説明

調理補助器具

【課題】バッフル板の動きを抑制し、湯槽内で安定させ、バッフル板に設けた孔とテボ受けのテボ孔の位置がずれ難く、テボ内の食材の攪拌を充分に行なえ、食材の癒着の防止が出来きると共に、湯で時間の短縮を図ることを目的とする。
【解決手段】下板2と、下板2の上方に位置する上板3と、下板2と上板3を連結固定する連結部材4を備え、下板2には複数の噴流孔22が設けられ、上板3には、テボ6を挿入してテボ6の位置決めを行なう嵌め込み部31を設け、嵌め込み部31の真下に噴流孔22が位置するように、下板2と上板3を連結部材4で連結固定したことを特徴とする調理補助器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺等の食材を茹でる茹で機やフラドポテト等の食材を揚げる揚げ機等に用いられて調理性を向上させるもので、複数の湯の噴流孔を設けた板体を茹で機等の湯槽に沈めて使用する調理補助器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、茹で機において、平板状の金属板に複数の孔を設け、茹で機の湯槽の底面に沈め、孔から噴流を発生させ、該噴流による湯槽内の湯の加熱時間を短縮させる調理補助器具、いわゆるバッフル板が用いられている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
又、麺類等の食材を入れたテボ(取手付きの湯で籠)を複数同時に湯槽につける際、テボの位置を決め、テボを保持し、安定的に食材を茹でる目的で、金属板等にテボの大きさ及び形状に適合された円形の孔を複数形成した蓋や、長尺薄板を曲折し、組み合わせてテボの大きさ及び形状に適合された円形の孔を複数形成した保持枠等、湯槽の上縁に係止して湯面の上方に設置するテボ受けも用いられている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0004】
そして、上記のようなバッフル板及びテボ受けを組み合わせて使用し、バッフル板の孔からの湯の噴流によりテボ内の食材を攪拌し、食材同士の癒着を防止すると共に、茹で時間を短縮させることが行なわれていた。
【0005】
【特許文献1】特開2004−154197号公報
【特許文献2】特開2005−73915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の上記のバッフル板は鍋や釜等の湯槽の底面に設置するための脚部を有している場合もあるが、平板状の一枚の板で構成されているため、湯槽の底面から発生する気泡や噴流、更にはバッフル板自体が作り出す噴流により、バッフル板が動いてしまい、位置が不安定であり、バッフル板に設けた孔とテボ受けのテボ孔の位置がずれ易く、バッフル板に設けた孔からの噴流がテボにぶつからず、テボ内の食材の攪拌が充分に出来ず、食材の癒着の防止が出来ず、茹で時間の短縮を図ることが出来ないという欠点があった。更に、複数のテボ内の食材が、テボ毎に噴流のあたり具合が異なり、テボによって茹で上がりが不均一になるという問題点があった。更に、ずれてしまったバッフル板に設けた孔とテボ受けのテボ孔の位置を合わせるのは、バッフル板が、沸騰した湯の中にあり、テボ受けも熱くなっているために困難且つ煩雑であった。
【0007】
又、バッフル板からの噴流により湯槽内の湯の攪拌が強すぎる場合があり、食材の攪拌作用が大きくなりすぎ、食材を傷め、麺類の場合には切れてしまうこともあるという問題点があった。更に、茹で加減の調整が難しくなったり、長時間使用すると、食材からぬめり成分、残渣が多く出て、テボに付着したり、バッフル板の孔を塞いでしまうという問題点もあった。
【0008】
又、湯の攪拌の作用しかないために、湯温立ち上がり時間短縮は充分には図れなかった。
【0009】
更に、湯槽に差し水をすると、急速に湯温が下がってしまい、しかも湯槽内の湯の温度が不均一になり、複数のテボ内の食材が、テボによって茹で上がりが不均一になるという問題点があった。
【0010】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、バッフル板の動きを抑制し、湯槽内で安定させ、バッフル板に設けた孔とテボ受けのテボ孔の位置がずれ難く、テボ内の食材の攪拌を充分に行なえ、食材の癒着の防止が出来きると共に、湯で時間の短縮を図ることを目的とする。更に、複数のテボ内の食材が、テボによっても茹で上がりを均一にすることを目的とする。
【0011】
又、テボ内の食材を傷めることを防止すること、更に、茹で加減の調整を容易とすること。食材から出るぬめり成分、残渣を少なくすることを目的とする。
【0012】
又、湯温立ち上がり時間短縮を充分に図ることを目的とする。
【0013】
更に、湯槽に差し水をしても、急速に湯温が下がらず、しかも湯槽内の湯の温度を均一に保つことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための手段としての本発明は、湯槽に設置されて使用される調理補助器具であって、下板と、前記下板の上方に位置する上部部材と、前記下板と前記上部部材を連結固定する連結部材を備え、前記下板には、複数の噴流孔が設けられ、前記上部部材には、テボを挿入してテボの位置決めを行なう嵌め込み部を設け、前記嵌め込み部の真下に前記噴流孔が位置するように、前記下板と前記上部部材を前記連結部材で連結固定したことを特徴とする調理補助器具である。
【0015】
又、上記調理補助器具において、前記上部部材は、平板体の上板で構成され、前記嵌め込み部は前記上板の側端から凹部を形成して複数設け、前記嵌め込み部間に、調理補助器具が設置される湯槽の内側面方向に延出する羽根部が形成されていることを特徴とする調理補助器具である。
【0016】
又、上記調理補助器具において、前記上板は、前記嵌め込み部間の羽根部の先端が、調理補助器具が設置される湯槽の内側面に近接又は当接していることを特徴とする調理補助器具である。
【0017】
又、上記調理補助器具において、前記噴流孔は前記嵌め込み部の真下であって、前記嵌め込み部の一端部方向に偏心して位置するように設けたことを特徴とする調理補助器具である。
【0018】
又、上記調理補助器具において、前記下板は、複数の噴流孔が設けられた横板の全周縁から下方に筒状の脚部を突出させ、前記横板と前記脚部で囲まれる空間部を複数の小空間に分割する仕切板を設けたことを特徴とする調理補助器具である。
【0019】
又、上記調理補助器具において、前記上部部材は、前記嵌め込み部としてテボを係止するテボ受け部を有し、湯槽の上縁に係止されるテボ受けで構成されていることを特徴とする調理補助器具である。
【0020】
又、上記調理補助器具において、前記上板の上方に、テボを係止するテボ受け部を有し、湯槽の上縁に係止されるテボ受けを、連結部材で、前記上板と連結固定したことを特徴とする調理補助器具である。
【0021】
又、上記何れかの調理補助器具を用いたことを特徴とする茹で機である。
【発明の効果】
【0022】
以上のような本発明によれば、バッフル板、即ち本発明の下板の動きを抑制し、湯槽内で安定させ、バッフル板、即ち本発明の下板に設けた噴流孔とテボ受けのテボ受け部の位置がずれることがなく、テボ内の食材の攪拌を充分に行なえ、食材の癒着の防止が出来きると共に、茹で時間や揚げ時間の短縮を図ることが可能となった。更に、複数のテボ内の食材が、テボによっても茹で上がりを均一にすることが可能となった。
【0023】
又、テボ内の食材を傷めることなく攪拌することが出来、更に、茹で加減の調整を容易とすることが可能となった。又、食材から出るぬめり成分、残渣を少なくすることが可能となった。
【0024】
又、湯温や油の温度の立ち上がり時間を大幅に短縮することが出来た。更に、湯槽に差し水をしても、急速に湯温が下がらず、しかも湯槽内の湯の温度を均一に保つこと可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下本発明の実施の形態を図に従って説明する。図1〜図3に示すように、本発明の調理補助器具1は、麺等の食材を茹でる茹で機やフラドポテト等の食材を揚げる揚げ機等に用いられて調理性を向上させるもので、湯や油が満たされる湯槽内に設置されて使用され、下板2、上部部材としての上板3、下板2と上板3とを連結固定する連結部材4を備えて構成されている。尚、「湯槽」とは、水や湯を内部に貯めて加熱する槽のほか、油を内部に貯めて加熱する槽を含むものとする。又、「食材」は麺類等に限定されず、茹でたり揚げたりする食材全般が含まれる。
【0026】
下板2は、円形平板状の横板21に複数の噴流孔22が設けられ、横板21の全周縁から下方に筒状の脚部23を突出させて形成し、横板21と脚部23で囲まれる空間部24が形成されている。調理補助器具1の使用時に、下板2は、湯槽の底面上に載置される。
【0027】
噴流孔22は、空間部24から沸騰したお湯を横板21の上方に噴射するための孔であり、調理補助器具1が使用される茹で機のテボ設置数に対応した組数を設けている。各組220、即ち、1個のテボに対応し、1個のテボにお湯を噴射するための1組の孔は、1個又は複数の噴流孔22で構成している。1組が複数の噴流孔22で構成されている場合、1組内の噴流孔22は、すべて同じ形状、大きさとしてもよいが、形状、大きさを変化させてもよい。図に於いては、噴流孔を円形としているが、円形に限定されず、三角形、方形、他の多角形、楕円形、半円形、扇型等とすることとしてもよい。一方、各組220ごとでは、噴流孔22の大きさ、個数、相対的位置等の構成を同一にすることが好ましい。このような構成とすることで、複数のテボに同様なお湯の流れを与えることが出来、各テボ間で均一の茹で加減を達成することが出来るからである。
【0028】
又、空間部24内の横板21の裏面には、空間部24を複数の小空間241に分割する仕切板25を設けることが好ましい。仕切板25は、各噴流孔22の組220毎に均一なお湯の噴射力を与えるため、又下板2に強度をもたせるための部材であり、空間部24を各噴流孔22の組数に対応させて組220毎に略同等の体積の小空間241が割り当てられるように設置されている。仕切板25で空間部24を各噴流孔22の組220毎に仕切ってもよいが、各噴流孔22の組220毎に略同等の体積の小空間が割り当てられれば、複数の各噴流孔22の組220に1個の小空間241を割り当てることとしてもよく、例えば、図1に示すように、2組の噴流孔22の組220には、夫々1個の小空間241が割り当てられ、4組の組220は、夫々2組で1個の小空間241が割り当てられるように構成してもよい。
【0029】
下板2の材質は、湯や油が加熱せられたときの高温に耐えることが出来れば、特に限定されないが、ステンレスが好適に用いられる。又、下板2は、横板21、噴流孔22及び脚部23を、1枚の平板からプレス成型等により一体成型し、仕切板25を溶接等により固定して成形することが出来る。
【0030】
尚、下板2の横板21は、平面に限定されず、曲面状等の凹凸状に形成してもよく、又、下板2は、仕切板25を設けないで形成することとしてもよい。又、下板2は、湯槽の底面の形状により、或いは横板21が平面でないこと等により噴流孔22から湯の噴射が行なわれれば、脚部23を設けないで横板21のみで構成してもよく、或いは横板21の縁部から複数の独立した脚部を下方に突出させて形成してもよい。
【0031】
上板3は、調理補助器具1を湯槽内に設置した際に、湯内に位置し、下板2、ひいては調理補助具1の湯槽内での移動を防止すると共に、下板2に設けた噴流孔22とテボとの相対的位置のずれを防止するための部材である。
【0032】
上板3は、円形平板体の側端から円形の中心方向に凹部を形成してテボ6を位置決めする嵌め込み部31を形成している。嵌め込み部31は、調理補助器具1が使用される茹で機のテボ設置数に対応した数を設けている。従って、嵌め込み部31の数と噴流孔22の組220は同数である。嵌め込み部31の形状は、使用するテボ6に対応させてU字形状等の適宜形状に形成する。尚、図示はしていないが、上板3の中心部にテボ6を挿入可能な孔を形成して嵌め込み部としてもよい。又、嵌め込み部31間に形成される羽根部33の先端が湯槽の内側面に近接又は当接するように、羽根部33が湯槽の内側面方向に延出している。嵌め込み部31は、使用するテボ6を上方から挿入可能で、テボ6の位置決めが可能であればよいが、上板3がテボ6に近接或いは当接するように形成することが好ましい、このような構成とすることで、湯槽内の湯の保温効果を高めることが出来る。このような上板3は、1枚の円形平板からプレス成型等により一体成型することが出来る。
【0033】
尚、嵌め込み部は、上述のように平板の側端から円形の中心方向に凹状に切り欠いて形成するのではなく、図示はしないが、円形平板の側端部に、テボを挿入可能な孔を形成して嵌め込み部としてもよい。
【0034】
下板2と上板3は、連結部材4としての棒状体40で、平行に連結固定されている。棒状体40の形状としては特に限定されないが、円柱状や板状の棒を用いることが出来る。尚、連結部材4は下板2と上板3を連結固定できればその形状、材質、設置数等は特に限定されず、板体等を用いることも出来、テボの設置に邪魔にならなければ、設置場所も特に限定されない。
【0035】
下板2、上板3及び棒状体40がステンレス製である場合には、溶接により組み立てればよいが、図示はしないが、棒状体40の一端又は両端におねじを形成すると共に、下板2又は/及び上板3にめねじを形成して、ねじ込み式にして、下板と上板3を分割可能としてもよい。又、上板3及び/又は下板2の横板21にネジ孔を設け、棒状体40の上端及び/又は下端にめねじを設けて、棒状体40と上板3及び/又は下板2をネジ止めする構成としてもよい。このように、調理補助器具1は、下板2と上板3が、連結部材4により固定されているが、分解できてもよく、分解できなくてもよい。又、下板2又は上板3の一方が分解可能であってもよい。
【0036】
棒状体40の長さLは、少なくとも上板3が湯内に位置すれば、湯槽の深さ、即ち湯槽内の水位に応じて適宜変更可能であるが、清掃を容易とするために人の手を下板2と上板3の間に入れられる程度の長さとすることが好ましい。又、棒状体40の長さLは、調理補助器具1を湯槽内に設置した際に、図5に示すように、上板3が湯面Wに近接するような長さにすることが好ましい。
【0037】
下板2と上板3は、噴流孔22が嵌め込み部31の真下に位置するように、棒状体40で連結固定されている。このような構成とすることで、噴流孔22から上方に噴射される湯が嵌め込み部31に位置するテボ6に当り、テボ6内の食材を充分に攪拌することが出来、食材の癒着を防止することが出来、茹で時間の短縮を図ることが出来る。更に、テボ6の周りに上板3が存在することで、食材の攪拌作用が大きくなりすぎず、適度な攪拌力とすることが出来、食材を傷めること、麺類の場合には切れてしまうことを防止することが出来、更に、茹で加減の調整が容易となり、食材からぬめり成分、残渣が多く出ることを防止出来、調理補助器具1や湯槽への汚れ付着を減少させることが出来る。
【0038】
又、上板3により、湯槽内の湯の保温効果を高めることが出来、沸騰時間の短縮、食材の茹で上がり時間の短縮を図ることが出来る。更に、注し水を上板3上に注ぐことで、注し水が上板3上に落下し、上板3上を移動して湯内に分散して供給されるので、湯槽内の湯の温度の急速な低下を防止することが出来、食材の茹で上がり時間に影響を与えず、更に、湯槽内の湯の温度むらを防止することが出来、テボごとの食材間の茹で加減、茹で時間を均一なものとすることが出来る。
【0039】
又、噴流孔22は嵌め込み部31の真下であって、嵌め込み部31の一端部方向に偏心して位置するように設けることが好ましい。このような構成とすることで、噴流孔22から噴射される湯はテボの一側面に沿って上方に流れるので、テボ内の食材をランダムに攪拌するのではなく、一方向に回すように攪拌することが出来、食材を均一に加熱することが出来ると共に、食材を傷つけることなく攪拌することが出来る。
【0040】
尚、上記調理補助器具1は、図4や図9に示す円形の鍋や釜等の湯槽93、更にはそのような湯槽93を用いた茹で機9に使用するものとして、下板2の横板21及び上板3を円形としているが、湯槽が方形等である場合には、適宜湯槽の形状に適合させて、方形等に形成することが好ましい。
【0041】
調理補助器具1は、茹で機や、テボを使用する揚げ機等に使用することが出来る。茹で機は、公知のものを使用することが出来、例えば、図9に示すように、脚部901上に筐体902を設けた本体90の背部に給水カラン92を設け、筐体902内部には湯槽93を加熱するためのバーナー94を設け、筐体902の上面には湯槽設置孔911が設けられ、湯槽設置孔911の周囲をハカマ95で覆い、ハカマ95に湯槽93たる丸鍋が係止され、丸鍋がバーナー94上方に設置される構成の茹で機を使用することが出来る。そして、湯槽93に調理補助器具1が設置されている。更に、湯槽93の縁部には、所定数の孔状のテボ受け部51が設けられると共にテボ受け部51間には差し水用孔52が設けられたテボ受け5が係止されている。
【0042】
このような調理補助器具1の使用、動作について、茹で機9に使用する場合について説明する。先ず、図9に示すように、茹で機9に湯槽93を設置し、図4に示すように、湯槽93内に、湯槽93の底面931に下板2を置いて、調理補助器具1を設置する。そして、図9に示すように、調理補助器具1の上板3の嵌め込み部31とテボ受け部51が上面視重なるようにテボ受け5を湯槽93の縁部に係止して設置する。この際、テボ受け5の差し水用孔52は、上板3の羽根部33上方に位置している。
【0043】
湯槽93に水をいれる工程は、調理補助器具1やテボ受け5の設置の前後を問わないが、図5に示すように、湯槽93内の湯面Wは、上板3より高く、上板3が完全に沈むようにする。特に、湯面Wが上板3の直ぐ上に位置すること、上板3が水に浸るか浸らないか程度が好ましく、具体的には、上板3から湯面Wの距離は1〜50mm程度とすることが好ましく、より好ましくは5〜30mmである。1mm以下とすると、上板3が湯面Wから出てしまい、調理補助器具1が動いてしまう虞があり、50mm以上であると、差し水が上板3に当らず湯10内に拡散出来ないからであり、5mm以上とすることにより、確実に上板3を湯10内に維持することが出来、調理補助器具1が動くのを確実に防止出来、30mm以下とすることで、差し水を確実に上板3に当て、上板3上を流れて湯槽93内に拡散させることが出来るからである。
【0044】
湯槽93内の湯10が沸騰したら、テボ6に図示しない食材を入れて、テボ6をテボ受け部51に挿入してテボ受け5に係止させる。この際、上板3の嵌め込み部31とテボ受け部51が上面視重なっているので、テボ6の下部は、上板3の嵌め込み部31に挿入され、嵌め込み部31でも位置決めされる。更に、嵌め込み部31は、下板2の噴流孔22の真上に位置するように形成されているので、テボ6は噴流孔22の真上に位置する。
【0045】
図5に示すように、噴流孔22からは、沸騰した湯が矢印Dに示すようにテボ6の下面に向けて噴射し、テボ6内の図示しない食材を攪拌しつつ茹でる。上板3がテボ6の周りに位置し、しかも上板3が湯面Wに近接しているので、湯面Wが荒れ難く、食材の攪拌作用が大きくなりすぎず、適度な攪拌力とすることが出来、食材を傷めること、麺類の場合には切れてしまうことを防止することが出来、更に、茹で加減の調整が容易となり、食材からぬめり成分、残渣が多く出ることを防止出来、調理補助器具1や湯槽93への汚れ付着を減少させることが出来る。
【0046】
又、上板3が湯面Wに近接しているので、沸騰した湯10が外気に触れにくく、湯10の温度低下を防止出来、食材の茹で上がり時間の短縮を図ることが出来る。
【0047】
給水カラン92から湯槽93に注がれる注し水は、矢印Eで示すように、テボ受け5の差し水用孔52を通り、上板3の羽根部33先端に当り、上板3上を流れて湯槽93内に拡散されるので、湯槽93内の湯10の温度の急速な低下を防止することが出来、食材の茹で上がり時間に影響を与えず、更に、湯槽93内の湯10の温度むらを防止することが出来、テボ6ごとの食材間の茹で加減、茹で時間を均一なものとすることが出来る。
【0048】
上部部材としては、上述のように上板2を用いてもよいが、図6乃至図8に示すように、上板2に替えて、テボ受け5,50を上部部材として使用して調理補助器具100を構成することとしてもよい。テボ受け5,50は、複数の嵌め込み部としてのテボ受け部51が設けられ、湯槽の上端に係止して、テボ受け部51にテボを上方から挿入して、テボを支持する部材であり、図6に示すように板体に孔を開けて形成して蓋としての機能を有するものや、図7に示すように長尺細板体を曲折し、固着して形成したもの等を使用することが出来る。尚、図示はしないが、テボ受け部51には、不使用時にテボ受け部51の開口を閉じ、湯温の低下を防止する等のために、シャッター等の開閉自在の蓋体を設置することとしてもよい。
【0049】
テボ受け5,50と下板2は、噴流孔22がテボ受け部51の真下に位置するように、連結部材としての棒状体40で連結固定されている。このような構成とすることで、調理補助器具100は、湯槽内の湯の保温効果を高めることや、注し水による急激な温度低下を防止することが出来ないが、下板2の移動を防止することが出来、噴流孔22から上方に噴射される湯がテボ受け部51に位置するテボに当り、テボ内の食材を充分に攪拌することが出来、食材の癒着を防止することが出来、茹で時間の短縮を図ることが出来る。
【0050】
又、図示はしないが、調理補助器具1の上部に設置するテボ受けと上板2を連結固定して調理補助器具を構成することとしてもよい。このような構成とすることで、テボ受けのテボ受け部と上板3の嵌め込み部31がずれることなく、常にテボの設置が容易であり、調理補助器具1とテボ受けの設置が容易となり、テボ受けの位置調整が不要となり、便利である。
【実施例】
【0051】
調理補助器具1及び茹で機9を用いて、湯温立ち上がり時間を計測した。比較例として、調理補助器具1を用いない場合の、湯温立ち上がり時間を計測した。結果を表1に示す。尚、初水温、終水温は湯槽93内の7箇所の計測温度の平均温度を用い、温度差は、初水温から、7箇所の計測温度の平均温度が98℃になるまでの時間とした。又、湯槽中の湯量は16リットルとした。又、ガス消費量を20000Kcal/hとして熱効率を下記の熱効率計算式により求めた。上板3は、湯面Wから24mm下に位置させた。ガスは純プロパンガスを使用し、ガス圧は2.80hpaとした。
【0052】
【表1】

【数1】

【0053】
以上のことから、調理補助器具1を用いることで、用いない場合と比較して、湯温の立ち上げ時間を短縮できること、熱効率に優れていることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明調理補助器具一実施例斜視図
【図2】本発明調理補助器具一実施例分解斜視図
【図3】本発明調理補助器具一実施例平面図
【図4】本発明調理補助器具一実施例の使用形態分解斜視図
【図5】本発明調理補助器具一実施例の使用状態図
【図6】本発明調理補助器具第二実施例斜視図
【図7】本発明調理補助器具第三実施例斜視図
【図8】本発明調理補助器具第二実施例の使用状態図
【図9】本発明茹で機一実施例斜視図
【符号の説明】
【0055】
1 調理補助器具
10 湯
100 調理補助器具
2 下板
22 噴流孔
24 空間部
25 仕切板
3 上板
31 嵌め込み部
33 羽根部
4 連結部材
40 棒状体
5 テボ受け
50 テボ受け
51 テボ受け部
6 テボ
9 茹で機
93 湯槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯槽に設置されて使用される調理補助器具であって、下板と、前記下板の上方に位置する上部部材と、前記下板と前記上部部材を連結固定する連結部材を備え、前記下板には、複数の噴流孔が設けられ、前記上部部材には、テボを挿入してテボの位置決めを行なう嵌め込み部を設け、前記嵌め込み部の真下に前記噴流孔が位置するように、前記下板と前記上部部材を前記連結部材で連結固定したことを特徴とする調理補助器具。
【請求項2】
前記上部部材は、平板体の上板で構成され、前記嵌め込み部は前記上板の側端から凹部を形成して複数設け、前記嵌め込み部間に、調理補助器具が設置される湯槽の内側面方向に延出する羽根部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の調理補助器具。
【請求項3】
前記上板は、前記嵌め込み部間の羽根部の先端が、調理補助器具が設置される湯槽の内側面に近接又は当接していることを特徴とする請求項2に記載の調理補助器具。
【請求項4】
前記噴流孔は前記嵌め込み部の真下であって、前記嵌め込み部の一端部方向に偏心して位置するように設けたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載の調理補助器具。
【請求項5】
前記下板は、複数の噴流孔が設けられた横板の全周縁から下方に筒状の脚部を突出させ、前記横板と前記脚部で囲まれる空間部を複数の小空間に分割する仕切板を設けたことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載の調理補助器具。
【請求項6】
前記上部部材は、前記嵌め込み部としてテボを係止するテボ受け部を有し、湯槽の上縁に係止されるテボ受けで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の調理補助器具。
【請求項7】
前記上板の上方に、テボを係止するテボ受け部を有し、湯槽の上縁に係止されるテボ受けを、連結部材で、前記上板と連結固定したことを特徴とする請求項2から4のうちいずれか1項に記載の調理補助器具。
【請求項8】
前記請求項1から7のうちいずれか1項に記載の調理補助器具を用いたことを特徴とする茹で機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−99349(P2010−99349A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274853(P2008−274853)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(592193535)タニコー株式会社 (46)
【Fターム(参考)】