記録装置
【課題】被記録材の先端部が固定リブから離れることで変形することによる問題を低減すること。
【解決手段】記録実行領域23に搬送された被記録材Pの被記録面にインクを吐出して記録を実行する記録ヘッド27と、記録実行領域23に搬送された被記録材Pの前記被記録面と反対側の被支持面を支持する複数の固定されたリブ5と、記録ヘッド27から吐出されたインクであって被記録材Pに着弾しないインクを受けるインクの吐出領域35とを備え、前記固定リブ5の少なくとも一部は、被記録材Pの搬送方向に移動可能な可動リブ3を備えている。
【解決手段】記録実行領域23に搬送された被記録材Pの被記録面にインクを吐出して記録を実行する記録ヘッド27と、記録実行領域23に搬送された被記録材Pの前記被記録面と反対側の被支持面を支持する複数の固定されたリブ5と、記録ヘッド27から吐出されたインクであって被記録材Pに着弾しないインクを受けるインクの吐出領域35とを備え、前記固定リブ5の少なくとも一部は、被記録材Pの搬送方向に移動可能な可動リブ3を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録実行領域に搬送された被記録材の被記録面にインクを吐出して記録を実行する記録ヘッドと、前記記録実行領域に搬送された被記録材の前記被記録面と反対側の被支持面を支持する複数のリブとを備えた記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から被記録材(以下、「用紙」ともいう)の被記録面に余白を形成することなく記録を実行する、いわゆる「縁無し記録」に対応したインクジェットプリンターが開発されている(例えば特許文献1)。前記インクジェットプリンターにおいて縁無し記録を実行する場合には、記録実行領域に搬送された被記録材の前記被記録面と反対側の被支持面を複数の固定リブで支持した状態で、被記録材の端縁の外側にもインクが吐出されるようになっている。
【0003】
また、前記記録ヘッドからインクが吐出される範囲に対応する部位には、縁無し記録の際に被記録材に着弾しなかったインクを受けるための凹部等のインク受け部が設けられている。下記の特許文献1では、前記インク受け部にインク吸収材が配設され、前記被記録材に着弾しなかったインクが該インク吸収材に着弾するようにしてインクミストの発生を低減させている。
【0004】
ところで、記録を実行する用紙がロール紙である場合や単票紙でも普通紙のような薄紙である場合には、ロール癖やインクの湿潤による被記録面の膨張によって、用紙の先端部が下方にカールした変形状態で搬送される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−149530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した先端部が下方にカールした被記録材が、更に下流に搬送されて排出用ローラーに受け渡されるまでの間に、被記録材の先端部は前記リブから次第に離れるため、搬送と共に徐々に先端部の位置が下がって前述したインク吸収材に接触してインクで汚れたり、該被記録材の先端部がインク吸収材或いはその近辺の構造体に引っ掛かって紙詰まり等の搬送不良を引き起こすことがある。
この場合、前記インク吸収材を排除すれば、前記被記録材の先端部のインク汚れや引っ掛かりが生じにくくなるが、それではインクミストの発生を助長することになり、記録品質を低下する要因になる。
【0007】
また、前記カールの程度が小さくて被記録材の前記先端部がインク吸収材と接触することがない程度の小さい変形の場合でも、被記録材の先端部が前記リブから次第に離れるので、被記録材の剛性にもよるが該先端部が徐々に下がる傾向がある。このように先端部が徐々に下がると、該先端部と記録ヘッドとの距離が前記リブの位置する部分の距離と変わってしまい(距離が大きくなる方向に変わる)、それによって記録品質が低下する虞がある。
【0008】
本発明の目的は、被記録材の先端部が固定リブから離れることで変形することによる問題を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明に係る記録装置の第1の態様は、記録実行領域に搬送された被記録材の被記録面にインクを吐出して記録を実行する記録ヘッドと、搬送された被記録材の前記被記録面と反対側の被支持面を支持するとともに、前記記録実行領域に形成された複数の固定されたリブと、前記記録ヘッドから吐出されたインクであって被記録材に着弾しないインクを受けるインクの吐出領域とを備え、少なくとも一部の前記固定リブから、被記録材の搬送方向に移動可能な可動リブが出現することを特徴とするものである。
【0010】
本態様によれば、被記録材の被支持面を支持する複数の固定リブの少なくとも一部の前記固定リブから、被記録材の搬送方向に移動可能な可動リブが出現するように構成されている。従って、ロール癖やインクの浸潤によって先端部が下方にカールする傾向があっても、或いは被記録材の先端部が固定リブから徐々に離れることで該先端部が下がる変形をする傾向があっても、当該可動リブによって被記録材の先端部における被支持面を支持し、下方への前記カール或いは変形を抑制することが可能となる。
すなわち、当該可動リブによって、前記カール或いは変形を抑制した状態で下流位置まで当該被記録材の先端部を搬送することが可能になる。これにより、被記録材の先端部が固定リブから離れることで変形することによる問題を低減することができる。
【0011】
また、本態様によれば、固定リブと、該固定リブの位置から搬送方向の下流側に移動する可動リブとの両方のリブによって被記録材の先端部を支持することが可能になるので、もって被記録材の先端部の姿勢を安定化することができ、記録品質を向上することができる。
【0012】
本発明に係る記録装置の第2の態様は、前記第1の態様において、前記固定リブの支持面より低い位置にインク吸収面が位置するように前記インクの吐出領域に設けられ、前記記録ヘッドから吐出されたインクであって被記録材に着弾しないインクを受けるインク吸収材を備えていることを特徴とするものである。
【0013】
ここで、「リブの支持面より低い位置にインク吸収面が位置する」における「低い」とは、本願特許請求の範囲及び明細書においては、鉛直の上下方向を前提とした系における高さが「低い」という意味に限定されず、傾斜方向や水平方向等の系において、その方向における基端に近づく方向を「低い」、離れる方向を「高い」という意味で使われている。
【0014】
本態様によれば、当該可動リブによって前記カール或いは変形を抑制した状態でインク吸収材に接触する虞のない下流位置まで当該被記録材の先端部を搬送することが可能になる。これにより、インク吸収材を備える記録装置において被記録材の先端部が固定リブから離れることで変形することによる問題を低減することができる。
【0015】
本発明に係る記録装置の第3の態様は、前記第2の態様において、前記可動リブは、前記インク吸収材の上方を移動するように設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
本態様によれば、可動リブを設けてもインク吸収材のインク吸収面の面積を減少させることがない。従って、記録ヘッドから吐出されたインクであって被記録材に着弾しないインク、即ち記録の実行に使用されず打ち捨てられたインクを当該インク吸収材で効果的に受けることができ、インクミストの発生を少なくすることができる。
【0017】
本発明に係る記録装置の第4の態様は、前記第2の態様において、前記可動リブは、前記インク吸収材に対して貫通形成した被記録材の搬送方向に延びるスリットに沿って移動するように設けられていることを特徴とするものである。
【0018】
本態様によれば、スリットはインク吸収材に対して貫通形成されているが、該スリットはスリット幅をできるだけ小さくすることで、インク吸収材のインク吸収面の面積の減少を極力小さく抑えることが可能である。従って、前記打ち捨てられたインクを面積減少の少ない当該インク吸収材で効果的に受けることができ、インクミストの発生を少なくすることができる。
【0019】
また、インク吸収材に対して形成するスリットは、インク吸収材の弾性を利用して、可動リブが存在している部位では、その弾性力によって外側に広がって可動リブの移動を可能にし、一方、可動リブが存在していない部位では密着してその間隙を閉塞ないし狭めた状態となるように構成することが可能である。これにより、インク吸収材のインク吸収面の面積をほとんど減少させることなく可動リブを設置することが可能になる。
【0020】
本発明に係る記録装置の第5の態様は、前記第1の態様から第4の態様のいずれか一つにおいて、前記可動リブの前記搬送方向の長さは、前記固定リブの占める範囲内に納まる寸法に形成されていることを特徴とするものである。
【0021】
本態様によれば、前記可動リブが移動する前の状態では、前記固定リブの設置範囲内に可動リブが納まっているので、構造のコンパクト化を実現することができる。
【0022】
本発明に係る記録装置の第6の態様は、前記第1の態様から第4の態様のいずれか一つにおいて、前記可動リブの前記搬送方向の長さは、前記固定リブの占める範囲よりも長い寸法に設定され、且つ前記固定リブに対して上流側と下流側の両方向に移動可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0023】
本態様によれば、可動リブは固定リブに対して上流側と下流側の両方向に移動可能であるので、被記録材の先端部が固定リブの下流側に到達した状態で行う先端部の縁無し記録と、被記録材の後端部が固定リブの上流側に到達した状態で行う後端部の縁無し記録の両方を、当該可動リブで支えた状態で行うことができる。
【0024】
本発明に係る記録装置の第7の態様は、前記第5の態様において、前記インクの吐出領域内の下流側の領域の一部には、前記リブの支持面より低く前記インク吸収面よりも高いガイド面を有する被記録材に対する誘いガイド部が前記リブ側に向って延設されていることを特徴とするものである。
ここで、使用される「低く」「高い」の本願特許請求の範囲及び明細書における意味は、前記第2の態様における意味と同様である。
【0025】
本態様によれば、前記可動リブの下流側への移動範囲が前記誘いガイド部に被記録材の先端部を受け渡すまでの短い範囲で足りるから、可動リブの移動ストロークを短く設定することが可能になる。また、誘いガイド部を設けることによって、被記録材の先端部が誘いガイド部に到達した状態では、被記録材の被支持面は可動リブの支持面に加えて誘いガイド部の支持面によっても支持されているから、被記録材の姿勢が安定する。
【0026】
本発明に係る記録装置の第8の態様は、前記第1の態様から第7の態様のいずれか一つにおいて、前記可動リブは、少なくとも使用が想定される被記録材の幅方向の両端部に対応する位置に存するように配置されていることを特徴とするものである。
【0027】
本態様によれば、被記録材の先端部の下方へのカール等に基づく上記問題を解決するに当たって効果的な位置に可動リブが配置されているので、使用が想定されるすべての幅寸法の被記録材に対してカール等に基づく前記問題を効率的に解決することができる。
【0028】
本発明に係る記録装置の第9の態様は、前記第1の態様から第8の態様のいずれか一つにおいて、前記可動リブは、被記録材の幅方向に互いに離間して並設されており、記録が実行される被記録材の幅寸法に対応して当該被記録材を支持している可動リブのみが移動するように構成されていることを特徴とするものである。
【0029】
本態様によれば、被記録材の幅寸法に対応して当該被記録材を支持している可動リブのみが移動するように構成されているので、無駄のない効率的な可動リブの移動制御が可能になる。また、直接、被記録材を支持していない他の可動リブの移動を停止させることで、該可動リブの移動に伴う摩耗や消費電力の削減が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例1に係る記録装置の内部構造の概略を示す側断面図。
【図2】本発明の実施例1に係る記録装置を示す可動リブが移動している状態の斜視図。
【図3】本発明の実施例1に係る記録装置の可動リブの作動態様を示す移動前の側断面図。
【図4】本発明の実施例1に係る記録装置の可動リブの作動態様を示す移動中の側断面図。
【図5】本発明の実施例1に係る記録装置の可動リブの作動態様を示す移動後の側断面図。
【図6】本発明の実施例2に係る記録装置を示す可動リブが移動している状態の斜視図。
【図7】本発明の実施例3に係る記録装置の可動リブの作動態様を示す移動前の側断面図。
【図8】本発明の実施例4に係る記録装置を示す可動リブが移動している状態の斜視図。
【図9】本発明の実施例5に係る記録装置を示す可動リブが移動している状態の斜視図。
【図10】本発明の実施例6に係る記録装置を示す可動リブが移動している状態の平面図。
【図11】本発明の実施例7に係る記録装置を示す可動リブが移動している状態の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図1から5に示す実施例1と、図6に示す実施例2と、図7に示す実施例3と、図8に示す実施例4と、図9に示す実施例5と、図10に示す実施例6と、図11に示す実施例7とを例にとって、本発明の記録装置1の構成と、可動リブ3の作動態様について具体的に説明する。
尚、以下の説明では、最初に図1に基づいて本発明の記録装置1の基本的構成について説明し、次いで本発明の特徴的構成について前述した実施例1から実施例7の七つの実施例を例にとって順番に説明して行く。
【0032】
図示の記録装置1は、用紙Pの被記録面に余白を形成することなく記録を実行する、いわゆる「縁無し記録」に対応したインクジェットプリンター1(「記録装置」と同じ符号を使用する)である。
本実施例のインクジェットプリンター1は、記録実行領域23に搬送された被記録材である用紙Pの被記録面にインクを吐出して記録を実行する記録ヘッド27と、前記記録実行領域23に搬送された用紙Pの前記被記録面と反対側の被支持面を支持する複数のリブ2と、前記記録ヘッド27から吐出されたインクであって用紙Pに着弾しないインクを受けるインク吐出領域35とを備えている。
【0033】
更に図1に即して構成を説明すると、本実施例のインクジェットプリンター1は、給送用セット部13に積畳状態でセットされた用紙Pを最上位のものから順番に1枚ずつ搬送経路16に向けて給送する給送部17と、前記搬送経路16に給送された用紙Pに搬送力を付与して記録実行領域23に導き、記録実行後の用紙Pを外部に排出させる搬送部20と、記録実行領域23に導かれた用紙Pの被記録面の全面に各色のインクを吐出して記録を実行する記録ヘッ25を備えた記録実行部25と、記録実行領域23に導かれた用紙Pの前記被記録面と反対側の被支持面を支持する複数のリブ2を備えた支持案内部31と、を具備することによって基本的に構成されている。
【0034】
本実施例では、前記複数のリブ2は、前記支持案内部31に対して固定状態で設けられる固定リブ5と、一部の固定リブ5に対して入れ子構造で設けられ、用紙Pの搬送方向Aに移動可能な可動リブ3と、を備えることによって構成されている。即ち、複数の固定リブ5の少なくとも一部は、用紙Pの搬送方向Aに移動可能な可動リブ3を備えている。
尚、ここで「入れ子構造」とは、可動リブ3が固定リブ5側の端部に移動して可動リブ3の少なくとも一部が固定リブ5の収容空間55内に位置している収縮状態と、可動リブ3が固定リブ5と反対側の端部に移動して可動リブ3の大部分が固定リブ5の収容空間55外に位置している伸長状態との間で摺動可能な係合ないし嵌合構造を意味している。
【0035】
更に、図示のインクジェットプリンター1にあっては、前記支持案内部31のインク吐出領域35には、前記固定リブ2の支持面9より低い位置にインク吸収面33が位置するように前記インク吐出領域35を覆うインク吸収材37が設けられている。すなわち、前記固定リブ2の支持面9より低い位置にインク吸収面33が位置するように前記インク吐出領域35に設けられ、前記記録ヘッド27から吐出されたインクであって用紙Pに着弾しないインクを受けるインク吸収材37が設けられている。
【0036】
給送用セット部13は、一例として用紙載置部15を備えることによって構成されており、給送部17は、ホッパー18との挟圧送り作用によって用紙Pを繰り出す一例として側面視D字形状の給送用ローラー19を備えることによって構成されている。
搬送部20は、一対のニップローラーによって構成され、記録実行領域23の上流位置に配置される搬送用ローラー21と、同じく一対のニップローラーによって構成され、記録実行領域23の下流位置に配置される排出用ローラー22と、を備えることによって構成されている。
【0037】
記録実行部25は、前記記録ヘッド27と、該記録ヘッド27を搭載して用紙Pの搬送方向Aと交差する用紙Pの幅方向Bを走査方向として往復移動するキャリッジ29と、を備えることによって構成されている。
【0038】
支持案内部31は、上面に前記インク吸収材37を装着するための凹部39が形成された矩形枠状の部材で(図2)、図示のインクジェットプリンター1にあっては、前記凹部39内と該凹部39の上流位置と下流位置に前記リブ2として機能する固定リブ5A、5B、5Cが用紙Pの幅方向Bに適宜の間隔を空けて複数設けられている。
また、前記凹部39内に設けられている固定リブ5A内には、後述する本発明の特徴的構成部材である可動リブ3が出没可能な状態で設けられている。
【0039】
インク吸収材37は、前記支持案内部31の凹部39に対して装着される一例として矩形平板上の部材である。インク吸収材37としては、インク吸収性を有する多孔質のスポンジ状の部材が一例として使用されている。そして、該インク吸収材37を前記凹部39に装着したとき、前述した固定リブ5Aの支持面9がインク吸収材37のインク吸収面33よりも高くなるように前記固定リブ5Aを受け入れる上下に貫通した窓部38が複数形成されている。
【0040】
[実施例1](図1〜図5参照)
図3に示したように、実施例1に係るインクジェットプリンター1Aでは、可動リブ3Aの長さLが前記固定リブ5Aの設置範囲内49内に納まる寸法に設定されている。そして、可動リブ3Aが前記インク吸収材37の上方を移動するように設けられている。
具体的には、前記固定リブ5Aの内部には、前記可動リブ3Aを収納する下流側端面51が開放された収容空間55が形成されており、該収容空間55の下方の支持案内部31における内部空間には、図3から図5に示す作動機構41が組み込まれている。
【0041】
前記作動機構41は、前記可動リブ3Aの搬送方向Aへの移動を司る機構で、前記搬送部20による用紙Pの搬送と関連付けて前記可動リブ3Aを図示のように用紙Pの搬送方向Aに移動させながら用紙Pの搬送を行っている。
また、前記作動機構41として、本実施例ではラックピニオン機構が採用されており、支持案内部31における内部空間の一例として底部に設けられるピニオン43と、該ピニオン43と噛み合う一例として水平に配置されたラック45と、を備えることによって構成されている。
【0042】
そして、前記ピニオン43を回転させるための動力は、搬送用ローラー21に動力を伝達しているギア輪列等から得ても良いし別個独立のモーター等から取得することが可能である。
また、前記ラック45には上方に向って延びるアーム47が一体に設けられており、該アーム47の上端部に一例として下流側に張り出すように前記可動リブ3Aが取り付けられている。
尚、前記可動リブ3Aは、図3に示すように移動する前の状態ではバネ48の付勢力によって前記固定リブ5Aの設置範囲49内に位置するように一例として設けられている。
【0043】
また、本実施例では、前記可動リブ3Aが移動する前の状態で前記固定リブ5Aの下流側端面51と可動リブ3Aの下流側端面53とがほぼ一致するように設けられており、前記可動リブ3Aの移動ストロークSは、図5に示すように用紙Pの搬送速度とほぼ同速度で前記可動リブ3を搬送方向Aに移動させた時、用紙Pの先端部11がカールにより下方のインク吸収材37に接触することなく、前記凹部39の下流に位置している前記固定リブ5Cの支持面9に到達することができるストロークに設定されている。
尚、本実施例の場合には、可動リブ3Aの支持面9の高さを固定リブ5A、5B、5Cのそれぞれの支持面9の高さより少し低く設定したが、この低さの程度は、用紙Pの円滑な搬送が可能で、用紙Pの先端部11のインク吸収材37に対する接触が生じない範囲で設定可能である。
【0044】
次に、図3から図5に基づいて前記可動リブ3の作動態様を(1)移動前と、(2)移動中と、(3)移動後に分けて説明する。
【0045】
(1)移動前(図3参照)
図3に示すように、可動リブ3Aが移動する前の状態では、該可動リブ3は、バネ48の付勢力によって前記固定リブ5Aの設置範囲49内に位置しており、固定リブ5Aの下流側端面51と可動リブ3Aの下流側端面53の位置はほぼ一致している。
搬送用ローラー21によって搬送力が付与された用紙Pは、その先端部11側が固定リブ5Bを通過し、更に固定リブ5Aに至り、更に該固定リブ5Aの下流側端面51を僅かに過ぎたときに可動リブ3Aが移動を開始するように構成されている。
【0046】
(2)移動中(図4参照)
用紙Pの先端部11が固定リブ5Aの下流側端面51及び移動開始前の位置に在る可動リブ3Aの下流側端面53の位置を僅かに過ぎると、先端に対する縁なし記録が開始する。このとき可動リブ3A及び固定リブ5Aは、いずれも用紙Pの下側に位置するので、記録ヘッド27から吐出されるインクは用紙P上に、または用紙先端から外れてインク吸収材37のインク吸収面33上に着弾する。よって可動リブ3A及び固定リブ5Aはインクが付着して汚れることはない。そして、間欠搬送される用紙Pの搬送速度とほぼ同速度で可動リブ3がバネ48の付勢力に抗して搬送方向Aへの移動するように構成されている。
この移動中は、当該用紙Pの先端部11の被支持面は、可動リブ3A及び固定リブ5Aの支持面9によって支持されているため、下方へのカール又は変形は抑制された状態である。
【0047】
可動リブ3Aが移動を開始するタイミングは、本実施例では、用紙Pの先端位置を検出する位置センサーから用紙Pの搬送量をカウントすることで取得するように構成されている。
すなわち、先端部11のカールや変形の有無と無関係に可動リブが所定のタイミングで移動を開始し、更に前記先端部11を支えて移動するように構成されている。
尚、用紙Pの先端部11のカールによる下降量を別途のセンサーで検出し、所定の下降量になった時に可動リブ3の移動を開始させるようにすることも可能である。
【0048】
可動リブ3Aの移動は、前述した作動機構41によって行われており、ピニオン43が図4中において反時計方向に回転することによって、ラック45と、該ラック45と一体のアーム47に取り付けられている可動リブ3Aとを、図4中において左方に移動させることによって実行されるようになっている。
この時、用紙Pの先端部11は、固定リブ5Aから離れて該固定リブ5Aによる前記カール等に対する抑制が及ばない下流位置に移動するが、当該用紙Pと共に移動する可動リブ3Aによって下方へのカール等が抑制されるため、当該先端部11が下方のインク吸収材37のインク吸収面33に接触することなく搬送される。
【0049】
(3)移動後(図5参照)
ピニオン43が所定回数回転して、回転を停止すると、可動リブ3Aは、移動ストロークSだけ搬送方向Aに移動して停止する。
この後、用紙Pの先端部11は、停止した可動リブ3Aから離れて該可動リブによる前記抑制が及ばない下流位置に移動するが、当該位置には、前記下流側の固定リブ5Cが位置しており、下方のインク吸収材37のインク吸収面33に接触することなく搬送され、下流の排出用ローラー22に受け渡されるようになっている。
【0050】
当該用紙Pの先端部11が前記排出用ローラー22にニップされた後、ピニオン43は図4と反対の時計方向に回転し、これによりバネ48の付勢力も作用してラック45と可動リブ3とを図3に示す当初の位置に戻す。そして、この状態で用紙Pに対する記録が継続される。
【0051】
以下、図3乃至図5に基づいて説明した前述した動作を同様に繰り返すことによって、後続の用紙Pに対しても先端部11の下方へのカール等を抑制した状態で、用紙Pの先端部11をインク吸収材37に接触させることなく、用紙Pの被記録面全体の記録が実行される。
【0052】
[実施例2](図6参照)
実施例2に係るインクジェットプリンター1Bは、前記実施例1に係るインクジェットプリンター1Aと基本的に同様の構成を有しており、前記インク吐出領域35の下流側に誘いガイド部7を設け、前記可動リブ3Bの移動ストロークSを前記誘いガイド部7の長さ分、短く設定した点で前記実施例1と相違している。
従って、ここでは前記実施例1と相違する誘いガイド部7の構成とその作動態様を中心にして説明する。
【0053】
即ち、実施例2に係るインクジェットプリンター1Bにあっては、前記インク吐出領域35内の下流側の領域の一部に、前記リブ2の支持面9より低く前記インク吸収面33よりも高いガイド面8を有する用紙Pに対する誘いガイド部7が前記リブ2側に向って延設されている。具体的には、前記インク吐出領域35の下流側に位置する前記支持案内部31に対して、前記インク吐出領域35側に張り出す誘いガイド部7を設けた構造になっている。
【0054】
該誘いガイド部7の前記ガイド面8は、インク吐出領域35側に下り傾斜の案内傾斜面となっており、該誘いガイド部7は平面視矩形の板状の部材によって構成されている。また、誘いガイド部7の上面も用紙Pの先端部11の下方へのカールを規制する支持面9になっている。
本実施例の場合には、可動リブ3Bの役割は、前記固定リブ5Aと誘いガイド部7間の用紙Pの受け渡しをインク吸収材37に用紙Pの先端部11を接触させることなく円滑に実行することである。
【0055】
そして、このようにして構成される本実施例によっても、前記実施例1と同様の作用、効果を奏することができ、更に可動リブ3Bの移動ストロークSを誘いガイド部7の長さ分、短く設定できるので、可動リブ3Bの作動機構41をコンパクトに構成できるという作用、効果も発揮される。
【0056】
[実施例3](図7参照)
実施例3に係るインクジェットプリンター1Cは、可動リブ3Cの長さLが固定リブ5Aの占める範囲より長い、すなわち設置範囲49内に納まらない寸法に設定され、且つ前記固定リブ5Aに対して上流側と下流側の両方向に移動可能に構成されている。前記上流側と下流側の両方向に移動可能にするために、固定リブ5Aの下流側端面51だけでなく、上流側端面52も開放されている。以上の点で前記実施例1と相違しているが、その他の構成については前記実施例1と同様の構成を有している。
従って、ここでは前記実施例1と相違する可動リブ3Cと固定リブ5Aの構成と該可動リブ3Cの作動態様を中心にして説明する。
【0057】
実施例3に係るインクジェットプリンター1Cにあっては、図7に示す移動途中の中間位置にある状態で、可動リブ3Cの下流側端面53が固定リブ5Aの下流側端面51よりも距離bだけ突出した状態になっている。
また、本実施例では、固定リブ5Aの上流側端面52も開放されているため、可動リブ3Cは、図7中の実線で示す位置から図7中の仮想線で示す上流側の位置にも距離bだけ移動できるようになっている。
【0058】
本実施例によれば、可動リブ3Cは固定リブ5Aに対して上流側と下流側の両方向に移動可能であるので、用紙Pの先端部11が固定リブ5Aの下流側に到達した状態で行う先端部11の縁無し記録と、用紙Pの後端部が固定リブ5Aの上流側に到達した状態で行う後端部12の縁無し記録の両方を、当該可動リブ3Cで支えた状態で行うことができる。
【0059】
[実施例4](図8参照)
実施例4に係るインクジェットプリンター1Dは、固定リブ5Aの上面を開放状態にして、可動リブ3Dの支持面9の高さと固定リブ5Aの支持面9の高さを同じに設定した点で前記実施例1と相違しており、その他の構成については前記実施例1と同様の構成を有している。
従って、ここでは前記実施例1と相違する可動リブ3Dと固定リブ5Aの構成と可動リブ3Dの作動態様を中心にして説明する。
【0060】
即ち、可動リブ3Dの長さLは、前記実施例1と同様、固定リブ5Aの設置範囲49内に納まる寸法に設定されており、可動リブ3Dの高さHは前記実施例1よりも高く設定されている。
すなわち、本実施例では、固定リブ5Aに上面が設けられていないことで、上面の肉厚分、可動リブ3Dの高さが実施例1よりも高くなっている。その結果として固定リブ5Aの支持面9の高さと可動リブ3Dの支持面9の高さHがほぼ同じになっている。
【0061】
そして、このようにして構成される本実施例によっても、前記実施例1と同様の作用、効果を奏することができ、更に本実施例にあっては、用紙Pの先端鵜11が固定リブ5Aの支持面9から可動リブ3Dの支持面9に移載される際に段差がないから、用紙Pのより円滑な搬送が実現されて記録実行品質の向上が図られる。
【0062】
[実施例5](図9参照)
実施例5に係るインクジェットプリンター1Eは、可動リブ3Eがインク吸収材37に対して形成したスリット59に沿って移動するように構成した点で前記実施例1と相違しており、その他の構成については前記実施例1と同様の構成を有している。
従って、ここでは前記実施例1と相違する可動リブ3E及びインク吸収材37の構成とこれらの作動態様を中心にして説明する。
【0063】
即ち、実施例5に係るインクジェットプリンター1Eにあっては、インク吸収材37に対して用紙Pの搬送方向Aに延びる細いスリット59が形成されており、該スリット59に係合する薄板状の首部61と、該首部61よりも肉厚の棒状の頭部63を備えた可動リブ3Eを配設した構造が一例として採用されている。
また、インク吸収材37は弾性変形可能な材料によって形成されており、可動リブ3Eが位置している部分では前記スリット59が可動リブ3Eの首部61の厚さ分、外方に押し広げられて首部61の搬送方向Aへの移動を可能にしている。一方、可動リブ3Eが位置していない部分では前記スリット59の対向する側壁は極めて接近した状態になっており、当該スリット59でのインク吸収面33の減少はほとんど発生しないように構成されている。
【0064】
そして、このようにして構成される本実施例によっても、前記実施例1と同様の作用、効果を奏することができ、更に本実施例にあっては、可動リブ3Aをインク吸収材37の上方に移動させる前記実施例1の構成に比べて比較的簡単な構成で、可動リブ3Eを移動させることが可能になる。
【0065】
[実施例6](図10参照)
実施例6に係るインクジェットプリンター1Fは、可動リブ3Fが使用が想定される用紙Pの幅方向Bの両端部Eに対応する位置に存するように複数配置されている点で前記実施例1と相違しており、その他の構成については前記実施例1と同様の構成を有している。
従って、ここでは前記実施例1と相違する可動リブ3Fの配置態様とその作用、効果を中心にして説明する。
【0066】
具体的には、図示のように使用が想定される用紙Pとして、A3縦サイズのものP1、A4縦サイズのものP2、葉書縦サイズのものP3の3種類を一例として設定し、これら3種類の用紙P1、P2、P3の両端部E1、E2、E3に対応する位置に可動リブ3Fを配置するという構成を採用している。
因みに、用紙Pの先端部11に生じている下向きのカールを抑制する場合、用紙Pの両端部Eの被支持面を支持するのが効果的であるため、前記3種類の用紙P1、P2、P3のぞれぞれの両端部E1、E2、E3に対応する位置に可動リブ3Fを配置したものである。
【0067】
そして、このようにして構成される本実施例によっても、前記実施例1と同様の作用、効果を奏することができ、更に本実施例にあっては、可動リブ3Fの効果的な配置によって、少ない可動リブ3Fで用紙Pの先端部11における下向きのカール等の抑制を図ることが可能になり、部品点数を少なくすることで製品コストの削減にも寄与し得る。
【0068】
[実施例7](図11参照)
実施例7に係るインクジェットプリンター1Gは、幅方向Bに並設されている複数の可動リブ3Gのうち、記録を実行する用紙Pに対応した可動リブ3Gのみを移動させるようにした点で前記実施例1と相違しており、その他の構成については前記実施例1と同様の構成を有している。
従って、ここでは前記実施例1と相違する可動リブ3Gの作動態様を中心にして説明する。
【0069】
図11では、A3縦サイズまでの用紙Pに対応したインクジェットプリンター1Gにおいて、A4縦サイズの用紙P2に記録を実行している場合の可動リブ3Gの作動態様が図示されている。
幅方向Bに並設されている可動リブ3Gは、使用が想定される用紙Pのサイズに対応して配置されている図示のようなクラッチ機構65A、65B等を介して動力伝達のON、OFFを切り替えることができるように構成されている。
【0070】
そして、図示の状態では、内方(ホームポジション側)のクラッチ機構65AがON、外方のクラッチ機構65BがOFFになっており、外方のクラッチ機構65Bの内側に位置する可動リブ3Gのみが移動し、外方のクラッチ機構65Bの外側に位置する可動リブ3Gは移動しないようになっている。
尚、図示は省略するが、A3縦サイズの用紙P1に記録を実行する場合には、2基のクラッチ機構65A、65Bを共にONにしてすべての可動リブ3Gが移動できるようにし、葉書縦サイズの用紙P3に記録を実行する場合には、2基のクラッチ機構65A、65Bを共にOFFにして内方のクラッチ機構65Aの内側に位置する可動リブ3Gのみを移動させるようにする。
【0071】
そして、このようにして構成される本実施例によっても、前記実施例1と同様の作用、効果を奏することができ、更に本実施例にあっては、可動リブ3Gの効果的な使用によって可動リブ3Gの無駄な移動を防止して可動リブ3Gの摩耗を防止し、記録実行時の消費電力の削減を図ることが可能になる。
尚、用紙Pのサイズ毎に動作させる可動リブ3Gに対する動力伝達の切り替えは、前述したように単一の駆動源から得た動力をクラッチ機構65等を利用して切り替える他、駆動源を複数設けて個別に必要な駆動源を動作させる構成であってもよい。
【0072】
[他の実施例]
本発明に係る記録装置1は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
例えば、支持案内部31のインク吐出領域35を覆うインク吸収材37を排除して、例えば凹部39に形成した細幅の傾斜した溝等によって凹部39内に打ち捨てられたインクを回収する構造の記録装置であってもよい。
【0073】
また、すべての固定リブ5Aに対して可動リブ3を入れ子構造等で設けてもよいし、前記実施例6、実施例7に示すように、必要な部位の固定リブ5Aに対してのみ可動リブ3を設け、必要でない部位では可動リブ3を設けないで固定リブ5A単独の構成とすることも可能である。
この他、インク吐出領域35の上流側の固定リブ5Bや下流側の固定リブ5Cに対して入れ子構造で可動リブ3を設けることも可能である。
【0074】
また、可動リブ3の移動方向は、用紙Pの搬送方向Aの下流側だけでなく上流側に設定することが可能であり、搬送方向Aの上流側と下流側の両方に可動リブ3を移動させて使用することも可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 インクジェットプリンター(記録装置)、2 リブ、3 可動リブ、
5 固定リブ、7 誘いガイド部、8 案内傾斜面、9 支持面、11 先端部、
12 後端部、13 給送用セット部、15 用紙載置部、16 搬送経路、
17 給送部、18 ホッパー、19 給送用ローラー、20 搬送部、
21 搬送用ローラー、22 排出用ローラー、23 記録実行領域、
25 記録実行部、27 記録ヘッド、29 キャリッジ、31 支持案内部、
33 インク吸収面、35 インク吐出領域、37 インク吸収材、38 窓部、
39 凹部、41 作動機構、43 ピニオン、45 ラック、47 アーム、
48 バネ、49 設置範囲、51 下流側端面、52 上流側端面、
53 下流側端面、55 収容空間、59 スリット、61 首部、63 頭部、
65 クラッチ機構、P 用紙(被記録材)、A 搬送方向、B 幅方向、
S 移動ストローク、E 両端部、b 距離、L 長さ、H 高さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録実行領域に搬送された被記録材の被記録面にインクを吐出して記録を実行する記録ヘッドと、前記記録実行領域に搬送された被記録材の前記被記録面と反対側の被支持面を支持する複数のリブとを備えた記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から被記録材(以下、「用紙」ともいう)の被記録面に余白を形成することなく記録を実行する、いわゆる「縁無し記録」に対応したインクジェットプリンターが開発されている(例えば特許文献1)。前記インクジェットプリンターにおいて縁無し記録を実行する場合には、記録実行領域に搬送された被記録材の前記被記録面と反対側の被支持面を複数の固定リブで支持した状態で、被記録材の端縁の外側にもインクが吐出されるようになっている。
【0003】
また、前記記録ヘッドからインクが吐出される範囲に対応する部位には、縁無し記録の際に被記録材に着弾しなかったインクを受けるための凹部等のインク受け部が設けられている。下記の特許文献1では、前記インク受け部にインク吸収材が配設され、前記被記録材に着弾しなかったインクが該インク吸収材に着弾するようにしてインクミストの発生を低減させている。
【0004】
ところで、記録を実行する用紙がロール紙である場合や単票紙でも普通紙のような薄紙である場合には、ロール癖やインクの湿潤による被記録面の膨張によって、用紙の先端部が下方にカールした変形状態で搬送される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−149530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した先端部が下方にカールした被記録材が、更に下流に搬送されて排出用ローラーに受け渡されるまでの間に、被記録材の先端部は前記リブから次第に離れるため、搬送と共に徐々に先端部の位置が下がって前述したインク吸収材に接触してインクで汚れたり、該被記録材の先端部がインク吸収材或いはその近辺の構造体に引っ掛かって紙詰まり等の搬送不良を引き起こすことがある。
この場合、前記インク吸収材を排除すれば、前記被記録材の先端部のインク汚れや引っ掛かりが生じにくくなるが、それではインクミストの発生を助長することになり、記録品質を低下する要因になる。
【0007】
また、前記カールの程度が小さくて被記録材の前記先端部がインク吸収材と接触することがない程度の小さい変形の場合でも、被記録材の先端部が前記リブから次第に離れるので、被記録材の剛性にもよるが該先端部が徐々に下がる傾向がある。このように先端部が徐々に下がると、該先端部と記録ヘッドとの距離が前記リブの位置する部分の距離と変わってしまい(距離が大きくなる方向に変わる)、それによって記録品質が低下する虞がある。
【0008】
本発明の目的は、被記録材の先端部が固定リブから離れることで変形することによる問題を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明に係る記録装置の第1の態様は、記録実行領域に搬送された被記録材の被記録面にインクを吐出して記録を実行する記録ヘッドと、搬送された被記録材の前記被記録面と反対側の被支持面を支持するとともに、前記記録実行領域に形成された複数の固定されたリブと、前記記録ヘッドから吐出されたインクであって被記録材に着弾しないインクを受けるインクの吐出領域とを備え、少なくとも一部の前記固定リブから、被記録材の搬送方向に移動可能な可動リブが出現することを特徴とするものである。
【0010】
本態様によれば、被記録材の被支持面を支持する複数の固定リブの少なくとも一部の前記固定リブから、被記録材の搬送方向に移動可能な可動リブが出現するように構成されている。従って、ロール癖やインクの浸潤によって先端部が下方にカールする傾向があっても、或いは被記録材の先端部が固定リブから徐々に離れることで該先端部が下がる変形をする傾向があっても、当該可動リブによって被記録材の先端部における被支持面を支持し、下方への前記カール或いは変形を抑制することが可能となる。
すなわち、当該可動リブによって、前記カール或いは変形を抑制した状態で下流位置まで当該被記録材の先端部を搬送することが可能になる。これにより、被記録材の先端部が固定リブから離れることで変形することによる問題を低減することができる。
【0011】
また、本態様によれば、固定リブと、該固定リブの位置から搬送方向の下流側に移動する可動リブとの両方のリブによって被記録材の先端部を支持することが可能になるので、もって被記録材の先端部の姿勢を安定化することができ、記録品質を向上することができる。
【0012】
本発明に係る記録装置の第2の態様は、前記第1の態様において、前記固定リブの支持面より低い位置にインク吸収面が位置するように前記インクの吐出領域に設けられ、前記記録ヘッドから吐出されたインクであって被記録材に着弾しないインクを受けるインク吸収材を備えていることを特徴とするものである。
【0013】
ここで、「リブの支持面より低い位置にインク吸収面が位置する」における「低い」とは、本願特許請求の範囲及び明細書においては、鉛直の上下方向を前提とした系における高さが「低い」という意味に限定されず、傾斜方向や水平方向等の系において、その方向における基端に近づく方向を「低い」、離れる方向を「高い」という意味で使われている。
【0014】
本態様によれば、当該可動リブによって前記カール或いは変形を抑制した状態でインク吸収材に接触する虞のない下流位置まで当該被記録材の先端部を搬送することが可能になる。これにより、インク吸収材を備える記録装置において被記録材の先端部が固定リブから離れることで変形することによる問題を低減することができる。
【0015】
本発明に係る記録装置の第3の態様は、前記第2の態様において、前記可動リブは、前記インク吸収材の上方を移動するように設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
本態様によれば、可動リブを設けてもインク吸収材のインク吸収面の面積を減少させることがない。従って、記録ヘッドから吐出されたインクであって被記録材に着弾しないインク、即ち記録の実行に使用されず打ち捨てられたインクを当該インク吸収材で効果的に受けることができ、インクミストの発生を少なくすることができる。
【0017】
本発明に係る記録装置の第4の態様は、前記第2の態様において、前記可動リブは、前記インク吸収材に対して貫通形成した被記録材の搬送方向に延びるスリットに沿って移動するように設けられていることを特徴とするものである。
【0018】
本態様によれば、スリットはインク吸収材に対して貫通形成されているが、該スリットはスリット幅をできるだけ小さくすることで、インク吸収材のインク吸収面の面積の減少を極力小さく抑えることが可能である。従って、前記打ち捨てられたインクを面積減少の少ない当該インク吸収材で効果的に受けることができ、インクミストの発生を少なくすることができる。
【0019】
また、インク吸収材に対して形成するスリットは、インク吸収材の弾性を利用して、可動リブが存在している部位では、その弾性力によって外側に広がって可動リブの移動を可能にし、一方、可動リブが存在していない部位では密着してその間隙を閉塞ないし狭めた状態となるように構成することが可能である。これにより、インク吸収材のインク吸収面の面積をほとんど減少させることなく可動リブを設置することが可能になる。
【0020】
本発明に係る記録装置の第5の態様は、前記第1の態様から第4の態様のいずれか一つにおいて、前記可動リブの前記搬送方向の長さは、前記固定リブの占める範囲内に納まる寸法に形成されていることを特徴とするものである。
【0021】
本態様によれば、前記可動リブが移動する前の状態では、前記固定リブの設置範囲内に可動リブが納まっているので、構造のコンパクト化を実現することができる。
【0022】
本発明に係る記録装置の第6の態様は、前記第1の態様から第4の態様のいずれか一つにおいて、前記可動リブの前記搬送方向の長さは、前記固定リブの占める範囲よりも長い寸法に設定され、且つ前記固定リブに対して上流側と下流側の両方向に移動可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0023】
本態様によれば、可動リブは固定リブに対して上流側と下流側の両方向に移動可能であるので、被記録材の先端部が固定リブの下流側に到達した状態で行う先端部の縁無し記録と、被記録材の後端部が固定リブの上流側に到達した状態で行う後端部の縁無し記録の両方を、当該可動リブで支えた状態で行うことができる。
【0024】
本発明に係る記録装置の第7の態様は、前記第5の態様において、前記インクの吐出領域内の下流側の領域の一部には、前記リブの支持面より低く前記インク吸収面よりも高いガイド面を有する被記録材に対する誘いガイド部が前記リブ側に向って延設されていることを特徴とするものである。
ここで、使用される「低く」「高い」の本願特許請求の範囲及び明細書における意味は、前記第2の態様における意味と同様である。
【0025】
本態様によれば、前記可動リブの下流側への移動範囲が前記誘いガイド部に被記録材の先端部を受け渡すまでの短い範囲で足りるから、可動リブの移動ストロークを短く設定することが可能になる。また、誘いガイド部を設けることによって、被記録材の先端部が誘いガイド部に到達した状態では、被記録材の被支持面は可動リブの支持面に加えて誘いガイド部の支持面によっても支持されているから、被記録材の姿勢が安定する。
【0026】
本発明に係る記録装置の第8の態様は、前記第1の態様から第7の態様のいずれか一つにおいて、前記可動リブは、少なくとも使用が想定される被記録材の幅方向の両端部に対応する位置に存するように配置されていることを特徴とするものである。
【0027】
本態様によれば、被記録材の先端部の下方へのカール等に基づく上記問題を解決するに当たって効果的な位置に可動リブが配置されているので、使用が想定されるすべての幅寸法の被記録材に対してカール等に基づく前記問題を効率的に解決することができる。
【0028】
本発明に係る記録装置の第9の態様は、前記第1の態様から第8の態様のいずれか一つにおいて、前記可動リブは、被記録材の幅方向に互いに離間して並設されており、記録が実行される被記録材の幅寸法に対応して当該被記録材を支持している可動リブのみが移動するように構成されていることを特徴とするものである。
【0029】
本態様によれば、被記録材の幅寸法に対応して当該被記録材を支持している可動リブのみが移動するように構成されているので、無駄のない効率的な可動リブの移動制御が可能になる。また、直接、被記録材を支持していない他の可動リブの移動を停止させることで、該可動リブの移動に伴う摩耗や消費電力の削減が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例1に係る記録装置の内部構造の概略を示す側断面図。
【図2】本発明の実施例1に係る記録装置を示す可動リブが移動している状態の斜視図。
【図3】本発明の実施例1に係る記録装置の可動リブの作動態様を示す移動前の側断面図。
【図4】本発明の実施例1に係る記録装置の可動リブの作動態様を示す移動中の側断面図。
【図5】本発明の実施例1に係る記録装置の可動リブの作動態様を示す移動後の側断面図。
【図6】本発明の実施例2に係る記録装置を示す可動リブが移動している状態の斜視図。
【図7】本発明の実施例3に係る記録装置の可動リブの作動態様を示す移動前の側断面図。
【図8】本発明の実施例4に係る記録装置を示す可動リブが移動している状態の斜視図。
【図9】本発明の実施例5に係る記録装置を示す可動リブが移動している状態の斜視図。
【図10】本発明の実施例6に係る記録装置を示す可動リブが移動している状態の平面図。
【図11】本発明の実施例7に係る記録装置を示す可動リブが移動している状態の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図1から5に示す実施例1と、図6に示す実施例2と、図7に示す実施例3と、図8に示す実施例4と、図9に示す実施例5と、図10に示す実施例6と、図11に示す実施例7とを例にとって、本発明の記録装置1の構成と、可動リブ3の作動態様について具体的に説明する。
尚、以下の説明では、最初に図1に基づいて本発明の記録装置1の基本的構成について説明し、次いで本発明の特徴的構成について前述した実施例1から実施例7の七つの実施例を例にとって順番に説明して行く。
【0032】
図示の記録装置1は、用紙Pの被記録面に余白を形成することなく記録を実行する、いわゆる「縁無し記録」に対応したインクジェットプリンター1(「記録装置」と同じ符号を使用する)である。
本実施例のインクジェットプリンター1は、記録実行領域23に搬送された被記録材である用紙Pの被記録面にインクを吐出して記録を実行する記録ヘッド27と、前記記録実行領域23に搬送された用紙Pの前記被記録面と反対側の被支持面を支持する複数のリブ2と、前記記録ヘッド27から吐出されたインクであって用紙Pに着弾しないインクを受けるインク吐出領域35とを備えている。
【0033】
更に図1に即して構成を説明すると、本実施例のインクジェットプリンター1は、給送用セット部13に積畳状態でセットされた用紙Pを最上位のものから順番に1枚ずつ搬送経路16に向けて給送する給送部17と、前記搬送経路16に給送された用紙Pに搬送力を付与して記録実行領域23に導き、記録実行後の用紙Pを外部に排出させる搬送部20と、記録実行領域23に導かれた用紙Pの被記録面の全面に各色のインクを吐出して記録を実行する記録ヘッ25を備えた記録実行部25と、記録実行領域23に導かれた用紙Pの前記被記録面と反対側の被支持面を支持する複数のリブ2を備えた支持案内部31と、を具備することによって基本的に構成されている。
【0034】
本実施例では、前記複数のリブ2は、前記支持案内部31に対して固定状態で設けられる固定リブ5と、一部の固定リブ5に対して入れ子構造で設けられ、用紙Pの搬送方向Aに移動可能な可動リブ3と、を備えることによって構成されている。即ち、複数の固定リブ5の少なくとも一部は、用紙Pの搬送方向Aに移動可能な可動リブ3を備えている。
尚、ここで「入れ子構造」とは、可動リブ3が固定リブ5側の端部に移動して可動リブ3の少なくとも一部が固定リブ5の収容空間55内に位置している収縮状態と、可動リブ3が固定リブ5と反対側の端部に移動して可動リブ3の大部分が固定リブ5の収容空間55外に位置している伸長状態との間で摺動可能な係合ないし嵌合構造を意味している。
【0035】
更に、図示のインクジェットプリンター1にあっては、前記支持案内部31のインク吐出領域35には、前記固定リブ2の支持面9より低い位置にインク吸収面33が位置するように前記インク吐出領域35を覆うインク吸収材37が設けられている。すなわち、前記固定リブ2の支持面9より低い位置にインク吸収面33が位置するように前記インク吐出領域35に設けられ、前記記録ヘッド27から吐出されたインクであって用紙Pに着弾しないインクを受けるインク吸収材37が設けられている。
【0036】
給送用セット部13は、一例として用紙載置部15を備えることによって構成されており、給送部17は、ホッパー18との挟圧送り作用によって用紙Pを繰り出す一例として側面視D字形状の給送用ローラー19を備えることによって構成されている。
搬送部20は、一対のニップローラーによって構成され、記録実行領域23の上流位置に配置される搬送用ローラー21と、同じく一対のニップローラーによって構成され、記録実行領域23の下流位置に配置される排出用ローラー22と、を備えることによって構成されている。
【0037】
記録実行部25は、前記記録ヘッド27と、該記録ヘッド27を搭載して用紙Pの搬送方向Aと交差する用紙Pの幅方向Bを走査方向として往復移動するキャリッジ29と、を備えることによって構成されている。
【0038】
支持案内部31は、上面に前記インク吸収材37を装着するための凹部39が形成された矩形枠状の部材で(図2)、図示のインクジェットプリンター1にあっては、前記凹部39内と該凹部39の上流位置と下流位置に前記リブ2として機能する固定リブ5A、5B、5Cが用紙Pの幅方向Bに適宜の間隔を空けて複数設けられている。
また、前記凹部39内に設けられている固定リブ5A内には、後述する本発明の特徴的構成部材である可動リブ3が出没可能な状態で設けられている。
【0039】
インク吸収材37は、前記支持案内部31の凹部39に対して装着される一例として矩形平板上の部材である。インク吸収材37としては、インク吸収性を有する多孔質のスポンジ状の部材が一例として使用されている。そして、該インク吸収材37を前記凹部39に装着したとき、前述した固定リブ5Aの支持面9がインク吸収材37のインク吸収面33よりも高くなるように前記固定リブ5Aを受け入れる上下に貫通した窓部38が複数形成されている。
【0040】
[実施例1](図1〜図5参照)
図3に示したように、実施例1に係るインクジェットプリンター1Aでは、可動リブ3Aの長さLが前記固定リブ5Aの設置範囲内49内に納まる寸法に設定されている。そして、可動リブ3Aが前記インク吸収材37の上方を移動するように設けられている。
具体的には、前記固定リブ5Aの内部には、前記可動リブ3Aを収納する下流側端面51が開放された収容空間55が形成されており、該収容空間55の下方の支持案内部31における内部空間には、図3から図5に示す作動機構41が組み込まれている。
【0041】
前記作動機構41は、前記可動リブ3Aの搬送方向Aへの移動を司る機構で、前記搬送部20による用紙Pの搬送と関連付けて前記可動リブ3Aを図示のように用紙Pの搬送方向Aに移動させながら用紙Pの搬送を行っている。
また、前記作動機構41として、本実施例ではラックピニオン機構が採用されており、支持案内部31における内部空間の一例として底部に設けられるピニオン43と、該ピニオン43と噛み合う一例として水平に配置されたラック45と、を備えることによって構成されている。
【0042】
そして、前記ピニオン43を回転させるための動力は、搬送用ローラー21に動力を伝達しているギア輪列等から得ても良いし別個独立のモーター等から取得することが可能である。
また、前記ラック45には上方に向って延びるアーム47が一体に設けられており、該アーム47の上端部に一例として下流側に張り出すように前記可動リブ3Aが取り付けられている。
尚、前記可動リブ3Aは、図3に示すように移動する前の状態ではバネ48の付勢力によって前記固定リブ5Aの設置範囲49内に位置するように一例として設けられている。
【0043】
また、本実施例では、前記可動リブ3Aが移動する前の状態で前記固定リブ5Aの下流側端面51と可動リブ3Aの下流側端面53とがほぼ一致するように設けられており、前記可動リブ3Aの移動ストロークSは、図5に示すように用紙Pの搬送速度とほぼ同速度で前記可動リブ3を搬送方向Aに移動させた時、用紙Pの先端部11がカールにより下方のインク吸収材37に接触することなく、前記凹部39の下流に位置している前記固定リブ5Cの支持面9に到達することができるストロークに設定されている。
尚、本実施例の場合には、可動リブ3Aの支持面9の高さを固定リブ5A、5B、5Cのそれぞれの支持面9の高さより少し低く設定したが、この低さの程度は、用紙Pの円滑な搬送が可能で、用紙Pの先端部11のインク吸収材37に対する接触が生じない範囲で設定可能である。
【0044】
次に、図3から図5に基づいて前記可動リブ3の作動態様を(1)移動前と、(2)移動中と、(3)移動後に分けて説明する。
【0045】
(1)移動前(図3参照)
図3に示すように、可動リブ3Aが移動する前の状態では、該可動リブ3は、バネ48の付勢力によって前記固定リブ5Aの設置範囲49内に位置しており、固定リブ5Aの下流側端面51と可動リブ3Aの下流側端面53の位置はほぼ一致している。
搬送用ローラー21によって搬送力が付与された用紙Pは、その先端部11側が固定リブ5Bを通過し、更に固定リブ5Aに至り、更に該固定リブ5Aの下流側端面51を僅かに過ぎたときに可動リブ3Aが移動を開始するように構成されている。
【0046】
(2)移動中(図4参照)
用紙Pの先端部11が固定リブ5Aの下流側端面51及び移動開始前の位置に在る可動リブ3Aの下流側端面53の位置を僅かに過ぎると、先端に対する縁なし記録が開始する。このとき可動リブ3A及び固定リブ5Aは、いずれも用紙Pの下側に位置するので、記録ヘッド27から吐出されるインクは用紙P上に、または用紙先端から外れてインク吸収材37のインク吸収面33上に着弾する。よって可動リブ3A及び固定リブ5Aはインクが付着して汚れることはない。そして、間欠搬送される用紙Pの搬送速度とほぼ同速度で可動リブ3がバネ48の付勢力に抗して搬送方向Aへの移動するように構成されている。
この移動中は、当該用紙Pの先端部11の被支持面は、可動リブ3A及び固定リブ5Aの支持面9によって支持されているため、下方へのカール又は変形は抑制された状態である。
【0047】
可動リブ3Aが移動を開始するタイミングは、本実施例では、用紙Pの先端位置を検出する位置センサーから用紙Pの搬送量をカウントすることで取得するように構成されている。
すなわち、先端部11のカールや変形の有無と無関係に可動リブが所定のタイミングで移動を開始し、更に前記先端部11を支えて移動するように構成されている。
尚、用紙Pの先端部11のカールによる下降量を別途のセンサーで検出し、所定の下降量になった時に可動リブ3の移動を開始させるようにすることも可能である。
【0048】
可動リブ3Aの移動は、前述した作動機構41によって行われており、ピニオン43が図4中において反時計方向に回転することによって、ラック45と、該ラック45と一体のアーム47に取り付けられている可動リブ3Aとを、図4中において左方に移動させることによって実行されるようになっている。
この時、用紙Pの先端部11は、固定リブ5Aから離れて該固定リブ5Aによる前記カール等に対する抑制が及ばない下流位置に移動するが、当該用紙Pと共に移動する可動リブ3Aによって下方へのカール等が抑制されるため、当該先端部11が下方のインク吸収材37のインク吸収面33に接触することなく搬送される。
【0049】
(3)移動後(図5参照)
ピニオン43が所定回数回転して、回転を停止すると、可動リブ3Aは、移動ストロークSだけ搬送方向Aに移動して停止する。
この後、用紙Pの先端部11は、停止した可動リブ3Aから離れて該可動リブによる前記抑制が及ばない下流位置に移動するが、当該位置には、前記下流側の固定リブ5Cが位置しており、下方のインク吸収材37のインク吸収面33に接触することなく搬送され、下流の排出用ローラー22に受け渡されるようになっている。
【0050】
当該用紙Pの先端部11が前記排出用ローラー22にニップされた後、ピニオン43は図4と反対の時計方向に回転し、これによりバネ48の付勢力も作用してラック45と可動リブ3とを図3に示す当初の位置に戻す。そして、この状態で用紙Pに対する記録が継続される。
【0051】
以下、図3乃至図5に基づいて説明した前述した動作を同様に繰り返すことによって、後続の用紙Pに対しても先端部11の下方へのカール等を抑制した状態で、用紙Pの先端部11をインク吸収材37に接触させることなく、用紙Pの被記録面全体の記録が実行される。
【0052】
[実施例2](図6参照)
実施例2に係るインクジェットプリンター1Bは、前記実施例1に係るインクジェットプリンター1Aと基本的に同様の構成を有しており、前記インク吐出領域35の下流側に誘いガイド部7を設け、前記可動リブ3Bの移動ストロークSを前記誘いガイド部7の長さ分、短く設定した点で前記実施例1と相違している。
従って、ここでは前記実施例1と相違する誘いガイド部7の構成とその作動態様を中心にして説明する。
【0053】
即ち、実施例2に係るインクジェットプリンター1Bにあっては、前記インク吐出領域35内の下流側の領域の一部に、前記リブ2の支持面9より低く前記インク吸収面33よりも高いガイド面8を有する用紙Pに対する誘いガイド部7が前記リブ2側に向って延設されている。具体的には、前記インク吐出領域35の下流側に位置する前記支持案内部31に対して、前記インク吐出領域35側に張り出す誘いガイド部7を設けた構造になっている。
【0054】
該誘いガイド部7の前記ガイド面8は、インク吐出領域35側に下り傾斜の案内傾斜面となっており、該誘いガイド部7は平面視矩形の板状の部材によって構成されている。また、誘いガイド部7の上面も用紙Pの先端部11の下方へのカールを規制する支持面9になっている。
本実施例の場合には、可動リブ3Bの役割は、前記固定リブ5Aと誘いガイド部7間の用紙Pの受け渡しをインク吸収材37に用紙Pの先端部11を接触させることなく円滑に実行することである。
【0055】
そして、このようにして構成される本実施例によっても、前記実施例1と同様の作用、効果を奏することができ、更に可動リブ3Bの移動ストロークSを誘いガイド部7の長さ分、短く設定できるので、可動リブ3Bの作動機構41をコンパクトに構成できるという作用、効果も発揮される。
【0056】
[実施例3](図7参照)
実施例3に係るインクジェットプリンター1Cは、可動リブ3Cの長さLが固定リブ5Aの占める範囲より長い、すなわち設置範囲49内に納まらない寸法に設定され、且つ前記固定リブ5Aに対して上流側と下流側の両方向に移動可能に構成されている。前記上流側と下流側の両方向に移動可能にするために、固定リブ5Aの下流側端面51だけでなく、上流側端面52も開放されている。以上の点で前記実施例1と相違しているが、その他の構成については前記実施例1と同様の構成を有している。
従って、ここでは前記実施例1と相違する可動リブ3Cと固定リブ5Aの構成と該可動リブ3Cの作動態様を中心にして説明する。
【0057】
実施例3に係るインクジェットプリンター1Cにあっては、図7に示す移動途中の中間位置にある状態で、可動リブ3Cの下流側端面53が固定リブ5Aの下流側端面51よりも距離bだけ突出した状態になっている。
また、本実施例では、固定リブ5Aの上流側端面52も開放されているため、可動リブ3Cは、図7中の実線で示す位置から図7中の仮想線で示す上流側の位置にも距離bだけ移動できるようになっている。
【0058】
本実施例によれば、可動リブ3Cは固定リブ5Aに対して上流側と下流側の両方向に移動可能であるので、用紙Pの先端部11が固定リブ5Aの下流側に到達した状態で行う先端部11の縁無し記録と、用紙Pの後端部が固定リブ5Aの上流側に到達した状態で行う後端部12の縁無し記録の両方を、当該可動リブ3Cで支えた状態で行うことができる。
【0059】
[実施例4](図8参照)
実施例4に係るインクジェットプリンター1Dは、固定リブ5Aの上面を開放状態にして、可動リブ3Dの支持面9の高さと固定リブ5Aの支持面9の高さを同じに設定した点で前記実施例1と相違しており、その他の構成については前記実施例1と同様の構成を有している。
従って、ここでは前記実施例1と相違する可動リブ3Dと固定リブ5Aの構成と可動リブ3Dの作動態様を中心にして説明する。
【0060】
即ち、可動リブ3Dの長さLは、前記実施例1と同様、固定リブ5Aの設置範囲49内に納まる寸法に設定されており、可動リブ3Dの高さHは前記実施例1よりも高く設定されている。
すなわち、本実施例では、固定リブ5Aに上面が設けられていないことで、上面の肉厚分、可動リブ3Dの高さが実施例1よりも高くなっている。その結果として固定リブ5Aの支持面9の高さと可動リブ3Dの支持面9の高さHがほぼ同じになっている。
【0061】
そして、このようにして構成される本実施例によっても、前記実施例1と同様の作用、効果を奏することができ、更に本実施例にあっては、用紙Pの先端鵜11が固定リブ5Aの支持面9から可動リブ3Dの支持面9に移載される際に段差がないから、用紙Pのより円滑な搬送が実現されて記録実行品質の向上が図られる。
【0062】
[実施例5](図9参照)
実施例5に係るインクジェットプリンター1Eは、可動リブ3Eがインク吸収材37に対して形成したスリット59に沿って移動するように構成した点で前記実施例1と相違しており、その他の構成については前記実施例1と同様の構成を有している。
従って、ここでは前記実施例1と相違する可動リブ3E及びインク吸収材37の構成とこれらの作動態様を中心にして説明する。
【0063】
即ち、実施例5に係るインクジェットプリンター1Eにあっては、インク吸収材37に対して用紙Pの搬送方向Aに延びる細いスリット59が形成されており、該スリット59に係合する薄板状の首部61と、該首部61よりも肉厚の棒状の頭部63を備えた可動リブ3Eを配設した構造が一例として採用されている。
また、インク吸収材37は弾性変形可能な材料によって形成されており、可動リブ3Eが位置している部分では前記スリット59が可動リブ3Eの首部61の厚さ分、外方に押し広げられて首部61の搬送方向Aへの移動を可能にしている。一方、可動リブ3Eが位置していない部分では前記スリット59の対向する側壁は極めて接近した状態になっており、当該スリット59でのインク吸収面33の減少はほとんど発生しないように構成されている。
【0064】
そして、このようにして構成される本実施例によっても、前記実施例1と同様の作用、効果を奏することができ、更に本実施例にあっては、可動リブ3Aをインク吸収材37の上方に移動させる前記実施例1の構成に比べて比較的簡単な構成で、可動リブ3Eを移動させることが可能になる。
【0065】
[実施例6](図10参照)
実施例6に係るインクジェットプリンター1Fは、可動リブ3Fが使用が想定される用紙Pの幅方向Bの両端部Eに対応する位置に存するように複数配置されている点で前記実施例1と相違しており、その他の構成については前記実施例1と同様の構成を有している。
従って、ここでは前記実施例1と相違する可動リブ3Fの配置態様とその作用、効果を中心にして説明する。
【0066】
具体的には、図示のように使用が想定される用紙Pとして、A3縦サイズのものP1、A4縦サイズのものP2、葉書縦サイズのものP3の3種類を一例として設定し、これら3種類の用紙P1、P2、P3の両端部E1、E2、E3に対応する位置に可動リブ3Fを配置するという構成を採用している。
因みに、用紙Pの先端部11に生じている下向きのカールを抑制する場合、用紙Pの両端部Eの被支持面を支持するのが効果的であるため、前記3種類の用紙P1、P2、P3のぞれぞれの両端部E1、E2、E3に対応する位置に可動リブ3Fを配置したものである。
【0067】
そして、このようにして構成される本実施例によっても、前記実施例1と同様の作用、効果を奏することができ、更に本実施例にあっては、可動リブ3Fの効果的な配置によって、少ない可動リブ3Fで用紙Pの先端部11における下向きのカール等の抑制を図ることが可能になり、部品点数を少なくすることで製品コストの削減にも寄与し得る。
【0068】
[実施例7](図11参照)
実施例7に係るインクジェットプリンター1Gは、幅方向Bに並設されている複数の可動リブ3Gのうち、記録を実行する用紙Pに対応した可動リブ3Gのみを移動させるようにした点で前記実施例1と相違しており、その他の構成については前記実施例1と同様の構成を有している。
従って、ここでは前記実施例1と相違する可動リブ3Gの作動態様を中心にして説明する。
【0069】
図11では、A3縦サイズまでの用紙Pに対応したインクジェットプリンター1Gにおいて、A4縦サイズの用紙P2に記録を実行している場合の可動リブ3Gの作動態様が図示されている。
幅方向Bに並設されている可動リブ3Gは、使用が想定される用紙Pのサイズに対応して配置されている図示のようなクラッチ機構65A、65B等を介して動力伝達のON、OFFを切り替えることができるように構成されている。
【0070】
そして、図示の状態では、内方(ホームポジション側)のクラッチ機構65AがON、外方のクラッチ機構65BがOFFになっており、外方のクラッチ機構65Bの内側に位置する可動リブ3Gのみが移動し、外方のクラッチ機構65Bの外側に位置する可動リブ3Gは移動しないようになっている。
尚、図示は省略するが、A3縦サイズの用紙P1に記録を実行する場合には、2基のクラッチ機構65A、65Bを共にONにしてすべての可動リブ3Gが移動できるようにし、葉書縦サイズの用紙P3に記録を実行する場合には、2基のクラッチ機構65A、65Bを共にOFFにして内方のクラッチ機構65Aの内側に位置する可動リブ3Gのみを移動させるようにする。
【0071】
そして、このようにして構成される本実施例によっても、前記実施例1と同様の作用、効果を奏することができ、更に本実施例にあっては、可動リブ3Gの効果的な使用によって可動リブ3Gの無駄な移動を防止して可動リブ3Gの摩耗を防止し、記録実行時の消費電力の削減を図ることが可能になる。
尚、用紙Pのサイズ毎に動作させる可動リブ3Gに対する動力伝達の切り替えは、前述したように単一の駆動源から得た動力をクラッチ機構65等を利用して切り替える他、駆動源を複数設けて個別に必要な駆動源を動作させる構成であってもよい。
【0072】
[他の実施例]
本発明に係る記録装置1は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
例えば、支持案内部31のインク吐出領域35を覆うインク吸収材37を排除して、例えば凹部39に形成した細幅の傾斜した溝等によって凹部39内に打ち捨てられたインクを回収する構造の記録装置であってもよい。
【0073】
また、すべての固定リブ5Aに対して可動リブ3を入れ子構造等で設けてもよいし、前記実施例6、実施例7に示すように、必要な部位の固定リブ5Aに対してのみ可動リブ3を設け、必要でない部位では可動リブ3を設けないで固定リブ5A単独の構成とすることも可能である。
この他、インク吐出領域35の上流側の固定リブ5Bや下流側の固定リブ5Cに対して入れ子構造で可動リブ3を設けることも可能である。
【0074】
また、可動リブ3の移動方向は、用紙Pの搬送方向Aの下流側だけでなく上流側に設定することが可能であり、搬送方向Aの上流側と下流側の両方に可動リブ3を移動させて使用することも可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 インクジェットプリンター(記録装置)、2 リブ、3 可動リブ、
5 固定リブ、7 誘いガイド部、8 案内傾斜面、9 支持面、11 先端部、
12 後端部、13 給送用セット部、15 用紙載置部、16 搬送経路、
17 給送部、18 ホッパー、19 給送用ローラー、20 搬送部、
21 搬送用ローラー、22 排出用ローラー、23 記録実行領域、
25 記録実行部、27 記録ヘッド、29 キャリッジ、31 支持案内部、
33 インク吸収面、35 インク吐出領域、37 インク吸収材、38 窓部、
39 凹部、41 作動機構、43 ピニオン、45 ラック、47 アーム、
48 バネ、49 設置範囲、51 下流側端面、52 上流側端面、
53 下流側端面、55 収容空間、59 スリット、61 首部、63 頭部、
65 クラッチ機構、P 用紙(被記録材)、A 搬送方向、B 幅方向、
S 移動ストローク、E 両端部、b 距離、L 長さ、H 高さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録実行領域に搬送された被記録材の被記録面にインクを吐出して記録を実行する記録ヘッドと、
搬送された被記録材の前記被記録面と反対側の被支持面を支持するとともに、前記記録実行領域に形成された複数の固定されたリブと、
前記記録ヘッドから吐出されたインクであって被記録材に着弾しないインクを受けるインクの吐出領域と、を備え、
少なくとも一部の前記固定リブから、被記録材の搬送方向に移動可能な可動リブが出現することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載された記録装置において、
前記固定リブの支持面より低い位置にインク吸収面が位置するように前記インクの吐出領域に設けられ、前記記録ヘッドから吐出されたインクであって被記録材に着弾しないインクを受けるインク吸収材を備えていることを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載された記録装置において、
前記可動リブは、前記インク吸収材の上方を移動するように設けられていることを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項2に記載された記録装置において、
前記可動リブは、前記インク吸収材に対して貫通形成した被記録材の搬送方向に延びるスリットに沿って移動するように設けられていることを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された記録装置において、
前記可動リブの前記搬送方向の長さは、前記固定リブの占める範囲内に納まる寸法に形成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載された記録装置において、
前記可動リブの前記搬送方向の長さは、前記固定リブの占める範囲よりも長い寸法に設定され、且つ前記固定リブに対して上流側と下流側の両方向に移動可能に構成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項7】
請求項5に記載された記録装置において、
前記インクの吐出領域内の下流側の領域の一部には、前記可動リブの支持面より低く前記インク吸収面よりも高いガイド面を有する被記録材に対する誘いガイド部が前記固定リブ側に向って延設されていることを特徴とする記録装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載された記録装置において、
前記可動リブは、少なくとも使用が想定される被記録材の幅方向の両端部に対応する位置に存するように配置されていることを特徴とする記録装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載された記録装置において、
前記可動リブは、被記録材の幅方向に互いに離間して並設されており、
記録が実行される被記録材の幅寸法に対応して当該被記録材を支持している可動リブのみが移動するように構成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項1】
記録実行領域に搬送された被記録材の被記録面にインクを吐出して記録を実行する記録ヘッドと、
搬送された被記録材の前記被記録面と反対側の被支持面を支持するとともに、前記記録実行領域に形成された複数の固定されたリブと、
前記記録ヘッドから吐出されたインクであって被記録材に着弾しないインクを受けるインクの吐出領域と、を備え、
少なくとも一部の前記固定リブから、被記録材の搬送方向に移動可能な可動リブが出現することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載された記録装置において、
前記固定リブの支持面より低い位置にインク吸収面が位置するように前記インクの吐出領域に設けられ、前記記録ヘッドから吐出されたインクであって被記録材に着弾しないインクを受けるインク吸収材を備えていることを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載された記録装置において、
前記可動リブは、前記インク吸収材の上方を移動するように設けられていることを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項2に記載された記録装置において、
前記可動リブは、前記インク吸収材に対して貫通形成した被記録材の搬送方向に延びるスリットに沿って移動するように設けられていることを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された記録装置において、
前記可動リブの前記搬送方向の長さは、前記固定リブの占める範囲内に納まる寸法に形成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載された記録装置において、
前記可動リブの前記搬送方向の長さは、前記固定リブの占める範囲よりも長い寸法に設定され、且つ前記固定リブに対して上流側と下流側の両方向に移動可能に構成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項7】
請求項5に記載された記録装置において、
前記インクの吐出領域内の下流側の領域の一部には、前記可動リブの支持面より低く前記インク吸収面よりも高いガイド面を有する被記録材に対する誘いガイド部が前記固定リブ側に向って延設されていることを特徴とする記録装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載された記録装置において、
前記可動リブは、少なくとも使用が想定される被記録材の幅方向の両端部に対応する位置に存するように配置されていることを特徴とする記録装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載された記録装置において、
前記可動リブは、被記録材の幅方向に互いに離間して並設されており、
記録が実行される被記録材の幅寸法に対応して当該被記録材を支持している可動リブのみが移動するように構成されていることを特徴とする記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−162028(P2012−162028A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25171(P2011−25171)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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