説明

誘導モータの回転子

【課題】誘導モータの回転子において、回転子の表面の抵抗を低下させることにより、誘導モータの熱損失の低減を図る。
【解決手段】中空内部3に磁界を形成する固定子2を有する誘導モータ1に用いられて固定子2の中空内部に回転自在に配置され、固定子2が形成する磁界からの磁力を受けて回転する誘導モータ1の回転子4であって、回転子4は一対の環状導体10、10と、これらの一対の環状導体間に連結された複数本の棒状導体11とでかご形状に形成され、環状導体10、10と棒状導体11は、導電性の芯導体12と、この芯導体12の外周に電気的接触状態で付着するカーボンナノチューブ構造体13とからなる複合材14で形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導モータに係り、固定子が発生する磁界の磁力を受けて電磁誘導により回転する誘導モータの回転子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2に開示されている誘導モータは、中空内部に回転磁界を発生させる固定子と、この固定子の中空内部に回転自在に配置され、固定子が発生した磁界の磁力を受けて回転する回転子とで主に構成されている。
【0003】
固定子は、内部に中空部を有する固定子鉄心と、この固定鉄心の内周部分に巻回された固定子コイルとで構成され、固定子コイルに電流を流すことで中空内部に磁界が形成される。
【0004】
回転子は、鉄心部分と、かご形の導体部分とが回転軸に一体に組み付けられて形成されている。かご形の導体部分は、一対の環状導体(エンドリング)と、これらの一対の環状導体間に連結された複数本の棒状導体(導体バー)とで形成されている。
【0005】
そして、固定子の中空内部に回転自在に回転子が配置され、固定子コイルに通電することで固定子コイルが発生した磁界が回転子にかかり、この磁界によって棒状導体に電流(渦電流)が発生し、棒状導体に発生した電流と固定子からの磁界によって回転子には電磁力が発生する。回転子に発生した電磁力によって回転子は回転運動を行う。この場合、誘導モータの起動時には、固定子が形成した磁界によって棒状導体に高周波電流が流れる。
【0006】
このような誘導モータは、永久磁石を用いた直流モータや同期モータと比較して、構造が簡単で堅牢に形成でき、複雑な制御を必要としないので、使いやすく、比較的安価で、一定速、可変速に対応できという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−165451号公報
【特許文献2】特開平10−32966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記したように、起動時に棒状導体に高周波電流が流れると、表皮効果により電流密度が棒状導体の表面で高くなり、高周波電流が表面側に集中するので表面側の小さな断面積中を高周波電流が流れることになる。このため、電気抵抗が大きくなり、この電気抵抗値の増大により熱が発生し、熱損失が発生する。この結果、誘導モータでは、入力電力に対して回転子の軸出力が熱損失により低下するので効率が悪いという課題がある。
【0009】
また、表皮効果により回転子の表面に集中した電流により熱が発生するため、この熱を外部に放出する必要から、誘導モータの外周には放熱フィンが必要となり、誘導モータが大型化するという課題がある。
【0010】
そこで、本発明は、誘導モータの回転子において、回転子の表面の電気抵抗を低下させることにより、誘導モータの熱損失の低減を図り、小型化することができる誘導モータの回転子の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、中空内部に回転磁界を発生させる固定子を有する誘導モータに用いられて固定子の中空内部に回転自在に配置され、固定子が発生した磁力を受けて回転する誘導モータの回転子であって、回転子は一対の環状導体と、これらの一対の環状導体間に連結された複数本の棒状導体とでかご形状に形成され、環状導体と棒状導体は導電性の芯導体と、この芯導体の外周に電気的接触状態で付着するカーボンナノチューブ構造体とからなる複合材で形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載の誘導モータの回転子であって、芯導体が銅製の棒体又はアルミニウム製の棒体で形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2記載の誘導モータの回転子であって、カーボンナノチューブ構造体は、カーボンナノチューブの表面、カーボンナノチューブの内部及びカーボンナノチューブ間にナノ金属粒子からなる導電体が付着されて金属との濡れ性を向上させる濡れ性向上処理が施されて編組状に形成され、芯導体の外周に付着した状態でカーボンナノチューブ構造体にアルミニウムが含浸又は圧粉成形されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項2記載の誘導モータの回転子であって、カーボンナノチューブ構造体は、カーボンナノチューブの表面、カーボンナノチューブの内部及びカーボンナノチューブ間にナノ金属粒子からなる導電体が付着されて金属とのぬれせいを向上させる濡れ性向上処理が施され、カーボンナノチューブ構造体にアルミニウムが含浸又は圧粉成形された状態で芯導体の外周に横巻き状態で付着していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、誘導モータの回転子の棒状導体を、芯導体の外周にカーボンナノチューブ構造体を電気的接触状態で付着させた複合材で形成することにより、誘導モータの起動時に棒状導体に高周波電流が流れて、表皮効果により電流密度が棒状導体の表面側に集中しても、カーボンナノチューブの優れた導電性により表面部分の電気抵抗が小さいので熱の発生が抑制され熱損失を小さくすることができ、これによって誘導モータにおいて入力電力に対する軸出力の低下を小さくすることができるので効率が向上する。
【0016】
また、回転子の発熱が抑制されるので、放熱フィンが不要になり、誘導モータの小型化を図ることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、誘導モータにおいて棒状導体として一般的に用いられている銅又はアルミニウムを芯導体として用い、カーボンナノチューブ構造体を外周に付着させたことにより芯導体の径が小さくなっても誘導モータの一定回転による使用時には、従来の誘導モータと同等の性能を得ることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、カーボンナノチューブの表面、カーボンナノチューブの内部及びカーボンナノチューブ間に導電体を付着させることにより、カーボンナノチューブ内に電子がより入りやすくなって高速で電子が流れるので導電性を向上させることができる。またカーボンナノチューブ間に導電体を付着させることにより一つのカーボンナノチューブから他のカーボンナノチューブへも電子が入りやすくなり、さらに高速で電子を流すことができるのでより導電性を向上させることができる。
【0019】
また、カーボンナノチューブ構造体を編組状に形成し、芯導体の外周に付着した状態でアルミニウムを含浸又は圧粉成形させることにより、カーボンナノチューブ構造体とアルミニウム、アルミニウムと芯導体との良好な電気的接触状態を得ることができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、請求項3の発明と同様に、カーボンナノチューブ内に電子がより入りやすくなって高速で電子が流れるので導電性を向上させることができ、一つのカーボンナノチューブから他のカーボンナノチューブへも電子が入りやすくなり、さらに高速で電子を流すことができるのでより導電性を向上させることができる。
【0021】
また、アルミニウムを含浸させることにより、カーボンナノチューブ構造体とアルミニウム、アルミニウムと芯導体との良好な電気的接触状態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】誘導モータを示し、(a)は断面図、(b)は回転子を示す斜視図、(c)は回転子のかごを示す斜視図である。
【図2】銅製の棒材の表面に紡糸カーボンナノチューブを編組状に付着させた複合材を示す斜視図である。
【図3】銅製の棒材の表面に紡糸カーボンナノチューブを付着させ、アルミニウムを含浸させた複合材を示し、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図4】カーボンナノチューブに導電体(ナノ金属粒子)を付着させた状態を示す説明図である。
【図5】銅製の棒材の表面に紡糸カーボンナノチューブを横巻状に付着させた複合材を示す斜視図である。
【図6】銅製の棒材の表面に、アルミニウムを含浸させた紡糸カーボンナノチューブを付着させた複合材を示し、(a)はカーボンナノチューブにアルミニウムを含浸させた複合材を示す斜視図、(b)は銅製の棒材を示す斜視図、(c)は銅製の棒材を複合材の中空内部に圧入させた状態を示す斜視図である。
【図7】銅製の棒材と、銅製の棒材の表面にカーボンナノチューブを付着させた複合材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る誘導モータの回転子の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1(a)に示すように、誘導モータ1は、回転磁界を発生させる固定子2と、この固定子2の中空内部3内に回転自在に配置され、固定子が発生した回転磁界による電磁力を受けて回転する回転子4とで形成されている。
【0025】
固定子2は、円柱状の内部に中空部5を有する固定子鉄心6と、この固定子鉄心6の内周部分に巻回された固定子コイル(不図示)とで構成され、固定子コイルに電流を流すことにより中空内部3に磁界が形成される。この磁界からの磁力により回転子4に高周波の誘導電流が流れ、誘導電流と固定子2が発生する磁界とで回転力が発生し回転子4が中空内部3内で回転する。
【0026】
回転子4は、図1(b)に示すように鉄心部分7と、かご形の導体部分8とが回転軸(出力軸)9に一体に組み付けられて形成されている。かご形の導体部分8は、図1(c)に示すように一対の環状導体(以下「エンドリング」という)10、10と、これらの一対のエンドリング10、10間に連結された複数本の棒状導体(以下「導体バー」という)11とで形成されている。
【0027】
そして、本実施形態のエンドリング10、10及び導体バー11は、図2及び図3に示すように、導電性の芯導体12と、この芯導体12の外周に電気的接触状態で付着しカーボンナノチューブ(以下「CNT」と略称する)15からなるカーボンナノチューブ構造体13とからなる複合材14で形成されている。
【0028】
芯導体12は、銅製の棒体で形成された銅コア材又はアルミニウム製の棒体で形成されたアルミコア材で形成され、いずれの材質においても導電率が高く、電流密度耐性が高く、高熱伝導性に優れた材料で形成されている。本実施形態の例では、銅製の棒体からなる銅コア材で形成されている。この銅コア材の外周に、編組状に形成されたCNT15からなるカーボンナノチューブ構造体13が付着され、この状態でアルミニウムが含浸されている。
【0029】
ここで、CNT15は、6個の炭素が結びついた六角形の形態が、さらに他の六角形と結合された状態で円筒状に形成された構造体で、これらの複数のCNT15から繊維CNTが形成され、複数の繊維CNTの集合体から、絡み合った繊維CNTを伸ばして揃えて、これに撚りを加えて均一な一定の太さの糸状にすることで紡糸CNTが形成される。本実施形態では、繊維CNT、繊維CNTの集合体、紡糸CNTをCNT構造体13という。
【0030】
また、CNT15は、CNT15間の結合力が弱く、CNT15同士の接触抵抗が大きいので、本実施形態の複合材14では、CNT15の表面、CNT15の内部及び、CNT15間に金属ナノ粒子(導電体)をナノスケールで付着させることにより、いわゆる濡れ性を向上させる濡れ性向上処理が施されている。
【0031】
この濡れ性向上処理の方法としては、既に出願されている特表2009−535294に記載された「炭素と非炭素との組織化されたアセンブリー、及びその製造方法」の技術を用いて図4に示すようにCNT15の表面、CNT15の内部、CNT15間に金属ナノ粒子からなる非炭素物質(Fe、Si、Co、Cr、Mn、Mo、Nb、Ta、Th、Ti、U、V、Y、Zr)を付着させる。CNT15の表面、CNT15の内部、CNT15間に金属ナノ粒子を付着させることにより、CNT15同士が金属ナノ粒子18によって強い結合(共有結合)になると推定され、金属ナノ粒子18間の低抵抗化が図れるので、CNT15間が低抵抗となる。すなわち、CNT15の内部を通り、金属ナノ粒子18を通って隣接するCNT15に電子が移動する場合、CNT15間が低抵抗なのでCNT間の導電性が高くなる。従って、CNT15間にバインダとしての金属ナノ粒子18を付着させることによって単位CNT間の結合力が強化し電気的な接触抵抗を小さくすることによりCNT15間の高い導電性が得られる。
【0032】
また、CNT15の表面に付着した金属ナノ粒子は、電子が金属ナノ粒子を通って、CNT15の内部を通過し易くなり、さらにCNT15の内部に付着した金属ナノ粒子によって電子がより流れ易くなることで高い導電性が得られる。
【0033】
このようなCNT15から形成した繊維CNTの集合体から絡み合った繊維CNTを伸ばして揃えて、これに撚りを加えて均一な一定の太さの糸状に形成した紡糸CNTを銅コア材の表面(外周)に編組状に付着させている。
【0034】
芯導体12である銅コア材の外周に編組状のCNT構造体13が付着した状態で、CNT構造体13にアルミニウム16が含浸されている。CNT構造体13を形成する紡糸CNTにアルミニウム16を含浸させるには、真空加圧含浸法によって紡糸CNTにアルミニウム16を含浸させる。この場合、既に出願されている特開2001−107203号公報に記載されている「複合材料及びその製造方法」の技術、特開2002−59257号公報に記載されている「複合材料」の技術、特開2002−194515号公報に記載されている「複合材料及びその製造方法」の技術を用いて、紡糸CNT(CNT構造体13)にアルミニウム16を含浸させることができる。
【0035】
これにより、芯導体12とCNT構造体13からなる複合材14が形成され、この複合材14によって、誘導モータ1のエンドリング10及び導体バー11が形成されている。
【0036】
<変形例1>
上記実施形態では、銅コア材からなる芯導体12の外周にCNT構造体13を編組状に付着させて編組を形成したのに対して、本変形例1では、図5に示すように、銅コア材からなる芯導体12の外周にCNT構造体13を横巻状に付着させている。このように銅コア材からなる芯導体12の外周にCNT構造体13を横巻状に付着させた状態で、上記実施形態と同様に、真空加圧含浸法によりアルミニウム16を含浸させる。
【0037】
<変形例2>
上記実施形態では、芯導体12の外周にCNT構造体13を付着させて、次ぎにアルミニウム16を含浸させているのに対して、本変形例2では、CNT15に上記実施形態と同様の濡れ性向上処理を施した状態で、CNT15の繊維の集合体に上記実施形態と同様の真空加圧含浸法によりアルミニウム16を含浸させた複合材17を、図6(a)に示すように円筒状(チューブ状)に成形し、このCNT繊維の集合体にアルミニウム16が含浸された円筒状の複合材17の内部に、図6(b)に示す銅コア材からなる芯導体12を、図6(c)に示すように圧入することで芯導体12と複合材17とからなる複合材14を形成する。
【0038】
なお、上記の変形例2では、芯導体12を、アルミニウム16が含浸された筒状のCNT構造体13の複合材17の内部に圧入したが、スウェージングにより筒状の複合材17の内部を絞ることで銅コア材の表面に、アルミニウム16が含浸された筒状のCNT構造体13の複合材17の内面を密着接触させても良い。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の誘導モータ1によれば、導電性の芯導体12と、この芯導体12の外周に電気的接触状態で付着するCNT構造体13とからなる複合材14で、エンドリング10、10及び導体バー11を形成することにより、電磁誘導により発生する高周波電流がエンドリング10、10及び導体バー11の表面に流れても、表面側には高い導電率を有するCNT15からなるCNT構造体13が付着されているので、抵抗を低減することができる。
【0040】
また、表面の電気抵抗を低減することができるので、表皮効果によって高周波電流が表面側に集中しても発熱量が少ないので、熱損失が低減される。加えて、発熱量を低減することができ放熱性が良好なので、誘導モータにおいて従来必要とされていた放熱用のフィンを小型化あるいは無くすことが可能となるので、誘導モータの小型化が可能となり、例えば車載用に用いた場合には、搭載必要スペースを低減することができる。さらに、小型化にすることで軽量化も図ることができるので、車載用とした場合には車両の重量軽減に寄与することができる。
【0041】
さらに、CNT構造体13は、他の導電体(アルミニウムや銅)と比較して軽いので、銅コア材を用いた場合、導体バー11やエンドリング10の必要径が同じならば、外周に付着するCNT構造体13の分だけ銅コア材の径を小さくすることができるので、誘導モータ全体の重さを軽減することができる。また、図7に示すように、従来必要な径L1の大きさに設定されていた銅コア材19によるエンドリング10及び導体バー11と同等の導電率を有する本実施形態の複合材14で形成する場合、その径L2を小さくすることができる。
【0042】
また、熱損失が低減されるので、入力電力に対する軸出力の低減を小さくすることができ、効率の良い誘導モータとすることができる。
【0043】
従って、小型、軽量で効率の良い誘導モータを実現することができる。
【0044】
また、上記実施形態において、濡れ性向上処理をCNT構造体13に施すことにより、導電率を向上することができ、より電気抵抗を低減することができるので、表皮効果により高周波電流が回転子の表面側に集中してもエンドリング10や導体バー11からの発熱をより低減することができ、熱による損失を大幅に低減することができるので、誘導モータとしての効率が向上する。
【0045】
さらに、CNT構造体13にアルミニウム16を真空加圧含浸法により含浸させることにより、CNT構造体13と銅コア材との電気的接触を飛躍的に向上させることができ、これによっても電気抵抗を低減して導電率の良い複合材とすることができる。
【0046】
なお、以上の実施形態では、CNT構造体13を円筒状に形成しているが、円筒状以外の筒状に形成しても良い。
【0047】
また、上記各実施形態では、CNT構造体13に銅またはアルミニウム及びその合金等の導電性の金属を加圧により含浸させた例を示したが、圧粉成形によりCNT15に銅またはアルミニウム及びその合金等の導電性の金属を混ぜ合わせて圧粉体としても良い。
【0048】
また、上記各実施形態では、芯導体12が銅製の棒体からなる銅コア材で形成され、CNT15に導電性の金属としてアルミニウムを含浸又は圧粉成形させた例を示し、導電性の金属コア材の周囲に導電性の金属を含浸又は圧粉成形させた例をしたが、導電性の金属を含浸又は圧粉成形させたCNT構造体13の周囲に導電性の金属を配置しても良い。
【0049】
以下に、芯導体12とCNT構造体13との組合せを示す。
【0050】
(1)中心部の導電性のコア材の周囲に導電性の金属が付着したCNT構造体を配置する場合の組合せは、
芯導体12 CNT構造体
(a)銅コア材 アルミニウムが付着(上記実施形態及び変形例)
(b)アルミニウムのコア材 銅が付着
(c)銅コア材 銅が付着
(d)アルミニウムのコア材 アルミニウムが付着

(2)中心部に金属が付着したCNT構造体を配置しその周囲に導電性の金属(芯導体)を被せる場合の組合せ
CNT構造体 芯導体(外周導体)
(a)アルミニウムが付着 銅材
(b)銅が付着 銅材
(c)アルミニウムが付着 アルミニウム
(d)銅が付着 アルミニウム
上記の組合せの中で、(2)−(a)、(b)は、銅が付着した芯導体(外周導体)が外周にあるので、腐食の軽減を図ることができる。
【0051】
また、(1)−(b)、(c)の場合でも、銅が付着したCNT構造体が外周にあるので、腐食の軽減を図ることができる。
【符号の説明】
【0052】
1 誘導モータ
2 固定子
3 中空内部
4 回転子
10 環状導体(エンドリング)
11 棒状導体(導体バー)
13 カーボンナノチューブ(CNT)構造体
14 複合材
15 カーボンナノチューブ(CNT)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空内部に磁界を形成する固定子を有する誘導モータに用いられて前記固定子の中空内部に回転自在に配置され、前記固定子が形成する磁界からの磁力を受けて回転する誘導モータの回転子であって、
前記回転子は一対の環状導体と、これらの一対の環状導体間に連結された複数本の棒状導体とでかご形状に形成され、前記環状導体と前記棒状導体は、導電性の芯導体と、この芯導体の外周に電気的接触状態で付着するカーボンナノチューブ構造体とからなる複合材で形成されていることを特徴とする誘導モータの回転子。
【請求項2】
請求項1記載の誘導モータの回転子であって、
前記芯導体が銅製の棒体又はアルミニウム製の棒体で形成されていることを特徴とする誘導モータの回転子。
【請求項3】
請求項2記載の誘導モータの回転子であって、
前記カーボンナノチューブ構造体は、複数のカーボンナノチューブの集合体で形成され、前記カーボンナノチューブの表面、カーボンナノチューブの内部、及びカーボンナノチューブ間にナノ金属粒子からなる導電体が付着されて芯導体の濡れ性を向上させる濡れ性向上処理が施されて編組状に形成され、前記芯導体の外周に付着した状態でアルミニウムが含浸又は圧粉成形されていることを特徴とする誘導モータの回転子。
【請求項4】
請求項2記載の誘導モータの回転子であって、
前記カーボンナノチューブ構造体は、複数のカーボンナノチューブの集合体で形成され、前記カーボンナノチューブの表面、カーボンナノチューブの内部、及びカーボンナノチューブ間にナノ金属粒子からなる導電体が付着されて芯導体の濡れ性を向上させる濡れ性向上処理が施され、アルミニウムが含浸又は圧粉成形された状態で前記芯導体の外周に横巻き状態で付着していることを特徴とする誘導モータの回転子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−10583(P2012−10583A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116988(P2011−116988)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】