説明

講義支援装置、講義支援方法および講義支援プログラム

【課題】講義の実施を支援する講義支援装置を提供すること。
【解決手段】受講者の顔画像を予め登録した登録顔画像を記憶する登録顔画像データ記憶部151と、受講者の講義への出欠状況を記憶する出欠データ記憶部152と、受講者の顔画像を撮像する撮像部120と、撮像部120が撮像した顔画像である入力顔画像と、登録顔画像データ記憶部151に記憶されている登録顔画像とを照合して受講者の認証を行う認証部131と、認証部131の認証結果に基づいて、出欠データ記憶部152に記憶された出欠状況を更新する出欠管理部132とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、顔画像による本人認証を行うことにより、厳密な受講者の特定を行い、講義の効率的な実施を支援する講義支援装置、講義支援方法および講義支援プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
大学などで行われる講義を効率的かつ円滑に実施するためには、講義に出席している受講者を正確に特定することが前提となる。従来は、学籍番号が登録された磁気カード等を講義室の入口に設置された入力装置に入力して受講者を認証する方法が一般的に行われていた。また、磁気カードによる認証ではカードの貸し借りにより代返を行いうるという欠点が存在するため、指紋、声紋、虹彩などによる生体認証を行ってより正確に出欠を管理する方法も提案されている。
【0003】
一方、入口に設置された入力装置による出欠管理方法の操作性改善や、生体認証による出欠管理方法のコスト負担の軽減等を目的として、携帯型の端末を受講者に回覧して出欠を確認する方法も提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1では、携帯型の端末を受講者が座席に着席した後に回覧し、受講者が磁気カードで認証を行うとともに、着席した座席の座席番号を入力することにより、入口に設置された入力装置では困難な座席番号入力の操作性を改善する方法が提案されている。特許文献1の方法によれば、座席配置と、座席ごとの受講者の氏名とを、講師用管理端末に表示することができるため、講師が受講者を名指しして質問を行えるなどの講義の効率的な実施が可能となる。
【0005】
また、特許文献2では、撮像手段を備えた携帯型の端末により受講者の顔画像を撮影して出席者情報収集装置に登録し、後日行う出欠チェック時に参照することにより、学籍番号の入力のみによる認証を補完して、より正確に出欠を管理する方法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開平7−262278号公報
【特許文献2】特開2003−308396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の方法では、磁気カード等を利用して認証を実行しているため、カードの貸し借りにより代返を行いうるという欠点を解決できないという問題があった。また、特許文献2の方法では、出席者情報収集装置において後日出欠チェックを行い、本人か否かを判定することができるが、受講時には受講者が本人か否かを正確に特定することができないという問題があった。このため、出席している受講者を正確に特定し、受講者に応じて効果的に講義を行うことができないという問題があった。
【0008】
また、特許文献1および特許文献2は出欠管理の改善を主な目的としており、特許文献1の方法では、座席を正確に把握することにより講義を支援することが可能であるが、講義の効率的な実施を支援する機能としては不十分であった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、撮像手段で撮像した顔画像を用いて顔認証を行い、受講時に正確に受講者を特定することにより、講義の効率的な実施を支援することができる講義支援装置、講義支援方法および講義支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、講義の受講者を特定して講義の実施を支援する講義支援装置において、前記受講者の顔画像を予め登録した登録顔画像を記憶する登録顔画像データ記憶手段と、前記受講者の講義への出欠状況を記憶する出欠データ記憶手段と、前記受講者の顔画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段が撮像した前記顔画像である入力顔画像と、前記登録顔画像データ記憶手段に記憶されている前記登録顔画像とを照合して前記受講者の認証を行う認証手段と、前記認証手段の認証結果に基づいて、前記出欠データ記憶手段に記憶された前記出欠状況を更新する出欠管理手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記受講者に対して通知する通知メッセージを予め記憶する通知メッセージ記憶手段と、前記認証手段が認証した前記受講者に対する前記通知メッセージを前記通知メッセージ記憶手段から取得するメッセージ管理手段と、前記メッセージ管理手段が取得した前記通知メッセージを表示する表示手段とをさらに備えたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記通知メッセージ記憶手段は、前記通知メッセージと、前記受講者が前記通知メッセージを閲覧したか否かを示す閲覧情報とを対応づけて記憶し、前記メッセージ管理手段は、前記受講者が前記通知メッセージを閲覧した際に、前記閲覧情報として閲覧した旨を示す情報を前記通知メッセージ記憶手段に記憶することを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記受講者が受講している講義に関する成績の情報である個人成績データを予め記憶する個人成績データ記憶手段と、前記個人成績データ記憶手段に記憶されている前記個人成績データに基づいて、前記認証手段が認証した前記受講者を複数のグループに分けるグループ分け処理手段とをさらに備えたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記認証手段は、講義を行う講師の認証を行い、講師が認証された後に、前記受講者の認証を行うことを特徴とする。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、講義の受講者を特定して講義の実施を支援する講義支援方法において、前記受講者の顔画像を撮像する撮像ステップと、前記撮像ステップにおいて撮像された前記顔画像である入力顔画像と、記憶手段に記憶されている前記受講者の顔画像を予め登録した登録顔画像とを照合して前記受講者の認証を行う認証ステップと、前記認証ステップの認証結果に基づいて、記憶手段に記憶された前記受講者の講義への出欠状況を更新する出欠管理ステップとを備えたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項7に記載の発明は、講義の受講者を特定して講義の実施を支援する講義支援プログラムにおいて、撮像手段において撮像された前記受講者の顔画像である入力顔画像と、記憶手段に記憶されている前記受講者の顔画像を予め登録した登録顔画像とを照合して前記受講者の認証を行う認証手順と、前記認証手順の認証結果に基づいて、記憶手段に記憶された前記受講者の講義への出欠状況を更新する出欠管理手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、受講者の顔画像を予め登録した登録顔画像と撮像手段により撮像した受講者の顔画像である入力顔画像とを照合して受講者の認証を実行し、出欠を管理することができる。このため、より正確に受講者を特定し、講義に出席している受講者に応じた効率的かつ円滑な講義を実施することができるという効果を奏する。
【0018】
また、請求項2に記載の発明によれば、顔認証により認証した受講者に対する通知メッセージを表示することができる。このため、正確に特定した受講者に対して、講義に関連する情報を的確に伝達し、効率的かつ円滑な講義を実施することができるという効果を奏する。
【0019】
また、請求項3に記載の発明によれば、顔認証により認証した受講者に対する通知メッセージを表示するとともに、受講者が通知メッセージを閲覧したか否かを示す閲覧情報を管理することができる。このため、受講者に対する情報伝達を徹底させ、より効率的に講義を実施することができるという効果を奏する。
【0020】
また、請求項4に記載の発明によれば、認証した受講者の成績に応じて受講者のグループ分けを行うことができる。このため、グループ構成員の質の平均化を図ることにより、講義を効率的に実施することができるという効果を奏する。
【0021】
また、請求項5に記載の発明によれば、講義を行う講師が認証を行った後に、受講者の認証を行うことができる。このため、担当外の講師が講義を担当することを防止し、円滑に講義を実施することができるという効果を奏する。
【0022】
また、請求項6に記載の発明によれば、予め登録した登録顔画像と撮像手段により撮像した受講者の顔画像である入力顔画像とを照合して受講者の認証を実行し、出欠を管理することができる。このため、より正確に受講者を特定し、講義に出席している受講者に応じた効率的かつ円滑な講義を実施することができるという効果を奏する。
【0023】
また、請求項7に記載の発明によれば、予め登録した登録顔画像と撮像手段により撮像した受講者の顔画像である入力顔画像とを照合して受講者の認証を実行し、出欠を管理することができる。このため、より正確に受講者を特定し、講義に出席している受講者に応じた効率的かつ円滑な講義を実施することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる講義支援装置、講義支援方法および講義支援プログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0025】
本実施の形態にかかる講義支援装置は、予め登録した登録顔画像と撮像手段により撮像した受講者の顔画像である入力顔画像とを照合する顔認証により受講者の認証を行って出欠を管理するとともに、認証した受講者に対する通知メッセージが存在する場合に、その通知メッセージを認証時に画面に表示するものである。
【0026】
図1は、本実施の形態にかかる講義支援装置100の構成と処理の概要を示した説明図である。同図の上部は、認証前(左側)と認証後(右側)の講義支援装置100の画面表示の一例を示している。同図の下部は、認証時に装置内部で実行される処理と、処理されるデータの流れを示している。
【0027】
講義支援装置100は、主なハードウェア構成として、キーボードなどの入力部110と、CCD(Charge Coupled Devices)カメラなどの撮像部120と、ディスプレイなどの表示部140とを備えている。
【0028】
認証処理は、例えば、受講者が認証開始ボタンの押下すること等により開始される。認証処理が開始されると、撮像部120が受講者の顔画像を撮影し、入力顔画像データを出力する。顔認証処理では、入力顔画像データと、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置に予め登録された登録顔画像データとから画像の一致判定を行い、一致した場合に受講者本人であると認証する。
【0029】
出欠管理処理では、認証結果に応じて、受講者の出席または欠席を示す情報を、HDDなどの記憶装置に記憶された個人データの出欠情報に登録する。個人データには、その他に受講者に対する通知メッセージや受講者ごとの成績等が記憶されている。
【0030】
表示処理では、個人データに記憶された通知メッセージや成績を取得し、取得した情報を閲覧可能とするための表示画面を、認証された受講者に対して表示する。
【0031】
このように、本実施の形態にかかる講義支援装置100では、単に受講者の出欠を管理するだけでなく、出席している受講者に対し、講義に関連する情報等を通知することが可能となる。従って、従来の出欠管理システムが主に学校運営管理者の利便性を考慮して正確に出欠を管理することを目的としていたのに対し、本実施の形態によれば、顔認証による正確な出欠管理を前提として、受講者の立場に立った講義の効率的かつ円滑な実施を支援することが可能となる。
【0032】
また、本実施の形態は、受講者の成績等に応じたグループ化の支援機能を有するため、講師の立場に立った講義の効率化の支援も可能となる。
【0033】
図2は、本実施の形態にかかる講義支援装置100の構成を示すブロック図である。同図に示すように、講義支援装置100は、入力部110と、撮像部120と、制御部130と、表示部140と、記憶部150とを備えている。
【0034】
入力部110は、受講者または講師などの利用者が、認証に必要な利用者IDや、認証開始の命令またはグループ分けの命令などを入力する入力デバイスであり、キーボードやマウスなどの一般的に利用されているあらゆる入力デバイスにより構成することができる。
【0035】
撮像部120は、CCD等により形成される撮像デバイスであり、利用者の顔の画像を撮像するものである。
【0036】
制御部130は、撮像部120により撮像された画像を受け取って顔認証処理を実行し、顔認証処理の結果と、記憶部150から取得した受講者に対する通知メッセージ等を表示部140に表示する処理部である。制御部130は、認証部131と、出欠管理部132と、メッセージ管理部133と、成績管理部134と、グループ分け処理部135とを備えている。
【0037】
認証部131は、撮像部120により撮像された画像を受け取り、受け取った画像から受講者の顔画像である入力顔画像データを抽出して、登録顔画像データ記憶部151に記憶された当該受講者の登録顔画像データと対比することによって顔認証を行うものである。
【0038】
なお、顔画像の撮像の前に受講者を一意に識別する利用者IDを入力し、入力された利用者IDに対応づけられた登録顔画像データを登録顔画像データ記憶部151から取得して対比の際に使用する。利用者IDを入力せず、顔画像のみを入力し、登録顔画像データ記憶部151に記憶されている全受講者の登録顔画像データと照合することにより、受講者を認証するように構成してもよい。
【0039】
認証部131による顔認証処理は、顔画像データそのものを対比する方法や、顔画像の特徴量を算出し、算出した特徴量を対比する方法などの、従来から用いられているあらゆる方法を適用することができる。
【0040】
出欠管理部132は、認証部131が受講者の認証に成功した場合に、出欠データ記憶部152の出欠情報を「出席」状態に更新するものである。なお、出欠管理部132は、認証部131が受講者の認証に失敗した場合には出欠データ記憶部152の出欠情報は更新しない。また、出欠管理部132は、受講者により出席状況の表示要求が入力された場合に、当該受講者の出欠状況を出欠データ記憶部152から取得して表示部140に表示する処理を行う。
【0041】
メッセージ管理部133は、認証部131が認証した受講者に対する通知メッセージを通知メッセージ記憶部153から取得するものである。また、メッセージ管理部133は、講師等が任意の受講者に対するメッセージを入力部110から入力した場合に、そのメッセージを通知メッセージ記憶部153に登録する処理を行うものである。
【0042】
成績管理部134は、認証部131が認証した受講者の成績に関する情報を個人成績データ記憶部154から取得し、表示部140に表示するものである。また、成績管理部134は、グループ分け処理部135が受講者のグループ分けを実行する際に、受講者の成績に関する情報を個人成績データ記憶部154から取得し、グループ分け処理部135に出力するものである。
【0043】
グループ分け処理部135は、個人成績データ記憶部154に記憶されている受講者の成績に関する情報を参照し、各グループに含まれる受講者の成績に偏りが生じないように受講者をグループ分けする処理を行うものである。グループ分けの処理では、ニューラルネットワークや遺伝的アルゴリズムを利用した最適グループ分けの方法などの、従来から用いられているあらゆる最適グループ分けの方法を適用することができる。
【0044】
表示部140は、操作ガイダンスや、認証結果および通知メッセージなどを表示するものであり、液晶パネル等の一般的に利用されているあらゆる表示デバイスにより構成することができる。
【0045】
記憶部150は、講義支援装置100で参照する各種データを記憶するものであり、登録顔画像データ記憶部151と、出欠データ記憶部152と、通知メッセージ記憶部153と、個人成績データ記憶部154とを備えている。記憶部150は、HDD、光ディスク、メモリカードなどの一般的に利用されているあらゆる記憶装置により構成することができる。
【0046】
なお、同図においては、記憶部150は1つのHDDにより構成され、この中に各記憶部(登録顔画像データ記憶部151、出欠データ記憶部152、通知メッセージ記憶部153、個人成績データ記憶部154)が含まれるように構成されているが、上述の各記憶部の一部または全部をそれぞれ別の記憶装置に記憶するように構成してもよい。
【0047】
登録顔画像データ記憶部151は、受講者の顔画像を予め登録した登録顔画像を記憶するものであり、認証部131が顔認証を実行する際に参照される。
【0048】
図3は、登録顔画像データ記憶部151のデータ構造の一例を示す説明図である。同図に示すように、登録顔画像データ記憶部151は、利用者を一意に識別するための利用者IDと、当該利用者について予め登録した登録顔画像と、利用者の氏名とを対応づけて格納している。なお、利用者の氏名などの利用者の属性情報は、利用者マスタ記憶部等の別の記憶部(図示せず)に記憶するように構成してもよい。
【0049】
出欠データ記憶部152は、受講者の講義への出欠状況を記憶するものであり、出欠管理部132により、認証部131の認証結果に応じて更新される。
【0050】
図4は、出欠データ記憶部152のデータ構造の一例を示す説明図である。同図に示すように、出欠データ記憶部152は、利用者IDと、利用者が受講している講義を一意に識別するための講義IDと、各受講日の出欠状況とを対応づけて格納している。本実施の形態では、出欠状況は出席したときに「出席」状態に更新され、欠席の場合は更新されない。
【0051】
通知メッセージ記憶部153は、受講者に対する通知メッセージを記憶するものであり、メッセージ管理部133により、認証された受講者の通知メッセージを表示部140に表示する際に参照される。
【0052】
図5は、通知メッセージ記憶部153のデータ構造の一例を示す説明図である。同図に示すように、通知メッセージ記憶部153は、利用者IDと、通知メッセージを送信した利用者の利用者IDである送信者IDと、通知メッセージと、通知メッセージを受講者が閲覧したか否かを示す情報である閲覧情報(未開封、または、開封済み、または、確認済み)とを対応づけて格納している。
【0053】
「未開封」とは、通知メッセージが画面に表示されていない状態を表す。「開封済み」とは、通知メッセージが画面に表示された状態を表す。「確認済み」とは、通知メッセージが画面に表示され、かつ、利用者が確認ボタンを押下すること等により、その通知メッセージの内容を確認した旨の意思表示をした状態を表す。
【0054】
個人成績データ記憶部154は、受講者の講義ごとの成績を記憶するものであり、成績管理部134が受講者の成績を取得して表示部140に表示する際、または、グループ分け処理部135が受講者をグループ分けする際に参照される。
【0055】
図6は、個人成績データ記憶部154のデータ構造の一例を示す説明図である。同図に示すように、個人成績データ記憶部154は、利用者IDと、講義IDと、当該講義に関する成績の情報とを対応づけて格納している。なお、成績の情報は1つに限られるものではなく、講義の都度実施されるテストの点数など、複数の成績の情報を格納するように構成してもよい。
【0056】
記憶部150には、講師のスケジュール情報や、学校管理者等から通知される補講時間、休暇日程、試験日程等の伝達情報を格納するように構成してもよい。これにより、受講者が講義に関する情報を的確に把握することができ、講義をさらに効率的に実施することが可能となる。
【0057】
また、記憶部150に格納されている情報は、入力部110から管理者等が入力するように構成してもよいし、外部システムで作成された情報を、通信部(図示せず)によりネットワークなどを介して記憶部150に取り込むように構成してもよい。また、講義支援装置100内に記憶部150を備えず、通信部を介して外部システムに記憶されている情報を直接参照するように構成してもよい。これにより、情報入力負担の軽減、または、装置構成の簡易化を実現することができる。
【0058】
次に、このように構成された本実施の形態にかかる講義支援装置100による認証処理について説明する。図7は、本実施の形態における認証処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【0059】
本実施の形態にかかる講義支援装置100は、携帯型の装置であり、講義開始時に各受講者に回覧され、受講者ごとに認証処理を行うことを前提とする。なお、事前に講義を行う講師自身による認証処理を実行し、講師の認証が正常に完了した後に受講者の認証を行うように構成してもよい。
【0060】
まず、入力部110が、利用者による利用者IDの入力を受付ける(ステップS701)。次に、撮像部120が、利用者の顔画像を撮像し、撮像した画像データを認証部131に対して出力する(ステップS702)。
【0061】
続いて、認証部131が、撮像部120から受け取った画像データから顔画像を入力顔画像データとして抽出する(ステップS703)。次に、認証部131が、入力部110が受付けた利用者IDに対応する登録顔画像データを登録顔画像データ記憶部151から取得し、抽出した入力顔画像データとの照合処理を実行する(ステップS704)。
【0062】
次に、認証部131が、登録顔画像データと入力顔画像データとが一致したか否かを判断し(ステップS705)、一致した場合は(ステップS705:YES)、出欠管理部132が、出欠データ記憶部152の更新処理を実行する(ステップS706)。
【0063】
具体的には、認証された利用者の利用者ID、および、当該講義の講義IDに対応する受講日当日の出欠状況欄に、「出席」の情報を設定する。なお、講義IDは、受講者の認証開始前に、後述する講師の認証処理などにより事前に指定された値を使用する。
【0064】
次に、メッセージ管理部133が、認証された利用者宛てのメッセージを通知メッセージ記憶部153から取得する(ステップS707)。具体的には、認証された利用者の利用者IDと一致する利用者IDに対応づけられた通知メッセージを、通知メッセージ記憶部153から取得する。なお、この際、閲覧情報が「未開封」のメッセージのみを取得するように構成してもよいし、閲覧情報が「確認済み」以外のメッセージを取得するように構成してもよい。また、閲覧情報に関わらず、すべてのメッセージを取得するように構成してもよい。
【0065】
このように、受講者が通知メッセージを閲覧したか否かを示す閲覧情報を管理し、閲覧状況に応じて通知メッセージを表示することができるため、受講者に対する情報伝達を徹底させることが可能となる。
【0066】
次に、表示部140が、認証部131から受け取った認証結果と、メッセージ管理部133から受け取った通知メッセージとを表示し(ステップS708)、認証処理を終了する。なお、認証した利用者に対するメッセージが通知メッセージ記憶部153から取得できなかった場合は、通知メッセージは表示しない。
【0067】
ステップS705において、認証部131が、登録顔画像データと入力顔画像データとが一致しないと判断した場合は(ステップS705:NO)、表示部140は、認証結果として認証が失敗したことを表示し(ステップS709)、認証処理を終了する。
【0068】
図8は、認証が成功した場合の表示画面の表示内容の一例を示す説明図である。同図に示すように、表示画面800は、撮像した顔画像を表示する顔画像表示エリア801と、認証結果表示エリア802と、通知メッセージの有無を表示する通知メッセージ確認エリア803と、通知メッセージの内容を表示する通知メッセージ表示エリア804とを含んでいる。
【0069】
また、表示画面800は、開封ボタン810と、講師スケジュールボタン811と、掲示板ボタン812と、メッセージ確認ボタン813と、個人情報表示ボタン814と、終了ボタン815と、を備えている。
【0070】
開封ボタン810は、通知メッセージが存在する場合に押下可能となるボタンであり、開封ボタン810を押下することにより、通知メッセージ表示エリア804に通知メッセージの内容が表示される。
【0071】
講師スケジュールボタン811を押下すると、当該講義を担当している講師のスケジュールを確認する画面(図示せず)が表示される。
【0072】
掲示板ボタン812を押下すると、学校管理者等が入力した各受講者に共通する伝達情報などを確認する画面(図示せず)が表示される。なお、学校管理者等からの伝達情報も、通知メッセージ記憶部153に格納し、通知メッセージ表示エリア804に表示するように構成してもよい。
【0073】
この場合、例えば、学校管理者から特定の受講者宛ての伝達情報が存在するときは、その受講者が認証されたときに、その受講者に対してのみ伝達情報を表示するように構成することができる。また、例えば、学校管理者から特定の集団(特定のクラスまたは学年など)に対しての伝達情報が存在するときは、その集団に属する受講者が認証されたときに、その集団に属する受講者に対してのみ伝達情報を表示するように構成することができる。
【0074】
これにより、従来、構内の掲示板などの不特定多数の利用者を対象とした情報伝達媒体では、特定の利用者に的確に情報を伝達することができない場合があるという不都合が存在したが、このような不都合を解消することが可能となる。
【0075】
メッセージ確認ボタン813を押下すると、通知メッセージ記憶部153内の当該通知メッセージに対応する閲覧情報を「確認済み」に更新する。
【0076】
個人情報表示ボタン814を押下すると、当該利用者の試験結果や、出席状況の一覧表示を行うための画面(図示せず)が表示される。
【0077】
終了ボタン815を押下すると、表示画面800の表示を終了し、例えば、認証処理を指定するためのメニュー画面(図示せず)を表示する。
【0078】
次に、講師の認証処理について説明する。講師の認証処理は、ステップS701において、入力部110から講師が担当する講義の講義IDを、利用者IDとともに入力する点が、受講者による認証処理と異なる。これ以外は、受講者による認証処理を示す図7のフローチャートと同じ処理により認証処理が行われる。
【0079】
また、講義ごとに講師の認証処理を実行し、講師が正常に認証された場合のみ、当該講義の受講者の認証処理を実行するように構成してもよい。これにより、講師が助手等の別の者に講義を担当させることや、誤って別の講師が講義を担当することを回避することが可能となる。
【0080】
次に、本実施の形態にかかる講義支援装置100によるグループ分け支援処理について説明する。図9は、本実施の形態におけるグループ分け支援処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【0081】
まず、入力部110が、講師によるグループ分けコマンドの入力を受付ける(ステップS901)。グループ分けコマンドは、表示部140に表示された講師用のメニュー画面(図示せず)に含まれるグループ分けボタンを押下すること等により入力するように構成することができる。
【0082】
次に、成績管理部134が、講義に出席している各受講者の個人成績データを、個人成績データ記憶部154から取得する(ステップS902)。
【0083】
次に、グループ分け処理部135が、取得した個人成績データを参照し、各グループを構成する利用者の成績に偏りが生じないようにグループ分けを実行する(ステップS903)。
【0084】
次に、表示部140が、グループ分け処理部135が分割した各グループと、各グループを構成する受講者の一覧を表示し(ステップS904)、グループ分け支援処理を終了する。
【0085】
これにより、認証した受講者の成績に応じて受講者のグループ分けを行うことができため、グループ構成員の質の平均化を図ることにより、講義を効率的に実施することができるようになる。
【0086】
このように、本実施の形態にかかる講義支援装置100では、予め登録した登録顔画像と撮像手段により撮像した受講者の顔画像である入力顔画像とを照合する顔認証により受講者の認証を行って出欠を管理することができる。また、認証した受講者に対して、講義に関連する通知メッセージが存在する場合に、その通知メッセージを認証時に画面に表示することができる。さらに、認証した受講者の成績に応じて講師が受講者のグループ化を実行することができる。このため、講義に出席した受講者を正確に特定し、講義に関連する情報を受講者に的確に伝達し、受講者に応じた講義の効率的な実施が可能となる。
【0087】
なお、本実施の形態にかかる講義支援装置で実行される講義支援プログラムは、ROM(Read Only Memory)等に予め組み込まれて提供される。
【0088】
本実施の形態にかかる講義支援装置で実行される講義支援プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD−R(Compact Disk Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0089】
さらに、本実施の形態にかかる講義支援装置で実行される講義支援プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態にかかる講義支援装置で実行される講義支援プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0090】
本実施の形態にかかる講義支援装置で実行される講義支援プログラムは、上述した各部(認証部、出欠管理部、メッセージ管理部、成績管理部、グループ分け管理部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(Central Processing Unit)が上記ROMから講義支援プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0091】
以上のように、本発明にかかる講義支援装置、講義支援方法および講義支援プログラムは、講義に出席している受講者を正確に特定することが必要な講義支援装置に適している。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本実施の形態にかかる講義支援装置の構成と処理の概要を示した説明図である。
【図2】本実施の形態にかかる講義支援装置の構成を示すブロック図である。
【図3】登録顔画像データ記憶部のデータ構造の一例を示す説明図である。
【図4】出欠データ記憶部のデータ構造の一例を示す説明図である。
【図5】通知メッセージ記憶部のデータ構造の一例を示す説明図である。
【図6】個人成績データ記憶部のデータ構造の一例を示す説明図である。
【図7】本実施の形態における認証処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図8】表示画面の表示内容の一例を示す説明図である。
【図9】本実施の形態におけるグループ分け支援処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0093】
100 講義支援装置
110 入力部
120 撮像部
130 制御部
131 認証部
132 出欠管理部
133 メッセージ管理部
134 成績管理部
135 グループ分け処理部
140 表示部
150 記憶部
151 登録顔画像データ記憶部
152 出欠データ記憶部
153 通知メッセージ記憶部
154 個人成績データ記憶部
800 表示画面
801 顔画像表示エリア
802 認証結果表示エリア
803 通知メッセージ確認エリア
804 通知メッセージ表示エリア
810 開封ボタン
811 講師スケジュールボタン
812 掲示板ボタン
813 メッセージ確認ボタン
814 個人情報表示ボタン
815 終了ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
講義の受講者を特定して講義の実施を支援する講義支援装置において、
前記受講者の顔画像を予め登録した登録顔画像を記憶する登録顔画像データ記憶手段と、
前記受講者の講義への出欠状況を記憶する出欠データ記憶手段と、
前記受講者の顔画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した前記顔画像である入力顔画像と、前記登録顔画像データ記憶手段に記憶されている前記登録顔画像とを照合して前記受講者の認証を行う認証手段と、
前記認証手段の認証結果に基づいて、前記出欠データ記憶手段に記憶された前記出欠状況を更新する出欠管理手段と
を備えたことを特徴とする講義支援装置。
【請求項2】
前記受講者に対して通知する通知メッセージを予め記憶する通知メッセージ記憶手段と、
前記認証手段が認証した前記受講者に対する前記通知メッセージを前記通知メッセージ記憶手段から取得するメッセージ管理手段と、
前記メッセージ管理手段が取得した前記通知メッセージを表示する表示手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の講義支援装置。
【請求項3】
前記通知メッセージ記憶手段は、前記通知メッセージと、前記受講者が前記通知メッセージを閲覧したか否かを示す閲覧情報とを対応づけて記憶し、
前記メッセージ管理手段は、前記受講者が前記通知メッセージを閲覧した際に、前記閲覧情報として閲覧した旨を示す情報を前記通知メッセージ記憶手段に記憶することを特徴とする請求項2に記載の講義支援装置。
【請求項4】
前記受講者が受講している講義に関する成績の情報である個人成績データを予め記憶する個人成績データ記憶手段と、
前記個人成績データ記憶手段に記憶されている前記個人成績データに基づいて、前記認証手段が認証した前記受講者を複数のグループに分けるグループ分け処理手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の講義支援装置。
【請求項5】
前記認証手段は、講義を行う講師の認証を行い、講師が認証された後に、前記受講者の認証を行うことを特徴とする請求項1に記載の講義支援装置。
【請求項6】
講義の受講者を特定して講義の実施を支援する講義支援方法において、
前記受講者の顔画像を撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップにおいて撮像された前記顔画像である入力顔画像と、記憶手段に記憶されている前記受講者の顔画像を予め登録した登録顔画像とを照合して前記受講者の認証を行う認証ステップと、
前記認証ステップの認証結果に基づいて、記憶手段に記憶された前記受講者の講義への出欠状況を更新する出欠管理ステップと
を備えたことを特徴とする講義支援方法。
【請求項7】
講義の受講者を特定して講義の実施を支援する講義支援プログラムにおいて、
撮像手段において撮像された前記受講者の顔画像である入力顔画像と、記憶手段に記憶されている前記受講者の顔画像を予め登録した登録顔画像とを照合して前記受講者の認証を行う認証手順と、
前記認証手順の認証結果に基づいて、記憶手段に記憶された前記受講者の講義への出欠状況を更新する出欠管理手順と
をコンピュータに実行させる講義支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−133649(P2007−133649A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−325934(P2005−325934)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】