説明

調節可能な被覆を有するSiO2被覆された二酸化チタン粒子の製造

本発明は、少なくとも1つの第1物質を含有する核およびこの核を少なくとも部分的に包囲する、少なくとも1つの第2物質をからなる少なくとも1つの外殻を含む被覆されたナノサイズ粒子の製造法、少なくとも1つの第1物質を含有する非多孔質核およびこの核を少なくとも部分的に包囲する、少なくとも1つの第2物質からなる少なくとも1つの多孔質外殻を含むナノサイズ粒子、この場合このナノサイズ粒子は、狭い粒度分布を有し、触媒反応におけるかかるナノサイズ粒子の使用ならびに本発明による方法を実施するための装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの第1物質を含有する核およびこの核を少なくとも部分的に包囲する、少なくとも1つの第2物質をからなる少なくとも1つの外殻を含む被覆されたナノサイズ粒子の製造法、少なくとも1つの第1物質を含有する非多孔質核およびこの核を少なくとも部分的に包囲する、少なくとも1つの第2物質からなる少なくとも1つの多孔質外殻を含むナノサイズ粒子、この場合このナノサイズ粒子は、狭い粒度分布を有し、触媒反応におけるかかるナノサイズ粒子の使用ならびに本発明による方法を実施するための装置に関する。
【0002】
少なくとも1つの金属酸化物からなる核および少なくとも1つの他の金属酸化物または半金属酸化物からなる外殻を有するナノサイズ粒子ならびにその製造方法は、公知技術水準から既に公知である。
【0003】
WO 2005/113442A1には、蒸発可能な珪素化合物およびチタン化合物と第3の蒸発可能な化合物、水素および空気とを混合し、このガス状混合物を反応空間内で燃焼させ、こうして得られた粉末をガス状反応生成物と分離することを含む、混合された三元の金属酸化物粉末または半金属酸化物粉末の製造方法が開示されている。こうして得られた三元の混合金属酸化物粉末は、日除け用配合物中で使用されることができる。WO 2005/113442A1には、混合酸化物粒子を製造する方法が開示されており、この場合この混合物中の個々の酸化物は、全ての粒子中に分布して存在し、1つの層状構造体は、WO 2005/113442A1に記載の方法では得ることができない。
【0004】
米国特許第2006/0093544号明細書A1には、複合体混合粒子の核材料の前駆体化合物を蒸発されたかまたは噴霧された形で反応させることによって薄手の被覆を有する複合体マイクロ粒子を製造するための方法が開示されており、相応する核粒子が得られる。引続き、前記被覆のガス状前駆体は、同時に核粒子に供給され、被覆が形成される。米国特許第2006/0093544号明細書A1には、ナノサイズ粒子を粒度の狭い分布で得るかまたは粒子上の被覆の層厚を調節することができる方法は、開示されていない。更に、前記の米国特許明細書には、非多孔質核上に多孔質被覆を得る方法は、開示されていない。
【0005】
欧州特許出願公開第1138632号明細書A1には、ドープされた二酸化チタンを製造する方法が開示されており、この場合、酸化亜鉛、酸化白金、酸化マグネシウムおよび/または酸化アルミニウムからなる群から選択された化合物の前駆体化合物を含有するエーロゾルは、火炎酸化のガス混合物に二酸化チタンの製造のために均一に混入され、エーロゾルガス混合物は、火炎内で反応され、生じるドープされ製造された酸化物は、公知方法でガス流から分離される。こうして得られた混合酸化物粒子は、二酸化チタンおよび他の酸化物の均一な分布を粒子中に有する。1つの核および少なくとも1つの外殻を含む層状構造体は、欧州特許出願公開第1138632号明細書A1に記載の方法では得ることができない。
【0006】
特許公開第2001−286728号公報には、多孔質セラミックからなる層を備えた光触媒を製造するための方法が開示されている。この被覆は、細孔を有し、触媒の機能が維持され、光触媒と接触する有機材料の分解を同時に回避させる。前記粒子を製造するための方法は、セラミックの前駆体化合物としての金属アルコキシドを多価アルコールで親水化することによって光触媒を多孔質セラミックのフィルムで被覆し、水および光触媒を前記混合物に添加し、この混合物を噴霧乾燥して粉末を得、この粉末を最終的に乾燥させることを含む。特開2001−286728号公報に開示された方法を用いた場合には、層厚に影響を及ぼすことは、殆んど不可能である。更に、前記刊行物には、被覆されたナノサイズ粒子を狭い粒度分布で得ることができる方法は、全く開示されていない。
【0007】
特開2003−001118号公報Aには、二酸化チタン核とSiO2からなる前記核の不完全な外殻とからなる光触媒活性のナノサイズ粒子が開示されている。この刊行物には、外殻の厚さおよび多孔度により意図的に調節可能な活性を有するナノサイズ粒子は、開示されていない。
【0008】
本発明の課題は、粒度の狭い分布を有する核−外殻−ナノサイズ粒子を得ることができる、被覆されたナノサイズ粒子を製造する方法を提供することである。更に、薄手の多孔質の外殻を有し、この外殻の層厚、ひいては非多孔質核中に存在する物質の触媒活性を意図的に調節することができるナノサイズ粒子が得られるはずである。
【0009】
この課題は、本発明によれば、少なくとも1つの第1物質からなる核およびこの核を少なくとも部分的に包囲する、少なくとも1つの第2物質からなる少なくとも1つの外殻を含む被覆されたナノサイズ粒子を流動系中で製造する方法によって解決され、この場合この方法は、次の工程:
(A)被覆されたナノサイズ粒子の核中に存在する少なくとも1つの第1物質の少なくとも1つの前駆体化合物を含有する反応ガスまたは反応エーロゾルからなる主要流を準備し、
(B)工程(A)からの反応ガスまたは反応エーロゾル中に存在する少なくとも1つの前駆体化合物を、主要流中での熱的反応によって、製造すべきナノサイズ粒子の核の形成のための相応する少なくとも1つの第1物質に変え、
(C)少なくとも1つの外殻中に存在する少なくとも1つの第2物質の少なくとも1つの前駆体化合物を含有する他の反応ガスまたは反応エーロゾルを、工程(B)からの主要流に対して交叉流で添加し、
(D)工程(C)からの反応ガスまたは反応エーロゾル中に存在する少なくとも1つの前駆体化合物を、主要流中での熱的反応によって、製造すべきナノサイズ粒子の少なくとも1つの外殻の形成のために相応する少なくとも1つの第2物質に変え、および
(E)工程(D)で得られたナノサイズ粒子を、主要流への冷却剤の添加によって急冷することを含む。
【0010】
更に、この課題は、少なくとも1つの第1物質からなる非多孔質核およびこの核を部分的に包囲する、少なくとも1つの第2物質からなる少なくとも1つの多孔質外殻を含むナノサイズ粒子、この場合このナノサイズ粒子は、狭い粒度分布を有し、光触媒反応におけるかかるナノサイズ粒子の使用および本発明による方法を実施するための装置に関する。
【0011】
本発明による方法の個々の工程は、以下に記載されている:
工程(A):
少なくとも1つの第1物質からなる核およびこの核を少なくとも部分的に包囲する、少なくとも1つの第2物質からなる少なくとも1つの外殻を含む被覆されたナノサイズ粒子を製造するための本発明による方法は、工程(A)として次のことを含む:
(A)被覆されたナノサイズ粒子の核中に存在する少なくとも1つの第1物質の少なくとも1つの前駆体化合物を含有する反応ガスまたは反応エーロゾルからなる主要の流れを準備すること。
【0012】
一般に、工程(A)では、第1物質の全ての前駆体化合物が適しており、この前駆体化合物は、熱処理によって相応する物質に変換することができる。
【0013】
本発明による方法の1つの好ましい実施態様において、ナノサイズ粒子の核は、少なくとも1つの金属酸化物または半金属酸化物を含有し、ナノサイズ粒子の少なくとも1つの外殻は、少なくとも1つの他の金属酸化物または半金属酸化物を含有する。
【0014】
本発明により被覆されたナノサイズ粒子の核中に存在する、少なくとも1つの金属酸化物または半金属酸化物の前駆体化合物として、無機化合物および有機化合物を使用することができる。
【0015】
その酸化物が本発明によるナノサイズ粒子の核中に存在し、かつその相応する前駆体化合物が工程(A)で使用されるのに適した金属または半金属は、一般に、元素の周期律表(IUPACによる)の第1族〜第15族の元素からなるグループ、ランタノイド、アクチノイドおよびその混合群、有利にV、Ti、Zr、Ce、Mo、Bi、Zn、Mn、Si、Ba、Au、Ag、Pd、Pt、Ru、Rh、Laおよびその混合物からなる群から選択されている。
【0016】
無機前駆体化合物としては、例えば相応する金属または半金属のハロゲン化物、有利にクロリド、炭酸塩、硝酸塩および相応する純粋な金属または半金属が適しており、有機前駆体化合物としては、例えば1〜8個の炭素原子を有するアルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノールまたはイソプロパノール、第三ブタノールおよびその混合物の相応する金属の塩が適している。更に、適している有機前駆体化合物は、有機金属錯体である。
【0017】
被覆されたナノサイズ粒子の核中の少なくとも1つの金属酸化物または半金属酸化物の前駆体化合物として特に好適なのは、四塩化チタン(TiCl4)、四塩化珪素(SiCl4)、テトライソプロピルオルトチタネート、シロキサン、例えばヘキサメチルジシロキサンおよびその混合物である。本発明による方法を大工業的に実施する場合には、有利にTiCl4またはSiCl4が使用される。実験室規模または技術的規模で本発明による方法を実施する場合には、有利にテトライソプロピルオルトチタネートまたはシロキサン、例えばヘキサメチルジシロキサンが使用される。従って、ナノサイズ粒子の核を形成する特に好ましい金属酸化物または半金属酸化物は、有利に50%超、特に有利に60〜65%がアナターゼ変態で存在するTiO2である。
【0018】
工程(A)での反応ガスは、少なくとも1つの前駆体化合物を当業者に公知の方法により蒸発または気化させることにより得られる。蒸発温度は、蒸発すべき前駆体化合物の沸騰温度に依存する。相応する前駆体化合物の蒸発または気化は、不活性雰囲気中、例えば窒素または希ガス中で実施されてよい。蒸発または気化は、大気圧下または大気圧を下廻る圧力下で行なうことができる。大気圧を下廻る圧力で蒸発または気化を行なう場合には、温度は、相応して低くなるように選択することができる。他の選択可能な方法によれば、前駆体化合物は、高い圧力でも温度を上昇させながら蒸発または気化させることができる。
【0019】
前駆体化合物は、溶液で存在していてもよい。適した溶剤は、燃料として下記に挙げられた溶剤を含むことができる。
【0020】
本発明による方法の工程(A)においては、反応エーロゾルが使用されてもよい。本発明によれば、エーロゾルは、液状の噴霧小液滴がガス状媒体中に微細に分布しているものである。工程(A)で使用されるエーロゾルは、核中に存在する金属酸化物または半金属酸化物の少なくとも1つの前駆体化合物またはその溶液を当業者に公知の方法によって噴霧することにより得ることができる。このような方法は、例えば一物質流ノズルまたは多物質流ノズル、または超音波噴霧器による噴霧である。エーロゾルのためのガス状キャリヤー物質としては、不活性ガス、例えば窒素、希ガス、酸素または空気、またはその混合物を使用することができる。このキャリヤー物質は、例えば本発明による方法の工程(B)で燃料として使用される燃焼可能なガスであってもよい。
【0021】
工程(A)での反応ガスまたは反応エーロゾルには、場合により燃料を混入することができる。この燃料は、反応条件下でガス状であってもよいし、エーロゾルを使用する場合には、微細に分配された噴霧液体として存在していてもよい。一般に、本発明による方法の条件下で液状またはガス状であり、かつ酸素と発熱反応を生じる全ての化合物は、燃料として使用されることができる。適当な燃料は、例えば水素、一酸化炭素または炭化水素、例えばメタン、エチレン、有機溶剤、例えばキシレン、トルエン、ベンゼンまたはその混合物である。本発明による方法を大工業的に実施する場合には、水素は、好ましい燃料である。
【0022】
本発明による方法の工程(A)は、上記の反応ガスまたは反応エーロゾルからなる主要流の準備を含む。この主要流は、有利に管状の反応器中で準備され、この場合この主要流は、反応器の入口から反応器の出口へ流れる。この場合には、本発明による核−外殻−ナノサイズ粒子の形成を導く反応が実施され、一方で、個々の処理工程の基質または生成物は、主要流と一緒に移動される。
【0023】
工程(A)での主要流の準備は、1つの好ましい実施態様において、存在する成分をガス状、蒸気状、ミスト状または液状の状態で混合装置によって反応器中に導入し、そこで混合することにより行なうことができる。反応混合物が反応器中に導入される圧力は、一般に10バールまで(ガス状前駆体)または100バールまで(液状前駆体)である。
【0024】
更に、好ましい実施態様において、反応ガスまたは反応エーロゾルを含有する流れに対して平行に、または横方向に、酸素を含有する第2のガス流は、同時に供給される。
【0025】
この第2の流れは、純粋な酸素または酸素と他の成分との混合物を含有することができ、他の成分としては、例えば窒素または別の不活性ガスが挙げられる。空気が使用されてもよい。
【0026】
工程(B):
本発明による方法の工程(B)は、
(B)工程(A)からの反応ガスまたは反応エーロゾル中に存在する少なくとも1つの前駆体化合物を、主要流中での熱的反応によって、製造すべきナノサイズ粒子の核の形成のための相応する少なくとも1つの第1物質に変えることを含む。
【0027】
本発明よる方法の工程(B)において、核中に存在する第1の物質の前駆体化合物は、熱的処理によって相応する物質に変換される。(A)で供給された酸化可能な化合物は、工程(B)において燃料として使用される。この燃料の燃焼の際に生じるエネルギーは、前駆体物質から相応する物質、有利に相応する酸化物を形成させるために使用される。
【0028】
工程(B)において、本発明により製造すべきナノサイズ粒子の核が形成され、一方で、主要流は、管状反応器中に移動する。この場合、反応ガスまたは反応エーロゾルからの流れは、好ましい実施態様の場合、反応帯域中で、即ち相応する好ましい、核中に存在する金属酸化物または半金属酸化物への前駆体化合物の熱的反応が行なわれる帯域中で1〜1000ミリ秒間、特に有利に1〜100ミリ秒間、殊に有利に1〜50ミリ秒間滞在する。
【0029】
この場合、反応帯域中での温度は、有利に600〜2500℃、特に有利に800〜1800℃である。この場合、好ましい実施態様において、温度は、全反応帯域中で一定である。
【0030】
熱い反応帯域中で本発明により特に正確に調節可能な滞留時間は、本発明によるナノサイズ粒子のコアが有利に最大1μm、特に有利に1〜200nm、殊に5〜40nmの極めて均一な一次粒度でえられるという結果をもたらす。その上、火炎合成によって製造された別のナノサイズ粒子と比較して本発明によるナノサイズ粒子の狭い粒度分布が生じる。更に、本発明により製造された核は、好ましい実施態様において非多孔質である。
【0031】
工程(C):
本発明による方法の工程(C)は、
(C)少なくとも1つの外殻中に存在する少なくとも1つの第2物質の少なくとも1つの前駆体化合物を含有する他の反応ガスまたは反応エーロゾルを、工程(B)からの主要流に対して交叉流で添加することを含む。
【0032】
本発明による方法の工程(C)において、他の反応ガスまたは反応エーロゾルは、工程(B)で相応する前駆体化合物を流動系中で熱的に反応させることによって製造された、製造すべきナノサイズ粒子の核を含有する工程(B)からの主要流に添加される。前記の他の反応ガスまたは反応エーロゾルは、本発明により製造可能なナノサイズ粒子の少なくとも1つの外殻中に存在する、少なくとも1つの第2物質の少なくとも1つの前駆体化合物を含有する。1つの好ましい実施態様において、本発明により製造されたナノサイズ粒子は、外殻を有する。
【0033】
工程(A)における主要ノズルでの核材料前駆体の供給時と工程(C)における被覆材料前駆体の添加時との間の滞留時間は、好ましい実施態様において、1〜1000ミリ秒、特に有利に1〜100ミリ秒、殊に有利に1〜20ミリ秒である。
【0034】
本発明により製造可能なナノサイズ粒子の少なくとも1つの外殻を形成させるのに好ましい前駆体化合物は、元素の周期律表(IUPACによる)の第1族〜第15族の元素、ランタノイド、アクチノイドおよびその混合物、有利にV、Ti、Zr、Ce、Mo、Bi、Zn、Mn、Si、Ba、Au、Ag、Pd、Pt、Ru、Rh、Laからなる群から選択された元素およびその混合物を含有する化合物を含有する。殊に好ましいのは、TiおよびSiである。
【0035】
記載された金属および半金属は、無機化合物または有機化合物で存在するか、またはこれら2つの混合物として存在する。適当な前駆体化合物に関しては、本発明による粒子の核中に存在する金属酸化物または半金属酸化物のための前駆体化合物に関連して述べたことが当てはまる。
【0036】
1つの好ましい実施態様において、工程(C)では、四塩化チタン(TiCl4)または塩化珪素(SiCl4)が無機前駆体化合物として使用される。更に、好ましい実施態様において、有機前駆体化合物としてテトライソプロピルオルトチタネート(TTiP)またはヘキサメチルジシロキサン(HMDS)が使用される。本方法を大工業的規模で実施する場合には、TiCl4およびSiCl4が好ましい。本方法を実験室規模または工業的規模で実施する場合には、テトライソプロピルオルトチタネートまたはヘキサメチルジシロキサンは、好ましい前駆体化合物である。
【0037】
特に好ましい酸化物は、SiO2、ZnO、CeO2、TiO2またはSnOである。
【0038】
反応ガスまたは反応エーロゾルは、既に本発明による方法の工程(A)に関連して記載されたのと同様の方法で製造されることができる。
【0039】
工程(C)において、この第2の反応ガスまたは反応エーロゾルは、円周上に分布された1つ以上の位置に、工程(A)および(B)で発生された主要流に関連して交叉流で供給される。これは、好ましい実施態様において、管状反応器中の相応する入口管またはノズルを通して行なうことができる。「交差流で」とは、本発明の範囲内で、反応ガスまたは反応エーロゾルが、工程(B)で形成される、製造すべきナノサイズ粒子の核を含有する主要流に対して45〜135゜、有利に60〜120゜の角度αで登場することを意味する。主要流に対する赤道平面での接線方向の迎角は、−90〜+90゜、有利に−30〜+30゜の範囲内にある。
【0040】
主要流に関連して交叉流での外殻の前駆体化合物の供給は、核と被覆の前駆体化合物との混合時間が極めて短く、したがって核が均一な濃度の前駆体化合物によって包囲されており、できるだけ均一な多孔質外殻が形成されることを生じる。更に、被覆の前駆体化合物の濃度の変動は、層厚の変動を可能にする。従って、本発明による方法によって、粒度の狭い分布、ならびに層厚の極めて狭い分布を示す、被覆されたナノサイズ粒子を製造することが可能になる。粒度の狭い分布は、図2から明らかになる。
【0041】
工程(D):
本発明による方法の工程(D)は、
(D)工程(C)からの反応ガスまたは反応エーロゾル中に存在する少なくとも1つの前駆体化合物を、主要流中での熱的反応によって、製造すべきナノサイズ粒子の少なくとも1つの外殻の形成のために相応する少なくとも1つの第2物質に変えることを含む。
【0042】
工程(C)で核上に施こされた、少なくとも1つの第2物質、有利に少なくとも1つの外殻中に存在する少なくとも1つの金属酸化物または半金属酸化物の少なくとも1つの前駆体化合物は、工程(D)で相応する物質、有利に金属酸化物または半金属酸化物に変換され、製造すべきナノサイズ粒子の少なくとも1つの外殻が形成される。この変換は、本発明によれば、前駆体化合物の熱的変換によって行なわれ、この場合近似的に等温的な反応の実施は、外殻の層厚の極めて均一な分布の形成を可能にする。
【0043】
工程(D)において、ナノサイズ粒子の少なくとも1つの外殻が形成され、したがって核とこの核を少なくとも部分的に包囲する外殻とからなる本発明によるナノサイズ粒子が存在する。外殻は、有利に多孔質であり、有利に最大10nm、特に有利に0.1〜3nmの層厚を有する。
【0044】
工程(E):
本発明による方法の工程(E)は、
(E)工程(D)で得られたナノサイズ粒子を冷却剤の添加によって急速に冷却することを含む。
【0045】
工程(D)で得られたナノサイズ粒子を含む核および少なくとも1つの外殻は、工程(E)で冷却剤の添加によってできるだけ急速に冷却される。
【0046】
工程(E)における冷却速度は、有利に少なくとも104K・s-1、特に有利に少なくとも105K・s-1、殊に有利に少なくとも5・105K・s-1である。
【0047】
工程(E)における冷却(急冷)は、工程(E)による主要流中の反応混合物の温度が核材料および外殻材料の融点を下廻り、有利に800℃未満、特に有利に400℃未満、殊に有利に200℃未満であるように実施される。
【0048】
1つの好ましい実施態様において、本発明による方法の工程(E)における冷却剤は、ガスまたは液体である。適当な急冷ガスは、1つの好ましい実施態様において、空気、窒素または別の不活性ガスおよびその混合物からなる群から選択されている。適当な急冷液は、もう1つの好ましい実施態様において、液体窒素、有機溶剤、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、パラフィン油(白油)、テトラヒドロフラン、ナフサ、大豆油、水またはその混合物から選択されている。この有機溶剤は、特に好ましい実施態様において、液状で主要流中に噴入される。
【0049】
急冷液は、好ましい実施態様において、相応する入口管またはノズルを通して添加することができる。急冷液は、主要流に対して45〜135゜、有利に60〜120゜の角度で供給されることができ、この場合主要流に対して赤道平面での迎角β’は、−90〜+90゜、有利に−30〜+30゜である。
【0050】
工程(E)には、場合により、工程(E)から得られた被覆されたナノサイズ粒子の表面変性のために有機物質の供給を含む、もう1つの工程が接続されてよい。
【0051】
表面変性に適した物質は、陰イオン性、陽イオン性、両性または非イオン性の界面活性剤、例えばLutensol(登録商標)、2〜20000g/molの分子量を有する分散剤、例えばSokalan(登録商標)または化学的界面活性化のための物質ならびに前記物質の任意の組合せ物である。
【0052】
前記有機物質は、選択的に直接に急冷液として工程(E)で使用されてよいし、上記の急冷液に添加されてよく、したがって前記有機物質は、直接に工程(E)で添加される。
【0053】
本発明による方法のもう1つの好ましい実施態様において、工程(E)により得られたナノサイズ粒子は、粉末または分散液として分離される。
【0054】
1つの好ましい実施態様において、本発明による方法には、フィルターまたはサイクロンを介するガス状不純物の被覆されたナノサイズ粒子の分離が接続されている。
【0055】
従って、本発明は、本発明による方法により製造できる、火炎合成に対して狭い粒度分布を有するナノサイズ粒子にも関する。本発明の範囲内で狭い粒度分布は、有利に70%以上、特に有利に80%以上、殊に有利に90%以上の粒度が、平均粒度から20nmだけ、有利に15nm、特に有利に10nmずれている範囲内にあることを意味する。
【0056】
本発明による方法によって製造された核−外殻−ナノサイズ粒子は、該粒子が非多孔質核および多孔質被覆を有することを示す。種々の処理パラメーターによって意図的に調節しうる、被覆の多孔度および厚さは、核の触媒活性を意図的に相応する要件に調節することを可能にする。
【0057】
また、本発明は、少なくとも1つの第1物質からなる非多孔質核およびこの核を少なくとも部分的に包囲する、少なくとも1つの第2物質からなる少なくとも1つの多孔質外殻を含み、この場合ナノサイズ粒子は、1.8を上廻る、有害物質分解に関連する光活性とポリマー分解に関連する光活性との比を有する。
【0058】
液体有害物質に抗する光活性は、標準光触媒(Degussa P25)の光活性に対して、有利に60%を上廻り、特に有利に70%を上廻り、殊に有利に80%を上廻る。固定されたマトリックスに対する光活性は、標準光触媒(Degussa P25)の光活性に対して、有利に60%を下廻り、特に有利に60%を下廻り、殊に有利に55%を下廻る。
【0059】
有害物質分解に関連する光活性とポリマー分解に関連する光活性との比は、1.8を上廻り、有利に2を上廻り、特に有利に2.5を上廻る。
【0060】
本発明によるナノサイズ粒子の核中および外殻中の物質に関しては、この物質の製造法に関して述べたことが当てはまる。
【0061】
1つの好ましい実施態様において、本発明によるナノサイズ粒子の非多孔質核は、TiO2からなり、多孔質外殻は、SiO2からなる。ナノサイズ粒子の核中に存在するTiO2は、有利に80%超、特に有利に90〜95%がアナターゼ変態で存在する。
【0062】
本発明によるナノサイズ粒子の核は、有利に最大1μmの直径を有し、ナノサイズ粒子の外殻は、最大10nmの厚さを有する。1つの好ましい実施態様において、核の直径は、1〜200nm、特に有利に5〜40nmである。もう1つの好ましい実施態様において、外殻の層厚は、0.1〜10nm、特に有利に0.1〜3nmである。
【0063】
この本発明により製造されたナノサイズ粒子の外殻の多孔度は、原子%でのSi含量と原子%でのTi含量との比によって表わされ、それぞれXPS(X-Ray Photo Electron Spectroscopy X線光電子分光法 - ESCA Electron Spectroscopy for Chemical Analysis 化学分析のための電子分光法)により測定された2〜80、特に有利に5〜60、殊に有利に8〜40である。
【0064】
また、本発明は、光触媒反応での前記ナノサイズ粒子の使用に関する。
【0065】
更に、本発明は、管状反応器中に
核中に存在する少なくとも1つの第1物質の少なくとも1つの前駆体化合物を含有する反応ガスまたは反応エーロゾルを供給しかつ主要流を管状反応器中で形成させるためのユニット、
前記反応ガス中に含有されている少なくとも1つの前駆体化合物を、核中に存在する少なくとも1つの第1物質に熱的に反応させるためのユニット、
少なくとも1つの外殻中に存在する少なくとも1つの第2物質の少なくとも1つの前駆体化合物を含有する反応ガスまたは反応エーロゾルを、主要流に対して交叉流で添加するためのユニット、および
得られたナノサイズ粒子を急速冷却するためのユニットを含む、本発明による方法を実施するための装置にも関する。
【0066】
1つの好ましい実施態様において、本発明による装置の管状反応空間の直径対長さの比は、1/2〜1/10、特に有利に1/4〜1/6である。
【0067】
核中に存在する少なくとも1つの第1物質の少なくとも1つの前駆体化合物を含有する反応ガスまたは反応エーロゾルを供給しかつ主要流を管状ケーシング中で形成させるのに適したユニットは、二物質流ノズルおよび均一な混合装置からなる群から選択される。この記載されたユニットは、ガスまたは液体ミストの形の相応する前駆体化合物および場合によっては燃料、および場合によっては他のガス状成分、例えばO2含有ガスを混合し、反応器中に噴入させることによって主要流を発生させるのに適している。
【0068】
前記反応ガス中に含有されている少なくとも1つの前駆体化合物を、核中に存在する少なくとも1つの物質に熱的に反応させるためのユニットは、核の金属酸化物または半金属酸化物の前駆体化合物を含有する混合物を燃焼させることによって、十分に熱エネルギーを発生させるように構成されており、相応する物質、有利に相応する酸化物への前駆体化合物の反応は、ナノサイズ粒子の同時の形成下に行なわれる。本発明によれば、反応器中で冷却位置を除いて、同じ温度、有利に600〜2500℃、特に有利に800〜1800℃が支配している。この同じままの温度は、狭い粒度分布を有するナノサイズ粒子が形成されることを可能にする。
【0069】
本発明による反応器中で、核中に存在する物質を形成する前駆体化合物を熱的に反応させるためのユニットは、有利に開始時に発生された主要流の一部分の行程である。反応帯域中で主要流に沿って核の物質、有利に酸化物は、形成される。本発明による反応器は、核が形成される帯域中での滞留時間が有利に1〜1000ミリ秒、特に有利に1〜100ミリ秒、殊に有利に1〜50ミリ秒であるように構成されている。
【0070】
少なくとも1つの外殻中に存在する少なくとも1つの第2物質の少なくとも1つの前駆体化合物を含有する反応ガスまたは反応エーロゾルを主要流に対して交叉流で供給するためのユニットは、1つの好ましい実施態様において、管状反応器の内側に、反応ガスまたは反応エーロゾルを有利に45〜135゜、特に有利に60〜120゜の角度αで主要流に衝突させることを可能にするノズルが取り付けられているように構成されている。
【0071】
得られたナノサイズ粒子を本発明による装置中で急速に冷却するためのユニットは、1つの好ましい実施態様において、104K・s-1を上廻り、有利に105K・s-1、特に有利に5・105K・s-1の冷却速度が達成されるように形成されている。
【0072】
急冷液は、好ましい実施態様において、相応する入口管またはノズルを通して添加することができる。急冷液は、45〜135゜、有利に60〜120゜の角度で主要流に供給されてよい。この場合、主要流に対する赤道平面での迎角β’は、−90〜90゜、有利に−30〜30゜である。
【0073】
1つの可能な実施態様において、本発明による装置は、図1に図示された装置に対応する。
【0074】
反応器は、バーナー範囲内の上方に主要ノズル(1)を有し、この主要ノズル(1)により、例えば有機溶剤中に溶解された、液状のチタン前駆体化合物(3)は、空気(2)と一緒に噴霧されかつ燃焼される。場合によっては、外側のノズルリング(拡散バーナー)により、予熱された空気および燃料ガス(4)(例えば、メタン、エチレン)は、運転開始のため、高い反応器温度の達成のため、または焼付けの減少のために、供給されることができる。こうして形成された主要流中で、反応帯域(8)内のチタン前駆体化合物は、反応され、TiO2に変わる。前記反応帯域の中間範囲内で液状の珪素前駆体化合物は、蒸発器中に運搬され、そこで予熱された窒素と混合され、リング状に配置された開口(5)を介して反応空間内に導入され、したがって蒸発された珪素前駆体化合物は、直角で、噴霧されたチタン前駆体化合物の流れに衝突する。反応帯域(9)中で、主要流中の珪素前駆体化合物は、反応し、SiO2に変わる。次に、反応混合物は、ガス状窒素を有する急冷範囲内で室温によって急激に冷却される。形成された核−外殻−ナノサイズ粒子および排ガスは、出口管(7)を通して逃出されることができるか、または捕集されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】調節可能な被覆を有するSiO2被覆された二酸化チタン粒子を製造するための方法を実施する装置の1実施態様を示す略図。
【図2】反応空間の断面を示し、主要流に対する赤道平面での迎角βまたはβ’を示す略図。
【図3】本発明による方法によって製造された核−外殻−ナノサイズ粒子を示すTEM撮影した略図。
【0076】
本発明は、次の実施例によってよりいっそう詳細に記載される。
【実施例】
【0077】
1.TiO2−SiO2−ナノサイズ粒子の製造
実施例1〜5
二酸化チタン前駆体化合物溶液0.3〜0.4kg・h-1(溶液1kg当たりテトライソプロピルオルトチタネート(TTiP)284gおよびキシレン716g)を主要ノズルに供給する。付加的に、バーナー範囲内に空気3.8Nm3・h-1が流入する。ノズルリング(2)のための添加燃料、例えばメタンは、使用されない。(運転開始時にのみ使用された水素添加バーナーでの)添加後、反応器中で火炎は安定する。二酸化珪素−前駆体化合物ヘキサメチルジシロキサン(HMDS)0〜2.5g・h-1の流れを窒素0.80Nm3・h-1と混合し、130℃で蒸発させ、反応器中に導入する。急冷範囲内で、窒素25Nm3・h-1は、反応混合物を250〜200℃に冷却する。
【0078】
メンブランフィルターにより、二酸化珪素で被覆された二酸化チタンを5〜100nmの粒度(TEM撮影により測定した)を有する微細粉末として分離する。
【0079】
個々の試験は、第1表中に記載されている:
【表1】

【0080】
詳細:
TTiP=テトライソプロピルオルトチタネート、空気=噴霧ノズル、支持バーナーおよび点火バーナー、HMDS=ヘキサメチルジシロキサン。
【0081】
2.SiO2被覆されたナノサイズ粒子の特性決定
SiO2外殻の層厚をTEM撮影法を用いてFEG−TEM(Field Emission Gun 電界放出ガン - Transmission Electron Microscopy 透過電子顕微鏡)試験法により算出する。結晶性TiO2の変態をSAD(Selected Area Diffraction 制限視野回析)により測定する。Si濃度をEDXS分析(Energy Dispersive X-Ray Spectroscopy エネルギー分散型X線分光法)で検出し、Siの質量%を元素分析法により証明する。SiO2層の多孔度をXPS(X-Ray Photo Electron Spectroscopy X線光電子分光法 - ESCA Electron Spectroscopy for Chemical Analysis 化学分析のための電子分光法)により測定する。第2表は、結果を示す:
【0082】
【表2】

【0083】
3.光触媒活性の測定
3.1有害物質の分解
製造された粉末の光触媒活性を、塩素化された炭化水素ジクロロ酢酸(DCA)の光触媒分解の速度によって懸濁液中で算出する。
【0084】
DCAをUV照射下で水溶液中で光触媒分解する速度を検査するための試験の全所要時間は、24時間である。UV光の強さは、1mW/cm2である。
【0085】
懸濁液のpH値は、苛性ソーダー液で3に調節される。反応器中での温度は、20〜30℃の範囲内にある。DCAの濃度は、20mmol/lであり、光触媒の濃度は、3g/lである。24時間後のpH値を測定することによって、分解速度(ppm/h)は算出することができる。
【0086】
DCAを分解するための空試験は、照射下で標準光触媒(Degussa P25)の添加と同時に実施される。更に、DCAを分解するための空試験は、UV照射下で光触媒の添加なしに実施される。
【0087】
3.2ポリマー分解
有機マトリックスを光触媒分解する速度は、光触媒が導入されるポリマー懸濁液をGC測定することによって測定される。
【0088】
日光の照射下で光触媒分解の速度を検査するための試験(Suntestサンテスト、1mW/cm2 UV強さ)の全所要時間は、700時間である。
【0089】
光触媒は、ポリマー懸濁液(例えば、Squalen(登録商標))中に攪拌混入される。光触媒の濃度は、0.25質量%である。GCスペクトルを測定することによって、ポリマー懸濁液の百分率での分解率を測定することができる。
【0090】
ポリマーを分解するための空試験は、照射下で標準光触媒(Degussa P25)の添加と同時に実施される。
【0091】
更に、ポリマーを分解するための空試験は、UV照射下で光触媒の添加なしに実施される。
【0092】
結果は、第3表および第4表中に記載されている。
【0093】
【表3】

【0094】
TOCは、"total organic carbon 全有機炭素量"を意味する。
【0095】
【表4】

【0096】
触媒なしでUV照射によるポリマーの分解率(空試験1)と個々の触媒の存在下でのポリマーの分解率との差として考える。
【符号の説明】
【0097】
1 計量供給装置および混合装置、 2 O2含有ガスの入口管、 3 核の前駆体化合物の入口管、 4 燃料の入口管、 5 外殻の前駆体化合物の入口管、 6 冷却剤の入口管、 7 生成物および排ガスの出口管、 8 核を形成させるための反応帯域、 9 外殻を形成させるための反応帯域、 α 主要流に対する赤道平面での接線方向の迎角、 β、β’ 主要流に対する赤道平面での迎角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1物質からなる核およびこの核を少なくとも部分的に包囲する、少なくとも1つの第2物質からなる少なくとも1つの外殻を含む被覆されたナノサイズ粒子を流動系中で製造する方法において、次の工程:
(A)被覆されたナノサイズ粒子の核中に存在する少なくとも1つの第1物質の少なくとも1つの前駆体化合物を含有する反応ガスまたは反応エーロゾルからなる主要流を準備し、
(B)工程(A)からの反応ガスまたは反応エーロゾル中に存在する少なくとも1つの前駆体化合物を、主要流中での熱的反応によって、製造すべきナノサイズ粒子の核の形成のための相応する少なくとも1つの第1物質に変え、
(C)少なくとも1つの外殻中に存在する少なくとも1つの第2物質の少なくとも1つの前駆体化合物を含有する他の反応ガスまたは反応エーロゾルを、工程(B)からの主要流に対して交叉流で添加し、
(D)工程(C)からの反応ガスまたは反応エーロゾル中に存在する少なくとも1つの前駆体化合物を、主要流中での熱的反応によって、製造すべきナノサイズ粒子の少なくとも1つの外殻の形成のために相応する少なくとも1つの第2物質に変え、および
(E)工程(D)で得られたナノサイズ粒子を、主要流への冷却剤の添加によって急冷することを含むことを特徴とする、少なくとも1つの第1物質からなる核およびこの核を少なくとも部分的に包囲する、少なくとも1つの第2物質からなる少なくとも1つの外殻を含む被覆されたナノサイズ粒子を流動系中で製造する方法。
【請求項2】
ナノサイズ粒子の核は、少なくとも1つの金属酸化物または半金属酸化物を含有し、ナノサイズ粒子の少なくとも1つの外殻は、少なくとも1つの金属酸化物または半金属酸化物を含有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
600〜2500℃の温度で反応帯域中で実施する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
温度は、全反応帯域中で一定である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
工程(E)で冷却速度は、少なくとも1つの104K・s-1である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
工程(E)における冷却剤は、ガスまたは液体である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程(E)後に得られたナノサイズ粒子は、粉末または分散液として分離される、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法により製造しうる、火炎合成に対して狭い粒度分布を有するナノサイズ粒子。
【請求項9】
少なくとも1つの第1物質からなる非多孔質核およびこの核を少なくとも部分的に包囲する、少なくとも1つの第2物質からなる少なくとも1つの多孔質外殻を含むナノサイズ粒子において、このナノサイズ粒子が1.8を上廻る、有害物質に関連する光活性とポリマー分解に関連する光活性との比を有することを特徴とする、少なくとも1つの第1物質からなる非多孔質核およびこの核を少なくとも部分的に包囲する、少なくとも1つの第2物質からなる少なくとも1つの多孔質外殻を含むナノサイズ粒子。
【請求項10】
ナノサイズ粒子の非多孔質核は、少なくとも1つの金属酸化物または半金属酸化物を含有し、ナノサイズ粒子の少なくとも1つの外殻は、少なくとも1つの他の金属酸化物または半金属酸化物を含有する、請求項9記載のナノサイズ粒子。
【請求項11】
核がV、Ti、Zr、Ce、Mo、Bi、Zn、Mn、Si、Ba、Au、Ag、Pd、Pt、Ru、Rh、Laおよびその混合物からなる群から選択された元素の少なくとも1つの金属酸化物または半金属酸化物を含有し、少なくとも1つの外殻がV、Ti、Zr、Ce、Mo、Bi、Zn、Mn、Si、Ba、Au、Ag、Pd、Pt、Ru、Rh、Laおよびその混合物からなる群から選択された元素の少なくとも1つの他の金属酸化物または半金属酸化物を含有する、請求項10記載のナノサイズ粒子。
【請求項12】
非多孔質核がTiO2からなり、多孔質外殻がSiO2からなる、請求項10または11記載のナノサイズ粒子。
【請求項13】
核が最大1μmの直径を有し、外殻が最大10nmの厚さを有する、請求項8から12までのいずれか1項に記載のナノサイズ粒子。
【請求項14】
光触媒反応における請求項8から13までのいずれか1項に記載のナノサイズ粒子の使用。
【請求項15】
管状反応器中に
核中に存在する少なくとも1つの第1物質の少なくとも1つの前駆体化合物を含有する反応ガスまたは反応エーロゾルを供給しかつ主要流を管状反応器中で形成させるためのユニット、
前記反応ガス中に含有されている少なくとも1つの前駆体化合物を、核中に存在する少なくとも1つの第1物質に熱的に反応させるためのユニット、
少なくとも1つの外殻中に存在する少なくとも1つの第2物質の少なくとも1つの前駆体化合物を含有する反応ガスまたは反応エーロゾルを、主要流に対して交叉流で添加するためのユニット、および
得られたナノサイズ粒子を急速冷却するためのユニットを含む請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法を実施するための装置。
【請求項16】
前記装置の直径と長さとの比は、1/2〜1/10である、請求項15記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−536709(P2010−536709A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522360(P2010−522360)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/061221
【国際公開番号】WO2009/027433
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】