説明

誤用抵抗性製剤

【解決手段】 薬学的組成物は、少なくとも二つの材料と混合された個人に誤用されやすい少なくとも一つの医薬品有効成分を有する可能性のある粒子を有することができ、第一の粒子は、実質的に不水溶性であり且つ少なくとも部分的にアルコール可溶性であり、第二の材料は実質的にアルコール不溶性であり且つ少なくとも部分的に水溶性であり、前記医薬品有効成分及び前記二つの材料は水及びアルコールの存在下で粒状化される。前記組成物はさらに、粉砕抵抗性を示す前記粒子上へのコーティングを含むことができ、アルコール性溶剤を用いて前記粒子に溶着される材料を有することができる。前記組成物は、さらに、脂肪/ワックスを含有する第二の粒子を有する。本発明は、コーティング粒子、前記組成物の多様な剤形、製造方法、及び錠剤化方法を含むものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年9月15日付けで出願された米国仮特許出願第60/845,128号、2006年9月15日付けで出願された同第60/845,127号、2006年9月15日付けで出願された同第60/845,126号、2006年9月15日付けで出願された同第60/845,151号、および2006年10月10日付けで出願された同第60/850,456号、の利益を主張するものであり、これらの開示はこの参照により本明細書に組み入れられるものである。
【背景技術】
【0002】
処方薬の中には送達を意図する医薬品有効成分(「API」)の制御放出を提供するものがある。制御放出は腸内での放出のように遅延放出の場合もあり得る。持続放出の場合もあり、その場合は摂取直後または摂取からほどなく放出が始まり、一定速度でまたは場合によっては長時間(通常約6〜24時間)にわたって持続する。多くの場合これは放出制御コーティングによって実現される。放出制御剤、特に徐放剤は、患者の一日摂取量を減少させるばかりでなく患者が過剰なAPIに曝露されることによる副作用の危険性を防止する上で好都合である。しかし、同じ理由により薬物誤用者は常にまたは短時間そのようなコーティングに苛立たされる可能性がある。それによってまさに誤用者が獲得を目指す効果である「恍惚(ハイ)」を生じる高い初期血中濃度を誤用者が獲得するのを防止できる可能性がある。
【0003】
実際、オキシコドンのようなオピオイドは経口用徐放製剤として利用できることがある。その一例がPurdue Pharma L.P.のOXCONTIN(登録商標)である。飲み込まれるとこれらの種類のタブレットは長時間(多くの場合6〜24時間)にわたって有効成分を徐々に放出する。このような持続放出は前記オピオイドの個々の粒子をコーティングする何らかのコーティングによって実現可能である。
【0004】
しかしこのようなタブレットは、その徐放構造または徐放特性(この例では徐放コーティング)を迂回されてレクリエーションドラッグとして誤用される可能性がある。実際、これらの徐放特性は噛んだりして薬剤を砕くことにより損なわれ得る。これによっていかなるコーティングや他の放出制御特性も粉砕可能であり、比較的大量のオピオイドが摂取後意図されたよりも早期に体内に放出されることになる。
【0005】
薬剤をより粉砕抵抗性/誤用抵抗性する方法には米国特許出願第2006/0104909号および同第2006/0193914号で開示された方法がある。薬剤を様々な材料でコーティングし、味覚マスキング、徐放、飲み込み易さなど他の目的を達成することも知られている。例として次の米国特許明細書を参照のこと:5,178,878;5,607,697;6,024,981;6,280,770;6,368,625;6,692,771;6,740,341;および2003/0180362。
【0006】
放出制御コーティングを無効にするもう一つの方法は、薬剤を水やエタノールなどの溶剤に溶かすことである。多くの処方薬はアルコールといっしょに服用すべきではないため、後者は特に危険であり得る。使用するコーティング材料によっては、エタノールまたは水が溶剤の役割を果たしてコーティングを溶かすか侵食し、意図された放出制御を無効にすることがある。得られた物質は薬物誤用者により全身、経口、または注射針で投与され得る。
【0007】
この種の溶剤誤用を抑止するために開発された技法がいくつか存在する。経口オピオイド化合物のための一つの誤用阻止法が米国特許出願第2006/0177380号に記載されている。本開示では、シリンジ吸引を妨害するゲル形成ポリマーを含む組成、および過分の活性化合物が吸入された時に不快感を引起す鼻粘膜刺激物について記載されている。このような誤用阻止法は経鼻または非経口誤用経路に対し設計されている。米国特許出願第2006/0193914号、同第2006/0188447号、同第2006/0193782号、同第2006/0204573号、同第2002/0110595号、同第WO2007/087452A2号、米国特許第6,607,751号および同第7,090,867号も参照のこと。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、剤形の製造、保管、および使用の改善を含む、あらゆる状況で使用され得る。しかし、本発明の利用から生じ得るある特定の利益は、医薬品有効成分(「active pharmaceutical ingredient:API」)含有粒子、コーティング粒子、または砕けにくく、溶けにくく、注射または別の方法で誤用されにくい剤形を与えることである。
【0009】
例えばオピオイド・オキシコドン(opioid oxycodone)など特定の薬剤は、鎮痛目的で患者に投与される。これらの患者の多くにおいて、疼痛管理をうまく行うには一日を通して一定の血中オピオイド濃度を維持する必要がある。製薬業界で一般に用いられる、好ましい血中濃度を得るための一つの方法は、その濃度を得るために必要とされるよりもはるかに大量の薬剤を投与することである。血中濃度はタブレットの摂取後比較的短時間(しばしば摂取後数時間(Tmax))で最大またはCmaxに達し、その後身体が薬剤を使用し、処理し、血液系から排出するに従って低下する。実現されたCmaxが十分に高く、薬剤に関する身体のクリアランスが十分に遅ければ、血中濃度は4〜12時間あるいはさらに長時間治療量以下の濃度に下がらない可能性がある。しかし、オキシコドンや実際には他の多くの薬剤の場合、これは非実用的かつ非効率な投与法である。その上、そのような初期高API濃度は患者に顕著な副作用を生じる危険性を有する。
【0010】
薬剤投与のもう一つの方法は、持続放出メカニズムの利用に関連する。持続放出は多くの異なった方法で達成可能であり、実現可能な多くの異なった放出プロフィールが存在する。単なる例証としてではあるが、消化管に曝露されるとそこにある液体で膨れ、ゆっくりと浸食されるか粒子内に含まれたAPI剤の湿潤および拡散を遅らせるような粒子の産生が可能であり、このようにしてはるかに低いCmaxおよびしばしばはるかに長いTmaxが実現される。0次放出が得られるのが理想的であり、多くの場合6時間若しくはそれ以上、できれば12時間若しくはそれ以上、最も好ましい場合は約24時間以上の長時間にわたって一定の放出速度および一定の血中濃度が達成される。この方策により一日必要摂取回数が減少するばかりでなく、不必要な初期高血中濃度によって生じ得る副作用への曝露を回避できる可能性がある。
【0011】
これらの種類の製品を誤用し「恍惚状態(ハイ)になる」ことを目論む者は、このような徐放および他の放出制御法によって挫折させられる可能性がある。これらの方策は、誤用者が実際に求め、通常の患者は好ましくないかむしろ危険な副作用と見なすであろう陶酔感若しくは他の生理作用を生じ得るような薬剤の高血中濃度の達成を積極的に防止する。このような処方薬誤用者は、徐放剤を単に噛み砕いたりすり鉢やすりこぎを用いて注射用に砕くなど様々な投与誤用法によって制御放出メカニズムを出し抜くことを学んでいる。そうすることによってAPI粒子および/または制御放出コーティングは破壊されるか損なわれ、より多くのAPIがさらに速やかに消化および吸収に晒され、誤用者がはるかに高い血中濃度を得るのが可能となる。
【0012】
このような誤用はより広範な結果をもたらすことがある。第一に、薬剤誤用が促進され、誤用者に重大な健康結果、場合によっては死さえも引起す可能性がある。このような誤用の結果はその誤用者およびその肉親をはるかに越えて広がる。実際、社会的問題にもなり得る。癌患者、術前術後の疼痛、関節炎や背部損傷による疼痛患者には疼痛に対処する薬剤が必要である。しかし、これらの処方薬は真に非合法の禁制品に比べ多くの場合自由に入手できるため、規制当局および取締り機関にとっては誤用の可能性が絶えない心配の種である。さらに、彼らの薬物中毒に対するサポートから生じる医療費、リハビリテーション費用、犯罪の増加など、薬物使用に関連した社会問題がある。
【0013】
第一の実施形態において、本発明は、コーティングされた粒子であって、少なくとも二つの材料と混合された前記粒子重量の約0.1〜約90%の量で、個人に誤用されやすい少なくとも一つの医薬品有効成分を有し、実質的に不水溶性であり且つ少なくとも部分的にアルコール可溶性であり、前記粒子重量の約1〜約90%の量で存在する第一の材料と、実質的にアルコール不溶性であり且つ少なくとも部分的に水溶性であり、前記粒子重量の約1〜約90%の量で存在する第二の材料とを有し、前記医薬品有効成分および前記二つの材料は水およびアルコールの存在下で粒状化されるものである、前記粒子と、粉砕抵抗性を示す前記コーティング粒子重量の約20〜約75%の量で提供される前記粒子上のコーティングであって、前記コーティングは、セルロースポリマー、メタクリレートエステル共重合体、メタクリル酸共重合体、およびセラックから成る群から選択される材料を有するものであり、前記材料はアルコール性溶剤を用いて前記粒子に溶着するものである、前記コーティングとを有するものである。
【0014】
他の実施形態において、本発明は薬学的組成物であって、少なくとも二つの材料と混合された前記粒子重量の約0.1〜約90%の量で、個人に誤用されやすい少なくとも一つの医薬品有効成分を有する粒子であって、実質的に不水溶性であり且つ少なくとも部分的にアルコール可溶性であり、前記粒子重量の約1〜約90%の量で存在するものである第一の材料と、実質的にアルコール不溶性であり且つ少なくとも部分的に水溶性であり、前記粒子重量の約1〜約90%の量で存在するものである第二の材料とを有し、前記医薬品有効成分及び前記二つの材料は、水及びアルコールの存在下で粒状化されるものである、前記粒子と、粉砕抵抗性を示す前記コーティング粒子重量の約20〜約75%の量で提供される前記粒子上のコーティングであって、前記コーティングは、セルロースポリマー、メタクリレートエステル共重合体、メタクリル酸共重合体、およびセラックから成る群から選択される材料を有するものであり、前記材料はアルコール性溶剤を用いて前記粒子に溶着するものである、前記コーティングと、前記薬学的組成物の重量の約1〜約50%の量で存在する脂肪/ワックスとを有するものである。
【0015】
さらにもう一つの実施形態において、本発明は薬学的剤形であって、少なくとも二つの材料と混合された前記粒子重量の約0.1〜約90%の量で、アヘン剤を有する粒子であって、前記粒子重量の約10〜約40%の量で存在するエチルセルロースを有する第一の材料と、前記粒子重量の約20〜約50%の量で存在するヒドロキシプロピルメチルセルロースを有する第二の材料とを有し、前記医薬品有効成分及び前記二つの材料は、水及びアルコールの存在下で粒状化されるものであり、前記粒子は、前記アヘン剤の有効量を提供するのに十分な量で存在するものである、前記粒子と、粉砕抵抗性を示す前記コーティング粒子重量の約40〜約60%の量で提供される前記粒子上のコーティングであって、前記コーティングは、セルロースポリマー、メタクリレートエステル共重合体、メタクリル酸共重合体、およびセラックから成る群から選択される材料を有するものであり、前記材料はアルコール性溶剤を用いて前記粒子に溶着するものである、前記コーティングと、最終剤形重量の約5〜約25%の量で存在する脂肪/ワックスと、少なくとも一つの賦形剤とを有するものである。
【0016】
さらにもう一つの実施形態において、本発明はコーティング粒子を製造する方法であって、少なくとも二つの材料と混合された前記粒子重量の約0.1〜約90%の量で、個人に誤用されやすい少なくとも一つの医薬品有効成分を混合する工程であって、前記少なくとも二つの材料は、実質的に不水溶性であり且つ少なくとも部分的にアルコール可溶性であり、前記粒子重量の約1〜約90%の量で存在する第一の材料と、実質的にアルコール不溶性であり且つ少なくとも部分的に水溶性であり、前記粒子重量の約1〜約90%の量で存在する第二の材料とを有し、前記医薬品有効成分及び前記二つの材料は、水及びアルコールの存在下で粒状化されるものであり、前記混合することによって湿性粒子を形成するものである、前記混合する工程と、前記湿性粒子を製粉し且つ乾燥させる工程であって、約50〜約700μmの平均粒径を有する粒子を形成するものである、前記製粉し且つ乾燥させる工程と、粉砕抵抗性を示す前記コーティング粒子重量の約20〜約75%の量で提供される前記粒子上にコーティングを溶着させる工程であって、前記コーティングは、セルロースポリマー、メタクリレートエステル共重合体、メタクリル酸共重合体、およびセラックから成る群から選択される材料を有するものであり、前記材料はアルコール性溶剤を用いて前記粒子に溶着するものである、前記溶着させる工程と、コーティングを乾燥させる工程とを有する、方法である。
【0017】
もう一つの実施形態において、本発明は疼痛を有する患者を治療する方法であって、薬学的剤形であって、少なくとも二つの材料と混合された前記粒子重量の約0.1〜約90%の量で、アヘン剤を有する粒子であって、前記少なくとも二つの材料は、前記粒子重量の約10〜約40%の量で存在するエチルセルロースを有する第一の材料と、前記粒子重量の約20〜約50%の量で存在するヒドロキシプロピルメチルセルロースを有する第二の材料とを有し、前記医薬品有効成分及び前記二つの材料は、水及びアルコールの存在下で粒状化されるものであり、前記粒子は、前記アヘン剤の有効量を提供するのに十分な量で存在するものである、前記粒子と、粉砕抵抗性を示す前記コーティング粒子重量の約40〜約60%の量で提供される前記粒子上のコーティングであって、前記コーティングは、セルロースポリマー、メタクリレートエステル共重合体、メタクリル酸共重合体、およびセラックから成る群から選択される材料を有するものであり、前記材料はアルコール性溶剤を用いて前記粒子に溶着するものである、前記コーティングと、最終剤形重量の約5〜約25%の量で存在する脂肪/ワックスと、少なくとも一つの賦形剤とを有するものである、薬学的剤形を投与する工程を有するものである。
【0018】
さらに別の実施形態において、本発明は薬学的組成物であって、少なくとも二つのポリマーと混合された、個人によって誤用されやすい少なくとも一つのAPIを含有する少なくとも一つの第一コーティング粒子を有するものであり、第一のポリマーは実質的に不水溶性であり且つ少なくとも部分的にアルコール可溶性であり、第二のポリマーは実質的にアルコール不溶性であり且つ少なくとも部分的に水溶性である。粉砕抵抗性を示すコーティングはアルコール含有溶剤から溶着されたエチルセルロースであっても良い。前記組成物は個人によって誤用されやすい投与に対する抵抗性を示す。さらに、この実施形態の組成物は第二の粒子を含有しても良く、その粒子は脂肪/ワックスであっても良い。
【0019】
別の実施形態において、本発明は薬学的組成物であって、水溶性アルコール溶剤中に拡散若しくは溶解された少なくとも一つのポリマーと混合された、個人によって誤用されやすいAPIを含有する少なくとも一つのコーティング粒子である。粉砕抵抗性を示すコーティングはアルコール含有溶剤から溶着される。
【0020】
さらに別の実施形態において、本発明は二つの粒子を有する薬学的組成物である。第一の粒子は薬学的有効量のAPIを有し、ポリマーでコーティングされている。第二の粒子は第一の粒子のAPIの誤用を抑制するのに十分な量の脂肪/ワックス材料を有するものである。
【0021】
別の実施形態において、本発明は薬学的に有効なコーティング粒子を作製する方法である。少なくとも前記APIは水溶性アルコール溶剤と混合されて湿性粒子となる。前記湿性粒子は粉砕、乾燥されて粒子サイズが約50〜約700μmの粒子となる。次に前記粒子をアルコール含有溶剤からの一つ若しくはそれ以上のコーティング材料でコーティングする。次にコーティングを乾燥させる。
【0022】
さらに別の実施形態において、本発明は剤形を作成する方法であって、少なくとも一つのAPIを水溶性アルコール溶剤中に混合し湿性粒子を作製するものである。次に前記湿性粒子を粉砕し、乾燥させて粒子サイズが約50〜700μmの粒子を作製する。次に前記粒子をアルコール含有溶剤からの一つ若しくはそれ以上のコーティング材料でコーティングする。次にコーティングを乾燥させる。次に前記混合物若しくはコーティング粒子を圧縮し、できれば10〜200ニュートンの硬度を有するタブレットを作製する。
【0023】
さらに別の実施形態において、本発明は薬学的組成物を投与する方法であって、誤用を阻害するタブレットを投与する工程を有し、前記タブレットは、少なくとも二つのポリマーと混合された、個人によって誤用されやすい少なくとも一つのAPIを含有する少なくとも一つのコーティングされた第一の粒子を含有し、第一のポリマーは実質的に不水溶性であり且つ少なくとも部分的にアルコール可溶性であり、第二のポリマーは実質的にアルコール不溶性であり且つ少なくとも部分的に水溶性である。粉砕抵抗性を示すコーティングは、アルコール含有溶剤から溶着されたエチルセルロースを含んでも良い。前記組成物は個人による投与誤用に対する抵抗性を示す。前記組成物は圧縮されてタブレットとなる。さらに、前記組成物は脂肪/ワックスを含有する第二の粒子を含んでも良い。
【0024】
一実施形態において、本発明は粉砕に抵抗性を示すコーティング(「CRコーティング」)を目指しており、これは出来上がりのコーティングされた粒子を粉砕することによる誤用の可能性に対し抵抗性を増すものである。本実施形態の一態様において、高度の可塑性を有するCRコーティング粒子およびこれらの粒子を含有する薬剤が存在する。本実施形態の別の態様において、前記CRコーティング粒子には任意の種類のAPI含有粒子に関する発明におけるCRコーティングが含まれる。本実施形態のさらに別の態様において、前記CRコーティングは粒子をコーティングし、溶剤曝露および/または注射による誤用に対する保護を提供する。
【0025】
前記CRコーティングにはポリマーが含まれ、アルコール基剤の溶剤を用いて適用される。前記ポリマーはアルコール基剤の溶剤には少しは可溶であるが(できれば溶けやすい方がよい)、水には溶けにくい。一実施形態において、前記CRコーティングにはセルロースポリマー材料が含まれ、アルコール基剤の溶剤(少なくとも約90重量%がアルコール、水は約10重量%以下)とともに適用されるか、アルコール基剤の溶剤から適用される。さらなる実施形態において、これらの基準を満たすセルロースポリマーはエチルセルロースである。本明細書に記載したように、アルコール基剤の溶剤に溶解若しくは拡散された場合、エチルセルロースは粉砕抵抗性を強めるなど、水単独または高い含水率(水が10%以上)の溶剤を用いて適用される同一のコーティングに比べ特性を強化する可能性がある。
【0026】
本発明の別の実施形態は制御放出CRコーティング粒子を含む剤形である。前記CRコーティングはそのような制御放出を提供し得る。「制御放出」は、長時間にわたりAPI放出を延長および/または定型化する持続放出および腸放出のような遅延放出の両方を包含する。特に好ましい実施形態において、前記制御放出CRコーティング粒子は放出を約6〜24時間にわたって延長するか、(薬が腸に入るまで放出を阻止するなど)放出を遅延させる。CRコーティングの耐久性増加により粒子の粉砕が防止され、より多くの粒子がインタクトに保たれ意図されたようなAPI放出が可能になる。あるいは、別のコーティングまたは他の特性(粒子のような)がそのような制御放出を提供することがある。好ましい実施形態において、本発明は制御放出CRコーティング粒子から成る誤用抵抗性剤形であって、APIはオピオイドであるか、さもなければ誤用される可能性があり、可塑性および/または溶剤への曝露および/または注射による誤用に対する保護を提供する。
【0027】
さらに別の実施形態において、本発明は制御放出結合剤を含み得る粒子であって、そのいずれが本発明のCRコーティングを含むCRコーティングでオーバーコーティングされているかいないかは分からない。
【0028】
できれば、特に本発明に基づいたCRコーティングとの関連で用いられた場合、この粒子はコーティング単独の使用以上に粉砕/誤用に対する抵抗性を提供できることが好ましい。
【0029】
一態様において、前記粒子は生じた粒子に顕著な可塑性を提供する比較的高濃度のポリマーを含有する。特に好ましい実施形態において、エチルセルロース、ヒドロキシプロピメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシメチルセルロース(HMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)など特定の変性セルロースはAPIとともに粒状化され、粒子にそのような可塑性を付与する可能性がある。好ましい一態様において、これらの変性セルロースは一般に水溶性であり、またC1〜C6アルコールなどの正常短鎖アルコールには一般に不溶性である。特定の操作理論に縛られるものではないが、そのような高可塑性粒子が提供可能な弾力性、柔軟性、衝撃吸収性などの特性は、特に本発明に基づいたCRコーティングに関連して用いられた場合、粉砕に対する抵抗性が一層高まるものと考えられる。
【0030】
実際、同様の大きさで同じAPIの二つの粒子を本発明の同じCRコーティングでコーティングしたところ、本発明の高可塑粒子の方が粉砕抵抗性において異なった粒子による同じコーティング製剤に勝ることが観察されている。
【0031】
本実施形態のさらに別の態様において、前記粒子は上記の可塑性を提供するポリマーのみならず、通常の短鎖アルコールに少しは可溶であるが(可溶であるのが好ましい)水には溶けにくいポリマーをも含有する。そのような組合せの一つがHPMCとエチルセルロースから成る結合剤である。これらの粒子は前記APIの溶解に対する溶剤抵抗性手段の提供、および/または前記粒子のゲル化手段の提供により、前記APIの注射能力を妨害する可能性がある。
【0032】
さらに具体的に言えば、この実施形態の一態様に基づき、本発明は次を含む湿性粒子を提供する:水にはせいぜい「わずかに可溶」であるがアルコールには少なくとも可溶である第一の材料、アルコールには「わずかに可溶」であるが水には少なくとも可溶である第二の材料、およびAPI。「わずかに可溶」とは、前記材料が前記溶剤の一つに一般的に溶けるが、問題の材料の単一部分を可溶化するのに約100〜1000部分の溶剤を必要とすることを意味する。前記材料はより大きな量には溶解または分散する可能性がある。この粒子を含有する剤形を溶解するか、またはそれを限られた量の溶剤に溶解し得られた溶液を注射できるようにする(溶剤は水、アルコール、またはそれらの混合)かのいずれにしろ、結果は不溶性塊からゲル、粘性スラリーにいたる一般的に注射不能な塊である。
【0033】
特に好ましく限定されない実施形態において、前記の溶けにくい材料は限定量の溶剤中でゲル化する。従って、この好ましい実施形態において、本発明は水にはせいぜいわずかに可溶であるがアルコール中ではゲル化する第一の材料と、アルコールにはせいぜいわずかに可溶であるが水中ではゲル化する第二の材料、および前述のAPIを含有する湿性粒子を提供する。これらの粒子はアルコールまたは水に溶けると膨れて粘着性物質を形成し、生じたスラリーを誤用者が注射しにくくなる。
【0034】
好ましい実施形態において、本明細書に記載した溶剤誤用抵抗性の提供に加え、これら二つのポリマーでできた前記粒子はAPIの制御放出、追加的粉砕抵抗性、および/または味覚マスキングを提供し得る。既述のように、これらの粒子は制御放出および/またはCRコーティングによるコーティングが可能である。
【0035】
別の実施形態において、本発明は溶剤誤用に抵抗性を示す剤形を提供する。この剤形は、水にはせいぜいわずかに可溶であるがアルコールには少なくとも可溶である第一の材料(ここでは第一の溶けにくい材料と呼ぶことがある)、アルコールにはせいぜいわずかに可溶であるが水には少なくとも可溶である第二の材料(ここでは第二の溶けにくい材料と呼ぶことがある)、およびAPIから成る乾燥させた湿性粒子を含む。また前記剤形には少なくとも一つの賦形剤が含有されるが、必ず含有されるとも限らず、また制御放出および/またはCRコーティングが施されていることもある。
【0036】
さらに別の実施形態において、本発明は二つの別個の粒子の組合せから成る製剤を含む:第一の粒子は有効成分を含有し、第二の粒子は脂肪/ワックス材料から成る。第一の粒子は上記の粒子および/またはCRコーティング粒子のいずれでもあり得る。前記製剤を用いて、溶剤急速放出法などの化学的改ざんに抵抗性を示すような剤形を作製することが可能である。本発明に基づく粒子の組合せは有効成分含有粒子に関連して溶剤のアクセスに対するバリアを作り出し、それによって活性粒子の意図された制御放出特性を保護、維持すると考えられている。
【0037】
本発明は医薬品有効成分を含有する第一の粒子および脂肪/ワックス材料を含有する第二の粒子から成る前薬学的組成物(pre−dosage form composition)を提供する。ここで第一粒子は第二粒子と明確に区別され、第二粒子は医薬品有効成分の第一粒子からの溶剤促進性放出に対抗するのに十分な量が存在する。本明細書に記載したように、APIは誤用抵抗性の粉末、結晶、粒子、コーティング粒子のいずれかである。
【0038】
一実施形態において、第一の粒子は医薬品有効成分としてオキシコドンを含有し、セルロースまたはセルロース誘導体でコーティングされており、第二の粒子はベヘン酸グリセリルを含有する脂肪/ワックス材料から成る。
【0039】
さらに本発明は薬剤の作製プロセスも提供する。一実施形態において、作製プロセスには本発明の粒子およびCRコーティング粒子の提供、それらと少なくとも一つの追加的成分若しくは賦形剤との混合、およびタブレット、カプセル、カプレット、粉末などの剤形形成が関与する。別の態様において、前記プロセスには次の段階が含まれる:医薬品有効成分を含有する第一粒子の作製、第一粒子と脂肪/ワックス材料から成る第二粒子との混合(第二粒子は出来上がった薬剤からの医薬品有効成分の溶剤促進性放出に十分対抗可能な量が選択され存在する必要がある)、および第一粒子と第二粒子の圧縮によるタブレットの作製。一実施形態において、第一粒子は第二粒子との混合前にコーティングしてもよい。
【0040】
また、本発明は化学的バリアを作り溶剤の医薬品有効成分へのアクセスをコントロールする剤形を提供する。この剤形は以下のプロセスにより作製される:前記剤形内に薬学的有効量のAPIを含有する第一粒子の作製、第一粒子からのAPIの溶剤促進性放出に十分抵抗可能な量で選択され存在し、脂肪/ワックスから構成される第二粒子の作製、第一粒子と第二粒子を組み合わることによる混合物の作製、および混合物からの固形剤の作製。一実施形態において、前記剤形は圧縮されたタブレットの形であり得る。
【0041】
別の態様において、本発明は溶剤の医薬品有効成分へのアクセスを制御する化学的バリアを提供するための剤形を提供する。この剤形は薬学的有効量のAPIを含有する第一粒子、第一粒子からの溶剤促進性API放出に十分対抗可能な量で存在し、脂肪/ワックス材料で構成される第二粒子、および粉砕抵抗性成分を用いて作製される。
【0042】
さらに別の好ましい実施形態において、本発明は溶剤誤用抵抗性と粉砕誤用抵抗性の両方を付与する前剤形組成を提供する。前記組成は、少なくとも二つのポリマーで粒状化された少なくとも一つのAPIを含有する第一粒子を含む。ポリマーの一つは水にほぼ不溶かつアルコールにはある程度可溶であり、もう一つのポリマーはアルコールにほぼ不溶かつ水にはある程度可溶である。第一の粒子はさらにアルコール基剤の溶剤を用いて適用されるエチルセルロースから成る粉砕抵抗性コーティングを含む。前記組成はさらに脂肪/ワックス(できればベヘン酸グリセリル)と少なくとももう一つの賦形剤を含有する第二粒子から成る。前記賦形剤はラクトースまたはマンニトールなどの充填剤でもよい。コーティングはさらにステアリン酸マグネシウムを含有することがある。前記剤形はバリアビーズ(barrier beads)も含有することがある。
【0043】
さらなる実施形態において、本発明は有効量のAPIおよび所望の粉砕抵抗性を付与する複数のバリアビーズから成る剤形を含む。前記バリアビーズは薬剤重量の約10〜90重量%含まれるのが好ましい。最も好ましいのは、バリアビーズがコーティングされていない、および/またはAPIを含有しないことである。また、薬剤には少なくとも一つの賦形剤が含有されるのが好ましい。API含有粒子、バリアビーズ、および賦形剤はよく混合されて前記剤形を形成する。
【0044】
本実施形態の別の態様において、前記バリアビーズのサイズはAPI含有粒子の平均サイズとほぼ同じである。実際、特に好ましい態様においては、バリアビーズの平均粒子サイズはAPI含有粒子の平均的粒子サイズよりも大きいか同じくらいである。本実施形態のさらに別の態様において、前記API含有粒子は被保護粒子であり、とりわけ制御放出粒子、味覚マスキング粒子、または粉砕抵抗性粒子であり得る。
本発明のさらなる態様には、本明細書に記載した粒子、粒子混合物、およびコーティング粒子の作製法に加え、本発明のコーティング粒子の使用法、特に薬剤誤用を削減する方法が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、本発明の実施例1および2に基づく粉砕抵抗性コーティングを施した粒子とそうでない粒子の溶解状況を比較して図示したものである。
【図2】図2は、様々なコーティング粒子の粉砕後の溶解状況に関し、本発明の実施例1および2に基づく粉砕抵抗性コーティングを施したものとそうでないものを比較して示している。
【図3】図3は、本発明の実施例1および5のCRコーティング粒子の溶解状況を示している。粒子には異なった濃度のポリマーが含まれている。
【図4】図4は、本発明の実施例1および5のCRコーティング粒子の粉砕後における溶解状況を示している。粒子には異なった濃度のポリマーが含まれている。
【図5】図5は、種々の割合のバリアビーズがある場合とない場合における各種コーティング粒子の溶解状況を比較したものである。三角形ラインはコーティング粒子単独を表す。ダイヤモンドラインは実施例6で作製されたセルフィア(celpheres)とコーティング粒子の混合物(50:50)を表す。Xラインはセルフィアとコーティング粒子の混合物(75:25)を表す。四角形ラインは実施例6のセルフィアとコーティング粒子の混合物(25:75)を表す。
【図6】図6は、実施例7に記載した材料を対象に行った比較試験を示す。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に従って作製されたオキシコドンHCl(10mg)錠に関し実施例11に記載したように、溶解状況の比較を示したチャートである。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に従って作製されたオキシコドンHCl(80mg)錠に関し実施例13で記載したように、溶解状況の比較を示したチャートである。
【図9】図9は、異なった割合のコーティング粒子を含む本発明の実施例14〜16のCRコーティング粒子の溶解状況を比較したチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
明細書は、発明が請求項で詳しく指摘され明確に主張されて終了するが、本発明は以下の説明によりさらによく理解されるものと考える。ここで用いるパーセンテージおよび割合は、特に別の指定がない限り、文脈の要求に従って、全薬剤またはコーティング粒子の重量に基づく。特に別の指定がない限り、測定はすべて25℃、正常圧で行われたものとする。特に別の指定がない限り、温度はすべて摂氏とする。本発明は本発明の成分およ本明細書に記載した他の成分若しくは要素を含むか基本的にそれらで構成される。ここに用いられたように、「含む」とは、列挙した要素、または構造若しくは機能におけるそれらの等価物、それに加えて列挙されていない他の要素すべてを意味する。「有する」および「含む」などの用語も、文脈がそれ以外を示唆しない限りは制約がないものと解釈すべきである。ここに用いられたように、「基本的に〜から構成される」とは、本発明が請求項で列挙されたもの以外の成分を含む可能性があるが、それはその余分な成分が主張する発明の基本的かつ新規な特性を実質的に変化させない場合に限ることを意味する。できればそのような余分なものはまったく存在しないか微量にしか存在しない方が好ましい。しかし、化合物の効用が維持される限りにおいて(効用の程度と対照的に)、本発明の基本的かつ新規の特性を実質的に変化させ得る物質を最大限約10重量%までは含有することが可能である。ここに挙げた範囲にはいずれも二つの値「間」の範囲を挙げるものを含めたエンドポイントが含まれる。「約」、「一般に」、「ほぼ」などの用語は用語や値を絶対的ではないように修正するものと解釈すべきであるが、先行技術では読まない。それらの用語は本分野の熟練者によって理解されるものであるため、状況およびそれらが修飾する用語によって規定されることになる。これには最低限、予想される実験上の誤差の程度、技術的誤差、および値の測定に用いられる所与の技術に対する装置誤差が含まれる。
【0047】
明細書および請求項は、本発明のタブレットまたは他の剤形が例えば特定の粒子サイズ若しくは分布若しくは特定の種類の例えば非直接圧縮糖(nondirect compression sugar)を有する粒子を含むものとして言及するかもしれないが、最終剤形からそれらの列挙が満たされたかどうかを見分けるのは困難であり得ることに留意されたい。しかし、最終的な調合およびタブレット製剤の前に用いられる材料が例えばその列挙条件を満たす場合は、そのような列挙が満たされる可能性がある。
【0048】
別の例において、コーティングされたAPI含有粒子は完成したタブレット中に実際に存在するためその重量増加を知るのは困難かもしれないが、もしそのタブレット作製に用いられたコーティングされたAPI含有粒子が最終的な配合および圧縮段階の前に好ましいコーティングレベルを実際に示すと判断されるのであれば、それで十分である。実際、剤形から直接確定されない剤形のどの特性についても、その特性が剤形の製造直前の製剤に存在するのであれば十分である。
【0049】
最初の実施形態において、本発明に基づいたCRコーティングの使用により、コーティングされた粒子の粉砕および/または用いられた制御放出の回避はさらに困難となる。但しCRコーティングは誤用が起こりうる状況に限定されない。本発明のCRコーティングは、特に本明細書に記載した粒子に使用された場合、粒子の粉砕程度を軽減できる。従って、構造および好ましい放出率は保持されるか、少なくとも損傷の程度は軽減される。また、本発明のCRコーティングは一つ若しくはそれ以上の制御放出コーティング若しくは構造のオーバーコーティングにも用いることが出来る。
【0050】
別の実施形態において、CRコーティング自体も制御放出を提供する。CRコーティングは異なった溶剤系の類似のコーティングに比べ受ける影響は少ないはずであるため、放出の長さ、程度、およびパターンは意図したものにより近いはずである。従ってCRコーティングは、例えばアヘンや特にフェンタニル、オキシコドンなど、鎮痛または疼痛緩和に用いられる誤用抵抗性剤形の製剤との関連で特に有用である。本発明のCRコーティングは、誤用される可能性は少ないが不適切に製造、梱包、搬送、または消費される可能性のあるAPIとの関連においても(圧縮力がかかり得るいずれの場所においても)利点を有する。
【0051】
「CRコーティング」という用語は、それによってコーティングされる材料にある程度の粉砕抵抗性を付与することのできるコーティングを意味し、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピル、ブタノール、tert−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ベンジルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、1,2プロパンジオール、1,3プロパンジオール、フェノールなどの低鎖アルコールC〜C、および約10%以下の水から成るアルコール基剤の溶剤を用いて適用される。CRコーティングはAPI含有粒子の硬度および/または復元力を増し、圧縮や粉砕によるストレスを受けた場合にも意図された好ましいAPI放出を確保する。但しそれはCRコーティングがどんな場合にも壊れないことを意味するものではない。実際、CRコーティングは粉砕、破裂、亀裂、破壊、または破砕などの発生を低下させる限りはしなやかかつ弾力的であり得る。
【0052】
本発明に基づくこれらのコーティングにおける粉砕抵抗性は、規定量のコーティングされたAPI含有粒子をすり鉢およびすりこぎを用いて粉砕し、粉砕された粒子を水などの溶剤に入れ、得られた溶液中のAPI放出量を測定し、それを異なった溶剤系から得られた同量の同コーティングでコーティングされたAPI含有粒子の同様の量と比較することにより測定可能である。本明細書に記載した粉砕抵抗性は、機械的ストレスの影響下におけるコーティングされた粒子からの薬剤(API)放出抵抗性と定義される。コーティングされた粒子からの薬剤放出は、修正の有無に関わらず、米国薬局方の最新版(<701>章2006)に記載されたように、溶解および薬剤放出の測定に用いられる方法および装置に従って測定される。粉砕抵抗性の評価のため、コーティング粒子からの薬剤放出は当初粒子をUSP装置中の適切な溶出溶媒に入れ、一定期間中にどれだけの薬剤が放出されるかを測定することによって測定される。コーティング粒子に機械的ストレスを加えた後、上記のようにストレスを受けたまたは改ざんされた被保護粒子からの薬剤放出を測定する。放出の増加は、機械的ストレスの適用前後の特定の時点におけるコーティング粒子からの薬剤放出の相違として計算される。増加程度が少ないほど粉砕抵抗性に優れている。機械的ストレスの例としては、すり鉢およびすりこぎまたは他の何らかの適当な構造物(ピストンとシリンダー、ボールミルなど)を用いて粒子に圧縮力および/またはせん断力を加えるなどがあるが、これらに限定されない。ストレスの大きさは加える力、粒子がストレスに晒される時間(すりこぎ/ピストンによる打撃数、ミルの操作時間)、およびすり鉢やすりこぎ(または他の道具)の構成材料を制御することによって制御可能である。本発明の一態様として、130mm ODの磁器製すり鉢と1ポンドのすりこぎを用いてコーティング粒子に機械的ストレスを加えた。要約すれば、粒子にすりこぎで12回擦り、各回につき叩きつけるような動作に続き水平に円を描くように擦った。ストレスを加えた粒子からのオキシコドン放出を0.1N HClを放出媒体に用いてUSP溶解装置2で測定した。
【0053】
同じコーティング材料でコーティングされた類似の粒子に高い含水率(10重量%以上)の溶剤を用いて同じプロセスを繰り返し、本発明のコーティングが他のコーティングに比べどれだけ放出を改善するかを示すことが出来る。
【0054】
本発明に基づいたアルコール若しくはアルコール基剤の溶剤とは、その材料に少なくとも約90%のC〜Cアルコール(できればC〜Cが好ましい)および最大約10重量%の水が含まれることを意味する。アルコールはエタノールであり、少なくとも約95重量%のアルコールと残りが水であればさらに好ましい。エタノールを約99重量%以上含んだ絶対エタノールを用いても良い。アルコール基剤の溶剤を用いたコーティングでは、含水率の高い溶剤によるコーティングを施した粒子に同様のストレスを加えた場合に比べ、放出が多少遅れるなど粉砕抵抗性が多少改善するはずである。
【0055】
一実施形態において、本発明に基づくCRコーティングの使用により、ここに示したようなUSP溶解試験における5分後のAPI放出量の増加は、ストレスを加えない粒子または剤形に比べせいぜい約25%となる。別の実施形態において、本発明に基づくCRコーティングおよび本明細書に記載した好ましい粒子の使用により、ここに示したようなUSP溶解試験における5分後のAPI放出量の増加は、ストレスを加えない粒子または剤形に比べせいぜい約25%となる。
【0056】
本発明に基づいたCRコーティングは、製薬業界で使用が許容されその溶解性を次のように特徴付けることの出きるすべての高分子材料を含む。高分子材料が適切であるためにはアルコール基剤の溶剤(アルコールを少なくとも90重量%含有する溶剤)に少なくともわずかに可溶である必要がある。しかし、好ましくは、アルコール基剤の溶剤に溶けやすい方がよい。その一方で、適切な材料は水には溶けにくいと考えられる。多くの場合水には事実上不溶である。溶けにくいポリマーとは、1部分の溶解に溶剤30〜100部分を要するポリマーである。溶けやすいポリマーは1部分の溶解に溶剤約1〜10部分を要するのみである。しかし、これらは一般的要件であることに留意されたい。特定の材料に関する製造業者の資料にその材料がアルコール基剤の溶剤に例えば少なくともわずかに可溶と記載されている場合、たとえ特定の試験によりその溶解性が上で論じた範囲に該当しなくてもCRコーティングへの使用を考慮することができる。本発明に基づき特に好ましい材料は、前述のアルコール基剤の溶剤とともに使用されるセルロースポリマー材料である。他の材料としては、エチルセルロース、メタクリル酸エステル共重合体(オイドラギットRS、RL、E、NEなど)、メタクリル酸共重合体(オイドラギットL、S、など)、セラックなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
特に好ましい実施形態においては、ポリマー材料はエチルセルロースである。エチルセルロースは不活性の疎水性ポリマーであり、基本的に味、臭い、色、カロリーがなく、生理的に不活性である。本明細書に記載したようにアルコール溶解性など他の要件を満たす限り、使用できるエチルセルロースの種類は多い。
【0058】
異なったエトキシ含有量のエチルセルロースを用いることが可能であり(N型:48.0〜49.5%、T型:49.6〜51.5%、X型:50.5〜52.2%、など)、いずれもデラウェア州WilmingtonのAqualon,Herdules Research centerから入手可能である。
【0059】
異なった分子量のエチルセルロースを用いることが可能であり、例えばN型のECポリマーは5% w/wのトルエン:エタノール(80:20)溶液を形成し、粘度は5.6〜8.0cps(N7)、8.0〜11cps(N10)、12〜16cps(N14)、18〜24cps(N22)、40〜52cps(N50)、80〜105cps(N100)などである。
【0060】
最後に、X型における2.65〜2.81など、エチルセルロースには無水グルコース単位当たり異なった程度のエトキシ置換基が含有され得る。N型の値は2.46〜2.58である。
【0061】
セルロース誘導体は、本明細書に記載したようにアルコール基剤の溶剤に溶解若しくは拡散すると粉砕抵抗性を高めるなど、水単独または高い含水率(アルコール約90重量%以下)の溶剤を用いて適用される同一のコーティングに比べ、粉砕抵抗性の上昇など意外な特性を付与する可能性がある。適用前の粉砕抵抗性コーティングにおけるポリマー対溶剤比は約1:100〜1:10であり、約1:20〜1:5であればより好ましく、最も好ましいのは約1:15〜1:7である。コーティングが乾くと出来上がった剤形中に溶剤の一部が検出されることがある。しかし、残留溶剤は剤形中に含まれるとしても少ない方が好ましい。本明細書に記載したように、CRコーティングでの使用について述べたこれらの材料は、単独使用若しくは水溶性ポリマーとの併用に関わらず、粒状化結合剤として使用可能である。
【0062】
CRコーティングには選択的に次の内の一つ若しくはそれ以上が含まれる:1)チャネリング剤、2)可塑剤、3)抗粘着剤、4)消泡剤、5)着色剤、および6)粘度調整剤。
【0063】
ポア形成剤とも呼ばれるチャネリング剤は溶剤中に溶解または拡散させることによってコーティング中に加えることが可能であり、不活性である方が好ましく、コーティングに用いられるポリマーに化学的変化を及ぼさない。水媒体(胃/腸内容物)への曝露により被膜から浸出することが意図されており、被膜内にチャンネルを形成し薬剤放出プロセスを促進する。この用語およびメカニズムはよく認識されているが、起きていることの正確な描写を反映していない可能性がある。それにもかかわらず、これらの材料はチャネリング剤として知られている。適切に使用すれば、名前やメカニズムがどうであろうとも、API放出を変化させることが可能である。
【0064】
チャネリング剤の例として、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸塩、クエン酸塩、リン酸カルシウム、塩化カリウムなどの塩類、スクロース、グルコース、ラクトース、マンニトール、ソルビトールなどの糖類、HPMC、MC、HPC、CMC、ポリエチレングリコール、ポロクサマー、PVP、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコールなどのポリマー、そのようなポリマーのグラフト共重合体またはブロック共重合体、および好ましくはポロクサマー類が挙げられる。これらはコーティング材料の乾燥ポリマー重量の0〜50%含まれる可能性があり、1〜40%の方が好ましく、5〜30%が最も好ましい。
【0065】
抗接着剤若しくは流動促進剤若しくは分離剤とも呼ばれる抗粘着剤は、コーティングプロセス中の粘着性および凝集を軽減するのに用いられ、ここで用いられる可能性がある。これらの材料の例として以下が挙げられる:ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、タルク、カオリン、および塩化ステアリルトリメチルアンモニウム。使用した場合、含有材料の乾燥ポリマー重量の0〜100%の濃度で使用可能であり、さらに好ましいのは20〜80%、最も好ましいのは20〜50%である。ステアリン酸マグネシウムが好ましい。
【0066】
コーティングまたはそれに続く熱処理中の膜形成過程を改善するため、コーティングに可塑剤を使用してポリマーのガラス転移温度を下げることもある。それらは柔軟性も付与する。溶剤中に溶解若しくは拡散させることによってコーティングに加える。可塑剤の例としては、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、ヒマシ油、ミバセット9〜40、グリセリルトリブチレートなどが挙げられる。これらはコーティングの乾燥ポリマー重量の0〜150%の濃度で使用可能であり、1〜50%の方がより好ましく、5〜50%が最も好ましい。
【0067】
被膜中の抗発泡剤を用いてコーティング溶解/分散準備プロセス中の発泡を低下させることが可能である。例としてはDow Corning社のAntifoam FG−10のようなシリコン基剤の抗発泡剤が挙げられる。抗発泡剤はコーティングのポリマー乾燥重量の0〜10%の濃度で使用可能であり、0.1〜5%の方がより好ましく、0.5〜5%が最も好ましい。
【0068】
製品差別化および審美目的のため、着色剤を用いることがある。例としてはFD&Cレーキ、D&Cレーキ、二酸化チタン、炭酸マグネシウム、タルク、焼成シリカ、酸化鉄、チャンネルブラック、天然着色剤、および不溶性染料などが挙げられる。着色剤はコーティングのポリマー乾燥重量に対し0〜25%の量で使用され、0.1〜10%の方がより好ましく、1〜5%が最も好ましい。
【0069】
高いポリマー含有量を維持しつつポリマーの溶解/分散粘度を下げコーティングプロセスを促進するために、粘度調整剤を使用することがある。有害な相分離を生じさせずに粘度を下げるためには、それらの濃度を慎重に選択する必要があるこれらの材料の例としてはクエン酸ナトリウムや塩化ナトリウムなどホフマイスターシリーズの上位に位置する塩があり、コーティング重量のコーティング溶解/分散の0〜0.1モル/リットルの濃度で使用可能であり、0.001〜0.05モル/リットルの方がさらに好ましく、0.005〜0.03モル/リットルが最も好ましい。
【0070】
本発明のCRコーティングを含むコーティングは、噴霧、浸し塗り、鋳込み、噴霧乾燥など(これらに限定されない)既知のいかなる方法でも適用可能である。さらに、CRコーティングは単層、複層いずれの可能性も有り、様々若しくは一様な粉砕抵抗層を有するように意図されている。CRコーティングの厚さは粒子重量が平均約30〜300%増加するのが好ましく、約50〜200%であればさらに好ましく、約65〜150%が最も好ましい。これらの数字はコーティングの一部としてのすべてのコーティング添加剤を反映している。これらの平均重量増加値はコーティング粒子若しくは粒子の重量に対し約20〜75%存在するコーティング材料に相当するが、約40〜60%であればさらに好ましい。
【0071】
コーティング前のAPI含有粒子の形状は、粉末、結晶、顆粒、粒子、微粒、ビーズなど(これらに限定されない)いずれでも良い。本発明に基づくこれらコーティング前のAPI含有粒子は、篩振盪法による平均粒子サイズが約100〜600ミクロンであるのが好ましく、約150〜500ミクロンであればさらに好ましく、約200〜400ミクロンが最も好ましい。別の好ましい実施形態において、コーティング前のAPI含有粒子のサイズ分布は、約10%以下が50ミクロン以下、10%以下が700ミクロン以上であるのが好ましい。当然のことながら、それらを上回るものおよび下回るものは廃棄することが可能である。
【0072】
CRコーティングは最外層若しくは最内層として適用することができ、非CRコーティングはCRコーティングの上、下、または間にコーティングすることが可能である。さらにCRコーティングは噴霧、浸し塗りなど、いかなる標準的コーティング法による適用も可能であると考えられる。また、本発明のCRコーティングは他の粉砕抵抗性および/または誤用抵抗方策とも併用可能である。
【0073】
CRコーティングでコーティングされた後は、コーティングされたAPI含有粒子の平均粒子サイズは篩盪法により約300〜1200ミクロンであるのが好ましく、約400〜1000ミクロンであればさらに好ましく、約500〜800ミクロンが最も好ましい。別の好ましい実施形態において、コーティングされたAPI含有粒子のサイズ分布は、約10%以下が75ミクロン以下、10%以下が1400ミクロン以上であるのが好ましい。繰り返しになるが、それらを上回るものおよび下回るものは廃棄することが可能である。
【0074】
本発明に基づくもう一つの好ましい実施形態において、上述のCRコーティングは単独使用の場合または他の構造若しくは要素と組み合わせて使用した場合にも、APIの制御放出を提供する。例えばCRコーティングのエチルセルロースは制御放出材料として作用し、APIをコーティングに包み目的とするAPI放出を維持する。本発明に基づいて有用である可能性のある他の制御放出材料としては次のようなものが挙げられる(これらに限定されるものではないが):ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、オイドラギットNE 30Dを含むメタクリル酸エステル共重合体、RS100、RL100、ポリ酢酸ビニル(PVA)、酸化ポリエチレン(PEO)、セラック、ゼイン、ポリ乳酸およびポリグリコール酸のポリマーおよび共重合体、アルギン酸塩、アルギン酸、カルボマー、脂肪、ワックス、グリセロール、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、コンプリトール、プレシロール、ゲルシル、修飾キトサン、カラギーナン、およびシリコンエラストマー。
【0075】
上記材料は、粉砕抵抗性材料に関し本明細書に記載したようなアルコール基剤の溶剤若しくは溶液から適用できる材料に限定する必要はないことに留意されたい。しかし、その溶剤系から同じものが適用され、粉砕抵抗性および制御放出の両方を付与する可能性がある。これらの材料は単層または複層で適用でき、また代替材料または材料の混合を用いて適用できる。従って例えば、HPMCの層を用いてAPI材料をコーティングした後、エチルセルロースを用いてコーティングすることが可能である。これらは同じまたは異なった溶剤系から適用可能であり、同じまたは異なった添加剤を含む可能性がある。
制御放出材料はエチルセルロースであるのが好ましく、それは制御放出と粉砕抵抗性の両方を提供できる量で用いられる必要があり、アルコール基剤の溶剤から適用すべきであることを意味している。CRコーティングおよび制御放出コーティングの両方として用いられた場合、エチルセルロースの量は両方の機能を考慮したものである必要がある。制御放出に関しては、コーティングに用いられる制御放出ポリマーコーティング材料の量は約20〜50であるが、約10〜60であればさらに好ましく、約25〜400が最も好ましい。また、API含有粒子はそれ自体が制御放出手段を提供する可能性がある。例えば、湿性粒子は水およびアルコール溶剤系を用いて作製したHPMCおよびエチルセルロースから製造可能である。この材料はそれ自体が粉砕抵抗性および/または制御放出の手段を提供し得る。
【0076】
また、アセトアミノフェン粒子の持続放出に関連してClementeらが2000年10月3日に発行した米国特許第6,126,967号も本発明に従って有用と考えられる。できれば、制御放出粒子にはプロビドンで結合されたアセトアミノフェンとステアリン酸マグネシウムの複数層でコーティングされた糖/でんぷん種子粒子若しくは固体支持体が含まれるのが好ましい。アセトアミノフェン含有層はポビドンとステアリン酸マグネシウムの混合物から成る複数層でコーティングされているのが最も好ましい。ここでアセトアミノフェンとステアリン酸マグネシウムの重量比は約5:1から10:1の間にあり、アセトアミノフェンは約70〜80%の制御放出粒子を含有する。これらは本発明のCRコーティングでコーティングされている。
【0077】
本発明のCRコーティングはどのAPI含有粒子にも適用することができる。これらの粒子はAPI単独粒子、球体もしくはノンパレイルにAPIをコーティングしたもの、薬剤粒子の混合物、湿性若しくは乾性粒状化粒子のいずれでもあり得る。好ましい実施形態において、API含有粒子はコーティング粒子への粉砕抵抗性の付与を支援する湿性粒子など(これらに限定されるものではないが)、本発明に基づくものである。湿性粒子とは湿式造粒法により製造される粒子または集塊であり、湿式造粒法とは粒子(小粒子であることが多い)が造粒機中で結合されるプロセスのことである。この目的のためには結合剤がしばしば用いられるが、粒子の中には結合剤を伴わない溶剤の存在下に粒状化するものもある。この場合、粉砕抵抗性の上昇分はコーティングに関し述べたごとくに測定することができ、コーティングは同じであるが粒子の性質は変更されている。
【0078】
湿性粒子はどのような種類の溶剤および/または結合剤を用いても作製可能である。しかし、できれば結合剤は水とアルコールの溶剤系で提供されるエチルセルロースがよく、水の量は約5〜50重量%であるが、約10〜40重量%であればさらに好ましく、20〜30重量%が最も好ましい。粒子に従来用いられたような賦形剤がさらに用いられることもある。
【0079】
別の実施形態において、本発明は十分な可塑性を提供する粒子に関連する。これは本発明のCRコーティングでオーバーコーティングされることがあるが、そうである必要はない。これらの粒子は湿性であることも乾性であることもあり比較的高率の選択されたポリマーを含有する。これらのポリマーは、いかなる操作理論に限定されるものでもないが、復元力、弾力性、可塑性などを付与し、緩衝のようなものを生じると考えられている。圧縮力を加えた後には可鍛性および/または変形さえもが生じ得るが、これらの材料が圧縮力を消散させ粒子全体に散在させることによってCRコーティングの損傷防御に役立つ可能性がある。さらにコーティングとの優れた粘着性を提供し、コーティングに亀裂が入るようなことがあっても、コーティングの大きな塊が表面から剥がれて広いギャップが露出し、そこから溶剤が入り込むようなことは考えにくい。特に好ましい実施形態において、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシメチルセルロース(HMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)など特定の変性セルロースはAPIとともに粒状化し、粒子にそのような可塑性を付与することができる。好ましい一実施形態において、これらの変性セルロースは一般に水溶性であり、また一般にC1〜C6アルコールなどの正常短鎖アルコールに不溶性である。特定の操作理論に縛られるものではないが、そのような高可塑性粒子が提供可能な弾力性のある、柔軟なまたは衝撃吸収特性は、特に本発明に基づいたCRコーティングに関連して用いられた場合、粉砕に対する抵抗性がさらに増す。
【0080】
実際、同じ大きさで同じAPIの二つの粒子を本発明の同じCRコーティングでコーティングしたところ、本発明の高可塑粒子の方が粉砕抵抗性において異なった粒子による同じコーティング製剤よりも勝ることが認められている。
【0081】
本実施形態のさらに別の態様において、前記粒子は上記の可塑性を提供するポリマーのみならず(これは一般に水溶性)、正常短鎖アルコールに少しは溶けるが水には少ししか溶けない第一の材料(できれば同じく可塑性を提供するものが好ましい)も含んでいる。そのような組合せの一つがHPMCとエチルセルロースから成る結合剤である。
【0082】
エチルセルロースはCRコーティングとの関連で先に述べたとおりである。HPMCを第二の溶けにくい材料として粒子に用いた場合、用いたHPMCのメチル対ヒドロキシプロピル代替(置換)率はA型の30:0、E型の29:8.5、F型の28:5、K型の22:8とそれぞれ異なり、いずれもミシガン州MidlandのDOW Chemical Companyから入手可能であり、それ以外のHPMCポリマーはAqualonなど他の仕入先から入手可能である。
【0083】
用いられるHPMCの分子量は、20℃で2%(w/w)水溶液を形成するHPMCポリマーなどそれぞれ異なり、粘着度はA型が15〜4000mPa.s、E型が3〜10,000mPa.s、F型が50〜4000mPa.s、K型が3〜100,000mPa.sである。
【0084】
さらに本発明は、好ましい実施形態において、溶剤使用に対する付加的誤用抵抗性も付与し得る。剤形の安全な溶解に容易に利用できる溶剤は少ない。水は言うまでもなくその一つである。エタノールは、危険ではあるが二番目である。他の溶剤も利用可能であるが、入手が不便であることが多く、および/または消耗性の永続的な副作用を有する可能性があり、中毒者でさえも無視できない。例えば、メタノールまたは木精は見つけるのは容易である。しかし、失明を引起す可能性がある。本発明のこの実施形態は二つの材料を利用しており、限られた量のアルコール、水、またはそれらの混合液に晒された場合、不溶性の塊からゲル、粘着性スラリーにいたる注射不能塊を形成する。さらにこれらの溶剤における溶解を遅延させる可能性がある。
【0085】
「限られた量」により、例えば水にはせいぜいわずかに可溶(しかしエチルセルロースのように、例えばエタノールには少なくとも可溶)な少量の材料が、それでもなお溶剤が十分にあれば溶解、分散、または少なくとも十分に希釈されて注射不能の塊を形成できない可能性がある、と理解できるであろう。従って、例えば本発明に基づくタブレットが、いったん溶解すると不溶性の塊またはゲルを形成するか、さもなければ水20mLの粘度を十分に上げて注射を遅延させ得る反面、例えば1リットル若しくはそれ以上の水の特性はほとんど変化させないであろう。言うまでもなく、そのような状況ではその1リットルを体内に注射し希望する「恍惚(ハイ)」を得るのは困難であろう。一般に、本発明に基づく限られた量は50ミリリットル若しくはそれ以下と定義され、20ミリリットル若しくはそれ以下であればさらに好ましく、5ミリリットル若しくはそれ以下(注射可能な量)が最も好ましい。従って、前記剤形に用いられる第一の溶けにくい材料は注射不能塊を形成するのに十分な量が入手できるものである必要があり、第二の溶けにくい材料は両方を含有する前記剤形を限られた量の水、アルコール、またはその両方に溶解(ある程度溶解するか溶解するように試みた場合を含む)した時に同じことが生じ得る必要がある。
【0086】
前述の必要条件を満たす材料であれば何でも本発明に基づいて使用可能である。結晶ではなく、高度に交差結合されておらず、できれば水若しくはアルコールにある程度可溶であり、薬学的に許容可能なポリマーであれば材料として適当である。しかし、エチルセルロース、HPMC、MC、HPCなどのセルロース材料が好ましい。これらの粒子は湿式造粒法のために必要に応じて結合剤および溶剤系を用いて作製可能である。特に好ましい実施形態において、前記湿性粒子には水とエタノールの両方を含む溶剤系で粒状化したエチルセルロース(EC)とヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の両方が含まれる。従って、前述の湿性粒子および可塑性を提供する粉砕抵抗性粒子のいずれもが溶剤抵抗性および/または注射遅延性も提供し得る。前記粒子における可塑ポリマーの量は、粒子にECとHPMCの両方が含まれる場合、約20〜90重量%が好ましく、約30〜90重量%であればさらに好ましく、約35〜90%が最も好ましい。また、HPMCは非コーティング粒子の重量の約15〜80重量%が好ましく、約20〜70重量%であればさらに好ましく、約30〜50%が最も好ましい。この粒子の残りはAPIと造粒法に通常用いられる任意の賦形剤である。これらは本発明のCRコーティングを含め、一つまたはそれ以上のコーティングでコーティングし得る。
【0087】
より具体的には、本発明のこの実施形態のこの態様に基づいた湿性粒子には少なくとも3つの成分が含まれる。第一の材料は水にはせいぜいわずかに可溶かつアルコールには少なくとも可溶である。この第一の溶けにくい材料は天然および合成でんぷん、天然および合成セルロース、アクリル、ビニル、および樹脂から選択される。できれば第一の材料はエチルセルロース、オイドラギットRS,RL,E,NE,L,S,およびセラックから選択される方が好ましい。最も好ましいのは、第一のゲル化可能な材料がエチルセルロースであることである。
【0088】
粒子に含まれる第一の溶けにくい材料の量は数多くの要素に依存する。例えば(これらに限定されるものではないが)、用いられるAPI、各剤形の一部として投与されるAPI用量、剤形のサイズ、好ましい粘度または正しい溶剤への曝露に際して望まれるゲル化、および第一の材料の性質である。しかし、前記粒子において限られた量の水にせいぜいわずかに可溶な第一の材料の量は非コーティング粒子の重量の約1〜90重量%であり、約5〜75重量%であればさらに好ましく、約10〜40重量%が最も好ましい。
【0089】
前記粒子に含まれる第二の材料はもう一つの溶けにくい材料である。この材料はアルコールにはせいぜいわずかに可溶であるが同量の水には少なくとも可溶である。第一の溶けにくい材料のように、摂取または注射が安全で前記特定条件下で注射不能の塊を形成し得る材料はどれも考慮される。しかし、第二の溶けにくい材料は第一の溶けにくい材料と同じ一般的範疇から選択されるのが好ましい。すなわち、天然および合成でんぷん、天然および合成セルロース、アクリル、およびポリアルキレン酸化物である。第一および第二のいずれの溶けにくい材料にも、天然および合成セルロースが好ましい。特に好ましい実施形態において、第二のゲル化可能材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、または酸化ポリエチレンから選択される。前記粒子に含まれる第二の溶けにくい材料の量は、第一のゲル化可能材料との関連で先に述べたものと同じ基準に依存する。しかし、その量は非コーティング粒子の重量の約1〜90重量%が好ましく、約10〜75重量%であればさらに好ましく、約20〜50%が最も好ましい。
【0090】
エチルセルロースをこの実施形態(または実際のところ、ここにあるどの実施形態でも)に用いる場合、異なったエトキシ含有量のエチルセルロースを用いることが可能であり(N型:48.0〜49.5%、T型:49.6〜51.5%、X型:50.5〜52.2%)、いずれもデラウェア州WilmingtonのAqualon,Herdules Research centerから入手可能である。
【0091】
異なった分子量のエチルセルロースを用いることが可能であり、例えばN型のECポリマーは5% w/wのトルエン:エタノール(80:20)溶液を形成し、粘度は5.6〜8.0cps(N7)、8.0〜11cps(N10)、12〜16cps(N14)、18〜24cps(N22)、40〜52cps(N50)、80〜105cps(N100)などである。
【0092】
最後に、X型に対する2.65〜2.81など、エチルセルロースには無水グルコース単位当たり異なった程度のエトキシ置換基が含有され得る。N型の値は2.46〜2.58である。
【0093】
本発明に基づく第一若しくは第二の溶けにくい材料に関し、明確な粒子サイズ制限は存在しない。しかし、それらの材料は注射不能塊を迅速に形成する能力を高めるのに十分なだけ小さい必要がある。
【0094】
上記のごとく、粒子には第一の溶けにくい物質と第二の溶けにくい物質が含まれる。しかし、前記粒子には、水せいぜいわずかに可溶かつアルコールには少なくとも可溶である一つ以上の物質および/またはアルコールにはせいぜいわずかに可溶かつ水には少なくとも可溶である一つ以上の第二の物質が含まれ得る。さらに、同程度の溶剤誤用抵抗性を付与するため、必要に応じ第三、第四の溶けにくい材料を追加することがある。
【0095】
湿式造粒は通常溶剤または希釈剤を用いて行われる。粒子作製に通常用いられる溶剤はどれでも検討対象となる。本発明に基づき好ましい溶剤には、水、短鎖アルコール(C10またはそれ以下、直鎖、分岐、変性など)、低分子ケトン(アセトン、メチルエチルケトンなど)、などがある。特に好ましい実施形態において、粒子の作製に用いられる溶剤系はアルコール(エタノールであればさらに好ましい)と水の混合液である。この材料を特にエチルセルロースとの関連で粒状化に用いると、粉砕抵抗性および/または制御放出を促進し得ることが判明した。この例における溶剤混合液は約10〜30%の水と残りはアルコールから成り、約20〜30%が水で残りがアルコールであればさらに好ましい。エチルセルロースは共粒子(cogranulate)として前記粒子の一部であり、溶剤および/または結合剤が加えるか、溶剤に溶解、分散、懸濁、または混合し、結合剤の一部として前記粒子に付加し得る。
【0096】
一般に、前記結合剤はそのままで作製する(湿ると結合剤として作用する乾燥材料に溶剤を加える)か、溶剤に噴霧するか、溶媒と混合する。場合によっては前記溶剤自体が結合剤として作用し得る。さらに、前記粒子に含まれることになる一つまたはそれ以上の成分を前記結合剤および/または溶剤系の一部として組み入れることも可能である。従って例えば、APIを前記溶剤および/または結合剤に溶解、分散、懸濁または混合し、第一および/または第二の溶けにくい材料または粒子の他の何らかの成分の粒子表面に適応することが可能である。これは前述の賦形剤に関しても言えることである。
【0097】
しかし、本発明の好ましい実施形態に基づいた粒子は、薬物使用者による注射を用いた誤用に対しても一定の防御を提供する必要がある。前記第一および第二の溶けにくい物質の存在は、剤形若しくはその内容物を水、アルコール、またはそれらの混合液に溶かそうとした場合、出来上がりが間違いなく注射不能の塊(粘着性があり不溶性の、および/またはゲル様の物質)となるように意図されている。第一および第二の溶けにくい材料の量は粒子中では同じになると考えてよい。但し、それは可能性であって、そうである必要はない。分子量、溶解性などの要素は、他と同じ相対効果を得るためには一つの材料がはるかに多量に必要とされることを意味し得る。しかし、剤形の観点から見て重要なことは、剤形を比較的少量(生じた液体を注射するか場合によっては鼻で吸い込もうという薬物誤用者の意図に一致した量)の水、アルコール、またはそれらの混合液に溶かした場合(または溶かそうと試みた場合)、注射不能の塊が生じ誤用者にとっては困難かつ魅力のないものになるほどに各材料が十分に含有されていることである。
【0098】
このように、第一および第二の溶けにくい材料に必要な量は、20ミリリットルの水および/またはエタノールに曝露された場合に上述のような注射不能塊が形成され誤用を生じにくくするような量であることが好ましい。さらに好ましいのは、10ミリリットルの水またはそれに見合ったエタノールへの曝露により注射不能塊が確実に形成されるだけの十分な量である。しかし一般的に、剤形に含まれる第一の溶けにくい材料の量は約0.1〜50重量%、できれば約1〜20重量%である。第二の溶けにくい材料の量は一般に約0.1〜50重量%であり、約1〜30重量%であればさらに好ましい。これらは剤形の重量に基づくものであり、粒子の重量に基づくものではない。このように、各剤形中の粒子の量は一般に約0.1〜90重量%であり、約10〜75重量%であればさらに好ましく、約20〜50重量%が最も好ましい。上記および本明細書の他の箇所に記載したように、重量パーセントは剤形または剤形作製前の総組成に関連する。
【0099】
本発明に基づいて使用し粒子を形成する賦形剤には、通常経口薬の形で用いられるものが含まれる。好ましい実施形態において、前記粒子にはどんな賦形剤が含有されてもよく、計測した上で造粒機に入れられる。
【0100】
とりわけ、一態様において、本発明は剤形の誤用抵抗性を高める方法に関連しており、前述のように第一のゲル化可能材料、第二のゲル化可能材料(いずれもここでの定義による)、および医薬品有効成分からの湿性粒子形成に関する各段階から成る。この粒子は水およびエタノールの溶剤を用いて作製されるのが好ましい。粒子は続いて乾燥によって目的とする含水率とされるのが好ましい。材料をオーブントレイなどの道具で乾燥させる必要はない。自然乾燥させればよい。粒子にコーティングを施すのは乾燥の前後いずれでもよく(または流動床でコーティングを施す場合、処理はほぼ同時に進行する)、本明細書に記載したように続いて粒子を少なくとも一つの賦形剤と混合し、できれば圧縮してタブレットを作製する。一つ以上のコーティングがあってよく、用いるコーティングはいずれも他で述べたようにCRコーティングを含み得る。
【0101】
さらなる好ましい実施形態において、本発明は生じる剤形の医薬品有効成分に化学的バリアを付与し得る前剤形組成を提供する。前記組成は、少なくとも二つの異なった粒子の組合せから成る。その一つは医薬品有効成分を含み、エチルセルロースおよびHPMCで作製されたような、溶剤/粉砕抵抗性粒子であるCRコーティング粒子を(制限なく)含有可能であり、本明細書に記載したようなCRコーティングでコーティングされたそのような粒子はこの第一の粒子として考慮される。前記組成はさらに脂肪/ワックス材料から成る第二の粒子を含有する。この組合せを用いて最終剤形を作製する。本発明の粒子系の混合および組合せにより、前記剤形は特に溶剤促進性の有効成分放出などの化学干渉に対する抵抗性を示す可能性がある。このように、本発明は放出率を有効成分の放出に関する初期所望速度と一致するように保持するのに役立つ可能性がある。さらに干渉抵抗性に優れた特性を付与するため、この好ましい実施形態を粉砕抵抗性粒子、粉砕抵抗性コーティング、および/またはバリアビーズ技術など他の誤用抵抗性技術と併せて使用することが出来る。
【0102】
この組成を用いて作製した剤形は化学分解(すなわち溶剤促進性の有効成分放出)に抵抗する2つの化学的バリアを提供し得る。この実施形態によれば、有効成分を含む第一の粒子はそれ自身がさらに第一粒子表面にコーティング材料を含み、粒状化され粉砕および/または溶剤抵抗性を提供するか、前述のように粒状化とコーティングの両方が行われる。二番目のバリアは第一の活性粒子に近接する第二の脂肪/ワックス粒子の組合せから生じるものであり、ここで二つの粒子は共同して活性粒子への溶剤のアクセス程度を制限するマトリックスを形成すると無制限に信じられている。
【0103】
粒子サイズは第一と第二の粒子または同じ粒子タイプ内の個々の粒子間で異なり得る。また、異なった活性粒子および異なる賦形剤/第二成分を有する活性粒子は本発明の規定の単一組成内で組み合わせることが可能である。
【0104】
有効成分を含む第一の粒子は単独若しくは一つまたはそれ以上の賦形剤とともに粉末、顆粒、結晶、集塊、マイクロクリスタリン、微顆粒、マイクロカプセルなどを形成する。できれば第一の粒子は顆粒であるのが好ましい。第一の粒子には医薬品有効成分に加え佐薬および賦形剤が含まれることがある。
【0105】
できれば前記有効成分含有の第一の粒子はコーティングされているのが好ましい。コーティングされた粒子の実施形態に関しては、第一の粒子は追加的粉砕抵抗性および/または組成中に含まれる医薬品有効成分の制御放出を提供するコーティング材料でコーティングされる。制御放出は腸溶コーティングまたは持続放出コーティングなどの遅延放出であり得、薬剤送達を長時間(例えば1〜24時間)遅らせる。
【0106】
一般に第二粒子での使用に適した脂肪/ワックス材料には動物性、植物性など天然材料のすべての脂肪(脂質)またはワックス様物質、または半合成または合成工程を経て得られたものが含まれる。これらには構造的に無修正または化学的に修飾された材料(リン脂質など)が含まれ得るが、但しヒトへの毒性があってはならない。さらに具体的に言えば、第二粒子に用いることのできる脂肪/ワックス材料として次の物質が挙げられる(これらに限定されるものではないが):グリセロール、プロピレングリセロール、ポリエチレングリセロール、ポリオキシエチレン(モノ−またはジ−エステル)などの脂肪酸(飽和、トランス型、一価不飽和、多価不飽和)エステル。脂肪/ワックス材料の組合せを用いることも可能である。脂肪/ワックスは融点に基づいて選択することも可能であり、低(体温よりも低い)、中、または高(60℃以上)融点脂肪およびワックスに分類される。チキソトロピック脂肪/ワックスを使用してもよい。
【0107】
第二粒子に適した脂肪/ワックス成分には次が挙げられる:グリセロール脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド誘導体、ワックスおよび脂肪アルコール(COMPRITOL(登録商標)(ベヘン酸グリセロール)、PRECIROL(登録商標)(パルミトステアリン酸グリセロール)、GELUCIRE(登録商標)(stearoyl macroglycerides)、カルナバワックス、ビーズワックス、マイクロクリスタリンワックス、セチルアルコール)。
【0108】
本発明によれば、脂肪/ワックス材料を含む第二粒子は、第一粒子からの医薬品有効成分の溶剤促進性放出に抵抗するのに十分な量が前剤形組成中に存在する。
【0109】
脂肪/ワックス材料を含む第二粒子には、剤形単位(タブレットなど)当たり約1〜50%の脂肪/ワックス粒子が含まれる。できれば前記剤形単位には約2.5〜30%の脂肪/ワックスが含まれるのが好ましく、約5〜25%が最も好ましい。これらの重量パーセントは前剤形組成における重量パーセントにも適用され、最終剤形と等しい重量パーセントを含む。
【0110】
一つの溶剤促進性有効成分放出シナリオにおいて、本発明の前剤形で作製された剤形が故意にまたは誤ってアルコールとともに摂取されることがある。これらの状況下では、前記組成に関連した化学的バリアが胃環境内において脂肪/ワックス粒子の防御バリア効果の大幅な分解に抵抗するのに十分な時間だけアルコールに対する抵抗を保持できる可能性がある。
【0111】
剤形の潜在的化学溶剤抵抗性に関する最適効果を提供するために、活性成分対脂肪/ワックス比を修正することが可能である。化学的または溶剤抵抗性対剤形の好ましい遅延放出パラメータのバランスをとることも考慮すべきである。従って、二つの一般要素が関与し得る:一つ目は用いるコーティング材料の厚さと種類、二つ目は剤形中の脂肪/ワックス粒子の量、である。言い換えれば、有効成分の放出は二重粒子システムとともにコーティング/持続放出材料を修正することによって制御可能であり、入り組んだ経路を形成することにより第一の活性粒子への化学的または溶剤アクセス、ひいては薬剤の拡散を遅延させる。これらの要素における変動が物理的改ざん/粉砕抵抗性に加え化学的抵抗性および遅延放出パラメータに影響を与える。
【0112】
有効成分含有の第一の粒子と脂肪/ワックス材料含有の第二の粒子を組み合わせて最終剤形の作製前に混合粒子を形成する。第一の粒子は本明細書で記載した湿性粒子、および/または本発明のCRコーティングでコーティングされたものである。この際に例えば、最終剤形(タブレットなど)の製造工程の一部として追加的若しくは二次的な成分を前剤形組成と組み合わせてもよい。例えば、剤形の製剤に噴霧乾燥ラクトースおよびEMCOMPRESS(無水第二リン酸カルシウム)を含めることが考えられる。
【0113】
別の実施形態において、本発明の組成をさらに粉砕抵抗性成分と組み合わせることが考えられる。生じる剤形は集合的改ざん抵抗性剤形であり、剤形からの早すぎる有効成分放出による化学的改ざんと物理的改ざんの両方に対する防御を提供する。
【0114】
さらなる代替的実施形態において、本発明にはバリアビーズの形態による粉砕抵抗性粒子が含まれる。バリアビーズとは、摂取され剤形の製剤に適合し、そこに含まれるAPI含有粒子の基礎構造および/または機能を防御することにより、混合物または剤形にある種の粉砕抵抗性を付与することができる任意の構造である。本発明に基づくバリアビーズは多くの場合防御対象である粒子よりも圧縮に強い材料からできている。
【0115】
一実施形態において、これらのバリアビーズは、製薬業界において薬物送達を目的に通常用いられる糖球(sugar sphere)または担体粒子から作製し得る。一般に、本発明のバリアビーズはAPI含有層でコーティングされない。しかし、本発明のバリアビーズはそれ自体がコーティングされており、複数の層でコーティングされていてその一つがAPI含有層であることもある。例えばAPIを吸収させた堅いマトリックス粒子であることもある。しかしそれらは混合物若しくは剤形中の他のAPI含有粒子の粉砕を軽減するのに十分な量に調整する必要がある。また、それらは加えられるすべての圧縮力の矢面に立つため、用いるコーティングおよびコーティングされた任意のバリアビーズからのAPI放出は損なわれるものと考える必要がある。従って例えば最初のAPIを担体粒子表面にまぶし、それを制御放出コーティングでコーティングすることも可能である。これらを例えば第一のAPIコーティング粒子の平均サイズよりも大きく粉砕に強い担体粒子を用いた第二のAPIコーティング粒子と混合することができ、粉砕に対しより大きな抵抗力が示された。第一の粒子は本発明に基づいたAPI含有粒子であり、第二の粒子はバリアビーズである。前記混合物を粉砕すると、バリアビーズ表面のコーティングが損なわれ、第一粒子表面の制御放出コーティング(APIコーティング粒子)よりもひどく損なわれる公算が強い。しかしこれは非限定的例示に過ぎない。実際、好ましい実施形態において、バリアビーズはコーティングされておらず、APIも含まない。
【0116】
好ましい実施形態において、本発明に基づき、バリアビーズは例えば(これらに限定されるものではないが)粒子、結晶、粒子、カプセル、小型錠、微粒子、微顆粒、マイクロクリスタリン、マイクロカプセル、担体粒子、球体、non−perellsなどから構成され得る。粒子、顆粒、および結晶には伝統的な意味がある。本発明に基づく粒子(剤形ではなく)との関連で用いた場合の「カプセル」には、リポソーム、ミセルなど、中が空洞の球形容器が含まれる。乾燥していることがある。バリアビーズの文脈における「マイクロ」は、粒子のサイズが約50ミクロン以下であることを意味する。できればバリアビーズはほぼ球形であるのが好ましいが、容積には変化があってもよく形も楕円形、卵型、棒型、規則および/または不規則形のいずれでもよい。その他、多角形、円柱形、ピラミッド形、棒形、円錐形、六角形、円盤形、立方形、長方形、またはそれらの組合せであってもよい。実際、非球形のバリアビーズには、それ自体がころがったり、小さなAPI含有粒子を粉砕する能力を制限することができるなどの利点がある。
【0117】
バリアビーズは、味覚マスキング物質、ポリマー、脂肪、脂質、炭水化物、ワックス、塩、ミネラルのうち一つ若しくはそれ以上から作製される粒子など、様々な種類の物質や混合物から構成され得る。単一物質または混合物質から成るバリアビーズは、パンコーティング、流動床コーティング、高せん断造粒を含む造粒プロセス、トップスプレー流動床造粒、噴霧乾燥、噴霧凝固、噴霧冷却、凍結乾燥により、それに続く製粉プロセスの有無に関わらず製造でき、目的とする粒子サイズ分布を実現できる。それ以外のバリアビーズ製造法も考慮される。
【0118】
しかし、好ましい実施形態においては、バリアビーズは砂糖から作られる。本発明に基づく「糖類」には、例えば砂糖、糖アルコール、ケトン類、単糖類、多糖類、オリゴ糖など他の形の炭水化物、およびセルロース、変性セルロースが含まれる。これらにはスクロース、マンニトール(噴霧乾燥、粒状)、ラクトース、マイクロクリスタリンセルロースが含まれる(これらに限定されるものではないが)。本発明に基づき最も好ましいのはスクロースおよびマイクロクリスタリンセルロースである。実用的な蔗糖球はPaulaur Corp.(105Melrich Road,ニュージャージー州Cranbury 08512)から入手可能である。実用的なマイクロクリスタリン球は旭化成によりセルフィアの名前で販売されている。住所は次の通り:100−8440 東京都千代田区有楽町1丁目1−2、日比谷三井ビル
バリアビーズのサイズは、とりわけAPI含有粒子の適用、サイズ、形状、構造、製造に用いられるバリアビーズの容積、バリアビーズが含まれる剤形の種類、バリアビーズの形状、およびバリアビーズの作製に用いられる材料により様々である。特に重要なのはAPI含有粒子の相対的サイズである。API含有粒子よりも小さなバリアビーズを用いることが可能であり、例えばバリアビーズの平均粒子サイズは篩による測定でAPI含有粒子の平均粒子サイズよりも25重量%小さい。しかし、バリアビーズの平均粒子サイズはAPI含有粒子の平均粒子サイズとほぼ同じかやや大きいくらいが一般に好ましい(これも篩に基づいた重量測定による)。バリアビーズの平均粒子サイズがAPI含有粒子の平均粒子サイズに比べ約1〜5倍であるのが好ましく、1〜3倍であればさらに好ましく、1〜1.5倍が最も好ましい。
【0119】
好ましい一実施形態において、バリアビーズの平均粒子サイズはAPI含有粒子の平均粒子サイズとほぼ同じ(約1〜1.5倍)であるのみならず、形状および色も同じである。これによって誤用者がバリアビーズとAPI含有粒子を区別するのが困難となり、その混合物または剤形の誤用を試みようとする気をさらに挫けさせる。
【0120】
本発明に基づき、バリアビーズのサイズは約180〜1800ミクロンであるが、約300〜1200ミクロンであればさらに好ましく、約500〜850ミクロンが最も好ましい。これは、バリアビーズの平均粒子サイズが、篩により重量に基づいて測定した場合、それらの範囲内に収まることを意味する。しかし好ましい実施形態においては、バリアビーズの粒子サイズは分布の点では極めて均一であり、多くの場合API含有粒子よりも均一である。好ましい一実施形態において、バリアビーズは少なくとも約75%が篩に基づいた重量測定によりこれらの範囲内に収まるように調整される。
【0121】
一般に本発明の混合物において、また同剤形においても、バリアビーズは混合物若しくは剤形の重量の約10〜90重量%を構成するが、約30〜90重量%であればさらに好ましく、約60〜90重量%が最も好ましい。混合物若しくは剤形の残りは、API含有粒子および何らかの追加的成分若しくは賦形剤である。API含有粒子は剤形若しくは混合物の重量の約0.1〜90重量%含まれ得る。
【0122】
一実施形態において、バリアビーズと防御粒子(例えば制御放出粒子、粉砕抵抗性粒子、味覚マスキング)の比は約10:90〜75:25であり、約75:25〜90:10であればさらに好ましい。
【0123】
別の実施形態において、バリアビーズとAPI粒子(被保護粒子)の重量比は約50:50〜90:10であり、約55:45〜85:15であればさらに好ましく、約60:40〜85:15が最も好ましい。さらに別の実施形態において、バリアビーズとAPI粒子集合体の少なくとも約66%がバリアビーズから成る。
【0124】
別の実施形態において、バリアビーズとAPI粒子の総合重量パーセントの大部分は平均的粒子サイズのバリアビーズであり(篩い分けによる測定で)、それらの粒子サイズはAPI粒子の平均サイズよりも最大25%小さいものから同最大50%大きいものまでの範囲にわたる。
【0125】
別の実施形態において、バリアビーズとAPI粒子の総重量パーセントの大部分はバリアビーズであり、API粒子には頑丈な粒子または粉砕抵抗性コーティングなど少なくとももう一つ別の粉砕抵抗性特性または構造が含まれる。
【0126】
本発明に基づくこの態様の剤形は以下のプロセスに従って作製可能である。本発明の組成に基づく第一の粒子を作製するためには、医薬品有効成分を造粒機内でまずは乾燥ミックスとしてポリマーと混合する。次に、前記ポリマー溶液を前記ミックス中に加え、粒状化が達成されるまで溶液を加える間に前記プロセスが持続する。出来上がった顆粒を、所定の製剤に対する所望の乾燥減量値が達成されるまで、部分的に乾燥させる。前記顆粒を次に製粉機で製粉し、続いて例えばLOD5%以下に乾燥させる。
【0127】
次に顆粒にステアリン酸マグネシウムを用いて目的とするコーティングレベルが達成されるまでボトムスプレー式流動床においてコーティングを施す(エチルセルロースのエタノール溶液など)。次に顆粒を脂肪/ワックス含有の第二粒子および他の賦形剤とともに混合する。
【0128】
少なくとも一つのAPIが必要である一方、複数のAPI使用も考慮される。本発明に基づく「API」または医薬品有効成分には、粒子と成り得、誤用されやすいが、その他の点では本発明で有用な物質が含まれる。そのような有効成分には、全身投与が可能な薬剤成分、ビタミン、ミネラル、栄養補助食品、さらに全身投与不能の薬剤が含まれる。本発明ではこのような物質の組合せも考慮される。薬剤成分としては以下が挙げられる(これらに限定されるものではないが):抗酸剤、鎮痛剤、覚醒剤、睡眠補助薬、睡眠薬、解熱剤、抗菌剤、抗不安薬、下剤、抗うつ薬、抗利尿薬、整腸剤、抗痙攣剤、抗炎症薬、抗生剤、利尿薬、食欲抑制薬、抗ヒスタミン薬、抗喘息薬、抗利尿薬、整腸剤、片頭痛薬、抗痙攣薬、鎮静剤、抗過活動薬、降圧薬、精神安定剤、充血除去剤、免疫抑制剤、抗癌剤、抗ウイルス薬、抗寄生虫薬、抗真菌薬、制吐薬、抗うつ薬、抗癲癇薬、局所麻酔薬、血管作用薬、抗喘息薬、骨格筋弛緩薬、パーキンソン薬、抗精神病薬、造血成長因子、抗高脂血症薬、抗凝血薬、線維素溶解薬、抗血栓剤、ホルモン、治療用タンパク質およびペプチド、抗不整脈薬、抗狭心症薬、ベータ遮断薬、およびこれらの組合せ。同じく本発明に基づいてAPIとして含まれるのが米国特許第5、234,967号明細書Mantelleの18列から21列に記載された薬剤および医薬品有効成分である。Mantelleの文章は本明細書の参考文献を参照されたい。本発明に基づく一実施形態において、APIは誤用される可能性が高い薬剤であるのが好ましい。本発明の好ましい別の実施形態において、APIはニュージャージー州Whitehouse StationnoのMerck&Co.,Inc.出版のMerck Index第13版(著作権2001)ページTHER−2およびページTHER−3に記載された麻薬性若しくは非麻薬性鎮痛剤である。当該麻薬性鎮痛剤としては以下が挙げられる(がこれらに限定されるものではない):疼痛緩和剤、オキシコドンのようなオピオイド、コデイン、ヒドロコドン、モルヒネ、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、メタン、プロポキシフェン、メペリジン、フェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、デゾシン、酢酸メタジル、レボルファノール、ナルブフィン、ペンタゾシン、レミフェンタニル、スフェンタニル、トラマドールなどの鎮痛剤。アンフェタミン、メタンフェタミン、デキサンフェタミン、メチルフェニデート、デクスメチルフェニデート、ペモリンなどの覚醒剤。アモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、メホバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール(以上バルビツール酸塩)、アルプラゾラム、クロナゼパム、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゾラム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、クアゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、プラゼパム、オキサゼパムなどの鎮静剤および睡眠薬。その他、モダフィニル、アルモダフィニルなど。特に好ましいAPIはオキシコドンである。
【0129】
本開示で用いた「ビタミン」は食事中に必要な微量有機物のことである。本発明の目的に関するビタミンには以下が含まれる(これらに限定されるものではないが):チアミン、リボフラビン、ニコチン酸、パントテン酸、ピリドキシン、ビオチン、葉酸、ビタミンB12、リポ酸、アスコルビン酸、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、およびビタミンK。ビタミンの補酵素もビタミンに含まれる。補酵素はビタミンの特異的化学形態である。本発明に有用な補酵素には以下が挙げられる:チアミンピロリン酸(TPP)、フラビンモノヌクレオチド(FMN)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミド・アデニンジヌクレオチド(NAD)、ニコチンアミド・アデニンジヌクレオチド・リン酸(NADP)、補酵素A(CoA)、ピリドキサル・リン酸、ビオサイチン、テトラヒドロ葉酸、補酵素B12、リポイルリジン、11−シス−レチナール、および1,25−ジヒドロキシコレカルシフェロール。「ビタミン」にはコリン、カルニチン、およびα、β、γ−カロテンも含まれる。
【0130】
本開示で用いた用語「ミネラル」は人の食事中に必要な無機物や金属などのことである。従って、ここで用いる用語「ミネラル」には以下が含まれる(これらに限定されるものではないが):カルシウム、鉄、鉛、セレニウム、銅、ヨウ素、マグネシウム、リン、クロム、およびそれらの混合物。
【0131】
ここで用いる「栄養補助食品」は、少量の投与により明らかな栄養効果が認められる物質を意味する。栄養補助食品には以下が含まれる(これらに限定されるものではないが):蜂花粉、ぬか、小麦の胚芽、昆布、肝油、朝鮮人参、魚油、アミノ酸、タンパク質、およびこれらの混合物。分かるように、栄養補助食品はビタミンとミネラルを取り入れたものである。
【0132】
本発明の組成には以下など(これらに限定されるものではないが)、少なくとももう一つ別の成分も含まれると考えられる:API、味覚マスキング剤、充填剤、粒子質、崩壊剤、結合剤、香味料など。これらは少なくとも一つのAPIと一緒に製粉されるか、別に製粉されるか、または混合される。
【0133】
前記組成中のAPIの量には大きなばらつきがあり、とりわけ以下の要素に左右され得る:APIの種類および特性、APIの密度、もろさ、および硬さなど、APIの処理条件、粒子サイズ、APIが組み込みが意図される剤形のサイズおよび種類、その剤形からAPIが一つ以上送達されるか否か、API含有粒子が粒子であるか否か、または賦形剤を一つ以上含むか否か、など。非コーティング粒子に占めるAPIの割合は非コーティング粒子または粒子の重量の約0.1〜約90%でよいが、約1〜60%であればさらに好ましく、約10〜40%が最も好ましい。コーティング粒子に占めるAPIの割合はコーティング粒子の重量の約20〜約75%であるが、約33〜67%であればさらに好ましく、約40〜60%が最も好ましい。
【0134】
ビタミンまたはミネラルとの関連で用いられた場合、「有効量」は患者に対するその特定成分に関する(米国)一日当たり推奨栄養所要量(Recommended Daily Allowance:RDA)の少なくとも約10%を意味する。例えば、目的とする成分がビタミンCである場合、ビタミンCの有効量とはRDAの10%またはそれ以上を提供するのに十分なビタミンCである。
【0135】
剤形内の粒子および/またはコーティング粒子の量にはかなりの幅があり得、とりわけ以下の要素に依存し得る:APIの種類および特性、API粒子の密度、もろさ、硬さ、APIの取り扱い条件、他の成分の量およびサイズ、コーティング粒子のサイズ、コーティング粒子におけるAPIの組成、内容物、および量、剤形のサイズおよび種類、一回投与量、剤形から一種類以上のAPIが送達されるか否か、など。前記剤形が少なくとも一種類のAPIの治療的有効量をそれを必要とする患者に提供することが好ましい。前記コーティング粒子は一つ若しくはそれ以上の剤形で、少なくとも一つのAPIの治療的有効量の提供に十分な量だけ存在するのが好ましい。「治療的有効量」は、所要のまたは目的とする治療反応を導くのに十分なAPIまたは有効成分の量、言い換えれば患者に投与した場合に適切な生物学的反応を導くのに十分な量である。用量は最適である必要はなく、治癒または症状の緩和をもたらすものである必要もない。一般に、個々の剤形に関するコーティング粒子の総量は一剤形当たり約1マイクログラム〜2グラムのAPIを提供できる量であるが、約0.1ミリグラム〜1グラムの方がより好ましく、約1〜800ミリグラムであればさらに好ましい。剤形はどんなサイズおよび形状でもよいが、粉砕または誤用を回避するサイズおよび形状であるのが好ましい。
【0136】
本発明に基づいた粉砕抵抗性/溶剤抵抗性の剤形は、前に開示した粒子および/またはCRコーティング粒子単独の内のいずれか一つまたはそれらの組合せから作製されるか、少なくとももう一つ別の成分または賦形剤をさらに含有することが考えられる。その少なくとももう一つ別の成分または賦形剤には以下が含まれる(これらに限定されるものではないが):他のAPI、味覚マスキング剤、結合剤、充填剤、糖、人口甘味料、ポリマー、香味料、着色剤、滑剤、流動促進剤、生体接着剤または粘膜接着剤、粘度調整剤、界面活性剤、緩衝剤、崩壊剤など。これらの内どの成分の量も次の要素によって異なる:CRコーティング(エチルセルロースを含む)、追加的ポリマー、API、APIの粒子サイズの量、薬剤の種類、何種類の成分が使用されるか、どの成分が使用されるか、一回投与量を構成する薬剤の数、一回投与当たりAPI量、など。本発明に基づき、粉砕抵抗性/溶剤抵抗性を有し、かつ貯蔵可能な薬剤を作製するのに十分であれば、どんな組合せまたは量も考慮される。
【0137】
本発明に基づく「味覚マスキング剤」には本分野における味覚マスキングとしての使用が知られているすべてが含まれる。本発明に基づく好ましい味覚マスキング剤には以下が含まれる:オイドラギットE−100、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルカルボキシメチルセルロース、セラック、ゼイン、カルボマー、脂肪、ワックス、グリセロール、モノ−、ジ−、トリ−グリセリド、コンプリトール、プレシロール、ゲルシル、ポロキサマー、修飾キトサン、カラギーナン、トリメリット酸酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸コハク酸、オイドラギットL100、S100、L30D−55などのメタクリル酸共重合体、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)。味覚マスキング剤は通常量、できれば薬剤総量の約0〜50%で使用可能であるが、約5〜40%であればさらに好ましく、約10〜30%が最も好ましい。
【0138】
結合剤は結合剤としての使用が知られているものであれば何でもよい。これらの物質は粉末に密着性を付加し、必要な結合力を提供して顆粒を形成し、顆粒が圧縮されて堅いタブレットになり、その後の工程または出荷および取扱いに耐える機械的強度を備えたものとなるように使用される。本発明に有用な結合剤として以下が挙げられる:アカシア、トラガカント、ゼラチン、でんぷん(加工と未加工の両方)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース物質、アルギン酸およびアルギン酸塩、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ポリエチレングリコール、グアーガム、多糖酸、ベントナイト類、糖類、転化糖、脂肪、ワックス、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリル酸、および他のアクリルおよびビニル基剤のポリマー。結合剤は通常量で用いればよいが、できれば総薬剤量の約0〜50%で用いるのが好ましく、約2〜10%であればさらに好ましい。
【0139】
充填剤は充填剤としての使用が知られているものであれば何でもよい。本発明で有用な充填剤としては、マンニトール、デキストロース、ソルビトール、ラクトース、スクロース、および炭酸カルシウムがある。充填剤は通常量で用いることが可能であるが、できれば(総薬剤量の)約0〜90%が好ましく、約10〜50%であればさらに好ましい。
特に使用が好ましい充填剤は糖類である。本発明に使用可能な糖類としては、糖、糖アルコール、ケトン類、単糖類、多糖類、オリゴ糖、セルロース、および変性セルロースが挙げられる。
【0140】
糖類には直接圧縮糖および/または非直接圧縮糖も含まれる。特に好ましい非直接圧縮糖としてはデキストロース、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、ラクトース、およびスクロースが挙げられるがこれらに限定されない。もちろんこれらの糖は直接圧縮糖、すなわちその圧縮性および/または流動性が高まるように修正された糖、または何らかの補強(流動性を増すための流動促進剤、流動性および/または圧縮性を増すための造粒などであるが、それらに限定されない)なしでは高速処理および複数錠圧縮を行うのに十分な流動性および/または圧縮性が得られない非直接圧縮糖のうちいずれかとして存在する。言うまでもなく、当初十分な流動性および圧縮性を有し、加工により非直接圧縮糖とする前には直接圧縮糖とも考えられるものを転換するのに、造粒法のような技術も使用可能である。これは糖だけでできているタブレットを直接圧縮し流動性および圧縮性の両方を処理の前後に比較することによって測定可能である。もし処理後に流動性および/または圧縮性が低下したとすれば、その物質は非直接圧縮糖になったと考えられる。しかし、糖を商業的工程に用いる前に増強またはさらなる処理を必要とするほどに特性の低下が大きなものであるか否かは、使用量、用いる処理装置の種類、製剤全体など数多くの要素に依存することが理解されよう。しかし一般的に、さらなる処理若しくは増強はある程度必要である。絶対的ではないが、非直接圧縮糖の粒子の少なくとも約90%が約200ミクロン以下のサイズであることがあるが、できれば80%が約150ミクロンより小さいのが好ましい。
【0141】
全糖の量は約0〜90%である。糖の量が約5〜75%であればより好ましく、約10〜50%であればさらに好ましい。本発明に基づいて使用される可能性のあるその他の非炭水化物希釈剤としては、二水和または無水第二リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、無水または水酸化硫酸カルシウム、三水和乳酸カルシウムなどが挙げられる。使用されるとこれらは剤形重量の0〜約90重量%存在し、約5〜75%であればさらに好ましく、約10〜50%が最も好ましい。
【0142】
人口甘味料は人口甘味料としての使用が知られたものであれば何でも良い。本発明に有用と思われる人口甘味料は、サッカリン、アスパルテーム、スクラロース、ネオテーム、アセスルファムカリウムなどであるが、これらに限定されない。人口甘味料は従来の量で使用することができ、できれば(剤形総量の)約0.1〜2%が好ましい。
【0143】
香味料は香味料としての使用が知られたものであれば何でも良い。本発明で有用と考えられる香味料は、合成香味油、香味芳香料、および/または天然油、植物、葉、花、果実からの抽出物、それらの混合物などである。これらには桂皮油、ウインターグリーン油、ペパーミント油、丁子油、ベイ油、アニス油、ユーカリ、タイム油、ニオイヒバ油、ナツメグ油、セージ油、苦扁桃油、カッシア油などがある。その他、バニラ、かんきつ油(レモン、オレンジ、バナナ、グレープ、ライム、グレープフルーツなど)、および果実精(りんご、梨、桃、イチゴ、ラズベリー、プラム、パイナップル、アプリコットなど)も香味料として有用である。
【0144】
香味料は従来の量で使用することができ、剤形重量の約0.01%〜3%であるのが好ましく、約0.1%〜2.5%であればさらに好ましく、約0.25%〜2%が最も好ましい。
【0145】
着色剤は着色剤としての使用が知られたものであれば何でも良い。本発明において有用な着色剤としては、二酸化チタン、およびF.D.&C.色素として知られるものなど食品に適した染料、およびブドウ果皮抽出物、ビートレッド粉末、ベータカロチン、アンナット、カルミン、ターメリック、パプリカなどの天然着色剤がある。着色剤は従来の量で使用すればよく、できれば剤形重量の約0.001〜1%が好ましい。
【0146】
滑剤は滑剤としての使用が知られているものであれば何でも良い。本発明において有用な滑剤は内因性または外因性滑剤である。内因性滑剤としてはマグネシウム、カルシウム、ステアリン酸の亜鉛塩、硬化および部分的硬化植物油、動物脂肪、ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリオキシエチレン、タルク、軽油、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。滑剤は従来の量で使用すればよく、できれば薬剤量の約0.1〜5%が好ましく、約0.25〜2.5%であればさらに好ましく、約0.5〜2%が最も好ましい。
【0147】
粘度調整剤は粘度調整剤としての使用が知られているものであれば何でもよい。本発明において有用である可能性のある粘度調整剤としては、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCナトリウム)、ポリビニルピロリドン(PVP)、コンニャク粉、カラギーナン、キサンタンゴム、他の親水性ポリマー、これらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されない。粘度調整剤は従来の量で使用すればよく、できれば薬剤重量の約1〜40%が好ましく、約2〜20%であればさらに好ましい。
【0148】
界面活性剤は界面活性剤としての使用が知られているものであれば何でもよい。本発明において有用である可能性のある界面活性剤には次のような様々なグレードの市販品がある(これらに限定されるものではないが):アラセル(商標)、ツイーン(商標)、キャプムル(登録商標)、セントロフェーズ(登録商標)、クレモフォル(登録商標)、ラブラファク(登録商標)、ラブラフィル(登録商標)、ラブラソル(登録商標)、マイベロール(登録商標)、Tagat(登録商標)、およびすべての非毒性の短鎖および中鎖アルコール。界面活性剤は従来の量で使用すればよく、できれば薬剤重量の約0.01〜5%が好ましく、約0.1〜2%であればさらに好ましい。
【0149】
緩衝材は緩衝材としての使用が知られているものであれば何でも良い。本発明において有用である可能性がある緩衝材にはすべての弱酸または弱塩基が含まれるが、できれば胃腸粘膜に害のない緩衝系が好ましい。これらには、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カリウム、リン酸1水素2ナトリウム、および等価のカリウム塩が含まれるが、それらに限定されない。緩衝材は従来の量で使用すればよく、できれば薬剤重量の約0.1〜10%が好ましく、約1〜5%であればさらに好ましい。
【0150】
使用してよい崩壊剤には、でんぷん、セルロース、加工でんぷん、マイクロクリスタリンセルロース、アルギン酸、粘度、ビーガム、および超崩壊剤(架橋PVP、クロスカラメロースナトリウムなどのクロスカラメロース塩、カルボキシメチルスターチナトリウムなどのでんぷん誘導体)などがある。
【0151】
そのような超崩壊剤が用いられているところでは、通常最終薬剤量の約1〜20%認められるが、約2〜10%であればさらに好ましく、約2〜5%が最も好ましい。また、超崩壊剤に加え、本発明に基づく薬剤には少なくとも一つの発泡性カップルまたは崩壊剤が含まれる。
【0152】
発泡性カップルは可溶性の酸源と金属炭酸塩または重炭酸塩との反応から作製される。酸源または酸は人が摂取するのに安全であれば何でもよく、酸味料、無水酸、酸性塩などが含まれる。酸味料には、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸などがある。これらの酸は直接摂取されるため、本発明の発泡錠製剤がコップ一杯の水に溶けることが意図されているのであれば水への溶解度はそれほど重要でない。無水酸および上記の酸の酸性塩を使用してもよい。酸性塩には、ナトリウム、リン酸2水素、ピロリン酸2水素2ナトリウム、クエン酸塩、亜硫酸水素ナトリウムなどがある。
【0153】
炭酸塩源には、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムおよび炭酸カリウムのような乾燥固体炭酸塩および重炭酸塩、炭酸マグネシウムおよびセスキ炭酸塩、炭酸グリシンナトリウム、炭酸L−リジン、炭酸アルギニン、非晶質炭酸カルシウムなどがある。これらの発泡性カップルは薬剤重量の約3〜50%で提供されるが、約3〜25%であればさらに好ましい。
【0154】
そのような非発泡崩壊剤には以下のような物質があるが、これらに限定されるものではない:マイクロクリスタリン、セルロース、でんぷん、コーンスターチ、ジャガイモでんぷんおよびそれらの加工でんぷん、クレー(ベントナイト、アルギン酸塩、など)、ゴム(寒天、グアー、イナゴマメ、インドゴム、ペクチン、トラガカントなど)これらの崩壊剤は剤形総重量の最高約20%を占めることがあるが、できれば約2〜10%が好ましい。
【0155】
必要に応じ、薬剤には以下のような非毒性物質が少量含まれていてもよい:湿潤剤または乳化剤、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのpH緩衝剤
本発明に基づいた混合物は、他の賦形剤または他の粒子の存在の有無に関わらずAPI含有粒子の混合である。それは多くの場合バルク物質であるが、必ずしもそうとは限らない。本発明に基づく「剤形」は、タブレット、カプセル、カプレット、小袋、粉末、または経口投与用として知られた他の固形物である。ここで定義された混合物から作られ、医師や患者による投与用に形成(タブレットの場合のように)または包装(カプセル、粉末、小袋などの場合のように)される。タブレットの形状としては、グラスに入った液体に入れ摂取前に溶解させるアルカセルツァー(登録商標)のようなタブレット、患者の舌の上で分解または溶解する剤形、歯肉や口腔内または舌下に投与する剤形、または分散液、懸濁液、スラリーとして飲み込む従来の剤形、などがある。経口的に分解または溶解可能な剤形とは、舌の上に置かれ口の中で約90秒前後(多くの場合約60秒前後)で分解/溶解するものを言う。その後できた懸濁液、溶液、またはスラリーがのみ込まれる。口腔、歯肉、および舌下薬では、有効成分は一般に口腔粘膜を通して運ばれる。剤形は粉末またはスラグドコア(slugged core)を測って堅いゼラチンカプセルに入れて作製し経口摂取用とするか、粉末として直接服用するか食品に振りかけるか、飲料に混ぜて摂取することも考えられる。
【0156】
本発明で考えられるような剤形は一連の形状とサイズで提供し得る。好ましい実施形態において、剤形は経口投与可能なサイズであり、治療量のAPIを提供する。一般にそのような剤形は任意の方向で1.5インチ未満であるが、1インチ未満の方がより好ましく、0.75インチ未満が最も好ましい。形状は両面平坦または凸面の円形、カプセル形(カプレット)、ダイヤモンド形、三角形、長方形、六角形、五角形、ハート形、動物型タブレット(うさぎ、象など)であるが、これらに限定されない。剤形はどんなサイズまたは形状でもよいが、粉砕または誤用を回避するサイズおよび形状であるのが好ましい。
【0157】
投与回数は、剤形中に存在する有効成分の量、剤形サイズ、患者の体重、患者の病態、有効成分の副作用など様々な要素に依存する。複数剤形の投与および複数投与回数は、上記の要素に加え、患者の病態の継続期間、有効成分がどれほどの時間患者のシステムに留まるか、などによって考慮される。
【0158】
本発明のさらなる態様には、本明細書に記載したCRコーティング粒子の作製法が含まれる。本発明で考慮されるように、API粒子は少なくとももう一つ別の成分の代わりに、溶剤または結合液と組み合わされ湿性粒子を形成する。続いて湿性粒子を製粉し、乾燥させて平均粒子サイズ約100〜600(ミクロン)とするのが好ましいが、約150〜500であればさらに好ましく、約200〜400が最も好ましい。別の好ましい実施形態において、形成されたAPI含有粒子の粒子サイズ分布は、約10%以下が50ミクロン以下、10%以下が700ミクロン以上であるのが好ましい。当然のことながら、それらを上回るものおよび下回るものは廃棄することが可能である。APIまたはAPI含有粒子が好ましい粒子サイズになると、標準的コーティング法により一つ若しくはそれ以上のCRコーティングでコーティングする。この方法には選択されたコーティング厚を達成するための流動床における噴霧、ディッピング、湿潤化が含まれる。CRコーティングの上、下、またはコーティング間に他のコーティングを使用する可こともある。コーティングが終了すると、コーティング粒子を設定/乾燥させ、保管および/または最終製品中に使用する。
【0159】
本発明のさらに別の態様には、本明細書に記載した湿性粒子および/またはコーティング粒子など少なくとも一つの粒子を含有する剤形の作製法がある。一態様において、剤形は直接圧縮により作製されるタブレットであり、API粒子(粒子またはCRコーティング粒子)は少なくとも一つの他の成分と混合される。それらはまた本明細書に記載した第二の脂肪/ワックス−様粒子とも混合し得る。混合物に鋼性の穴あけ器で穴をあけ、お好みのサイズと形状のタブレットを作製する。硬さは10〜200ニュートンであるが、できれば20〜150ニュートンが好ましく、もろさは2%未満、できれば1%未満が好ましい。別の態様において、剤形は乾燥充填可能なカプセルである。この形状はCRコーティング粒子および選択的に少なくとももう一つ別の成分をゼラチンカプセルに充填することによって作製される。
【0160】
本発明の別の実施形態のタブレットはしばしば約20ニュートンまたはそれ以下の硬度を有するが、できれば約10〜20ニュートン、また充填日におけるU.S.P.法による測定で2%以上のもろさを有するのが好ましい。できればこれらのタブレットは患者の口腔中で迅速に約60秒またはそれ以下で崩壊/溶解可能であるのが好ましく、上記のように約30秒またはそれ以下で崩壊/溶解し、API含有粒子が拡散物、懸濁液、またはスラリーとして飲み込めればさらに好ましい。
【0161】
タブレットは直接圧縮、湿式造粒法、乾式造粒法、または他のタブレット製造法のいずれかで製造可能である。例えば本明細書に参照として掲げた米国特許第5,178,878号、第5,223,264号、および第6,024,981号を参照のこと。
【0162】
別の態様において、本発明には本発明に基づく誤用抵抗性剤形および誤用抵抗性であることを示す一つまたはそれ以上のマークが付いている。一実施形態において、剤形そのものにそのマークが付いている。マークは、例えば「AR」など一つまたはそれ以上の文字、「誤用」など一つまたはそれ以上の言葉、および/または「抵抗性」または写真またはシンボルである。これらは剤形表面に表示することができ、レリーフまたは隆起構造物として組み込むことが可能である。代わりに、またはそれに加えて、本発明の誤用抵抗性剤形を一つまたはそれ以上のブリスター包装またはビンなど複数タブレット用の開封可能かつ再閉鎖可能な容器に入れてもよい。包装、または関連製品ラベルまたは添付文書にも、剤形が誤用抵抗性であることを示唆する一つまたはそれ以上の文字、言葉、写真、シンボルを表示することが可能である。
【0163】
そのようなマークによっても、多くの方法で誤用削減の支援が可能である。一つには、誤用抵抗性であることを知らされ別の形態の薬剤を求める患者がいる場合、薬剤師はその患者に問題があるかもしれないことに気付かされる可能性がある。また、その剤形が誤用抵抗性であることを知れば、誤用者にとってはあまり魅力がないことから、それらの盗難または不法な再販が減る可能性がある。
【実施例1】
【0164】
本発明は湿性顆粒をAPI粒子に用いてCRコーティング粒子を作製することによって説明可能である。
【0165】
【表1】

【0166】
【表2】

【0167】
顆粒は高せん断造粒機で製造し、オキシコドン塩酸塩、HPMC844およびエチルセルロース総量の71%は2分間乾燥混合した。次に造粒機のインペラおよびチョッパーの速度を所定の値に維持しつつ、エチルセルロースの10%水−エタノール(30:70)溶液をゆっくりと加え、顆粒の形成と成長に十分なせん断を提供した。前記のエチルセルロース比率が達成されるまで溶液を加え続けた。続いて製粉に適するようになるまで顆粒を流動床で乾燥させた。次に顆粒をGranumillで製粉し、最後に乾燥させた。
【0168】
次に作製された顆粒をボトムスプレー式流動床で、エチルセルロースとマグネシウムの15%アルコール懸濁液(2:1)でコーティングした。平均粒子サイズを篩振盪法を用いて測定したところ約630ミクロンであった。これは幾何学的平均直径であり、630という数字は対数確率紙上に粒子サイズに対する累積頻度(%)を手でプロットすることにより得られたものである。これらのコーティング粒子の溶解プロファイルの検査を行った(図1)。
【0169】
試料3単位をすり鉢およびすりこぎを用いて粉砕し、環を描くように12回こすることによって粉砕した。同単位をプールし、次に分割し溶剤(0.1N HCl)500mL中で溶解試験を行った。所定の時点において5mLを各容器から取り出し、HPLCを用いて標準を対照に分析を行った。粉砕されなかったコーティング粒子の結果を図1に、粉砕されたコーティング粒子の結果を図2に示す。両図において、黒い四角は測定を行ったデータポイントを示す。
【実施例2】
【0170】
上記実施例1に記載したコーティング粒子製造法を再び用いた。ただし、剤形は水EC分散液でコーティングを施した。
【0171】
【表3】

【0172】
【表4】

【0173】
コーティングはシュアリース水分散液(市販のEC水分散液Colorcon Manufacturereロット#1N509251)を用いた。水性コーティングによる非粉砕(図1)および粉砕(図2)粒子の溶解結果を、測定データポイントを示すダイヤモンドを用いたプロットで示す。
【実施例3】
【0174】
【表5】

【0175】
【表6】

【0176】
実施例1で用いたと同じ製造法を用いることが可能である。ただし、ECの54%(71%でなく)を他の成分と乾燥混合する。
【実施例4】
【0177】
【表7】

【0178】
【表8】

実施例1と同じ製造法を用いることが可能である。ただし、ECの54%のみ(71%でなく)を他の成分と乾燥混合する。また、コーティング分散にはECおよび添加剤が含まれていた。すなわち:ステアリン酸マグネシウム:ルトロール:エタノール=10:5:0.5:84.5である。
【実施例5】
【0179】
【表9】

【0180】
【表10】

【0181】
ここでは実施例1で用いたと同じ製造法を用いた。ただし、粒子のコアではECの47%(71%でなく)のみを他の成分と乾燥混合した。図3および図4はコーティング顆粒の顆粒部分における異なったレベルのポリマーの50%コーティング顆粒に対する0.1N HClにおける溶解プロファイルを提供する。図3は実例1の顆粒の溶解プロファイル間における比較を示している。同顆粒にはポリマーが約72.2%含まれ、エタノール基剤のECコーティングでコーティングされ、コーティング粒子は本実施例(実施例5)に基づいて製造され、ここで粒子(非コーティング粒子)にはポリマーが約34.4%含まれ、同じエタノール基剤のECコーティングでコーティングされていた。図4は、実施例1に記載したように、粉砕後における同じ物質の溶解プロファイルを示している。図3では、白い三角形は実施例1の粒子、黒いダイヤモンドは実施例5のコーティング粒子に対しそれぞれプロットしたデータを示す。図4において、黒いダイヤモンドは実施例1のコーティング粒子のデータ、星印は実施例5のコーティング粒子のデータを示す。図4から、コアにおけるポリマー含有量(34.4%に対し72.2%)が高度であるほど粉砕抵抗性は相対的に良好であったことが分かるであろう。
【実施例6】
【0182】
ここでは実施例1と同じ製造法が用いられた。ただし、本明細書で説明したように、ここではAPI粒子はバリアビーズと混合した。
【0183】
【表11】

【0184】
【表12】

【0185】
次にコーティング粒子とバリアビーズを異なった割合で混合する。セルフィアCP−507として市販されているマイクロクリスタリンセルロース粒子を用いた。具体的には、コーティング粒子をCP−507と25:75、50:50、および75:25で混合した。CP−507の公表サイズは少なくとも約75%が500〜710ミクロンであった。前記混合物に130mm ODの磁器すり鉢および1ポンドのすりこぎを用いて機械的ストレスをかけた。要約すれば、混合物にすりこぎで12回擦り、各回につき叩きつけるような動作に続き水平に円を描くように擦った。ストレスを加えた顆粒からのオキシコドン放出を、0.1N HClを放出媒体に用いることによりUSP溶解装置2で測定した。オキシコドンコーティング顆粒とセルフィアの非ストレスおよびストレス混合物からの放出プロファイルを図5に示す。
【0186】
バリアビーズ:API粒子比が75:25ではストレスに対する防御力が高まったことに留意されたい。他の例では、バリアビーズなしでの製剤に比べ防御力を高めるのに必要な比率は異なるものと考えられる。この改善はそれ自体が粉砕抵抗性であるように設計された防御粒子を用いて実現されたことに留意することも重要である。実際、水/アルコール溶液からの特定のセルロースを結合剤として作製された粒子は、アルコールなしの水を結合剤に用いて作製した同一の粒子に比較し粉砕抵抗性を提供することが判明した。同様に、水/アルコール溶液からのセルロースでコーティングされた粒子は、アルコールなしの水を用いて同様にコーティングした粒子に比べ、粉砕抵抗性を独立に提供することが判明した。これらの発見はいずれも同時に出願された特許申請のテーマである。このように、この実施例は、バリアビーズの使用による改善が他の粉砕抵抗性技術と組み合わせても獲得可能であることを示している。実際、バリアビーズの平均粒子サイズが保護粒子の平均粒子サイズよりも小さいと考えられるこの場合でさえも改善が実現された。
【実施例7】
【0187】
実施例6に記載したコーティングオキシコドン顆粒も、バリアビーズとして流動床造粒機で製造したイソマルト(isomalt)顆粒と50:50で混合した。実施例6に記載したように、前記顆粒混合物にすり鉢とすりこぎで圧力を加えた。オキシコドンコーティング顆粒およびオキシコドンイソマルト顆粒に圧力をかけていない場合と圧力をかけた場合における放出プロファイルを図6に示した。
【実施例8】
【0188】
【実施例9】
【0189】
顆粒は高せん断力造粒機を用いて製造可能である。ここで、使用されるオキシコドン塩酸塩、ヒドロキシメチルセルロースHPMC 844、およびエチルセルロース総量の約47〜54%を2分間乾燥混合する。次に造粒機のインペラおよびチョッパーの速度を、顆粒の形成と成長に必要なせん断の提供に十分な所定の値に維持しつつ、エチルセルロースの10%水−エタノール(30:70)溶液をゆっくりと加える。所望の割合のエチルセルロースが達成されるまで前記溶液を加えることができる。続いて、製粉に適するようになるまで顆粒を流動床で乾燥させる。次にミルで顆粒を製粉し、乾燥させる。
上記と同様の工程およびエチルセルロース総量の54%を用いて次の非コーティング粒子組成を作製した。
【0190】
【表16】

【0191】
用意した顆粒を次にボトムスプレー式流動床で、エチルセルロースとマグネシウム(2:1)の15%アルコール懸濁液でコーティングする。コーティング後コーティング顆粒の約40重量%がコーティング物質から構成される。このプロセスを用いて、次のコーティング顆粒製剤を作製した。
【0192】
【表17】

【実施例10】
【0193】
本明細書に記載したように作製したコーティング顆粒を、例えばタブレットなどの固形剤にすることができる。コーティング顆粒をエンコンプレス(無水二塩基性リン酸カルシウム)、ラクトース(FAST−FLO、噴霧乾燥)、コンプリトールATO 888(ベヘン酸グリセリル)とV−ブレンダー中で約30分間混合する。次に前記混合物をロータリータブレットプレス機で圧縮しタブレットを作製する。タブレット重量は、10mgのオキシコドンHCl有効成分の約110mgから80mgのオキシコドンHCl錠の約880mgまで様々である。このプロセスを用いて、次のタブレットを作製した。
【0194】
【表18】

【0195】
上記の計算は、作られたコーティング顆粒の実際の能力は理論量よりも少なかったという事実を説明する。従って、作製されたタブレット110.00mgにはオキシコドンHCl 10mgが含有されていた。
【0196】
本発明では様々な形状およびサイズのタブレットが利用可能である。さらに、上記と同じプロセスが利用可能である。ただし、第二粒子の低融点の脂肪/ワックスは溶解した上でカプセル殻の中に注ぎ混合するか、または前もって混合した上でその懸濁液をカプセル殻中に注ぐことも可能である。
【実施例11】
【0197】
長時間に放出される活性成分パーセントを測定し結果を比較するため、本発明に基づいて作成したオキシコドンHCl 10mg錠を、二種類の溶出溶媒(酸/水溶媒(正常)および水/アルコール(アルコール)溶媒)中で溶解させた。
【0198】
実施例10に基づき表18の製剤で作製したオキシコドン10mg含有組成を用いて作製した圧縮錠を用い、溶出溶媒中の有効成分の標準溶解度を測定した。USP溶解装置(2パドルを速度50rpmで)中で、放出(溶出)溶媒として0.1N HCl 500mL(水中)37℃から始め、顆粒(オキシコドンHCl 10mgに相当)を溶出溶媒に加えた。5分、15分、30分、45分、60分、120分の間隔で試料を採取した。各試料を対象にHPLCを用いて可溶化オキシコドン含有量を調べ、値をパーセンテージで表し、放出プロファイルを得るために時間でプロットした。データを次の表に示す。
【0199】
【表19】

【0200】
プロットによる通常溶解データを図7に示す。
【0201】
通常溶解を、溶剤(アルコール)促進性急速放出誤用および改ざん行為を代表する溶解条件と比較した。上記手順を繰り返した。ただし溶出溶媒には水:エタノールが60:40の重量比で含まれており、タブレットのアルコールとの組合せを模倣したものであった。5、15、30、45、60、および120分の間隔で試料を採取し、オキシコドン含有量を再び測定した。結果を時間でプロットした。結果を次の表に示す。
【0202】
【表20】

【0203】
プロットされたデータを図7(溶解プロファイル)のチャートに示す。
【0204】
図からわかるように、本発明に基づきアルコールを溶剤に用いて作製したタブレットからの有効成分(オキシコドンHClなど)放出促進能は限られている。アルコール含有溶出溶媒におけるオキシコドン活性放出の測定量は、酸性水含有(正常)溶出溶媒で測定した量に匹敵する。
【実施例12】
【0205】
実施例9に記載したと同様の工程およびエチルセルロース総量の54%を用いて次の非コーティング粒子組成を作製した。
【0206】
【表21】

【0207】
実施例9と同様の工程を用い、次のコーティング顆粒組成を作製した。
【0208】
【表22】

【0209】
実施例10と同様の工程を用い、次の組成を作製した。
【0210】
【表23】

【実施例13】
【0211】
長時間にわたって放出される活性成分パーセントを測定するため、本発明に基づいて作成した表23の組成によるオキシコドンHCl80mg錠を二種類の溶出溶媒(酸/水溶媒(正常)および水/アルコール(アルコール)溶媒)中で溶解させ、結果を比較した。
【0212】
実施例12に従い表23の組成で作製したオキシコドン80mg含有組成を用いて作製した圧縮錠を用い、溶出溶媒中の有効成分の標準溶解度を測定した。USP溶解装置(2パドルを速度50rpmで)中で、放出(溶出)溶媒として0.1N HCl 500mL(水中)37℃から始め、顆粒(オキシコドンHCl 80mgに相当)を溶出溶媒に加えた。5分、15分、30分、45分、60分、120分の間隔で試料を採取した。各試料を対象にHPLCを用いて可溶化オキシコドン含有量を調べ、値をパーセンテージで表し、放出プロファイルを得るために時間でプロットした。データを次の表に示す。
【0213】
【表24】

【0214】
プロットした標準溶解データを図8に示す。
【0215】
通常溶解を、溶剤(アルコール)促進性急速放出誤用およ改ざん行為を代表する溶解条件と比較した。上記手順を繰り返した。ただし溶出溶媒には水:エタノールが60:40の重量比で含まれており、タブレットのアルコールとの組合せをシミュレートしたものであった。5、15、30、45、60、および120分の間隔で試料を採取し、再びオキシコドン含有量を測定した。結果を時間でプロットした。結果を次表に示す。
【0216】
【表25】

【0217】
プロットしたアルコール溶解データを図8に示す。図8のチャートからわかるように、アルコールを溶剤に用い本発明に基づいて作製されたタブレットからの有効成分(オキシコドンHClなど)放出促進能は限られている。アルコール含有溶出溶媒におけるオキシコドン活性放出の測定量は、少なくとも酸性水含有(標準)溶出溶媒で測定した量に匹敵する。
【実施例14】
【0218】
本発明は湿性顆粒をAPI粒子としてCRコーティング粒子含有の組成を製造することにより例証し得る。
【0219】
実施例1と同様の工程を用いて、ただしECの53%(71%ではなく)は他の成分との乾燥混合により、次の製剤を作製した。これは使用された各成分の量において実施例1と異なる。
【0220】
【表26】

【0221】
【表27】

【0222】
実施例10で説明したと同様の工程により、実施例10とは異なった量および成分を用いて次の製剤を作製した。
【0223】
【表28】

【0224】
コンプリトールが常に剤形(タブレット)全重量の20%に維持される一方、実際分析量の理論値との相違は、オキシコドンHClの量を80mg/錠に維持するためのラクトースおよびコーティング顆粒の量の変化によって説明される。タブレットの平均重量は850mg、平均硬度は140〜155Nである。タブレットの寸法は.3125インチx.5625インチである。
【0225】
実施例11と同じ工程を用い、上記製剤を用いて次のデータを得た。
【0226】
【表29】

【0227】
【表30】

【0228】
【表31】

【0229】
表29のデータは図9中で黒い四角と"X"による上の曲線として図示されている。
【実施例15】
【0230】
実施例14と同様の工程を用い、ECの53%のみを他の成分と再び乾燥混合することにより、次の製剤を作製した。ただしこれは使用した各部分の量において実施例14と異なる。
【0231】
【表32】

【0232】
【表33】

【0233】
実施例14で説明したと同様の工程を用い、実施例14とは異なった量を用いて次の製剤を作製した。
【0234】
【表34】

【0235】
コンプリトールが常に剤形(タブレット)全重量の20%に維持される一方、実際分析量の理論値との相違は、オキシコドンHClの量を80mg/錠に維持するためのラクトースおよびコーティング顆粒の量の変化によって説明される。タブレットの平均重量は850mg、平均硬度は140〜155Nである。タブレットの寸法は.3125インチx.5625インチである。
【0236】
実施例14と同じ工程を用い、上記の製剤を用いて次のデータを得た。
【0237】
【表35】

【0238】
【表36】

【0239】
【表37】

【0240】
表35のデータは図9に黒い三角で示されている。
【実施例16】
【0241】
実施例15と同様の工程を用い、ECの53%のみを他の成分と再び乾燥混合することにより、次の製剤を作製した。ただしこれは使用した各部分の量において実施例15と異なる。
【0242】
【表38】

【0243】
【表39】

【0244】
実施例15で説明したと同様の工程を用い、実施例15とは異なった量を用いて次の製剤を作製した。
【0245】
【表40】

【0246】
コンプリトールが常に剤形(タブレット)全重量の10%に維持される一方、実際分析量の理論値との相違は、オキシコドンHClの量を80mg/錠に維持するためのラクトースおよびコーティング顆粒の量の変化によって説明される。タブレットの平均重量は850mg、平均硬度は139〜155Nである。タブレットの寸法は.3125インチx.5625インチである。
【0247】
実施例15と同じ工程を用い、上記の製剤を用いて次のデータを得た。
【0248】
【表41】

【0249】
【表42】

【0250】
【表43】

【0251】
表41のデータは図9に黒い四角による下の曲線で示されている。
【実施例17】
【0252】
実施例3と同様の工程を用い、ECの53%(54%でなく)のみを他の成分と再び乾燥混合することにより、次の製剤を作製した。ただしこれは使用した各部分の量および薬剤において実施例3と異なる。
【0253】
【表44】

【0254】
【表45】

【0255】
この実施例では、塩酸ヒドロモルホンを塩酸オキシコドンの代用とした。しかし、同じ工程段階を各種APIに使用可能である。
【実施例18】
【0256】
実施例17と同様の工程を用い、ECの53%のみを他の成分と再び乾燥混合することにより、次の製剤を作製した。ただしこれは使用した各部分の量において実施例17と異なる。
【0257】
【表46】

【0258】
【表47】

【0259】
実施例17のように、APIとしてヒドロモルホンHClを塩酸オキシコドンの代用とした。
【実施例19】
【0260】
実施例18と同様の工程を用い、ECの53%のみを他の成分と再び乾燥混合することにより、次の製剤を作製した。ただしこれは使用した各部分の量において実施例18と異なる。
【0261】
【表48】

【0262】
【表49】

【0263】
実施例18のように、APIとして塩酸ヒドロモルホンを塩酸オキシコドンの代用とした。
【0264】
ここでは本発明を特定の実施形態との関連で説明したが、これらの実施形態は単に本発明の原則と適用の例証に用いているに過ぎないことを理解する必要がある。従って、実施形態に対しては数多くの修正を加えることが可能であり、また添付請求項に定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく他の処理を考案することが可能であることを理解する必要がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング粒子であって、
少なくとも二つの材料と混合された前記粒子重量の約0.1〜約90%の量で、個人に誤用されやすい少なくとも一つの医薬品有効成分を有する粒子であって、
前記少なくとも二つの材料は、
実質的に不水溶性であり且つ少なくとも部分的にアルコール可溶性であり、前記粒子重量の約1〜約90%の量で存在する第一の材料と、
実質的にアルコール不溶性であり且つ少なくとも部分的に水溶性であり、前記粒子重量の約1〜約90%の量で存在する第二の材料とを有し、
前記医薬品有効成分及び前記二つの材料は、水及びアルコールの存在下で粒状化されるものである、前記粒子と、
粉砕抵抗性を示す前記コーティング粒子重量の約20〜約75%の量で提供される前記粒子上のコーティングであって、
前記コーティングは、セルロースポリマー、メタクリレートエステル共重合体、メタクリル酸共重合体、およびセラックから成る群から選択される材料を有するものであり、
前記材料はアルコール性溶剤を用いて前記粒子に溶着するものである、前記コーティングと
を有するものである、コーティング粒子。
【請求項2】
請求項1記載のコーティング粒子において、前記第一の材料は、天然および合成でんぷん、天然および合成セルロース、アクリル、ビニル、樹脂、メタクリル酸、若しくはセラックを有するものである。
【請求項3】
請求項2記載のコーティング粒子において、前記第一の材料は、エチルセルロースである。
【請求項4】
請求項1記載のコーティング粒子において、前記第二の材料は、天然および合成でんぷん、天然および合成セルロース、アクリレート、若しくはポリアルキレンオキシドである。
【請求項5】
請求項4記載のコーティング粒子において、前記第二の材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、およびポリエチレンオキシドから成る群から選択されるものである。
【請求項6】
請求項5記載のコーティング粒子において、前記第二の材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【請求項7】
請求項1記載のコーティング粒子において、前記コーティングは、エチルセルロースを有するものである。
【請求項8】
薬学的組成物であって、
少なくとも二つの材料と混合された前記粒子重量の約0.1〜約90%の量で、個人に誤用されやすい少なくとも一つの医薬品有効成分を有する粒子であって、
前記少なくとも二つの材料は、
実質的に不水溶性であり且つ少なくとも部分的にアルコール可溶性であり、前記粒子重量の約1〜約90%の量で存在する第一の材料と、
実質的にアルコール不溶性であり且つ少なくとも部分的に水溶性であり、前記粒子重量の約1〜約90%の量で存在する第二の材料とを有し、
前記医薬品有効成分及び前記二つの材料は、水及びアルコールの存在下で粒状化されるものである、前記粒子と、
粉砕抵抗性を示す前記コーティング粒子重量の約20〜約75%の量で提供される前記粒子上のコーティングであって、
前記コーティングは、セルロースポリマー、メタクリレートエステル共重合体、メタクリル酸共重合体、およびセラックから成る群から選択される材料を有するものであり、
前記材料はアルコール性溶剤を用いて前記粒子に溶着するものである、前記コーティングと、
前記薬学的組成物の重量の約1〜約50%の量で存在する脂肪/ワックスと
を有するものである、薬学的組成物。
【請求項9】
請求項8記載の薬学的組成物において、前記第一の材料は、天然および合成でんぷん、天然および合成セルロース、アクリル、ビニル、樹脂、メタクリル酸、又はセラックを有するものである。
【請求項10】
請求項9記載の薬学的組成物において、前記第一の材料は、エチルセルロースである。
【請求項11】
請求項8記載の薬学的組成物において、前記第二の材料は、天然および合成でんぷん、天然および合成セルロース、アクリレート、又はポリアルキレンオキシドである。
【請求項12】
請求項11記載の薬学的組成物において、前記第二の材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、およびポリエチレンオキシドから成る群から選択されるものである。
【請求項13】
請求項12記載の薬学的組成物において、前記第二の材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【請求項14】
請求項8記載の薬学的組成物において、前記コーティングは、エチルセルロースを有するものである。
【請求項15】
請求項8記載の薬学的組成物において、前記脂肪/ワックスは、グリセロール脂肪エステル、脂肪グリセリド誘導体、ワックス、又は脂肪アルコールを有するものである。
【請求項16】
請求項15記載の薬学的組成物において、前記脂肪/ワックスは、ベヘン酸グリセロール、パルミトステアリン酸グリセロール、ステアロイルマクログリセリド、カルナバワックス、ビーズワックス、マイクロクリスタリンワックス、およびセチルアルコールから成る群から選択されるものである。
【請求項17】
薬学的剤形であって、
少なくとも二つの材料と混合された前記粒子重量の約0.1〜約90%の量で、アヘン剤を有する粒子であって、
前記少なくとも二つの材料は、前記粒子重量の約10〜約40%の量で存在するエチルセルロースを有する第一の材料と、前記粒子重量の約20〜約50%の量で存在するヒドロキシプロピルメチルセルロースを有する第二の材料とを有し、
前記医薬品有効成分及び前記二つの材料は、水及びアルコールの存在下で粒状化されるものであり、
前記粒子は、前記アヘン剤の有効量を提供するのに十分な量で存在するものである、前記粒子と、
粉砕抵抗性を示す前記コーティング粒子重量の約40〜約60%の量で提供される前記粒子上のコーティングであって、
前記コーティングは、セルロースポリマー、メタクリレートエステル共重合体、メタクリル酸共重合体、およびセラックから成る群から選択される材料を有するものであり、
前記材料はアルコール性溶剤を用いて前記粒子に溶着するものである、前記コーティングと、
最終剤形重量の約5〜約25%の量で存在する脂肪/ワックスと、
少なくとも一つの賦形剤と
を有するものである、薬学的剤形。
【請求項18】
請求項17記載の薬学的剤形において、前記脂肪/ワックスは、グリセロール脂肪エステル、脂肪グリセリド誘導体、ワックス、又は脂肪アルコールを有するものである。
【請求項19】
請求項18記載の薬学的剤形において、前記脂肪/ワックスは、ベヘン酸グリセロール、パルミトステアリン酸グリセロール、ステアロイルマクログリセリド、カルナバワックス、ビーズワックス、マイクロクリスタリンワックス、およびセチルアルコールから成る群から選択されるものである。
【請求項20】
請求項17記載の薬学的剤形において、前記賦形剤は、他のAPI、味覚マスキング剤、結合剤、充填剤、糖、人口甘味料、ポリマー、香味料、着色剤、滑剤、流動促進剤、生体接着剤または粘膜接着剤、粘度調整剤、界面活性剤、緩衝剤、又は崩壊剤を有するものである。
【請求項21】
請求項17記載の薬学的剤形であって、この薬学的剤形は、さらに、
バリアビーズを有するものである。
【請求項22】
請求項17記載の薬学的剤形において、前記コーティングはエチルセルロースを有するものである。
【請求項23】
コーティング粒子を製造する方法であって、
少なくとも二つの材料と混合された前記粒子重量の約0.1〜約90%の量で、個人に誤用されやすい少なくとも一つの医薬品有効成分を混合する工程であって、
前記少なくとも二つの材料は、
実質的に不水溶性であり且つ少なくとも部分的にアルコール可溶性であり、前記粒子重量の約1〜約90%の量で存在する第一の材料と、
実質的にアルコール不溶性であり且つ少なくとも部分的に水溶性であり、前記粒子重量の約1〜約90%の量で存在する第二の材料とを有し、
前記医薬品有効成分及び前記二つの材料は、水及びアルコールの存在下で粒状化されるものであり、
前記混合することによって湿性粒子を形成するものである、前記混合する工程と、
前記湿性粒子を製粉し且つ乾燥させる工程であって、約50〜約700μmの平均粒径を有する粒子を形成するものである、前記製粉し且つ乾燥させる工程と、
粉砕抵抗性を示す前記コーティング粒子重量の約20〜約75%の量で提供される前記粒子上にコーティングを溶着させる工程であって、前記コーティングは、セルロースポリマー、メタクリレートエステル共重合体、メタクリル酸共重合体、およびセラックから成る群から選択される材料を有するものであり、前記材料はアルコール性溶剤を用いて前記粒子に溶着するものである、前記溶着させる工程と、
コーティングを乾燥させる工程と
を有する、方法。
【請求項24】
疼痛を有する患者を治療する方法であって、請求項17記載の薬学的剤形を投与する工程を有する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2011−504455(P2011−504455A)
【公表日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528313(P2009−528313)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/020041
【国際公開番号】WO2008/033523
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(509025614)シマ ラブス インク. (6)
【Fターム(参考)】