説明

護岸監視システム、護岸監視装置、護岸監視用プログラム

【課題】河川や海と接する壁面の詳細な状態を直接に、かつ自動的、正確に検出し、護岸壁のメンテナンスや洪水時の対応に有用な情報が得られる護岸監視システムを提供する。
【解決手段】川または海水に接する壁面を監視するための護岸監視システムであって、壁面の少なくとも一部に設けられ、信号を発信する複数の通信装置201、通信装置201によって発信される信号を受信する通信制御部204、受信された信号に基づいて、複数の通信装置201のうちの信号の発信を停止した通信装置201の位置を特定する通信途絶判定部205、通信途絶判定部205によって特定された位置の分布状態を表示する表示データ生成部206及びディスプレイ207を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川等の堤防の壁面の損傷の有無や程度を損傷箇所に対応付けて検知し、損傷の状態をより正確に判定することができる護岸監視システム、護岸監視装置、護岸監視用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、河川管理者は、雨やダムの放流によって河川の水位上昇に対応するため、堤防の壁面に設けられる護岸壁の強度や損傷を調査している。このような調査は、主に人間の目視によってなされているため、調査者の知識や注意力の個人差によらず、高い信頼性を得られる調査を実現する技術が要求されていた。
このような要求に応えるための従来技術として、例えば、非特許文献1に記載された技術が挙げられる。非特許文献1に記載された技術は、堤防の「高水敷き」と呼ばれる部分に侵食センサを埋め込んで、洪水時の「高水敷き」の浸食の状態をリアルタイムで観測するものである。
【0003】
非特許文献1に記載されている侵食センサは、積み重ねられた自然石に電極を設けてセンサとしたものである。洪水によって自然石が流されると、電極が外れると共に電極が外れたことを示す信号を発信する。発信した信号は、地中通信によって制御装置側に送信される。このような非特許文献1によれば、「高水敷き」のどの位置で自然石の流出が起こったかを検出し、流出の状態に基づいて「高水敷き」の損傷の程度を推定することができる。
【0004】
また、非特許文献1には、「堤体」の部分に浸透センサを設け、「堤体」の地下水位をリアルタイムで観測することが記載されている。地下水位の観測においては、水位を数値で表示するのではなく、堤体の断面図中に地下水位を表示することによって視認性を高める工夫がなされている。
【非特許文献1】NIKKEI CONSTRUCTION 2006.4.28,p58-59.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した非特許文献1では、「高水敷き」のどこで自然石が流されたという情報を取得することはできるものの、護岸壁が洪水によって受けた損傷や侵食を直接検出することはできない。このため、非特許文献1に記載された技術は、洪水時の堤防の状態を「高水敷き」の状態から人間が知識や経験に基づいて推定する他ない。
また、非特許文献1に記載された技術は、「高水敷き」に点在する自然石を侵食センサとしている。このため、「高水敷き」における大凡の位置の侵食の発生がわかるものの、どの位置でどの程度の侵食が起こったかという情報を得ることは困難である。
【0006】
このような非特許文献1の構成によって得られる情報は、洪水時の対応の判断を支援するものの、知識や経験に基づいて人間が判断を下す負荷を充分に軽減するには改善の余地があるものといわざるを得ない。
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであって、護岸壁、ひいては河川や海と接する壁面の詳細な状態を直接に、かつ自動的、正確に検出し、護岸壁のメンテナンスや洪水時の対応に有用な情報が得られる護岸監視システム、護岸監視装置、護岸監視用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、本発明は、川または海水に接する壁面を監視するための護岸監視システムであって、前記壁面の少なくとも一部に設けられ、信号を発信する複数の通信ユニットと、前記通信ユニットによって発信される信号を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された信号に基づいて、複数の前記通信ユニットのうちの信号の発信を停止した前記通信ユニットの位置を特定する発信停止位置特定手段と、前記発信停止位置特定手段によって特定された位置の分布状態を表示する面分布表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
このような発明によれば、各々を特定するための識別コードを有し、自己の識別コードが付与された識別信号を発信する通信ユニットを川または海水に接する壁面の少なくとも一部に設けることができる。また、複数の通信ユニットによって発信される信号を受信し、受信された信号に基づいて、複数の前記通信ユニットのうちの信号の発信を停止した前記通信ユニットの位置を特定し、特定された位置の前記壁面における分布状態を表示する護岸監視装置を構成することができる。このため、通信の途絶によって通信ユニットの位置の護岸ブロック等が流されたことを推定し、護岸壁の損傷の状態を分布として得ることができる。
【0009】
したがって、このような発明は、護岸壁、ひいては河川や海と接する壁面の詳細な状態を直接に、かつ自動的、正確に検出し、護岸壁の洪水時の対応に有用な情報を得ることができる。
また、通信ユニットが前記壁面に加わる振動及び力の少なくとも一方を表す信号を前記識別信号と共に発信し、護岸監視装置が、振動及び力の少なくとも一方を表す信号に基づいて壁面の損傷の度合いを判断することができる。このため、通信ユニットが土砂と共に流出するに到らないまでも、護岸壁のずれや加わる圧力の値及び箇所を検出することができるため、護岸壁のメンテナンスに有用な情報を得ることができる。また、護岸壁の破損や堤防の決壊の可能性を早期に知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図を参照して本発明に係る護岸監視システム、護岸監視用通信装置、護岸監視装置、護岸監視用プログラムの実施形態1、実施形態2を説明する。
・監視対象
本発明の実施の形態1、実施形態2の説明に先立って、先ず、本発明の監視システムが適用される監視対象について説明する。
図1は、監視対象を説明するための模式図である。図示した監視対象は、堤防の壁面である。堤防は、高水敷きと呼ばれる平面と、堤防の高水敷きに対して隆起している堤体とを示している。堤体の壁面には護岸ブロック101が設けられていて、壁面の土砂の流出を防いでいる。
【0011】
また、高水敷きには根固工102が設けられていて、高水敷きの土砂の流出を防いでいる。護岸ブロック101と根固工102との境界には基礎工103が設けられていて、護岸ブロック101の強度を高めている。
なお、図1では、破線で示した護岸ブロック101が土砂の流出によって欠落した状態を示している。また、図1では、根固工102が土砂の流出によって崩れた状態を示しているが、根固工102の上には、根固工102下の土砂の流出を防ぐ目的で図示しない異形ブロックが置かれている。
【0012】
実施形態1では、このように、河川や海水から陸地を保護するための護岸ブロック101や根固工102が設けられた面を護岸壁という。図1において、護岸ブロック101が設けられた面をAで示す。また、根固工102が設けられた面をBで示す。実施形態1でいう護岸壁の壁面とは、面Aと面Bとを合わせた面を指すものとする。壁面を規定する場合の面A、面Bは、当然のことながら、護岸ブロック101、根固工102に欠損のない状態を指す。
護岸ブロック101の欠損によって堤体の一部の土砂が流出することを天端欠壊という。また、根固工102が崩れる原因の土砂の流出を、土砂の抜け出しという。土砂の抜け出しが起こり得る範囲を図1中にCで示す。土砂の抜け出しは、図示したように、護岸ブロックが設けられた面Aの裏面Dにも達する場合がある。
【0013】
(実施形態1)
図2は、実施形態1の護岸監視システムの概要を説明するため図である。実施形態1の護岸システムは、図1に示したように、壁面の護岸ブロック101に設けられた複数の通信装置201を含む通信装置群1と、通信装置群1が発信した信号を受信して壁面の状態を監視する護岸監視装置2とからなっている。
なお、実施形態1では、通信装置201を護岸ブロック101にのみ設けるものとして以降の説明をする。しかし、実施形態1は、このような構成に限定されるものでなく、根固工102にも設けることが可能である。
【0014】
通信装置群1は、護岸壁の壁面の少なくとも一部に設けられ、信号を発信する複数の通信装置201を備えている。通信装置201は、壁面に設けられた護岸ブロック101の各々に1つずつ設けられている。護岸ブロック101がマトリックス状に配置されていることから、通信装置201もマトリックス状に配置されている。
通信装置201は、実施形態1における通信ユニットである。また、通信装置群1は、実施形態1の護岸監視用通信装置である。
【0015】
図2において、マトリックス状に配置された通信装置201のうち、横方向に沿って配置された列の最も下に位置する列の通信装置を201sとした。また、横方向に沿って配置された列の最も上に位置する列の通信装置を201eとした。実施形態1では、通信装置201sから発信が開始し、通信装置201eが外部に向けて信号を発信する。
また、護岸監視装置2は、通信装置201eによって発信された信号を受信する通信制御部204、受信された信号に基づいて、複数の通信装置201のうちの信号の発信を停止した通信装置201の位置を特定する通信途絶判定部205と、特定された位置の分布状態を表示する表示データ生成部206及びディスプレイ207を備えている。
【0016】
図3は、実施形態1の通信装置群1と護岸監視装置2との位置関係を説明するための図である。実施形態1では、通信装置201を護岸ブロックの各々に固定して通信装置群1を構成する。また、防水団等の巡回車3に護岸監視装置2を搭載し、防水団等が護岸監視装置2によって検出された情報を取得しながら現場の状態を目視でも観測可能にしている。
【0017】
本実施形態では、以下、このような護岸監視システムの護岸監視用通信装置である通信装置201について先ず説明し、続いて護岸監視装置2について説明するものとする。
・通信装置
以下、実施形態1の通信装置201及び通信装置群1について説明する。
図4は、このような通信装置201のハードウェア構成を説明するための図である。通信装置201は、護岸監視装置2と通信するための送信回路404、受信回路405及びループアンテナ407を備えている。また、通信にかかる処理全般を制御するCPU(Central Processing Unit)402、CPU402と外部機器との間のデータ授受を制御するインターフェイス部401、以上の構成に電力を供給する電池403を備えている。
【0018】
インターフェイス部401は、後に述べるように、CPUに圧力や振動を検知するセンサの検知信号を入力するために使用される。
以上の構成は、ケース体406内に収納されている。通信装置201は水中に設置される場合もあるため、ケース体406は防水されていて、内部の機器を完全に密封するよう構成されている。さらに、ケース体406は、通信装置201が水中、あるいは地中に設置された場合にも周囲の圧力に耐える充分な強度を有するよう構成される。
【0019】
図5は、通信装置201の機能ブロック図である。通信装置201は、各々を特定するための識別コードを有している。そして、自己の識別コードが付与された識別信号を発信している。このため、通信装置201は、他の通信装置によって発信された、この他の通信装置の識別コードを含む識別信号を受信する通信制御部501、受信された識別信号に、自己の識別コードを付与して新たな識別信号を生成する識別信号生成部502を備えている。生成された新たな識別信号は、通信制御部501によって他の通信装置に向けて発信される。
【0020】
また、通信装置201は、一定の時間ごとに電池403の図示しないスイッチをオンすると共に、スイッチオン所定の時間が経過するごとにオフのタイミングを決定する電源制御部503及びタイマ504を備えている。さらに、通信装置201sは、水圧センサ505を備え、水圧センサ505が検出した水圧によって通信装置群1による通信開始のタイミングを決定している。
【0021】
以上の構成のより詳細な内容について、通信装置201の電源制御について先に延べ、後に通信装置201の通信について説明するものとする。
(1)電力制御に関する機能
以下、実施形態1の通信装置201の電力制御に関する機能について説明する。
図5に示したように、電源制御部503は、タイマ504を備えている。タイマ504は、常に所定の時間を計時している。電源制御部503は、1回の計時ごとに電源オンし、通信を開始するか否かを判断する。
電源オン時、通信装置201sの電源制御部503は、後述するように、水圧センサ505によって検出された圧力がしきい値以上であった場合に識別信号を送信する。
【0022】
また、他の通信装置201の電源制御部503は、識別信号が送信されてきた場合に通信開始の判断をし、新たな識別信号を次段の通信装置201に送信する。また、電源オンからタイマ504によって所定の時間が計時される間に識別信号が受信されない場合、電源制御信号を送信して電源をオフする。
以上述べた構成において、実施形態1では、電源オンの間隔を30分から1時間、電源オンから通信を開始しない場合に電源オフまでの時間を1〜10分程度と考えている。
以上述べた構成によれば、通信装置201を広範囲に多数設けた場合にも消費される電力を低減し、護岸監視システムを低消費電力化することができる。
【0023】
(1)通信に関する機能
図6は、識別信号生成部502によって生成される識別信号を説明するための図である。図6(a)は、通信制御部501によって受信された識別信号を示していて、(b)は識別信号生成部502によって生成された識別信号を示している。
すなわち、通信装置201は、通信制御部501から図6(a)に示した識別信号を受信する。(a)に示した識別信号は、信号の発信先を特定するための制御データ601と、他の通信装置の識別コード群データ602とで構成されている。識別コード群データは、識別信号が受信されるまでに経由してきた他の複数の通信装置の識別コードデータ603を含んでいる。
【0024】
図6(a)に示した識別信号は、アドレスN−1.17xxx−xによって指定されたアドレスに発信され、受信される。この識別信号を受信した通信装置201は、受信された識別信号に自身(自装置と記す)の識別コードN−1.17yyを示す識別コードデータ604を付加して新たな識別信号を生成する。そして、アドレスを次の発信先の通信装置201を指定するアドレスN−1.18xxx−xに変更して発信する。
以上のようにして、通信装置201が順次識別信号を送受信し、通信装置201eは、受信した識別信号に自装置の識別コードを付加して外部である護岸監視装置2に発信する。
【0025】
図7(a)、(b)、(c)は、実施形態1の通信装置201の識別信号の発信順序を説明するための図である。通信装置201の一部は、互いに水中で通信することになる。よく知られているように、水中では通信の信号強度を高めることが難しい。実施形態1の通信装置は、通信装置201がマトリックス状に配置されていて、比較的互いに近接している。実施形態1では、通信装置201間の距離は1m以下である。
このような構成により、実施形態1は、水中でも通信装置201同士が安定して通信することを可能にしている。
【0026】
なお、通信装置201間で送受信されてきた識別信号は、通信装置201eから護岸監視装置2に向けて発信される。
実施形態1では、マトリックス状に配置された通信装置201のうち、縦方向に配置された通信装置201の列ごとに識別信号の送受信を行うものとしている。図示した例では、N−2列をN−2ch、N列目をNchと記す。
例えば、Nchにおいて、先ず通信装置201sが識別信号を生成し、図中における1つ上方の通信装置201に向けて発信する。識別信号を受信した通信装置201は、この識別信号に自装置の識別コードを付加してさらに1つ上方の通信装置201に向けて発信する。Nchに含まれる通信装置201の全てが通信可能な状態であれば、護岸監視装置2に対し、Nchの通信装置201全ての識別コードが付加された識別信号が発信される。
【0027】
ところで、河川の水位が増した場合、図8(a)、(b)に示すように、互いに通信可能な状態にあった通信装置の一方が、流出することがある。このような場合、Nchのいずれかで識別信号の通信が途絶する。したがって、護岸装置2は、Nchの通信装置201eから送られてくるべき信号が受信できず、Nchのいずれかの通信装置を取り付けた護岸ブロックが流出したことを検出することができる。図7(b)に、1chにおいて通信が途絶した状態を示す。
【0028】
上記した構成では、通信を途絶した通信装置201の位置を、あるchのいずれかであることまで特定することができる。
さらに、実施形態1は、図7(b)に示したように、護岸ブロック101が流出し、通信装置201による通信がchの途中で途絶した場合、通信装置201は、図7(c)のように、異なるchの通信装置201を指定して識別番号を発信することができる。このような構成によれば、通信を途絶した通信装置の位置を詳細に特定することができる。
【0029】
より具体的には、通信装置201は、通信制御部501において、他の通信装置201に向けてされた発信に対する返信を受付ける。返信は、例えば、ACK(ACKnowledgement)信号として送信されてくる。
そして、通信制御部501は、所定の時間内に他の通信装置201からの返信を受付けられなかった場合、識別信号の発信先を他の通信装置201とは別個の他の通信装置201に変更する。
【0030】
このように構成すれば、図7(c)に示したように、通信できない状態にある通信装置201だけを選んで識別信号を順次経由させ、最終的に護岸監視装置2に向けて発信することができる。護岸監視装置2は、受信した識別信号に付された識別コードから、通信可能な通信装置201、換言すれば通信が途絶した通信装置201を検出することができる。
【0031】
なお、図7(c)に示した例では、通信装置の複数列を1単位にし、この単位の範囲内で送信先を変更している。しかし、実施形態1は、このような構成に限定されるものでなく、識別信号発信の変更先を任意の通信装置201にしてもよい。また、変更先のアドレスは、通信制御部501が、予め設定して図示しないメモリに保存しておくことができる。
【0032】
次に、以上述べた発信の開始タイミングを、水圧によって決定する構成について説明する。
水圧センサ505は、第1の圧力を検出した場合に通信装置201sの発信を開始し、水圧センサ505が第1の圧力よりも小さい第2の圧力を検出した場合に通信装置201sの発信を停止する。
第1の圧力とは、河川の水位が護岸の監視を開始すべき程度に達した場合に通信装置201sにかかる水圧に応じて決定される圧力のしきい値である。また、第2の圧力とは、河川の水位が護岸の監視を解除すべき程度に達した場合に通信装置201sにかかる水圧に応じて決定される圧力のしきい値である。
【0033】
水圧センサ505による発信開始の判断は、例えば、以下のようにして実現することができる。すなわち、図示しないケース体の内面に第1の端子を設け、この端子と比較的狭い間隔を隔てて対抗する第2の端子を設けて水圧センサ505を構成する。そして、外面において第1の端子が設けられた位置に対応する部分を弾性体で構成する。弾性体の範囲や弾性率等を適正に設計することにより、ケース体にしきい値以上の圧力が加わった場合にだけ弾性体がたわみ、第1の端子と第2の端子とをスイッチングすることができる。
【0034】
スイッチングによって発生した信号は、通信制御部501に入力して通信制御部501から識別信号生成部502に識別信号生成を指示する信号を出力させる。識別信号生成部502は、指示を受けて識別信号を生成し、通信制御部501に送る。生成された識別信号は、通信制御部501から次段の通信装置201に送信される。
また、弾性体の範囲や弾性率等を適正に設計することにより、ケース体に加わる圧力がしきい値以下になった場合には弾性体の形状が復元され、第1の端子と第2の端子とを離してスイッチをオフすることができる。このような水圧センサ505及び通信制御部501は、実施形態1の発信スイッチとして機能する。
【0035】
なお、水圧センサ505による発信開始及び停止は、通信装置群1のうちの通信装置201sのみが実行する。他の通信装置201は、前段の通信装置201または通信装置201sによって送信された識別信号を受信した場合にのみ次段の通信装置201に発信する。
また、実施形態1の水圧による発信の開始及び停止は、このような構成に限定されるものではない。
例えば、通信装置201sの水圧センサ505が、第1の圧力を検出した場合と第2の圧力を検出した場合、各々の圧力の対応する信号を電源制御部503に信号を出力するようにしてもよい。このように構成した場合、第1の圧力に対応する信号が入力された場合、通信制御部501は、識別信号生成部502に識別信号生成を指示する。また、第2の圧力に対応する信号が入力された場合、通信制御部501は、識別信号生成部502に識別信号生成を指示することなく発信を停止させる。
【0036】
以上述べた構成によれば、通信装置201は、河川の水位がある程度上昇し、護岸監視の必要性が生じたときに自動的に発信を開始し、識別信号送信に必要な動作の終了後は自動的に発信を停止することができる。このため、通信装置201を広範囲に多数設けた場合にも消費される電力を低減し、護岸監視システムを低消費電力化することができる。
【0037】
・通信装置の動作
図9は、実施形態1の通信装置201の動作を説明するためのフローチャートである。図示した動作では、先ず、通信装置201が、所定の時間ごとに電源制御部503が電源オンの処理を実行する(ステップS901)。そして、電源がオンされている間(ステップS908:No)、識別信号が受信されたか否かを判断する(ステップS902)。識別信号が受信されずに(ステップS902:No)、タイマ504による計時時間が経過した場合(ステップS908:Yes)、次の電源オンのタイミングまで電源をオフするための処理を実行する(ステップS907)。
【0038】
また、ステップ902において、識別信号を受信した場合(ステップS902:Yes)、通信装置201は、識別信号を送信してきた通信装置201にACK信号を返信する(ステップS903)。そして、受信された識別信号に自装置の識別コードを付して更新し(ステップS904)、更新された識別信号を次の通信装置201に送信する(ステップS905)。
【0039】
さらに、通信装置201の通信制御部501は、送信された識別番号に対するACK信号が受信されたか否かを判断する(ステップS906)。ACK信号が受信されなかった場合(ステップS906:No)、ACK信号が受信できなかったと判断された回数のカウント値nを1つカウントアップする(ステップS909)。繰り返しACK信号の受信の有無を判断してはステップS909の処理を繰り返し、例えばカウント値が3に達すると、送信先として設定される通信装置201を変更する(ステップS911)。
【0040】
一方、ACK信号が受信された場合(ステップS906:Yes)、通信制御部501は、電源をオフして次の電源オンまで待機する(ステップS907)。この際、実施形態1では、他の通信装置201が送信先を変更して識別信号を送信してくる場合を考慮し、一の通信装置201からのACK信号を受信した後、一定の時間の経過後に電源をオフするように設定されている。
【0041】
また、図10に通信装置201sの動作を説明するためのフローチャートを示す。通信装置201sは、通信装置201と同様に、所定の時間ごとに電源制御部503が電源オンの処理を実行する(S1001)。そして、電源がオンされている間(ステップS1007:No)に水圧センサ505がしきい値以上の圧力を検出したか否か判断する(ステップS1002)。
【0042】
しきい値以上の水圧が検出されず(ステップS1002:No)、タイマ504による計時時間が経過した場合(ステップS1007:Yes)、次の電源オンのタイミングまで電源をオフするための処理を実行する(ステップS1006)。
また、ステップ1002において、しきい値以上の水圧が検出された場合(ステップS1002:Yes)、通信装置201sは、自己の識別コードが付与された識別信号を生成し(ステップS1003)、送信する(ステップS1004)。そして、以降、図9に示した通信装置201と同様に動作する。
【0043】
また、図11に通信装置201eの動作を説明するためのフローチャートを示す。
通信装置201eは、通信装置201と同様に、所定の時間ごとに電源制御部503が電源オンの処理を実行する(ステップS1101)。そして、電源がオンされている間(ステップS1107:No)、識別信号が受信されたか否かを判断する(ステップS1102)。識別信号が受信されずに(ステップS1102:No)、タイマ504による計時時間が経過した場合(ステップS1107:Yes)、次の電源オンのタイミングまで電源をオフするための処理を実行する(ステップS1106)。
【0044】
また、ステップ1102において、識別信号を受信した場合(ステップS1102:Yes)、識別信号を送信してきた通信装置201にACK信号を返信する(ステップS1103)。そして、受信された識別信号に自装置の識別コードを付して更新する(ステップS1104)、
ここで、通信装置201eは、次の通信装置201ではなく、外部である護岸監視装置2に更新された識別番号を送信する点で通信装置201と相違する。通信装置201eは、識別番号の送信後、電源をオフして次の電源オンまで待機する(ステップS1106)。
【0045】
また、図9ないし図11では図示していないが、実施形態1では、電源オンから電源オフまでの時間間隔を、発信を開始した場合とそうでない場合とで異にするよう設定してもよい。つまり、発信を開始していない場合、護岸の監視の必要性が薄いと考えられるから、1時間程度の間隔で通信装置201をオンして省力化効果を高めることができる。
一方、発信を開始した場合、護岸監視の必要性が高まったと考えられるから、より短い時間間隔でオンするよう設定してもよい。また、いったん発信を開始した場合、通信装置201sが水圧センサ505の検出圧力にしたがって発信を停止するまで通信装置201は電源をオフすることなく動作するものであってもよい。
【0046】
このような動作は、通信装置201sが、水圧センサ505の検出圧力がしきい値を超えた場合には識別信号の送信後も電源をオフすることなく比較的短い時間間隔で識別信号を送信する。また、水圧センサ505の検出圧力がより低いしきい値を超えた場合にはいったん電源をオフし、電源オンの時間間隔を元に戻す。そして、通信装置201が、比較的長い時間いずれの通信装置201からも識別信号が送信されてこないことによって通信装置201sの発信停止を推定し、電源オンの時間間隔を元に戻すことによって実現することができる。
【0047】
・護岸監視装置
次に、護岸監視装置2について説明する。護岸監視装置2は、河川または海に接する壁面を監視するための護岸監視装置である。そして、図2に示したように、先に説明した通信装置201によって発信される信号を受信する通信制御部204、受信された信号に基づいて、複数の通信装置201のうちの信号の発信を停止したものの位置を特定する通信途絶判定部205、特定された位置の壁面における分布状態を表示する表示データ生成部206及びディスプレイ207を備えている。
【0048】
以上の構成において、通信制御部204は実施形態1の受信手段、通信途絶判定部205は発信停止位置特定手段、表示データ生成部206は面分布表示手段として各々機能する。
さらに、実施形態1の護岸監視装置2は、表示データ生成部206のよって生成、ディスプレイ207に表示された面分布に基づいて、護岸壁の損傷の度合いを判断する第1損傷程度判断手段となるデータ解析部208を備えている。図示するように、表示データ生成部206から発信停止位置を特定するためのデータは、データ解析部208にも送られていて、データ解析部208はこのデータを解析するものとする。
【0049】
通信途絶判定部205は、通信装置201eから受信された機別信号を解析し、この識別信号に含まれている識別コードと本来含まれているべき識別コードとを比較する。そして、含まれているよう設定されていながら識別信号にない識別コードに対応する通信装置201を特定する。さらに、特定された通信装置201の位置を発信停止位置として表示データ生成部206に送る。
【0050】
図12(a)、(b)〜図14(a)、(b)は、ディスプレイ207に表示された表示データを例示した図である。図示した例では、護岸壁の少なくとも一部の領域121における通信が途絶した通信装置201の位置として特定された特定位置Pを示している。図12の例では、(a)の例よりも(b)の例の方が、特定位置Pが占める面積が大きい。実施形態1では、特定位置Pが占める面積が大きいほど壁面の損傷が大きいと判断するため、データ解析部208は、(a)の表示データを得た場合よりも(b)の表示データを得た場合に壁面の損傷が大きいと判断する。
【0051】
また、図13(a)、(b)の例では、特定位置Pの占める総面積は(a)と(b)とで同じである。しかし、(b)に示した例は、(a)に示した例よりも特定位置Pが領域121において上方にあるものが多い。実施形態1では、特定された位置が、壁面において下方であるよりも上方である場合に護岸壁の損傷が大きいと判断する。このため、データ解析部208は、(a)の表示データを得た場合よりも(b)の表示データを得た場合に壁面の損傷が大きいと判断する。
【0052】
また、図14(a)、(b)の例では、特定位置Pの占める総面積は(a)と(b)とで同じである。しかし、(b)に示した例は、(a)に示した例よりも特定位置Pが領域121において密集している。実施形態1では、特定された位置が、壁面において分散しているよりも密集している場合に壁面の損傷が大きいと判断する。このため、データ解析部208は、(a)の表示データを得た場合よりも(b)の表示データを得た場合に壁面の損傷が大きいと判断する。
【0053】
図15は、以上述べた実施形態1の護岸監視装置2の動作を説明するためのフローチャートである。図示したように、護岸監視装置2は、通信装置201eから識別信号が受信する(ステップS151)。そして受信された識別信号に含まれる各通信装置201s、通信装置201の識別コードを解析し(ステップS152)、通信を途絶した通信装置201を判定する(ステップS153)。さらに、通信を途絶した通信装置201の位置を特定し、この位置が護岸壁を構成するブロック等が流された位置を表しているとして護岸壁、ひいては堤防壁面の状況を判定する(ステップS154)。
【0054】
また、表示データ生成部206は、特定された特定位置Pの分布を示す表示データを生成してディスプレイ207に表示する(ステップS155)。データ解析部208は、ディスプレイ207に表示された特定位置の分布に基づいて表示データを解析する(ステップS156)。解析の結果、堤防等の壁面の損傷の大きさが得られ、得られた情報はディスプレイ207に順次追加され、この結果、表示データが更新される。
【0055】
以上述べた実施形態1によれば、壁面に設けられた護岸ブロック等に通信装置を固定し、この通信装置から各々を特定するための識別コードを含む識別信号を発信させることができる。また、複数の通信ユニットによって発信される信号を受信し、受信された信号に基づいて、発信を停止した通信装置の位置を特定し、特定された位置の壁面における分布状態を表示することができる。このため、通信の途絶によって通信ユニットの位置の護岸ブロック等が流されたことを推定し、護岸壁の損傷の状態を分布として得ることができる。
したがって、実施形態1の発明は、護岸壁、ひいては河川や海と接する壁面の詳細な状態を直接に、かつ自動的、正確に検出し、護岸壁の洪水時の対応に有用な情報を得ることができる。
【0056】
(実施形態2)
次に、本発明の護岸監視システムの実施形態2について説明する。実施形態2の護岸監視システムは、図16に示すように、加速度計等のセンサが検出した信号を識別信号と共に通信装置201間でデータ通信する点で、通信装置201の通信信号の有無によって壁面の状態を監視している実施形態1と相違する。
図17は、実施形態2の通信装置の構成を説明するためのブロック図である。図17に示した構成は、図5に示した実施形態1の通信装置201と同様の構成を含んでいる。図17の図5に示した構成と同様の構成については、図5と同様の符号を付して示し、説明の一部を略すものとする。
【0057】
図示したように、実施形態2の通信装置は、実施形態1の通信装置201に、堤防の壁面に加わる振動及び力の少なくとも一方を検出する加速度センサ171をさらに備えている。そして、加速度センサ171が検出した振動、力の少なくとも一方を表す出力信号をセンサ信号生成部172に送る。センサ信号生成部172は、この出力信号を表す通信信号を生成し、識別信号生成部502を介して通信制御部501に送る。通信制御部501は、センサ信号生成部172によって生成されたセンサ通信信号を、識別信号と共に発信する。
【0058】
また、実施形態2では、護岸監視装置2が、通信装置によって送信されたセンサ通信信号及び識別信号を通信制御部204によって受信する。データ解析部208は、センサ通信信号に基づいて、センサ通信信号が示す加速度センサ171の検出値と、検出した通信装置とを対応付けて特定する。そして、検出値から通信装置が設けられた護岸ブロック等のずれ等の情報を検出し、護岸壁、ひいては堤防等の壁面の損傷の度合いを判断する。
上記した実施形態2では、データ解析部208が、実施形態1の第1損傷度判断手段として機能すると共に、第2損傷度判断手段としても機能する。
また、表示データ生成部206は、以上述べた実施形態2によって得られる護岸ブロックのずれ等の情報を含む表示データを生成し、ディスプレイ207に表示することが可能である。
【0059】
以上述べた実施形態2によれば、通信装置が土砂と共に流出するに到らないまでも、護岸壁のずれや加わる圧力の値及び箇所を検出することができるため、護岸壁のメンテナンスに有用な情報を得ることができる。また、護岸壁の破損や堤防の決壊の可能性を早期に知ることができる。
なお、本発明の実施形態2は、以上述べた構成に限定されるものではない。すなわち、実施形態2では、通信装置を壁面の上面に設けた構成について説明している。しかしながら、実施形態2は、センサの出力値を示す信号を出力する通信装置を壁面の内面に設けることも可能である。図17では、センサに水圧センサ505を流用し、この検出信号をセンサ信号生成部172に入力する。通信制御部501は、水圧センサ505が検出した圧力を表す信号を識別信号と共に発信する。護岸監視装置2は、受信された信号に含まれる水圧センサ505によって検出される土砂の圧力が所定の値以下になったことによって、壁面内部の土砂の流出を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態に共通の監視対象を説明するための模式図である。
【図2】本発明の実施形態1の護岸監視システムの概要を説明するため図である。
【図3】本発明の実施形態1の通信装置群と護岸監視装置との位置関係を説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態1の通信装置のハードウェア構成を説明するための図である。
【図5】図4に示した実施形態1の通信装置の機能ブロックを説明するための図である。
【図6】図5に示した識別信号生成部によって生成される識別信号を説明するための図である。
【図7】本発明の実施形態1の通信装置の識別信号の発信順序を説明するための図である。
【図8】通信装置の流出を説明するための図である。
【図9】本発明の実施形態1の通信装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態1の通信装置の動作を説明するための他のフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態1通信装置の動作を説明するための他のフローチャートである。
【図12】図2に示したディスプレイに表示される表示データを例示した図である。
【図13】図2に示したディスプレイに表示される表示データを例示した他の図である。
【図14】図2に示したディスプレイに表示される表示データを例示した他の図である。
【図15】本発明の実施形態1の護岸監視装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】本発明の実施形態2を説明するための図である。
【図17】本発明の実施形態2の通信装置の機能ブロックを説明するための図である。
【符号の説明】
【0061】
1 通信装置群、2 護岸監視装置、101 護岸ブロック、102 根固工
103 基礎工、171 加速度センサ、172 センサ信号生成部
201s,201,201e 通信装置
204 通信制御部、205 通信途絶判定部、206 表示データ生成部
207 ディスプレイ、208 データ解析部
401 インターフェイス部、403 電池、404 送信回路、405 受信回路
406 ケース体、407 ループアンテナ
501 通信制御部、502 識別信号生成部、503 電源制御部
504 タイマ、505 水圧センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
川または海水に接する壁面を監視するための護岸監視システムであって、
前記壁面の少なくとも一部に設けられ、信号を発信する複数の通信ユニットと、
前記通信ユニットによって発信される信号を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された信号に基づいて、複数の前記通信ユニットのうちの信号の発信を停止した前記通信ユニットの位置を特定する発信停止位置特定手段と、
前記発信停止位置特定手段によって特定された位置の分布状態を表示する面分布表示手段と、
を備えることを特徴とする護岸監視制御システム。
【請求項2】
川または海水に接する壁面を監視するための信号を発信する護岸監視用通信装置であって、
前記壁面の少なくとも一部に設けられ、信号を発信する複数の通信ユニットを備え、
前記複数の通信ユニットの少なくとも一部は、各々を特定するための識別コードを有し、自己の識別コードが付与された識別信号を発信することを特徴とする護岸監視用通信装置。
【請求項3】
前記通信ユニットは、
他の通信ユニットによって発信された該他の通信ユニットの識別コードを含む識別信号を受信する識別信号受信手段と、
前記識別信号受信手段によって受信された識別信号に、自己の識別コードを付与して新たな識別信号を生成する識別信号更新手段と、をさらに備え、
前記識別信号更新手段によって自己の識別コードが付与された新たな識別信号を他の通信装置に向けて発信することを特徴とする請求項2に記載の護岸監視用通信装置。
【請求項4】
前記複数の通信ユニットの少なくとも一部は、
前記識別信号更新手段によって生成された新たな識別信号を外部に向けて発信する外部発信手段をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の護岸監視用通信装置。
【請求項5】
前記複数の通信ユニットの少なくとも一部は、
他の通信ユニットに向けてされた発信に対する前記他の通信ユニットからの返信を受付ける返信受付手段と、
前記返信受付手段が所定の時間内に前記他の通信ユニットからの返信を受付けられなかった場合、前記識別信号の発信先を前記他の通信ユニットとは別個の他の通信ユニットに変更する発信先変更手段をさらに備えることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の護岸監視用通信装置。
【請求項6】
前記通信ユニットの発信を開始または停止させる発信スイッチと、水圧を検出する水圧センサとをさらに備え、
前記発信スイッチは、
前記水圧センサが第1の圧力を検出した場合に前記通信ユニットの発信を開始し、前記水圧センサが第1の圧力よりも小さい第2の圧力を検出した場合に前記通信ユニットの発信を停止することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の護岸監視用通信装置。
【請求項7】
前記壁面に加わる振動及び力の少なくとも一方を検出するセンサをさらに備え、
前記通信ユニットは、前記センサが検出した振動、力の少なくとも一方を表す信号を前記識別信号と共に発信することを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の護岸監視用通信装置。
【請求項8】
前記センサが前記壁面の内面に設けられて圧力を検出する圧力センサであって、前記通信ユニットは、前記圧力センサが検出した圧力を表す信号を前記識別信号と共に発信することを特徴とする請求項7に記載の護岸監視用通信装置。
【請求項9】
川または海水に接する壁面を監視するための護岸監視装置であって、
前記壁面の少なくとも一部に設けられて信号を発信する複数の通信ユニットによって発信される信号を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された信号に基づいて、複数の前記通信ユニットのうちの信号の発信を停止した前記通信ユニットの位置を特定する発信停止位置特定手段と、
前記発信停止位置特定手段によって特定された位置の前記壁面における分布状態を表示する面分布表示手段と、
を備えることを特徴とする護岸監視装置。
【請求項10】
前記複数の通信ユニットの少なくとも一部が各々を特定するための識別コードを有し、自己の識別コードが付与された識別信号を発信すると共に、
前記発信停止位置特定手段は、前記受信手段により受信されない識別信号を検出し、該識別信号を発信する通信ユニットに対応する位置を発信停止位置とすることを特徴とする請求項9に記載の護岸監視装置。
【請求項11】
前記面分布表示手段によって表示された面分布に基づいて、壁面の損傷の度合いを判断する第1損傷程度判断手段をさらに備えることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の護岸監視装置。
【請求項12】
前記第1損傷度判断手段は、前記発信停止位置特定手段によって特定された位置が占める面積が大きいほど壁面の損傷が大きいと判断することを特徴とする請求項11に記載の護岸監視装置。
【請求項13】
前記第1損傷度判断手段は、前記発信停止位置特定手段によって特定された位置が、前記壁面において下方であるよりも上方である場合に壁面の損傷が大きいと判断することを特徴とする請求項11または12に記載の護岸監視装置。
【請求項14】
前記第1損傷度判断手段は、前記発信停止位置特定手段によって特定された位置が、前記壁面において分散しているよりも密集している場合に壁面の損傷が大きいと判断することを特徴とする請求項11から13のいずれか1項に記載の護岸監視装置。
【請求項15】
前記通信ユニットが前記壁面に加わる振動及び力の少なくとも一方を表す信号を前記識別信号と共に発信し、振動及び力の少なくとも一方を表す信号に基づいて壁面の損傷の度合いを判断する第2損傷度判断手段を備えることを特徴とする請求項9から請求項14のいずれか1項に記載の護岸監視信装置。
【請求項16】
前記通信ユニットが、前記壁面の内部にかかる圧力を表す信号を前記識別信号と共に発信し、前記損傷度判断手段は、圧力を表す信号に基づいて前記壁面内部の土砂の流出を検出することを特徴とする請求項15に記載の護岸監視装置。
【請求項17】
河川または海水から陸地を保護する壁面の監視をコンピュータに実行させるための護岸監視用プログラムであって、
前記壁面の少なくとも一部に設けられて信号を発信する複数の通信ユニットによって発信される信号を受信する受信ステップと、
前記受信ステップにおいて受信された信号に基づいて、複数の前記通信ユニットのうちの信号の発信を停止した前記通信ユニットの位置を特定する発信停止位置特定ステップと、
前記発信停止位置特定ステップにおいて特定された位置の分布状態を表示する面分布表示ステップと、
を備えることを特徴とする護岸監視用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−169583(P2008−169583A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−2557(P2007−2557)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(501198039)国土交通省国土技術政策総合研究所長 (23)
【出願人】(591091087)株式会社建設技術研究所 (18)
【Fターム(参考)】