルの記録や読取や再生が可能となっていることが大きな要因となっている。
【0004】
そして、例えばハードディスクに記録されているファイルがユーザの誤操作や或いは例えばコンピュータウイルス等の不正なプログラムの動作により喪失してしまった場合、光ディスクに記録されているバックアップ用のファイルが再度ハードディスク上に記録される。従って、ファイルのバックアップを行なうことで、ファイル喪失等のアクシデントに好適に対応することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コンピュータウイルス等の不正なプログラムの動作によりファイルが喪失してしまった場合には、該不正なプログラムが除却されていなければ、バックアップ用の光ディスクが記録再生装置にローディングされた時点で、当該不正なプログラムの動作によりバックアップ用のファイルまで喪失してしまうおそれがある。
【0006】
このため、光ディスクを通常のハードディスクと同様に扱うことなく、特殊な或いは専用のプログラムの動作によらなければ記録や読取や再生を行うことができないようにすれば、このような不都合は解消されるとも考えられる。しかしながら、これでは汎用のファイルシステムを用いた光ディスクへのファイルの記録や読取や再生を行うことができなくなり、ユーザの利便性が大幅に低下してしまうという問題点を有している。
【0007】
また、光ディスク上に記録されたファイルに対して、いわゆるライトプロテクト属性(即ち、リードオンリー属性)を付与することも考えられる。しかしながら、係るライトプロテクト属性は通常汎用のファイルシステムによって管理されているため、コンピュータウイルス等の不正なプログラムがファイルシステムに感染すれば、係る属性にかかわらず光ディスクへのファイルの記録等が行われ得るという問題点を有している。
【0008】
本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、例えばユーザの利便性を確保しつつも、不正なプログラムの動作によるファイルの喪失を好適に防止することが可能な記録装置及び方法、記録再生装置及び方法、並びにコンピュータをこのような記録装置や記録再生装置として機能させるコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の記録装置は、バックアップ用途であるか否かを示すバックアップフラグが記録されている記録媒体にデータを記録する記録装置であって、汎用ファイルシステム及びバックアップアプリケーションの少なくとも一方からの命令に基づいて、前記記録媒体にデータを記録する記録手段と、前記バックアップフラグを取得する取得手段と、前記取得されたバックアップフラグにより前記記録媒体がバックアップ用途であることが示されている場合に、前記汎用ファイルシステムからの命令に基づいて前記データの記録が行なわれないように前記記録手段を制御する第1制御手段とを備える。
【0010】
上記課題を解決するために、請求項6に記載の記録方法は、汎用ファイルシステム及びバックアップアプリケーションの少なくとも一方からの命令に基づいて、バックアップ用途であるか否かを示すバックアップフラグが記録されている記録媒体にデータを記録する記録手段を備える記録装置における記録方法であって、前記バックアップフラグを取得する取得工程と、前記取得されたバックアップフラグにより前記記録媒体がバックアップ用途であることが示されている場合に、前記汎用ファイルシステムからの命令に基づいて前記データの記録が行なわれないように前記記録手段を制御する第1制御工程とを備える。
【0011】
上記課題を解決するために、請求項7に記載の記録再生装置は、バックアップ用途であるか否かを示すバックアップフラグが記録されている記録媒体にデータを記録する記録装置であって、汎用ファイルシステム及びバックアップアプリケーションの少なくとも一方からの命令に基づいて、前記記録媒体にデータを記録する記録手段と、前記バックアップフラグを取得する取得手段と、前記取得されたバックアップフラグにより前記記録媒体がバックアップ用途であることが示されている場合に、前記汎用ファイルシステムからの命令に基づいて前記データの記録が行なわれないように前記記録手段を制御する第1制御手段と、前記汎用ファイルシステムからの命令に基づいて、前記記録媒体に記録された前記データを読み取る読取手段とを備える。
【0012】
上記課題を解決するために、請求項8に記載の記録再生方法は、汎用ファイルシステム及びバックアップアプリケーションの少なくとも一方からの命令に基づいて、バックアップ用途であるか否かを示すバックアップフラグが記録されている記録媒体にデータを記録する記録手段を備える記録装置における記録再生方法であって、前記バックアップフラグを取得する取得工程と、前記取得されたバックアップフラグにより前記記録媒体がバックアップ用途であることが示されている場合に、前記汎用ファイルシステムからの命令に基づいて前記データの記録が行なわれないように前記記録手段を制御する第1制御工程と、前記汎用ファイルシステムからの命令に基づいて、前記記録媒体に記録された前記データを読み取る読取工程とを備える。
【0013】
上記課題を解決するために、請求項9に記載のコンピュータプログラムは、請求項1から5のいずれか一項に記載の記録装置に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記記録手段、前記取得手段及び前記第1制御手段のうち少なくとも一部として機能させる。
【0014】
上記課題を解決するために、請求項10に記載のコンピュータプログラムは、請求項7に記載の記録再生装置に備えられたコンピュータを制御する記録再生制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記記録手段、前記取得手段、前記第1制御手段及び前記読取手段のうち少なくとも一部として機能させる。
【0015】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、発明を実施するための最良の形態としての本発明の実施形態に係る記録装置及び方法、記録再生装置及び方法、並びにコンピュータプログラムについて順に説明する。
【0017】
本発明の記録装置に係る実施形態は、バックアップ用途であるか否かを示すバックアップフラグが記録されている記録媒体にデータを記録する記録装置であって、汎用ファイルシステム及びバックアップアプリケーションの少なくとも一方からの命令に基づいて、前記記録媒体にデータを記録する記録手段と、前記バックアップフラグを取得する取得手段と、前記取得されたバックアップフラグにより前記記録媒体がバックアップ用途であることが示されている場合に、前記汎用ファイルシステムからの命令に基づいて前記データの記録が行なわれないように前記記録手段を制御する第1制御手段とを備える。
【0018】
本発明の記録装置に係る実施形態によれば、記録手段の動作により、データを記録媒体へ記録することが可能となる。特に、バックアップアプリケーションの命令に基づいて、一の記録媒体(例えば、後述のハードディスク)に記録されているデータを他の記録媒体(例えば、後述の光ディスク)へバックアップすることが可能となる。尚、ここでの「バックアップ」とは、一の記録媒体に記録されているデータを他の記録媒体へ記録する動作全般を示すものであり、いわば「コピー」をも含む広い趣旨である。係るデータの記録動作は、汎用のファイルシステムからの命令に基づいて実行され、またバックアップを実行するためのバックアップアプリケーションからの命令に基づいても実行される。
【0019】
本実施形態では特に、記録媒体にはバックアップフラグが記録されている。バックアップフラグは、当該記録媒体が、バックアップ用に用いられるか否か(即ち、バックアップ用途であるか否か)を示している。そして、このバックアップフラグが取得手段の動作によって取得されることで、記録装置にローディングされている記録媒体がバックアップ用に用いられているか、又はバックアップ用ではなく通常のデータの記録用に用いられているかを判定することができる。
【0020】
そして、記録媒体がバックアップ用に用いられている場合には、第1制御手段の動作により、ファイルシステム(具体的には、ファイルシステム単独)からの命令に基づく記録媒体(即ち、上述の他の記録媒体)へのデータの記録が行なわれない(即ち、禁止される)ように記録手段が制御される。他方、記録媒体がバックアップ用に用いられていない場合(即ち、通常のデータの記録用に用いられている場合)には、ファイルシステムからの命令に基づく記録媒体へのデータの記録が行われてもよい。
【0021】
通常、バックアップ用の他の記録媒体が記録装置にローディングされるのは、例えば一の記録媒体に記録されているオリジナルのデータが喪失してしまった場合が一例として考えられる。このデータの喪失は、例えばユーザの誤操作やウイルスプログラム等の不正なプログラムの動作による。このとき、不正なプログラムの動作によりデータが喪失している場合には、該不正なプログラムが除却されていなければ、バックアップ用の記録媒体が記録装置にローディングされた時点で、バックアップ用のデータまで喪失してしまうおそれがある。しかるに本実施形態に係る記録装置によれば、第1制御手段の動作により、ファイルシステムの命令に基づくデータの記録が行なわれないため、このようなデータの喪失という不都合は生じない。即ち、不正なプログラムの動作によるデータの喪失を好適に防止することができる。
【0022】
加えて、第1制御手段の動作により行なわれない(禁止されている)のは、データの記録であるため、データの参照や読取等を行なうことはできる。従って、オリジナルのデータが喪失してしまった場合には、バックアップ用の記録媒体から喪失してしまったデータを読み取ることで、オリジナルのデータの復旧が可能となる。即ち、バックアップ用の記録媒体の本来の目的としては、ユーザにとって何ら悪影響を及ぼすことはない。
【0023】
以上の結果、本実施形態に係る記録装置によれば、ユーザの利便性を確保しつつも、不正なプログラムの動作によるファイルの喪失を好適に防止することが可能となる。
【0024】
本発明の記録装置に係る実施形態の一の態様は、前記バックアップフラグにより前記記録媒体がバックアップ用途であることが示されている場合に、前記バックアップアプリケーションからの命令に基づいて前記データの記録を行なうように前記記録手段を制御する第2制御手段を更に備える。
【0025】
この態様によれば、バックアップアプリケーションからの命令に基づけば、記録媒体へデータの記録を行なうことが可能となる。従って、バックアップ用途の記録媒体へデータをバックアップする場合には、特段の不都合が生ずることはない。即ち、第2制御手段の動作により、例えば一の記録媒体に記録されているオリジナルのデータを、他の記録媒体へ好適にバックアップすることが可能となる。
【0026】
上述の如く第2制御手段を備える記録装置の態様では、前記バックアップアプリケーションが前記汎用ファイルシステムに前記データを記録する命令を出力することで、前記第2制御手段は、前記バックアップアプリケーションからの命令に基づいて前記データの記録を行なうように前記記録手段を制御するように構成してもよい。
【0027】
このように構成すれば、バックアップアプリケーションの命令に基づくデータの記録といえども、汎用のファイルシステムの動作として行なわれるため、特殊な態様の記録動作を実行する必要はない。従って、記録媒体への記録動作の互換性という点で優れている。
【0028】
本発明の記録装置に係る実施形態の他の態様は、前記バックアップアプリケーションからの命令に基づいて、前記バックアップフラグを書き換えるように前記記録手段を制御する第3制御手段を更に備える。
【0029】
この態様によれば、第3制御手段の動作により、新たにバックアップ用の記録媒体を比較的容易に生成することができる。
【0030】
本発明の記録装置に係る実施形態の他の態様は、前記汎用ファイルシステムからの命令に基づいて、前記記録媒体に記録された前記データを読み取る読取手段を更に備える。
【0031】
この態様によれば、汎用ファイルシステムの命令によるデータの記録は禁止されていても、汎用ファイルシステムの命令によるデータの読取(或いは、一覧の閲覧や再生や実行等)は実行することができる。従って、ユーザにとっては、通常の再生専用の記録媒体と同等に扱うことができる。従って、ユーザの利便性を損ねることなく、上述した各種利益を享受することができる。
【0032】
(記録方法の実施形態)
本発明に係る記録方法の実施形態は、汎用ファイルシステム及びバックアップアプリケーションの少なくとも一方からの命令に基づいて、バックアップ用途であるか否かを示すバックアップフラグが記録されている記録媒体にデータを記録する記録手段を備える記録装置における記録方法であって、前記バックアップフラグを取得する取得工程と、前記取得されたバックアップフラグにより前記記録媒体がバックアップ用途であることが示されている場合に、前記汎用ファイルシステムからの命令に基づいて前記データの記録が行なわれないように前記記録手段を制御する第1制御工程とを備える。
【0033】
本発明の記録方法に係る実施形態によれば、上述した本発明の記録装置に係る実施形態と同様の各種利益を享受することができる。
【0034】
尚、上述した本発明の記録装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明の記録方法に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0035】
(記録再生装置の実施形態)
本発明の記録再生装置に係る実施形態は、バックアップ用途であるか否かを示すバックアップフラグが記録されている記録媒体にデータを記録する記録装置であって、汎用ファイルシステム及びバックアップアプリケーションの少なくとも一方からの命令に基づいて、前記記録媒体にデータを記録する記録手段と、前記バックアップフラグを取得する取得手段と、前記取得されたバックアップフラグにより前記記録媒体がバックアップ用途であることが示されている場合に、前記汎用ファイルシステムからの命令に基づいて前記データの記録が行なわれないように前記記録手段を制御する第1制御手段と、前記汎用ファイルシステムからの命令に基づいて、前記記録媒体に記録された前記データを読み取る読取手段とを備える。
【0036】
本発明の記録再生装置に係る実施形態によれば、上述した本実施形態に係る記録装置が有する利益と同様の利益を享受することができる。加えて、汎用ファイルシステムの命令によるデータの読取(或いは、一覧の閲覧や再生や実行等)は実行することができため、ユーザの利便性を損ねることなく、上述した各種利益を享受することができる。
【0037】
尚、上述した本発明の記録装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明の記録再生装置に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0038】
(記録再生方法の実施形態)
本発明の記録再生方法に係る実施形態には、汎用ファイルシステム及びバックアップアプリケーションの少なくとも一方からの命令に基づいて、バックアップ用途であるか否かを示すバックアップフラグが記録されている記録媒体にデータを記録する記録手段を備える記録装置における記録再生方法であって、前記バックアップフラグを取得する取得工程と、前記取得されたバックアップフラグにより前記記録媒体がバックアップ用途であることが示されている場合に、前記汎用ファイルシステムからの命令に基づいて前記データの記録が行なわれないように前記記録手段を制御する第1制御工程と、前記汎用ファイルシステムからの命令に基づいて、前記記録媒体に記録された前記データを読み取る読取工程とを備える。
【0039】
本発明の記録再生方法に係る実施形態によれば、上述した本発明の記録再生装置に係る実施形態と同様の各種利益を享受することができる。
【0040】
尚、上述した本発明の記録再生装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明の記録再生方法に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0041】
(コンピュータプログラムの実施形態)
本発明に係るコンピュータプログラムの第1実施形態は、コンピュータを上述した記録装置の実施形態(但し、その各種形態も含む)の少なくとも一部として機能させる。また、本発明に係るコンピュータプログラムの第2実施形態は、コンピュータを上述した記録再生装置の実施形態(但し、その各種形態も含む)の少なくとも一部として機能させる。
【0042】
本発明に係るコンピュータプログラムの各実施形態によれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の記録装置又は記録再生装置に係る実施形態を比較的簡単に実現できる。
【0043】
尚、上述した本発明の記録装置又は記録再生装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムに係る第1又は第2実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0044】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0045】
以上説明したように、本発明の記録装置又は方法に係る実施形態によれば、記録手段、取得手段及び第1制御手段、又は取得工程及び第1制御工程を備える。従って、ユーザの利便性を確保しつつも、不正なプログラムの動作によるファイルの喪失を好適に防止することができる。
【実施例】
【0046】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0047】
(情報記録媒体)
先ず、図1を参照して、本発明の記録再生装置に係る実施例がファイル(データ)を記録し、また読み取る(或いは、再生する)対象となるバックアップ用途の記録媒体としての光ディスク100について説明を進める。ここに、図1は、上側に複数のエリアを有する光ディスク100の構造を概略平面図で示すと共に、下側にその径方向におけるエリア構造を概念図で対応付けて示すものである。
【0048】
図1に示すように、光ディスク100は、例えば、エンボスピット等によりデータが予め記録されており、又は記録(書き込み)が複数回又は1回のみ可能な、光磁気方式、相変化方式等の各種記録方式で記録可能とされており、DVDと同じく直径12cm程度のディスク本体上の記録面に、センターホール102を中心として内周から外周に向けて、リードインエリア104、データ記録エリア106及びリードアウトエリア108が設けられている。そして、各エリアには、例えば、センターホール102を中心にスパイラル状或いは同心円状に、グルーブトラック及びランドトラックが交互に設けられており、このグルーブトラックはウオブリングされてもよいし、これらのうち一方又は両方のトラックにプレピットが形成されていてもよい。
【0049】
本実施例では特に、光ディスク100には更にバックアップフラグエリア110が設けられている。バックアップフラグエリア110には、当該光ディスク100がバックアップ用に使用されているか否かを示すバックアップフラグが記録される。例えば、バックアップフラグとして“0”が記録されていれば、当該光ディスク100がバックアップ用に使用されていないことを示し、またバックアップフラグとして“1”が記録されていれば、当該光ディスク100がバックアップ用に使用されていることを示していてもよい。或いは、バックアップフラグエリア110にバックアップフラグとして何も記録されていなければ、当該光ディスク100がバックアップ用に使用されていないことを示し、またバックアップフラグエリア110にバックアップフラグとして何らかの情報が記録されていれば、当該光ディスク100がバックアップ用に使用されていることを示していてもよい。
【0050】
尚、本発明は、このような3つのエリアを有する光ディスクには特に限定されない。例えば、リードインエリア104やリードアウトエリア108が存在せずとも、以下に説明するファイル構造は構築可能である。また、後述するように、リードインエリア102やリードアウトエリア108は更に細分化された構成であってもよい。また、上述の如き3つのエリアを夫々有する複数の記録層を備える多層型の光ディスクであってもよい。
【0051】
(記録再生装置)
続いて、図2から図6を参照して、本実施例に係る記録再生装置200について説明を進める。
【0052】
(1)基本構成
初めに図2を参照して、本実施例に係る記録再生装置200の基本的構成について説明する。ここに、図2は、本実施例に係る記録再生装置200の基本的構成を概念的に示すブロック図である。尚、記録再生装置200は、光ディスク100にデータ(ファイル)を記録する機能と、光ディスク100に記録されたデータ(ファイル)を再生する機能とを備える。
【0053】
図2に示すように、記録再生装置200は、実際に光ディスク100がローディングされ且つデータの記録やデータの再生が行なわれるディスクドライブ300と、該ディスクドライブ300に対するデータの記録及び再生を制御するバックエンド400とを備えている。バックエンド400は、例えばパーソナルコンピュータ等のホストコンピュータに相当する。
【0054】
ディスクドライブ300は、スピンドルモータ351、光ピックアップ352、信号記録再生手段353、CPU(ドライブ制御手段)354、メモリ355、データ入出力制御手段306、及びバス357を備えて構成されている。
【0055】
また、バックエンド400は、CPU359、メモリ360、操作/表示制御手段307、操作ボタン310、表示パネル311、データ入出力制御手段308及びハードディスクドライブ361を備えて構成される。
【0056】
スピンドルモータ351は光ディスク100を回転及び停止させるもので、光ディスク100へのアクセス時に動作する。より詳細には、スピンドルモータ351は、図示しないサーボユニット等によりスピンドルサーボを受けつつ所定速度で光ディスク100を回転及び停止させるように構成されている。
【0057】
光ピックアップ352は、本発明における「記録手段」の一具体例を構成しており、光ディスク100への記録再生を行うために、例えば半導体レーザ装置とレンズ等から構成される。より詳細には、光ピックアップ352は、光ディスク100に対してレーザービーム等の光ビームを、再生時には読み取り光として第1のパワーで照射し、記録時には書き込み光として第2のパワーで且つ変調させながら照射する。
【0058】
信号記録再生手段353は、スピンドルモータ351と光ピックアップ352を制御することで光ディスク100に対して記録再生を行う。より具体的には、信号記録再生手段353は、例えば、レーザダイオードドライバ(LDドライバ)及びヘッドアンプ等によって構成されている。レーザダイオードドライバは、光ピックアップ352内に設けられた図示しない半導体レーザを駆動する。ヘッドアンプは、光ピックアップ352の出力信号、即ち、光ビームの反射光を増幅し、該増幅した信号を出力する。より詳細には、信号記録再生手段353は、OPC(Optimum Power Calibration)処理時には、CPU354の制御下で、図示しないタイミング生成器等と共に、OPCパターンの記録及び再生処理により最適なレーザパワーの決定が行えるように、光ピックアップ352内に設けられた図示しない半導体レーザを駆動する。
【0059】
メモリ355は、記録及び再生されるデータのバッファ領域や、信号記録再生手段353で使用出来るデータに変換する時の中間バッファとして使用される領域などディスクドライブ300におけるデータ処理全般において使用される。また、メモリ355はこれらレコーダ機器としての動作を行うためのプログラム、即ちファームウェアが格納されるROM領域と、記録再生データの一時格納用バッファや、ファームウェアプログラム等の動作に必要な変数が格納されるRAM領域などから構成される。
【0060】
CPU(ドライブ制御手段)354は、信号記録再生手段353及びメモリ355と、バス357を介して接続され、各種制御手段に指示を行うことで、ディスクドライブ300全体の制御を行う。通常、CPU354が動作するためのソフトウェア又はファームウェアは、メモリ355に格納されている。
【0061】
データ入出力制御手段306は、ディスクドライブ300に対する外部からのデータ入出力を制御し、メモリ355上のデータバッファへの格納及び取り出しを行う。情報記録再生装置300とSCSIや、ATAPIなどのインタフェースを介して接続されている外部のバックエンド400から発行されるドライブ制御命令は、データ入出力制御手段306を介してCPU354に伝達される。また、記録再生データも同様にデータ入出力制御手段306を介して、バックエンド400とやり取りされる。
【0062】
操作/表示制御手段307はバックエンド400に対する動作指示受付と表示を行うもので、例えば記録又は再生といった操作ボタン310による指示をCPU359に伝える。CPU359は、操作/表示制御手段307からの指示情報を元に、データ入出力手段308を介して、ディスクドライブ300に対して制御命令(コマンド)を送信し、ディスクドライブ300全体を制御する。同様に、CPU359は、ディスクドライブ300に対して、動作状態をホストに送信するように要求するコマンドを送信することができる。これにより、記録中や再生中といったディスクドライブ300の動作状態が把握できるためCPU359は、操作/表示制御手段307を介して蛍光管やLCDなどの表示パネル311にディスクドライブ300の動作状態を出力することができる。
【0063】
メモリ360は、バックエンド400が使用する内部記憶装置であり、例えばBIOS(Basic Input/Output System)等のファームウェアプログラムが格納されるROM領域、汎用のオペレーティングシステム(或いは、汎用のファイルシステム)や、アプリケーションプログラム等の動作に必要な変数等が格納されるRAM領域などから構成される。
【0064】
ハードディスク361は、例えば数十GBもの記録容量を有する磁気記録媒体である。例えば、バックエンド400の一具体例たるパーソナルコンピュータのユーザが作成したテキストデータや、或いは画像データや動画データ等の各種データを記録することができる。
【0065】
以上説明した、記録再生装置200の一具体例は、ディスクドライブ300とパーソナルコンピュータ等のバックエンド400とを組み合わせて使用する構成があげられる。パーソナルコンピュータ等のバックエンド400とディスクドライブ300はSCSIやATAPIといったデータ入出力制御手段306及び308を介して接続されており、バックエンド400にインストールされているライティングアプリケーションやバックアップアプリケーション等の各種アプリケーション或いは汎用のオペレーティングシステム(ファイルシステム)が、ディスクドライブ300を制御する。他の具体例としては、映像を記録再生するレコーダ機器等の家庭用機器の構成があげられる。この構成を有する記録再生装置200は、放送受信チューナや外部接続端子からの映像信号をハードディスク361又は光ディスク100に記録し、テレビなど外部表示機器にハードディスク361又は光ディスク100から再生した映像信号を出力する機器である。メモリ360に格納されたプログラムをCPU359で実行させることでレコーダ機器としての動作を行っている。
【0066】
(2)動作原理
続いて、図3から図7を参照して、本実施例に係る記録再生装置200の動作原理について説明する。ここに、図3は、本実施例に係る記録再生装置200の動作の一の態様を概念的に示す説明図であり、図4は、本実施例に係る記録再生装置200の動作の一の態様においてウイルスプログラムが動作する様子を概念的に示す説明図であり、図5は、光ディスク100上に記録されているファイルの一覧表示を概念的に示す説明図であり、図6は、本実施例に係る記録再生装置200の動作の他の態様を概念的に示す説明図であり、図7は、本実施例に係る記録再生装置200により実行されるバックアップ動作の態様を概念的に示すデータ構造図である。
【0067】
本実施例に係る記録再生装置200は、CPU359上で動作する汎用のファイルシステムの命令に基づいて光ディスク100にファイルを記録し、また光ディスク100上に記録されたファイルを読み取り、再生し、実行することができる。同様に、CPU359上で動作する汎用のファイルシステムの命令に基づいて、ハードディスク361にファイルを記録し、またハードディスク361上に記録されたファイルを読み取り、再生し、実行することができる。加えて、本実施例に係る記録再生装置200は、CPU359上で動作するバックアップアプリケーションの命令に基づいて、ハードディスク361上に記録されたファイルを、光ディスク100へバックアップ(即ち、記録或いはコピー)することができる。これらのファイルの記録動作、読取動作、再生動作及び実行のうち、特に光ディスク100へのファイルの記録動作は、以下に説明するようなCPU359(又は、CPU354)の制御を受けながら実行される。
【0068】
具体的には、ディスクドライブ300に光ディスク100がローディングされると、本発明における「取得手段」の一具体例を構成する信号記録再生手段353の動作により、上述のバックアップフラグエリア110に記録されているバックアップフラグが参照され、当該光ディスク100がバックアップ用に用いられているか否かが判定される。
【0069】
そして、バックアップ用に用いられていないと判定された場合は、光ディスク100への記録動作に特に制約はなく、汎用のファイルシステムの命令に基づいて、光ディスク100へのファイルの記録、読取、再生及び実行が可能となる。
【0070】
他方、バックアップ用に用いられていると判定された場合には、図3に示すように、汎用のファイルシステム単独の命令に基づく光ディスク100へのファイルの記録が禁止される。言い換えれば、ファイルシステム単独の命令に基づく光ディスク100へのファイルの記録が行われないように、本発明における「第1制御手段」の一具体例を構成するCPU359によりディスクドライブ300が制御される。更に言い換えれば、バックアップアプリケーション以外のアプリケーション等からの命令に基づく光ディスク100へのファイルの記録が行なわれないように、CPU359によりディスクドライブ300が制御される。即ち、例えばユーザがバックエンド400に備え付けられた操作ボタン310等を操作することで、光ディスク100へ所定のファイルを記録する命令を入力しても、光ディスク100へのファイルの記録は行われない。
【0071】
更に、図4に示すように、例えばウイルスプログラム(コンピュータウイルス)等の不正なプログラムに記録再生装置200が感染した場合には、ウイルスプログラムはファイルシステムを介して光ディスク100へファイルを記録したり、或いは光ディスク100に記録されたファイルを消去しようとする。しかしながら、ウイルスプログラムの命令(即ち、バックアップアプリケーション以外のアプリケーションの命令)によっては、光ディスク100へファイルを記録することはできないため、ファイルが記録されたり或いは消去されることはない。
【0072】
他方で、本実施例では、汎用のファイルシステムの命令に基づく光ディスク100へのファイルの記録が禁止されるに過ぎないため、図5に示すように、光ディスク100に記録されているファイルの一覧を閲覧したり、或いは光ディスク100に記録されているファイルを読み取ったり、再生したり或いは実行したりすることはできる。
【0073】
このとき、バックアップアプリケーションの命令に基づいてハードディスク361に記録されたファイルを光ディスク100へ記録する場合には、図6に示すように、バックアップアプリケーションは先ずファイルシステムへファイルの記録を行なう旨の命令を出力する。係る命令がバックアップアプリケーションからファイルシステムへ出力された場合には、本発明における「第2制御手段」の一具体例を構成するCPU359は、ファイルシステムの命令に基づく光ディスク100へのデータの記録の禁止を一時的に解除する。言い換えれば、係る命令がバックアップアプリケーションからファイルシステムへ出力されなければ、CPU359がファイルシステムの命令に基づく光ディスク100へのデータの記録の禁止を解除することはない。このため、バックアップアプリケーションはファイルシステムを介して、ハードディスク361に記録されたファイルを光ディスク100へ記録(即ち、バックアップ)することができる。
【0074】
このように、ファイルシステム単独の命令に基づく、光ディスク100へのファイルの記録が禁止されるため、ユーザの操作ミスや或いはウイルスプログラム等の不正なプログラムの動作によるバックアップされたファイルの喪失という不都合を避けることができる。特に、ハードディスク361上に記録されたオリジナルのファイルが何らかの原因により喪失してしまった場合、ユーザは該ファイルの復旧のために光ディスク100をディスクドライブ300にローディングする。しかしながら、オリジナルのファイルの喪失がウイルスプログラム等の不正なプログラムに起因している場合には、該ウイルスプログラムが駆除されていなければ、ローディングされた光ディスク100上のバックアップされたファイルまで喪失してしまうおそれもある。この点、本実施例によれば、ファイルシステム単独の命令に基づくローディングされた光ディスク100へのファイルの記録が禁止されているため、不正なプログラムの動作によるファイルの喪失という不都合が生ずることはない。そして、ファイルをバックアップする際には、バックアップアプリケーションの命令に基づく、記録禁止が一時的に解除されるため、バックアップを好適に行なうこともできる。その一方で、ファイルシステムの命令に基づく、光ディスク100に記録されているファイルの閲覧や読み取り等は禁止されていないため、ユーザの利便性を損ねることはない。
【0075】
更に、機械的なスイッチを用いることなく、上述した光ディスク100への記録動作を実現可能なファームウェアを例えばディスクドライブ300の或いはバックエンド400に導入すれば足りるため、導入コストをも大幅に低減することができる。更には、現在市場に既に流通している既存の製品に対しても、ファームウェアの書換等で上述した光ディスク100への記録動作を行なわせることができる。更には、ユーザ自身が機械的なスイッチを操作する必要がなく、光ディスク100に記録されているバックアップフラグを記録再生装置200が参照することで、いわば自動的に上述の如き光ディスク100への記録動作が行なわれる。
【0076】
加えて、本実施例によれば、ユーザが光ディスク100上に記録されている全てのファイルに対して、夫々例えばリードオンリー属性(或いは、ライトプロテクト属性)等のファイル属性を設定する必要もなく、ユーザにわずらわしい操作を行なわせる必要がないという利点も有している。尚、ファイルに設定されるいわゆるリードオンリー属性等は、ファイルシステムによって管理されているため、ウイルスプログラム等の不正なプログラムの動作によっては、ファイル属性が変更されてしまうおそれもある。本実施例では、ファイルシステム単独での命令に基づく光ディスク100への記録動作自体を禁止しているため、係る不都合は生じないという点で、既存の製品と大きく異なる且つ優れた利点を有しているといえよう。
【0077】
尚、上述の実施例では、ハードディスク361に記録されたファイルを光ディスク100に記録する具体例について説明を進めたが、もちろん、光ディスク100に記録されたファイルをハードディスク361に記録(バックアップ)するように構成してもよい。この場合、上述のファイルシステム単独の命令に基づくファイルの記録が禁止されるのはハードディスク361となる。また、記録媒体の具体例として、例えばCD−RやCD−RWやDVD−R/RWやDVD+R/RWやDVD−RAMやBD−R/RW等の光ディスク及び磁気記録方式のハードディスクに限定されることなく、多用な記録媒体を用いても上述した構成を採用することができることはいうまでもない。
【0078】
尚、ファイルのバックアップの態様として、ハードディスク361に記録されている全てのファイルをバックアップするように構成してもよいが、図7に示すようにハードディスク361に記録されているファイルのうち一部のファイルを選択的にバックアップするように構成することが好ましい。この一部のファイルを選択的にバックアップする態様について、図7を参照しながらより詳細に説明する。
【0079】
例えば、図7(a)に示すようなファイルがバックアップ元であるハードディスク361に記録されているとする。即ち、ファイル名が“AA”であり且つその更新日時(即ち、最後にハードディスク361に記録された日時)が“2004年7月9日”であるファイル#0−1と、ファイル名が“BB”であり且つその更新日時が“2004年7月26日”であるファイル#0−2と、ファイル名が“CC”であり且つその更新日時が“2004年3月1日”であるファイル#0−3と、ファイル名が“DD”であり且つその更新日時が“2004年7月31日”であるファイル#0−4が記録されているとする。
【0080】
他方、図5(b)に示すようなファイルがバックアップ先である光ディスク100に記録されているとする。即ち、ファイル名が“AA”であり且つその更新日時が“2004年7月9日”であるファイル#1−1と、ファイル名が“BB”であり且つその更新日時が“2004年7月9日”であるファイル#1−2と、ファイル名が“CC”であり且つその更新日時が“2004年3月1日”であるファイル#1−3とが記録されているとする。
【0081】
ここで、ハードディスク361に記録されているファイル#0−1と、光ディスク100に記録されているファイル#1−1とは、そのファイル名が同一であり、また更新日時も同一であることから、全く同一のファイルであると判断される。従って、ハードディスク361に記録されているファイル#0−1はバックアップする必要がないと判断される。同様に、ハードディスク361に記録されているファイル#0−3についても、バックアップする必要がないと判断される。
【0082】
他方、ハードディスク361に記録されているファイル#0−2と、光ディスク100に記録されているファイル#1−2とは、そのファイル名が同一であるが、更新日時は同一ではない。特に、ハードディスク361に記録されているファイル#0−2の更新日時は、光ディスク100に記録されているファイル#1−2の更新日時よりも新しいため、ファイル名が“BB”であるファイルは、光ディスク100へバックアップされた後に、再度更新されたと判断される。従って、ファイル#0−2は光ディスク100へバックアップする必要があると判断される。
【0083】
また、ハードディスク361に記録されているファイル#0−4と同様のファイル名“DD”を有するファイルは、光ディスク100上には記録されていない。このため、ファイル#0−4は、光ディスク100へファイルがバックアップされた後に、新たに作成されたファイルであると判断される。従って、ファイル#0−4は光ディスク100へバックアップする必要があると判断される。
【0084】
このように、光ディスク100へファイルをバックアップした後に、再度更新されたり或いは新たに作成されたファイルが存在する場合は、そのようなファイルを選択的に抽出してバックアップすることが好ましい。そして、光ディスク100へファイルをバックアップした後に更新されなかったファイルは、改めてバックアップしなくともよい。このようなバックアップ動作を行なうことで、より効率的に且つ迅速にハードディスク361に記録されているファイルを光ディスク100へバックアップすることができる。
【0085】
また、本発明における「第3制御手段」の一具体例を構成するCPU359の制御の下に、バックアップアプリケーションの命令に基づいて、バックアップフラグエリア110にバックアップフラグを記録するように構成してもよい。例えば、バックアップ用に用いられていない光ディスクがディスクドライブ300にローディングされた場合には、バックアップ用に用いられることを示すバックアップフラグ(例えば、“1”なるフラグ)をバックアップフラグエリア110に記録するように構成してもよい。これにより、本来バックアップ用に用いられていなかった光ディスクを新たにバックアップ用の光ディスクとして用いることができるようになり、不正なプログラムによるファイルの喪失という不都合を防止することが可能となる。
【0086】
また、上述の実施例では、記録媒体の一例としてハードディスク361及び光ディスク100及び記録再生装置の一例としてハードディスク361及び光ディスク100に係るレコーダ或いはプレーヤについて説明したが、本発明は、ハードディスク及び光ディスク並びにそのレコーダやプレーヤに限られるものではなく、他の高密度記録或いは高転送レート対応の各種記録媒体並びにそのレコーダ或いはプレーヤにも適用可能である。
【0087】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う記録装置及び方法、記録再生装置及び方法、並びに記録制御用又は記録再生制御用のコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の記録再生装置に係る実施例によりファイルの記録等が行なわれる光ディスクについて、上側に複数のエリアを有する光ディスクの構造を概略平面図で示すと共に、下側にその径方向におけるエリア構造を概念図で対応付けて示す説明図である。
【図2】本実施例に係る記録再生装置の基本的構成を概念的に示すブロック図である。
【図3】本実施例に係る記録再生装置の動作の一の態様を概念的に示す説明図である。
【図4】本実施例に係る記録再生装置の動作の一の態様においてウイルスプログラムが動作する様子を概念的に示す説明図である。
【図5】光ディスク上に記録されているファイルの一覧表示を概念的に示す説明図である。
【図6】本実施例に係る記録再生装置の動作の他の態様を概念的に示す説明図である。
【図7】本実施例に係る記録再生装置により実行されるバックアップ動作の態様を概念的に示すデータ構造図である。
【符号の説明】
【0089】
100 光ディスク
110 バックアップフラグエリア
200 記録再生装置
300 ディスクドライブ
352 光ピックアップ
353 信号記録再生手段
354 CPU
355 メモリ
359 CPU
361 ハードディスク
400バックエンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックアップ用途であるか否かを示すバックアップフラグが記録されている記録媒体にデータを記録する記録装置であって、
汎用ファイルシステム及びバックアップアプリケーションの少なくとも一方からの命令に基づいて、前記記録媒体にデータを記録する記録手段と、
前記バックアップフラグを取得する取得手段と、
前記取得されたバックアップフラグにより前記記録媒体がバックアップ用途であることが示されている場合に、前記汎用ファイルシステムからの命令に基づいて前記データの記録が行なわれないように前記記録手段を制御する第1制御手段と
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記バックアップフラグにより前記記録媒体がバックアップ用途であることが示されている場合に、前記バックアップアプリケーションからの命令に基づいて前記データの記録を行なうように前記記録手段を制御する第2制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記バックアップアプリケーションが前記汎用ファイルシステムに前記データを記録する命令を出力することで、前記第2制御手段は、前記バックアップアプリケーションからの命令に基づいて前記データの記録を行なうように前記記録手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記バックアップアプリケーションからの命令に基づいて、前記バックアップフラグを書き換えるように前記記録手段を制御する第3制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記汎用ファイルシステムからの命令に基づいて、前記記録媒体に記録された前記データを読み取る読取手段を更に備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項6】
汎用ファイルシステム及びバックアップアプリケーションの少なくとも一方からの命令に基づいて、バックアップ用途であるか否かを示すバックアップフラグが記録されている記録媒体にデータを記録する記録手段を備える記録装置における記録方法であって、
前記バックアップフラグを取得する取得工程と、
前記取得されたバックアップフラグにより前記記録媒体がバックアップ用途であることが示されている場合に、前記汎用ファイルシステムからの命令に基づいて前記データの記録が行なわれないように前記記録手段を制御する第1制御工程と
を備えることを特徴とする記録方法。
【請求項7】
バックアップ用途であるか否かを示すバックアップフラグが記録されている記録媒体にデータを記録する記録装置であって、
汎用ファイルシステム及びバックアップアプリケーションの少なくとも一方からの命令に基づいて、前記記録媒体にデータを記録する記録手段と、
前記バックアップフラグを取得する取得手段と、
前記取得されたバックアップフラグにより前記記録媒体がバックアップ用途であることが示されている場合に、前記汎用ファイルシステムからの命令に基づいて前記データの記録が行なわれないように前記記録手段を制御する第1制御手段と、
前記汎用ファイルシステムからの命令に基づいて、前記記録媒体に記録された前記データを読み取る読取手段と
を備えることを特徴とする記録再生装置。
【請求項8】
汎用ファイルシステム及びバックアップアプリケーションの少なくとも一方からの命令に基づいて、バックアップ用途であるか否かを示すバックアップフラグが記録されている記録媒体にデータを記録する記録手段を備える記録装置における記録再生方法であって、
前記バックアップフラグを取得する取得工程と、
前記取得されたバックアップフラグにより前記記録媒体がバックアップ用途であることが示されている場合に、前記汎用ファイルシステムからの命令に基づいて前記データの記録が行なわれないように前記記録手段を制御する第1制御工程と、
前記汎用ファイルシステムからの命令に基づいて、前記記録媒体に記録された前記データを読み取る読取工程と
を備えることを特徴とする記録再生方法。
【請求項9】
請求項1から5のいずれか一項に記載の記録装置に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記記録手段、前記取得手段及び前記第1制御手段のうち少なくとも一部として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項10】
請求項7に記載の記録再生装置に備えられたコンピュータを制御する記録再生制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記記録手段、前記取得手段、前記第1制御手段及び前記読取手段のうち少なくとも一部として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−91968(P2006−91968A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−273112(P2004−273112)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】