記録装置及び画像処理方法
【課題】 効率的に所望の記録剤使用量を確認、選択、設定可能な方法を提供することである。
【解決手段】 入力画像データに基づいて、記録媒体に画像を記録するために使用される各単位領域当たりの記録剤の量を算出し、各単位領域の記録剤の使用量から全単位領域の記録のために消費される総消費量を算出し、得られた各単位領域毎の記録剤の使用量の分布と総消費量とを表示し、その表示された情報に基づいて画像処理を実行するための適切なパラメータを選択する。
【解決手段】 入力画像データに基づいて、記録媒体に画像を記録するために使用される各単位領域当たりの記録剤の量を算出し、各単位領域の記録剤の使用量から全単位領域の記録のために消費される総消費量を算出し、得られた各単位領域毎の記録剤の使用量の分布と総消費量とを表示し、その表示された情報に基づいて画像処理を実行するための適切なパラメータを選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録装置及び画像処理方法に関し、特に、例えば、インクジェット記録ヘッドを用いてフルカラー画像の記録を行う記録装置及びその装置に適用可能な画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット記録装置(以下、記録装置)などの出力デバイスを用いて、ユーザが所望の記録媒体に画像を出力する場合、記録装置やその装置のホストにインストールされたプリンタドライバの設定を適切に行うことで、にじみ等が発生しない良好な画像出力が得られる。これは、その記録装置で利用可能な多種多様な記録媒体に対し、その記録装置のメーカが予め最適な画像処理パラメータ、例えば、インク打ち込み量パラメータを設定しているからである。
【0003】
一般的に記録媒体に対し、単位面積あたりのインク打ち込み量を増やせば、それだけ濃度が高くなり、色再現範囲が広がる傾向となる反面、にじみや裏うつりが発生しやすくなる。色再現範囲やにじみなどの挙動は、その媒体の特性に依存しているため、従来より媒体毎にインク打ち込み量の最適化設計が進められている(例えば、特許文献1の図5参照)。
【特許文献1】特開平11−348247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、記録装置の適用範囲が広がり、メーカの設定したインク打ち込み量パラメータでは満足できないケースがでてきた。例えば、多少のにじみがあっても濃度の高い鮮やかな色を望むユーザや、多少色が薄くてもインク消費に伴うランニングコストを抑えたいユーザ、またメーカがサポートする以外の特別な記録媒体を利用したいユーザなど、ユーザの要求は多岐にわたるものとなってきた。
【0005】
しかしながら、上記従来例によれば、インク打ち込み量の調整は、予めメーカによって設定されたパラメータを用いる以外に、ユーザが独自にそのインク打ち込み量を変更することは困難であった。
【0006】
また、インク打ち込み量パラメータをユーザが独自に設定できる場合にも、その設定における効果や弊害を確認する作業に長い時間を要するという問題があった。
【0007】
例えば、インク打ち込み量が大きくなるパラメータ設定をした場合、画像全体にわたるインク打ち込み量の分布が分からないため、出力サンプルの全領域において、にじみの程度を確認して問題が無いことを確認する必要があった。これは時間を要する処理である。
【0008】
また、ランニングコストを抑えるためにインク打ち込み量が小さくなるようにパラメータ設定をしても、定量的にどの程度インク消費量が低減するのかを把握することが困難であった。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、ユーザが効率的に所望の記録剤使用量を確認、選択、設定可能な記録装置と画像処理方法とを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の画像処理方法は、以下のような工程からなる。
【0011】
即ち、記録媒体に記録剤を付与するための記録データを得るために入力画像データに対して画像処理を施す画像処理方法であって、前記入力画像データに基づいて、前記記録媒体に画像を記録するために付与される各単位領域当たりの記録剤の量を示す情報を取得する第1取得工程と、前記第1取得工程において取得された前記各単位領域の記録剤の付与量を示す情報に基づき、全単位領域に付与される総付与量を示す情報を取得する第2取得工程と、前記第1取得工程において得られる前記単位領域毎の記録剤に付与量を示す情報と、第2取得工程において得られる前記総付与量を示す情報とを表示する表示工程と、前記表示工程において表示された前記記録剤の付与量を示す情報と総付与量を示す情報とに基づいて前記画像処理を実行するための適切なパラメータを選択する選択工程とを有することを特徴とする。
【0012】
さらに、前記選択工程において選択されたパラメータに基づいて画像処理を実行する画像処理工程と、前記画像処理工程において実行される画像処理の結果得られる記録データを用いて前記記録媒体に記録を行う記録工程とを有することが望ましい。
【0013】
またさらに、前記選択工程は、前記記録工程において記録された画像をさらに参照して適切なパラメータを選択すると良い。
【0014】
なお、前記パラメータとは前記画像処理を実行するためのLUTである。
【0015】
さて、前記入力画像データは、前記単位領域に相当する画素の各色成分を多値で表すRGBデータであり、前記画像処理は、RGBデータをCMYKに変換する色変換処理、該色変換処理によって得られたCMYK多値データにガンマ変換を施す処理、該ガンマ変換されたCMYK多値データを2値化する2値化処理を含むと良い。
【0016】
また、前記記録剤はインクであることが好ましい。
【0017】
前記画像の形成はインクジェット記録ヘッドを用いてなされることが好ましく、そのインクジェット記録ヘッドは、熱エネルギーを利用してインクを吐出するために、インクに与える熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備えていることがより好ましい。
【0018】
また他の発明に従えば、上記構成の画像処理方法の各工程をコンピュータを用いて実行させるコンピュータプログラムを備える。
【0019】
さらに他の発明に従えば、上記構成の画像処理方法の各工程をコンピュータを用いて実行させるコンピュータプログラムを格納したコンピュータ可読の記録媒体を備える。
【0020】
またさらに他の発明に従えば、ホスト装置から入力される画像データを画像処理することで得られた記録データを用いて記録媒体に記録剤を付与して画像を記録する記録装置であって、前記入力画像データに基づいて、前記記録媒体に画像を記録するために付与される各単位領域当たりの記録剤の付与量を示す情報を取得する第1取得手段と、前記第1取得手段によって取得された前記各単位領域の記録剤の付与量を示す情報に基づいて、全単位領域に付与される総付与量を示す情報を取得する第2取得手段と、前記第1及び第2取得手段によって取得された前記単位領域毎の記録剤の付加量を示す情報と前記総付与量を示す情報とに基づいて、前記画像処理を実行するための適切なパラメータを選択する選択手段とを有することを特徴とする記録装置を備える。
【0021】
さらに、前記第1及び第2取得手段において夫々得られた記録剤の付与量を示す情報と前記総付与量を示す情報とを表示する表示手段を有しても良い。
【0022】
或いは、前記第1及び第2取得手段において夫々得られた前記単位領域毎の記録剤の付与量を示す情報と前記総付与量を示す情報とを前記ホスト装置に転送する転送手段と、前記転送手段により前記ホスト装置に転送された前記単位領域毎の記録剤の付与量を示す情報と前記総付与量を示す情報とに基づいて選択された前記画像処理のためのパラメータを受信する受信手段とをさらに備え、前記選択手段は前記受信手段により受信したパラメータに基づいて適切なパラメータ選択を行うようにしても良い。
【0023】
またさらに他の発明に従えば、記録データを用いて記録媒体に記録剤を付与して画像を記録する記録装置に接続され、前記記録データを生成するために入力画像データに対して画像処理を実行するためのホスト装置であって、前記入力画像データに基づいて、前記記録媒体に画像を記録するために付与される各単位領域当たりの記録剤の付与量を示す情報を取得する第1取得手段と、前記第1取得手段によって取得された前記各単位領域の記録剤の付与量を示す情報に基づいて、全単位領域に付与される総付与量を示す情報を取得する第2取得手段と、前記第1及び第2取得手段によって夫々得られた前記単位領域毎の記録剤の付与量を示す情報と前記総付与量を示す情報とを表示する表示手段と、前記表示手段によって表示された前記単位領域毎の記録剤の付与量を示す情報と前記総付与量を示す情報とに基づいて前記画像処理を実行するための適切なパラメータを選択する選択手段とを有することを特徴とするホスト装置を備える。
【発明の効果】
【0024】
従って本発明によれば、自動的に生成された記録剤の使用量分布や画像全域における総消費量を確認して画像処理を実行するのに適切なパラメータを選択することができるので、効率的にユーザが所望のパラメータ設定を行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施例について、さらに具体的かつ詳細に説明する。
【0026】
なお、この明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0027】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0028】
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
【0029】
またさらに、「ノズル」とは、特にことわらない限り吐出口ないしこれに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言うものとする。
【0030】
<インクジェット記録装置の説明(図1)>
図1は本発明の代表的な実施形態であるインクジェット記録装置の構成の概要を示す外観斜視図である。
【0031】
図1に示すように、インクジェット記録装置(以下、記録装置という)は、インクジェット方式に従ってインクを吐出して記録を行なう記録ヘッド3を搭載したキャリッジ2にキャリッジモータM1によって発生する駆動力を伝達機構4より伝え、キャリッジ2を矢印A方向に往復移動させるとともに、例えば、記録紙などの記録媒体Pを給紙機構5を介して給紙し、記録位置まで搬送し、その記録位置において記録ヘッド3から記録媒体Pにインクを吐出することで記録を行なう。
【0032】
また、記録ヘッド3の状態を良好に維持するためにキャリッジ2を回復装置10の位置まで移動させ、間欠的に記録ヘッド3の吐出回復処理を行う。
【0033】
記録装置1のキャリッジ2には記録ヘッド3を搭載するのみならず、記録ヘッド3に供給するインクを貯留するインクカートリッジ6を装着する。インクカートリッジ6はキャリッジ2に対して着脱自在になっている。
【0034】
図1に示した記録装置はカラー記録が可能であり、そのためにキャリッジ2にはマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロ(Y)、ブラック(K)のインクを夫々、収容した4つのインクカートリッジを搭載している。これら4つのインクカートリッジは夫々独立に着脱可能である。
【0035】
さて、キャリッジ2と記録ヘッド3とは、両部材の接合面が適正に接触されて所要の電気的接続を達成維持できるようになっている。記録ヘッド3は、記録信号に応じてエネルギーを印加することにより、複数の吐出口からインクを選択的に吐出して記録する。特に、この実施形態の記録ヘッド3は、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット方式を採用し、熱エネルギーを発生するために電気熱変換体を備え、その電気熱変換体に印加される電気エネルギーが熱エネルギーへと変換され、その熱エネルギーをインクに与えることにより生じる膜沸騰による気泡の成長、収縮によって生じる圧力変化を利用して、吐出口よりインクを吐出させる。この電気熱変換体は各吐出口のそれぞれに対応して設けられ、記録信号に応じて対応する電気熱変換体にパルス電圧を印加することによって対応する吐出口からインクを吐出する。
【0036】
図1に示されているように、キャリッジ2はキャリッジモータM1の駆動力を伝達する伝達機構4の駆動ベルト7の一部に連結されており、ガイドシャフト13に沿って矢印A方向に摺動自在に案内支持されるようになっている。従って、キャリッジ2は、キャリッジモータM1の正転及び逆転によってガイドシャフト13に沿って往復移動する。また、キャリッジ2の移動方向(矢印A方向)に沿ってキャリッジ2の絶対位置を示すためのスケール8が備えられている。この実施形態では、スケール8は透明なPETフィルムに必要なピッチで黒色のバー(スリット)を印刷したものを用いており、その一方はシャーシ9に固着され、他方は板バネ(不図示)で支持されている。そして、キャリッジ2にはスケール8のスリットを読み取るためのエンコーダ(不図示)が設けられている。
【0037】
また、記録装置には、記録ヘッド3の吐出口(不図示)が形成された吐出口面に対向してプラテン(不図示)が設けられており、キャリッジモータM1の駆動力によって記録ヘッド3を搭載したキャリッジ2が往復移動されると同時に、記録ヘッド3に記録信号を与えてインクを吐出することによって、プラテン上に搬送された記録媒体Pの全幅にわたって記録が行われる。
【0038】
さらに、図1において、14は記録媒体Pを搬送するために搬送モータM2によって駆動される搬送ローラ、15はバネ(不図示)により記録媒体Pを搬送ローラ14に当接するピンチローラ、16はピンチローラ15を回転自在に支持するピンチローラホルダ、17は搬送ローラ14の一端に固着された搬送ローラギアである。そして、搬送ローラギア17に中間ギア(不図示)を介して伝達された搬送モータM2の回転により、搬送ローラ14が駆動される。
【0039】
またさらに、20は記録ヘッド3によって画像が形成された記録媒体Pを記録装置外ヘ排出するための排出ローラであり、搬送モータM2の回転が伝達されることで駆動されるようになっている。なお、排出ローラ20は記録媒体Pをバネ(不図示)により圧接する拍車ローラ(不図示)により当接する。22は拍車ローラを回転自在に支持する拍車ホルダである。
【0040】
またさらに、記録装置には、図1に示されているように、記録ヘッド3を搭載するキャリッジ2の記録動作のための往復運動の範囲外(記録領域外)の所望位置(例えば、ホームポジションに対応する位置)に、記録ヘッド3の吐出不良を回復するための回復装置10が配設されている。
【0041】
回復装置10は、記録ヘッド3の吐出口面をキャッピングするキャッピング機構11と記録ヘッド3の吐出口面をクリーニングするワイピング機構12を備えており、キャッピング機構11による吐出口面のキャッピングに連動して回復装置内の吸引手段(吸引ポンプ等)により吐出口からインクを強制的に排出させ、それによって、記録ヘッド3のインク流路内の粘度の増したインクや気泡等を除去するなどの吐出回復処理を行う。
【0042】
また、非記録動作時等には、記録ヘッド3の吐出口面をキャッピング機構11によるキャッピングすることによって、記録ヘッド3を保護するとともにインクの蒸発や乾燥を防止することができる。一方、ワイピング機構12はキャッピング機構11の近傍に配され、記録ヘッド3の吐出口面に付着したインク液滴を拭き取るようになっている。
【0043】
これらキャッピング機構11及びワイピング機構12により、記録ヘッド3のインク吐出状態を正常に保つことが可能となっている。
【0044】
<インクジェット記録装置の制御構成(図2)>
図2は図1に示した記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【0045】
図2に示すように、コントローラ600は、MPU601、後述する制御シーケンスに対応したプログラム、所要のテーブル、その他の固定データを格納したROM602、後述するインク打ち込み量の制御に係る画像処理、キャリッジモータM1の制御、搬送モータM2の制御、及び、記録ヘッド3の制御のための制御信号を生成する特殊用途集積回路(ASIC)603、画像データの展開領域やプログラム実行のための作業用領域等を設けたRAM604、MPU601、ASIC603、RAM604を相互に接続してデータの授受を行うシステムバス605、以下に説明するセンサ群からのアナログ信号を入力してA/D変換し、デジタル信号をMPU601に供給するA/D変換器606などで構成される。
【0046】
また、図2において、610は画像データの供給源となるコンピュータ(或いは、画像読取り用のリーダやデジタルカメラなど)でありホスト装置と総称される。ホスト装置610と記録装置1との間ではインタフェース(I/F)611を介して画像データ、コマンド、ステータス信号等を送受信する。
【0047】
さらに、620はスイッチ群であり、電源スイッチ621、プリント開始を指令するためのプリントスイッチ622、及び記録ヘッド3のインク吐出性能を良好な状態に維持するための処理(回復処理)の起動を指示するための回復スイッチ623など、操作者による指令入力を受けるためのスイッチから構成される。630はホームポジションhを検出するためのフォトカプラなどの位置センサ631、環境温度を検出するために記録装置の適宜の箇所に設けられた温度センサ632等から構成される装置状態を検出するためのセンサ群である。
【0048】
さらに、640はキャリッジ2を矢印A方向に往復走査させるためのキャリッジモータM1を駆動させるキャリッジモータドライバ、642は記録媒体Pを搬送するための搬送モータM2を駆動させる搬送モータドライバである。
【0049】
ASIC603は、記録ヘッド3による記録走査の際に、RAM602の記憶領域に直接アクセスしながら記録ヘッドに対して記録素子(吐出ヒータ)の駆動データ(DATA)を転送する。
【0050】
なお、上述のように、インクカートリッジ6と記録ヘッド3と分離可能に構成しても良いが、これらが一体的に形成されて交換可能なヘッドカートリッジIJCを構成しても良い。
【0051】
図3は、インクタンクと記録ヘッドとが一体的に形成されたヘッドカートリッジIJCの構成を示す外観斜視図である。図3において、点線KはインクタンクITと記録ヘッドIJHの境界線である。ヘッドカートリッジIJCにはこれがキャリッジ2に搭載されたときには、キャリッジ2側から供給される電気信号を受け取るための電極(不図示)が設けられており、この電気信号によって、前述のように記録ヘッドIJHが駆動されてインクが吐出される。
【0052】
なお、図3において、500はインク吐出口列である。また、インクタンクITにはインクを保持するために繊維質状もしくは多孔質状のインク吸収体が設けられている。
【0053】
図4はASIC603で実行する画像処理の詳細を示すブロック図である。
【0054】
この画像処理は、入力データとして各画素各色成分が8ビットづつのRGBで表現されるカラー画像データを用いる。
【0055】
さて、画像入力処理部101では各画素各色成分がRGB8ビットのカラー画像データを入力し、これを色変換処理部102で各色成分が8ビットのCMYK濃度データに変換される。そして、ガンマ処理部104ではCMYK濃度データが夫々リニアになるように1次元LUTを用いてガンマ補正され、さらにその補正された濃度データを公知の誤差拡散法やディザ法などを用いて2値化処理部105でCMYK2値データに変換する。
【0056】
その、CMYK2値データが、記録ヘッド3を用いて記録を行わせる記録処理部106に出力され、所望の記録媒体上に記録される。この場合、2値データ値が“1(ON)”となる位置に、記録ヘッドから吐出されたインクが付着することになる。
【0057】
次に、色変換処理部102の処理について、図5を参照して詳細に述べる。
【0058】
図5は3次元LUTを用いて入力RGBデータがどのようにCMYKデータに変換されるのか補間処理する様子を模式的に表す図である。
【0059】
色変換処理102におけるパラメータである色変換LUT103は、RGB各軸16点の格子を有する3次元LUTとなっており、予め16×16×16=4096個の格子点に対応する色変換値CMYKを設定しておく。そして、入力RGB値201を取り囲む8点の格子点202を求め、それぞれの格子点位置をR0G0B0〜R1G1B1とする。それらの格子点における色変換値をcmyk000〜cmyk111とすると、任意の入力RGB値に対する色変換値CMYKは、四面体補間により、以下のように求まる。
【0060】
CMYK=cmyk000
+c1*ΔR/(R1−R0)
+c2*ΔG/(G1−G0)
+c3*ΔB/(B1−B0)
ただし、ΔR=R−R0,ΔG=G−G0,ΔB=B−B0とする。
【0061】
ここで、c1、c2、c3は、以下の6つで場合分けされる。
(1)ΔR>ΔG>ΔBの時
c1=cmyk100−cmyk000,c2=cmyk110−cmyk100,c3=cmyk111−cmyk110
(2)ΔR>ΔB>ΔGの時
c1=cmyk100−cmyk000,c2=cmyk111−cmyk101,c3=cmyk101−cmyk100
(3)ΔB>ΔR>ΔGの時
c1=cmyk101−cmyk001,c2=cmyk111−cmyk101,c3=cmyk001−cmyk000
(4)ΔG>ΔR>ΔBの時
c1=cmyk110−cmyk010,c2=cmyk010−cmyk000,c3=cmyk111−cmyk110
(5)ΔG>ΔB>ΔRの時
c1=cmyk111−cmyk011,c2=cmyk010−cmyk000,c3=cmyk011−cmyk010
(6)ΔB>ΔG>ΔRの時
c1=cmyk111−cmyk011,c2=cmyk011−cmyk001, c3=cmyk001−cmyk000
この実施例で、インク打ち込み量が夫々、小、中、大になるように色変換LUT1、 色変換LUT2、色変換LUT3の3種を用意する。
【0062】
図6は3つの色変換LUTと格子点RGB値との関係を示す図である。
【0063】
ユーザは、後述する色変換LUT選択・設定処理部111において色変換LUT103の3つのLUTの中から最適なLUTを選択する。なお、初期設定時には、インク打ち込み量が「中」である色変換LUT2が設定されている。
【0064】
さて再び図4に戻り、画素インク打ち込み量算出処理部107について説明する。
【0065】
入力される各画素各色成分8ビットのRGBデータは、予め設定してあるインク打ち込み量LUT108を用いて、画素ごとのインク打ち込み量値に変換される。このインク打ち込み量LUT108は、色変換LUT選択・設定処理部111において選択設定される色変換LUT103に対応させて用意し、同様にRGB各軸16点の格子を有する3次元LUTとなっている。
【0066】
図7は3つのインク打ち込み量LUTと格子点RGB値との関係を示す図である。
【0067】
ここで、図7を参照して、インク打ち込み量値の求め方について簡単に説明する。
【0068】
まず、1インチ平方で均一なパッチデータを仮定し、このパッチデータの色が、色変換LUT103の格子点での色変換値CMYKであるとする。例えば、記録装置の解像度が600dpiとすると、画素数が600×600のパッチデータとなる。このパッチデータに、ガンマ処理、2値化処理を施して、CMYK2値データに変換する。
【0069】
図8はパッチデータにガンマ処理と2値化処理を施してCMYK2値データに変換する様子を例示する図である。
【0070】
図8では、色変換LUT1を用い、RGB格子点値=(0,0,0)の色変換値cmyk=(100,50,60,255)の例を示している。
【0071】
このようにして得られた2値データを用いて、600×600の画素からなるパッチデータ中のONドット(即ち、インク吐出が発生するドット)の割合を算出する。
【0072】
図8に示す例では、C=45%、M=15%、Y=30%、K=100%、計190%となる。このような合計値の算出を、色変換LUT103の全格子点に行うことで、図7のインク打ち込み量LUTの値が得られる。
【0073】
さて、インク打ち込み量算出処理部107では、以上説明したインク打ち込み量LUT108を用いて、入力画像(ユーザが記録を望む画像)の画素ごと(単位領域毎)のインク打ち込み量の情報を取得する。
【0074】
そして、画素インク打ち込み量プレビュー処理部109では、このインク打ち込み量を示す情報を、画像データとしてモニタ等にプレビュー表示させる。このプレビューは、生成された画像データをホスト装置610に転送することで、ホスト装置のディスプレイに表示しても良いし、或いは記録装置にプレビューに用いることのできる、例えば、小型LCDなどの表示部があれば、その表示部に表示しても良い。
【0075】
例えば、300%のインク打ち込み量を上限として黒を割り当て、0%を下限として白を割り当て、その間の値を対応するグレイ値で表現するグレイスケール画像としてプレビューさせる。このプレビュー画面の具体例を図10に示す。入力画像として、黄−緑−水色−青−ピンク−赤に推移するグラデーション画像501を仮定する。黄、水色、ピンクはプリンタで用いるインクであるC/M/Yを、ほぼそのまま利用できるため100%程度のインク打ち込み量ですむ。一方、緑、青、赤は、C/M/Yの2色を混色する必要があるため、最大200%程度のインク打ち込み量を必要とする。
【0076】
このような入力画像501における画素(各単位領域)のインク打ち込み量は線502で示されるような値をとり、画素(各単位領域)のインク打ち込み量の分布は線502のようになる。そして、プレビュー画面上には、インク打ち込み量の分布を示す情報として、インク打ち込み量画像503を表示する。
【0077】
また、別の例として、入力画像として、白から黒に推移するグラデーション画像504の場合には、そのインク打ち込み量の分布は線505のようになる。「濃いグレイ」ではC/M/Yの3色を混色するため、インク打ち込み量が200%を超えている。「黒」ではKインクを利用するため、C/M/Yのインク使用量が相対的に少なくなり、インク打ち込み量が「濃いグレイ」に比べて下がっている。結果として、プレビュー画面上では、インク打ち込み量の分布を示す情報として、インク打ち込み量画像506が得られる。
【0078】
また、総インク消費量算出処理部110では、全画素分(全単位領域分)のインク打ち込み量を合計し、その合計値と、実際の記録ヘッド3からのインク吐出量との積を求め、こうして求めた総打ち込み量を示す情報をユーザに通知する。この値は、その画像を記録するのに要する画像形成のための総インク消費量(総インク付与量)となり、ランニングコストの指標となる。
【0079】
ここで、入力画像に対するインク打ち込み量と総インク打ち込み量の表示例を図11に示す。カラーの入力画像をプレビューの左側601に表示し、それに対するグレイスケールのインク打ち込み量画像を右側602に表示する。総インク消費量(総インク打ち込み量)は603のように表示する。また、閾値の設定として、スライダ604を設ける。そして、インク打ち込み量画像602にて、この閾値を超える領域を点滅させたり赤く表示させることにより、画像のインク打ち込み量の分布がより明確になる。さらに、色変換LUT番号の選択入力ダイアログ605を設け、ここで選択された色変換LUTに応じて、インク打ち込み量画像602や総インク消費量603が再表示されることで、後述する色変換LUT選択処理の助けになる。
【0080】
このように、ユーザは視覚的に、入力画像におけるインク打ち込み量分布を把握でき、特に、打ち込み量が多く、にじみの発生しやすい領域の特定が可能となる。
【0081】
最後に、色変換LUT選択・設定処理部111では、上記の画素インク打ち込み量プレビュー処理部109による処理結果と、総インク消費量算出処理部110による処理結果、さらには記録処理部106において得られたサンプル画像をユーザが確認し、総合的な判断をして最終的に色変換LUT103を選択・設定する。この選択は、記録装置のスイッチ群620に設けられたキー入力によって行っても良いし、或いは、ホスト装置のディスプレイに表示した場合には、ホスト装置からキー入力によって行っても良い。なお、ホスト装置からのキー入力の結果は、選択データとしてインタフェース611を介して記録装置に送信される。
【0082】
従って以上説明した実施例に従えば、従来の方法がサンプル画像のみを手がかりにユーザはインク打ち込み量パラメータを選択設定する判断を迫られたのに対し、インク打ち込み量の分布を示す情報や、総インク消費量を示す情報を利用することで、ユーザの好みに合わせたインク打ち込み量の設定を効率的に行うことができる。
【0083】
特に、なるべくインク打ち込み量を多くして、色再現範囲を広げたい場合や、ランニングコストを削減するためにできるだけ少ないインク消費量で記録を行わせたい場合、あるいは、ユーザ所望の特別な媒体のにじみ状況の把握を行い、最適なインク打ち込み量を設定させたい場合に、以上説明した方法は効果的である。
【0084】
なお、この実施例では、予めインク打ち込み量別に3つの色変換LUTやインク打ち込み量LUTを設定した例について説明したが、本発明はこれによって限定されるものではなく、3つ以上のLUTを用いても良いことは言うまでもない。また、予めLUTを作成しておく代わりに、ユーザ設定により動的にこれらのLUTを作成しても構わない。さらに、この実施例では、色変換処理での色変換LUTを変化させた例について説明したが、ガンマ処理でのガンマテーブルや2値化処理における2値化パラメータを変化させる構成にしても構わない。
【0085】
また、以上説明した実施例ではインク打ち込み量の制御に係る画像処理を記録装置のASICで実行する例について説明したが本発明はこれによって限定されるものではない。
【0086】
例えば、記録装置のMPUや或いは記録装置を接続するホスト装置のCPUにおいて実行しても良い。その場合、図9のフローチャートに示すような処理が実行される。そして、この処理は記録装置やホスト装置のメモリに格納されるプログラムを実行することにより実現される。ホスト装置において、この処理が実行される場合、図4に示す記録処理以外の処理が実行され、2値のCMYKデータがホストから記録装置に転送され、記録装置側でサンプル画像出力のような実際に記録ヘッドを駆動した処理のみが実行される。
【0087】
まず、ステップS101では各画素各色成分8ビットのRGBデータを入力し、ステップS102では、そのRGBデータに基づいて600×600画素のパッチ毎(即ち、1インチ平方毎)のインク打ち込み量を記録媒体全体にわたって算出し、さらに、ステップS103では全画素分のインク打ち込み量を合計し、その合計値と、実際の記録ヘッド3からのインク吐出量との積を求め、総インク消費量を算出する。
【0088】
ステップS104、S105では夫々、インク打ち込み量の分布をディスプレイに表示し、総インク量も表示する。また、ステップS106では選択可能なLUTのリスト(この実施例では3つのLUT)をディスプレイ表示し、ユーザに所望のものを選択させる。
【0089】
ステップS107では、その選択されたLUTに基づいて、RGB→CMYK変換を実行し、さらにステップS108ではガンマ変換、ステップS109では2値化処理を実行する。最後に、ステップS110では、2値のCMYKデータを出力する。
【0090】
ここで、この処理がホスト装置のCPUで実行されるなら、2値のCMYKデータは記録装置にインタフェースを介して出力され記録装置で記録処理が実行される。一方、記録装置のCPUで実行されるなら、2値のCMYKデータはASICを介して記録ヘッドに出力され記録処理が実行される。
【0091】
なお、適当なLUTを選択してサンプル画像を記録装置から出力させ、そのサンプル画像を目視確認しながら、さらに、ディスプレイ表示されたインク打ち込み量分布と総インク消費量とを参照して、再度LUTを選択して最終的な決定をしても良い。
【0092】
さらに、以上の実施例において、記録ヘッドから吐出される液滴はインクであるとして説明し、さらにインクタンクに収容される液体はインクであるとして説明したが、その収容物はインクに限定されるものではない。例えば、記録画像の定着性や耐水性を高めたり、その画像品質を高めたりするために記録媒体に対して吐出される処理液のようなものがインクタンクに収容されていても良い。
【0093】
以上の実施例は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いることにより記録の高密度化、高精細化が達成できる。
【0094】
加えて、以上の実施例のようなシリアルスキャンタイプのものでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0095】
さらに加えて、本発明のインクジェット記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力装置として用いられるものの他、リーダ等と組合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0096】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0097】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明の範囲に含まれるものである。
【0098】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0099】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0100】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の代表的な実施例であるインクジェット記録装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【図3】インクタンクと記録ヘッドとが一体的に形成されたヘッドカートリッジIJCの構成を示す外観斜視図である。
【図4】ASICで実行される画像処理の概略を示す機能ブロック図である。
【図5】3次元LUTを用いた補間処理を表す図である。
【図6】3種類の色変換LUTを表す図である。
【図7】3種類のインク打ち込み量LUTを表す図を示す図である。
【図8】インク打ち込み量LUTの算出方法を表す図である。
【図9】画像処理の詳細を示すフローチャートである。
【図10】インク打ち込み量の分布を表示するプレビュー画面の一例を示す図である。
【図11】インク打ち込み量の分布と総インク打ち込み量を表示するプレビュー画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0102】
101 画像入力処理部
102 色変換処理部
103 色変換LUT
104 ガンマ変換処理部
105 2値化処理部
106 記録処理部
107 画素インク打ち込み量算出部
108 インク打ち込み量LUT
109 画素インク打ち込み量プレビュー部
110 総インク消費量算出部
111 色変換LUT選択・設定処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は記録装置及び画像処理方法に関し、特に、例えば、インクジェット記録ヘッドを用いてフルカラー画像の記録を行う記録装置及びその装置に適用可能な画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット記録装置(以下、記録装置)などの出力デバイスを用いて、ユーザが所望の記録媒体に画像を出力する場合、記録装置やその装置のホストにインストールされたプリンタドライバの設定を適切に行うことで、にじみ等が発生しない良好な画像出力が得られる。これは、その記録装置で利用可能な多種多様な記録媒体に対し、その記録装置のメーカが予め最適な画像処理パラメータ、例えば、インク打ち込み量パラメータを設定しているからである。
【0003】
一般的に記録媒体に対し、単位面積あたりのインク打ち込み量を増やせば、それだけ濃度が高くなり、色再現範囲が広がる傾向となる反面、にじみや裏うつりが発生しやすくなる。色再現範囲やにじみなどの挙動は、その媒体の特性に依存しているため、従来より媒体毎にインク打ち込み量の最適化設計が進められている(例えば、特許文献1の図5参照)。
【特許文献1】特開平11−348247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、記録装置の適用範囲が広がり、メーカの設定したインク打ち込み量パラメータでは満足できないケースがでてきた。例えば、多少のにじみがあっても濃度の高い鮮やかな色を望むユーザや、多少色が薄くてもインク消費に伴うランニングコストを抑えたいユーザ、またメーカがサポートする以外の特別な記録媒体を利用したいユーザなど、ユーザの要求は多岐にわたるものとなってきた。
【0005】
しかしながら、上記従来例によれば、インク打ち込み量の調整は、予めメーカによって設定されたパラメータを用いる以外に、ユーザが独自にそのインク打ち込み量を変更することは困難であった。
【0006】
また、インク打ち込み量パラメータをユーザが独自に設定できる場合にも、その設定における効果や弊害を確認する作業に長い時間を要するという問題があった。
【0007】
例えば、インク打ち込み量が大きくなるパラメータ設定をした場合、画像全体にわたるインク打ち込み量の分布が分からないため、出力サンプルの全領域において、にじみの程度を確認して問題が無いことを確認する必要があった。これは時間を要する処理である。
【0008】
また、ランニングコストを抑えるためにインク打ち込み量が小さくなるようにパラメータ設定をしても、定量的にどの程度インク消費量が低減するのかを把握することが困難であった。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、ユーザが効率的に所望の記録剤使用量を確認、選択、設定可能な記録装置と画像処理方法とを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の画像処理方法は、以下のような工程からなる。
【0011】
即ち、記録媒体に記録剤を付与するための記録データを得るために入力画像データに対して画像処理を施す画像処理方法であって、前記入力画像データに基づいて、前記記録媒体に画像を記録するために付与される各単位領域当たりの記録剤の量を示す情報を取得する第1取得工程と、前記第1取得工程において取得された前記各単位領域の記録剤の付与量を示す情報に基づき、全単位領域に付与される総付与量を示す情報を取得する第2取得工程と、前記第1取得工程において得られる前記単位領域毎の記録剤に付与量を示す情報と、第2取得工程において得られる前記総付与量を示す情報とを表示する表示工程と、前記表示工程において表示された前記記録剤の付与量を示す情報と総付与量を示す情報とに基づいて前記画像処理を実行するための適切なパラメータを選択する選択工程とを有することを特徴とする。
【0012】
さらに、前記選択工程において選択されたパラメータに基づいて画像処理を実行する画像処理工程と、前記画像処理工程において実行される画像処理の結果得られる記録データを用いて前記記録媒体に記録を行う記録工程とを有することが望ましい。
【0013】
またさらに、前記選択工程は、前記記録工程において記録された画像をさらに参照して適切なパラメータを選択すると良い。
【0014】
なお、前記パラメータとは前記画像処理を実行するためのLUTである。
【0015】
さて、前記入力画像データは、前記単位領域に相当する画素の各色成分を多値で表すRGBデータであり、前記画像処理は、RGBデータをCMYKに変換する色変換処理、該色変換処理によって得られたCMYK多値データにガンマ変換を施す処理、該ガンマ変換されたCMYK多値データを2値化する2値化処理を含むと良い。
【0016】
また、前記記録剤はインクであることが好ましい。
【0017】
前記画像の形成はインクジェット記録ヘッドを用いてなされることが好ましく、そのインクジェット記録ヘッドは、熱エネルギーを利用してインクを吐出するために、インクに与える熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備えていることがより好ましい。
【0018】
また他の発明に従えば、上記構成の画像処理方法の各工程をコンピュータを用いて実行させるコンピュータプログラムを備える。
【0019】
さらに他の発明に従えば、上記構成の画像処理方法の各工程をコンピュータを用いて実行させるコンピュータプログラムを格納したコンピュータ可読の記録媒体を備える。
【0020】
またさらに他の発明に従えば、ホスト装置から入力される画像データを画像処理することで得られた記録データを用いて記録媒体に記録剤を付与して画像を記録する記録装置であって、前記入力画像データに基づいて、前記記録媒体に画像を記録するために付与される各単位領域当たりの記録剤の付与量を示す情報を取得する第1取得手段と、前記第1取得手段によって取得された前記各単位領域の記録剤の付与量を示す情報に基づいて、全単位領域に付与される総付与量を示す情報を取得する第2取得手段と、前記第1及び第2取得手段によって取得された前記単位領域毎の記録剤の付加量を示す情報と前記総付与量を示す情報とに基づいて、前記画像処理を実行するための適切なパラメータを選択する選択手段とを有することを特徴とする記録装置を備える。
【0021】
さらに、前記第1及び第2取得手段において夫々得られた記録剤の付与量を示す情報と前記総付与量を示す情報とを表示する表示手段を有しても良い。
【0022】
或いは、前記第1及び第2取得手段において夫々得られた前記単位領域毎の記録剤の付与量を示す情報と前記総付与量を示す情報とを前記ホスト装置に転送する転送手段と、前記転送手段により前記ホスト装置に転送された前記単位領域毎の記録剤の付与量を示す情報と前記総付与量を示す情報とに基づいて選択された前記画像処理のためのパラメータを受信する受信手段とをさらに備え、前記選択手段は前記受信手段により受信したパラメータに基づいて適切なパラメータ選択を行うようにしても良い。
【0023】
またさらに他の発明に従えば、記録データを用いて記録媒体に記録剤を付与して画像を記録する記録装置に接続され、前記記録データを生成するために入力画像データに対して画像処理を実行するためのホスト装置であって、前記入力画像データに基づいて、前記記録媒体に画像を記録するために付与される各単位領域当たりの記録剤の付与量を示す情報を取得する第1取得手段と、前記第1取得手段によって取得された前記各単位領域の記録剤の付与量を示す情報に基づいて、全単位領域に付与される総付与量を示す情報を取得する第2取得手段と、前記第1及び第2取得手段によって夫々得られた前記単位領域毎の記録剤の付与量を示す情報と前記総付与量を示す情報とを表示する表示手段と、前記表示手段によって表示された前記単位領域毎の記録剤の付与量を示す情報と前記総付与量を示す情報とに基づいて前記画像処理を実行するための適切なパラメータを選択する選択手段とを有することを特徴とするホスト装置を備える。
【発明の効果】
【0024】
従って本発明によれば、自動的に生成された記録剤の使用量分布や画像全域における総消費量を確認して画像処理を実行するのに適切なパラメータを選択することができるので、効率的にユーザが所望のパラメータ設定を行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施例について、さらに具体的かつ詳細に説明する。
【0026】
なお、この明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0027】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0028】
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
【0029】
またさらに、「ノズル」とは、特にことわらない限り吐出口ないしこれに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言うものとする。
【0030】
<インクジェット記録装置の説明(図1)>
図1は本発明の代表的な実施形態であるインクジェット記録装置の構成の概要を示す外観斜視図である。
【0031】
図1に示すように、インクジェット記録装置(以下、記録装置という)は、インクジェット方式に従ってインクを吐出して記録を行なう記録ヘッド3を搭載したキャリッジ2にキャリッジモータM1によって発生する駆動力を伝達機構4より伝え、キャリッジ2を矢印A方向に往復移動させるとともに、例えば、記録紙などの記録媒体Pを給紙機構5を介して給紙し、記録位置まで搬送し、その記録位置において記録ヘッド3から記録媒体Pにインクを吐出することで記録を行なう。
【0032】
また、記録ヘッド3の状態を良好に維持するためにキャリッジ2を回復装置10の位置まで移動させ、間欠的に記録ヘッド3の吐出回復処理を行う。
【0033】
記録装置1のキャリッジ2には記録ヘッド3を搭載するのみならず、記録ヘッド3に供給するインクを貯留するインクカートリッジ6を装着する。インクカートリッジ6はキャリッジ2に対して着脱自在になっている。
【0034】
図1に示した記録装置はカラー記録が可能であり、そのためにキャリッジ2にはマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロ(Y)、ブラック(K)のインクを夫々、収容した4つのインクカートリッジを搭載している。これら4つのインクカートリッジは夫々独立に着脱可能である。
【0035】
さて、キャリッジ2と記録ヘッド3とは、両部材の接合面が適正に接触されて所要の電気的接続を達成維持できるようになっている。記録ヘッド3は、記録信号に応じてエネルギーを印加することにより、複数の吐出口からインクを選択的に吐出して記録する。特に、この実施形態の記録ヘッド3は、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット方式を採用し、熱エネルギーを発生するために電気熱変換体を備え、その電気熱変換体に印加される電気エネルギーが熱エネルギーへと変換され、その熱エネルギーをインクに与えることにより生じる膜沸騰による気泡の成長、収縮によって生じる圧力変化を利用して、吐出口よりインクを吐出させる。この電気熱変換体は各吐出口のそれぞれに対応して設けられ、記録信号に応じて対応する電気熱変換体にパルス電圧を印加することによって対応する吐出口からインクを吐出する。
【0036】
図1に示されているように、キャリッジ2はキャリッジモータM1の駆動力を伝達する伝達機構4の駆動ベルト7の一部に連結されており、ガイドシャフト13に沿って矢印A方向に摺動自在に案内支持されるようになっている。従って、キャリッジ2は、キャリッジモータM1の正転及び逆転によってガイドシャフト13に沿って往復移動する。また、キャリッジ2の移動方向(矢印A方向)に沿ってキャリッジ2の絶対位置を示すためのスケール8が備えられている。この実施形態では、スケール8は透明なPETフィルムに必要なピッチで黒色のバー(スリット)を印刷したものを用いており、その一方はシャーシ9に固着され、他方は板バネ(不図示)で支持されている。そして、キャリッジ2にはスケール8のスリットを読み取るためのエンコーダ(不図示)が設けられている。
【0037】
また、記録装置には、記録ヘッド3の吐出口(不図示)が形成された吐出口面に対向してプラテン(不図示)が設けられており、キャリッジモータM1の駆動力によって記録ヘッド3を搭載したキャリッジ2が往復移動されると同時に、記録ヘッド3に記録信号を与えてインクを吐出することによって、プラテン上に搬送された記録媒体Pの全幅にわたって記録が行われる。
【0038】
さらに、図1において、14は記録媒体Pを搬送するために搬送モータM2によって駆動される搬送ローラ、15はバネ(不図示)により記録媒体Pを搬送ローラ14に当接するピンチローラ、16はピンチローラ15を回転自在に支持するピンチローラホルダ、17は搬送ローラ14の一端に固着された搬送ローラギアである。そして、搬送ローラギア17に中間ギア(不図示)を介して伝達された搬送モータM2の回転により、搬送ローラ14が駆動される。
【0039】
またさらに、20は記録ヘッド3によって画像が形成された記録媒体Pを記録装置外ヘ排出するための排出ローラであり、搬送モータM2の回転が伝達されることで駆動されるようになっている。なお、排出ローラ20は記録媒体Pをバネ(不図示)により圧接する拍車ローラ(不図示)により当接する。22は拍車ローラを回転自在に支持する拍車ホルダである。
【0040】
またさらに、記録装置には、図1に示されているように、記録ヘッド3を搭載するキャリッジ2の記録動作のための往復運動の範囲外(記録領域外)の所望位置(例えば、ホームポジションに対応する位置)に、記録ヘッド3の吐出不良を回復するための回復装置10が配設されている。
【0041】
回復装置10は、記録ヘッド3の吐出口面をキャッピングするキャッピング機構11と記録ヘッド3の吐出口面をクリーニングするワイピング機構12を備えており、キャッピング機構11による吐出口面のキャッピングに連動して回復装置内の吸引手段(吸引ポンプ等)により吐出口からインクを強制的に排出させ、それによって、記録ヘッド3のインク流路内の粘度の増したインクや気泡等を除去するなどの吐出回復処理を行う。
【0042】
また、非記録動作時等には、記録ヘッド3の吐出口面をキャッピング機構11によるキャッピングすることによって、記録ヘッド3を保護するとともにインクの蒸発や乾燥を防止することができる。一方、ワイピング機構12はキャッピング機構11の近傍に配され、記録ヘッド3の吐出口面に付着したインク液滴を拭き取るようになっている。
【0043】
これらキャッピング機構11及びワイピング機構12により、記録ヘッド3のインク吐出状態を正常に保つことが可能となっている。
【0044】
<インクジェット記録装置の制御構成(図2)>
図2は図1に示した記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【0045】
図2に示すように、コントローラ600は、MPU601、後述する制御シーケンスに対応したプログラム、所要のテーブル、その他の固定データを格納したROM602、後述するインク打ち込み量の制御に係る画像処理、キャリッジモータM1の制御、搬送モータM2の制御、及び、記録ヘッド3の制御のための制御信号を生成する特殊用途集積回路(ASIC)603、画像データの展開領域やプログラム実行のための作業用領域等を設けたRAM604、MPU601、ASIC603、RAM604を相互に接続してデータの授受を行うシステムバス605、以下に説明するセンサ群からのアナログ信号を入力してA/D変換し、デジタル信号をMPU601に供給するA/D変換器606などで構成される。
【0046】
また、図2において、610は画像データの供給源となるコンピュータ(或いは、画像読取り用のリーダやデジタルカメラなど)でありホスト装置と総称される。ホスト装置610と記録装置1との間ではインタフェース(I/F)611を介して画像データ、コマンド、ステータス信号等を送受信する。
【0047】
さらに、620はスイッチ群であり、電源スイッチ621、プリント開始を指令するためのプリントスイッチ622、及び記録ヘッド3のインク吐出性能を良好な状態に維持するための処理(回復処理)の起動を指示するための回復スイッチ623など、操作者による指令入力を受けるためのスイッチから構成される。630はホームポジションhを検出するためのフォトカプラなどの位置センサ631、環境温度を検出するために記録装置の適宜の箇所に設けられた温度センサ632等から構成される装置状態を検出するためのセンサ群である。
【0048】
さらに、640はキャリッジ2を矢印A方向に往復走査させるためのキャリッジモータM1を駆動させるキャリッジモータドライバ、642は記録媒体Pを搬送するための搬送モータM2を駆動させる搬送モータドライバである。
【0049】
ASIC603は、記録ヘッド3による記録走査の際に、RAM602の記憶領域に直接アクセスしながら記録ヘッドに対して記録素子(吐出ヒータ)の駆動データ(DATA)を転送する。
【0050】
なお、上述のように、インクカートリッジ6と記録ヘッド3と分離可能に構成しても良いが、これらが一体的に形成されて交換可能なヘッドカートリッジIJCを構成しても良い。
【0051】
図3は、インクタンクと記録ヘッドとが一体的に形成されたヘッドカートリッジIJCの構成を示す外観斜視図である。図3において、点線KはインクタンクITと記録ヘッドIJHの境界線である。ヘッドカートリッジIJCにはこれがキャリッジ2に搭載されたときには、キャリッジ2側から供給される電気信号を受け取るための電極(不図示)が設けられており、この電気信号によって、前述のように記録ヘッドIJHが駆動されてインクが吐出される。
【0052】
なお、図3において、500はインク吐出口列である。また、インクタンクITにはインクを保持するために繊維質状もしくは多孔質状のインク吸収体が設けられている。
【0053】
図4はASIC603で実行する画像処理の詳細を示すブロック図である。
【0054】
この画像処理は、入力データとして各画素各色成分が8ビットづつのRGBで表現されるカラー画像データを用いる。
【0055】
さて、画像入力処理部101では各画素各色成分がRGB8ビットのカラー画像データを入力し、これを色変換処理部102で各色成分が8ビットのCMYK濃度データに変換される。そして、ガンマ処理部104ではCMYK濃度データが夫々リニアになるように1次元LUTを用いてガンマ補正され、さらにその補正された濃度データを公知の誤差拡散法やディザ法などを用いて2値化処理部105でCMYK2値データに変換する。
【0056】
その、CMYK2値データが、記録ヘッド3を用いて記録を行わせる記録処理部106に出力され、所望の記録媒体上に記録される。この場合、2値データ値が“1(ON)”となる位置に、記録ヘッドから吐出されたインクが付着することになる。
【0057】
次に、色変換処理部102の処理について、図5を参照して詳細に述べる。
【0058】
図5は3次元LUTを用いて入力RGBデータがどのようにCMYKデータに変換されるのか補間処理する様子を模式的に表す図である。
【0059】
色変換処理102におけるパラメータである色変換LUT103は、RGB各軸16点の格子を有する3次元LUTとなっており、予め16×16×16=4096個の格子点に対応する色変換値CMYKを設定しておく。そして、入力RGB値201を取り囲む8点の格子点202を求め、それぞれの格子点位置をR0G0B0〜R1G1B1とする。それらの格子点における色変換値をcmyk000〜cmyk111とすると、任意の入力RGB値に対する色変換値CMYKは、四面体補間により、以下のように求まる。
【0060】
CMYK=cmyk000
+c1*ΔR/(R1−R0)
+c2*ΔG/(G1−G0)
+c3*ΔB/(B1−B0)
ただし、ΔR=R−R0,ΔG=G−G0,ΔB=B−B0とする。
【0061】
ここで、c1、c2、c3は、以下の6つで場合分けされる。
(1)ΔR>ΔG>ΔBの時
c1=cmyk100−cmyk000,c2=cmyk110−cmyk100,c3=cmyk111−cmyk110
(2)ΔR>ΔB>ΔGの時
c1=cmyk100−cmyk000,c2=cmyk111−cmyk101,c3=cmyk101−cmyk100
(3)ΔB>ΔR>ΔGの時
c1=cmyk101−cmyk001,c2=cmyk111−cmyk101,c3=cmyk001−cmyk000
(4)ΔG>ΔR>ΔBの時
c1=cmyk110−cmyk010,c2=cmyk010−cmyk000,c3=cmyk111−cmyk110
(5)ΔG>ΔB>ΔRの時
c1=cmyk111−cmyk011,c2=cmyk010−cmyk000,c3=cmyk011−cmyk010
(6)ΔB>ΔG>ΔRの時
c1=cmyk111−cmyk011,c2=cmyk011−cmyk001, c3=cmyk001−cmyk000
この実施例で、インク打ち込み量が夫々、小、中、大になるように色変換LUT1、 色変換LUT2、色変換LUT3の3種を用意する。
【0062】
図6は3つの色変換LUTと格子点RGB値との関係を示す図である。
【0063】
ユーザは、後述する色変換LUT選択・設定処理部111において色変換LUT103の3つのLUTの中から最適なLUTを選択する。なお、初期設定時には、インク打ち込み量が「中」である色変換LUT2が設定されている。
【0064】
さて再び図4に戻り、画素インク打ち込み量算出処理部107について説明する。
【0065】
入力される各画素各色成分8ビットのRGBデータは、予め設定してあるインク打ち込み量LUT108を用いて、画素ごとのインク打ち込み量値に変換される。このインク打ち込み量LUT108は、色変換LUT選択・設定処理部111において選択設定される色変換LUT103に対応させて用意し、同様にRGB各軸16点の格子を有する3次元LUTとなっている。
【0066】
図7は3つのインク打ち込み量LUTと格子点RGB値との関係を示す図である。
【0067】
ここで、図7を参照して、インク打ち込み量値の求め方について簡単に説明する。
【0068】
まず、1インチ平方で均一なパッチデータを仮定し、このパッチデータの色が、色変換LUT103の格子点での色変換値CMYKであるとする。例えば、記録装置の解像度が600dpiとすると、画素数が600×600のパッチデータとなる。このパッチデータに、ガンマ処理、2値化処理を施して、CMYK2値データに変換する。
【0069】
図8はパッチデータにガンマ処理と2値化処理を施してCMYK2値データに変換する様子を例示する図である。
【0070】
図8では、色変換LUT1を用い、RGB格子点値=(0,0,0)の色変換値cmyk=(100,50,60,255)の例を示している。
【0071】
このようにして得られた2値データを用いて、600×600の画素からなるパッチデータ中のONドット(即ち、インク吐出が発生するドット)の割合を算出する。
【0072】
図8に示す例では、C=45%、M=15%、Y=30%、K=100%、計190%となる。このような合計値の算出を、色変換LUT103の全格子点に行うことで、図7のインク打ち込み量LUTの値が得られる。
【0073】
さて、インク打ち込み量算出処理部107では、以上説明したインク打ち込み量LUT108を用いて、入力画像(ユーザが記録を望む画像)の画素ごと(単位領域毎)のインク打ち込み量の情報を取得する。
【0074】
そして、画素インク打ち込み量プレビュー処理部109では、このインク打ち込み量を示す情報を、画像データとしてモニタ等にプレビュー表示させる。このプレビューは、生成された画像データをホスト装置610に転送することで、ホスト装置のディスプレイに表示しても良いし、或いは記録装置にプレビューに用いることのできる、例えば、小型LCDなどの表示部があれば、その表示部に表示しても良い。
【0075】
例えば、300%のインク打ち込み量を上限として黒を割り当て、0%を下限として白を割り当て、その間の値を対応するグレイ値で表現するグレイスケール画像としてプレビューさせる。このプレビュー画面の具体例を図10に示す。入力画像として、黄−緑−水色−青−ピンク−赤に推移するグラデーション画像501を仮定する。黄、水色、ピンクはプリンタで用いるインクであるC/M/Yを、ほぼそのまま利用できるため100%程度のインク打ち込み量ですむ。一方、緑、青、赤は、C/M/Yの2色を混色する必要があるため、最大200%程度のインク打ち込み量を必要とする。
【0076】
このような入力画像501における画素(各単位領域)のインク打ち込み量は線502で示されるような値をとり、画素(各単位領域)のインク打ち込み量の分布は線502のようになる。そして、プレビュー画面上には、インク打ち込み量の分布を示す情報として、インク打ち込み量画像503を表示する。
【0077】
また、別の例として、入力画像として、白から黒に推移するグラデーション画像504の場合には、そのインク打ち込み量の分布は線505のようになる。「濃いグレイ」ではC/M/Yの3色を混色するため、インク打ち込み量が200%を超えている。「黒」ではKインクを利用するため、C/M/Yのインク使用量が相対的に少なくなり、インク打ち込み量が「濃いグレイ」に比べて下がっている。結果として、プレビュー画面上では、インク打ち込み量の分布を示す情報として、インク打ち込み量画像506が得られる。
【0078】
また、総インク消費量算出処理部110では、全画素分(全単位領域分)のインク打ち込み量を合計し、その合計値と、実際の記録ヘッド3からのインク吐出量との積を求め、こうして求めた総打ち込み量を示す情報をユーザに通知する。この値は、その画像を記録するのに要する画像形成のための総インク消費量(総インク付与量)となり、ランニングコストの指標となる。
【0079】
ここで、入力画像に対するインク打ち込み量と総インク打ち込み量の表示例を図11に示す。カラーの入力画像をプレビューの左側601に表示し、それに対するグレイスケールのインク打ち込み量画像を右側602に表示する。総インク消費量(総インク打ち込み量)は603のように表示する。また、閾値の設定として、スライダ604を設ける。そして、インク打ち込み量画像602にて、この閾値を超える領域を点滅させたり赤く表示させることにより、画像のインク打ち込み量の分布がより明確になる。さらに、色変換LUT番号の選択入力ダイアログ605を設け、ここで選択された色変換LUTに応じて、インク打ち込み量画像602や総インク消費量603が再表示されることで、後述する色変換LUT選択処理の助けになる。
【0080】
このように、ユーザは視覚的に、入力画像におけるインク打ち込み量分布を把握でき、特に、打ち込み量が多く、にじみの発生しやすい領域の特定が可能となる。
【0081】
最後に、色変換LUT選択・設定処理部111では、上記の画素インク打ち込み量プレビュー処理部109による処理結果と、総インク消費量算出処理部110による処理結果、さらには記録処理部106において得られたサンプル画像をユーザが確認し、総合的な判断をして最終的に色変換LUT103を選択・設定する。この選択は、記録装置のスイッチ群620に設けられたキー入力によって行っても良いし、或いは、ホスト装置のディスプレイに表示した場合には、ホスト装置からキー入力によって行っても良い。なお、ホスト装置からのキー入力の結果は、選択データとしてインタフェース611を介して記録装置に送信される。
【0082】
従って以上説明した実施例に従えば、従来の方法がサンプル画像のみを手がかりにユーザはインク打ち込み量パラメータを選択設定する判断を迫られたのに対し、インク打ち込み量の分布を示す情報や、総インク消費量を示す情報を利用することで、ユーザの好みに合わせたインク打ち込み量の設定を効率的に行うことができる。
【0083】
特に、なるべくインク打ち込み量を多くして、色再現範囲を広げたい場合や、ランニングコストを削減するためにできるだけ少ないインク消費量で記録を行わせたい場合、あるいは、ユーザ所望の特別な媒体のにじみ状況の把握を行い、最適なインク打ち込み量を設定させたい場合に、以上説明した方法は効果的である。
【0084】
なお、この実施例では、予めインク打ち込み量別に3つの色変換LUTやインク打ち込み量LUTを設定した例について説明したが、本発明はこれによって限定されるものではなく、3つ以上のLUTを用いても良いことは言うまでもない。また、予めLUTを作成しておく代わりに、ユーザ設定により動的にこれらのLUTを作成しても構わない。さらに、この実施例では、色変換処理での色変換LUTを変化させた例について説明したが、ガンマ処理でのガンマテーブルや2値化処理における2値化パラメータを変化させる構成にしても構わない。
【0085】
また、以上説明した実施例ではインク打ち込み量の制御に係る画像処理を記録装置のASICで実行する例について説明したが本発明はこれによって限定されるものではない。
【0086】
例えば、記録装置のMPUや或いは記録装置を接続するホスト装置のCPUにおいて実行しても良い。その場合、図9のフローチャートに示すような処理が実行される。そして、この処理は記録装置やホスト装置のメモリに格納されるプログラムを実行することにより実現される。ホスト装置において、この処理が実行される場合、図4に示す記録処理以外の処理が実行され、2値のCMYKデータがホストから記録装置に転送され、記録装置側でサンプル画像出力のような実際に記録ヘッドを駆動した処理のみが実行される。
【0087】
まず、ステップS101では各画素各色成分8ビットのRGBデータを入力し、ステップS102では、そのRGBデータに基づいて600×600画素のパッチ毎(即ち、1インチ平方毎)のインク打ち込み量を記録媒体全体にわたって算出し、さらに、ステップS103では全画素分のインク打ち込み量を合計し、その合計値と、実際の記録ヘッド3からのインク吐出量との積を求め、総インク消費量を算出する。
【0088】
ステップS104、S105では夫々、インク打ち込み量の分布をディスプレイに表示し、総インク量も表示する。また、ステップS106では選択可能なLUTのリスト(この実施例では3つのLUT)をディスプレイ表示し、ユーザに所望のものを選択させる。
【0089】
ステップS107では、その選択されたLUTに基づいて、RGB→CMYK変換を実行し、さらにステップS108ではガンマ変換、ステップS109では2値化処理を実行する。最後に、ステップS110では、2値のCMYKデータを出力する。
【0090】
ここで、この処理がホスト装置のCPUで実行されるなら、2値のCMYKデータは記録装置にインタフェースを介して出力され記録装置で記録処理が実行される。一方、記録装置のCPUで実行されるなら、2値のCMYKデータはASICを介して記録ヘッドに出力され記録処理が実行される。
【0091】
なお、適当なLUTを選択してサンプル画像を記録装置から出力させ、そのサンプル画像を目視確認しながら、さらに、ディスプレイ表示されたインク打ち込み量分布と総インク消費量とを参照して、再度LUTを選択して最終的な決定をしても良い。
【0092】
さらに、以上の実施例において、記録ヘッドから吐出される液滴はインクであるとして説明し、さらにインクタンクに収容される液体はインクであるとして説明したが、その収容物はインクに限定されるものではない。例えば、記録画像の定着性や耐水性を高めたり、その画像品質を高めたりするために記録媒体に対して吐出される処理液のようなものがインクタンクに収容されていても良い。
【0093】
以上の実施例は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いることにより記録の高密度化、高精細化が達成できる。
【0094】
加えて、以上の実施例のようなシリアルスキャンタイプのものでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0095】
さらに加えて、本発明のインクジェット記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力装置として用いられるものの他、リーダ等と組合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0096】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0097】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明の範囲に含まれるものである。
【0098】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0099】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0100】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の代表的な実施例であるインクジェット記録装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【図3】インクタンクと記録ヘッドとが一体的に形成されたヘッドカートリッジIJCの構成を示す外観斜視図である。
【図4】ASICで実行される画像処理の概略を示す機能ブロック図である。
【図5】3次元LUTを用いた補間処理を表す図である。
【図6】3種類の色変換LUTを表す図である。
【図7】3種類のインク打ち込み量LUTを表す図を示す図である。
【図8】インク打ち込み量LUTの算出方法を表す図である。
【図9】画像処理の詳細を示すフローチャートである。
【図10】インク打ち込み量の分布を表示するプレビュー画面の一例を示す図である。
【図11】インク打ち込み量の分布と総インク打ち込み量を表示するプレビュー画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0102】
101 画像入力処理部
102 色変換処理部
103 色変換LUT
104 ガンマ変換処理部
105 2値化処理部
106 記録処理部
107 画素インク打ち込み量算出部
108 インク打ち込み量LUT
109 画素インク打ち込み量プレビュー部
110 総インク消費量算出部
111 色変換LUT選択・設定処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録剤を付与するための記録データを得るために入力画像データに対して画像処理を施す画像処理方法であって、
前記入力画像データに基づいて、前記記録媒体に画像を記録するために付与される各単位領域当たりの記録剤の量を示す情報を取得する第1取得工程と、
前記第1取得工程において取得された前記各単位領域の記録剤の付与量を示す情報に基づき、全単位領域に付与される総付与量を示す情報を取得する第2取得工程と、
前記第1取得工程において得られる前記単位領域毎の記録剤に付与量を示す情報と、第2取得工程において得られる前記総付与量を示す情報とを表示する表示工程と、
前記表示工程において表示された前記記録剤の付与量を示す情報と総付与量を示す情報とに基づいて前記画像処理を実行するための適切なパラメータを選択する選択工程とを有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記選択工程において選択されたパラメータに基づいて画像処理を実行する画像処理工程と、
前記画像処理工程において実行される画像処理の結果得られる記録データを用いて前記記録媒体に記録を行う記録工程とをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記選択工程は、前記記録工程において記録された画像をさらに参照して適切なパラメータを選択することを特徴とする請求項2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記パラメータとは前記画像処理を実行するためのLUTであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記入力画像データは、前記単位領域に相当する画素の各色成分を多値で表すRGBデータであり、
前記画像処理は、前記RGBデータをCMYKデータに画素毎に変換する色変換処理を含み、
前記LUTは、前記色変換処理を実行するためのLUTであることを特徴とする請求項4に記載の画像処理方法。
【請求項6】
前記入力画像データは、前記単位領域に相当する画素の各色成分を多値で表すRGBデータであり、
前記画像処理は、RGBデータをCMYK多値データに変換する色変換処理、該色変換処理によって得られたCMYK多値データにガンマ変換を施す処理、該ガンマ変換されたCMYK多値データを2値化する2値化処理を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理方法。
【請求項7】
請求項1に記載の画像処理方法の各工程をコンピュータを用いて実行させるコンピュータプログラム。
【請求項8】
ホスト装置から入力される画像データを画像処理することで得られた記録データを用いて記録媒体に記録剤を付与して画像を記録する記録装置であって、
前記入力画像データに基づいて、前記記録媒体に画像を記録するために付与される各単位領域当たりの記録剤の付与量を示す情報を取得する第1取得手段と、
前記第1取得手段によって取得された前記各単位領域の記録剤の付与量を示す情報に基づいて、全単位領域に付与される総付与量を示す情報を取得する第2取得手段と、
前記第1及び第2取得手段によって取得された前記単位領域毎の記録剤の付加量を示す情報と前記総付与量を示す情報とに基づいて、前記画像処理を実行するための適切なパラメータを選択する選択手段とを有することを特徴とする記録装置。
【請求項9】
前記第1及び第2取得手段において夫々得られた前記単位領域毎の記録剤の付与量を示す情報と前記総付与量を示す情報とを表示する表示手段をさらに有することを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
【請求項10】
前記第1及び第2取得手段において夫々得られた前記単位領域毎の記録剤の付与量を示す情報と前記総付与量を示す情報とを前記ホスト装置に転送する転送手段と、
前記転送手段により前記ホスト装置に転送された前記単位領域毎の記録剤の量を示す情報と前記総付与量とを示す情報とに基づいて、前記ホスト装置のユーザにより選択された前記画像処理のためのパラメータを受信する受信手段とをさらに有し、
前記選択手段は前記受信手段により受信したパラメータに基づいて適切なパラメータ選択を行うことを特徴とする請求項9に記載の記録装置。
【請求項11】
記録データを用いて記録媒体に記録剤を付与して画像を記録する記録装置に接続され、前記記録データを生成するために入力画像データに対して画像処理を実行するためのホスト装置であって、
前記入力画像データに基づいて、前記記録媒体に画像を記録するために付与される各単位領域当たりの記録剤の付与量を示す情報を取得する第1取得手段と、
前記第1取得手段によって取得された前記各単位領域の記録剤の付与量を示す情報に基づいて、全単位領域に付与される総付与量を示す情報を取得する第2取得手段と、
前記第1及び第2取得手段によって夫々得られた前記単位領域毎の記録剤の付与量を示す情報と前記総付与量を示す情報とを表示する表示手段と、
前記表示手段によって表示された前記単位領域毎の記録剤の付与量を示す情報と前記総付与量を示す情報とに基づいて前記画像処理を実行するための適切なパラメータを選択する選択手段とを有することを特徴とするホスト装置。
【請求項1】
記録媒体に記録剤を付与するための記録データを得るために入力画像データに対して画像処理を施す画像処理方法であって、
前記入力画像データに基づいて、前記記録媒体に画像を記録するために付与される各単位領域当たりの記録剤の量を示す情報を取得する第1取得工程と、
前記第1取得工程において取得された前記各単位領域の記録剤の付与量を示す情報に基づき、全単位領域に付与される総付与量を示す情報を取得する第2取得工程と、
前記第1取得工程において得られる前記単位領域毎の記録剤に付与量を示す情報と、第2取得工程において得られる前記総付与量を示す情報とを表示する表示工程と、
前記表示工程において表示された前記記録剤の付与量を示す情報と総付与量を示す情報とに基づいて前記画像処理を実行するための適切なパラメータを選択する選択工程とを有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記選択工程において選択されたパラメータに基づいて画像処理を実行する画像処理工程と、
前記画像処理工程において実行される画像処理の結果得られる記録データを用いて前記記録媒体に記録を行う記録工程とをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記選択工程は、前記記録工程において記録された画像をさらに参照して適切なパラメータを選択することを特徴とする請求項2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記パラメータとは前記画像処理を実行するためのLUTであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記入力画像データは、前記単位領域に相当する画素の各色成分を多値で表すRGBデータであり、
前記画像処理は、前記RGBデータをCMYKデータに画素毎に変換する色変換処理を含み、
前記LUTは、前記色変換処理を実行するためのLUTであることを特徴とする請求項4に記載の画像処理方法。
【請求項6】
前記入力画像データは、前記単位領域に相当する画素の各色成分を多値で表すRGBデータであり、
前記画像処理は、RGBデータをCMYK多値データに変換する色変換処理、該色変換処理によって得られたCMYK多値データにガンマ変換を施す処理、該ガンマ変換されたCMYK多値データを2値化する2値化処理を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理方法。
【請求項7】
請求項1に記載の画像処理方法の各工程をコンピュータを用いて実行させるコンピュータプログラム。
【請求項8】
ホスト装置から入力される画像データを画像処理することで得られた記録データを用いて記録媒体に記録剤を付与して画像を記録する記録装置であって、
前記入力画像データに基づいて、前記記録媒体に画像を記録するために付与される各単位領域当たりの記録剤の付与量を示す情報を取得する第1取得手段と、
前記第1取得手段によって取得された前記各単位領域の記録剤の付与量を示す情報に基づいて、全単位領域に付与される総付与量を示す情報を取得する第2取得手段と、
前記第1及び第2取得手段によって取得された前記単位領域毎の記録剤の付加量を示す情報と前記総付与量を示す情報とに基づいて、前記画像処理を実行するための適切なパラメータを選択する選択手段とを有することを特徴とする記録装置。
【請求項9】
前記第1及び第2取得手段において夫々得られた前記単位領域毎の記録剤の付与量を示す情報と前記総付与量を示す情報とを表示する表示手段をさらに有することを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
【請求項10】
前記第1及び第2取得手段において夫々得られた前記単位領域毎の記録剤の付与量を示す情報と前記総付与量を示す情報とを前記ホスト装置に転送する転送手段と、
前記転送手段により前記ホスト装置に転送された前記単位領域毎の記録剤の量を示す情報と前記総付与量とを示す情報とに基づいて、前記ホスト装置のユーザにより選択された前記画像処理のためのパラメータを受信する受信手段とをさらに有し、
前記選択手段は前記受信手段により受信したパラメータに基づいて適切なパラメータ選択を行うことを特徴とする請求項9に記載の記録装置。
【請求項11】
記録データを用いて記録媒体に記録剤を付与して画像を記録する記録装置に接続され、前記記録データを生成するために入力画像データに対して画像処理を実行するためのホスト装置であって、
前記入力画像データに基づいて、前記記録媒体に画像を記録するために付与される各単位領域当たりの記録剤の付与量を示す情報を取得する第1取得手段と、
前記第1取得手段によって取得された前記各単位領域の記録剤の付与量を示す情報に基づいて、全単位領域に付与される総付与量を示す情報を取得する第2取得手段と、
前記第1及び第2取得手段によって夫々得られた前記単位領域毎の記録剤の付与量を示す情報と前記総付与量を示す情報とを表示する表示手段と、
前記表示手段によって表示された前記単位領域毎の記録剤の付与量を示す情報と前記総付与量を示す情報とに基づいて前記画像処理を実行するための適切なパラメータを選択する選択手段とを有することを特徴とするホスト装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図10】
【公開番号】特開2006−224454(P2006−224454A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−40892(P2005−40892)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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