説明

証紙識別システム及び証紙識別方法

【課題】切手テンプレートの追加登録処理におけるオペレータの負荷を軽減させ、一度の登録により切手検知率を確実に向上させる。
【解決手段】切手検知モジュール3において、切手領域抽出部17、切手テンプレートクラスタリング部18、及び切手テンプレート登録候補選定部19によって、検知失敗画像から、切手テンプレート追加登録候補が作成される。ここで、切手テンプレート登録候補選定部19は、切手検知率の算出を行って、検知改善率の向上に寄与すると予測される切手テンプレート登録候補を選定する。切手テンプレート登録部16は、切手テンプレート追加登録候補を、表示部に表示させ、オペレータの操作により、切手テンプレート追加登録候補を、切手テンプレートとして登録させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、証紙識別システム及び証紙識別方法に係り、例えば、郵便自動区分機を構成し、郵便物に貼付又は印刷された切手等の証紙の種類や位置、数量等を検知するために用いる切手検出モジュール等の証紙識別システム及び証紙識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、葉書を含む定形郵便物(レターメール)の取揃えや、消印押印、仕分けのために、専用の郵便自動区分機が開発され実用に供されている。
この郵便自動区分機は、郵便物に貼付された切手や宛先等の画像を取り込むスキャナと、切手を検知する切手検知モジュールと、宛先を検知する宛先検知モジュールと、郵便物の方向を取り揃える面取揃処理モジュールと、消印を押印する消印押印処理モジュールと、郵便物を仕分ける仕分処理モジュールとを備えてなっている。
【0003】
切手検知モジュールは、切手検知処理モジュール本体の構成各部を制御する制御部と、制御部が実行する処理プログラムや各種データ等を記憶するための記憶部と、オペレータが操作するための操作部と、切手テンプレート等が表示される表示部とを有してなっている。
【0004】
制御部は、記憶部に記憶された制御プログラムを実行することによって、スキャナから供給された郵便物に貼付された切手の画像情報に基づいて切手を検知する切手検知部や、切手テンプレート登録する切手テンプレート登録部として機能する。
切手検知部は、切手の画像情報を、予め登録された切手テンプレートと、パターンマッチングを行うことによって照合して、切手を検知する(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
所定の切手画像を、切手テンプレートとして記憶部に登録するには、まず、登録したい切手が貼付された郵便物を、郵便自動区分機へ供給し、切手検知部に郵便物の画像情報を収集させる。
切手検知部が、収集した郵便物の画像情報を切手テンプレート登録部へ送ると、切手テンプレート登録部は、郵便物の画像情報を表示部に表示させる。すなわち、オペレータが、操作部を操作して、切手テンプレート登録部のツール上で、画像中の切手エリアを選択し、所定の切手画像の登録を行う。切手テンプレート登録部において、全ての切手テンプレートの登録がなされると、切手テンプレートは切手検知部へ送られる。
【0006】
後日、切手画像を、切手テンプレートとして追加登録するには、オペレータによって、切手検知部が切手の検知に失敗した切手の画像のなかから、切手検知率の向上に寄与しそうなものが選択されると、切手検知部又は切手テンプレート登録部は、上記画像情報収集処理、切手画像登録処理及びテンプレート送付処理を繰り返し実行する。
【0007】
切手検知モジュールの検知対象である切手は、随時、新しいデザインのものが発行されるので、高い検知率を保持するためには、常時新しく流通している切手を登録しておく必要がある。
また、本来同一種類であっても、印刷誤差等によって、登録されている切手と見た目が大きく異なる切手も同様に登録しておく必要がある。
【0008】
従来の切手登録方法では、切手検知率が低下してきた場合には、オペレータが、切手検知部が切手の検知に失敗した切手の画像のなかから、追加登録したときに、切手検知率の向上に寄与しそうなものを選定した後に、追加登録処理が行われるので、オペレータにかかる負荷が大きい。
また、追加登録される切手は、オペレータの主観によって判断されるので、登録後の検知率向上がどの程度であるかの予測が困難である。
【0009】
宛先検知モジュールにおける宛先検知で、検知率を高めるために、読取結果が、未登録の宛先住所であって場合に、郵便物の画像や読取結果を表示部に表示させて、オペレータによる正誤判定結果の入力の後、正判定の場合に、未登録の宛先住所が住所データベースに登録される技術が提案されている。この宛先検知の方法を、切手検知モジュールおける切手検知に適用することが考えられる。
【0010】
しかしながら、このように自動学習を行わせる場合には、正解値として正しい宛先住所が知られているようなときに適用できるので、宛先検知のための方法を、このまま、切手検知のために適用することは困難である。さらに、正誤判定及び正誤判定結果の入力は、オペレータが行わなければならない。
【0011】
また、宛先検知モジュールにおける宛先検知で、郵便物の住所及び宛名を読み取り、住所データを参照して正しい住所を判定すると共に、住所判定結果を、読み取った宛名に基づいて宛名辞書を参照して必要に応じて訂正し、住所判定回数が基準値以上となったときに未登録の宛名を宛名辞書に登録することとして、信頼性の向上を図った技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2003−271955号公報
【特許文献2】特開2000−279894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
解決しようとする第1の問題点は、依然として、切手テンプレートの追加登録のためのオペレータの負荷が大きいという点である。
すなわち、宛先検知のための上記従来技術を、切手検知のために適用したとしても、非検知の切手画像と略同一の切手画像を次回以降識別しなければならず、識別できたとして、非検知の切手画像と略同一の切手画像を基準回数以上取得したときに自動的に登録するとしても、切手領域の切出しは、オペレータが行わなければならない。
【0013】
また、第2の問題点は、切手検知率を確実に向上させることが困難であるという点である。
すなわち、宛先検知のための上記従来技術を、切手検知のために適用したとしても、非検知の切手画像と略同一の切手画像を次回以降識別しなければならず、識別できたとして、非検知の切手画像と略同一の切手画像を基準回数以上取得したときに自動的に登録するとしても、検知対象が切手の場合、信頼性の向上(検知率の向上)を期待することはできない。
【0014】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、テンプレートの追加登録処理におけるオペレータの負荷を軽減することができる証紙識別システム及び証紙識別方法を提供することを第1の目的としている。
また、一度の登録により検知率を確実に向上させることができる証紙識別システム及び証紙識別方法を提供することを第2の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、各種証紙のテンプレートが登録されているテンプレート記憶手段と、紙葉類に付された上記証紙の画像情報を取得する証紙画像取得手段と、取得された上記画像情報と上記テンプレートとの照合結果に基づいて、上記証紙を検知するための証紙検知手段とを備えてなる証紙識別システムに係り、上記証紙検知手段が、一致する上記テンプレートがないと判断したときは、上記画像情報に基づいて、非検知の上記証紙のテンプレートを生成するテンプレート生成手段を備えてなると共に、該テンプレート生成手段は、複数の非検知の上記証紙の上記画像情報のなかから、所定の規則に基づいて、テンプレート候補を選出する候補選出手段と、上記テンプレート候補を除く非検知の上記画像情報と、上記テンプレート候補との照合結果に基づいて、上記証紙の検知を試行する検知試行手段と、非検知の上記証紙のうち、上記テンプレート候補を用いることによって、検知試行時に新たに検知可能となる上記証紙の割合を示す検知率を求める検知率算出手段と、上記検知率が所定の値以上の上記テンプレート候補を、上記テンプレートとして選出するテンプレート選出手段とを有してなることを特徴としている。
ここで、証紙は、狭義の証紙のほか、切手及び印紙を含む広い概念を意味する。
【0016】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の証紙識別システムに係り、上記候補選出手段は、複数の上記テンプレート候補を選出し、上記検知試行手段は、上記各テンプレート候補を用いて上記証紙の検知をそれぞれ試行し、上記検知率算出手段は、上記各テンプレート候補に対応する上記検知率を求めることを特徴としている。
【0017】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の証紙識別システムに係り、上記テンプレート生成手段によって生成された上記テンプレートを、上記証紙の検知のために用いる上記テンプレートとして上記テンプレート記憶手段に登録させるためのテンプレート登録制御手段を備えたことを特徴としている。
【0018】
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の証紙識別システムに係り、上記テンプレート生成手段によって生成された上記テンプレートを表示手段に表示させる表示制御手段と、上記テンプレートの登録操作を行うための操作手段とを備え、上記テンプレート登録制御手段は、上記操作手段を介した操作者による登録操作があると、上記テンプレートを上記テンプレート記憶手段に登録させることを特徴としている。
【0019】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載の証紙識別システムに係り、上記表示制御手段は、上記テンプレート及び対応する上記検知率を上記表示手段に表示させることを特徴としている。
【0020】
また、請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1に記載の証紙識別システムに係り、上記テンプレート生成手段は、上記証紙画像取得手段によって取得された上記紙葉類の画像情報に基づいて、切手領域の画像情報を抽出する切手領域抽出手段を有することを特徴としている。
【0021】
また、請求項7記載の発明は、請求項6記載の証紙識別システムに係り、上記証紙画像取得手段は、上記紙葉類のカラー画像情報を取得し、上記切手領域抽出手段は、上記紙葉類のカラー画像情報に基づいて、切手領域の周りの背景色を推定する背景色推定手段と、上記紙葉類のなかの所定の領域のうち、背景画素を除去して残った領域の画像を、切手領域画像とする画像処理手段とを有することを特徴としている。
【0022】
また、請求項8記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1に記載の証紙識別システムに係り、上記テンプレート生成手段は、複数の非検知の上記画像情報を、略同一の特徴を有する画像情報同士が集められたグループに分類する証紙画像分類手段を有し、記候補選出手段は、上記グループに属する非検知の上記画像情報から、上記グループを代表する上記テンプレート候補を選出することを特徴としている。
【0023】
また、請求項9記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか1に記載の記載の証紙識別システムに係り、上記候補選出手段は、複数の非検知の上記証紙の上記画像情報のなかから、上記テンプレート候補をランダムに選出することを特徴としている。
【0024】
また、請求項10記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか1に記載の記載の証紙識別システムに係り、上記証紙検知手段は、上記検知試行手段を兼ねることを特徴としている。
【0025】
また、請求項11記載の発明は、請求項1乃至10のいずれか1に記載の記載の証紙識別システムに係り、上記紙葉類としての郵便物を区分するための郵便自動区分機において用いられ、上記郵便物に貼付された上記証紙としての切手を識別することを特徴としている。
【0026】
また、請求項12記載の発明は、紙葉類に付された各種証紙の画像情報を取得する証紙画像取得ステップと、取得された上記画像情報とテンプレート記憶手段に登録されている上記証紙のテンプレートとの照合結果に基づいて、上記証紙を検知するための証紙検知ステップとを備えた証紙識別方法に係り、上記証紙検知ステップで、一致する上記テンプレートがないと判断したときは、上記画像情報に基づいて、非検知の上記証紙のテンプレートを生成するテンプレート生成ステップを備えていると共に、該テンプレート生成ステップは、複数の非検知の上記証紙の上記画像情報のなかから、所定の規則に基づいて、テンプレート候補を選出する候補選出ステップと、上記テンプレート候補を除く非検知の上記画像情報と、上記テンプレート候補との照合結果に基づいて、上記証紙の検知を試行する検知試行ステップと、非検知の上記証紙のうち、上記テンプレート候補を用いることによって、検知試行時に新たに検知可能となる上記証紙の割合を示す検知率を求める検知率算出ステップと、上記検知率が所定の値以上の上記テンプレート候補を、上記テンプレートとして選出するテンプレート選出ステップとを含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0027】
この発明の構成によれば、候補選出手段が、複数の非検知の証紙の画像情報のなかから、所定の規則に基づいて、テンプレート候補を選出し、検知試行手段が、テンプレート候補を除く非検知の画像情報を、テンプレート候補と照合して、証紙の検知を試行し、検知率算出手段が、非検知の証紙のうち、テンプレート候補を用いることによって、検知試行時に新たに検知可能となる証紙の割合を示す検知率を求め、テンプレート選出手段が、検知率が所定の値以上の追加テンプレート候補を、テンプレートとして選出するので、テンプレートの登録を自動的に簡単にかつ確実に行うことができ、テンプレートの登録処理におけるオペレータの負荷を軽減することができる。
【0028】
また、候補選出手段が、複数の非検知の証紙の画像情報のなかから、所定の規則に基づいて、テンプレート候補を選出し、検知試行手段が、テンプレート候補を除く非検知の画像情報を、テンプレート候補と照合して、証紙の検知を試行し、検知率算出手段が、非検知の証紙のうち、テンプレート候補を用いることによって、検知試行時に新たに検知可能となる証紙の割合を示す検知率を求め、テンプレート選出手段が、検知率が所定の値以上のテンプレート候補を、テンプレートとして選出するので、検知率の算出を行って、検証した後に、検知率の向上に寄与すると予測されるテンプレート登録候補を選定することとなるので、一度の登録により証紙検知率を確実に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
候補選出手段が、複数の非検知の証紙の画像情報のなかから、所定の規則に基づいて、追加テンプレート候補を選出し、検知試行手段が、追加テンプレート候補を除く非検知の画像情報を、追加テンプレート候補と照合して、証紙の検知を試行し、検知率算出手段が、非検知の証紙のうち、追加テンプレート候補の追加によって、検知試行時に新たに検知可能となる証紙の割合を示す検知率を求め、追加テンプレート選出手段が、検知率が所定の値以上の追加テンプレート候補を、追加テンプレートとして選出することによって、テンプレートの追加登録を自動的に簡単にかつ確実に行うことができ、テンプレートの追加登録処理におけるオペレータの負荷を軽減するという第1の目的を実現した。
【0030】
また、候補選出手段が、複数の非検知の証紙の画像情報のなかから、所定の規則に基づいて、追加テンプレート候補を選出し、検知試行手段が、追加テンプレート候補を除く非検知の画像情報を、追加テンプレート候補と照合して、証紙の検知を試行し、検知率算出手段が、非検知の証紙のうち、追加テンプレート候補の追加によって、検知試行時に新たに検知可能となる証紙の割合を示す検知率を求め、追加テンプレート選出手段が、検知率が所定の値以上の追加テンプレート候補を、追加テンプレートとして選出することによって、検知率の算出を行って、検証した後に、検知率の向上に寄与すると予測されるテンプレート登録候補を選定することとなるので、一度の登録により検知率を確実に向上させるという第2の目的を実現した。
【実施例1】
【0031】
図1は、この発明の第1の実施例である切手検知モジュールの構成を説明するための説明図、図2は、同切手検知モジュールを備えた郵便自動区分機の構成を示すブロック図、図3は、同切手検知モジュールの構成を示すブロック図、また、図4乃至図6は、同切手検知モジュールの動作を説明するための処理手順図である。
【0032】
この例の郵便自動区分機1は、図2に示すように、一定速度で搬送されてくる郵便物に貼付された切手や宛先等の画像(例えば、256階調のRGBカラー画像)を取り込むスキャナ2と、郵便物の画像情報に基づいて切手を検知する切手検知モジュール3と、郵便物の画像情報に基づいて宛先を検知する宛先検知モジュール4と、切手検知情報及び宛先検知情報に基づいて、郵便物の方向を取り揃える面取揃処理モジュール5、例えばインクジェットプリンタによって消印を押印する消印押印処理モジュール6、及び郵便物を仕分ける仕分処理モジュール7とを備えてなっている。
【0033】
切手検知処理モジュール3は、図3に示すように、切手検知処理モジュール本体の構成各部を制御する制御部11と、制御部11が実行する処理プログラムや各種データ等を記憶するための記憶部12と、オペレータが操作するための操作部13と、テンプレート追加候補の画像情報や検知率情報等が表示される表示部14とを有してなっている。
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)等からなり、記憶部12に記憶された所定の制御プログラムに従って構成各部を制御し、例えば、切手検知処理や、切手領域抽出処理、切手テンプレートクラスタリング処理、切手テンプレート登録候補選定処理、切手テンプレート登録処理等を実行する。
【0034】
すなわち、制御部11は、記憶部12に記憶された制御プログラムを実行することによって、図1に示すように、切手検知部15や、切手テンプレート登録部16、切手領域抽出部17、切手テンプレートクラスタリング部18、切手テンプレート登録候補選定部19等として機能する。
【0035】
切手検知部15は、スキャナ2から供給された郵便物の画像情報(例えば、256階調のRGBカラー画像)gaに基づいて、切手を検知する。
すなわち、切手検知部15は、郵便物の全面画像を受け取り、郵便物の例えば右上の角部及び左下の角部の固定された領域(この例では、それぞれ、縦40mm×横80mmの領域)を切手検知領域として、切手検知領域の画像情報を、予め登録された切手テンプレートと、パターンマッチングを行うことによって照合して、切手を検知する。
【0036】
なお、郵便物の左下の角部の切手検知領域は、郵便物が、180°回転した状態で、郵便自動区分機1に供給される場合を考慮して設定されている。
切手検知部は15は、切手の検知に成功した場合は、切手検知情報gbを、面取揃処理モジュール5、消印押印処理モジュール6及び仕分け処理モジュール7へ送り、失敗した場合は、郵便物の全面画像(例えば、256階調のRGBカラー画像)を、検知失敗画像gcとして、切手領域抽出部17及び切手テンプレート登録候補選定部19へ送る。
【0037】
切手領域抽出部17は、切手検知部15から郵便物の全面画像を受け取ると、背景色推定処理と、切手領域画像抽出処理とを実行する。
切手領域抽出部17は、背景色推定処理で、受け取った郵便物の全面画像に基づいて、郵便物の全面画像を16階調に量子化する処理と、RGBの各色に対してヒストグラムを作成する処理(x軸の範囲(階調の範囲)は、0〜15)と、RGBの各ヒストグラム上で最も頻度の高い画素値を背景の画素値とする処理と、16階調の画素値を256階調の画素値に戻す処理とを実行する。例えば、Rの背景画素値が、16階調で「12」の場合は、256階調では「192」〜「207」となる。
【0038】
切手領域抽出部17は、切手領域画像抽出処理で、推定された背景色を用いて、切手検知領域内の背景画素を除去し、残った領域を切手領域画像とする。ここで、複数の領域が残った場合には、複数の切手領域画像を抽出し、該当領域がない場合は、抽出すべき切手領域画像無しとする。
このように、切手領域抽出部17は、切手検知部15から送られてきた郵便物の全面画像(全ての検知失敗画像)について切手領域内の画像(RGBカラー画像)を抽出し、抽出された切手領域抽出画像gdを切手テンプレートクラスタリング部18へ送る。
【0039】
切手テンプレートクラスタリング部18は、切手検知部15で行ったのと同様のパターンマッチング処理を行うことによって、受け取った切手領域抽出画像を、同種の切手画像毎にグループ化する処理を行う。
すなわち、切手テンプレートクラスタリング部18は、切手領域抽出部17から送られてきた切手領域抽出画像を、予め設定された所定のクラスタリング開始数(この例では、100000個)まで保管する保管処理と、保管数がクラスタリング開始数を越えると、多数の切手領域抽出画像のなかから、ランダムに、1つの切手領域抽出画像を選出して、この切手領域抽出画像を一時テンプレートとする一時テンプレート選出処理と、この一時テンプレートと、他の全ての切手領域抽出画像を、切手検知部15で行ったのと同様のパターンマッチングを行うことによって照合し、一時テンプレートと同じ特徴を持つ画像を選出する照合処理と、一時テンプレート及びこれと同じ特徴を持つ選出された画像を1つのグループとして分類するグループ化処理とを実行する。
【0040】
切手テンプレートクラスタリング部18は、1グループを抽出したならば、残りの全ての切手領域抽出画像について、上記一時テンプレート選出処理、照合処理及びグループ化処理を繰り返し実行して、切手領域抽出画像のグループ分けを完了させる。
切手テンプレートクラスタリング部18は、グループ分けされた切手領域抽出画像ge、及びグループ化情報gfを、切手テンプレート登録候補選定部19へ送る。
【0041】
切手テンプレート登録候補選定部19は、切手テンプレートクラスタリング部18によって分けられた各グループについて、切手テンプレートとして追加登録した場合に、切手検知率が高い(例えば、1%以上)切手領域抽出画像を、切手テンプレート登録候補として選出する。
すなわち、切手テンプレート登録候補選定部19は、切手テンプレートとして採用した場合の切手検知率を算出し、この切手検知率が一定値以上で、かつ、最も高い切手検知率の切手領域抽出画像を、そのグループの切手テンプレート候補として選出する。
【0042】
切手テンプレート登録候補選定部19は、切手テンプレートクラスタリング部18から送られてきたグループ分けされた切手領域抽出画像から一定数以上(例えば、1000個以上)の切手領域抽出画像数(サンプル数)を持つグループを選出する処理と、選出したグループのなかから1つの切手領域抽出画像を選出する処理と、選出した切手領域抽出画像を切手テンプレートとして、追加登録した場合の検知失敗画像全体に対する切手検出率(選出された切手領域抽出画像(パターン)を用いて切手検知可能となる検知失敗画像数/全ての検知失敗画像数)を算出する処理と、切手検出率が最も高い切手領域抽出画像をグループの代表として、切手テンプレート追加登録候補を選出する処理とを実行する。
【0043】
切手テンプレート登録候補選定部19は、切手検出率をグループ内の全ての切手領域抽出画像について求めて、切手検出率が最も高い切手領域抽出画像をグループの代表として、切手テンプレート追加登録候補を選出すると共に、所定のサンプル数以上のグループについて、同様にしてグループの代表として、切手テンプレート追加登録候補を選出する。
切手テンプレート登録候補選定部19は、切手テンプレート追加登録候補gh、及び対応する検知改善率情報giを切手テンプレート登録部16へ送る。
【0044】
切手テンプレート登録部16は、切手テンプレート登録候補選定部19から送られてきた各グループの切手テンプレート追加登録候補と、検知改善率情報とを、表示部14に表示させる処理と、追加登録されるべき切手領域抽出画像を目視確認したオペレータの操作により、切手テンプレート追加登録候補を、切手テンプレートgjとして記憶部に登録させる処理とを実行する。
追加登録された切手領域抽出画像を含む切手テンプレートgjは、切手検知部15によって、参照される。なお、登録する必要のない切手テンプレート追加登録候補は、破棄される。
【0045】
記憶部12は、ROM、RAM等の半導体メモリや、FD(フレキシブル・ディスク)、HD(ハード・ディスク)、CD−ROMが装着されるFDD、HDD、CD−ROMドライバ等からなり、各種プログラムやデータが記憶される。
記憶部12は、制御プログラム等が記憶されたプログラム記憶部と、各種情報が記憶された情報記憶部とを有してなっている。
【0046】
プログラム記憶部は、例えば、切手検知処理プログラムが記憶された記憶領域と、切手領域処理プログラムが記憶された記憶領域と、切手テンプレートクラスタリング処理プログラムが記憶された記憶領域と、テンプレート登録候補選定処理プログラムが記憶された記憶領域と、切手テンプレート登録処理プログラムが記憶された記憶領域とを有している。
情報記憶部は、切手テンプレートが記憶されたテンプレート記憶領域と、取得した画像情報が記憶された画像情報記憶領域とを有している。
【0047】
操作部13は、例えばキーボードやマウス等からなり、各種の指令や必要な情報の入力を行うために用いられる。
また、表示部14は、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ等からなり、文字や画像を表示するために用いられる。
【0048】
次に、図4乃至図6を参照して、上記構成の切手検知モジュールの動作について説明する。
郵便物は、郵便自動区分機1に導入されると、例えば、搬送ベルトによって搬送され、スキャナ2によって、その全面画像(例えば、256階調のRGBカラー画像)が撮像される。スキャナ2は、郵便物の画像情報(全面画像)を、切手検知モジュール3及び宛先検知モジュール4ヘ送る。
【0049】
切手検知部15は、スキャナ2から供給された郵便物の画像情報(例えば、256階調のRGBカラー画像)gaに基づいて、切手を検知する。
すなわち、切手検知部15は、郵便物の全面画像を受け取り、郵便物の左上の角部及び右下の角部の固定された領域(この例では、それぞれ、縦40mm×横80mmの領域)を切手検知領域として、切手検知領域の画像情報を、予め登録された切手テンプレートと、パターンマッチングを行うことによって照合して、切手を検知する。
【0050】
切手検知部15は、切手の検知に成功した場合は、切手検知情報gbを、面取揃処理モジュール5、消印押印処理モジュール6及び仕分け処理モジュール7へ送り、失敗した場合は、郵便物の全面画像(例えば、256階調のRGBカラー画像)を、検知失敗画像gcとして、切手領域抽出部17及び切手テンプレート登録候補選定部19へ送る。
【0051】
切手領域抽出部17は、切手検知部15から郵便物の全面画像(失敗画像)を受け取ると、郵便物全面画像を保管し(ステップSA11(図4))、保管画像数が所定の画像数Na以上となったか否か判断する(ステップSA12)。
切手領域抽出部17は、保管画像数が所定の画像数Na以上となったと判断すると、ステップSA13へ進み、保管画像数が所定の画像数Na未満の場合は、ステップSA11ヘ戻る。
【0052】
ステップSA13で、切手領域抽出部17は、保管された多数の郵便物の全面画像のうち、任意の郵便物の全面画像を1つ選択し、次に、郵便物の全面画像を16階調に量子化する(ステップSA14)。
次に、切手領域抽出部17は、RGBの各色に対してヒストグラムを作成する処理(x軸の範囲(階調の範囲)は、0〜15)を実行し(ステップSA15)、次に、RGBの各ヒストグラム上で最も頻度の高い画素値を背景の画素値とする処理を実行する(ステップSA16)。
次に、切手領域抽出部17は、16階調の画素値を256階調の画素値に戻す処理を実行する(ステップSA17)。例えば、Rの背景画素値が、16階調で「12」の場合は、256階調では「192」〜「207」となる。
【0053】
次に、切手領域抽出部17は、推定された背景色を用いて、切手検知領域内の背景画素を除去し、残った領域を切手領域画像とする(ステップSA18)。ここで、複数の領域が残った場合には、複数の切手領域画像を抽出し、該当領域がない場合は、抽出すべき切手領域画像無しとする。
【0054】
次に、ステップSA19で、切手領域抽出部17は、次画像(保管された郵便物の全面画像のうち、未処理の画像)が有るか否か判断し、次画像が有る場合は、ステップSA13へ戻り、無い場合には、この処理を終了する。
このように、切手領域抽出部17は、切手検知部15から送られてきた郵便物の全面画像(全ての検知失敗画像)について切手領域内の画像(RGBカラー画像)を抽出し、抽出された切手領域抽出画像gdを切手テンプレートクラスタリング部18へ送る。
【0055】
切手テンプレートクラスタリング部18は、切手検知部15で行ったのと同様のパターンマッチング処理を行うことによって、受け取った切手領域抽出画像を、同種の切手画像毎にグループ化する処理を行う。
【0056】
すなわち、切手テンプレートクラスタリング部18は、切手領域抽出部17から送られてきた切手領域抽出画像を取得すると、切手領域抽出画像を保管し(ステップSB11(図5))、予め設定された所定のクラスタリング開始数Nb(この例では、100000個)に達したか否か判断し(ステップSB12)、切手領域抽出画像数がクラスタリング開始数Nbに達したと判断すると、ステップSB13へ進み、クラスタリング開始数Nb未満であると判断すると、ステップSB11へ戻る。
【0057】
ステップSB13では、切手テンプレートクラスタリング部18は、多数の切手領域抽出画像のなかから、ランダムに、1つの切手領域抽出画像を選出して、この切手領域抽出画像を一時テンプレートとする。
次に、切手テンプレートクラスタリング部18は、この一時テンプレートと、他の全ての切手領域抽出画像を、切手検知部15で行ったのと同様のパターンマッチングを行うことによって照合し、一時テンプレートと同じ特徴を持つ画像を選出する照合処理を実行する(ステップSB14)。
次に、切手テンプレートクラスタリング部18は、一時テンプレート及びこれと同じ特徴を持つ選出された画像を1つのグループとして分類するグループ化処理を実行する(ステップSB15)。
【0058】
次に、ステップSB16で、切手テンプレートクラスタリング部18は、グループ化されていない切手領域画像が有るか否か判断し、処理すべき切手領域画像が有る場合は、ステップSB13へ戻り、無い場合には、この処理を終了する。
このようにして、切手テンプレートクラスタリング部18は、1グループを抽出したならば、残りの全ての切手領域抽出画像について、上記一時テンプレート選出処理、照合処理及びグループ化処理を繰り返し実行して、切手領域抽出画像のグループ分けを完了させる。
切手テンプレートクラスタリング部18は、グループ分けされた切手領域抽出画像ge、及びグループ化情報gfを、切手テンプレート登録候補選定部19へ送る。
【0059】
切手テンプレート登録候補選定部19は、切手テンプレートクラスタリング部18によって分けられた各グループについて、切手テンプレートとして追加登録した場合に、切手検知率が高い(例えば、1%以上)切手領域抽出画像を、切手テンプレート登録候補として選出する。
すなわち、切手テンプレート登録候補選定部19は、切手テンプレートとして採用した場合の切手検知率を算出し、この切手検知率が一定値以上で、かつ、最も高い切手検知率の切手領域抽出画像を、そのグループの切手テンプレート候補として選出する。
【0060】
切手テンプレート登録候補選定部19は、切手テンプレートクラスタリング部18から送られてきたグループ分けされた切手領域抽出画像を取得して、グループ分けされた切手領域抽出画像を保管し(ステップSC11(図6))、次に、一定数以上(例えば、1000個以上)の切手領域抽出画像数(サンプル数Nc)を持つグループを選出する(ステップSC12)。
【0061】
次に、切手テンプレート登録候補選定部19は、選出したグループのなかから1つの切手領域抽出画像を選出する(ステップSC13)。
次に、切手テンプレート登録候補選定部19は、選出した切手領域抽出画像を切手テンプレートとして、追加登録した場合の検知失敗画像全体に対する切手検出率(選出された切手領域抽出画像(パターン)を用いて切手検知可能となる検知失敗画像数/全ての検知失敗画像数)を算出する(ステップSC14)。
【0062】
次に、切手テンプレート登録候補選定部19は、選出したグループのなかで、切手検出率を算出していない切手領域抽出画像が有るか否か判断する(ステップSC15)。
切手テンプレート登録候補選定部19は、切手検出率を算出していない切手領域抽出画像が有ると判断すると、ステップSC13へ戻り、無いと判断すると、ステップSC16へ進む。
【0063】
ステップSC16で、切手テンプレート登録候補選定部19は、切手検出率が最も高い切手領域抽出画像をグループの代表として、切手テンプレート追加登録候補を選出する。
次に、切手テンプレート登録候補選定部19は、保管されたグループのうち、切手テンプレート追加登録候補が選出されていないグル-プ(サンプル数Nc以上)が有るか否か判断する。切手テンプレート登録候補選定部19は、未処理の画像が有る場合は、ステップSC12へ戻り、無い場合には、この処理を終了する。
【0064】
こうして、切手テンプレート登録候補選定部19は、切手検出率をグループ内の全ての切手領域抽出画像について求めて、切手検出率が最も高い切手領域抽出画像をグループの代表として、切手テンプレート追加登録候補を選出すると共に、所定のサンプル数以上のグループについて、同様にしてグループの代表として、切手テンプレート追加登録候補を選出する。
切手テンプレート登録候補選定部19は、切手テンプレート追加登録候補gh、及び対応する検知改善率情報giを切手テンプレート登録部16へ送る。
【0065】
切手テンプレート登録部16は、切手テンプレート登録候補選定部19から送られてきた各グループの切手テンプレート追加登録候補と、検知改善率情報とを、表示部14に表示させる処理と、追加登録されるべき切手領域抽出画像を目視確認したオペレータの操作により、切手テンプレート追加登録候補を、切手テンプレートgjとして記憶部12に登録させる処理とを実行する。
追加登録された切手領域抽出画像を含む切手テンプレートgjは、切手検知部15によって、参照される。なお、登録する必要のない切手テンプレート追加登録候補は、破棄される。
【0066】
切手検知モジュール3における切手検知処理と並行して、宛先検知モジュール4は、カラー画像に基づいて宛先を検知する。
この後、郵便物は、取揃処理モジュール5によって、検知した切手が例えば搬送方向に沿って下側に配置されるように郵便物の面を取り揃えられ(郵便物の方向を取り揃える)、消印押印処理モジュール6によって、例えばインクジェットプリンタによって消印が押印され、仕分処理モジュール7によって仕分けられる。
【0067】
このように、この例の構成によれば、切手領域抽出部17、切手テンプレートクラスタリング部18、及び切手テンプレート登録候補選定部19によって、検知失敗画像から、切手テンプレート追加登録候補が自動的に作成され、切手テンプレート登録部16が、各グループの切手テンプレート追加登録候補と、検知改善率情報とを、表示部14に表示させるので、切手テンプレートの追加登録を自動的に簡単にかつ確実に行うことができ、切手テンプレートの追加登録処理におけるオペレータの負荷を軽減することができる。
すなわち、従来技術におけるように、オペレータが、切手登録用の画像の収集や、切手領域の切抜きの作業を行う必要がない。
【0068】
また、切手テンプレート登録候補選定部19が、グループ毎、切手領域抽出画像毎に、切手検知率の算出を行って、検証した後に、検知改善率の向上に寄与すると予測される切手テンプレート登録候補を選定するので、一度の登録により切手検知率を確実に向上させることができる。
【実施例2】
【0069】
図7は、この発明の第2の実施例である切手検知モジュールの構成を示すブロック図である。
この例が上述した第1の実施例と大きく異なるところは、切手検知モジュールにスキャナ機能を付加すると共に、切手から発する蛍光及び燐光を受光して、切手領域を特定するように構成した点である。
これ以外の構成は、上述した第1の実施例の構成と略同一であるので、第1の実施例と同一の構成要素については、図7において、図3で用いた符号と同一の符号を付して、その説明を簡略にする。
【0070】
この例の切手検知モジュール3Aは、図7に示すように、切手検知処理モジュール本体の構成各部を制御する制御部21と、制御部21が実行する処理プログラムや各種データ等を記憶するための記憶部22と、オペレータが操作するための操作部13と、テンプレート追加候補の画像情報や検知率情報等が表示される表示部14と、一定速度で搬送されてくる郵便物に貼付された切手の画像を取り込むスキャナ部23とを有してなっている。
スキャナ部23は、紫外線を発生させ郵便物に照射する光照射部24と、切手から蛍光や燐光を受光する受光部25と、光電変換を行うCCD回路及びA/D変換回路を含む画像信号処理部26とを有している。
【0071】
制御部21は、記憶部22に記憶された所定の制御プログラムに従って構成各部を制御し、例えば、切手検知処理や、切手領域抽出処理、切手テンプレートクラスタリング処理、切手テンプレート登録候補選定処理、切手テンプレート登録処理等を実行する。
スキャナ部23から出力された郵便物の全面画像のうち、切手画像(蛍光画像又は燐光画像)のみが明るく、切手画像以外の領域は暗い像となる。
この例では、切手領域抽出処理を省略しても良い。
【0072】
この例の構成によれば、上述した第1の実施例と略同様の効果を得ることができる。
加えて、切手領域抽出処理を省略することができ、切手テンプレート追加登録候補の提示に至る処理を高速化することができる。
【0073】
以上、この発明の実施例を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
例えば、上述した実施例では、切手検知モジュールで、切手検知処理や、切手領域抽出処理、切手テンプレートクラスタリング処理、切手テンプレート登録候補選定処理、切手テンプレート登録処理等を、制御部が、対応する制御プログラムを実行することによって行う場合について述べたが、切手検知処理や、切手領域抽出処理、切手テンプレートクラスタリング処理、切手テンプレート登録候補選定処理、切手テンプレート登録処理等の一部又は全部を専用のハードウェアを用いて行い、他の一部を対応するプログラムを実行して処理するようにしても良い。
【0074】
また、切手検知処理や、切手領域抽出処理、切手テンプレートクラスタリング処理、切手テンプレート登録候補選定処理、切手テンプレート登録処理等を、それぞれ別々のCPUが実行しても良いし、例えば、単一のCPUが実行しても良い。さらに、各処理を別々の情報処理装置が行うようにしても良いし、これらの情報処理装置は、集中させて配置しても、分散させて配置しても良い。また、例えば、切手検知モジュールも、単数とは限らず複数設けても良い。
【0075】
また、スキャナを、切手検知モジュールと、宛先検知モジュールとに対応させて、それぞれ別々に設けても良いし、切手検知モジュール及び宛先検知モジュールが、スキャナを備えるようにしても良い。
また、スキャナとしては、ラインセンサを用いるものでも良いし、撮像素子をマトリックス状に配置してなるエリアセンサを用いて、郵便物全面を一度にスキャンするものでも良い。また、スキャナにおいて、カラーセンサを用いても良いし、モノクローム用のリニアCCDアレイを用いても良い。
【0076】
また、切手テンプレート登録候補選定部が、切手検知率が一定値以上で、かつ、最も高い切手検知率の切手領域抽出画像を、そのグループの切手テンプレート候補として選出する場合について述べたが、必ずしも、グループに属する全ての切手領域抽出画像について、切手検知率を求めずに、切手検知率が一定値以上の切手領域抽出画像があった場合に、この切手領域抽出画像をそのグループの切手テンプレート候補として選出して、以降の処理を省略するようにしても良い。
【0077】
また、切手検知処理モジュールで、切手領域抽出処理を行わず、切り出された切手画像情報が切手検知処理モジュールに供給されるようにしても良い。
また、切手テンプレートクラスタリング処理を行わずに、非検知画像のなかから、任意の切手領域抽出画像を選出して、切手検知率が一定値以上の切手領域抽出画像を所定数選択するのみとしても良い。
【0078】
また、第1の実施例で、背景画像から切手領域を切り取った後に、再度照合処理を行うようにしても良い。
また、第2の実施例で、切手検知モジュールに、紫外線を発生させ郵便物に照射する光照射部と、切手から蛍光や燐光を受光する受光部とを設ける場合について述べたが、これらの光照射部及び受光部を、スキャナに設けても良いし、独立させても良い。
また、第2の実施例で、蛍光や燐光を発生させるために紫外線を用いる場合について述べたが、これに限らず、X線やガンマ線等を用いるようにしても良い。
また、第2の実施例で、郵便物の輪郭を明確にするための照明装置を付加しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0079】
証紙として、郵便物に貼付された切手のほか、印紙等を検出する場合に適用できる。また、郵便物として、定形郵便物のほか、定形外郵便物に適用できる。また、紙葉類として、郵便物のほか、例えば、一般の私文書及び公文書としての紙葉類に付された(貼付された又は印刷された)証紙を検出する場合に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】この発明の第1の実施例である切手検知モジュールの構成を説明するための説明図である。
【図2】同切手検知モジュールを備えた郵便自動区分機の構成を示すブロック図である。
【図3】同切手検知モジュールの構成を示すブロック図である。
【図4】同切手検知モジュールの動作を説明するための処理手順図である。
【図5】同切手検知モジュールの動作を説明するための処理手順図である。
【図6】同切手検知モジュールの動作を説明するための処理手順図である。
【図7】この発明の第2実施例である切手検知モジュールの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0081】
3,3A 切手検知モジュール(証紙識別システム)
11 制御部
12 記憶部(テンプレート記憶手段)
13 操作部(操作手段)
14 表示部(表示手段)
15 切手検知部(証紙画像取得手段、証紙検知手段、検知試行手段)
16 切手テンプレート登録部(テンプレート登録制御手段、表示制御手段)
17 切手領域抽出部(テンプレート生成手段の一部、切手領域抽出手段、背景色推定手段、画像処理手段)
18 切手テンプレートクラスタリング部(テンプレート生成手段の一部、証紙画像分類手段)
19 切手テンプレート登録候補選定部(テンプレート生成手段の一部、候補選出手段、検知率算出手段、テンプレート選出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種証紙のテンプレートが登録されているテンプレート記憶手段と、紙葉類に付された前記証紙の画像情報を取得する証紙画像取得手段と、取得された前記画像情報と前記テンプレートとの照合結果に基づいて、前記証紙を検知するための証紙検知手段とを備えてなる証紙識別システムであって、
前記証紙検知手段が、一致する前記テンプレートがないと判断したときは、前記画像情報に基づいて、非検知の前記証紙のテンプレートを生成するテンプレート生成手段を備え、
該テンプレート生成手段は、複数の非検知の前記証紙の前記画像情報のなかから、所定の規則に基づいて、テンプレート候補を選出する候補選出手段と、前記テンプレート候補を除く非検知の前記画像情報と、前記テンプレート候補との照合結果に基づいて、前記証紙の検知を試行する検知試行手段と、非検知の前記証紙のうち、前記テンプレート候補を用いることによって、検知試行時に新たに検知可能となる前記証紙の割合を示す検知率を求める検知率算出手段と、前記検知率が所定の値以上の前記テンプレート候補を、前記テンプレートとして選出するテンプレート選出手段とを有してなる
ことを特徴とする証紙識別システム。
【請求項2】
前記候補選出手段は、複数の前記テンプレート候補を選出し、前記検知試行手段は、前記各テンプレート候補を用いて前記証紙の検知をそれぞれ試行し、前記検知率算出手段は、前記各テンプレート候補に対応する前記検知率を求めることを特徴とする請求項1記載の証紙識別システム。
【請求項3】
前記テンプレート生成手段によって生成された前記テンプレートを、前記証紙の検知のために用いる前記テンプレートとして前記テンプレート記憶手段に登録させるためのテンプレート登録制御手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の証紙識別システム。
【請求項4】
前記テンプレート生成手段によって生成された前記テンプレートを表示手段に表示させる表示制御手段と、前記テンプレートの登録操作を行うための操作手段とを備え、前記テンプレート登録制御手段は、前記操作手段を介した操作者による登録操作があると、前記テンプレートを前記テンプレート記憶手段に登録させることを特徴とする請求項3記載の証紙識別システム。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記テンプレート及び対応する前記検知率を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項4記載の証紙識別システム。
【請求項6】
前記テンプレート生成手段は、前記証紙画像取得手段によって取得された前記紙葉類の画像情報に基づいて、切手領域の画像情報を抽出する切手領域抽出手段を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の証紙識別システム。
【請求項7】
前記証紙画像取得手段は、前記紙葉類のカラー画像情報を取得し、前記切手領域抽出手段は、前記紙葉類のカラー画像情報に基づいて、切手領域の周りの背景色を推定する背景色推定手段と、前記紙葉類のなかの所定の領域のうち、背景画素を除去して残った領域の画像を、切手領域画像とする画像処理手段とを有することを特徴とする請求項6記載の証紙識別システム。
【請求項8】
前記テンプレート生成手段は、複数の非検知の前記画像情報を、略同一の特徴を有する画像情報同士が集められたグループに分類する証紙画像分類手段を有し、
前記候補選出手段は、前記グループに属する非検知の前記画像情報から、前記グループを代表する前記テンプレート候補を選出することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1に記載の記載の証紙識別システム。
【請求項9】
前記候補選出手段は、複数の非検知の前記証紙の前記画像情報のなかから、前記テンプレート候補をランダムに選出することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1に記載の記載の証紙識別システム。
【請求項10】
前記証紙検知手段は、前記検知試行手段を兼ねることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1に記載の記載の証紙識別システム。
【請求項11】
前記紙葉類としての郵便物を区分するための郵便自動区分機において用いられ、前記郵便物に貼付された前記証紙としての切手を識別することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1に記載の記載の証紙識別システム。
【請求項12】
紙葉類に付された各種証紙の画像情報を取得する証紙画像取得ステップと、取得された前記画像情報とテンプレート記憶手段に登録されている前記証紙のテンプレートとの照合結果に基づいて、前記証紙を検知するための証紙検知ステップとを備えた証紙識別方法であって、
前記証紙検知ステップで、一致する前記テンプレートがないと判断したときは、前記画像情報に基づいて、非検知の前記証紙のテンプレートを生成するテンプレート生成ステップを備え、
該テンプレート生成ステップは、複数の非検知の前記証紙の前記画像情報のなかから、所定の規則に基づいて、テンプレート候補を選出する候補選出ステップと、前記テンプレート候補を除く非検知の前記画像情報と、前記テンプレート候補との照合結果に基づいて、前記証紙の検知を試行する検知試行ステップと、非検知の前記証紙のうち、前記テンプレート候補を用いることによって、検知試行時に新たに検知可能となる前記証紙の割合を示す検知率を求める検知率算出ステップと、前記検知率が所定の値以上の前記テンプレート候補を、前記テンプレートとして選出するテンプレート選出ステップとを含む
ことを特徴とする証紙識別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−140193(P2008−140193A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326335(P2006−326335)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】