説明

詰め替え保存用容器

【課題】容器の内容物を詰め替える際に好適な詰め替え保存用容器を提供する。
【解決手段】両方に開口部を有する筒形状の容器本体12と、一方に開口部を有し、内容物の移し替え用に容器として併用できるように構成されたコップ形状の蓋13aと、一方に開口部を有し、内容物の移し替え用に容器として併用できるように構成されたコップ形状の蓋13bとを備え、蓋13a及び蓋13bが容器本体2の両方の開口部に着脱自在ととなるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の内容物を詰め替える際に好適な詰め替え保存用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の容器として、従来、図3に示す技術が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。この容器は、筒形状ガラス瓶101の両端部に、それぞれ第1の開口部101a及び第2の開口部101a'を設け、両各開口部には、開閉自在に密閉機能を有する第1の密閉式蓋部材102aと第2の密閉式蓋部材102a'とを装備した家庭用蜂蜜保存ガラス瓶である。
【0003】
この家庭用蜂蜜保存ガラス瓶によれば、蜂蜜を使用しつつ保存中に、筒形状ガラス瓶101の底部近傍に残存する固形結晶化し粘性流動性が悪化した蜂蜜を、床面に面した第1の密閉式蓋部材102a(又は第2の密閉式蓋部材102a')を開けることにより、普通のサジ等で容易に取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3102291号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、容器の内容物を詰め替える際、残存する内容物の上から新たな内容物を追加して、新たな内容物から使用するという使い方をしていると、容器の底には古い内容物が残存していく。これを回避するには、残存する内容物を別の容器に移し替えた後、新たな内容物を入れて、移し替えた内容物を追加して、古い内容物が上に来るようにする必要がある。
【0006】
或いは、内容物が僅かになったとき、容器を逆さまにして内容物を蓋で受けた状態で蓋を容器から取り外し、容器を元に戻して新たな内容物を入れ、その上から蓋で受けた内容物を追加して、古い内容物から使用することによって古い内容物が容器の底に残存していくことを回避できる。
【0007】
しかしながら、前者は、容器の内容物を詰め替える際、移し替え用の容器を別途用意しなければならないため不便である。また、後者は、通常、蓋の内側にネジ山が形成されており、蓋に内容物を移し替える際、特に内容物がジャムのような粘着性が高い物の場合、移し替えるのに時間がかかるとともに、ネジ山に内容物が付着し、蓋を容器に取り付けられないという問題点がある。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、移し替え用の容器を別途用意する必要がなく、短時間で移し替えることが可能であり、ネジ山に内容物が付着して蓋を容器に取り付けられないという問題点を解消する、容器の内容物を詰め替える際に好適な詰め替え保存用容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の詰め替え保存用容器は、両方に開口部を有する筒形状の容器本体と、一方に開口部を有し、内容物の移し替え用に容器として併用できるように構成されたコップ形状の第1の蓋と、一方に開口部を有し、内容物の移し替え用に容器として併用できるように構成されたコップ形状の第2の蓋とを備え、前記第1の蓋及び前記第2の蓋が前記容器本体の両方の開口部に着脱自在となっていることを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載の詰め替え保存用容器によれば、前記容器本体が筒形状であり、両方の開口部を前記第1の蓋及び前記第2の蓋で密閉する構造であるため、内容物が僅かになったとき、上側にある前記第1の蓋(又は前記第2の蓋)を開けて新たな内容物を追加し、容器を逆さまにすることで、古い内容物が上に来るようになり、上側にある前記第2の蓋(又は前記第1の蓋)を開けば、古い内容物から取り出すことができる。この使用態様は、容器を逆さまにしたときに内容物が混ざり合わないように、殻付きピーナッツ等の比較的大きい物を内容物とする場合に好適である。
【0011】
また、請求項1に記載の詰め替え保存用容器によれば、内容物が粉状物のように容器を逆さまにしたときに混ざり合う物である場合、古い内容物を下側にある前記第2の蓋(又は前記第1の蓋)に受けた状態で該蓋を取り外し、容器を逆さまにした状態で新しい内容物を入れ、取り外した前記第2の蓋(又は前記第1の蓋)にある古い内容物を追加した後、取り外した前記第2の蓋(又は前記第1の蓋)を上側に取り付けることができるため、古い内容物が上に来るようになり、上側にある前記第2の蓋(又は前記第1の蓋)を開けば、古い内容物から取り出すことができる。
【0012】
また、請求項1に記載の詰め替え保存用容器によれば、内容物がジャムのような粘着性の高い物であった場合、古い内容物を下側にある前記第2の蓋(又は前記第1の蓋)に受けた状態で該蓋を取り外し、容器を逆さまにした状態で新しい内容物を追加し、取り外した前記第2の蓋(又は前記第1の蓋)を上側に取り付けることができるため、上側の蓋に付着した状態の古い内容物から使用することができ、内容物を移し替えるのに時間がかからない。
【0013】
ここで、請求項1に記載の詰め替え保存用容器は、前記蓋の外側端縁にネジ山が設けられていることが好ましい。このようにすることで、蓋に内容物を移し替える際、内容物がジャムのような粘着性が高い物であっても、ネジ山に内容物が付着することがないため、移し替え用の容器を別途用意する必要もなく、ネジ山に内容物が付着して蓋を容器に取り付けられないという問題点が解消する。
【0014】
また、請求項1に記載の詰め替え保存用容器は、前記容器本体の内壁と前記蓋の内壁とがずれることなく同一面上にあるように構成するのが好ましい。このようにすることで、内容物が蜂蜜のように粘着性も流動性も有する場合であっても、前記容器本体の内壁と前記蓋の内壁とがずれることなく同一面上にあるため、古い内容物が入った前記第2の蓋(又は前記第1の蓋)を上側に取り付けた後、しばらくそのままの状態で保持することによって、上側の前記第2の蓋(又は前記第1の蓋)に付着した状態の内容物が容器の内壁をつたって自然に流れ落ち、新しい内容物の上に堆積するので、古い内容物から使用することができる。
【0015】
なお、特許文献1に開示された技術は、底に固形化した蜂蜜を取り出すことを目的としているため、内容物の詰め替えを可能とする技術的思想を持ち合わせていない。したがって、本発明は、蓋を深さのあるコップ形状としている点やネジ山に内容物が付着しないように蓋の外側にネジ山を設けている点等において、特許文献1に開示された技術とは全く異なっている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、移し替え用の容器を別途用意する必要がなく、短時間で移し替えることが可能であり、内容物が付着して蓋を容器に取り付けられないという問題点を解消する、容器の内容物を詰め替える際に好適な詰め替え保存用容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る詰め替え保存用容器の一実施形態を示す立面視概略説明図である。
【図2】本発明に係る詰め替え保存用容器の他の実施形態を示す立面視概略説明図である。
【図3】従来例であって、家庭用蜂蜜保存ガラス瓶の使用状態を示す立面視概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は、例えば図1又は図2に示すような構成の詰め替え保存用容器1又は詰め替え保存用容器11に適用される。
【0019】
1.詰め替え保存用容器1
先ず、図1を参照して、詰め替え保存用容器1の構成について説明する。この詰め替え保存用容器1は、図1に示すように、一方に開口部を有するコップ形状の容器本体2と、一方に開口部を有するコップ形状の蓋3とを主要部として備えている。
【0020】
そして、容器本体2の内側端縁にネジ山が設けられており、蓋3の外側端縁にもネジ山が設けられている。この容器本体2の内側端縁に設けられたネジ山と蓋3の外側端縁に設けられたネジ山とが係合することによって、蓋3が容器本体2の開口部にネジ巻き式に着脱自在となっており、容器本体2の開口部に蓋3を取り付けた状態において、容器本体2の内壁6と蓋3の内壁7とがずれることなく同一面上にあるように構成されている。
【0021】
容器本体2は、例えば透明なガラスからなり、比較的厚みのあるコップ形状に加工されている。容器本体2の内側端縁は肉厚が薄くなっており、この内側端縁に蓋3のネジ山と係合するネジ山が設けられている。
【0022】
蓋3は、例えばプラスティックからなり、端縁部以外の肉厚は容器本体2の端縁部以外の肉厚と同一である。この蓋3は、外側端縁の肉厚が薄くなっており、容器本体2の内側端縁に設けられたネジ山にねじ込むことで取り付けられ、詰め替え保存用容器1が密閉される。蓋3をねじ戻すことで蓋3が取り外される。
【0023】
詰め替え保存用容器1は、内容物が僅かになったとき、容器を逆さまにして内容物を蓋3で受けた状態で蓋3を容器から取り外し、容器を元に戻して新たな内容物を入れ、その上から蓋3で受けた内容物を追加して、蓋3を開口部に取り付ける。
【0024】
この詰め替え保存用容器1によれば、蓋3の外側端縁にネジ山が設けられているため、蓋3に内容物を移し替える際、内容物がジャムのような粘着性が高い物であっても、ネジ山に内容物が付着することがないため、移し替え用の容器を別途用意する必要もなく、蓋を容器に取り付けられないという問題点が解消する。
【0025】
また、詰め替え保存用容器1によれば、容器本体2の開口部に蓋3を取り付けた状態において、容器本体2の内壁6と蓋3の内壁7とがずれることなく同一面上にあるため、容器を逆さまにしても内容物を付着させることなくスムースに蓋3へ移し替えることができる。
【0026】
2.詰め替え保存用容器11
次に、図2を参照して、詰め替え保存用容器11の構成について説明する。この詰め替え保存用容器11は、図2に示すように、両方に開口部を有する筒形状の容器本体12と、一方に開口部を有するコップ形状の蓋13aと、一方に開口部を有するコップ形状の蓋13bとを主要部として備えている。
【0027】
そして、容器本体12の両方の内側端縁に設けられたネジ山と蓋13a及び蓋13bの夫々の外側端縁に設けられたネジ山とが係合することによって、蓋13a及び蓋13bが容器本体12の両方の開口部にネジ巻き式に着脱自在となっており、容器本体12の両方の開口部に蓋13a及び蓋13bを取り付けた状態において、容器本体12の内壁16と蓋13aの内壁17aと蓋13bの内壁17bとがずれることなく同一面上にあるように構成されている。
【0028】
容器本体12は、例えば透明なガラスからなり、比較的厚みのある筒形状に加工されている。容器本体12の両方の内側端縁は肉厚が薄くなっており、この内側端縁に蓋13a及び蓋13bのネジ山と係合するネジ山が設けられている。
【0029】
蓋13a,bは、例えばプラスティックからなり、端縁部以外の肉厚は容器本体12の端縁部以外の肉厚と同一である。この蓋13a,bは、外側端縁の肉厚が薄くなっており、容器本体12の内側端縁に設けられたネジ山にねじ込むことで取り付けられ、両方の開口部に蓋13a,bが夫々取り付けられると詰め替え保存用容器12が密閉される。蓋13a,bをねじ戻すことで蓋13a,bが夫々取り外される。
【0030】
詰め替え保存用容器11は、詰め替え保存用容器1と同様に使用できるが、加えて、内容物が僅かになったとき、上側にある蓋13a(又は蓋13b)を開けて新たな内容物を追加し、容器を逆さまにすることで、古い内容物が上に来るようになり、上側にある蓋13b(又は蓋13a)を開くことにより、古い内容物から使用することができる。
【0031】
この使用態様の場合、内容物は、例えば、殻付きピーナッツのように、容器を元に戻したときに混ざり合わない程度の比較的大きな物が好適である。
【0032】
また、詰め替え保存用容器11によれば、僅かになった内容物が粉状物のように容器を逆さまにしたときに混ざり合う物である場合、古い内容物を下側にある蓋13b(又は蓋13a)に受けた状態で該蓋を取り外し、容器を逆さまにした状態で新しい内容物を入れ、取り外した蓋13b(又は蓋13a)にある古い内容物を追加した後、取り外した蓋13b(又は蓋13a)を上側に取り付けることができるため、古い内容物が上に来るようになり、上側にある蓋13b(又は蓋13a)を開けば、古い内容物から取り出すことができる。
【0033】
この使用態様の場合、内容物は、殻付きピーナッツ等の比較的大きな物に限らず、コーヒー豆等の粒状物,コーヒー豆を碾いたもの等の粉状物,ジャム等のゲル状物でもよく、特に限定されない。
【0034】
また、詰め替え保存用容器11によれば、内容物がジャムのような粘着性の高い物であった場合、古い内容物を下側にある蓋13b(又は蓋13a)に受けた状態で該蓋を取り外し、容器を逆さまにした状態で新しい内容物を追加し、取り外した蓋13b(又は蓋13a)を上側に取り付けることができるため、上側の蓋に付着した状態の古い内容物から使用することができ、内容物を移し替えるのに時間がかからない。
【0035】
ここで、内容物が粘着性の高い物であった場合、蜂蜜のように流動性を有することもあるが、このような場合、容器本体12の内壁16と蓋13aの内壁17aと蓋13bの内壁17bとがずれることなく同一面上にあるため、上側の蓋13b(又は13a)に付着した状態の内容物が重力によって、容器の内壁をつたって自然に流れ落ち、新しい内容物の上に堆積する。
【0036】
したがって、詰め替え保存用容器11によれば、内容物が粘着性も流動性も有する場合であっても、古い内容物を下側にある蓋13b(又は蓋13a)に受けた状態で該蓋を取り外し、容器を逆さまにした状態で新しい内容物を追加し、取り外した蓋13b(又は蓋13a)を上側に取り付けた後、しばらくそのままの状態で保持することによって、新しい内容物の上に堆積した古い内容物から使用することができる。勿論、内容物を詰め替える際に、下側にある蓋13b(又は蓋13a)に付着した古い内容物を使用してもよい。
【0037】
なお、本発明は前述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
1 詰め替え保存用容器、 2 容器本体、 3 蓋、 5 平面台、 6 内壁、 7 内壁、 11 詰め替え保存用容器、 12 容器本体、 13a 第1の蓋、 13b 第2の蓋、 15 平面台、 16 内壁、 17a,b 内壁、 101 筒形状ガラス瓶、 101a 第1の開口部、 101b 第2の開口部、 102a 第1の密閉式蓋部材、 102a' 第2の密閉式蓋部材、 103 蜂蜜、 104 床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両方に開口部を有する筒形状の容器本体と、
一方に開口部を有し、内容物の移し替え用に容器として併用できるように構成されたコップ形状の第1の蓋と、
一方に開口部を有し、内容物の移し替え用に容器として併用できるように構成されたコップ形状の第2の蓋とを備え、
前記第1の蓋及び前記第2の蓋が前記容器本体の両方の開口部に着脱自在となっていることを特徴とする詰め替え保存用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−106803(P2012−106803A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−51889(P2012−51889)
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【分割の表示】特願2009−142061(P2009−142061)の分割
【原出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(598085799)
【Fターム(参考)】