説明

試験装置および関連方法

太陽電池または別の電子デバイス用の基板を生産するために工場において使用される試験装置は、実質的に平坦であり、電気的に試験される少なくとも1つの基板(150)または別のデバイスをその表面上に直接的にまたは間接的に支持することが可能な支持体(16)と、複数の試験プローブ(42)とを備えている。支持体(16)には、各々が、対応する試験プローブ(42)を挿入して、基板(16)の対応する所定の試験領域に接続させることを可能にする複数の貫通孔が設けられている。試験装置は、支持体に付随するまたは関連付けられて、試験領域上に、試験プローブによって作用する押圧動作とは反対方向に、基板(16)の一面上に減圧による保持作用を及ぼすことができる吸引手段(50)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的制御を実行するために電子デバイス用の製造工場において使用する試験装置および関連方法、またはそのようにして作ったデバイスの試験に関する。
【0002】
特に、本発明による試験装置は、太陽電池の基板中に作られた1つまたは複数の電気的パターン中の潜在的な欠陥を検査するために、太陽電池の基板またはウエハの電気的制御を実行するために使用される。
【背景技術】
【0003】
太陽電池の基板またはウエハなどの電子デバイスを試験するための試験装置が、知られており、その装置は前記電子デバイスを生産する工場の生産ラインの最後に通常設置される。ここで、および以降では、具体的な参照が、太陽電池の半導電性材料から作られる基板またはウエハになされるが、本発明による装置を電子カード、PCB(プリント回路基板)、等の別の種類の電子デバイスを試験するために使用することができることを除外するものではない。
【0004】
これらの既知の試験装置は、相互に向かい合って配置された2つのニードルのベッドを備え、これらの間に試験対象の少なくとも1つの基板を設置する。基板には、基板自体の中に作られた電気的パターンに接続された複数の電気的接触領域が基板の両面に設けられる。
【0005】
ニードルのベッドは、少なくとも、実質的にサンドイッチのようにベッド間に試験対象の基板の挿入を可能にする第1の位置と、ニードルが基板の両面の対応する接触領域と接触できるようにベッドが配置されている第2の位置との間を往復運動可能である。
【0006】
このようにして、効率的な電気的な試験を可能にするだけでなく、前記接触領域に対応する電圧測定および/または電流測定によって、第2の位置に配置されたニードルのベッドが、基板の両面上に機械的に反対に加わる動作を作用させることを可能にし、試験中に安定かつ安全な位置に基板を保持する。
【0007】
これらの既知の装置の1つの欠点は、シリコンまたは他の半導体材料から作られた基板またはウエハのケースでは、実質的に緩衝されていない機械的に反対に加わる動作が、基板の壊れやすい構造中に不本意で望まれない破壊またはクラックを決定することがある。
【0008】
すべての接触領域が基板の一面、例えば、裏面上に配置されている「全裏面接触」型の基板またはウエハも知られている。このケースでは、各ニードルが対応する接触領域と接触するように基板を設置することが可能になるように、試験装置には、基板に対して往復運動可能であるニードルの単一ベッドの配置が設けられる。
【0009】
この解決策は、試験中に基板の望まれない破壊を回避することを可能にするが、試験中に安定かつ安全な位置に基板を常に保持することが可能ではない。これが、1つまたは複数のニードルを基板の対応する接触領域と安定に接触させないことがあり、それゆえ、実際には欠陥ではないのに基板の試験結果が悪くなる。
【0010】
本発明の1つの目的は、試験対象の基板またはウエハまたは他の電子デバイスを所望の位置に安定に維持することを可能にし、試験中に基板の望ましくない損傷または破壊を回避する試験装置を作ることである。
【0011】
本発明のもう1つの目的は、試験対象の基板またはウエハまたは他の電子デバイスを所望の位置に安定に保つことを可能にし、試験中に基板の望ましくない損傷または破壊を回避する、基板または他の電子デバイス用の試験方法を完全なものにすることである。
【0012】
出願人は、最先端技術の欠点を克服するため、ならびに、これらのおよび他の目的および利点を得るために、本発明を考案し、試験し、具体化した。
【発明の概要】
【0013】
本発明が、独立請求項において記載され、特徴付けられる一方で、従属請求項が、本発明の他の特徴または主な独創的なアイデアに対する変形例を記載する。
【0014】
上記の目的によれば、試験装置を、例えば太陽電池または別の電子デバイスの基板用の生産工場において使用することができ、そのようにして作成したデバイスにおける電気的制御または試験を実行することができる。本試験装置は、実質的に平坦であり、電気的試験の対象の少なくとも1つの基板または別のデバイスを直接的にまたは間接的に支持体の表面の1つの上に支持することができる支持体を備える。
【0015】
支持体は、各々が、装置の対応する電気的試験プローブを挿入して基板の対応する試験領域に接続および/または接触させる複数の貫通孔を備える。
【0016】
本発明の1つの特徴によれば、試験装置は、支持体に付随し、前記試験領域上に試験プローブによって作用する押圧動作とは反対に加わるように、基板の一面上の減圧による保持作用を及ぼす吸引手段を備える。
【0017】
このようにして、試験中に所定の位置に1つまたは複数の基板をしっかりと維持し、試験プローブの押圧に対して適正で効果的な反対に加わる動作を可能にし、プローブが接続された基板の同じ面に動作させることが可能である。これは、大きな機械的な応力の発生を防止し、したがって、基板の潜在的な破壊を低減するまたは最小にすることを可能にする。
【0018】
本発明の変形例によれば、吸引手段が、支持体の各貫通孔と協働するように配置される。これは、プローブにより作用する実際の押圧動作に応じて基板上に作用する保持作用の最適な分布を可能にする。
【0019】
別の一変形例によれば、各基板が、生産の異なるステップ中に基板の移動および搬送のために使用する支持ネストと動作可能に関連付けられる。支持ネストには、複数の貫通孔が設けられ、各貫通孔は、対応する試験プローブを通過させるために支持体の少なくとも対応する孔と連携することができる。
【0020】
別の一変形例によれば、各ネストは、支持ネストに対して、つまり支持体に対して、基板を保持することを可能にするために、吸引手段と動作可能に関連付けられる吸引パイプを備える。
【0021】
本発明は、太陽電池および別の電子デバイスの基板を試験するための方法にも関係する。
【0022】
本方法は、基板または電気的に試験される別のデバイスが、実質的に平坦であり、複数の試験プローブに属する対応する電気的試験プローブの挿入のために各個が適している複数の貫通孔を備えた支持体上に配置されるステップを備える。
【0023】
本方法は、試験プローブのうちの少なくともいくつかが、基板の対応する試験領域に接続し、接触するように、対応する貫通孔中に挿入される試験ステップを備える。
【0024】
本発明の1つの特徴によれば、本方法は、支持体に付随した吸引手段による減圧による保持作用が、前記試験ステップの際に、試験領域上に試験プローブによって作用する押圧動作とは反対に加わるように、基板の一面上に作用する吸引ステップを備える。
【0025】
本発明のこれらの特徴および他の特徴は、添付した図面を参照して非限定的な例として与えられる実施形態の好ましい形態の下記の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態により使用される処理システムの模式的等角図である。
【図2】図1に図示したシステムの模式的平面図である。
【図3】本発明による試験装置の斜視図である。
【図4】図3の試験装置の上平面図である。
【図4A】図4の細部の拡大図である。
【図5】図3の側面図である。
【図5A】図5の細部の拡大図である。
【図6】本発明による試験装置の一部の斜視図である。
【図7】図6の詳細部分の上平面図である。
【図8】本発明による装置のニードル支持体部材の斜視図である。
【図9】図7の詳細部分の上方からの拡大図である。
【図10】図9の詳細部分の変形例の上方からの図である。
【図11】図10中のVIからVIまでの切断部の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
理解を容易にするために、可能である場合には、複数の図に共通な同一の要素を示すために、同一の参照番号を使用している。一実施形態の要素および特徴を、さらに記述がなくとも別の実施形態において利益をもたらすように組み込むことができることが企図される。
【0028】
添付した図面を参照して、本発明による試験装置10を、有利には、「裏面接触」型に限らないが、太陽電池用の基板150またはウエハを生産するために工場において使用することができ、裏面接触型では、変換した電気的エネルギーの引き出し用のすべての金属接触が、基板150の一面上に配置されている。基板150は、正方形または長方形の形状の実質的に平坦な構造を有する。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に関連する、基板150を処理するためのシステム100の模式的等角図である。一実施形態では、システム100は、2つの送入コンベア111、アクチュエータアセンブリ140、複数の処理ネスト131、複数の処理ヘッド102、2つの送出コンベア112、およびシステムコントローラ101を一般に含む。送入コンベア111は、各々が、入口コンベア113などの入口装置から未処理の基板150を受け取り、各未処理の基板150が、アクチュエータアセンブリ140に連結された処理ネスト131へ搬送されるように、並列処理構成に構成される。加えて、送出コンベア112は、各々が、処理ネスト131から処理済の基板150を受け取って、出口コンベア114などの基板取り出し装置へ搬送できるように、並列に構成される。
【0030】
一実施形態では、処理ヘッド102を介して基板150上に堆積させた材料を硬化させるために、各出口コンベア114を、オーブン199を通って処理済の基板150を移送するように適合させる。
【0031】
本発明の一実施形態では、システム100は、スクリーン印刷処理システムであり、処理ヘッド102は、基板150上に材料のパターン形成した層をスクリーン印刷するように構成されているスクリーン印刷構成要素を含む。別の一実施形態では、システム100は、インクジェット印刷システムであり、処理ヘッド102は、基板150上に材料のパターン形成した層を堆積させるように構成されているインクジェット印刷構成要素を含む。
【0032】
図2は、図1に図示したシステム100の模式的平面図である。図1および図2は、2つの処理ネスト131(位置「1」および「3」にある)を有するシステム100を図示しており、各処理ネストは、送出コンベア112へ処理済の基板150を搬送し、かつ送入コンベア111から未処理の基板150を受け取るために設置される。したがって、システム100では、基板の動きは、図1および図2に示した経路「A」に一般にしたがう。この構成では、プロセス(例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、材料除去)をそれぞれの処理ネスト131上に載置された未処理の基板150上に実行することができるように、別の2つの処理ネスト131(位置「2」および「4」にある)のそれぞれを、処理ヘッド102の下に設置する。かかる並列処理構成は、最小の処理システムフットプリントで大きな処理能力を可能にする。システム100が2つの処理ヘッド102および4つの処理ネスト131を有するように図示されているが、システム100は、本発明の範囲から逸脱せずに追加の処理ヘッド102および/または処理ネスト131を備えることができる。
【0033】
一実施形態では、送入コンベア111および送出コンベア112は、システムコントローラ101と連絡しているアクチュエータ(図示せず)の使用によって、システム100内の所望の位置に基板150を支持し移送するために、少なくとも1つのベルト116を含む。図1および図2が2ベルトスタイルの基板搬送システムを一般的に図示しているが、別の種類の搬送機構を、本発明の基本的な範囲から変わることなく同じ基板搬送機能および基板位置決め機能を実行するために使用することができる。
【0034】
一実施形態では、システム100は、検査システム200も含み、検査システムは処理を実行する前および後に基板150の位置を定め、検査するように適合している。検査システム200は、1つまたは複数の検出手段、またはカメラ120を含むことができ、これは図1および図2に示したようなローディング位置/アンローディング位置「1」および「3」に設置された基板150を検査するように設置される。
【0035】
検査システム200は、一般的に、少なくとも1つのカメラ120(例えば、CCDカメラ)、および、位置を定め、検査し、システムコントローラ101へ結果を通信することができる他の電子構成要素を含む。一実施形態では、検査システム200を、送入される基板150のある特徴の場所の位置を定め、基板150を処理する前に、処理ヘッド102の下での基板150の正確な位置決めを支援するために基板150向きおよび場所の解析のためにシステムコントローラ101へ検査結果を通信する。
【0036】
一実施形態では、検査システム200は、損傷した基板または誤って処理済の基板を生産ラインから取り除くことができるように、基板150を検査する。一実施形態では、処理ネスト131の各々は、基板を検査システム200によってより容易に検査することができるように、処理ネスト上に設置した基板150を照明するために、ランプまたは他の類似の光放射装置を包含することができる。
【0037】
システムコントローラ101は、システム100全体の制御および自動化を容易にし、中央処理ユニット(CPU)(図示せず)、メモリ(図示せず)、およびサポート回路(またはI/O)(図示せず)を含むことができる。CPUを、様々なチャンバプロセスおよびハードウェア(例えば、コンベア、検出器、モータ、流体供給ハードウェア、等)を制御するための工業的設定の際に使用し、システムおよびチャンバプロセス(例えば、基板位置、プロセス時間、検出器信号、等)をモニタするコンピュータプロセッサのいずれかの形式のうちの1つとすることができる。メモリを、CPUに接続し、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フロッピディスク、ハードディスク、またはその場所のまたは離れた場所の任意の他の形式のディジタル記憶装置などの、容易に利用可能なメモリのうちの1つまたは複数とすることができる。ソフトウェア命令およびデータを、コード化することができ、CPUに命令するためにメモリ内に記憶することができる。
【0038】
サポート回路は、従来の方式でプロセッサをサポートするためにCPUにも接続される。サポート回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入力/出力回路、サブシステム、等を含むことができる。システムコントローラ101によって読み取り可能なプログラム(またはコンピュータ命令)は、どのタスクが基板上に実行可能であるかを決定する。好ましくは、プログラムは、システムコントローラ101によって読み取り可能なソフトウェアであり、それは、少なくとも基板位置情報、様々な制御された構成要素の移動のシーケンス、基板検査システム情報、およびこれらの任意の組み合わせを生成し記憶するためのコードを含む。
【0039】
一実施形態では、システム100内で利用される2つの処理ヘッド102を、Applied Materials Italia Srlから入手可能な従来型のスクリーン印刷ヘッドとすることができ、これは、スクリーン印刷プロセス中に位置「2」または「4」にある処理ネスト131上に配置された基板150の表面上に所望のパターンに材料を堆積するように適合している。一実施形態では、処理ヘッド102は、複数のアクチュエータ、例えば、アクチュエータ105(例えば、ステッパモータまたはサーボモータ)を含み、これはシステムコントローラ101と通信し、印刷されている基板150に対して処理ヘッド102内に配置されたスクリーン印刷マスク(図示せず)の位置および/または角度方向を調節するために使用される。一実施形態では、スクリーン印刷マスクは、基板150の表面上のパターンおよびスクリーン印刷した材料の場所を決めるために、印刷マスクを貫通して形成された複数の孔、スロット、または他のアパーチャを具備する金属シートまたは金属プレートである。一実施形態では、スクリーン印刷される材料は、導電性インクもしくはペースト、誘電体インクもしくはペースト、ドーパントジェル、エッチジェル、1つもしくは複数のマスク材料、または他の導電性材料もしくは誘電体材料を備えることができる。
【0040】
一般的には、基板150の表面上に堆積すべきスクリーン印刷パターンを、アクチュエータ105を使用し、かつ検査システム200からシステムコントローラ101によって受け取られた情報を使用して、スクリーン印刷マスクを正しい向きに置くことによって自動化した方式で基板150に対して位置合わせする。一実施形態では、処理ヘッド102を、約125mmと156mmとの間の幅および約70mmと156mmとの間の長さを有する太陽電池基板上に金属含有材料または誘電体含有材料を堆積するように適合させる。
【0041】
本発明による装置10は、システム100内の出口コンベア114およびオーブン199の下流に一般に配置され、支持体16(図3、図4、図6)、試験対象の各基板150用の支持ネスト18、基板150の電気的な試験用のプローブまたはニードル42とともに設けられた試験部材26、支持体16の内側に分散配置され、ネスト18中の孔24に動作可能に接続可能な1つまたは複数の吸引パイプ50を備える。
【0042】
各基板を、既知の方法で、例えば、コンベア114から支持ネスト18へおよび支持体16へ基板を移動させることが可能な自動化した搬送システムによって、出口コンベア114から支持ネスト18へ搬送する。
【0043】
実質的に平坦な支持体16は、少なくとも1つのネスト18を、それゆえ、以降により詳細に説明するように、付随する基板150を水平な位置に支持するように適している。支持体16は、好ましくは、既知の種類の市場において容易に入手可能な、ニッケルの第1の層により、および誘電体塗装膜の第2の層によってカバーされた鉄鋼から作られ、それゆえ、効果的で最適な支持体平面性および支持体16の十分な電気的絶縁を得ることを可能にする。
【0044】
以降により詳細に説明するように、支持体16には、試験部材26の少なくとも1つの対応するニードル42の通過を可能にする複数の第1のスルー試験孔22(図11)が設けられる。
【0045】
吸引パイプ50(図6)には、その端部の一方に吸引スリーブ51も設けられ、吸引スリーブ51は、真空発生器または他の適した装置などの、既知の種類の吸引部材(図示せず)に接続される。
【0046】
やはり実質的に平坦なネスト18は、規則的な形状、例えば、長方形または正方形を有し、非導電性材料、例えば、プレキシガラスから作られる。ネスト18には、所定の位置に基板150の正確な位置決めを可能にし、試験中に基板の望ましくない水平の移動を妨げるために、ネストの上側表面上の所定の位置に配置された合口ピン20(図3、図4、および図5)が設けられる。
【0047】
合口ピン20の配置は、異なる形式を有する様々な種類の基板150の支持ネスト18上の位置決めを可能にするようなものである。
【0048】
各支持ネスト18を、例えば、電気パターンの印刷の1つまたは複数のステップ中のような別の作業ステップ中にも、関連する基板150を移動させるためにやはり使用することができる。ネスト18を、コンベアベルトまたはコンベアなどの既知の種類の移動手段によって、それ自体の基板150とともに移動させる。
【0049】
支持ネスト18には、複数の第2の試験孔23(図7、図9、図10、および図11)も設けられ、第1の試験孔22の配置に合わせた所定の位置を貫通し、配置される、すなわち、以降にさらに詳細に説明するように、第1の試験孔22および第2の試験孔23の両方を貫通して試験部材26の少なくとも1つのニードル42の通過を可能にするように、ネスト18が支持体16に設置されているときに、第1の試験孔22に対して実質的に同心である。
【0050】
1つまたは複数のニードル42が、孔22、23と完全に位置合わせされていない場合も、または支持体16の面に完全に垂直ではない傾きを有する場合も、第2の孔23(図11)の直径Dは、対応する試験ニードル42が容易に挿入できるように、有利には第1の試験孔22の直径Dよりも小さい。これは、支持体16と各ニードル42とのまたはネスト18と各ニードル42との望ましくない接触の可能性をさらに減少させるためのものである。
【0051】
ネスト18が支持体16上に配置されているときに、ネスト18には、吸引パイプ50に所定の接続点52aのところで動作可能に接続することができる吸引配管52(図6)も設けられる。
【0052】
吸引配管52は、第2の試験孔23の各々の近くに分散配置されている空気用の吸引路を画定するように、ネスト18の厚さの内部に展開する。
【0053】
事実、吸引配管52には、各第2の孔23の周りに展開し、その周囲を囲む吸引部分53(図9)が設けられる。以降により詳細に説明するように、試験中にネスト18上の基板を保持するために効果的な動作を作用させるように、基板150の接触表面上の第2の孔23の周りに局部的な減圧状態を生成することに適した複数の吸引孔24(図7、図9、図10、図11)によって、各部分53をネスト18の上部表面に接続する。
【0054】
ニードル42によって作用する局部的な機械的押圧動作とは反対に加わる基板150上の減圧による効果的な保持作用を生み出すように、吸引孔24を、有利には、各部分53の展開部上で規則的に距離を置いて設置する。
【0055】
図9に示した第1の形式の実施形態によれば、各部分53は、四角形の展開部を有し、孔24を、角に対応させて、辺に沿った中間の位置に配置する。
【0056】
図10に示した実施形態のもう1つの形式によれば、部分53は、孔24が実質的に等距離で配置される実質的に円形の展開部を有する。
【0057】
有利には、効果的な保持作用を保証する孔24の数は、以降により詳細に説明するように、部分53のサイズ、例えばその直径に、ニードル42の押圧力に、および作用する保持力/減圧力に関係する。一実施形態では、各部分53に関係する孔24の数は、8個である。
【0058】
吸引孔24の数を8個よりも多くすることも少なくすることもできる、または複数の吸引孔24の代わりに、第2の孔23を少なくとも部分的に周囲を囲むように、1個の吸引開口部を、円形の様式に合わせて作ることができることが、理解される。
【0059】
試験部材26(図3、図6および図8)は、例えばプレキシガラスから作られ、支持体16の下で平行にかつ同じ対等な高さに配置され2本のアーム30を備える。それぞれの横木30を支持するように、アーム28を所定の相互距離に配置する。各横木30は、複数の電気的試験ニードル42を支持することに適している。横木30の数を、試験対象の異なる基板150のトポロジおよびサイズに基づいてニードル42の数に合わせる。
【0060】
横木30両端部を、各アーム28上に作られたスライディングガイド29に対応させて摺動可能に抑える。これは、試験対象の基板150の実際のサイズに一致するニードル42の所望の位置決めを得るために、一定で所定の相互距離に、または2つ以上の横木30間で少なくとも部分的に相互に連続的に横木30を設置することである。
【0061】
アーム28は、ニードル42が孔22、23中に挿入されていない低い位置と、孔22、23のそれぞれの対に各ニードル42の挿入を可能にし、それゆえ試験対象の基板150のゾーンと接触させるために、横木30が支持体16に隣接して配置される高い位置との間で、矢印Fの方向にしたがって実質的に垂直方向にも移動可能である(図6)。
【0062】
アーム28の移動は、支持体16に関して横方向に配置された、既知の種類の1対のアクチュエータ34、例えば、エアシリンダ、電気モータ、等、によって生じる。各アクチュエータには、アームを持ち上げ下降させ、それゆえ所望の高さに横木30を設置するように、対応するアーム28と連続する水平なショルダ素子38と協働することができる垂直に移動可能なピストン36が設けられる。
【0063】
図面には示されていない実施形態の一形式では、横木30を、1枚の平坦な支持体構造によって置き換え、アームに対して構造の反対側の横方向端部の2つに沿って抑える。ニードル42を、試験対象の基板の異なる種類およびサイズに一致する所定の配置にしたがって平坦な構造上に分散配置させる。
【0064】
試験ニードル42は、典型的には金属材料からなり、基板150の表面と信頼性の高い接触を実現するように構成されている少なくとも1つの所望の形にした接触点を有する導電性構成部品である。各試験ニードル42は、基板150の所定のゾーンに対応する電圧および電流の両方を測定するように適している。有利には、各ニードル42には、ある点に一致し、実質的に平行に配置された2つの試験プローブ(本図面には示されず)が設けられ、そのうちの一方が電圧の値を取得するために適しており、他方が基板150と接触している接触点を通って流れる電流の値を取得するために適している。
【0065】
ニードル42を、同軸の種類のものとすることができ、この場合、第1の外側プローブが電流または電圧を測定するために適しており、第2の内側プローブが電圧または電流を測定するために適しており、外側プローブに対して引っ込めることができることが、理解される。
【0066】
電圧値および電流値を取得し処理することができ、これらの値が基板150の正しい機能のために設けられた範囲内であることを検証することができる処理ユニットに、例えば、システムコントローラ101に、またはもう1つのコントローラに、各ニードル42を既知の方法で電気的に接続する。
【0067】
これまでに説明してきたような試験装置10は、次のように機能する。
【0068】
所定の処理の最後に、例えば、基板150がオーブン199から出るときに、または太陽電池の生産の最後に、基板150を、支持ネスト18に搬送し、アクチュエータ、例えば、支持体16を移動させることが可能な磁気リニアモータ25によって、矢印「A」(図3、図4)によって指示される方向に支持体16上で支持ネストとともに移送する。第2の孔23を対応する第1の孔22と位置合わせするように、および配管52をパイプ50と液圧で接続させるように、ネスト18を支持体16上に設置する。このステップでは、ネスト18および基板150の容易な位置決めを可能にするために、アーム28を低い位置に配置する。
【0069】
引き続いて、対応する対の孔22、23の中に各ニードル42の挿入を可能にし、それゆえ、基板150の下側の表面の対応する領域との接触を可能にするように、アーム28を高い位置へとアクチュエータ34によって移動させる。
【0070】
アーム28の移動と協働して、パイプ50内、配管52内、およびそれゆえ対応する部分53内に減圧を発生させるために、吸引部材を作動させる。これにより、各孔23の周りに一様かつ通常通りに分散した、各孔23の周りを囲む吸引孔24による減圧によって作用する保持作用と、基板150の下側、すなわち裏面の表面全体に直接行われる一様な保持作用とが得られる。これは、電気的な試験中に、支持体16に対して効果的で安全な方法で基板150を、それゆえネスト18を保持することを可能にする。
【0071】
試験対象の基板150の領域と接触して配置された試験ニードル42によって作用する全体の機械的押圧とは反対に加わるような方法で、保持作用を行う。このようにして、試験中に1つの固定した位置に基板150を維持することが可能であり、可能性のある誤った測定を回避する。
【0072】
その上、減圧の強さを調整することによって、ニードル42の機械的な押圧動作に応じて、保持作用を調整することも可能であり、したがって、基板150の壊れやすい結晶性構造の潜在的な破壊および/またはクラックを最小にすることと可能にする基板150上のクッション作用を得ることが可能である。
【0073】
効果的な保持作用を保証する孔24の数は、ニードル42の押圧力および作用する保持力/減圧力に対して、部分53のサイズ、例えば、その直径に関連する。事実、基板150が支持体面に対して孔24に対応させて抑えられていることを考えると、既知の種類であり図に示されていないニードル42またはそのバネのうちの1つが基板に作用させる最大の力、および基板を作る材料の最終的な引張応力は、既知と見なされる。[N/mm]の単位で表した最終的な引張応力と許容できる機械的張力との間の比として定義される安全係数を固定することによって、部分53に沿った孔24の位置決め直径を計算することが可能である。真空によって、すなわち、配管真空圧および吸引パイプ50と吸引配管52との負荷損失の和として得られる真空の最大値によって与えられる保持力が、サポートネスト18に対して抑えられた基板を保持できないように、ニードル42によって作用される力が湾曲変形を引き起こすようなものであるはずであるので、前記直径を、注意深く検証しなければならない。このケースでは、孔24が設置されている部分53の展開部の外周の直径を縮小させることが必要である。
【0074】
むしろ、前記直径の値を定めた後で計算を繰り返して、我々は、限界値よりも低過ぎてはならない新たな安全係数を求める、そうでなければ基板150またはセルが破壊するはずである。
【0075】
部分53の展開部の外周の最小直径Dも、動的な条件によって決定される。直径が小さい場合、ネスト18上に配置された基板150は、同じ応力を与えると、より小さな変形を局所的に受け、より小さなクッション作用を与える。これによって、各ニードル42と基板との間の衝突がわずかしか和らげられず、基板を破壊させるおそれが伴う。
【0076】
これらの考察にしたがって、下記のことが計算される。
− 孔24の数と部分53の直径Dとの間の比K1が0.5mm−1に等しい、
− 前記直径Dと孔24の全面積との間の比K2が約0.92mm−1に等しい。
【0077】
一実施形態では、孔24の数は、5個と10個との間である。
【0078】
一実施形態では、孔24の数は、8個である。
【0079】
基板150の試験を、例えば、スクリーン印刷した層の抵抗および/または基板150のドープした部分の表面抵抗を測定するために、基板の所定の接触点間の電圧および電流を測定する既知の方法で実行する。
【0080】
電圧値および電流値の取得/測定の最後に、対応する一対の孔22、23から各ニードル42を引き抜くことを可能にするために、アクチュエータ34によってアーム28を低い位置へと移動させる。
【0081】
アーム28の移動と協働して、減圧部材が作動を停止し、矢印「U」によって指示される方向へのネスト18および基板150の引き続く移動、および例えば、後続プロセスに向けて、または欠陥のある基板150のケースでは廃棄するための排出ステーションへの基板150の搬送を可能にする。
【0082】
本発明の分野および範囲から逸脱せずに、部分またはステップの変更および/または追加を、これまでに説明したような試験装置10に行うことができることが、明らかである。
【0083】
ある特定の例を参照して本発明を説明してきているが、当業者が、特許請求の範囲に記載したような特徴を有し、これゆえ特許請求の範囲によって規定される保護の分野内になるすべてを有する試験装置および関連する試験方法の多くの別の等価な形式を実現することが確かに可能であろうということも明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池または別の電子デバイス用基板(150)を生産するために工場において使用される試験装置であって、
実質的に平坦で、電気的試験の対象の少なくとも1つの基板(150)または別のデバイスを表面上に直接的または間接的に支持することができる支持体(16)と、
試験対象の各基板(150)の支持ネスト(18)と、
複数の試験プローブ(42)と
を備えており、前記支持体(16)が、各々が対応する試験プローブ(42)を挿入して前記基板の対応する所定の試験領域に接続させることができる複数の貫通孔(22)を備えている試験装置において、
前記試験プローブ(42)と同じ側から前記支持体(16)の内部に分散配置されて、吸引配管(52)を介して前記ネスト(18)内に設けられた吸引孔(24)に動作可能に接続することができる吸引手段(50)であって、前記ネスト(18)の各々が、前記関係する試験プローブ(42)を通過させるために、使用に際して、前記支持体(16)中に設けられた前記試験孔(22)に位置合わせされる試験孔(23)を備えており、前記試験領域上に前記試験プローブ(42)によって作用する押圧動作とは反対に方向に、前記基板(150)の一の面上に、減圧による保持作用を、前記吸引配管(52)および前記ネスト(18)中の前記吸引孔(24)を介して作用させる吸引手段(50)を備えることを特徴とする、試験装置。
【請求項2】
前記吸引手段(50)が、前記支持体(16)の各貫通孔(22)と協働するように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記吸引配管(52)が、前記試験孔(23)の各々の近くに分散配置された吸引経路を画定するように前記ネスト(18)中に展開していることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記吸引配管(52)には、前記試験孔(23)の各々の周りに、前記試験孔を少なくとも部分的に囲むように展開する吸引部分が設けられており、各部分が前記吸引孔(24)によって前記ネスト(18)の上側表面に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記吸引部分が四角形であることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記吸引部分が円形であることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
吸引孔(24)の数が5〜10個であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
吸引孔(24)の数が8個であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記吸引孔(24)が各吸引部分の前記展開部に沿って規則的に距離を置いて設置されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記支持体(16)が少なくとも部分的に非導電性材料から作られることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
太陽電池または別の電子デバイスの基板(150)を試験するための方法であって、
電気的試験の対象の基板(150)を支持ネスト(18)上に配置し、次に前記ネスト(18)を、実質的に平坦で、複数の試験プローブ(42)のうちの対応する試験プローブ(42)を挿入するために各々が適している複数のスルー試験ホール(22)を備えた支持体(16)上に配置するステップであって、前記ネスト(18)の各々が、前記関係する試験プローブ(42)の通過を可能にするために、使用の際に、前記支持体(16)中に設けられた前記試験孔(22)に位置合わせされる試験孔(23)を備えるステップと、
前記試験プローブ(42)のうちの少なくともいくつかを、前記対応する試験孔(22、23)中に挿入して、前記基板(150)の対応する試験領域に接続し、接触させる試験ステップと
を含み、
前記支持体に付随する吸引手段(50)であって、吸引配管(52)および前記ネスト(18)の各々に設けられた吸引孔(24)を備えた吸引手段(50)によって、減圧による保持作用を、前記基板の一方の面に、前記試験プローブ(42)による前記試験領域上への押圧動作とは反対方向に作用させる吸引ステップを備えることを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記吸引手段(50)を、前記支持体(16)の各貫通孔(22)と協働するように配置することを特徴とする、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−4A】
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【図5−5A】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2013−504050(P2013−504050A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527310(P2012−527310)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062831
【国際公開番号】WO2011/026875
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】