説明

誤飲食防止パック

【課題】飲食物の鮮度を良好に保持することができ、脱酸素剤又は乾燥剤の誤飲食を防止することができると共に、飲食物の取り出しを容易に行うことができる誤飲食防止パックを提供する。
【解決手段】誤飲食防止パック10は、酸素非透過性の樹脂フィルム12で形成されペットフード等の飲食物15を収容する外袋11内に酸素が透過可能に構成された区画部材を外袋11の内面に接合することによって内包部18が設けられ、該内包部18内に脱酸素剤又は乾燥剤19が収容されて構成されている。上記酸素が透過可能に構成された区画部材としては、酸素透過性の樹脂フィルム17のほか、酸素非透過性の樹脂フィルム12に複数の透孔が設けられたものや網状体などが用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットフード、珍味、カステラ、饅頭等の飲食物が収容され、脱酸素剤又は乾燥剤により鮮度保持がなされると共に、脱酸素剤又は乾燥剤の誤飲食を防止することができる誤飲食防止パックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ペットフード、カステラ等の飲食物を包装する場合、その鮮度をできるだけ長く保持するために、包装材料として酸素非透過性の樹脂フィルムを用い、該樹脂フィルム内に脱酸素剤が飲食物と共に収容されている。しかしながら、飲食物が多湿食品、液体飲料などである場合には、水分が脱酸素剤と接触するおそれがあるため、飲食物と脱酸素剤とを分離するように二重包装の形態が採用されている。
【0003】
具体的には、非貫通の膜部を残し、所定の酸素透過度を有するフィルムあるいはシートを少なくとも一部に用いて包装された対象物を脱酸素剤と共に二重包装してなる二重包装体が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この二重包装体によれば、脱酸素剤の機能を十分に発揮し得る酸素透過度を確保しつつ、非貫通の膜部により優れた耐液性、さらには菌汚染に対する遮断性を発揮することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−319459号公報(第2頁及び第4頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、樹脂フィルム内に脱酸素剤が飲食物と共に収容されている場合には、飲食物を取り出すときに脱酸素剤が飲食物に付着した状態で取り出されることがある。そのときには、取り出された飲食物と共に脱酸素剤を誤って摂取するおそれがある。
【0006】
また、特許文献1に記載されている二重包装体は、対象物がフィルムあるいはシートで包装され、さらにその外側に脱酸素剤が収容されるように二重包装されて構成されていることから、対象物を取り出す場合には、まず外袋を破り、次いで対象物を包むフィルムあるいはシートを破る必要がある。すなわち、対象物は二重包装の内側の袋に収容されているため、対象物の取り出しに手間を要し、面倒であるという問題があった。加えて、対象物がフィルムあるいはシートの内袋で被覆され、脱酸素剤は外袋と内袋との間に収容されていることから、脱酸素剤により外袋と内袋との間の酸素は除去されやすいが、さらに内袋の内側に存在する酸素は除去され難い傾向を示す。
【0007】
そこで、本発明の目的とするところは、飲食物の鮮度を良好に保持することができ、脱酸素剤又は乾燥剤の誤飲食を防止することができると共に、飲食物の取り出しを容易に行うことができる誤飲食防止パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明の誤飲食防止パックは、酸素非透過性の樹脂フィルムで形成され飲食物を収容する外袋内に酸素が透過可能に構成された区画部材を外袋の内面に接合することによって内包部を設け、該内包部内に脱酸素剤又は乾燥剤を収容可能に構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明の誤飲食防止パックは、請求項1に係る発明において、前記酸素が透過可能に構成された区画部材は、酸素透過性の樹脂フィルムであることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明の誤飲食防止パックは、請求項1に係る発明において、前記酸素が透過可能に構成された区画部材は、脱酸素剤又は乾燥剤が内包部から出ないような大きさの透孔が設けられた樹脂フィルムであることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明の誤飲食防止パックは、請求項1に係る発明において、前記酸素が透過可能に構成された区画部材は、網状体であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明の誤飲食防止パックは、請求項1から請求項4のいずれか1項に係る発明において、前記内包部を外袋の一端部に設け、外袋を開閉するためのファスナーを外袋の他端部に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明の誤飲食防止パックにおいては、酸素非透過性の樹脂フィルムで形成され飲食物を収容する外袋内に酸素が透過可能に構成された区画部材を外袋の内面に接合することによって内包部を設け、該内包部内に脱酸素剤又は乾燥剤が収容可能に構成されている。内包部内の脱酸素剤又は乾燥剤により区画部材を介して外袋内の酸素又は水分が除去されるため、飲食物の酸素による酸化や水分による腐敗が抑制される。また、外袋内の飲食物と内包部内の脱酸素剤又は乾燥剤とは区画部材により隔離されているため、外袋内から脱酸素剤又は乾燥剤の付着を伴うことなく飲食物のみを取り出すことができる。
【0013】
従って、飲食物の鮮度を良好に保持することができ、脱酸素剤又は乾燥剤の誤飲食を防止することができると共に、飲食物の取り出しを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は実施形態における誤飲食防止パックを示す縦断面図、(b)は誤飲食防止パックを示す平面図。
【図2】(a)〜(e)は誤飲食防止パックの製造工程を順に示す図であって、(a)、(b)、(d)及び(e)は平面図、(c)は断面を模式的に示す説明図。
【図3】誤飲食防止パックの区画部材の別例を示す部分平面図。
【図4】誤飲食防止パックの区画部材のさらに別例を示す部分平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の誤飲食防止パックの実施形態について詳細に説明する。
図1(a)及び(b)に示すように、誤飲食防止パック10の外袋11は平面長方形状に形成された酸素非透過性の樹脂フィルム12がその3辺の熱融着部13で融着されると共に、残りの1辺にファスナー14が設けられ、内部に飲食物15が収容されるようになっている。樹脂フィルム12の酸素非透過性は、例えば酸素透過度が10,000ml/m・24hr・atm未満であることを意味する。樹脂フィルム12がこのような酸素非透過性を有することにより、外袋11内に外部から酸素が透過することを防止している。なお、前記ファスナー14と外袋11の短辺側端部の熱融着部13との間の位置において、外袋11の両側には一対の切欠き16が対向するように設けられ、それらの切欠き16を利用して外袋11を開封できるようになっている。
【0016】
酸素非透過性の樹脂フィルム12として具体的には、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミド(PA)等のフィルムが用いられる。樹脂フィルム12としては、これらの単層フィルムのほか複数のフィルムを積層した積層フィルムも使用される。そのような積層フィルムとして具体的には、EVOH/PVDCフィルム、ON/OPP/PETフィルム、LLDPE/CPPフィルム等が用いられる。なお、ONは二軸延伸したポリアミド(ナイロン)、OPPは二軸延伸したポリプロピレン、LLDPEは直鎖状低密度ポリエチレン、CPPは無延伸ポリプロピレンを表す。飲食物15としては、ペットフード、珍味、カステラ、饅頭、飴、あられ、せんべい、乾物類などが挙げられる。
【0017】
外袋11内の短辺側端部〔図1(a)及び(b)の左端部〕には、区画部材としての酸素透過性の樹脂フィルム17が片側〔図1(a)の下側〕の酸素非透過性の樹脂フィルム12内面に熱融着部13aで融着され、平面長方形状をなす内包部18が設けられている。該内包部18内には脱酸素剤又は乾燥剤19が収容可能に構成されている。樹脂フィルム17の酸素透過性は、例えば酸素透過度が10,000ml/m・24hr・atm以上であることを意味する。樹脂フィルム17がこのような酸素透過性を有することにより、内包部18内に収容される脱酸素剤又は乾燥剤19によって該樹脂フィルム17を介して外袋11内の酸素又は水分が除去されるようになっている。この酸素透過性の樹脂フィルム17としては、例えばポリスチレン(PS)等の単層フィルム、OPP/PE、OPP/EVA、OPP/LLDPE等の積層フィルムが用いられる。なお、PEはポリエチレン、EVAはエチレン−酢酸ビニル共重合体を表す。
【0018】
前記脱酸素剤としては、鉄などの無機系の脱酸素剤又は糖類などの有機系の脱酸素剤が常法に従って用いられる。また、乾燥剤としては、シリカゲル、モレキュラーシーブなどが常法に従って用いられる。
【0019】
次に、上記のように構成された誤飲食防止パック10の製造方法に関して説明する。
図2(a)に示すように、帯状に延びる酸素非透過性の樹脂フィルム12を一点鎖線に示す中央線20を中心にして矢印のように2つ折りに折曲げる。続いて、図2(b)及び(c)に示すように、2つ折りに折曲げられた樹脂フィルム12の内側に、その内奥部にはファスナー14を構成する凸条21が形成された帯状の樹脂シート22と、同じくファスナー14を構成する凹条23が形成された帯状の樹脂シート24とがそれら凸条21と凹条23が係合した状態で挿入する。さらに、2つ折りに折曲げられた樹脂フィルム12の開口部側には酸素透過性の帯状をなす樹脂フィルム17を挿入する。
【0020】
その後、図2(d)に示すように、酸素透過性の樹脂フィルム17の奥側縁部を下側の酸素非透過性の樹脂フィルム12内面に熱融着して熱融着部13aを形成する。さらに、前記誤飲食防止パック10の設定された幅を有するように、酸素非透過性の樹脂フィルム12を平面逆コの字状となるように加熱して熱融着部13を形成することにより、開口部11aを有する多数の外袋11が連続して形成される。このようにして形成された熱融着部13により、ファスナー14が外袋11の内奥部に位置決め固定されると同時に、酸素透過性の樹脂フィルム17によって形成される内包部18が外袋11の開口部11a側に形成される。次いで、図2(e)に示すように、各外袋11内に飲食物15を挿入すると共に、内包部18に脱酸素剤又は乾燥剤19を挿入する。最後に、図2(e)の二点鎖線に示すように、外袋11の開口部の樹脂フィルム17を加熱して熱融着部13を形成することにより、外袋11が密封される。その後、各外袋11間を切断して切り離すことにより、図1(a)及び(b)に示すような誤飲食防止パック10が得られる。
【0021】
次に、上記のようにして得られた誤飲食防止パック10の作用について説明する。
さて、図1(a)及び(b)に示すように、誤飲食防止パック10は、酸素非透過性の樹脂フィルム12で形成された外袋11内に酸素透過性の樹脂フィルム17によって内包部18が設けられ、該内包部18内に脱酸素剤又は乾燥剤19が収容されている。このため、内包部18内の脱酸素剤又は乾燥剤19により酸素透過性の樹脂フィルム17を介して外袋11内の酸素又は水分が除去され、外袋11内に収容された飲食物15の酸素による酸化や水分による腐敗が抑制される。
【0022】
また、外袋11内に収容されている飲食物15を取り出す場合には、外袋11に設けられている一対の切欠き16の部分を引き裂くようにして切り取った後、ファスナー14を構成する凸条21と凹条23の係合を解除して開封する。その状態で、外袋11内の飲食物15をファスナー14の開口部から取り出す。このとき、外袋11内の飲食物15と内包部18内の脱酸素剤又は乾燥剤19とは酸素透過性の樹脂フィルム17により隔離されているため、外袋11内から飲食物15を取り出す際に飲食物15に脱酸素剤又は乾燥剤19が付着することはなく、飲食物15のみを速やかに取り出すことができる。
【0023】
以上のように構成された本実施形態の誤飲食防止パック10により発揮される効果を以下にまとめて説明する。
(1)本実施形態における誤飲食防止パック10では、酸素非透過性の樹脂フィルム12で形成された外袋11内に酸素透過性の樹脂フィルム17を外袋11の内面に熱融着することによって内包部18が設けられ、該内包部18内に脱酸素剤又は乾燥剤19が収容されている。内包部18内の脱酸素剤又は乾燥剤19により酸素透過性の樹脂フィルム17を介して外袋11内の空間に存在する酸素又は水分が除去されるため、飲食物15の酸化や腐敗が抑制される。さらに、外袋11内の飲食物15と内包部18内の脱酸素剤又は乾燥剤19とは酸素透過性の樹脂フィルム17により隔離されているため、外袋11内から飲食物15のみを容易に取り出すことができる。このとき、脱酸素剤又は乾燥剤19が収容されている樹脂フィルム17を破ることなくファスナー14を開口するだけで、簡単に飲食物15を取り出すことができる。
【0024】
従って、飲食物15の鮮度を良好に保持することができると共に、脱酸素剤又は乾燥剤19の誤飲食を防止することができ、かつ飲食物15の取り出しを容易に行うことができる。
(2)前記内包部18を外袋11の一端部に設け、外袋11を開閉するためのファスナー14を外袋11の他端部に設けたことから、誤飲食防止パック10の構成を簡易にでき、その製造を容易にすることができる。
【0025】
なお、前記実施形態を次のように変更して実施することも可能である。
・ 図3に示すように、前記区画部材を外袋11と同じ酸素非透過性の樹脂フィルム12で構成し、酸素を透過可能とするために脱酸素剤又は乾燥剤19が内包部18から出ないような大きさを有する複数の透孔25を設けることもできる。この場合、樹脂フィルム12を介して酸素を十分に透過させることができる。
【0026】
・ 図4に示すように、前記区画部材を脱酸素剤又は乾燥剤19が内包部18から出ないような網目を有する樹脂製の網状体26で構成することもできる。この場合、区画部材の酸素透過性を向上させることができる。
【0027】
・ 前記実施形態では酸素透過性の樹脂フィルム17を外袋11の片側内面に熱融着して熱融着部13aを形成したが、外袋11の内面の全周面に熱融着して熱融着部13aを形成することも可能である。この場合、外袋11内の酸素又は水分の除去性能を高めることができる。
【0028】
・ 区画部材を外袋11の内面に接合して酸素が透過可能に構成する方法として、酸素非透過性の樹脂フィルム12を外袋11の片側内面に所定間隔をおいて熱融着し、隙間を有するように熱融着部13aを形成することもできる。
【0029】
・ 酸素透過性の樹脂フィルム17を外袋11の内面に接合する方法としては、接着剤を用いる接着法を採用することもできる。
さらに、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
(イ)前記区画部材は外袋を構成する片側の樹脂フィルムの内面に接合されて内包部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の誤飲食防止パック。このように構成した場合、内包部を容易に形成することができる。
(ロ)前記外袋の周囲には熱融着部が設けられて密封されると共に、外袋内には酸素透過性の樹脂フィルムが前記外袋の熱融着部と、外袋の内面に対して熱融着された熱融着部とにより内包部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の誤飲食防止パック。このように構成した場合、熱融着により誤飲食防止パックの外袋と内包部とを容易に形成することができる。
【符号の説明】
【0030】
10…誤飲食防止パック、11…外袋、12…酸素非透過性の樹脂フィルム、14…ファスナー、15…飲食物、17…区画部材としての酸素透過性の樹脂フィルム、18…内包部、19…脱酸素剤又は乾燥剤、25…透孔、26…網状体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素非透過性の樹脂フィルムで形成され飲食物を収容する外袋内に酸素が透過可能に構成された区画部材を外袋の内面に接合することによって内包部を設け、該内包部内に脱酸素剤又は乾燥剤を収容可能に構成したことを特徴とする誤飲食防止パック。
【請求項2】
前記酸素が透過可能に構成された区画部材は、酸素透過性の樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の誤飲食防止パック。
【請求項3】
前記酸素が透過可能に構成された区画部材は、脱酸素剤又は乾燥剤が内包部から出ないような大きさの透孔が設けられた樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の誤飲食防止パック。
【請求項4】
前記酸素が透過可能に構成された区画部材は、網状体であることを特徴とする請求項1に記載の誤飲食防止パック。
【請求項5】
前記内包部を外袋の一端部に設け、外袋を開閉するためのファスナーを外袋の他端部に設けたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の誤飲食防止パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−254355(P2010−254355A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108026(P2009−108026)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(509120986)株式会社セブンパック (1)
【Fターム(参考)】