説明

誘導加熱装置

【課題】 少ないスペースで回生電流を効果的に抑制でき、損失を低減できる誘導加熱装置を提供する。
【解決手段】複数の加熱手段である誘導コイル3A,3Bを交互に通電する誘導加熱装置21において、一方の加熱手段である例えば誘導コイル3Aを通電中に、他方の加熱手段である非通電の誘導コイル3Bを例えばスイッチ36で短絡する。通電する一方の誘導コイル3Aと定着ローラ2との磁気的結合により、非通電の他方の誘導コイル3Bに起電力が発生するが、ここで他方の誘導コイル3Bを短絡すれば、この他方の誘導コイル3Bに電流が流れることにより、一方の誘導コイル3Aに対する磁気的な負荷が増大して、回生電流が抑制される。そしてこれは、一方の誘導コイル3Bが通電し、他方の誘電コイル3Aが通電していない時にも、同じことがいえる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置などに適用される誘導加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の誘導加熱装置は、例えば特許文献1などに開示されるように、加熱手段に電流を流すことで、定着体を加熱する構成となっており、定着体の温度変化が得られるようになっている。しかし、定着体が温度変化すると、定着体や誘導加熱装置に悪影響を及ぼす懸念を生じる。
【0003】
また、駆動源により定着体を可動させることで、定着体の所定部を加熱することができるが、定着体を可動させずに誘導加熱を行なうと、加熱手段で定着体を局部的にしか過熱できず、この場合も定着体に悪影響を及ぼす懸念を生じる。
【0004】
一方、複数の加熱手段を切替えて定着体を加熱させるものが、例えば特許文献2などに開示される。このような構成の誘導加熱装置において、図9は、従来の加熱手段からスイッチング手段に流れる電流ICとの波形図を示しているが、所定状態で、そのスイッチング手段をオンすると、図9に示すようなスイッチング手段の回生電流Irが発生する。
【0005】
この回生電流Irは、ある程度は抑制することが可能であるが、今度は図10に示すように、スイッチング手段に短絡電流Isが発生し、これがスイッチング手段の損失となる。
【0006】
以上の観点から、何らかの方法で、回生電流Irおよび短絡電流Isの何れも抑制することが可能であるが、その場合は大きなスペースを占有することになる。
【0007】
また、定着体に対して複数の加熱手段を配置した誘導加熱装置では、図11に示すように、入力を整流するために、多数の整流手段101A〜101Dを備え、手段105Aの動作により、加熱手段106Aを含む共振回路108Aに、電流が供給されるようになっている。
【0008】
そして、従来は例えば入力が発生すると、整流回路102を構成する複数の整流手段101A,101Cを通して電流が供給される(図11の電流経路Iを参照)。しかし、複数の整流手段101A,101Cまたは整流手段101B,101Dを電流が通過することになり、その分損失が増加するという問題があった。
【0009】
一方、この種の誘導加熱装置は、誘導加熱を行なう加熱手段を含む共振手段への入力を検知して、その検知結果に基づき、制御手段がスイッチング手段の周波数を変化させて、入力の制御を行なうようになっている。この共振手段への電流は、周波数が所定周波数以下になると、スイッチング手段に短絡電流が流れる不具合を生じる。これを防止するには共振手段の電流を検知して、周波数が所定周波数以下にならないような制御を行なう必要があるが、回路構成が複雑になる懸念を生じていた。
【0010】
また別な方法として、共振手段から予め周波数を求め、制御手段によりスイッチング手段の周波数が所定周波数以下にならないように、当該周波数の可変範囲に制限を設けることが考えられる。しかし、共振手段にはバラツキがあり、その周波数が変動するため、周波数の可変範囲は、バラツキに合せて設計されなければならない。そのため、周波数でスイッチング手段を動作させざるを得なくなる問題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−145887号公報
【特許文献2】特開2004−214081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記問題点に鑑み、少ないスペースで回生電流を効果的に抑制でき、損失を低減できる誘導加熱装置を提供することにある。
【0013】
また本発明の別な目的は、少ない損失で複数の加熱手段にそれぞれ電流を供給できる誘導加熱装置を提供することにある。
【0014】
また本発明の別な目的は、複雑な構成とすることなく、共振手段の周波数を正しく予測することが可能な誘導加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の請求項1に係る誘導加熱装置は、複数の加熱手段を各々通電する誘導加熱装置において、一方の前記加熱手段を通電中に、他方の非通電の前記加熱手段を短絡する構成としたことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項2に係る誘導加熱装置は、複数の加熱手段をそれぞれ通電する誘導加熱装置において、入力を整流して、第1の加熱手段と第2の加熱手段に各々電流を供給する第1の整流手段と第2の整流手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項3に係る誘導加熱装置は、誘導加熱を行なう加熱手段を含む共振手段と、前記共振手段に電流を供給するスイッチング手段と、前記共振手段への入力を検知する検知手段と、前記検知手段からの検知出力に基づき、前記スイッチング手段の周波数を変化させて前記加熱手段に流す電流を制御する制御手段とを備えた誘導加熱装置において、前記制御手段は、加熱手段への通電を行なう時に前記入力が所定値以下となる周波数で前記スイッチング手段を動作させた場合に、前記検知手段からの検知出力により所定の前記周波数を設定するものであることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項4に係る誘導加熱装置は、前記請求項3において、前記加熱手段への通電を行なう時には、前記共振手段の所定周波数以上の周波数で前記スイッチング手段を動作させる構成としたものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、他方の加熱手段を短絡すれば、当該他方の加熱手段に電流が流れることにより、回生電流が抑制される。そのため、少ないスペースで非通電の加熱手段を短絡するだけで回生電流を抑制でき、損失を低減できる。
【0020】
請求項2の発明によれば、入力が発生すると、第1の整流手段を通して第1の加熱手段に電流が供給され、第2の整流手段を通して第2の加熱手段に電流が供給される。このように、1個の整流手段を通して複数の加熱手段の電流が供給されることになり、少ない損失で複数の加熱手段にそれぞれ電流を供給できる。
【0021】
請求項3の発明によれば、加熱手段への通電を行なう時に、共振手段への入力が所定値以下となる周波数で前記スイッチング手段を動作させた場合に、実際の入力がどの程度であるのかを検知すれば、複雑な構成を採用することなく、共振手段における周波数を正しく予測できる。そして、この予測した周波数以下にならないように、スイッチング手段を動作させる所定の周波数を設定することで、スイッチング手段にとって安全な周波数領域で、出力可能な制御を行なうことができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、加熱手段への通電を行なう時においても、共振手段のバラツキを考慮した所定周波数以上の周波数でスイッチング手段を動作させるので、加熱手段への通電を行なう時にスイッチング手段を安全な周波数領域で動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施例における誘導加熱装置のブロック構成図である。
【図2】本発明の第2実施例における誘導加熱装置のブロック構成図である。
【図3】本発明の第3実施例における誘導加熱装置の回路図である。
【図4】同上、従来例(改善前)と第3実施例(改善後)における各部の波形図を示している。
【図5】本発明の第4実施例における誘導加熱装置の回路図である。
【図6】本発明の第5実施例における誘導加熱装置のブロック構成図である。
【図7】同上、共振回路の周波数に対するインピーダンス変化を示した特性図である。
【図8】同上、各スイッチング素子のスイッチングに伴うインバータ電流の経時的変化を示す波形図である。
【図9】従来のスイッチング素子であるIGBTのコレクタ・エミッタ間電圧と、誘導コイルからスイッチング素子のコレクタに流れる電流との関係を示す波形図である。
【図10】従来のスイッチング素子であるIGBTのコレクタ・エミッタ間電圧と、誘導コイルからスイッチング素子のコレクタに流れる電流との関係を示す別な波形図である。
【図11】従来の誘導加熱装置の電気的構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明における誘導加熱装置の好ましい各実施例を説明する。なお、各実施例において、共通する箇所には共通する符号を付し、共通する部分の説明については重複を避けるため極力省略する。
【0025】
図1は、本発明の第1実施例における誘導加熱装置の電気的構成を示すもので、同図において、1は加熱対象となる定着ローラ2を負荷とした誘導加熱装置で、後述する誘導加熱装置2の各部は、電源Eからの交流電力を受けて動作するようになっている。また3は、前記定着ローラ2を電磁誘導加熱する誘導コイルで、この誘導コイル3と発振回路4とによる直列回路が、前記電源Eの両端間に接続される。前記定着ローラ2は、誘導コイル3に近接して設けられ、当該誘導コイル3からの交番磁界を受けて発熱する磁性部材で構成される。また、発振回路4の内部には図示しないスイッチング素子が設けられ、後述するマイクロコンピュータ5からの制御信号であるPWM信号を受けて、このスイッチング素子がスイッチング動作することにより、誘導コイル3に高周波電流が供給され、当該誘導コイル3から定着ローラ2に交番磁界が発生するようになっている。
【0026】
6は、例えば図示しない複写機本体に取付けられた定着ローラ2の温度を検知し、電気的な温度信号に変換して出力する温度検知手段である。また7は、誘導コイル3から定着ローラ2への加熱出力を設定して、その設定信号を出力する出力設定手段であり、これは例えば一乃至複数のスイッチなどで構成される。
【0027】
マイクロコンピュータ5は、誘導加熱装置1の各部を制御する制御手段として設けられ、ここでは温度検知手段6からの温度信号と、出力設定手段7からの設定信号とに基づいて、発振回路4にPWM(パルス幅制御)信号を供給し、誘導コイル3の発熱量を含めた動作全般を制御するようになっている。
【0028】
次に、上記構成についてその作用を説明すると、出力設定手段7により誘導コイル3から定着ローラ2への加熱出力を設定し、その設定した加熱出力に見合う設定信号が出力設定手段7からマイクロコンピュータ5に出力されると、この設定信号に基づく一定周期のパルス幅導通幅のPWM信号が発振回路4に出力され、誘導コイル3に高周波電流が供給される。これにより、誘導コイル3と定着ローラ2との間に磁束が発生し、その磁束線が定着ローラ2を通るときに、当該定着ローラ2に渦電流が発生する。この渦電流は、定着ローラ2の電気抵抗によって熱に変わり、定着ローラ2が設定した加熱出力で加熱される。
【0029】
このとき、温度検知手段6は定着ローラ2の表面温度を検知し、その温度信号をマイクロコンピュータ5にフードバック出力する。マイクロコンピュータ5は、温度検知手段6からの温度信号を受けて、定着ローラ2の表面温度上昇の傾きを算出する異常温度監視を行ない、一定時間における温度上昇が所定値以上であったら、異常温度状態であると判断して、発振回路4へのPWM信号の送出を停止する。これにより、例えばユーザが出力設定手段7で最高加熱出力を設定する最高出力ボタンと、最低加熱出力を設定する最低出力ボタンとを間違って操作したり、外来ノイズで最高出力ボタンが不意に押された場合など、出力設定手段7が誤って操作された場合であっても、マイクロコンピュータ5が温度検知手段6からの温度信号により、異常温度状態の発生時に発振回路4の緊急停止を行なわせるため、定着ローラ2が急激に温度上昇することに伴い、定着ローラ2や誘導加熱装置1に悪影響を及ぼす懸念を一掃することができる。
【0030】
以上のように、この第1実施例では、定着体である定着ローラ2が急激に温度上昇した場合に、当該定着ローラ2や誘導加熱装置1に悪影響を及ぼさないようにするために、誘導コイル3で電磁誘導加熱される定着ローラ2の温度変化量を算出して、当該定着ローラ2における異常温度の監視を行ない、異常温度状態の時に定着ローラ2への加熱を停止させる制御手段としてのマイクロコンピュータ5を、誘導加熱装置1に備えている。
【0031】
この場合、定着ローラ2が温度変化を起こし、定着ローラ2の温度変化量が一定値以上になって、温度変化状態が異常になると、これを異常温度状態であるとマイクロコンピュータ5が判断して、定着ローラ2への加熱を緊急に停止させる。こうしたマイクロコンピュータ5の温度制御によって、定着ローラ2が温度変化して急激に温度上昇した場合でも、定着ローラ2や誘導加熱装置1に悪影響を及ぼさないようにすることができる。
【0032】
なお、第1実施例では定着ローラ2や出力設定手段7を備えた複写機に対し、誘導加熱装置1を組み込む構成となっているが、誘導加熱装置1が定着ローラ2や出力設定手段7を備えたユニット構成であってもよく、この誘導加熱装置1が複写機に組み込まれる構成であっても構わない。また、温度検知手段6は定着ローラ2の温度が検知できるものならば、どのような形態のものであっても構わない。
【0033】
図2は、本発明の第2実施例における誘導加熱装置11の電気的構成を示している。同図において、ここでの誘導加熱装置11は、加熱対象となる定着ローラ2を負荷として、電源Eからの交流電力を全波整流するために、4個のダイオード12A〜12Dをブリッジ接続してなる整流回路13と、この整流回路13からの脈動電流を平滑するために、チョークコイル14と平滑コンデンサ15とにより構成される平滑回路16と、前記誘導コイル3と共振コンデンサ17との並列回路により構成される共振回路18と、ここでは図示しないマイクロコンピュータ5からのPWM信号を受けてスイッチング動作され、前記平滑回路16で平滑した直流電圧を共振回路18に断続的に印加する発振回路4のスイッチング素子19と、電源Eから整流回路13への電力の供給を可能または不可能に切替える切替手段としてのリレー20と、を備えて構成される。このリレー20は、電源Eと整流回路13との間の電力供給ラインに挿入接続される開閉スイッチ21と、この開閉スイッチ21と対をなすコイル22とにより構成され、コイル22に供給する電流の通断電に応じて、開閉スイッチ21がオンまたはオフするようになっている。
【0034】
23は、定着ローラ2を可動すなわち回転させる駆動源としてのモータである。このモータ23には、誘導コイル3に高周波電流が供給され、定着ローラ2が発熱している時に、当該定着ローラ2を回転させる駆動信号が、図示しない複写機のモータ制御手段から与えられる。また24は、モータ23の動作状態すなわちモータ23が回転している否かを検知する検知手段であり、これはモータ23が回転しているときに前記コイル22に電流を供給するもので、この電流供給を受けてリレー20の開閉スイッチ21がオン(閉)状態となり、電源Eから誘導加熱装置11に電力供給が可能になるように構成している。
【0035】
次に、上記構成について、その作用を説明する。定着ローラ2を加熱する場合には、マイクロコンピュータ5からのPWM信号がスイッチング素子19に与えられると共に、図示しないモータ制御手段から、定着ローラ2を回転させるための駆動信号がモータ23に与えられる。これにより、モータ23が回転し、それに連動する定着ローラ2も回転すると、検知手段24はリレー20のコイル22に電流を供給し、開閉スイッチ21がオンして、電源Eと整流回路13が電気的に接続する。そのため、電源Eからの交流電力が整流回路13および平滑回路16によって整流平滑され、この平滑回路16からの電流が、スイッチング素子19のスイッチング動作に伴い、共振回路18に断続的に供給されることで、誘導コイル3から交番磁界が発生して定着ローラ2が電磁誘導加熱される。
【0036】
一方、モータ23が停止し、定着ローラ2も停止している時には、モータ23の回転を検知する検知手段24が、リレー20のコイル22に電流を供給せず、開閉スイッチ21はオフ(開)状態となって、電源Eと整流回路13との間が切り離される。そのため、電源Eから誘導加熱装置11への交流電力の供給が遮断され、誘導コイル3から定着ローラ2への電磁誘導加熱が不可能になる。このように、モータ23ひいては定着ローラ2の回転を監視して、モータ23が動作していないときには定着ローラ2を加熱させない構成とすることで、定着ローラ2が局部的に加熱され、当該定着ローラ2に悪影響を及ぼす懸念を一掃できる。
【0037】
以上のように、この第2実施例では、定着ローラ2を可動させる駆動源としてのモータ23と、モータ23の動作状態を検知する検知手段24とを備え、モータ23が動作していない時に、定着ローラ2を加熱させない構成としている。
【0038】
この場合、モータ23が動作していなければ、それに連動する定着ローラ2も停止していると判断して、定着ローラ2への加熱を行なわないようにする。こうした定着ローラ2の可動監視によって、定着ローラ2が可動していない場合に局部的に加熱されるのを未然に防止して、当該定着ローラ2に悪影響を及ぼさないようにすることができる。
【0039】
なお、この例では、モータ23が回転していない時に、リレー20を用いて電源Eからの電力供給を遮断する構成を採用したが、例えば検知手段24の検知出力をマイクロコンピュータ5が受けて、モータ23が回転していない場合には、スイッチング素子19へのPWM信号を出力しないように構成しても、同様の作用効果を得ることができる。
【0040】
図3は、本発明の第3実施例における誘導加熱装置21の電気的構成を示している。同図において、ここでの誘導加熱装置21は、電源Eからの交流電力を全波整流するために、4個のダイオード12A〜12Dをブリッジ接続してなる整流回路13と、この整流回路13からの脈動電流を平滑するために、チョークコイル14と平滑コンデンサ15とにより構成される平滑回路16とを備えた点は、第2実施例と共通しているが、加熱対象となる定着ローラ2に対して、第1の加熱手段である加熱回路32と第2の加熱手段である加熱回路33とを、平滑回路16の出力側に並列に接続した点で、第2実施例と異なる。
【0041】
第1の加熱回路32は、誘導コイル3Aと共振コンデンサ17Aとの並列回路により構成される共振回路18Aと、マイクロコンピュータ(図示せず)5からのPWM信号を受けてスイッチング動作され、前記平滑回路16で平滑した直流電圧を共振回路18Aに断続的に印加する第1の発振回路4Aのスイッチング素子19Aと、により構成される。また、第1の加熱回路32と同様に第2の加熱回路33も、誘導コイル3Bと共振コンデンサ17Bとの並列回路により構成される共振回路18Bと、マイクロコンピュータ(図示せず)5からのPWM信号を受けてスイッチング動作され、前記平滑回路16で平滑した直流電圧を共振回路18Bに断続的に印加する第2の発振回路4Bのスイッチング素子19Bと、により構成される。つまり、この第3実施例では、共振回路18と発振回路19との直列回路が複数設けられており、第1の加熱回路32を構成する誘導コイル3Aが円筒状の定着ローラ2の中央部に対向配置され、第2の加熱回路33を構成する誘導コイル3Bが円筒状の定着ローラ2の両側部に対向配置される。なお、ここでは第1の加熱回路32と第3の加熱回路33の2つについて開示したが、それ以上の数の加熱回路が存在しても構わない。
【0042】
35は、マイクロコンピュータ5からのPWM信号を、スイッチング素子19A,19Bのいずれか一方に切替えて供給するための制御信号切替手段たるスイッチで、このスイッチ35は、マイクロコンピュータ5から適切なタイミングで与えられる切替信号に基づき動作するようになっている。また36は、共振回路18Aの誘導コイル3Aまたは共振回路18Bの誘導コイル3Bの何れかを選択的に短絡する短絡切替手段たるスイッチで、このスイッチ36も前記マイクロコンピュータ5からの切替信号により動作するようになっており、具体的には、スイッチング素子19AにPWM信号が供給されるように、スイッチ35に切替信号が与えられ、それにより一方の誘導コイル3Aが通電し、他方の誘導コイル3Bが通電していないときには、当該通電していない誘導コイル3Bの両端間が、同じ切替信号によって動作するスイッチ36によって短絡され、逆にスイッチング素子19BにPWM信号が供給されるように、スイッチ35に切替信号が与えられ、それにより一方の誘導コイル3Bが通電し、他方の誘導コイル3Aが通電していないときには、当該通電していない誘導コイル3Aの両端間がスイッチ36によって短絡される。
【0043】
37A,37Bは、IGBT素子からなる各スイッチング素子19A,19Bのコレクタ・エミッタ間に逆並列接続されるダイオードで、スイッチング素子19Aとダイオード37Aとの並列回路により第1の発振回路4Aを構成し、スイッチング素子19Bとダイオード37Bとの並列回路により第2の発振回路4Bを構成している。なお、ここでも定着ローラ2は、図示しないモータ23からの駆動力により回転するようになっている。
【0044】
次に、上記構成についてその作用を説明すると、電源2からの交流電力が整流回路13および平滑回路16によって整流平滑され、この平滑回路16によって得られた直流電圧が、第1の加熱回路32と第2の加熱回路33にそれぞれ印加される。ここでマイクロコンピュータ5は、設定した出力電力に応じたパルス導通幅のPWM信号を出力すると共に、スイッチ35を適切なタイミングで繰り返し切替えるような切替信号を、当該スイッチ35に供給する。そのため、第1の加熱回路32を構成するスイッチング素子19AにPWM信号が供給されるように、スイッチ35が切替えられている間は、平滑回路16からの電流が共振回路18Aに断続的に供給される一方、別な共振回路18Bには平滑回路16からの電流が供給されず、誘導コイル3Aから交番磁界が発生して、定着ローラ2の主に中央部が加熱される。また、第2の加熱回路32を構成するスイッチング素子19BにPWM信号が供給されるように、スイッチ35が切替えられている間は、平滑回路16からの電流が共振回路18Bに断続的に供給される一方、別な共振回路18Aには平滑回路16からの電流が供給されず、誘導コイル3Bから交番磁界が発生して、定着ローラ2の主に端部が加熱される。そして、このようなスイッチ35の切替動作を繰り返すことにより、回転する定着ローラ2の中央部と端部が交互に加熱される。
【0045】
また、ここではスイッチ35と同期して別なスイッチ36も切替動作を繰り返し、マイクロコンピュータ5からスイッチング素子19AへのPWM信号により、一方の誘導コイル3Aが通電している間は、他方の通電していない誘導コイル3Bがスイッチ36により短絡され、マイクロコンピュータ5からスイッチング素子19BへのPWM信号により、一方の誘導コイル3Bが通電している間は、他方の通電していない誘導コイル3Aがスイッチ36により短絡される。
【0046】
ここで、例えば誘導コイル3Bが通電状態にあるとすると、当該誘導コイル3Bによる磁束が、磁性体である定着ローラ2を通過することにより、誘導コイル3Aと定着ローラ2があたかもトランスのように作用して、通電していない誘導コイル3Aに起電力を発生させる。このとき、スイッチ36により誘導コイル3Aの両端間を短絡すると、誘導コイル3Aに電流が流れることとなり、誘導コイル3Bにとっての磁気的な負荷が増大して、誘導コイル3Bの電気振動の振幅が小さくなる。その結果、従来のような回生電流は発生しない。これは、誘導コイル3Aが通電状態のときに、通電していない誘導コイル3Bを短絡した場合にも同じ効果が得られ、結果的に、スイッチング素子19A,19Bによる損失や雑音の発生を低減できる。
【0047】
図4は、前記従来例(改善前)と第3実施例(改善後)における各部の波形を比較して示している。改善前の波形図は前記図9と同じものであり、また改善後の波形図は、例えばスイッチング素子19Aのコレクタ・エミッタ間電圧VCEと、誘導コイル3Aからスイッチング素子19Aのコレクタに流れる電流ICとの関係を示している。この波形図からも明らかなように、回生電流Irは電流I’の分だけ抑制されていることがわかる。
【0048】
以上のように、この第3実施例では、複数の加熱手段である誘導コイル3A,3Bを交互に通電する誘導加熱装置21において、一方の加熱手段である例えば誘導コイル3Aを通電中に、他方の加熱手段である非通電の誘導コイル3Bを例えばスイッチ36で短絡する構成となっている。
【0049】
この場合、通電する一方の誘導コイル3Aと定着ローラ2との磁気的結合により、非通電の他方の誘導コイル3Bに起電力が発生するが、ここで他方の誘導コイル3Bを短絡すれば、この他方の誘導コイル3Bに電流が流れることにより、一方の誘導コイル3Aに対する磁気的な負荷が増大して、回生電流が抑制される。そしてこれは、一方の誘導コイル3Bが通電し、他方の誘電コイル3Aが通電していない時にも、同じことがいえる。そのため、少ないスペースで非通電の誘導コイル3Aまたは誘導コイル3Bの何れかを短絡するだけで、回生電流を抑制でき、スイッチング素子19A,19Bの損失や雑音の発生を低減できる。
【0050】
図5は、本発明の第4実施例における誘導加熱装置41の電気的構成を示している。同図において、誘導加熱装置41は、第3実施例で説明したような第1の共振回路18Aと第2の共振回路18Bを備え、分割した誘導コイル3A,3Bにて、加熱対象である定着ローラ(図示せず)を加熱する構成となっている。またここでは、一方の共振回路18Aに関連して、電源Eからの交流電力を半波整流する1個のダイオード42Aからなる整流回路13Aと、この整流回路13Aからの脈動電流を平滑するために、チョークコイル14Aと平滑コンデンサ15Aとからなる平滑回路16Aとを備え、平滑回路16Aの出力側両端間に、前記共振回路18Aとスイッチング素子19Aとの直列回路が接続されると共に、他方の共振回路18Bに関連して、電源Eからの交流電力を半波整流する1個のダイオード42Bからなる整流回路13Bと、この整流回路13Bからの脈動電流を平滑するために、チョークコイル14Bと平滑コンデンサ15Bとからなる平滑回路16Bとを備え、平滑回路16Bの出力側両端間に、前記共振回路18Bとスイッチング素子19Bとの直列回路が接続される。このように、第4実施例では、第1の誘導コイル3Aと第二の誘導コイル3Bのそれぞれに、半波整流用の整流回路13A,13Bをそれぞれ備えている点が注目される。その他の構成は、上述した第3実施例と共通している。
【0051】
本実施例では、電源Eの一側(図では電源Eの上側)から正の入力電力が発生する期間において、整流回路13Aを構成するダイオード42Aは導通する一方、別な整流回路13Bを構成するダイオード42Bは非導通となり、単独のダイオード42Aを通して、平滑回路16Aに電力が供給される(図5の電流経路Iを参照)。また、電源Eの他側(図では電源Eの下側)から正の入力電力が発生する期間になると、ダイオード42Bは導通する一方、別なダイオード42Aは非導通となり、単独のダイオード42Bを通して、平滑回路16Bに電力が供給される。そのため、各々誘導コイル3A,3Bについて、電流が通過するダイオード42A,42Bは1個で済み、ダイオード1個分の損失を低減することが可能になる。なお、その他の共振回路18A,18Bの動作に関しては、第3実施例と共通であるので、ここでの説明は省略する。
【0052】
以上のように、この第4実施例では、複数の加熱手段であって、第1の加熱手段である誘導コイル3Aおよび第2の加熱手段である誘導コイル3Bをそれぞれ通電する誘導加熱装置41において、電源Eから供給される入力すなわち交流入力電力の正負のそれぞれを半波整流して、誘導コイル3A,3Bに各々電流を供給する何れも単独の第1の整流手段たる第1のダイオード42Aと、第2の整流手段たる第2のダイオード42Bを備えている。
【0053】
こうすると、正の入力電力が発生すると、一方のダイオード42Aを通して、それに繋がる誘導コイル3Aに電流が供給され、負の入力電力が発生すると、他方のダイオード42Bを通して、それに繋がる誘導コイル3Bに電流が供給される。このように、電源Eから発生する入力電力が正負何れの場合であっても、1個のダイオード42A,42Bを通して、複数の誘導コイル3A,3Bの電流が供給されることになり、少ない損失で誘導コイル3A,3Bにそれぞれ電流を供給できる。
【0054】
図6は、本発明の第5実施例における誘導加熱装置51の電気的構成を示している。同図において、誘導加熱装置51は、図示しない定着ローラ2を発熱させる主回路として、電源Eからの交流電力を整流平滑する直流整流回路52と、何れもIGBTなどからなる2個のスイッチング素子53A,53Bにより構成されるハーフブリッジ方式のインバータ54と、ここでは前記誘導コイル3と共振コンデンサ17との直列回路からなる共振回路55と、をそれぞれ備えている。また、各スイッチング素子53A,53Bのコレクタ・エミッタ間には、ダイオード56A,56Bが逆並列接続される。直流整流回路52は、例えば第2実施例で示した整流回路13や平滑回路16によって構成される。なお、インバータ54と共振回路55の回路構成については、これに限定されるものではない。
【0055】
61は、共振回路55への入力電圧を検知する入力電圧検知手段であり、また62は、共振回路55への入力電流を検知する入力電圧検知手段である。また63は、入力電力検知手段64とスイッチング素子53A,53Bの駆動手段65とを内蔵した制御手段としての誘導加熱制御回路で、これは前述のマイクロコンピュータ5を含んでいる。入力電力検知手段64は、入力電圧検知手段61と入力電圧検知手段62からの各検知出力を受けて、共振回路55への入力電力を算出するものである。66は、前記出力設定手段7に相当する信号入力手段であり、これは誘導加熱制御回路63を任意の電力で動作させるために、目標となる入力電力の設定値を誘導加熱制御回路63に送出するものである。
【0056】
前記駆動手段65は、スイッチング素子53A,53Bを交互にオン,オフする制御信号を、それぞれのスイッチング素子53A,53Bに供給するが、ここでは入力電力検知手段64で算出検知された入力電力が、信号入力手段66からの設定値に近づくように、スイッチング素子53A,53Bに供給する制御信号の周波数を変化させて、誘導コイル3に流す電流を制御するようになっている。
【0057】
図7は、共振回路55の周波数に対するインピーダンス変化を示した特性図である。共振回路55に供給する電流の周波数、すなわちスイッチング素子53A,53Bのスイッチング周波数が、共振周波数foに一致すると、共振回路55のインピーダンスは最小となり、当該スイッチング周波数が共振周波数foよりも高ければ、共振回路55は誘導性となる一方、スイッチング周波数が共振周波数foよりも低ければ、共振回路55は容量性となる。
【0058】
図8は、スイッチング素子53A,53Bのスイッチングに伴うインバータ54への電流(インバータ電流Iinv)の変化を経時的に示したものである。この図に示すように、スイッチング素子53A,53Bは、誘導加熱制御回路63から供給されるパルス状の各制御信号によって、双方がオフになるデッドタイム期間を有しながら、交互にオン・オフを繰り返すようになっており、これによりインバータ54から共振回路55に、スイッチング素子53A,53Bのスイッチング周波数に同期した正弦波状のインバータ電流Iinvが供給される。
【0059】
次に、上記構成についてその作用を説明する。電源Eからの交流電力は、直流整流平滑回路52にて直流に整流平滑され、インバータ54に印加される。ここで誘導加熱制御回路63は、信号入力手段66から入力された情報によって、当該信号入力手段66から目標となる入力電力(目標電力)が指示されると共に、入力電圧検知手段61と入力電流検知手段62からの各検知出力に基づいて、入力電圧と入力電流の情報を取り込み、内蔵する入力電力検知手段64によって、これらの入力電圧と入力電圧を積算することで、実際の入力電力を得る。そして誘導加熱制御回路63に含まれる駆動手段65は、入力電力検知手段64で算出した入力電力が目標電力となるように、スイッチング素子53A,53Bのスイッチング周波数を変化させて、インバータ電流Iinvの増減を行なう。
【0060】
ここで図7に示すように、共振回路55に与えるインバータ電流Iinvの周波数が共振周波数fo以下になると、共振回路55は容量性となり、スイッチング素子53A,53Bに短絡電流が流れて悪影響を及ぼす懸念があることから、インバータ電流Iinvの周波数ひいてはスイッチング素子53A,53Bのスイッチング周波数は、共振周波数fo以上になるようにする必要がある。また、インバータ54が動作し始める加熱開始時には、インバータ54や共振回路55への突入電流を低くする必要があることから、駆動手段55は、共振周波数foから離れた高いスイッチング周波数でスイッチング素子53A,53Bひいてはインバータ54を動作させ始める。このとき、共振回路55のインピーダンスは高くなることから、加熱開始時における入力電力は低く、そこから目標の入力電力となるように、スイッチング素子53A,53Bのスイッチング周波数を変化させるが、好ましくは、加熱開始時において、入力電力が誘導加熱装置51の定格状態での最大電力の80%以下となるスイッチング周波数で、スイッチング素子53A,53Bを動作させる。これにより、共振回路55への入力電力が最大となる共振周波数foに対し、十分高い周波数でスイッチング素子53A,53Bをスイッチング動作させることができる。
【0061】
ところで、図7に示す共振回路55のインピーダンスと周波数との関係は、共振回路55を構成する回路素子、具体的には誘導コイル3と共振コンデンサ17の組み合わせで変化するが、通常の製造バラツキの範囲では、誘導コイル3のリアクタンスと共振コンデンサ17の静電容量との組み合わせにより、図7に示すインピーダンス−周波数の関係を相似に保ちながら、共振周波数foが製品毎に異なるようになる。ここで、定着ローラ2に対する加熱電力とスイッチング周波数との関係は、共振回路55のインピーダンスとスイッチング周波数との関係とほぼ等しくなる。
【0062】
つまり、加熱電力と周波数の関係は、個々の共振回路55で使用される誘導コイル3のリアクタンスと共振コンデンサ17の静電容量により一定の関係になることから、駆動手段65は、共振回路55の各回路素子の電気的特性によるバラツキ範囲の組み合わせで最大となる共振周波数を予め記憶し、インバータ54に制御信号を供給し始める加熱開始時に、前記記憶した最大となる共振周波数よりも高いスイッチング周波数でスイッチング素子53A,53Bを動作させ、その周波数での入力電力を入力電力検知手段64で検知することにより、個々の製品毎に共振周波数foを予測できる。この予測した共振周波数foは駆動手段65に記憶され、以後、駆動手段65は、予測した共振周波数fo以下にならないようにインバータ54の動作周波数の下限設定値を設定し、この下限設定値を最低のスイッチング周波数として、それ以上のスイッチング周波数でスイッチング素子53A,53Bを動作させ、定着ローラ2に対する加熱制御を続行する。これにより、スイッチング素子53A,53Bにとって安全な周波数領域で、目標となる入力電力に対して出力可能な最大の電力で制御を行なうことが可能になる。
【0063】
以上のように、この第5実施例では、誘導加熱を行なう加熱手段たる誘導コイル3を含む共振手段としての共振回路55と、共振回路55に電流を断続的に供給するスイッチング手段たるスイッチング素子53A,53Bを含むインバータ54と、共振回路55への入力電力を検知する検知手段としての入力電力検知手段64と、入力電力検知手段64からの検知出力に基づき、スイッチング素子53A,53Bのスイッチング周波数を変化させて誘導コイル3に流す電流を制御する制御手段しての誘導加熱制御回路63とを備えた誘導加熱装置において、誘導加熱制御回路63は、加熱開始時に前記入力電力が、好ましくは定格状態での最大電力の80%の所定値以下となるスイッチング周波数でスイッチング素子53A,53Bを動作させたときに、入力電力検知手段64からの検知出力によりやや低めで、好ましくは所定すなわち最低のスイッチング周波数を設定するように構成している。
【0064】
この場合、誘導コイル3が加熱を行なう電力とスイッチング周波数との関係は、個々の共振回路55毎に一定の関係になることから、誘導コイル3への通電を行なう通電開始時に、共振回路55への入力電力が所定値以下となるスイッチング周波数でスイッチング素子53A,53Bを動作させたときに、実際の入力電力がどの程度であるのかを検知すれば、複雑な構成を採用することなく、個々の共振回路55における共振周波数foを正しく予測できる。そして、この予測した共振周波数fo以下にならないように、スイッチング素子53A,53Bを動作させる最低のスイッチング周波数を設定することで、スイッチング素子53A,53Bにとって安全な周波数領域で、目標電力に対して出力可能な最大な電力で制御を行なうことができる。
【0065】
またここでは、加熱開始時に、共振回路55の各素子のバラツキを考慮した最大の共振周波数以上のスイッチング周波数で、スイッチング素子53A,53Bを動作させるように、誘導加熱制御回路63を構成している。つまり、加熱開始時においても、共振回路55のバラツキを考慮した最大共振周波数以上のスイッチング周波数でスイッチング素子53A,53Bを動作させるので、加熱開始時にスイッチング素子53A,53Bを安全な周波数領域で動作させることができる。
【0066】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、上述した各実施例の特徴をそれぞれ組み合わせた構成であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
3A,3B 誘導コイル(加熱手段)
42A 第1のダイオード(第1の整流手段)
42B 第2のダイオード(第2の整流手段)
53A,53B スイッチング素子(スイッチング手段)
55 共振回路(共振手段)
63 誘導加熱制御回路(制御手段)
64 入力電力検知手段(検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の加熱手段を各々通電する誘導加熱装置において、
一方の前記加熱手段を通電中に、他方の非通電の前記加熱手段を短絡する構成としたことを特徴とする誘導加熱装置。
【請求項2】
複数の加熱手段をそれぞれ通電する誘導加熱装置において、
入力を整流して、第1の加熱手段と第2の加熱手段に各々電流を供給する第1の整流手段と第2の整流手段を備えたことを特徴とする誘導加熱装置。
【請求項3】
誘導加熱を行なう加熱手段を含む共振手段と、
前記共振手段に電流を供給するスイッチング手段と、
前記共振手段への入力を検知する検知手段と、
前記検知手段からの検知出力に基づき、前記スイッチング手段の周波数を変化させて前記加熱手段に流す電流を制御する制御手段とを備えた誘導加熱装置において、
前記制御手段は、加熱手段への通電を行なう時に前記入力が所定値以下となる周波数で前記スイッチング手段を動作させた場合に、前記検知手段からの検知出力によりやや低めの前記周波数を設定するものであることを特徴とする誘導加熱装置。
【請求項4】
前記加熱手段への通電を行なう時には、前記共振手段の所定周波数以上の周波数で前記スイッチング手段を動作させる構成としたことを特徴とする請求項3記載の誘導加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−160478(P2012−160478A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−106807(P2012−106807)
【出願日】平成24年5月8日(2012.5.8)
【分割の表示】特願2011−193183(P2011−193183)の分割
【原出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(390010168)東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Fターム(参考)】