説明

試料作製装置及び試料作成方法

【課題】 構成の簡単化、費用の低減化、試料作製時間の短縮化及び目的の試料観察に応じた試料の作製を実現する。
【解決手段】 イオン銃12、イオン銃12から放出されたイオンビームの照射を受ける試料素材11、試料素材11上にイオンビーム非照射面11bとその周囲にイオンビーム照射面11c,11dを形成するために試料素材11上に配置された遮蔽板8を備え、イオン銃12と遮蔽板8との間に、イオンビーム断面径可変器30、イオンビーム断面形状可変器40、試料素材11へのイオンビームの入射角をコントロールするための第1偏向レンズ50と第2偏向レンズ60を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過型電子顕微鏡等で観察される試料を作製するための試料作製装置及び試料作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透過型電子顕微鏡で観察される薄膜試料の作製方法として、例えば、次の三つの方法が知られている。
【0003】
第一の方法は、バルク試料を次の(1)〜(5)手順で薄膜化する方法である。
(1)試料を厚さ約1mmに切断研磨した後、粗研磨して約100μmの厚さにする(図1の(a))。
(2)試料を直径3mmに打ち抜く(図1の(b))。
(3)試料の片面を平坦に鏡面研磨する(図1の(c))。
(4)鏡面研磨された試料面の反対面(粗研磨側)にディンプルグライダー等で窪みを作り、その窪み中央部を厚さ約10μmの鏡面にする(図1の(d))。
(5)試料をイオンミリニング装置にセットし、試料を連続回転させながら両側からアルゴンイオンを照射して試料を薄膜化する(図1の(e))。
【0004】
第二の方法は、集積回路が形成されたシリコンウエハ等の断面試料を次の(1)〜(7)の手順で薄膜化する方法である。
(1)シリコンウエハから5mm〜10mm平方の試料を複数切り出し、切り出した試料同士をエポキシ樹脂で接着する(図2の(a))。
(2)超音波加工機で試料を打ち抜き、直径2.3mmの円柱状の試料を取り出す(図2の(b))。
(3)取り出した試料を、外径3mm、内径2.3mmの金属パイプにエポキシ樹脂を付けて埋め込む(図2の(c))。
(4)金属バイブに埋め込んだ試料を切断機で約1.0mmの厚さにスライスする(図2の(d))。
(5)試料の片面を鏡面研磨する(図2の(e))。
(6)鏡面仕上げした試料面の反対面を粗研磨して試料の厚さを100μmの厚さにする。その後、粗研磨された試料面にディンプルグラインダーで窪みを作り、その窪みの中央部を厚さ約10μmの鏡面に仕上げる(図2の(f))。
(7)試料をイオンミリニング装置にセットし、試料を回転させながら両側からアルゴンイオンを照射して試料を薄膜化する(図2の(g))。
【0005】
第三の方法は、試料上に遮蔽材を配置し、遮蔽材の上方から遮蔽材と試料にイオンビームを照射して遮蔽材で遮蔽されなかった試料部分をイオンエッチングし、その後、薄膜試料が出来上がる様に、遮蔽材を試料上で二段階に移動させて試料をエッチングする(特許第3263920号公報参照)。
【0006】
しかし、前記第一と第二の方法による試料作製には可成りの熟練を要し、譬え熟練者であっても簡単に試料作製が出来ない。又、軟らかい材料と硬い材料が混在している試料をディンプルグラインダーで機械研磨する際、軟らかい部分と硬い部分に対する研磨速度が異なってしまい、試料表面を平坦に鏡面研磨することは困難である。更に、ディンプルグラインダーで試料を機械研磨する時、試料に可成りの負荷が掛かり、試料の結晶に歪みが生じる。
【0007】
一方、前記第三の方法による試料作製においては、薄膜試料が出来上がる様に遮蔽材を精度良く移動させることが難しく、所望の薄膜試料を確実に得ることが難しい。
【0008】
そこで、次の様な試料作製方法が提案されている。
【0009】
図3に示す様に、真空加工室内のイオン銃100(例えば、Arガスイオン銃)の真下に配置された、例えば、バルク試料から切り出されて粗研磨された試料素材200上に、非晶質金属(例えば、ニツケル・リン(リン10%以上を含む)の如き非晶質金属)製の遮蔽材300を配置する。この場合、前記試料素材200は、図4に示す様に、直方体形状を成しており、例えば、高さ方向(Z方向)の寸法が700μm前後、横方向(X方向)の寸法が2.5mm前後、横方向(Y方向)の寸法、即ち、厚さが100μm前後のものであり、前記遮蔽材300は、テープ状のもので、図5に示す様に、高さ方向(Z方向)の寸法が2mm前後、横方向(Y方向)の寸法、即ち、厚さが10μm前後あり、少なくとも試料素材2上面に対向している下面は、帯状の形状を成しており、断続的にx軸方向に移動させることにより、新しい帯状の面が前記試料素材2上面に対向する様に成っている。
【0010】
尚、前記試料素材200上面と遮蔽材300との隙間は、僅か10μm〜30μm前後であり、この様な隙間で、該試料素材上面のY方向における中央部に遮蔽材3を配置することで、前記試料素材200上には、イオン銃100から見ると遮蔽材300で覆われることによりイオンビームが照射されないイオンビーム非照射面200aとその左右にイオンビーム照射面200b,200cが形成されるように成っている。
【0011】
図3の配置状態において、先ず、図6の(a)に示す様に、イオン銃100をz軸に対して左に角度θ(例えば、1.5°)傾斜させ、前記イオン銃100からイオンビームを放出させる。該イオンビームの放出により、z軸に対して左にθ傾斜したイオンビームは遮蔽材300の左斜め上方から該遮蔽材300と試料素材200を照射する。この様なイオンビーム照射を所定時間(例えば、5分間)行うことにより、図6の(b)に示す様に、遮蔽材300で覆われたイオンビーム非照射面200aはエッチングされずそのまま残っているが、イオンビームが照射されたイオンビーム照射面200b,200cはエッチングされる。尚、左斜め上方からイオンビーム照射しているので、イオンビーム照射面200b側が200c側より多くエッチングされており、更に、イオンビーム照射面200b側が200c側よりも内側(z軸側)に深くエッチングされる。尚、前記遮蔽材300はイオンエッチングされ難い材料で作られているが、該遮蔽材の上部は僅かであるがエッチングされる。
【0012】
次に、図7の(a)に示す様に、イオン銃100をz軸に対して右に角度θ傾斜させ、z軸に対して右にθ傾斜したイオンビームを遮蔽材300の右斜め上方から遮蔽材300と試料素材200を照射する。この様なイオンビーム照射を所定時間(例えば、5分間)行うことにより、図7の(b)に示す様に、遮蔽材300で覆われたイオンビーム非照射面200aはエッチングされずそのまま残るが、イオンビーム照射面200c側が200b側より多くエッチングされ、更に、イオンビーム照射面200c側が200b側よりも内側(z軸側)に深くエッチングされる。
【0013】
以後、前記と同様にして、イオン銃100が左右に繰り返して傾斜され、その都度、z軸に対し左右にそれぞれ角度θ傾斜したイオンビームにより試料素材200は照射され、順次、図8の(a)、(b)に示す様にエッチングされる。そして、図8の(c)に示す様にイオンビーム非照射面200aから或る距離までの部分(A)が、下方に向かうに従って薄くなる。尚、図8の(d)は図8の(c)の試料素材200を左方向から見た図である。
【0014】
この様にして出来上がった薄膜試料200´の薄膜部分ちは、イオンビーム照射面から下方に向かうに従って薄くなっており、最も薄い部分の周辺は100Å前後になっており、透過型電子顕微鏡の観察に適した厚さである。
【0015】
この様な試料作製方法においては、従来の様にディンプルグラインダーは使用されず、試料損傷が極めて低く抑えられるガスイオン(例.Arイオン)が使用されるので、試料結晶に歪みが生じることがなく、又、試料素材が軟らかい材料と硬い材料が混在しているようにものであっても、前記薄膜部分の表面は平坦に鏡面仕上げされる。又、この様な試料作製には熟練を必要とせず、誰でも簡単に良好な薄膜試料を作製することが出来る。
【0016】
尚、試料素材と該試料素材上に垂直に配置された遮蔽材とにイオン銃からのイオンビームを照射する場合、前記例ではイオン銃をz軸に対して左,右に順次傾け、遮蔽材と試料素材に左,右斜めから順次イオンビームが照射される様にしたが、イオン銃を傾けずに、その高さ方向の面(Z方向に平行な面)がz軸に対して角度θ成す様に遮蔽材と試料素材を順次左,右に傾け、遮蔽材と試料素材の各縦方向面に対し、z軸方向から順次イオンビームが照射される様にしても良い。
【0017】
【特許文献1】特許第3263920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、前記提案されている試料作製方法では、イオン銃の傾斜機構若しくは、試料素材と遮蔽材を傾ける機構が必要である。イオン銃を傾ける機構にせよ、試料素材及び遮蔽材を傾ける機構にせよ、何れの機構にしても、大型で複雑な機構となり、費用が著しくかかるばかりか、全体の装置が大きくなってしまう。又、この様な傾斜機構によって、イオン銃若しくは、試料素材と遮蔽材を傾けるのに時間が掛かり、結果的に試料作製に時間がかかってしまう。
【0019】
尚、二つのイオン銃を配置し、一方のイオン銃から発生したイオンビームを遮蔽材の左斜め上方から遮蔽材と試料素材に向けて照射し、他方のイオン銃から発生したイオンビームを遮蔽材の右斜め上方から遮蔽材と試料素材に向けて照射する様にしても良いが、この様な構成であると、試料作製時間は短縮出来るが、費用が著しくかかり、装置全体が大型化する。又、イオンビームの照射角度が固定化し、試料作製のフレキシビリティーが極めて低くなる。この場合、二つのイオン銃にそれぞれ角度調整機構を設けると、一段と費用がかかり、装置も大型化し、操作も複雑化する。
本発明はこの様に問題を解決すると共に、目的とする試料観察が出来る新規な試料作製装置及び試料作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の試料作製装置は、イオンビーム放出源、該イオンビーム放出源から放出されたイオンビームの照射を受ける試料素材、及び、該試料素材上にイオンビーム非照射面とその周囲にイオンビーム照射面を形成するために前記試料素材上に配置された遮蔽材を備えた試料作製装置において、前記イオンビーム放出源と前記遮蔽材との間に、前記試料素材へのイオンビームの入射角をコントロールするイオンビーム偏向手段を配置したことを特徴とする。
【0021】
本発明の試料作製方法は、試料素材上にイオンビーム非照射面とその周囲にイオンビーム照射面を形成するための遮蔽材を前記試料素材上に配置し、前記遮蔽材の上方に設けられたイオンビーム放出源からのイオンビーム照射により前記試料素材をエッチングする様にした試料作製方法において、前記イオンビームを偏向させることにより、該イオンビームの前記試料素材への入射角をコントロールする様にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明のによれば、構成が簡単になり、費用が低減し、試料作製操作も容易化し、試料作製時間も短縮される。又、目的とする試料観察に応じた試料を簡単に作製することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
図9及び図10は、本発明の試料作製装置の一例を示した図である。図9はその試料作製装置の真空チャンバ内部を示した図である。また、図10は図9のyz平面断面図であり、さらに図10は図9の試料作製装置の全体構成を示した図である。
【0025】
図10において1は真空チャンバであり、該真空チャンバ1の内部は排気装置2によって排気されている。
【0026】
3はステージで、該ステージ3はステージ傾斜機構4に取り付けられている。このステージ傾斜機構4は前記真空チャンバ1に取り付けられており、該ステージ傾斜機構4は、前記ステージ3をy軸を中心として左右に傾斜させるためのものである。尚、前記ステージ3にはイオンビーム通過孔3aが開けられている。
【0027】
5は試料台で、前記ステージ3上に配置されており、該試料台5には切り欠き(イオンビーム通過部)5aが形成されている。
【0028】
前記試料台5の上面5bには、前記切り欠き5aを挟んで対向するようにガイドピン6a,6bが固定されている。又、前記試料台5の上面5b上には、4つのプーリー7a〜7dが配置されている。これらのプーリーのうち、プーリー7a〜7cは前記試料台5の上面5bに固定されており、プーリー7dは、スプリング(図示せず)で矢印j方向に引っ張られて試料台5に取り付けられている。
【0029】
これらのプーリー7a〜7dとガイドピン6a,6bには、ベルト状(言い換えればリボン状またはテープ状)且つリング状のイオンビーム遮蔽板(遮蔽材)8が引っ掛けられている。尚、該遮蔽板8は、前述した通りの材質及び寸法を有し、矢印j方向にスプリングで引っ張られているプーリー7dに引っ掛けられいることから、1周に亘って弛みなく張られている。
【0030】
又、前記プーリー7dは、前記試料台5に組み込まれたモータ9の回転によって、軸kを中心として回転するように構成されている。この様に前記プーリー7dが回転されると、該プーリー7dに引っ掛けられている前記ベルト状遮蔽板8は自動送りされる。
【0031】
図9において10は試料素材11を保持する試料ホルダで、前記試料台5の切り欠き5aの部分にセットされている。尚、前記試料素材11は、前記図4に示す通りのもので、接着剤で前記試料ホルダ10に貼り付けられている。
【0032】
この様な試料素材11と遮蔽板8の試料台5へのセットにより、図9,10に示す様に、前記ガイドピン6a,6bでガイドされた遮蔽板8は、試料素材11上に垂直に立てて配置される。尚、図10に示す様に、前記試料素材11上に張られた遮蔽板8はz軸上に位置しており、前記遮蔽板8の右側面8aと左側面8bはz軸に平行である。また、図10に示す状態、すなわち前記ステージ傾斜がゼロの状態では、前記試料素材11上に張られた遮蔽板8の長手方向はx軸方向と一致している。
【0033】
一方、図10に示す状態において、前記試料素材11の上面11aはz軸に直交、かつx−y軸面上に位置している。該試料素材11の上面11aと遮蔽板8との隙間は前述した様に僅か10〜30μm程度であり、この様に、前記試料素材11上に接近して遮蔽板8が配置されることによって、前記試料素材11上には、図10下方の(イオン遮蔽説明図)に示す様に、イオンビーム非照射面11bとその左右にイオンビーム照射面11c,11dが形成される。前記イオンビーム非照射面11bとは前記遮蔽板8で覆われた試料面であり、前記真空チャンバ1の上部に設けられたイオン銃12からのイオンビームが照射されない面である。
【0034】
該イオン銃12としては、前述した様に、ガスイオン銃が用いられており、例えば、Arガスを放電によりイオン化させてArイオンを放出させるガスイオン銃が用いられている。
【0035】
該イオン銃12と前記遮蔽板8の間には、図10に示す様に、ビーム径可変器30、ビーム形状可変器40、第1偏向レンズ50及び第2偏向レンズ60がz軸に沿って設けられている。
【0036】
前記ビーム径可変器30は、ドーナッツ状の電極から成り、電源31からの電圧により該電極の中央部を通過する前記イオン銃12からのイオンビームのフォーカス状態を変えることに基づいてイオンビームのビーム径を変化させるものである。
【0037】
前記ビーム形状可変器40は、図11に示す様に、X,Y各々の方向において互いに向き合った二枚の電極40aと40b、40cと40dから成り、対向電極40aと40bには電源41Aが、対向電極40cと40dには電源41Bが繋がっている。該各電源から各対向電極にそれぞれ同じ電圧を印加することにより、前記4枚の電極で囲まれた空間部を通過する前記イオン銃12からのイオンビームの形状を押しつぶしたり、引き伸ばしたりして、前記イオンビームの断面形状が変えられる。尚、図10においては、説明の便宜上、対向電極及び電源を1組(40,41)のみ示した。
【0038】
前記第1偏向レンズ50及び第2偏向レンズ60はz軸方向に上下それぞれに配置され、偏向器の役目をするもので、図12に示す様に、共に、Y方向に対向する二枚の電極50a,50b、60a,60bから成る。該各電極50a,50b,60a,60bにはそれぞれ電源51a,51b,61a,61bが繋がっており、電源51a,51bからの電圧により電極50a,50bの間を通過するイオンビームは−Y方向若しくは+Y方向に偏向され、電源61a,61bからの電圧により電極60a,60bの間を通過するイオンビームは+Y方向若しくは−Y方向に偏向される様に成っている。尚、図10においては、説明の便宜上、第1偏向レンズの電源と第2偏向レンズの電源をそれぞれ1個(51,61)のみ示した。
【0039】
図10において14は中央制御装置である。該中央制御装置14は、その内部に、イオン銃制御回路14aと、電源制御回路14bと、ステージ傾斜制御回路14cと、エッチング終了判定回路14dを備えている。
【0040】
そして該中央制御装置14は、前記イオン銃12の電源15,前記ビーム径可変器30の電源31,前記ビーム形状可変器40の電源41,前記第1偏向レンズ50の電源51,前記第2偏向レンズ60の電源61、前記ステージ傾斜機構4の傾斜駆動源17、及び、キーボードやマウスなどから成る入力手段18にそれぞれ電気的に接続されている。
【0041】
図10において19はTVカメラであり、該TVカメラ19は前記真空チャンバ1に取り付けられている。このTVカメラ19は、前記試料素材11のエッチング断面を−Y方向から観察するためのものであり、前記TVカメラ19からの像信号は前記中央制御装置14のエッチング終了判定回路14dに供給される。
【0042】
次に、この様な構成の装置の動作を説明する。
【0043】
先ず、オペレータが前記入力手段18上で「エッチング開始」の入力を行うと、中央制御装置14の電源制御回路14bは、イオン銃12からのイオンビームの断面径がDoになる様な電圧がビーム径可変器30に印加される様に電源31に電圧印加信号を送る。
【0044】
又、前記電源制御回路14bは、イオン銃12からのイオンビームのX方向の寸法がLxo、Y方向の寸法がLyoになる様な電圧がビーム形状可変器40のX方向対向電極40a,40b、Y方向対向電極40c,40dに印加される様に電源41A,41Bに電圧印加信号を送る。
【0045】
又、前記電源制御回路14bは、前記イオン銃12からのイオンビームが遮蔽板8と試料素材11に照射される時、z軸に対し左側から角度θo(たとえば1.5度)を成して入射にする様な信号を電源51と61に送る。即ち、前記第1偏向レンズ50を成す電極50a,50bの間を通過するイオン銃12からのイオンビームがz軸から右に角度θa偏向される(図13)様な電圧が前記電源51から前記第1偏向レンズ50に印加され、前記第2偏向レンズ60を成す電極60a,60bの間を通過するイオンビームが右に角度θb偏向される(図13)様な電圧が前記電源61から前記第2偏向レンズ60に印加される様に前記電源51、61に電圧印加信号を送る。この様な二段の偏向により、結果的に、前記イオン銃12からのイオンビームはz軸に対し左側から角度θo(例えば、1.5度)(図13)を成して前記遮蔽板8と試料素材11に入射する。尚、この傾斜角度θ(1.5度)の値は、予めオペレータによって入力手段18上で入力設定されている。
【0046】
又、前記「エッチング開始」の入力が行われると、前記中央制御装置14のステージ傾斜制御回路14cは、前記ステージ3をy軸を中心として繰り返し往復傾斜させるための傾斜信号θpを傾斜駆動源17に送る。例えば、±30度の1往復傾斜(1往復傾斜にたとえば30秒)を繰り返し行わせるための傾斜信号θpが前記傾斜駆動源17に送られる。前記傾斜駆動源17はその傾斜信号θpに基づいてステージ傾斜機構4を傾斜させる。この結果、図14に示すように、前記試料素材11は前記遮蔽板8と一緒に矢印Tで示すように繰り返し往復傾斜される。なお、この傾斜角度±30度や傾斜速度30秒の数値は、予めオペレータによって前記入力手段18上で入力設定されている。
【0047】
又、前記「エッチング開始」の入力が行われると、前記中央制御装置14のイオン銃制御回路14aは、前記イオン銃12からイオンビームを放出させるための信号を電圧電源15に送る。すると該電圧電源15は、前記イオン銃12の各電極間に、イオンビームを放出させるための所定電圧を印加する。
【0048】
こうしてイオン銃12から放出されたイオンビームは、遮蔽板8と試料素材11に照射される際、断面径がDo、断面のX方向の寸法がLxo、Y方向の寸法がLyoに成形され、z軸に対して左にθo(1.5度)の角度で入射する。この様な入射により、図15(a)に示す様に、前記遮蔽板8の左斜め上方から遮蔽板8と試料素材11を照射することになる。このイオンビーム照射は所定時間(たとえば5分間)行われ、前記試料素材11はy軸を中心として傾斜されながらイオンエッチングされる。
【0049】
さて、図15(b)は、イオンエッチング開始から5分後の前記試料素材11を示した図である。図15(b)に示すように、イオンビームが照射されたイオンビーム照射面11c,11dはイオンエッチングされている。一方、前記遮蔽板8で覆われてイオンビームが照射されなかったイオンビーム非照射面11bは、エッチングされずにそのまま残っている。そして、前記試料素材11に対して前記遮蔽板8の左斜め上方からイオンビームが照射されたため、イオンビーム照射面11c側がイオンビーム照射面11d側よりも多くエッチングされており、また、イオンビーム照射面11c側がイオンビーム照射面11d側よりも内側(z軸側)に深くエッチングされている。
【0050】
次に、前記電源制御回路14bは、前記イオン銃12からのイオンビームが前記遮蔽板8と試料素材11に照射される時、z軸に対し右に角度θo(たとえば1.5度)を成して入射にする様な信号を電源51と61に送る。即ち、前記第1偏向レンズ50を成す電極50a,50bの間を通過するイオン銃12からのイオンビームがz軸から右に角度θa偏向される(図16図)様な電圧が電源51から前記第1偏向レンズ50に印加され、前記偏向レンズ60を成す電極60a,60bの間を通過するイオンビームが左に角度θb偏向される(図16)様な電圧が電源61から前記第2偏向レンズ60に印加される様に電源51、61に電圧印加信号を送る。この様な二段の偏向により、結果的に、前記イオン銃12からのイオンビームはz軸に対し右から角度θo(たとえば1.5度)を成して前記遮蔽板8と試料素材11に入射する(図16)。
【0051】
この結果、イオン銃12からのイオンビームはz軸に対して右にθoの角度で入射する。
【0052】
この様な入射により、図17(a)に示す様に、前記遮蔽板8の右斜め上方から該遮蔽板8と前記試料素材11を照射することになる。このイオンビーム照射は所定時間(たとえば5分間)行われ、前記同様、前記試料素材11は遮蔽板8と一緒に傾斜されながらイオンエッチングされる。
【0053】
図17(b)は、この様なイオンエッチングを5分間行った後の前記試料素材11を示した図である。図17(b)に示すように、今度は、前記試料素材11のうちイオンビーム照射面11d側が大きくエッチングされている。一方、前記遮蔽板8で覆われてイオンビームが照射されなかったイオンビーム非照射面11bは、エッチングされずにそのまま残っている。
【0054】
以後、前記同様にして、遮蔽板8から見たイオンビームの該遮蔽板8と試料素材11への入射方向を左,右と繰り返し、z軸に対して左右にそれぞれθo度の角度で入射してくるイオンビームによって前記試料素材11はエッチングされる。図18はそのエッチングされていく試料素材11を示した図である。図17(b)の後、図18(a)のように前記試料素材11はエッチングされ、図18(a)の後、図18(b)に示すように試料素材11はエッチングされる。この様なエッチングを何回か繰り返して図18(c)の様に前記試料素材11はエッチングされる。
【0055】
図18(a)から図18(c)に示す様に、前記試料素材11のイオンビーム非照射面11bはエッチングされずに残ったままである。一方、そのイオンビーム非照射面11bの周囲の試料素材部分は徐々にエッチングされている。そして、図18(c)に示すように、前記試料素材11のA部分については、イオンビーム非照射面11bから下方に向かうに従って薄くなっている。
【0056】
図18(d)は、図18(c)の後、前記試料素材11に対して更にイオンビームが照射されている状態を示した図である。図18(c)に示した前記試料素材11のA部分が更にイオンエッチングされたため、図18(d)に示すように、前記試料素材11には貫通孔Hが開いている。この貫通孔Hの位置は前記試料素材11の上面から300μm程のところである。この貫通孔Hの開く位置は前記イオン銃12からのイオンビームの入射角度に密接に関係している。即ち、前記遮蔽材8と試料素材11に対してどの方向からイオンビームを照射するかによって、貫通孔Hの開く位置は大きく変わってくる。この例では、z軸に対して左右にそれぞれ1.5度で入射したイオンビームで前記試料素材11はエッチングされたため、図18(d)に示した位置に貫通孔Hが開けられた。なお、図18(e)は、図18(d)の試料素材11を左方向から(図4のTVカメラ19側から)見た図である。
【0057】
さて、図10におけるTVカメラ19は、イオンエッチング開始時点から試料素材11を正面から撮影している。このTVカメラ19からの像信号は中央制御装置14のエッチング終了判定回路14dに送られており、該エッチング終了判定回路14dは前記試料素材11の形状変化を常に監視している。そこで前記エッチング終了判定回路14dは、前記TVカメラ19から送られてくる像信号に基づき、図18(d)に示した様に前記試料素材11に貫通孔Hが開いたことを検出すると、前記イオン銃制御回路14aへ「エッチング終了信号」を送る。このエッチング終了信号を受けた前記イオン銃制御回路14aは、イオン照射を停止させるための信号を前記電圧電源15に送る。これにより、前記イオン銃12よりのイオンビーム放出は停止される。
【0058】
又、前記「エッチング終了信号」は前記エッチング終了判定回路14dから前記ステージ傾斜制御回路14cにも送られる。すると、該制御回路14cは傾斜停止信号をそれぞれの傾斜駆動源17に送るので、前記ステージ3の傾斜は停止される。
【0059】
本発明では、試料素材のエッチングに携わるイオンビームの断面の大きさ及び/若しくは形状を変えることが出来る様にし、又、試料素材への入射角度を偏向レンズによって行う様にしている。この様な構成にすることにより、目的とする試料の観察を簡単に且つ高速に実現出来る。
【0060】
例えば、ICの多層構造部を観察する場合、或る特定の層のみを観察したい場合と、或る複数の層を観察したい場合等がある。
【0061】
さて、イオンビーム断面径、イオンビームの試料素材への入射角各々と、エッチング範囲、エッチング深さ各々とは次の様な関係がある。
【0062】
イオンビーム断面径とエッチング範囲は対応している。即ち、断面径が大きい程エッチング範囲は広くなり、小さい程狭くなる。この場合、イオンビームが或る入射角を有する場合、ビーム断面のY方向の寸法が大きい程z軸方向のエッチング範囲が広くなり、小さい程狭くなる。又、ビーム断面のX方向の寸法が大きい程x軸方向のエッチング範囲が広くなり、小さい程狭くなる。図19のIAは前者の場合のイオンビームを示し、図20のIBは後者の場合のイオンビームを示し、何れの図においても、(a)は前記偏向レンズ50,60で偏向される前のもの、(b)は該レンズで偏向され、入射角を有するものを示している。尚、説明の便宜上、イオンビームの断面を矩形で表した。
【0063】
イオンビームの試料素材への入射角(z軸に対するイオンビームの照射角度)とエッチング深さは対応している。即ち、入射角が大きい程浅くなり、小さい程深くなる。
【0064】
これらの関係から、浅い所の狭い範囲をエッチングする場合には、入射角度を大きくし、断面径を小さくする。この場合、z軸方向の範囲を狭くするにはビーム断面のY方向寸法を小さくし、x軸方向の範囲を狭くするにはビーム断面のX方向寸法を小さくする。
【0065】
浅い所の広い範囲をエッチングする場合には、入射角度を大きくし、断面径を大きくする。この場合、z軸方向の範囲を広くするにはビーム断面のY方向寸法を大きくし、x軸方向の範囲を狭くするにはビーム断面のX方向寸法を大きくする。
【0066】
深い所の狭い範囲をエッチングする場合には、入射角度を小さくし、断面径を小さくする。この場合、z軸方向の範囲を狭くするにはビーム断面のY方向寸法を小さくし、x軸方向の範囲を狭くするにはビーム断面のX方向寸法を小さくする。
【0067】
深い所の広い範囲をエッチングする場合には、入射角度を小さくし、断面径を大きくする。この場合、z軸方向の範囲を広くするにはビーム断面のY方向寸法を大きくし、x軸方向の範囲を広くするにはビーム断面のX方向寸法を大きくする。
【0068】
従って、例えば、Z方向に多層化したICの多層構造部の或る特定の層(例えば、C層)のみを観察したい場合には、その特定層が存在する狭い部分にイオンビームが照射される様に、入力装置18から中央制御装置14に入力する。
【0069】
その場合、図21(a)に示す様な、300μm×2.5mm×100μm程度の寸法の試料素材20を用意する。該試料素材20はシリコンウエハから切り出されて粗研磨されたものであり、該試料素材20は、例えば、Z方向にA,B,C,D,E,F層を構成している。この多層構造試料素材20の、例えば、C層を薄膜化して断面試料を作製することがこの場合の目的であり、この様に切り出された試料素材20は図9及び図10に示す装置の前記試料ホルダ10にセットされ、その試料ホルダは前記試料台5に取り付けられる。
【0070】
図21(b)は、試料台5(図示せず)にセットされた前記試料素材20と前記遮蔽板8を示した図である。
【0071】
前記入力装置18から中央制御装置14への入力により、前記電源制御回路14bは、イオンビームがC層に対応した狭い範囲にのみ照射される様にイオン銃12からのイオンビームのX方向の寸法がLxi、Y方向の寸法がLyiになる様な電圧がビーム形状可変器40のX方向対向電極40a,40b、Y方向対向電極40c,40dに印加される様に電源41A,41Bに電圧印加信号を送る。尚、前記イオンビームのX方向の寸法LxiとY方向の寸法Lyiは、Lxi≫Lyiの関係を持たせているので、イオンビームの断面はX方向が長く、Y方向が短い楕円形となる。
【0072】
又、前記電源制御回路14bは、前記イオンビームが前記試料素材20に照射される時、z軸に対し左側から、前記C層の存在する深さ範囲に照射される角度θiを成して入射にする様な信号を電源51と61に送る
この様に設定して、試料素材のC層をエッチングし、次に、前記と同様にしてz軸に対し右側からもエッチングし、この様な左右からのエッチングを繰り返す。
【0073】
図21(c)は出来上がったC層が薄膜の試料20´を示しており、又、図21(d)は図21(c)の試料20´を左方向から見た図で、前記C層が他の部分より大幅エッチングされている。尚、この例では、C層のX方向も他の部分より大幅にエッチングされているが、X方向のエッチング範囲を狭くする場合には、イオンビームのX方向の寸法Lxiを小さくすれば良い。即ち、イオンビームの断面は小さな円形に近くなる。
【0074】
次に、例えば、多層構造部の複数層(例えば、C,D,E,F層)を観察したい場合には、その複数層が存在する広い部分にイオンビームが照射される様に、入力装置18から中央制御装置14に入力する。
【0075】
前記入力装置18から中央制御装置14への入力により、前記電源制御回路14bは、イオンビームがC,D,E,F層に対応した広い範囲に照射される様にイオン銃12からのイオンビームのX方向の寸法がLxj、Y方向の寸法がLyjになる様な電圧がビーム形状可変器40のX方向対向電極40a,40b、Y方向対向電極40c,40dに印加される様に電源41A,41Bに電圧印加信号を送る。尚、前記イオンビームのX方向の寸法LxjとY方向の寸法Lyjは、Lxj≪Lyjの関係を持たせているので、イオンビームの断面はX方向が短く、Y方向が長い楕円形となる。
【0076】
又、前記電源制御回路14bは、前記イオンビームが試料素材20に照射される時、z軸に対し左側から、前記C,D,E,F層の存在する深さ範囲に照射される角度θjを成して入射にする様な信号を電源51と61に送る
この様に設定して、試料素材のC,D,E,F層をエッチングし、次に、前記と同様にしてz軸に対し右側からもエッチングし、この様な左右からのエッチングを繰り返す。
【0077】
図22(a)は出来上がった薄膜試料20´´を示しており、又、図22(b)は図22(a)の薄膜試料を左方向から見た図で、前記C,D,E,F層が他の部分より大幅エッチングされている。尚、この例では、C,D,E,F,層のX方向は狭くエッチングされているが、X方向のエッチング範囲を広くする場合には、イオンビームのX方向の寸法Lxjを大きくすれば良い。即ち、イオンビームの断面は大きな円形に近くなる。
【0078】
又、図23の(a)に示す様な母材25上にメッキ層26を形成した試料素材において、前記母材25とメッキ層26の境界部を観察したい場合には、図23の(b)に示す様に、試料台5(図示せず)にこの様な試料素材と遮蔽板8を配置し、前記の様にしてY方向を長径、X方向を短径とする楕円ビームを作成し、全く偏向させず、真上からこの様なイオンビームを前記試料素材と遮蔽板8を照射して前記境界部までエッチングする。
【0079】
図23(c)はこの様にしてエッチングされた試料27を示している。
【0080】
尚、前記例では、二段の偏向レンズ(第1偏向レンズ50及び第2偏向レンズ60)にてイオンビームの試料素材への入射角を調整する様にしたが、上下方向に三段の偏向レンズを設け、一番上の偏向レンズで、光軸に沿って試料素材方向へ進むイオンビームを光軸から離れる方向に偏向し、次の偏向レンズで逆の方向に同じ角度偏向して光軸に平行に進ませ、一番下の偏向レンズで目的とする角度で試料素材に入射する様に二番目の偏向レンズの偏向方向と同じ方向に更に偏向させる様にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】従来の試料作成を説明するために示した図である。
【図2】従来の試料作成を説明するために示した図である。
【図3】提案されている試料作成を説明するために示した図である。
【図4】提案されている試料作成を説明するために示した図である。
【図5】提案されている試料作成を説明するために示した図である。
【図6】提案されている試料作成を説明するために示した図である。
【図7】提案されている試料作成を説明するために示した図である。
【図8】提案されている試料作成を説明するために示した図である。
【図9】本発明の試料作成装置の一例を示した図である。
【図10】図9の全体の構成を示した図である。
【図11】図10の一部構成要素の詳細を示している。
【図12】図10の一部構成要素の詳細を示している。
【図13】図9及び図10に示す装置の動作を説明するために示した図である。
【図14】図9及び図10に示す装置の動作を説明するために示した図である。
【図15】図9及び図10に示す装置の動作を説明するために示した図である。
【図16】図9及び図10に示す装置の動作を説明するために示した図である。
【図17】図9及び図10に示す装置の動作を説明するために示した図である。
【図18】図9及び図10に示す装置の動作を説明するために示した図である。
【図19】図9及び図10に示す装置の動作を説明するために示した図である。
【図20】本発明の他の応用例を説明するために示した図である。
【図21】本発明の他の応用例を説明するために示した図である。
【図22】本発明の他の応用例を説明するために示した図である。
【図23】本発明の他の応用例を説明するために示した図である
【符号の説明】
【0082】
1…真空チャンバ
2…排気装置
3…ステージ
3a…イオンビーム通過孔
4…ステージ傾斜機構
5…試料台
5a…切り欠き
6a,6b…ガイドピン
7a,7b,7c,7d…プーリー
8…イオンビーム遮蔽板
8a…遮蔽板右側面
8b…遮蔽板左側面
9…モータ
10…試料ホルダ
11…試料素材
11a…試料素材上面
11b…イオンビーム非照射面
11c,11d…イオンビーム照射面
12…イオン銃
14…中央制御装置
14a…イオン銃制御回路
14b…電源制御回路
14c…ステージ傾斜制御回路
14d…エッチング終了判定回路
15…電源
17…傾斜駆動源
18…入力手段
19…TVカメラ
20…試料素材
25…母材
26…メッキ層
30…ビーム径可変器
31…電源
40…ビーム形状可変器
40a,40b,40c,40d…電極
41,41A,41B…電源
50…第1偏向レンズ
50a,50b…電極
50,51a,51b…電源
60…第2偏向レンズ
60a,60b…電極
61,61a,61b…電源
100…イオン銃
200…試料素材
300…遮蔽材
200a…イオンビーム非照射面
200b,200c…イオンビーム照射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンビーム放出源、該イオンビーム放出源から放出されたイオンビームの照射を受ける試料素材、及び、該試料素材上にイオンビーム非照射面とその周囲にイオンビーム照射面を形成するために前記試料素材上に配置された遮蔽材を備えた試料作製装置において、前記イオンビーム放出源と前記遮蔽材との間に、前記試料素材へのイオンビームの入射角をコントロールするイオンビーム偏向手段を配置したことを特徴とする試料作製装置。
【請求項2】
前記イオンビーム偏向手段は、上下二段の偏向器から成り、上方の偏向器で前記イオンビーム放出源からのイオンビームを光軸から離れる方向に偏向し、該偏向されたイオンビームが前記試料素材に目的の入射角で照射される様に、該イオンビームを下方の偏向器で光軸側に偏向する様に成したことを特徴とする請求項1記載の試料作製装置。
【請求項3】
前記イオンビーム偏向手段は、上下三段の偏向器から成り、上から一番目の偏向器で前記イオンビーム放出源からのイオンビームを光軸から離れる方向に偏向し、該偏向されたイオンビームが光軸に平行になる様に該イオンビームを二番目の偏向器で偏向し、該偏向されたイオンビームが前記試料素材に目的の入射角で照射される様に、該イオンビームを三番目の偏向器で光軸側に偏向する様に成したことを特徴とする請求項1記載の試料作製装置。
【請求項4】
前記イオンビーム放出源と前記遮蔽材との間に、イオンビーム断面形状可変手段を配置したことを特徴とする請求項1記載の試料作製装置。
【請求項5】
前記イオンビーム断面形状可変手段は、少なくとも直交する各々の方向に配置された1対の対向電極から成り、一方の方向の対向電極でイオンビーム断面の一方の方向寸法をコントロールし、他方の対向電極でイオンビーム断面の他方の寸法をコントロールする様に成した請求項4に記載の試料作製装置。
【請求項6】
前記イオンビーム放出源と前記遮蔽材との間に、イオンビーム断面径可変手段を配置したことを特徴とする請求項1記載の試料作製装置。
【請求項7】
前記イオンビーム断面径可変手段はイオンビーム照射面でのイオンビームのフォーカス状態をコントロールするレンズ系から成ることを特徴とする請求項6記載の試料作製装置。
【請求項8】
試料素材上にイオンビーム非照射面とその周囲にイオンビーム照射面を形成するための遮蔽材を前記試料素材上に配置し、前記遮蔽材の上方に設けられたイオンビーム放出源からのイオンビーム照射により前記試料素材をエッチングする様にした試料作製方法において、前記イオンビームを偏向させることにより、該イオンビームの前記試料素材への入射角をコントロールする様にしたことを特徴とする試料作製方法。
【請求項9】
前記イオンビームの断面形状を可変する様にしたことを特徴とする請求項8記載の試料作製方法。
【請求項10】
前記イオンビームの断面を楕円形にし、その長径と短径を可変する様にしたことを特徴とする請求項9記載の試料作製方法。
【請求項11】
前記イオンビームの断面径を可変する様にしたことを特徴とする請求項8記載の試料作製方法。
【請求項12】
前記イオンビームのフォーカス状態を変えることにより該イオンビームの断面径を変える様にしたことを特徴とする請求項11記載の試料作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2007−248091(P2007−248091A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−68497(P2006−68497)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】