説明

誘導表示装置

【課題】大規模自走式駐車場において、車両を円滑に空き駐車スペースのある駐車スペース列まで誘導する表示装置を経済的に提供する。
【解決手段】駐車スペース1に車両センサ6を設置し、複数の駐車スペース1からなる駐車スペース列2と、二つの駐車スペース列からなる駐車スペースブロック3それぞれの空、満表示を遠方から識別できるような表示装置を駐車ブロック端部7に設置すると共に、駐車スペースブロック案内図を駐車場入口に設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走式駐車場の駐車空きスペースへの到達を容易にする誘導表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自走式駐車場は、車両が走行する車路の両側に複数の駐車スペースが配置されており、運転者が車路を走行しながら空き駐車スペースを探して駐車するようになっている。
【0003】
大規模な駐車場においては、幹線車路から枝分かれした車路の両側に駐車スペースを配置した、二つの駐車スペース列で構成される島状の駐車スペースブロックを多数配置する構造となっている。また車路は交通事故の危険性を低減させるため一方通行となっていることが一般的である。
【0004】
このような大規模な自走式駐車場では、運転者が円滑に駐車するためには、運転者に何処に空き駐車スペースがあるのか認知させる必要がある。
【0005】
この方法の一つとして、ある区域について区域内に空車スペースがあるか、その区域が満車であるかを表示したものがある。ところがある区域内に空きスペースがあると表示された場合でも、どの駐車スペース列に空きスペースがあるか判らず、運転者は幹線車路4を低速での一旦停止を繰り返しながら空きスペースを探さざるを得ず、必ずしも円滑に駐車を行うことが出来なかった。
【0006】
そこで、特許文献1の駐車場誘導装置では、車両に車載無線機を搭載する一方、駐車場の車路に沿って複数の駐車場無線機を設置すると共に、各駐車スペースに表示灯を設置しておき、車両からの無線で空車状態の駐車スペースを決定し、表示灯を点灯させることで車両を誘導するようにしている。ところが、無線で空車状態の駐車スペースに誘導する場合には、駐車場に複数の無線機を設置する必要があると共に、各車両に無線機を搭載する必要があり、不特定多数の車両が利用する駐車場に適用することが出来ない。
【0007】
また、特許文献2の駐車表示装置では、各駐車スペースに投光器を設置すると共に、この投光器の光で発光する発光体を車路側に埋設しておき、在車状態では、駐車している車両で投光器からの光がさえぎられるようにし、車路の入口で発光状態の発光体があるかどうかによって空車状態の駐車スペースの具体的な位置まで知ることが出来るようにしている。ところが、車路に埋設した発光体で空車状態の駐車スペースを表示する場合には、駐車場の入口など空車状態の駐車スペースから離れた場所から表示を見ることが出来ず、少なくとも車路の入口付近まで行く必要があり、満車状態の場合には、駐車場の車路を走行して発行している発光体を探し回らなければならないという問題がある。また、発光体を車路に埋設して走行の邪魔にならないようにする必要があり、設置コストがかかるという問題もある。
【0008】
また、特許文献3の表示装置では、各駐車スペースに在車、空車を検出する在車検出センサを設け、この在車検出センサの検出結果を表示する在車、空車表示灯を四箇所の駐車スペース中央に一基設置した支柱に上に駐車スペースの車両より高い位置に設け、駐車スペースに対応する表示灯を空車,在車の状況に合わせ点灯表示するようにしている。ところが、駐車スペースに対応した表示灯を点灯させるためには四箇所の駐車スペースに一基の表示装置が必要であり、大規模駐車場では多数の表示装置が林立することとなるほか表示灯も駐車スペースと同数が点灯することとなって、運転者が空き駐車スペースの位置とそこに至る経路をイメージするには煩雑なシステムとなっている。また設置コストも大きいという問題もある。
【0009】
また、特許文献4の表示装置では、駐車スペース毎に設置した車両センサの空、満情報を、駐車スペース毎あるいは隣接する複数の駐車スペースをまとめた表示器を車両走行通路に一列に配置し、走行通路入口から一瞥によって視認させ、どの駐車スペースが利用可能か認識させるようにしている。また、走行通路交差点部に、この走行通路に沿った駐車スペースに空きスペースがあれば空きの、満車であれば満の表示をする表示器を取り付け、どの走行通路に入れば駐車可能かを表示する表示器を、駐車場入口から駐車スペースに至る各交差点に設けて、交差点でどちらに行けば空駐車スペースに到着できるかを可能にしている。
しかしながら上記発明では、駐車スペース毎あるいは隣接する複数の駐車スペースをまとめた空満表示器を走行通路に設置する必要があるが、走行通路に沿った駐車スペースに空きスペースがあるとの情報が運転者に与えられておれば、運転者は一方交通の当該走路を走りながら、何らストレスを感じず空きスペースを発見し、円滑に駐車することが可能である。よって上記発明の、駐車スペース毎あるいは隣接する複数の駐車スペースをまとめた空満表示器の必要性は低く、経済的にも設置コストが大きいという問題がある。
また、走行通路交差点に設ける表示器についても、屋内駐車場の天井に設置する場合は別として、屋外駐車場では設置することが困難という問題がある。
【0010】
また特許文献5の駐車場管制装置では、駐車センサによって空き駐車スペースを検出し、車両センサによって車両位置を検出し、方向案内装置によって車両位置から空き駐車スペースまでの進行方向、距離を表示させるとしているが、車両検出装置が必要で設置コストが大きいことや、走行通路に多数の車両が存在した場合の表示をどうする課などの問題がある。
【特許文献1】特開2003−6795号公報
【特許文献2】特開2000−265699号公報
【特許文献3】特開2005−264434号公報
【特許文献4】特開平9−35194号公報
【特許文献5】特開平5−298598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこでこの発明は、大規模自走式駐車場において、運転手を円滑に空き駐車スペースのある駐車スペース列まで誘導する表示装置を経済的に提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、この発明では、駐車スペースに設置した在車,空車を検出する在車検出センサを設け、2つの駐車スペース列からなる駐車スペースブロックを一つの表示単位として、駐車スペースブロックの空、満と駐車スペース列の空、満を一組の表示装置で表示することとした。
【0013】
表示装置は幹線走路から枝分かれして駐車スペース列間の走路に入る、駐車スペースブロック端部に、駐車車両より高い支柱の頭部に設置し、駐車場入口からも容易に視認できるようにした。
【0014】
表示装置の表示は、中央に駐車スペースブロックの空、満を表示し、両側にそれぞれの駐
車スペース列の空、満を表示するようにして、一目で駐車スペースブロックの空、満と、空車スペースがある場合にはどちらの駐車スペース列に空車スペースがあるか判別できるようにした。
【0015】
また大規模な駐車場では、駐車場入口に駐車スペースブロックの空、満を駐車場概略図である駐車スペースブロック案内図に表示し空車スペースのある駐車スペースブロックへの行程の概念を運転者に与えるようにしてもよい。
【0016】
以上の表示装置により、運転者は駐車場入口で駐車場の何処の駐車スペースブロックに空車スペースがあるのか認識でき、空き駐車スペースブロックが面する幹線走路に入ってからはどの走路に入れば空き駐車スペース列を利用できるか容易に認識できる。これにより運転者は駐車スペース列間の走路を徐行し自ら空き駐車スペースを見つけて円滑に駐車することが出来る。
【0017】
駐車スペースブロックの比較的少ない駐車場では表示装置を支柱上に取り付けず路面に行灯のように置いても良い.
【0018】
屋内駐車場の場合には、走路を隔てて向かい合う二つの駐車スペース列を表示単位とする表示装置を走路上の天井に取り付ける。
【0019】
この場合には、交差する走路のどちらからでも視認できるように、取り付け角度、表示内容に配慮する。
【0020】
在車センサと表示装置、駐車スペースブロック案内図間の通信は内蔵した無線装置で行うほか、有線で行ってよい。
【発明の効果】
【0021】
駐車スペースブロックとそれを構成する駐車スペース列の空、満を遠方の駐車場入口から認識できるようにしたので、運転者は容易に空きのある駐車スペース列に到達でき円滑な駐車が可能となる装置を経済的に提供できるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつこの発明の実施の形態を説明する。
【0023】
図1に自走式駐車場の例を示す。
駐車スペース、駐車スペース列、駐車スペースブロックの構成を示している。
幹線走路4を走行する運転者は走路5に入り、空き駐車スペースを探し、駐車することになる。
【0024】
図2に駐車スペースブロックとそれを構成する駐車スペース列、表示装置を示す。
例えば、9−1から9−5までの駐車スペースがすべて満車の場合は駐車スペース列の空、満表示9の表示が満車の表示となり、空車が一つでもあれば空車の表示となる。9、10の表示が共に満車の表示なら8の駐車スペースブロックの表示は満車の表示となり、いずれかが空車の表示の場合には空車の表示となる。
それぞれの駐車スペースに設置されている在車センサからの空、満情報は無線あるいは有線で表示装置を制御する制御装置に送られ、8、9、10の表示を点灯させる。
8は9、10より高い位置にあり運転者に優先的な視認性を持たせている。
【0025】
図3に駐車スペースブロック群と走路、表示装置を示す。
多数の表示装置は遠方からも識別可能で、運転者はいずれの駐車スペースブロックに空きがあるのか8を認識して幹線走路4に入り、駐車スペース列の空き表示9、10によって利用する走路5を選択することになる。
走路5にはいった後は、運転者自身で空き駐車スペースを見つけることになるが、空き駐車スペースがどちらの駐車スペース列にあるか分かっており、その発見は容易である。
【0026】
図4に表示装置の一例を示す。
8、9、10が一体化されており、空車がある場合にはブロックの表示と列の表示が一体として進入する走路を示し、直感的な視認性に優れたものである。
【0027】
図5に駐車スペースブロック案内図を示す。
AからIは駐車スペースブロックで、幹線走路と共に表示されている。駐車スペースブロックが満車の場合にはそれに対応するAからIの表示が空、満の表示となり、運転者は空車のある駐車スペースブロックの位置とそこに至る幹線走路の概念をえることができる。
【0028】
図6に屋内駐車場での表示装置を示す。
13,14は、壁際の駐車スペース列。15は、走路を隔てて向かい合う駐車スペース列によって構成される駐車スペースブロック。13−1,14−1,14−2,15−1,15−2はいずれも表示装置で、14−1,15−1は直交する走路のいずれからも視認出来るように直交する二面の表示面から構成されている。
13の駐車スペース列に空きスペースがあり、他はすべて満車の場合、表示装置は13−1のみが空表示で、他はすべて満表示となり、運転者は入口で容易に13−1を視認し、円滑に駐車スペースを発見することが出来る。
また15の駐車スペースブロックに空きスペースがあり、他はすべて満車の場合、15−1と15−2が空表示で、他はすべて満表示となる。運転者は入口から15−2を視認して左折し、15−1の表示を視認して直進し、15の駐車ブロックの両側の駐車列から容易に空き駐車スペースを発見できることになる。この場合13−1の表示装置の位置にいる運転者も15−1の表示装置を視認できるので、15−1を左折すれば空き駐車スペースがあると認識できる。
13−1の表示装置には13−2のような14−1,15−1に連動して右折の表示をする表示装置も考えられるが、13−2と15−1による誘導が同じ重みを持つことになり、15−1の交差点での事故の危険が増加することから、図6では15−2の表示を優先する案としている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】自走式駐車場における駐車スペース列と駐車スペースブロック、幹線走路と枝分かれする走路を示した図である
【図2】表示装置と駐車スペース列を示した図である。
【図3】駐車スペースブロックと表示装置を示した図である。
【図4】一体化した表示装置の例を示した図である。
【図5】駐車スペースブロック案内図を示す。
【図6】屋内駐車場での表示装置を示した図である。
【符号の説明】
【0030】
1は、駐車スペース
2は、駐車スペース列
3は、駐車スペースブロック
4は、幹線走路
5は、駐車スペース列を利用するための走路
6は、在車センサ
7は、入口側駐車スペースブロック端部
8は、駐車スペースブロックの空、満を表示する部分
9、10は、駐車スペース列の空、満を表示する部分
9−1から9−5は駐車スペース列9を構成する駐車スペース、10−1から10−5は駐車スペース列10を構成する駐車スペース
11は、支柱
12は、表示装置
AからIは、駐車スペースブロックを示し、幹線走路、駐車場入口、出口と共に表示されている。ある駐車スペースブロックに空車がある場合にはそれに対応する箇所が空の表示となる。
13,14は駐車スペース列
15は走路を隔てて向かい合う二つの駐車スペース列によって構成される駐車スペースブロック
13−1は、駐車スペース列13の空、満を表示する表示装置
14−1は、駐車スペース列14の空、満を表示する表示装置
15−1は、駐車スペースブロック15の空、満を表示する表示装置
14−2は、14−1と連動して空、満の表示をする表示装置
15−2は、15−1と連動して空、満の表示をする表示装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車路とこの車路に沿って設けられた駐車スペースに運転者が車両を乗り入れて駐車をする自走式駐車場において、駐車空きスペースを容易に見つけることを可能にする誘導表示装置。
【請求項2】
各駐車スペースに在車、空車を検知する在車検知センサを設け、駐車空きスペースの存在する駐車スペースブロック及びそれを構成する駐車スペース列を、駐車スペースブロックの走路入り口側の高い位置に設けた表示部で運転者に認識、誘導する請求項1記載の誘導表示装置。
【請求項3】
表示部は、中央に当該駐車スペースブロックの空、満を示す表示、その両側に駐車ブロックを構成する二つの駐車スペース列の空、満を示す二つの表示で構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の誘導表示装置。
【請求項4】
自走式駐車場の入り口部に設けた駐車スペースブロック案内表示に請求項3の表示を行い、運転者に現在位置から駐車しようとする駐車スペースブロックへの行程の概念を理解させる請求項1〜3のいずれかに記載の誘導表示装置。
【請求項5】
車路交差点に設置した表示装置により、駐車場入口から空き駐車スペース列に運転者を誘導する請求項1〜4のいずれかに記載の誘導表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−151399(P2009−151399A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326670(P2007−326670)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【特許番号】特許第4178422号(P4178422)
【特許公報発行日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(506341928)株式会社フェアデザイン (11)
【Fターム(参考)】