診療装置およびそのインスツルメントの管理制御方法
【課題】多種多様なインスツルメント20の接続が可能な診療装置9について、接続されたインスツルメント20を適切に動作させることができる診療装置9を提供し、利用者の利便性を向上することを目的とする。
【解決手段】インスツルメント20は、制御回路50により識別可能なRFIDタグTを備え、前記RFIDタグTを識別するRFIDリーダライタRWが前記制御回路50に接続して備えられ、前記制御回路50は、前記RFIDリーダライタRWにより識別した前記インスツルメント20に適したデフォルト設定7c等を取得し、該デフォルト設定7cに基づいてインスツルメント20を駆動する駆動制御回路33等の動作を制御する構成である診療装置9。
【解決手段】インスツルメント20は、制御回路50により識別可能なRFIDタグTを備え、前記RFIDタグTを識別するRFIDリーダライタRWが前記制御回路50に接続して備えられ、前記制御回路50は、前記RFIDリーダライタRWにより識別した前記インスツルメント20に適したデフォルト設定7c等を取得し、該デフォルト設定7cに基づいてインスツルメント20を駆動する駆動制御回路33等の動作を制御する構成である診療装置9。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば複数のインスツルメントを取り替えて用いるような診療装置や、複数のハンドピースを取り替えて用いるマイクロモータを備えた診療装置、およびそのインスツルメントまたはハンドピースの管理制御方法に関し、特に歯科で歯や骨の切削や研磨といった診療に用いられるインスツルメントまたはハンドピースの取り替え管理制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯科の診療では、様々なインスツルメントを取り替えて接続し、使用する診療装置が利用されている。ここでいうインスツルメントは、様々な種類が存在しており、その駆動力もモータ、エア、超音波振動子の振動、レーザといった様々な動力が用いられる。
【0003】
また、駆動力としてモータを用いるものに、該モータに接続されるモータ用のハンドピースがある。
このモータに接続されるハンドピースは、さらに、形状や動作によって多種類のものが存在している。形状別の種類としては、コントラアングルハンドピース、ストレートハンドピースといったものがある。また、動作別の種類としては、20分の1減速、等速、5倍速といった加減速比の異なるものがある。これらのハンドピースは、マイクロモータに装着されるものであり、それぞれに応じた動作の設定と制御、及び設定値の表示を必要とするものである。本願においては、このようなハンドピースとマイクロモータの組み合わせをもインスツルメントと呼ぶ。
【0004】
他にも、インスツルメントには、エアチューブに接続されるエアタービンやエアスケーラー、電線チューブを介してコントロールボックスに接続される超音波スケーラー、導波路を介して治療用レーザ発生器に接続されるレーザハンドピースなどが診療装置に接続されるインスツルメントとして使用され、さらにはそれらタービンやスケーラーに装着される診療工具や、レーザハンドピースの先端に接続されるレーザ照射チップにも様々な種類がある。本願においては、このような診療工具やレーザ照射チップが装着された状態のハンドピースをもインスツルメントと呼ぶ。
【0005】
このように、駆動される方式(回転、振動、光)、動力、形状、種類などによって多岐に渡る種類の存在するインスツルメントは、治療ユニットや制御ボックスなどの診療装置本体に設けられた複数の接続チューブに適宜接続して用いられる。そして、接続チューブからは、接続されたインスツルメントに応じた、あるいはインスツルメントの一部を為すハンドピースや診療工具の組み合わせに応じた動力が適切な設定で付与される。このため、診療装置のどの接続チューブにどのインスツルメントが接続されているか、インスツルメントの一部としてどのハンドピースが装着されているか、どの接続チューブが診療装置本体側接続部のうちどの接続端部に接続されているのか、さらには、そのインスツルメントあるいはハンドピースに対応してどの動力をどの程度供給するかを正しく管理することが非常に重要である。
【0006】
このようなインスツルメントを管理制御するものとして、積極的に自己識別信号を発して装置本体にインスツルメントを特定させる識別型のインスツルメント体と診療装置が提案されている(特許文献1参照)。この特許文献には、インスツルメント体に応じた制御情報を装置本体が有していること、装置本体内の回路を特定したインスツルメント体に適した駆動回路に装置本体内の回路を切り替えることが記載されている。
【0007】
また、器具ヘッド、器具延長部、器具結合器、ホース、ホース結合器、及び基本装置への対抗結合器部材にそれぞれ抵抗を内蔵しておき、この抵抗を識別回路要素とするホースの識別の方法が開示されている(特許文献2参照)。この特許文献には、抵抗値の違いによってホースやホースに接続された各種器具を識別することが記載されている。
【0008】
また、ハンドピース内部に操作パラメータを記憶する不揮発性メモリを備え、この操作パラメータを制御卓が読み込んで適正に動作させる電動外科用器具システムが提案されている(特許文献3参照)。
【0009】
また、アクセサリ(ハンドピース先端に装着される診療工具)内に補助的なコイルを設け、このコイルによる誘導的結合によってアクセサリのデータを読み込み、このデータに基づいて装着したアクセサリに応じた適切な方法で電動ハンドピースを駆動させる電動ハンドピースを備えた外科用器具システムが提案されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−035009号公報
【特許文献2】特公平08−000115号公報
【特許文献3】特表2001−500031号公報
【特許文献4】特開2005−324060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上述した各特許文献には、単純な識別と制御の開示しかなく、インスツルメントやインスツルメントの一部を為すハンドピースの細やかな具体的パラメータについて開示されていない。詳述すると、様々なインスツルメントや接続されたハンドピースを適切に動作させ、その動作設定、動作状況を表示するためには、モータ用コントラアングルの加減速比を認識し、それに合わせたトルク設定(オートリバース制御のための基準トルク設定)、レーザ照射チップの限界出力といった細かな具体的パラメータを設定する必要があるが、上述した各特許文献には、このような具体的パラメータに対する考慮がなかった。例えば、モータが接続されていることを検出して、モータ駆動回路を動作させることはできても、交換接続されたハンドピースの加減速比に合わせてトルク設定すなわち負荷電流値設定を変更し、加減速比によって基準トルクの誤差が生じないようハンドピースに応じた是正を自動的に行う、という考慮がなかった。
【0012】
このため、例えばコントラアングルハンドピースをモータに接続した後に、そのコントラアングルハンドピースの仕様(加減速比)に応じた設定値の是正が自動的には行われないため、術者は、その加減速比に応じて手動で基準トルク等の設定を変更する必要があった。
従って、種類が多く、また同じ種類であっても制御駆動の条件が異なる様々なハンドピースに対応するためには不足するという問題があった。
【0013】
この発明は、上述した問題に鑑み、多種多様なインスツルメントの接続が可能な診療装置について、あるいはインスツルメントの一部を為すようハンドピースが装着される診療装置について、接続されたインスツルメントや装着されたハンドピースを、適切に動作させたり適切な設定を表示したりすることができる診療装置を提供し、利用者の利便性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、診療に用いられるハンドピースを備えたインスツルメントと、該インスツルメントが接続される接続チューブと、該接続チューブに接続されたインスツルメントを駆動する駆動部と、該駆動部を制御する制御部とを備えた診療装置であって、前記インスツルメントは、前記制御部により識別可能な識別体を備え、前記識別体を識別する識別手段が前記制御部に接続して備えられ、前記制御部は、前記識別手段により識別した前記インスツルメントに適した駆動制御情報を取得し、該駆動制御情報に基づいて前記駆動部の動作を制御する構成である診療装置であることを特徴とする。ここで、該駆動制御情報を、診療装置が前記識別体から読み込む構成とすることができる。
【0015】
前記インスツルメントは、カップリングを有する接続部材に装着されるエアタービンハンドピースやマイクロモータを有する接続部材に装着されるハンドピースといった種々のハンドピース、スケーラ、レーザハンドピース、光重合器、根管長測定器、口腔内カメラ、ポケット測定器、根管充填器、根管治療器などを備えたものとすることができる。
【0016】
前記診療装置は、インスツルメントを装置本体にチューブあるいはアダプタを介して接続し、そのインスツルメント体に水、エアー、電気、またはこれらの複数を供給して、診療(診断や治療)をするものである。この診療装置は、歯科用ユニットなどの歯科用の診療装置を始めとして、耳鼻咽喉科、産婦人科、泌尿器科、眼科などで用いられる診療装置が含まれる。
【0017】
診療装置が前記識別体から読み込む前記駆動制御情報は、最高回転数、初期設定回転数、回転数へのフートスイッチ踏込み量反映の有無、オートモード、オート制御作動のための基準トルク、ライトのON/OFF、注水のON/OFF、オートクレーブの済/未、オートクレーブ回数履歴、総使用時間、オートリバース回数履歴、形状種別(ストレート/コントラアングル)、加減速比、エアタービンハンドピースのヘッドサイズ最高回転数、またはベアリングタイプ等とすることができ、これらの複数とすることができる。
【0018】
また、駆動制御情報は、ハンドピースがカップリングに固定された一体型のインスツルメントであればインスツルメント全体の駆動制御情報とすることができ、インスツルメント本体部(例えばマイクロモータを有する接続部材)とハンドピースとを分離可能な分離型のインスツルメントであればインスツルメント本体部の駆動制御情報とハンドピースの駆動制御情報とすることができ、また、ハンドピース部分のヘッド部とネック部とを分離可能なヘッド部分離型のハンドピースを供えたインスツルメントであればヘッド部の識別情報とネック部の識別情報とすることができる。
【0019】
この発明により、接続チューブに接続されたインスツルメントや、インスツルメントの一部を為すよう装着されたハンドピースを自動的に識別でき、該インスツルメントや、装着されたハンドピースに適した設定で駆動させることができる。従って、人為的な設定ミスや、不適切な設定値で駆動させてインスツルメントまたはインスツルメントの一部を為すハンドピースを破損させること、あるいは、人為的な設定ミスや不適切な設定値で出力不足になり治療が非効率的になることを防止できる。
【0020】
この発明の態様として、前記識別体と、前記接続チューブに接続可能なチューブ側接続部と、前記識別体を有しないインスツルメントに接続可能なインスツルメント側接続部とを有するアダプタを備え、前記制御部は、前記アダプタの識別体を前記識別手段により識別した場合、該識別体に対応する駆動制御情報を取得し、該駆動制御情報に基づいて前記駆動部の動作を制御する構成とすることができる。
【0021】
前記識別体に対応する駆動制御情報は、アダプタに接続されるべきインスツルメントに関する設定値とすることができ、前記インスルメントの駆動制御情報と同一とすることもできる。アダプタとインスツルメントとは、一対一に対応するものとなるため、このアダプタ上には、アダプタに接続される対象であるインスツルメントの種類を視認可能に表示する接続対象表示部が設けられることが好ましい。
この態様により、識別体を備えていないインスツルメントについても、接続チューブを介して診療装置本体に接続された際に識別することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記制御部は、前記識別手段により識別したインスツルメントに関連するインスツルメント関連情報を取得する構成であり、該インスツルメント関連情報を表示する表示部を備えることができる。
【0023】
前記インスツルメント関連情報は、インスツルメントの種類と前記駆動制御情報の少なくともいずれかとすることができる。例えば、タービン、モータといった種類を表示したり、モータに接続されるハンドピースの仕様(加減速比等)を表示したり、ハンドピースの仕様(加減速比)に応じて自動的に設定された回転数を表示したりすることができる。
【0024】
この態様により、術者は表示部を見ることでインスツルメント関連情報を確認できる。従って、診療装置にインスツルメントが正しく認識されているか確認することができる。また、駆動制御情報を表示部に表示した場合には、該駆動制御情報を確認するとともに適宜の操作手段によって設定変更することができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記インスツルメントを保持するホルダを複数備え、各ホルダに、保持している前記インスツルメントの取り出しを検出する取出検出手段を備え、前記制御手段は、該取出検出手段により前記インスツルメントの取り出しを検出すると、取出検出したインスツルメントのインスツルメント関連情報を前記表示部に表示する構成とすることができる機構と組み合わせると効果的である。
【0026】
前記ホルダは、長手形状のインスツルメントの基部側(接続チューブ側)の一部を挿入できる形状とすることができる。
【0027】
前記取出検出手段は、スイッチ、重量センサ、赤外線センサ、または近接センサなど、挿入されていたインスツルメントの取り出しを検出可能な適宜の手段で構成することができる。
【0028】
この態様により、術者がインツルメントを取り出すと、そのインスツルメントのインスツルメント関連情報が表示されるため、今まさに使用されようとしているインツルメントあるいはハンドピースの駆動制御の設定情報をすぐに確認する、あるいは変更するといったことができる。従って、手動操作を減少させることができて利便性が向上する。また、誤操作によって取り出したインスツルメントと表示部に表示している設定画面とが一致しなくなるといったことも防止できる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記識別体が、非接触IC媒体、誘導コイル、電気抵抗体、電気接点、マイクロスイッチ操作体、または磁石で構成され、前記識別手段が、非接触IC媒体リーダ、誘電コイル、電気抵抗測定手段、インピーダンス測定手段、電気接点スイッチ、マイクロスイッチ、または磁石有無判定手段で構成されることができる。
【0030】
非接触IC媒体は、アンテナとICチップとを備えて、メモリに記憶したデータを無線通信によって送信することができる媒体であり、RFID(Radio Frequency Identification)と呼ばれるものである。
【0031】
この態様により、適宜の方式でインスツルメント、インスツルメントの一部を為すよう装着されるハンドピース、あるいはアダプタに備えられた識別体を識別することができる。
【0032】
またこの発明の態様として、前記駆動制御情報を、タービンまたはモータの回転数、モータまたはモータ用ハンドピースの設定トルク、モータ用ハンドピースの加減速比、スケーラまたはレーザの出力、及び、モータ用ハンドピースや切削工具やスケーラ用チップやレーザ用チップ用途のいずれかとすることができる。
これにより、インスツルメントや、インスツルメントの一部を為すよう装着されるハンドピースについての具体的な設定や仕様を駆動制御情報として取得することができ、インスツルメントを適切に駆動させることができる。
【0033】
またこの発明の態様として、前記ハンドピースが、モータの回転駆動力を伝達するストレートハンドピースまたはコントラアングルハンドピースであり、前記インスツルメントが、マイクロモータを有する接続部材と前記ハンドピースとにより構成され、前記識別体が、前記ハンドピースに設けられ、前記駆動制御情報を、前記ストレートハンドピースまたはコントラアングルハンドピースの加減速比に応じて、回転数、負荷電流値、及び出力の少なくともいずれかの補正を行うためのものとすることができる。
この態様により、回転数や負荷電流値や出力といった重要な設定を適切に補正することができる。
【0034】
またこの発明の態様として、前記識別体が、前記ハンドピースにおいて前記接続部材との接続端面に設けられ、前記識別体より識別情報を受信する受信部材が、前記接続部材における前記ハンドピースとの接続端面に設けられる構成とすることができる。
これにより、前記識別体の情報を前記受信部材により非接触で良好に受信することができる。
【0035】
またこの発明の態様として、前記接続部材に接続可能な接続部材側接続部と、前記識別体を有しないハンドピースに接続可能なハンドピース側接続部とを有するアダプタを備え、該アダプタに、前記識別体を備えた構成とすることができる。
【0036】
これにより、ハンドピースが識別体を有しないものであっても、そのハンドピースに装着させる専用アダプタを介在させることで、自動識別可能なハンドピースとすることができる。
【0037】
またこの発明の態様として、新規に追加接続されるインスツルメントや、インスツルメントに新規に装着されるハンドピースに関する情報の入力を受け付ける入力受付手段を備えることができる。
前記入力受付手段は、情報を記憶する記憶媒体を読み取る記憶媒体読取装置、あるいは操作入力を受け付ける押下ボタンやタッチパネルモニタなど、適宜の手段で構成することができる。
【0038】
この態様により、追加接続されるインスツルメントや、インスツルメントに新規に装着されるハンドピースに関する情報を入力受け付け手段で受け付けることができ、容易にインスツルメントやハンドピースを新規登録することができる。
【0039】
またこの発明の態様として、前記駆動制御情報を記憶する記憶媒体を別途備え、前記入力受付手段が、前記記憶媒体に記憶されている前記駆動制御情報を読み取る構成とすることができる。
【0040】
記憶媒体としては、磁気カードやICカードやCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disk)といった接触型の記憶媒体、あるいは非接触IC媒体やバーコード付カードなどの非接触型の記憶媒体とすることができる。
【0041】
これにより、手入力せずとも駆動制御情報を入力受付手段で読み取ることができ、容易かつ確実に、新しいインスツルメントや、インスツルメントに新規に装着されるハンドピースの駆動制御情報を登録することができる。
【0042】
またこの発明の態様として、前記識別手段により識別不能なインスツルメントや、インスツルメントの一部を為すも識別不能なハンドピースを認識すると、前記制御部は、駆動停止する制御を実行する構成とすることができる。
【0043】
この態様により、識別できていないインスツルメントや、識別できていないハンドピースが装着されたインスツルメントを、不適切な設定で駆動することや不適切な駆動媒体(エアー、水、あるいは電気など)を供給するといったことを防止でき、インスツルメントの誤動作や破損、あるいは出力不足による非効率な治療を防止することができる。
【0044】
またこの発明の態様として、前記駆動停止の状態の解除を行う解除手段を備えることができる。
前記解除手段は、前記インスツルメントの駆動制御情報が登録された場合に駆動停止を解除する制御手段、あるいは人為的な操作によって一時的に駆動停止を解除する操作手段と制御手段など、適宜の手段で構成することができる。
【0045】
この態様により、駆動停止の状態を解除し、診療装置が認識していない新しいインスツルメントやハンドピースを、識別できていないことを使用者が認識した上で駆動することが可能になる。
【0046】
またこの発明は、診療に用いられるハンドピースを備えたインスツルメントと、該インスツルメントが接続される接続チューブと、該接続チューブに接続されたインスツルメントを駆動する駆動部と、該駆動部を制御する制御部とを備えた診療装置のインスツルメント管理制御方法であって、前記インスツルメントに前記制御部により識別可能な識別体が備えられ、前記制御部に接続して前記識別体を識別する識別手段が備えられ、前記制御部は、前記識別手段により識別した前記インスツルメントに適した駆動制御情報を取得し、該駆動制御情報に基づいて前記駆動部の動作を制御する診療装置のインスツルメント管理制御方法とすることができる。
【0047】
これにより、接続チューブに接続されたインスツルメントを識別でき、該インスツルメントに適した設定で駆動させることができる。従って、人為的な設定ミスや、不適切な設定値で駆動させてインスツルメントを破損させること、あるいは出力不足によって治療が非効率的になることを防止できる。特に、前記ハンドピースが、モータの回転駆動力を伝達するストレートハンドピースまたはコントラアングルハンドピースであり、前記インスツルメントが、前記ハンドピースとマイクロモータとよりなり、前記識別体が、前記ハンドピースに設けられ、前記駆動制御情報が、前記ストレートハンドピースまたはコントラアングルハンドピースの加減速比に応じて、回転数、負荷電流値、及び出力の少なくともいずれかの補正を行うためのものとすることができるのは、上述したとおりである。
【発明の効果】
【0048】
この発明により、多種多様なインスツルメントの接続が可能な診療装置について、あるいは、多種多様なハンドピースが装着されるインスツルメントを備えた診療装置について、接続チューブを介して接続されたインスツルメントや、インスツルメントの一部を為すよう装着されたハンドピースを、適切に動作させることができる診療装置を提供し、利用者の利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】診療設備の構成を示す斜視図。
【図2】識別型のインスツルメントを備えた診療装置の一例のブロック図。
【図3】インスツルメントの接続パターン例と識別の説明図。
【図4】メニュー表示用データと登録データのデータ構成の説明図。
【図5】各種のインスツルメントの設定データの例の説明図。
【図6】メインメニュー画面の画面構成図。
【図7】ハイスピードハンドピース(エアタービン)の設定画面の画面構成図。
【図8】ロースピードハンドピース(マイクロモータ)の設定画面の画面構成図。
【図9】インスツルメントの登録動作のフローチャート。
【図10】インスツルメント取り出し時の設定切替動作のフローチャート。
【図11】アダプタを用いた場合の概略構成の説明図。
【図12】マイクロモータとハンドピースの内部構成図。
【図13】アダプタを用いた場合の他例の概略構成の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0050】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0051】
図1は、診療設備1の構成を示す斜視図である。診療設備1は、ベースンユニット3、該ベースンユニット3にハンガーアーム2cを介して接続されるアシスタントハンガー2、診療椅子4、該診療椅子4の台となる診療基台6、および、該診療基台6に接続されたフートコントローラ5と診療装置9により構成されている。
【0052】
アシスタントハンガー2は、エアーや水の放出や吸引を行う補助器具2a,2bが取り出し可能に収納されるユニットである。このアシスタントハンガー2に収納されている補助器具2a,2bは、歯科診療の術者又はアシスタントによって使用され、口腔内の洗浄や吸引等に用いられる。
【0053】
ハンガーアーム2cは、アシスタントハンガー2を支持するアームである。このハンガーアーム2cが上下左右に屈曲可動することで、アシスタントハンガー2の高さや位置を適宜変更できるようになっている。
【0054】
ベースンユニット3は、うがい用の水を放出するノズル3bと、コップを載置するコップ載置部3cと、うがい後の水を受けるベースン3aとを備えている。
【0055】
診療椅子4および診療基台6は、術者の操作によって背面シート4bの傾動と診療椅子4の昇降を行う歯科診療台である。診療基台6には、油圧等による昇降装置(図示省略)が内蔵されており、診療椅子4は、この昇降装置に支持されている。診療椅子4は、ヘッドレスト4a、背面シート4b、および座面シート4cにより構成されている。背面シート4bは、座面シート4cに起伏自在に取り付けられ図示省略する油圧シリンダ等により傾動する。ヘッドレスト4aは、背面シート4bに対して固定あるいは距離・角度調節自在に装着されている。この傾動や昇降、距離・角度調節といった操作は、フートコントローラ5、あるいは診療装置9のタッチパネルモニタ53が術者に操作されることによって行われる。
【0056】
診療基台6には、主電源ボタン6aが設けられている。この主電源ボタン6aが足操作等によって押されると主電源ONとなる。
【0057】
フートコントローラ5は、操作ボタン5a〜5eと操作ペダル5fを備えた足踏操作ユニットである。術者によって操作ボタン5a〜5eや操作ペダル5fが踏まれると、入力信号を診療装置9へ送信する。これらの操作ボタン5a〜5eや操作ペダル5fの操作により、診療設備1は、インスツルメント20の駆動、インスツルメント20の注水のON/OFF切り替え、診療椅子4の昇降、背面シート4bの起伏等を実行する。
【0058】
診療装置9は、本体装置8、タッチパネルモニタ53、複数のインスツルメント20(20A〜20E)、およびインスツルメント20を保持するホルダ14(14A〜14E)により主に構成されている。
【0059】
タッチパネルモニタ53は、本体装置8の背面側に起立して設けられており、各種操作用の画面を表示し、術者によるタッチ入力を許容する。もちろん、タッチパネル式ではない表示機能のみのモニタとすることで、各種の画面を表示し、術者が設定操作を行うための情報を供給するものとしてもよい。
【0060】
本体装置8は、上面にトレーテーブル8cが設けられ、側面にカードスロット8dが設けられている。このカードスロット8dは、登録用記憶媒体7が挿入されると、該登録用記憶媒体7に記憶されているデータを読み取る。このデータには、本体装置8に接続されたことがない新しいインスツルメント20を使用可能にするように必要な識別データ、モジュール(モジュールプログラム)や設定データ等がある。
【0061】
トレーテーブル8cは、上面が平面であり、薬品や治療器具等を載置できるようになっている。トレーテーブル8cの前面は、表示部8aと操作ボタン8bが設けられている。これらの表示部8aと操作ボタン8bにより、タッチパネルモニタ53での操作入力と同様の操作を行うことができる。
【0062】
トレーテーブル8cの前面下方には、複数のホルダ14(14A〜14E)が設けられている。このホルダ14には、インスツルメント20(20A〜20E)が1つずつ収納され、該インスツルメント20の取り出しと収納を検知するセンサ13(図2参照)が設けられている。これにより、術者は、使用するインスツルメント20をホルダ14から取り出し、使用後に再度ホルダ14に収納することができ、センサ13はこの取り出しと収納を検知することができる。
【0063】
このホルダ14に収納されるインスツルメント20は、それぞれ接続チューブ27(27A〜27E)の一端に接続されており、この接続チューブ27の他端がトレーテーブル8cの下面に設けられている本体装置8の本体側接続部30(図2参照)に接続されている。
【0064】
接続されたインスツルメント20A〜20Eと接続チューブ27A〜2Eとホルダ14A〜14Eは、図1の符号でアルファベットA〜Eを付して示すようにそれぞれ1つずつ1対1対応している。従って、本体装置8は、それぞれのインスツルメント20A〜20Eと接続チューブ27A〜2Eとホルダ14A〜14Eをセットとして取り扱う。
【0065】
図2は、本発明の識別型のインスツルメント20を備えた診療装置9の一例を概念的に示すブロック図である。
診療装置9は、制御回路50に各部が接続されて構成されている。この制御回路50には、記憶部50aが設けられており、インスツルメント20を駆動制御するための各種プログラムやデータが記憶されている。
【0066】
まず、インスツルメント20の取り出し/収納を検出する検出系回路として、制御回路50に検出回路11が接続され、この検出回路11に複数のセンサ13(13A〜13E)が接続されている。センサ13は、各ホルダ14(図1参照)に1つずつ設けられており、スイッチや重量センサや赤外線センサや近接センサなど、インスツルメント20の取り出し/収納を検出できる適宜のセンサで構成されている。従って、そのホルダ14に対してインスツルメント20の取り出しや収納が行われると、センサ13によってこれを検出できる。検出した検出信号は、検出回路11に送られ、どのホルダ14に対応するインスツルメント20が取り出されたのか、あるいは収納されたのかが制御回路50へ伝達される。
【0067】
診療装置9は、インスツルメント20の駆動系として、制御回路50に駆動制御回路33が接続され、この駆動制御回路33にエアー回路35、水回路37、タービン駆動回路41、モータ駆動回路42、スケーラ駆動回路43、シリンダ駆動回路44、高速モータ駆動回路45、および低速モータ駆動回路46が接続されている。
【0068】
駆動制御回路33は、インスツルメント20(20A〜20F)に一対一対応で設けられた駆動回路41〜46の断接を行うと共に、必要に応じて、エアー回路35、水回路37を、インスツルメント20(20A〜20F)に接続切換する。
【0069】
エアー回路35は、エアー源57から加圧エアーの供給を受けて、インスツルメント20に必要なエアーを供給する。
【0070】
水回路37は、給水源58から水の供給を受けて、インスツルメント20に必要な水を供給する。
【0071】
タービン駆動回路41、モータ駆動回路42、スケーラ駆動回路43、シリンダ駆動回路44、高速モータ駆動回路45、および低速モータ駆動回路46は、外部電源59の供給を受け、接続されたインスツルメント20の種類に合わせた駆動媒体(エアー、水、電気など)をそれぞれ供給する。
【0072】
診療装置9は、接続切替系として、制御回路50に接続された駆動制御回路33に接続された本体側接続部30が設けられている。この本体側接続部30には、複数の接続端部31(31A〜31E)が設けられている。各接続端部31には、RFIDリーダライタRWがそれぞれ設けられている。
【0073】
各接続端部31には、複数存在する接続チューブ27(27A〜27F)のいずれかの基部側接続部29(29A〜29F)が選択的に接続される。各接続チューブ27の基部側接続部29付近には、それぞれRFIDタグTが設けられている。このRFIDタグTは、アンテナ(図示省略)とIC(図示省略)とで構成されており、接続端部31のRFIDリーダライタRWから誘導起電力を得て起動し、IC内のメモリに記憶しているIDなどのデータをRFIDリーダライタRWへ送信する。
【0074】
各接続チューブ27の先端側接続部28(28A〜28F)には、複数存在するインスツルメント20(20A〜20F)のいずれかが選択的に接続される。この先端側接続部28とインスツルメント20との接続、さらには、インスツルメントの一部を為すよう装着されるハンドピース(21a〜21c)についてもRFIDを用いた識別が行われる(後述の図3参照)。
【0075】
本体側接続部30は、各接続端部31に接続された接続チューブ27、インスツルメント20、およびハンドピース(21a〜21c)から識別データを取得し、該識別データを通信ラインにより識別手段32へ伝達する。
【0076】
識別手段32は、CPUやCICで構成されており、本体側接続部30から受信するデータにより、各接続端部31に接続された接続チューブ27、インスツルメント20、およびハンドピース(21a〜21c)を識別し、識別データを制御回路50へ伝達する。識別データを受け取った制御回路50は、各接続端部31に接続された接続チューブ27、インスツルメント20、およびハンドピース(21a〜21c)を識別して、適切な設定で各インスツルメント20を駆動させることができる。
【0077】
診療装置9は、入出力系として、入出力回路51が設けられ、該入出力回路51に記憶媒体リーダライタ52、タッチパネルモニタ53、およびフートコントローラ5が設けられている。
【0078】
記憶媒体リーダライタ52は、登録用記憶媒体7に記憶されたデータを読み取る。具体的には、未登録のインスツルメント20またはハンドピース(21a〜21c)の設定、仕様等を登録(インストール)する際に、登録用記憶媒体7がカードスロット8d(図1参照)に挿入され、この挿入された登録用記憶媒体7から選択ボタン画像7aや駆動制御プログラムのモジュール7bやデフォルト設定7c等を読み取る。
【0079】
タッチパネルモニタ53は、上述した表示と操作入力を実行し、フートコントローラ5は、上述した操作入力を受け付ける。
【0080】
図3は、接続チューブ27に接続されるインスツルメント20の接続パターン例と識別について説明する説明図である。
【0081】
インスツルメント20は、様々な構成のものが利用される。例えば、インスツルメント20aに示すように、ハンドピース21(21a,21b)と接続部材25(25a)とが接続されて構成されるものがある。接続部材25は、接続チューブ27から供給される駆動媒体(エアー、水、電気など)をハンドピース21へ搬送する通路を有しているものである。ハンドピース21は、エアスケーラ(21a)、超音波スケーラ(21a)、あるいはエアタービンハンドピース(21b)のように、先端のヘッド部分に取り付けられた診療工具を前記駆動媒体によって駆動させるものである。このハンドピース21は、接続部材25に対して自由に回転することができ、接続チューブ27の弾力による制約を軽減して高い操作性を有する。このため、術者は、ハンドピース21を把持して口腔内の様々な箇所に診療工具を当てて診療することができる。
【0082】
また、インスツルメント20bのように、接続部材25b、25cに装着されるハンドピース21cがさらにヘッド部22とネック部23とに分離できるものがある。このようなインスツルメント20bの一例として、接続部材25bが駆動媒体である電力を受けて回転力を生むモータであり、ハンドピース21cが該回転力を先端の診療工具に伝達する歯車内蔵ハンドピースである、という構成がある。他にも、例えば光照射器やレーザハンドピースのように、分離できないインスツルメント20cもある。これらのインスツルメント20の各接続部分に、RFIDタグTとRFIDリーダライタRWが設けられており、何が接続されたのか、どのハンドピース21が装着されたのか、識別できるようになっている。
【0083】
まず、接続チューブ27の先端側接続部28には、RFIDリーダライタRWが設けられている。この先端側接続部28には、様々なインスツルメント20に設けられる接続部材25(25a〜25c)若しくはインスツルメント20の基部側接続部26(26a〜26d)が選択的に接続される。
【0084】
この基部側接続部26(26a〜26d)には、RFIDタグTが設けられている。このため、基部側接続部26が先端側接続部28に接続されると、接続された基部側接続部26のRFIDタグTのデータがRFIDリーダライタRWによって読み取られる。
【0085】
接続部材25の先端側接続部24(24a,24b,24c)には、それぞれRFIDリーダライタRWが設けられている。このRFIDリーダライタRWは、接続チューブ27から供給される電気によって駆動する。
【0086】
ハンドピース21(21a,21b,21c)の基部側の接続部には、それぞれRFIDタグTが設けられている。このため、基部側の接続部が接続部材25に接続されると、接続されたハンドピース21のRFIDタグTのデータがRFIDリーダライタRWによって読み取られる。
【0087】
さらに、ヘッド部22とネック部23が分離する種類のハンドピース21cは、ヘッド部22の基部側の接続部にRFIDタグTが設けられ、ネック部23の先端側の接続部にRFIDリーダライタRWが設けられている。このRFIDリーダライタRWは、接続チューブ27から供給される電気によって駆動する。
【0088】
これにより、ヘッド部22がネック部23の先端側に接続されると、接続されたヘッド部22のRFIDタグTのデータがネック部23のRFIDリーダライタRWによって読み取られる。
【0089】
このようにして、接続チューブ27には様々なインスツルメント20が接続され、またインスツルメント20そのものもハンドピース本体21やヘッド部22の交換といったように適宜装着、接続される。
【0090】
図4は、制御回路50(図2参照)の記憶部50aに記憶されるメニュー表示用データ50bと登録データ50cのデータ構成を説明する説明図である。
【0091】
図4(A)に示すように、メニュー表示用データ50bは、番号、識別データ、選択ボタン画像、および駆動制御プログラムのモジュールのアドレスで構成されている。このメニュー表示用データ50bは、メインメニューに表示するインスツルメント20の選択ボタンの画像と、そのインスツルメント20が選択された場合に実行するそのインスツルメント20用の駆動制御プログラムのモジュールのアドレスを記憶した情報である。データのレコード数は、メインメニューで選択可能なインスツルメントの数と同一になる。
【0092】
図4(B)に示すように、登録データ50cは、番号、識別データ、選択ボタン画像、駆動制御プログラムのモジュールのアドレス、および設定データにより構成されている。
【0093】
識別データは、そのインスツルメント20や、インスツルメント20の一部を為すよう装着されたハンドピース21を識別するIDなどのデータである。選択ボタン画像および駆動制御プログラムのモジュールのアドレスは、上述したものと同一である。設定データは、そのインスツルメント20の駆動制御を行うための設定に関するデータであり、詳しくは図5と共に後述する。
【0094】
この登録データ50cに記憶されているデータの一部、すなわち接続チューブ27に接続されているインスツルメント20に対応するデータのみが、前記メニュー表示用データ50bに複製される。
【0095】
図5は、各種のインスツルメント20についての設定データの例を説明する説明図である。図5(A)〜図5(H)は、インスツルメント20やハンドピース21の種類毎に、設定の必要なデータ項目について説明している。この設定データの実際の設定値は、上述した登録データ50cの設定データ部分に記憶されている。
【0096】
図5(A)は、接続部材25a〜25cに設けられるマイクロモータの設定データの設定項目を示す。
【0097】
最高回転数の項目には、例えば40,000rpmといったように、マイクロモータの最高回転数を記憶する。
初期設定回転数の項目には、例えば10,000rpmといったように、マイクロモータの初期設定の回転数を記憶する。ここで、マイクロモータに装着されるハンドピースとの組み合わせによって、例えばハンドピースの加減速比に応じてマイクロモータの初期設定回転数を補正する。
【0098】
回転数へのフートスイッチ踏込み量反映の項目には、有(可変)または無(一定)のどちらかを記憶する。有(可変)であれば、フートコントローラ5の操作ペダル5fの踏み込み量によって回転数が変化し、無(一定)であれば操作ペダル5fの踏み込み量に関係なく一定の回転数で回転する。
【0099】
オートモードの項目には、オートリバース、ストップ、スローダウン、またはオートモードなしのいずれか1つが記憶される。選択可能なオートモードは、機種等によって異なる。
【0100】
オート制御作動のための基準トルクの項目には、例えば3.0Ncmといったように、オート制御作動する際の基準となるトルクを記憶する。ここで、マイクロモータに装着されるハンドピースとの組み合わせによって、例えばハンドピースの加減速比に応じて基準トルクに対応する基準電流値を補正する。
【0101】
ライトの項目には、ONまたはOFFを記憶する。
注水の項目には、ONまたはOFFを記憶する。
オートクレーブの項目には、済または未を記憶する。この記憶は、オートクレーブ装置(図示省略)にRFIDリーダライタを備え、オートクレーブ完了時にインスツルメント20のRFIDタグTにオートクレーブ済情報を書き込むとよい。なお、RFIDタグTに記憶するに限らず、インスツルメント20を接続チューブ27に接続した際にタッチパネルモニタ53や操作ボタン8bで手入力する構成にしてもよい。
【0102】
オートクレーブ回数履歴の項目には、当該インスツルメント20がオートクレーブされた回数を記憶する。
総使用時間の項目には、当該インスツルメント20が使用された総時間を記憶する。これにより使用可能な回数を超過していないかといった確認を行うことができる。
オートリバース回数履歴の項目には、劣化への影響が比較的大きいオートリバースの行われた回数を記憶する。
【0103】
図5(B)は、マイクロモータに接続されるハンドピース21cの設定データの設定項目を示す。
【0104】
形状種別の項目には、ストレートまたはコントラアングルを記憶する。
加減速比の項目には、例えば等速、5倍速、20分の1倍速といった加減速の比を記憶する。
【0105】
最高回転数の項目には、例えば5倍速の場合で200,000rpmといったように、加減速比に応じた最高回転数を記憶する。
初期設定回転数の項目には、例えば20分の1倍速の場合に400rpmといったように、加減速比に応じた初期設定回転数を記憶する。
【0106】
オート制御作動のための基準トルクの項目には、例えば20分の1倍速の場合には、基準トルクに対応する基準電流値として、等速ハンドピースの場合の概略20分の1とした補正値を記憶する。
【0107】
ライト、注水、オートクレーブ、オートクレーブ回数履歴、および総使用時間の各項目については、図5(A)の説明と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0108】
図5(C)は、エアタービンハンドピース(例えばハンドピース21b)の設定データの設定項目を示す。
【0109】
ヘッドサイズの項目には、通常、小児用小径ヘッド、高トルク大径ヘッドのいずれかが記憶される。
最高回転数の項目には、例えば400,000rpmといったように、エアタービンの最高回転数を記憶する。
【0110】
回転数へのフートスイッチ踏込み量反映の項目には、有(可変)または無(一定)を記憶する。
ベアリングタイプの項目には、例えばボールベアリングまたはエアベアリングといったように、ベアリングのタイプを記憶する。
【0111】
ライト、注水、オートクレーブ、オートクレーブ回数履歴、および総使用時間の各項目については、図5(A)の説明と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0112】
図5(D)は、エアタービンハンドピース(例えばハンドピース21b)やモータ用ハンドピース(例えばハンドピース21c)の先端に装着される切削工具の設定データの設定項目を示す。
設定項目には、最高回転数、オートクレーブ回数履歴、および総使用時間があるが、いずれも図5(A)の説明と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0113】
図5(E)は、エアスケーラや超音波スケーラといったスケーラ(例えばハンドピース21a)の設定データの設定項目を示す。
【0114】
駆動媒体の項目には、エアーまたは電気が記憶される。
初期設定出力の項目には、例えばメーターレベル7(最低出力1〜最高出力20の20段階のうち第7番目)といったように、初期設定の出力値を記憶している。ここで、スケーラの先端に接続されるスケーラ用チップの径や形状に対応して、目的となる用途に適した出力となるよう初期設定を補正する。
【0115】
駆動の項目には、ONまたはOFFが記憶される。OFFは、チップの振動を止めた状態で、水だけを出して使うような場合である。
ライト、注水、オートクレーブ、オートクレーブ回数履歴、および総使用時間の各項目については、図5(A)の説明と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0116】
図5(F)は、前記スケーラの先端に接続されるスケーラ用チップ(例えばヘッド部22)の設定データの設定項目を示す。
【0117】
タイプ(用途)の項目には、例えばエンド(根管治療)用、ぺリオ(歯周治療)用、スケーリング(歯面清掃)用、補綴物除去用、アマルガム充填用といったように、用途が記憶される。
オートクレーブ、オートクレーブ回数履歴、および総使用時間の各項目については、図5(A)の説明と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0118】
図5(G)は、レーザハンドピース(例えばハンドピース20c)の設定データの設定項目を示す。
【0119】
初期設定出力の項目には、例えば60mJといったように、初期設定の出力値を記憶する。ここで、レーザハンドピースの先端に装着されるレーザ照射チップの径や先端形状に対応して、施術箇所や用途に応じた適正出力に補正する。
初期設定照射間隔の項目には、例えば25pps(毎秒25パルス)といったように、初期設定の照射間隔を記憶する。
【0120】
ガイド光の項目には、ONまたはOFFを記憶する。
噴霧の項目には、ONまたはOFFを記憶する。
オートクレーブ、オートクレーブ回数履歴、および総使用時間の各項目については、図5(A)の説明と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0121】
図5(H)は、前記レーザハンドピースの先端に装着されるレーザ照射チップ(例えばヘッド部22)の設定データの設定項目を示す。
【0122】
タイプ(全体形状)の項目には、例えば湾曲またはストレートといったように、全体形状のタイプを記憶する。
タイプ(ファイバ先端形状)の項目には、例えばフラット、円錐(焦点形成照射)、円錐(径方向照射)、ブラシといったように、ファイバ先端形状のタイプを記憶する。
【0123】
ファイバ径の項目には、例えば800、600、400、300、200、135μmといったように、ファイバの径を記憶する。
オートクレーブ、オートクレーブ回数履歴、および総使用時間の各項目については、図5(A)の説明と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0124】
このように、各インスツルメント20やその部品(ハンドピース21、ヘッド部22、ネック部23、接続部材25)について、詳細な設定が記憶されている。これらの設定データは、インスツルメント20のRFIDタグTに記憶してもよく、またインスツルメント20やその部品毎の登録用記憶媒体7(図2参照)に記憶してもよく、あるいは本体装置8の記憶部50aに記憶してもよい。これらの構成部品の組み合わせに応じて、回転数や基準値といった上記各項目の設定を、適宜自動的に変更することで、適切な駆動制御を行うようにする。
【0125】
図6は、タッチパネルモニタ53に表示するメインメニュー画面70の画面構成図である。
【0126】
メインメニュー画面70は、インスツルメント選択ボタン71(71A〜71E)、ホームボタン95が設けられている。
【0127】
インスツルメント選択ボタン71(71A〜71E)は、複数の接続チューブ27(この実施例では5つ)に接続されている各インスツルメント20のいずれかを選択するボタンである。押下されると、そのインスツルメント20の設定画面(図7及び8参照)に移行する。図示の例では、エアタービンを用いた2つのハイスピードハンドピース(HS2,HS1)や、マイクロモータを用いた1つのロースピードハンドピース(LS1)などが選択可能に表示されている。
【0128】
各インスツルメント選択ボタン71に表示されている表示内容は、メニュー表示用データ50bに記憶されている選択ボタン画像である。そして、接続チューブ27に接続されているインスツルメント20が変えられれば、変えられたインスツルメント20に対応する表示内容に切り替わる。また、そのインスツルメント選択ボタン71が押下された際に移行する画面も、変えられたインスツルメント20に対応する設定画面に切り替わる。
【0129】
ホームボタン95は、メインメニューへ移行するためのボタンであり、現在の画面がメインメニューであるから選択不可能な状態で画面に表示されている。
【0130】
図7は、図6に示したハイスピードハンドピース(HS1)のインスツルメント選択ボタン71が選択された場合に表示する設定画面80Bの画面構成図である。
【0131】
この設定画面80Bには、注水ボタン82、ライトボタン83、可変/一定ボタン84、およびホームボタン95等が設けられている。
【0132】
注水ボタン82は、注水のON/OFFを選択許容するボタンである。初期状態は、図5(C)に示したエアタービンハンドピースの設定データにおける「注水」項目に記憶されている内容となる。
【0133】
ライトボタン83は、ライトのON/OFFを選択許容するボタンである。初期状態は、図5(C)に示したエアタービンハンドピースの設定データにおける「ライト」項目に記憶されている内容となる。
【0134】
可変/一定ボタン84は、回転数へのフートスイッチ踏込み量反映の有(可変)/無(一定)を選択許容するボタンである。初期状態は、図5(C)に示したエアタービンハンドピースの設定データにおける「回転数へのフートスイッチ踏込み量反映」項目に記憶されている内容となる。
【0135】
ホームボタン95は、選択されると図6のメインメニュー画面70に戻るボタンである。
【0136】
図8は、インスツルメント20としてマイクロモータを用いたロースピードハンドピース(LS1)が選択された場合の設定画面80Cの画面構成図である。
【0137】
この設定画面80Cには、チップエアボタン81、注水ボタン82、ライトボタン83、可変/一定ボタン84、速度レンジ切替ボタン85、回転数表示部86、設定回転数表示部87、回転数調節ボタン88、およびホームボタン95が設けられている。
【0138】
チップエアボタン81は、チップエアのON/OFFを選択許容するボタンである。このチップエアボタン81と注水ボタン82の設定は関連づけられており、チップエアOFFで注水ONとすることはできず、また注水ON時にチップエアをOFFすることはできないように制御される。
【0139】
注水ボタン82、ライトボタン83、および可変/一定ボタン84は、上述した図7の注水ボタン82、ライトボタン83、および可変/一定ボタン84と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0140】
速度レンジ切替ボタン85は、回転速度レンジを選択許容するボタンである。例えば、「UL」はULTRA LOW(約100〜250rpm,チップエアーOFF)であり、「L」はLOW(約100〜3,000rpm,チップエアーOFF)であり、「M」はMEDIUM(約100〜9,000rpm,チップエアーON)であり、「H」はHIGH(約100〜40,000rpm,チップエアーON)であるとすることができる。
【0141】
回転数表示部86は、マイクロモータの現在の回転数を表示する。
設定回転数表示部87は、設定された最高回転数を表示する。
【0142】
回転数調節ボタン88は、マイクロモータの最高回転数を変える操作を許容する。これにより、設定される最高回転数を少しずつ増減する、あるいは大きく増減する設定変更が可能である。
【0143】
この設定画面80B,80C等により、各種のインスツルメント20の設定を詳細に行うことができる。さらに、インスツルメント20の一部を為すよう装着されるハンドピース21(21c)の仕様(加減速比)をも表示し、その加減速比に応じた適切な設定回転数や基準トルクを自動的に設定し直し、表示に反映させることで、装着されるハンドピース21(21c)に対応した駆動制御に変更することができる。
【0144】
図9は、接続チューブ27にインスツルメント20が装着されると、そのインスツルメント20が未登録である場合に、本体装置8の制御回路50が、そのインスツルメント20に適した駆動制御のための設定やプログラムのモジュール等を登録する動作を示すフローチャートである。この動作は、接続チューブ27にインスツルメント20が装着される毎に実行する。なお、主電源ボタン6a(図1参照)が操作されて主電源ONとなったときに、全ての接続チューブ27についてこの動作を実行して、接続されているインスツルメント20か未登録かどうか確認し、未登録であれば設定やモジュール等を新規に登録することが好ましい。
【0145】
制御回路50は、接続チューブ27の先端側接続部28にインスツルメント20が接続されたことを検出するまで待機する(ステップS1:No)。この検出は、先端側接続部28に設けられたRFIDリーダライタRWから所定間隔でポーリングを実行し、インスツルメント20の基部側接続部26に設けられたRFIDタグTから応答があったときに接続あり(ステップS1:Yes)と検出するとよい。
【0146】
インスツルメント20の接続を検出すると(ステップS1:Yes)、制御回路50は、インスツルメント20の認識を実行する(ステップS2)。この認識は、例えばRFIDタグTからの応答で受信したID(RFIDに書き込まれた各インスツルメント20の固有ID)が、既に本体装置8の記憶部50aの登録データ50cの識別データに存在するか否かにより認識するとよい。
【0147】
登録データ50cに既に登録されている場合(ステップS3:Yes)、制御回路50は、登録データ50cのうち前記IDと識別データが一致するレコードのデータを読み取る(ステップS4)。
【0148】
そして、制御回路50は、メニュー表示用データ50bの選択ボタン画像および駆動制御プログラムのモジュールのアドレスを、登録データ50cから読み取ったデータに更新する(ステップS5)。これにより、装着されたインスツルメント20に対し、制御回路50が駆動制御回路33により駆動する制御動作や設定、最大回転数などの規制が必要な規制設定が適切に行われる状態になる。
【0149】
制御回路50は、タッチパネルモニタ53へのメッセージ表示や音声出力などによって設定完了を出力し(ステップS6)、処理を終了する。
【0150】
前述のステップS3で、インスツルメント20が登録されていないと判断された場合(ステップS3:No)、制御回路50は、その接続チューブ27に関して駆動制御回路33から駆動することを停止する(ステップS7)。この駆動停止により、エアーや水や電気といった駆動媒体が接続チューブ27に供給されず、その先のインスツルメント20にも供給されない。従って、誤動作や不適切な駆動力を付与することや破損を防止できる。
【0151】
制御回路50は、「未登録」、「これからインスツルメントの登録を行います」といったメッセージをタッチパネルモニタ53に表示する(ステップS8)。これにより、制御回路50は、接続されたインスツルメント20が未登録のものであることを、使用者に知らせる。
【0152】
そして、制御回路50は、記憶媒体リーダライタ52に登録用記憶媒体7が挿入されているか確認し(ステップS9)、挿入されていれば(ステップS9:Yes)、登録用記憶媒体7から媒体データを読み取る(ステップS10)。このとき読み取る媒体データには、その登録用記憶媒体7のID(識別データ)、選択ボタン画像、および駆動制御プログラムのモジュールが含まれている。また、このとき、制御回路50は、「新しいインスツルメントを登録中です」といったメッセージをタッチパネルモニタ53に表示してもよい。
【0153】
制御回路50は、読み取った媒体データを記憶部50aの登録データ50cに登録する(ステップS11)。この登録により、新しいインスツルメント20の設定データや駆動制御プログラムのモジュールの登録が完了となり、これ以降、登録されたインスツルメント20を適切な設定で使用できるようになる。
【0154】
登録後、制御回路50は、駆動停止状態を解除し(ステップS12)、前記ステップS11で登録した選択ボタン画像と駆動制御プログラムのモジュールのアドレス(登録先)を、メニュー表示用データ50bに登録して更新する(ステップS5)。このとき、ステップS1で装着検出した接続チューブ27、あるいは接続チューブ27を受ける装置本体8側の接続端部に該当する番号のデータを更新する。
【0155】
前記ステップS9で登録用記憶媒体7が記憶媒体リーダライタ52に挿入されていなかった場合(ステップS9:No)、制御回路50は、タッチパネルモニタ53にメッセージを表示する(ステップS13)。このメッセージは、たとえば「カードを挿入してください」や「このインスツルメントは登録されていません。登録操作をしてください」といったように、未登録のインスツルメント20に関するデータの登録を促すメッセージとすることが好ましい。またこのとき、設定データ等の手入力を許容する手入力ボタンをタッチ操作可能に表示する、あるいは操作ボタン8bを操作するようメッセージを追加表示するとよい。
【0156】
設定データなどが手入力される場合(ステップS14:Yes)、制御回路50は、複数の設定画面80をタッチパネルモニタ53に表示し、適切な画面を利用者(術者あるいは補助者)に選択させる(ステップS15)。ここで適切な画面とは、登録しようとしているインスツルメント20がエアタービンハンドピースであればエアタービンハンドピースの設定画面80を選択するなど、登録するインスツルメント20の種類と同じ種類の設定画面80をいう。
【0157】
制御回路50は、選択された設定画面80を表示して設定値を入力させる(ステップS16)。この設定値の入力は、あらかじめ定めたデフォルト値を表示して変更許容する、あるいはまったく値を入力していない状態で表示して自由に入力させるなど、適宜の方法により行う。
【0158】
制御回路50は、設定画面に表示された登録ボタン(図示省略)が選択されず、記憶部50aの登録データ50cに新規登録せずに終了されれば(ステップS17:No)、ステップS7で実行した駆動停止を解除し(ステップS12)、ステップS5へ処理を進める。
【0159】
設定画面に表示された登録ボタン(図示省略)が選択された場合(ステップS17:Yes)、制御回路50は、入力されたデータを登録データ50cに新規登録し(ステップS18)、ステップS12へ処理を進める。
【0160】
以上の動作により、インスツルメント20が接続チューブ27に装着される毎に、あるいは、ハンドピース21が装着される毎に、接続されたインスツルメント20やハンドピース21に応じた適正な設定が、自動的に為されるばかりでなく、それらインスツルメント20やハンドピース21が未登録か否か確認し、未登録であれば設定を含めた駆動制御プログラムのモジュールや選択ボタン画像などを登録することができる。
【0161】
図10は、ホルダ14からインスツルメント20が取り出されると、これを検出してタッチパネルモニタ53に表示する設定画面80や使用する駆動制御プログラムのモジュールや設定を切り替える動作のフローチャートである。
【0162】
制御回路50は、ホルダ14によりインスツルメント20の取り出しを検出すると(ステップS21:Yes)、そのホルダ14に対応する接続チューブ27のインスツルメント20が駆動停止中となっていないか確認する(ステップS2)。
【0163】
ここで、術者は、通常の診療として、インスツルメント20をホルダ14から1つ取り出し、その1つのインスツルメント20を用いて診療する。また場合によっては、術者が使用しているインスツルメント20とは別のインスツルメント20を、次いで使用するためにアシスタントがホルダ14から取り出し待機している。そして、それらのインスツルメント20を用いた診療が終わると、ホルダ14に戻してから、次のインスツルメント20をホルダ14から取り出す。従って、診療中は、すべてのホルダ14に各インスツルメント20が収納されている状態か、いずれか1つあるいは複数のインスツルメント20が取り出された状態となっている。
【0164】
複数のインスツルメント20が同時に取り出されるときには、最初に取り出されたことを検出したインスツルメント20を対象に図10の制御フローチャートを適用すればよい。その場合、2番目以降に取り出されたインスツルメント20は駆動停止状態とし、最初に取り出されたインスツルメント20がホルダ14に収納されたときに、次いで図10の制御フローチャートの適用対象とすればよい。
【0165】
ステップ22において、駆動停止中であれば(ステップS22:Yes)、制御回路50は、図9とともに説明した登録処理(ステップS1〜S18)を実行し(ステップS23)、ステップS21に処理を戻す。
【0166】
駆動停止中でなければ(ステップS22:No)、制御回路50は、タッチパネルモニタ53に表示している現在の画面が、取り出されたインスツルメント20に対応する設定画面80になっているか確認する(ステップS24)。対応する設定画面80になっていれば(ステップS24:Yes)、ステップS26へ処理を進める。
【0167】
対応する設定画面80になっていなければ(ステップS24:No)、制御回路50は、タッチパネルモニタ53に表示する画面を、取り出されたインスツルメント20に対応する駆動制御プログラムのモジュールを実行し、対応する設定画面80に切り替える(ステップS25)。
【0168】
このとき、このとき制御回路50は、メニュー表示用データ50bを参照し、取り出しを検出したホルダ14の番号に対応する番号の駆動制御プログラムのモジュールのアドレスを参照して、そのアドレスのモジュールを実行する。また、モジュールが実行されることにより、そのモジュールが設定画面80を表示する。このモジュールは、設定画面80に表示する設定値を、その識別データに対応する登録データ50cの各設定データ項目に登録されている設定値とする。
【0169】
また、取り出されたインスツルメント20が、ハンドピース21と接続部材25からなる場合や、さらにヘッド部22とネック部23に分離可能な場合など、複数の部品からなる種類である場合、全ての部品のRFIDタグTからデータを読み取る。そして、読み取った全てのデータに基づいて設定値を決定する。
【0170】
ここで、複数の部品から読み取ったデータの設定値として重複する項目がある場合、制御回路50は、最も条件が厳しい(あるいは悪い)ものを採用する、あるいは適宜優先順位を定めておいて優先順位の高い方を採用するなど、予め定めたルールによって設定値を決定する。これにより、例えば最高回転数を低い方にする、オートクレーブが1つでも未であれば駆動不可とするなど、複数部品の組合せに対しても適切な駆動制御を実行することができる。
【0171】
制御回路50は、設定画面80に対する術者のタッチ操作による設定変更を受け付ける(ステップS26)。この設定変更では、ライトON/OFFや注水ON/OFF、マイクロモータの回転数など、ホルダ14から取り出されているインスツルメント20に対応した設定値の変更が可能である。また、設定変更可能な範囲は、ホルダ14から取り出されているインスツルメント20の適正範囲となるように駆動制御プログラムのモジュールによって制御される。
【0172】
制御回路50は、術者によるフートコントローラ5の操作等によってインスツルメント20の駆動が実行されるまで(ステップS27:No)、ステップS26の設定変更を受け付ける。
【0173】
術者によるフートコントローラ5の操作等によってインスツルメント20の駆動が実行されると(ステップS27:Yes)、制御回路50は、設定画面80で設定された設定値とモジュールにプログラミングされている内容に従って、駆動制御回路33に接続されている各回路(35〜46)のうち必要な回路を設定された設定値で駆動する(ステップS28)。この各回路(35〜46)の駆動により、エアーや水や電気といった駆動媒体が接続チューブ27を介してインスツルメント20に供給され、インスツルメント20が駆動する。
【0174】
制御回路50は、術者によるフートコントローラ5の操作等によって駆動が停止されるまで(ステップS29:No)、この駆動を継続する。術者によって駆動が停止されると(ステップS29:Yes)、ホルダ14にインスツルメント20が収納されたか否かを検出する(ステップS30)。
【0175】
インスツルメント20の収納を検出しなければ(ステップS30:No)、ステップS26へ処理を戻し、設定変更や駆動を継続して許容する。インスツルメント20の収納を検出すると(ステップS30:Yes)、制御回路50は、タッチパネルモニタ53に表示する画面をメインメニュー画面70に切り替え(ステップS31)、処理を終了する。
【0176】
一方、ステップS21でインスツルメント20の取り出しを検出しなかった場合(ステップS21:No)、制御回路50は、タッチパネルモニタ53での画面操作を受け付ける(ステップS32)。ここで画面操作が行われなければ(ステップS32:No)、制御回路50はステップS21に処理を戻して待機する。
【0177】
画面操作が行われると(ステップS32:Yes)、制御回路50は、操作によって指定された動作を実行する(ステップS33)。このときの動作としては、たとえばインスツルメント選択ボタン71が選択されて対応する設定画面80を表示し、さらに操作されて設定値が変更されるといった動作がある。
【0178】
以上の動作により、ホルダ14からインスツルメント20が取り出されると、そのインスツルメント20や、インスツルメント20の一部を為すよう装着されるハンドピース21を正しく識別し、適切な設定値で適切な駆動媒体を供給し、適切に駆動することができる。
【0179】
以上に説明した構成および動作により、接続チューブ27に接続されたインスツルメント20を識別でき、該インスツルメント20に適した設定で駆動させることができる。従って、人為的な設定ミスや、不適切な設定値で駆動させてインスツルメント20を破損させること、あるいは出力不足によって治療が非効率的になることを防止できる。
【0180】
特に、インスツルメント20が、マイクロモータと、マイクロモータに着脱交換装着される複数種類のハンドピースとで構成される場合、マイクロモータとハンドピースとを識別し、その組み合わせに応じて、駆動制御のための設定を、自動的に適切なものに変更し、表示することができる。
【0181】
例えば、加減速比に応じて是正が必要な「回転数」、加減速比に応じて是正が必要な「設定トルク」など、重要な設定を制御回路50が自動的に変更することができ、また使用者に向けて表示することができるため、非常に便利に使用することができる。
【0182】
また、マイクロモータに限らず、インプラント用などの表示の変更やチップの表示が必要な「用途」、およびスケーラ用のチップの場合等に必要な「出力」なども、重要な設定を制御回路50が自動的に定めることができるため、非常に便利に使用することができる。
【0183】
また、術者はタッチパネルモニタ53を見ることで設定画面80を確認できる。従って、本体装置8にインスツルメント20が正しく認識されているか確認することができる。また、タッチパネルモニタ53のタッチ操作や操作ボタン8bのプッシュ操作によって、設定画面80に表示している設定を変更することができる。
【0184】
また、術者がインスツルメント20をホルダ14から取り出すと、そのインスツルメント20の設定画面80がタッチパネルモニタ53に表示されるため、すぐにインスツルメント20の駆動制御の設定情報を確認する、あるいは変更するといったことができる。従って、手動操作を減少させることができて利便性が向上する。また、誤操作によって取り出したインスツルメント20とタッチパネルモニタ53に表示している設定画面80とが一致しなくなるといったことも防止できる。
【0185】
また、記憶媒体リーダライタ52により、カードスロット8dに挿入された登録用記憶媒体7を読み取ることができるため、インスツルメント20についての具体的なデフォルト設定7cや駆動制御プログラムのモジュール7b、および選択ボタン画像7aを取得することができ、インスツルメント20やハンドピース21を適切に登録して適切に駆動させることができる。
【0186】
また、登録用記憶媒体7の利用により、手入力せずともデフォルト設定7cや駆動制御プログラムのモジュール7b、および選択ボタン画像7aを記憶媒体リーダライタ52で読み取ることができ、容易かつ確実に新しいインスツルメント20やハンドピース21の駆動制御に必要なデータを登録することができる。
【0187】
また、駆動停止処理により、識別できていないインスツルメント20やハンドピース21を不適切な設定で駆動することや不適切な駆動媒体を供給するといったことを防止でき、インスツルメント20やハンドピース21の誤動作や破損を防止することができる。
【0188】
また、インスツルメント20やハンドピース21が正しく登録されれば、あるいは術者の手動による解除操作が行われれば、駆動停止の状態を解除するため、その後は新しいインスツルメント20やハンドピース21を駆動することが可能になる。
【0189】
なお、上述した実施例では、最も好ましい例としてインスツルメント20およびその部品の識別体としてRFIDタグTを使用し、識別手段としてRFIDリーダライタRWを用いたが、これに限らず、適宜の手段を採用してもよい。
【0190】
例えば、識別体として誘導コイルを使用し、識別手段としても誘電コイルを使用してもよい。この場合、誘導コイルによる磁界の変化によって識別することができる。
【0191】
また、識別体として電気抵抗体を備え、識別手段として電気抵抗測定手段を備えても良い。この場合も、電気抵抗を測定することで識別することができる。また複数の部品を接続したインスツルメント20であっても、それぞれの部品の電気抵抗の合計値によって識別することができる。
【0192】
また、識別体として電気接点を備え、識別手段として電気接点スイッチを備えても良い。この場合、電気接点の位置等によって電気接点スイッチのスイッチONとする部分を変更でき、これによって識別することができる。
【0193】
また、識別体をマイクロスイッチ操作体(例えば突起など)とし、識別手段をマイクロスイッチとしてもよい。この場合も、マイクロスイッチの押下部位等を異ならせることで識別することができる。
【0194】
また、識別体を磁石とし、識別手段を磁石の有無を検出する手段で構成してもよい。この場合、磁石の有無を検出することで識別することができる。
【0195】
また、駆動部として駆動制御回路33、エアー回路35、水回路37、タービン駆動回路41、モータ駆動回路42、スケーラ駆動回路43、シリンダ駆動回路44、高速モータ駆動回路45、及び低速モータ駆動回路46を備えたが、これに限らず、レーザ照射を可能にするレーザ駆動回路を備えるなど、適宜の回路で構成することができる。
【0196】
また、図11に示すようにRFIDタグTなどの識別体を有するアダプタ90を備え、このアダプタ90を用いて、RFIDタグTなどの識別体を有しないインスツルメント120を識別する構成としてもよい。
【0197】
このアダプタ90は、インスツルメント120を接続するインスツルメント側接続部92と、接続チューブ27の先端側接続部28と接続するチューブ側接続部94とを備えている。
【0198】
この場合、アダプタ90のRFIDタグTに識別データを記憶しておくとよい。また該アダプタ90に対応する登録用記憶媒体7を用いて本体装置8にデータ登録すればよい。
【0199】
さらに、アダプタ90には、対応するインスツルメント20を容易に判別できるように、対応するインスツルメント20の型番や種類などを表示する表示部93を備えるとよい。
【0200】
これにより、図11(A)に示すように、識別体を有しないインスツルメント120に対して、アダプタ90を準備し、図11(B)に示すように接続することで、インスツルメント120を識別体のあるインスツルメント20と同様に取り扱うことができる。
【実施例2】
【0201】
次に、インスツルメントが、マイクロモータと、マイクロモータに装着されるハンドピースとで構成される場合を例にとり、本発明の変形例を説明する。インスツルメント以外の診療設備1の構成および動作は、実施例1と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0202】
図12(A)は、マイクロモータを備えた接続部材225bとハンドピース221cの部分断面図、図12(B)は、ハンドピース221cの装着端面図、図12(C)は、マイクロモータを備えた接続部材225bの装着端面図である。図12(A)の部分断面図は、ハンドピース221cの部分断面が図12(B)のA−A矢視断面図であり、接続部材225bの部分断面が図12(C)のB−B矢視断面図である。
【0203】
ハンドピース221cは、接続部材225bとの接続端面215に(若しくは接続端面215に近接して)RFIDタグTが設けられている。このRFIDタグTは、接続部材225bの先端側接続部224bが挿入される中心側の内壁213と、該内壁213を囲む円筒形の外壁212の間に配置され、好ましくは外壁212近傍位置に配置されている。これにより、ハンドピース221cに接続部材225bの先端側接続部224bが挿入されて照明光の供給や、駆動力又は駆動媒体の供給が行われることを妨げずにRFIDタグTを配置している。
【0204】
RFIDタグTは、前記接続端面215と同一面となるように配置するか、あるいは非接触通信に用いる電波や電磁波等の通過を許容する適宜の素材で前記接続端面215側を被覆して配置するとよい。これにより、接続部材225bに設けられたRFIDリーダライタRWに対して非接触通信に用いる電波や電磁波等の伝達が行われることを可能にしている。
【0205】
そして、このRFIDタグTは、図12(B)に示すようにハンドピース221cにおける位置決め部材214の近傍に配置されている。すなわち、ハンドピース221cには、接続部材225bとの周方向における接続位置を定める部材として位置決め部材214が設けられている。この位置決め部材214の近傍にRFIDタグTが配置されることで、RFIDタグTの位置が精度よく定まる。
【0206】
接続部材225bは、ハンドピース221cとの接続端面218に(若しくは接続端面218に近接して)RFIDリーダライタRWが設けられている。このRFIDリーダライタRWは、接続部材225bの中心側の内壁217と、該内壁217を囲む円筒形の外壁216の間に配置され、好ましくは外壁216近傍位置に配置されている。これにより、ハンドピース221cに対して先端側接続部224bから照明光の供給や、駆動力又は駆動媒体の供給を行うことを妨げずにRFIDリーダライタRWを配置している。
【0207】
RFIDリーダライタRWは、前記接続端面218と同一面となるように配置するか、あるいは非接触通信に用いる電波や電磁波等の通過を許容する適宜の素材で前記接続端面218側を被覆して配置するとよい。これにより、ハンドピース221cに設けられたRFIDタグTに対して非接触通信に用いる電波や電磁波等の伝達が行われることを可能にしている。
【0208】
また、このRFIDリーダライタRWは、接続部材225bにおける位置決め許容部219の近傍に配置されている。すなわち、接続部材225bには、ハンドピース221cとの周方向における接続位置を定めるために位置決め許容部219が設けられている。この位置決め許容部219にハンドピース221cの位置決め部材214が挿入されて、ハンドピース221cと接続部材225bとの相対位置が定められる。この位置決め許容部219の近傍にRFIDリーダライタRWが配置されることで、RFIDリーダライタRWの位置が精度よく定まる。また、接続部材225bの中心線CからRFIDリーダライタRWの通信領域中心までの距離と、ハンドピース221cの中心線CからRFIDタグTの通信領域中心までの距離は、同一若しくはほぼ同一に構成されている。これにより、ハンドピース221cと接続部材225bが接続されると、RFIDタグTとRFIDリーダライタRWが精度よく対向配置される。
【0209】
このように、マイクロモータを備えた接続部材225bにハンドピース221cを装着したときに相互に接触する端面に、RFIDリーダライタRWと、RFIDタグTとを埋め込むことで、ハンドピース221cの識別データ及び駆動制御情報を、診療装置9の本体が読み取ることができる。
【0210】
RFIDリーダライタRWおよびRFIDタグTは、マイクロモータを有する接続部材225bとハンドピース221cとを構成する金属部品による通信に悪影響を受けずに通信することができる。
【0211】
また、図12に示した例のようにマイクロモータを有する接続部材225bが照明用光源を備え、ハンドピース221cが導光用ライトガイドを備えている場合、光源とライトガイドとが対向するように配置するための位置決め部材214及び当該位置決め部材214を受ける位置決め許容部219とが設けられている。この位置決め部材214及び位置決め許容部219の位置関係に合わせて、RFIDリーダライタRWとRFIDタグTとを配置しておくことで、通信のための対向配置が容易に行える。特に、この実施例では、RFIDリーダライタRWおよびRFIDタグTを、それぞれ位置決め許容部219および位置決め部材214の近傍位置に配置されているため、ハンドピース221cと接続部材225bが接続された状態で、RFIDリーダライタRWとRFIDタグTを確実に対向させることができる。これにより、非接触通信を確実に実行することができる。
【0212】
このようにRFIDリーダライタRWとRFIDタグTを近接させて対向配置させることで、狭い空間に小型に設けられて有効な通信距離の短いRFIDリーダライタRWとRFIDタグTであっても、確実に非接触通信を行うことができる。
【0213】
仮に、コイル型のアンテナを有するRFIDタグTなど、通信強度の強い方向の定まっているRFIDタグTとRFIDリーダライタRWを用いた場合、接続部材225bとハンドピース221cが接続された最に少しでも回転方向にずれていると、通信方向が正面対向せずに非接触通信に失敗する可能性がある。これに対して、上述したように回転方向の位置決めを行う位置決め部材214および位置決め許容部219を備え、さらにこれらの近傍にRFIDタグTとRFIDリーダライタRWを備えたことにより、精度よくRFIDタグTとRFIDリーダライタRWを正面対向させて良好な非接触通信を行うことができる。
【0214】
また、接続部材225bの外壁216や内壁217は、強度や耐久性等の問題から金属部材によって形成され、またハンドピース221cの外壁212や内壁213も強度や耐久性当の問題から金属部材によって形成されていて、非接触通信を阻害する素材となっている。このようなハンドピース221cと接続部材225bに対して、外壁212,216と内壁213,217の間位置にRFIDタグTとRFIDリーダライタRWをそれぞれ備え、このRFIDタグTとRFIDリーダライタRWの間に金属部材を備えない構成にしたため、ハンドピース221cや接続部材225bの強度や耐久性を維持した上で、非接触通信を実現することができる。
【0215】
なお、上述した構成の接続部材225bに対応してアダプタ390を用いる構成とし、RFIDタグTを有しないハンドピースを識別する構成としてもよい。
【0216】
図13は、アダプタ390を備えた場合の構成説明図であり、図13(A)は、マイクロモータを備えた接続部材225bとハンドピース321cの部分断面図、図13(B)は、アダプタ390の装着端面図、図13(C)は、マイクロモータを備えた接続部材225bの装着端面図である。図13(A)の部分断面図は、アダプタ390の部分断面が図13(B)のA−A矢視断面図であり、接続部材225bの部分断面が図13(C)のB−B矢視断面図である。
【0217】
この実施例のハンドピース321cは、RFIDタグTを有しない通常のものを使用する。
このハンドピース321cは、図12とともに説明したハンドピース221cの外壁212、内壁213、位置決め部材214、および接続端面215と同様に、外壁312、内壁313、位置決め部材314、および接続端面315を備えている。
【0218】
アダプタ390は、円筒形の外壁398と中心側の中空部の壁面となる内壁399とを有し、その両端にマイクロモータを有する接続部材225bに接続するためのマイクロモータ側接続部(接続部材側接続部)394と、ハンドピース321cを接続するためのハンドピース側接続部392とを備え、マイクロモータを有する接続部材225bとハンドピース321cとの間に介在する構成となっている。
【0219】
アダプタ390のハンドピース側接続部392には、ハンドピース321cの位置決め部材316を接続許容して位置決めするための位置決め許容部396が設けられている。
【0220】
アダプタ390のマイクロモータ側接続部394には、接続部材225bの位置決め許容部219に接続して位置決めするための位置決め部材397が設けられている。
【0221】
RFIDタグTは、マイクロモータ側接続部394と同一面となるように配置するか、あるいは非接触通信に用いる電波や電磁波等の通過を許容する適宜の素材でマイクロモータ側接続部394側を被覆して配置するとよい。これにより、接続部材225bに設けられたRFIDリーダライタRWに対して非接触通信に用いる電波や電磁波等の伝達が行われることを可能にしている。
【0222】
そして、このRFIDタグTは、アダプタ390における位置決め部材397の近傍に配置されている。すなわち、アダプタ390には、接続部材225bとの周方向における接続位置を定める部材として位置決め部材397が設けられている。この位置決め部材397の近傍にRFIDタグTが配置されることで、RFIDタグTの位置が精度よく定まる。また、接続部材225bの中心線CからRFIDリーダライタRWの通信領域中心までの距離と、ハンドピース321cの中心線CからRFIDタグTの通信領域中心までの距離は、同一若しくはほぼ同一に構成されている。これにより、ハンドピース321cと接続部材225bが接続されると、RFIDタグTとRFIDリーダライタRWが精度よく対向配置される。
【0223】
アダプタ390に備えたRFIDタグTには、ハンドピース321cの識別データを記憶しておく。これにより、RFIDタグTを有しないハンドピース321cを、いわばRFIDタグを有する構成にバージョンアップすることができる。また、該アダプタ390を用いる場合には、該アダプタ390に対応する登録用記憶媒体7を用いて本体装置8にデータ登録すればよい。これにより、容易にデータ登録してアダプタ390を用いることができる。
【0224】
さらに、アダプタ390には、図11とともに説明したアダプタ90と同様に、対応するハンドピースを容易に判別できるように、対応するハンドピースの型番や種類、仕様(加減速比)などを表示する表示部を備えるとよい。
【0225】
以上の構成により、識別体を有しないハンドピース321cに対して、アダプタ390を準備し、図13に示すようにアダプタ390を介してマイクロモータを有する接続部材225bとハンドピース321cとを接続することで、ハンドピース321cを、識別体のあるハンドピースと同様に取り扱うことができる。
【0226】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の記憶媒体は、実施形態の登録用記憶媒体7に対応し、
以下同様に、
インスツルメント関連情報は、選択ボタン画像7a、駆動制御プログラムのモジュール7b、およびデフォルト設定7cに対応し、
駆動制御情報は、デフォルト設定7cに対応し、
取出検出手段は、センサ13(13A〜13E)に対応し、
駆動部は、駆動制御回路33、エアー回路35、水回路37、タービン駆動回路41、モータ駆動回路42、スケーラ駆動回路43、シリンダ駆動回路44、高速モータ駆動回路45、及び低速モータ駆動回路46に対応し、
制御部は、制御回路50に対応し、
解除手段は、ステップS12を実行する制御回路50に対応し、
入力受付手段は、記憶媒体リーダライタ52に対応し、
表示部は、タッチパネルモニタ53に対応し、
ハンドピースとの接続端面は、位置決め許容部219に対応し、
コントラアングルハンドピースは、ハンドピース221cに対応し、
接続部材側接続部は、マイクロモータ側接続部394に対応し、
識別体および非接触IC媒体は、RFIDタグTに対応し、
識別手段、非接触IC媒体リーダ、および受信部材は、RFIDリーダライタRWに対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0227】
この発明は、歯科用ユニットなどの歯科用の診療装置を始めとして、耳鼻咽喉科、産婦人科、泌尿器科、眼科などで用いられる、接続チューブを介して多種多様なインスツルメントを接続する診療装置や、多種多様なハンドピースが装着されるインスツルメントを備えた診療装置に用いることができる。
【符号の説明】
【0228】
7…登録用記憶媒体、7a…選択ボタン画像、7b…駆動制御プログラムのモジュール、7c…デフォルト設定、9…診療装置、13,13A〜13E…センサ、14,14A〜14e…ホルダ、20,20A〜20F…インスツルメント、27,27A〜27F…接続チューブ、33…駆動制御回路、35…エアー回路、37…水回路、41…タービン駆動回路、42…モータ駆動回路、43…スケーラ駆動回路、44…シリンダ駆動回路、45…高速モータ駆動回路、46…低速モータ駆動回路、50…制御回路、52…記憶媒体リーダライタ、53…タッチパネルモニタ、90…アダプタ、92…インスツルメント側接続部、94…チューブ側接続部、215,218,317…接続端面、219…位置決め許容部、221c,321c…ハンドピース、225b…接続部材、390…アダプタ、392…ハンドピース側接続部、394…マイクロモータ側接続部、T…RFIDタグ、RW…RFIDリーダライタ
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば複数のインスツルメントを取り替えて用いるような診療装置や、複数のハンドピースを取り替えて用いるマイクロモータを備えた診療装置、およびそのインスツルメントまたはハンドピースの管理制御方法に関し、特に歯科で歯や骨の切削や研磨といった診療に用いられるインスツルメントまたはハンドピースの取り替え管理制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯科の診療では、様々なインスツルメントを取り替えて接続し、使用する診療装置が利用されている。ここでいうインスツルメントは、様々な種類が存在しており、その駆動力もモータ、エア、超音波振動子の振動、レーザといった様々な動力が用いられる。
【0003】
また、駆動力としてモータを用いるものに、該モータに接続されるモータ用のハンドピースがある。
このモータに接続されるハンドピースは、さらに、形状や動作によって多種類のものが存在している。形状別の種類としては、コントラアングルハンドピース、ストレートハンドピースといったものがある。また、動作別の種類としては、20分の1減速、等速、5倍速といった加減速比の異なるものがある。これらのハンドピースは、マイクロモータに装着されるものであり、それぞれに応じた動作の設定と制御、及び設定値の表示を必要とするものである。本願においては、このようなハンドピースとマイクロモータの組み合わせをもインスツルメントと呼ぶ。
【0004】
他にも、インスツルメントには、エアチューブに接続されるエアタービンやエアスケーラー、電線チューブを介してコントロールボックスに接続される超音波スケーラー、導波路を介して治療用レーザ発生器に接続されるレーザハンドピースなどが診療装置に接続されるインスツルメントとして使用され、さらにはそれらタービンやスケーラーに装着される診療工具や、レーザハンドピースの先端に接続されるレーザ照射チップにも様々な種類がある。本願においては、このような診療工具やレーザ照射チップが装着された状態のハンドピースをもインスツルメントと呼ぶ。
【0005】
このように、駆動される方式(回転、振動、光)、動力、形状、種類などによって多岐に渡る種類の存在するインスツルメントは、治療ユニットや制御ボックスなどの診療装置本体に設けられた複数の接続チューブに適宜接続して用いられる。そして、接続チューブからは、接続されたインスツルメントに応じた、あるいはインスツルメントの一部を為すハンドピースや診療工具の組み合わせに応じた動力が適切な設定で付与される。このため、診療装置のどの接続チューブにどのインスツルメントが接続されているか、インスツルメントの一部としてどのハンドピースが装着されているか、どの接続チューブが診療装置本体側接続部のうちどの接続端部に接続されているのか、さらには、そのインスツルメントあるいはハンドピースに対応してどの動力をどの程度供給するかを正しく管理することが非常に重要である。
【0006】
このようなインスツルメントを管理制御するものとして、積極的に自己識別信号を発して装置本体にインスツルメントを特定させる識別型のインスツルメント体と診療装置が提案されている(特許文献1参照)。この特許文献には、インスツルメント体に応じた制御情報を装置本体が有していること、装置本体内の回路を特定したインスツルメント体に適した駆動回路に装置本体内の回路を切り替えることが記載されている。
【0007】
また、器具ヘッド、器具延長部、器具結合器、ホース、ホース結合器、及び基本装置への対抗結合器部材にそれぞれ抵抗を内蔵しておき、この抵抗を識別回路要素とするホースの識別の方法が開示されている(特許文献2参照)。この特許文献には、抵抗値の違いによってホースやホースに接続された各種器具を識別することが記載されている。
【0008】
また、ハンドピース内部に操作パラメータを記憶する不揮発性メモリを備え、この操作パラメータを制御卓が読み込んで適正に動作させる電動外科用器具システムが提案されている(特許文献3参照)。
【0009】
また、アクセサリ(ハンドピース先端に装着される診療工具)内に補助的なコイルを設け、このコイルによる誘導的結合によってアクセサリのデータを読み込み、このデータに基づいて装着したアクセサリに応じた適切な方法で電動ハンドピースを駆動させる電動ハンドピースを備えた外科用器具システムが提案されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−035009号公報
【特許文献2】特公平08−000115号公報
【特許文献3】特表2001−500031号公報
【特許文献4】特開2005−324060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上述した各特許文献には、単純な識別と制御の開示しかなく、インスツルメントやインスツルメントの一部を為すハンドピースの細やかな具体的パラメータについて開示されていない。詳述すると、様々なインスツルメントや接続されたハンドピースを適切に動作させ、その動作設定、動作状況を表示するためには、モータ用コントラアングルの加減速比を認識し、それに合わせたトルク設定(オートリバース制御のための基準トルク設定)、レーザ照射チップの限界出力といった細かな具体的パラメータを設定する必要があるが、上述した各特許文献には、このような具体的パラメータに対する考慮がなかった。例えば、モータが接続されていることを検出して、モータ駆動回路を動作させることはできても、交換接続されたハンドピースの加減速比に合わせてトルク設定すなわち負荷電流値設定を変更し、加減速比によって基準トルクの誤差が生じないようハンドピースに応じた是正を自動的に行う、という考慮がなかった。
【0012】
このため、例えばコントラアングルハンドピースをモータに接続した後に、そのコントラアングルハンドピースの仕様(加減速比)に応じた設定値の是正が自動的には行われないため、術者は、その加減速比に応じて手動で基準トルク等の設定を変更する必要があった。
従って、種類が多く、また同じ種類であっても制御駆動の条件が異なる様々なハンドピースに対応するためには不足するという問題があった。
【0013】
この発明は、上述した問題に鑑み、多種多様なインスツルメントの接続が可能な診療装置について、あるいはインスツルメントの一部を為すようハンドピースが装着される診療装置について、接続されたインスツルメントや装着されたハンドピースを、適切に動作させたり適切な設定を表示したりすることができる診療装置を提供し、利用者の利便性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、診療に用いられるハンドピースを備えたインスツルメントと、該インスツルメントが接続される接続チューブと、該接続チューブに接続されたインスツルメントを駆動する駆動部と、該駆動部を制御する制御部とを備えた診療装置であって、前記インスツルメントは、前記制御部により識別可能な識別体を備え、前記識別体を識別する識別手段が前記制御部に接続して備えられ、前記制御部は、前記識別手段により識別した前記インスツルメントに適した駆動制御情報を取得し、該駆動制御情報に基づいて前記駆動部の動作を制御する構成である診療装置であることを特徴とする。ここで、該駆動制御情報を、診療装置が前記識別体から読み込む構成とすることができる。
【0015】
前記インスツルメントは、カップリングを有する接続部材に装着されるエアタービンハンドピースやマイクロモータを有する接続部材に装着されるハンドピースといった種々のハンドピース、スケーラ、レーザハンドピース、光重合器、根管長測定器、口腔内カメラ、ポケット測定器、根管充填器、根管治療器などを備えたものとすることができる。
【0016】
前記診療装置は、インスツルメントを装置本体にチューブあるいはアダプタを介して接続し、そのインスツルメント体に水、エアー、電気、またはこれらの複数を供給して、診療(診断や治療)をするものである。この診療装置は、歯科用ユニットなどの歯科用の診療装置を始めとして、耳鼻咽喉科、産婦人科、泌尿器科、眼科などで用いられる診療装置が含まれる。
【0017】
診療装置が前記識別体から読み込む前記駆動制御情報は、最高回転数、初期設定回転数、回転数へのフートスイッチ踏込み量反映の有無、オートモード、オート制御作動のための基準トルク、ライトのON/OFF、注水のON/OFF、オートクレーブの済/未、オートクレーブ回数履歴、総使用時間、オートリバース回数履歴、形状種別(ストレート/コントラアングル)、加減速比、エアタービンハンドピースのヘッドサイズ最高回転数、またはベアリングタイプ等とすることができ、これらの複数とすることができる。
【0018】
また、駆動制御情報は、ハンドピースがカップリングに固定された一体型のインスツルメントであればインスツルメント全体の駆動制御情報とすることができ、インスツルメント本体部(例えばマイクロモータを有する接続部材)とハンドピースとを分離可能な分離型のインスツルメントであればインスツルメント本体部の駆動制御情報とハンドピースの駆動制御情報とすることができ、また、ハンドピース部分のヘッド部とネック部とを分離可能なヘッド部分離型のハンドピースを供えたインスツルメントであればヘッド部の識別情報とネック部の識別情報とすることができる。
【0019】
この発明により、接続チューブに接続されたインスツルメントや、インスツルメントの一部を為すよう装着されたハンドピースを自動的に識別でき、該インスツルメントや、装着されたハンドピースに適した設定で駆動させることができる。従って、人為的な設定ミスや、不適切な設定値で駆動させてインスツルメントまたはインスツルメントの一部を為すハンドピースを破損させること、あるいは、人為的な設定ミスや不適切な設定値で出力不足になり治療が非効率的になることを防止できる。
【0020】
この発明の態様として、前記識別体と、前記接続チューブに接続可能なチューブ側接続部と、前記識別体を有しないインスツルメントに接続可能なインスツルメント側接続部とを有するアダプタを備え、前記制御部は、前記アダプタの識別体を前記識別手段により識別した場合、該識別体に対応する駆動制御情報を取得し、該駆動制御情報に基づいて前記駆動部の動作を制御する構成とすることができる。
【0021】
前記識別体に対応する駆動制御情報は、アダプタに接続されるべきインスツルメントに関する設定値とすることができ、前記インスルメントの駆動制御情報と同一とすることもできる。アダプタとインスツルメントとは、一対一に対応するものとなるため、このアダプタ上には、アダプタに接続される対象であるインスツルメントの種類を視認可能に表示する接続対象表示部が設けられることが好ましい。
この態様により、識別体を備えていないインスツルメントについても、接続チューブを介して診療装置本体に接続された際に識別することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記制御部は、前記識別手段により識別したインスツルメントに関連するインスツルメント関連情報を取得する構成であり、該インスツルメント関連情報を表示する表示部を備えることができる。
【0023】
前記インスツルメント関連情報は、インスツルメントの種類と前記駆動制御情報の少なくともいずれかとすることができる。例えば、タービン、モータといった種類を表示したり、モータに接続されるハンドピースの仕様(加減速比等)を表示したり、ハンドピースの仕様(加減速比)に応じて自動的に設定された回転数を表示したりすることができる。
【0024】
この態様により、術者は表示部を見ることでインスツルメント関連情報を確認できる。従って、診療装置にインスツルメントが正しく認識されているか確認することができる。また、駆動制御情報を表示部に表示した場合には、該駆動制御情報を確認するとともに適宜の操作手段によって設定変更することができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記インスツルメントを保持するホルダを複数備え、各ホルダに、保持している前記インスツルメントの取り出しを検出する取出検出手段を備え、前記制御手段は、該取出検出手段により前記インスツルメントの取り出しを検出すると、取出検出したインスツルメントのインスツルメント関連情報を前記表示部に表示する構成とすることができる機構と組み合わせると効果的である。
【0026】
前記ホルダは、長手形状のインスツルメントの基部側(接続チューブ側)の一部を挿入できる形状とすることができる。
【0027】
前記取出検出手段は、スイッチ、重量センサ、赤外線センサ、または近接センサなど、挿入されていたインスツルメントの取り出しを検出可能な適宜の手段で構成することができる。
【0028】
この態様により、術者がインツルメントを取り出すと、そのインスツルメントのインスツルメント関連情報が表示されるため、今まさに使用されようとしているインツルメントあるいはハンドピースの駆動制御の設定情報をすぐに確認する、あるいは変更するといったことができる。従って、手動操作を減少させることができて利便性が向上する。また、誤操作によって取り出したインスツルメントと表示部に表示している設定画面とが一致しなくなるといったことも防止できる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記識別体が、非接触IC媒体、誘導コイル、電気抵抗体、電気接点、マイクロスイッチ操作体、または磁石で構成され、前記識別手段が、非接触IC媒体リーダ、誘電コイル、電気抵抗測定手段、インピーダンス測定手段、電気接点スイッチ、マイクロスイッチ、または磁石有無判定手段で構成されることができる。
【0030】
非接触IC媒体は、アンテナとICチップとを備えて、メモリに記憶したデータを無線通信によって送信することができる媒体であり、RFID(Radio Frequency Identification)と呼ばれるものである。
【0031】
この態様により、適宜の方式でインスツルメント、インスツルメントの一部を為すよう装着されるハンドピース、あるいはアダプタに備えられた識別体を識別することができる。
【0032】
またこの発明の態様として、前記駆動制御情報を、タービンまたはモータの回転数、モータまたはモータ用ハンドピースの設定トルク、モータ用ハンドピースの加減速比、スケーラまたはレーザの出力、及び、モータ用ハンドピースや切削工具やスケーラ用チップやレーザ用チップ用途のいずれかとすることができる。
これにより、インスツルメントや、インスツルメントの一部を為すよう装着されるハンドピースについての具体的な設定や仕様を駆動制御情報として取得することができ、インスツルメントを適切に駆動させることができる。
【0033】
またこの発明の態様として、前記ハンドピースが、モータの回転駆動力を伝達するストレートハンドピースまたはコントラアングルハンドピースであり、前記インスツルメントが、マイクロモータを有する接続部材と前記ハンドピースとにより構成され、前記識別体が、前記ハンドピースに設けられ、前記駆動制御情報を、前記ストレートハンドピースまたはコントラアングルハンドピースの加減速比に応じて、回転数、負荷電流値、及び出力の少なくともいずれかの補正を行うためのものとすることができる。
この態様により、回転数や負荷電流値や出力といった重要な設定を適切に補正することができる。
【0034】
またこの発明の態様として、前記識別体が、前記ハンドピースにおいて前記接続部材との接続端面に設けられ、前記識別体より識別情報を受信する受信部材が、前記接続部材における前記ハンドピースとの接続端面に設けられる構成とすることができる。
これにより、前記識別体の情報を前記受信部材により非接触で良好に受信することができる。
【0035】
またこの発明の態様として、前記接続部材に接続可能な接続部材側接続部と、前記識別体を有しないハンドピースに接続可能なハンドピース側接続部とを有するアダプタを備え、該アダプタに、前記識別体を備えた構成とすることができる。
【0036】
これにより、ハンドピースが識別体を有しないものであっても、そのハンドピースに装着させる専用アダプタを介在させることで、自動識別可能なハンドピースとすることができる。
【0037】
またこの発明の態様として、新規に追加接続されるインスツルメントや、インスツルメントに新規に装着されるハンドピースに関する情報の入力を受け付ける入力受付手段を備えることができる。
前記入力受付手段は、情報を記憶する記憶媒体を読み取る記憶媒体読取装置、あるいは操作入力を受け付ける押下ボタンやタッチパネルモニタなど、適宜の手段で構成することができる。
【0038】
この態様により、追加接続されるインスツルメントや、インスツルメントに新規に装着されるハンドピースに関する情報を入力受け付け手段で受け付けることができ、容易にインスツルメントやハンドピースを新規登録することができる。
【0039】
またこの発明の態様として、前記駆動制御情報を記憶する記憶媒体を別途備え、前記入力受付手段が、前記記憶媒体に記憶されている前記駆動制御情報を読み取る構成とすることができる。
【0040】
記憶媒体としては、磁気カードやICカードやCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disk)といった接触型の記憶媒体、あるいは非接触IC媒体やバーコード付カードなどの非接触型の記憶媒体とすることができる。
【0041】
これにより、手入力せずとも駆動制御情報を入力受付手段で読み取ることができ、容易かつ確実に、新しいインスツルメントや、インスツルメントに新規に装着されるハンドピースの駆動制御情報を登録することができる。
【0042】
またこの発明の態様として、前記識別手段により識別不能なインスツルメントや、インスツルメントの一部を為すも識別不能なハンドピースを認識すると、前記制御部は、駆動停止する制御を実行する構成とすることができる。
【0043】
この態様により、識別できていないインスツルメントや、識別できていないハンドピースが装着されたインスツルメントを、不適切な設定で駆動することや不適切な駆動媒体(エアー、水、あるいは電気など)を供給するといったことを防止でき、インスツルメントの誤動作や破損、あるいは出力不足による非効率な治療を防止することができる。
【0044】
またこの発明の態様として、前記駆動停止の状態の解除を行う解除手段を備えることができる。
前記解除手段は、前記インスツルメントの駆動制御情報が登録された場合に駆動停止を解除する制御手段、あるいは人為的な操作によって一時的に駆動停止を解除する操作手段と制御手段など、適宜の手段で構成することができる。
【0045】
この態様により、駆動停止の状態を解除し、診療装置が認識していない新しいインスツルメントやハンドピースを、識別できていないことを使用者が認識した上で駆動することが可能になる。
【0046】
またこの発明は、診療に用いられるハンドピースを備えたインスツルメントと、該インスツルメントが接続される接続チューブと、該接続チューブに接続されたインスツルメントを駆動する駆動部と、該駆動部を制御する制御部とを備えた診療装置のインスツルメント管理制御方法であって、前記インスツルメントに前記制御部により識別可能な識別体が備えられ、前記制御部に接続して前記識別体を識別する識別手段が備えられ、前記制御部は、前記識別手段により識別した前記インスツルメントに適した駆動制御情報を取得し、該駆動制御情報に基づいて前記駆動部の動作を制御する診療装置のインスツルメント管理制御方法とすることができる。
【0047】
これにより、接続チューブに接続されたインスツルメントを識別でき、該インスツルメントに適した設定で駆動させることができる。従って、人為的な設定ミスや、不適切な設定値で駆動させてインスツルメントを破損させること、あるいは出力不足によって治療が非効率的になることを防止できる。特に、前記ハンドピースが、モータの回転駆動力を伝達するストレートハンドピースまたはコントラアングルハンドピースであり、前記インスツルメントが、前記ハンドピースとマイクロモータとよりなり、前記識別体が、前記ハンドピースに設けられ、前記駆動制御情報が、前記ストレートハンドピースまたはコントラアングルハンドピースの加減速比に応じて、回転数、負荷電流値、及び出力の少なくともいずれかの補正を行うためのものとすることができるのは、上述したとおりである。
【発明の効果】
【0048】
この発明により、多種多様なインスツルメントの接続が可能な診療装置について、あるいは、多種多様なハンドピースが装着されるインスツルメントを備えた診療装置について、接続チューブを介して接続されたインスツルメントや、インスツルメントの一部を為すよう装着されたハンドピースを、適切に動作させることができる診療装置を提供し、利用者の利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】診療設備の構成を示す斜視図。
【図2】識別型のインスツルメントを備えた診療装置の一例のブロック図。
【図3】インスツルメントの接続パターン例と識別の説明図。
【図4】メニュー表示用データと登録データのデータ構成の説明図。
【図5】各種のインスツルメントの設定データの例の説明図。
【図6】メインメニュー画面の画面構成図。
【図7】ハイスピードハンドピース(エアタービン)の設定画面の画面構成図。
【図8】ロースピードハンドピース(マイクロモータ)の設定画面の画面構成図。
【図9】インスツルメントの登録動作のフローチャート。
【図10】インスツルメント取り出し時の設定切替動作のフローチャート。
【図11】アダプタを用いた場合の概略構成の説明図。
【図12】マイクロモータとハンドピースの内部構成図。
【図13】アダプタを用いた場合の他例の概略構成の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0050】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0051】
図1は、診療設備1の構成を示す斜視図である。診療設備1は、ベースンユニット3、該ベースンユニット3にハンガーアーム2cを介して接続されるアシスタントハンガー2、診療椅子4、該診療椅子4の台となる診療基台6、および、該診療基台6に接続されたフートコントローラ5と診療装置9により構成されている。
【0052】
アシスタントハンガー2は、エアーや水の放出や吸引を行う補助器具2a,2bが取り出し可能に収納されるユニットである。このアシスタントハンガー2に収納されている補助器具2a,2bは、歯科診療の術者又はアシスタントによって使用され、口腔内の洗浄や吸引等に用いられる。
【0053】
ハンガーアーム2cは、アシスタントハンガー2を支持するアームである。このハンガーアーム2cが上下左右に屈曲可動することで、アシスタントハンガー2の高さや位置を適宜変更できるようになっている。
【0054】
ベースンユニット3は、うがい用の水を放出するノズル3bと、コップを載置するコップ載置部3cと、うがい後の水を受けるベースン3aとを備えている。
【0055】
診療椅子4および診療基台6は、術者の操作によって背面シート4bの傾動と診療椅子4の昇降を行う歯科診療台である。診療基台6には、油圧等による昇降装置(図示省略)が内蔵されており、診療椅子4は、この昇降装置に支持されている。診療椅子4は、ヘッドレスト4a、背面シート4b、および座面シート4cにより構成されている。背面シート4bは、座面シート4cに起伏自在に取り付けられ図示省略する油圧シリンダ等により傾動する。ヘッドレスト4aは、背面シート4bに対して固定あるいは距離・角度調節自在に装着されている。この傾動や昇降、距離・角度調節といった操作は、フートコントローラ5、あるいは診療装置9のタッチパネルモニタ53が術者に操作されることによって行われる。
【0056】
診療基台6には、主電源ボタン6aが設けられている。この主電源ボタン6aが足操作等によって押されると主電源ONとなる。
【0057】
フートコントローラ5は、操作ボタン5a〜5eと操作ペダル5fを備えた足踏操作ユニットである。術者によって操作ボタン5a〜5eや操作ペダル5fが踏まれると、入力信号を診療装置9へ送信する。これらの操作ボタン5a〜5eや操作ペダル5fの操作により、診療設備1は、インスツルメント20の駆動、インスツルメント20の注水のON/OFF切り替え、診療椅子4の昇降、背面シート4bの起伏等を実行する。
【0058】
診療装置9は、本体装置8、タッチパネルモニタ53、複数のインスツルメント20(20A〜20E)、およびインスツルメント20を保持するホルダ14(14A〜14E)により主に構成されている。
【0059】
タッチパネルモニタ53は、本体装置8の背面側に起立して設けられており、各種操作用の画面を表示し、術者によるタッチ入力を許容する。もちろん、タッチパネル式ではない表示機能のみのモニタとすることで、各種の画面を表示し、術者が設定操作を行うための情報を供給するものとしてもよい。
【0060】
本体装置8は、上面にトレーテーブル8cが設けられ、側面にカードスロット8dが設けられている。このカードスロット8dは、登録用記憶媒体7が挿入されると、該登録用記憶媒体7に記憶されているデータを読み取る。このデータには、本体装置8に接続されたことがない新しいインスツルメント20を使用可能にするように必要な識別データ、モジュール(モジュールプログラム)や設定データ等がある。
【0061】
トレーテーブル8cは、上面が平面であり、薬品や治療器具等を載置できるようになっている。トレーテーブル8cの前面は、表示部8aと操作ボタン8bが設けられている。これらの表示部8aと操作ボタン8bにより、タッチパネルモニタ53での操作入力と同様の操作を行うことができる。
【0062】
トレーテーブル8cの前面下方には、複数のホルダ14(14A〜14E)が設けられている。このホルダ14には、インスツルメント20(20A〜20E)が1つずつ収納され、該インスツルメント20の取り出しと収納を検知するセンサ13(図2参照)が設けられている。これにより、術者は、使用するインスツルメント20をホルダ14から取り出し、使用後に再度ホルダ14に収納することができ、センサ13はこの取り出しと収納を検知することができる。
【0063】
このホルダ14に収納されるインスツルメント20は、それぞれ接続チューブ27(27A〜27E)の一端に接続されており、この接続チューブ27の他端がトレーテーブル8cの下面に設けられている本体装置8の本体側接続部30(図2参照)に接続されている。
【0064】
接続されたインスツルメント20A〜20Eと接続チューブ27A〜2Eとホルダ14A〜14Eは、図1の符号でアルファベットA〜Eを付して示すようにそれぞれ1つずつ1対1対応している。従って、本体装置8は、それぞれのインスツルメント20A〜20Eと接続チューブ27A〜2Eとホルダ14A〜14Eをセットとして取り扱う。
【0065】
図2は、本発明の識別型のインスツルメント20を備えた診療装置9の一例を概念的に示すブロック図である。
診療装置9は、制御回路50に各部が接続されて構成されている。この制御回路50には、記憶部50aが設けられており、インスツルメント20を駆動制御するための各種プログラムやデータが記憶されている。
【0066】
まず、インスツルメント20の取り出し/収納を検出する検出系回路として、制御回路50に検出回路11が接続され、この検出回路11に複数のセンサ13(13A〜13E)が接続されている。センサ13は、各ホルダ14(図1参照)に1つずつ設けられており、スイッチや重量センサや赤外線センサや近接センサなど、インスツルメント20の取り出し/収納を検出できる適宜のセンサで構成されている。従って、そのホルダ14に対してインスツルメント20の取り出しや収納が行われると、センサ13によってこれを検出できる。検出した検出信号は、検出回路11に送られ、どのホルダ14に対応するインスツルメント20が取り出されたのか、あるいは収納されたのかが制御回路50へ伝達される。
【0067】
診療装置9は、インスツルメント20の駆動系として、制御回路50に駆動制御回路33が接続され、この駆動制御回路33にエアー回路35、水回路37、タービン駆動回路41、モータ駆動回路42、スケーラ駆動回路43、シリンダ駆動回路44、高速モータ駆動回路45、および低速モータ駆動回路46が接続されている。
【0068】
駆動制御回路33は、インスツルメント20(20A〜20F)に一対一対応で設けられた駆動回路41〜46の断接を行うと共に、必要に応じて、エアー回路35、水回路37を、インスツルメント20(20A〜20F)に接続切換する。
【0069】
エアー回路35は、エアー源57から加圧エアーの供給を受けて、インスツルメント20に必要なエアーを供給する。
【0070】
水回路37は、給水源58から水の供給を受けて、インスツルメント20に必要な水を供給する。
【0071】
タービン駆動回路41、モータ駆動回路42、スケーラ駆動回路43、シリンダ駆動回路44、高速モータ駆動回路45、および低速モータ駆動回路46は、外部電源59の供給を受け、接続されたインスツルメント20の種類に合わせた駆動媒体(エアー、水、電気など)をそれぞれ供給する。
【0072】
診療装置9は、接続切替系として、制御回路50に接続された駆動制御回路33に接続された本体側接続部30が設けられている。この本体側接続部30には、複数の接続端部31(31A〜31E)が設けられている。各接続端部31には、RFIDリーダライタRWがそれぞれ設けられている。
【0073】
各接続端部31には、複数存在する接続チューブ27(27A〜27F)のいずれかの基部側接続部29(29A〜29F)が選択的に接続される。各接続チューブ27の基部側接続部29付近には、それぞれRFIDタグTが設けられている。このRFIDタグTは、アンテナ(図示省略)とIC(図示省略)とで構成されており、接続端部31のRFIDリーダライタRWから誘導起電力を得て起動し、IC内のメモリに記憶しているIDなどのデータをRFIDリーダライタRWへ送信する。
【0074】
各接続チューブ27の先端側接続部28(28A〜28F)には、複数存在するインスツルメント20(20A〜20F)のいずれかが選択的に接続される。この先端側接続部28とインスツルメント20との接続、さらには、インスツルメントの一部を為すよう装着されるハンドピース(21a〜21c)についてもRFIDを用いた識別が行われる(後述の図3参照)。
【0075】
本体側接続部30は、各接続端部31に接続された接続チューブ27、インスツルメント20、およびハンドピース(21a〜21c)から識別データを取得し、該識別データを通信ラインにより識別手段32へ伝達する。
【0076】
識別手段32は、CPUやCICで構成されており、本体側接続部30から受信するデータにより、各接続端部31に接続された接続チューブ27、インスツルメント20、およびハンドピース(21a〜21c)を識別し、識別データを制御回路50へ伝達する。識別データを受け取った制御回路50は、各接続端部31に接続された接続チューブ27、インスツルメント20、およびハンドピース(21a〜21c)を識別して、適切な設定で各インスツルメント20を駆動させることができる。
【0077】
診療装置9は、入出力系として、入出力回路51が設けられ、該入出力回路51に記憶媒体リーダライタ52、タッチパネルモニタ53、およびフートコントローラ5が設けられている。
【0078】
記憶媒体リーダライタ52は、登録用記憶媒体7に記憶されたデータを読み取る。具体的には、未登録のインスツルメント20またはハンドピース(21a〜21c)の設定、仕様等を登録(インストール)する際に、登録用記憶媒体7がカードスロット8d(図1参照)に挿入され、この挿入された登録用記憶媒体7から選択ボタン画像7aや駆動制御プログラムのモジュール7bやデフォルト設定7c等を読み取る。
【0079】
タッチパネルモニタ53は、上述した表示と操作入力を実行し、フートコントローラ5は、上述した操作入力を受け付ける。
【0080】
図3は、接続チューブ27に接続されるインスツルメント20の接続パターン例と識別について説明する説明図である。
【0081】
インスツルメント20は、様々な構成のものが利用される。例えば、インスツルメント20aに示すように、ハンドピース21(21a,21b)と接続部材25(25a)とが接続されて構成されるものがある。接続部材25は、接続チューブ27から供給される駆動媒体(エアー、水、電気など)をハンドピース21へ搬送する通路を有しているものである。ハンドピース21は、エアスケーラ(21a)、超音波スケーラ(21a)、あるいはエアタービンハンドピース(21b)のように、先端のヘッド部分に取り付けられた診療工具を前記駆動媒体によって駆動させるものである。このハンドピース21は、接続部材25に対して自由に回転することができ、接続チューブ27の弾力による制約を軽減して高い操作性を有する。このため、術者は、ハンドピース21を把持して口腔内の様々な箇所に診療工具を当てて診療することができる。
【0082】
また、インスツルメント20bのように、接続部材25b、25cに装着されるハンドピース21cがさらにヘッド部22とネック部23とに分離できるものがある。このようなインスツルメント20bの一例として、接続部材25bが駆動媒体である電力を受けて回転力を生むモータであり、ハンドピース21cが該回転力を先端の診療工具に伝達する歯車内蔵ハンドピースである、という構成がある。他にも、例えば光照射器やレーザハンドピースのように、分離できないインスツルメント20cもある。これらのインスツルメント20の各接続部分に、RFIDタグTとRFIDリーダライタRWが設けられており、何が接続されたのか、どのハンドピース21が装着されたのか、識別できるようになっている。
【0083】
まず、接続チューブ27の先端側接続部28には、RFIDリーダライタRWが設けられている。この先端側接続部28には、様々なインスツルメント20に設けられる接続部材25(25a〜25c)若しくはインスツルメント20の基部側接続部26(26a〜26d)が選択的に接続される。
【0084】
この基部側接続部26(26a〜26d)には、RFIDタグTが設けられている。このため、基部側接続部26が先端側接続部28に接続されると、接続された基部側接続部26のRFIDタグTのデータがRFIDリーダライタRWによって読み取られる。
【0085】
接続部材25の先端側接続部24(24a,24b,24c)には、それぞれRFIDリーダライタRWが設けられている。このRFIDリーダライタRWは、接続チューブ27から供給される電気によって駆動する。
【0086】
ハンドピース21(21a,21b,21c)の基部側の接続部には、それぞれRFIDタグTが設けられている。このため、基部側の接続部が接続部材25に接続されると、接続されたハンドピース21のRFIDタグTのデータがRFIDリーダライタRWによって読み取られる。
【0087】
さらに、ヘッド部22とネック部23が分離する種類のハンドピース21cは、ヘッド部22の基部側の接続部にRFIDタグTが設けられ、ネック部23の先端側の接続部にRFIDリーダライタRWが設けられている。このRFIDリーダライタRWは、接続チューブ27から供給される電気によって駆動する。
【0088】
これにより、ヘッド部22がネック部23の先端側に接続されると、接続されたヘッド部22のRFIDタグTのデータがネック部23のRFIDリーダライタRWによって読み取られる。
【0089】
このようにして、接続チューブ27には様々なインスツルメント20が接続され、またインスツルメント20そのものもハンドピース本体21やヘッド部22の交換といったように適宜装着、接続される。
【0090】
図4は、制御回路50(図2参照)の記憶部50aに記憶されるメニュー表示用データ50bと登録データ50cのデータ構成を説明する説明図である。
【0091】
図4(A)に示すように、メニュー表示用データ50bは、番号、識別データ、選択ボタン画像、および駆動制御プログラムのモジュールのアドレスで構成されている。このメニュー表示用データ50bは、メインメニューに表示するインスツルメント20の選択ボタンの画像と、そのインスツルメント20が選択された場合に実行するそのインスツルメント20用の駆動制御プログラムのモジュールのアドレスを記憶した情報である。データのレコード数は、メインメニューで選択可能なインスツルメントの数と同一になる。
【0092】
図4(B)に示すように、登録データ50cは、番号、識別データ、選択ボタン画像、駆動制御プログラムのモジュールのアドレス、および設定データにより構成されている。
【0093】
識別データは、そのインスツルメント20や、インスツルメント20の一部を為すよう装着されたハンドピース21を識別するIDなどのデータである。選択ボタン画像および駆動制御プログラムのモジュールのアドレスは、上述したものと同一である。設定データは、そのインスツルメント20の駆動制御を行うための設定に関するデータであり、詳しくは図5と共に後述する。
【0094】
この登録データ50cに記憶されているデータの一部、すなわち接続チューブ27に接続されているインスツルメント20に対応するデータのみが、前記メニュー表示用データ50bに複製される。
【0095】
図5は、各種のインスツルメント20についての設定データの例を説明する説明図である。図5(A)〜図5(H)は、インスツルメント20やハンドピース21の種類毎に、設定の必要なデータ項目について説明している。この設定データの実際の設定値は、上述した登録データ50cの設定データ部分に記憶されている。
【0096】
図5(A)は、接続部材25a〜25cに設けられるマイクロモータの設定データの設定項目を示す。
【0097】
最高回転数の項目には、例えば40,000rpmといったように、マイクロモータの最高回転数を記憶する。
初期設定回転数の項目には、例えば10,000rpmといったように、マイクロモータの初期設定の回転数を記憶する。ここで、マイクロモータに装着されるハンドピースとの組み合わせによって、例えばハンドピースの加減速比に応じてマイクロモータの初期設定回転数を補正する。
【0098】
回転数へのフートスイッチ踏込み量反映の項目には、有(可変)または無(一定)のどちらかを記憶する。有(可変)であれば、フートコントローラ5の操作ペダル5fの踏み込み量によって回転数が変化し、無(一定)であれば操作ペダル5fの踏み込み量に関係なく一定の回転数で回転する。
【0099】
オートモードの項目には、オートリバース、ストップ、スローダウン、またはオートモードなしのいずれか1つが記憶される。選択可能なオートモードは、機種等によって異なる。
【0100】
オート制御作動のための基準トルクの項目には、例えば3.0Ncmといったように、オート制御作動する際の基準となるトルクを記憶する。ここで、マイクロモータに装着されるハンドピースとの組み合わせによって、例えばハンドピースの加減速比に応じて基準トルクに対応する基準電流値を補正する。
【0101】
ライトの項目には、ONまたはOFFを記憶する。
注水の項目には、ONまたはOFFを記憶する。
オートクレーブの項目には、済または未を記憶する。この記憶は、オートクレーブ装置(図示省略)にRFIDリーダライタを備え、オートクレーブ完了時にインスツルメント20のRFIDタグTにオートクレーブ済情報を書き込むとよい。なお、RFIDタグTに記憶するに限らず、インスツルメント20を接続チューブ27に接続した際にタッチパネルモニタ53や操作ボタン8bで手入力する構成にしてもよい。
【0102】
オートクレーブ回数履歴の項目には、当該インスツルメント20がオートクレーブされた回数を記憶する。
総使用時間の項目には、当該インスツルメント20が使用された総時間を記憶する。これにより使用可能な回数を超過していないかといった確認を行うことができる。
オートリバース回数履歴の項目には、劣化への影響が比較的大きいオートリバースの行われた回数を記憶する。
【0103】
図5(B)は、マイクロモータに接続されるハンドピース21cの設定データの設定項目を示す。
【0104】
形状種別の項目には、ストレートまたはコントラアングルを記憶する。
加減速比の項目には、例えば等速、5倍速、20分の1倍速といった加減速の比を記憶する。
【0105】
最高回転数の項目には、例えば5倍速の場合で200,000rpmといったように、加減速比に応じた最高回転数を記憶する。
初期設定回転数の項目には、例えば20分の1倍速の場合に400rpmといったように、加減速比に応じた初期設定回転数を記憶する。
【0106】
オート制御作動のための基準トルクの項目には、例えば20分の1倍速の場合には、基準トルクに対応する基準電流値として、等速ハンドピースの場合の概略20分の1とした補正値を記憶する。
【0107】
ライト、注水、オートクレーブ、オートクレーブ回数履歴、および総使用時間の各項目については、図5(A)の説明と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0108】
図5(C)は、エアタービンハンドピース(例えばハンドピース21b)の設定データの設定項目を示す。
【0109】
ヘッドサイズの項目には、通常、小児用小径ヘッド、高トルク大径ヘッドのいずれかが記憶される。
最高回転数の項目には、例えば400,000rpmといったように、エアタービンの最高回転数を記憶する。
【0110】
回転数へのフートスイッチ踏込み量反映の項目には、有(可変)または無(一定)を記憶する。
ベアリングタイプの項目には、例えばボールベアリングまたはエアベアリングといったように、ベアリングのタイプを記憶する。
【0111】
ライト、注水、オートクレーブ、オートクレーブ回数履歴、および総使用時間の各項目については、図5(A)の説明と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0112】
図5(D)は、エアタービンハンドピース(例えばハンドピース21b)やモータ用ハンドピース(例えばハンドピース21c)の先端に装着される切削工具の設定データの設定項目を示す。
設定項目には、最高回転数、オートクレーブ回数履歴、および総使用時間があるが、いずれも図5(A)の説明と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0113】
図5(E)は、エアスケーラや超音波スケーラといったスケーラ(例えばハンドピース21a)の設定データの設定項目を示す。
【0114】
駆動媒体の項目には、エアーまたは電気が記憶される。
初期設定出力の項目には、例えばメーターレベル7(最低出力1〜最高出力20の20段階のうち第7番目)といったように、初期設定の出力値を記憶している。ここで、スケーラの先端に接続されるスケーラ用チップの径や形状に対応して、目的となる用途に適した出力となるよう初期設定を補正する。
【0115】
駆動の項目には、ONまたはOFFが記憶される。OFFは、チップの振動を止めた状態で、水だけを出して使うような場合である。
ライト、注水、オートクレーブ、オートクレーブ回数履歴、および総使用時間の各項目については、図5(A)の説明と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0116】
図5(F)は、前記スケーラの先端に接続されるスケーラ用チップ(例えばヘッド部22)の設定データの設定項目を示す。
【0117】
タイプ(用途)の項目には、例えばエンド(根管治療)用、ぺリオ(歯周治療)用、スケーリング(歯面清掃)用、補綴物除去用、アマルガム充填用といったように、用途が記憶される。
オートクレーブ、オートクレーブ回数履歴、および総使用時間の各項目については、図5(A)の説明と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0118】
図5(G)は、レーザハンドピース(例えばハンドピース20c)の設定データの設定項目を示す。
【0119】
初期設定出力の項目には、例えば60mJといったように、初期設定の出力値を記憶する。ここで、レーザハンドピースの先端に装着されるレーザ照射チップの径や先端形状に対応して、施術箇所や用途に応じた適正出力に補正する。
初期設定照射間隔の項目には、例えば25pps(毎秒25パルス)といったように、初期設定の照射間隔を記憶する。
【0120】
ガイド光の項目には、ONまたはOFFを記憶する。
噴霧の項目には、ONまたはOFFを記憶する。
オートクレーブ、オートクレーブ回数履歴、および総使用時間の各項目については、図5(A)の説明と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0121】
図5(H)は、前記レーザハンドピースの先端に装着されるレーザ照射チップ(例えばヘッド部22)の設定データの設定項目を示す。
【0122】
タイプ(全体形状)の項目には、例えば湾曲またはストレートといったように、全体形状のタイプを記憶する。
タイプ(ファイバ先端形状)の項目には、例えばフラット、円錐(焦点形成照射)、円錐(径方向照射)、ブラシといったように、ファイバ先端形状のタイプを記憶する。
【0123】
ファイバ径の項目には、例えば800、600、400、300、200、135μmといったように、ファイバの径を記憶する。
オートクレーブ、オートクレーブ回数履歴、および総使用時間の各項目については、図5(A)の説明と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0124】
このように、各インスツルメント20やその部品(ハンドピース21、ヘッド部22、ネック部23、接続部材25)について、詳細な設定が記憶されている。これらの設定データは、インスツルメント20のRFIDタグTに記憶してもよく、またインスツルメント20やその部品毎の登録用記憶媒体7(図2参照)に記憶してもよく、あるいは本体装置8の記憶部50aに記憶してもよい。これらの構成部品の組み合わせに応じて、回転数や基準値といった上記各項目の設定を、適宜自動的に変更することで、適切な駆動制御を行うようにする。
【0125】
図6は、タッチパネルモニタ53に表示するメインメニュー画面70の画面構成図である。
【0126】
メインメニュー画面70は、インスツルメント選択ボタン71(71A〜71E)、ホームボタン95が設けられている。
【0127】
インスツルメント選択ボタン71(71A〜71E)は、複数の接続チューブ27(この実施例では5つ)に接続されている各インスツルメント20のいずれかを選択するボタンである。押下されると、そのインスツルメント20の設定画面(図7及び8参照)に移行する。図示の例では、エアタービンを用いた2つのハイスピードハンドピース(HS2,HS1)や、マイクロモータを用いた1つのロースピードハンドピース(LS1)などが選択可能に表示されている。
【0128】
各インスツルメント選択ボタン71に表示されている表示内容は、メニュー表示用データ50bに記憶されている選択ボタン画像である。そして、接続チューブ27に接続されているインスツルメント20が変えられれば、変えられたインスツルメント20に対応する表示内容に切り替わる。また、そのインスツルメント選択ボタン71が押下された際に移行する画面も、変えられたインスツルメント20に対応する設定画面に切り替わる。
【0129】
ホームボタン95は、メインメニューへ移行するためのボタンであり、現在の画面がメインメニューであるから選択不可能な状態で画面に表示されている。
【0130】
図7は、図6に示したハイスピードハンドピース(HS1)のインスツルメント選択ボタン71が選択された場合に表示する設定画面80Bの画面構成図である。
【0131】
この設定画面80Bには、注水ボタン82、ライトボタン83、可変/一定ボタン84、およびホームボタン95等が設けられている。
【0132】
注水ボタン82は、注水のON/OFFを選択許容するボタンである。初期状態は、図5(C)に示したエアタービンハンドピースの設定データにおける「注水」項目に記憶されている内容となる。
【0133】
ライトボタン83は、ライトのON/OFFを選択許容するボタンである。初期状態は、図5(C)に示したエアタービンハンドピースの設定データにおける「ライト」項目に記憶されている内容となる。
【0134】
可変/一定ボタン84は、回転数へのフートスイッチ踏込み量反映の有(可変)/無(一定)を選択許容するボタンである。初期状態は、図5(C)に示したエアタービンハンドピースの設定データにおける「回転数へのフートスイッチ踏込み量反映」項目に記憶されている内容となる。
【0135】
ホームボタン95は、選択されると図6のメインメニュー画面70に戻るボタンである。
【0136】
図8は、インスツルメント20としてマイクロモータを用いたロースピードハンドピース(LS1)が選択された場合の設定画面80Cの画面構成図である。
【0137】
この設定画面80Cには、チップエアボタン81、注水ボタン82、ライトボタン83、可変/一定ボタン84、速度レンジ切替ボタン85、回転数表示部86、設定回転数表示部87、回転数調節ボタン88、およびホームボタン95が設けられている。
【0138】
チップエアボタン81は、チップエアのON/OFFを選択許容するボタンである。このチップエアボタン81と注水ボタン82の設定は関連づけられており、チップエアOFFで注水ONとすることはできず、また注水ON時にチップエアをOFFすることはできないように制御される。
【0139】
注水ボタン82、ライトボタン83、および可変/一定ボタン84は、上述した図7の注水ボタン82、ライトボタン83、および可変/一定ボタン84と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0140】
速度レンジ切替ボタン85は、回転速度レンジを選択許容するボタンである。例えば、「UL」はULTRA LOW(約100〜250rpm,チップエアーOFF)であり、「L」はLOW(約100〜3,000rpm,チップエアーOFF)であり、「M」はMEDIUM(約100〜9,000rpm,チップエアーON)であり、「H」はHIGH(約100〜40,000rpm,チップエアーON)であるとすることができる。
【0141】
回転数表示部86は、マイクロモータの現在の回転数を表示する。
設定回転数表示部87は、設定された最高回転数を表示する。
【0142】
回転数調節ボタン88は、マイクロモータの最高回転数を変える操作を許容する。これにより、設定される最高回転数を少しずつ増減する、あるいは大きく増減する設定変更が可能である。
【0143】
この設定画面80B,80C等により、各種のインスツルメント20の設定を詳細に行うことができる。さらに、インスツルメント20の一部を為すよう装着されるハンドピース21(21c)の仕様(加減速比)をも表示し、その加減速比に応じた適切な設定回転数や基準トルクを自動的に設定し直し、表示に反映させることで、装着されるハンドピース21(21c)に対応した駆動制御に変更することができる。
【0144】
図9は、接続チューブ27にインスツルメント20が装着されると、そのインスツルメント20が未登録である場合に、本体装置8の制御回路50が、そのインスツルメント20に適した駆動制御のための設定やプログラムのモジュール等を登録する動作を示すフローチャートである。この動作は、接続チューブ27にインスツルメント20が装着される毎に実行する。なお、主電源ボタン6a(図1参照)が操作されて主電源ONとなったときに、全ての接続チューブ27についてこの動作を実行して、接続されているインスツルメント20か未登録かどうか確認し、未登録であれば設定やモジュール等を新規に登録することが好ましい。
【0145】
制御回路50は、接続チューブ27の先端側接続部28にインスツルメント20が接続されたことを検出するまで待機する(ステップS1:No)。この検出は、先端側接続部28に設けられたRFIDリーダライタRWから所定間隔でポーリングを実行し、インスツルメント20の基部側接続部26に設けられたRFIDタグTから応答があったときに接続あり(ステップS1:Yes)と検出するとよい。
【0146】
インスツルメント20の接続を検出すると(ステップS1:Yes)、制御回路50は、インスツルメント20の認識を実行する(ステップS2)。この認識は、例えばRFIDタグTからの応答で受信したID(RFIDに書き込まれた各インスツルメント20の固有ID)が、既に本体装置8の記憶部50aの登録データ50cの識別データに存在するか否かにより認識するとよい。
【0147】
登録データ50cに既に登録されている場合(ステップS3:Yes)、制御回路50は、登録データ50cのうち前記IDと識別データが一致するレコードのデータを読み取る(ステップS4)。
【0148】
そして、制御回路50は、メニュー表示用データ50bの選択ボタン画像および駆動制御プログラムのモジュールのアドレスを、登録データ50cから読み取ったデータに更新する(ステップS5)。これにより、装着されたインスツルメント20に対し、制御回路50が駆動制御回路33により駆動する制御動作や設定、最大回転数などの規制が必要な規制設定が適切に行われる状態になる。
【0149】
制御回路50は、タッチパネルモニタ53へのメッセージ表示や音声出力などによって設定完了を出力し(ステップS6)、処理を終了する。
【0150】
前述のステップS3で、インスツルメント20が登録されていないと判断された場合(ステップS3:No)、制御回路50は、その接続チューブ27に関して駆動制御回路33から駆動することを停止する(ステップS7)。この駆動停止により、エアーや水や電気といった駆動媒体が接続チューブ27に供給されず、その先のインスツルメント20にも供給されない。従って、誤動作や不適切な駆動力を付与することや破損を防止できる。
【0151】
制御回路50は、「未登録」、「これからインスツルメントの登録を行います」といったメッセージをタッチパネルモニタ53に表示する(ステップS8)。これにより、制御回路50は、接続されたインスツルメント20が未登録のものであることを、使用者に知らせる。
【0152】
そして、制御回路50は、記憶媒体リーダライタ52に登録用記憶媒体7が挿入されているか確認し(ステップS9)、挿入されていれば(ステップS9:Yes)、登録用記憶媒体7から媒体データを読み取る(ステップS10)。このとき読み取る媒体データには、その登録用記憶媒体7のID(識別データ)、選択ボタン画像、および駆動制御プログラムのモジュールが含まれている。また、このとき、制御回路50は、「新しいインスツルメントを登録中です」といったメッセージをタッチパネルモニタ53に表示してもよい。
【0153】
制御回路50は、読み取った媒体データを記憶部50aの登録データ50cに登録する(ステップS11)。この登録により、新しいインスツルメント20の設定データや駆動制御プログラムのモジュールの登録が完了となり、これ以降、登録されたインスツルメント20を適切な設定で使用できるようになる。
【0154】
登録後、制御回路50は、駆動停止状態を解除し(ステップS12)、前記ステップS11で登録した選択ボタン画像と駆動制御プログラムのモジュールのアドレス(登録先)を、メニュー表示用データ50bに登録して更新する(ステップS5)。このとき、ステップS1で装着検出した接続チューブ27、あるいは接続チューブ27を受ける装置本体8側の接続端部に該当する番号のデータを更新する。
【0155】
前記ステップS9で登録用記憶媒体7が記憶媒体リーダライタ52に挿入されていなかった場合(ステップS9:No)、制御回路50は、タッチパネルモニタ53にメッセージを表示する(ステップS13)。このメッセージは、たとえば「カードを挿入してください」や「このインスツルメントは登録されていません。登録操作をしてください」といったように、未登録のインスツルメント20に関するデータの登録を促すメッセージとすることが好ましい。またこのとき、設定データ等の手入力を許容する手入力ボタンをタッチ操作可能に表示する、あるいは操作ボタン8bを操作するようメッセージを追加表示するとよい。
【0156】
設定データなどが手入力される場合(ステップS14:Yes)、制御回路50は、複数の設定画面80をタッチパネルモニタ53に表示し、適切な画面を利用者(術者あるいは補助者)に選択させる(ステップS15)。ここで適切な画面とは、登録しようとしているインスツルメント20がエアタービンハンドピースであればエアタービンハンドピースの設定画面80を選択するなど、登録するインスツルメント20の種類と同じ種類の設定画面80をいう。
【0157】
制御回路50は、選択された設定画面80を表示して設定値を入力させる(ステップS16)。この設定値の入力は、あらかじめ定めたデフォルト値を表示して変更許容する、あるいはまったく値を入力していない状態で表示して自由に入力させるなど、適宜の方法により行う。
【0158】
制御回路50は、設定画面に表示された登録ボタン(図示省略)が選択されず、記憶部50aの登録データ50cに新規登録せずに終了されれば(ステップS17:No)、ステップS7で実行した駆動停止を解除し(ステップS12)、ステップS5へ処理を進める。
【0159】
設定画面に表示された登録ボタン(図示省略)が選択された場合(ステップS17:Yes)、制御回路50は、入力されたデータを登録データ50cに新規登録し(ステップS18)、ステップS12へ処理を進める。
【0160】
以上の動作により、インスツルメント20が接続チューブ27に装着される毎に、あるいは、ハンドピース21が装着される毎に、接続されたインスツルメント20やハンドピース21に応じた適正な設定が、自動的に為されるばかりでなく、それらインスツルメント20やハンドピース21が未登録か否か確認し、未登録であれば設定を含めた駆動制御プログラムのモジュールや選択ボタン画像などを登録することができる。
【0161】
図10は、ホルダ14からインスツルメント20が取り出されると、これを検出してタッチパネルモニタ53に表示する設定画面80や使用する駆動制御プログラムのモジュールや設定を切り替える動作のフローチャートである。
【0162】
制御回路50は、ホルダ14によりインスツルメント20の取り出しを検出すると(ステップS21:Yes)、そのホルダ14に対応する接続チューブ27のインスツルメント20が駆動停止中となっていないか確認する(ステップS2)。
【0163】
ここで、術者は、通常の診療として、インスツルメント20をホルダ14から1つ取り出し、その1つのインスツルメント20を用いて診療する。また場合によっては、術者が使用しているインスツルメント20とは別のインスツルメント20を、次いで使用するためにアシスタントがホルダ14から取り出し待機している。そして、それらのインスツルメント20を用いた診療が終わると、ホルダ14に戻してから、次のインスツルメント20をホルダ14から取り出す。従って、診療中は、すべてのホルダ14に各インスツルメント20が収納されている状態か、いずれか1つあるいは複数のインスツルメント20が取り出された状態となっている。
【0164】
複数のインスツルメント20が同時に取り出されるときには、最初に取り出されたことを検出したインスツルメント20を対象に図10の制御フローチャートを適用すればよい。その場合、2番目以降に取り出されたインスツルメント20は駆動停止状態とし、最初に取り出されたインスツルメント20がホルダ14に収納されたときに、次いで図10の制御フローチャートの適用対象とすればよい。
【0165】
ステップ22において、駆動停止中であれば(ステップS22:Yes)、制御回路50は、図9とともに説明した登録処理(ステップS1〜S18)を実行し(ステップS23)、ステップS21に処理を戻す。
【0166】
駆動停止中でなければ(ステップS22:No)、制御回路50は、タッチパネルモニタ53に表示している現在の画面が、取り出されたインスツルメント20に対応する設定画面80になっているか確認する(ステップS24)。対応する設定画面80になっていれば(ステップS24:Yes)、ステップS26へ処理を進める。
【0167】
対応する設定画面80になっていなければ(ステップS24:No)、制御回路50は、タッチパネルモニタ53に表示する画面を、取り出されたインスツルメント20に対応する駆動制御プログラムのモジュールを実行し、対応する設定画面80に切り替える(ステップS25)。
【0168】
このとき、このとき制御回路50は、メニュー表示用データ50bを参照し、取り出しを検出したホルダ14の番号に対応する番号の駆動制御プログラムのモジュールのアドレスを参照して、そのアドレスのモジュールを実行する。また、モジュールが実行されることにより、そのモジュールが設定画面80を表示する。このモジュールは、設定画面80に表示する設定値を、その識別データに対応する登録データ50cの各設定データ項目に登録されている設定値とする。
【0169】
また、取り出されたインスツルメント20が、ハンドピース21と接続部材25からなる場合や、さらにヘッド部22とネック部23に分離可能な場合など、複数の部品からなる種類である場合、全ての部品のRFIDタグTからデータを読み取る。そして、読み取った全てのデータに基づいて設定値を決定する。
【0170】
ここで、複数の部品から読み取ったデータの設定値として重複する項目がある場合、制御回路50は、最も条件が厳しい(あるいは悪い)ものを採用する、あるいは適宜優先順位を定めておいて優先順位の高い方を採用するなど、予め定めたルールによって設定値を決定する。これにより、例えば最高回転数を低い方にする、オートクレーブが1つでも未であれば駆動不可とするなど、複数部品の組合せに対しても適切な駆動制御を実行することができる。
【0171】
制御回路50は、設定画面80に対する術者のタッチ操作による設定変更を受け付ける(ステップS26)。この設定変更では、ライトON/OFFや注水ON/OFF、マイクロモータの回転数など、ホルダ14から取り出されているインスツルメント20に対応した設定値の変更が可能である。また、設定変更可能な範囲は、ホルダ14から取り出されているインスツルメント20の適正範囲となるように駆動制御プログラムのモジュールによって制御される。
【0172】
制御回路50は、術者によるフートコントローラ5の操作等によってインスツルメント20の駆動が実行されるまで(ステップS27:No)、ステップS26の設定変更を受け付ける。
【0173】
術者によるフートコントローラ5の操作等によってインスツルメント20の駆動が実行されると(ステップS27:Yes)、制御回路50は、設定画面80で設定された設定値とモジュールにプログラミングされている内容に従って、駆動制御回路33に接続されている各回路(35〜46)のうち必要な回路を設定された設定値で駆動する(ステップS28)。この各回路(35〜46)の駆動により、エアーや水や電気といった駆動媒体が接続チューブ27を介してインスツルメント20に供給され、インスツルメント20が駆動する。
【0174】
制御回路50は、術者によるフートコントローラ5の操作等によって駆動が停止されるまで(ステップS29:No)、この駆動を継続する。術者によって駆動が停止されると(ステップS29:Yes)、ホルダ14にインスツルメント20が収納されたか否かを検出する(ステップS30)。
【0175】
インスツルメント20の収納を検出しなければ(ステップS30:No)、ステップS26へ処理を戻し、設定変更や駆動を継続して許容する。インスツルメント20の収納を検出すると(ステップS30:Yes)、制御回路50は、タッチパネルモニタ53に表示する画面をメインメニュー画面70に切り替え(ステップS31)、処理を終了する。
【0176】
一方、ステップS21でインスツルメント20の取り出しを検出しなかった場合(ステップS21:No)、制御回路50は、タッチパネルモニタ53での画面操作を受け付ける(ステップS32)。ここで画面操作が行われなければ(ステップS32:No)、制御回路50はステップS21に処理を戻して待機する。
【0177】
画面操作が行われると(ステップS32:Yes)、制御回路50は、操作によって指定された動作を実行する(ステップS33)。このときの動作としては、たとえばインスツルメント選択ボタン71が選択されて対応する設定画面80を表示し、さらに操作されて設定値が変更されるといった動作がある。
【0178】
以上の動作により、ホルダ14からインスツルメント20が取り出されると、そのインスツルメント20や、インスツルメント20の一部を為すよう装着されるハンドピース21を正しく識別し、適切な設定値で適切な駆動媒体を供給し、適切に駆動することができる。
【0179】
以上に説明した構成および動作により、接続チューブ27に接続されたインスツルメント20を識別でき、該インスツルメント20に適した設定で駆動させることができる。従って、人為的な設定ミスや、不適切な設定値で駆動させてインスツルメント20を破損させること、あるいは出力不足によって治療が非効率的になることを防止できる。
【0180】
特に、インスツルメント20が、マイクロモータと、マイクロモータに着脱交換装着される複数種類のハンドピースとで構成される場合、マイクロモータとハンドピースとを識別し、その組み合わせに応じて、駆動制御のための設定を、自動的に適切なものに変更し、表示することができる。
【0181】
例えば、加減速比に応じて是正が必要な「回転数」、加減速比に応じて是正が必要な「設定トルク」など、重要な設定を制御回路50が自動的に変更することができ、また使用者に向けて表示することができるため、非常に便利に使用することができる。
【0182】
また、マイクロモータに限らず、インプラント用などの表示の変更やチップの表示が必要な「用途」、およびスケーラ用のチップの場合等に必要な「出力」なども、重要な設定を制御回路50が自動的に定めることができるため、非常に便利に使用することができる。
【0183】
また、術者はタッチパネルモニタ53を見ることで設定画面80を確認できる。従って、本体装置8にインスツルメント20が正しく認識されているか確認することができる。また、タッチパネルモニタ53のタッチ操作や操作ボタン8bのプッシュ操作によって、設定画面80に表示している設定を変更することができる。
【0184】
また、術者がインスツルメント20をホルダ14から取り出すと、そのインスツルメント20の設定画面80がタッチパネルモニタ53に表示されるため、すぐにインスツルメント20の駆動制御の設定情報を確認する、あるいは変更するといったことができる。従って、手動操作を減少させることができて利便性が向上する。また、誤操作によって取り出したインスツルメント20とタッチパネルモニタ53に表示している設定画面80とが一致しなくなるといったことも防止できる。
【0185】
また、記憶媒体リーダライタ52により、カードスロット8dに挿入された登録用記憶媒体7を読み取ることができるため、インスツルメント20についての具体的なデフォルト設定7cや駆動制御プログラムのモジュール7b、および選択ボタン画像7aを取得することができ、インスツルメント20やハンドピース21を適切に登録して適切に駆動させることができる。
【0186】
また、登録用記憶媒体7の利用により、手入力せずともデフォルト設定7cや駆動制御プログラムのモジュール7b、および選択ボタン画像7aを記憶媒体リーダライタ52で読み取ることができ、容易かつ確実に新しいインスツルメント20やハンドピース21の駆動制御に必要なデータを登録することができる。
【0187】
また、駆動停止処理により、識別できていないインスツルメント20やハンドピース21を不適切な設定で駆動することや不適切な駆動媒体を供給するといったことを防止でき、インスツルメント20やハンドピース21の誤動作や破損を防止することができる。
【0188】
また、インスツルメント20やハンドピース21が正しく登録されれば、あるいは術者の手動による解除操作が行われれば、駆動停止の状態を解除するため、その後は新しいインスツルメント20やハンドピース21を駆動することが可能になる。
【0189】
なお、上述した実施例では、最も好ましい例としてインスツルメント20およびその部品の識別体としてRFIDタグTを使用し、識別手段としてRFIDリーダライタRWを用いたが、これに限らず、適宜の手段を採用してもよい。
【0190】
例えば、識別体として誘導コイルを使用し、識別手段としても誘電コイルを使用してもよい。この場合、誘導コイルによる磁界の変化によって識別することができる。
【0191】
また、識別体として電気抵抗体を備え、識別手段として電気抵抗測定手段を備えても良い。この場合も、電気抵抗を測定することで識別することができる。また複数の部品を接続したインスツルメント20であっても、それぞれの部品の電気抵抗の合計値によって識別することができる。
【0192】
また、識別体として電気接点を備え、識別手段として電気接点スイッチを備えても良い。この場合、電気接点の位置等によって電気接点スイッチのスイッチONとする部分を変更でき、これによって識別することができる。
【0193】
また、識別体をマイクロスイッチ操作体(例えば突起など)とし、識別手段をマイクロスイッチとしてもよい。この場合も、マイクロスイッチの押下部位等を異ならせることで識別することができる。
【0194】
また、識別体を磁石とし、識別手段を磁石の有無を検出する手段で構成してもよい。この場合、磁石の有無を検出することで識別することができる。
【0195】
また、駆動部として駆動制御回路33、エアー回路35、水回路37、タービン駆動回路41、モータ駆動回路42、スケーラ駆動回路43、シリンダ駆動回路44、高速モータ駆動回路45、及び低速モータ駆動回路46を備えたが、これに限らず、レーザ照射を可能にするレーザ駆動回路を備えるなど、適宜の回路で構成することができる。
【0196】
また、図11に示すようにRFIDタグTなどの識別体を有するアダプタ90を備え、このアダプタ90を用いて、RFIDタグTなどの識別体を有しないインスツルメント120を識別する構成としてもよい。
【0197】
このアダプタ90は、インスツルメント120を接続するインスツルメント側接続部92と、接続チューブ27の先端側接続部28と接続するチューブ側接続部94とを備えている。
【0198】
この場合、アダプタ90のRFIDタグTに識別データを記憶しておくとよい。また該アダプタ90に対応する登録用記憶媒体7を用いて本体装置8にデータ登録すればよい。
【0199】
さらに、アダプタ90には、対応するインスツルメント20を容易に判別できるように、対応するインスツルメント20の型番や種類などを表示する表示部93を備えるとよい。
【0200】
これにより、図11(A)に示すように、識別体を有しないインスツルメント120に対して、アダプタ90を準備し、図11(B)に示すように接続することで、インスツルメント120を識別体のあるインスツルメント20と同様に取り扱うことができる。
【実施例2】
【0201】
次に、インスツルメントが、マイクロモータと、マイクロモータに装着されるハンドピースとで構成される場合を例にとり、本発明の変形例を説明する。インスツルメント以外の診療設備1の構成および動作は、実施例1と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0202】
図12(A)は、マイクロモータを備えた接続部材225bとハンドピース221cの部分断面図、図12(B)は、ハンドピース221cの装着端面図、図12(C)は、マイクロモータを備えた接続部材225bの装着端面図である。図12(A)の部分断面図は、ハンドピース221cの部分断面が図12(B)のA−A矢視断面図であり、接続部材225bの部分断面が図12(C)のB−B矢視断面図である。
【0203】
ハンドピース221cは、接続部材225bとの接続端面215に(若しくは接続端面215に近接して)RFIDタグTが設けられている。このRFIDタグTは、接続部材225bの先端側接続部224bが挿入される中心側の内壁213と、該内壁213を囲む円筒形の外壁212の間に配置され、好ましくは外壁212近傍位置に配置されている。これにより、ハンドピース221cに接続部材225bの先端側接続部224bが挿入されて照明光の供給や、駆動力又は駆動媒体の供給が行われることを妨げずにRFIDタグTを配置している。
【0204】
RFIDタグTは、前記接続端面215と同一面となるように配置するか、あるいは非接触通信に用いる電波や電磁波等の通過を許容する適宜の素材で前記接続端面215側を被覆して配置するとよい。これにより、接続部材225bに設けられたRFIDリーダライタRWに対して非接触通信に用いる電波や電磁波等の伝達が行われることを可能にしている。
【0205】
そして、このRFIDタグTは、図12(B)に示すようにハンドピース221cにおける位置決め部材214の近傍に配置されている。すなわち、ハンドピース221cには、接続部材225bとの周方向における接続位置を定める部材として位置決め部材214が設けられている。この位置決め部材214の近傍にRFIDタグTが配置されることで、RFIDタグTの位置が精度よく定まる。
【0206】
接続部材225bは、ハンドピース221cとの接続端面218に(若しくは接続端面218に近接して)RFIDリーダライタRWが設けられている。このRFIDリーダライタRWは、接続部材225bの中心側の内壁217と、該内壁217を囲む円筒形の外壁216の間に配置され、好ましくは外壁216近傍位置に配置されている。これにより、ハンドピース221cに対して先端側接続部224bから照明光の供給や、駆動力又は駆動媒体の供給を行うことを妨げずにRFIDリーダライタRWを配置している。
【0207】
RFIDリーダライタRWは、前記接続端面218と同一面となるように配置するか、あるいは非接触通信に用いる電波や電磁波等の通過を許容する適宜の素材で前記接続端面218側を被覆して配置するとよい。これにより、ハンドピース221cに設けられたRFIDタグTに対して非接触通信に用いる電波や電磁波等の伝達が行われることを可能にしている。
【0208】
また、このRFIDリーダライタRWは、接続部材225bにおける位置決め許容部219の近傍に配置されている。すなわち、接続部材225bには、ハンドピース221cとの周方向における接続位置を定めるために位置決め許容部219が設けられている。この位置決め許容部219にハンドピース221cの位置決め部材214が挿入されて、ハンドピース221cと接続部材225bとの相対位置が定められる。この位置決め許容部219の近傍にRFIDリーダライタRWが配置されることで、RFIDリーダライタRWの位置が精度よく定まる。また、接続部材225bの中心線CからRFIDリーダライタRWの通信領域中心までの距離と、ハンドピース221cの中心線CからRFIDタグTの通信領域中心までの距離は、同一若しくはほぼ同一に構成されている。これにより、ハンドピース221cと接続部材225bが接続されると、RFIDタグTとRFIDリーダライタRWが精度よく対向配置される。
【0209】
このように、マイクロモータを備えた接続部材225bにハンドピース221cを装着したときに相互に接触する端面に、RFIDリーダライタRWと、RFIDタグTとを埋め込むことで、ハンドピース221cの識別データ及び駆動制御情報を、診療装置9の本体が読み取ることができる。
【0210】
RFIDリーダライタRWおよびRFIDタグTは、マイクロモータを有する接続部材225bとハンドピース221cとを構成する金属部品による通信に悪影響を受けずに通信することができる。
【0211】
また、図12に示した例のようにマイクロモータを有する接続部材225bが照明用光源を備え、ハンドピース221cが導光用ライトガイドを備えている場合、光源とライトガイドとが対向するように配置するための位置決め部材214及び当該位置決め部材214を受ける位置決め許容部219とが設けられている。この位置決め部材214及び位置決め許容部219の位置関係に合わせて、RFIDリーダライタRWとRFIDタグTとを配置しておくことで、通信のための対向配置が容易に行える。特に、この実施例では、RFIDリーダライタRWおよびRFIDタグTを、それぞれ位置決め許容部219および位置決め部材214の近傍位置に配置されているため、ハンドピース221cと接続部材225bが接続された状態で、RFIDリーダライタRWとRFIDタグTを確実に対向させることができる。これにより、非接触通信を確実に実行することができる。
【0212】
このようにRFIDリーダライタRWとRFIDタグTを近接させて対向配置させることで、狭い空間に小型に設けられて有効な通信距離の短いRFIDリーダライタRWとRFIDタグTであっても、確実に非接触通信を行うことができる。
【0213】
仮に、コイル型のアンテナを有するRFIDタグTなど、通信強度の強い方向の定まっているRFIDタグTとRFIDリーダライタRWを用いた場合、接続部材225bとハンドピース221cが接続された最に少しでも回転方向にずれていると、通信方向が正面対向せずに非接触通信に失敗する可能性がある。これに対して、上述したように回転方向の位置決めを行う位置決め部材214および位置決め許容部219を備え、さらにこれらの近傍にRFIDタグTとRFIDリーダライタRWを備えたことにより、精度よくRFIDタグTとRFIDリーダライタRWを正面対向させて良好な非接触通信を行うことができる。
【0214】
また、接続部材225bの外壁216や内壁217は、強度や耐久性等の問題から金属部材によって形成され、またハンドピース221cの外壁212や内壁213も強度や耐久性当の問題から金属部材によって形成されていて、非接触通信を阻害する素材となっている。このようなハンドピース221cと接続部材225bに対して、外壁212,216と内壁213,217の間位置にRFIDタグTとRFIDリーダライタRWをそれぞれ備え、このRFIDタグTとRFIDリーダライタRWの間に金属部材を備えない構成にしたため、ハンドピース221cや接続部材225bの強度や耐久性を維持した上で、非接触通信を実現することができる。
【0215】
なお、上述した構成の接続部材225bに対応してアダプタ390を用いる構成とし、RFIDタグTを有しないハンドピースを識別する構成としてもよい。
【0216】
図13は、アダプタ390を備えた場合の構成説明図であり、図13(A)は、マイクロモータを備えた接続部材225bとハンドピース321cの部分断面図、図13(B)は、アダプタ390の装着端面図、図13(C)は、マイクロモータを備えた接続部材225bの装着端面図である。図13(A)の部分断面図は、アダプタ390の部分断面が図13(B)のA−A矢視断面図であり、接続部材225bの部分断面が図13(C)のB−B矢視断面図である。
【0217】
この実施例のハンドピース321cは、RFIDタグTを有しない通常のものを使用する。
このハンドピース321cは、図12とともに説明したハンドピース221cの外壁212、内壁213、位置決め部材214、および接続端面215と同様に、外壁312、内壁313、位置決め部材314、および接続端面315を備えている。
【0218】
アダプタ390は、円筒形の外壁398と中心側の中空部の壁面となる内壁399とを有し、その両端にマイクロモータを有する接続部材225bに接続するためのマイクロモータ側接続部(接続部材側接続部)394と、ハンドピース321cを接続するためのハンドピース側接続部392とを備え、マイクロモータを有する接続部材225bとハンドピース321cとの間に介在する構成となっている。
【0219】
アダプタ390のハンドピース側接続部392には、ハンドピース321cの位置決め部材316を接続許容して位置決めするための位置決め許容部396が設けられている。
【0220】
アダプタ390のマイクロモータ側接続部394には、接続部材225bの位置決め許容部219に接続して位置決めするための位置決め部材397が設けられている。
【0221】
RFIDタグTは、マイクロモータ側接続部394と同一面となるように配置するか、あるいは非接触通信に用いる電波や電磁波等の通過を許容する適宜の素材でマイクロモータ側接続部394側を被覆して配置するとよい。これにより、接続部材225bに設けられたRFIDリーダライタRWに対して非接触通信に用いる電波や電磁波等の伝達が行われることを可能にしている。
【0222】
そして、このRFIDタグTは、アダプタ390における位置決め部材397の近傍に配置されている。すなわち、アダプタ390には、接続部材225bとの周方向における接続位置を定める部材として位置決め部材397が設けられている。この位置決め部材397の近傍にRFIDタグTが配置されることで、RFIDタグTの位置が精度よく定まる。また、接続部材225bの中心線CからRFIDリーダライタRWの通信領域中心までの距離と、ハンドピース321cの中心線CからRFIDタグTの通信領域中心までの距離は、同一若しくはほぼ同一に構成されている。これにより、ハンドピース321cと接続部材225bが接続されると、RFIDタグTとRFIDリーダライタRWが精度よく対向配置される。
【0223】
アダプタ390に備えたRFIDタグTには、ハンドピース321cの識別データを記憶しておく。これにより、RFIDタグTを有しないハンドピース321cを、いわばRFIDタグを有する構成にバージョンアップすることができる。また、該アダプタ390を用いる場合には、該アダプタ390に対応する登録用記憶媒体7を用いて本体装置8にデータ登録すればよい。これにより、容易にデータ登録してアダプタ390を用いることができる。
【0224】
さらに、アダプタ390には、図11とともに説明したアダプタ90と同様に、対応するハンドピースを容易に判別できるように、対応するハンドピースの型番や種類、仕様(加減速比)などを表示する表示部を備えるとよい。
【0225】
以上の構成により、識別体を有しないハンドピース321cに対して、アダプタ390を準備し、図13に示すようにアダプタ390を介してマイクロモータを有する接続部材225bとハンドピース321cとを接続することで、ハンドピース321cを、識別体のあるハンドピースと同様に取り扱うことができる。
【0226】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の記憶媒体は、実施形態の登録用記憶媒体7に対応し、
以下同様に、
インスツルメント関連情報は、選択ボタン画像7a、駆動制御プログラムのモジュール7b、およびデフォルト設定7cに対応し、
駆動制御情報は、デフォルト設定7cに対応し、
取出検出手段は、センサ13(13A〜13E)に対応し、
駆動部は、駆動制御回路33、エアー回路35、水回路37、タービン駆動回路41、モータ駆動回路42、スケーラ駆動回路43、シリンダ駆動回路44、高速モータ駆動回路45、及び低速モータ駆動回路46に対応し、
制御部は、制御回路50に対応し、
解除手段は、ステップS12を実行する制御回路50に対応し、
入力受付手段は、記憶媒体リーダライタ52に対応し、
表示部は、タッチパネルモニタ53に対応し、
ハンドピースとの接続端面は、位置決め許容部219に対応し、
コントラアングルハンドピースは、ハンドピース221cに対応し、
接続部材側接続部は、マイクロモータ側接続部394に対応し、
識別体および非接触IC媒体は、RFIDタグTに対応し、
識別手段、非接触IC媒体リーダ、および受信部材は、RFIDリーダライタRWに対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0227】
この発明は、歯科用ユニットなどの歯科用の診療装置を始めとして、耳鼻咽喉科、産婦人科、泌尿器科、眼科などで用いられる、接続チューブを介して多種多様なインスツルメントを接続する診療装置や、多種多様なハンドピースが装着されるインスツルメントを備えた診療装置に用いることができる。
【符号の説明】
【0228】
7…登録用記憶媒体、7a…選択ボタン画像、7b…駆動制御プログラムのモジュール、7c…デフォルト設定、9…診療装置、13,13A〜13E…センサ、14,14A〜14e…ホルダ、20,20A〜20F…インスツルメント、27,27A〜27F…接続チューブ、33…駆動制御回路、35…エアー回路、37…水回路、41…タービン駆動回路、42…モータ駆動回路、43…スケーラ駆動回路、44…シリンダ駆動回路、45…高速モータ駆動回路、46…低速モータ駆動回路、50…制御回路、52…記憶媒体リーダライタ、53…タッチパネルモニタ、90…アダプタ、92…インスツルメント側接続部、94…チューブ側接続部、215,218,317…接続端面、219…位置決め許容部、221c,321c…ハンドピース、225b…接続部材、390…アダプタ、392…ハンドピース側接続部、394…マイクロモータ側接続部、T…RFIDタグ、RW…RFIDリーダライタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診療に用いられるハンドピースを備えたインスツルメントと、
該インスツルメントが接続される接続チューブと、
該接続チューブに接続されたインスツルメントを駆動する駆動部と、
該駆動部を制御する制御部とを備えた診療装置であって、
前記インスツルメントは、前記制御部により識別可能な識別体を備え、
前記識別体を識別する識別手段が前記制御部に接続して備えられ、
前記制御部は、前記識別手段により識別した前記インスツルメントに適した駆動制御情報を取得し、該駆動制御情報に基づいて前記駆動部の動作を制御する構成である
診療装置。
【請求項2】
前記識別体と、前記接続チューブに接続可能なチューブ側接続部と、前記識別体を有しないインスツルメントに接続可能なインスツルメント側接続部とを有するアダプタを備え、
前記制御部は、前記アダプタの識別体を前記識別手段により識別した場合、該識別体に対応する駆動制御情報を取得し、該駆動制御情報に基づいて前記駆動部の動作を制御する構成である
請求項1記載の診療装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記識別手段により識別したインスツルメントに関連するインスツルメント関連情報を取得する構成であり、
該インスツルメント関連情報を表示する表示部を備えた
請求項1または2記載の診療装置。
【請求項4】
前記インスツルメントを保持するホルダを複数備え、
各ホルダに、保持している前記インスツルメントの取り出しを検出する取出検出手段を備え、
前記制御手段は、該取出検出手段により前記インスツルメントの取り出しを検出すると、取出検出したインスツルメントのインスツルメント関連情報を前記表示部に表示する構成である
請求項3記載の診療装置。
【請求項5】
前記識別体が、非接触IC媒体、誘導コイル、電気抵抗体、電気接点、マイクロスイッチ操作体、または磁石で構成され、
前記識別手段が、非接触IC媒体リーダ、誘電コイル、電気抵抗測定手段、インピーダンス測定手段、電気接点スイッチ、マイクロスイッチ、または磁力測定手段で構成された
請求項1から4のいずれか1つに記載の診療装置。
【請求項6】
前記駆動制御情報が、タービンまたはモータの回転数、モータまたはモータ用ハンドピースの設定トルク、モータ用ハンドピースの加減速比、スケーラまたはレーザの出力、及び、モータ用ハンドピースや切削工具やスケーラ用チップやレーザ用チップ用途のいずれかである
請求項1から5のいずれか1つに記載の診療装置。
【請求項7】
前記ハンドピースが、モータの回転駆動力を伝達するストレートハンドピースまたはコントラアングルハンドピースであり、
前記インスツルメントが、マイクロモータを有する接続部材と前記ハンドピースとにより構成され、
前記識別体が、前記ハンドピースに設けられ、
前記駆動制御情報が、前記ストレートハンドピースまたはコントラアングルハンドピースの加減速比に応じて、回転数、負荷電流値、及び出力の少なくともいずれかの補正を行うためのものである
請求項1から5のいずれか1つに記載の診療装置。
【請求項8】
前記識別体が、前記ハンドピースにおいて前記接続部材との接続端面に設けられ、
前記識別体より識別情報を受信する受信部材が、前記接続部材における前記ハンドピースとの接続端面に設けられた
請求項7記載の診療装置。
【請求項9】
前記接続部材に接続可能な接続部材側接続部と、前記識別体を有しないハンドピースに接続可能なハンドピース側接続部とを有するアダプタを備え、
該アダプタに、前記識別体を備えた
請求項8記載の診療装置。
【請求項10】
新規に追加接続されるインスツルメントに関する情報の入力を受け付ける入力受付手段を備えた
請求項1から9のいずれか1つに記載の診療装置。
【請求項11】
前記駆動制御情報を記憶する記憶媒体を備え、
前記入力受付手段は、前記記憶媒体に記憶されている前記駆動制御情報を読み取る構成である
請求項10記載の診療装置。
【請求項12】
前記識別手段により識別不能なインスツルメントを認識すると、前記制御部は、駆動停止する制御を実行する構成である
請求項1から11のいずれか1つに記載の診療装置。
【請求項13】
前記駆動停止の状態の解除を行う解除手段を備えた
請求項12記載の診療装置。
【請求項14】
診療に用いられるハンドピースを備えたインスツルメントと、
該インスツルメントが接続される接続チューブと、
該接続チューブに接続されたインスツルメントを駆動する駆動部と、
該駆動部を制御する制御部とを備えた診療装置のインスツルメント管理制御方法であって、
前記インスツルメントに前記制御部により識別可能な識別体が備えられ、
前記制御部に接続して前記識別体を識別する識別手段が備えられ、
前記制御部は、前記識別手段により識別した前記インスツルメントに適した駆動制御情報を取得し、該駆動制御情報に基づいて前記駆動部の動作を制御する
診療装置のインスツルメント管理制御方法。
【請求項15】
前記ハンドピースが、モータの回転駆動力を伝達するストレートハンドピースまたはコントラアングルハンドピースであり、
前記インスツルメントが、マイクロモータを有する接続部材と前記ハンドピースとにより構成され、
前記識別体が、前記ハンドピースに設けられ、
前記駆動制御情報が、前記ストレートハンドピースまたはコントラアングルハンドピースの加減速比に応じて、回転数、負荷電流値、及び出力の少なくともいずれかの補正を行うためのものである
請求項14に記載の診療装置のインスツルメント管理制御方法。
【請求項1】
診療に用いられるハンドピースを備えたインスツルメントと、
該インスツルメントが接続される接続チューブと、
該接続チューブに接続されたインスツルメントを駆動する駆動部と、
該駆動部を制御する制御部とを備えた診療装置であって、
前記インスツルメントは、前記制御部により識別可能な識別体を備え、
前記識別体を識別する識別手段が前記制御部に接続して備えられ、
前記制御部は、前記識別手段により識別した前記インスツルメントに適した駆動制御情報を取得し、該駆動制御情報に基づいて前記駆動部の動作を制御する構成である
診療装置。
【請求項2】
前記識別体と、前記接続チューブに接続可能なチューブ側接続部と、前記識別体を有しないインスツルメントに接続可能なインスツルメント側接続部とを有するアダプタを備え、
前記制御部は、前記アダプタの識別体を前記識別手段により識別した場合、該識別体に対応する駆動制御情報を取得し、該駆動制御情報に基づいて前記駆動部の動作を制御する構成である
請求項1記載の診療装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記識別手段により識別したインスツルメントに関連するインスツルメント関連情報を取得する構成であり、
該インスツルメント関連情報を表示する表示部を備えた
請求項1または2記載の診療装置。
【請求項4】
前記インスツルメントを保持するホルダを複数備え、
各ホルダに、保持している前記インスツルメントの取り出しを検出する取出検出手段を備え、
前記制御手段は、該取出検出手段により前記インスツルメントの取り出しを検出すると、取出検出したインスツルメントのインスツルメント関連情報を前記表示部に表示する構成である
請求項3記載の診療装置。
【請求項5】
前記識別体が、非接触IC媒体、誘導コイル、電気抵抗体、電気接点、マイクロスイッチ操作体、または磁石で構成され、
前記識別手段が、非接触IC媒体リーダ、誘電コイル、電気抵抗測定手段、インピーダンス測定手段、電気接点スイッチ、マイクロスイッチ、または磁力測定手段で構成された
請求項1から4のいずれか1つに記載の診療装置。
【請求項6】
前記駆動制御情報が、タービンまたはモータの回転数、モータまたはモータ用ハンドピースの設定トルク、モータ用ハンドピースの加減速比、スケーラまたはレーザの出力、及び、モータ用ハンドピースや切削工具やスケーラ用チップやレーザ用チップ用途のいずれかである
請求項1から5のいずれか1つに記載の診療装置。
【請求項7】
前記ハンドピースが、モータの回転駆動力を伝達するストレートハンドピースまたはコントラアングルハンドピースであり、
前記インスツルメントが、マイクロモータを有する接続部材と前記ハンドピースとにより構成され、
前記識別体が、前記ハンドピースに設けられ、
前記駆動制御情報が、前記ストレートハンドピースまたはコントラアングルハンドピースの加減速比に応じて、回転数、負荷電流値、及び出力の少なくともいずれかの補正を行うためのものである
請求項1から5のいずれか1つに記載の診療装置。
【請求項8】
前記識別体が、前記ハンドピースにおいて前記接続部材との接続端面に設けられ、
前記識別体より識別情報を受信する受信部材が、前記接続部材における前記ハンドピースとの接続端面に設けられた
請求項7記載の診療装置。
【請求項9】
前記接続部材に接続可能な接続部材側接続部と、前記識別体を有しないハンドピースに接続可能なハンドピース側接続部とを有するアダプタを備え、
該アダプタに、前記識別体を備えた
請求項8記載の診療装置。
【請求項10】
新規に追加接続されるインスツルメントに関する情報の入力を受け付ける入力受付手段を備えた
請求項1から9のいずれか1つに記載の診療装置。
【請求項11】
前記駆動制御情報を記憶する記憶媒体を備え、
前記入力受付手段は、前記記憶媒体に記憶されている前記駆動制御情報を読み取る構成である
請求項10記載の診療装置。
【請求項12】
前記識別手段により識別不能なインスツルメントを認識すると、前記制御部は、駆動停止する制御を実行する構成である
請求項1から11のいずれか1つに記載の診療装置。
【請求項13】
前記駆動停止の状態の解除を行う解除手段を備えた
請求項12記載の診療装置。
【請求項14】
診療に用いられるハンドピースを備えたインスツルメントと、
該インスツルメントが接続される接続チューブと、
該接続チューブに接続されたインスツルメントを駆動する駆動部と、
該駆動部を制御する制御部とを備えた診療装置のインスツルメント管理制御方法であって、
前記インスツルメントに前記制御部により識別可能な識別体が備えられ、
前記制御部に接続して前記識別体を識別する識別手段が備えられ、
前記制御部は、前記識別手段により識別した前記インスツルメントに適した駆動制御情報を取得し、該駆動制御情報に基づいて前記駆動部の動作を制御する
診療装置のインスツルメント管理制御方法。
【請求項15】
前記ハンドピースが、モータの回転駆動力を伝達するストレートハンドピースまたはコントラアングルハンドピースであり、
前記インスツルメントが、マイクロモータを有する接続部材と前記ハンドピースとにより構成され、
前記識別体が、前記ハンドピースに設けられ、
前記駆動制御情報が、前記ストレートハンドピースまたはコントラアングルハンドピースの加減速比に応じて、回転数、負荷電流値、及び出力の少なくともいずれかの補正を行うためのものである
請求項14に記載の診療装置のインスツルメント管理制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−182849(P2011−182849A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48623(P2010−48623)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
【Fターム(参考)】
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