誘電体用セラミック粉末の製造方法、並びにそのセラミック粉末を用いて製造された積層セラミックキャパシター
【課題】誘電体用セラミック粉末の製造方法及びそのセラミック粉末を用いて製造された積層キャパシターが提供される。
【解決手段】本発明は、溶剤と分散制からなる溶液にBaCO3粉末を分散させBaCO3スラリーを備えた後、これを湿式粉砕する工程、上記湿式粉砕されたBaCO3スラリーにTiO2粉末をスラリー状で混合した後これを乾燥する工程、及び上記乾燥した混合粉末を仮焼することにより、BaTiO3粉末を製造する工程、を含む誘電体用セラミック粉末の製造方法と、上記製造工程で製造された誘電体用セラミック粉末を用いて製造された積層セラミックキャパシターに関するものである。
【解決手段】本発明は、溶剤と分散制からなる溶液にBaCO3粉末を分散させBaCO3スラリーを備えた後、これを湿式粉砕する工程、上記湿式粉砕されたBaCO3スラリーにTiO2粉末をスラリー状で混合した後これを乾燥する工程、及び上記乾燥した混合粉末を仮焼することにより、BaTiO3粉末を製造する工程、を含む誘電体用セラミック粉末の製造方法と、上記製造工程で製造された誘電体用セラミック粉末を用いて製造された積層セラミックキャパシターに関するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は誘電体用セラミック粉末の製造に関するもので、より詳しくは、固相法でセラミック原料粉末を備えるに当たって湿式粉砕されたBaCO3を原料粉末で用いることにより、その粒度が微細化するばかりではなく、均一な粒度分布を有するBTOを製造することができる誘電体用セラミック粉末の製造方法と、このようなセラミック粉末を用いて製造される積層セラミックキャパシターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
21世紀情報産業社会を迎えて、電子産業の必須受動素子の一つである積層セラミックキャパシター(Multilayer ceramic capacitor、MLCC)が主に使用されている家電、PC、HHP等のような製品群ではますますデジタル化、高性能化、高信頼性化及びマルチメディア化が進んでおり、これによりMLCC部品も高容量化と共に小型化が加速化されている。そのためにはシート(sheet)の薄層化が行なわれるべきであり、これと共に使用される誘電体粉末であるBaTiO3の粒子微粒化ばかりではなく均一な粒度分布を有する粉末が必須であり、さらにBaTiO3粉末結晶のc軸とa軸の結晶格子比、すなわちc/aで表される結晶化度(tetragonality)も高いもの(c/a>1.008)が要求される。
【0003】
このようなBaTiO3粉末を製造する方法としては水熱合成法、アルコックサイド法、固相反応法等がある。
【0004】
これらの中で水熱合成法はゼル状の水化チタニアを過量の水酸化バリウム水溶液に添加し、これを約150℃、10気圧以上の高温高圧下で反応させ結晶性BaTiO3を製造する方法である。しかし、この方法は約100nmの大きさを有する球形の結晶性BaTiO3が直接得られる長所があるが、反応器の設計及び維持が難しく、製造単価が高いという短所がある。また、近年では水熱合成で製造されたBaTiO3粉末内部に酸素空孔(oxygen vacancy)とバリウム空孔(barium vacancy)のようなかなりな欠陥らがあって、これらが熱処理時に気孔(pore)に変わって誘電特性を劣化させることが報告されている。
【0005】
一方、金属アルコックサイドの加水分解反応によるBaTiO3の合成法は、金属アルコックサイドアルコール溶液とBa(OH)水溶液をチューブ型混合容器(static mixer)で混合した後、80℃程度で反応させBaTiO3を合成する方法である。この方法は該出発物質が液状として、水熱合成における固体状である水化チタニアゼルより反応性が優れるため、比較的低温で合成が可能で、さらに、合成された粉末の粒径を約20〜100nm程度で容易に調節できるという長所を有する。しかし、この方法は合成装置の構成が難しいばかりではなく、出発物質としてアルコックサイド試薬を用いる場合に該価格が高いという問題がある。なお、アルコール溶媒の使用等で材料費が高く掛かり、合成温度等の工程条件がややこしいため、その量産に様々な制約がつくという問題点もある。
【0006】
従って、低価のBaTiO3を製造するためには、固相反応法で製造した方が最も有利である。固相反応法はBaCO3粉末とTiO2粉末を出発粉末とし、これらの粉末らを混合した後、仮焼工程における固相反応により最終BaTiO3粉末を合成する方法である。ところが、誘電体層の薄層化のためには誘電体原料粉末が粒子の大きさが小さいながらも均一な粒子大きさ分布を有することが極めて重要であるが、固相反応法によって製造されたBaTiO3は一般的に上記他の製造方法で製造されたBTOに比して相対的に粒度分布が均一ではないと知られている。結局、固相反応法では初期BaCO3粉末とTiO2粉末とをどのくらい均一に分散させることができるのかが最終的に均一なBaTiO3粉末を得るのに極めて重要な要素の一つであり、これに係る技術開発が従来から続いている。
【0007】
このような従来技術の一例として大韓民国公開特許番号特2002-0053749号と2004−0038747号に記載された発明等を挙げることができる。上記公開特許特2002−0053749号にはバリウム化合物と、X線回折法によるルチル(rutile)化率が30%以下であり、さらにBET法によって求めた比表面積が5m2/g以上である二酸化チタンを混合してから仮焼して得られるチタン酸バリウム粉末を提示しており、特2004-38747号には炭酸バリウム塩粉末に有機高分子化合物を吸着させる技術を提示している。しかし、上記公開公報に記載された発明等はバリウム化合物と二酸化チタンを均一に混合して混合状態を良くすることができるという長所はあるが、いくら各元素ら同士で分散させるとしてもバリウム化合物の針状がそのまま維持されるのでその形状的特性によりバリウム化合物同士の接触が避けられなくなり二酸化チタンとの最大限の混合状態を得ることには限界がある。
【0008】
他の従来技術として大韓民国特許公開公報2004−0020252号に記載された発明を挙げることができる。上記特許公開公報にはBaCO3粉末とTiO2粉末の混合前に、上記BaCO3粉末を球状に乾式粉砕した後、TiO2粉末に混合して仮焼する技術を提示している。しかし、上記技術は粉砕後、BaCO3の粒子減少が起きない、また乾式で粉砕されたため粉砕中BaCO3に加えられる高い応力によりBaCO3粒子間に分散がうまく行なわれずに凝集される問題点がある。また粉末の比表面積が大きくないと、すなわち、粒子の大きさが小さくないと均一に分散させることができないが、上記技術のBaCO3は粒子減少が起こらないためにTiO2との均一な混合が難しくなる。上記の理由によって最終的に得られるBaTiO3粉末は一次粒子同士に互いに凝集が過多に起こり、一次粒子に比べて相対的に大きい二次粒子を形成するようになるばかりではなく、粉末の粒度分布も不均一になる。このような特性を有するBaTiO3粉末は積層セラミックキャパシターに適用することにあたって分散が難しいばかりではなく高容量キャパシターのための1?以下の薄層に適用されるための誘電体セラミック用で使用するには適切ではないと言える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記従来技術の問題点を解決するために案出されたものであって、微細且つ均一な粒度分布を有するばかりではなく、高い正方結晶性を有する誘電体用セラミック粉末を提供することをその目的とする。
【0010】
さらに、本発明は上記誘電体用セラミック粉末を用いて製造された積層セラミックキャパシターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、本発明を説明する。
上述したように、高容量用MLCC製造のために微粒且つ均一な粒度を有し、結晶化度も優れたBaTiO3粉末を製造するために最も経済的な方法が固相反応法である。
【0012】
ところで、固相反応法において、微粒のBaTiO3粉末は比表面積が大きいBaCO3粉末とTiO2粉末を用いて製造することができるが、上記BaCO3粉末は大体針状の形を表しているので、これによりビーズミル(Beads mill)装備を利用して機械的な混合をしてもTiO2粉末との均一な混合を邪魔して最終仮焼後均一なBaTiO3粉末の製造を難しくする。さらに、微粒のBaCO3及びTiO2粉末が均一に分散されたとしても、BaCO3粉末粒子は仮焼工程時粒子成長が起こりやすいので、TiO2と反応してBaTiO3粒子が形成される温度に到る前に予め粒子成長になりTiO2と均一に反応することが難しい。
【0013】
そして、このような点等は特に、誘電体層の薄層化のための微粒のBaTiO3粉末を固相反応で製造すると、さらに粒子不均一性を増加させるようになる。
【0014】
従って、本発明者等はこのような固相反応法が有している問題点を解決するために研究と実験を重ね、その結果、針状のBaCO3原料粉末をスラリー状で湿式粉砕することにより、その粒子の形状を針状から球状に切り換えさせるとともに微細な粒子が効果的に得られることを確認した。さらに、このような微細且つ球状のBaCO3スラリーに比表面積が大きいTiO2粉末を混合した後乾燥、仮焼することで従来固相反応法に比して結晶化度と粒子均一度が優れた微粒のBaCO3粉末を製造することが可能であることを見出し、本発明を提案するのである。
【0015】
従って、本発明は溶剤と分散制からなる溶液にBaCO3粉末を分散させBaCO3スラリーを備えた後、これを湿式粉砕する工程、上記湿式粉砕されたBaCO3スラリーにTiO2粉末をスラリー状で混合した後、これを乾燥する工程、及び上記乾燥された混合粉末を仮焼することによりBaTiO3粉末を製造する工程、を含む誘電体用セラミック粉末の製造方法に関するものである。
【0016】
また本発明は、溶剤と分散制からなる溶液にBaCO3粉末を分散させBaCO3スラリーを備えた後、これを湿式粉砕する工程、上記湿式粉砕されたBaCO3スラリーにCaCO3粉末とTiO2粉末をそれぞれスラリー状で混合した後、これを乾燥する工程、及び上記乾燥された混合粉末を仮焼することによりBaCaTiO3粉末を製造する工程、を含む誘電体用セラミック粉末の製造方法に関するものである。
【0017】
さらに本発明は、誘電体層と、その誘電体層の間に交互に配列された多数の内部電極を有するセラミック積層体と、上記セラミック積層体の両端部に上記内部電極の少なくとも一つと電気的に繋がるように形成された外部電極を含み、上記誘電体層は上述した工程で製造された誘電体用セラミック粉末を含むことを特徴とする積層セラミックキャパシターに関するものである。
【発明の効果】
【0018】
上述したように、本発明は湿式粉砕されたBaCO3粉末を用いてBaTiO3やBaCaTiO3粉末を製造することで150〜250nmの微粒且つ結晶化度(tetragonality)が高い均一な誘電体用セラミック粉末を製造することができる。
【0019】
また、このような誘電体用セラミック粉末を用いて積層セラミックキャパシターを製造すると、シートの薄層化が可能なため製造されたMLCCの大容量及び小型化を效果的に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明を詳しく説明する。
【0021】
図1は本発明の誘電体用セラミック粉末の製造工程を示す工程図である。図1に示すように、本発明では予め溶剤と分散制からなるBaCO3粉末を分散させBaCO3スラリーを備える。この際、分散制は粉末の分散性を高めるために添加されるが、例えば、ポリアクリル系分散制を用いることができる。好ましくは、上記分散制をBaCO3原料粉末に対し1〜5重量部で添加するのである。そして、上記BaCO3原料粉末は針状の形態を有するが、BET方法で測定した比表面積が5〜30m2/g範囲の物を用いることが望ましい。
【0022】
また、本発明では上記溶剤として蒸溜水、アルコール等を用いることが可能であり、好ましくは蒸溜水を用いるのである。
【0023】
より好ましくは、上記製造されたBaCO3スラリー中のBaCO3量が重量比で10〜60%範囲になるように上記溶液にBaCO3原料粉末を添加してスラリーを製造するのである。もしBaCO3スラリー中のBaCO3含量が10%未満であると生産性(量産性)側面で良くなく、60%を超過すると分散性が良くないばかりではなく湿式粉砕時粉砕が效果的ではない、そして作業性も落ちることがあり得る。
【0024】
次いで、本発明では上記BaCO3スラリーを湿式粉砕する。このような湿式粉砕は直径0.3mm大きさのジルコニアビーズ(beads)をミリングメディア(milling media)で使用するビーズミルタイプ(Beads mill type)の装備を用いて約1800rpmの速度で進めることができる。このような粉砕時間は20時間以下に制限することがより有益である。より好ましくは、BaCO3粉末のBET比表面積が30m2/g以上になるよう上記湿式粉砕を進めるのである。
【0025】
一方、BaCO3スラリーに対するミリング時間が増加するによってBaCO3粉末の粒度が減少して比表面積が継続的に増加するあげく、図2aのように、約8時間以後に飽和されスラリーの粘度が著しく増加するようになる。ところで、粘度が増加すると継続的な湿式粉砕工程作業が難しくなるため、その粘度を減少することが必要となる。
【0026】
従って、本発明ではこのようなスラリーの粘度減少のために、図2bのように、上記湿式粉砕工程中にアンモニアを添加することが望ましい。
【0027】
より好ましくは、上記溶剤重量に対し0.1重量部以上のアンモニアを添加するのである。
【0028】
次に、本発明では上記湿式粉砕されたBaCO3スラリーにTiO2粉末をそれぞれスラリー状で混合する。TiO2スラリーは上述した溶剤及び分散制で造成された溶液にTiO2粉末を添加することにより容易に製造され得る。この際、本発明では上記TiO2原料粉末はその比表面積が20m2/g以上であることが望ましく、45m2/g以上がより望ましい。
【0029】
この際、後続する工程でBaTiO3粉末が得られるようにBa/Tiモル比が1になるようにする範囲でTiO2粉末をスラリー状に混合するが、このような混合工程は上記BaCO3とTiO2スラリーを直径0.3mmのジルコニアビーズを用いて湿式混合することができる。
【0030】
一方、高容量MLCC機種のシート(sheet)薄層化によって印加される電界が高くなり、これによってIR及びTCC特性の劣化が問題とされ得る。従って、このような問題点を解消するために、本発明では必要に応じて上記粉砕されたBaCO3スラリーにTiO2スラリーのみならず、CaCO3スラリーを混合することができる。このようなCaCO3スラリーの混合で後続する工程によりCaドーピングされたBaTiO3、すなわち、微粒のBaCaTiO3粉末を製造することも可能である。
【0031】
次いで、上記混合されたスラリーを乾燥することにより乾燥された混合粉末を製造するが、この際、その乾燥温度を200℃以下にすることが望ましい。そして、本発明では上記乾燥方法に制限されないが、スプレー乾燥方式がより有益であると言える。
【0032】
そして、本発明では必要に応じて上記乾燥された粉末をアトマイザー(atomizer)を用いて粗粉砕することもできる。
【0033】
次いで、本発明では上記乾燥された混合粉末を仮焼することによりBaTiO3粉末やBaCaTiO3粉末のような誘電体用セラミック粉末を合成する。この際、仮焼工程でBaCO3粉末とTiO2粉末が固相反応によりBaTiO3誘電体用粉末を形成することができると共にCaCO3粉末がさらに混合される時CaドーピングされたBaCaTiO3粉末を製造することができる。好ましくは、上記仮焼温度を900〜1100℃に制限するのである。
【0034】
このように合成された粉末等は一次粒子同士にネッキング(necking)が形成されており、MLCCに使用するためには一次粒子の損傷がない条件で分離をする工程を経ることが通常であり、そのために本発明では上記合成されたセラミック粉末を未粉砕することができる。このような未粉砕工程はビーズミルで解砕(deagglomeration)する工程を経て效果的に進むことができる。
【0035】
上述した製造工程によって製造された誘電体用セラミック粉末は、通常の固相反応法を適用しながらもFE−SEM写真から平均粒度が150nm〜250nm範囲の微粒であり、D10/D50が0.6以上、D90/D50が1.4以下の均一な粒度分布を有することができる。
【0036】
また上記誘電体用セラミック粉末はBET比表面積が5.0m2/g以上であり、FE−SEM写真から、セラミック粉末の結晶格子c軸とa軸の比であるc/a比が1.009以上の優れた結晶化度を示すことができる。
【0037】
一方、上記のように備えられた誘電体用セラミック粉末に、有機バインダー、溶剤及びその他の添加剤を混合してセラミックスラリーを備え、これを通常のテープキャスティング(Tape casting)法を利用してMLCC用誘電体層、すなわち、グリーンシートを製造することができる。この際、添加剤にはY2O3、Mn3O4、Cr2O3、Glass等を挙げることができる。
【0038】
図3は本発明の誘電体セラミック粉末を用いて製造された積層セラミックキャパシターを示す断面図である。図3に示すように、積層セラミックキャパシター(10)は、誘電体層(1)と、その誘電体層の間に交互に配列された多数の内部電極(3)を含むセラミック積層体と、上記セラミック積層体の両端部に形成された外部電極(5)を含んで構成され得る。
【0039】
このようなキャパシター(10)を製造するためには、予め上述したように備えられた誘電体用セラミック粉末を含んだセラミックスラリーを利用して通常のテープキャスティング(Tape casting)法で誘電体層(1)を形成し、次いで、その誘電体層(1)上に内部電極(3)を通常のスクリーン印刷法で形成する。そして、このような未焼成誘電体層(1)を含んだセラミック積層体を焼成した後、その両端部に導体ペーストを与えた後、焼成することにより外部電極(5)を有する積層セラミックキャパシター(10)を製造することができる。
【0040】
上述したように、本発明はBaCO3粉末とTiO2粉末を均一に分散及び混合させるためにTiO2粉末との混合前に、針状のBaCO3粉末のみを単独に湿式粉砕してその粒子形象を球状にし、その粒子大きさを大きく減少させることによりTiO2との均一な混合が可能となる。また、その仮焼工程時BaCO3粉末粒子等の間の粒子成長が起きる前にTiO2粉末と反応することにより150〜250nmの微粒且つ結晶化度(tetragonaloty)が高い均一な誘電体用セラミック粉末を製造することが可能である。
【0041】
また、上記製造工程で製造された誘電体用セラミック粉末を用いて積層セラミックキャパシターを製造すると、シートの薄層化が可能になり製造されたMLCCの大容量及び小型化を效果的に実現することができるのである。
【0042】
以下、好ましい一実施例を参照にして本発明を詳しく説明する。
【実施例1】
【0043】
比表面積が20m2/gのBaCO3原料粉末を備えた。そして、これらの中の一部を蒸溜水とポリアクリル系分散制の混合溶液に分散させBaCO3スラリーを製造し、この際、上記製造されたBaCO3スラリー中のBaCO3量が重量比で10〜60%範囲になるように上記溶液にBaCO3原料粉末を添加しスラリーを製造した。このようなスラリーを直径0.3mm大きさのジルコニアビーズをミリングメディアで使用するビーズミリタイプの装備を用いて18時間の間に湿式粉砕した。そして上記湿式粉砕途中BaCO3の粒子が小くなることにつれ粘度が急に増加することを考慮し、8時間ミリング以後アンモニアを添加し粘度減少を誘導した。このように湿式粉砕されたBaCO3粉末の比表面積は31m2/gで、初期に比べて大きく増加し、粒子の形状が球状に近い形態を表した。
【0044】
BaCO3粉末の湿式粉砕前後の電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)写真が図4a〜bに示している。上記図面等に示すように、湿式粉砕前に針状のBaCO3粉末が湿式粉砕後に球状のより微細な粉末が得られることが判る。
【0045】
一方、上記のように湿式粉砕されたBaCO3スラリーに比表面積45m2/gのTiO2スラリーを混合した後ビーズミル(beads mill)を使用して混合し、この際、BaTiO3粉末でBa/Tiが1になるように混合粉末をスラリーで備えて混合した後スプレードライ(spray drying)法で乾燥して混合粉末を製造した。そして、比較のために湿式粉砕してないBaCO3原料粉末をTiO2粉末と混合して混合粉末を製造した。
【0046】
このように最終混合された粉末に対するFE−SEM写真が図5a〜bに示している。図5aは湿式粉砕されなかったBaCO3粉末がTiO2粉末と混合された時のFE−SEM写真であり、図5bは湿式粉砕されたBaCO3粉末がTiO2粉末と混合された場合のFE−SEM写真である。図5a〜bに示すように、湿式粉砕されなかったBaCO3粉末がTiO2粉末と混合された場合その混合が不均一であるが、湿式粉砕されたBaCO3粉末が利用された場合には各構成元素等の間に均一な混合が可能であることが判る。
【0047】
また、仮焼熱処理工程でBaCO3粉末粒子の昇温時粒子成長が起きるか否やかを確認するために、上記のように備えられたそれぞれの混合粉末を600℃〜1000℃の温度範囲で仮焼熱処理実験を行なった。その結果、図6aのように湿式粉砕されなかったBaCO3粉末を用いる場合には900℃でBaCO3粉末粒子間粒子成長が大幅に起こることに対し、図6bのように湿式粉砕されたBaCO3粉末を用いた場合、粒子成長が観察されず、均一な粒子のBaTiO3粉末の合成が可能であることが判る。
【実施例2】
【0048】
【表1】
【0049】
比表面積20m2/gのBaCO3原料粉末を備えた。そして、これらの中の一部を蒸溜水とポリアクリル系分散制の混合溶液に分散させBaCO3スラリーを製造し、この際、上記製造されたBaCO3スラリー中のBaCO3量が重量比で10〜60%範囲になるように上記溶液にBaCO3原料粉末を添加してスラリーを製造した。このようなスラリーを直径0.3mm大きさのジルコニアビーズをミルメディアで使用するビーズミルタイプの装備を用いて18時間の間湿式粉砕した。そしてこのような湿式粉砕中BaCO3の粒子が小くなるにつれ粘度が急に増加することを考慮し、8時間ミリング以後、アンモニアを添加して粘度減少を誘導した。このように湿式粉砕されたBaCO3粉末の比表面積が上記表1に示している。
そして上記のように湿式粉砕されたBaCO3スラリーに上記表1のようにその比表面積を異にするTiO2原料粉末をスラリー状でビーズミルを使用して混合し、この際、BaTiO3粉末でBa/Tiが1になるように混合粉末をスラリー状で混合した後スプレードライ法で乾燥して混合粉末を製造した。
【0050】
一方、CaがドーピングされたBaCaTiO3誘電体用セラミック粉末を製造する場合には、上記表1のように、上記湿式粉砕されたBaCO3スラリーにTiO2粉末のみならず、比表面積30m2/gのCaCO3粉末をスラリー状態に混合し、この際、(Ba0.98Ca0.02)1.000TiO3粉末が得られるようにTiO2粉末とCaCO3粉末の混合粉末をスラリー状態に混合した後、スプレードライ法で乾燥して混合粉末を製造した。
【0051】
一方、比較のために上記表1のように、比表面積20m2/gのBaCO3原料粉末中の一部を湿式粉砕せず、比表面積20m2/gのTiO2粉末に湿式混合した後乾燥させ混合粉末を備え、この際、BaTiO3粉末でBa/Tiが1になるように混合粉末を秤量して混合した。
【0052】
そして、このように備えられたそれぞれの混合粉末を乾燥した後、上記表1のような条件で仮焼処理することによりBaTiO3やBaCaTiO3誘電体用セラミック粉末を製造した。以後、上記セラミック粉末をビーズミルで解砕(deagglomeration)工程を進めることにより、最終粉末を製造した。
【0053】
このように製造されたそれぞれの粉末の特性を調査するためにBET比表面積を測定し、またXRD分析により粉末の結晶格子のc軸とa軸の比であるc/aを計算して結晶化度を測定しその結果を下記表2に示した。そしてFE−SEM形状からイメージアナライザ(Image analyzer)を利用して粉末の平均粒子大きさ(Dmean)を測定すると共に粒度分布の均一度を調査するために小さな粒子大きさからのそれぞれ10%累積分布(D10)、50%累積分布(D50)、90%累積分布(D90)を測定した後D10/D50、D90/D50値を計算した結果を下記表2にさらに示した。
【表2】
【0054】
上記表1〜2から判るように、BaCO3を湿式粉砕せず1020℃で仮焼処理した試料1の場合、その粉末粒子は176nmで微細であるが、結晶化度が1.007で高容量用誘電体粉末に要求される1.008以下より低く、1040℃で仮焼処理した試料2は結晶化度1.0097の約212nm大きさを有するBaTiO3が合成されることが判る。
【0055】
これに反して、BaCO3を湿式粉砕した後20m2/gのTiO2と混合した試料3はBaCO3を湿式粉砕しなかった場合より低い仮焼温度、すなわち、1020℃でも1.0097の高い結晶化度を有する199nmの微粒BaTiO3粉末を得ることができた。また、BaCO3を湿式粉砕した後比表面積45m2/gのTiO2粉末と混合した試料6は990℃で1.010以上の高い結晶化度を有する202nm微粒のBaTiO3粉末が合成され、960℃で仮焼した試料5は比表面積が5.68m2/gで非常に大きいながらもそれによる粒度が150nmで、非常に微粒であることにもかかわらず、1.0093の高い結晶化度を有するBaTiO3粉末の製造が可能であることが判る。
【0056】
また累積粒度分布から粒子均一性を比べるためにD10/D50、D90/D50を計算値を考慮し、そこでD10/D50は大きくてD90/D50は小さな値を有するものがより均一な分布を有すると言える。このような計算値を比べた時、BaCO3を湿式粉砕した場合が湿式粉砕しない場合と比べ、相対的にD10/D50は大きくて、D90/D50は小さいことから均一な粒度分布を有することが判り、湿式粉砕されたBaCO3を45m2/g比表面積を有するTiO2と混合した混合粉末の場合(試料5−7)らが最も均一な粒度分布を有することが判る。
【0057】
そして、Caが添加されたBaCaTiO3粉末の場合(試料8−9)でもBaTiO3粉末の特性と類似な挙動を示したが、990℃及び960℃で仮焼した後それぞれ198nmと155nmの平均粒度を有する均一なBaCaTiO3粉末を製造することが可能で、この際、結晶化度は全て1.0091以上と高い値を有した。
【0058】
一方、図7a、図8a及び図9aは上記試料2、3及び6にあたる誘電体用セラミック粉末のFE−SEM写真であり、図7b、図8b及び図9bはこれよりイメージアナライザ(image analyzer)を利用して粒度分布を測定して示したグラフである。上記図面から分かるように、湿式粉砕されなかったBaCO3粉末を用いた試料2に比べ、湿式粉砕されたBaCO3粉末を用いた試料3の場合がより均一な粒度分布を有することが判る。また、湿式粉砕されたBaCO3粉末を用いると共に比表面積が大きいTiO2粉末を用いた試料6の場合が最も狭い粒度分布を有することが判る。
【0059】
上述したように、本発明は実試例に従って詳しく説明されたが、本発明はこのような実試例の内容に制限されるものではない。本願が属する技術分野で通常の知識を有する者なら、たとえ実試例に提示されなかったが、添付された請求項の記載範囲内で多様な本願発明に対する模造や改良が可能であり、これら全て本願発明の技術的範囲に属することはあまりにも自明であると言える。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の誘電体用セラミック粉末の製造工程を示す工程図である。
【図2a】本発明の湿式粉砕時間による粒度変化を示すグラフである。
【図2b】本発明の湿式粉砕工程でBaCO3スラリーの粘度に与えるアンモニア添加影響を示すグラフである。
【図3】本発明の誘電体セラミック粉末を用いて製造された積層セラミックキャパシターを示す断面図である。
【図4a】湿式粉砕前のBaCO3粉末のSEM写真である。
【図4b】本発明によって湿式粉砕されたBaCO3粉末のSEM写真である。
【図5a】BaCO3粉末を湿式粉砕せずにTiO2粉末と混合して備えた混合粉末に対するFE−SEM写真である。
【図5b】本発明の方法で湿式粉砕されたBaCO3粉末をTiO2粉末と混合して備えた混合粉末に対するFE−SEM写真である。
【図6a】図5aの混合粉末を900℃で熱処理した後のFE−SEM写真である。
【図6b】図5bの混合粉末を900℃で熱処理した後のFE−SEM写真である。
【図7a】従来固相法で製造されたBaTiO3粉末の形状を示すFE−SEM写真である。
【図7b】図7aのBaTiO3粉末の粒度分布を示すグラフである。
【図8a】本発明の方法で製造されたBaTiO3粉末形状一例を示すFE−SEM写真である。
【図8b】図8aのBaTiO3粉末の粒度分布を示すグラフである。
【図9a】本発明の方法で製造されたBaTiO3粉末形状の他例を示すFE-SEM写真である。
【図9b】図9aのBaTiO3粉末の粒度分布を示すグラフである。
【符号の説明】
【0061】
1 誘電体層、3 内部電極、5 外部電極、10 積層セラミックキャパシター
【技術分野】
【0001】
本発明は誘電体用セラミック粉末の製造に関するもので、より詳しくは、固相法でセラミック原料粉末を備えるに当たって湿式粉砕されたBaCO3を原料粉末で用いることにより、その粒度が微細化するばかりではなく、均一な粒度分布を有するBTOを製造することができる誘電体用セラミック粉末の製造方法と、このようなセラミック粉末を用いて製造される積層セラミックキャパシターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
21世紀情報産業社会を迎えて、電子産業の必須受動素子の一つである積層セラミックキャパシター(Multilayer ceramic capacitor、MLCC)が主に使用されている家電、PC、HHP等のような製品群ではますますデジタル化、高性能化、高信頼性化及びマルチメディア化が進んでおり、これによりMLCC部品も高容量化と共に小型化が加速化されている。そのためにはシート(sheet)の薄層化が行なわれるべきであり、これと共に使用される誘電体粉末であるBaTiO3の粒子微粒化ばかりではなく均一な粒度分布を有する粉末が必須であり、さらにBaTiO3粉末結晶のc軸とa軸の結晶格子比、すなわちc/aで表される結晶化度(tetragonality)も高いもの(c/a>1.008)が要求される。
【0003】
このようなBaTiO3粉末を製造する方法としては水熱合成法、アルコックサイド法、固相反応法等がある。
【0004】
これらの中で水熱合成法はゼル状の水化チタニアを過量の水酸化バリウム水溶液に添加し、これを約150℃、10気圧以上の高温高圧下で反応させ結晶性BaTiO3を製造する方法である。しかし、この方法は約100nmの大きさを有する球形の結晶性BaTiO3が直接得られる長所があるが、反応器の設計及び維持が難しく、製造単価が高いという短所がある。また、近年では水熱合成で製造されたBaTiO3粉末内部に酸素空孔(oxygen vacancy)とバリウム空孔(barium vacancy)のようなかなりな欠陥らがあって、これらが熱処理時に気孔(pore)に変わって誘電特性を劣化させることが報告されている。
【0005】
一方、金属アルコックサイドの加水分解反応によるBaTiO3の合成法は、金属アルコックサイドアルコール溶液とBa(OH)水溶液をチューブ型混合容器(static mixer)で混合した後、80℃程度で反応させBaTiO3を合成する方法である。この方法は該出発物質が液状として、水熱合成における固体状である水化チタニアゼルより反応性が優れるため、比較的低温で合成が可能で、さらに、合成された粉末の粒径を約20〜100nm程度で容易に調節できるという長所を有する。しかし、この方法は合成装置の構成が難しいばかりではなく、出発物質としてアルコックサイド試薬を用いる場合に該価格が高いという問題がある。なお、アルコール溶媒の使用等で材料費が高く掛かり、合成温度等の工程条件がややこしいため、その量産に様々な制約がつくという問題点もある。
【0006】
従って、低価のBaTiO3を製造するためには、固相反応法で製造した方が最も有利である。固相反応法はBaCO3粉末とTiO2粉末を出発粉末とし、これらの粉末らを混合した後、仮焼工程における固相反応により最終BaTiO3粉末を合成する方法である。ところが、誘電体層の薄層化のためには誘電体原料粉末が粒子の大きさが小さいながらも均一な粒子大きさ分布を有することが極めて重要であるが、固相反応法によって製造されたBaTiO3は一般的に上記他の製造方法で製造されたBTOに比して相対的に粒度分布が均一ではないと知られている。結局、固相反応法では初期BaCO3粉末とTiO2粉末とをどのくらい均一に分散させることができるのかが最終的に均一なBaTiO3粉末を得るのに極めて重要な要素の一つであり、これに係る技術開発が従来から続いている。
【0007】
このような従来技術の一例として大韓民国公開特許番号特2002-0053749号と2004−0038747号に記載された発明等を挙げることができる。上記公開特許特2002−0053749号にはバリウム化合物と、X線回折法によるルチル(rutile)化率が30%以下であり、さらにBET法によって求めた比表面積が5m2/g以上である二酸化チタンを混合してから仮焼して得られるチタン酸バリウム粉末を提示しており、特2004-38747号には炭酸バリウム塩粉末に有機高分子化合物を吸着させる技術を提示している。しかし、上記公開公報に記載された発明等はバリウム化合物と二酸化チタンを均一に混合して混合状態を良くすることができるという長所はあるが、いくら各元素ら同士で分散させるとしてもバリウム化合物の針状がそのまま維持されるのでその形状的特性によりバリウム化合物同士の接触が避けられなくなり二酸化チタンとの最大限の混合状態を得ることには限界がある。
【0008】
他の従来技術として大韓民国特許公開公報2004−0020252号に記載された発明を挙げることができる。上記特許公開公報にはBaCO3粉末とTiO2粉末の混合前に、上記BaCO3粉末を球状に乾式粉砕した後、TiO2粉末に混合して仮焼する技術を提示している。しかし、上記技術は粉砕後、BaCO3の粒子減少が起きない、また乾式で粉砕されたため粉砕中BaCO3に加えられる高い応力によりBaCO3粒子間に分散がうまく行なわれずに凝集される問題点がある。また粉末の比表面積が大きくないと、すなわち、粒子の大きさが小さくないと均一に分散させることができないが、上記技術のBaCO3は粒子減少が起こらないためにTiO2との均一な混合が難しくなる。上記の理由によって最終的に得られるBaTiO3粉末は一次粒子同士に互いに凝集が過多に起こり、一次粒子に比べて相対的に大きい二次粒子を形成するようになるばかりではなく、粉末の粒度分布も不均一になる。このような特性を有するBaTiO3粉末は積層セラミックキャパシターに適用することにあたって分散が難しいばかりではなく高容量キャパシターのための1?以下の薄層に適用されるための誘電体セラミック用で使用するには適切ではないと言える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記従来技術の問題点を解決するために案出されたものであって、微細且つ均一な粒度分布を有するばかりではなく、高い正方結晶性を有する誘電体用セラミック粉末を提供することをその目的とする。
【0010】
さらに、本発明は上記誘電体用セラミック粉末を用いて製造された積層セラミックキャパシターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、本発明を説明する。
上述したように、高容量用MLCC製造のために微粒且つ均一な粒度を有し、結晶化度も優れたBaTiO3粉末を製造するために最も経済的な方法が固相反応法である。
【0012】
ところで、固相反応法において、微粒のBaTiO3粉末は比表面積が大きいBaCO3粉末とTiO2粉末を用いて製造することができるが、上記BaCO3粉末は大体針状の形を表しているので、これによりビーズミル(Beads mill)装備を利用して機械的な混合をしてもTiO2粉末との均一な混合を邪魔して最終仮焼後均一なBaTiO3粉末の製造を難しくする。さらに、微粒のBaCO3及びTiO2粉末が均一に分散されたとしても、BaCO3粉末粒子は仮焼工程時粒子成長が起こりやすいので、TiO2と反応してBaTiO3粒子が形成される温度に到る前に予め粒子成長になりTiO2と均一に反応することが難しい。
【0013】
そして、このような点等は特に、誘電体層の薄層化のための微粒のBaTiO3粉末を固相反応で製造すると、さらに粒子不均一性を増加させるようになる。
【0014】
従って、本発明者等はこのような固相反応法が有している問題点を解決するために研究と実験を重ね、その結果、針状のBaCO3原料粉末をスラリー状で湿式粉砕することにより、その粒子の形状を針状から球状に切り換えさせるとともに微細な粒子が効果的に得られることを確認した。さらに、このような微細且つ球状のBaCO3スラリーに比表面積が大きいTiO2粉末を混合した後乾燥、仮焼することで従来固相反応法に比して結晶化度と粒子均一度が優れた微粒のBaCO3粉末を製造することが可能であることを見出し、本発明を提案するのである。
【0015】
従って、本発明は溶剤と分散制からなる溶液にBaCO3粉末を分散させBaCO3スラリーを備えた後、これを湿式粉砕する工程、上記湿式粉砕されたBaCO3スラリーにTiO2粉末をスラリー状で混合した後、これを乾燥する工程、及び上記乾燥された混合粉末を仮焼することによりBaTiO3粉末を製造する工程、を含む誘電体用セラミック粉末の製造方法に関するものである。
【0016】
また本発明は、溶剤と分散制からなる溶液にBaCO3粉末を分散させBaCO3スラリーを備えた後、これを湿式粉砕する工程、上記湿式粉砕されたBaCO3スラリーにCaCO3粉末とTiO2粉末をそれぞれスラリー状で混合した後、これを乾燥する工程、及び上記乾燥された混合粉末を仮焼することによりBaCaTiO3粉末を製造する工程、を含む誘電体用セラミック粉末の製造方法に関するものである。
【0017】
さらに本発明は、誘電体層と、その誘電体層の間に交互に配列された多数の内部電極を有するセラミック積層体と、上記セラミック積層体の両端部に上記内部電極の少なくとも一つと電気的に繋がるように形成された外部電極を含み、上記誘電体層は上述した工程で製造された誘電体用セラミック粉末を含むことを特徴とする積層セラミックキャパシターに関するものである。
【発明の効果】
【0018】
上述したように、本発明は湿式粉砕されたBaCO3粉末を用いてBaTiO3やBaCaTiO3粉末を製造することで150〜250nmの微粒且つ結晶化度(tetragonality)が高い均一な誘電体用セラミック粉末を製造することができる。
【0019】
また、このような誘電体用セラミック粉末を用いて積層セラミックキャパシターを製造すると、シートの薄層化が可能なため製造されたMLCCの大容量及び小型化を效果的に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明を詳しく説明する。
【0021】
図1は本発明の誘電体用セラミック粉末の製造工程を示す工程図である。図1に示すように、本発明では予め溶剤と分散制からなるBaCO3粉末を分散させBaCO3スラリーを備える。この際、分散制は粉末の分散性を高めるために添加されるが、例えば、ポリアクリル系分散制を用いることができる。好ましくは、上記分散制をBaCO3原料粉末に対し1〜5重量部で添加するのである。そして、上記BaCO3原料粉末は針状の形態を有するが、BET方法で測定した比表面積が5〜30m2/g範囲の物を用いることが望ましい。
【0022】
また、本発明では上記溶剤として蒸溜水、アルコール等を用いることが可能であり、好ましくは蒸溜水を用いるのである。
【0023】
より好ましくは、上記製造されたBaCO3スラリー中のBaCO3量が重量比で10〜60%範囲になるように上記溶液にBaCO3原料粉末を添加してスラリーを製造するのである。もしBaCO3スラリー中のBaCO3含量が10%未満であると生産性(量産性)側面で良くなく、60%を超過すると分散性が良くないばかりではなく湿式粉砕時粉砕が效果的ではない、そして作業性も落ちることがあり得る。
【0024】
次いで、本発明では上記BaCO3スラリーを湿式粉砕する。このような湿式粉砕は直径0.3mm大きさのジルコニアビーズ(beads)をミリングメディア(milling media)で使用するビーズミルタイプ(Beads mill type)の装備を用いて約1800rpmの速度で進めることができる。このような粉砕時間は20時間以下に制限することがより有益である。より好ましくは、BaCO3粉末のBET比表面積が30m2/g以上になるよう上記湿式粉砕を進めるのである。
【0025】
一方、BaCO3スラリーに対するミリング時間が増加するによってBaCO3粉末の粒度が減少して比表面積が継続的に増加するあげく、図2aのように、約8時間以後に飽和されスラリーの粘度が著しく増加するようになる。ところで、粘度が増加すると継続的な湿式粉砕工程作業が難しくなるため、その粘度を減少することが必要となる。
【0026】
従って、本発明ではこのようなスラリーの粘度減少のために、図2bのように、上記湿式粉砕工程中にアンモニアを添加することが望ましい。
【0027】
より好ましくは、上記溶剤重量に対し0.1重量部以上のアンモニアを添加するのである。
【0028】
次に、本発明では上記湿式粉砕されたBaCO3スラリーにTiO2粉末をそれぞれスラリー状で混合する。TiO2スラリーは上述した溶剤及び分散制で造成された溶液にTiO2粉末を添加することにより容易に製造され得る。この際、本発明では上記TiO2原料粉末はその比表面積が20m2/g以上であることが望ましく、45m2/g以上がより望ましい。
【0029】
この際、後続する工程でBaTiO3粉末が得られるようにBa/Tiモル比が1になるようにする範囲でTiO2粉末をスラリー状に混合するが、このような混合工程は上記BaCO3とTiO2スラリーを直径0.3mmのジルコニアビーズを用いて湿式混合することができる。
【0030】
一方、高容量MLCC機種のシート(sheet)薄層化によって印加される電界が高くなり、これによってIR及びTCC特性の劣化が問題とされ得る。従って、このような問題点を解消するために、本発明では必要に応じて上記粉砕されたBaCO3スラリーにTiO2スラリーのみならず、CaCO3スラリーを混合することができる。このようなCaCO3スラリーの混合で後続する工程によりCaドーピングされたBaTiO3、すなわち、微粒のBaCaTiO3粉末を製造することも可能である。
【0031】
次いで、上記混合されたスラリーを乾燥することにより乾燥された混合粉末を製造するが、この際、その乾燥温度を200℃以下にすることが望ましい。そして、本発明では上記乾燥方法に制限されないが、スプレー乾燥方式がより有益であると言える。
【0032】
そして、本発明では必要に応じて上記乾燥された粉末をアトマイザー(atomizer)を用いて粗粉砕することもできる。
【0033】
次いで、本発明では上記乾燥された混合粉末を仮焼することによりBaTiO3粉末やBaCaTiO3粉末のような誘電体用セラミック粉末を合成する。この際、仮焼工程でBaCO3粉末とTiO2粉末が固相反応によりBaTiO3誘電体用粉末を形成することができると共にCaCO3粉末がさらに混合される時CaドーピングされたBaCaTiO3粉末を製造することができる。好ましくは、上記仮焼温度を900〜1100℃に制限するのである。
【0034】
このように合成された粉末等は一次粒子同士にネッキング(necking)が形成されており、MLCCに使用するためには一次粒子の損傷がない条件で分離をする工程を経ることが通常であり、そのために本発明では上記合成されたセラミック粉末を未粉砕することができる。このような未粉砕工程はビーズミルで解砕(deagglomeration)する工程を経て效果的に進むことができる。
【0035】
上述した製造工程によって製造された誘電体用セラミック粉末は、通常の固相反応法を適用しながらもFE−SEM写真から平均粒度が150nm〜250nm範囲の微粒であり、D10/D50が0.6以上、D90/D50が1.4以下の均一な粒度分布を有することができる。
【0036】
また上記誘電体用セラミック粉末はBET比表面積が5.0m2/g以上であり、FE−SEM写真から、セラミック粉末の結晶格子c軸とa軸の比であるc/a比が1.009以上の優れた結晶化度を示すことができる。
【0037】
一方、上記のように備えられた誘電体用セラミック粉末に、有機バインダー、溶剤及びその他の添加剤を混合してセラミックスラリーを備え、これを通常のテープキャスティング(Tape casting)法を利用してMLCC用誘電体層、すなわち、グリーンシートを製造することができる。この際、添加剤にはY2O3、Mn3O4、Cr2O3、Glass等を挙げることができる。
【0038】
図3は本発明の誘電体セラミック粉末を用いて製造された積層セラミックキャパシターを示す断面図である。図3に示すように、積層セラミックキャパシター(10)は、誘電体層(1)と、その誘電体層の間に交互に配列された多数の内部電極(3)を含むセラミック積層体と、上記セラミック積層体の両端部に形成された外部電極(5)を含んで構成され得る。
【0039】
このようなキャパシター(10)を製造するためには、予め上述したように備えられた誘電体用セラミック粉末を含んだセラミックスラリーを利用して通常のテープキャスティング(Tape casting)法で誘電体層(1)を形成し、次いで、その誘電体層(1)上に内部電極(3)を通常のスクリーン印刷法で形成する。そして、このような未焼成誘電体層(1)を含んだセラミック積層体を焼成した後、その両端部に導体ペーストを与えた後、焼成することにより外部電極(5)を有する積層セラミックキャパシター(10)を製造することができる。
【0040】
上述したように、本発明はBaCO3粉末とTiO2粉末を均一に分散及び混合させるためにTiO2粉末との混合前に、針状のBaCO3粉末のみを単独に湿式粉砕してその粒子形象を球状にし、その粒子大きさを大きく減少させることによりTiO2との均一な混合が可能となる。また、その仮焼工程時BaCO3粉末粒子等の間の粒子成長が起きる前にTiO2粉末と反応することにより150〜250nmの微粒且つ結晶化度(tetragonaloty)が高い均一な誘電体用セラミック粉末を製造することが可能である。
【0041】
また、上記製造工程で製造された誘電体用セラミック粉末を用いて積層セラミックキャパシターを製造すると、シートの薄層化が可能になり製造されたMLCCの大容量及び小型化を效果的に実現することができるのである。
【0042】
以下、好ましい一実施例を参照にして本発明を詳しく説明する。
【実施例1】
【0043】
比表面積が20m2/gのBaCO3原料粉末を備えた。そして、これらの中の一部を蒸溜水とポリアクリル系分散制の混合溶液に分散させBaCO3スラリーを製造し、この際、上記製造されたBaCO3スラリー中のBaCO3量が重量比で10〜60%範囲になるように上記溶液にBaCO3原料粉末を添加しスラリーを製造した。このようなスラリーを直径0.3mm大きさのジルコニアビーズをミリングメディアで使用するビーズミリタイプの装備を用いて18時間の間に湿式粉砕した。そして上記湿式粉砕途中BaCO3の粒子が小くなることにつれ粘度が急に増加することを考慮し、8時間ミリング以後アンモニアを添加し粘度減少を誘導した。このように湿式粉砕されたBaCO3粉末の比表面積は31m2/gで、初期に比べて大きく増加し、粒子の形状が球状に近い形態を表した。
【0044】
BaCO3粉末の湿式粉砕前後の電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)写真が図4a〜bに示している。上記図面等に示すように、湿式粉砕前に針状のBaCO3粉末が湿式粉砕後に球状のより微細な粉末が得られることが判る。
【0045】
一方、上記のように湿式粉砕されたBaCO3スラリーに比表面積45m2/gのTiO2スラリーを混合した後ビーズミル(beads mill)を使用して混合し、この際、BaTiO3粉末でBa/Tiが1になるように混合粉末をスラリーで備えて混合した後スプレードライ(spray drying)法で乾燥して混合粉末を製造した。そして、比較のために湿式粉砕してないBaCO3原料粉末をTiO2粉末と混合して混合粉末を製造した。
【0046】
このように最終混合された粉末に対するFE−SEM写真が図5a〜bに示している。図5aは湿式粉砕されなかったBaCO3粉末がTiO2粉末と混合された時のFE−SEM写真であり、図5bは湿式粉砕されたBaCO3粉末がTiO2粉末と混合された場合のFE−SEM写真である。図5a〜bに示すように、湿式粉砕されなかったBaCO3粉末がTiO2粉末と混合された場合その混合が不均一であるが、湿式粉砕されたBaCO3粉末が利用された場合には各構成元素等の間に均一な混合が可能であることが判る。
【0047】
また、仮焼熱処理工程でBaCO3粉末粒子の昇温時粒子成長が起きるか否やかを確認するために、上記のように備えられたそれぞれの混合粉末を600℃〜1000℃の温度範囲で仮焼熱処理実験を行なった。その結果、図6aのように湿式粉砕されなかったBaCO3粉末を用いる場合には900℃でBaCO3粉末粒子間粒子成長が大幅に起こることに対し、図6bのように湿式粉砕されたBaCO3粉末を用いた場合、粒子成長が観察されず、均一な粒子のBaTiO3粉末の合成が可能であることが判る。
【実施例2】
【0048】
【表1】
【0049】
比表面積20m2/gのBaCO3原料粉末を備えた。そして、これらの中の一部を蒸溜水とポリアクリル系分散制の混合溶液に分散させBaCO3スラリーを製造し、この際、上記製造されたBaCO3スラリー中のBaCO3量が重量比で10〜60%範囲になるように上記溶液にBaCO3原料粉末を添加してスラリーを製造した。このようなスラリーを直径0.3mm大きさのジルコニアビーズをミルメディアで使用するビーズミルタイプの装備を用いて18時間の間湿式粉砕した。そしてこのような湿式粉砕中BaCO3の粒子が小くなるにつれ粘度が急に増加することを考慮し、8時間ミリング以後、アンモニアを添加して粘度減少を誘導した。このように湿式粉砕されたBaCO3粉末の比表面積が上記表1に示している。
そして上記のように湿式粉砕されたBaCO3スラリーに上記表1のようにその比表面積を異にするTiO2原料粉末をスラリー状でビーズミルを使用して混合し、この際、BaTiO3粉末でBa/Tiが1になるように混合粉末をスラリー状で混合した後スプレードライ法で乾燥して混合粉末を製造した。
【0050】
一方、CaがドーピングされたBaCaTiO3誘電体用セラミック粉末を製造する場合には、上記表1のように、上記湿式粉砕されたBaCO3スラリーにTiO2粉末のみならず、比表面積30m2/gのCaCO3粉末をスラリー状態に混合し、この際、(Ba0.98Ca0.02)1.000TiO3粉末が得られるようにTiO2粉末とCaCO3粉末の混合粉末をスラリー状態に混合した後、スプレードライ法で乾燥して混合粉末を製造した。
【0051】
一方、比較のために上記表1のように、比表面積20m2/gのBaCO3原料粉末中の一部を湿式粉砕せず、比表面積20m2/gのTiO2粉末に湿式混合した後乾燥させ混合粉末を備え、この際、BaTiO3粉末でBa/Tiが1になるように混合粉末を秤量して混合した。
【0052】
そして、このように備えられたそれぞれの混合粉末を乾燥した後、上記表1のような条件で仮焼処理することによりBaTiO3やBaCaTiO3誘電体用セラミック粉末を製造した。以後、上記セラミック粉末をビーズミルで解砕(deagglomeration)工程を進めることにより、最終粉末を製造した。
【0053】
このように製造されたそれぞれの粉末の特性を調査するためにBET比表面積を測定し、またXRD分析により粉末の結晶格子のc軸とa軸の比であるc/aを計算して結晶化度を測定しその結果を下記表2に示した。そしてFE−SEM形状からイメージアナライザ(Image analyzer)を利用して粉末の平均粒子大きさ(Dmean)を測定すると共に粒度分布の均一度を調査するために小さな粒子大きさからのそれぞれ10%累積分布(D10)、50%累積分布(D50)、90%累積分布(D90)を測定した後D10/D50、D90/D50値を計算した結果を下記表2にさらに示した。
【表2】
【0054】
上記表1〜2から判るように、BaCO3を湿式粉砕せず1020℃で仮焼処理した試料1の場合、その粉末粒子は176nmで微細であるが、結晶化度が1.007で高容量用誘電体粉末に要求される1.008以下より低く、1040℃で仮焼処理した試料2は結晶化度1.0097の約212nm大きさを有するBaTiO3が合成されることが判る。
【0055】
これに反して、BaCO3を湿式粉砕した後20m2/gのTiO2と混合した試料3はBaCO3を湿式粉砕しなかった場合より低い仮焼温度、すなわち、1020℃でも1.0097の高い結晶化度を有する199nmの微粒BaTiO3粉末を得ることができた。また、BaCO3を湿式粉砕した後比表面積45m2/gのTiO2粉末と混合した試料6は990℃で1.010以上の高い結晶化度を有する202nm微粒のBaTiO3粉末が合成され、960℃で仮焼した試料5は比表面積が5.68m2/gで非常に大きいながらもそれによる粒度が150nmで、非常に微粒であることにもかかわらず、1.0093の高い結晶化度を有するBaTiO3粉末の製造が可能であることが判る。
【0056】
また累積粒度分布から粒子均一性を比べるためにD10/D50、D90/D50を計算値を考慮し、そこでD10/D50は大きくてD90/D50は小さな値を有するものがより均一な分布を有すると言える。このような計算値を比べた時、BaCO3を湿式粉砕した場合が湿式粉砕しない場合と比べ、相対的にD10/D50は大きくて、D90/D50は小さいことから均一な粒度分布を有することが判り、湿式粉砕されたBaCO3を45m2/g比表面積を有するTiO2と混合した混合粉末の場合(試料5−7)らが最も均一な粒度分布を有することが判る。
【0057】
そして、Caが添加されたBaCaTiO3粉末の場合(試料8−9)でもBaTiO3粉末の特性と類似な挙動を示したが、990℃及び960℃で仮焼した後それぞれ198nmと155nmの平均粒度を有する均一なBaCaTiO3粉末を製造することが可能で、この際、結晶化度は全て1.0091以上と高い値を有した。
【0058】
一方、図7a、図8a及び図9aは上記試料2、3及び6にあたる誘電体用セラミック粉末のFE−SEM写真であり、図7b、図8b及び図9bはこれよりイメージアナライザ(image analyzer)を利用して粒度分布を測定して示したグラフである。上記図面から分かるように、湿式粉砕されなかったBaCO3粉末を用いた試料2に比べ、湿式粉砕されたBaCO3粉末を用いた試料3の場合がより均一な粒度分布を有することが判る。また、湿式粉砕されたBaCO3粉末を用いると共に比表面積が大きいTiO2粉末を用いた試料6の場合が最も狭い粒度分布を有することが判る。
【0059】
上述したように、本発明は実試例に従って詳しく説明されたが、本発明はこのような実試例の内容に制限されるものではない。本願が属する技術分野で通常の知識を有する者なら、たとえ実試例に提示されなかったが、添付された請求項の記載範囲内で多様な本願発明に対する模造や改良が可能であり、これら全て本願発明の技術的範囲に属することはあまりにも自明であると言える。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の誘電体用セラミック粉末の製造工程を示す工程図である。
【図2a】本発明の湿式粉砕時間による粒度変化を示すグラフである。
【図2b】本発明の湿式粉砕工程でBaCO3スラリーの粘度に与えるアンモニア添加影響を示すグラフである。
【図3】本発明の誘電体セラミック粉末を用いて製造された積層セラミックキャパシターを示す断面図である。
【図4a】湿式粉砕前のBaCO3粉末のSEM写真である。
【図4b】本発明によって湿式粉砕されたBaCO3粉末のSEM写真である。
【図5a】BaCO3粉末を湿式粉砕せずにTiO2粉末と混合して備えた混合粉末に対するFE−SEM写真である。
【図5b】本発明の方法で湿式粉砕されたBaCO3粉末をTiO2粉末と混合して備えた混合粉末に対するFE−SEM写真である。
【図6a】図5aの混合粉末を900℃で熱処理した後のFE−SEM写真である。
【図6b】図5bの混合粉末を900℃で熱処理した後のFE−SEM写真である。
【図7a】従来固相法で製造されたBaTiO3粉末の形状を示すFE−SEM写真である。
【図7b】図7aのBaTiO3粉末の粒度分布を示すグラフである。
【図8a】本発明の方法で製造されたBaTiO3粉末形状一例を示すFE−SEM写真である。
【図8b】図8aのBaTiO3粉末の粒度分布を示すグラフである。
【図9a】本発明の方法で製造されたBaTiO3粉末形状の他例を示すFE-SEM写真である。
【図9b】図9aのBaTiO3粉末の粒度分布を示すグラフである。
【符号の説明】
【0061】
1 誘電体層、3 内部電極、5 外部電極、10 積層セラミックキャパシター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶剤と分散制からなる溶液にBaCO3粉末を分散させてBaCO3スラリーを備えた後、これを湿式粉砕する工程、
上記湿式粉砕されたBaCO3スラリーにTiO2粉末をスラリー状で混合した後、これを乾燥する工程、及び
上記乾燥した混合粉末を仮焼することにより、BaTiO3粉末を製造する工程、を含む誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項2】
上記溶剤は蒸溜水とアルコールのいずれか1種であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項3】
上記分散制はポリアクリル系であり、上記BaCO3粉末に対して1〜5重量部で添加することを特徴とする請求項1に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項4】
上記BaCO3粉末はBET方法で測定した比表面積が5〜30m2/gの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項5】
上記BaCO3スラリー中のBaCO3量が重量比で10〜60%範囲になるように上記溶液にBaCO3粉末を添加してスラリーを備えることを特徴とする請求項1に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項6】
上記BaCO3粉末のBET比表面積が30m2/g以上になるように上記BaCO3スラリーを湿式粉砕することを特徴とする請求項1に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項7】
上記湿式粉砕工程中、スラリーの粘度減少のためにアンモニアを添加することを特徴とする請求項1に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項8】
上記アンモニアは上記溶剤重量に対し0.1重量部以上添加することを特徴とする請求項7に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項9】
上記TiO2粉末はその比表面積が20m2/g以上であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項10】
上記仮焼温度を900〜1100℃に制限することを特徴とする請求項1に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項11】
上記製造されたBaTiO3粉末を未粉砕する工程、をさらに含む請求項1に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項12】
上記未粉砕されたBaTiO3粉末はFE−SEM写真から平均粒度が150nm〜250nm範囲であり、D10/D50が0.6以上、D90/D50が1.4以下の均一な粒度分布を有することを特徴とする請求項11に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項13】
上記未粉砕されたBaTiO3粉末はBET比表面積が5.0m2/g以上であり、FE−SEM写真からその粉末の結晶格子c軸とa軸の比であるc/a比が1.009以上の優れた結晶化度を有することを特徴とする請求項11に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項14】
溶剤と分散制からなる溶液にBaCO3粉末を分散させBaCO3スラリーを備えた後、これを湿式粉砕する工程、
上記湿式粉砕されたBaCO3スラリーにCaCO3粉末とTiO2粉末をそれぞれスラリー状で混合した後、これを乾燥する工程、及び
上記乾燥された混合粉末を仮焼することによりBaCaTiO3粉末を製造する工程、を含む誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項15】
上記溶剤は蒸溜水とアルコールのいずれかの1種であることを特徴とする請求項14に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項16】
上記分散制はポリアクリル系であり、上記BaCO3粉末に対し1〜5の重量部で添加することを特徴とする請求項14に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項17】
上記BaCO3粉末はBET方法で測定した比表面積が5〜30m2/gの範囲であることを特徴とする請求項14に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項18】
上記BaCO3スラリー中のBaCO3量が重量比で10〜60%範囲になるように上記溶液にBaCO3粉末を添加してスラリーを備えることを特徴とする請求項14に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項19】
上記BaCO3粉末のBET比表面積が30m2/g以上になるように上記BaCO3スラリーを湿式粉砕することを特徴とする請求項14に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項20】
上記湿式粉砕工程中、スラリーの粘度減少のためにアンモニアを添加することを特徴とする請求項14に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項21】
上記アンモニアは上記溶剤重量に対し0.1重量部以上添加することを特徴とする請求項20に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項22】
上記TiO2粉末はその比表面積が20m2/g以上であることを特徴とする請求項14に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項23】
上記仮焼温度を900〜1100℃に制限することを特徴とする請求項14に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項24】
上記製造されたBaCaTiO3粉末を未粉砕する工程、をさらに含む請求項14に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項25】
上記未粉砕されたBaCaTiO3粉末はFE−SEM写真から平均粒度が150nm〜250nm範囲であり、D10/D50が0.6以上、D90/D50が1.4以下の均一な粒度分布を有することを特徴とする請求項24に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項26】
上記未粉砕されたBaCaTiO3粉末はBET比表面積が5.0m2/g以上であり、FE−SEM写真から、その粉末の結晶格子c軸とa軸の比であるc/a比が1.009以上の優れた結晶化度を有することを特徴とする請求項24に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項27】
誘電体層と、その誘電体層の間に交互に配列された多数の内部電極を有するセラミック積層体と、上記セラミック積層体の両端部に上記内部電極中の少なくとも一つと電気的に連結されるように形成された外部電極を含み、上記誘電体層は請求項1または請求項14の工程で製造された誘電体用セラミック粉末を含むことを特徴とする積層セラミックキャパシター。
【請求項28】
上記未粉砕されたセラミック粉末はFE−SEM写真から平均粒度が150nm〜250nm範囲であり、D10/D50が0.6以上、D90/D50が1.4以下の均一な粒度分布を有することを特徴とする請求項27に記載の積層セラミックキャパシター。
【請求項29】
上記未粉砕されたセラミック粉末はBET比表面積が5.0m2/g以上であり、FE−SEM写真からその粉末の結晶格子c軸とa軸の比であるc/a比が1.009以上の優れた結晶化度を有することを特徴とする請求項27に記載の積層セラミックキャパシター。
【請求項1】
溶剤と分散制からなる溶液にBaCO3粉末を分散させてBaCO3スラリーを備えた後、これを湿式粉砕する工程、
上記湿式粉砕されたBaCO3スラリーにTiO2粉末をスラリー状で混合した後、これを乾燥する工程、及び
上記乾燥した混合粉末を仮焼することにより、BaTiO3粉末を製造する工程、を含む誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項2】
上記溶剤は蒸溜水とアルコールのいずれか1種であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項3】
上記分散制はポリアクリル系であり、上記BaCO3粉末に対して1〜5重量部で添加することを特徴とする請求項1に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項4】
上記BaCO3粉末はBET方法で測定した比表面積が5〜30m2/gの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項5】
上記BaCO3スラリー中のBaCO3量が重量比で10〜60%範囲になるように上記溶液にBaCO3粉末を添加してスラリーを備えることを特徴とする請求項1に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項6】
上記BaCO3粉末のBET比表面積が30m2/g以上になるように上記BaCO3スラリーを湿式粉砕することを特徴とする請求項1に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項7】
上記湿式粉砕工程中、スラリーの粘度減少のためにアンモニアを添加することを特徴とする請求項1に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項8】
上記アンモニアは上記溶剤重量に対し0.1重量部以上添加することを特徴とする請求項7に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項9】
上記TiO2粉末はその比表面積が20m2/g以上であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項10】
上記仮焼温度を900〜1100℃に制限することを特徴とする請求項1に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項11】
上記製造されたBaTiO3粉末を未粉砕する工程、をさらに含む請求項1に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項12】
上記未粉砕されたBaTiO3粉末はFE−SEM写真から平均粒度が150nm〜250nm範囲であり、D10/D50が0.6以上、D90/D50が1.4以下の均一な粒度分布を有することを特徴とする請求項11に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項13】
上記未粉砕されたBaTiO3粉末はBET比表面積が5.0m2/g以上であり、FE−SEM写真からその粉末の結晶格子c軸とa軸の比であるc/a比が1.009以上の優れた結晶化度を有することを特徴とする請求項11に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項14】
溶剤と分散制からなる溶液にBaCO3粉末を分散させBaCO3スラリーを備えた後、これを湿式粉砕する工程、
上記湿式粉砕されたBaCO3スラリーにCaCO3粉末とTiO2粉末をそれぞれスラリー状で混合した後、これを乾燥する工程、及び
上記乾燥された混合粉末を仮焼することによりBaCaTiO3粉末を製造する工程、を含む誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項15】
上記溶剤は蒸溜水とアルコールのいずれかの1種であることを特徴とする請求項14に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項16】
上記分散制はポリアクリル系であり、上記BaCO3粉末に対し1〜5の重量部で添加することを特徴とする請求項14に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項17】
上記BaCO3粉末はBET方法で測定した比表面積が5〜30m2/gの範囲であることを特徴とする請求項14に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項18】
上記BaCO3スラリー中のBaCO3量が重量比で10〜60%範囲になるように上記溶液にBaCO3粉末を添加してスラリーを備えることを特徴とする請求項14に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項19】
上記BaCO3粉末のBET比表面積が30m2/g以上になるように上記BaCO3スラリーを湿式粉砕することを特徴とする請求項14に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項20】
上記湿式粉砕工程中、スラリーの粘度減少のためにアンモニアを添加することを特徴とする請求項14に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項21】
上記アンモニアは上記溶剤重量に対し0.1重量部以上添加することを特徴とする請求項20に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項22】
上記TiO2粉末はその比表面積が20m2/g以上であることを特徴とする請求項14に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項23】
上記仮焼温度を900〜1100℃に制限することを特徴とする請求項14に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項24】
上記製造されたBaCaTiO3粉末を未粉砕する工程、をさらに含む請求項14に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項25】
上記未粉砕されたBaCaTiO3粉末はFE−SEM写真から平均粒度が150nm〜250nm範囲であり、D10/D50が0.6以上、D90/D50が1.4以下の均一な粒度分布を有することを特徴とする請求項24に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項26】
上記未粉砕されたBaCaTiO3粉末はBET比表面積が5.0m2/g以上であり、FE−SEM写真から、その粉末の結晶格子c軸とa軸の比であるc/a比が1.009以上の優れた結晶化度を有することを特徴とする請求項24に記載の誘電体用セラミック粉末の製造方法。
【請求項27】
誘電体層と、その誘電体層の間に交互に配列された多数の内部電極を有するセラミック積層体と、上記セラミック積層体の両端部に上記内部電極中の少なくとも一つと電気的に連結されるように形成された外部電極を含み、上記誘電体層は請求項1または請求項14の工程で製造された誘電体用セラミック粉末を含むことを特徴とする積層セラミックキャパシター。
【請求項28】
上記未粉砕されたセラミック粉末はFE−SEM写真から平均粒度が150nm〜250nm範囲であり、D10/D50が0.6以上、D90/D50が1.4以下の均一な粒度分布を有することを特徴とする請求項27に記載の積層セラミックキャパシター。
【請求項29】
上記未粉砕されたセラミック粉末はBET比表面積が5.0m2/g以上であり、FE−SEM写真からその粉末の結晶格子c軸とa軸の比であるc/a比が1.009以上の優れた結晶化度を有することを特徴とする請求項27に記載の積層セラミックキャパシター。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図7b】
【図8b】
【図9b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図8a】
【図9a】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図7b】
【図8b】
【図9b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図8a】
【図9a】
【公開番号】特開2006−273708(P2006−273708A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34407(P2006−34407)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】
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