説明

記録装置及び記録方法

【課題】騒音が記録されてしまうことを防止できるようにする。
【解決手段】光ピックアップ3で検出された反射光のレベルが所定の値以下である場合に、PG区間カウンタ15で算出されたCT値と、SUMレベル検出回路7で生成されたLOW信号をもとに、キズタイミング検出回路9は、キズ検出区間よりも広めにエラー期間を設定し、ERR信号を生成する。そして、ERR信号が1の期間においては、フォーカスサーボ回路5及びトラックサーボ回路6は、サーボ制御をゼロホールドするようにして、光ディスク1に傷や汚れがある場合にアクチュエータの駆動制御を停止し、騒音が記録されてしまうことを防止できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録装置、記録方法、プログラム、及び記憶媒体に関し、特に、ディスクにキズが存在する場合の記録処理に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DVD−Rなどの光学的記録媒体に対して記録・再生を行う光ディスク記録再生装置が普及しつつある。当初はパソコン用の据え置き装置として普及していたものの、近年ではディスクカムコーダにおいて動画像カメラの記録媒体としてDVD−Rを用いる製品が登場しつつある。
【0003】
DVD−Rでは、ウォブル(蛇行)している記録トラックから反射される反射光を光ピックアップで読み取る。その際に、読み取りスポットを一定形状に維持するフォーカスサーボ、及び読み取りスポットをトラックに追従させるトラッキングサーボを行っている。
【0004】
ところが、ディスクの表面に傷または汚れ(以下、これらを代表してキズと称す)がある場合、反射光が変動してサーボが外れやすい。それを防止するために、反射光のレベルによりキズを検出し、キズ区間ではサーボ信号をホールド又はミュートする技術が広く知られている。また、例えば、特許文献1には、キズ区間でのサーボの安定性を向上させるために、微小な反射光の低下に伴ってサーボループゲインを下げ、大きく反射光が低下した状態でサーボ信号をホールドする技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平7−192285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1では、ディスクに大きなキズがある場合、実際に反射光の低下を検知した後で、まず、サーボループゲインを下げ、その後サーボ信号をホールドする。つまり、キズ区間の最初(反射光の低下当初)は、フォーカスサーボや、トラッキングサーボに外乱が生じることは避けられない。そして、この外乱により、ピックアップを制御して光ビームの照射位置を調整するためのアクチュエータも駆動されることになる。
【0007】
このキズによる外乱はディスクの回転毎に発生するので、定期的にアクチュエータを大きく駆動させることになり、微小な騒音が発生しやすい。特に、小型化が著しいディスクカムコーダにおいては、撮影時に内臓マイクが集音してこの微小な騒音を記録してしまいやすい。このため、前記特許文献1に記載の技術では、ディスクのキズ等で定期的なフォーカスサーボ、トラッキングサーボの変動により発生するアクチュエータの騒音が音声マイクを経由して音声データとともに記録されてしまうという問題点があった。
【0008】
本発明は前述の問題点に鑑み、騒音が記録されてしまうことを防止できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の記録装置は、回転させたディスク媒体に対して光ビームを照射してデータを記録する記録装置であって、前記光ビームの照射位置を調整する調整手段と、前記ディスク媒体の回転方向の位置を検出する回転位置検出手段と、前記ディスク媒体からの前記光ビームの反射光を検出する光検出手段と、前記光検出手段によって検出された反射光を用いて前記調整手段を制御するためのエラー信号を生成し、前記エラー信号を用いて前記調整手段を制御する制御手段と、前記回転位置検出手段によって検出された回転位置と前記反射光のレベルとに基づいて、前記ディスク媒体の1回転周期におけるエラー期間を設定する期間設定手段とを有し、前記制御手段は、前記期間設定手段によって設定されたエラー期間において前記エラー信号を用いた前記調整手段の制御を停止することを特徴とする。
また、本発明の記録装置の他の特徴とするところは、回転させたディスク媒体に対して光ビームを照射して音声データを記録する記録装置であって、前記光ビームの照射位置を調整する調整手段と、前記ディスク媒体の回転方向の位置を検出する回転位置検出手段と、前記ディスク媒体からの前記光ビームの反射光を検出する光検出手段と、前記光検出手段によって検出された反射光を用いて前記調整手段を制御するためのエラー信号を生成し、前記エラー信号を用いて前記調整手段を制御する制御手段と、前記回転位置検出手段によって検出された回転位置と、前記反射光のレベルとに基づいて、前記ディスク媒体の1回転周期におけるエラー期間を設定する期間設定手段と、前記期間設定手段によって設定されたエラー期間の直前及び直後に入力された音声データを用いて、前記エラー期間に入力された音声データの補間を行う補間手段とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の記録方法は、回転させたディスク媒体に対して光ビームを照射してデータを記録する記録方法であって、前記光ビームの照射位置を調整する調整工程と、前記ディスク媒体の回転方向の位置を検出する回転位置検出工程と、前記ディスク媒体からの前記光ビームの反射光を検出する光検出工程と、前記光検出工程において検出した反射光を用いて前記調整工程における処理を制御するためのエラー信号を生成し、前記エラー信号を用いて前記調整工程における処理を制御する制御工程と、前記回転位置検出工程において検出した回転位置と、前記反射光のレベルとに基づいて、前記ディスク媒体の1回転周期におけるエラー期間を設定する期間設定工程とを有し、前記制御工程においては、前記期間設定工程において設定したエラー期間において前記エラー信号を用いた前記調整工程における処理の制御を停止することを特徴とする。
また、本発明の記録方法の他の特徴とするところは、回転させたディスク媒体に対して光ビームを照射して音声データを記録する記録方法であって、前記光ビームの照射位置を調整する調整工程と、前記ディスク媒体の回転方向の位置を検出する回転位置検出工程と、前記ディスク媒体からの前記光ビームの反射光を検出する光検出工程と、前記光検出工程において検出した反射光を用いて前記調整工程における処理を制御するためのエラー信号を生成し、前記エラー信号を用いて前記調整工程における処理を制御する制御工程と、前記回転位置検出工程において検出した回転位置と、前記反射光のレベルとに基づいて、前記ディスク媒体の1回転周期におけるエラー期間を設定する期間設定工程と、前記期間設定工程において設定したエラー期間の直前及び直後に入力された音声データを用いて、前記エラー期間に入力された音声データの補間を行う補間工程とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明のプログラムは、回転させたディスク媒体に対して光ビームを照射してデータを記録する記録方法の各工程をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記光ビームの照射位置を調整する調整工程と、前記ディスク媒体の回転方向の位置を検出する回転位置検出工程と、前記ディスク媒体からの前記光ビームの反射光を検出する光検出工程と、前記光検出工程において検出した反射光を用いて前記調整工程における処理を制御するためのエラー信号を生成し、前記エラー信号を用いて前記調整工程における処理を制御する制御工程と、前記回転位置検出工程において検出した回転位置と、前記反射光のレベルとに基づいて、前記ディスク媒体の1回転周期におけるエラー期間を設定する期間設定工程とをコンピュータに実行させ、前記制御工程においては、前記期間設定工程において設定したエラー期間において前記エラー信号を用いた前記調整工程における処理の制御を停止するようにコンピュータに実行させることを特徴とする。
また、本発明のプログラムの他の特徴とするところは、回転させたディスク媒体に対して光ビームを照射して音声データを記録する記録方法の各工程をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記光ビームの照射位置を調整する調整工程と、前記ディスク媒体の回転方向の位置を検出する回転位置検出工程と、前記ディスク媒体からの前記光ビームの反射光を検出する光検出工程と、前記光検出工程において検出した反射光を用いて前記調整工程における処理を制御するためのエラー信号を生成し、前記エラー信号を用いて前記調整工程における処理を制御する制御工程と、前記回転位置検出工程において検出した回転位置と、前記反射光のレベルとに基づいて、前記ディスク媒体の1回転周期におけるエラー期間を設定する期間設定工程と、前記期間設定工程において設定したエラー期間の直前及び直後に入力された音声データを用いて、前記エラー期間に入力された音声データの補間を行う補間工程とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0012】
本発明の記憶媒体は、前記の何れかに記載のプログラムを記憶したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、検出された回転位置と、前記反射光のレベルとに基づいてエラー期間を設定し、前記設定したエラー期間において光ビームの照射位置を調整する制御を停止するようにした。これにより、ディスクに傷や汚れがある場合にアクチュエータがホールドされ、騒音が記録されてしまうことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態における記録装置の内部構成例を示すブロック図である。
図1において、1は記録媒体(ディスク媒体)である光ディスクであり、2は光ディスク1の回転同期信号(PG信号)を検出するPG検出回路である。3は光ディスク1の反射光を検出する光ピックアップであり、光検出手段として機能する。4は光ピックアップ3が検出した反射光からフォーカスエラー信号(FE信号)、トラッキンエラー信号(TE信号)、及び和信号(SUM信号)を生成するサーボエラー信号生成回路である。
【0015】
5はフォーカスサーボ回路であり、6はトラックサーボ回路である。フォーカスサーボ回路5及びトラックサーボ回路6はサーボ制御手段として機能する。7はSUM信号のレベル低下を検出するSUMレベル検出回路であり、8は記録装置100の全体を制御する制御部である。9はキズタイミング検出回路であり、11は音声マイクである。12はA/Dコンバータであり、13はバッファメモリである。14は音声処理回路であり、15はPG区間カウンタである。また、16は記録処理部である。
【0016】
光ピックアップ3は、光ビームを発光するドライバ、光ビームを光ディスク1上に合焦させるためのレンズ、及び、レンズを駆動して光ビームの照射位置及びフォーカスを調整するための調整手段として機能するアクチュエータを有する。
【0017】
光ピックアップ3の光受光面は、図2に示すように、ブロックA〜Dからなる4分割センサで構成されている。サーボエラー信号生成回路4は、光ピックアップ3の4つの各ブロックA〜Dの出力をそれぞれWA、WB、WC、WDとした場合に、((WA+WD)−(WB+WC))を算出してフォーカスエラー信号(FE信号)を生成する。
【0018】
図2において、縦方向(A−C、或いは、B−D方向)が、光ディスク1の接線方向となり、光ディスク1のトラックは、センサに対して図2の下から上の方向(C→A、或いは、D→Bの方向)に移動する。
【0019】
図3(A)に示す例では、合焦時の反射光は真円になるのでFE信号は0になる。一方、合焦点よりずれている場合は、図3(B)または図3(C)に示すように楕円となり、図3(B)に示す例ではFE信号はプラスの値となり、図3(C)に示す例では、FE信号はマイナスの値となる。すなわち、FE信号の値は、光ディスク1の記録面と光ピックアップ3とのフォーカス誤差レベルを示すことになる。
【0020】
図7は、本実施形態のフォーカスサーボ回路5の詳細な構成例を示すブロック図である。
図7に示すように、FE信号は、位相補償部21でフォーカスサーボ制御系が発振しないように位相補償される。そして、セレクタ23で位相補償部21側が選択されている場合は、駆動アンプ24から光ピックアップ3のアクチュエータを駆動するための制御信号が光ピックアップ3に送られる。
【0021】
このようにしてフォーカスサーボ回路5は、フォーカスエラー信号(FE信号)の値が小さくなるように、光ピックアップ3のアクチュエータを制御し、光ディスク1の記録面と光ピックアップ3とのフォーカシング動作を行うことができる。また、本実施形態においては、フォーカスサーボ回路5にゼロホールド回路22が設けられている。ゼロホールド回路22に関しては後述する。
【0022】
また、サーボエラー信号生成回路4は、光ピックアップ3の4つの各ブロックA〜Dの光強度をそれぞれIA、IB、IC、IDとした場合に、((IA+IC)−(IB+ID))を算出してトラッキングエラー信号(TE信号)を生成する。ONトラック時の場合は、図4(A)に示すように、反射光は光ピックアップ3の中心にくるのでTE信号は0になる。一方、図4(B)または図4(C)に示すように、光ビームの照射位置がトラックの左右どちらかに偏っている場合は、TE信号はプラスまたはマイナスの値となる。すなわち、TE信号の値は、光ディスク1の記録面と光ピックアップ3とのディスク半径方向の誤差レベルを示すことになる。
【0023】
図8は、本実施形態のトラックサーボ回路6の詳細な構成例を示すブロック図である。
図8に示すように、光ディスク1のトラック溝と光ピックアップ3とのトラック誤差信号であるTE信号は、位相補償部31でトラックサーボ制御系が発振しないように位相補償される。そして、セレクタ33で位相補償部31側が選択されている場合は、駆動アンプ34から光ピックアップ3のアクチュエータを駆動するための制御信号が光ピックアップ3に送られる。
【0024】
このようにしてトラックサーボ回路6は、トラックエラー信号(TE信号)が小さくなるように、光ピックアップ3のアクチュエータを制御し、光ピックアップ3の光ディスク1の記録溝へのトラッキング動作を行うことができる。また、本実施形態においては、トラックサーボ回路6にゼロホールド回路32が設けられている。ゼロホールド回路32に関しては後述する。
【0025】
さらに、サーボエラー信号生成回路4は、光ピックアップ3の4つの各ブロックA〜Dの光強度の合計値(A+B+C+D)を算出して和信号であるSUM信号を生成する。光ディスク1にキズがある場合、光ディスク1上で光が散乱する。この場合、光ピックアップ3で受光する反射光は大幅に低下し、SUM信号の値が大きく低下する。また、正常に反射光を受光していないので、その時に生成されるFE信号及びTE信号も正常な値の信号とはならない。
【0026】
一方、音声マイク11に入力される音声は、A/Dコンバータ12でデジタルデータに変換され、バッファメモリ13にリアルタイムに格納される。バッファメモリ13に格納された音声データは、音声処理回路14で音声処理されて、記録処理部16に送られる。また、撮像部17に入力される映像は、画像処理回路18においてデジタルデータに変換され、図示しないメモリに一旦格納される。メモリに格納された映像データは、画像処理回路18で画像処理されて、記録処理部16に送られる。そして、記録処理部16で所定の記録フォーマットに変換され、光ピックアップ3からレーザー光が照射されることによって光ディスク1に記録される。
【0027】
PG検出回路2は、光ディスク1の回転に同期したパルス信号(PG信号)を検出する回路である。PG信号を検出することにより、光ディスク1の回転周期を検出することができる。PG区間カウンタ15はPG区間をカウントするカウンタであり回転位置検出手段として機能する。そして、PG区間をカウントし、区間カウント値(CT値)としてキズタイミング検出回路9に提供する。図5に示すように、区間カウント値(CT値)はPG信号のタイミングでリセットされるので、CT値は光ディスク1の円周方向(回転方向)の位置を示すことになる。なお、CT値の情報には、回転周期についての情報も付加されている。
【0028】
SUMレベル検出回路7は、SUM信号のレベルが所定の値以下であるかどうかを検出し、2値信号であるLOW信号を出力する。即ち、SUMレベル検出回路7は、SUM信号のレベルが所定の値以下である場合は、LOW信号に1を設定し、また、レベルが所定値よりも大きい場合にはLOW信号に0を設定してキズタイミング検出回路9に出力する。図5において、期間101〜103はキズにより反射光が低下し、SUM信号のレベルが低下している期間を示している。
【0029】
キズタイミング検出回路9は、SUMレベル検出回路7の検出出力(LOW信号)とPG区間カウンタ15の区間カウント値(CT値)とから、光ディスク1の回転に同期したレベル低下を検出する。光ディスク1にキズがついている場合、隣接トラック間では円周方向にほぼ同じ場所にキズが存在するので、図5に示すようにLOW信号が1である期間のCT値がほぼ同じ値(α〜β)となる。そこで、キズタイミング検出回路9は期間設定手段として機能し、キズ検出区間(CT値がα〜βの範囲)よりも広めに、CT値が(α−X)〜(β+Y)となる期間を光ディスク1の1回転周期におけるエラー期間として設定する。そして、設定した期間を、LOW信号が1となったときのCT値と共に内部のレジスタに保存すると共に、このエラー期間を示すエラータイミング信号(ERR信号)を生成する。エラータイミング信号は2値信号であり、エラー期間において1が設定され、それ以外の期間では0が設定される。
【0030】
ここで、キズタイミング検出回路9は、光ディスク1上に複数のキズが検出された場合、各キズに対応したエラー期間を設定する。
【0031】
なお、エラー期間のCT値の開始点を(α−X)としているのは、SUMレベル検出回路7の検出遅れを補正するためである。また、エラー期間のCT値の終了点を(β+Y)としているのは、キズ検出区間終了後に、後述するゼロホールドが解除されサーボループが再開された後にサーボの乱れが静定するのを待つためである。なお、偏心や面振れの大きいディスクでは、キズ区間の前後でのサーボ誤差信号の乖離が大きく静定に時間がかかる場合があるので、偏心や面振れの大きさに応じてYを設定してもよい。
【0032】
ERR信号が1の期間は、フォーカスサーボ回路5とトラックサーボ回路6とでサーボ制御をホールドする。具体的には、図7において、フォーカスサーボ回路5では、ERR信号が1の期間は、セレクタ23でゼロホールド回路22側が選択される。これにより、光ピックアップ3のフォーカスアクチュエータの制御をゼロホールドし、FE信号が乱れた場合でもフォーカスアクチュエータによる騒音が発生しないようにする。
【0033】
同様に、トラックサーボ回路6では、ERR信号が1の期間は、セレクタ33でゼロホールド回路32側が選択される。これにより、光ピックアップ3のトラックアクチュエータの制御をゼロホールドし、TE信号が乱れた場合でもトラックアクチュエータによる騒音が発生しないようにする。
【0034】
このように、初めてSUM信号のレベルが低下した期間101をもとにEER信号を生成し、次にSUM信号のレベルが低下した期間102以降では、前もってキズ検出区間を予測できる。これにより、キズ検出区間に入る前にサーボ制御を停止することができ、アクチュエータによる騒音が発生することを防止することができる。
【0035】
次に、前述したようにゼロホールドを行う処理手順について簡潔に説明する。図9は、本実施形態の記録装置100によるアクチュエータの制御の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図9に示す各ステップは、制御部8による制御によって行われる。
【0036】
図9において、まず、ステップS901において、ERR信号が0であるか否かを判断する。この判断の結果、ERR信号が0である場合は、ステップS902に進み、サーボエラー信号生成回路4で生成したFE信号、及びTE信号に基づいてアクチュエータの制御を行う。具体的には、フォーカスサーボ回路5は、駆動アンプ24からフォーカス方向のアクチュエータを駆動するための制御信号を光ピックアップ3に送る。また、トラックサーボ回路6は、駆動アンプ34から光ピックアップ3のトラック方向のアクチュエータを駆動するための制御信号を光ピックアップ3に送る。
【0037】
一方、ステップS901の判断の結果、ERR信号が1である場合は、ステップS903に進む。そして、制御部8は、ERR信号をフォーカスサーボ回路5及びトラックサーボ回路6に送り、フォーカスサーボ回路5のセレクタ23及びトラックサーボ回路6のセレクタ23をゼロホールド回路側に切り替える。そして、各アクチュエータが駆動しないようにゼロホールドする。
【0038】
また、1度キズが検出され、その後光ディスクが数回転した後にキズがなくなることもある。そこで、キズが無くなった場合には、エラー期間の設定を解除する。次に、前述したエラー期間の設定及び解除の処理について、図10を参照しながら説明する。
【0039】
図10は、本実施形態におけるエラー期間の設定及び解除の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図10に示す各ステップは、制御部8による制御によって行われる。このフローは、任意のタイミングで行われる。
まず、ステップS1001において、キズタイミング検出回路9は、レジスタにエラー期間が保存されているか否かを確認し、エラー期間が保存されている場合には、現在のビーム照射位置がエラー期間に属する位置であるか否かを判断する。
【0040】
この判断の結果、レジスタにエラー期間が保存されていない、もしくはエラー期間に属さない場合は、ステップS1002に進む。そして、ステップS1002において、SUMレベル検出回路7は、現在のビーム照射位置のSUM信号のレベルが所定の値以下であるか否かを判断する。
【0041】
この判断の結果、所定の値以下である場合は、ステップS1003に進み、キズタイミング検出回路9は、エラー期間としてレジスタに仮保存する。なお、このフローの処理を繰り返し実行して、初めてSUM信号のレベルが所定値を上回った時に、初めてSUM信号のレベルが所定値以下になった時から現時点までの期間(LOW信号=1の期間)を、最終的なエラー期間としてレジスタに保存する。そして、前述した手順によりERR信号を1に設定する。
【0042】
一方、ステップS1002の判断の結果、所定の値を上回った場合は、キズが無く、正常に記録処理が行われているため、そのまま処理を終了する。
【0043】
また、ステップS1001の判断の結果、現在のビーム照射位置がエラー期間に属する位置である場合は、ステップS1004に進む。そして、ステップS1004において、SUMレベル検出回路7は、現在のビーム照射位置のSUM信号のレベルが所定の値以下であるか否かを判断する。
【0044】
この判断の結果、SUM信号のレベルが所定の値を超えている場合は、ステップS1006に進み、キズタイミング検出回路9は、変数nをインクリメントする。ここで変数nとは、エラー期間に突入した時点からキズが検出されていない期間を示すものである。キズが初めて検出された時点から光ディスク1が数回転した時点では、キズの幅が異なっていることもあり、また、キズがなくなっていることもある。そこで、この変数nをインクリメントさせて、エラー期間以上に値が大きくなった時点でエラー期間を解除するようにしている。
【0045】
次に、ステップS1007において、キズタイミング検出回路9は、変数nがエラー期間以上に値が大きくなっているか否かを判断する。この判断の結果、エラー期間より小さい場合は、まだキズが残っている可能性があるため、そのまま処理を終了する。一方、ステップS1007の判断の結果、エラー期間以上に値が大きくなっている場合は、ステップS1008に進み、レジスタに保存されているエラー期間を解除し、ERR信号を0にする。
【0046】
また、ステップS1004の判断の結果、SUM信号のレベルが所定の値以下である場合は、まだキズが残っているため、ステップS1005に進み、変数nを0にリセットして、処理を終了する。このように、エラー期間を所定期間設定することにより、キズがなくなった場合は、通常のサーボ制御に戻すことができる。
【0047】
以上のように本実施形態においては、光ディスクの回転に同期した反射光の変動をキズとして捉え、想定されるキズ区間においてはサーボ制御をゼロホールドするようにした。これにより、サーボ制御に不要な外乱が生じるのを低減でき、アクチュエータの駆動による騒音が音声データに記録されてしまうことを防止できる。
【0048】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、サーボ制御をゼロホールドすることによってアクチュエータの騒音が記録されてしまうことを防止した。本実施形態では、ERR信号が1の期間において、サーボ制御をゼロホールドし、更に、騒音が音声マイクから入力された場合に音声データを線形補間する例について説明する。なお、機能構成については第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0049】
図6は、本実施形態において、線形補間を行う方法の一例を示す図である。
第1の実施形態に示した手順でERR信号が生成され、生成されたERR信号が音声処理回路14に送られる。図6に示すように、音声処理回路14は補間手段として機能し、ERR信号が1の期間中に音声マイク11に入力された音声データをバッファメモリ13から読み出す際には、ERR信号が1の期間の直前及び直後の音声波形データを用いて線形補間する。
【0050】
具体的には、CT値が(α−X)である時点で音声マイク11に入力された音声データD1と、CT値が(β−Y)である時点で音声マイク11に入力された音声データD2とをバッファメモリ13から読み出す。そして、騒音が混入しているそのキズ検出区間については、音声データS1、S2、S3、及びS4を線形補間して生成する。
【0051】
以上のように本実施形態においては、光ディスクの回転に同期した反射光の変動をキズとして捉え、そのキズ検出区間においては、その区間の音声データをその区間の前後で補間する。これにより、キズによるアクチュエータの騒音が音声として記録されてしまうことを防止できる。
【0052】
なお、第2の実施形態では、ERR信号が1の期間で、第1の実施形態と同様にFE,TEをゼロホールドしたが、FE,TEはゼロホールドせずにそのままFE,TEに基づいてアクチュエータを制御する構成としてもよい。この場合でも、ERR信号が1の期間では音声処理回路14により入力音声データが補間処理されるので、キズによるアクチュエータの騒音が音声として記録されてしまうことを防止できる。
【0053】
(本発明に係る他の実施形態)
前述した本発明の実施形態における記録装置を構成する各手段、並びに記録方法の各工程は、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び前記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は本発明に含まれる。
【0054】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0055】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図9に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムまたは装置に直接、または遠隔から供給する場合も含む。そして、そのシステムまたは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0056】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0057】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0058】
プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどがある。さらに、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM、DVD−R)などもある。
【0059】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する方法がある。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記憶媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0060】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0061】
また、その他の方法として、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記録媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0062】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。さらに、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0063】
さらに、その他の方法として、まず記憶媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。そして、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1の実施形態における記録装置の内部構成例を示すブロック図である。
【図2】光ピックアップの受光面を示す図である。
【図3】フォーカスエラーが生じた場合の受光面を示す図である。
【図4】トラックエラーが生じた場合の受光面を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態において、キズを検出した場合の各信号の状態を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における音声データの線形補間の一例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態におけるフォーカスサーボ回路の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明の第1の実施形態におけるトラックサーボ回路の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図9】本発明の第1の実施形態の記録装置によるアクチュエータの制御の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施形態におけるエラー期間の設定及び解除の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
1 光ディスク
2 PG検出回路
3 光ピックアップ
4 サーボエラー信号検出回路
5 フォーカスサーボ回路
6 トラッキングサーボ回路
7 SUMレベル検出回路
8 制御部
9 キズタイミング検出回路
11 音声マイク
12 A/Dコンバータ
13 メモリ
14 音声処理回路
15 PG区間カウンタ
16 記録処理部
17 撮像部
18 画像処理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転させたディスク媒体に対して光ビームを照射してデータを記録する記録装置であって、
前記光ビームの照射位置を調整する調整手段と、
前記ディスク媒体の回転方向の位置を検出する回転位置検出手段と、
前記ディスク媒体からの前記光ビームの反射光を検出する光検出手段と、
前記光検出手段によって検出された反射光を用いて前記調整手段を制御するためのエラー信号を生成し、前記エラー信号を用いて前記調整手段を制御する制御手段と、
前記回転位置検出手段によって検出された回転位置と前記反射光のレベルとに基づいて、前記ディスク媒体の1回転周期におけるエラー期間を設定する期間設定手段とを有し、
前記制御手段は、前記期間設定手段によって設定されたエラー期間において前記エラー信号を用いた前記調整手段の制御を停止することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
回転させたディスク媒体に対して光ビームを照射して音声データを記録する記録装置であって、
前記光ビームの照射位置を調整する調整手段と、
前記ディスク媒体の回転方向の位置を検出する回転位置検出手段と、
前記ディスク媒体からの前記光ビームの反射光を検出する光検出手段と、
前記光検出手段によって検出された反射光を用いて前記調整手段を制御するためのエラー信号を生成し、前記エラー信号を用いて前記調整手段を制御する制御手段と、
前記回転位置検出手段によって検出された回転位置と、前記反射光のレベルとに基づいて、前記ディスク媒体の1回転周期におけるエラー期間を設定する期間設定手段と、
前記期間設定手段によって設定されたエラー期間の直前及び直後に入力された音声データを用いて、前記エラー期間に入力された音声データの補間を行う補間手段とを有することを特徴とする記録装置。
【請求項3】
前記期間設定手段は、前記反射光のレベルが所定の値以下である期間よりも長く前記エラー期間を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記期間設定手段は、前記反射光のレベルが所定の値以下である期間よりも長く前記エラー期間を所定期間だけ設定することを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記期間設定手段は、前記ディスクが回転した時の偏心または面振れの大きさに応じて前記エラー期間を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項6】
回転させたディスク媒体に対して光ビームを照射してデータを記録する記録方法であって、
前記光ビームの照射位置を調整する調整工程と、
前記ディスク媒体の回転方向の位置を検出する回転位置検出工程と、
前記ディスク媒体からの前記光ビームの反射光を検出する光検出工程と、
前記光検出工程において検出した反射光を用いて前記調整工程における処理を制御するためのエラー信号を生成し、前記エラー信号を用いて前記調整工程における処理を制御する制御工程と、
前記回転位置検出工程において検出した回転位置と、前記反射光のレベルとに基づいて、前記ディスク媒体の1回転周期におけるエラー期間を設定する期間設定工程とを有し、
前記制御工程においては、前記期間設定工程において設定したエラー期間において前記エラー信号を用いた前記調整工程における処理の制御を停止することを特徴とする記録方法。
【請求項7】
回転させたディスク媒体に対して光ビームを照射して音声データを記録する記録方法であって、
前記光ビームの照射位置を調整する調整工程と、
前記ディスク媒体の回転方向の位置を検出する回転位置検出工程と、
前記ディスク媒体からの前記光ビームの反射光を検出する光検出工程と、
前記光検出工程において検出した反射光を用いて前記調整工程における処理を制御するためのエラー信号を生成し、前記エラー信号を用いて前記調整工程における処理を制御する制御工程と、
前記回転位置検出工程において検出した回転位置と、前記反射光のレベルとに基づいて、前記ディスク媒体の1回転周期におけるエラー期間を設定する期間設定工程と、
前記期間設定工程において設定したエラー期間の直前及び直後に入力された音声データを用いて、前記エラー期間に入力された音声データの補間を行う補間工程とを有することを特徴とする記録方法。
【請求項8】
前記期間設定工程においては、前記反射光のレベルが所定の値以下である期間よりも長く前記エラー期間を設定することを特徴とする請求項6または7に記載の記録方法。
【請求項9】
前記期間設定工程においては、前記反射光のレベルが所定の値以下である期間よりも長く前記エラー期間を所定期間だけ設定することを特徴とする請求項8に記載の記録方法。
【請求項10】
前記期間設定工程においては、前記ディスクが回転した時の偏心または面振れの大きさに応じて前記エラー期間を設定することを特徴とする請求項6または7に記載の記録方法。
【請求項11】
回転させたディスク媒体に対して光ビームを照射してデータを記録する記録方法の各工程をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記光ビームの照射位置を調整する調整工程と、
前記ディスク媒体の回転方向の位置を検出する回転位置検出工程と、
前記ディスク媒体からの前記光ビームの反射光を検出する光検出工程と、
前記光検出工程において検出した反射光を用いて前記調整工程における処理を制御するためのエラー信号を生成し、前記エラー信号を用いて前記調整工程における処理を制御する制御工程と、
前記回転位置検出工程において検出した回転位置と、前記反射光のレベルとに基づいて、前記ディスク媒体の1回転周期におけるエラー期間を設定する期間設定工程とをコンピュータに実行させ、
前記制御工程においては、前記期間設定工程において設定したエラー期間において前記エラー信号を用いた前記調整工程における処理の制御を停止するようにコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
回転させたディスク媒体に対して光ビームを照射して音声データを記録する記録方法の各工程をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記光ビームの照射位置を調整する調整工程と、
前記ディスク媒体の回転方向の位置を検出する回転位置検出工程と、
前記ディスク媒体からの前記光ビームの反射光を検出する光検出工程と、
前記光検出工程において検出した反射光を用いて前記調整工程における処理を制御するためのエラー信号を生成し、前記エラー信号を用いて前記調整工程における処理を制御する制御工程と、
前記回転位置検出工程において検出した回転位置と、前記反射光のレベルとに基づいて、前記ディスク媒体の1回転周期におけるエラー期間を設定する期間設定工程と、
前記期間設定工程において設定したエラー期間の直前及び直後に入力された音声データを用いて、前記エラー期間に入力された音声データの補間を行う補間工程とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
請求項11または12に記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−43349(P2009−43349A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−208436(P2007−208436)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】