説明

読影レポート作成支援装置及びプログラム

【課題】読影レポート作成画面に添付された乳房画像の視認性を向上させる。
【解決手段】レポート生成管理装置10の制御部11は、通信部14を介して、画像ビューワ端末から乳房画像データを取得する。制御部11は、この乳房画像データにスキンラインを強調する処理(スキンライン検出処理やエッジ強調処理)を施し、レポート生成画面(読影レポート作成画面)に貼り付けるレポート添付画像を生成する。制御部11は、スキンラインが強調されたレポート添付画像を貼り付けたレポート生成画面を表示部13に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読影レポート作成支援装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院や診療所等の医療施設では、乳房撮影装置(モダリティ)等を用いて患者の乳房の撮影が行われ、乳房画像(乳房画像データ)が生成される。読影医は、生成された乳房画像を読影画面に表示させ、レポート生成画面(読影レポート作成画面)上でこの乳房画像に対する読影レポートを作成する。
【0003】
例えば、読影レポートを作成するためのシステムとして、画像生成装置で生成された画像データに対して所定の画像解析を行い、追加撮影等の必要性およびその種類を客観的に判断する追加撮影判断部が組み込まれた画像品質検査用端末を含んだ医用画像処理システムが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−51198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、レポート生成画面には、読影画面上に表示された乳房画像が添付画像として表示される。レポート生成画面に表示された添付画像は、サイズが小さく、読影画面に表示された乳房画像に比べて視認性が悪い。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、読影レポート作成画面に添付された乳房画像の視認性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の読影レポート作成支援装置は、
表示手段と、
乳房画像データを取得する取得手段と、
前記乳房画像データに対して、スキンラインを強調する画像処理を施し、前記表示手段を制御して、前記画像処理が施された乳房画像を、当該乳房画像の読影レポートの作成に供する読影レポート作成画面上に表示させる制御手段と、
を備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記制御手段は、前記乳房画像データを解析してスキンラインを検出し、前記表示手段を制御して、当該検出したスキンライン上にスキンライン強調線を表示させる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記取得手段は、前記乳房画像データを高精度表示する画像ビューワから当該乳房画像データを取得する。
【0010】
請求項4に記載のプログラムは、
コンピュータを、
表示手段、
乳房画像データを取得する取得手段、
前記乳房画像データに対して、スキンラインを強調する画像処理を施し、前記表示手段を制御して、前記画像処理が施された乳房画像を、当該乳房画像の読影レポートの作成に供する読影レポート作成画面上に表示させる制御手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1、4に記載の発明によれば、乳房画像データを取得し、当該乳房画像データに対して、スキンラインを強調する画像処理を施し、前記画像処理が施された乳房画像を、当該乳房画像の読影レポートの作成に供する読影レポート作成画面上に表示する。
【0012】
そのため、読影レポート作成画面に添付された乳房画像の視認性を向上させることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、読影レポート作成画面に添付された乳房画像の視認性を更に向上させることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、読影レポート作成画面に添付された、画像ビューワから取得した乳房画像の視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】放射線科システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】乳房画像データオブジェクトのデータ構成図である。
【図3】画像ビューワ端末のブロック図である。
【図4】レポート生成管理装置のブロック図である。
【図5】マンモグラム検査における読影レポートと医用画像の関係を示すイメージ図である。
【図6】マンモグラム検査における読影レポートのデータモデル図である。
【図7】読影レポートデータオブジェクトのデータ構成図である。
【図8】レポート生成管理装置や画像ビューワ端末が行う具体的な動作を示すフローチャート図である。
【図9】スキンライン検出処理のイメージ図である。
【図10】読影画面の画面例である。
【図11】レポート生成画面の画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の読影レポート作成支援装置を図1のレポート生成管理装置10に適用した場合の実施形態について図1〜図11を参照して説明する。
【0017】
[放射線科システムのシステム構成]
先ず、レポート生成管理装置10を有する放射線科システム100の概要について図1を用いて説明する。
【0018】
図1は、放射線科システム100のシステム構成の一例を示すブロック図である。図1によれば、放射線科システム100は、レポート生成管理装置10と、モダリティ20と、画像ビューワ端末30と、PACS40と、から構成されている。上記の各装置はLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNを介してデータ通信可能に接続されている。
【0019】
モダリティ20は、患者の乳房を撮影し、撮影画像(乳房画像)の画像データ(実画像データ)を生成する乳房撮影装置である。以下、乳房撮影装置による検査をマンモグラム検査と称す。
【0020】
モダリティ20は、図示しないRIS(放射線情報システム)からオーダ情報を受信する。RISとは、放射線科システム100内の情報を統括的に管理するシステムである。オーダ情報とは、撮影や診断の検査オーダの内容を示すデータである。
【0021】
モダリティ20は、RISから受信した検査オーダ情報に基づいて、生成した乳房画像の実画像データに関する各種情報(患者情報、検査情報及びシリーズ情報等)を有する付帯情報を生成する。そして、モダリティ20は、実画像データに付帯情報を付帯させ、DICOM規格に則った乳房画像データを生成する。モダリティ20は、生成した乳房画像データをPACS40に送信する。
【0022】
図2に、乳房画像1枚分に相当する乳房画像データ(以下、乳房画像データオブジェクトと称す)のデータ構成を示す。乳房画像データオブジェクトは、前述の通り、乳房画像1枚分に相当する実画像データと当該実画像データに関する付帯情報とから成る。付帯情報は、患者情報、検査情報及びシリーズ情報等を含む。
【0023】
図1に戻り、PACS40は、モダリティ20において生成された乳房画像データを保存管理し、検索やデータ解析を行うデータベースシステムである。PACS40は、制御部や記憶部、通信部等を備えて構成され、モダリティ20から受信した乳房画像データに含まれる付帯情報に基づいて当該乳房画像データを、例えば、リレーショナルデータベースに蓄積記憶していく。そして、PACS40は、読影医等の操作指示に応じて指定された患者IDや検査ID等を検索キーとして乳房画像データを検索し、画像ビューワ端末30や図示しないイメージャに出力する。また、PACS40は、患者IDや検査ID等の検索キーを含む乳房画像データ取得要求を外部機器から受信すると、この取得要求に応じた乳房画像データを検索して外部機器に提供(送信)する。
【0024】
画像ビューワ端末30は、乳房画像データを表示するビューワ機能を有しており、読影医等の読影に供する端末である。画像ビューワ端末30は、乳房画像データ取得要求をPACS40に送信し、PACS40から取得要求に応じた乳房画像データを取得する。そして、画像ビューワ端末30は、取得した乳房画像データを含む読影画面331を表示する。また、画像ビューワ端末30は、ユーザ操作により、取得した乳房画像データに対するアノテーション情報を生成する。そして、画像ビューワ端末30は、取得した乳房画像データをアノテーション情報と共に、レポート生成管理装置10に送信する。
【0025】
レポート生成管理装置10は、乳房画像データの読影レポートを生成するレポート生成機能と、生成した読影レポートを管理するレポート管理機能と、を有している。
【0026】
レポート生成管理装置10は、画像ビューワ端末30から乳房画像データとアノテーション情報とを受信する。レポート生成管理装置10は、画像ビューワ端末30から受信した乳房画像データの実画像データに対して、スキンラインを強調する画像処理を施す。「スキンライン」とは、画像に写る乳房領域と背景領域との境界となるラインである。
【0027】
レポート生成管理装置10は、画像処理の施された乳房画像データに基づいて、レポート添付画像を生成する。レポート生成管理装置10は、このレポート添付画像と画像ビューワ端末30から受信したアノテーション情報とを含むレポート生成画面(読影レポート作成画面)131を表示する。レポート生成管理装置10は、読影医等の操作指示に基づいて、読影レポート(読影レポートデータ)を生成する。レポート生成管理装置10は、生成した読影レポートを保存し管理する。
【0028】
[画像ビューワ端末の機能的構成]
図3に、画像ビューワ端末30の機能的構成を示す。
【0029】
図3に示すように、画像ビューワ端末30は、制御部31、操作部32、表示部33、通信部34、記憶部35を備えて構成され、各部はバス36により接続されている。
【0030】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、画像ビューワ端末30の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、操作部32から入力される操作信号又は通信部34により受信される指示信号に応じて、記憶部35に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0031】
操作部32は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部31に出力する。
【0032】
表示部33は、高精細のLCD(Liquid Crystal Display)により構成され、制御部31から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0033】
通信部34は、LAN(Local Area Network)アダプタ、ルータ、TA(Terminal Adapter)等を備え、通信ネットワークNを介して接続されたレポート生成管理装置10、PACS40等の外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0034】
記憶部35は、ハードディスク等から構成され、制御プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。
【0035】
制御部31は、通信部34を介してレポート生成管理装置10から画像表示命令を受信すると、この画像表示命令に基づいて乳房画像データ取得要求を生成する。そして、制御部31は、生成した乳房画像データ取得要求を通信部34を介してPACS40に送信する。
【0036】
制御部31は、通信部34を介してPACS40から乳房画像データ取得要求に応じた乳房画像データを取得すると、この乳房画像データに基づいて、表示部33に乳房画像や付帯情報を読影画面331に表示させる。
【0037】
また、制御部31は、ユーザ操作による操作部32からの操作信号等に基づいて、表示部33に表示された読影画面331上の乳房画像に対するアノテーション情報を生成する。制御部31は、取得した乳房画像データと生成したアノテーション情報とをレポート生成管理装置10に送信する。
【0038】
[レポート生成管理装置の機能的構成]
図4に、レポート生成管理装置10の機能的構成を示す。
【0039】
図4に示すように、レポート生成管理装置10は、制御部11、操作部12、表示部13、通信部14、記憶部15を備えて構成され、各部はバス16により接続されている。
【0040】
制御部11は、CPU、RAM等から構成され、レポート生成管理装置10の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、操作部12から入力される操作信号又は通信部14により受信される指示信号に応じて、記憶部15に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0041】
操作部12は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部11に出力する。
【0042】
表示部13は、LCDにより構成され、制御部11から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0043】
通信部14は、LANアダプタ、ルータ、TA等を備え、通信ネットワークNを介して接続された画像ビューワ端末30等の外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0044】
記憶部15は、ハードディスク等から構成され、制御プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。記憶部15は、レポートDB151を記憶する。レポートDB151とは、読影レポートデータを記憶管理するデータベースである。
【0045】
制御部11は、通信部14を介して画像ビューワ端末30から乳房画像データを取得すると、この乳房画像データの画像実データに対して、スキンラインを強調する画像処理を施す。制御部11は、画像処理を施した乳房画像データに基づいて、レポート添付画像を生成する。制御部11は、レポート添付画像を貼り付けたレポート生成画面(読影レポート作成画面)131を表示部13に表示させる。このレポート添付画像では、スキンラインが強調されているため、読影医等のユーザの視認性が向上する。
【0046】
また、制御部11は、通信部14を介して画像ビューワ端末30から乳房画像データと共に、この乳房画像データに対するアノテーション情報を取得すると、レポート生成画面131に、更にアノテーション情報を表示部13に表示させる。
【0047】
そして、制御部11は、ユーザ操作による操作部12からの操作信号等に基づいて、読影レポートデータを生成する。制御部11は、生成した読影レポートデータを記憶部15のレポートDB151に記憶させて管理する。
【0048】
図5に、マンモグラム検査における読影レポートと乳房画像の関係を示すイメージ図を示す。図5に示すように、マンモグラム検査は、右乳房検査と左乳房検査とで構成される。
【0049】
右乳房検査では、MLO(外斜位方向)で撮影された乳房画像(右乳房MLO画像)と、CC(頭尾方向)で撮影された乳房画像(右乳房CC画像)とがモダリティ20において生成される。また、右乳房MLO画像と右乳房CC画像の読影レポート(右乳房レポート)が生成される。この右乳房レポートは、部分レポートである。部分レポートについては後述する。
【0050】
左乳房検査でも同様に、MLO(内外斜位方向)で撮影された乳房画像(左乳房MLO画像)と、CC(頭尾方向)で撮影された乳房画像(左乳房CC画像)とがモダリティ20において生成される。また、左乳房MLO画像と左乳房CC画像の読影レポート(左乳房レポート)が生成される。この左乳房レポートは、部分レポートである。
【0051】
また、マンモグラム検査では、右乳房レポートと左乳房レポートとを総合判定した読影レポート(総合レポート)が生成される。
【0052】
図6に、マンモグラム検査における読影レポート(読影レポートデータ)のデータモデル図を示す。レポートDB151では、このデータモデルに従って、検査、読影レポート、乳房画像等を関連付けている。図6に示すように、マンモグラム検査において、読影レポートは一検査毎に生成される。一検査分の読影レポートデータを読影レポートデータオブジェクトと称す。
【0053】
前述のように、マンモグラム検査には、2つの部分検査が含まれる。具体的に、2つの部分検査とは、右乳房検査と左乳房検査である。各部分検査では、乳房画像2枚分の乳房画像データ、即ち、2つの乳房画像データオブジェクトが生成される。具体的に、1つは、モダリティ20においてMLOで撮影された乳房画像(右乳房MLO画像、左乳房MLO画像)に対応するデータ、もう1つは、CCで撮影された乳房画像(右乳房CC画像、左乳房CC画像)に対応するデータである。
【0054】
一検査分の読影レポートには、2つの部分レポートと1つの総合レポートとが含まれる。部分レポートとは、部分検査における読影レポートである。即ち、一検査分の読影レポートには、右乳房検査における読影レポート(右乳房レポート)と左乳房検査における読影レポート(左乳房レポート)とが含まれる。総合レポートとは、各部分検査を総合判定した読影レポート(総合レポート)である。即ち、一検査分の読影レポートには、右乳房検査と左乳房検査とを総合判定した読影レポートが含まれる。1つの部分検査の部分レポートのデータを部分レポートデータオブジェクトと称す。また、1つの総合レポートのデータを総合レポートデータオブジェクトと称す。
【0055】
図7に、レポートDB151に記憶管理されている読影レポートデータオブジェクトのデータ構成図を示す。図7に示すように、読影レポートデータオブジェクトは、1つの総合レポートデータオブジェクトと、2つの部分レポートデータオブジェクトとを含む。また、部分レポートデータオブジェクトには、部分判定情報が含まれる。総合レポートデータオブジェクトには、総合判定情報が含まれる。レポートDB151には、一又は複数の読影レポートデータオブジェクトが記憶される。
【0056】
[レポート生成管理装置等の具体的な動作]
次に、レポート生成管理装置10や画像ビューワ端末30が行う具体的な動作について、図8を用いて説明する。
【0057】
ユーザは、レポート生成管理装置10の操作部12に対して、読影レポート生成(読影作業)を行う検査を選択する操作を行う。制御部11は、操作部12からの操作信号に基づいて、読影レポート生成の対象となる検査を選択する(ステップS1)。
【0058】
そして、制御部11は、ステップS1において選択された検査の検査IDや、この検査対象となった患者の患者ID等を含む画像表示命令を生成する。制御部11は、生成した画像表示命令を画像ビューワ端末30に通信部14を介して送信する(ステップS2)。
【0059】
画像ビューワ端末30の制御部31は、通信部34を介してレポート生成管理装置10から画像表示命令を受信(取得)すると、対象となる検査に対応する乳房画像データをPACS40から取得する(ステップS3)。具体的に、制御部31は、取得した画像表示命令に含まれる患者IDや検査IDを検索キーとする。制御部31は、この検索キーを含む乳房画像データ取得要求を生成する。制御部31は、生成した乳房画像データ取得要求をPACS40に通信部34を介して送信する。そして、制御部31は、PACS40から取得要求に応じた乳房画像データを通信部34を介して受信する。ここで、取得要求に応じた乳房画像データとは、右乳房MLO画像、右乳房CC画像、左乳房MLO画像、左乳房CC画像に対応する4つの乳房画像データオブジェクトである。
【0060】
制御部31は、PACS40から取得した乳房画像データを表示部33に表示させる(ステップS4)。即ち、制御部31は、読影画面331を表示部33に表示させる。具体的に、制御部31は、高精細モニタに、右乳房MLO画像、右乳房CC画像、左乳房MLO画像、左乳房CC画像と、それぞれの画像に対応する付帯情報を表示させる。読影画面331については後述する。
【0061】
読影医は、高精細モニタに表示された乳房画像を参照し、読影作業を行う。例えば、読影医は、乳房画像上に、アノテーションを作成する。
【0062】
制御部31は、ユーザ操作による操作部32からの操作信号等に基づいて、表示部33に表示された乳房画像に対するアノテーション情報を生成する(ステップS5)。
【0063】
制御部31は、PACS40から取得した乳房画像データ(4つの乳房画像データオブジェクト)と生成したアノテーション情報とをレポート生成管理装置10に通信部34を介して送信する(ステップS6)。
【0064】
レポート生成管理装置10の制御部11は、通信部14を介して、画像ビューワ端末30から乳房画像データとアノテーション情報とを受信すると、この乳房画像データの画像実データに対して、スキンラインを強調する画像処理を施す(ステップS7)。具体的に、スキンラインを強調する画像処理とは、スキンライン検出処理、エッジ強調処理等である。各処理についての詳細は後述する。
【0065】
そして、制御部11は、画像処理を施した乳房画像データに基づいて、レポート生成画面131に貼り付けるレポート添付画像を生成する。そして、制御部11は、レポート添付画像上にアノテーション情報を加えて、このレポート添付画像を貼り付けたレポート生成画面131を表示部13に表示させる(ステップS8)。レポート生成画面131については後述する。
【0066】
ユーザは、レポート生成画面131において、読影レポートの作成を行う。制御部11は、ユーザ操作による操作部12からの操作信号等に基づいて、読影レポートデータオブジェクトを生成する(ステップS9)。
【0067】
そして、制御部11は、生成した読影レポートデータオブジェクトを記憶部15のレポートDB151に記憶させる(保存する)(ステップS10)。以上で処理が終了する。
【0068】
[スキンライン検出処理]
図9に、スキンライン検出処理のイメージ図を示す。図9に示すように、スキンライン検出処理とは、乳房が写っている逆側の端から、乳房に向けて画像を水平方向に順次走査し、信号差が一定以上発生した地点をスキンラインとして検出し、検出したスキンライン上にスキンライン強調線を描画する処理である。
【0069】
乳房が写っていない素抜け領域(背景領域)は、X線が物体に吸収されていないため、高い信号値となる。これに対して、乳房領域は、乳房によってX線が吸収されているため、素抜け領域に比べて低い信号値となる。このような特性を利用して、スキンライン検出処理は行われる。
【0070】
[エッジ強調処理]
エッジ強調処理とは、以下のような処理をいう。即ち、原画像信号を多重解像度変換することにより複数の空間周波数帯域の非鮮鋭画像信号を得て、取得された複数の周波数帯域の非鮮鋭画像信号のうち何れかの非鮮鋭画像信号に基づいて原画像信号におけるエッジ情報を取得し、取得したエッジ情報に基づいて、原画像信号と各周波数帯域における非鮮鋭画像信号に画素値変換処理を施し、隣り合う周波数帯域の非鮮鋭画像信号との差分(原画像信号については最高周波数帯域の非鮮鋭画像信号との差分)をとるとともに、その差分信号に所定の調整係数を掛けて差分画像信号を取得する。この差分信号を原画像信号に加算することにより、エッジ強調された処理済み画像信号を得る。
【0071】
[読影画面]
図10に、読影画面331の画面例を示す。図10に示すように、読影画面331上の左上の領域に右乳房MLO画像d1が、読影画面331上の左下の領域に右乳房CC画像d2が、読影画面331上の右上の領域に左乳房MLO画像d3が、読影画面331上の右下の領域に左乳房CC画像d4が表示される。
【0072】
また、読影画面331上には、図示しないアノテーション選択メニューバーが表示される。アノテーション選択メニューバーは、「石灰」「腫瘤」「その他」の項目があり、これらの項目の何れかを選択し、読影画面331に表示されている乳房画像と当該画像上の位置を指定することにより、各項目に応じたアノテーションが、指定された乳房画像上の指定位置に描画される。また、この際、アノテーションの大きさ等も指定される。この描画されたアノテーションの情報が、アノテーション情報となる。
【0073】
また、読影画面331上には、図示しない送信ボタンが表示される。送信ボタンが押下されると、読影画面331に表示されている乳房画像の元となる乳房画像データ(4つの乳房画像データオブジェクト)とアノテーション情報とが、レポート生成管理装置10に送信される。
【0074】
[レポート生成画面]
図11に、レポート生成画面131を示す。図11に示すように、レポート生成画面131は、総合判定設定領域T1、右乳房部分判定設定領域T2、左乳房部分判定設定領域T3、右乳房レポート記述領域T4、左乳房レポート記述領域T5等から構成される。また、右乳房レポート記述領域T4は、レポート添付画像d11、d12、病変レポートテンプレートd15を含む。左乳房レポート記述領域T5は、レポート添付画像d13、d14、病変レポートテンプレートd16を含む。
【0075】
レポート添付画像d11は、右乳房MLO画像d1をレポート添付用に処理した画像である。レポート添付画像d12は、右乳房CC画像d2をレポート添付用に処理した画像である。レポート添付画像d13は、左乳房MLO画像d3をレポート添付用に処理した画像である。レポート添付画像d14は、左乳房CC画像d4をレポート添付用に処理した画像である。また、レポート添付画像d11〜d14には、スキンラインを強調する処理が施されている。また、レポート添付画像d11〜d14上には、アノテーションが表示される。
【0076】
右乳房レポート記述領域T4は、右乳房レポートを記述するための領域である。ユーザは、操作部12を介して、この右乳房レポート記述領域T4に部分レポートを記述する。また、病変レポートテンプレートd15において、ユーザは、テンプレートに従って部分レポートを作成することができる。
【0077】
右乳房部分判定設定領域T2は、右乳房レポートの部分判定を行うための領域である。ユーザは、操作部12を介して、右乳房部分判定設定領域T2にあるカテゴリ1〜5等のボタンを選択し、右乳房レポートの部分判定を行う。ここで、異常所見がない場合、カテゴリ1が選択される。明らかに良性と診断できる所見がある場合、カテゴリ2が選択される。良性であるが、悪性を否定できない所見がある場合、カテゴリ3が選択される。悪性が疑われる所見がある場合、カテゴリ4が選択される。悪性の所見がある場合、カテゴリ5が選択される。即ち、カテゴリ1からカテゴリ5になるに連れて、悪い診断結果となる。
【0078】
左乳房レポート記述領域T5は、左乳房レポートを記述するための領域である。ユーザは、操作部12を介して、この左乳房レポート記述領域T5に部分レポートを記述する。また、病変レポートテンプレートd16において、ユーザは、テンプレートに従って部分レポートを作成することができる。
【0079】
左乳房部分判定設定領域T3は、左乳房レポートの部分判定を行うための領域である。ユーザは、操作部12を介して、左乳房部分判定設定領域T3にあるカテゴリ1〜5等のボタンを選択し、左乳房レポートの部分判定を行う。
【0080】
総合判定設定領域T1は、各部分検査を総合判定を行うための領域である。
【0081】
また、レポート生成画面131上には、図示しないレポート生成ボタンが表示される。レポート生成ボタンが押下されると、読影レポートデータオブジェクトが生成され、レポートDB151に保存される。
【0082】
このとき、右乳房レポート記述領域T4において記述された右乳房レポートが、読影レポートデータオブジェクトの右乳房の部分レポートデータオブジェクトの値となる。更に、右乳房部分判定設定領域T2において設定された部分判定が、右乳房の部分レポートデータオブジェクトの部分判定情報となる。
【0083】
また、左乳房レポート記述領域T5において記述された左乳房レポートが、読影レポートデータオブジェクトの左乳房の部分レポートデータオブジェクトの値となる。更に、左乳房部分判定設定領域T3において設定された部分判定が、左乳房の部分レポートデータオブジェクトの部分判定情報となる。
【0084】
また、総合判定設定領域T1において設定された総合判定が、読影レポートデータオブジェクトの総合レポートデータオブジェクトの値となる。
【0085】
以上、本実施形態によれば、レポート生成管理装置10の制御部11は、通信部14を介して、画像ビューワ端末30から乳房画像データを取得する。制御部11は、この乳房画像データにスキンラインを強調する処理(スキンライン検出処理やエッジ強調処理)を施し、レポート生成画面(読影レポート作成画面)131に貼り付けるレポート添付画像を生成する。制御部11は、スキンラインが強調されたレポート添付画像を貼り付けたレポート生成画面131を表示部13に表示させる。
【0086】
そのため、読影レポート作成画面に添付された乳房画像の視認性を向上させることができる。
【0087】
尚、本実施形態では、レポート生成管理装置10は、画像ビューワ端末30から受信した乳房画像データの実画像データに対して、スキンラインを強調する画像処理を施すとした。しかし、レポート生成管理装置10は、スキンラインを強調する画像処理の代わりに、又はスキンラインを強調する画像処理に加えて、アノテーションを強調する画像処理を乳房画像データの実画像データに施す構成としてもよい。
【0088】
具体的に、レポート生成管理装置10の制御部11は、通信部14を介して、画像ビューワ端末30から乳房画像データとアノテーション情報とを受信すると、この乳房画像データの画像実データに対して、階調処理を施してコントラストを低くする。
【0089】
この構成により、読影レポート作成画面に添付された乳房画像の視認性を向上させることができる。
【0090】
尚、本実施形態における記述は、本発明に係る読影レポート作成支援装置の一例であり、これに限定されるものではない。システム及び各装置の細部構成及び細部動作に関しても適宜変更可能である。
【0091】
また、本実施形態では、プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な媒体としてハードディスクを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記憶媒体、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ等を適用することが可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も適用可能である。
【符号の説明】
【0092】
10 レポート生成管理装置
11 制御部
12 操作部
13 表示部
14 通信部
15 記憶部
16 バス
20 モダリティ
30 画像ビューワ端末
31 制御部
32 操作部
33 表示部
34 通信部
35 記憶部
36 バス
40 PACS
151 レポートDB
331 読影画面
131 レポート生成画面
N 通信ネットワーク
T1 総合判定設定領域
T2 右乳房部分判定設定領域
T3 左乳房部分判定設定領域
T4 右乳房レポート記述領域
T5 左乳房レポート記述領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、
乳房画像データを取得する取得手段と、
前記乳房画像データに対して、スキンラインを強調する画像処理を施し、前記表示手段を制御して、前記画像処理が施された乳房画像を、当該乳房画像の読影レポートの作成に供する読影レポート作成画面上に表示させる制御手段と、
を備える読影レポート作成支援装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記乳房画像データを解析してスキンラインを検出し、前記表示手段を制御して、当該検出したスキンライン上にスキンライン強調線を表示させる、
請求項1に記載の読影レポート作成支援装置。
【請求項3】
前記取得手段は、前記乳房画像データを高精度表示する画像ビューワから当該乳房画像データを取得する、
請求項1又は2に記載の読影レポート作成支援装置。
【請求項4】
コンピュータを、
表示手段、
乳房画像データを取得する取得手段、
前記乳房画像データに対して、スキンラインを強調する画像処理を施し、前記表示手段を制御して、前記画像処理が施された乳房画像を、当該乳房画像の読影レポートの作成に供する読影レポート作成画面上に表示させる制御手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−227209(P2010−227209A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76510(P2009−76510)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】