説明

誘電正接測定装置

【課題】 絶縁性材料の特性について漏れ電流の影響を除いて評価しうる誘電正接測定装置を提供する。
【解決手段】 誘電正接測定装置1には、交流電源2aと直流電源2bとが直列に接続されてなる試験電源2が設けられており、交流試験電圧eと直流試験電圧Eとが重畳された試験電圧を絶縁性材料からなる被測定対象物10に印加する構成をなしている。さらに、被測定対象物10に流れる電流ixと、試験電圧とは逆相の逆相電流I1とを入力電流として、これらを加算する電流加算器16が設けられ、この出力電流の直流成分が零になるように電流加算器16の入力電流を調整可能な可変抵抗器14が備えられている。そして、可変抵抗器14によって出力電流のうちの直流成分が零になるようにされたときの電流加算器16の出力電流と、試験電源2による試験電圧とに基づき、CPU25により漏れ電流成分I2の影響を除いた誘電正接tanδ’が算出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電正接測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁性材料の絶縁特性を評価する方法の1つとして、誘電正接 (以下 tanδ とも称する)を測定 する方法がある。従来の tanδ 測定方法には種々の方法があるが、例えば、試料と無損失の標準コンデンサに交流電圧Vを印加して、位相が不明な試料電流Ixと、印加電圧Vに対してπ/2進み位相となる標準コンデンサ電流Isとを検出し、この電流Isの位相を基準にして試料電流Ixの損失電流成分Irと充電電流成分Icとを求め、充電電流成分Icに対する損失電流成分Irの大きさの割合|Ir|/|Ic|からtanδを求めることができる。なお、図4には、tanδを求める上での概念図を示している。
【0003】
また、誘電正接を測定する方法の別例として、例えば、特許文献1に示すようなものもある。この文献に係る方法は、電線の絶縁劣化を検査する場合などに用いられ、電圧位相と被測定ケーブルの接地線に流れる電流位相との位相差から運転状態にある電力ケーブルの誘電正接を求めるようにしている。
【特許文献1】特開平8−36005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、被測定対象物たる絶縁性材料に交流電圧を印加すると、電子やイオンの分極によって流れる上述の充電電流成分と純抵抗分による損失電流成分が生じる。充電電流成分は、抵抗を受けながら回転する双極子分極と空間電荷を形成するため、時間遅れを起こす事によって生じる成分であり、また、純抵抗分は漏れ電流成分となって、絶縁性材料中を流れる電流成分である。
【0005】
従来の誘電正接測定装置では、被測定対象物に交流試験電圧を印加し、その交流試験電圧に基づいて被測定対象物に生じる充電電流成分の時間遅れによる損失成分電流と漏れ電流成分とが一体となった損失電流成分を取得することにより誘電正接を算出していた。この種の性能が要求される機器類で用いられる絶縁性材料の評価においては、一般的には漏れ電流の影響を無視できる場合が多いため、従来の誘電正接測定装置によって得られた値は、充電電流成分のみを反映するものとして評価される場合が多かった。
【0006】
このように、従来の誘電正接測定装置では、充電電流成分の内の損失電流成分とそれ以外の損失成分(漏れ電流成分等)とを区別することなく全電流を充電電流成分と考えて誘電正接を測定しており、漏れ電流成分の影響を除いて評価するようなことは行われていなかった。しかしながら、各種製品に用いるべき材料をより適切に選択するためには、従来の誘電正接測定装置よりも一層きめ細かな評価が望まれ、特に、漏れ電流成分の影響が無視できないような材料については、材料選定上、漏れ電流成分の影響を除いた特性がどのようであるかを評価する必要があることは自明である。
【0007】
例えば、自動車部品の分野では、絶縁性材料が高周波環境下で使用されるケースが増えてきているが、このような環境化で使用される部品の材料を選定する場合、高周波に対する特性やコスト等を考慮すると、絶縁性がそれほど高くない材料についても環境や適用箇所次第で使用の余地があるが、適用の可否を決定するには、漏れ電流成分の影響を除いた場合の特性がどのようであるかを評価することが望まれる。従来の誘電正接測定装置では、漏れ電流成分の影響が大きい絶縁性材料については、漏れ電流成分を無視できる材料と同等に評価を行うことができないため、このような材料は材料選択上の候補にすら挙がらなかったり、或いは、評価を行ったとしても、漏れ電流成分の影響から誘電正接が極端に大きくなるため、使用不可とされる場合が多く、このような評価上の不都合に起因して材料選択の余地が狭められていた。
【0008】
本発明は、上述の問題点を解決するために、絶縁性材料の誘電正接について漏れ電流成分の影響を除いて評価しうる誘電正接測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、誘電正接測定装置において、
交流試験電圧と直流試験電圧とが重畳された試験電圧を絶縁性材料からなる被測定対象物に印加する試験電源と、
前記被測定対象物と並列に接続され、前記試験電圧を反転した逆相電圧を出力する反転手段と、
前記試験電圧によって前記被測定対象物に流れる電流と、前記反転手段にて出力される前記逆相電圧に基づく逆相電流とを入力電流としてこれらを加算し、その加算レベルに対応した電流を出力する電流加算回路と、
前記電流加算回路の出力電流のうちの直流成分を検出してこれが零になるように前記電流加算回路の入力電流を調整する入力電流調整手段と、
この入力電流調整手段によって電流加算回路の出力電流のうちの直流成分が零になるようにされたときの前記電流加算回路の出力電流と、前記試験電圧とに基づいて前記被測定対象物の誘電正接に対応する信号を生成する誘電正接信号生成手段と、
が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本構成では、試験電源によって印加される試験電圧が反転手段によって反転され、逆相電圧の出力に基づいて逆相電流を生じるように構成されている。この構成において、試験電圧は直流試験電圧と交流試験電圧が重畳されるものであり、逆相電圧は、この重畳された試験電圧が反転されるものであるため、この逆相電圧によって生じる逆相電流には、直流試験電圧に対応した成分(逆相電流直流成分)と、交流試験電圧に対応した成分(逆相電流交流成分)とが含まれる。
【0011】
一方、被測定対象物に流れる電流は、漏れ電流成分と漏れ電流以外の電流成分とが含まれ、そのうちの漏れ電流成分については、直流試験電圧による直流漏れ電流成分と、交流試験電圧による交流漏れ電流成分が含まれることとなる。ここで、逆相電圧によって生じる逆相電流のうちの直流成分(逆相電流直流成分)と直流漏れ電流成分との加算が零となるように調整すると、交流漏れ電流成分と逆相電流のうちの交流成分(逆相電流交流成分)とも打ち消しあい、電流加算回路からは、被測定対象物に流れる電流のうちの漏れ電流成分を除いた電流成分に対応した電流が出力されることとなる。
【0012】
なお、本発明では、交流電圧を印加した場合に被測定対象物に流れる電流における、充電電流成分の損失電流成分に対する比を「広義の誘電正接」とし、充電電流成分の、損失電流成分から漏れ電流成分を除いた電流成分に対する比を「狭義の誘電正接」とし、これらを総称して「誘電正接」と定義する。そして、本発明では、この「狭義の誘電正接」の測定を行うようにしている。
【発明の効果】
【0013】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、試験電圧を被測定対象物に印加した場合に、その被測定対象物に流れる電流のうちの漏れ電流成分を取り除くことができ、被測定対象物の誘電正接を漏れ電流の影響を除いて評価できることとなる。したがって、被測定対象物についての高精度な評価が可能となり、被測定対象物を各種製品に用いようとする場合における使用可否判別の適正化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図3によって説明する。
図1は、本発明に係る誘電正接測定装置の実施形態1を模式的に示す回路図であり、図2は、図1の構成を概念的に示すブロック図である。
【0015】
(1.全体構成)
まず、本実施形態に係る誘電正接測定装置1の全体構成について説明する。誘電正接測定装置1は、例えば自動車用部品に用いられる各種絶縁性材料の誘電正接測定に用いることができるものであり、図1に示すように、この誘電正接測定装置1には、交流電源2aと直流電源2bとによって構成される試験電源2が設けられている。そして、この試験電源2により、交流試験電圧eと直流試験電圧Eとが重畳された試験電圧を絶縁性材料からなる被測定対象物10に印加する構成をなしている。
【0016】
被測定対象物10と並列に接続され、試験電圧(交流試験電圧eと直流試験電圧Eとの重畳電圧)を反転した逆相電圧を出力する反転増幅器12(反転増幅器は反転手段に相当する)が設けられている。そして、試験電源2からの試験電圧によって被測定対象物10に流れる電流ixと、反転増幅器12にて出力される逆相電圧に基づく逆相電流I1とを入力電流としてこれらを加算し、その加算電流を出力する電流加算器16(電流加算器16は電流加算回路に相当する)が設けられている。さらに、電流加算器16の出力電流のうちの直流成分を検出する直流検出器18が設けられており、この直流検出器18の検出結果に基づいて出力電流のうちの直流成分が零になるように可変抵抗器14(可変抵抗器14は入力電流調整手段に相当する)によって入力電流を調整可能とされている。
【0017】
そして、可変抵抗器14によって電流加算器16の出力電流のうちの直流成分が零になるように調整されたときの電流加算器16の出力電流と、試験電源2からの試験電圧とに基づいて被測定対象物10の誘電正接に対応する信号を、CPU25(CPU25は誘電正接信号生成手段に相当する)によって生成するように構成されている。以下、各要素について具体的に説明する。
【0018】
試験電源2は、交流電源2aと直流電源2bとが直列に接続されており、直流電源による直流試験電圧は、例えば、交流電源2aによる交流試験電圧の実効値の10%程度、或いはそれ以下に設定されている。この試験電源2による試験電圧が、被測定対象物10と反転増幅器12とに印加される構成をなしている。
【0019】
逆相電流生成手段11は、反転増幅器12と可変抵抗器14とを備えた構成をなしている。反転増幅器12は本発明の反転手段に相当するものであり、入力される試験電圧を反転増幅して出力する構成をなし、抵抗12aの抵抗値R1と抵抗12bの抵抗値Rsによって出力電圧値が調整されている。可変抵抗器14は、反転された出力電圧に基づく電流値を調整する機能を有し、直流電流計18の値が零になるように自動調整される構成をなしている。
【0020】
電流加算器16は、被測定対象物10を流れる電流ixと、逆相電流生成手段11によって生成された逆相電流I1とを加算する構成をなし、加算電流(ix+I1)に対応した電圧eoを出力するように構成されている。
【0021】
直流電流計18は、直流電流分のみの電流値を検出可能に構成されており、漏れ電流成分I2のうちの直流電源2bに基づいて被測定対象物10を流れた直流漏れ電流成分IRgと、逆送電流生成手段11によって生成された逆相電流I1のうちの直流試験電圧に基づく電流成分(逆相電流直流成分I1’)の加算直流電流の値を検出可能に構成されている。
【0022】
A/D変換器20は、電圧esに対応するアナログレベル信号と電圧eoに対応するアナログレベル信号とをA/D変換するように構成されており、これら電圧esと電圧eoに対応するそれぞれのアナログレベル信号を入力信号としてこれらに対応したデジタルレベル信号をCPU25に出力する。また、CPU25は、電圧esと電圧eoのレベルに基づく演算処理を行うように構成されている。
【0023】
(2.回路動作)
次に、誘電正接測定装置1の動作について説明する。
図3に示すように、交流試験電圧を印加した場合、検出される電流成分には、交流漏れ電流成分iRgと、交流漏れ電流成分の除いた電流成分iCxとが含まれる。このとき、交流漏れ電流iRgの値が極めて小さい場合には、tanδ(即ち、広義の誘電正接)とtanδ’(即ち、狭義の誘電正接)とが極めて近い値となるが、交流漏れ電流成分iRgの値が大きくなると、tanδとtanδ’の差が大きくなり、交流漏れ電流成分iRgの除いた電流iCxを正確に評価できなくなってしまう。
【0024】
そこで、本実施形態に係る誘電正接測定装置1では、交流漏れ電流成分iRgを取り除いた電流成分iCxを抽出し、この電流成分iCxと試験電源2の試験電圧に基づいて、交流漏れ電流成分iRgの影響を除いた誘電正接(即ち、交流漏れ電流成分iRgの以外の電流成分iCxによる損失の正接tanδ’)を求めるようにしている。
【0025】
本構成では、試験電源2によって印加される試験電圧が反転増幅器12によって反転され、逆相電圧の出力に基づいて逆相電流を生じるように構成されている。この構成では、試験電圧は直流試験電圧Eと交流試験電圧eが重畳されるものであり、逆相電圧は、この重畳された試験電圧が反転増幅されるものであるため、この逆相電圧によって生じる逆相電流には、直流試験電圧Eに対応した成分(逆相電流直流成分)と、交流試験電圧eに対応した成分(逆相電流交流成分)とが含まれる。
【0026】
一方、被測定対象物10に流れる電流ixは、漏れ電流成分I2と漏れ電流以外の電流成分iCxとが含まれ、そのうちの漏れ電流成分I2については、直流試験電圧Eによる直流漏れ電流成分IRgと、交流試験電圧eによる交流漏れ電流成分iRgが含まれることとなる。ここで、逆相電圧によって生じる逆相電流のうちの直流成分(逆相電流直流成分I1’)と直流漏れ電流成分IRgとの加算が零となるように調整すると、交流漏れ電流成分iRgと逆相電流のうちの交流成分(逆相電流交流成分I1”)についても打ち消しあい、電流加算回路16からは、被測定対象物10に流れる電流のうちの漏れ電流成分I2を除いた電流成分iCxに対応した電圧eoが出力されることとなる。以下、具体的に説明する。
【0027】
まず、試験電源2によって可変抵抗器14を流れる電流をI1とした場合、電流I1は、直流電源2bからの直流試験電圧に基づく電流成分(逆相電流直流成分I1’)と交流電源2aからの交流試験電圧に基づく電流成分(逆相電流交流成分I2”)の和となる。
【0028】
一方、直流電源2bからの直流試験電圧Eによって被測定対象物10を漏洩する直流漏れ電流成分IRgは、E/Rgであるため、I1’とIRgが加算によって零になるための可変抵抗器14の抵抗値REの条件は、I1’+IRg=0となり、−(E/Rs)・R1/RE+E/Rg=0となる。したがって、RE=Rg・R1/Rsとなる。
【0029】
一方、このときに交流電源2aからの交流試験電圧eによって可変抵抗器14を流れる電流I1”は、I1”=−(e/Rs)・R1/REであるため、I1”=−e/Rgとなる。また、交流電源2aからの交流試験電圧eに基いて被測定対象物10を流れる交流漏れ電流成分iRgは、iRg=e/Rgであるため、I1”+iRg=(−e/Rg)+e/Rg=0となる。
【0030】
即ち、交流試験電圧eに直流試験電圧Eを重畳した場合であっても、可変抵抗器14を流れる電流I1(即ち、−(E/Rg+e/Rg))と、漏れ電流I2全体とを加算すると零となるため、電流加算器26の帰還抵抗16aには電流iCxのみが流れることとなり、A/D変換器20には、電流iCxに対応した電圧eoが入力されることとなる。一方、A/D変換器20の一方の端子には、反転増幅器12の出力電圧es(即ち、試験電源2の電圧に対応した値)が入力される。
【0031】
(3.漏れ電流の影響を除いた誘電正接の算出)
CPU25では、有効電力と皮相電力とを演算している。まず、有効電力を算出するため、電圧es及び電圧eoに基いて、交流試験電圧eと電流成分iCxを同時にサンプリングし、これらのサンプリングレベルから平均電力Pを求める。同時サンプリングを1周期にn回行うとすると、有効電力は次の数式[数1]のように表すことができる。
【数1】

【0032】
有効電力Pは、P=E0・I0・cosθと表すことができる。なお、E0は電圧実効値であり、I0は電流実効値である。この式を変形すると、cosθ=P/(E0・I0)と表すことができ、誘電正接(tanδ’)は、tanδ’=P/Qと表すことができる。なお、Qは無効電力であり、次の数式[数2]から得ることができる。
【数2】

【0033】
CPU25では、電圧es、電圧eo、及び[数1]に基いて有効電力Pを演算し、かつ、交流試験電圧eのピークレベル及び電流成分iCxのピークレベルから、皮相電力E・Iを算出する。そして、有効電力Pと、この有効電力P及び皮相電力E・Iによって得られる無効電力Qにより、漏れ電流I2の影響を除いた誘電正接(tanδ’)が算出される。
【0034】
本実施形態に係る誘電正接測定装置1では、漏れ電流の影響を除いて誘電正接を測定することができる。即ち、従来のように被測定対象物10に生じる損失電流成分について、漏れ電流成分とそれ以外の電流成分とをまとめて考えるのではなく、漏れ電流成分I2とそれ以外の電流成分iCxとを区別して考え、漏れ電流I2の影響を除いて誘電正接(tanδ’)を評価することができる。したがって、被測定対象物10の特性をより精度高く評価できることとなり、特に、漏れ電流の影響が大きい材料については、その効果が極めて大となる。
【0035】
例えば、自動車用部品の分野においては、絶縁性材料が高電圧、高周波環境下で使用されるケースが増えてきているが、このような環境化で使用される部品の材料を選定する場合に、本発明に係る誘電正接測定装置1を用いることにより、絶縁性の低い材料についても特性を精度高く評価できることとなる。したがって、絶縁性の低い材料についての使用の適否を正確に判断することができ、材料選択の自由度が増すこととなり、ひいては、品質向上、コスト低減を効果的に図ることができる。
【0036】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、被測定対象物として自動車部品に用いられる各種絶縁性材料を例示したが、これ以外の絶縁性材料の測定に用いるようにしてもよい。
(2)上記実施形態では、試験電圧2において交流電源2aと直流電源2bとを一体的なものとして構成したが、直流電源2bを当該回路から取り外し可能に構成し、並列抵抗成分Rgを打ち消すように可変抵抗器14を調整した後に直流電源2bを取り外して交流試験電圧eのみを被測定対象物10に印加できるように構成してもよい。
(3)上記実施形態では、可変抵抗器14の抵抗値REを直流検出器18の値に基づいて制御により自動設定する構成を例示したが、手動設定する構成であってもよい。即ち、作業者が直流検出器18の検出結果(値の表示)を見ながら可変抵抗器14の抵抗値REを設定するような構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態1に係る誘電正接測定装置を例示する回路図
【図2】本発明の実施形態1に係る誘電正接測定装置を概念的に示すブロック図
【図3】漏れ電流の影響を除いた誘電正接測定の考え方について説明する説明図
【図4】従来における誘電正接測定の考え方について説明する説明図
【符号の説明】
【0038】
1…誘電正接測定装置
2…試験電源
2a…交流電源
2b…直流電源
10…被測定対象物
14…可変抵抗器(入力電流調整手段)
16…電流加算器(電流加算回路)
18…直流検出器(入力電流調整手段)
25…CPU(誘電正接信号生成手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流試験電圧と直流試験電圧とが重畳された試験電圧を絶縁性材料からなる被測定対象物に印加する試験電源と、
前記被測定対象物と並列に接続され、前記試験電圧を反転した逆相電圧を出力する反転手段と、
前記試験電圧によって前記被測定対象物に流れる電流と、前記反転手段にて出力される前記逆相電圧に基づく逆相電流とを入力電流としてこれらを加算し、その加算レベルに対応した電流を出力する電流加算回路と、
前記電流加算回路の出力電流のうちの直流成分を検出してこれが零になるように前記電流加算回路の入力電流を調整する入力電流調整手段と、
この入力電流調整手段によって電流加算回路の出力電流のうちの直流成分が零になるようにされたときの前記電流加算回路の出力電流と、前記試験電圧とに基づいて前記被測定対象物の誘電正接に対応する信号を生成する誘電正接信号生成手段とを有する誘電正接測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−170666(P2006−170666A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−360230(P2004−360230)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(592182012)総研電気株式会社 (3)
【Fターム(参考)】