説明

誘導灯

【課題】火災発生時において、一酸化炭素濃度の低い場合と、高い場合との双方において避難者の安全のための動作をする誘導灯の提供を目的とする。
【解決手段】誘導灯101は、表示板25と、表示板25を発光させるLEDモジュール21と、一酸化炭素ガスの濃度を検出する一酸化炭素検知部14と、スピーカを有すると共に、一酸化炭素ガスの発生を知らせる第1音声データを記憶し、第1音声データの出力を指令する第1指令信号に従って、第1音声データをスピーカから出力する誘導音声発生部15と、一酸化炭素検知部14によって検出された一酸化炭素ガス濃度が400ppmを超えた場合には誘導音声発生部15に第1指令信号を送信し、検出された一酸化炭素ガス濃度が800ppmを超えた場合にはLEDモジュール21を消灯する制御部13とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は誘導灯に関する。
【背景技術】
【0002】
煙感知器を具備した装置に関する技術がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−161873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の誘導灯は、一酸化炭素の濃度の低い場合と、高い場合との双方において避難者のための安全動作を行うことはなかった。
【0005】
本発明は、火災避難時に、それ自体が無色透明で人体に有毒な一酸化炭素対策として、一酸化炭素の濃度の低い場合と、高い場合との双方において避難者の安全のための動作をする誘導灯の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の誘導灯は、
避難誘導を示す所定の表示を有する誘導灯用パネルと、
前記誘導灯用パネルを発光させる光源と、
一酸化炭素ガスの濃度を検出する検出部と、
スピーカを有すると共に、一酸化炭素ガスの発生を知らせる第1の音声データを記憶し、前記第1の音声データの出力を指令する第1指令信号に従って、前記第1の音声データを前記スピーカから出力する音声発生部と、
前記検出部によって検出された一酸化炭素ガスの濃度が予め設定された第1の閾値を超えた場合には前記音声発生部に前記第1指令信号を送信し、前記検出部によって検出された一酸化炭素ガスの濃度が前記第1の閾値よりも高濃度の第2の閾値を超えた場合には前記光源を消灯する制御部と
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の誘導灯は、一酸化炭素の濃度の低い場合と、高い場合との双方において避難者の安全のための動作をするので、避難者を一酸化炭素中毒から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1の誘導灯101の外観を示す斜視図。
【図2】実施の形態1の誘導灯101のブロック図。
【図3】実施の形態1の表示部20の斜視図。
【図4】実施の形態1の表示部20の構成を示す図。
【図5】実施の形態1の誘導101において、一酸化炭素の検知濃度による動作を示す表。
【図6】実施の形態1の誘導灯102の斜視図。
【図7】実施の形態1の誘導灯103の斜視図。
【図8】実施の形態1の誘導灯104の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の誘導灯101の外観を示す斜視図である。誘導灯101は、誘導音の発生機能と、非常時に点滅灯(キセノン管等)を点滅する点滅機能と、さらに、一酸化炭素検知部を内蔵し、一酸化炭素検知機能をも有する。図1において、誘導灯101の正面には、表示板25の左側に、誘導音を発生するスピーカ41と、一酸化炭素を吸い込む一酸化炭素摂取用の摂取用穴31が配置されている。また、誘導灯101の下側には点滅灯42が配置されている。
【0010】
図2は、誘導灯101の構成を示すブロック図である。誘導灯101は、器具本体10と、器具本体10に取り付けられる表示部20とを備える。なお表示部20の詳細は、図3、図4に示した。
【0011】
図2に示すように、器具本体10は、電源変換部11、バッテリ12、制御部13、一酸化炭素検知部14(検出部)、誘導音発生部15、点灯ユニット16を備える。
(1)電源変換部11は、商用交流電源7を直流電源に変換する。
(2)バッテリ12は、電源変換部11の電力で充電される。
(3)制御部13は、バッテリ12または商用交流電源7の電力によって動作し、一酸化炭素検知部14、誘導音発生部15及び点灯ユニット16を制御する。
(4)一酸化炭素検知部14は、バッテリ12または商用交流電源7の電力によって動作して、一酸化炭素の濃度を検知する。
(5)誘導音発生部15は複数の種類の音声データを記憶しており、バッテリ12または商用交流電源7の電力によって動作する。
(6)点灯ユニット16は、バッテリ12または商用交流電源7の電力によって動作し、LEDモジュール21、点滅灯42を点灯させる。
【0012】
一酸化炭素検知部14は、一酸化炭素ガスの濃度の監視を行い、一定の濃度以上で制御部13に発報する。一酸化炭素検知部14が発報する動作濃度は、例えば、米国連邦労働安全衛生局(OSHA)の推奨最高限度値である400ppmに設定されている。本実施の形態1の誘導灯101は、一酸化炭素の検知濃度が400ppmを超えた場合と、800ppmmを超えた場合との双方の場合に、異なる動作を実行する。なお前記の400ppmの値は、低濃度で発報し注意を促すためである。
【0013】
表示部20は、避難誘導を示す所定の表示を有する表示板25(誘導灯用パネル)と、表示板25を照射して発光させる光源であるLEDモジュール21とを備える。誘導灯101は導光板方式である。
図3は、表示部20の斜視図である。
図4は、表示部20の構成を示す断面図である。図4に示すように、表示部20は、LEDモジュール21と、表示板25と、光学シート26と、導光板27と、反射シート28と、表示板ケース29とを備える。表示板ケース29には、LEDモジュール21及び表示板25〜反射シート28が取り付けられる。また、LEDモジュール21は、複数のLED22、これらのLEDが配置される基板23、電源用のコネクタ24などを備えている。
【0014】
次に、誘導灯101の動作を説明する。
【0015】
建物内で火災が発生すると、火災により発生した一酸化炭素は温められて生じる上昇気流により、居室内の天井付近の高い位置から徐々に居室内全体に充満していく。火災が発生すると信号装置(図示していない)から火災発生の信号が送信される。この信号を契機として、誘導灯101は点滅灯42を点滅させ、また、誘導音声案内を誘導音発生部15からスピーカ41を介して発生する。
【0016】
一酸化炭素が居室内の高い位置に充満してきたとき、誘導灯101の摂取用穴31に一酸化炭素が入り込み、器具本体10内部に備えられた一酸化炭素検知部14が一酸化炭素の濃度を検出する。この検知結果は制御部13に送信される。
【0017】
一酸化炭素検知部14による一酸化炭素の濃度が400ppm(第1の閾値)を超えると制御部13は、誘導音発生部15と点灯ユニット16とに制御信号を送信することにより、避難音声案内(第2の音声データ)と点滅灯42の点滅とを停止させ、新たな音声警告として、「危険、危険、こちらは毒性ガスが発生しています。」などの音声(第1の音声データ)を誘導音発生部15に出力させて、避難者に通知する。つまり誘導音発生部15の場合、制御部13から上記の制御信号(第1指令信号)を受信すると、避難音声案内から一酸化炭素ガスの発生を知らせる音声の出力に切り替える。
【0018】
また、一酸化炭素検知部14は、一酸化炭素の検知濃度がさらに高い例えば、800ppm(第2の閾値)を超えると、検知濃度が800ppmを超えたことを制御部13に通知する。制御部13は、この信号を受信すると、点灯ユニット16を制御することにより、表示板25を発光させているLEDモジュール21のLEDを消灯させる。また、同時に、制御部13は、誘導音発生部15に制御信号(第3指令信号)を送信することにより、「危険な濃度の一酸化炭素が充満しています。他の避難口へ避難してください。」等の危険濃度の一酸化炭素の発生を知らせる音声(第3の音声データ)を誘導音発生部15に出力させる。このように、一酸化炭素の濃度が危険濃度(800ppm以上)に達しているときに、避難誘導を停止するとともに、危険濃度に達していることを報知することで、一酸化炭素中毒を防止できる。
【0019】
このように、居室内の天井などの高い位置に取り付けられる誘導灯101に、一酸化炭素検知機能を備えたので、室内の上部に一酸化炭素が充満しつつあることを避難者に音声で通知できる。また、400ppm、800ppmという2段階で避難者に通知するので、安全性を向上できる。
【0020】
図5は、一酸化炭素の検知濃度が400ppm、800ppmを超えた際の、誘導灯101の動作を示す表である。図5の方式1は、上記の説明した内容である。誘導灯101の動作は方式1に限定されない。例えば、方式2でもよい。方式2は、方式1に対して、800ppmを超える場合に、一酸化炭素発生に関する警告音声を発生せず、表示板25の発光のみを停止する方式である。また、方式3でもよい。方式3は、方式2に対して、火災発生時に、避難誘導音声を出力しない点が異なる。
【0021】
図6〜図8は、一酸化炭素の検知用穴(摂取用穴31)の配置のバリエーションを示す図である。図6の誘導灯102は、一酸化炭素の検知用穴(摂取用穴31)を、誘導灯下面(設置時に居室の床に対向する面)に配置したものであり、図1の誘導灯101よりも一酸化炭素を摂取しやすい。図7の誘導灯103は、一酸化炭素の検知用穴(摂取用穴31)を、正面と下面の2箇所に配置した。これは、図1と図6の場合を併せた構成である。摂取用穴31を正面と下面との両方に設けたので一酸化炭素ガスが流れやすくなり、よって、さらに一酸化炭素を検出しやすくなる。図8の誘導灯104は、一酸化炭素検知部14を器具から突出させた構造の外観斜視図である。一酸化炭素検知部14を外部に突出させたため、一酸化炭素を検出しやすくなる。
【符号の説明】
【0022】
10 器具本体、11 電源変換部、12 バッテリ、13 制御部、14 一酸化炭素検知部、15 誘導音発生部、16 点灯ユニット、20 表示部、21 LEDモジュール、22 LED、23 基板、24 コネクタ、25 表示板、26 光学シート、27 導光板、28 反射シート、29 表示板ケース、31,32 摂取用穴、41 スピーカ、42 点滅灯、101〜104 誘導灯。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
避難誘導を示す所定の表示を有する誘導灯用パネルと、
前記誘導灯用パネルを発光させる光源と、
一酸化炭素ガスの濃度を検出する検出部と、
スピーカを有すると共に、一酸化炭素ガスの発生を知らせる第1の音声データを記憶し、前記第1の音声データの出力を指令する第1指令信号に従って、前記第1の音声データを前記スピーカから出力する音声発生部と、
前記検出部によって検出された一酸化炭素ガスの濃度が予め設定された第1の閾値を超えた場合には前記音声発生部に前記第1指令信号を送信し、前記検出部によって検出された一酸化炭素ガスの濃度が前記第1の閾値よりも高濃度の第2の閾値を超えた場合には前記光源を消灯する制御部と
を備えたことを特徴とする誘導灯。
【請求項2】
前記音声発生部は、
避難誘導のための第2の音声データを記憶すると共に所定の信号装置から火災の発生を通知する火災発生信号を受信すると前記第2の音声データを前記スピーカから出力し、前記第2の音声データを出力中に前記制御部から前記第1指令信号を受信すると前記第2の音声データから前記第1の音声データの出力に切り替えることを特徴とする請求項1記載の誘導灯。
【請求項3】
前記音声発生部は、
危険濃度の一酸化炭素ガスの発生を知らせる第3の音声データを記憶し、前記第3の音声データの出力を指令する第3指令信号に従って、前記第3の音声データを前記スピーカから出力し、
前記制御部は、
前記検出部によって検出された一酸化炭素ガスの濃度が前記第2の閾値を超えた場合には、前記音声発生部に前記第3指令信号を出力することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の誘導灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−43074(P2012−43074A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182058(P2010−182058)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】