診断用造影及び医薬的処置のための末梢ベンゾジアゼピン受容体のリガンドとしてのDAA−ピリジン
本発明は、18Fでラベルされるのに適した、若しくは既にラベルされた新規化合物、そのような化合物の調製方法、そのような化合物を含む組成物、そのような化合物を含むキット、又は陽電子放出断層撮影(PET)による治療用及び診断用造影のための組成物若しくはキットに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、18Fでラベルされるのに適した、若しくは既にラベルされた新規化合物、そのような化合物の調製方法、そのような化合物を含む組成物、そのような化合物を含むキット、又は陽電子放出断層撮影(PET)による治療用及び診断用造影のための組成物若しくはキットに関する。
【背景技術】
【0002】
分子造影は、腫瘍学、神経学及び心臓学において、大半の公知の方法よりも迅速に、疾患の進行又は治療の有効性を検出することを可能とする。光学造影、MRI、SPECT及びPET等の、これまでに開発された有望な分子造影技術の中で、PETは、検出感度の高さ及び定量的かつ動力学的データを提供する能力から、薬物開発において特に注目されている。
【0003】
例えば、陽子を放出する同位体として、炭素、ヨウ素、フッ素、窒素及び酸素が挙げられる。これらの同位体で標的化合物中の非放射性の対応原子を置き換えることで、生物学的に機能するトレーサーが形成され、かつ、該トレーサーは、PET造影用の本来の分子と化学的に同一である。これらの同位体の中で、18Fは、半減期が比較的長い(111分)ため、診断用トレーサーの調製及びその後の生化学的プロセスの研究が可能な点で、便利なラベル用同位体である。加えて、β+エネルギーが低い(634keV)点も有利である。
【0004】
吸核芳香族及び脂肪族[18F]−フルオロ−フッ素化反応は、固形腫瘍又は脳の疾患等の疾患を標的とする、及び可視化する、インビボ造影剤(imaging agent)として使用される、[18F]−フルオロ−ラベル放射性医薬品において、非常に重要である。[18F]−フルオロ−ラベル放射性医薬品を使用する際の非常に重要な技術的目標は、放射活性化合物の迅速な調製及び投与である。なぜなら、18F同位体の半減期は僅か111分だからである。
【0005】
F−18を芳香環に導入する、幾つかの方法が知られている(Coenen, Fluorine−18 Labeling Methods: Features and Possibilities of Basic Reactions, (2006), in: Schubiger P.A., Friebe M., Lehmann L., (eds), PET−Chemistry − The Driving Force in Molecular Imaging. Springer, Berlin Heidelberg, pp.15−50)。後の発見の1つは、ヨードニウム離脱基を[18F]フッ化物で置換することである。例えばWO2005061415(A1)、WO2005097713(A1)、WO2007010534(A2)、WO2007073200(A1)及びWO2007141529(A1)等と比較されたい。
【0006】
末梢ベンゾジアゼピン受容体(PBR)は、大半の器官において発現しており、その発現は、中枢神経系の免疫細胞として作用する、グリア細胞の最小の種類である、脳内の活性化ミクログリアにおいて増大していることが報告されている。ミクログリアは、マクロファージ及び樹状細胞等の他の食細胞と、関連性を有する。ミクログリアは、神経系の保護において非常に重要な役割を有する高機動性の細胞と考えられている。また、それらは、アルツハイマー症、認知症、多発性硬化症及び筋萎縮性側索硬化症等の神経変性疾患において一定の役割を果たすとも考えられている。ミクログリアは、損傷に対する炎症反応の発生に関与する(J. Neuroinflammation, 2004, Jul 30;1(1):14.)。
【0007】
有用なCNS−PETトレーサーの設計において、脳内での薬物動態を最適にすることは、1つの重要な目的である。故に、PETリガンドは、脳内に迅速に充分な量が流入するべきである。そして、これらの分子の多くが、標的と固く結合するべきである。続いて、シグナル対バックグラウンドの比率を高めるために、結合しなかった分子は、周囲の領域から排除される(脳から「洗い出される」)べきである。
【0008】
PK11195のC−11同位体ラベルバージョン(1a)は、神経炎症及びPBRのインビボ造影に広く使用されているが、脳内でのシグナルの強度は、安定かつ定量的な解析をするのに充分ではなかった。
【化1】
【0009】
更に、[18F]DPA714(1.2)、[11C]DAA1106(2)(例えばEur J Pharmacol. 1999 Apr 29;371(2−3):197−204及びLife Sci. 1999;64(16):1455−64)、並びに[18F]フルオロエチル−DAA1106(3)(例えばJ. Nucl. Med., (2006), 47, 43−50)等の、PBRの可視化用の優れた陽子放出リガンドの開発が可能なことが示されている。2及び3の化合物は、[11C]PK11195(1.1a)と比較して、PBRに対する高度な結合親和性、及び高度な脳内蓄積能力を有する。
【化2】
【0010】
化合物2の非放射性のバージョンは、WO99/006353に関連するパテントファミリーの権利範囲に属し、一方、化合物3は、US 6,870,069に関連するパテントファミリーの権利範囲に属する。
【0011】
近年、[F−18]及び[C−11]ラベルPBRリガンドが発表され、[18F]FEPPAと称され、それぞれ(4)及び(5)の式で表される(Nuclear Medicine and Biology, 35, (2008), 305−314 and J. Med. Chem. (2008), 51, 17−30, respectively)。「[18F]−FEPPA[化合物4]は、強力な脳内取り込み[標準取り込み値(SUV)が5分で0.6]及び緩慢な洗い出し(60分経過後のSUVが0.35)を示した」(Nuclear Medicine and Biology, 35, (2008)から引用)。故に、化合物4を用いることで、シグナル対ノイズの比率が比較的小さいイメージを取得できる。
【化3】
【0012】
それらの誘導体も、特許出願WO2007/060157及び関連するパテントファミリーのメンバーの範囲内にある。
【0013】
PBR受容体のレベルの増大に応じて進行する疾患を撮像できる、新規F−18ラベル化合物及び方法を創作すること、特に、容易に実現可能で、かつ充分なシグナル対バックグラウンド比で一定のレベルのPBR受容体を撮像出来る、利用可能な造影剤及び方法の創作が望ましい。この課題は、以下の発明により解決される(図1と比較されたい)。
【0014】
本発明は、式Iの新規化合物を提供する。これらの式Iの化合物が18F−ラベル若しくは19F−ラベルされていないが、その代わりに適切な離脱基を含む場合は、それらは、式Iの18F−ラベル若しくは19F−ラベル化合物の合成用の出発材料である。式Iの19F−ラベル化合物は、式Iの18F−ラベル化合物に至る合成の標準参照化合物(同定ツール及び品質チェック用)である。下記の、適切な離脱基を含み18F又は19Fを含まない式Iの化合物も、「式Iを有する前駆化合物」と称される。更に、適切な離脱基を有さず、19Fを有する式Iの化合物も、「式Iを有する19F標準参照化合物」と称される。更に、適切な離脱基を有さず、18Fを有する式Iの化合物も、「式Iの18F標準参照化合物」と称される。
【0015】
本発明は、更に、疾患を造影する方法を提供し、該方法は、患者の体内に、検出可能な量の、式Iの18F−ラベル化合物、又はその医薬として許容される塩、エステル、アミド又はプロドラッグを導入する工程を含む。
【0016】
また、本発明は、医薬として使用される、式Iの18F−ラベル又は19F−ラベル化合物を提供する。
【0017】
また、本発明は、式Iの放射性ラベル化合物、好ましくは18F−ラベル化合物、及び医薬として許容される担体又は希釈剤を含む、診断用組成物を提供する。
【0018】
本発明の他の側面は、式Iの化合物の、特に式Iの18F−又は19F−ラベル化合物の、医薬品を製造するための使用に関する。
【0019】
また、本発明は、式Iを有する前駆化合物から、式Iの18F−ラベル化合物を合成するプロセスを提供する。
【0020】
また、本発明は、式Iを有する前駆化合物から、式Iの19F−ラベル化合物を合成するプロセスを提供する。
【0021】
本発明は、式VIの新規化合物を提供する。これらの化合物は、式IVの化合物を式VIの化合物と反応させることにより式Iの化合物に至ることから、前駆化合物と見做される。式IVの化合物は、式Vの化合物18F−又は19F−フッ化することにより生産され得る。
【0022】
また、本発明は、式IVの化合物を式VIの化合物と反応させることにより式Iの18F−ラベル化合物を合成するプロセスを提供する。式IVの化合物は、式Vの化合物18F−又は19F−フッ素化することにより生産され得る。
【0023】
また、本発明は、放射線医薬的製剤を調製するキットを提供し、該キットは、所定の量の
式Iを有する前駆化合物、又は
式V及びVIの化合物
を含む密閉バイアルを備える。
【0024】
また、本発明は、疾患を造影するキットを提供する。より具体的には、本発明の化合物は、限定的ではないが、炎症性及び自己免疫性、アレルギー性、感染性並びに毒素誘発性及び虚血誘発性疾患、病態生理学的な関連性を有する薬剤誘発性の炎症、神経炎症性、神経変性疾患等の、CNS疾患の造影に有用である。他の態様において、本発明の化合物は、組織、特に腫瘍の造影に有用である。炎症性及び自己免疫性疾患の例として、慢性炎症性腸疾患(炎症性大腸炎、クローン病、潰瘍性大腸炎)、関節炎、アテローム、アテローム性動脈硬化、炎症性心筋炎、天疱瘡、喘息、多発性硬化症、糖尿病、I型インスリン依存性糖尿病、関節リウマチ、紅斑性狼瘡、及び他の膠原線維症(collagenoses)、グレーブス病、橋本病、「移植片対宿主病」、及び移植拒絶等が挙げられる。アレルギー性、炎症性、並びに毒素誘発性及び虚血誘発性の疾患の例として:サルコイドーシス、喘息、過敏性肺炎、敗血症、敗血性ショック、内毒素性ショック、毒素性ショック症候群、毒素性肝不全、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)、子癇、悪液質、急性ウイルス感染(単核球症、劇症肝炎等)、及び再かん流後臓器障害等が挙げられる。病態生理学的な関連性を有する薬剤誘発性の炎症の例として、OKT3等の抗T細胞抗体の投与後の、「第一投与応答(first dose response)」が挙げられる。全身性炎症応答の例として、今のところ起源が不明であるが、子癇が挙げられる。PBR制御に関連する神経変性疾患及び神経炎症性疾患の例として、認知症、AIDS認知症、筋萎縮性側索硬化症、脳炎、神経障害痛、クロイツフェルトヤコブ病、ダウン症候群、びまん性レヴィー小体病、ハンチントン病、白質脳症、脳症、敗血症性脳症、肝性脳症、多発性硬化症、パーキンソン病、ピック病、アルツハイマー症、前頭側頭認知症、海馬硬化症、神経嚢虫症、てんかん、脳卒中、虚血、脳腫瘍、欝、統合失調症、薬物乱用等が挙げられる。故に、本発明は、これらの疾患を診断するための、並びに治療及び治療のモニタリングを層別化するための、造影化合物の使用にも関する。
【0025】
好ましい態様において、本発明の化合物は、多発性硬化症、アルツハイマー症、前頭側頭認知症、レヴィー小体を生じる認知症、白質脳症、てんかん、神経障害痛、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、脳症、脳腫瘍、欝、薬物乱用、慢性炎症性腸疾患、アテローム、アテローム性動脈硬化、関節炎、関節リウマチ、薬理誘発性炎症、起源不明の全身性炎症の造影に有用である。
【0026】
より好ましい態様において、本発明の化合物は、多発性硬化症、アルツハイマー症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、白質脳症、脳症、脳腫瘍、薬物乱用、慢性炎症性腸疾患、アテローム、関節リウマチ、薬理誘発性炎症、起源不明の全身性炎症の造影に有用である。
【0027】
JP 2000−001476において、本明細書中に開示のものと類似の化合物及び疾患を処置するためのそれらの使用が記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0028】
第一の側面において、本発明は、式I
【化4】
[式中、
R1及びR2は、独立して、そして個別に、その都度、(G3)アリール、置換(G3)アリール、(G3−(C1−C8)アルキル)アリール、(G3−(C1−C8)アルコキシ)アリール、(G3−(C2−C8)アルキニル)アリール、(G3−(C2−C8)アルケニル)アリール、置換(G3−(C1−C8)アルキル)アリール、置換(G3−(C1−C8)アルコキシ)アリール、置換(G3−(C2−C8)アルキニル)アリール、及び置換(G3−(C2−C8)アルケニル)アリールアリールからなる群から選択され;
G1、G2及びG3は、独立して、そして個別に、その都度、水素及びLからなる群から選択され、
但し、式Iの化合物は必ず1つのLを含み;
Lは、R3、[18F]フルオロ及び[19F]フルオロからなる群から選択され;
R3は離脱基であり;
R6は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択され;
ここでnは0〜6、好ましくは0〜2、より好ましくは0〜1の整数、なおもより好ましくは1である]
の化合物、該化合物の全ての立体異性体、例えば、限定されないが該化合物のエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びにラセミ混合物等、並びにそれらの医薬として許容される塩、エステル、アミド、複合体又はプロドラッグに関する。
【0029】
好ましい態様において、式IのR1及びR2は、独立して、そして個別に、その都度、(G3)フェニル、(G3−(C1−C5)アルキル)フェニル、(G3−(C1−C5)アルコキシ)フェニル、(G3−(C2−C5)アルキニル)フェニル、(G3−(C2−C5)アルケニル)フェニル、置換(G3)フェニル、置換(G3−(C1−C5)アルキル)フェニル、置換(G3−(C1−C5)アルコキシ)フェニル、置換(G3−(C2−C5)アルキニル)フェニル及び置換(G3−(C2−C5)アルケニル)フェニルから選択され;
より好ましい態様において、式IのR1及びR2は、独立して、そして個別に、その都度、(R4)(R5)(G3)フェニル、(R4)(R5)(G3−(C1−C4)アルキル)フェニル、(R4)(R5)(G3−(C1−C4)アルコキシ)フェニル、(R4)(R5)(G3−(C2−C4)アルケニル)フェニル及び(R4)(R5)(G3−(C2−C4)アルキニル)フェニルからなる群から選択され;
なおもより好ましい態様において、式IのR1及びR2は、独立して、そして個別に、その都度、(R4)(R5)(G3)フェニル、(R4)(R5)(G3−(C2−C3)アルキル)フェニル及び(R4)(R5)(G3−(C2−C3)アルコキシ)フェニルからなる群から選択され;
最も好ましい態様において、式IのR1及びR2は、独立して、そして個別に、その都度、(R4)(R5)(G3)フェニル及び(R4)(R5)(G3−(C2−C3)アルコキシ)フェニルからなる群から選択され;
ここで、R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択され;
好ましい態様において、R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、フルオロ、クロロ、メチル、メトキシ及びトリフルオロメチルからなる群から選択され;
なおもより好ましい態様において、R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、フルオロ、メチル、及びメトキシからなる群から選択され;
好ましい態様において、R6は、水素、フルオロ、クロロ、メチル、メトキシ及びトリフルオロメチルからなる群から選択され;
より好ましい態様において、R6は、水素、フルオロ、クロロ及びメチルからなる群から選択され;
なおもより好ましい態様において、R6は、水素及びクロロからなる群から選択され;
最も好ましい態様において、R6は水素であり;
一つの態様において、Lは[18F]フルオロであり;
一つの態様において、Lは[19F]フルオロであり;
一つの態様において、LはR3であり;
好ましい態様において、R3は、−I+(アリール)(X−)、−I+(ヘテロアリール)(X−)、ニトロ、−N+(Me)3(X−)、ハロ、特にクロロ、ブロモ及びヨード、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ、ノナ−フルオロブチルスルホニルオキシ、(4−ブロモ−フェニル)スルホニルオキシ、(4−ニトロ−フェニル)スルホニルオキシ、(2−ニトロ−フェニル)スルホニルオキシ、(4−イソプロピル−フェニル)スルホニルオキシ、(2,4,6−トリ−イソプロピル−フェニル)スルホニルオキシ、(2,4,6−トリメチル−フェニル)スルホニルオキシ、(4−tertブチル−フェニル)スルホニルオキシ及び(4−メトキシ−フェニル)スルホニルオキシからなる群から選択され;
より好ましい態様において、R3は、−N+(Me)3(X−)、ハロ、特にクロロ、ブロモ及びヨード、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ、ノナ−フルオロブチルスルホニルオキシ、(4−ブロモ−フェニル)スルホニルオキシ、(4−ニトロ−フェニル)スルホニルオキシ、(2−ニトロ−フェニル)スルホニルオキシ、(4−イソプロピル−フェニル)スルホニルオキシ、(2,4,6−トリ−イソプロピル−フェニル)スルホニルオキシ、(2,4,6−トリメチル−フェニル)スルホニルオキシ、(4−tertブチル−フェニル)スルホニルオキシ、及び(4−メトキシ−フェニル)スルホニルオキシからなる群から選択され;
なおもより好ましい態様において、R3は、−ニトロ、−N+(Me)3(X−)、クロロ、ブロモ、メシルオキシ及びトシルオキシからなる群から選択され;
ここで、X−は、無機酸のアニオン及び有機酸のアニオンからなる群から選択され;
好ましい態様において、X−は、CF−3S(O)2O−、C4F−9S(O)2O−、CF3COO−、H3CCOO−、ヨウ化物アニオン、臭化物アニオン、塩化物アニオン、過塩素酸アニオン(ClO4−)、及びリン酸アニオンからなる群から選択され;
なおもより好ましい態様において、X−は、CF−3S(O)2O−、C4F−9S(O)2O−、ヨウ化物アニオン、臭化物アニオン及びCF3COO−からなる群から選択される。
【0030】
本明細書中で使用されるとき、「無機酸又は有機酸のアニオン」という用語は、限定されないが:炭酸、硝酸若しくは硫酸、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、リン酸、過塩素酸等の鉱酸の対応する塩基(corresponding base)、又は限定されないが:脂肪族、環式脂肪族、芳香族、芳香脂肪族(araliphatic)及び複素環式カルボン酸及びスルホン酸、例えば蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、ピルビン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、フマル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデリン酸、エンボン(embonic)酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホン酸、及びスルファニル酸等の適切な有機酸の対応する塩基を指す。
【0031】
本明細書中で使用される「対応する塩基」という用語は、酸が、プロトンが供与された後に解離している状態を意味する。
【0032】
一般式Iの一つの態様において、LはR3であり;これらは、前述の「前駆化合物」である。
【0033】
好ましい「式Iを有する前駆化合物」として、以下のものが挙げられる。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【0034】
一般式Iの他の態様において、Lは[18F]フルオロであり、これらは、式Iを有する18F−ラベル化合物である。
【0035】
好ましい「式Iを有するF−18ラベル化合物」として、以下のものが挙げられる。
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【0036】
一般式Iの更なる他の態様において、Lは[19F]フルオロであり、これらは、前述の「式Iを有する標準参照化合物」である。
【0037】
好ましい「式Iを有する標準参照化合物」として、以下のものが挙げられる。
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【0038】
R3は、公知の、又は当業者にとって明らかな離脱基であり、限定されないが、Synthesis (1982), p. 85−125, table 2 (p. 86;(table 2の最後の記載「n−C4H9S(O)2−O− nonaflat」は、「n−C4F9S(O)2−O− nonaflat」とする必要がある)、Carey and Sundberg, Organische Synthese, (1995), page 279−281, table 5.8;又はNetscher, Recent Res. Dev. Org. Chem., 2003, 7, 71−83, scheme 1, 2, 10及び15等)に記載され、又は名付けられたものから採用される。(Coenen, Fluorine−18 Labeling Methods: Features and Possibilities of Basic Reactions, (2006), in: Schubiger P.A., Friebe M., Lehmann L., (eds), PET−Chemistry − The Driving Force in Molecular Imaging. Springer, Berlin Heidelberg, pp.15−50, 特に: scheme 4 pp. 25, scheme 5 pp 28, table 4 pp 30, Fig 7 pp 33)。
【0039】
本明細書中のどこであっても、「アリール」、「ヘテロアリール」、又は芳香族系を指す他の用語が使用され、これらの用語が、1つ以上の適切な置換基、例えば水素、ハロ、(C1−C6)アルキル、CF3、CN、(C1−C6)アルケニル、(C1−C6)アルキニル、(C1−C6)アルコキシ、NH2、NO2、S(O)2OH、−S(O)2NH2等で置換された芳香族系をも含むことは、明らかである。
【0040】
本明細書中で、単独で、又は他の基の一部として使用される「アリール」という用語は、環の部分に6〜12個の、好ましくは6〜10個の炭素を含む単環式又は二環式芳香族基であり、例えばフェニル、ナフチル又はテトラヒドロナフチル等を指し、それら自体が、独立して、そして個別に、ハロ、ニトロ、((C1−C6)アルキル)カルボニル、シアノ、ニトリル、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、((C1−C6)アルキル)−スルホニル、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ及び((C1−C6))アルキルスルファニルを含む群から選択される1つ、2つ又は3つの置換基で置換される場合がある。上記のように、そのような「アリール」は、追加的に、1つ又は幾つかの置換基で置換される場合もある。
【0041】
本明細書中で使用されるとき、「ヘテロアリール」という用語は、5〜14個の環原子を有し;環配列(cyclic array)中で6、10又は14個のπ(パイ)電子を共有し;そして炭素原子(ハロ、ニトロ、(C1−C6)カルボニル、シアノ、ニトリル、トリフルオロメチル、(C1−C6)スルホニル、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ又は(C1−C6)スルファニルで置換され得る)及び1,2,3又は4個の酸素、窒素又は硫黄ヘテロ原子を有する基を指す(ヘテロアリール基の例として、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3−b]チエニル、チアントレニル、フリル、フラニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾキサゾリル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチイニル、2H−ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キナゾリニル、シンノリニル(cinnolinyl)、プテリジニル、4aH−カルバゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、フェナンツリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナンツロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソキサゾリル、フラザニル及びフェノキサジニル基等が挙げられる)。
【0042】
ヘテロアリールは、独立して、そして個別に、ハロ、ニトロ、((C1−C6)アルキル)カルボニル、シアノ、ニトリル、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、((C1−C6)アルキル)スルホニル、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルケニル、(C1−C6)アルキニル、(C1−C6)アルコキシ及び(C1−C6)スルファニルからなる群から選択される1つ、2つ又は3つの置換基で置換されてもよい。上記のように、そのような「ヘテロアリール」は、追加的に、1つ又は幾つかの置換基で置換される場合もある。
【0043】
以下、本願明細書及び特許請求の範囲の記載で、単独で、又は他の基の一部として使用される「アルキル」という用語は、1〜10個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基を指し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘプチル、ヘキシル、デシル等が挙げられる。また、アルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C1−C4アルコキシ基又はC6−C12アリール基(それらが1〜3個のハロゲン原子等で置換される場合もある)等で置換される場合もある。より好ましくは、アルキルは、C1−C10アルキル、C1−C6アルキル又はC1−C4アルキルである。
【0044】
以下、本願明細書及び特許請求の範囲の記載で、「アルケニル」及び「アルキニル」の用語は、1つ以上の二重結合又は三重結合をそれぞれ有している点を除き、アルキルと同様に定義される。
【0045】
以下、本願明細書及び特許請求の範囲の記載で、「アルコキシ(又はアルキルオキシ)」という用語は、酸素原子が連結されたアルキル基を指す。アルキル部分は、上記で定義した通りである。
【0046】
以下、本願明細書及び特許請求の範囲の記載で、上記で定義された、及び置換基「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」及び「アルコキシ」の部分である置換基G3は、対応する置換基「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」及び「アルコキシ」のいずれかの炭素に結合する。故に、例えば、「(G3−(C1−C8)アルコキシ)アリール」という用語は、(G3−CH-2−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−O−)アリール、(CH−3−CH2−CH2−CH(G3)−CH2−CH2−CH2−CH2−O−)アリール及び(CH(−CH2−CH2−G3)(−CH2−CH3)−CH2−CH2−CH2−O−)アリール等の異なる位置異性の可能性を含む。
【0047】
「置換」という用語が使用されるとき、これは、「置換された」を使用する表現において指示される原子上の1つ以上の水素が、指示される基のいずれかで置き換えられることを意味し、但し、該指示される原子の通常の原子価は超えず、そして、該置換は、化学的に安定な化合物、即ち反応混合物から有用な純度に精製するための単離、及び医薬組成物への製剤化に生き残るのに充分な強度を有する化合物をもたらす。置換基は、ハロゲン原子(フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード)、ヒドロキシル基、−SO3H、ニトロ、((C1−C6)アルキル)カルボニル、シアノ、ニトリル、トリフルオロメチル、((C1−C6)アルキル)スルホニル、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、(C1−C6)アルキニル、(C1−C6)アルコキシ及び(C1−C6)スルファニルから選択されてもよい。
【0048】
本発明の第二の側面において、式Iの18F−ラベル化合物、及び式Iの19F標準参照化合物は、医薬(medicament)又は薬剤(pharmaceutical)として提供される。
【0049】
また、本発明は、処置用の医薬又は薬剤を製造するための、式Iの18F−ラベル化合物、及び式Iの19F標準参照化合物の使用にも関する。
【0050】
より好ましい態様において、前記使用は、CNS疾患の処置に関する。CNS疾患として、限定されないが:炎症及び自己免疫、アレルギー性、感染性、感染性並びに毒素誘発性及び虚血誘発性疾患、病態生理学的な関連性を有する薬剤誘発性の炎症、神経炎症性、神経炎症性、並びに神経変性疾患等が挙げられる。
【0051】
より好ましくは、前記CNS疾患は、多発性硬化症、アルツハイマー症、前頭側頭認知症、レヴィー小体を生じる認知症、白質脳症、てんかん、神経障害痛、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、脳症、脳腫瘍、欝、薬物乱用、慢性炎症性腸疾患、アテローム、アテローム性動脈硬化、関節炎、関節リウマチ、薬理誘発性炎症、起源不明の全身性炎症から選択される。
【0052】
一つの態様において、前記疾患は、関節リウマチである。
【0053】
また、本発明は、上記で定義したように、中枢神経系の疾患の治療方法に関し、該治療方法は、適切な量の式Iの化合物、好ましくは式Iの18F−ラベル化合物、又は式Iの19F標準参照化合物を患者に導入する工程を含む。
【0054】
本発明の第三の側面において、式Iの18F−ラベル化合物は、診断的造影剤又は造影剤として、好ましくはPETアプリケーション用の造影剤として提供される。式Iの化合物及び関連する誘導体、例えばL=ヨード(例えばI−123)の式Iの化合物等が、SPECTアプリケーション用の造影剤として適切であることは、当業者にとって明らかである。
【0055】
また、本発明は、造影剤を製造するための、式Iの18F−ラベル化合物の使用にも関する。
【0056】
より好ましい態様において、前記使用は、CNS疾患の造影に関する。CNS疾患として、限定されないが、炎症及び自己免疫、アレルギー性、感染性、感染性並びに毒素誘発性及び虚血誘発性疾患、病態生理学的な関連性を有する薬剤誘発性の炎症、神経炎症性、神経炎症性、並びに神経変性疾患等が挙げられる。
【0057】
より好ましくは、前記CNS疾患は、多発性硬化症、アルツハイマー症、前頭側頭認知症、レヴィー小体を生じる認知症、白質脳症、てんかん、神経障害痛、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、脳症、脳腫瘍、欝、薬物乱用、慢性炎症性腸疾患、アテローム、アテローム性動脈硬化、関節炎、関節リウマチ、薬理誘発性炎症、起源不明の全身性炎症から選択される。
【0058】
また、本発明は、患者の体内に検出可能な量の式Iの18F−ラベル化合物を導入して、該患者を造影する工程を含む、造影の方法にも関する。
【0059】
式Iの化合物が、導入初期の良好な脳内取り込み、及びその後のタイムポイントにおける良好な除去を示すことが見出されている。この事実は、マウスにおける導入後2分及び30分の脳内取り込みの比率(組織1gあたりの導入用量の取り込みパーセント(%ID/g))により表される。この比率の値が高くなる程、シグナル対バックグラウンドの比率は良好なものとなる。故に、例えば、比率が2.00であるFEDAA(3)や、比率が2.43であるDPA−714(1.2)と比較して、化合物21の4.85の比率は、優れている(図2を参照されたい)。
【化26】
【0060】
本発明の第4の側面において、医薬組成物は、式Iの化合物、好ましくは式Iの18F−ラベル化合物、又は式Iの19F標準参照化合物、又はそれらの無機酸若しくは有機酸の医薬として許容される塩、水和物、複合体、エステル、アミド、溶媒和物又はプロドラッグを含んで提供される。好ましくは、該医薬組成物は、生理的に許容される担体、希釈剤、補助剤、又は賦形剤を含む。
【0061】
好ましい態様において、本発明の医薬組成物は、医薬として許容される塩、水和物、複合体、エステル、アミド、溶媒和物又はプロドラッグである、式Iの化合物を含む。
【0062】
以下、本願明細書及び特許請求の範囲の記載で、「無機酸」及び「有機酸」という用語は、炭酸、硝酸、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、リン酸、過塩素酸、過塩素酸若しくは硫酸等の鉱酸、又は硫酸カリウムそれらの酸性塩等を指し、あるいは限定されないが:脂肪族、環式脂肪族、芳香族、芳香脂肪族(araliphatic)及び複素環式カルボン酸及びスルホン酸、例えば蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、ピルビン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、フマル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデリン酸、エンボン(embonic)酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホン酸、及びスルファニル酸等の適切な有機酸を指す。
【0063】
本発明の第五の側面において、式Iの18F−ラベル化合物、又はその無機酸若しくは有機酸の医薬として許容される塩、その水和物、複合体、エステル、アミド、溶媒和物、又はプロドラッグを含む、放射性医薬組成物が提供される。
【0064】
好ましくは、前記医薬組成物は、生理的に許容される担体、希釈剤、補助剤又は賦形剤を含む。
【0065】
本発明の化合物は、好ましくは本発明により提供される式Iの放射性ラベル化合物は、食塩水又は血漿媒体等の公知の媒体等の、医薬として許容される任意の担体に入れられて、静脈注射用の医薬組成物として、静脈内投与されてもよい。また、そのような媒体は、例えば、医薬として許容される浸透圧調節用の塩、緩衝剤、保存料等の公知の医薬材料を含む場合もある。とりわけ好ましいのは、生理食塩水及び血漿である。
【0066】
適切な医薬として許容される担体は、当業者に知られている。例えば、Remington’s Practice of Pharmacy, 13th ed.及びJ. of. Pharmaceutical Science & Technology, Vol. 52, No. 5, Sept−Oct., p. 238−311を参照されたい。これらは、本明細書中に参照により援用される。
【0067】
式Iの化合物、好ましくは本発明により提供される式Iの18F−ラベル化合物の、医薬として許容される担体、例えば水性媒体等の中の濃度は、使用する具体的な分野に応じて異なる。造影の標的、例えばPBR(移行体)、又は炎症部位若しくは腫瘍等の充分な可視化が達成される場合、充分な量の前記化合物が、前記医薬として許容される担体中に存在することとなる。
【0068】
本発明の化合物、特に本発明の18F−放射性ラベル化合物、即ち本発明により提供される式Iの18F−ラベル化合物は、食塩水又は血漿媒体等の公知の媒体等の、医薬として許容される任意の担体に入れられて、静脈注射用の医薬組成物として、静脈内投与されてもよい。また、そのような媒体は、例えば、医薬として許容される浸透圧調節用の塩、緩衝剤、保存料等の公知の医薬材料を含む場合もある。とりわけ好ましいのは、通常の食塩水及び血漿である。適切な医薬として許容される担体は、当業者に知られている。例えば、Remington’s Practice of Pharmacy, 11th ed.及びJ. of. Pharmaceutical Science & Technology, Vol. 52, No. 5, Sept−Oct., p. 238−311.xを参照されたい。
【0069】
本発明において、中性組成物(neutral composition)、又は医薬として許容される対イオンとの塩のいずれかとしての、一般化学式Iを有する放射性ラベル化合物は、単一の注射用投与単位で投与される。当業者に公知のいずれかの担体、例えば滅菌食塩水又は血漿が、放射性ラベルの後に利用されて、本発明に従い、様々な器官、腫瘍等を診断的に造影する注射用溶液が調製される。一般に、診断用の薬剤として投与され得る投与単位の放射能は、約0.1mCi〜約100mCi、好ましくは1mCi〜20mCiである。放射線治療剤としてであれば、治療投与単位の放射能は、10mCi〜700mCi、好ましくは50mCi〜400mCiである。一回に注射される前記溶液の用量は、約0.01ml〜約30mlである。治療目的での静脈内投与の場合、インビボでの器官又は疾患の造影は、僅か数分で起こり得る。しかしながら、必要な場合は、造影に際して、患者に注射してから1時間あるいはそれ以上置く。殆どの場合、充分な量投与される前記化合物は、造影される部位に0.1時間以内に蓄積して、シンチグラフィー画像の撮像が可能となる。診断目的でのシンチグラフィー撮像方法の公知の任意のものが、本発明において利用され得る。
【0070】
以下、本願明細書及び特許請求の範囲の記載で、「プロドラッグ」は、共有結合した任意の化合物を意味し、該化合物は、式Iの活性親薬剤、好ましくは式Iの18Fラベル化合物を放出する。
【0071】
本文中で使用されるとき、「プロドラッグ」という用語は、エステル、アミド及びリン酸塩等の医薬として許容される誘導体を意味し、該誘導体の最終的なインビボ生体変化産物(biotransformation product)は、式(I)の化合物において定義される有効成分である。一般的なプロドラッグの記述として、Goodman and Gilman (The Pharmaco− logical Basis of Therapeutics, 8 ed, McGraw−HiM, Int. Ed. 1992,“Biotransformation of Drugs”, p 13−15)を、参照により本明細書中に援用する。本発明の化合物のプロドラッグは、インビボで、又は単純な操作で開裂して親化合物を生じるように、化合物を官能基で修飾するように調製される。本発明の化合物のプロドラッグとして、例えばヒドロキシ基を非対称の炭素原子に結合させたもの、又はアミノ基を任意の部位に結合させたもの等が挙げられ、該プロドラッグを患者に投与すると、開裂が起こり、それぞれ遊離ヒドロキシル又は遊離アミノが生じる。
【0072】
プロドラッグの典型的な例は、例えばWO 99/33795、WO 99/33815、WO 99/33793及びWO 99/33792に記載のものが挙げられる。これらは、本明細書中に、参照により援用される。
【0073】
プロドラッグは、良好な水溶性、生体利用効率の増大、及びインビボで容易に活性阻害因子に代謝されることを特徴とし得る。
【0074】
LがR3である式Iの化合物の放射性フッ素化反応が、式Iで表されない副産物を生じ得ることは、当業者にとって明らかである。これらの産物は、例えば、Lがヒドロキシル又は−N(Me)2である(任意で求核芳香族置換反応と共に)等、又は例えばLがヒドロキシルである等、例えば前駆化合物がエーテルとしてダイマー化する、又は離脱基が除去されて対応するアルケンになる(任意で脂肪族求核置換反応と共に)等の状況を特徴とする。そのような副産物及び類似の誘導体は、典型的には、反応混合物から分離されるが、ヒト又は哺乳類に投与される放射性医薬組成物中に一定の量が残留してしまう場合もある。
【0075】
第六の側面において、本発明は、Lが[19F]フルオロである式Iの化合物に関し;
Lが[19F]フルオロである式Iの化合物の好ましいものは;
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
である。
【0076】
本発明の化合物中にキラル中心又は他の形態の異性体中心が存在する場合、それらの立体異性体、例えばエナンチオマー及びジアステレオ異性体等が、本明細書中に含まれることが意図される。キラル中心を含む化合物は、ラセミ混合物として、又は高エナンチオマー(enantiomerically enriched)混合物として、使用され、又は該ラセミ混合物は、周知の技術を使用して分離されて、個別のエナンチオマーが単独で使用される場合もある。化合物が不飽和炭素−炭素結合の二重結合を有する場合、(Z)−異性体及び(E)−異性体のいずれも、本発明の範囲内に含まれる。化合物が、ケト−エノール等の互換異性体を有する場合、各互換異性体は、平衡状態で、又は一方の異性体が優勢な状態で、本発明に含まれることが予定される。
【0077】
特段言及されていない限り、本発明の化合物自体、及びその任意の医薬組成物に関して、本発明は、本発明の化合物の全ての水和物、塩、溶媒和物、複合体及びプロドラッグを含む。プロドラッグは、任意の共有結合化合物であり、式Iの活性親薬剤を放出する。
【0078】
「ハロ」という用語は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、及びヨウ素(I)を指す。
【0079】
第七の側面において、本発明は、式VI
【化31】
[式中、
R10は、(C1−C6)アルキル及び水素からなる群から選択され;
R16は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択され;
A3及びA4は、同一又は異なるもので、そして(R12)(R4)(R5)フェニルの構造をとり;
R12は、R13及び水素からなる群から選択され;
R13はヒドロキシであり、
但し、式VIの化合物は、必ず1つのR13を含み;
R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択される]
の化合物、該化合物の全ての立体異性体、例えば、限定されないが該化合物のエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びにラセミ混合物等、
並びにそれらの任意の医薬として許容される塩、エステル、アミド、複合体又はプロドラッグに関する。
【0080】
好ましい態様において、R16は、水素、フルオロ、クロロ、ヨード、メチル、メトキシ及びトリフルオロメチルからなる群から選択され;
より好ましい態様において、R16は、水素、フルオロ、クロロ、ヨード及びメチルから選択され;
なおもより好ましい態様において、R16は、水素及びクロロからなる群から選択され;
最も好ましい態様において、R16は水素であり;
好ましい態様において、R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、フルオロ、クロロ、メチル、メトキシ及びトリフルオロメチルからなる群から選択され;
より好ましい態様において、R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、フルオロ、メチル及びメトキシからなる群から選択され;
好ましい態様において、R10は、メチル及び水素からなる群から選択され;
但し、式VIの化合物は、必ず1つのR12を含む。
【0081】
本発明の第八の側面は、式Iの化合物を取得する方法に関し、ここでLは、[18F]フルオロ又は[19F]フルオロである。
【0082】
驚くべきことに、そのような化合物を取得する2つの方法が同定されている。
【0083】
第一の態様において、式Iの前駆化合物で、Lが上記R3であるものを、F−フッ素化剤と反応させる。
【0084】
好ましくは、F−フッ素化剤は、F−アニオンを含む化合物で、好ましくは、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]−ヘキサコサンKF、即ちクラウンエーテル塩、Kryptofix KF、KF、HF、KHF2、CsF、NaF及びFのテトラアルキルアンモニウム塩、例えばN(ブチル)4F(テトラブチルフッ化アンモニウム)等からなる群から選択される化合物であり、ここでF=18F又は19Fである。
【0085】
より具体的には、18F−式Iのラベル化合物に関して、式Iの18F−ラベル化合物を取得する放射性ラベル方法の第一の態様は、
−式Iの18F−ラベル化合物を取得するために、適切な離脱基を有する式Iの化合物を、フッ素化剤を用いて18F−放射性ラベルする
工程を含む。
【0086】
本明細書中で使用されるとき、分子を「放射性ラベルする」という用語は、通常、その分子に18F−原子を導入することを指す。フッ素化剤は、上記に定義したものであり、F=18Fである。
【0087】
第二の態様は、式Iの化合物の合成方法に関し、ここでLは[18F]フルオロ又は[19F]フルオロであり、以下の工程:
−F−フッ素化剤を用いて式V
【化32】
の化合物をF−フッ素化して、式IV
【化33】
の化合物を取得する工程、
−式IVの化合物を、式VI
【化34】
の化合物で置換する工程
を含み、ここで、
式IVのFは[18F]フルオロ又は[19F]フルオロであり、
aは0〜5、好ましくは0〜2、より好ましくは0〜1の整数であり、
Bは離脱基、好ましくはハロ、特にクロロ、ブロモ、ヨード、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ、ノナ−フルオロブチルスルホニルオキシ、(4−ブロモ−フェニル)スルホニルオキシ、(4−ニトロ−フェニル)スルホニルオキシ、(2−ニトロ−フェニル)スルホニルオキシ、(4−イソプロピル−フェニル)スルホニルオキシ、(2,4,6−トリ−イソプロピル−フェニル)スルホニルオキシ、(2,4,6−トリメチル−フェニル)スルホニルオキシ、(4−tertブチル−フェニル)スルホニルオキシ、及び(4−メトキシ−フェニル)スルホニルオキシであり;
R10は(C1−C6)アルキル及び水素からなる群から選択され;
R16は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択され;
A3及びA4は、同一又は異なるもので、そして(R12)(R4)(R5)フェニルの構造をとり;
R12は、R13及び水素からなる群から選択され;
R13はヒドロキシであり、
但し、式VIの化合物は、必ず1つのR13を含み;
R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択され;
好ましい態様において、R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、フルオロ、クロロ、メチル、メトキシ及びトリフルオロメチルからなる群から選択され;
より好ましい態様において、R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、フルオロ、メチル、及びメトキシからなる群から選択され;
より好ましい態様において、R10は、水素及びメチルからなる群から選択され;
好ましい態様において、R16は、水素、フルオロ、クロロ、ヨード、メチル、メトキシ及びトリフルオロメチルからなる群から選択され:
より好ましい態様において、R16は、水素、フルオロ、クロロ、ヨード及びメチルからなる群から選択され:
なおもより好ましい態様において、R16は、水素及びクロロからなる群から選択され:
最も好ましい態様において、R16は水素であり;
前記F−フッ素化剤は上記で定義したものであり、F=18F又は19Fであり;
但し、式VIは、必ず1つのR12を含む。
【0088】
好ましくは、は、ヨード、ブロモ、クロロ、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ、及びノナ−フルオロブチルスルホニルオキシからなる群から選択される。
【0089】
より具体的には、式Iのラベル化合物を取得する放射性ラベル方法の第二の態様は、
式Vの化合物を、フッ素化剤で18F放射性ラベルして、式IVの化合物を取得する工程、及び
式IVの化合物を、式VIの化合物で置換する工程
を含む。
【0090】
前記式IVのラベル化合物は、
【化35】
又はその無機酸若しくは有機酸の医薬として許容される塩、その水和物、複合体、エステル、アミド、溶媒和物又はプロドラッグであり;ここで
Bは離脱基であり;
該離脱基Bは、当業者に知られ、又は明らかなもので、限定されないが、Synthesis (1982), p. 85−125, table 2 (p. 86;(table 2の最後の記載「n−C4H9S(O)2−O− nonaflat」は、「n−C4F9S(O)2−O− nonaflat」とする必要がある)、Carey and Sundberg, Organische Synthese, (1995), page 279−281, table 5.8;又はNetscher, Recent Res. Dev. Org. Chem., 2003, 7, 71−83, scheme 1, 2, 10及び15等)に記載され、又は名付けられたものから採用され;
より好ましい態様において、Bは;
a)ヨード、
b)ブロモ、
c)クロロ、
d)メシルオキシ、
e)トシルオキシ、
f)トリフルオロメチルスルホニルオキシ及び
g)ノナフルオロブチルスルホニルオキシ
からなる群から選択され;
aは、0〜4の整数、好ましくは0〜2の整数、そしてより好ましくは0〜1の整数である。
【0091】
式Vの化合物は、
【化36】
又はその無機酸若しくは有機酸の医薬として許容される塩、その水和物、複合体、エステル、アミド、溶媒和物又はプロドラッグであり;ここで
Bは式IVの化合物で定義したものであり、そして
aは式IVの化合物で定義したものであり、
前記フッ素化剤は、上記で定義したものである。
【0092】
好ましい態様において、前記フッ素化剤は、フッ素放射性同位体誘導体である。
【0093】
より好ましくは、前記フッ素放射性同位体誘導体は、18F誘導体である。より好ましくは、18F誘導体は、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]−ヘキサコサンK18F(クラウンエーテル塩Kryptofix K18F)、K18F、H18F、KH18F2、Cs18F、Na18F、又は18Fのテトラアルキルアンモニウム塩([F−18]テトラブチルフッ化アンモニウム等)である。より好ましくは、前記フッ素化剤は、K18F、H18F、又はKH18F2であり、最も好ましくはK18F(18Fフッ化物アニオン)である。
【0094】
前記放射性フッ素化反応は、例えば、当業者に公知の典型的な反応容器(Wheatonバイアル)又はマイクロリアクター中で実行される。該反応は、例えばオイルバス、ヒートブロック又は電子レンジ等の典型的な方法により加熱され得る。該放射性フッ素化反応は、ジメチルホルムアミド中で、塩基として炭酸カリウムを、及びクラウン−エーテルとして「kryptofix」を用いて行われる。当業者に周知の他の溶媒も使用され得る。可能なものとして、限定されないが:溶媒がジメチルスルホキシド及びアセトニトリルで、塩基がテトラアルキルアンモニウム及びテトラアルキルホスホニウムカルボネートである条件が挙げられる。水及び/又はアルコールは、共溶媒(co−solvent)として前記反応に用いられる場合がある。前記放射性フッ素化反応は、1〜60分間行われる。好ましい反応時間は、5〜50分である。更に好ましい反応時間は、10〜40分である。該放射性フッ素化のこれらの及び他の条件は、当業者に公知である(Coenen, Fluorine−18 Labeling Methods: Features and Possibilities of Basic Reactions, (2006), in: Schubiger P.A., Friebe M., Lehmann L., (eds), PET−Chemistry − The Driving Force in Molecular Imaging. Springer, Berlin Heidelberg, pp.15−50)。該放射性フッ素化は、「ホットセル」中で行われ、及び/又はモジュールを使用して行われる場合もあり(参照: Krasikowa, Synthesis Modules and Automation in F−18 labeling (2006), in: Schubiger P.A., Friebe M., Lehmann L., (eds), PET−Chemistry − The Driving Force in Molecular Imaging. Springer, Berlin Heidelberg, pp. 289−316)、それにより、自動的、又は半自動的な合成が可能となる。
【0095】
更に、本発明は、本発明の化合物及び医薬として許容される担体又は希釈剤を含む組成物を提供する。
【0096】
一つの態様において、前記化合物は、18F−ラベル化合物である。
【0097】
他の態様において、前記化合物は、19F−ラベル化合物である。
【0098】
なおも他の態様において、前記化合物は、前駆化合物である。
【0099】
また、本発明は、薬剤、診断剤若しくは造影剤として使用する、本発明の化合物、好ましくは本発明の18F−若しくは19F−ラベル化合物、又は本発明の組成物を提供する。
【0100】
また、本発明は、中枢神経系(CNS)の疾患を処置及び/又は診断及び/又は造影するための医薬品を製造するために使用される、本発明の化合物、好ましくは本発明の18F−若しくは19F−ラベル化合物、又は本発明の組成物を提供する。
【0101】
また、本発明は、特に中枢神経形の疾患に対する診断剤又は造影剤として使用される、式Iの18F−ラベル化合物又は該化合物を含有する組成物を提供する。
【0102】
また、本発明は、所定の量の化合物
a)式Iを有する前駆化合物、又は
b)上記で定義した式Vの化合物及び式VIの化合物
を含む、密封バイアルを備えたキットを提供する。
【0103】
また、本発明は、患者の体内のPBR受容体(移行体タンパク質)の存在を検出する、好ましくは患者の中枢神経系の疾患を造影する方法を提供し、該方法は;
患者の体内に検出可能な量の本発明のラベル化合物又は該化合物を含む組成物を導入する工程、及び
該化合物又は該組成物を、陽電子放出断層撮影(PET)により検出する工程を含む。
【0104】
また、本発明は、中枢神経系の疾患を治療する方法を提供し、該方法は、適切な量の本発明の化合物、好ましくは本発明の18F−又は19F−ラベル化合物を患者に導入する工程を含む。
【0105】
芳香環系を含む三環式骨格の一般的な合成スキームA、B及びCを、スキーム1に示す:E1型の化合物が、フェノールアニオンでアルキル化され、E2型の化合物となる。「(N)」は、窒素を含有する置換基、好ましくは窒素を表し、そして「(X)」は、離脱基、例えばハロを表す。置換基「(N)」は、当業者に公知の方法により、アニリン誘導体E3に転換される(例えば、「(N)」が窒素の場合、水素化反応により、所望の化合物E3が得られる)。E8型のアルデヒドによる還元的アミン化反応により、E4型のアニリンが得られる。
【化37】
【0106】
また、E3型の化合物は、当業者に公知のアミド化又はN−アセチル化により、E5の化合物に転換される場合もある。
【0107】
E4型の化合物は、6型のアミドに転換され得る。しかしながら、「C−環」を表すE9型のアルキル化剤でE5型の化合物をアルキル化反応させることによっても、E6型の化合物を取得できる。F−18ラベル(任意で対応するF−19ラベル)を導入する2つのアプローチが存在する。例えば、適切な離脱基の取り付けは、対応するアルコールのメシル化により達成され得る(スキーム2の(9)→(10)参照)。しかしながら、小さいF−18ラベル構成要素(補欠分子族、E10)のアルキル化反応が、それらとE6型の化合物に導入されている求核官能基とを連結するのに使用される場合もある(スキーム3、(15)→(19)参照)。
【0108】
スキーム2は、式Iの化合物を合成する方法の一つの具体例である:
【化38】
【0109】
アニリン6(J. Med. Chem. (2002), 45, 23, 5182−5185)及びアルデヒド7(EP1894915A1)は、水素化(アセトキシ)ホウ素ナトリウム(sodium tris(acetoxy)borohydride)を使用する還元的アミン化反応中で転換される。続いて、粗い第二のアニリンのアセチル化反応で、所望の産物8が得られる。テトラハイドロピラニルエーテル8は、PPTSのメタノール溶液を使用する酸性条件下で開裂する。所望のアルコール9は、塩化メシル及びトリエチル及びヒューニッヒ塩基のジクロロメタン溶液を使用して、対応するメシレート10に転換される。続いて、KF及びによるフッ素化で、所望の[F−18]ラベル化合物11が得られる。放射性フッ素化反応は、当業者に公知の典型的な反応容器(Wheatonバイアル等)又はマイクロリアクター中で実施され得る。放射性フッ素化反応は、塩基として炭酸カリウムを、及びクラウンエーテルとして「kryptofix」を用いて行われる。しかしながら、当業者に周知の他の溶媒も使用され得る。可能なものとして、限定されないが:溶媒がジメチルスルホキシド及びアセトニトリルで、塩基がテトラアルキルアンモニウム及びテトラアルキルホスホニウムカルボネートである条件が挙げられる。水及び/又はアルコールは、共溶媒として前記反応に用いられる場合がある。前記放射性フッ素化反応は、1〜60分間行われる。好ましい反応時間は、5〜50分である。更に好ましい反応時間は、10〜40分である。該放射性フッ素化のこれらの及び他の条件は、当業者に公知である(Coenen, Fluorine−18 Labeling Methods: Features and Possibilities of Basic Reactions, (2006), in: Schubiger P.A., Friebe M., Lehmann L., (eds), PET−Chemistry − The Driving Force in Molecular Imaging. Springer, Berlin Heidelberg, pp.15−50)。該放射性フッ素化は、「ホットセル」中で行われ、及び/又はモジュールを使用して行われる場合もあり(参照: Krasikowa, Synthesis Modules and Automation in F−18 labeling (2006), in: Schubiger P.A., Friebe M., Lehmann L., (eds), PET−Chemistry − The Driving Force in Molecular Imaging. Springer, Berlin Heidelberg, pp. 289−316)、それにより、自動的、又は半自動的な合成が可能となる。
【0110】
他のアプローチを、スキーム3に示す:アニリン12(ABCR)及びアルデヒド13(Bioorg. Med. Chem. Lett. (2007), 2614−2617)は、水素化(アセトキシ)ホウ素ナトリウムを使用する還元的アミン化反応により互いに反応する。続いて、粗産物のアセチル化により、所望の産物14が得られる。ベンジルエーテル14は、等業者に公知の方法により開裂される。典型的には、水素及びパラジウム炭素(palladium on charcoal)を用いた不均一触媒水素化を用いて、フェノール15が取得される。フェノール15は、[18F]−フルオロエチルブロマイド(2−ブロモエチルトリフラート(Bioorg. Med. Chem.; 11; 12; 2003; 2519- 2528)から生産される)でアルキル化されて、化合物19が得られる。塩基として炭酸ナトリウムを使用して、アセトニトリル中で2−ベンジルオキシ−エチルブロマイドで化合物15をアルキル化して、化合物16が得られる。また、化合物15は、1−フルオロ−2−ヨードエタン又は1−ブロモ−2−フルオロエタンでアルキル化される場合もある。この転換の産物は、メシレート18を使用する放射性フッ素化実験用の対応するF−19参照標準20である。メシレート18は、塩化メシル及び取りエチルアミンのジクロロメタン溶液を使用して、アルコール17から調製することが出来る。イソプロパノール中でベンジルエーテル16をパラジウム炭素で水素化して、上記アルコール17が得られる。
【化39】
【0111】
記載されている方法により生産され得る類似の化合物として、以下のものが挙げられる:
【化40】
【0112】
スキーム4は、式Iの化合物を合成する他のアプローチを示す:
【化41】
【0113】
化合物22(スキーム4)は、3−ニトロ−2−フェノキシピリジンを、tert−ブチルヒドロペルオキシド(Journal of Medicinal Chemistry; English; 50; 1; 2007; 2−5等を参照)で酸化することにより得られる。アルコール22の臭素化は、三臭化リン(Tetrahedron Letters; English; 32; 34; 1991; 4263-4266等を参照)を用いて実行されて、化合物23が得られる。化合物23のニトロ基の還元は、酸中の鉄の粉末(Recueil des Travaux Chimiques des Pays−Bas; 64; 1945; 102,104等を参照)を使用して実行される。
【0114】
2−メトキシベンズアルデヒドをアニリン24で還元的アミン化(Journal of Organic Chemistry (2004), 69, 35等を参照)することにより、アミド26にアセチル化され得るアミン25が得られる。ブロモピリジン26をF−18フッ化カリウムで放射性ラベルして、所望のF−18ラベル化合物27が得られる。フルオロピリジンの放射性ラベルプロセスは、当業者に周知である(Dolle et al., (2006), in: Schubiger P.A., Friebe M., Lehmann L., (eds), PET−Chemistry − The Driving Force in Molecular Imaging. Springer, Berlin Heidelberg)。
【0115】
化合物26を、フッ化カリウム又はテトラブチルアンモニウム試薬で非放射性フッ素化することにより、対応するF−19参照化合物が得られる。
【0116】
本発明の化合物は、中枢神経系の障害及び神経変性障害を、造影、診断及び処置する方法において使用され得る。好ましい造影方法は、PETである。中枢神経系又は神経変性障害は、限定されないが、アルツハイマー症、認知症、多発性硬化症、又は筋萎縮性側索硬化症等である。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の化合物を合成する手順を、スキームで示している。
【図1.1】正常マウスに[18F]−2dを静脈内投与した後の、[18F]−放射性の血中及び脳内への取り込み及び排除を示す(タイムポイント毎n=3)。
【図1.2】正常マウスに[18F]−5dを静脈内投与した後の、[18F]−放射性の血中及び脳内への取り込み及び排除を示す(タイムポイント毎n=3)。
【図2】FEDAA(3)及びDPA−714と比較した、導入後2分及び30分の、マウスの脳内取り込みの比率(組織1gあたりの導入用量の取り込みパーセント(%ID/g))を示す。この比率の値が高くなる程、シグナル対バックグラウンドの比率は良好なものとなる。
【図2.1】[18F]−2d注入後30分の、カイニン酸処理ラットモデル及びそれぞれの擬似対照(sham control)の脳横断切片のエクスビボオートラジオグラフィーを示す(A〜C)。ミクログリアの活性化は、同一の切片で、続けてOx−42抗体を用いた免疫組織化学により可視化された(D−I)。カイニン酸処理ラット(A)を、擬似処理ラット(C)と比較した。このモデルで影響が生じることが知られている海馬領域における強力なシグナルに注目されたい。カイニン酸処理ラットにおいて、[19F]−2eの共注入が、これらのシグナルをブロックした(B)。バーは、D、F、Hでは1000μm、そしてE、G、Iでは100μmを表す。薄片は、ブレグマから−3.1mmに位置する。海馬/小脳の比率の定量及び計算に供された領域を、点線で囲んだ。
【図2.2】[18F]−5d注入後30分の、カイニン酸処理ラットモデル及びそれぞれの擬似対照の脳横断切片のエクスビボオートラジオグラフィーを示す(A〜C)。ミクログリアの活性化は、同一の切片で、続けてOx−42抗体を用いた免疫組織化学により可視化された(D−I)。カイニン酸処理ラット(A)を、擬似処理ラット(C)と比較した。このモデルで影響が生じることが知られている海馬領域における強力なシグナルに注目されたい。カイニン酸処理ラットにおいて、[19F]−5eの共注入が、これらのシグナルをブロックした(B)。バーは、D、F、Hでは1000μm、そしてE、G、Iでは100μmを表す。薄片は、ブレグマから−3.1mmに位置する。海馬/小脳の比率の定量及び計算に供された領域を、点線で囲んだ。
【図3】カイニン酸処理ラットの脳薄片のエクスビボオートラジオグラフィーシグナルの定量データから計算された海馬/小脳の比率として表現される、シグナル対バックグラウンドの比率を示す。
【実施例】
【0118】
実験
一般的な手法
A:非放射性[F−19]フッ化物によるフッ素化
1当量の出発物質のアセトニトリル(2ml/eq.)溶液に、1.1当量のフッ化カリウム及びkryptofix(1.1eq.)を添加する。該反応混合物を電子レンジで加熱し(130℃15分)、そして再び室温まで冷却する。該反応混合物を、10mlのジエチルエーテル及び10mlの水で希釈する。有機相を分離する。水相を、10mlのジエチルエーテルで3回抽出する。これらの有機相をまとめ、ブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水する。溶媒を蒸発させ、そして残留物を、酢酸エチル−ヘキサン勾配を有するカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0119】
B:放射性[F−18]フッ化物によるフッ素化
[18F]フッ化物水溶液(0.1〜5GBq)を、QMAカートリッジでトラップし、0,95ml MeCN中5mg K2.2.2+水50μl中1mg K2CO3で溶出して、Wheatonバイアル(5ml)に取る。溶媒を、窒素大気下、120℃で10分間加熱して除去する。無水MeCN(1ml)を添加し、先述のように蒸発させる。この工程を3回繰り返す。出発物質(1mg)の300μl無水DMF溶液が添加される。120℃で10分間加熱した後、粗反応混合物を、解析HPLC(ACE3−C18 50 mm x 4,6 mm;溶媒勾配;水中5%アセトニトリルで開始〜7分で95%アセトニトリル、流速:2ml/分)を使用して解析する。所望のF−18ラベル産物は、解析HPLCに、対応する非放射性F−19フルオロ−標準と共に注入することにより確認される。前記粗産物は、C18 SPEカートリッジで前精製され(50〜2500MBq、該前精製された産物は、調製HPLC(ACE 5−C18−HL 250mmx10mm; 水中62%アイソクラチックアセトニトリルで25分、流速:3ml/分)を使用して精製される。非放射性F−19フルオロ標準と共に前記解析HPLCに注入して再確認するおことにより、所望の産物が得られる。該試料を60mlの水で希釈し、Chromafix C18 (S)カートリッジ上に不動化する。これを5mlの水で洗浄し、1mlのエタノールで溶出して、1000μlのEtOH中の20〜1800MBqの産物が得られる。
【0120】
H:フェノールのアルキル化
攪拌された1当量の出発物質(フェノール誘導体)及び1.5当量の炭酸カリウムのジメチルホルムアミド(3ml/1当量)溶液に、2.5mmolのアルキル化剤を添加する。該反応混合物を70℃で6時間加熱し、又は110℃まで15分間電子レンジにかける。該反応混合物の溶媒を蒸発させる。水およびメチルtert−ブチルエーテルを添加する。有機相を分離する。水相を、メチルtert−ブチルエーテルジエチルエーテルで3回抽出する。これらの有機相をまとめ、水、ブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水する。溶媒を蒸発させ、そして残留物を、酢酸エチル−ヘキサン勾配を有するカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0121】
I:アルコールの対応するO−スルホン酸塩への転換
1当量の出発物質及び1.5当量のジイソプロピルエチルアミンの3ml/mmolジクロロメタン溶液に、−10℃で、若干量のジクロロメタン中の1.3当量の塩化メシルを滴下した。攪拌した反応混合物を、4.5時間室温まで加熱し、そしてジクロロメタンで希釈した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水及びブラインで洗浄した。有機相を、硫酸マグネシウムで脱水した。粗産物を、シリカカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン勾配)により精製した。
【0122】
K:アルコールの対応するO−スルホン酸塩への転換(バージョン2)
1当量の出発物質のジクロロメタン(1.4ml/eq.)及びピリジン(1.4 ml/eq.)溶液に、−10℃で、ジクロロメタン(1ml/eq.)中のアリールスルホニルクロライド(1.1当量)を滴下した。攪拌した反応混合物を、室温まで4.5時間加熱し、そしてジクロロメタンで希釈した。有機層を0.25N硫酸(3回)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水及びブラインで洗浄した。有機相を、硫酸マグネシウムで脱水した。粗産物を、シリカカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン勾配)により精製した。
【0123】
L(1):不均一水素化
攪拌した、パラジウム炭素約20〜50mg(10%)のイソプロパノール(出発物質1mmolあたり8ml)溶液に対し、若干量のイソプロパノール中のベンジルエーテル(遊離体(educt))を添加した。該反応混合物を濾過し;そして溶媒を蒸発させる。残留物を、酢酸エチル−ヘキサン勾配を有するカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0124】
L(2):鉄による水素化
攪拌した、1当量の出発物質(ニトロ誘導体)及び5当量の鉄の粉末のエタノール(〜86当量)溶液に、1ml/eq.のHCl(37%水溶液)を添加する。該溶液を、1時間還流する。有機相を分離する。水溶液を、ジクロロメタンで2回抽出する。これらの有機相をまとめ、ブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水する。溶媒を蒸発させる。そして残留物を、酢酸エチル−ヘキサン勾配を有するカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0125】
W:還元的アミン化及びその後のアセチル化:
攪拌した、アルデヒド(1当量)及びアミン(1当量)の60mlジクロロエタン溶液(pH=5)を、氷酢酸でpH=5に調整した。この溶液に、70mmolのソディウムトリス−アセトキシハイドロボランを添加した。該反応混合物を一昼夜攪拌し、そして5mlの水で希釈した。pH値を、水酸化ナトリウム水溶液で、pH8〜9となるように調整した。該混合物を、ジクロロメタンで3回抽出した。これらの有機相をまとめ、水及びブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水した。所望の粗産物は、蒸発を経て取得された。該所望の粗産物は、脱水ピリジン(1.3ml/mmol出発物質)中で希釈され、そして0℃で冷却させられた。
溶媒を蒸発させる。そして残留物を、酢酸エチル−ヘキサン勾配を有するカラムクロマトグラフィーで精製する。この溶液を攪拌して、1.25当量の無水酢酸を滴下した。該反応混合物を一昼夜攪拌し、体積を3分の1まで減少させ、そしてジクロロメタン(2ml/mmol)及び水(2ml/mmol)で希釈した。水相を、ジクロロメタンで3回抽出する。有機相を蒸発させ、そして残留物を、酢酸エチル−ヘキサン勾配を有するカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0126】
Z:THPエーテルの脱保護:
1当量のテトラヒドロピラニルエーテエルの7ml/mmolメタノール溶液に、0.15当量のPPTSを添加する。該反応混合物を一昼夜攪拌し、そして、攪拌した氷水及びtert−ブチルメチルエーテルの溶液に注ぐ。有機相を分離する。水相を、tert−ブチルメチルエーテルで3回抽出する。これらの有機相をまとめ、希釈した炭酸水素ナトリウム、ブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水する。溶媒を蒸発させ、そして残留物を、酢酸エチル−ヘキサン勾配を有するカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0127】
実施例1
a) N−{2−[2−(ベンジルオキシ)エトキシ]−5−メトキシベンジル}−N−[2−(4−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]アセトアミド(1a)の合成
4.1g(20 mmol)の2−(4−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−アミン(Helv. Chim. Acta; 48; 1965; 336−347)及び5.7g(20mmol)の2−[2−(ベンジルオキシ)エトキシ]−5−メトキシベンズアルデヒド(EP1894915A1)を、一般的な手法Wに従い転換した。所望の産物は、定量可能な収率で取得された。
MS−ESI: 517 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 69.75% H 5.66% N 5.42%
測定: C 69.72 % H 5.67 % N 5.40%
【0128】
b) N−[2−(4−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]−N−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)−5−メトキシベンジル]アセトアミド(1b)の合成
所望の産物1b(1.15g)は、一般的な手法「L」に従い、1a(1.67g、3.23mmol)から、83%の収率で取得された。
MS−ESI: 427 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 64.78% H 5.44% N 6.57%
測定: C 64.75% H 5.45% N 6.56%
【0129】
c) 2−[2−({アセチル[2−(4−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]アミノ}メチル)−4−メトキシフェノキシ]エチルメタンスルホネート(1c)の合成
所望の産物1cは、一般的な手法「I」に従い、1b(300mg、0.7mmol)から、97%の収率で取得された。
MS−ESI: 505 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 57.13% H 4.99% N 5.55%
測定: C 57.14% H 5.00% N 5.56%
【0130】
d)N−[2−(2−[18F]フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−[2−(4−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]アセトアミド(1d)の合成
所望の産物(1d)は、一般的な手法「B」に従い、(1c)から取得された。
【0131】
e)2−(2−フルオロエトキシ)−5−メトキシベンズアルデヒド(1e)の合成
所望の産物1eは、一般的な手順「H」に従い、100mmolの2−ヒドロキシ−5−メトキシベンズアルデヒド(Aldrich)及び250mmolの1−ブロモ−2−フルオロエタン(Aldrich)から、82%の収率(82mmol)で取得された。
MS−ESI: 199 (M+ +1, 100). (Aldrich).
元素分析:
計算: C 60.60% H 5.59%
測定: C 60.61% H 5.59%
【0132】
f) N−[2−(2−フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−[2−(4−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]アセトアミド(1f)(参照標準)の合成
所望の産物1fは、1.51mmol(309mg)の2−(4−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−アミン(Helv. Chim. Acta; 48; 1965; 336−347)及び1.51mmol(300mg)の1eから、一般的な手順「W」に従い、88.2%の収率(572mg)で取得された。
MS−ESI: 429 (M+ +1, 100). (Aldrich).
元素分析:
計算: C 64.48% H 5.18% N 6.54%
測定: C 64.46% H 5.19% N 6.54%
【0133】
実施例2
a) N−[2−(4−メトキシフェノキシ)ピリジン−3−イル]−N−{5−メトキシ−2−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]ベンジル}アセトアミド(2a)の合成
所望の産物2aは、463mgの5−メトキシ−2−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]ベンズアルデヒド(EP1894915A1)及び340mgの2−(4−メトキシフェノキシ)ピリジン−3−アミン(J. Org. Chem.; 60; 16; 1995; 4991−4994)から、一般的な手順「W」に従い、55%の収率で取得された。
MS−ESI: 523 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 66.65% H 6.56% N 5.36%
測定: C 66.63% H 6.57% N 5.35%
【0134】
b) N−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−[2−(4−メトキシフェノキシ)ピリジン−3−イル]アセトアミド(2b)の合成
所望の産物2bは、一般的な手順「Z」に従い、2a(432mg、0.83mmol)から、73%の収率(265mg)で取得された。
MS−ESI: 439 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 65.74% H 5.98% N 6.39%
測定: C 65.73% H 5.97% N 6.39%
【0135】
c) 2−[2−({アセチル[2−(4−メトキシフェノキシ)ピリジン−3−イル]アミノ}メチル)−4−メトキシフェノキシ]エチルメタンスルホネート(2c)の合成
所望の産物2cは、一般的な手順「I」に従い、2b(256mg、0.58mmol)から、96%の収率(289mg)で取得された。
MS−ESI: 517 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 58.13% H 5.46% N 5.42%
測定: C 58.16% H 5.47% N 5.41%
【0136】
d) N−[2−(2−[18F]フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−[2−(4−メトキシフェノキシ)ピリジン−3−イル]アセトアミド(2d)の合成
所望の産物(2d)は、一般的な手順「B」に従い、(2c)から取得された。
【0137】
e) N−[2−(2−フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−[2−(4−メトキシフェノキシ)ピリジン−3−イル]アセトアミド(2e)の合成
所望の産物2eは、0.3 mmol(64.3mg)の2−(4−メトキシフェノキシ)ピリジン−3−アミン(J. Org. Chem.; 60; 16; 1995; 4991−4994)及び58.9 mg(0.3mmol)の1eから、一般的な手順「W」に従い、76%の収率(100mg)で取得された。
MS−ESI: 441 (M+ +1, 100) (Aldrich)
元素分析:
計算: C 65.44% H 5.72% N 6.36%
測定: C 65.42% H 5.71% N 6.37%
【0138】
実施例3
a) N−[2−(4−ヨードフェノキシ)ピリジン−3−イル]−N−{5−メトキシ−2−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]ベンジル}アセトアミド(3a)の合成
所望の産物3aは、449mgの5−メトキシ−2−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]ベンズアルデヒド(EP1894915A1)及び500mgの2−(4−ヨードフェノキシ)ピリジン−3−アミン(J. Chem. Soc. (1931), 529,533)から、一般的な手順「W」に従い、75%の収率(747mg)で取得された。
MS−ESI: 619 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 54.38% H 5.05% N 4.53%
測定: C 54.38% H 5.05% N 4.53%
【0139】
b) N−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−[2−(4−ヨードフェノキシ)ピリジン−3−イル]アセトアミド(3b)
所望の産物3bは、一般的な手順「Z」に従い、3a(707mg、1.14 mmol)から、75%の収率(459mg)で取得された。
MS−ESI: 535 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 51.70% H 4.34% N 5.24%
測定: C 51.72% H 4.35% N 5.23%
【0140】
c) 2−[2−({アセチル[2−(4−ヨードフェノキシ)ピリジン−3−イル]アミノ}メチル)−4−メトキシフェノキシ]エチルメタンスルホネート(3c)の合成
所望の化合物3cは、3b(431mg、0.81mmol)から、一般的な手順「I」に従い、96%の収率(494mg)で取得された。
MS−ESI: 613 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 47.07% H 4.11% N 4.57%
測定: C 47.10% H 4.12% N 4.56%
【0141】
d) N−[2−([18F]2−フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−[2−(4−ヨードフェノキシ)ピリジン−3−イル]アセトアミド(3d)の合成
所望の産物(3d)は、一般的な手順「B」に従い、(3c)から取得された。
【0142】
e) N−[2−(2−フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−[2−(4−ヨードフェノキシ)ピリジン−3−イル]アセトアミド(3e)の合成
所望の産物3eは、0.23mmol(71mg)の2−(4−ヨードフェノキシ)ピリジン−3−アミン(J. Chem. Soc. (1931), 529, 533)及び45.1mg(0.23mmol)の1eから、一般的な手順「W」に従い、で取得された。
MS−ESI: 537 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 51.51% H 4.13% N 5.22%
測定: C 51.53% H 4.14% N 5.21%
【0143】
a) N−[2−(2−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]−N−{5−メトキシ−2−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]ベンジル}アセタミド(4a)の合成
所望の産物4aは、0.25g(1.22mmol)の2−(4−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−アミン(ABCR)及び342mg(1.17mmol)の5−メトキシ−2−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]ベンズアルデヒド(EP1894915A1)から、一般的な手順Wに従い、66%の収率(412mg)で取得された。
MS−ESI: 511 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 65.87% H 6.12% N 5.49%
測定: C 65.85% H 6.11% N 5.49%
【0144】
b) N−[2−(2−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]−N−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)−5−メトキシベンジル]アセトアミド(4b)の合成
所望の産物4bは、4a(200mg、0.39mmol)から、一般的な手順「Z」に従い、84%の収率(140mg)で取得された。
MS−ESI: 427 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 65.87% H 6.12% N 5.49%
測定: C 65.85% H 6.11% N 5.49%
【0145】
c) 2−[2−({アセチル[2−(2−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]アミノ}メチル)−4−メトキシフェノキシ]エチルメタンスルホネート(4c)の合成
所望の生産物4cは、4b(122mg、0.29mmol)から、一般的な手順「I」に従い、71%の収率(102mg)で取得された。
MS−ESI: 505 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 57.13% H 4.99% N 5.55%
測定: C 57.15% H 5.00% N 5.56%
【0146】
d) N−[2−(2−[18F]フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−[2−(2−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]アセトアミド(4d)の合成
所望の産物(4d)は、一般的な手順「B」に従い、4cから取得された。
【0147】
e) N−[2−(2−フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−[2−(2−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]アセトアミド(4e)の合成
所望の生産物4eは、103mg(0.5 mmol)の2−(4−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−アミン(ABCR)及び100mg(0.5 mmol)の1eから、一般的な手順「W」に従い、74%の収率(159mg)で取得された。
MS−ESI: 429 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 64.48% H 5.18% N 6.54%
測定: C 64.47% H 5.19% N 6.53%
【0148】
実施例5
a) N−[2−(2,3−ジメチルフェノキシ)ピリジン−3−イル]−N−{5−メトキシ−2−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]ベンジル}アセトアミド(5a)の合成
250mg(1.17mg)の2−(2,3−ジメチルフェノキシ)ピリジン−3−アミン(ABCR)及び327mg(1.17mg)の5−メトキシ−2−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]ベンズアルデヒド(EP1894915A1)を、一般的な手順Wに従い転換した。所望の産物5aは、73%の収率で取得された(442mg)。
MS−ESI: 621 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 69.21% H 6.97% N 5.38%
測定: C 69.20% H 6.98% N 5.37%
【0149】
b) N−[2−(2,3−ジメチルフェノキシ)ピリジン−3−イル]−N−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)−5−メトキシベンジル]アセトアミド(5b)の合成
所望の産物5bは、5a(200mg、0.38mmol)から、一般的な手順「Z」に従い、73%の収率(122mg)で取得された。
MS−ESI: 437 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 68.79% H 6.47% N 6.42%
測定: C 68.77% H 6.46% N 6.43%
【0150】
c) 2−[2−({アセチル[2−(2,3−ジメチルフェノキシ)ピリジン−3−イル]アミノ}メチル)−4−メトキシフェノキシ]エチルメタンスルホネート(5c)の合成
所望の産物5cは、4b(105mg、0.24mmol)から、一般的な手順「I」に従い、60%の収率(74mg)で取得された。
MS−ESI: 515 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 60.69% H 5.88% N 5.44%
測定: C 60.68% H 5.89% N 5.43%
【0151】
d) N−[2−(2,3−ジメチルフェノキシ)ピリジン−3−イル]−N−[2−(2−[18F]フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]アセトアミド(5d)の合成
所望の産物(5d)は、5cから、一般的な手順「B」に従い取得された。
【0152】
e) N−[2−(2,3−ジメチルフェノキシ)ピリジン−3−イル]−N−[2−(2−フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]アセトアミド(5e)の合成
所望の産物5eは、108mg(0.5mg)の2−(2,3−ジメチルフェノキシ)ピリジン−3−アミン(ABCR)及び100mg(0.5mmol)の1eから、一般的な手順「W」に従い、17%の収率(38%)で取得された。
MS−ESI: 439 (M+ +1, 100) (Aldrich)
元素分析:
計算: C 68.48% H 6.21% N 6.39%
測定: C 68.46% H 6.22% N 6.38%
【0153】
実施例6
a) N−{5−メトキシ−2−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]ベンジル}−N−(2−フェノキシピリジン−3−イル)アセトアミド(6a)の合成
244mg(1.31mmol)の2−(フェノキシ)ピリジン−3−アミン(J. Med. Chem. (2002), 45, 23, 5182)及び367mg(1.31mmol)の5−メトキシ−2−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]ベンズアルデヒド(EP1894915A1)をを、一般的な手順Wに従い転換した。所望の産物6aは、50%の収率(322mg;648マイクロモル)で取得された。
MS−ESI: 492 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 68.28% H 6.55% N 5.69%
測定: C 68.27% H 6.56% N 5.68%
【0154】
b) N−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−(2−フェノキシピリジン−3−イル)アセトアミド(6b)の合成
所望の産物6b(438マイクロモル;179mg)は、6a(295mg、0.6mmol)から、一般的な手順「Z」に従い、73%の収率で取得された。
MS−ESI: 409 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 67.63% H 5.92% N 6.86%
測定: C 67.62% H 5.93% N 6.85%
【0155】
c) 2−(2−{[アセチル(2−フェノキシピリジン−3−イル)アミノ]メチル}−4−メトキシフェノキシ)エチルメタンスルホネート(6c)の合成
所望の産物6cは、6b(130mg、0.32mmol)から、一般的な手順「I」に従い、94%の収率(146mg、0.3mmol)で取得された。
MS−ESI: 487 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 59.25% H 5.39% N 5.76%
測定: C 59.27% H 5.40% N 5.77%
【0156】
d) N−[2−([18F]2−フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−(2−フェノキシピリジン−3−イル)アセトアミド(6d)の合成
所望の産物(6d)は、6cから、一般的な手順「B」に従い取得された。
【0157】
e) N−[2−(2−フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−(2−フェノキシピリジン−3−イル)アセトアミド(6e)の合成
所望の産物6eは、244mg(1.31mmol)の2−(フェノキシ)ピリジン−3−アミン(J. Med. Chem. (2002), 45, 23, 5182)及び260mg(1.31mmol)の1eから、一般的な手順「W」に従い、で取得された。
MS−ESI: 411 (M+ +1, 100) (Aldrich)
元素分析:
計算: C 67.31% H 5.65% N 6.83%
測定: C 67.30% H 5.66% N 6.82%
【0158】
実施例7
a) 2−[4−(2−テトラヒドロピラニルオキシ−エトキシ)−フェノキシ]−3−ニトロ−ピリジン(7a)の合成
所望の産物7aは、2−クロロ−3−ニトロ−ピリジン(Aldrich)及び4−(2−テトラヒドロピラニルオキシ−エトキシ)−フェノール(J. Med. Chem. (1998), 41, 9, 1540−1554)を使用する、Alsaidi et al. (Synthesis; 11; 1980; 921 - 924)の変法に従い合成された。所望の産物7aは、76%の収率で取得された。
MS−ESI: 361 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 59.99% H 5.59% N 7.77%
測定: C 60.00% H 5.58% N 7.75%
【0159】
b) 2−[4−(2−テトラヒドロピラニルオキシ−エトキシ)−フェノキシ]−ピリジン−3−イルアミン(7b)の合成
所望の産物7b(526mg;1.6mmol)は、7a(722mg;2.0mmol)から、一般的な手順「L2」に従い取得された。
MS−ESI: 330 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 65.44% H 6.71% N 8.48%
測定: C 65.42% H 6.70% N 8.47%
【0160】
c) N−(2,5−ジメトキシベンジル)−N−(2−{4−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]フェノキシ}ピリジン−3−イル)プロパンアミド(7c)の合成
MS−ESI: 537 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 67.15% H 6.76% N 5.22%
測定: C 67.12% H 6.75% N 5.21%
所望の産物7c(436mg)は、7b(1.21mmol;400 mg)及び2,5−ジメトキシ−ベンズアルデヒド(Aldrich)から、無水酢酸ではなくプロピオン酸クロライドが使用される一般的手順「W」に従い取得された。該所望の産物は、67%の収率(0.81mmol)で取得された。
【0161】
d) N−(2,5−ジメトキシベンジル)−N−(2−{4−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]フェノキシ}ピリジン−3−イル)プロパンアミド(7d)の合成
所望の産物7dは、7c(350mg、0.65mmol)から、一般的な手順「Z」に従い、75%の収率(0.49mmol;221mg)で取得された。
MS−ESI: 453 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 66.36% H 6.24% N 6.19%
測定: C 66.36% H 6.24% N 6.19%
【0162】
e) 2−[4−({3−[(2,5−ジメトキシベンジル)(プロパノイル)アミノ]ピリジン−2−イル}オキシ)フェノキシ]エチル 4−メチルベンゼンスルホネート(7e)の合成
MS−ESI: 607 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 63.35% H 5.65% N 4.62%
測定: C 63.33% H 5.65% N 4.63%
所望の産物7e(0.26mmol;158 mg)は、7d(0.33mmol、150mg)から、一般的な手順Kに従い、75%の収率で取得された。
【0163】
f) N−(2,5−ジメトキシベンジル)−N−{2−[4−(2−[18F]フルオロエトキシ)フェノキシ]ピリジン−3−イル}プロパンアミド(7f)の合成
所望の産物(7f)は、(7e)から、一般的手順「B」に従い取得された。
【0164】
g) N−(2,5−ジメトキシベンジル)−N−{2−[4−(2−フルオロエトキシ)フェノキシ]ピリジン−3−イル}プロパンアミド(7g)の合成
所望の産物7g(48mg;0.106mmol)は、7f(0.156mmol;94 mg)から、一般的な手順「A」に従い、68%の収率で取得された。
MS−ESI: 455 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 66.07% H 5.99% N 6.16%
測定: C 66.07% H 5.99% N 6.16%
【0165】
生物学
本発明の目的は、従来技術のものと比較して改善された、18kDa移行タンパク質(TSPO)としても知られる末梢ベンゾジアゼピン受容体(PBR)を標的とするPET造影により活性化ミクログリアを検出するのに使用され得る、F−18ラベル化合物を見出すことであった。本発明のデータが実証するように、化合物[18F]−2d及び[18F]−5dは、驚くべきことに、既知のトレーサーの[18F]−FEDAA1106 (3)及び[18F]−DPA−714 (1.2)と比較して、カイニン酸が誘導したラットの脳の病変における、シグナル対バックグラウンドの比率の改善を示した。
【0166】
[18F]−2d及び[18F]−5dの生体内分布は、動物あたりそれぞれ0.264MBqの[18F]−2d及び0.268MBqの[18F]−5dを静脈内注射して、2、5、30、60及び180/240分後の、健康な雄のNMRIマウス(体重28.3〜35.6g、タイムポイントあたり3頭)において調査された。上記のタイムポイントにおいて、尿及び糞が定量的に回収された。各タイムポイントにおいて、前記マウスはサクリファイスされ、組織が抜き取られた。ガンマカウンターで、[18F]−放射能を解析した(表1.1、2.1及び1.2、2.2参照)。
【0167】
[18F]−2dは、[18F]−放射能の高度な初期の脳内取り込み(注射後2分時点で1.37±0.04%注射用量/g)、及び注射後30分で脳から約72%の放射能が除去されるという高度な初期の排除(0.37±0.04%注射用量/g;図1.1)を示し、2分/30分の比率は3.7であった(表3)。全体的に、血中及び脳内の放射線量は、調査期間にかけて減少した。無関係な骨への放射能の取り込みが検出された(180分時点で2.3%注射用量/g)。実質的な放射能は、構成的なPBRの発現が知られている器官(肺、心臓、副腎等)に蓄積した。
【0168】
観察される時間中の放射能の排出は、主に尿を介する(注射後180分時点で、尿では13.09±1.33%注射用量、糞では0.59±0.61%注射用量)(表1.1)。
【0169】
[18F]−5dは、[18F]−放射能の高度な初期の脳内取り込み(注射後2分時点で1.61±0.23%注射用量/g)、及び注射後30分で脳から約73%の放射能が除去されるという高度な初期の排除(0.44±0.15%注射用量/g;図1.2)を示し、2分/30分の比率は3.7であった(表3)。全体的に、血中及び脳内の放射線量は、調査期間にかけて減少した。無関係な骨への放射能の取り込みが検出された(240分時点で2.6%注射用量/g)。実質的な放射能は、構成的なPBRの発現が知られている器官(肺、心臓、副腎等)に蓄積した。
【0170】
観察される時間中の放射能の排出は、主に尿を介する(注射後240分時点で、尿では15.24±1.25%注射用量、糞では0.74±1.01%注射用量)(表1.2)。
【0171】
ラットのカイニン酸誘導てんかんモデル及びそれぞれの擬似対照を使用して、[18F]−2d及び[18F]−5dの蓄積をエクスビボで可視化した。手短に述べると、カイニン酸の腹腔内投与により、ラットにおいててんかんが誘導された。カイニン酸処理を開始してから8日後、[18F]−2d及び[18F]−5dを、ラットあたり25.8〜35.8MBq(約1.0μg)の用量で、ラット及びそれらの擬似処理対照(カイニン酸に代えてPBS)の尾の静脈に注射した。静脈注射の30分後、ラットをサクリファイスし、脳を摘出し、凍結させ、そしてクライオスタット中で横断薄片にした。該薄片を、PhosphoImagerプレートに一昼夜曝露した。得られたオートラジオグラフィーシグナルを、定性的及び定量的に解析した(図2.1A及びC、2.2A及びC)。曝露後、切片を、Ox−42抗体(抗CD11b/c)で免疫組織化学染色して、カイニン酸誘導性のミクログリア活性化を確認した(図2.1D及びH、2.2D及びH)。カイニン酸処理ラットのオートラジオグラフィーシグナルは、主に海馬部位に位置し、免疫組織化学シグナルと一致した(図2.1D〜E及び図2.2D〜E)。[18F]−2d及び[18F]−5dの結合の特異性を判定するために、各カイニン酸処理ラットに、[19F]−2e及び[19F]−5eを共注射した。これらのラットの各脳領域におけるオートラジオグラフィーシグナルは顕著に減少しており(図2.1B及び2.2B)、一方、ミクログリアの活性化が、Ox−42染色による脳切片において確認された(図2.1F〜G及び2.2F〜G)。擬似処理対照は、[18F]−2d or [18F]−5dの注射を受けたが、海馬又は構成的にPBRを発現する他のいずれかの脳の部位における顕著なオートラジオグラフィーシグナルを示さなかった(図2.1C及び2.2C)免疫組織化学により、活性化ミクログリアの欠如が確認された(図2.1H〜I及び2.2H〜I)。脳室内のオートラジオグラフィーシグナルは、上衣及び脈絡叢細胞のPBRの既知の構成的発現のためである。
【0172】
前記オートラジオグラフィーシグナルは、定量された。海馬の関心領域(ROI)のシグナル強度が測定され、参照領域として使用される小脳のROIと比較された。シグナル対バックグラウンドの比率は、海馬/小脳の比率(表3、図3)として表現され、これは、[18F]−FEDAA1106(1.2±0.2)及び[18F]−DPA−714(2.4±0.5)と比較して、5d(3.0±0.9)及び5e(5.6±1.8)において高かった。
【0173】
驚くべきことに、[18F]−2d及び[18F]−5dにより誘導されるシグナル対バックグラウンドの比率、及びそれらの脳からの除去は、[18F]−FEDAA1106(3)及び[18F]−DPA−714(1.2)等の既知の物質よりも優れており(表3)、一方、4つの化合物のいずれも、CBR(中枢ジアゼピン受容体)とは結合しない、高親和性のPBRリガンドである(表4)。
【0174】
表1.1:正常マウスにおける[18F]−2d注射後の尿及び糞を介しての[18F]−放射能の排出を、ガンマカウンターで検出し、%注射用量で表した。
【表1.1】
【0175】
表1.2:正常マウスにおける[18F]−5d注射後の尿及び糞を介しての[18F]−放射能の排出を、ガンマカウンターで検出し、%注射用量で表した。
【表1.2】
【0176】
表2.1:正常マウスにおける[18F]−2d注射後の、異なるタイムポイントにおける[18F]−放射能の生体内分布を、各組織においてガンマカウンターで検出し、%注射用量で表した(タイムポイントあたりn=3)。該異なる組織におけるトレーサーの取り込みは、PBRの既知の局所的な構成的発現と一致している。
【表2.1】
【0177】
表2.2:正常マウスにおける[18F]−5d注射後の、異なるタイムポイントにおける[18F]−放射能の生体内分布を、各組織においてガンマカウンターで検出し、%注射用量で表した(タイムポイントあたりn=3)。該異なる組織におけるトレーサーの取り込みは、PBRの既知の局所的な構成的発現と一致している。
【表2.2】
【0178】
表3:[18F]−2d、[18F]−5d、[18F]−FEDAA1106(3)及び[18F]−DPA−714(1.2)の様々なパラメーターを比較した。
【表3】
【0179】
表4:[19F]−2e、[19F]−5e、[19F]−FEDAA1106及び[19F]−DPA−714の様々なパラメーターを比較した。
【表4】
【0180】
特に、本発明は、以下のものに関する。
【0181】
1.
式I
【化42】
[式中、
R1及びR2は、独立して、そして個別に、その都度、(G3)アリール、置換(G3)アリール、(G3−(C1−C8)アルキル)アリール、(G3−(C1−C8)アルコキシ)アリール、(G3−(C2−C8)アルキニル)アリール、(G3−(C2−C8)アルケニル)アリール、置換(G3−(C1−C8)アルキル)アリール、置換(G3−(C1−C8)アルコキシ)アリール、置換(G3−(C2−C8)アルキニル)アリール、及び置換(G3−(C2−C8)アルケニル)アリールからなる群から選択され;
G1、G2及びG3は、独立して、そして個別に、その都度、水素及びLからなる群から選択され、
但し、式Iの化合物は必ず1つのLを含み;
Lは、R3、[18F]フルオロ及び[19F]フルオロからなる群から選択され;
R3は離脱基であり;
ここでnは0〜6の整数である]
の化合物、該化合物の全ての立体異性体、例えば、例えば、限定されないが該化合物のエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びにラセミ混合物等、並びにそれらの医薬として許容される塩、エステル、アミド、複合体又はプロドラッグ。
【0182】
2.
R3は、−I+(アリール)(X−)、−I+(ヘテロアリール)(X−)、ニトロ、−N+(Me)3(X−)、ハロ、具体的にはクロロ、ブロモ及びヨード、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ、ノナ−フルオロブチルスルホニルオキシ、(4−ブロモ−フェニル)スルホニルオキシ、(4−ニトロ−フェニル)スルホニルオキシ、(2−ニトロ−フェニル)スルホニルオキシ、(4−イソプロピル−フェニル)スルホニルオキシ、(2,4,6−トリ−イソプロピル−フェニル)スルホニルオキシ、(2,4,6−トリメチル−フェニル)スルホニルオキシ、(4−tertブチル−フェニル)スルホニルオキシ、及び(4−メトキシ−フェニル)スルホニルオキシからなる群から選択される、カウント1に記載の化合物。
【0183】
3.
X−が、無機酸のアニオン及び有機酸のアニオンからなる群から選択される、カウント2に記載の化合物。
【0184】
4.
X−が、CF−3S(O)2O−、C4F−9S(O)2O−、CF3COO−、H3CCOO−、ヨウ化物アニオン、シュウ化物アニオン、塩化物アニオン、過塩素酸アニオン(ClO4−)、及びリン酸アニオンからなる群から選択される、カウント3のいずれかの化合物。
【0185】
5.
【化43】
【化44】
【化45】
【化46】
【化47】
からなる群から選択される、カウント1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【0186】
6.
【化48】
で表される化合物。
【0187】
7.
【化49】
で表される化合物。
【0188】
8.
Lがフルオロではない、特に[18F]フルオロ及び[19F]フルオロではない、カウント1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【0189】
9.
Lが[18F]フルオロである、カウント1〜4のいずれか1項に記載の化合物、又は、メシルオキシ基及びトシルオキシ基が[18F]フルオロで置換されている、カウント5、6若しくは7のいずれか1項に記載の化合物。
【0190】
10.
Lが[19F]フルオロである、カウント1〜4のいずれか1項に記載の化合物、又は、メシルオキシ基及びトシルオキシ基が[19F]フルオロで置換されている、カウント5、6若しくは7のいずれか1項に記載の化合物。
【0191】
11.
カウント1〜8のいずれか1項に記載の化合物をF−フッ素化剤と反応させ、ここでF=18F又は19Fである、カウント9又は10に記載の化合物を合成する方法。
【0192】
12.
F−フッ素化剤が、F−アニオン、好ましくは、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]−ヘキサコサンKF、即ちクラウンエーテル塩、Kryptofix KF、KF、HF、KHF2、CsF、NaF及びFのテトラアルキルアンモニウム塩、例えば[18F]テトラブチルフッ化アンモニウム等からなる化合物であり、ここでF=18F又は19Fである、カウント11に記載の方法。
【0193】
13.
式VI
【化50】
[式中、
R10は、(C1−C6)アルキル及び水素からなる群から選択され;
R16は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択され;
A3及びA4は、同一又は異なるもので、そして(R12)(R4)(R5)フェニルの構造をとり;
R12は、R13及び水素からなる群から選択され;
R13はヒドロキシであり;
但し、式VIの化合物は、必ず1つのR13を含み;
R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択される]
の化合物、該化合物の全ての立体異性体、例えば、限定されないが該化合物のエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びにラセミ混合物等、並びにそれらの医薬として許容される塩、エステル、アミド、複合体又はプロドラッグ。
【0194】
14.
以下の工程:
−F−フッ素化剤を用いて式V
【化51】
の化合物をF−フッ素化して、式IV
【化52】
の化合物を取得する工程、
−式IVの化合物を、式VI
【化53】
の化合物で置換する工程
からなり、ここで、
式IVのFは[18F]フルオロ又は[19F]フルオロであり、
aは0〜5の整数であり、
Bは離脱基であり、
R10は(C1−C6)アルキル及び水素からなる群から選択され;
R16は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択され;
A3及びA4は、同一又は異なるもので、そして(R12)(R4)(R5)フェニルの構造をとり;
R12は、R13及び水素からなる群から選択され;
R13はヒドロキシであり、
但し、式VIの化合物は、必ず1つのR13を含み;
R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択される]
の化合物、該化合物の全ての立体異性体、例えば、限定されないが該化合物のエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びにラセミ混合物等、並びにそれらの医薬として許容される塩、エステル、アミド、複合体又はプロドラッグであり、
そして、
該F−フッ素化剤はカウント10に記載のものであり、
そしてF=18F又は19Fであり、
但し、式VIの化合物は、必ず1つのR13を含む、
カウント9又はカウント10のいずれかに記載の化合物の合成方法。
【0195】
15.
Bが、ヨード、ブロモ、クロロ、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ、及びノナ−フルオロブチルスルホニルオキシからなる群から選択される、カウント14に記載の方法。
【0196】
16.
カウント1〜10及び13のいずれか1項に記載の化合物、並びに医薬として許容される担体又は希釈剤からなる組成物。
【0197】
17.
前記化合物がカウント9の化合物である、カウント16の組成物。
【0198】
18.
前記化合物がカウント10の化合物である、カウント16の組成物。
【0199】
19.
前記化合物がカウント8の化合物である、カウント16の組成物。
【0200】
20.
前記化合物がカウント13の化合物である、カウント16の組成物。
【0201】
21.
医薬又若しくは診断剤、又は造影剤としての、カウント1〜10のいずれか1項に記載の化合物、好ましくはカウント8若しくは9、31若しくは32のいずれか1項に記載の化合物、又はカウント16、17、18、19、20又は36のいずれか1項に記載の組成物。
【0202】
22.
中枢神経系(CNS)の疾患を処置及び/又は診断及び/又は造影する医薬品を製造するための、カウント1〜10のいずれか1項に記載の化合物、好ましくはカウント9、10、31若しくは32のいずれか1項に記載の化合物、又はカウント16、17、18、19又は20のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【0203】
23.
特に中枢神経系の疾患用の診断剤又は造影剤として使用する、カウント9、31若しくは32の化合物、又はカウント17若しくは36の組成物。
【0204】
24.
所定の量の、
a)カウント5又はカウント8、
b)カウント13、又は
b)カウント14〜15のいずれかに定義された式V及びVI
の化合物を含む、密閉バイアルからなるキット。
【0205】
25.
好ましくは患者の中枢神経系の疾患を造影するための、患者の体内の末梢ベンゾジアゼピン受容体(移行タンパク質)の存在を検出する方法であり:
患者の体内に、検出可能な量の、カウント9、32、又は33のいずれか1項に記載の化合物、又はカウント17又は36のいずれかに記載の組成物を導入する工程、
及び陽電子放出断層撮影(PET)により、該化合物又は組成物を検出する工程
からなる、前記方法。
【0206】
好ましくは、前記中枢神経系の疾患は、アルツハイマー症、認知症、多発性硬化症、及び筋萎縮性側索硬化症である。
【0207】
26.
中枢神経系の疾患を処置する方法であり、適量の、カウント1〜10及び13のいずれか1項に記載の化合物、好ましくはカウント9又は10のいずれかに記載の化合物を、患者に導入する工程からなる、前記方法。
【0208】
好ましい中枢神経系の疾患は、アルツハイマー症、認知症、多発性硬化症、及び筋萎縮性側索硬化症である。
【0209】
27.
神経変性疾患の処置に有用な治療剤の患者に対する治療効果をモニタリングする方法であり、該薬剤で処理された患者を、カウント9、32又は33のいずれか1項に記載の化合物を使用して造影することによる、前記方法。
【0210】
前記造影の方法は、好ましくはPETである。
【0211】
神経変性疾患を有する哺乳類における治療に対する応答をモニタリングする方法であり、以下の工程
a) カウント9、32又は33のいずれか1項に記載の放射性ラベル末梢ベンゾジアゼピン受容体リガンドを使用して哺乳類を造影する工程、
b) 治療を必要とする哺乳類に、神経変性疾患の治療に適した1つ以上の薬剤を投与する工程、
c) 工程b)の哺乳類を、a)の化合物を使用して造影する工程、
d) 放射性ラベル末梢ベンゾジアゼピン受容体リガンドにより取得されたシグナルを使用してCNSの神経炎症のレベルを比較する工程
を含む、前記方法。
【0212】
29.
工程a)、b)及び/又はc)が必要に応じて繰り返される、カウント25に記載の方法。
【0213】
カウント26〜28に記載の神経変性疾患は、好ましくは、アルツハイマー症、認知症、多発性硬化症、及び筋萎縮性側索硬化症からなる疾患の群から選択される。
【0214】
18Fがヨード(I−123等)で置換された、カウント9、32又は33のいずれか1項に記載の化合物、及び関連する誘導体。これらの化合物は、SPECTアプリケーション用の造影剤として適切である。
【0215】
31.
カウント27に記載の化合物の、SPECTアプリケーションにおける使用。
【0216】
32.
以下の構造
【化54】
を有する、カウント9に記載の化合物。
【0217】
33.
以下の構造
【化55】
を有する、カウント9に記載の化合物。
【0218】
34.
診断用化合物としての、カウント32及び33のいずれかに記載の化合物。
【0219】
35.
アルツハイマー症のPET造影に有用な診断用化合物としての、カウント32及び33のいずれかに記載の化合物。
【0220】
カウント32及び33のいずれかに記載の化合物を含む、医薬用又は診断用組成物。
【0221】
アルツハイマー症のPET造影用の、カウント36に記載の診断用組成物。
【0222】
カウント32又は33のいずれかに記載の化合物を含む、密封バイアルを備えたキット。
【0223】
39.
カウント9に記載の化合物を含む、医薬用又は診断用組成物。
【0224】
40.
PET造影用のカウント9に記載の化合物を含む、診断用組成物。
【0225】
41.
神経又はCNS疾患の造影用の、カウント40に記載の診断用組成物。
【0226】
42.
前記疾患がアルツハイマー症である、カウント41に記載の診断用組成物。
【0227】
43.
適切な前駆分子を、F−18フッ素化剤と反応させる工程を含む、カウント32又は33のいずれかに記載の化合物を合成する方法。
【0228】
44.
以下の式
【化56】
を有する化合物を、F−18フッ素化剤でフッ素化する工程を含む、カウント33に記載の化合物を合成する方法。
【0229】
更に、カウント9、10、31若しくは32に記載の化合物、又はカウント17若しくは36に記載の組成物は、関節リウマチの診断に有用である。好ましい態様において、関節リウマチの診断方法は、PET造影である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、18Fでラベルされるのに適した、若しくは既にラベルされた新規化合物、そのような化合物の調製方法、そのような化合物を含む組成物、そのような化合物を含むキット、又は陽電子放出断層撮影(PET)による治療用及び診断用造影のための組成物若しくはキットに関する。
【背景技術】
【0002】
分子造影は、腫瘍学、神経学及び心臓学において、大半の公知の方法よりも迅速に、疾患の進行又は治療の有効性を検出することを可能とする。光学造影、MRI、SPECT及びPET等の、これまでに開発された有望な分子造影技術の中で、PETは、検出感度の高さ及び定量的かつ動力学的データを提供する能力から、薬物開発において特に注目されている。
【0003】
例えば、陽子を放出する同位体として、炭素、ヨウ素、フッ素、窒素及び酸素が挙げられる。これらの同位体で標的化合物中の非放射性の対応原子を置き換えることで、生物学的に機能するトレーサーが形成され、かつ、該トレーサーは、PET造影用の本来の分子と化学的に同一である。これらの同位体の中で、18Fは、半減期が比較的長い(111分)ため、診断用トレーサーの調製及びその後の生化学的プロセスの研究が可能な点で、便利なラベル用同位体である。加えて、β+エネルギーが低い(634keV)点も有利である。
【0004】
吸核芳香族及び脂肪族[18F]−フルオロ−フッ素化反応は、固形腫瘍又は脳の疾患等の疾患を標的とする、及び可視化する、インビボ造影剤(imaging agent)として使用される、[18F]−フルオロ−ラベル放射性医薬品において、非常に重要である。[18F]−フルオロ−ラベル放射性医薬品を使用する際の非常に重要な技術的目標は、放射活性化合物の迅速な調製及び投与である。なぜなら、18F同位体の半減期は僅か111分だからである。
【0005】
F−18を芳香環に導入する、幾つかの方法が知られている(Coenen, Fluorine−18 Labeling Methods: Features and Possibilities of Basic Reactions, (2006), in: Schubiger P.A., Friebe M., Lehmann L., (eds), PET−Chemistry − The Driving Force in Molecular Imaging. Springer, Berlin Heidelberg, pp.15−50)。後の発見の1つは、ヨードニウム離脱基を[18F]フッ化物で置換することである。例えばWO2005061415(A1)、WO2005097713(A1)、WO2007010534(A2)、WO2007073200(A1)及びWO2007141529(A1)等と比較されたい。
【0006】
末梢ベンゾジアゼピン受容体(PBR)は、大半の器官において発現しており、その発現は、中枢神経系の免疫細胞として作用する、グリア細胞の最小の種類である、脳内の活性化ミクログリアにおいて増大していることが報告されている。ミクログリアは、マクロファージ及び樹状細胞等の他の食細胞と、関連性を有する。ミクログリアは、神経系の保護において非常に重要な役割を有する高機動性の細胞と考えられている。また、それらは、アルツハイマー症、認知症、多発性硬化症及び筋萎縮性側索硬化症等の神経変性疾患において一定の役割を果たすとも考えられている。ミクログリアは、損傷に対する炎症反応の発生に関与する(J. Neuroinflammation, 2004, Jul 30;1(1):14.)。
【0007】
有用なCNS−PETトレーサーの設計において、脳内での薬物動態を最適にすることは、1つの重要な目的である。故に、PETリガンドは、脳内に迅速に充分な量が流入するべきである。そして、これらの分子の多くが、標的と固く結合するべきである。続いて、シグナル対バックグラウンドの比率を高めるために、結合しなかった分子は、周囲の領域から排除される(脳から「洗い出される」)べきである。
【0008】
PK11195のC−11同位体ラベルバージョン(1a)は、神経炎症及びPBRのインビボ造影に広く使用されているが、脳内でのシグナルの強度は、安定かつ定量的な解析をするのに充分ではなかった。
【化1】
【0009】
更に、[18F]DPA714(1.2)、[11C]DAA1106(2)(例えばEur J Pharmacol. 1999 Apr 29;371(2−3):197−204及びLife Sci. 1999;64(16):1455−64)、並びに[18F]フルオロエチル−DAA1106(3)(例えばJ. Nucl. Med., (2006), 47, 43−50)等の、PBRの可視化用の優れた陽子放出リガンドの開発が可能なことが示されている。2及び3の化合物は、[11C]PK11195(1.1a)と比較して、PBRに対する高度な結合親和性、及び高度な脳内蓄積能力を有する。
【化2】
【0010】
化合物2の非放射性のバージョンは、WO99/006353に関連するパテントファミリーの権利範囲に属し、一方、化合物3は、US 6,870,069に関連するパテントファミリーの権利範囲に属する。
【0011】
近年、[F−18]及び[C−11]ラベルPBRリガンドが発表され、[18F]FEPPAと称され、それぞれ(4)及び(5)の式で表される(Nuclear Medicine and Biology, 35, (2008), 305−314 and J. Med. Chem. (2008), 51, 17−30, respectively)。「[18F]−FEPPA[化合物4]は、強力な脳内取り込み[標準取り込み値(SUV)が5分で0.6]及び緩慢な洗い出し(60分経過後のSUVが0.35)を示した」(Nuclear Medicine and Biology, 35, (2008)から引用)。故に、化合物4を用いることで、シグナル対ノイズの比率が比較的小さいイメージを取得できる。
【化3】
【0012】
それらの誘導体も、特許出願WO2007/060157及び関連するパテントファミリーのメンバーの範囲内にある。
【0013】
PBR受容体のレベルの増大に応じて進行する疾患を撮像できる、新規F−18ラベル化合物及び方法を創作すること、特に、容易に実現可能で、かつ充分なシグナル対バックグラウンド比で一定のレベルのPBR受容体を撮像出来る、利用可能な造影剤及び方法の創作が望ましい。この課題は、以下の発明により解決される(図1と比較されたい)。
【0014】
本発明は、式Iの新規化合物を提供する。これらの式Iの化合物が18F−ラベル若しくは19F−ラベルされていないが、その代わりに適切な離脱基を含む場合は、それらは、式Iの18F−ラベル若しくは19F−ラベル化合物の合成用の出発材料である。式Iの19F−ラベル化合物は、式Iの18F−ラベル化合物に至る合成の標準参照化合物(同定ツール及び品質チェック用)である。下記の、適切な離脱基を含み18F又は19Fを含まない式Iの化合物も、「式Iを有する前駆化合物」と称される。更に、適切な離脱基を有さず、19Fを有する式Iの化合物も、「式Iを有する19F標準参照化合物」と称される。更に、適切な離脱基を有さず、18Fを有する式Iの化合物も、「式Iの18F標準参照化合物」と称される。
【0015】
本発明は、更に、疾患を造影する方法を提供し、該方法は、患者の体内に、検出可能な量の、式Iの18F−ラベル化合物、又はその医薬として許容される塩、エステル、アミド又はプロドラッグを導入する工程を含む。
【0016】
また、本発明は、医薬として使用される、式Iの18F−ラベル又は19F−ラベル化合物を提供する。
【0017】
また、本発明は、式Iの放射性ラベル化合物、好ましくは18F−ラベル化合物、及び医薬として許容される担体又は希釈剤を含む、診断用組成物を提供する。
【0018】
本発明の他の側面は、式Iの化合物の、特に式Iの18F−又は19F−ラベル化合物の、医薬品を製造するための使用に関する。
【0019】
また、本発明は、式Iを有する前駆化合物から、式Iの18F−ラベル化合物を合成するプロセスを提供する。
【0020】
また、本発明は、式Iを有する前駆化合物から、式Iの19F−ラベル化合物を合成するプロセスを提供する。
【0021】
本発明は、式VIの新規化合物を提供する。これらの化合物は、式IVの化合物を式VIの化合物と反応させることにより式Iの化合物に至ることから、前駆化合物と見做される。式IVの化合物は、式Vの化合物18F−又は19F−フッ化することにより生産され得る。
【0022】
また、本発明は、式IVの化合物を式VIの化合物と反応させることにより式Iの18F−ラベル化合物を合成するプロセスを提供する。式IVの化合物は、式Vの化合物18F−又は19F−フッ素化することにより生産され得る。
【0023】
また、本発明は、放射線医薬的製剤を調製するキットを提供し、該キットは、所定の量の
式Iを有する前駆化合物、又は
式V及びVIの化合物
を含む密閉バイアルを備える。
【0024】
また、本発明は、疾患を造影するキットを提供する。より具体的には、本発明の化合物は、限定的ではないが、炎症性及び自己免疫性、アレルギー性、感染性並びに毒素誘発性及び虚血誘発性疾患、病態生理学的な関連性を有する薬剤誘発性の炎症、神経炎症性、神経変性疾患等の、CNS疾患の造影に有用である。他の態様において、本発明の化合物は、組織、特に腫瘍の造影に有用である。炎症性及び自己免疫性疾患の例として、慢性炎症性腸疾患(炎症性大腸炎、クローン病、潰瘍性大腸炎)、関節炎、アテローム、アテローム性動脈硬化、炎症性心筋炎、天疱瘡、喘息、多発性硬化症、糖尿病、I型インスリン依存性糖尿病、関節リウマチ、紅斑性狼瘡、及び他の膠原線維症(collagenoses)、グレーブス病、橋本病、「移植片対宿主病」、及び移植拒絶等が挙げられる。アレルギー性、炎症性、並びに毒素誘発性及び虚血誘発性の疾患の例として:サルコイドーシス、喘息、過敏性肺炎、敗血症、敗血性ショック、内毒素性ショック、毒素性ショック症候群、毒素性肝不全、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)、子癇、悪液質、急性ウイルス感染(単核球症、劇症肝炎等)、及び再かん流後臓器障害等が挙げられる。病態生理学的な関連性を有する薬剤誘発性の炎症の例として、OKT3等の抗T細胞抗体の投与後の、「第一投与応答(first dose response)」が挙げられる。全身性炎症応答の例として、今のところ起源が不明であるが、子癇が挙げられる。PBR制御に関連する神経変性疾患及び神経炎症性疾患の例として、認知症、AIDS認知症、筋萎縮性側索硬化症、脳炎、神経障害痛、クロイツフェルトヤコブ病、ダウン症候群、びまん性レヴィー小体病、ハンチントン病、白質脳症、脳症、敗血症性脳症、肝性脳症、多発性硬化症、パーキンソン病、ピック病、アルツハイマー症、前頭側頭認知症、海馬硬化症、神経嚢虫症、てんかん、脳卒中、虚血、脳腫瘍、欝、統合失調症、薬物乱用等が挙げられる。故に、本発明は、これらの疾患を診断するための、並びに治療及び治療のモニタリングを層別化するための、造影化合物の使用にも関する。
【0025】
好ましい態様において、本発明の化合物は、多発性硬化症、アルツハイマー症、前頭側頭認知症、レヴィー小体を生じる認知症、白質脳症、てんかん、神経障害痛、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、脳症、脳腫瘍、欝、薬物乱用、慢性炎症性腸疾患、アテローム、アテローム性動脈硬化、関節炎、関節リウマチ、薬理誘発性炎症、起源不明の全身性炎症の造影に有用である。
【0026】
より好ましい態様において、本発明の化合物は、多発性硬化症、アルツハイマー症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、白質脳症、脳症、脳腫瘍、薬物乱用、慢性炎症性腸疾患、アテローム、関節リウマチ、薬理誘発性炎症、起源不明の全身性炎症の造影に有用である。
【0027】
JP 2000−001476において、本明細書中に開示のものと類似の化合物及び疾患を処置するためのそれらの使用が記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0028】
第一の側面において、本発明は、式I
【化4】
[式中、
R1及びR2は、独立して、そして個別に、その都度、(G3)アリール、置換(G3)アリール、(G3−(C1−C8)アルキル)アリール、(G3−(C1−C8)アルコキシ)アリール、(G3−(C2−C8)アルキニル)アリール、(G3−(C2−C8)アルケニル)アリール、置換(G3−(C1−C8)アルキル)アリール、置換(G3−(C1−C8)アルコキシ)アリール、置換(G3−(C2−C8)アルキニル)アリール、及び置換(G3−(C2−C8)アルケニル)アリールアリールからなる群から選択され;
G1、G2及びG3は、独立して、そして個別に、その都度、水素及びLからなる群から選択され、
但し、式Iの化合物は必ず1つのLを含み;
Lは、R3、[18F]フルオロ及び[19F]フルオロからなる群から選択され;
R3は離脱基であり;
R6は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択され;
ここでnは0〜6、好ましくは0〜2、より好ましくは0〜1の整数、なおもより好ましくは1である]
の化合物、該化合物の全ての立体異性体、例えば、限定されないが該化合物のエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びにラセミ混合物等、並びにそれらの医薬として許容される塩、エステル、アミド、複合体又はプロドラッグに関する。
【0029】
好ましい態様において、式IのR1及びR2は、独立して、そして個別に、その都度、(G3)フェニル、(G3−(C1−C5)アルキル)フェニル、(G3−(C1−C5)アルコキシ)フェニル、(G3−(C2−C5)アルキニル)フェニル、(G3−(C2−C5)アルケニル)フェニル、置換(G3)フェニル、置換(G3−(C1−C5)アルキル)フェニル、置換(G3−(C1−C5)アルコキシ)フェニル、置換(G3−(C2−C5)アルキニル)フェニル及び置換(G3−(C2−C5)アルケニル)フェニルから選択され;
より好ましい態様において、式IのR1及びR2は、独立して、そして個別に、その都度、(R4)(R5)(G3)フェニル、(R4)(R5)(G3−(C1−C4)アルキル)フェニル、(R4)(R5)(G3−(C1−C4)アルコキシ)フェニル、(R4)(R5)(G3−(C2−C4)アルケニル)フェニル及び(R4)(R5)(G3−(C2−C4)アルキニル)フェニルからなる群から選択され;
なおもより好ましい態様において、式IのR1及びR2は、独立して、そして個別に、その都度、(R4)(R5)(G3)フェニル、(R4)(R5)(G3−(C2−C3)アルキル)フェニル及び(R4)(R5)(G3−(C2−C3)アルコキシ)フェニルからなる群から選択され;
最も好ましい態様において、式IのR1及びR2は、独立して、そして個別に、その都度、(R4)(R5)(G3)フェニル及び(R4)(R5)(G3−(C2−C3)アルコキシ)フェニルからなる群から選択され;
ここで、R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択され;
好ましい態様において、R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、フルオロ、クロロ、メチル、メトキシ及びトリフルオロメチルからなる群から選択され;
なおもより好ましい態様において、R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、フルオロ、メチル、及びメトキシからなる群から選択され;
好ましい態様において、R6は、水素、フルオロ、クロロ、メチル、メトキシ及びトリフルオロメチルからなる群から選択され;
より好ましい態様において、R6は、水素、フルオロ、クロロ及びメチルからなる群から選択され;
なおもより好ましい態様において、R6は、水素及びクロロからなる群から選択され;
最も好ましい態様において、R6は水素であり;
一つの態様において、Lは[18F]フルオロであり;
一つの態様において、Lは[19F]フルオロであり;
一つの態様において、LはR3であり;
好ましい態様において、R3は、−I+(アリール)(X−)、−I+(ヘテロアリール)(X−)、ニトロ、−N+(Me)3(X−)、ハロ、特にクロロ、ブロモ及びヨード、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ、ノナ−フルオロブチルスルホニルオキシ、(4−ブロモ−フェニル)スルホニルオキシ、(4−ニトロ−フェニル)スルホニルオキシ、(2−ニトロ−フェニル)スルホニルオキシ、(4−イソプロピル−フェニル)スルホニルオキシ、(2,4,6−トリ−イソプロピル−フェニル)スルホニルオキシ、(2,4,6−トリメチル−フェニル)スルホニルオキシ、(4−tertブチル−フェニル)スルホニルオキシ及び(4−メトキシ−フェニル)スルホニルオキシからなる群から選択され;
より好ましい態様において、R3は、−N+(Me)3(X−)、ハロ、特にクロロ、ブロモ及びヨード、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ、ノナ−フルオロブチルスルホニルオキシ、(4−ブロモ−フェニル)スルホニルオキシ、(4−ニトロ−フェニル)スルホニルオキシ、(2−ニトロ−フェニル)スルホニルオキシ、(4−イソプロピル−フェニル)スルホニルオキシ、(2,4,6−トリ−イソプロピル−フェニル)スルホニルオキシ、(2,4,6−トリメチル−フェニル)スルホニルオキシ、(4−tertブチル−フェニル)スルホニルオキシ、及び(4−メトキシ−フェニル)スルホニルオキシからなる群から選択され;
なおもより好ましい態様において、R3は、−ニトロ、−N+(Me)3(X−)、クロロ、ブロモ、メシルオキシ及びトシルオキシからなる群から選択され;
ここで、X−は、無機酸のアニオン及び有機酸のアニオンからなる群から選択され;
好ましい態様において、X−は、CF−3S(O)2O−、C4F−9S(O)2O−、CF3COO−、H3CCOO−、ヨウ化物アニオン、臭化物アニオン、塩化物アニオン、過塩素酸アニオン(ClO4−)、及びリン酸アニオンからなる群から選択され;
なおもより好ましい態様において、X−は、CF−3S(O)2O−、C4F−9S(O)2O−、ヨウ化物アニオン、臭化物アニオン及びCF3COO−からなる群から選択される。
【0030】
本明細書中で使用されるとき、「無機酸又は有機酸のアニオン」という用語は、限定されないが:炭酸、硝酸若しくは硫酸、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、リン酸、過塩素酸等の鉱酸の対応する塩基(corresponding base)、又は限定されないが:脂肪族、環式脂肪族、芳香族、芳香脂肪族(araliphatic)及び複素環式カルボン酸及びスルホン酸、例えば蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、ピルビン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、フマル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデリン酸、エンボン(embonic)酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホン酸、及びスルファニル酸等の適切な有機酸の対応する塩基を指す。
【0031】
本明細書中で使用される「対応する塩基」という用語は、酸が、プロトンが供与された後に解離している状態を意味する。
【0032】
一般式Iの一つの態様において、LはR3であり;これらは、前述の「前駆化合物」である。
【0033】
好ましい「式Iを有する前駆化合物」として、以下のものが挙げられる。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【0034】
一般式Iの他の態様において、Lは[18F]フルオロであり、これらは、式Iを有する18F−ラベル化合物である。
【0035】
好ましい「式Iを有するF−18ラベル化合物」として、以下のものが挙げられる。
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【0036】
一般式Iの更なる他の態様において、Lは[19F]フルオロであり、これらは、前述の「式Iを有する標準参照化合物」である。
【0037】
好ましい「式Iを有する標準参照化合物」として、以下のものが挙げられる。
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【0038】
R3は、公知の、又は当業者にとって明らかな離脱基であり、限定されないが、Synthesis (1982), p. 85−125, table 2 (p. 86;(table 2の最後の記載「n−C4H9S(O)2−O− nonaflat」は、「n−C4F9S(O)2−O− nonaflat」とする必要がある)、Carey and Sundberg, Organische Synthese, (1995), page 279−281, table 5.8;又はNetscher, Recent Res. Dev. Org. Chem., 2003, 7, 71−83, scheme 1, 2, 10及び15等)に記載され、又は名付けられたものから採用される。(Coenen, Fluorine−18 Labeling Methods: Features and Possibilities of Basic Reactions, (2006), in: Schubiger P.A., Friebe M., Lehmann L., (eds), PET−Chemistry − The Driving Force in Molecular Imaging. Springer, Berlin Heidelberg, pp.15−50, 特に: scheme 4 pp. 25, scheme 5 pp 28, table 4 pp 30, Fig 7 pp 33)。
【0039】
本明細書中のどこであっても、「アリール」、「ヘテロアリール」、又は芳香族系を指す他の用語が使用され、これらの用語が、1つ以上の適切な置換基、例えば水素、ハロ、(C1−C6)アルキル、CF3、CN、(C1−C6)アルケニル、(C1−C6)アルキニル、(C1−C6)アルコキシ、NH2、NO2、S(O)2OH、−S(O)2NH2等で置換された芳香族系をも含むことは、明らかである。
【0040】
本明細書中で、単独で、又は他の基の一部として使用される「アリール」という用語は、環の部分に6〜12個の、好ましくは6〜10個の炭素を含む単環式又は二環式芳香族基であり、例えばフェニル、ナフチル又はテトラヒドロナフチル等を指し、それら自体が、独立して、そして個別に、ハロ、ニトロ、((C1−C6)アルキル)カルボニル、シアノ、ニトリル、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、((C1−C6)アルキル)−スルホニル、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ及び((C1−C6))アルキルスルファニルを含む群から選択される1つ、2つ又は3つの置換基で置換される場合がある。上記のように、そのような「アリール」は、追加的に、1つ又は幾つかの置換基で置換される場合もある。
【0041】
本明細書中で使用されるとき、「ヘテロアリール」という用語は、5〜14個の環原子を有し;環配列(cyclic array)中で6、10又は14個のπ(パイ)電子を共有し;そして炭素原子(ハロ、ニトロ、(C1−C6)カルボニル、シアノ、ニトリル、トリフルオロメチル、(C1−C6)スルホニル、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ又は(C1−C6)スルファニルで置換され得る)及び1,2,3又は4個の酸素、窒素又は硫黄ヘテロ原子を有する基を指す(ヘテロアリール基の例として、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3−b]チエニル、チアントレニル、フリル、フラニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾキサゾリル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチイニル、2H−ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キナゾリニル、シンノリニル(cinnolinyl)、プテリジニル、4aH−カルバゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、フェナンツリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナンツロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソキサゾリル、フラザニル及びフェノキサジニル基等が挙げられる)。
【0042】
ヘテロアリールは、独立して、そして個別に、ハロ、ニトロ、((C1−C6)アルキル)カルボニル、シアノ、ニトリル、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、((C1−C6)アルキル)スルホニル、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルケニル、(C1−C6)アルキニル、(C1−C6)アルコキシ及び(C1−C6)スルファニルからなる群から選択される1つ、2つ又は3つの置換基で置換されてもよい。上記のように、そのような「ヘテロアリール」は、追加的に、1つ又は幾つかの置換基で置換される場合もある。
【0043】
以下、本願明細書及び特許請求の範囲の記載で、単独で、又は他の基の一部として使用される「アルキル」という用語は、1〜10個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基を指し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘプチル、ヘキシル、デシル等が挙げられる。また、アルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C1−C4アルコキシ基又はC6−C12アリール基(それらが1〜3個のハロゲン原子等で置換される場合もある)等で置換される場合もある。より好ましくは、アルキルは、C1−C10アルキル、C1−C6アルキル又はC1−C4アルキルである。
【0044】
以下、本願明細書及び特許請求の範囲の記載で、「アルケニル」及び「アルキニル」の用語は、1つ以上の二重結合又は三重結合をそれぞれ有している点を除き、アルキルと同様に定義される。
【0045】
以下、本願明細書及び特許請求の範囲の記載で、「アルコキシ(又はアルキルオキシ)」という用語は、酸素原子が連結されたアルキル基を指す。アルキル部分は、上記で定義した通りである。
【0046】
以下、本願明細書及び特許請求の範囲の記載で、上記で定義された、及び置換基「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」及び「アルコキシ」の部分である置換基G3は、対応する置換基「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」及び「アルコキシ」のいずれかの炭素に結合する。故に、例えば、「(G3−(C1−C8)アルコキシ)アリール」という用語は、(G3−CH-2−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−O−)アリール、(CH−3−CH2−CH2−CH(G3)−CH2−CH2−CH2−CH2−O−)アリール及び(CH(−CH2−CH2−G3)(−CH2−CH3)−CH2−CH2−CH2−O−)アリール等の異なる位置異性の可能性を含む。
【0047】
「置換」という用語が使用されるとき、これは、「置換された」を使用する表現において指示される原子上の1つ以上の水素が、指示される基のいずれかで置き換えられることを意味し、但し、該指示される原子の通常の原子価は超えず、そして、該置換は、化学的に安定な化合物、即ち反応混合物から有用な純度に精製するための単離、及び医薬組成物への製剤化に生き残るのに充分な強度を有する化合物をもたらす。置換基は、ハロゲン原子(フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード)、ヒドロキシル基、−SO3H、ニトロ、((C1−C6)アルキル)カルボニル、シアノ、ニトリル、トリフルオロメチル、((C1−C6)アルキル)スルホニル、(C1−C6)アルキル、(C2−C6)アルケニル、(C1−C6)アルキニル、(C1−C6)アルコキシ及び(C1−C6)スルファニルから選択されてもよい。
【0048】
本発明の第二の側面において、式Iの18F−ラベル化合物、及び式Iの19F標準参照化合物は、医薬(medicament)又は薬剤(pharmaceutical)として提供される。
【0049】
また、本発明は、処置用の医薬又は薬剤を製造するための、式Iの18F−ラベル化合物、及び式Iの19F標準参照化合物の使用にも関する。
【0050】
より好ましい態様において、前記使用は、CNS疾患の処置に関する。CNS疾患として、限定されないが:炎症及び自己免疫、アレルギー性、感染性、感染性並びに毒素誘発性及び虚血誘発性疾患、病態生理学的な関連性を有する薬剤誘発性の炎症、神経炎症性、神経炎症性、並びに神経変性疾患等が挙げられる。
【0051】
より好ましくは、前記CNS疾患は、多発性硬化症、アルツハイマー症、前頭側頭認知症、レヴィー小体を生じる認知症、白質脳症、てんかん、神経障害痛、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、脳症、脳腫瘍、欝、薬物乱用、慢性炎症性腸疾患、アテローム、アテローム性動脈硬化、関節炎、関節リウマチ、薬理誘発性炎症、起源不明の全身性炎症から選択される。
【0052】
一つの態様において、前記疾患は、関節リウマチである。
【0053】
また、本発明は、上記で定義したように、中枢神経系の疾患の治療方法に関し、該治療方法は、適切な量の式Iの化合物、好ましくは式Iの18F−ラベル化合物、又は式Iの19F標準参照化合物を患者に導入する工程を含む。
【0054】
本発明の第三の側面において、式Iの18F−ラベル化合物は、診断的造影剤又は造影剤として、好ましくはPETアプリケーション用の造影剤として提供される。式Iの化合物及び関連する誘導体、例えばL=ヨード(例えばI−123)の式Iの化合物等が、SPECTアプリケーション用の造影剤として適切であることは、当業者にとって明らかである。
【0055】
また、本発明は、造影剤を製造するための、式Iの18F−ラベル化合物の使用にも関する。
【0056】
より好ましい態様において、前記使用は、CNS疾患の造影に関する。CNS疾患として、限定されないが、炎症及び自己免疫、アレルギー性、感染性、感染性並びに毒素誘発性及び虚血誘発性疾患、病態生理学的な関連性を有する薬剤誘発性の炎症、神経炎症性、神経炎症性、並びに神経変性疾患等が挙げられる。
【0057】
より好ましくは、前記CNS疾患は、多発性硬化症、アルツハイマー症、前頭側頭認知症、レヴィー小体を生じる認知症、白質脳症、てんかん、神経障害痛、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、脳症、脳腫瘍、欝、薬物乱用、慢性炎症性腸疾患、アテローム、アテローム性動脈硬化、関節炎、関節リウマチ、薬理誘発性炎症、起源不明の全身性炎症から選択される。
【0058】
また、本発明は、患者の体内に検出可能な量の式Iの18F−ラベル化合物を導入して、該患者を造影する工程を含む、造影の方法にも関する。
【0059】
式Iの化合物が、導入初期の良好な脳内取り込み、及びその後のタイムポイントにおける良好な除去を示すことが見出されている。この事実は、マウスにおける導入後2分及び30分の脳内取り込みの比率(組織1gあたりの導入用量の取り込みパーセント(%ID/g))により表される。この比率の値が高くなる程、シグナル対バックグラウンドの比率は良好なものとなる。故に、例えば、比率が2.00であるFEDAA(3)や、比率が2.43であるDPA−714(1.2)と比較して、化合物21の4.85の比率は、優れている(図2を参照されたい)。
【化26】
【0060】
本発明の第4の側面において、医薬組成物は、式Iの化合物、好ましくは式Iの18F−ラベル化合物、又は式Iの19F標準参照化合物、又はそれらの無機酸若しくは有機酸の医薬として許容される塩、水和物、複合体、エステル、アミド、溶媒和物又はプロドラッグを含んで提供される。好ましくは、該医薬組成物は、生理的に許容される担体、希釈剤、補助剤、又は賦形剤を含む。
【0061】
好ましい態様において、本発明の医薬組成物は、医薬として許容される塩、水和物、複合体、エステル、アミド、溶媒和物又はプロドラッグである、式Iの化合物を含む。
【0062】
以下、本願明細書及び特許請求の範囲の記載で、「無機酸」及び「有機酸」という用語は、炭酸、硝酸、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、リン酸、過塩素酸、過塩素酸若しくは硫酸等の鉱酸、又は硫酸カリウムそれらの酸性塩等を指し、あるいは限定されないが:脂肪族、環式脂肪族、芳香族、芳香脂肪族(araliphatic)及び複素環式カルボン酸及びスルホン酸、例えば蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、ピルビン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、フマル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデリン酸、エンボン(embonic)酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホン酸、及びスルファニル酸等の適切な有機酸を指す。
【0063】
本発明の第五の側面において、式Iの18F−ラベル化合物、又はその無機酸若しくは有機酸の医薬として許容される塩、その水和物、複合体、エステル、アミド、溶媒和物、又はプロドラッグを含む、放射性医薬組成物が提供される。
【0064】
好ましくは、前記医薬組成物は、生理的に許容される担体、希釈剤、補助剤又は賦形剤を含む。
【0065】
本発明の化合物は、好ましくは本発明により提供される式Iの放射性ラベル化合物は、食塩水又は血漿媒体等の公知の媒体等の、医薬として許容される任意の担体に入れられて、静脈注射用の医薬組成物として、静脈内投与されてもよい。また、そのような媒体は、例えば、医薬として許容される浸透圧調節用の塩、緩衝剤、保存料等の公知の医薬材料を含む場合もある。とりわけ好ましいのは、生理食塩水及び血漿である。
【0066】
適切な医薬として許容される担体は、当業者に知られている。例えば、Remington’s Practice of Pharmacy, 13th ed.及びJ. of. Pharmaceutical Science & Technology, Vol. 52, No. 5, Sept−Oct., p. 238−311を参照されたい。これらは、本明細書中に参照により援用される。
【0067】
式Iの化合物、好ましくは本発明により提供される式Iの18F−ラベル化合物の、医薬として許容される担体、例えば水性媒体等の中の濃度は、使用する具体的な分野に応じて異なる。造影の標的、例えばPBR(移行体)、又は炎症部位若しくは腫瘍等の充分な可視化が達成される場合、充分な量の前記化合物が、前記医薬として許容される担体中に存在することとなる。
【0068】
本発明の化合物、特に本発明の18F−放射性ラベル化合物、即ち本発明により提供される式Iの18F−ラベル化合物は、食塩水又は血漿媒体等の公知の媒体等の、医薬として許容される任意の担体に入れられて、静脈注射用の医薬組成物として、静脈内投与されてもよい。また、そのような媒体は、例えば、医薬として許容される浸透圧調節用の塩、緩衝剤、保存料等の公知の医薬材料を含む場合もある。とりわけ好ましいのは、通常の食塩水及び血漿である。適切な医薬として許容される担体は、当業者に知られている。例えば、Remington’s Practice of Pharmacy, 11th ed.及びJ. of. Pharmaceutical Science & Technology, Vol. 52, No. 5, Sept−Oct., p. 238−311.xを参照されたい。
【0069】
本発明において、中性組成物(neutral composition)、又は医薬として許容される対イオンとの塩のいずれかとしての、一般化学式Iを有する放射性ラベル化合物は、単一の注射用投与単位で投与される。当業者に公知のいずれかの担体、例えば滅菌食塩水又は血漿が、放射性ラベルの後に利用されて、本発明に従い、様々な器官、腫瘍等を診断的に造影する注射用溶液が調製される。一般に、診断用の薬剤として投与され得る投与単位の放射能は、約0.1mCi〜約100mCi、好ましくは1mCi〜20mCiである。放射線治療剤としてであれば、治療投与単位の放射能は、10mCi〜700mCi、好ましくは50mCi〜400mCiである。一回に注射される前記溶液の用量は、約0.01ml〜約30mlである。治療目的での静脈内投与の場合、インビボでの器官又は疾患の造影は、僅か数分で起こり得る。しかしながら、必要な場合は、造影に際して、患者に注射してから1時間あるいはそれ以上置く。殆どの場合、充分な量投与される前記化合物は、造影される部位に0.1時間以内に蓄積して、シンチグラフィー画像の撮像が可能となる。診断目的でのシンチグラフィー撮像方法の公知の任意のものが、本発明において利用され得る。
【0070】
以下、本願明細書及び特許請求の範囲の記載で、「プロドラッグ」は、共有結合した任意の化合物を意味し、該化合物は、式Iの活性親薬剤、好ましくは式Iの18Fラベル化合物を放出する。
【0071】
本文中で使用されるとき、「プロドラッグ」という用語は、エステル、アミド及びリン酸塩等の医薬として許容される誘導体を意味し、該誘導体の最終的なインビボ生体変化産物(biotransformation product)は、式(I)の化合物において定義される有効成分である。一般的なプロドラッグの記述として、Goodman and Gilman (The Pharmaco− logical Basis of Therapeutics, 8 ed, McGraw−HiM, Int. Ed. 1992,“Biotransformation of Drugs”, p 13−15)を、参照により本明細書中に援用する。本発明の化合物のプロドラッグは、インビボで、又は単純な操作で開裂して親化合物を生じるように、化合物を官能基で修飾するように調製される。本発明の化合物のプロドラッグとして、例えばヒドロキシ基を非対称の炭素原子に結合させたもの、又はアミノ基を任意の部位に結合させたもの等が挙げられ、該プロドラッグを患者に投与すると、開裂が起こり、それぞれ遊離ヒドロキシル又は遊離アミノが生じる。
【0072】
プロドラッグの典型的な例は、例えばWO 99/33795、WO 99/33815、WO 99/33793及びWO 99/33792に記載のものが挙げられる。これらは、本明細書中に、参照により援用される。
【0073】
プロドラッグは、良好な水溶性、生体利用効率の増大、及びインビボで容易に活性阻害因子に代謝されることを特徴とし得る。
【0074】
LがR3である式Iの化合物の放射性フッ素化反応が、式Iで表されない副産物を生じ得ることは、当業者にとって明らかである。これらの産物は、例えば、Lがヒドロキシル又は−N(Me)2である(任意で求核芳香族置換反応と共に)等、又は例えばLがヒドロキシルである等、例えば前駆化合物がエーテルとしてダイマー化する、又は離脱基が除去されて対応するアルケンになる(任意で脂肪族求核置換反応と共に)等の状況を特徴とする。そのような副産物及び類似の誘導体は、典型的には、反応混合物から分離されるが、ヒト又は哺乳類に投与される放射性医薬組成物中に一定の量が残留してしまう場合もある。
【0075】
第六の側面において、本発明は、Lが[19F]フルオロである式Iの化合物に関し;
Lが[19F]フルオロである式Iの化合物の好ましいものは;
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
である。
【0076】
本発明の化合物中にキラル中心又は他の形態の異性体中心が存在する場合、それらの立体異性体、例えばエナンチオマー及びジアステレオ異性体等が、本明細書中に含まれることが意図される。キラル中心を含む化合物は、ラセミ混合物として、又は高エナンチオマー(enantiomerically enriched)混合物として、使用され、又は該ラセミ混合物は、周知の技術を使用して分離されて、個別のエナンチオマーが単独で使用される場合もある。化合物が不飽和炭素−炭素結合の二重結合を有する場合、(Z)−異性体及び(E)−異性体のいずれも、本発明の範囲内に含まれる。化合物が、ケト−エノール等の互換異性体を有する場合、各互換異性体は、平衡状態で、又は一方の異性体が優勢な状態で、本発明に含まれることが予定される。
【0077】
特段言及されていない限り、本発明の化合物自体、及びその任意の医薬組成物に関して、本発明は、本発明の化合物の全ての水和物、塩、溶媒和物、複合体及びプロドラッグを含む。プロドラッグは、任意の共有結合化合物であり、式Iの活性親薬剤を放出する。
【0078】
「ハロ」という用語は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、及びヨウ素(I)を指す。
【0079】
第七の側面において、本発明は、式VI
【化31】
[式中、
R10は、(C1−C6)アルキル及び水素からなる群から選択され;
R16は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択され;
A3及びA4は、同一又は異なるもので、そして(R12)(R4)(R5)フェニルの構造をとり;
R12は、R13及び水素からなる群から選択され;
R13はヒドロキシであり、
但し、式VIの化合物は、必ず1つのR13を含み;
R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択される]
の化合物、該化合物の全ての立体異性体、例えば、限定されないが該化合物のエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びにラセミ混合物等、
並びにそれらの任意の医薬として許容される塩、エステル、アミド、複合体又はプロドラッグに関する。
【0080】
好ましい態様において、R16は、水素、フルオロ、クロロ、ヨード、メチル、メトキシ及びトリフルオロメチルからなる群から選択され;
より好ましい態様において、R16は、水素、フルオロ、クロロ、ヨード及びメチルから選択され;
なおもより好ましい態様において、R16は、水素及びクロロからなる群から選択され;
最も好ましい態様において、R16は水素であり;
好ましい態様において、R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、フルオロ、クロロ、メチル、メトキシ及びトリフルオロメチルからなる群から選択され;
より好ましい態様において、R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、フルオロ、メチル及びメトキシからなる群から選択され;
好ましい態様において、R10は、メチル及び水素からなる群から選択され;
但し、式VIの化合物は、必ず1つのR12を含む。
【0081】
本発明の第八の側面は、式Iの化合物を取得する方法に関し、ここでLは、[18F]フルオロ又は[19F]フルオロである。
【0082】
驚くべきことに、そのような化合物を取得する2つの方法が同定されている。
【0083】
第一の態様において、式Iの前駆化合物で、Lが上記R3であるものを、F−フッ素化剤と反応させる。
【0084】
好ましくは、F−フッ素化剤は、F−アニオンを含む化合物で、好ましくは、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]−ヘキサコサンKF、即ちクラウンエーテル塩、Kryptofix KF、KF、HF、KHF2、CsF、NaF及びFのテトラアルキルアンモニウム塩、例えばN(ブチル)4F(テトラブチルフッ化アンモニウム)等からなる群から選択される化合物であり、ここでF=18F又は19Fである。
【0085】
より具体的には、18F−式Iのラベル化合物に関して、式Iの18F−ラベル化合物を取得する放射性ラベル方法の第一の態様は、
−式Iの18F−ラベル化合物を取得するために、適切な離脱基を有する式Iの化合物を、フッ素化剤を用いて18F−放射性ラベルする
工程を含む。
【0086】
本明細書中で使用されるとき、分子を「放射性ラベルする」という用語は、通常、その分子に18F−原子を導入することを指す。フッ素化剤は、上記に定義したものであり、F=18Fである。
【0087】
第二の態様は、式Iの化合物の合成方法に関し、ここでLは[18F]フルオロ又は[19F]フルオロであり、以下の工程:
−F−フッ素化剤を用いて式V
【化32】
の化合物をF−フッ素化して、式IV
【化33】
の化合物を取得する工程、
−式IVの化合物を、式VI
【化34】
の化合物で置換する工程
を含み、ここで、
式IVのFは[18F]フルオロ又は[19F]フルオロであり、
aは0〜5、好ましくは0〜2、より好ましくは0〜1の整数であり、
Bは離脱基、好ましくはハロ、特にクロロ、ブロモ、ヨード、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ、ノナ−フルオロブチルスルホニルオキシ、(4−ブロモ−フェニル)スルホニルオキシ、(4−ニトロ−フェニル)スルホニルオキシ、(2−ニトロ−フェニル)スルホニルオキシ、(4−イソプロピル−フェニル)スルホニルオキシ、(2,4,6−トリ−イソプロピル−フェニル)スルホニルオキシ、(2,4,6−トリメチル−フェニル)スルホニルオキシ、(4−tertブチル−フェニル)スルホニルオキシ、及び(4−メトキシ−フェニル)スルホニルオキシであり;
R10は(C1−C6)アルキル及び水素からなる群から選択され;
R16は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択され;
A3及びA4は、同一又は異なるもので、そして(R12)(R4)(R5)フェニルの構造をとり;
R12は、R13及び水素からなる群から選択され;
R13はヒドロキシであり、
但し、式VIの化合物は、必ず1つのR13を含み;
R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択され;
好ましい態様において、R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、フルオロ、クロロ、メチル、メトキシ及びトリフルオロメチルからなる群から選択され;
より好ましい態様において、R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、フルオロ、メチル、及びメトキシからなる群から選択され;
より好ましい態様において、R10は、水素及びメチルからなる群から選択され;
好ましい態様において、R16は、水素、フルオロ、クロロ、ヨード、メチル、メトキシ及びトリフルオロメチルからなる群から選択され:
より好ましい態様において、R16は、水素、フルオロ、クロロ、ヨード及びメチルからなる群から選択され:
なおもより好ましい態様において、R16は、水素及びクロロからなる群から選択され:
最も好ましい態様において、R16は水素であり;
前記F−フッ素化剤は上記で定義したものであり、F=18F又は19Fであり;
但し、式VIは、必ず1つのR12を含む。
【0088】
好ましくは、は、ヨード、ブロモ、クロロ、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ、及びノナ−フルオロブチルスルホニルオキシからなる群から選択される。
【0089】
より具体的には、式Iのラベル化合物を取得する放射性ラベル方法の第二の態様は、
式Vの化合物を、フッ素化剤で18F放射性ラベルして、式IVの化合物を取得する工程、及び
式IVの化合物を、式VIの化合物で置換する工程
を含む。
【0090】
前記式IVのラベル化合物は、
【化35】
又はその無機酸若しくは有機酸の医薬として許容される塩、その水和物、複合体、エステル、アミド、溶媒和物又はプロドラッグであり;ここで
Bは離脱基であり;
該離脱基Bは、当業者に知られ、又は明らかなもので、限定されないが、Synthesis (1982), p. 85−125, table 2 (p. 86;(table 2の最後の記載「n−C4H9S(O)2−O− nonaflat」は、「n−C4F9S(O)2−O− nonaflat」とする必要がある)、Carey and Sundberg, Organische Synthese, (1995), page 279−281, table 5.8;又はNetscher, Recent Res. Dev. Org. Chem., 2003, 7, 71−83, scheme 1, 2, 10及び15等)に記載され、又は名付けられたものから採用され;
より好ましい態様において、Bは;
a)ヨード、
b)ブロモ、
c)クロロ、
d)メシルオキシ、
e)トシルオキシ、
f)トリフルオロメチルスルホニルオキシ及び
g)ノナフルオロブチルスルホニルオキシ
からなる群から選択され;
aは、0〜4の整数、好ましくは0〜2の整数、そしてより好ましくは0〜1の整数である。
【0091】
式Vの化合物は、
【化36】
又はその無機酸若しくは有機酸の医薬として許容される塩、その水和物、複合体、エステル、アミド、溶媒和物又はプロドラッグであり;ここで
Bは式IVの化合物で定義したものであり、そして
aは式IVの化合物で定義したものであり、
前記フッ素化剤は、上記で定義したものである。
【0092】
好ましい態様において、前記フッ素化剤は、フッ素放射性同位体誘導体である。
【0093】
より好ましくは、前記フッ素放射性同位体誘導体は、18F誘導体である。より好ましくは、18F誘導体は、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]−ヘキサコサンK18F(クラウンエーテル塩Kryptofix K18F)、K18F、H18F、KH18F2、Cs18F、Na18F、又は18Fのテトラアルキルアンモニウム塩([F−18]テトラブチルフッ化アンモニウム等)である。より好ましくは、前記フッ素化剤は、K18F、H18F、又はKH18F2であり、最も好ましくはK18F(18Fフッ化物アニオン)である。
【0094】
前記放射性フッ素化反応は、例えば、当業者に公知の典型的な反応容器(Wheatonバイアル)又はマイクロリアクター中で実行される。該反応は、例えばオイルバス、ヒートブロック又は電子レンジ等の典型的な方法により加熱され得る。該放射性フッ素化反応は、ジメチルホルムアミド中で、塩基として炭酸カリウムを、及びクラウン−エーテルとして「kryptofix」を用いて行われる。当業者に周知の他の溶媒も使用され得る。可能なものとして、限定されないが:溶媒がジメチルスルホキシド及びアセトニトリルで、塩基がテトラアルキルアンモニウム及びテトラアルキルホスホニウムカルボネートである条件が挙げられる。水及び/又はアルコールは、共溶媒(co−solvent)として前記反応に用いられる場合がある。前記放射性フッ素化反応は、1〜60分間行われる。好ましい反応時間は、5〜50分である。更に好ましい反応時間は、10〜40分である。該放射性フッ素化のこれらの及び他の条件は、当業者に公知である(Coenen, Fluorine−18 Labeling Methods: Features and Possibilities of Basic Reactions, (2006), in: Schubiger P.A., Friebe M., Lehmann L., (eds), PET−Chemistry − The Driving Force in Molecular Imaging. Springer, Berlin Heidelberg, pp.15−50)。該放射性フッ素化は、「ホットセル」中で行われ、及び/又はモジュールを使用して行われる場合もあり(参照: Krasikowa, Synthesis Modules and Automation in F−18 labeling (2006), in: Schubiger P.A., Friebe M., Lehmann L., (eds), PET−Chemistry − The Driving Force in Molecular Imaging. Springer, Berlin Heidelberg, pp. 289−316)、それにより、自動的、又は半自動的な合成が可能となる。
【0095】
更に、本発明は、本発明の化合物及び医薬として許容される担体又は希釈剤を含む組成物を提供する。
【0096】
一つの態様において、前記化合物は、18F−ラベル化合物である。
【0097】
他の態様において、前記化合物は、19F−ラベル化合物である。
【0098】
なおも他の態様において、前記化合物は、前駆化合物である。
【0099】
また、本発明は、薬剤、診断剤若しくは造影剤として使用する、本発明の化合物、好ましくは本発明の18F−若しくは19F−ラベル化合物、又は本発明の組成物を提供する。
【0100】
また、本発明は、中枢神経系(CNS)の疾患を処置及び/又は診断及び/又は造影するための医薬品を製造するために使用される、本発明の化合物、好ましくは本発明の18F−若しくは19F−ラベル化合物、又は本発明の組成物を提供する。
【0101】
また、本発明は、特に中枢神経形の疾患に対する診断剤又は造影剤として使用される、式Iの18F−ラベル化合物又は該化合物を含有する組成物を提供する。
【0102】
また、本発明は、所定の量の化合物
a)式Iを有する前駆化合物、又は
b)上記で定義した式Vの化合物及び式VIの化合物
を含む、密封バイアルを備えたキットを提供する。
【0103】
また、本発明は、患者の体内のPBR受容体(移行体タンパク質)の存在を検出する、好ましくは患者の中枢神経系の疾患を造影する方法を提供し、該方法は;
患者の体内に検出可能な量の本発明のラベル化合物又は該化合物を含む組成物を導入する工程、及び
該化合物又は該組成物を、陽電子放出断層撮影(PET)により検出する工程を含む。
【0104】
また、本発明は、中枢神経系の疾患を治療する方法を提供し、該方法は、適切な量の本発明の化合物、好ましくは本発明の18F−又は19F−ラベル化合物を患者に導入する工程を含む。
【0105】
芳香環系を含む三環式骨格の一般的な合成スキームA、B及びCを、スキーム1に示す:E1型の化合物が、フェノールアニオンでアルキル化され、E2型の化合物となる。「(N)」は、窒素を含有する置換基、好ましくは窒素を表し、そして「(X)」は、離脱基、例えばハロを表す。置換基「(N)」は、当業者に公知の方法により、アニリン誘導体E3に転換される(例えば、「(N)」が窒素の場合、水素化反応により、所望の化合物E3が得られる)。E8型のアルデヒドによる還元的アミン化反応により、E4型のアニリンが得られる。
【化37】
【0106】
また、E3型の化合物は、当業者に公知のアミド化又はN−アセチル化により、E5の化合物に転換される場合もある。
【0107】
E4型の化合物は、6型のアミドに転換され得る。しかしながら、「C−環」を表すE9型のアルキル化剤でE5型の化合物をアルキル化反応させることによっても、E6型の化合物を取得できる。F−18ラベル(任意で対応するF−19ラベル)を導入する2つのアプローチが存在する。例えば、適切な離脱基の取り付けは、対応するアルコールのメシル化により達成され得る(スキーム2の(9)→(10)参照)。しかしながら、小さいF−18ラベル構成要素(補欠分子族、E10)のアルキル化反応が、それらとE6型の化合物に導入されている求核官能基とを連結するのに使用される場合もある(スキーム3、(15)→(19)参照)。
【0108】
スキーム2は、式Iの化合物を合成する方法の一つの具体例である:
【化38】
【0109】
アニリン6(J. Med. Chem. (2002), 45, 23, 5182−5185)及びアルデヒド7(EP1894915A1)は、水素化(アセトキシ)ホウ素ナトリウム(sodium tris(acetoxy)borohydride)を使用する還元的アミン化反応中で転換される。続いて、粗い第二のアニリンのアセチル化反応で、所望の産物8が得られる。テトラハイドロピラニルエーテル8は、PPTSのメタノール溶液を使用する酸性条件下で開裂する。所望のアルコール9は、塩化メシル及びトリエチル及びヒューニッヒ塩基のジクロロメタン溶液を使用して、対応するメシレート10に転換される。続いて、KF及びによるフッ素化で、所望の[F−18]ラベル化合物11が得られる。放射性フッ素化反応は、当業者に公知の典型的な反応容器(Wheatonバイアル等)又はマイクロリアクター中で実施され得る。放射性フッ素化反応は、塩基として炭酸カリウムを、及びクラウンエーテルとして「kryptofix」を用いて行われる。しかしながら、当業者に周知の他の溶媒も使用され得る。可能なものとして、限定されないが:溶媒がジメチルスルホキシド及びアセトニトリルで、塩基がテトラアルキルアンモニウム及びテトラアルキルホスホニウムカルボネートである条件が挙げられる。水及び/又はアルコールは、共溶媒として前記反応に用いられる場合がある。前記放射性フッ素化反応は、1〜60分間行われる。好ましい反応時間は、5〜50分である。更に好ましい反応時間は、10〜40分である。該放射性フッ素化のこれらの及び他の条件は、当業者に公知である(Coenen, Fluorine−18 Labeling Methods: Features and Possibilities of Basic Reactions, (2006), in: Schubiger P.A., Friebe M., Lehmann L., (eds), PET−Chemistry − The Driving Force in Molecular Imaging. Springer, Berlin Heidelberg, pp.15−50)。該放射性フッ素化は、「ホットセル」中で行われ、及び/又はモジュールを使用して行われる場合もあり(参照: Krasikowa, Synthesis Modules and Automation in F−18 labeling (2006), in: Schubiger P.A., Friebe M., Lehmann L., (eds), PET−Chemistry − The Driving Force in Molecular Imaging. Springer, Berlin Heidelberg, pp. 289−316)、それにより、自動的、又は半自動的な合成が可能となる。
【0110】
他のアプローチを、スキーム3に示す:アニリン12(ABCR)及びアルデヒド13(Bioorg. Med. Chem. Lett. (2007), 2614−2617)は、水素化(アセトキシ)ホウ素ナトリウムを使用する還元的アミン化反応により互いに反応する。続いて、粗産物のアセチル化により、所望の産物14が得られる。ベンジルエーテル14は、等業者に公知の方法により開裂される。典型的には、水素及びパラジウム炭素(palladium on charcoal)を用いた不均一触媒水素化を用いて、フェノール15が取得される。フェノール15は、[18F]−フルオロエチルブロマイド(2−ブロモエチルトリフラート(Bioorg. Med. Chem.; 11; 12; 2003; 2519- 2528)から生産される)でアルキル化されて、化合物19が得られる。塩基として炭酸ナトリウムを使用して、アセトニトリル中で2−ベンジルオキシ−エチルブロマイドで化合物15をアルキル化して、化合物16が得られる。また、化合物15は、1−フルオロ−2−ヨードエタン又は1−ブロモ−2−フルオロエタンでアルキル化される場合もある。この転換の産物は、メシレート18を使用する放射性フッ素化実験用の対応するF−19参照標準20である。メシレート18は、塩化メシル及び取りエチルアミンのジクロロメタン溶液を使用して、アルコール17から調製することが出来る。イソプロパノール中でベンジルエーテル16をパラジウム炭素で水素化して、上記アルコール17が得られる。
【化39】
【0111】
記載されている方法により生産され得る類似の化合物として、以下のものが挙げられる:
【化40】
【0112】
スキーム4は、式Iの化合物を合成する他のアプローチを示す:
【化41】
【0113】
化合物22(スキーム4)は、3−ニトロ−2−フェノキシピリジンを、tert−ブチルヒドロペルオキシド(Journal of Medicinal Chemistry; English; 50; 1; 2007; 2−5等を参照)で酸化することにより得られる。アルコール22の臭素化は、三臭化リン(Tetrahedron Letters; English; 32; 34; 1991; 4263-4266等を参照)を用いて実行されて、化合物23が得られる。化合物23のニトロ基の還元は、酸中の鉄の粉末(Recueil des Travaux Chimiques des Pays−Bas; 64; 1945; 102,104等を参照)を使用して実行される。
【0114】
2−メトキシベンズアルデヒドをアニリン24で還元的アミン化(Journal of Organic Chemistry (2004), 69, 35等を参照)することにより、アミド26にアセチル化され得るアミン25が得られる。ブロモピリジン26をF−18フッ化カリウムで放射性ラベルして、所望のF−18ラベル化合物27が得られる。フルオロピリジンの放射性ラベルプロセスは、当業者に周知である(Dolle et al., (2006), in: Schubiger P.A., Friebe M., Lehmann L., (eds), PET−Chemistry − The Driving Force in Molecular Imaging. Springer, Berlin Heidelberg)。
【0115】
化合物26を、フッ化カリウム又はテトラブチルアンモニウム試薬で非放射性フッ素化することにより、対応するF−19参照化合物が得られる。
【0116】
本発明の化合物は、中枢神経系の障害及び神経変性障害を、造影、診断及び処置する方法において使用され得る。好ましい造影方法は、PETである。中枢神経系又は神経変性障害は、限定されないが、アルツハイマー症、認知症、多発性硬化症、又は筋萎縮性側索硬化症等である。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の化合物を合成する手順を、スキームで示している。
【図1.1】正常マウスに[18F]−2dを静脈内投与した後の、[18F]−放射性の血中及び脳内への取り込み及び排除を示す(タイムポイント毎n=3)。
【図1.2】正常マウスに[18F]−5dを静脈内投与した後の、[18F]−放射性の血中及び脳内への取り込み及び排除を示す(タイムポイント毎n=3)。
【図2】FEDAA(3)及びDPA−714と比較した、導入後2分及び30分の、マウスの脳内取り込みの比率(組織1gあたりの導入用量の取り込みパーセント(%ID/g))を示す。この比率の値が高くなる程、シグナル対バックグラウンドの比率は良好なものとなる。
【図2.1】[18F]−2d注入後30分の、カイニン酸処理ラットモデル及びそれぞれの擬似対照(sham control)の脳横断切片のエクスビボオートラジオグラフィーを示す(A〜C)。ミクログリアの活性化は、同一の切片で、続けてOx−42抗体を用いた免疫組織化学により可視化された(D−I)。カイニン酸処理ラット(A)を、擬似処理ラット(C)と比較した。このモデルで影響が生じることが知られている海馬領域における強力なシグナルに注目されたい。カイニン酸処理ラットにおいて、[19F]−2eの共注入が、これらのシグナルをブロックした(B)。バーは、D、F、Hでは1000μm、そしてE、G、Iでは100μmを表す。薄片は、ブレグマから−3.1mmに位置する。海馬/小脳の比率の定量及び計算に供された領域を、点線で囲んだ。
【図2.2】[18F]−5d注入後30分の、カイニン酸処理ラットモデル及びそれぞれの擬似対照の脳横断切片のエクスビボオートラジオグラフィーを示す(A〜C)。ミクログリアの活性化は、同一の切片で、続けてOx−42抗体を用いた免疫組織化学により可視化された(D−I)。カイニン酸処理ラット(A)を、擬似処理ラット(C)と比較した。このモデルで影響が生じることが知られている海馬領域における強力なシグナルに注目されたい。カイニン酸処理ラットにおいて、[19F]−5eの共注入が、これらのシグナルをブロックした(B)。バーは、D、F、Hでは1000μm、そしてE、G、Iでは100μmを表す。薄片は、ブレグマから−3.1mmに位置する。海馬/小脳の比率の定量及び計算に供された領域を、点線で囲んだ。
【図3】カイニン酸処理ラットの脳薄片のエクスビボオートラジオグラフィーシグナルの定量データから計算された海馬/小脳の比率として表現される、シグナル対バックグラウンドの比率を示す。
【実施例】
【0118】
実験
一般的な手法
A:非放射性[F−19]フッ化物によるフッ素化
1当量の出発物質のアセトニトリル(2ml/eq.)溶液に、1.1当量のフッ化カリウム及びkryptofix(1.1eq.)を添加する。該反応混合物を電子レンジで加熱し(130℃15分)、そして再び室温まで冷却する。該反応混合物を、10mlのジエチルエーテル及び10mlの水で希釈する。有機相を分離する。水相を、10mlのジエチルエーテルで3回抽出する。これらの有機相をまとめ、ブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水する。溶媒を蒸発させ、そして残留物を、酢酸エチル−ヘキサン勾配を有するカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0119】
B:放射性[F−18]フッ化物によるフッ素化
[18F]フッ化物水溶液(0.1〜5GBq)を、QMAカートリッジでトラップし、0,95ml MeCN中5mg K2.2.2+水50μl中1mg K2CO3で溶出して、Wheatonバイアル(5ml)に取る。溶媒を、窒素大気下、120℃で10分間加熱して除去する。無水MeCN(1ml)を添加し、先述のように蒸発させる。この工程を3回繰り返す。出発物質(1mg)の300μl無水DMF溶液が添加される。120℃で10分間加熱した後、粗反応混合物を、解析HPLC(ACE3−C18 50 mm x 4,6 mm;溶媒勾配;水中5%アセトニトリルで開始〜7分で95%アセトニトリル、流速:2ml/分)を使用して解析する。所望のF−18ラベル産物は、解析HPLCに、対応する非放射性F−19フルオロ−標準と共に注入することにより確認される。前記粗産物は、C18 SPEカートリッジで前精製され(50〜2500MBq、該前精製された産物は、調製HPLC(ACE 5−C18−HL 250mmx10mm; 水中62%アイソクラチックアセトニトリルで25分、流速:3ml/分)を使用して精製される。非放射性F−19フルオロ標準と共に前記解析HPLCに注入して再確認するおことにより、所望の産物が得られる。該試料を60mlの水で希釈し、Chromafix C18 (S)カートリッジ上に不動化する。これを5mlの水で洗浄し、1mlのエタノールで溶出して、1000μlのEtOH中の20〜1800MBqの産物が得られる。
【0120】
H:フェノールのアルキル化
攪拌された1当量の出発物質(フェノール誘導体)及び1.5当量の炭酸カリウムのジメチルホルムアミド(3ml/1当量)溶液に、2.5mmolのアルキル化剤を添加する。該反応混合物を70℃で6時間加熱し、又は110℃まで15分間電子レンジにかける。該反応混合物の溶媒を蒸発させる。水およびメチルtert−ブチルエーテルを添加する。有機相を分離する。水相を、メチルtert−ブチルエーテルジエチルエーテルで3回抽出する。これらの有機相をまとめ、水、ブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水する。溶媒を蒸発させ、そして残留物を、酢酸エチル−ヘキサン勾配を有するカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0121】
I:アルコールの対応するO−スルホン酸塩への転換
1当量の出発物質及び1.5当量のジイソプロピルエチルアミンの3ml/mmolジクロロメタン溶液に、−10℃で、若干量のジクロロメタン中の1.3当量の塩化メシルを滴下した。攪拌した反応混合物を、4.5時間室温まで加熱し、そしてジクロロメタンで希釈した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水及びブラインで洗浄した。有機相を、硫酸マグネシウムで脱水した。粗産物を、シリカカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン勾配)により精製した。
【0122】
K:アルコールの対応するO−スルホン酸塩への転換(バージョン2)
1当量の出発物質のジクロロメタン(1.4ml/eq.)及びピリジン(1.4 ml/eq.)溶液に、−10℃で、ジクロロメタン(1ml/eq.)中のアリールスルホニルクロライド(1.1当量)を滴下した。攪拌した反応混合物を、室温まで4.5時間加熱し、そしてジクロロメタンで希釈した。有機層を0.25N硫酸(3回)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水及びブラインで洗浄した。有機相を、硫酸マグネシウムで脱水した。粗産物を、シリカカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン勾配)により精製した。
【0123】
L(1):不均一水素化
攪拌した、パラジウム炭素約20〜50mg(10%)のイソプロパノール(出発物質1mmolあたり8ml)溶液に対し、若干量のイソプロパノール中のベンジルエーテル(遊離体(educt))を添加した。該反応混合物を濾過し;そして溶媒を蒸発させる。残留物を、酢酸エチル−ヘキサン勾配を有するカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0124】
L(2):鉄による水素化
攪拌した、1当量の出発物質(ニトロ誘導体)及び5当量の鉄の粉末のエタノール(〜86当量)溶液に、1ml/eq.のHCl(37%水溶液)を添加する。該溶液を、1時間還流する。有機相を分離する。水溶液を、ジクロロメタンで2回抽出する。これらの有機相をまとめ、ブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水する。溶媒を蒸発させる。そして残留物を、酢酸エチル−ヘキサン勾配を有するカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0125】
W:還元的アミン化及びその後のアセチル化:
攪拌した、アルデヒド(1当量)及びアミン(1当量)の60mlジクロロエタン溶液(pH=5)を、氷酢酸でpH=5に調整した。この溶液に、70mmolのソディウムトリス−アセトキシハイドロボランを添加した。該反応混合物を一昼夜攪拌し、そして5mlの水で希釈した。pH値を、水酸化ナトリウム水溶液で、pH8〜9となるように調整した。該混合物を、ジクロロメタンで3回抽出した。これらの有機相をまとめ、水及びブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水した。所望の粗産物は、蒸発を経て取得された。該所望の粗産物は、脱水ピリジン(1.3ml/mmol出発物質)中で希釈され、そして0℃で冷却させられた。
溶媒を蒸発させる。そして残留物を、酢酸エチル−ヘキサン勾配を有するカラムクロマトグラフィーで精製する。この溶液を攪拌して、1.25当量の無水酢酸を滴下した。該反応混合物を一昼夜攪拌し、体積を3分の1まで減少させ、そしてジクロロメタン(2ml/mmol)及び水(2ml/mmol)で希釈した。水相を、ジクロロメタンで3回抽出する。有機相を蒸発させ、そして残留物を、酢酸エチル−ヘキサン勾配を有するカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0126】
Z:THPエーテルの脱保護:
1当量のテトラヒドロピラニルエーテエルの7ml/mmolメタノール溶液に、0.15当量のPPTSを添加する。該反応混合物を一昼夜攪拌し、そして、攪拌した氷水及びtert−ブチルメチルエーテルの溶液に注ぐ。有機相を分離する。水相を、tert−ブチルメチルエーテルで3回抽出する。これらの有機相をまとめ、希釈した炭酸水素ナトリウム、ブラインで洗浄し、そして硫酸マグネシウムで脱水する。溶媒を蒸発させ、そして残留物を、酢酸エチル−ヘキサン勾配を有するカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0127】
実施例1
a) N−{2−[2−(ベンジルオキシ)エトキシ]−5−メトキシベンジル}−N−[2−(4−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]アセトアミド(1a)の合成
4.1g(20 mmol)の2−(4−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−アミン(Helv. Chim. Acta; 48; 1965; 336−347)及び5.7g(20mmol)の2−[2−(ベンジルオキシ)エトキシ]−5−メトキシベンズアルデヒド(EP1894915A1)を、一般的な手法Wに従い転換した。所望の産物は、定量可能な収率で取得された。
MS−ESI: 517 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 69.75% H 5.66% N 5.42%
測定: C 69.72 % H 5.67 % N 5.40%
【0128】
b) N−[2−(4−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]−N−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)−5−メトキシベンジル]アセトアミド(1b)の合成
所望の産物1b(1.15g)は、一般的な手法「L」に従い、1a(1.67g、3.23mmol)から、83%の収率で取得された。
MS−ESI: 427 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 64.78% H 5.44% N 6.57%
測定: C 64.75% H 5.45% N 6.56%
【0129】
c) 2−[2−({アセチル[2−(4−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]アミノ}メチル)−4−メトキシフェノキシ]エチルメタンスルホネート(1c)の合成
所望の産物1cは、一般的な手法「I」に従い、1b(300mg、0.7mmol)から、97%の収率で取得された。
MS−ESI: 505 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 57.13% H 4.99% N 5.55%
測定: C 57.14% H 5.00% N 5.56%
【0130】
d)N−[2−(2−[18F]フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−[2−(4−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]アセトアミド(1d)の合成
所望の産物(1d)は、一般的な手法「B」に従い、(1c)から取得された。
【0131】
e)2−(2−フルオロエトキシ)−5−メトキシベンズアルデヒド(1e)の合成
所望の産物1eは、一般的な手順「H」に従い、100mmolの2−ヒドロキシ−5−メトキシベンズアルデヒド(Aldrich)及び250mmolの1−ブロモ−2−フルオロエタン(Aldrich)から、82%の収率(82mmol)で取得された。
MS−ESI: 199 (M+ +1, 100). (Aldrich).
元素分析:
計算: C 60.60% H 5.59%
測定: C 60.61% H 5.59%
【0132】
f) N−[2−(2−フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−[2−(4−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]アセトアミド(1f)(参照標準)の合成
所望の産物1fは、1.51mmol(309mg)の2−(4−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−アミン(Helv. Chim. Acta; 48; 1965; 336−347)及び1.51mmol(300mg)の1eから、一般的な手順「W」に従い、88.2%の収率(572mg)で取得された。
MS−ESI: 429 (M+ +1, 100). (Aldrich).
元素分析:
計算: C 64.48% H 5.18% N 6.54%
測定: C 64.46% H 5.19% N 6.54%
【0133】
実施例2
a) N−[2−(4−メトキシフェノキシ)ピリジン−3−イル]−N−{5−メトキシ−2−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]ベンジル}アセトアミド(2a)の合成
所望の産物2aは、463mgの5−メトキシ−2−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]ベンズアルデヒド(EP1894915A1)及び340mgの2−(4−メトキシフェノキシ)ピリジン−3−アミン(J. Org. Chem.; 60; 16; 1995; 4991−4994)から、一般的な手順「W」に従い、55%の収率で取得された。
MS−ESI: 523 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 66.65% H 6.56% N 5.36%
測定: C 66.63% H 6.57% N 5.35%
【0134】
b) N−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−[2−(4−メトキシフェノキシ)ピリジン−3−イル]アセトアミド(2b)の合成
所望の産物2bは、一般的な手順「Z」に従い、2a(432mg、0.83mmol)から、73%の収率(265mg)で取得された。
MS−ESI: 439 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 65.74% H 5.98% N 6.39%
測定: C 65.73% H 5.97% N 6.39%
【0135】
c) 2−[2−({アセチル[2−(4−メトキシフェノキシ)ピリジン−3−イル]アミノ}メチル)−4−メトキシフェノキシ]エチルメタンスルホネート(2c)の合成
所望の産物2cは、一般的な手順「I」に従い、2b(256mg、0.58mmol)から、96%の収率(289mg)で取得された。
MS−ESI: 517 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 58.13% H 5.46% N 5.42%
測定: C 58.16% H 5.47% N 5.41%
【0136】
d) N−[2−(2−[18F]フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−[2−(4−メトキシフェノキシ)ピリジン−3−イル]アセトアミド(2d)の合成
所望の産物(2d)は、一般的な手順「B」に従い、(2c)から取得された。
【0137】
e) N−[2−(2−フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−[2−(4−メトキシフェノキシ)ピリジン−3−イル]アセトアミド(2e)の合成
所望の産物2eは、0.3 mmol(64.3mg)の2−(4−メトキシフェノキシ)ピリジン−3−アミン(J. Org. Chem.; 60; 16; 1995; 4991−4994)及び58.9 mg(0.3mmol)の1eから、一般的な手順「W」に従い、76%の収率(100mg)で取得された。
MS−ESI: 441 (M+ +1, 100) (Aldrich)
元素分析:
計算: C 65.44% H 5.72% N 6.36%
測定: C 65.42% H 5.71% N 6.37%
【0138】
実施例3
a) N−[2−(4−ヨードフェノキシ)ピリジン−3−イル]−N−{5−メトキシ−2−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]ベンジル}アセトアミド(3a)の合成
所望の産物3aは、449mgの5−メトキシ−2−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]ベンズアルデヒド(EP1894915A1)及び500mgの2−(4−ヨードフェノキシ)ピリジン−3−アミン(J. Chem. Soc. (1931), 529,533)から、一般的な手順「W」に従い、75%の収率(747mg)で取得された。
MS−ESI: 619 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 54.38% H 5.05% N 4.53%
測定: C 54.38% H 5.05% N 4.53%
【0139】
b) N−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−[2−(4−ヨードフェノキシ)ピリジン−3−イル]アセトアミド(3b)
所望の産物3bは、一般的な手順「Z」に従い、3a(707mg、1.14 mmol)から、75%の収率(459mg)で取得された。
MS−ESI: 535 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 51.70% H 4.34% N 5.24%
測定: C 51.72% H 4.35% N 5.23%
【0140】
c) 2−[2−({アセチル[2−(4−ヨードフェノキシ)ピリジン−3−イル]アミノ}メチル)−4−メトキシフェノキシ]エチルメタンスルホネート(3c)の合成
所望の化合物3cは、3b(431mg、0.81mmol)から、一般的な手順「I」に従い、96%の収率(494mg)で取得された。
MS−ESI: 613 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 47.07% H 4.11% N 4.57%
測定: C 47.10% H 4.12% N 4.56%
【0141】
d) N−[2−([18F]2−フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−[2−(4−ヨードフェノキシ)ピリジン−3−イル]アセトアミド(3d)の合成
所望の産物(3d)は、一般的な手順「B」に従い、(3c)から取得された。
【0142】
e) N−[2−(2−フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−[2−(4−ヨードフェノキシ)ピリジン−3−イル]アセトアミド(3e)の合成
所望の産物3eは、0.23mmol(71mg)の2−(4−ヨードフェノキシ)ピリジン−3−アミン(J. Chem. Soc. (1931), 529, 533)及び45.1mg(0.23mmol)の1eから、一般的な手順「W」に従い、で取得された。
MS−ESI: 537 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 51.51% H 4.13% N 5.22%
測定: C 51.53% H 4.14% N 5.21%
【0143】
a) N−[2−(2−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]−N−{5−メトキシ−2−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]ベンジル}アセタミド(4a)の合成
所望の産物4aは、0.25g(1.22mmol)の2−(4−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−アミン(ABCR)及び342mg(1.17mmol)の5−メトキシ−2−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]ベンズアルデヒド(EP1894915A1)から、一般的な手順Wに従い、66%の収率(412mg)で取得された。
MS−ESI: 511 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 65.87% H 6.12% N 5.49%
測定: C 65.85% H 6.11% N 5.49%
【0144】
b) N−[2−(2−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]−N−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)−5−メトキシベンジル]アセトアミド(4b)の合成
所望の産物4bは、4a(200mg、0.39mmol)から、一般的な手順「Z」に従い、84%の収率(140mg)で取得された。
MS−ESI: 427 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 65.87% H 6.12% N 5.49%
測定: C 65.85% H 6.11% N 5.49%
【0145】
c) 2−[2−({アセチル[2−(2−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]アミノ}メチル)−4−メトキシフェノキシ]エチルメタンスルホネート(4c)の合成
所望の生産物4cは、4b(122mg、0.29mmol)から、一般的な手順「I」に従い、71%の収率(102mg)で取得された。
MS−ESI: 505 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 57.13% H 4.99% N 5.55%
測定: C 57.15% H 5.00% N 5.56%
【0146】
d) N−[2−(2−[18F]フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−[2−(2−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]アセトアミド(4d)の合成
所望の産物(4d)は、一般的な手順「B」に従い、4cから取得された。
【0147】
e) N−[2−(2−フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−[2−(2−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]アセトアミド(4e)の合成
所望の生産物4eは、103mg(0.5 mmol)の2−(4−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−アミン(ABCR)及び100mg(0.5 mmol)の1eから、一般的な手順「W」に従い、74%の収率(159mg)で取得された。
MS−ESI: 429 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 64.48% H 5.18% N 6.54%
測定: C 64.47% H 5.19% N 6.53%
【0148】
実施例5
a) N−[2−(2,3−ジメチルフェノキシ)ピリジン−3−イル]−N−{5−メトキシ−2−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]ベンジル}アセトアミド(5a)の合成
250mg(1.17mg)の2−(2,3−ジメチルフェノキシ)ピリジン−3−アミン(ABCR)及び327mg(1.17mg)の5−メトキシ−2−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]ベンズアルデヒド(EP1894915A1)を、一般的な手順Wに従い転換した。所望の産物5aは、73%の収率で取得された(442mg)。
MS−ESI: 621 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 69.21% H 6.97% N 5.38%
測定: C 69.20% H 6.98% N 5.37%
【0149】
b) N−[2−(2,3−ジメチルフェノキシ)ピリジン−3−イル]−N−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)−5−メトキシベンジル]アセトアミド(5b)の合成
所望の産物5bは、5a(200mg、0.38mmol)から、一般的な手順「Z」に従い、73%の収率(122mg)で取得された。
MS−ESI: 437 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 68.79% H 6.47% N 6.42%
測定: C 68.77% H 6.46% N 6.43%
【0150】
c) 2−[2−({アセチル[2−(2,3−ジメチルフェノキシ)ピリジン−3−イル]アミノ}メチル)−4−メトキシフェノキシ]エチルメタンスルホネート(5c)の合成
所望の産物5cは、4b(105mg、0.24mmol)から、一般的な手順「I」に従い、60%の収率(74mg)で取得された。
MS−ESI: 515 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 60.69% H 5.88% N 5.44%
測定: C 60.68% H 5.89% N 5.43%
【0151】
d) N−[2−(2,3−ジメチルフェノキシ)ピリジン−3−イル]−N−[2−(2−[18F]フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]アセトアミド(5d)の合成
所望の産物(5d)は、5cから、一般的な手順「B」に従い取得された。
【0152】
e) N−[2−(2,3−ジメチルフェノキシ)ピリジン−3−イル]−N−[2−(2−フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]アセトアミド(5e)の合成
所望の産物5eは、108mg(0.5mg)の2−(2,3−ジメチルフェノキシ)ピリジン−3−アミン(ABCR)及び100mg(0.5mmol)の1eから、一般的な手順「W」に従い、17%の収率(38%)で取得された。
MS−ESI: 439 (M+ +1, 100) (Aldrich)
元素分析:
計算: C 68.48% H 6.21% N 6.39%
測定: C 68.46% H 6.22% N 6.38%
【0153】
実施例6
a) N−{5−メトキシ−2−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]ベンジル}−N−(2−フェノキシピリジン−3−イル)アセトアミド(6a)の合成
244mg(1.31mmol)の2−(フェノキシ)ピリジン−3−アミン(J. Med. Chem. (2002), 45, 23, 5182)及び367mg(1.31mmol)の5−メトキシ−2−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]ベンズアルデヒド(EP1894915A1)をを、一般的な手順Wに従い転換した。所望の産物6aは、50%の収率(322mg;648マイクロモル)で取得された。
MS−ESI: 492 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 68.28% H 6.55% N 5.69%
測定: C 68.27% H 6.56% N 5.68%
【0154】
b) N−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−(2−フェノキシピリジン−3−イル)アセトアミド(6b)の合成
所望の産物6b(438マイクロモル;179mg)は、6a(295mg、0.6mmol)から、一般的な手順「Z」に従い、73%の収率で取得された。
MS−ESI: 409 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 67.63% H 5.92% N 6.86%
測定: C 67.62% H 5.93% N 6.85%
【0155】
c) 2−(2−{[アセチル(2−フェノキシピリジン−3−イル)アミノ]メチル}−4−メトキシフェノキシ)エチルメタンスルホネート(6c)の合成
所望の産物6cは、6b(130mg、0.32mmol)から、一般的な手順「I」に従い、94%の収率(146mg、0.3mmol)で取得された。
MS−ESI: 487 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 59.25% H 5.39% N 5.76%
測定: C 59.27% H 5.40% N 5.77%
【0156】
d) N−[2−([18F]2−フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−(2−フェノキシピリジン−3−イル)アセトアミド(6d)の合成
所望の産物(6d)は、6cから、一般的な手順「B」に従い取得された。
【0157】
e) N−[2−(2−フルオロエトキシ)−5−メトキシベンジル]−N−(2−フェノキシピリジン−3−イル)アセトアミド(6e)の合成
所望の産物6eは、244mg(1.31mmol)の2−(フェノキシ)ピリジン−3−アミン(J. Med. Chem. (2002), 45, 23, 5182)及び260mg(1.31mmol)の1eから、一般的な手順「W」に従い、で取得された。
MS−ESI: 411 (M+ +1, 100) (Aldrich)
元素分析:
計算: C 67.31% H 5.65% N 6.83%
測定: C 67.30% H 5.66% N 6.82%
【0158】
実施例7
a) 2−[4−(2−テトラヒドロピラニルオキシ−エトキシ)−フェノキシ]−3−ニトロ−ピリジン(7a)の合成
所望の産物7aは、2−クロロ−3−ニトロ−ピリジン(Aldrich)及び4−(2−テトラヒドロピラニルオキシ−エトキシ)−フェノール(J. Med. Chem. (1998), 41, 9, 1540−1554)を使用する、Alsaidi et al. (Synthesis; 11; 1980; 921 - 924)の変法に従い合成された。所望の産物7aは、76%の収率で取得された。
MS−ESI: 361 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 59.99% H 5.59% N 7.77%
測定: C 60.00% H 5.58% N 7.75%
【0159】
b) 2−[4−(2−テトラヒドロピラニルオキシ−エトキシ)−フェノキシ]−ピリジン−3−イルアミン(7b)の合成
所望の産物7b(526mg;1.6mmol)は、7a(722mg;2.0mmol)から、一般的な手順「L2」に従い取得された。
MS−ESI: 330 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 65.44% H 6.71% N 8.48%
測定: C 65.42% H 6.70% N 8.47%
【0160】
c) N−(2,5−ジメトキシベンジル)−N−(2−{4−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]フェノキシ}ピリジン−3−イル)プロパンアミド(7c)の合成
MS−ESI: 537 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 67.15% H 6.76% N 5.22%
測定: C 67.12% H 6.75% N 5.21%
所望の産物7c(436mg)は、7b(1.21mmol;400 mg)及び2,5−ジメトキシ−ベンズアルデヒド(Aldrich)から、無水酢酸ではなくプロピオン酸クロライドが使用される一般的手順「W」に従い取得された。該所望の産物は、67%の収率(0.81mmol)で取得された。
【0161】
d) N−(2,5−ジメトキシベンジル)−N−(2−{4−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エトキシ]フェノキシ}ピリジン−3−イル)プロパンアミド(7d)の合成
所望の産物7dは、7c(350mg、0.65mmol)から、一般的な手順「Z」に従い、75%の収率(0.49mmol;221mg)で取得された。
MS−ESI: 453 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 66.36% H 6.24% N 6.19%
測定: C 66.36% H 6.24% N 6.19%
【0162】
e) 2−[4−({3−[(2,5−ジメトキシベンジル)(プロパノイル)アミノ]ピリジン−2−イル}オキシ)フェノキシ]エチル 4−メチルベンゼンスルホネート(7e)の合成
MS−ESI: 607 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 63.35% H 5.65% N 4.62%
測定: C 63.33% H 5.65% N 4.63%
所望の産物7e(0.26mmol;158 mg)は、7d(0.33mmol、150mg)から、一般的な手順Kに従い、75%の収率で取得された。
【0163】
f) N−(2,5−ジメトキシベンジル)−N−{2−[4−(2−[18F]フルオロエトキシ)フェノキシ]ピリジン−3−イル}プロパンアミド(7f)の合成
所望の産物(7f)は、(7e)から、一般的手順「B」に従い取得された。
【0164】
g) N−(2,5−ジメトキシベンジル)−N−{2−[4−(2−フルオロエトキシ)フェノキシ]ピリジン−3−イル}プロパンアミド(7g)の合成
所望の産物7g(48mg;0.106mmol)は、7f(0.156mmol;94 mg)から、一般的な手順「A」に従い、68%の収率で取得された。
MS−ESI: 455 (M+ +1, 100).
元素分析:
計算: C 66.07% H 5.99% N 6.16%
測定: C 66.07% H 5.99% N 6.16%
【0165】
生物学
本発明の目的は、従来技術のものと比較して改善された、18kDa移行タンパク質(TSPO)としても知られる末梢ベンゾジアゼピン受容体(PBR)を標的とするPET造影により活性化ミクログリアを検出するのに使用され得る、F−18ラベル化合物を見出すことであった。本発明のデータが実証するように、化合物[18F]−2d及び[18F]−5dは、驚くべきことに、既知のトレーサーの[18F]−FEDAA1106 (3)及び[18F]−DPA−714 (1.2)と比較して、カイニン酸が誘導したラットの脳の病変における、シグナル対バックグラウンドの比率の改善を示した。
【0166】
[18F]−2d及び[18F]−5dの生体内分布は、動物あたりそれぞれ0.264MBqの[18F]−2d及び0.268MBqの[18F]−5dを静脈内注射して、2、5、30、60及び180/240分後の、健康な雄のNMRIマウス(体重28.3〜35.6g、タイムポイントあたり3頭)において調査された。上記のタイムポイントにおいて、尿及び糞が定量的に回収された。各タイムポイントにおいて、前記マウスはサクリファイスされ、組織が抜き取られた。ガンマカウンターで、[18F]−放射能を解析した(表1.1、2.1及び1.2、2.2参照)。
【0167】
[18F]−2dは、[18F]−放射能の高度な初期の脳内取り込み(注射後2分時点で1.37±0.04%注射用量/g)、及び注射後30分で脳から約72%の放射能が除去されるという高度な初期の排除(0.37±0.04%注射用量/g;図1.1)を示し、2分/30分の比率は3.7であった(表3)。全体的に、血中及び脳内の放射線量は、調査期間にかけて減少した。無関係な骨への放射能の取り込みが検出された(180分時点で2.3%注射用量/g)。実質的な放射能は、構成的なPBRの発現が知られている器官(肺、心臓、副腎等)に蓄積した。
【0168】
観察される時間中の放射能の排出は、主に尿を介する(注射後180分時点で、尿では13.09±1.33%注射用量、糞では0.59±0.61%注射用量)(表1.1)。
【0169】
[18F]−5dは、[18F]−放射能の高度な初期の脳内取り込み(注射後2分時点で1.61±0.23%注射用量/g)、及び注射後30分で脳から約73%の放射能が除去されるという高度な初期の排除(0.44±0.15%注射用量/g;図1.2)を示し、2分/30分の比率は3.7であった(表3)。全体的に、血中及び脳内の放射線量は、調査期間にかけて減少した。無関係な骨への放射能の取り込みが検出された(240分時点で2.6%注射用量/g)。実質的な放射能は、構成的なPBRの発現が知られている器官(肺、心臓、副腎等)に蓄積した。
【0170】
観察される時間中の放射能の排出は、主に尿を介する(注射後240分時点で、尿では15.24±1.25%注射用量、糞では0.74±1.01%注射用量)(表1.2)。
【0171】
ラットのカイニン酸誘導てんかんモデル及びそれぞれの擬似対照を使用して、[18F]−2d及び[18F]−5dの蓄積をエクスビボで可視化した。手短に述べると、カイニン酸の腹腔内投与により、ラットにおいててんかんが誘導された。カイニン酸処理を開始してから8日後、[18F]−2d及び[18F]−5dを、ラットあたり25.8〜35.8MBq(約1.0μg)の用量で、ラット及びそれらの擬似処理対照(カイニン酸に代えてPBS)の尾の静脈に注射した。静脈注射の30分後、ラットをサクリファイスし、脳を摘出し、凍結させ、そしてクライオスタット中で横断薄片にした。該薄片を、PhosphoImagerプレートに一昼夜曝露した。得られたオートラジオグラフィーシグナルを、定性的及び定量的に解析した(図2.1A及びC、2.2A及びC)。曝露後、切片を、Ox−42抗体(抗CD11b/c)で免疫組織化学染色して、カイニン酸誘導性のミクログリア活性化を確認した(図2.1D及びH、2.2D及びH)。カイニン酸処理ラットのオートラジオグラフィーシグナルは、主に海馬部位に位置し、免疫組織化学シグナルと一致した(図2.1D〜E及び図2.2D〜E)。[18F]−2d及び[18F]−5dの結合の特異性を判定するために、各カイニン酸処理ラットに、[19F]−2e及び[19F]−5eを共注射した。これらのラットの各脳領域におけるオートラジオグラフィーシグナルは顕著に減少しており(図2.1B及び2.2B)、一方、ミクログリアの活性化が、Ox−42染色による脳切片において確認された(図2.1F〜G及び2.2F〜G)。擬似処理対照は、[18F]−2d or [18F]−5dの注射を受けたが、海馬又は構成的にPBRを発現する他のいずれかの脳の部位における顕著なオートラジオグラフィーシグナルを示さなかった(図2.1C及び2.2C)免疫組織化学により、活性化ミクログリアの欠如が確認された(図2.1H〜I及び2.2H〜I)。脳室内のオートラジオグラフィーシグナルは、上衣及び脈絡叢細胞のPBRの既知の構成的発現のためである。
【0172】
前記オートラジオグラフィーシグナルは、定量された。海馬の関心領域(ROI)のシグナル強度が測定され、参照領域として使用される小脳のROIと比較された。シグナル対バックグラウンドの比率は、海馬/小脳の比率(表3、図3)として表現され、これは、[18F]−FEDAA1106(1.2±0.2)及び[18F]−DPA−714(2.4±0.5)と比較して、5d(3.0±0.9)及び5e(5.6±1.8)において高かった。
【0173】
驚くべきことに、[18F]−2d及び[18F]−5dにより誘導されるシグナル対バックグラウンドの比率、及びそれらの脳からの除去は、[18F]−FEDAA1106(3)及び[18F]−DPA−714(1.2)等の既知の物質よりも優れており(表3)、一方、4つの化合物のいずれも、CBR(中枢ジアゼピン受容体)とは結合しない、高親和性のPBRリガンドである(表4)。
【0174】
表1.1:正常マウスにおける[18F]−2d注射後の尿及び糞を介しての[18F]−放射能の排出を、ガンマカウンターで検出し、%注射用量で表した。
【表1.1】
【0175】
表1.2:正常マウスにおける[18F]−5d注射後の尿及び糞を介しての[18F]−放射能の排出を、ガンマカウンターで検出し、%注射用量で表した。
【表1.2】
【0176】
表2.1:正常マウスにおける[18F]−2d注射後の、異なるタイムポイントにおける[18F]−放射能の生体内分布を、各組織においてガンマカウンターで検出し、%注射用量で表した(タイムポイントあたりn=3)。該異なる組織におけるトレーサーの取り込みは、PBRの既知の局所的な構成的発現と一致している。
【表2.1】
【0177】
表2.2:正常マウスにおける[18F]−5d注射後の、異なるタイムポイントにおける[18F]−放射能の生体内分布を、各組織においてガンマカウンターで検出し、%注射用量で表した(タイムポイントあたりn=3)。該異なる組織におけるトレーサーの取り込みは、PBRの既知の局所的な構成的発現と一致している。
【表2.2】
【0178】
表3:[18F]−2d、[18F]−5d、[18F]−FEDAA1106(3)及び[18F]−DPA−714(1.2)の様々なパラメーターを比較した。
【表3】
【0179】
表4:[19F]−2e、[19F]−5e、[19F]−FEDAA1106及び[19F]−DPA−714の様々なパラメーターを比較した。
【表4】
【0180】
特に、本発明は、以下のものに関する。
【0181】
1.
式I
【化42】
[式中、
R1及びR2は、独立して、そして個別に、その都度、(G3)アリール、置換(G3)アリール、(G3−(C1−C8)アルキル)アリール、(G3−(C1−C8)アルコキシ)アリール、(G3−(C2−C8)アルキニル)アリール、(G3−(C2−C8)アルケニル)アリール、置換(G3−(C1−C8)アルキル)アリール、置換(G3−(C1−C8)アルコキシ)アリール、置換(G3−(C2−C8)アルキニル)アリール、及び置換(G3−(C2−C8)アルケニル)アリールからなる群から選択され;
G1、G2及びG3は、独立して、そして個別に、その都度、水素及びLからなる群から選択され、
但し、式Iの化合物は必ず1つのLを含み;
Lは、R3、[18F]フルオロ及び[19F]フルオロからなる群から選択され;
R3は離脱基であり;
ここでnは0〜6の整数である]
の化合物、該化合物の全ての立体異性体、例えば、例えば、限定されないが該化合物のエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びにラセミ混合物等、並びにそれらの医薬として許容される塩、エステル、アミド、複合体又はプロドラッグ。
【0182】
2.
R3は、−I+(アリール)(X−)、−I+(ヘテロアリール)(X−)、ニトロ、−N+(Me)3(X−)、ハロ、具体的にはクロロ、ブロモ及びヨード、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ、ノナ−フルオロブチルスルホニルオキシ、(4−ブロモ−フェニル)スルホニルオキシ、(4−ニトロ−フェニル)スルホニルオキシ、(2−ニトロ−フェニル)スルホニルオキシ、(4−イソプロピル−フェニル)スルホニルオキシ、(2,4,6−トリ−イソプロピル−フェニル)スルホニルオキシ、(2,4,6−トリメチル−フェニル)スルホニルオキシ、(4−tertブチル−フェニル)スルホニルオキシ、及び(4−メトキシ−フェニル)スルホニルオキシからなる群から選択される、カウント1に記載の化合物。
【0183】
3.
X−が、無機酸のアニオン及び有機酸のアニオンからなる群から選択される、カウント2に記載の化合物。
【0184】
4.
X−が、CF−3S(O)2O−、C4F−9S(O)2O−、CF3COO−、H3CCOO−、ヨウ化物アニオン、シュウ化物アニオン、塩化物アニオン、過塩素酸アニオン(ClO4−)、及びリン酸アニオンからなる群から選択される、カウント3のいずれかの化合物。
【0185】
5.
【化43】
【化44】
【化45】
【化46】
【化47】
からなる群から選択される、カウント1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【0186】
6.
【化48】
で表される化合物。
【0187】
7.
【化49】
で表される化合物。
【0188】
8.
Lがフルオロではない、特に[18F]フルオロ及び[19F]フルオロではない、カウント1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【0189】
9.
Lが[18F]フルオロである、カウント1〜4のいずれか1項に記載の化合物、又は、メシルオキシ基及びトシルオキシ基が[18F]フルオロで置換されている、カウント5、6若しくは7のいずれか1項に記載の化合物。
【0190】
10.
Lが[19F]フルオロである、カウント1〜4のいずれか1項に記載の化合物、又は、メシルオキシ基及びトシルオキシ基が[19F]フルオロで置換されている、カウント5、6若しくは7のいずれか1項に記載の化合物。
【0191】
11.
カウント1〜8のいずれか1項に記載の化合物をF−フッ素化剤と反応させ、ここでF=18F又は19Fである、カウント9又は10に記載の化合物を合成する方法。
【0192】
12.
F−フッ素化剤が、F−アニオン、好ましくは、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]−ヘキサコサンKF、即ちクラウンエーテル塩、Kryptofix KF、KF、HF、KHF2、CsF、NaF及びFのテトラアルキルアンモニウム塩、例えば[18F]テトラブチルフッ化アンモニウム等からなる化合物であり、ここでF=18F又は19Fである、カウント11に記載の方法。
【0193】
13.
式VI
【化50】
[式中、
R10は、(C1−C6)アルキル及び水素からなる群から選択され;
R16は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択され;
A3及びA4は、同一又は異なるもので、そして(R12)(R4)(R5)フェニルの構造をとり;
R12は、R13及び水素からなる群から選択され;
R13はヒドロキシであり;
但し、式VIの化合物は、必ず1つのR13を含み;
R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択される]
の化合物、該化合物の全ての立体異性体、例えば、限定されないが該化合物のエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びにラセミ混合物等、並びにそれらの医薬として許容される塩、エステル、アミド、複合体又はプロドラッグ。
【0194】
14.
以下の工程:
−F−フッ素化剤を用いて式V
【化51】
の化合物をF−フッ素化して、式IV
【化52】
の化合物を取得する工程、
−式IVの化合物を、式VI
【化53】
の化合物で置換する工程
からなり、ここで、
式IVのFは[18F]フルオロ又は[19F]フルオロであり、
aは0〜5の整数であり、
Bは離脱基であり、
R10は(C1−C6)アルキル及び水素からなる群から選択され;
R16は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択され;
A3及びA4は、同一又は異なるもので、そして(R12)(R4)(R5)フェニルの構造をとり;
R12は、R13及び水素からなる群から選択され;
R13はヒドロキシであり、
但し、式VIの化合物は、必ず1つのR13を含み;
R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択される]
の化合物、該化合物の全ての立体異性体、例えば、限定されないが該化合物のエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びにラセミ混合物等、並びにそれらの医薬として許容される塩、エステル、アミド、複合体又はプロドラッグであり、
そして、
該F−フッ素化剤はカウント10に記載のものであり、
そしてF=18F又は19Fであり、
但し、式VIの化合物は、必ず1つのR13を含む、
カウント9又はカウント10のいずれかに記載の化合物の合成方法。
【0195】
15.
Bが、ヨード、ブロモ、クロロ、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ、及びノナ−フルオロブチルスルホニルオキシからなる群から選択される、カウント14に記載の方法。
【0196】
16.
カウント1〜10及び13のいずれか1項に記載の化合物、並びに医薬として許容される担体又は希釈剤からなる組成物。
【0197】
17.
前記化合物がカウント9の化合物である、カウント16の組成物。
【0198】
18.
前記化合物がカウント10の化合物である、カウント16の組成物。
【0199】
19.
前記化合物がカウント8の化合物である、カウント16の組成物。
【0200】
20.
前記化合物がカウント13の化合物である、カウント16の組成物。
【0201】
21.
医薬又若しくは診断剤、又は造影剤としての、カウント1〜10のいずれか1項に記載の化合物、好ましくはカウント8若しくは9、31若しくは32のいずれか1項に記載の化合物、又はカウント16、17、18、19、20又は36のいずれか1項に記載の組成物。
【0202】
22.
中枢神経系(CNS)の疾患を処置及び/又は診断及び/又は造影する医薬品を製造するための、カウント1〜10のいずれか1項に記載の化合物、好ましくはカウント9、10、31若しくは32のいずれか1項に記載の化合物、又はカウント16、17、18、19又は20のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【0203】
23.
特に中枢神経系の疾患用の診断剤又は造影剤として使用する、カウント9、31若しくは32の化合物、又はカウント17若しくは36の組成物。
【0204】
24.
所定の量の、
a)カウント5又はカウント8、
b)カウント13、又は
b)カウント14〜15のいずれかに定義された式V及びVI
の化合物を含む、密閉バイアルからなるキット。
【0205】
25.
好ましくは患者の中枢神経系の疾患を造影するための、患者の体内の末梢ベンゾジアゼピン受容体(移行タンパク質)の存在を検出する方法であり:
患者の体内に、検出可能な量の、カウント9、32、又は33のいずれか1項に記載の化合物、又はカウント17又は36のいずれかに記載の組成物を導入する工程、
及び陽電子放出断層撮影(PET)により、該化合物又は組成物を検出する工程
からなる、前記方法。
【0206】
好ましくは、前記中枢神経系の疾患は、アルツハイマー症、認知症、多発性硬化症、及び筋萎縮性側索硬化症である。
【0207】
26.
中枢神経系の疾患を処置する方法であり、適量の、カウント1〜10及び13のいずれか1項に記載の化合物、好ましくはカウント9又は10のいずれかに記載の化合物を、患者に導入する工程からなる、前記方法。
【0208】
好ましい中枢神経系の疾患は、アルツハイマー症、認知症、多発性硬化症、及び筋萎縮性側索硬化症である。
【0209】
27.
神経変性疾患の処置に有用な治療剤の患者に対する治療効果をモニタリングする方法であり、該薬剤で処理された患者を、カウント9、32又は33のいずれか1項に記載の化合物を使用して造影することによる、前記方法。
【0210】
前記造影の方法は、好ましくはPETである。
【0211】
神経変性疾患を有する哺乳類における治療に対する応答をモニタリングする方法であり、以下の工程
a) カウント9、32又は33のいずれか1項に記載の放射性ラベル末梢ベンゾジアゼピン受容体リガンドを使用して哺乳類を造影する工程、
b) 治療を必要とする哺乳類に、神経変性疾患の治療に適した1つ以上の薬剤を投与する工程、
c) 工程b)の哺乳類を、a)の化合物を使用して造影する工程、
d) 放射性ラベル末梢ベンゾジアゼピン受容体リガンドにより取得されたシグナルを使用してCNSの神経炎症のレベルを比較する工程
を含む、前記方法。
【0212】
29.
工程a)、b)及び/又はc)が必要に応じて繰り返される、カウント25に記載の方法。
【0213】
カウント26〜28に記載の神経変性疾患は、好ましくは、アルツハイマー症、認知症、多発性硬化症、及び筋萎縮性側索硬化症からなる疾患の群から選択される。
【0214】
18Fがヨード(I−123等)で置換された、カウント9、32又は33のいずれか1項に記載の化合物、及び関連する誘導体。これらの化合物は、SPECTアプリケーション用の造影剤として適切である。
【0215】
31.
カウント27に記載の化合物の、SPECTアプリケーションにおける使用。
【0216】
32.
以下の構造
【化54】
を有する、カウント9に記載の化合物。
【0217】
33.
以下の構造
【化55】
を有する、カウント9に記載の化合物。
【0218】
34.
診断用化合物としての、カウント32及び33のいずれかに記載の化合物。
【0219】
35.
アルツハイマー症のPET造影に有用な診断用化合物としての、カウント32及び33のいずれかに記載の化合物。
【0220】
カウント32及び33のいずれかに記載の化合物を含む、医薬用又は診断用組成物。
【0221】
アルツハイマー症のPET造影用の、カウント36に記載の診断用組成物。
【0222】
カウント32又は33のいずれかに記載の化合物を含む、密封バイアルを備えたキット。
【0223】
39.
カウント9に記載の化合物を含む、医薬用又は診断用組成物。
【0224】
40.
PET造影用のカウント9に記載の化合物を含む、診断用組成物。
【0225】
41.
神経又はCNS疾患の造影用の、カウント40に記載の診断用組成物。
【0226】
42.
前記疾患がアルツハイマー症である、カウント41に記載の診断用組成物。
【0227】
43.
適切な前駆分子を、F−18フッ素化剤と反応させる工程を含む、カウント32又は33のいずれかに記載の化合物を合成する方法。
【0228】
44.
以下の式
【化56】
を有する化合物を、F−18フッ素化剤でフッ素化する工程を含む、カウント33に記載の化合物を合成する方法。
【0229】
更に、カウント9、10、31若しくは32に記載の化合物、又はカウント17若しくは36に記載の組成物は、関節リウマチの診断に有用である。好ましい態様において、関節リウマチの診断方法は、PET造影である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】
[式中、
R1及びR2は、独立して、そして個別に、その都度、(G3)アリール、置換(G3)アリール、(G3−(C1−C8)アルキル)アリール、(G3−(C1−C8)アルコキシ)アリール、(G3−(C2−C8)アルキニル)アリール、(G3−(C2−C8)アルケニル)アリール、置換(G3−(C1−C8)アルキル)アリール、置換(G3−(C1−C8)アルコキシ)アリール、置換(G3−(C2−C8)アルキニル)アリール、及び置換(G3−(C2−C8)アルケニル)アリールからなる群から選択され;
G1、G2及びG3は、独立して、そして個別に、その都度、水素及びLからなる群から選択され、
但し、式Iの化合物は必ず1つのLを含み;
Lは、R3、[18F]フルオロ及び[19F]フルオロからなる群から選択され;
R3は離脱基であり;
ここでnは0〜6の整数である]
の化合物、該化合物の全ての立体異性体、例えば、限定されないが該化合物のエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びにラセミ混合物等、並びにそれらの医薬として許容される塩、エステル、アミド、複合体又はプロドラッグ。
【請求項2】
R3は、−I+(アリール)(X−)、−I+(ヘテロアリール)(X−)、ニトロ、−N+(Me)3(X−)、ハロ、具体的にはクロロ、ブロモ及びヨード、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ、ノナ−フルオロブチルスルホニルオキシ、(4−ブロモ−フェニル)スルホニルオキシ、(4−ニトロ−フェニル)スルホニルオキシ、(2−ニトロ−フェニル)スルホニルオキシ、(4−イソプロピル−フェニル)スルホニルオキシ、(2,4,6−トリ−イソプロピル−フェニル)スルホニルオキシ、(2,4,6−トリメチル−フェニル)スルホニルオキシ、(4−tertブチル−フェニル)スルホニルオキシ、及び(4−メトキシ−フェニル)スルホニルオキシからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
X−が、無機酸のアニオン及び有機酸のアニオンからなる群から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
X−が、CF−3S(O)2O−、C4F−9S(O)2O−、CF3COO−、H3CCOO−、ヨウ化物アニオン、シュウ化物アニオン、塩化物アニオン、過塩素酸アニオン(ClO4−)、及びリン酸アニオンからなる群から選択される、請求項3のいずれかの化合物。
【請求項5】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
【化7】
で表される化合物。
【請求項7】
【化8】
で表される化合物。
【請求項8】
Lが[18F]フルオロである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物、又は、メシルオキシ基及びトシルオキシ基が[18F]フルオロで置換されている、請求項5、6若しくは7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
Lが[19F]フルオロである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物、又は、メシルオキシ基及びトシルオキシ基が[19F]フルオロで置換されている、請求項5、6若しくは7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物をF−フッ素化剤と反応させ、ここでF=18F又は19Fである、請求項8又は9に記載の化合物を合成する方法。
【請求項11】
F−フッ素化剤が、F−アニオン、好ましくは、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]−ヘキサコサンKF、即ちクラウンエーテル塩、Kryptofix KF、KF、HF、KH F2、CsF、NaF及びFのテトラアルキルアンモニウム塩、例えばN(ブチル)4F(テトラブチルフッ化アンモニウム)等からなる化合物であり、ここでF=18F又は19Fである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式VI
【化9】
[式中、
R10は、(C1−C6)アルキル及び水素からなる群から選択され;
R16は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択され;
A3及びA4は、同一又は異なるもので、そして(R12)(R4)(R5)フェニルの構造をとり;
R12は、R13及び水素からなる群から選択され;
R13はヒドロキシであり、
但し、式VIの化合物は、必ず1つのR13を含み;
R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択される]
の化合物、該化合物の全ての立体異性体、例えば、限定されないが該化合物のエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びにラセミ混合物等、並びにそれらの医薬として許容される塩、エステル、アミド、複合体又はプロドラッグ。
【請求項13】
請求項8又は請求項9のいずれかに記載の化合物の合成方法であり、以下の工程:
−F−フッ素化剤を用いて式V
【化10】
の化合物をF−フッ素化して、式IV
【化11】
の化合物を取得する工程、
−式IVの化合物を、式VI
【化12】
の化合物で置換する工程
からなり、ここで、
式IVのFは[18F]フルオロ又は[19F]フルオロであり、
aは0〜5の整数であり、
Bは離脱基であり、
R10は(C1−C6)アルキル及び水素からなる群から選択され;
R16は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択され;
A3及びA4は、同一又は異なるもので、そして(R12)(R4)(R5)フェニルの構造をとり;
R12は、R13及び水素からなる群から選択され;
R13はヒドロキシであり、
但し、式VIの化合物は、必ず1つのR13を含み;
R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択され;
合成される化合物は、全ての立体異性体、例えば、限定されないが該化合物のエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びにラセミ混合物等、並びにそれらの医薬として許容される塩、エステル、アミド、複合体又はプロドラッグのいずれかであり、
そして、
該F−フッ素化剤は請求項10に記載のものであり、
そしてF=18F又は19Fであり、
但し、式VIの化合物は、必ず1つのR12を含み、それはヒドロキシルである、
前記合成方法。
【請求項14】
Bが、ヨード、ブロモ、クロロ、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ、及びノナ−フルオロブチルスルホニルオキシからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜9及び12のいずれか1項に記載の化合物、並びに医薬として許容される担体又は希釈剤からなる組成物。
【請求項16】
医薬用若しくは診断用薬剤、又は造影剤(imaging agent)としての、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物、又は請求項15のいずれかの組成物。
【請求項17】
診断用薬剤又は造影剤として、特に中枢神経系の疾患に使用される、請求項8に記載の化合物、又は請求項8に記載の化合物を含む請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
密封バイアルからなるキットであり、該密封バイアルが、所定の量の、
a)請求項5の、若しくはLがフルオロではない請求項1〜4のいずれか1項の化合物
b)請求項12の化合物、又は
b)請求項12〜13のいずれかに定義された式V及びVIの化合物
を含む、前記キット。
【請求項19】
患者の体内の末梢ベンゾジアゼピン受容体(移行(translocator)タンパク質)の存在を検出する方法であり:
患者の体内に、検出可能な量の、請求項8に記載の化合物、又は請求項8に記載の化合物を含む請求項15に記載の組成物を導入する工程、
及び陽電子放出断層撮影(PET)により、該化合物又は組成物を検出する工程
からなる、前記方法。
【請求項20】
下記
【化13】
【化14】
の構造を有する化合物からなる群から選択される化合物。
【請求項21】
【化15】
の構造を有する化合物。
【請求項22】
【化16】
の構造を有する化合物。
【請求項23】
請求項21又は22のいずれかに定義される化合物を含む、医薬用又は診断用組成物。
【請求項24】
請求項21若しくは22のいずれかに定義される化合物、又は請求項23に記載の医薬組成物を含む、密封バイアルを備えたキット。
【請求項1】
式I
【化1】
[式中、
R1及びR2は、独立して、そして個別に、その都度、(G3)アリール、置換(G3)アリール、(G3−(C1−C8)アルキル)アリール、(G3−(C1−C8)アルコキシ)アリール、(G3−(C2−C8)アルキニル)アリール、(G3−(C2−C8)アルケニル)アリール、置換(G3−(C1−C8)アルキル)アリール、置換(G3−(C1−C8)アルコキシ)アリール、置換(G3−(C2−C8)アルキニル)アリール、及び置換(G3−(C2−C8)アルケニル)アリールからなる群から選択され;
G1、G2及びG3は、独立して、そして個別に、その都度、水素及びLからなる群から選択され、
但し、式Iの化合物は必ず1つのLを含み;
Lは、R3、[18F]フルオロ及び[19F]フルオロからなる群から選択され;
R3は離脱基であり;
ここでnは0〜6の整数である]
の化合物、該化合物の全ての立体異性体、例えば、限定されないが該化合物のエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びにラセミ混合物等、並びにそれらの医薬として許容される塩、エステル、アミド、複合体又はプロドラッグ。
【請求項2】
R3は、−I+(アリール)(X−)、−I+(ヘテロアリール)(X−)、ニトロ、−N+(Me)3(X−)、ハロ、具体的にはクロロ、ブロモ及びヨード、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ、ノナ−フルオロブチルスルホニルオキシ、(4−ブロモ−フェニル)スルホニルオキシ、(4−ニトロ−フェニル)スルホニルオキシ、(2−ニトロ−フェニル)スルホニルオキシ、(4−イソプロピル−フェニル)スルホニルオキシ、(2,4,6−トリ−イソプロピル−フェニル)スルホニルオキシ、(2,4,6−トリメチル−フェニル)スルホニルオキシ、(4−tertブチル−フェニル)スルホニルオキシ、及び(4−メトキシ−フェニル)スルホニルオキシからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
X−が、無機酸のアニオン及び有機酸のアニオンからなる群から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
X−が、CF−3S(O)2O−、C4F−9S(O)2O−、CF3COO−、H3CCOO−、ヨウ化物アニオン、シュウ化物アニオン、塩化物アニオン、過塩素酸アニオン(ClO4−)、及びリン酸アニオンからなる群から選択される、請求項3のいずれかの化合物。
【請求項5】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
【化7】
で表される化合物。
【請求項7】
【化8】
で表される化合物。
【請求項8】
Lが[18F]フルオロである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物、又は、メシルオキシ基及びトシルオキシ基が[18F]フルオロで置換されている、請求項5、6若しくは7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
Lが[19F]フルオロである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物、又は、メシルオキシ基及びトシルオキシ基が[19F]フルオロで置換されている、請求項5、6若しくは7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物をF−フッ素化剤と反応させ、ここでF=18F又は19Fである、請求項8又は9に記載の化合物を合成する方法。
【請求項11】
F−フッ素化剤が、F−アニオン、好ましくは、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]−ヘキサコサンKF、即ちクラウンエーテル塩、Kryptofix KF、KF、HF、KH F2、CsF、NaF及びFのテトラアルキルアンモニウム塩、例えばN(ブチル)4F(テトラブチルフッ化アンモニウム)等からなる化合物であり、ここでF=18F又は19Fである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式VI
【化9】
[式中、
R10は、(C1−C6)アルキル及び水素からなる群から選択され;
R16は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択され;
A3及びA4は、同一又は異なるもので、そして(R12)(R4)(R5)フェニルの構造をとり;
R12は、R13及び水素からなる群から選択され;
R13はヒドロキシであり、
但し、式VIの化合物は、必ず1つのR13を含み;
R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択される]
の化合物、該化合物の全ての立体異性体、例えば、限定されないが該化合物のエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びにラセミ混合物等、並びにそれらの医薬として許容される塩、エステル、アミド、複合体又はプロドラッグ。
【請求項13】
請求項8又は請求項9のいずれかに記載の化合物の合成方法であり、以下の工程:
−F−フッ素化剤を用いて式V
【化10】
の化合物をF−フッ素化して、式IV
【化11】
の化合物を取得する工程、
−式IVの化合物を、式VI
【化12】
の化合物で置換する工程
からなり、ここで、
式IVのFは[18F]フルオロ又は[19F]フルオロであり、
aは0〜5の整数であり、
Bは離脱基であり、
R10は(C1−C6)アルキル及び水素からなる群から選択され;
R16は、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択され;
A3及びA4は、同一又は異なるもので、そして(R12)(R4)(R5)フェニルの構造をとり;
R12は、R13及び水素からなる群から選択され;
R13はヒドロキシであり、
但し、式VIの化合物は、必ず1つのR13を含み;
R4及びR5は、独立して、そして個別に、その都度、水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C1−C5)アルキル、(C2−C5)アルキニル)、(C2−C5)アルケニル及び(C1−C5)アルコキシからなる群から選択され;
合成される化合物は、全ての立体異性体、例えば、限定されないが該化合物のエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びにラセミ混合物等、並びにそれらの医薬として許容される塩、エステル、アミド、複合体又はプロドラッグのいずれかであり、
そして、
該F−フッ素化剤は請求項10に記載のものであり、
そしてF=18F又は19Fであり、
但し、式VIの化合物は、必ず1つのR12を含み、それはヒドロキシルである、
前記合成方法。
【請求項14】
Bが、ヨード、ブロモ、クロロ、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ、及びノナ−フルオロブチルスルホニルオキシからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜9及び12のいずれか1項に記載の化合物、並びに医薬として許容される担体又は希釈剤からなる組成物。
【請求項16】
医薬用若しくは診断用薬剤、又は造影剤(imaging agent)としての、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物、又は請求項15のいずれかの組成物。
【請求項17】
診断用薬剤又は造影剤として、特に中枢神経系の疾患に使用される、請求項8に記載の化合物、又は請求項8に記載の化合物を含む請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
密封バイアルからなるキットであり、該密封バイアルが、所定の量の、
a)請求項5の、若しくはLがフルオロではない請求項1〜4のいずれか1項の化合物
b)請求項12の化合物、又は
b)請求項12〜13のいずれかに定義された式V及びVIの化合物
を含む、前記キット。
【請求項19】
患者の体内の末梢ベンゾジアゼピン受容体(移行(translocator)タンパク質)の存在を検出する方法であり:
患者の体内に、検出可能な量の、請求項8に記載の化合物、又は請求項8に記載の化合物を含む請求項15に記載の組成物を導入する工程、
及び陽電子放出断層撮影(PET)により、該化合物又は組成物を検出する工程
からなる、前記方法。
【請求項20】
下記
【化13】
【化14】
の構造を有する化合物からなる群から選択される化合物。
【請求項21】
【化15】
の構造を有する化合物。
【請求項22】
【化16】
の構造を有する化合物。
【請求項23】
請求項21又は22のいずれかに定義される化合物を含む、医薬用又は診断用組成物。
【請求項24】
請求項21若しくは22のいずれかに定義される化合物、又は請求項23に記載の医薬組成物を含む、密封バイアルを備えたキット。
【図1】
【図1.1】
【図1.2】
【図2】
【図2.1A】
【図2.1B】
【図2.1C】
【図2.1D】
【図2.1E】
【図2.1F】
【図2.1G】
【図2.1H】
【図2.1I】
【図2.2A】
【図2.2B】
【図2.2C】
【図2.2D】
【図2.2E】
【図2.2F】
【図2.2G】
【図2.2H】
【図2.2I】
【図3】
【図1.1】
【図1.2】
【図2】
【図2.1A】
【図2.1B】
【図2.1C】
【図2.1D】
【図2.1E】
【図2.1F】
【図2.1G】
【図2.1H】
【図2.1I】
【図2.2A】
【図2.2B】
【図2.2C】
【図2.2D】
【図2.2E】
【図2.2F】
【図2.2G】
【図2.2H】
【図2.2I】
【図3】
【公表番号】特表2011−529929(P2011−529929A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521474(P2011−521474)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/005651
【国際公開番号】WO2010/015387
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(300049958)バイエル ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/005651
【国際公開番号】WO2010/015387
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(300049958)バイエル ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】
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